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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】細長い医療デバイスのロボット制御
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20240628BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B34/37
A61B34/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564386
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022077563
(87)【国際公開番号】W WO2023060099
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/262,108
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブラッカー,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン,ペール
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA22
4C130AB02
4C130AC07
4C130AD02
4C130BA02
(57)【要約】
EMDを含むシステムであって、ロボット駆動装置に連結される。EMDは、内腔を画定する外側部材と、その内腔に配置され、外側部材の遠位部分に連結される内側部材と、外側部材に連結された直線的及び回転的作動可能要素と、を含む。ロボット駆動装置は、複数のデバイスモジュールを含み、複数のデバイスモジュールの各々はロボット駆動装置によって個別に直線移動可能である。第1のカセットが複数のデバイスモジュールの第1のデバイスモジュールに連結され、外側部材の直線的及び回転的作動可能要素と連結される。第2のカセットが複数のデバイスモジュールの第2のデバイスモジュールに連結され、内側部材に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を画定する外側部材、及び、前記内腔に配置されると共に前記外側部材の遠位部分に連結された内側部材を含むEMDと、
前記外側部材及び前記内側部材の一方に連結された直線的作動可能要素と、
前記外側部材及び前記内側部材の前記一方を支持し、第1のコマンドに応答して直線動作する第1のカセットと、を含むシステムであって、
前記第1のカセットの直線動作により、前記第1のカセットの部分が直線的作動可能要素と係合し、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な直線動作を生じさせる、システム。
【請求項2】
前記外側部材及び前記内側部材の他方に連結された第2の直線的作動可能要素と、
前記外側部材及び前記内側部材の前記他方を支持し、第2のコマンドに応答して直線動作する第2のカセットと、をさらに含み、
前記第2のカセットの直線動作により、前記第2のカセットの部分が前記第2の直線的作動可能要素と係合し、前記外側部材と前記内側部材との間に第2の相対的な直線動作を生じさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記外側部材及び前記内側部材の前記一方に連結された回転的作動可能要素をさらに含み、
前記第1のカセットは、第3のコマンドに応答して前記回転的作動可能要素を駆動する第1の駆動要素を含み、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を生じさせる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記外側部材及び前記内側部材の前記他方に連結された第2の回転的作動可能要素をさらに含み、
前記第2のカセットは、第4のコマンドに応答して前記第2の回転的作動可能要素を駆動する第2の駆動要素を含み、前記外側部材と前記内側部材との間に第2の相対的な回転動作を生じさせる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記直線的作動可能要素及び前記回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含んだ1つの要素から構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記外側部材及び前記内側部材の他方に連結された回転的作動可能要素と、
前記外側部材及び前記内側部材の前記他方を支持すると共に、第2のコマンドに応答して前記回転的作動可能要素を駆動し前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を引き起こす駆動要素を有する、第2のカセットと、をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記外側部材及び前記内側部材の前記一方に連結された第2の回転的作動可能要素をさらに含み、
前記第1のカセットは、第3のコマンドに応答して前記第2の回転的作動可能要素を駆動する第2の駆動要素を含み、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を生じさせる、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記直線的作動可能要素及び前記第2の回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含んだ1つの要素から構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
内腔を画定する外側部材、及び、前記内腔に配置されると共に前記外側部材の遠位部分に連結された内側部材を含むEMDの先端部を制御するコマンドを受信し、
前記コマンドに応答して、ロボット駆動装置を制御し、前記外側部材及び前記内側部材の一方を支持する第1のカセットを直線動作させ、前記第1のカセットの部分を、前記外側部材及び前記内側部材の前記一方に連結された直線的作動可能要素と係合させて、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な直線動作を生じさせる、ことを含む、方法。
【請求項10】
前記コマンドに応答して、前記ロボット駆動装置を制御し、前記外側部材及び前記内側部材の他方に連結された回転的作動可能要素を駆動して、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を生じさせる、ことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コマンドに応答して、前記ロボット駆動装置を制御し、前記外側部材及び前記内側部材の前記一方に連結された回転的作動可能要素を駆動して、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を生じさせる、ことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記直線的作動可能要素及び前記回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含んだ1つの要素から構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コマンドに応答して、前記ロボット駆動装置を制御し、前記外側部材及び前記内側部材の他方に連結された第2の回転的作動可能要素を駆動して、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な回転動作を生じさせる、ことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コマンドに応答して、第2のロボット駆動装置を制御し、前記外側部材及び前記内側部材の前記他方を支持する第2のカセットを直線動作させ、該第2のカセットの部分を、前記外側部材及び前記内側部材の前記他方に連結された第2の直線的作動可能要素と係合させて、前記外側部材と前記内側部材との間に相対的な直線動作を生じさせる、ことをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記直線的作動可能要素及び前記回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含んだ1つの第1の要素から構成され、
