IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコン インコーポレイティドの特許一覧

特表2024-523989ライトエンジン較正システム及び方法
<>
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図1
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図2
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図3
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図4
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図5
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図6
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7A
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7B
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7C
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7D
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7E
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7F
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7G
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7H
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7I
  • 特表-ライトエンジン較正システム及び方法 図7J
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ライトエンジン較正システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/14 20200101AFI20240628BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20240628BHJP
【FI】
H05B47/14
H05B45/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572155
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2022055716
(87)【国際公開番号】W WO2023002268
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,692
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】チン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エル.リー
(72)【発明者】
【氏名】ハリ クリシュナ カッパラプ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン リチャードソン
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA07
3K273QA28
3K273RA02
3K273RA17
3K273SA03
3K273SA06
3K273SA35
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA77
3K273TA78
3K273UA17
3K273UA22
(57)【要約】
本開示の実施形態は、一般に、発光ダイオード(LED)ライトエンジンを較正するシステム及び方法に関する。本明細書で説明されるシステム及び方法は、特定の出力色に関して、ライトエンジンによって発生される照明の知覚される明るさを正確に反映する較正された無次元出力値の表示を可能にするように、赤色-緑色-青色(RGB)LEDライトエンジンの性能を特徴付けることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムのライトエンジンを用いて較正された照明光を発生させる方法であって、前記方法が、
前記ライトエンジンに関する第1のデータのセットを取得することであって、前記第1のデータのセットが、前記ライトエンジンの測定された出力光束データとカラーセンサ輝度測定値とを含み、前記測定された出力光束データ及び前記カラーセンサ輝度測定値がライトエンジン入力パラメータの駆動強度データに対応する、ことと、
前記測定された出力光束データと前記駆動強度データとの間の第1のマッピングを決定することと、
前記測定された出力光束データと前記カラーセンサ輝度測定値との間の第2のマッピングを決定することと、
前記第1のマッピング及び前記第2のマッピングに基づいて、前記駆動強度データと前記カラーセンサ輝度測定値との間の第3のマッピングを決定することと、
前記第3のマッピングに基づいて、前記照明システムの複数の無次元出力設定値と前記駆動強度データとの間の第4のマッピングを決定することと、
ユーザ入力から前記複数の無次元出力設定値のうちの1つを受信することと、
前記第4のマッピングを用いて、前記複数の無次元出力設定値のうちの1つを、前記ライトエンジン入力パラメータの対応する駆動強度に合わせることと、
前記ライトエンジンを使用して、所望の出力光束を有する照明光を発生させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のマッピングが、前記測定された出力光束データと前記駆動強度データとの間の多項式あてはめに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のマッピングが、前記測定された出力光束データと前記カラーセンサ輝度測定値との間の多項式あてはめに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3のマッピングが、前記駆動強度データと前記カラーセンサ輝度測定値との間の多項式あてはめに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第4のマッピングが、前記複数の無次元出力設定値と前記駆動強度データとの間の多項式あてはめに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のマッピングが、前記ライトエンジンの最大出力光束を推定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ライトエンジンの前記最大出力光束が、全範囲の目標出力光束値を決定するために使用され、各目標出力光束値が前記複数の無次元出力設定値のうちの1つに対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のマッピングが、調整されたカラーセンサ輝度値を決定するために使用され、前記調整されたカラーセンサ輝度値のそれぞれが前記全範囲の目標出力光束値のうちの1つに対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第3のマッピングが、前記調整されたカラーセンサ輝度値のそれぞれに対応する調整された駆動強度を決定するために使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記調整された駆動強度が、前記全範囲の目標出力光束値に対応するようにスケーリングされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定された出力光束データと前記カラーセンサ輝度測定値との間の前記第2のマッピングを決定することが、前記ライトエンジンによって発生される光の色に依存しない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のマッピング、前記第3のマッピング、及び前記第4のマッピングを決定することが、前記ライトエンジンによって発生される光の色に依存する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月20日出願のJing Xu、Jason L.Lee、Hari Krishna Kapparapu、及びDean Richardsonを発明者とする“LIGHT ENGINE CALIBRATION SYSTEMS AND METHODS”と題する米国仮特許出願第63/223,692号の優先権の利益を主張するものであり、同仮特許出願の内容全体が、参照により、あたかも本明細書で十分且つ完全に説明されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、発光ダイオード(LED)ライトエンジンを較正するシステム及び方法に関し、より詳細には、照明の観測される明るさを反映する無次元出力設定値の利用を助ける赤色-緑色-青色(RGB)LEDライトエンジンを較正するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科顕微鏡下手術では、様々な眼組織の精密な切断及び/又は除去が頻繁に必要になる。このような手術においては、患者の眼の内部の適切な照明が重要であり、手術野を照明するために、眼科照明システムの照明プローブが一般に使用される。例えば、手術のために眼の内部を照明するために、外科医又は他の医療専門家などのユーザが、患者の眼内に照明プローブを挿入し得る。一般に、プローブは、光ファイバケーブルを介して眼科照明システムの光学ポートに接続される。眼科照明システムは、手術コンソールに収容されることもあり、ライトエンジン(すなわち、照明光源)を備える。照明システムはまた、ライトエンジンによって発生された光ビームを光ファイバケーブル及びプローブ内に延びる光ファイバ内に伝送するのを助けるコリメート光学系及び集光光学系などの他の光学要素を備え得る。
【0004】
ライトエンジンは、一般に、様々な駆動電流で動作させた場合に3つのLED色から発生される光の混合から生じる、ある範囲の様々な出力色及び明るさレベルを発生させ得る、赤色-緑色-青色(RGB)発光ダイオード(LED)ライトエンジンである。しかしながら、個々のLED色の出力は一般に入力電流の非線形関数であるため、結果として得られる複合出力もまた、一般に、入力に対して非線形に変化する。その結果、例えば外科医によるLEDライトエンジンの所望の明るさ輝度設定への調整は、観察される照明の明るさを線形に増加又は減少させず、手術の効率の低下及び/又は外科医にとって苦いユーザ経験をもたらし得る。
【0005】
したがって、LED照明装置の観測される明るさを正確に反映する無次元出力設定値を助けるLED照明装置の較正システム及び方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、発光ダイオード(LED)ライトエンジンを較正するシステム及び方法に関し、より詳細には、照明の知覚された明るさを反映する無次元出力設定値の利用を助けるLEDライトエンジンを較正するシステム及び方法に関する。
【0007】
特定の実施形態において、照明システムのライトエンジンを用いて較正された照明光を発生させる方法であって、方法が、ライトエンジンに関する第1のデータのセットを取得することであって、第1のデータのセットが、ライトエンジンの測定された出力光束データとカラーセンサ輝度測定値とを含み、測定された出力光束データ及びカラーセンサ輝度測定値がライトエンジン入力パラメータの駆動強度データに対応する、ことと、測定された出力光束データと駆動強度データとの間の第1のマッピングを決定することと、測定された出力光束データとカラーセンサ輝度測定値との間の第2のマッピングを決定することと、第1のマッピング及び第2のマッピングに基づいて、駆動強度データとカラーセンサ輝度測定値との間の第3のマッピングを決定することと、第3のマッピングに基づいて、照明システムの複数の無次元出力設定値と駆動強度データとの間の第4のマッピングを決定することと、ユーザ入力から複数の無次元出力設定値のうちの1つを受信することと、第4のマッピングを用いて、複数の無次元出力設定値のうちの1つを、ライトエンジン入力パラメータの対応する駆動強度に合わせることと、ライトエンジンを使用して、所望の出力光束を有する照明光を発生させることとを含む、方法が提供される。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態を示すにすぎないため、本開示の範囲を限定するとみなされるべきではなく、他の均等に効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の特定の実施形態による、眼科手術の照明システムを備える例示的な外科コンソールを示す。
図2図2は、本開示の特定の実施形態による、図1の照明システムを示す。
図3図3は、本開示の特定の実施形態による、眼科手術中の図1の照明システムの照明プローブの一部を示す。
図4図4は、本開示の特定の実施形態による、図1の照明システムのライトエンジンコントローラの選択された構成要素のブロック図を示す。
図5図5は、本開示の特定の実施形態による、図1の手術システムの例示的なグラフィカルユーザインターフェースを示す。
図6図6は、本開示の特定の実施形態による、図1の照明システムのライトエンジンを較正する方法のフロー図を示す。
図7A図7Aは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において利用される初期試験データの例示的なテーブルを示す。
図7B図7Bは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的なあてはめ多項式曲線を示す。
