(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】二酸化炭素及び材料からカーボンナノ物質繊維及び布地を作るための装置、システム及び方法並びにその材料及び製品
(51)【国際特許分類】
D01F 9/12 20060101AFI20240628BHJP
C25B 1/135 20210101ALI20240628BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240628BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20240628BHJP
F41H 1/02 20060101ALN20240628BHJP
B64G 6/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
D01F9/12
C25B1/135
C25B9/00 Z
C01B32/15
F41H1/02
B64G6/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571131
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022031116
(87)【国際公開番号】W WO2022251485
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523192048
【氏名又は名称】ダイレクト エア キャプチャー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,ガド
【テーマコード(参考)】
4G146
4K021
4L037
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4K021AA09
4L037CS01
4L037FA03
4L037FA14
(57)【要約】
本開示の実施形態は、カーボンナノ物質繊維製品及び/又は布地製品を作るプロセスに関する。そのような製品は、同様の製品と比較して新たな及び/又は向上した特性を有し得、本開示の実施形態によると作るのがより安価である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノ物質(CNM)繊維を調製する方法であって、
(a)CNM生成物及び電解質を含むカルバノゲル生成物を受け取るステップと、
(b)前記受け取られたカルバノゲルを容器に配置するステップと、
(c)前記カルバノゲルをCNM繊維に処理するステップと、
(d)前記CNM繊維を回収するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記CNM繊維からカーボンナノ物質(CNM)布地を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形成するステップは、織ること、編むこと、輪状にすること、かぎ針で編むこと、ひだ状にすること、編組すること、繊維束を開織すること又はこれらの任意の組合せを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CNM繊維は、同じCNM材料で作られた複数の同じ又は同様のCNM繊維、異なるCNM材料で作られた異なるCNM繊維、異なるCNM材料で作られた複数の前記同じ又は同様のCNM繊維、同じCNM材料で作られた異なるCNM繊維及びこれらの任意の組合せである複数のCNM繊維を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記形成するステップは、非CNM繊維を使用することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記カルバノゲル、前記CNM繊維又は両方を圧縮するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カルバノゲルの電解質含有量を低減させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
整列力を前記カルバノゲル生成物、前記CNM繊維又は両方に印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処理するステップを支援するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記支援するステップは、添加剤を加えること、前記CNMの形態を選択すること、前記CNMの新たな又は向上した特性を選択すること、前記添加剤を重合させること及びこれらの任意の組合せを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維処理するステップは、前記カルバノゲルを紡糸すること、引くこと又は両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記紡糸は、乾式紡糸、融解紡糸、押出紡糸、溶液紡糸、反応紡糸又はこれらの任意の組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
二酸化炭素(CO
2)の分割のための溶融電気分解プロセスによって前記カルバノゲル生成物を発生させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記カルバノゲル生成物を処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記処理するステップは、研削、細分化、押圧、微粉砕、フライス処理、破砕又はこれらの組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カルバノゲル生成物の電解質含有量を低減させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記低減させるステップは、押圧、反応、洗浄、濾過及びこれらの任意の組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カルバノゲル生成物を受け取る前記ステップ後に熱を加えるステップをさらに含み、前記熱は、約0℃~約1000℃、又は約15℃~約900℃、又は約399℃~約850℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
整列力をCNMの低密度集合体に印加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記整列力は、機械力、化学反応、電流、磁場を印加すること又はこれらの組合せによって引き起こされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記整列力は、前記CNM繊維における1つ又は複数の異方性の特徴的な特性を発生させるために、線形、放射状、円筒形、球状又は他の方向性のある形状を生じさせるための放射状形状、円筒形状、球形状又は他の形状のものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記整列力を印加する前記ステップは、牽引するステップ、引き出すステップ又は前記紡糸するステップ中に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記カルバノゲル、前記CNM繊維、前記CNM繊維から作られたCNM布地及びこれらの任意の組合せにおける空隙を部分的に又は実質的に完全に充填するための空隙充填剤を適用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記空隙充填剤は、強化剤、液体、触媒、ドーパント、磁気材料、薬剤、電磁力遮蔽増強剤又はこれらの組合せである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記強化剤は、熱硬化性プラスチック、熱可塑性物質、エポキシ、樹脂、他のポリマー、セメント質材料、金属又はこれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒は、化学反応若しくは電気化学反応を早めるか、CNM/ポリマー相互作用を促進するか、重合を促進するか又はこれらの組合せのための材料を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ドーパントは、ホウ素、窒素、硫黄及びリン、コバルト、アルミニウム、シリコン、セリウム、白金、金、ルテニウム、オスミウム、テルル、タングステン、それぞれの酸化物、それぞれの塩又はこれらの組合せを含み得る、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気材料は、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼、それぞれの炭化物、強磁性、常磁性、反磁性を備えた1つ若しくは複数の磁気材料を含む他の合金又はこれらの組合せである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記空隙充填剤は、電界紡糸プロセス、前記CNM繊維又は前記CNM布地のトライボロジー特性、前記CNM繊維又は前記CNM布地のフロー特性、重合反応を触媒すること、凝縮反応、前記CNM繊維又はその中の前記CNMを整列させること、前記CNM繊維又はその中の前記CNMを支持又は保護すること及びこれらの任意の組合せを容易にするか又は最適化する材料である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記空隙充填剤は、前記CNM繊維内で前記CNMを整列させ、前記CNM繊維を凝縮し、触媒作用として機能し、及びこれらの任意の組合せである、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記カルバノゲルは、前記CNM繊維の大多数の構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記カルバノゲルは、前記CNM繊維の少数の構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記形成された紡糸前の及び引き出された材料における空隙は、整列するか、凝縮するか、又は凝縮若しくは触媒作用によって他の方法で最終生成物の形態において変化することをCNMが支援する材料で部分的に又は完全に充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
CNM繊維をCNM布地に組み合わせるために、複数の繊維を織り合わせること、複数の繊維を編むこと、複数の繊維をかぎ針で編むこと、複数の繊維を接着させること、複数の繊維を織ること、複数の繊維を整列させること、複数の繊維を高密度に充填すること、複数の繊維を引き伸ばすこと、複数の繊維を絞ること、複数の繊維を平坦化すること、複数の繊維を広げること、前記投入繊維のスパンよりも広いスパンを備えた材料を生じさせるための別のアプローチ又はこれらの任意の組合せにより、前記CNM布地を調製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記CNM布地は、布地の後重合中、前記形成するステップ中のより容易な取り扱いを可能にするために、前記形成するステップ中に保持又は除去され得る液体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項36】
CNM繊維を作るためのシステムであって、
(a)カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO
2)を分割する電気分解プロセスを行うための装置であって、前記カルバノゲルは、カーボンナノ物質(CNM)と電解質とを含む、装置と、
(b)前記カルバノゲルを受け取るための容器と、
(c)繊維処理ユニットと
を含むシステム。
【請求項37】
布地形成ユニットをさらに含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
圧縮ユニットをさらに含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項39】
処理ユニットをさらに含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
電解質低減ユニットをさらに含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項41】
整列ユニットをさらに含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項42】
絶縁ユニットをさらに含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項43】
(a)カーボンナノ物質と、
(b)電解質と
を含むカーボンナノ物質(CNM)繊維。
【請求項44】
第1のCNMで作られた第1の層と、第2のCNMで作られた第2の層とをさらに含む、請求項43に記載のCNM繊維。
【請求項45】
前記第1の層は、前記第2の層の内部にある、請求項44に記載のCNM繊維。