前記第2の直線的作動可能要素及び前記第2の回転的作動可能要素は、第2の直線的作動可能部分及び第2の回転的作動可能部分を含んだ1つの第2の要素から構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
EMDの先端部を制御するシステムであって、
EMDとロボット駆動装置とを含み、
前記EMDは、
内腔を画定する外側部材、及び、前記内腔に配置されると共に前記外側部材の遠位部分に連結された内側部材と、
前記内側部材に連結された直線的及び回転的作動可能要素と、を含み、
前記ロボット駆動装置は、
複数のデバイスモジュールと、第1のカセットと、第2のカセットと、を含み、
前記複数のデバイスモジュールの各々は、前記ロボット駆動装置によって個別に直線動作可能であり、
前記第1のカセットは、前記複数のデバイスモジュールのうちの第1の1つに連結されると共に前記内側部材の前記直線的及び回転的作動可能要素に連結され、
前記第2のカセットは、前記複数のデバイスモジュールのうちの第2の1つに連結されると共に前記外側部材に連結される、システム。
【請求項17】
前記直線的及び回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記EMDは、前記外側部材に連結された第2の直線的及び回転的作動可能要素をさらに含み、
前記第2のカセットは、前記外側部材の前記第2の直線的及び回転的作動可能要素に連結される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記直線的及び回転的作動可能要素は、直線的作動可能部分及び回転的作動可能部分を含み、
前記第2の直線的及び回転的作動可能要素は、第2の直線的作動可能部分及び第2の回転的作動可能部分を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のカセットは、前記直線的及び回転的作動可能要素を駆動して回転させるように構成され、
前記第2のカセットは、前記第2の直線的及び回転的作動可能要素を駆動し、前記直線的及び回転的作動可能要素の回転とは関係なく回転させるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本願は、2021年10月5日出願の米国仮出願63/262,108の優先権を主張する。この出願の内容はあらゆる目的で参照され本明細書に援用される。
【0002】
実施の形態は、広く言えば、ロボット医療処置システムの技術分野に関し、具体的には、ロボットインターベンション医療処置において1つ以上の細長い医療デバイス(EMD)の動きをロボット制御するシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルやその他のEMDは、神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む種々の血管系の疾患の診断及び/又は治療のための医療処置で使用される。これらの処置は、典型的には、患者血管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、このガイドワイヤを利用してカテーテル、バルブ、ステントなどを前進させて治療を行うことを含む。
【0004】
医師は、診断、病変部位の同定、及び、ガイドワイヤ又はカテーテルを目標(例えば、病変)の部位へ進める経路の決定、で使用する造影画像を得るために撮像システムを使用することができる。造影画像は、医師がガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作している間にも取得され、ガイドワイヤやカテーテルの遠位先端部を標的部位への経路にある血管に導き、穿孔や切開などの併発をモニタリングすると共に血管系の側枝への進入を避けることができる。
【0005】
血管系を用に乗り越えられるように、カテーテルやその他の医療デバイスには柔軟性が望まれる。また、デバイスの遠位先端部は、その他の部分よりも曲げやすいことが望まれるが、デバイスは、その先端部にトルクを加えることが可能である必要もある。従来の「操縦可能な」カテーテルの中には、カテーテルの壁の中に一体化された複数のワイヤ(プッシュ/プルワイヤと呼ばれることもある)を含むものがある。このようなカテーテルの近位端部でワイヤに張力をかけることにより、カテーテルの遠位先端部を様々な方向に屈曲させて、カテーテルを進めるときに血管系ナビゲーションを補助することができる。
【0006】
EMDの中には、外側部材と、外側部材の遠位部分に連結された内側部材と、を含むものもある。遠位端部は、外側部材と内側部材とを相対的に動作させることによって、曲がるか、あるいは、変形する。これらのEMDは、上述したケーブル式操縦可能EMDよりも断面が小さくなるという利点をもつ。
【0007】
遠位先端部の制御は、内側部材に対して外側部材を手動で回転させるために及び/又は外側部材に対して内側部材を手動で後進させて挿入するために、手持ち部分の操作を必要とする。このようなEMDの制御のための改良されたシステムが望まれており、このシステムは、外側部材と内側部材との間の相対動作の精密性と正確性を改善することにより、遠位先端部又は遠位先端部に接続された他の作動可能デバイスの制御を改善する。この改善により、処置スピードが向上し、安全性も向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次の図面を参照した以下の詳細な説明によって実施の形態をさらに深く理解できる。図中、参照符号は類似の部分に付してある。
図1】一実施例に係るカテーテル式処置システムの斜視図。
図2】一実施例に係るカテーテル式処置システムの概略ブロック図。
図3】一実施例に係るカテーテル式処置システムのロボット駆動装置の斜視図。
図4】EMDの斜視図。
図5】一実施例に係る、ロボット制御用に構成されたEMDの斜視図。
図6】一実施例に係るEMDのロボット作動の説明図。
図7】一実施例に係るEMDのロボット作動の説明図。
図8】一実施例に係るEMDのロボット作動の説明図。
図9】一実施例に係るEMDのロボット作動の説明図。
図10】一実施例に係るEMDのロボット作動の説明図。
図11】一実施例に係るEMDのロボット作動時における該EMDの完全挿入位置の概略図。
図12】一実施例に係る、作動可能要素を備えたEMDを、作動可能要素の第1の選択的配置で示す概略図。
図13】一実施例に係る、作動可能要素を備えたEMDを、作動可能要素の第2の選択的配置で示す概略図。
図14】駆動部材に連結されると共に、内側部材に連結されたルアーコネクタに止血弁を回転可能に連結する、作動可能要素の斜視図。
図15図14の内側部材、ルアーコネクタ、作動可能要素、及び止血弁の分解図。
【発明の詳細な説明】
【0009】
以下の説明は、当技術分野で通常の知識をもつ者が、説明する実施の形態を実施し、使用することができるようにするために提供される。ただし、当技術分野で通常の知識をもつ者が種々の改変をなせることは当然である。
【0010】
ここで使用する「EMD」は、カテーテル(例えば、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテル)、ワイヤ式デバイス(例えば、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイルのための近位プッシャー、ステント回収器、自己拡張ステント、フローダイバーターなど)、及びこれらのいずれかの組み合わせを含む医療デバイスを指す(これらに限定されない)。
【0011】
一実施例によれば、ロボットシステムにおいて、外側部材に画定される外側部材内腔の中に配置された内側部材を含むEMDの操作が容易になり、これら内側部材と外側部材との間の相対的な動作がEMDの遠位部分の動きをもたらす。外側部材内腔は、一実施例において、外側部材の全長に延伸している必要はない。外側部材はチューブからなる(ただし、実施例はこれに限定されない)。内側部材及び外側部材のいずれか又は両方が、複数のコンポーネントを含むことができる。
【0012】
結果として生じる遠位端部の動きの例としては、EMDがガイドワイヤ又はカテーテル(例えば、Rapid Medical社のColumbus、Bendit社のBendit)である場合の遠位部分の屈曲、アジャスタブルステント回収器(例えば、Rapid Medical社のTigertriever)における場合の遠位部分の直径拡張又は収縮、ステント回収器(例えば、ThrombX Medical社のThrombX retriever)又はアジャスタブルリモデリングデバイス(例えば、Rapid Medical社のComaneci、Perflow Medical社のCascade)の遠位要素及び近位要素の制御、をあげることができる(これらに限定されない)。内側部材と外側部材は、それぞれが別のEMDを構成することができる。このようなそれぞれの別個のEMDは、その遠位部分で連結され、選択的に操作され得る。
【0013】
一実施例によれば、ロボットシステムにおいて、外側部材と外側部材内に配置された内側部材との間の上記のような相対動作の応用が容易になる。内側部材は、例えば外側部材内に部分的に配置され、内側部材の一部が外側部材の一端又は両端から延出する。相対動作は、直線動作、回転動作、又はその両方であり得る。相対回転動作は、一実施例において、外側部材の近位端部及び/又は内側部材の近位部分を異なる方向及び/又は異なる速度で回転させることによって達成される。相対直線動作は、外側部材の近位部分及び/又は内側部材を異なる方向及び/又は異なる速度で前進又は後進させることによって達成される。相対回転動作させることなくEMD全体を回転させるには、外側部材及び内側部材の両近位端部を同じ方向(すなわち、時計回り又は反時計回り)に同じ角速度で回転させればよい。相対直線動作させることなくEMD全体を前進又は後進させるには、外側部材及び内側部材の両近位端部を同じ方向に同じ速度で移動させればよい。
【0014】
一実施例によれば、相対回転動作は、ギア(これに限定されない)などの回転作動可能要素を、外側部材及び内側部材の一方又は両方の外面に設けることによって容易に実現される。回転作動可能要素は、外側部材又は内側部材が装填されるカセットの駆動機構と係合することの可能な位置で、外面に設けることができる。
【0015】
相対直線動作は、ベアリング面を前後に有する位置決め機能部を外側部材及び内側部材の一方又は両方に設けることによって容易に実現される。位置決め機能部は、外側部材又は内側部材が装填されるカセットの機能部と係合可能な位置に設けられ、この機能部がベアリング面と係合し、カセットの直線移動の結果として外側部材又は内側部材が前後に動作する。一実施例において、ベアリング面は、回転作動可能要素に一体化されるか又は連結される。
【0016】
一実施例によれば、EMDの遠位部分を動かすためのテンションを内側部材が受けていないときに外側部材から突き出る内側部材の長さは、手持ち作業に使用される長さとは異なる。特に、一実施例によれば、内側部材の長さは、内側部材の近位端部と外側部材の近位端部との間の距離が、外側部材及び内側部材が装填される近接したカセットのそれぞれの装着機構部間の最小操作距離と少なくとも同じ長さとなるように、決定される。
【0017】
このようなEMDの外側部材及び内側部材を同じ又は異なる速度で同時に操作することにより、遠位部分の動き(例えば、屈曲、膨張、収縮)は、内側部材を固定として外側部材を動作させる又は外側部材を固定として内側部材を動作させるのいずれかにより生じる動きよりも、速く起こる。
【0018】
ロボットシステムは、EMDの先端部を正確に制御するために入力デバイスに対し較正される。例えば、入力デバイスのノブを60度回転させると60度の屈曲が生じたり、EMDの遠位先端部の所望の曲率半径に正確に対応するように入力デバイスを動かせる、といったことができる。特定の曲率半径は、デバイスを特定の部位に維持するために(例えば、他のデバイスを動かして治療を行う場合)、血管曲率半径と一致させるために使用される。
【0019】
撮像システム(例えば、透視システム)によるEMDの遠位部分の追跡は、ヒトの介入なしでEMDを目標へナビゲートするべく、自動制御でEMDを前進させ、遠位部分を屈曲させることを可能にする。目標に至る所望の血管経路の三次元中心線が既知の場合、ロボットシステムは、EMDを目標への血管経路に沿って進めるときにEMDの遠位先端部をプログラムに従って屈曲させることができる。
【0020】
EMDのロボット作動は、概して、複数の連続した及び/又は同時の挿入、屈曲、及び/又は回転動作の協調によりEMDをナビゲートして、血管を選択し、蛇行した又は細くなった血管を通し前進させ、又は所望の経路に留める(すなわち、間違った側枝への進入を避ける)ことを可能にする。一実施例に係るロボット作動は、EMDの遠位先端部を波打つように動作させ(回転、往復回転、又は往復進行を伴って又は伴わないで)、血管壁との摩擦を減少させることにより、蛇行した又は細くなった血管区域を通るEMDの及び/又は隣接した又は同軸の別のEMDの前進又は後進を容易にする。
【0021】
一実施例によれば、ここに説明するEMDの遠位先端部のロボット作動による動作は、他のEMDと調整することができる。例えば、EMDは、吸引カテーテルの内腔に配置され、ここに説明するように制御されて、吸引カテーテルに血栓を横切らせ血栓の破砕を招くようなことなく、血栓へ吸引カテーテルを進めるように補助する。
【0022】
ここに説明するようにEMDの遠位先端部を屈曲させることは、ガイドワイヤの遠位先端部をJの形に屈曲させる場合などに血管の損傷を避けるために使用され、これにより、進めている先端部は、NVIの場合に血管造影で可視化されないことがある側枝及び貫通動脈に入ることが防止される。Jの形は、冠動脈処置の場合にCTO(慢性完全閉塞)を越えて移動するために、サブインティマルディスセクションを行うためのナックルとして使用することもできる。
【0023】
一実施例によって容易になる相対動作は、機械的に及び/又はソフトウェアにより、血管の損傷又はEMD自体の破損を防止するために、制限され得る。一実施例において、センサが、力を測定するためにEMDか又は回転及び/又は直線動作アクチュエータ内に設置され、その測定値が、血管又はデバイスに印加される力の大きさを制限するために使用される。このセンサは、EMD又はアクチュエータに一体化された歪ゲージ又はファイバブラッグ格子などで歪を測定することができる。
【0024】
一実施例に係る図1は、カテーテル式処置システム10の斜視図である。カテーテル式処置システム10は、カテーテル式医療処置、例えば、PCI(例えば、STEMIを治療するため)、NVI(例えば、緊急の大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、PVI(例えば、重症下肢虚血(CLI)のため)などの経皮的インターベンション処置、を行うために使用される。カテーテル式医療処置は、患者の疾患の診断を補助するために1つ以上のカテーテル又は他のEMDを使用する診断カテーテル処置を含み得る。例えば、カテーテル式診断処置の一実施例において、造影剤をカテーテルを通して1つ以上の動脈に注入し、患者の血管系の画像をその中に造影剤がある間に取得する。
【0025】
カテーテル式医療処置には、カテーテル(又は他のEMD)を使用して疾患を治療するカテーテル式治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血栓除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)も含まれる。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層計(OCT)、血流予備量比(FFR)などの補助デバイス54(図2に示す)を利用することによって強化することができる。しかしながら、当分野で通常の知識をもつ者であれば、当然ながら、特定の経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば、ある種のガイドワイヤ、ある種のカテーテルなど)が、実施されるべき処置のタイプに基づいて選択されることを理解している。カテーテル式処置システム10は、わずかな調節で、処置に使用される特定の経皮的インターベンションデバイスを収容でき、あらゆるカテーテル式医療処置を行うことができる。
【0026】
カテーテル式処置システム10は、数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション26を含む。ベッドサイドユニット20は、患者12に近接して位置するロボット駆動装置24及び位置決めシステム22を含む。患者12は、患者テーブル18上に寝かされる。位置決めシステム22は、ロボット駆動装置24を位置決めし支持するために使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、関節式アーム、ホルダなどである。位置決めシステム22は、一端で、例えば、患者テーブル18のレール、ベース、又はカートに取り付けられる。位置決めシステム22の他端に、ロボット駆動装置24が取り付けられる。位置決めシステム22は(ロボット駆動装置24と共に)、患者12を患者テーブル18に寝かせられるように退避させることができる。患者12を患者テーブル18に寝かせた後、位置決めシステム22を用いて、処置のためにロボット駆動装置24を患者12に対して固定又は位置決めすることができる。一実施例において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に固定される台座17によって作動可能に支持される。患者テーブル18は、台座17に対して、多自由度、例えば、ロール、ピッチ、ヨーで動くことができる。ベッドサイドユニット20は、制御機器及びディスプレイ46(図2に示す)を含むこともできる。例えば、制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0027】