図7C図7Cは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的な実験テーブル及び対応する例示的なグラフを示す。
図7D図7Dは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的なあてはめ多項式曲線を示す。
図7E図7Eは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的な実験テーブルを示す。
図7F図7Fは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的なあてはめ多項式曲線を示す。
図7G図7Gは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的な実験テーブルを示す。
図7H図7Hは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的な実験テーブルを示す。
図7I図7Iは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的な実験テーブルを示す。
図7J図7Jは、本開示の特定の実施形態による、図6の方法において決定される例示的なあてはめ多項式曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解しやすくするために、複数の図面に共通する同じ要素を指示するために、可能な限り同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【0011】
以下の説明では、開示される主題の理解を容易にするために、詳細が例として記載される。しかしながら、開示される実装形態が例であり、すべての可能な実装形態を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。したがって、説明される例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。説明されるデバイス、器具、方法に対する任意の変更形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の更なる任意の応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされ得ることが完全に想定される。
【0012】
本明細書で説明される場合、構成要素の遠位端、遠位セグメント、又は遠位部分は、その構成要素の使用中に患者の目標組織により近い端部、セグメント、又は部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端、近位セグメント、又は近位部分は、患者の目標組織からより遠く離れた端部、セグメント、又は部分を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指し得る。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれる可能性があることを理解されたい。
【0014】
本開示は、発光ダイオード(LED)ライトエンジンを較正するシステム及び方法に関し、より詳細には、発生された出力光の知覚された明るさ及び色が所望のユーザ入力設定に対応するように、LEDライトエンジンを較正するシステム及び方法に関する。
【0015】
上述のように、特定の既存のLED照明システムでは、ライトエンジンの結果として得られる出力は、入力の非線形関数であるため、ライトエンジンの所望の出力設定を調整する場合、発生された照明光の観測される特性は、直感的且つ線形には変化しないことがある。例えば、RGB LED照明光源は、様々な駆動電流で動作させた場合に3つのLEDから発生される光の混合から生じる、ある範囲の様々な出力色及び明るさレベルを発生させ得る。個々のLEDの出力は一般に入力電流の非線形関数であるため、結果として得られる複合出力もまた、入力に対して非線形に変化する。よって、既存の照明システムのユーザ(例えば、外科医)が、ライトエンジンの設定を調整することによって、手術中に照明光の明るさを増加又は減少させようとする場合に、実際の照明光の明るさにおいて結果として生じる差分は、外科医の所望の設定調整に対応しないことがある。その結果、外科医は、所望の明るさを得るためにライトエンジンの設定を繰り返し調整する必要があり、それにより手術の効率が低下し、また外科医のユーザ体験も低下し得る。
【0016】
したがって、本明細書で説明される方法及びシステムは、発生された照明光の観測される明るさの変化が、明るさ設定値のユーザ入力による増加又は減少に線形に対応するように、照明エンジンを較正するために利用され得る。例えば、本明細書で説明される特定の実施形態では、手術システム(例えば、手術コンソール)は、RGB LED照明システムの所望の照明明るさ設定値をフルスケールのパーセントとして(例えば、0~100%で)表示する表示装置を備え得る。ユーザは、ノブ、ボタン、又はタッチスクリーンインターフェースなどの適切なトグルを介して、明るさ設定パーセンテージを調整し得る。明るさ設定パーセンテージの調整はライトエンジンインターフェースに伝達され、制御モジュールが明るさ設定パーセンテージを適切な電気入力に変換し、その結果、調整された明るさ設定パーセンテージに対応する観測される照明の明るさレベルが得られる。
【0017】
図1は、本開示の特定の態様による、照明システムを備える例示的な手術システム100を示している。特定の例では、手術システム100は、Fort Worth、Texasに所在のAlconにより販売されている手術システムを含むがこれに限定されない眼科手術用の手術システムである。システム100は、前眼部処置、後眼部処置、硝子体網膜処置、硝子体切除処置、白内障処置、及び/又は他の手術処置など、様々な眼科処置に使用され得る。手術システム100は、コンソール104と付随するディスプレイ106とを備える。ディスプレイ106は、例えば、手術中のシステムの動作及び/又はシステムの性能に関連するデータを表示することができ、このデータは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)に配置され得る。
【0018】
一般に、コンソール104は、外科医が眼科手術などの様々な手術を行うことを可能にする1つ以上のシステム又はサブシステムを備える。例えば、コンソール104は、外科医が体腔内で手術できるように体腔内に導かれ得る照明光を発生させる光源を有する照明システム(図2の符号200)を備え得る。光源によって発生された光は、光ファイバケーブル102内に配置され、遠位側が照明プローブ108で終端する光ファイバを介して眼内に伝送され得る。いくつかの実装形態では、光は、光ファイバに入る前又は入った後に、例えば、1つ以上のレンズ、ミラー、及び/又は減衰器などの1つ以上の光学要素を通過し得る。いくつかの実装形態では、照明システムの光ファイバ及び/又は照明プローブ108を眼内に通すために、一般にカニューレと呼ばれるアクセス器具(図3の符号310)が利用され得る。カニューレは、体腔の壁を通る(例えば、眼球の強膜を通る)切開部を形成するため、又は切開するために使用され得る。いくつかの例では、カニューレは、外科医又は他の医療専門家などのユーザが別の手術用具を使用して作った切開部に挿入され得る。カニューレは、一般に、外科医が空洞内で手術を行うために1つ以上の手術器具又はプローブを挿入し得る管腔を備える。
