(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】有機膜研磨組成物及びこれを用いた研磨方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240628BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240628BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622B
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572212
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2022008090
(87)【国際公開番号】W WO2022260433
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074283
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒソク
(72)【発明者】
【氏名】イ クファ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェホン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンデ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヒョン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
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3C158BA04
3C158BA05
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5F057AA28
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5F057EA31
(57)【要約】
本発明は、親水性基と疎水性基とを共に含んでいる研磨促進剤を含み、ポリマー(Polymer)、SOC、SOHだけでなく、無定形炭素膜(ACL)またはDLC(Diamond-Like Carbon)のように共有結合で強く結合されている有機膜に対しても研磨速度が高く維持される有機膜研磨組成物及びこれを用いた研磨方法に関するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨粒子と、
研磨促進剤と、
溶媒と、
を含み、
前記研磨促進剤は、親水性基と炭素数5~30の疎水性基とを含み、
前記研磨粒子の表面電荷と前記研磨促進剤の親水性基の電荷とが相反する有機膜研磨組成物。
【請求項2】
前記研磨粒子は、シリカを含む請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項3】
前記研磨粒子は、表面が改質された研磨粒子である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項4】
前記研磨粒子は、表面にアルミニウムを含むものである請求項3に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項5】
前記研磨粒子は、アルミニウムクラスタが表面にコーティングされたものである請求項4に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項6】
前記研磨粒子を1~20重量%で含む請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項7】
前記研磨促進剤の疎水性基は、炭素数7~28のカーボンバックボーン(Carbon backbone)を含む請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項8】
前記研磨粒子の表面は、陽電荷であり、
前記研磨促進剤の親水性基は、陰電荷である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項9】
前記研磨粒子の表面は、陰電荷であり、
前記研磨促進剤の親水性基は、陽電荷である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項10】
前記研磨促進剤の含量は、5~200ppmである請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項11】
pHが3~7である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項12】
前記研磨粒子のゼータポテンシャル(Zeta Potential)は、10~80mVである請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項13】
バイオサイド(Biocide)をさらに含む請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項14】
前記有機膜研磨組成物は、ポリマー膜(Polymer Layer)研磨用である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項15】