「前面/手前」は、患者12に面し、位置決めシステム22から遠い方のロボット駆動装置24の側方を指し、一方、「背面/奥側」は、位置決めシステム22に近い方のロボット駆動装置24の側方を指す。「上/上側/上方」は重力の方向とは逆の一般的な方向を指し、「下/下側/下方」は重力の方向の一般的な方向を指す。
【0028】
一般に、ロボット駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(図2に示す)(例えば、ここに説明する内側部材及び外側部材を含むEMD、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種のカテーテル、ステントデリバリーシステム、ステント回収器、塞栓形成コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤、薬剤の送達デバイス、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を備えており、操作者(ユーザ)11が、制御ステーション26にある制御機器及び入力モジュールなどのここに説明する制御システムの種々の制御器を作動させることによって、ロボットシステムを利用してカテーテル式医療処置を行うことを可能にする。ベッドサイドユニット20、特にロボット駆動装置24は、ベッドサイドユニット20にここに説明する機能を提供するための各種のコンポーネント及び/又はコンポーネントの組み合わせを含む。制御ステーション26の所の操作者11は、ここでは、制御ステーションユーザ、制御ステーション操作者、ユーザ、又は操作者と称される。ベッドサイドユニット20の所の操作者は、ベッドサイドユニットユーザ、又はベッドサイドユニット操作者と称される。
【0029】
ロボット駆動装置24は、レール又は直線部材60(図3に示す)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a-dを含む。レール又は直線部材60は、デバイスモジュールを案内し、支持する。デバイスモジュール32a-dの各々を使用して、カテーテル又はガイドワイヤなどのEMDを駆動することができる。例えば、ロボット駆動装置24を使用して、ガイドワイヤを患者12の動脈の中の診断用カテーテルの中にそしてガイドカテーテルの中に自動的に挿入することができる。EMDなどの1つ以上のデバイスは、例えばイントロデューサシースを介して挿入点16において患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0030】
ベッドサイドユニット20は制御ステーション26と通信し、制御ステーション26の制御機器によって生成された信号がベッドサイドユニット20へ無線で又は有線で送信され、ロボット駆動装置24の機能を含むベッドサイドユニット20の様々な機能を制御することが可能とされている。後述するように、制御ステーション26は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)を含むか、又は制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20に接続される。ベッドサイドユニット20は、制御ステーション26、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)、又はその両方に、フィードバック信号(例えば、装填、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテル式処置システム10の種々のコンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にするその他の手段である通信リンクを介して提供される。
【0031】
「ローカル/局所」は、患者12及びベッドサイドユニット20の場所を指すために使用される。カテーテル式処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーション26、リモートサイトの制御ステーション26、又は同時にローカル制御ステーション26とリモート制御ステーション26の両方によって、操作することができる。ローカルサイトにおいて、操作者11及び制御ステーション26は、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋か又は隣接する部屋に位置している。ここで使用される場合、ローカルサイトは、ベッドサイドユニット20及び患者12又は被験体(例えば、動物又は死体)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20をリモート制御するために使用される制御ステーション26及び操作者11の場所である。「リモート/遠隔」は、ローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に対する物理的アクセスをもたない場所を指すために使用される。
【0032】
一実施例において、リモートサイトとローカル(患者)サイトは、互いに離れている場所、例えば、同じ建物内の別々の部屋、同じ市内の別々の建物、別々の市町村、又は、その他の、リモートサイトがローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に対する物理的アクセスをもたない別々の場所である。
【0033】
制御ステーション26は、ロボット駆動装置24及び/又はカテーテル式処置システム10の様々な他のコンポーネント又はシステムを制御するためのユーザ操作を受けるように一実施例に従って構成された制御器を含んだ入力モジュール28を、含む。図示の実施例の場合、制御ステーション26は、操作者11がベッドサイドユニット20を制御してカテーテル式医療処置を行うことを可能にする。例えば、入力モジュール28は、ベッドサイドユニット20に、ロボット駆動装置24に接続された経皮的インターベンションデバイス(例えば、EMD)を使用して種々のタスクを実行させるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後進又は回転させる、カテーテルを前進、後進又は回転させる、カテーテルに配置したバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを位置決めする及び/又は展開する、ステント回収器を位置決めする及び/又は展開する、コイルを位置決めし及び/又は展開する、カテーテル内に造影剤を注入する、カテーテル内に液体塞栓を注入する、カテーテル内に薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、又は、カテーテル式医療処置の一部として実施され得るその他の機能を実施する)。ロボット駆動装置24は、入力モジュール28の制御器のユーザ操作に応答して、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを動作(例えば、直線動作及び回転動作)させるための様々な駆動機構を含む。
【0034】
入力モジュール28は、ロボット駆動装置24に装填された経皮的インターベンションデバイスのうちのどれを入力制御器のユーザ操作により制御するかを操作者11が選択できるようにするために、後述するデバイス選択ボタンを含むことができる。自動動作ボタンを使用して、操作者11からの直接のコマンドなしでカテーテル式処置システム10が経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズムによる動作を可能にすることができる。
【0035】