【0019】
ハンドピース112として示されている例示的な手術器具が、コンソール104に結合され得、手術システム100の一部を形成し得る。ハンドピース112は、例えば、硝子体切除用プローブ、照明プローブ、吸引プローブ、洗浄プローブ、水晶体超音波乳化吸引装置、ジアテルミプローブ、又は他のタイプの装置を含む、任意のタイプの眼科手術プローブを表す。図示の実装形態では、ハンドピース112は、眼から硝子体を除去するために使用される硝子体切除用プローブである。ハンドピース112は、コンソール104に含まれる1つ以上のシステム又はサブシステムに結合され得る。例えば、ハンドピース112は、硝子体の除去に使用するポンプ及び/又は真空を制御する硝子体切除システムに結合され得る。硝子体切除システムはまた、ハンドピース112に電力を供給し、ハンドピース112の動作を制御し得る。いくつかの実装形態では、ハンドピース112は、例えば振動硝子体カッターなどの硝子体カッターであり得る。
【0020】
図2は、本開示の特定の態様による、図1の照明システム200を示している。照明システム200は、内部に配置された1本以上の光ファイバを備える光ファイバケーブル102を介してコンソール104に結合された照明プローブ108(例えば、眼内照明装置又はシャンデリア眼内照明装置)を備え得る。光ファイバケーブル102の近位端212は、コネクタ206を使用してコンソール104に結合される。
【0021】
コンソール104は、図2の例ではライトエンジン208と集光要素210とを備える光源を提供する。ライトエンジン208は、コントローラ218と通信し、1つ以上の発光ダイオード(LED)など、任意の適切なタイプの光源を備え得る。例えば、特定の実施形態において、ライトエンジン208は、1セット以上の赤色-緑色-青色(RGB)LEDを備える。動作中、コントローラ218からの制御信号を受信すると、ライトエンジン208は制御信号を電気入力に変換し、電気入力は、光源(例えば、RGB LED)を駆動するための1つ以上の駆動回路及び/又は電気コンポーネントに供給される。特定の実施形態において、制御信号及び/又は電気入力は、例えば、パルス幅変調(PWM)デューティサイクル、駆動電流、又は照明システム200の回路設計及び駆動方式に適切な他の適切なタイプの制御パラメータのうちの1つ以上を含む。制御信号を変換し、適切な電気入力を光源に提供した後、ライトエンジン208は光ビームを放出し、そして光ビームは、集光要素210によってコネクタ206の近位端にある開口部に集光且つ集束され、開口部は、光ファイバケーブル102を通って延びる1本以上の光ファイバの近位端を露出させる。次いで、照明プローブ108は、その遠位端214から光が投射されて、眼科手術中に内側の眼の一部分などの領域216を照明するように、光源から受け取った光ビームを伝送するように動作可能である。
【0022】
例えば、図3は、眼球の内部に光源を提供するためにカニューレ310を介して眼の壁304を通して照明プローブ108の一部分を配置させた眼300の断面図を示している。照明プローブ108の遠位端214は、光ビーム308によって眼300の内部領域を照明する。
【0023】
図4は、図1及び図2を参照して上述したように、コンソール104などの手術コンソールの一部である照明システム200などの照明システムに関連する、又はこれに結合されるコントローラ218などのコントローラの実装形態の選択された構成要素のブロック図を示している。
【0024】
図4に示すように、コントローラ218は、メモリ410と通信するプロセッサ402を備える。コントローラ218は、バス416を介して、コンソール104のディスプレイインターフェース404及び通信インターフェース420、並びに照明システム200と更に通信可能に結合される。特定の実施形態において、コントローラ218は、バス416を介して照明システム200及びコンソール104の他の構成要素とインターフェースするように構成される。いくつかの実装形態では、通信インターフェース420は、コントローラ218が、有線又は無線で、ネットワークを介して外部のコンピューティングシステム(例えば、コンピューティングシステム460)に接続することを可能にするように構成され得る。ネットワークは、1つ以上のスイッチング装置、ルータ、ローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)、広域ネットワーク(例えば、インターネット)などを含んでいてもよい。コンピューティングシステム460は、オンプレミスのコンピューティングシステムであってもよいし、プライベートクラウド又はパブリッククラウドによって提供されるコンピューティングリソースに対応してもよい。コントローラ218はまた、ディスプレイインターフェース404を介して、ディスプレイ106などの1つ以上のディスプレイに接続され得る。
【0025】
メモリ410は、永続的、揮発性、固定、取り外し可能、磁気、及び/又は半導体の媒体を含み得る。メモリ410は、1つ以上の機械可読コマンド、命令、データ、及び/又は同様のものを格納するように構成され得る。いくつかの実装形態では、図4に示すように、メモリ410は、オペレーティングシステム412、較正アプリケーション414などの、1つ以上のセット及び/又はシーケンスの命令を含み得る。オペレーティングシステム412の例としては、限定されるものではないが、UNIX(登録商標)若しくはUNIX(登録商標)様のオペレーティングシステム、Windows(登録商標)ファミリオペレーティングシステム、又は別の適切なオペレーティングシステムが挙げられる。
【0026】
較正アプリケーション414は、受信された設定値に対して観測される出力光束又は明るさを較正することに関連する動作などを含むが、これらに限定されない、本明細書で説明されるライトエンジン較正動作を実行するように構成され得る。例えば、ライトエンジン較正アプリケーション414は、ユーザによって提供された所望の照明設定(例えば、所望の明るさなど)を、ライトエンジン208のための較正された制御信号に変換する1つ以上の関数を決定する、動作600などの一連の動作を実行するようにコントローラ218を構成し得る。決定されると、関数は、照明システム200の動作中に検索できるようにメモリ410に格納され得る。例えば、照明システム200の動作中、ユーザは、ディスプレイ106のユーザインターフェースを介して所望の照明設定を入力し得る。すると、プロセッサ402は、所望の照明設定を1つ以上の決定された関数への入力として使用し、較正された制御信号を出力し、そして較正された制御信号が照明システム200に送信される。次いで、ライトエンジン208の駆動回路406は、較正された制御信号を対応する電気入力に変換し、対応する電気入力がライトエンジン208に供給されて、所望の照明設定に対応する照明光を発生させる。