前記有機膜研磨組成物は、無定形炭素膜(Amorphous Carbon Layer)研磨用である請求項1に記載の有機膜研磨組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の有機膜研磨組成物を用いた研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機膜研磨組成物及びこれを用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置が発展するにつれて、デバイスのサイズは次第に小さくなり、求められる性能は高くなりながら、線幅の微細化及び素子の高集積度を求める研究が急速に進行されている。
【0003】
半導体素子の高集積化のためには、回路を上に積み上げる多層の積層技術と、さらに高い厚みのハードマスクが必要になるが、これは、既存のように厚い厚みのPR(photoresist)を使用して高い構造物を作るようになる場合、縦横比(aspect ratio)が高くなり、PRパターン(pattern)の崩壊が起こるためである。
【0004】
上記の問題を解決しようとして、犠牲膜としてSOC(Spin on Carbon)またはSOH(Spin on Hardmask)とACL(Amorphous Carbon Layer)とを利用したハードマスク(Hardmask)を使用してPRをパターニングしているが、スピンコーティングを利用するSOC及びSOHは、CVD(Chemical Vapor Deposition)蒸着方式のACLに比べてエッチ耐性が良くなく、益々厚いハードマスクを要求するデバイスでは適切でない。
【0005】
したがって、高集積化された次世代デバイスの工程では、CVD蒸着方式のACLハードマスクを活用する要求が増えているが、CVD方式は、化学蒸気を使用することにより、これらが固まって発生するクラスタ(Cluster)または炭素粒子(carbon particle)等がACL表面に形成されるようになり、このような粒子等は、結果的に収率と生産性を落とす原因になる。
【0006】
上記の問題点を解決するために、ACL表面を研磨して均一な平坦度を有するCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術が求められているが、まだ、ACLを効果的に研磨できるCMPスラリー組性物が開発されていない実情である。
【0007】
通常、ACLは、炭素-炭素の結合が非常に強く、化学的に非活性を見せ、CVD蒸着温度が高くなるほど、高い硬度を有するACLの研磨はさらに難しくなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来技術の問題点を解決しようとして、本発明の目的は、ACLのように非常に硬いカーボン系膜でも優れた研磨品質とともに、高い研磨速度が実現され得る有機膜研磨組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記有機膜研磨組成物を用いて、優れた研磨品質とともに、高い研磨速度が実現可能な研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明の一側面による有機膜研磨組成物は、研磨粒子、研磨促進剤、及び溶媒を含み、前記研磨促進剤は、親水性基と炭素数5~30の疎水性基とを含み、前記研磨粒子の表面電荷と前記研磨促進剤の親水性基の電荷とが相反することを特徴とする。
【0011】
前記研磨粒子は、シリカを含むことができ、表面が改質され得る。このとき、研磨粒子の表面は、アルミニウムを含むことができるが、具体的に、研磨粒子は、アルミニウムクラスタが研磨粒子表面にコーティングされたものであることができる。
【0012】
前記有機膜研磨組成物は、研磨粒子を1~20重量%で含むことができる。
【0013】
前記研磨促進剤の疎水性基は、炭素数7~28のカーボンバックボーン(Carbon backbone)を含むことができ、有機膜研磨組成物に対して5~200ppmで含まれることができる。
【0014】
本発明の他の一側面による研磨方法は、前記有機膜研磨組成物を用いて研磨する方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る有機膜研磨組成物を用いると、ポリマー(Polymer)、SOC、SOHだけでなく、無定形炭素膜(ACL)またはDLC(Diamond-Like Carbon)のように共有結合で強く結合されている有機膜に対しても、研磨膜質の欠点またはスクラッチなどがわずかに発生しながらも高い研磨速度が実現され得る。
【0016】
また、本発明に係る有機膜研磨組成物を用いると、研磨膜の破片が再度研磨膜表面に容易に結合されず、研磨膜破片を容易に排出でき、工程効率が増大するという効果がある。
【0017】
また、前記有機膜研磨組成物を用いると、ACLまたはDLCのように共有結合で強く結合されている有機膜を、低い圧力下でも優れた品質の研磨品質とともに、高い研磨速度を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】研磨粒子10の一実施形態として表面が改質された構造を概略的に示したものである。
【
図2】本発明の研磨促進剤の一実施形態を概略的に示したものである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る有機膜研磨組成物を用いて有機膜を研磨するメカニズムを簡略に示したものである。
【
図4】無定形炭素膜(ACL)を本発明の実施例及び比較例による有機膜研磨組成物で各々研磨した後のCMP廃液を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書及び請求の範囲に使用された用語または単語は、通常的であるか、辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、その自分の発明を最も最善の方法にて説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に基づいて、本発明の技術的思想に合致する意味と概念と解釈されなければならない。