入力モジュール28は、バルーンの膨張又は収縮及び/又はステントの展開を指示するように構成されたバルーン又はステント制御器を含むこともできる。入力モジュール28は、1つ以上の特定のコンポーネントの制御を指示するために専用の1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含むことができる。さらに、1つ以上のタッチスクリーンで、入力モジュール28又はカテーテル式処置システム10の様々なコンポーネントの相対的な位置を表示する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。このような1つ以上のタッチスクリーンは、入力モジュール28の制御器の構成と、直線及び/又は回転ロック機能(これらに限定されない)を含む1つ以上の機能と、を明確にし及び/又は表示するためのユーザインタフェースを表示する。
【0036】
制御ステーション26は、ディスプレイ30を含む。一実施例において、制御ステーション26は、2つ以上のディスプレイ30を含む。ディスプレイ30は、制御ステーション26の操作者11に情報又は患者特有のデータを表示するように構成される。例えば、ディスプレイ30は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者記録情報(例えば、病歴、年齢、体重など)、病変又は治療評価データ(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)を表示するように構成される。さらに、ディスプレイ30は、処置に固有の情報(例えば、処置チェックリスト、勧告、処置期間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込まれた薬剤又は造影剤の量など)を表示するように構成される。また、ディスプレイ30は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)に関連する機能を提供する情報を表示するように構成される。ディスプレイ30は、システムのユーザ入力機能の一部を提供するためのタッチスクリーン機能を含むことができる。
【0037】
カテーテル式処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテル式医療処置と併せて使用され得る医用撮像システム(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)のいずれかである。一実施例において、撮像システム14は、制御ステーション26と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施例において、撮像システム14は、患者12に対する異なる角度位置での画像(例えば、矢状面像、尾面像、前後面像など)を得るために、患者12の周囲を撮像システム14が部分的又は全体的に回転することを可能にするCアーム(図1に示す)を含む。一実施例において、撮像システム14は、X線源13とイメージインテンシファイアとしても知られる検出器15とを有するCアームを含む透視システムである。
【0038】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を取得するように構成することができる。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために、頭部の1つ以上のX線画像を取得するように構成することができる。撮像システム14は、処置中に制御ステーション26の操作者11を補助してガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを適切に位置決めするために、カテーテル式医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮像するように構成することもできる。1つ以上の画像はディスプレイ30に表示される。例えば、画像をディスプレイ30に表示し、操作者11がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置に正確に移動させることができるようにしてもよい。
【0039】
方向を明確にするために、直交座標系をX,Y,Z軸で導入した。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向、すなわち、近位端から遠位端へ向かう方向、別の言い方をすれば、近位から遠位の方向、を指す。Y軸とZ軸はX軸に対する交差面内にあり、正のZ軸が上向き、つまり重力の反対の方向に向き、Y軸は右手の法則によって自動的に決定される。
【0040】
一実施例に係る図2は、カテーテル式処置システム10のブロック図である。カテーテル式処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーション26(図1に示す)の一部であってもよい。制御コンピューティングシステム34は、広く言えばここに説明する種々の機能を備えたカテーテル式処置システム10を提供するのに適したコンピュータ処理ユニットからなる。例えば、制御コンピューティングシステム34は、埋め込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどである。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、制御ステーション38、追加の通信システム40(例えば、テレプレゼンスシステム)、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)デバイス、脳波(EEG)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍モニタ、呼吸モニタなど)と通信する。
【0041】
制御コンピューティングシステム34は、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24、位置決めシステム22、及び追加の制御機器及びディスプレイ46を含む。上述のように、追加の制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドシステム20と接続される。一実施例において、インターベンションデバイス及び付属機器48は、特殊なデバイス(例えば、ここに説明する内側部材及び外側部材を含んだEMD、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)を含み、このような特殊なデバイスは、それぞれの補助デバイス54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、及びFFRシステムなどと接続される。
【0042】
一実施例において、制御コンピューティングシステム34は、制御ステーション26の入力モジュール28の制御器のユーザ操作に基づいて制御信号を受信しまた生成し、及び/又は、制御コンピューティングシステム34のアクセス可能な情報に基づいて制御信号を受信しまた生成するように構成されており、これにより、カテーテル式処置システム10を用いて医療処置を実行することができる。
【0043】
カテーテル式処置システム10は、明示はしないが、他のあらゆるシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成することができる。例えば、カテーテル式処置システム10は、画像処理エンジン、データストレージ及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はログシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル式処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを含むことができる。
【0044】
一実施例に係る図3は、カテーテル式処置システム10のロボット駆動装置24の斜視図である。実施例が図3のロボット駆動装置24に限定されるわけではない。図3のロボット駆動装置24は、直線部材60に連結された複数の駆動モジュール32a-dを含む。駆動モジュール32a-dのそれぞれは、直線部材60に動作可能に取り付けられたステージ62a-dを介して直線部材60に連結される。一つ一つの駆動モジュール32a-dは、オフセットブラケット78a-dなどのコネクタを用いてステージ62a-dに接続される。別の実施例では、駆動モジュール32a-dは、ステージ62a-dに直接取り付けられる。
【0045】