【0027】
プロセッサ402及びメモリ410は、コントローラ218の構成要素として示されているが、照明システム200は、上記のプロセッサ402及びメモリ410と同一又は類似の機能を実行し得る、独自の専用プロセッサ及びメモリを備え得ることに留意されたい。つまり、照明システム200は、専用プロセッサ及びメモリを備えることができ、専用メモリは、本明細書で説明されるライトエンジン較正動作を実行するように構成された較正アプリケーションを含み得る。このような実施形態では、1つ以上のライトエンジン較正関数を決定すると、関数は、次いで、照明システム200の動作中に使用するためにコントローラ218のメモリ410に格納され得る。
【0028】
特定の実施形態において、ライトエンジン較正動作は、コンソール104及び/又は照明システム200と通信する別個のコンピューティングシステム(例えば、コンピューティングシステム460)で実行される。このような実施形態では、コンピューティングシステム460は専用プロセッサ及びメモリを備え、専用メモリは、所望の照明設定をライトエンジン208のための較正された制御信号に変換するための1つ以上の関数を導出するために、本明細書で説明されるライトエンジン較正動作(例えば、動作600)を実行する較正アプリケーションを格納する。特定の実施形態において、次いで、1つ以上の関数が送信され、メモリ410又は照明システム200専用のメモリに格納され得る。
【0029】
図5は、例えば手術システム100のディスプレイ106に表示され得る例示的なGUI500を示している。GUI500は、例えば、手術中のシステムの動作及び/若しくはシステムの性能に関連するデータ、並びに/又は1つ以上の手術装置(例えば、ハンドピース112)の動作若しくは性能に関連するデータを表示し得る。GUI500は、ウィンドウ、ツールバー、メニュー、ボタン、アイコンなどの1つ以上のグラフィカル制御要素を更に表示し得、グラフィカル制御要素により、ユーザ(例えば、外科医)は、手術中に1つ以上のモード、パラメータ、又は設定を調整することができ、また表示されたデータを行き来することができる。
【0030】
図5に示す例では、GUI500は、照明システム200の1つ以上の照明装置(例えば、照明プローブ108)の動作に関連する情報を表示するウィンドウ508を含む。表示される情報は、色及び光束(例えば、明るさ)など、1つ以上の照明装置の照明出力パラメータ又は設定を含み得る。例えば、図5に示すように、単一の照明装置(例えば、「照明装置1」と示したもの)が識別され、その出力設定と共に表示される。表示される出力設定は、照明装置1によって放出された照明光の現在の色を特定する色設定512(ここでは「クールホワイト」に設定されている)と、0~100%のパーセンテージスケールの無単位の値として、その現在の光束を特定する光束又は明るさ設定514とを含む。したがって、表示された光束設定514は、照明装置1の対応するライトエンジンによる照明光の最大発生可能光束の割合に対応する。
【0031】
特定の実施形態において、例えば色設定512及び明るさ設定514の値は、1つ以上のトグル516又はウィンドウ508の他の適切な制御要素を介して外科医によって調整され得る。例えば、手術中、外科医は、GUI500を介して照明システム200の1つ以上の照明装置の性能を、例えば、表示された照明出力設定の値を変更するように1つ以上のトグル516を押すことによって、制御することができる。表示された出力設定の値を変更することにより、今度は、コントローラ218に信号が送信されて、例えば、そこに適用される電気入力パラメータを変調することによって、照明装置の対応するライトエンジン208の性能を調整することができる。しかしながら、上述のように、ライトエンジン208がRGB LEDライトエンジンである場合、ライトエンジン208の結果として得られる出力は入力の非線形関数となる。よって、特定の既存のシステムでは、ライトエンジン208の明るさ設定(例えば、光束設定514)を調整する場合、結果として得られる照明光の明るさは、明るさ設定調整に直感的且つ線形には対応しないことがある。その結果、外科医は、所望の明るさを得るためにライトエンジン208の光束設定514を繰り返し調整する必要があり、それにより手術の効率が低下し、また外科医のユーザ体験も低下し得る。先の説明は、発生された照明光の観測される明るさが出力設定値のユーザ入力による増加又は減少に線形に対応するようにRGB LEDライトエンジンを較正する方法を提供することによって、この不備に対処している。特定の実施形態において、以下に説明する方法は、手術システム100又は照明システム200のコンピュータ又はコントローラ(例えば、コントローラ218)によって実行され得る。例えば、以下に説明する方法は、スプレッドシート又は表データソフトを実行するコンピュータ(例えば、実験室のパーソナルコンピュータ又はクラウドベースのコンピューティングリソース(例えば、NumPyノートブック))によって実行され得る。
【0032】
図6は、本開示の特定の態様による、照明システムのRGB LEDライトエンジン(例えば、ライトエンジン208)を較正する方法600のフロー図を示している。図7A図7Jは、本開示の特定の態様による方法600の動作を概略的に示している。このため、図6及び図7A図7Jは、本明細書では、わかりやすくするために一緒に説明される。
【0033】
RGB LEDライトエンジン208の較正は、ライトエンジン208が呈する入出力データ、並びに一連の経験的あてはめ及びそのスケーリング正規化の分析を含む。一連の経験的あてはめ及びそのスケーリング正規化により、無次元出力設定値(例えば、0~100%の範囲のもの)を、所望の色に関する対応するRGB LED駆動パラメータに正確にマッピングすることを可能にする定数のセットが得られる。その結果、ユーザの出力設定値の調整と、個別のライトエンジン208に合わせてカスタマイズされた照明光の明るさの知覚される変化との間に、一貫した直感的な関係が確立される。よって、RGB LEDライトエンジン208の較正により、所望のカラーバランスを維持しながら、ユーザによって選択された所望の出力設定値を、対応する観察される(例えば、出力)照明明るさレベルを発生させるRGB LED駆動パラメータに信頼可能且つ再現可能に変換することがリアルタイムで可能になる。
【0034】
次に図6に目を向けると、方法600の動作602において、ライトエンジン208の初期試験データが得られ、これを用いて、特定の事前設定色に関して、ライトエンジン208の出力光束とライトエンジン208の一次電気入力パラメータの駆動強度との間の関係をモデル化する第1の多項式あてはめ又は関数が計算される。ライトエンジン208の試験データは、ある範囲の1つ以上の電気入力パラメータにわたって、1つ以上の事前設定色に関するライトエンジン208の比色特性などの呈示される出力特性を提供する任意の適切なセットの試験データ又は検査データを含み得る。特定の実施形態において、電気入力パラメータは、駆動電流、パルス幅変調(PWM)信号のデューティサイクルなどを含む。
【0035】