【請求項46】
前記第1のCNMは、前記第2のCNMの最大の相対的な形態と異なる、より大きい相対的な量の望ましい形態を有し、前記第1及び第2のCNMの一方又は両方は、同じドーパント又は異なるドーパントでドープされ、前記第1及び第2のCNMの一方又は両方は、磁気を帯びており、及び両方が磁気を帯びている場合、それらは、同じ又は異なる磁気的特性を有し得、前記第1のCNMは、前記第2のCNMよりも相対的に強いか又は逆も同様であり、前記第1のCNMは、前記第2のCNMよりも相対的に可撓性であるか又は逆も同様であり、前記第1のCNMは、前記第2のCNMよりも大きい導電性を有するか又は逆も同様であり、前記第1のCBMは、前記第2のCNMよりも大きい熱伝導性を有するか又は逆も同様であり、前記第1のCBMは、前記第2のCNMよりも大きい断熱材特性を有するか又は逆も同様であり、並びにこれらの任意の組合せである、請求項45に記載のCNM繊維。
【請求項47】
活性化された形状記憶材料又は人工筋肉である、請求項43に記載のCNM繊維。
【請求項48】
前記活性化された形状記憶材料の形状記憶特性は、機械的に活性化され、熱的に活性化され、電気的に活性化され、磁気的に活性化され、化学的に活性化され、及びこれらの任意の組合せである、請求項47に記載のCNM繊維。
【請求項49】
ポリマーをさらに含む、請求項43に記載のCNM繊維。
【請求項50】
(a)CNMと、
(b)電解質と
を含むカーボンナノ物質(CNM)布地。
【請求項51】
前記CNM及び前記電解質の少なくとも1つの供給源としての複数のCNM繊維をさらに含む、請求項50に記載のCNM布地。
【請求項52】
複数の非CNM繊維をさらに含む、請求項51に記載のCNM布地。
【請求項53】
ポリマーをさらに含む、請求項50又は51に記載のCNM布地。
【請求項54】
向上した蓄電特性及び/又は向上した熱電特性を与える液体をさらに含む、請求項51に記載のCNM布地。
【請求項55】
織られたCNM繊維を含む、請求項51に記載のCNM布地。
【請求項56】
より容易に輸送可能であること、より容易に取り扱われること、改善された強度、伝導性、EMF遮蔽、形状制御、可撓性、より軽い重量、よりフィット性が高いこと、折り曲げ可能であること及びこれらの任意の組合せの利点を提供する、請求項50に記載のCNM布地。
【請求項57】
非CNM繊維から作られた同様の布地と比較して改善された伸縮特性を有する、請求項50に記載のCNM布地。
【請求項58】
非CNM繊維から作られた同様の布地と比較して改善された向上した熱的、機械的及び電気的特性を有する、請求項50に記載のCNM布地。
【請求項59】
非CNM繊維から作られた同様の布地と比較して改善された自己洗浄特性、疎化学性(水を含む)及び電気的特性を有する、請求項50に記載のCNM布地。
【請求項60】
前記CNM繊維は、超高強度特性、高導電性特性、高熱伝導性特性、高電池エネルギー貯蔵特性、燃料貯蔵容量特性、高キャパシタ電荷容量特性、電磁放射遮蔽特性、有効薬物送達特性、治療的特性、低減した摩擦特性、高表面積特性、弾力性特性、可撓性特性、キラル光吸収特性、キラル光放出特性、キラル触媒特性、触媒特性及びこれらの任意の組合せを含む、請求項43に記載のCNM繊維又は請求項50に記載のCNM布地。
【請求項61】
材料又は製品用途における、請求項43に記載のCNM繊維又は請求項50に記載のCNM布地の使用であって、前記材料又は製品を作るために必要とされる投入材料の量を低減させること、前記材料又は製品を強化すること、前記材料又は製品の導電性を高めること、向上した化学的耐久性、機械的耐久性、光耐久性、熱耐久性を通して前記材料又は製品の耐用期間を延ばすこと及びそれらにおける任意の組合せにより、環境持続可能性を高めるための使用。
【請求項62】
炭素隔離リザーバとして機能する材料又は製品用途を作るための、請求項43に記載のCNM繊維又は請求項50に記載のCNM布地の使用。
【請求項63】
材料又は製品用途における、請求項43に記載のCNM繊維又は請求項50に記載のCNM布地の使用であって、(i)高速、安全及び迅速な変更のための軽量ツーリング用途のための、(ii)穿孔、衝撃及び/又は鋸引きのための工具のための、(iii)向上した熱伝導性又は向上した断熱を備えた工具のための、(iv)超強力で折り曲げ可能な材料のための、(v)二酸化炭素の隔離のための、(vi)超軽量の超吸収スポンジのための、(vii)複合材料に含めるための予め形成された積層シートとしての、(viii)バリスティック又は電磁場(EMF)遮蔽のための、(ix)パラシュート又はドラッグエンハンサーのための、(x)布地を作るための編むことができる/縫うことができるポリマーのための、(xi)3次元製造又は印刷のための繊維又はフィラメントのための、及びこれらの任意の組合せのための使用。
【請求項64】
材料又は製品用途における、請求項43に記載のCNM繊維又は請求項50に記載のCNM布地の二重使用であって、(i)構造的目的のための強度特性及び電気エネルギー貯蔵特性のための、(ii)構造的目的構造のための強度特性及び熱エネルギー貯蔵特性のための、(iii)構造的目的のための強度特性のための及び電気導管又はワイヤとしての、(iv)構造的目的のための強度特性のための及び前記材料の性能を評価するためのリアルタイムのひずみ又は安全データを取集するためのセンサとしての、(v)構造的目的のための強度特性のための及び触媒としての、(vi)構造的目的のための強度特性のための及び熱導管としての、並びにこれらの任意の組合せのための二重使用。
【請求項65】
請求項50に記載のCNM布地の使用であって、限定されないが、建物、ボート及びロボットを含む膨張式構造を作るための使用。
【請求項66】
請求項50に記載のCNM布地の使用であって、前記布地は、濾過用途のために使用される、使用。
【請求項67】
請求項50に記載のCNM布地の使用であって、前記布地は、センサとして使用される、使用。
【請求項68】
請求項50に記載のCNM布地の使用であって、前記布地は、触媒プロセスのために使用される、使用。
【請求項69】
CNM布地を作る方法であって、
(a)カルバノゲルを受け取るステップと、
(b)ポリマー-CNM混合物を作るステップと、
(c)前記CNM布地を形成するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1] 本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/193,417号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
[2] 本開示は、電気分解プロセスを使用して製品を製造することに関する。特に、本開示は、電気分解プロセスを使用して分割される二酸化炭素からカーボンナノ物質繊維製品を作る方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[3] 繊維は、限定されないが、布地、ファブリック、クロス、ワイヤ及びメッシュにされることを含めて多くの用途を有する。繊維の特に有用な特性は、幅広い種類の形状及び修理のためにそれらが縫われ、束ね合わされ、及び/又は縫い合わされ得ることである。繊維及び布地の他の有用な特性は、それらが多孔質フィルタ又は支持体として機能し得ることである。追加的に、繊維及びそれらの布地生成物は、好都合には、可撓性である。繊維は、布地におけるようにストランドを整列させ、織り交ぜ、及び/又は高密度に充填することにより、それらの個別のストランドよりも強くなり得る。天然材料繊維は、一般に、乾式紡糸又は溶液紡糸法のいずれかによって製造される一方、合成繊維は、一般に、乾式紡糸、押出、融解紡糸(これは、押出紡糸とも呼ばれ得る)、溶液紡糸又は反応紡糸のいずれかによって製造される。
【0004】
[4] 繊維を作る方法の1つは、綿、ゲル及びウールなど、個別のストランドの低密度の3Dネットワークからなる材料からのものであり、次いでストランドを、それらを一緒に紡ぐ前に、整列させ、及び堅く締めるようにネットワークを引く(牽引するか又は引き出す)ことである。別の方法は、ストランドのシートを用いて、それらを、繊維を形成するように引くこと及び/又は紡糸することである。この場合、ウール又は同等の形態を備えた材料は、出発点となるプレ繊維材料よりも強い繊維を製造するために使用される材料である。
【0005】
[5] 炭素繊維は、様々な軽量な競技用及び車両本体において一層一般的になっており、それらの軽量及び極めて優れた強度で知られている。炭素繊維は、溶液紡糸又は炭素繊維を紡糸前に整列させ、及び強化するために電界がかけられる電気紡糸誘導体によって製造されることが多い。一般に、ポリマーPANなどの液体炭素化合物が使用され得る。ポリマーは、次いで、炭化され、熱硬化プラスチック及び/又は熱可塑性物質を使用して形成され得る。
【0006】
[6] 炭素繊維の特性より優れた特性を備えた繊維を製造するために、様々なアプローチが検討されてきた。それらの優れた物理的及び化学的特徴に起因して、カーボンナノ物質(CNM)が検討されてきた。例えば、カーボンナノチューブ(CNT)は、全ての材料の中で最も高い引張強度を有する。CNMから作られた繊維は、強く、伝導性の布地及びケーブルのための大きい潜在的可能性を有する。CNM繊維を調製するための現在の方法溶液紡糸又は湿式紡糸、電界紡糸(紡糸前に、紡糸口金を出る材料射出に役立つように整列用電界を溶液に適用する)、繊維へのCNMの追加及び化学蒸着(CVD)プロセスからの直接紡糸である。しかしながら、これらの方法は、極めて高いコスト、CNMの不十分な分散、製造の高いカーボンフットプリント及びCNMの優れた特性をCNM繊維に与えることの困難さという課題を抱えている。
【0007】
[7] したがって、高いコスト、不十分な分散、関連する高いカーボンフットプリント及び優れた特性をCNM繊維に与える困難さという課題に対処する、CNM繊維の製造並びにそれから作られた材料及び製品のための新たなアプローチが望まれている。
【発明の概要】
【0008】
[8] 本開示の実施形態は、非CNM繊維から又は繊維なしで作られた材料又は製品と比較して新たな又は向上した特性を有する材料又は製品を作るために使用され得るカーボンナノ物質(CNM)繊維及びそれから作られた布地に関する。
【0009】
[9] 本開示のいくつかの実施形態は、繊維を含むカーボンナノ物質(CNM)を調製する方法に関し、方法は、CNMと電解質とを含むカルバノゲルを受け取るステップと、カルバノゲルをCNMに繊維処理するステップとを含む。本開示のいくつかの実施形態において、方法は、CNM繊維から布地を形成するステップをさらに含み得る。
【0010】
[10] 本開示のいくつかの実施形態は、CNM繊維を作るためのシステムに関し、システムは、カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO2)を分割する電気分解プロセスを行うための装置であって、カルバノゲルは、カーボンナノ物質(CNM)と電解質とを含む、装置と、カルバノゲルを受け取るための容器と、繊維処理ユニットとを含む。本開示のいくつかの実施形態において、システムは、布地をCNM繊維から形成するための布地形成ユニットをさらに含み得る。
【0011】
[11] 本開示の他の実施形態は、CNMと電解質とを含むCNM繊維に関する。本開示の他の実施形態は、本明細書で説明された方法によって調製されたCNM繊維から作られた布地、ファブリック及びクロスにも関する。
【0012】
[12] 本開示の他の実施形態は、CNMと電解質とを含むCNM布地に関する。CNM布地は、CNM繊維あり又はなしで作られる。本開示のいくつかの実施形態は、カルバノゲルを受け取るステップと、ポリマー-CNM混合物を作るステップと、CNM布地を形成するステップとを含む、CNM布地を作る方法に関する。
【0013】
[13] いずれの特定の理論にも拘束されることなく、従来のCNM繊維処理において、CNMの導入は、繊維製造プロセスの様々な段階で行われ得る。例えば、CNMは、典型的には、個別の、分離された及び別々のCNM又は個別に縛られたCNMとして、乾式、溶融、溶液又は反応紡糸繊維プロセスのいずれかで繊維に導入される。対照的に、本開示の実施形態は、CNMが3Dネットワーク内の所与の位置に比較的固定され得る、CNMの分散された低密度の立体(3D)ネットワーク及び電解質含有量を備えたカルバノゲル(カルバノゲルバッキーペーパーに圧縮されるかどうかに関わりなく)を、CNM布地に処理され得るCNM繊維に導入することに関する。代替的に、カルバノゲルは、CNM繊維なしのCNM布地に処理され得る。類似した低密度3Dネットワークからなる綿が後に繊維に変換されるプロセスに類似している。カルバノゲルは、繊維形成プロセス後、乾式紡糸、融解紡糸、溶液紡糸、湿式紡糸 - カルバノゲル又はバッキーペーパーが紡糸されている間に繊維となる液体を含む点で溶液紡糸と区別される - 反応紡糸繊維プロセス又はこれらの任意の組合せのいずれかに入る繊維の大多数又は少数の構成要素からなり得る。
【0014】