各ステージ62a-dは、直線部材60に沿って直線的に移動するように個々に作動させることができる。したがって、各ステージ62a-d(及びステージ62a-dに連結された対応する駆動モジュール32a-d)は、互いに対し及び直線部材60に対して個々に動作することができる。各ステージ62a-dを作動させるために駆動機構が使用される。図3に示す実施例の場合、駆動機構は、各ステージ62a-d及びステージ駆動機構76に連結された個別のステージ並進モータ64a-dを有しており、ステージ駆動機構76は、例えば、回転ナットを介した送りねじ、ピニオンを介したラック、ピニオン又はプーリを介したベルト、スプロケットを介したチェーンである。あるいは、ステージ並進モータ64a-d自体をリニアモータとすることができる。一実施例において、ステージ駆動機構76は、これらの機構の組み合わせにすることもでき、例えば、各ステージ62a-dで、異なるタイプのステージ駆動機構を採用することができる。ステージ駆動機構が送りねじ及び回転ナットである実施例の場合、送りねじを回転させると共に各ステージ62a-dを送りねじと係合させるか非係合とし、例えば前進又は後進するなど、動作させることができる。図3に図示の実施例において、ステージ62a-d及び駆動モジュール32a-dは、縦列駆動の構成になっている。
【0046】
各駆動モジュール32a-dは、デバイスモジュール68a-dと、デバイスモジュール68a-dに搭載され連結されるカセット66a-dを含む。図3に図示の実施例において、各カセット66a-dは、上下の方向でデバイスモジュール68a-dに取り付けられる。他の実施例では、各カセット66a-dは、別の取り付け方向でデバイスモジュール68a-dに取り付けられ得る。各カセット66a-dは、EMD(図示せず)の近位部分と接続され支持するように構成されている。また、各カセット66a-dは、直線部材60に沿って直線的に移動するために対応するステージ62a-dの作動によって提供される直線的な動作に加えて、1つ以上の自由度を提供する要素を含むことができる。例えば、カセット66a-dは、カセットがデバイスモジュール68a-dに連結されているときにEMDを回転させるために使用される要素を含むことができる。
【0047】
各デバイスモジュール68a-dは、それぞれのカセット66a-d内の機構に駆動インタフェースを提供してさらなる自由度を提供するために、少なくとも1つのカプラを含む。また、各カセット66a-dは、デバイス支持体79a-dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-dは、EMDの座屈を防止するために使用される。各駆動モジュール32a,32b,32cにそれぞれ支持アーム77a,77b,77cが取り付けられ、デバイス支持体79b,79c,79dの近位端部をぞれぞれ支持する固定点が提供される。ロボット駆動装置24は、デバイス支持体79、遠位支持アーム70、及び支持アーム77oに接続されたデバイス支持接続部72も含む。支持アーム77oは、最も遠位の駆動モジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端部を支持する固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサインタフェースサポート(リダイレクタ)74を、デバイスサポート接続部72及びEMD(例えば、イントロデューサシース)に接続することができる。これらロボット駆動装置24の構成は、1つの直線部材でアクチュエータを使用することによってロボット駆動装置24の大きさ及び重量を軽減できるという利点を有する。
【0048】
病原体による患者の汚染を防ぐために、ヘルスケアスタッフは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験者(図1に示す)を収容した部屋で無菌技術を用いる。ベッドサイドユニット20と患者12を収容する部屋は、例えば、カテーテルラボ又はアンギオスイーツである。無菌技術は、滅菌バリア、滅菌器具、適切な患者準備、環境管理、及び接触ガイドラインを使用することからなる。このため、すべてのEMD及びインターベンション付属機器は滅菌され、滅菌バリア又は滅菌器具のいずれかとのみ接触が許される。一実施例において、滅菌ドレープ(図示せず)で未滅菌ロボット駆動装置24が覆われる。各カセット66a-dは滅菌され、ドレープ付きロボット駆動装置24と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インタフェースとして作用する。各カセット66a-dは、一回の使用を目的として滅菌される設計とするか、あるいは、カセット66a-d又はそのコンポーネントを複数の処置で使用できるように全部又は一部が再滅菌される設計とすることができる。
【0049】
ここで使用する場合、「カセット」は、広く、少なくとも1つのEMDを支持し動作(例えば、回転及び/又は並進)させるためのコンポーネントを含む、ロボット駆動システムのコンポーネントを指す。デバイスモジュールは、広く、カセットのEMD作動要素とインタフェースする駆動カップラをもつ、1つ以上のモータを含んだロボット駆動システムのコンポーネントを指す。カセットは、少なくとも1つのEMDとデバイスモジュールとの間に、直接的に又はデバイスアダプタを介して滅菌インタフェースを提供する。「駆動モジュール」は、デバイスモジュールとカセットの組み合わせを指す。
【0050】
一実施例において、EMDは、カテーテルの近位端部にハブを有すると共にハブからカテーテルの遠位端部に向かって遠心する可撓性シャフトを有するカテーテルであり、シャフトがハブより柔軟である。一実施例において、カテーテルは、ハブとシャフトとの間をつなぐ中間部分を含み、この中間部分が、ハブよりも柔らかく且つシャフトよりも硬い中間の柔軟性をもつ。一実施例において、中間部分はストレインリリーフである。
【0051】
部材(例えば、カテーテル式処置システムにおけるEMDやその他の要素)の長手軸(縦軸、長手方向軸)は、部材の近位部分から部材の遠位部分の方向に部材の横断面の中心を通過する部材の長さに沿った線又は軸である。例えば、ガイドワイヤの長手軸は、たとえガイドワイヤが関連する部分において直線でなくとも、ガイドワイヤの近位部分からガイドワイヤの遠位部部へ向かう方向の中心軸である。
【0052】
部材の直線動作は、部材の長手軸の方向の部材の並進(平行移動)をいう。例えば、EMDの遠位端部を、その長手軸に沿って遠位方向に、患者の中又はさらに患者の中に直線的に移動させるとき、EMDは前進中である。EMDの遠位端部を、その長手軸に沿って近位方向に、患者から外へ又はさらに患者から外へ直線的に移動させるとき、EMDは引き抜かれている。
【0053】
この点に関して、直線挿入は、第1の部材を、第2の部材の長手軸に沿って第2の部材の中に挿入することをいう。例えば、コレットに直線的に装填されたEMDは、コレットの中に直線挿入されている。直線挿入の一例は、ガイドワイヤの近位端部にカテーテルをバック装填することということができる。横方向挿入は、第1の部材を、第2の部材の長手軸と交差する平面内の方向に沿って第2の部材の中に挿入することを意味する。横方向挿入は、径方向装填又は側方装填ともいい得る。
【0054】
部材の回転動作は、部材の局部長手軸の周りの部材の角度方向の変化をいう。例えば、EMDの回転動作は、加えられたトルクによる、EMDの長手軸の周りのEMDの時計回り又は反時計回りの回転に相当する。連続動作は、リセットを必要としない、中断されない動作を指し、離散動作は、リセットを必要とする、中断される動作を指す。
【0055】
「遠位」と「近位」は、2つの異なる部分の相対的位置を定義する。ロボット駆動装置に関して言えば、「遠位」及び「近位」は、使用目的におけるロボット駆動装置の患者に対する位置によって定義される。
【0056】
相対的位置を定義するために使用される場合、遠位の部分は、ロボット駆動装置がその使用目的の位置にあるときに、近位の部分よりも患者に近いロボット駆動装置の部分である。患者内においては、アクセスポイントからの経路に沿ってより遠くにある血管系ランドマークは、アクセスポイントに近いランドマークよりも遠位であると言える。なお、アクセスポイントはEMDが患者に入るポイントである。同様に、近位の部分は、ロボット駆動装置がその使用目的の位置にあるときに、遠位の部分よりも患者から遠い部分である。
【0057】
方向を定義するために使用する場合、遠位方向は、ロボット駆動が使用目的の位置にあるときに、近位の部分から遠位の部分及び/又は患者へ向かって、何かが動いている又は何かが動こうとしている経路、あるいは、何かが目指し又は向いている経路、を指す。近位方向は遠位方向の反対方向である。例えば、図1を参照すると、患者を向いた操作者の視点からロボット駆動装置が示されている。この配置では、遠位方向は正のX座標軸の方向であり、近位方向は負のX座標軸の方向である。