例えば、特定の実施形態において、ライトエンジン208の試験データは、ライトエンジン208にLED駆動電流を印加し、そのPWM信号のデューティサイクルの時間長を調整し、1つ以上のセンサを介してデューティサイクル時間の範囲にわたってライトエンジン208の出力特性(例えば、出力光束)を測定することによって収集される。このような実施形態では、印加駆動電流を調整するのではなく、PWM信号のデューティサイクルを、例えば連続的なノブ調整を介して調整することによって、試験中に固定電流値を維持することが可能になり、これにより、計算された入出力曲線上の単一の入力点に対する予測可能性及び限局が提供され、LEDライトエンジン(例えば、ライトエンジン208)の観察される出力に対する入力の非線形性に関連する特定の問題が回避される。PWM信号のデューティサイクル時間が電気入力パラメータとして利用される特定の実施形態では、PWM信号が、ライトエンジン208に印加される前に、フィルタリングされ、アナログ駆動電流に変換される。特定の実施形態において、複数の異なる駆動入力(例えば、駆動電流)のそれぞれについて、ある範囲のデューティサイクル時間にわたって出力特性が収集される。
【0036】
特定のライトエンジン208に固有の得られた試験データによる例示的なテーブル700を図7Aに示す。図示のように、テーブル700は、少なくとも、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage:CIE)のxy色空間にしたがって整理された複数の事前設定色についてのライトエンジン208の色度及び輝度に関連するデータを含む。例えば、CIEシステムは、テーブル700の列Sp2及びSp3にそれぞれ示される2つの色座標x及びy、並びに列Sp4に示される輝度パラメータYによって色を特徴付ける。いくつかの例では、列Sp4の数は正確にはCIE Yではないが、これと高度に非線形に相関していることに留意されたい。よって、テーブル700において、列Sp2及びSp3における(行を横切る)座標の各異なる対は、特定の事前設定色に対応し、列Sp4における輝度パラメータYは、事前設定色を有する光を伝播させるためにライトエンジン208に印加される電気入力パラメータの駆動値に対応する。説明のために、例示的な5つのx,y色座標対(0.3,0.3、0.4,0.3、0.345,0.38、0.3,0.4、及び0.4,0.4)がテーブル700に示されており、それぞれが、ユーザの所望の異なる事前設定色を表している。5つの事前設定色座標のそれぞれについてライトエンジン208を較正するために、ライトエンジン208のための試験データが各事前設定色について収集され、それと共に方法600の残りの動作が個々に同時に又は順次実行される。したがって、テーブル700の試験データの各行(例えば、ライン)は、列Sp2及びSp3の対応する事前設定色座標に個別のものである。
【0037】
特定の実施形態において、試験データは、ライトエンジン208の製造業者によって収集及び提供される。特定の実施形態において、試験データは、手術システム又は照明システム(例えば、それぞれシステム100又は200)の製造業者又は組立業者によって収集される。一般に、試験データ(例えば、一次電気入力パラメータに関するある範囲の駆動値にわたるライトエンジン208の測定された生の出力特性を含む試験データ)は、ライトエンジン208又は照明システム200の内部にあり得る1つ以上のカラーセンサを使用して収集される。図7Aの例では、2つのカラーセンサからのデータが示されているが、本明細書の方法では1つのセンサだけがあれば足りる。各ライトエンジンは固有の試験データのセットを有するため、特定の実施形態において、手術システム(例えば、手術システム100)で使用される各ライトエンジン(例えば、ライトエンジン208)について試験データが収集され、方法600はそれとは別に実行される。
【0038】
図7Aに示すように、テーブル700は、列Sp26に、較正された放射測定機器によって測定されたライトエンジン208の測定された出力光束値をルーメン単位で含み、列Sp4に、特定の電気入力パラメータに関するある範囲の対応する駆動強度値を含む。本例では、PWMデューティサイクルが電気入力パラメータとして利用される。上述のように、動作602において、Sp4における駆動強度値とSp26における測定された出力光束値との間の関係が、特定の色について決定及び分析され、これに対してあてはめられた多項式曲線(本明細書では第1の関数とも呼ばれる)が生成される。図7Bのグラフ702は、色座標(0.345,0.38)の場合の関係の例示的なあてはめ曲線を示しており、駆動強度がX軸に沿ってプロットされ、測定された出力光束がY軸に沿ってプロットされている。図示のように、例示的なあてはめ曲線は次の多項式関数によって特徴付けられる。
光束(lm)=(-1.615884e-06)×(駆動値)
(1.446163e-02)×(駆動値)
【0039】
動作604において、ルーメン単位のライトエンジン208の測定された出力光束と一次電気入力パラメータの駆動強度との間の関係をモデル化するあてはめ多項式曲線が形成されると、多項式あてはめは、最大駆動強度値、すなわち推定最大出力光束におけるライトエンジン208の出力光束を推定するために使用される。一般に、最大駆動強度値は、ライトエンジン208が設置される(例えば、一緒に組み立てられる)照明システム200によって達成可能な最大入力パラメータ値である。例えば、PWM信号が入力パラメータとして利用される実施形態では、最大駆動強度値は、照明システム200によって許容される最大PWMデューティサイクルである。このような実施形態では、最大デューティサイクルは、例えば、手術システム100若しくは照明システム102のコントローラ(例えば、ライトエンジンコントローラ218)とライトエンジン208との間の通信レート、又は制御信号のクロックレートによって制限され得る。したがって、本開示の目的における推定最大出力光束は、無次元出力設定値に換算した場合にライトエンジン208の100%出力設定値に対応する。よって、ユーザ(例えば、外科医)が100%の所望の出力光束設定値を選択した場合、ライトエンジン208は、動作604で決定された推定出力光束に実質的に等しい観測される出力を発生させる。
【0040】
説明の目的で、推定最大出力光束の例示的な計算を以下に示す。以下の計算は、色座標(0.345,0.38)に関して図7Bにおいて導出された多項式あてはめ、すなわち第1の関数を利用し、システムの最大PWMデューティサイクルに対応する例示的な最大駆動強度値である3200を更に利用する。任意の手術システム及び/又は照明システムに関して、電気入力パラメータの最大駆動強度値は異なり得、その処理仕様及び/又は計算仕様に依存し得ることに留意されたい。
29.73(lm)=(-1.615884e-06)×(3200)+(1.446163e-02)×(3200)
【0041】
上記の多項式あてはめを利用すると、3200の計算された最大出力光束は29.73ルーメンであるため、本例では29.73ルーメンが特定の色座標(0.345,0.38)の100%光束に対応する。
【0042】