[14] 本開示のいくつかの実施形態は、従来のCNM繊維製造プロセスよりも安価であり、繊維におけるCNMの整列を容易にし、CO2から製造される(これは、気候変動を緩和するのに役立ち得る)、CNM繊維又はCNMを含む繊維を調製する/製造する/作る方法に関する。3DCNM集合体/ネットワークは、綿で見られるものと類似しており、綿の場合と同様に、牽引すること又は引き出すことは、出発点となるプレ繊維材料より強い繊維の製造を可能にするように容易に整列される。さらなる実施形態は、カルバノゲルバッキーペーパーのシートを使用して、及びCNM繊維を形成するためにシートを引く及び/又は回転させる、CNM繊維を作る方法に関する。
【0015】
[15] カルバノゲル及びカルバノゲルバッキーペーパーの両方は、特定の及びCO2の溶融電気分解分割の結果であるプロセスによって作られる。
【0016】
[16] カルバノゲルは、CO2の溶融電気分解分割中にカソードで成長するCNMの絡まった生成物を含む。電気分解状態に依存して、新たな又は向上した特性を備えた幅広い種類のナノカーボン形態がCNM生成物として成長され得る。CNMの1つの幅広い分類は、グラフェンのより多くの層のうちの1つを含む黒鉛CNMである。
【0017】
[17] 興味深いことに、カルバノゲルは、弾力があり、圧力が取り除かれるとその元の状態に戻り、排出された液体へのアクセスに依存して、液体のほとんどを再び吸収するか又はほとんど空きスペースとなることを可能にする。この弾力性は、引き出されることになる牽引中のCNMのための経路を提供し、及びCNMの整列を容易にすることにより、繊維の紡糸プロセス調製において有用であり得る。
【0018】
[18] CNM及びバッキーペーパーの高い製造コストは、主に、CNM繊維及び布地の高いコスト並びに高いカーボンフットプリントを引き起こす高い反応物質及びエネルギーコストが原因であることが知られている。いずれの特定の理論にも拘束されることなく、これらの製造コストは、本開示の実施形態によると、溶融電気分解プロセスによってCO2から生産される場合、2桁低下させることができ、生じたCNMは、CNM繊維を作るために使用され得る。さらに及びいずれの特定の理論にも拘束されることなく、本開示の実施形態によって生じたカルバノゲル及びバッキーペーパーは、CNMの固定及び分散された位置を提供し得る格子状構造を提供するカルバノゲルにより、CNMの均一な分散の確立という課題を克服することにも関連し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[19] 本開示のこれらの及び他の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明でより明らかになる。
【0020】
【
図1】[20]本開示の実施形態における使用のための、カルバノゲル生成物を作るための装置の概略図である。
【
図2】[21]カーボンナノ物質(CNM)繊維と、CNM繊維を含む布地とを作るための、本開示の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図3】[22]本開示の実施形態による、CNM繊維を作る方法のステップを表す概略図である。
【
図4】[23]本開示の実施形態による、
図3の方法のさらなる任意選択的なステップを表す概略図である。
【
図5】[24]本開示の実施形態による、CNM繊維を作るための別の方法を表す概略図である。
【
図6】[25]本開示の方法のさらなるステップを示す概略図である。
【
図7A】[26]本開示の実施形態によって作られたガルバのゲルの走査型電子顕微鏡画像の写真を示し、倍率730倍の画像を示す。
【
図7B】[26]本開示の実施形態によって作られたガルバのゲルの走査型電子顕微鏡画像の写真を示し、倍率8600倍の画像を示す。
【
図8】[27]本開示の実施形態によって作られたカルバノゲルバッキーペーパーの写真である。
【
図9】[28]本開示の実施形態によって作られたさらなるカルバノゲルバッキーペーパーの写真である。
【
図10】[29]本開示の実施形態の特性を示す2つのパネルを有し、上パネルは、カルバノゲルあり又はなしで作られたエポキシ樹脂物品の写真を示し、下パネルは、カルバノゲルのパーセント重量追加に対して増加した引張強度を示す棒グラフである。
【
図11A】[30]本開示の実施形態によるさらなる方法を示し、ポリマー混合物及びCNM繊維混合物を用いる方法を示す。
【
図11B】[30]本開示の実施形態によるさらなる方法を示し、ポリマー及びCNM繊維を用いるさらなる方法を示す。
【
図11C】[30]本開示の実施形態によるさらなる方法を示し、CNM繊維なしでCNM布地を作るさらなる方法を示す。
【
図12】[31]本開示による、CNM繊維及びポリマー混合物又はポリマーを使用して作られた製品を示す一連の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[32] 2009年以降、CO2の炭素へのエネルギー効率的な変換及び溶融炭酸塩電気分解による酸化が知られている。続いて、CO2の様々な黒鉛状カーボンナノ物質(CNM)への化学的変換が実証された。これらの黒鉛状CNMは、長期間の安定性と、これらの材料が有用な特性、例えば超高強度、高導電性、高熱伝導性、高蓄電池容量、電磁放射線遮蔽、有効な薬物送達及び様々な医療特性並びに有用な触媒特性を有することとに起因として価値がある。
【0022】
[33] CO2→Cナノ物質+O2 (式1)
【0023】
[34] 式1は、溶融電気分解プロセスを示し、カーボンナノ物質は、成長し、電解質と混合された絡まったCNMの混合物としてカソードの上に残る。この混合物は、カルバノゲルと呼ばれており、電解質の少なくとも95%は、このカルバノゲルから高温プレス濾過又は他の方法によって押し出され得る。単数及び複数形で使用される「カルバノゲル」及び「カルバノゲル生成物」という用語は、CNM含有量と電解質含有量とを含む材料を指し、電解質含有量は、- CNM含有量の寄与に対して - 総カルバノゲル含有量に対して相対的に大きい、相対的に小さい、残存する量の、微量の又はごく少量の電解質に寄与し得る。任意選択的に、カルバノゲルは、圧縮されたカルバノゲルからなるカルバノゲルバッキーペーパー(CB)に変換され得る。本開示のいくつかの実施形態によると、カルバノゲルは、ポリマー-CNMシートに処理され得るポリマー-CNM混合物を形成するためにポリマーに埋め込まれ得る(又はエポキシドなどのポリマーと共押出される)。カルバノゲル、CB、ポリマー-CNMシート又はこれらの任意の組合せは、CNM繊維を発生させるための繊維処理の適切なステップに導入され得る。本開示の別の態様において、CB又はポリマー-CNMシートは、繊維に処理されることなく、CNM布地として直接使用され得る。
【0024】
[35] CNM構成要素内で生じ得る、グラフェンのsp2結合炭素構成要素及び単層又は多層グラフェンの包含は、カルバノゲル中のCNMに対して、向上した特性、例えば、限定されないが、これらのCNMの増強された強度及び伝導性を提供し得る。追加的に、CNMの特定の形態の相対的な量は、追加的な特性をカルバノゲル及びそれから作られた製品に与え得る。そのような形態の例は、限定されないが、球状ナノカーボン、中実及び中空ナノオニオン、円筒形同素体のナノカーボン、平面同素体、らせん状同素体、カーボンナノチューブ(CNT)、ナノファイバー、グラフェン、ナノプレートレット、ナノスキャフォールド、ナノツリー、ナノベルト、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノツリー、ナノロッド、表面修飾若しくは金属被覆CNM、図形的特徴若しくは特性のない非晶質ナノカーボン又はこれらの任意の組合せを含む。そのような追加的な特性の例は、限定されないが、カルバノゲル中のCNMの低減した摩擦、弾力性、熱伝導、難燃性、対掌性、向上した表面積又はこれらの任意の組合せを含む。これらの特性は、限定されないが、改善された繊維、ワイヤ、ケーブル、布地、潤滑油、可撓性材料、キラル光吸収、キラル光放射、キラル触媒、改善された電気化学的電荷蓄積、向上した触媒活性、耐火性又は向上したEMF遮蔽能力を含む特定の用途のために有用である。カルバノゲル中のCNMは、ドーピング、磁性、まれな形状及び小型化又は拡大されたサイズを含む追加的な特徴も含み得る。いかなる理論にも制約されることなく、CNTは、単壁CNT、多壁CNT、ドープCNT、例えばホウ素、硫黄、リン若しくは窒素ドープCNT、磁気CNT、竹型CNT、パール状CNT、同位体特異的CNT、例えば12C及び13CCNT、表面修飾若しくは金属被覆CNT、単一若しくは二重編組CNTを含むらせん状CNT、渦巻き状らせん状CNT、薄い、厚い若しくは中実壁のCNT、細径及び太径CNT、短い若しくはウール(長い)CNT又はこれらの任意の組合せを含み得る。
【0025】
[36] 本開示の実施形態によると、炭素含有ガスは、そのガス中の炭素から、カーボンナノ物質(CNM)生成物を含むカルバノゲルを発生させるための、本明細書で電気合成プロセスとも呼ばれる電気分解プロセスを受け得る。「カルバノゲル」という用語は、本明細書では、電気分解プロセスの生成物であり、電気分解プロセス中又は後にカソードに局在するCNM及び電解質の混合物を指すために使用される。「カーボンナノ物質生成物」、「CNM生成物」及び「CNM物質」という用語は、本明細書では、1つ又は複数の形態の、ナノスケールカーボンとも呼ばれ得るナノカーボンの集合体を指すために使用される。「ナノカーボン」という用語は、本明細書では、ナノスケールで特定の構造、例えば黒鉛ナノカーボン構造に配置された炭素を指すために称される。特に、炭素含有ガスからの炭素は、溶融電解質媒体及び様々な電気分解プロセス構成を使用して炭素及び酸素に分割され得る。電気分解プロセスは、気相から溶融電解質媒体、固体CNM生成物又は両方への炭素の物質移動を引き起こし得る。CNM生成物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含む実質的に純粋な、純粋な又は不純なカーボンナノ物質(CNM)であり得る。CNM生成物は、本明細書において上記で説明された通りのCNM構造の1つ若しくは複数の形態又はこれらの任意の組合せを含み得る。任意選択的に、電気分解プロセスの1つ又は複数のパラメータは、CNM生成物中の所与の形態の相対的な量を変えるために調整され得る。
【0026】
[37]
図1に示される通り、電気分解プロセスは、カソード18を収容するための、電気分解チャンバ又は電気分解セルとも呼ばれ得るケース12を含む装置10内で行われ得、アノード16は、ケース12の壁の内面の少なくとも一部を形成し得る。合わせて、2つの電極は、それらの間に電気分解空間を画定する。当業者によって認められる通り、任意選択的に、アノード16は、ケース12の壁とは別個であり得る。ケース12は、電解質媒体21を収容するように構成される。電解質の上面21Aを含む電気分解空間Bは、炭素含有ガス源(
図1でDとして示される)と流体連通し得る。本開示のいくつかの実施形態では、ケース12は、断熱材料で作られた絶縁されたハウジング20内に含まれ得る。絶縁されたハウジング20は、断熱材料で作られた又は作られていない頂部22又は側部若しくは底部(図示せず)も含み得、断熱材は、CO
2透過性断熱材、例えば高温織セラミックス又はほぼCO
2不浸透性の断熱材に由来し得る。透過性断熱材の例は、限定されないが、アルミナ及びシリカの酸化物から作られ、ジルコニアを含み得るMorgan Cerablanket(登録商標)、アルカリ土類ケイ酸塩から作られたMorgan Superwool(登録商標)を含み、両方とも1,200℃を上回る温度に対応する。ほぼCO
2不浸透性の断熱材の例は、幅広い範囲の利用可能な商業的耐火煉瓦又は現場打ち耐火セメント及びモルタルを含み、その例は、限定されないが、1,090℃を上回る温度に対応するBNZ Materials耐火煉瓦及び耐火セメント及びモルタル、例えばPA20及び23並びにBNZ2000、2300、23A、2600、26~60、2800、3000及び3200を含む。
【0027】
[38] 炭素含有ガス源は、限定されないが、セメント製造プラント、鉄精製プラント、鋼製造プラント、アンモニア、エタノール、マグネシウム、水素、ポリマー、プラスチック、ガラスの1つ又は複数を作るか又は使用するプラント、廃水処理プラント、食品加工プラントを含む様々な工業用プラントであり得る。炭素含有ガス源は、内燃機関及び加熱又は調理のための炭素質材料の燃焼を含む化学反応器でもあり得る。発電プラントからの排出ガス、蒸気発生設備又は熱分解反応器も炭素含有ガス源であり得る。これらの供給源から又は任意の高カーボンフットプリント物質の製造で排出される炭素含有ガスも、CNM生成物を作るための炭素源に寄与し得るか又はそれを構成し得る。さらに、加熱、輸送のための化石燃料の燃焼又は変換のガス生成物及び炭素生成物、例えばポリマー及びプラスチックも、CNM生成物を作るための炭素源に寄与し得るか又はそれを構成し得る。炭素含有ガスの別の実質的な供給源は、空気中に存在する温室効果ガス、二酸化炭素及び/又はメタンである。いずれの特定の理論にも拘束されることなく、人間が原因の又は天然の供給源からの炭素含有ガスから黒鉛CNMへの変換は、気候変動及び地球温暖化を緩和するためにGHGを炭素サイクルから隔離し得る黒鉛ベースの構造(黒鉛は、何億年も前のものである天然の地質堆積物に見出される耐用期間を有する)の高い安定性及び寿命に起因して特に重要である。
【0028】