【0020】
したがって、本明細書に記載された実施例及び製造例に図示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらに代えることができる様々な均等物と変形例等がありうることを理解すべきである。
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の相違した形態で実現されることができ、ここで説明する製造例及び実施例に限定されない。
【0022】
本発明の一実施形態に係る有機膜研磨組成物は、研磨粒子、研磨促進剤、及び溶媒を含み、前記研磨促進剤は、親水性基と炭素数5~30の疎水性基とを含み、前記研磨粒子の表面電荷と前記研磨促進剤の親水性基の電荷とが相反するという特徴がある。前記研磨粒子の表面電荷は、ゼータ電位測定器(例:Anton paar社のlitesizer500)を利用して特定pHの水溶液に研磨粒子が分散された分散液のゼータポテンシャルを測定することにより測定されることができる。前記研磨促進剤の親水性基の電荷は、有機膜研磨組成物(スラリー)内の研磨促進剤と同一の含量の研磨促進剤を水溶液に添加した測定溶液を研磨対象膜の表面にローディングして、研磨促進剤が研磨対象膜に吸着されるように誘導した後、前記研磨促進剤が吸着された研磨対象膜(平板試料)を対象とするゼータ電位測定器(例:Anton paar社のSurpass3)を利用して測定されることができる。
【0023】
研磨粒子は、化学-機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)を行う通常の研磨剤(Abrasive)を使用でき、研磨粒子は、表面が電荷を帯びている粒子であって、表面が改質されたものであることができるが、表面が改質されなかったものであることもできる。研磨粒子の種類は、特に制限されないが、一例として、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、シリカなどを含むことができる。その中で、表面が熱力学的に安定して、強い吸着あるいは共有結合による表面改質が容易なシリカが含まれることが好まれ得るし、シリカの種類では、コロイダルシリカ、フュームドシリカなどを挙げることができる。
【0024】
研磨粒子は、表面に電荷を帯びる物質であり、研磨粒子表面は、後述する研磨促進剤の親水性基の電荷と相反する電荷を帯びており、静電気的引力により研磨粒子が研磨対象にさらに容易に接近できるようにする。
【0025】
研磨粒子が静電気的引力を利用して研磨対象にさらに容易に接近できるようにするために、研磨粒子は、表面が改質され得る。具体的に、表面改質された研磨粒子は、表面改質されなかった状態よりゼータポテンシャルが大きく向上しうるし、これは、研磨性能向上の要因として作用することができる。
【0026】
図1は、研磨粒子10の一実施形態として表面が改質された構造を概略的に示したものである。
【0027】
図1に示すように、表面が改質された研磨粒子10は、大別して、中心部11と、前記中心部11の表面を覆う表面部12とに区分されることができる。このとき、必ずしも表面部12が中心部11の全ての表面を覆っている必要はなく、部分的に中心部11の一部が外部に露出され得る。
【0028】
表面が改質された研磨粒子10の中心部11は、化学-機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)を行う通常の研磨剤(Abrasive)であることができ、例えば、シリカを含む、シリカ系の研磨剤であることができ、具体的な例として、コロイダルシリカまたはフュームドシリカを使用することができるが、前記例示に制限されるものではない。
【0029】
表面が改質された研磨粒子10の表面部12は、表面電荷を高めるために、種々の金属化合物を含む改質剤で改質されることができ、表面が強い陽電荷を帯びるようにするために、アルミニウム化合物を含む改質剤を用いて研磨粒子表面部12がアルミニウムを含むようにすることができる。
【0030】
研磨粒子表面部12がアルミニウムを含む場合、陽電荷(+)を帯びるようになり、このとき、研磨促進剤の親水性基は、陰電荷(-)を帯びることが有機膜研磨に効果的である。
【0031】
具体的に、前記研磨粒子表面部12のアルミニウムは、アルミニウムクラスタ形態であることができ、より具体的に、研磨粒子は、表面にアルミニウムクラスタがコーティングされた形態であることができる。前記アルミニウムを表面に含むように表面改質された研磨粒子は、粒子表面で強い陽電荷を帯びることができ、前記アルミニウムがクラスタ形態で研磨粒子表面にコーティングされた場合、より強い陽電荷が発現され得るし、前記表面改質を介してさらに高い研磨速度、欠点やスクラッチが少ない良質の研磨品質、高い研磨選択性を有することができる。
【0032】
前記改質剤として、アルミニウム化合物の他にも、塩化アルミニウム(Aluminium Chloride)、硫酸アルミニウム(Aluminium Sulfate)、硫酸アルミニウムアンモニウム(Ammonium Aluminium Sulfate)、硫酸アルミニウムカリウム(Aluminium Potassium Sulfate)、硝酸アルミニウム(Aluminium Nitrate)、トリメチルアルミニウム(Trimethylaluminium)、リン化アルミニウム(Aluminium phosphide)などを使用することができ、前記例示のうち、少なくとも1つ以上を選択して使用することができるが、本発明が前記例示に限定されるものではない。