動作606において、今や色座標(0.345,0.38)の場合のライトエンジン208の推定最大出力光束が得られており、各所望の出力設定値のステップで(例えば、パーセントで)全範囲の目標出力(例えば、ルーメン単位の目標出力)のマッピングが決定される。換言すれば、ライトエンジン208の複数の目標出力光束値は、0~100%のパーセンテージスケールで無次元出力設定値にマッピングされる。各出力設定値の目標出力光束値は、次式を利用して計算され得る。
光束(lm)=(推定最大出力光束)×(所望の出力設定値(%))
【0043】
説明の目的で、図7A及び図7Bの例におけるライトエンジン208に適用される、動作606における出力設定値のステップへの目標出力のマッピングを説明するための代表的なテーブル704及び対応するグラフ706を図7Cに示す。図7Cの例では、推定最大出力光束は29.73lmである。したがって、5%の所望の出力設定値は1.49lmの目標出力光束に対応し、10%の所望の出力設定値は2.97lmの目標出力光束に対応し、15%の所望の出力設定値は4.46lmの目標出力光束に対応し、以下同様である。グラフ706から明らかなように、マッピングされた値は、目標出力光束と出力設定値との線形関係又は関数を形成する。
【0044】
ライトエンジン208の各所望の出力設定について目標出力光束値を決定すると、目標出力光束値は、目標出力光束値を再現するためにライトエンジン208に入力され得る対応する駆動強度値(例えば、PWMデューティサイクル時間)に変換して戻される。一般に、この変換は、動作608から始まる複数の動作において完了する。
【0045】
動作608において、第2の多項式あてはめ(本明細書では第2の関数とも呼ばれる)が、ライトエンジン208の測定された出力光束値(例えば、初期のテーブル700の列Sp26に見られるもの)と、補正されたカラーセンサY値(例えば、第1のカラーセンサによって測定された列Sp9、及び第2のカラーセンサによって測定された列Sp14に見られる補正された輝度測定値)との間の関係をモデル化するために計算される。テーブル700には2つの別個のセンサからの輝度測定値が示されているが、上述のように動作608には単一のカラーセンサからの1セットの輝度測定値だけがあれば足りる。よって、2セットの測定値は冗長であり、第1のカラーセンサからの値のセット又は第2のカラーセンサからの値のセットのいずれかが利用され得る。
【0046】
列Sp9又は列Sp14のいずれかに記載されたカラーセンサY値は、カラーセンサに光を当てたときのライトエンジン208の光束に比例するカラーセンサ測定値である。カラーセンサを照らす光は、内部の光ビームスプリッタによってセンサに向かって導かれるライトエンジン208からの全光束のごく一部である。したがって、光のこのわずかな部分の光束は、ライトエンジン208の出力光束と高度に相関している。したがって、カラーセンサY値は、すべての所望の事前設定色に対して定数を提供し、カラーセンサY値とライトエンジン208の測定された出力光束との間の関係は、出力設定値(すなわち、代表的なテーブル704におけるパーセンテージ)を、この出力設定値に以前にマッピングされた目標出力光束値をライトエンジン208に生成させる所望の駆動強度に変換するためのブリッジとして利用され得る。図7A図7Cの例における測定された出力光束とカラーセンサY値との間の関係を図7Dのグラフ708及び710に示す。特に、グラフ708は、X軸に沿ってプロットされた測定された出力光束と、Y軸に沿ってプロットされた補正されたカラーセンサY値とを示し、グラフ710は、軸を反転すなわち逆にして同じデータを示す。両方のグラフに示すように、測定された光束とカラーセンサY測定値とは線形関係を呈し、単一の多項式あてはめ又は関数のみが関係をモデル化するために一般に計算される。
【0047】
動作610において、ライトエンジン208について測定された光束及びカラーセンサY値のモデル化された関係を用いて、更なるマッピングが各所望の出力設定値についての目標出力光束と調整されたカラーセンサY値との間で決定される。動作610におけるマッピングを説明するために、代表的なテーブル712を図7Eに示す。代表的なテーブル712は、テーブル704に見られるように、各所望の出力設定値についての目標出力光束値を含むが、更に、以前に決定された出力設定値及び目標出力光束値にマッピングされた(例えば、これらに関して計算された)調整されたカラーセンサY値に関する「corr Ya」及び「corr Yb」とラベル付けされた列も含む。各出力設定値についての調整されたカラーセンサY値は、次式を利用して決定され得、ここで「a」は、動作608で決定されたあてはめパラメータの係数である。
調整されたカラーセンサY=(a)×(光束(lm))
【0048】
動作612において、ライトエンジン208の各目標出力光束値及び所望の出力設定値について決定された調整されたカラーセンサY値は、初期データテーブル700の列Sp4に見られる一次電気入力パラメータのための駆動強度値にマッピングされる。したがって、調整されたカラーセンサY値(例えば、代表的なテーブル712の列「corr Ya」及び「corr Yb」)と、駆動強度との間の直接的な関係をモデル化するために、第3の多項式あてはめ、すなわち第3の関数が計算され、これにより一般に2つのあてはめパラメータが生成される。例示的なグラフ714が図7Fに示されており、グラフ714は、X軸に沿ってプロットされた調整されたカラーセンサY値と、Y軸に沿ってプロットされた駆動強度値とを示している。代表的なグラフ714では、2つのカラーセンサのそれぞれからのデータが示されているが、上述のように、単一のカラーセンサからのデータだけが使用されてもよい。グラフ714の図示の関係は、色に依存するため、較正においてライトエンジン208の各所望の事前設定色について計算されなければならない。
【0049】
動作614において、調整されたカラーセンサY値、目標出力光束値、及び出力設定値(例えば、無次元(パーセンテージ)単位での出力設定値)は、調整された駆動強度値に更にマッピングされる。調整された駆動強度は、次式を利用して決定され得、ここで「a」及び「b」は、動作612で決定されたあてはめパラメータの係数である。
調整された駆動=(a)×(調整されたカラーセンサY)+(b)×(調整されたカラーセンサY)
【0050】
調整された駆動強度値が決定されると、次式を利用して、最大駆動強度(図7A図7Fの例では、最大駆動強度値は3200である)に対する各調整された駆動強度値のパーセンテージ(%)が計算される。
調整された駆動%=(調整された駆動)/(最大駆動)×100%
【0051】