[39] 本開示のいくつかの実施形態では、アノード16は、平面構造、ワイヤ構造、スクリーン、多孔質構造、導電性プレート、平坦な又は折り畳まれたシム、コイル状構造として形成されるか、又はアノードは、ケース12の内側壁の少なくとも一部を形成し得る。アノード16は、アノード16が酸素発生であっても又はなくてもよいように、様々な導電性材料で形成され得る。このようなアノード形成材料は、限定されないが、安定した層を有するか又は確立する、本開示の実施形態によって実施される電気分解反応中に酸素製造を促す高度に安定的な酸化物外層を確立する任意の導電性材料、Ni、Ni合金、亜鉛めっきされた(亜鉛コーティング)鋼、チタン、黒鉛、鉄及び酸素製造を促す高度に安定的な酸化物外層を確立する幅広い種類の金属を含む。アノード16を形成するための好適な材料のさらなる例は、合金構成要素の共核生成が高品質CNTを製造することが知られているため、ニッケル合金36(クロムなしであるが、鉄を有するニッケル)、ステンレス鋼、例えばSS304又はSS316を含むニクロム(ニッケルクロム基合金)並びにインコネル合金、例えばインコネル600、625及び718、合金C-264又はニクロム、例えばクロメルA、B又はを含む。限定されないが、Ni、Cr、Sn、In、Fe及びMoを含む2成分系及び3成分系遷移金属核生成剤も有用であり得、同様にCNM生成物の成長に影響を及ぼし得る。
【0029】
[40] 本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属がアノード16に追加され得、これは、電解質媒体21を通してカソード18に移動するようにアノード16から溶解され得る。追加された遷移金属は、成核剤として機能し得、これは、ニッケル、鉄、コバルト、銅、チタン、クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、ルテニウム、亜鉛、アンチモン、バナジウムタングステン、インジウム、ガリウム又は非遷移金属、例えばゲルマニウム若しくはシリコン又は限定されないが、真鍮、モネル及びニッケル合金を含むその混合物から選択され得る。遷移金属は、カソード18上に移動するように電解質媒体21内に溶解された遷移金属塩としても直接導入され得る。遷移金属成核剤をカソード18上に直接追加することも可能である。
【0030】
[41] 本開示のいくつかの実施形態では、カソード18は、平面構造、ワイヤ構造、スクリーン、多孔質構造、導電性プレート、平坦な又は折り畳まれたシム、シート、コイル状構造として形成されるか、又はカソードは、ケース12の内側壁の少なくとも一部を形成し得る。カソード18は、核生成ポイント及びカソード18に形成するCNM生成物のバリエーションの必要性を反映する様々な導電性材料で形成され得る。そのようなカソード形成材料は、限定されないが、任意の導電性材料、亜鉛めっきされた(亜鉛コーティング)鋼、チタン、黒鉛、鉄、銅及び亜鉛を含む合金、モネル(Ni400、Ni/Cu合金)、インコネル、ステンレス鋼、鉄、ニクロム、純粋Cuを含み、真鍮合金もカソード18を作るための材料として好適であり得る。
【0031】
[42] アノード16及びカソード18は、ケース12、例えばステンレス鋼ケース又は実質的に純粋な若しくは純粋なアルミナで作られたケース内で互いに実質的に平行に整列され得る。ケース12は、溶融電解質媒体21を含み、及び装置10Aによって達成される温度を維持するのに好適な任意の材料で作られ得る。電極は、限定されないが、実質的に水平又は実質的に垂直を含む任意の向きに方向付けられ得るが、それらの間に電気分解空間Bを画定するように互いから間隔を空けて配される。本開示のいくつかの実施形態では、電気分解空間Bは、約0.1cm~約10cmである。本開示のいくつかの実施形態では、電気分解空間Bは、約1cmである。当業者によって認められる通り、電気分解空間Bの寸法は、装置10の規模、例えば各電極のサイズ、ケース内に画定されたプレナム、印加された電流の量及びこれらの組合せによって決まる。
【0032】
[43] アノード16及びカソード18は、約0.001A/cm2~10A/cm2の電流密度を提供する、一定であるか又はないかのいずれかの交流又は直流の任意の電源であり得る電流源(図示せず)に動作可能に接続される。本開示のいくつかの実施形態では、電極間に提供される電流密度は、少なくとも0.02A/cm2、0.05A/cm2、0.1A/cm2、0.2A/cm2、0.3A/cm2、0.4A/cm2、0.5A/cm2、0.6A/cm2、0.7A/cm2、0.8A/cm2、0.9A/cm2、1.0A/cm2又はそれを上回る。電流源のための電力は、電源、ソーラー電源などを含む任意の電源又は電源の組合せであり得る。
【0033】
[44] 熱源(図示せず)は、ケース12内の温度を、電解質媒体21を溶融相に移行させる温度まで上昇させる任意の熱源であり得る。例えば、熱源は、約500℃~約850℃又はそれを上回るケース12内の温度を達成し得る。本開示のいくつかの実施形態では、加熱は、約700℃~約800℃、約720℃~約790℃又は約750℃~約780℃の温度を達成する。本開示のいくつかの実施形態では、加熱は、749~750℃、751~752℃、753~754℃、755~756℃、757~758℃、759~760℃、761~762℃、763~764℃、765~766℃、767~768℃、769~770℃、771~772℃、773~774℃、775~776℃、777~778℃又は779~780℃の温度を達成する。本開示のいくつかの実施形態では、ケース12内の温度は、約800℃以上に上昇され得る。本開示のいくつかの実施形態では、熱源は、CO2吸収及び炭酸塩への変換(気相から固相CNM生成物への物質移動)の発熱反応又は印加された電気分解電流の過電圧によって提供又は補完される。
【0034】
[45] 本開示のいくつかの実施形態では、電解質媒体は、溶融相に移行するまで熱源によって加熱され得る炭酸塩を含み得る。例えば、炭酸塩は、リチウム炭酸塩又はリチウム化炭酸塩であり得る。723℃の融点を有するリチウム炭酸塩(Li2CO3)などの溶融炭酸塩又は620℃の融点を有するLiBaCaCO3などの融点がより低い炭酸塩は、酸化物を含む場合、溶融時に生じるか又は電気分解の結果である自然発生的な酸化物の形成を含むか、又は高溶解性酸化物、例えばLi2O、Na2O及びBaOと混合されたとき、溶融電解質媒体より上の空間からのCO2の迅速な吸収を維持する。好適な炭酸塩は、アルカリ炭酸塩及びアルカリ土類炭酸塩を含み得る。アルカリ炭酸塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム若しくはフランシウム炭酸塩又はその混合物を含み得る。アルカリ土類炭酸塩は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム若しくはラジウム炭酸塩又はその混合物を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、電解質は、混合された組成物、例えばアルカリ炭酸塩及びアルカリ土類炭酸塩並びに酸化物、ホウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化化合物、塩素酸塩又はリン酸塩の1つ又は複数の混合物であり得る。
【0035】
[46] 本開示の実施形態によると、カルバノゲルは、CO2の溶融炭酸塩電気分解分割によって形成される。カルバノゲルは、電気分解プロセスが止まった後に残るCNMネットワーク及び電解質の混合物を含む。興味深いことに、破砕後にカルバノゲルがCNMネットワークを維持し得るだけでなく、破砕された片は、バッキーペーパーを形成するために再び組み立てられ得る。電解質の一部、ほとんど、実質的に全て又は全ては、電解質を押圧するか、反応させるか又は洗い流すことによってバッキーペーパーから除去され得る。電解質あり又はなしで、破砕された片を押圧することは、CB(カルバノゲルバッキーペーパー)と呼ばれ得る切れ目のない層をもたらし得る。電解質の一部又は全ての除去後、CBは、高純度炭素から構成されるCNMからなる。電解質の一部又は全ての除去後、CBは、内部空隙を画定する。例えば、カルバノゲル又はCBは、CB中の空隙スペース、CB中のCNM表面上、CNM内(CNMの内部)又はこれらの組合せを画定し得る。本開示の目的上、「空隙」という用語は、電解質も他の物質も実質的にない、CB中の2次元又は3次元空間を意味する。したがって、CNM繊維及びCNM布地(CNM繊維あり又はなしで作られた)は、空隙を画定する。
【0036】
[47] 本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲル又はCB中に画定された空隙は、空隙充填剤、例えば用途に基づく材料で部分的に、実質的に又は完全に充填され得る。好適な空隙充填剤の例は、限定されないが、強化剤、触媒、ドーパント、薬剤又は電磁場(EMF)遮蔽剤を含む。強化剤は、限定されないが、熱硬化性プラスチック、熱可塑性物質、エポキシ、樹脂及び他のポリマー、セメント質材料及び金属を含み得る。触媒は、限定されないが、化学又は電気化学反応を早めるための材料を含み得る。ドーパントは、限定されないが、空隙内において少量でカルバノゲル又はCBの物理的化学的特性に実質的に影響を及ぼす材料を含み得る。CNM構成要素のカルバノゲル又はCBは、限定されないが、強度、電気及び熱特性を含むカルバノゲル又はCB特性をさらに高めるために、カルバノゲル又はCB形成中に機械的、電気的又は磁気的に整列され得る。電気的及び/又は磁気的整列は、カルバノゲル又はCB調製ステージ中に配向電場及び/又は磁場を印加することで達成される。磁気を帯びているCNMは、限定されないが、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼又はそれらの炭化物及び強磁性、常磁性、反磁性を備えた1つ又は複数の磁気材料を含む他の合金並びにこれらの任意の組合せの1つ又は複数などの磁気材料を包含することによって調製される。磁気を帯びているCNM繊維の磁気的特性は、可撓性磁石、磁気蓄積及び電磁遮蔽を含む。
【0037】
[48] CNMの高い製造費は、主として高い反応剤及びエネルギー費用を原因とすることが既知である。いずれの特定の理論によっても制限されることなく、本開示の実施形態による溶融電気分解プロセスを使用してCO2から製造されると、これらの製造費は、2桁低減され得る。
【0038】
[49] いずれの特定の理論にも拘束されることなく、本発明者らは、カルバノゲル粒子における融合した残余電解質が、- 組み合わされた後に - 超音波処理又は他のより厳密な混合処理を必要とすることなく、相対的に分散された方法において、処理されたカルバノゲル粒子のCNM繊維又はCNM布地への組み込みをもたらすCNMの均一な分散のための駆動力を提供し得ることを理論化した。CO2を分割するための電気分解プロセス中に調製されたカルバノゲルは、CNMと電解質との両方を含み、この組み合わされた存在は、効果的に「予め分散された」CNMの格子マトリックスである固定構造を提供し得る。本明細書で使用される場合、単数及び複数形で使用される「布地」という用語は、複数の繊維を織り合わせること、複数の繊維を編むこと、複数の繊維をかぎ針で編むこと、複数の繊維を接着させること、複数の繊維を織ること、複数の繊維を整列させること、複数の繊維を高密度に充填すること、複数の繊維を引き伸ばすこと、複数の繊維を絞ること、複数の繊維を平坦化すること、複数の繊維を広げること、投入繊維のスパンよりも広いスパンを備えた布地材料を生じさせるための別のアプローチ又はこれらの任意の組合せによって生じたクロス、シート、ファブリック、タープ又はヤーンを指す。本明細書で使用される場合、単数及び複数形で使用される「CNM布地」という用語は、CNMなしに作られた布地と比較して新たな又は向上した特性をCNM布地に与えるCNMを含む布地を指す。明確さのために、CNM布地は、CNM繊維又は非繊維質CNMのシートで作られ得る。
【0039】
[50] 本開示のいくつかの実施形態は、CNM繊維 - 製品又はCNM含有繊維とも呼ばれ得るCNM - 繊維222を作るためのシステム200に関する。
図2の非限定的な例に示される通り、システム200は、カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO
2)を分解する電気分解プロセスを行うための装置210と、容器212と、繊維処理ユニット221とを含む。以下で説明される様々な任意選択的な構成要素を含むシステム200は、本明細書において以下で説明される通り、本開示の方法を実施するために使用され得る。
【0040】
[51] 本開示のいくつかの実施形態では、装置210は、本明細書において上記で説明された装置10と同じ又は同様であり得る。装置210は、溶融電解質中で炭素含有ガスを分割する電気分解プロセスを行うように構成される。その分割の生成物は、バルク又は残余電解質がその中にあるCNM生成物、すなわちカルバノゲル生成物とも呼ばれ得るカルバノゲルである。
【0041】
[52] カルバノゲルを、低温製品又は高温製品としてのものに関わらず、(
図2における線Xによって示される通り)受け取る容器212である。容器212は、容器212が、その中に受け入れられたカルバノゲルの温度に耐えるのに十分に堅牢である限り、様々な材料で作られ得、任意の形状及び寸法であり得る。