【0058】
モジュールの動作に関して言うと、図3を参照して、EMDは、ロボット駆動装置24の遠位端部を規定するイントロデューサインタフェース支持体74を通って患者に向かう経路で遠位方向に移動する。ロボット駆動装置24の近位端部は、負のX軸の方向で遠位端部から最も遠い所である。
【0059】
個々のモジュールの位置に関して言うと、これも図3を参照して、最も遠位の駆動モジュールは、ロボット駆動装置24の遠位端部に最も近い駆動モジュール32aである。最も近位の駆動モジュールは、負のX軸の方向にロボット駆動装置24の遠位端部から最も遠くに位置する駆動モジュール32dである。駆動モジュールの相対的位置は、ロボット駆動装置の遠位端部に対するそれらの相対的位置によって決定される。例えば、駆動モジュール32bは、駆動モジュール32cの遠位にある。
【0060】
EMD又はロボット駆動装置の遠位/近位部分、区域、又は端部に関して言うと、カセット66a及びデバイスモジュール68aの部分は、ロボット駆動装置の遠位端部に対するそれらの相対的位置によって定義される。例えば、カセットがデバイスモジュール68aの使用位置にあるときに、カセット66aの遠位端部は、ロボット駆動装置の遠位端部に最も近いカセットの部分であり、カセット66aの近位端部は、負のX軸の方向にロボット駆動装置の遠位端部から最も遠いカセットの部分である。別の言い方をすれば、カセット66aの遠位端部は、使用位置にあるEMDが患者に至る経路に最も近づくカセットの部分である。
【0061】
既述したように、制御ステーション26の実施例は、ベッドサイドユニット20を制御するための様々な異なる入力モジュールを含むことができる。入力モジュールは、ロボット駆動装置24の動作を制御する(又は指示する)ためにユーザが操作することのできる各種の入力制御器(例えば、ボタン、スクロールホイール、ジョイスティックなど)を含むことができる。これらの入力制御器は、複数のEMDの個別の(及び時には同時の)動作及び/又はここに説明するような1つのEMDの別々の部分の個別の(及び時には同時の)動作を必要とする所望のタスクを遂行するために必要な機能及びその協調順位付けを容易にするために、入力モジュールにおいて様々なレイアウト又はパターンで配列することができる。
【0062】
図4A及び図4Bは、一実施例で使用されるEMD400の斜視図である。実施例はEMD400に限定されない。EMD400は、外側部材420の内側に配置された内側部材410を含む。内側部材410の遠位部分412は、外側部材420の遠位部分422に連結されている。この場合の「連結」は、限定されるわけではないが、溶接、超音波溶接、熱結合、接着剤結合、成形などを含む取付方法のいずれかを含む。「連結」は、内側部材410及び外側部材420の遠位端部に面しているいずれかの表面で起こり得る。内側部材の遠位部分412は、外側部材420の遠位端部と実質的に面一であるように示されているが、内側部材410の遠位部分は、一実施例において、外側部材420の遠位端部を越えて延伸する場合もある。内側部材410の近位部分は、一実施例において、外側部材420の近位端部を越えて延伸する。内側部材410のこの部分は、外側部材420の近位端部を越えて延伸する作動可能要素に接続されて作動する。
【0063】
内側部材410及び外側部材420のそれぞれは、近位方向及び遠位方向に直線的に移動可能であり、時計回り及び反時計回りに回転可能である。直線動作は、これら部材間の長手方向の相対動作を可能にする。この相対動作とこれら部材の遠位部分の連結が、当技術分野で周知であるように、遠位端部の屈曲を引き起こす。一実施例によると、内側部材410及び外側部材420は、相対回転動作も可能に構成されるか、又は、代替的に相対回転動作が可能であるように構成される。このような回転動作が、これら部材の遠位端部の屈曲又は他の変形を生じさせ得る。
【0064】
当技術分野で周知のように、内側部材410及び外側部材420の少なくとも1つは、部材の遠位端部に向かって柔軟性を増加させるためにスロットを形成し、操作性を向上させることができる。柔軟性の程度は、スロットの数、スロット間の間隔、スロットの形状、スロットによって画定される角度、材料の厚さ、その他の要因によって決定される。一実施例において、このようなスロット部分の代わりとして機能する柔軟性材料と非スロット部分の代わりとなる硬い補強材とを用いて所望の柔軟性が達成される。
【0065】
一実施例において、内側部材410及び外側部材420は、適切に柔軟性があって適切な生体適合性の材料(例えば、これらに限定されないが、ステンレス鋼(例えば、AISI316)、ニチノール、コバルト-クロム合金、ニッケル-チタン合金など、プラスチック(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、その他の多くのもの)、又はこれらの組み合わせから形成される。内側部材410の組成は、外側部材420の組成とは違うものとすることができる。内側部材410及び外側部材420のいずれか又は両方は、機械加工された部分及び/又はコンポーネントアセンブリ(部品組み付け部)を備えてもよい。
【0066】
一実施例において、内側部材410は、その全長にわたって内腔を画定し、この内腔がEMDの全長にわたる内腔を画定し得る。処置時、内側部材410の近位端部から内腔中に流体が注入され得る。内腔を通して血管系から流体及び物質を抽出(例えば、吸引)することもできる。ルアーコネクタなどのコネクタを、内側部材410の近位端部に連結してもよい。このようなコネクタは、内腔と、注射/吸引/そ他のシステム、例えば注射器、止血弁、チューブ、又は他のデバイス(これらに限定されない)との間の適切な液密接続を容易にする。
【0067】
一実施例に係る図5は、ロボット作動用に構成されたEMD500の斜視図である。EMD400に関して説明したように、EMD500は、外側部材520の内側に配置された内側部材510を含み、これら部材の遠位部分は、相対動作に応答して屈曲できるように連結されている。EMD500の内側部材510及び外側部材520は、図4A及び図4BのEMD400に関して上述した特性のいずれをも示し得る。
【0068】
内側部材510及び外側部材520は、長手方向に互いに対して移動可能である。一実施例によると、内側部材510及び外側部材520は、相対回転動作も可能なように構成されるか、又は、代替的に相対回転動作可能なように構成される。相対動作とこれら部材の遠位部分の連結は、遠位端部の屈曲及び/又は他の変形を引き起こす。
【0069】
作動可能要素515,525が、それぞれ、内部部材510及び外部部材520に取り付けられている。作動可能要素515,525の各々は、一実施例において、個別に駆動可能であり、それぞれが設けられている部材/チューブを回転させる。当該回転は、内側部材510と外側部材520との間の相対回転動作をもたらし得る。
【0070】
有利なことに、反対方向へ内側部材510と外側部材520とを回転させると、同一の回転速度を仮定した場合、内側部材510及び外側部材520のうちの1つのみを回転させた場合よりも速く、特定の大きさの相対回転を引き起こすことができる。それでも、以下に説明するように、一実施例において、内側部材510及び外側部材520の一方の回転も可能であり、このときの他方は、自身の回転を防ぐために固定される。このような実施例の場合、相対的に回転を固定される内側部材/外側部材から回転動作の作動要素を省略することができる。
【0071】
作動可能要素515,525の回転作動可能部分は歯車の歯として図示されているが、実施例がこれに限定されるわけではない。一実施例において、作動可能要素515,525の一方又は両方は、例えばベルトなどの駆動装置に摩擦係合する表面を含むプーリ又はOリングからなる。一実施例において、回転可動要素が内側部材510及び外側部材520に連結されておらず、駆動要素が、内側部材510及び/又は外側部材520の表面と接触して内側部材510及び/又は外側部材520に回転を付与するべく使用される。実施例は、部材/チューブごとに1つの回転作動可能要素に限定されない。
【0072】
作動可能要素515,525のそれぞれは、対応する内側部材510及び外側部材520を直線移動させるために、直線作動可能部分516,517及び直線作動可能部分526,527を備える。例えば、内側部材510が装填されているカセットの部分が、カセットが近位方向に移動するときに部分516に対して係合することができ、その結果、外側部材520の長手方向位置が固定されたままであるとすれば、内側部材510は、外側部材520から引き出される。反対に、内側部材510が装填されているカセットの部分が、カセットが遠位方向に移動するときに部分517に対して係合することができ、その結果、外側部材520の長手方向位置が固定されたままであるともう一度仮定すれば、内側部材510は、外側部材520の中へ前進する。