図7A図7Fの例に基づいてライトエンジン208の調整された駆動強度及び駆動強度パーセンテージが入力された代表的なテーブル716を図7Gに示す。図示のように、動作614で計算される最大駆動強度パーセンテージは100%未満である(第1のカラーセンサについては93.45%、第2のカラーセンサについては93.40%)。したがって、動作616において、計算された調整された駆動強度は、最大駆動強度の0~100%から、全範囲の調整された駆動強度値を作成するためにスケーリングされる。スケーリングされた調整された駆動強度値を含む別の代表的なテーブル718を図7Hに示す。図示のように、以前にはスケーリングされていなかった調整された駆動強度値は100%にスケーリングされるため、3200に等しくなり、一次電気入力パラメータの達成可能な駆動強度の全範囲(例えば、LEDを駆動するためにサポートされる最大PWMデューティサイクル)をカバーする。図7A図7Hの例は動作616でスケールアップされるが、特定の実施形態では、調整された駆動強度がスケールダウンされ得ることに留意されたい。一般に、調整された駆動強度値は次式を利用してスケーリングされ得、
スケーリングされた調整された駆動%=(a)×(調整された駆動%)
上式で、「a」は次式により決定されるスケーリング係数である。
a=(最大駆動)/(調整された最大駆動)
【0052】
スケーリングされると、スケーリングされた調整された駆動値は、以前に相関され調整された駆動強度及びスケーリングされていない駆動強度並びに駆動強度パーセンテージ、調整されたカラーセンサY値(1つ以上のセンサについてのもの)、目標出力光束値、及び出力設定値(例えば、代表的なテーブル712に見られるデータ)にマッピングされる。上述のスケーリングされたマッピングを示す代表的なテーブル720を参考のため図7Iに示す。
【0053】
スケーリングされたマッピング(例えば、代表的なテーブル720に見られるデータ)を使用して、特定の事前設定色について、パーセンテージ単位の出力設定値と、スケーリングされ調整された駆動強度パーセンテージとの間の最終的な関係が決定され得る。よって、動作618において、出力設定値とスケーリングされ調整された駆動強度パーセンテージとの間の関係をモデル化するために、第4の多項式あてはめ、すなわち第4の関数が計算され、これにより、一般に2つのあてはめパラメータが得られる。この関係の代表的なグラフ722が図7Jに示され、グラフ722は、X軸に沿ってプロットされた出力設定値と、Y軸に沿ってプロットされたスケーリングされ調整された駆動強度パーセンテージとを示している。モデル化された関係から導出された2つのあてはめパラメータは、ライトエンジン208の所望の出力設定値から、ライトエンジン208の一次電気入力パラメータの調整された駆動強度へのカスタマイズされた変換を可能にし、これによりライトエンジン208は、所望の出力設定値に一致する知覚される明るさを有する照明光を発生させる。その結果、外科医などのユーザが、例えば照明装置を備える手術システムを使用しながら、ライトエンジン208の所望の出力設定に調整すると、ライトエンジン208の観測される明るさが出力設定調整に対応する。
【0054】
まとめると、本開示の実施形態は、一般に、発光ダイオード(LED)ライトエンジンを較正するシステム及び方法に関し、より詳細には、照明の観測される明るさを反映する無次元出力設定値の利用を助けるLEDライトエンジンを較正するシステム及び方法に関する。本明細書で説明される方法及びシステムは、特定の既存のLED照明システムの不備に対処するものであり、ライトエンジンの所望の出力設定を調整することにより、観測される明るさを非線形且つ非直感的に調整する。したがって、本明細書で説明される方法及びシステムは、発生された照明光の観測される明るさが、出力設定値のユーザ入力による増加又は減少に線形に対応するように、ライトエンジンを較正するために利用され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、項目リスト「のうちの少なくとも1つ」という語句は、そこに属する1つの要素を含め、これらの項目のあらゆる組合せを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組合せ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、並びにc-c-c又はa、b、及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0056】
上記の説明は、いかなる当業者も本明細書に記載される様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態が当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言と整合する全範囲が認められるべきである。
【0057】
特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの」という用語は、1つ以上を指す。当業者に知られているか又は後に知られることになる、本開示全体を通して説明した様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に献呈されることが意図されるものではない。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が「~するための手段」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、又は方法請求項の場合に、要素が「~するためのステップ」という語句を使用して列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。本明細中で使用される場合、「例示的」という語は、「例、事例、又は例示として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載されるいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。
【0058】
例示的な実施形態
実施形態1:ライトエンジンを有する照明システムを用いて較正された照明光を発生させる方法であって、照明システムの無次元出力設定値に対応するユーザ入力を受信することと、無次元出力設定値を、マッピングを使用してライトエンジン入力の対応する調整された駆動強度にマッピングすることであって、マッピングが、ライトエンジンに関する第1のデータのセットを取得することであって、第1のデータのセットが、ライトエンジンの測定された出力光束データとカラーセンサ輝度測定値とを含み、測定された出力光束データ及びカラーセンサ輝度測定値がライトエンジン入力パラメータの駆動強度データに対応する、ことと、測定された出力光束データと駆動強度データとの間の第1の関係を決定することと、測定された出力光束データとカラーセンサ輝度測定値との間の第2の関係を決定することと、駆動強度データとカラーセンサ輝度測定値との間の第3の関係を決定することと、無次元出力設定値とライトエンジン入力パラメータの駆動強度データとの間の第4の関係を決定することであって、第4の関係が、所望の出力光束を有する照明光を発生させるようにライトエンジンを駆動するためのライトエンジン入力パラメータの対応する調整された駆動強度に、無次元出力設定値を変換することを可能にする、こととにより導出される、ことと、所望の出力光束を有する照明光を発生させるように調整された駆動強度でライトエンジンを駆動することとを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
【国際調査報告】