【0042】
[53] 繊維処理ユニット221は、容器212に受け入れられたカルバノゲルをCNM繊維に処理する。本開示のいくつかの実施形態において、繊維処理ユニット221は、カルバノゲル222をCNM繊維に紡糸し、及び/又は引く様々な好適な構成要素、機構又は機械であり得る。例えば、繊維処理ユニット221は、乾式紡糸ユニット、融解紡糸ユニット、押出紡糸ユニット、溶液紡糸ユニット、反応紡糸ユニット又はこれらの任意の組合せを含み得る。本開示のいくつかの実施形態において、CNM繊維は、1つ又は複数のCNM布地に形成される。
【0043】
[54] 本開示のいくつかの実施形態において、システム220は、カルバノゲルからカルバノゲルバッキーペーパー(CB)を作るために、容器212に受け入れられたカルバノゲルに圧縮力をかけるための圧縮ユニット214も含み得る。圧縮ユニット214は、圧縮力を容器212内のカルバノゲルに印加する様々な好適な構成要素、機構又は機械であり得る。圧縮力の大きさは、以下でさらに検討される通り、容器212が受け取ったカルバノゲル粒子のサイズ及びカルバノゲルがどの程度電解質を含むかに依存して変化し得る。本開示のいくつかの実施形態では、圧縮機構214は、カルバノゲル(
図2で線Yによって示される)を、フィルタを通して容器212内で又は容器212内に引き得る真空を含む。
【0044】
[55] したがって、繊維処理ユニット221は、カルバノゲル又はCBを受け取り得、及びカルバノゲル又はCBを場合によりCNM繊維222に処理し得る。
【0045】
[56] 本開示のいくつかの実施形態において、繊維処理ユニット221は、内部コア層、外部シェル層及び任意選択的に1つ又は複数の中間層などの異なる材料層を備えたCNM繊維を発生させ得る。例えば、CNM繊維製品は、(カルバノゲル又はCBのいずれかからの)第1のCNMから作られた内部コア層と、(カルバノゲル又はCBのいずれかからの)第2のCNMから作られた外部シェル層とを含み得る。第1のCNM及び第2のCNMは、第1のCNM及び第2のCNMが異なる望ましい特性を有するように、異なる動作状態下で装置210において作られ得る。例えば、第1のCNMは、相対的に密度がより低くてもよく、したがって、第1のCNMは、第2のCNMよりも空隙のより大きい容積を画定することができるか又は逆も同様である。他の非限定的な例において、第1のCNMは、第2のCNMの最大の相対的な形態と異なるより大きい相対的な量の望ましい形態を有することができ、第1及び第2のCNMの一方又は両方は、同じドーパント又は異なるドーパントでドープされ得、第1及び第2のCNMの一方又は両方は、磁気を帯びていてもよく、両方が磁気を帯びている場合、それらは、同じ又は異なる磁気的特性を有することができ、第1のCNMは、第2のCNMよりも想定的に強くてもよいか又は逆も同様であり、第1のCNMは、第2のCNMよりも相対的に可撓性であり得るか又は逆も同様であり、第1のCNMは、第2のCNMよりも大きい導電性を有することができるか又は逆も同様であり、第1のCBMは、第2のCNMよりも大きい熱伝導性を有することができるか又は逆も同様であり、第1のCBMは、第2のCNMよりも大きい断熱材特性を有することができるか又は逆も同様であるか、又はこれらの任意の組合せである。
【0046】
[57] 当業者が認める通り、本開示のシステム200及び方法によって作られたCNM繊維は、第1のCNM及び第2のCNMのみで作られることに限定されない。本開示のCNM繊維は、1つ、2つ、3つ又は4つ以上の異なるタイプのCNMから繊維に処理され得、個別のCNM繊維も、限定されないが、第1のCNMの内部コア層、第2のCNMの外部シェル層などの複数の層からもなり得る一方、繊維の1つ又は複数の中間層は、第3のCNM又は第3のCNM及び第4のCNMから作られ得る。
【0047】
[58] 本開示のいくつかの実施形態において、システム220は、CNM布地形成ユニット226も含み得る。CNM布地形成ユニット226は、複数のCNM繊維をCNM布地に形成する様々な好適な構成要素、機構又は機械であり得、そのようにして形成されたCNM布地は、CNM繊維の存在によって新たな又は向上した特性を与えられる。布地形成ユニット226は、CNM布地を形成するために複数のCNM繊維を織ること、編むこと、輪状にすること、かぎ針で編むこと、ひだ状にすること、編組すること、繊維束を開織すること又はこれらの任意の組合せを行うことができる。追加的に、CNM布地形成ユニット226は、同じCNM材料から作られた複数のCNM繊維、異なるCNM材料で作られた異なるCNM繊維、異なるCNM材料で作られた複数の同じ又は同様のCNM繊維、同じCNM材料で作られた異なるCNM繊維、複数のCNM繊維及び非CNM繊維又はこれらの任意の組合せから1つ又は複数のタイプのCNM布地を形成し得る。
【0048】
[59] 本開示のCNM繊維から作られたCNM布地は、CNM布地に形成されないCNM繊維を上回る利点を有することができ、そのような利点は、限定されないが、より容易に輸送可能であり及び取り扱われること、向上した強度、伝導性、EMF遮蔽又はこれらの任意の組合せを提供し得るより大きい構造を有すること、可撓性を保ち、バルク固体よりも軽量及びよりフィット性が高いながら望ましい形状を維持すること、空隙を充填するか又は濾過するためのより画定された構造を有すること又はこれらの任意の組合せを含む。
【0049】
[60] 本開示のいくつかの実施形態では、システム200は、冷却された又は高温のカルバノゲル生成物を、型212によって受け取られる前(又は受け取られた後)に破砕するための処理ユニット216をさらに含み得る。処理ユニット216は、カルバノゲルの温度に耐え得る様々な好適な構成要素、機構又は機械、例えば、限定されないが、グラインダ、細分化ユニット、物理的プレス、微粉砕ユニット、ミル又はこれらの任意の組合せであり得る。カルバノゲルの結果としての粒子サイズは、処理ユニット216によって行われる処理動作の程度によって決められる。
【0050】
[61] 本開示のいくつかの実施形態では、システム200は、電解質低減ユニット218をさらに含み得る。電解質低減ユニット218は、冷却された又は高温のカルバノゲル生成物を装置210から直接受け取ることができ、及び/又はこれは、処理されたカルバノゲル生成物を処理ユニット216から受け取ることができる。電解質低減ユニット218は、カルバノゲル生成物(処理された又は未処理)の電解質含有量及び/又は不純物含有量を低減させ、その結果、カルバノゲルの低減した電解質/不純物含有量が処理ユニット216で処理され得(又はさらに処理され得)、次いで容器212に受け入れられ得る。代替的に又は追加的に、低減した電解質/不純物含有量のカルバノゲルは、電解質低減ユニット218から容器212に受け入れられ得る。
【0051】
[62] 電解質低減ユニット218は、(処理された又は処理されていない)カルバノゲルの電解質含有量及び/又は不純物含有量を機械的方式、化学的方式、電気化学的方式又はこれらの任意の組合せによって低減させ得る。例えば、機械的方式は、カルバノゲルの電解質含有量を低減させ得る様々な好適な構成要素、機構又は機械、例えばカルバノゲルを、メッシュ若しくは篩を通すように押す機械プレス、カルバノゲル中の電解質を溶かすための加熱器、フィルタ(室温若しくは高温)又はこれらの任意の組合せを含み得る。カルバノゲルの電解質含有量を低減させるための化学的方式は、電解質を溶解させ得る1つ又は複数の化学物質にカルバノゲルを暴露するための1つ又は複数の洗浄ステーションを含む。電解質含有量を低減させることに加えて、1つ又は複数の化学物質は、カルバノゲル中のCNMから非晶質炭素又は金属などの不純物を溶解させるためにも加えられ得る。電気化学的方式は、カルバノゲルの電解質含有量及び/又は不純物含有量を低減させるための選択的電気分解を行うための装置を含む。
【0052】
[63] 本開示のいくつかの実施形態において、システム200は、カルバノゲル(処理された及び/又は電解質/不純物が低減及び/又は圧縮された又はされていない)、CB(処理された及び/又は電解質/不純物が低減された又はされていない)及び/又はCNM繊維222(
図2の非限定的な例に示された通り)におけるCNM構成要素の少なくとも一部を整列させる整列ユニット220をさらに含み得る。整列ユニット220は、整列ユニット220によって行われる整列手順が容器212内で生じるように容器212に統合され得る。代替的に又は追加的に、整列ユニット220は、圧縮されていないカルバノゲル(処理された及び/又は電解質/不純物が低減及び/又は圧縮された又はされていない)を受け取ることができ、整列手順を実施することができ、次いで圧縮のために整列されたカルバノゲルを容器212に移すことができるか又はできない、容器212とは別個の物理的構成要素であり得る。整列ユニット220は、CNM繊維222中の整列したCMN構成要素が必要な異方性特性を有するように、機械的アプローチ、電気的アプローチ、磁気的アプローチ又はこれらの任意の組合せの1つ又は複数を用いることができる。整列ユニット220は、配向物理的応力場をカルバノゲル(処理された及び/又は電解質が低減及び/又は圧縮された又はされていない)中及び/又はCNM繊維222中のCNMに印加することができる様々な好適な構成要素、機構又は機械による機械的アプローチを用い得る。例えば、機械的アプローチは、せん断力をカルバノゲル中のCNM生成物に印加することができる。せん断力は、本体、例えばピストンを、カルバノゲル(処理された及び/又は電解質が低減及び/又は圧縮された又はされていない)中及び/又はCNM繊維222中のCNMを通して引くか、回転させるか又は引くことによって印加され得る。代替的に、CNM整列ではなく、CNMの絡み合いを増加させるためにせん断力が直接印加される。
【0053】
[64] 整列ユニット220は、配向電場をカルバノゲル中及び/又はCNM繊維222中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減及び/又は圧縮された又はされていない)に印加し得る様々な好適な構成要素、機構又は機械によって電気的方式を用い得る。
【0054】
[65] 整列ユニット220は、配向磁場をカルバノゲル中及び/又はCNM繊維222中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減及び/又は圧縮された又はされていない)に印加し得る様々な好適な構成要素、機構又は機械によって磁気的方式を用い得る。
【0055】
[66] 本開示のいくつかの実施形態では、整列ユニット220は、CNMの方向性のある整列を増加させるよりむしろ低減させ、したがってCNM繊維222の任意の異方性特性の減少のために使用され得る。
【0056】
[67] 本開示のいくつかの実施形態において、システム200は、(処理された及び/又は電解質が低減及び/又は圧縮された又はされていない)CNM繊維と、それから又はそうでなければ酸化力のある環境から形成された任意のCNM布地とを保護するための絶縁ユニット112をさらに含み得る。絶縁ユニット112は、CNM繊維又は形成されたCNM布地を受け取り、例えば真空ポンプによって酸素含有ガスなどの酸化剤を容器内から取り除き、及び容器内の流体を不活性ガスなどの非酸素含有ガスと置き換えるための好適な寸法の流体密封器を含み得る。
【0057】
[68]
図3は、カルバノゲルを受け取るステップ102、カルバノゲルを容器に配置するステップ104、カルバノゲルを繊維処理するステップ108及びCNM繊維を回収するステップ110を含むものとして、CNM繊維を作る方法100のステップを示す。任意選択的に、方法100は、本明細書において上記で説明された電気分解プロセスによってカルバノゲルを発生させるステップ101をさらに含み得る。方法100は、CNM繊維を圧縮する任意選択的なステップ109、CNM繊維からCNM布地を形成するステップ110A、カルバノゲルの電解質及び/又は不純物含有量を処理するステップ103、及び/又は低減させるステップ105、及び/又はCNM繊維のCNM含有量の少なくとも一部を整列させるステップ107をさらに含み得る(
図4に示された通り)。
【0058】
[69] 受け取るステップ102について、カルバノゲルは、本明細書において上記で説明された電気分解プロセスを使用して発生され得、これは、発生のステップ101と呼ばれ得る。発生したカルバノゲルは、CO2の溶融電気分解分割中にカソードで成長したCNMの絡まった生成物を含む。発生させるステップ101、上述の電気分解プロセスの動作パラメータを選択的に制御することにより、発生したカルバノゲルは、カルバノゲル中のCNMの望ましい形態のより大きい相対的な量を有し得る。例えば、電気分解プロセスは、カルバノゲルのCNM内のナノカーボン構造の他の形態と比べて、球状ナノカーボン、中実及び中空ナノオニオン、円筒形同素体のナノカーボン、平面同素体、らせん状同素体、カーボンナノチューブ(CNT)、ナノファイバー、グラフェン、ナノプレートレット、ナノスキャフォールド、ナノツリー、ナノベルト、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノツリー、ナノロッド、表面修飾若しくは金属被覆CNM、黒鉛特徴若しくは特性のない非晶質ナノカーボン又はこれらの任意の組合せなど、望ましい形態の相対的な量を増加させるように制御され得る。追加的に、発生させるステップ101の動作パラメータを選択的に制御することにより、発生したカルバノゲルは、ドープCNM又は磁気を帯びているCNMを含むなど、異なる特性を有し得る。