【0073】
外側部材520が装填されているカセットの部分が、カセットが近位方向に移動するときに部分526に対して係合することができ、その結果、内側部材510の近位方向への移動をもたらす一方、当該カセットの部分が、カセットが遠位方向に移動するときに部分527に対して係合することができ、その結果、外側部材520の遠位方向への移動をもたらす。これら直線動作のいずれを使用しても、内側部材510と外側部材520との間の相対的な長手方向の関係を変化させることができる。
【0074】
一実施例において、内側部材510に装着されたガイドワイヤトルカー(ピンバイス)又はコレットが、内側部材510の直線動作及び/又は回転動作を容易にするため、直線的及び/又は回転的作動可能要素に使用される。一実施例において、その直線的及び/又は回転的作動可能要素は、内側部材510に装着された当該ガイドワイヤトルカー(ピンバイス)又はコレットに連結される。
【0075】
実施例は、回転動作及び直線動作を提供する部分を含む1つの作動可能要素に限定されない。また、実施例は、内側部材510及び外側部材520の両方の回転動作及び直線動作にも限定されない。例えば、内側部材510及び外側部材520のそれぞれは、自身の回転を引き起こすためにロボット駆動可能な1つ以上の作動可能要素に連結されるか、連結されるそのような作動可能要素が無く、また、自身の直線動作を引き起こすためにロボット駆動可能な1つ以上の作動可能要素に結合されるか、連結されるそのような作動可能要素が無い。以下に例示するように、回転的及び/又は直線的作動可能要素は、内側部材510及び/又は外側部材520のいずれか適切な箇所に連結することができる。
【0076】
一実施例に係る図6は、EMDのロボット作動の概略図である。外側部材520は、ロボット駆動装置24のカセット66a-66dに関して上述したように、ロボットカテーテルシステムのカセット620に装填される。既述したように、カセット620内の機構は駆動モジュールによって駆動される。当該機構の駆動が作動可能要素525を駆動して、内側部材510に対して外側部材520を回転させる。図6の実施例において、カセット620は、内側部材510に対して外側部材520を直線的に移動させるように直線的に移動できる。
【0077】
一実施例に係る図7は、EMDのロボット作動の概略図である。内側部材510は、カセット710の機構が作動可能要素515を駆動して外側部材520に対し内側部材510を回転させることができるように、ロボットカテーテルシステムのカセット710内に装填される。カセット710は、内側部材510を外側部材520に対して直線的に移動させるように直線的に移動することができる。
【0078】
一実施例に係る図8は、EMDのロボット作動の概略図である。外側部材520は、ロボットカテーテルシステムのカセット820内に装填され、カセット820の機構が駆動されると、外側部材520を内側部材510に対して回転させるように作動可能要素525を駆動する。図8の実施例において、カセット810は、直線的に移動して内側部材510を外側部材520に対し直線的に移動させることができる。
【0079】
図9に示す内側部材510は、カセット910の機構が外側部材520に対して内側部材510を回転させるべく作動可能要素515を駆動することができるように、ロボットカテーテルシステムのカセット910内に装填される。カセット920は、内側部材510に対して外側部材520を直線的に移動させるように直線的に移動することができる。
【0080】
図10は、カセット1010内に装填された内側部材510及びカセット1020内に装填された外側部材520を説明する。カセット1010及びカセット1020の各々は、図5に関して上述したように、それぞれの作動可能要素515,525を駆動する機構を含む。カセット1010及びカセット1020の各々は、近位方向及び遠位方向に直線的に動作し、内側部材510及び外側部材520を互いに対し相対的に動かすことができる。ここに説明するような直線動作は、図5に関して上述したように、内側部材510又は外側部材520のそれぞれに連結された直線的作動可能要素の対応する部分と係合するカセットの部分によってなされる。一実施例において、カセットの当該部分は、カセットが直線的に移動するときに、カセットに対し固定の内側部材510又は外側部材520を保持する部分を備える。
【0081】
上述したように、EMDの内側部材及び外側部材の相対的な直線動作及び/又は回転動作は、部材の遠位部分で所望の作用を引き起こすことができる。一実施例は、1つの操作者コマンドを受信して所望のアクション(例えば、ある程度の量だけ先端を屈曲させる、血栓回収器を膨張させる)を実行するように作動し、これに応答して、内側部材及び外側部材をそれぞれが支持する2つのカセットの各々に付随したモータを制御し、内側部材及び外側部材を直線動作及び/又は回転動作させて、所望のアクションをもたらすように内側部材と外側部材との間に必要な相対的動作を引き起こす。
【0082】
図11は、ロボット駆動装置により可能とされる、互いに近づけて配置されたロボット駆動装置のカセット1110及びカセット1120を説明している。このような配置は、外側部材520から延びる内側部材510の近位部分の最小長さを決定する。この長さは、カセット1110内への内側部材の装填を許容するのに十分であるべきである。このような要件は、内側部材及び外側部材を含む市販の操縦可能なカテーテルに関して内側部材510の長さを増加させることを必要とする。
【0083】
一実施例に係る図12図13は、回転作動可能要素515,525が内側部材510及び外側部材520に連結される位置について異なる例を説明している。上述のように、無し又は1つ以上の作動可能要素は、内側部材510及び/又は外側部材520のいずれの箇所にも連結可能である。作動可能要素は、カセット1210,1220,1310,1320の対応する駆動要素と係合しやすいように、連結されている。
【0084】
内腔をもつ内側部材122に連結された作動可能要素組立体158の一実施例を示す、図14は斜視図、図15は分解図である。作動可能要素組立体158の歯車160がカセットの駆動部材58と係合し、組立体158を内側部材122に回転可能に連結する。この構成は、回転要素40の雄型ルアー41と液密回転シールを形成し、止血弁176から内側部材122の内腔への連続的な流体経路を作り出す。内側部材122が内腔を含まない場合、止血弁176及びルアーコネクタを省略してもよい。
【0085】
作動可能要素組立体150の歯車160は、駆動歯車58によって駆動され、内側部材122に回転を付与する一方で、止血弁176の胴体は回転動作から分離し、内側部材122が回転したときに止血弁176の第2の脚178の位置が回らないようにする。ブラケット190は、溝182と相互作用して、回転する組立体158を支持し、自身は、ベース32又は壁74のいずれかに固定される。止血弁176は、ベース32又は壁74のいずれかに自身は固定されているブラケット192によって、支持される。ブラケット190,192は、止血弁176の長手軸50に対する安定性を提供し、また、ブラケット190,192が配設されているカセットが直線的に移動する場合に、内側部材122の直線移動を生じさせる部分としても機能する。
【0086】
カテーテル式処置システムを制御する、又は、ここに説明するユーザインタフェースを表示する、コンピュータ実行可能プログラムコードは、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するためのいずれかの方法又は技術で実施される揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又はその他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク(DVD)、又はその他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又はその他の磁気記憶デバイス、あるいは、所定の命令を記憶するために使用可能であり且つインターネット又はその他のアクセス可能なコンピュータネットワークによる場合も含めてシステム10(図1に示す)によりアクセスすることができるその他のあらゆる媒体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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【国際調査報告】