【0059】
[70] カルバノゲル(処理された及び/又は電解質又は不純物が低減された又はされていないに関わらず)は、CNM繊維を発生させるために繊維処理するステップ108を受ける。繊維処理するステップ108は、CNM繊維及びCNM繊維から形成されたCNM布地を作るためにカルバノゲルを紡糸し、及び/又は引く1つ又は複数のステップを含み得る。繊維処理するステップ108は、添加剤あり又はなしで行われ得る。例えば、カルバノゲル内の残余の炭酸電解質含有量は、低減され得、繊維処理するステップ108前、その間又はその後に行われる任意選択的な支援するステップ106中に導入され得る支持液体によって置換及び支持され得る。代替的に、電解質は、カルバノゲルの空隙に残ることができ、これは、その中で固化/重合され得る。
【0060】
[71] 本開示の非限定的な例において、繊維処理するステップ108は、集合体の乾式紡糸、融解紡糸、押出紡糸、溶液紡糸、反応紡糸又はこれらの任意の組合せを含む。乾燥ステップ125(
図6を参照されたい)は、CNM繊維の液体含有量の全てを減少させるか又は実質的に取り除くために、圧縮するステップ109、滴下又はいくつかの他の手段によって繊維処理するステップ108後に行われ得る。
【0061】
[72] 本開示のいくつかの実施形態において、方法100は、繊維処理するステップ108前、その間又はその後に行われる、支援するステップ106をさらに含み得、1つ又は複数の添加剤は、繊維処理するステップ108及び/又はCNM繊維製品を支持するために加えられ得る。例えば、支援するステップ106中に加えられ得る添加剤は、
図5に見られ得る通り、繊維処理するステップ108を好ましくは受け入れるカルバノゲル(又はCB)内の形態を安定化させ、及び形成することを支援するために、カルバノゲル(又はCB)に加えられ得る支持液体である。任意選択的に、支持液体は、後に乾燥させるステップ125(これは、洗浄も含み得る)によって又はCNM布地の形成後に取り除かれ得、次いで、支持液体は、再利用され得る(
図6を参照されたい)。
図6において、ステップ106A及び106Bは、それぞれプレ繊維を支援するステップ106の一部であり、ステップ106Aは、整列力(整列させること113)を印加するステップなしであり、ステップ106Bは、整列させるステップ113を伴う。ステップ109は、
図4及び5におけるステップ109で述べられている通り、力又は圧縮を印加するステップであり、整列させるステップ113は、
図4にも示されている。支持液体は、繊維処理ユニット221を通して材料を引き出すのに役立ち得、望ましい構造を形成するためにCNMが互いを越えるように移動することを可能にし、及び/又は時期尚早の及び/又は速すぎる崩壊を防ぐ。驚くべきことに、限定されないが、様々なAdva、Plastol及びBASF流動化剤を含む水性ポリカルボキシレート流動化剤がカルバノゲルの支持液体として使用するのに好適である。支持液体は、外部の酸素からの空間インターフェイスを提供することができ、特に高温処理で酸化を防ぐこともできる。任意選択的に、支持液体は、追加構造のためにCNM繊維に支持マトリックスを提供するために、又はCNM繊維の基本特性の変化を提供するために、又は経済的理由のために重合され得るか、又は代替的な方法で固体に変えられ得る。繊維における総CNMを低下させ、3D印刷のための融点など、CNM繊維の有用な特性を調整するため、CNMをより強力に一緒に接合し、及び/又はCNM繊維内でCNMをより良好に整列させるために、CNM繊維を包含する支持マトリックスが使用され得る。
【0062】
[73] 支援するステップ106中に追加され得る添加剤の別の例は、繊維処理するステップ108を容易にする液体、分散剤又は面活性剤などの処理添加剤である。追加的に又は代替的に、処理添加剤は、CNM繊維から形成されたCNM繊維又はCNM布地の周りに形成する支持マトリックスを提供し得る。支持マトリックスは、望ましい新たな又は向上した特性を与え、CNM繊維の有用な特性(3D印刷用途のための融点など)を調節するために、個別のCNM繊維又は複数のCNM繊維の構成要素をより強力に一緒に接合するために、CNM繊維のコストを低下させるか若しくはCNM繊維の再生利用可能性を増大させ、及び/又はCNMをより良好に整列させるために、CNM繊維で求められる総CNM画分を低下させるために使用され得る。カルバノゲル又はCB内のドープCNMを用いることは、支持マトリックスによって提供された支持をさらに強化し得る。例えば、様々な金属粒子でドープされたCNMは、重合触媒として機能し得、及び支持マトリックスの形成を支持する重合反応を改良し得る。追加的に又は代替的に、非金属ドーパントでドープされたCNMは、支持マトリックスの形成を支援する酸化及び酸素媒介重合反応を触媒するために使用され得る。追加的に又は代替的に、カルバノゲル又はCB内で向上した電気又は熱伝導性を備えたCNMを用いることは、支持マトリックスの形成を支援するための重合又は支持マトリックス内の設定領域の展開も改良し得る。
【0063】
[74] 前記支援するステップ106中に用いられ得るさらなる添加剤は、マトリックス及び/又はCNM繊維を支持するためにより長期的なオーダー(3D構造の点から)を提供し得る。さらなる添加剤は、支持マトリックスの形成を促すために触媒として機能し得る。さらなる添加剤は、CNM繊維の可撓性又は剛性も促し得る。
【0064】
[75] CNM生成物を含む発生したカルバノゲルは、カルバノゲルを冷却、剥離することを可能にすること若しくは冷却されたカソード18からカルバノゲル片を折り取ること、カルバノゲルを破砕すること又はこれらの任意の組合せを含むカルバノゲル処理のステップ103に受け入れられ得る。代替的に、処理するステップ103において、CNM生成物を含むカルバノゲルは、カソード18から依然として高温であり、高温の溶融電解質を含む間に抽出され得、次いで高温のカルバノゲルを破砕すること又は本明細書で説明された方法の他のステップに供される。したがって、受け取るステップ102は、冷却された及び固体の又は高温の及び粘度のある流体カルバノゲルのものであり得、これは、さらなる処理を受けても又は受けなくてもよい。
【0065】
[76] 驚くべきことに、任意選択的な圧縮するステップ108中の圧縮圧力下において、カルバノゲル粒子は、切れ目のないシートを形成するように集合し得る。薄い破砕されたカルバノゲル粒子のいくつかの層又はより大きいカルバノゲル粒子の1つ若しくは複数の層は、CBを作るために圧縮するステップ109を受け得る。
図5の非限定的な例に示されている通り、方法100Bは、
図3に示されているものと同じ方法100のステップを含み、追加の圧縮するステップ109は、繊維処理するステップ108前又は後に行われ得る。例えば、約25μmの大きさにされた破砕されたカルバノゲル粒子の1つの層は、約25μmであるが、25μm未満の厚さであるシートを形成する。一方で、25μmのサイズのカルバノゲル粒子の4つの層は、約100μmであるが、100μm未満の厚さであるシートを形成する。同様に、100μmのサイズのカルバノゲル粒子の1つの層は、約100μmであるが、100μm未満の厚さであるシートを形成する。
【0066】
[77] カルバノゲル又はCNM繊維を圧縮するステップ109及びカルバノゲルに熱を加え107、圧力を印加し109A、沈殿が生じることを可能にし、及び/又は濾過する、例えば真空濾過する111任意選択的なステップ並びに整列させるステップ113又はこれらの任意の組合せは、望ましいCB製品の形成を確実にするために2回以上繰り返され得る。様々な状態下において、圧力を印加するステップ109Aは、約1~約1,000psi、約1,000~約2,000psiの圧力を印加することを含み得るか、又はCB製品を形成するために、2,000psiを上回る圧力がカルバノゲル粒子に印加され得る。これらの範囲の上端以上の圧力を印加すること109は、室温で安定的なCB製品のシートを形成するために必要とされ得る。CB製品のこれらの安定的なシートは、次いで、カルバノゲル粒子内又は中の残余電解質を溶融させるために十分な温度まで、任意選択的に型において加熱のさらなるステップ107を受け得る。残余電解質を溶融させるために必要とされる温度は、電解質組成に依存する。一般に、カルバノゲル粒子は、分解する傾向があり、カルバノゲルのCNM容量の少なくとも一部は、900℃を上回る温度で一酸化炭素(CO)に変わる。しかし、いくつかのCNM構造は、高いCO2ガス圧力の存在下において約1000℃の温度でカルバノゲル中に維持され得る。例えば、純粋なLi2CO3、Na2CO3又はK2CO3、電解質は、それぞれ約723℃、851℃及び891℃の融点を有する一方、Li2CO3及びNa2CO3の混合物は、約700℃未満の温度で溶融することができ、LixNayKzCO3共晶混合物は、399℃で溶融する。したがって、加熱するステップ107は、高圧CO2の存在下において約0℃~約1000℃、又は約15℃~約900℃、又は約399℃~約850℃のより狭い範囲で行われ得る。
【0067】
[78] 本開示の実施形態によると、複数のCNM繊維からCNM布地を形成する前記ステップ110Aは、織ること、編むこと、輪状にすること、かぎ針で編むこと、ひだ状にすること、編組すること、繊維束を開織すること又はこれらの任意の組合せを含み得る。前記形成するステップ110Aは、同じCNM材料で作られた複数のCNM繊維、異なるCNM材料で作られた異なるCNM繊維、異なるCNM材料で作られた複数の同じ又は同様のCNM繊維、同じCNM材料で作られた異なるCNM繊維、複数のCNM繊維及び非CNM繊維又はこれらの任意の組合せを用い得る。
【0068】
[79] 本開示の実施形態によると、処理のステップ103は、限定されないが、研削、細分化、押圧、微粉砕、フライス処理又はこれらの組合せを含む破砕技術など、様々なアプローチによって実施され得る。カルバノゲル内のカルバノゲル材料の結果としての粒子サイズは、破砕の程度によって決められる。さらなる及び/又はより厳密な破砕は、処理するステップ103がより短い時間及び/又はより低い厳密さで実施されるシナリオと比較して、より小さいカルバノゲル粒子サイズをもたらし、これは、ポリマー混合物とカルバノゲルとの組み合わせに影響を及ぼし得る。
【0069】
[80] 本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質及び/又は不純物含有量は、低減させるステップ105によって低減され得る。限定されることなく、低減した不純物は、非黒鉛炭素、例えば非晶質炭素及び金属又はこれらの組合せを含み得る。電解質及び又は不純物の一部、ほとんど、実質的に全て又は全ては、化学的、機械的又は電気化学的方式でカルバノゲルを押圧するか、反応させるか又は洗浄することによってカルバノゲルから除去され得る。例えば、低減させるステップ105のための機械的方式は、特定の孔サイズのメッシュなどの選別デバイスを通して電解質をカルバノゲルから物理的に強制的に出すために、物理的圧力をカルバノゲルに印加することを含み得る。機械的方式は、電解質フロー及び分離を容易にするために、温度を電解質の融点より高くに調整することも含み得る。アルカリ及びアルカリ土類炭酸塩電解質の融点は、溶融三元共晶Li、Na、K炭酸塩のための400℃未満からカリウム炭酸塩のための891℃にわたる。印加される圧力は、0~1000ポンド毎平方インチ(psi)、1000~2000psiに及び得るか又は2000psi以上であり得る。代替的又は追加的に、低減すること105は、化学的方式を含み得、カルバノゲルは、1つ又は複数の化学物質に暴露されて反応を引き起こし、それによりカルバノゲルの電解質含有量が低減する。例えば、洗浄液がカルバノゲルを洗浄するために使用され得、洗浄液は、カルバノゲル粒子からの残余の又はバルク電解質の一部を溶解させ得る。洗浄液は、中性pH液体、例えば水若しくは食塩水溶液又は溶融電解質の溶解を促進し得る酸性若しくはアルカリ性溶液、例えばギ酸若しくは塩酸又はアンモニア硫酸塩、酸化性溶液、例えばパーマグネイト若しくは過酸化物又は有機溶媒或いはこれらの任意の組合せを含み得る。電解質を低減させることに加えて、洗浄液は、CNMから不純物、例えば非晶質炭素又は金属を溶解させるために適用され得る。本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質含有量は、室温濾過及び/又は高温濾過によって低減され得る。カルバノゲルの電解質含有量を低減させる105ためのさらなる方式は、限定されないが、篩過及び濾過などの機械的方式、電気化学的手段、例えば選択的電気分解、熱的手段、例えばあまり安定的でない非晶質炭素の燃焼による酸化的除去がCNM不純物を取り除くために施されるか、又はこれらの任意の組合せを含む。カルバノゲルの電解質含有量を低減させることは、カルバノゲルにおけるCNMの相対的な割合を増加させ得る。本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質及び/又は不純物含有量を低減させるステップ105は、処理された又は処理されていないカルバノゲルに1回又は2回以上実施され得る。
【実施例】
【0070】
[81] 例1:繊維、布地及びクロス製造において使用されるカルバノゲル。
【0071】
[82]
図7は、洗浄によって電解質が低減したカルバノゲルの例を示し、走査型電子顕微鏡、SEMによって測定される通り720倍(上パネル)及び8600倍(下パネル)の2つの異なる倍率で示される。この例は、本明細書において上記で説明されたCO
2電気分解によって調製されたCNTカルバノゲルのものである。
図7のカルバノゲルは、CNTカルバノゲル生成物を製造するムンツ真鍮カソード及びステンレス鋼304アノードを備えた750℃のLi
2CO
3溶融電解質でステンレス鋼ケース304を使用して装置10において作られた。カルバノゲルを含む混じり合ったCNMの大きい粒子サイズは、
図7の上パネルにおいて明らかである。この粒子サイズは、従来の濾過材間隙率と比較して大きく、ナノサイズのCNMが巨視的に操作されるまれな機会を提供し得る。高カーボンフットプリント反応物質ではなく、CO
2から形成されるという利点に加えて、
図7の下パネルに示される通り、カルバノゲルの大きい粒子サイズは、その中のCNMのナノ物質寸法にも関わらず、カルバノゲルが微細な抑制フィルタから容易に形成されることを可能にし得る。電気分解に続いて、
図7に示されたカルバノゲルは、冷却されたカソードから剥離され砕かれることによって処理された。濃縮されたHClでの洗浄に続いて、処理されたカルバノゲルが
図7のSEM画像に示されている。CNTの高純度及び様々な方向におけるそれらの向きも
図7で明らかである。希釈HCl酸での代替的な洗浄も、同様に、電子分散型分光法(EDS)及び熱重量解析(TGA)によって測定された通り、電解質及び金属不純物を洗い流した。水、又はギ酸、又はアンモニウム硫酸塩のいずれかでの代替的な洗浄は、主に余剰の電解質を除去し、金属不純物を除去しなかった。組み合された塩酸及び水素過酸化物での別の代替的な洗浄、この場合には濃縮されたHCl及び35%H
2O
2の溶液におけるカルバノゲルの混合よりもむしろ超音波が余剰の電解質、金属不純物及びさらに非晶質炭素不純物を除去した。電気化学的に発生された酸化剤と同様に、他の化学的酸化剤、例えば塩酸及びカリウムパーマグネイトが十分な希釈化で有効であることが観察された。TGAで測定されると、非晶質炭素は、カーボンナノチューブと比較してより低い燃焼温度を有し、非晶質炭素は、積層型グラフェンCNT構造などのより堅牢な黒鉛ナノカーボン構造よりも参加し易い。したがって、非晶質炭素は、化学的酸化、電気化学的酸化、熱的酸化又はこれらの任意の組合せによって不純物として取り除かれ得る。さらなる例として、HCl洗浄後にカルバノゲルを300℃まで加熱することは、カルバノゲルの不純物含有量を低減させる。低減した不純物含有量は、不純物を低減させるステップ後のカルバノゲルの観察された減少した質量並びにTGA及びSEMによって測定された。TGAデータは、HCl及び低減させるステップを加熱することが非晶質炭素不純物の大部分を除去することを示し、SEM分析は、不純物含有量が低減したカルバノゲルがCNTを保持したことを示した。
【0072】
[83] 例2:繊維、布地及びクロス製造における使用のための真空濾過からのカルバノゲルバッキーペーパー。
【0073】
[84]
図8は、本開示の実施形態による、CO
2から作られたカルバノゲルバッキーペーパー(CB)の第1の例の写真である。CBは、次いで、巻かれ得、及び又は繊維に紡糸され得るか、又はクロスとして直接使用され得るか若しくは積層され得る。例は、全体として黒色であり、図は、コントラストを強調するために明るくされた。第1のCB例は、CO
2をカルバノゲルに変換するために電気分解を使用して作られた。カルバノゲルは、CNTカルバノゲル生成物を製造するムンツ真鍮カソード及びステンレス鋼304アノードを備えた750℃のLi
2CO
3溶融電解質で鋼ステンレスケース304を使用して装置10で作られた。カルバノゲルは、カソードがモネル又はNi合金、例えばインコネル、ニクロム及びNi-鉄及びNi-銅合金に変えられ、アノードがインコネル、ニクロム並びにNi-鉄及びNi-銅合金に変えられた場合にはCO
2CNT生成物からも作られた。0.2グラムのこのカルバノゲル生成物は、塩酸(HCl)で清浄にされ、300mLのイソプロピルアルコール中で混合され、次いで均一な分散のために超音波で30分間分解された。混合物は、次いで、真空フィルタ組立体(ナイロンメンブレンフィルタ、0.2μm孔、47mm直径)に注ぎ込まれ、液体は、真空下で引き出されており、幅広いフィルタ孔サイズ及び溶媒が、この方法によってカルバノゲルに変換されるCO
2からバッキーペーパーを形成するために有効であることが分かっている。CNTは、形成中のCBにおいて混合された向きを有していたか、又は液体(アルコール)除去ステージ中に機械力、電場又は磁場が加えられると整列された。全ての認識可能なアルコールがフィルタを通過すると、フィルタは、取り出され、室温で一晩乾燥された。結果としてのCBがナイロンメンブレンフィルタから除去され、180μmの厚さを有した。
【0074】
[85] 例3:繊維、布地及びクロス製造における使用のための圧縮からのカルバノゲルバッキーペーパー。
【0075】
[86]
図9は、CO
2から作られるCBの第2の例の写真である。例は、全体として黒色であり、図は、コントラストを強調するために明るくされた。
図9のCB例は、先行する例に記載のカルバノゲルに変換されたCO
2から作られたが、化学的洗浄の代わりに、カルバノゲルの電解質含有量は、圧縮によって低減された。具体的には、カルバノゲルは、カソードで発生され、次いで高温で固体CNM及び溶融電解質の両方を含んだままでメッシュ又はメッシュの層を通して圧縮された。
図9におけるCBを製造するために、750℃で500psiの圧力が使用された。1000psi以上の圧力が印加されると、同様であるが、より薄いCBが製造されたが、500psi未満の圧力が印加されると、より厚いCBが製造された。
図9に示されたCBは、約350mmの直径を有し、500psiの圧力を印加して約2倍大きいものも作られた。カルバノゲルはまた、高温カソード(ケースからの除去後)に高温カソードで直接圧縮されているか、又は本例の通りにカソードからの移動後に圧縮された。カルバノゲルは、高温である間に移動され得るか、又は本例の通りにカソードからの移動後の処理(例えば、カルバノゲル中の電解質を再溶融するための冷却、剥離、破砕及び再加熱)後に移動され得る。線数毎インチの単位で測定される圧縮に使用されるスクリーンメッシュサイズは、生成物から電解質を低減させるように2~100のメッシュサイズ若しくは100~1,000のメッシュサイズ又は1,00線数毎インチを上回るメッシュサイズで変化する。約250μmの孔サイズを備えた約60のメッシュサイズが、様々なより大きいサイズに加えて特に有効である。250μmの孔サイズは、CB中のCNMのナノ物質の寸法よりはるかに大きいことに留意されたい。いずれの理論にも拘束されることなく、電解質がメッシュを通過する一方、カルバノゲルにおける混じり合ったCNMのより大きいサイズがメッシュによって保持されるため、CO
2転換バッキーペーパーが圧縮中に形成される。結果としてのCBは、カルバノゲルの初期の質量に線形比例し、印加された圧力におよそ反比例する厚さを有する。
【0076】
[87] 例4:繊維、布地及びクロス製造における使用のための引張強度が増大したエポキシ-CNMカルバノゲル混合物。
【0077】
[88]
図10は、本開示の実施形態による、CO
2から作られた追加カルバノゲルあり及びなしのエポキシ樹脂の例の写真を示す。
図10は、CO
2から作られた追加カルバノゲルあり及びなしのエポキシ樹脂の引張強度データも表す。エポキシ-CNMは、次いで、巻かれ得、及び又は繊維に紡糸され得るか、又はクロスとして直接使用され得るか若しくは又は積層され得る。例えば、カルバノゲルと混合されたエポキシ樹脂は、CNMポリマー繊維又はポリマー-CNMシートを形成し得る。
図4の上パネルは、カルバノゲルなしで作られた3つの物品(左側にある3つの犬の骨の形の物品)及び本開示の実施形態によるカルバノゲルありで作られた3つの物品、カルバノゲル物品(右側にある3つの犬の骨の形の物品)を示す。カルバノゲル物品は、全体が黒く、写真は、コントラストを強調するために明るくされた。カルバノゲル物品を作るために使用されたカルバノゲルは、CO
2をカルバノゲルに変換するために、本明細書で説明された通り、電気分解プロセスを使用して作られた。カルバノゲルは、CNTカルバノゲル生成物を製造するムンツ真鍮カソード及びステンレス鋼304アノードを備えた750℃のLi
2CO
3溶融電解質でステンレス鋼ケース304を使用して装置10で作られた。カルバノゲルは、カソードがモネル又はNi合金、例えばインコネル、ニクロム及びNi-鉄及びNi-銅合金に変えられ、アノードがインコネル、ニクロム並びにNi-鉄及びNi-銅合金に変えられた場合、CNTカルバノゲル生成物を作るためにCO
2からも作られた。このカルバノゲル生成物は、塩酸(HCl)で清浄にされた。約4部のMetlab M135樹脂及び約1部のMetlab M135硬化剤が60℃の真空チャンバ内で別々に脱気された。その後、電解質が低減し、(樹脂及び硬化剤の総重量と比較して)精製されたCNTを含む、望ましい0重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.25重量%又は0.5重量%のカルバノゲルが樹脂に加えられ、65rpmで4分間混合され、超音波で15分間分解された。超音波処理後、硬化剤が加えられ、65rpmで4分間混合され、次いで脱気された。サンプルは、従来の「犬の骨」型において60℃で硬化され、引張強度試験のために取り除かれた。
図4の上パネルは、左上に追加カルバノゲルなしの3つの硬化された制御サンプルと、右上に0.5重量%のカルバノゲルを備えた3つの硬化されたサンプルとを示す。比較参照データに対する引張強度は、ETM-10kNコンピュータ制御電子万能試験製造機で測定された。
図4の下パネルは、追加カルバノゲルなしの物品の引張強度と比較して観察された増加を示す。
図4における下パネルは、測定された引張強度の4、15、21及び33%の相対的増加をそれぞれ示した、0.05、0.1、0.25及び0.5%重量%のカルバノゲルを備えたサンプルを示す。この例4は、「犬の骨」形の物品を示すが、ポリマー-CNM混合物の非限定的な例として、CNMポリマー繊維を作るために繊維処理するステップ108への入力としてCNM及びエポキシ材料が使用され得ることが理解される。しかしながら、ポリマー-CNM混合物は、複数のCNM繊維から作られていない、CNM布地と呼ばれ得るシート状物品を作るためにさらなる処理するステップも受け得る。
【0078】
[89] 例5:繊維、布地及びクロスのための重合によるカルバノゲルPLAポリマー-CNT形成条件。
【0079】
[90] 本開示のいくつかの実施形態は、ポリマー-CNT混合物を調製する方法であって、ポリマー混合物は、PLAを含む、方法に関する。ポリマー-CNM混合物は、次いで、限定されないが、CNM繊維及び/又はCNM布地を含む材料に処理され得る。この方法中、カルバノゲルは、重合ステップ前に追加されるカルバノゲル粒子を形成するために破砕によって処理され、これは、次いで、ポリ乳酸(PLA)ポリマーと、破砕されたカルバノゲルとの混合物の形成に進む。従来のPLAの重合調製は、2つの経路の1つ、凝縮(直接とも呼ばれる)重合又は開環凝縮重合(開ループとも呼ばれる)のいずれかによって進められる。例えば、水を取り除くために、水性乳酸溶液が単独で又は触媒の存在下で加熱及び真空ポンプされ得る。反応が完了するか又はほぼ完了すると、(約130~180℃で溶融する)液体PLAが注ぎ出され得るか、固体としての後の使用のために保管され得る。いずれのPLA調製経路も、PLA-CNM混合物を形成するために(破砕されたカルバノゲルの)CNMを追加するなど、PLA形成の破砕されたカルバノゲルの開始、及び/又は伝播、及び/又は終了段階を提供し得る。
【0080】
[91] CNTは、知られている最も強い材料であり、PLA-CNT混合物の強度をPLAのみと比較してかなり改良し、このポリマー-CNT混合物は、より強い繊維及び布地のためのポリマーベースを提供する。一般に、CNTは、重合前に熱可塑性物質に追加されておらず、CNTの均一な分散を可能にするために超音波処理及び/又は溶けた熱可塑性物質溶媒混合物で追加されているか、又は押出前の溶融中の大規模な混合で追加されている。代わりに及びこの実施形態に対する一例として、CNTは、PLAに適合する破砕されたポリカルボキシレート及びポリカルボキシレート塩として追加される。限定されないが、様々な流動化剤(例えば、Adva、Plastol及びBASFから商業的に入手可能なもの並びに他の可塑剤)を含む水性ポリカルボキシレート流動化剤は、超音波処理ではなく、従来の混合での優れたカルバノゲルCNM分散剤であり、PLAポリマー混合物内での破砕されたカルバノゲル/ポリカルボキシレートの実質的に均一な分散をもたらす。したがって、PLA重合前の及びエネルギーを浪費する超音波処理なしでの破砕されたカルバノゲル及びポリカルボキシレートの追加は、早期のPLA形成処理を通した分散されたCNMを提供する。本開示のいくつかの実施形態において、破砕されたカルバノゲル及び/又はポリカルボキシレートは、重合処理に続いて追加され、次いでPLAポリマー、破砕されたカルバノゲル及び/又はポリカルボキシレートが押出処理を受けて、PLAポリマーを通したCNMの実質的に均一な分散を提供する。
【0081】
[92] したがって、本開示のいくつかの実施形態は、CNM繊維を作るさらなる方法300(
図11Aを参照されたい)に関し、方法は、ポリマー混合物及び処理されたカルバノゲルからポリマー-CNM混合物を形成するステップ302を含み、ポリマー混合物は、1つ又は複数のポリマー及び/又はポリマー前駆体を含み、次いで混合物を押出するステップ304を行い、その中のCNMの実質的に均一な分散を有するCNMポリマー繊維を形成する。いくつかの実施形態において、この方法は、押出するステップ304及び押し出されたCNM繊維製品を回収するステップ306前に、CNM分散剤を加える任意選択的なステップ306をさらに含む。回収された押し出されたCNM繊維は、次いで、CNM布地を形成するステップ110Aを受け得る。本開示のいくつかの実施形態において、押し出された製品は、形成するステップ110A前にCNM繊維を作るために繊維処理するステップを必要とし得る。
【0082】
[93] 例6:繊維、布地及びクロスのための押出によるカルバノゲルPLAポリマー-CNT形成条件。
【0083】
[94] 本開示のさらなる実施形態において、ポリマー-CNM混合物は、ポリマー押出ステップ中、従来の分散されたCNMの代わりに、破砕されたカルバノゲル粒子を使用して調製される。押出は、固体ポリマー又は溶融ポリマーのいずれかとの処理されたカルバノゲルの混合物を用い得る。この実施形態は、PLA-CNT混合物調製の従来のプロセスと比較される。従来のプロセスにおいて、0、2、4、6又は8重量%のCNM CNTは、PLAペレットと8時間ブレンドすることによって混合される。音響エネルギーを伝えるために液体のない超音波処理は、この媒質では可能ではない。ブレンドによる長い混合時間は、超音波処理がないにも関わらず、均一な分散を達成するための試みである。既知の押出処理は、二軸押出機及び試験のための既知のPLA/CNT混合物を形成するために165℃から220℃に上昇する温度での後続の一軸押出機を使用する。6重量%のCNT追加は、最も大きい強度増加を呈する。0%CNTのPLAと比較して、6重量%PLA/CNT混合物は、引張強度の64%の増加及び屈曲強度の29%の増加を生じた。従来のCNTの代わりに、本開示のこの実施形態において、処理されたカルバノゲルは、押出のためのブレンド中にPLAと共に追加される。したがって、同等のPLA-CNT強度増加は、実質的に同量のCNT装填で、1時間未満などのはるかにより短いブレンド時間を使用して達成され得る。本開示の実施形態による溶融ポリマーのカルバノゲルとの混合は、関連する貯蔵弾性率のかなりの増加を生じる。
【0084】
[95] したがって、本開示のいくつかの実施形態は、CNM繊維を作るさらなる方法400(
図11Bを参照されたい)に関し、方法400は、カルバノゲルを破砕するステップ402、破砕されたカルバノゲルをポリマー、固体ポリマー又はポリマー溶融物のいずれかと混合するステップ404、破砕されたカルバノゲルとポリマーとの混合物を押出するステップ406、押し出されたCNM繊維を回収するステップ408及び押し出されたCNM繊維からCNM布地を形成するステップ110Aを含む。本開示のいくつかの実施形態において、前記形成するステップ110A前にCNM繊維を作るために、押し出された製品は、繊維処理するステップを必要とし得る。
【0085】
[96] 例7:単独の並びに繊維、布地及びクロスのための交互の層と一緒のポリマー-CNM混合物。
【0086】
[97] ポリマー-CNM混合物は、材料又は製品、例えば平面裏張り、難燃性物質又は熱シールドにおいて単独で使用され得る。ポリマー-CNM混合物は、ポリマー-CNM混合物から作られていない別の材料との、限定されないが、積層体などの組合せで使用され得、ポリマー-CNM混合物は、新たな又は向上した特性をそれらの他の材料に与える。例えば、ポリマー-CNM混合物及びその複合材料は、熱的活性化、機械的活性化、電気的活性化、磁気的活性化、光活性化又は化学的活性化などの様々な活性化状態下で形状記憶特性を示した。この形状記憶特性は、ポリマー-CNM混合物、それから作られた材料又は製品並びにポリマー-CNM混合物(又はその材料若しくは製品)と別の材料との組み合わせから作られた材料又は製品に含まれ得る。形状記憶特性に加えて、エポキシがポリマー-NCM混合物におけるポリマーとして使用される場合、最大184%の引張強度の増加及び最大444%の衝撃強度増加があり得、CNMが電気分解プロセスの動作状態を選択することによって生じる多壁CNTを含む場合、0.1~1重量%追加されることに留意されたい。さらに、電気分解プロセスの動作状態がCNM内のコイル状CNTの相対的な量を増加させるために選択される場合、向上したばね効果があり得る。これらの形状記憶特性は、上記で説明された通り、整列させることにより、ポリマー-CNM混合物に異方性特性を組み込むことによっても促され得る。グラフェンなどのCNMの電気及び熱伝導性は、ポリマー加熱要素又はラジエータとしてのそれらの適用のための優れた特性を呈し得る。形状記憶特性及び加熱要素挙動を組み込むことは、それぞれ単独で又は別の材料の層との組み合わせにおいて有用であり得る。
【0087】
[98] 例8:押出によって作られたカルバノゲル繊維。
【0088】
[99]
図12は、2つのタイプのポリマー、PLA又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)で作られたカルバノゲル繊維の写真を示す。
図10の上パネルは、例えば、方法300によるカルバノゲルとポリマーとの混合に続いて、押出によって押し出された長いフィラメントを示す。カルバノゲル物品を作るために使用されるカルバノゲルは、CO
2をカルバノゲルに変換するために、本明細書で説明された通り、電気分解プロセスを使用して作られた。カルバノゲルは、CNTカルバノゲル生成物を製造するムンツ真鍮カソード及びステンレス鋼304アノードを備えた750℃のLi
2CO
3溶融電解質でステンレス鋼ケース304を使用して装置10で作られた。カルバノゲルは、カソードがモネル又はNi合金、例えばインコネル、ニクロム及びNi-鉄及びNi-銅合金に変えられ、アノードがインコネル、ニクロム並びにNi-鉄及びNi-銅合金に変えられた場合、CNTカルバノゲル生成物を作るためにCO
2からも作られた。このカルバノゲル生成物は、塩酸(HCl)で清浄にされた。0、1、3又は5重量%のカルバノゲルは、ポリマーとブレンドすることによって混合される。押出処理は、冷却、硬化及び繊維取集のためのフィラメントノズルを通して押し出されたカルバノゲルポリマー混合物を形成するために、165℃から220℃に上昇する温度でFelfil Evo Filament押出機を使用する。
図11の上パネルは、切断されたカルバノゲル-PLAプラス繊維を示し、
図11の下パネルは、0、1、3又は5重量%CNTカルバノゲルを備えたカルバノゲル-ABS繊維を示す。
【0089】
[100] 本開示の実施形態によって作られたポリマー-CNM混合物のいずれも、カルバノゲル(処理された及び/又は電解質/不純物が低減及び/又は圧縮された又はされていない)を受け取るステップ502、ポリマー-CNM混合物を作るステップ504及びCNM布地を形成するステップ506を含むCNM布地を形成する方法500で使用され得る。作るステップ504は、ポリマー混合物を重合させるステップ前、その後又はその間のいずれかにポリマー混合物(これは、プレポリマーを含み得る)及びカルバノゲル(処理された及び/又は電解質/不純物が低減及び/又は圧縮された又はされていない)を押出するステップを含み得る。布地を形成するステップ506は、押圧すること、絞ること、転がすこと、加熱すること、押し出すこと、溶媒を追加すること、可塑剤を追加すること又はCNM布地として使用され得るCNMポリマーシートを形成するためのこれらの任意の組合せを含み得る。
【0090】
[101] いずれの特定の理論にも拘束されることなく、本開示のCNM繊維は、材料及び製品用途、例えば、限定されないが、裏張り、難燃性物質又はシールドで使用され得る。しかしながら、本開示の実施形態によるCNM繊維、材料及びそれから作られた製品は、限定されないが、他の非CNM材料に向上した特性を与えるために、これらの他の非CNM材料と共にCNM繊維から作られた少なくとも1つの層を含む層(重合された支持マトリックスを含むかどうかに関わらず)など、複合材料における構成要素としても使用され得る。
【0091】
[102] さらに、CNM繊維から作られた材料及び/又は製品、CNM布地並びにそのようなCNM繊維で作られた複合材料は、熱的、機械的、電気的、磁気的、光又は化学的活性化状態下で形状記憶特性を呈することができ、これらの特性は、そのようなCNM繊維及びCNM布地を(含浸、又は補強、又は統合されることによって)組み込む材料又は製品に与えられ得る。この形状記憶効果は、上記で説明された通り、CNM繊維及びCNM布地に異方性特性を組み込むことによって促される。本明細書で説明された用途に加えて、本開示のCNM繊維及びCNM布地から作られた形状記憶ナノ複合材料は、人工筋肉を作るのに有用であり得る。さらに、CNMの電気及び熱伝導性-ポリマー製品は、加熱要素又はラジエータ用途において使用されると優れた特性を提供し得る。
【0092】
[103] カルバノゲル及び/又はCBによって与えられた優れたCNM特性を活用し得る、本開示のCNM繊維及びCNM布地から作られた材料及び製品の他の用途は、限定されないが、(i)高速、安全及び迅速な変更のための軽量ツーリング用途、(ii)より良好な穿孔、衝撃及び/又は鋸引きのためにより硬い工具、(iii)より良好な熱管理のための工具、(iv)超強力で折り曲げ可能な材料、(v)CO2の一般的な隔離、(vi)超軽量の超吸収スポンジ、(vii)複合材料に含めるための予め作られた積層シートとしてのもの、(viii)バリスティック又は電磁場(EMF)遮蔽、(ix)パラシュート及びドラッグエンハンサー、(x)布地/ファブリックのための編むことができる/縫うことができるポリマー、又は(xi)3-D製造又は印刷のための繊維/フィラメントを含む。
【0093】
[104]本開示の実施形態による、CNM繊維を使用して作られた材料及び製品の他の使用は、重量、材料コスト/使用される材料を追加的に低減させ、及び/又は容量を増大させる二重用途を提供する構造的材料など、2つ以上の優れたCNMベースの特性の利点を組み合わせた製品を含む。そのような二重使用のいくつかの非限定的な例は、(i)構造的目的のための強度特性の使用及び電気エネルギー貯蔵特性の使用、(ii)構造的目的構造のための強度特性の使用及び熱エネルギー貯蔵特性の使用、(iii)構造的目的のための強度特性の使用、電気導管又はワイヤとしての使用、(iv)構造的目的のための強度特性の使用及び材料の性能を評価するためのリアルタイムのひずみ又は安全データを取集するためのセンサとしての使用、(v)構造的目的のための強度特性の使用及び触媒としての使用、(vi)構造的目的のための強度特性の使用及び熱導管としての使用又はこれらの任意の組合せを含む。火が問題となる用途など、高熱を放散するための放熱部材で使用されることにより、本開示の実施形態による安全性を増大させるためのCNM繊維及びCNM布地を使用して作られた材料及び製品の用途及び使用もある。
【0094】
[105] 本開示の実施形態によって作られたCNM繊維は、1つ又は複数のCNM繊維タイプからなり得、及びCNM布地に形成され得る。異なる織りパターン及び繊維タイプは、特定の領域において及び特定の方向に沿って折り曲げることを防ぐか又は促すためのシームを有するなど、異なる特性がCNM布地を通して与えられることをもたらし得る。
【0095】
[106] CNM布地は、繊維を作る段階からの液体を含み得るか、又は液体は、その段階後に加えられ得、これは、ポリマーのCNM布地作成後、CNM布地を形成するステップ中のより容易な取り扱いを可能にするために保持若しくは除去され得、及び/又は限定されないが、向上した蓄電及び熱電効果を含む他の特性を提供する。
【0096】
[107] カルバノゲルの向上した布地の使用の例は、限定されないが、自己洗浄布地、それらがより耐久性があり、よりよく熱を逃し、耐衝撃性があり及び安全であるため、安全性のための衣類である。これは、限定されないが、容易に引き裂かれない建設作業員のためのより良好な衣類、防弾チョッキ、宇宙服、より軽量の、より強いパラシュート、フィルタ、滑車のためのロープ及びケーブル並びに他の機械的用途、膨張式ボートなどの膨張式構造、家、ロボット、健康、空気の質を監視するか、又は外部デバイスの制御ためのものを含むか、又はクロスの通気のレベルを維持するためのより強い、より軽量の、より丈夫な、自浄式の、切替可能な色の又は電子的な向上した衣類を含むファッション及び衣類のための布地、自己洗浄反応であり、空気を濾過するものを含む、空気、水を濾過するために触媒特性を備えた布地並びに形状記憶特性を備えた布地を含む。
【国際調査報告】