【0033】
前記アルミニウムクラスタは、種類に制限されないが、アルミニウムを含む陽イオン複合体を含むことができる。アルミニウムクラスタは、特に、[Al(OH)]2+、[Al(OH)2]+、[Al2(OH)2(H2O)8]4+、[Al13O4(OH)24(H2O)12]7+、及び[Al2O8Al28(OH)56(H2O)26]18+のうち1つ以上の陽イオン複合体構造が含まれ得るし、2種類以上のアルミニウムクラスタ陽イオン複合体を含む場合、研磨性能が顕著に向上することができる。陽イオン複合体のカウンター陰イオンは制限されず、例えば、Cl-、SO4
2-、NO3
-、P-などであることができる。
【0034】
前記改質剤の含量は、研磨粒子が有機膜研磨組成物の全体重量の0.1~20重量%である場合、有機膜研磨組成物の全体重量に対して0.02~5重量%で使用されることができ、具体的に、研磨粒子が有機膜研磨組成物の全体重量の0.5~10重量%である場合、改質剤の含量は、有機膜研磨組成物の全体重量に対して0.03~4重量%で使用されることができるが、前記例示に特に限定されない。しかし、前記重量範囲内で研磨組成物の研磨均一度が特に優れ、かつ研磨量がさらに向上しうる。
【0035】
表面が改質された研磨粒子10は、例えば、前記アルミニウムクラスタが研磨粒子中心部11物質表面の一部または全部にコーティングされて形成されることができる。コーティングの形態は制限されず、研磨粒子中心部11物質とアルミニウムクラスタとの共有結合(研磨粒子中心部11物質のヒドロキシ基とアルミニウムクラスタのヒドロキシ基との縮合結合等)、イオン結合、物理的結合などからなることができる。
【0036】
アルミニウムクラスタを研磨粒子中心部11にコーティングして、表面が改質された研磨粒子10を形成する方法の一例として、アルミニウム化合物及びシリカ粒子を水に入れて水分散液を製造するステップ及び前記水分散液を攪拌して、アルミニウムクラスタがコーティングされた研磨粒子10で表面改質反応させるステップを含むことができる。水は、脱イオン水であることができる。アルミニウム化合物を脱イオン水に添加して溶液を製造し、前記溶液にシリカ粒子を添加して、シリカ粒子が分散された水分散液を製造できる。ここで、水分散液とは、研磨粒子が水に均一に分散された形態だけでなく、不均一に分散された形態も含む。ここで、前記改質反応のpHは、3.0~6であることができ、具体的に、pHは、3.0~5.7、より具体的には、4.0~5.5であることができる。改質反応のpH値により、得られるアルミニウムクラスタの種類が変わり、表面改質された研磨粒子の構造が変わり得る。
【0037】
研磨粒子改質反応のpHを調整するためのpH調整剤は制限されず、2種以上のpH調整剤を共に使用することもできる。前記pH調整剤の種類では、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、クエン酸などの酸性調整剤と、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの塩基性調整剤を例に挙げることができる。前記pH調整剤は、改質反応時のpH制御のために使用されることができ、最終研磨組成物のpHを研磨工程に合うように調整するために使用されることもできる。
【0038】
研磨粒子の含量は、特に限定されるものではないが、具体的に、前記研磨粒子は、有機膜研磨組成物の全体に対して0.1~20重量%、具体的に、1~20重量%、より具体的に、3~15重量%、さらに具体的に、5~10重量%で含まれることができる。研磨組成物の全体重量に対して研磨粒子の含量が0.1重量%以上である場合、研磨プロファイル(均一度)が大きく向上することができ、1重量%以上で特に優れたプロファイルが実現され得るし、20重量%以下である場合、研磨膜質の欠点及びスクラッチがわずかであって、研磨品質と研磨量に優れることができる。
【0039】
前記研磨促進剤は、電荷を有する親水性基と炭素数5~30の疎水性基とを含む。
【0040】
図2は、本発明の研磨促進剤の一実施形態を概略的に示したものである。しかし、前記研磨促進剤が
図2において開示している形態に限定されるものではない。
【0041】
図2に示すように、研磨促進剤20は、親水性基21と疎水性基22とに区分されることができ、研磨促進剤の静電気的引力をより効果的にするために、疎水性基22が炭素原子を5~30個、具体的に、7~28個、より具体的に、7~16個、さらに具体的に、8~13個含むことができる。このとき、疏水性基の構造は特に限定されないが、例えば、炭素鎖形態であることができる。そして、前記鎖は、分枝を形成した形態であることができる。疎水性基22の炭素数が5未満である場合、疏水性基の疏水性相互作用(hydrophobic interaction)が劣り、研磨促進剤が研磨対象である有機膜表面に安定的に位置し難いため、研磨促進剤20による研磨速度向上を期待し難くなるという問題が発生しうる。逆に、疏水性基の炭素数が30超過である場合、研磨促進剤で自由に動くことができる疎水性基22の比重があまり大きくなりつつ、研磨組成物内で研磨促進剤20の溶解度及び分散度が低下し、研磨促進剤の有機膜表面に位置しても立体障害(Steric hindrance)のため、研磨速度が改善されないという問題が発生しうる。
【0042】
研磨促進剤20の疎水性基22は、例えば、鎖構造であって、炭素数7~28のカーボンバックボーン(Carbone backbone)を含むことができ、前記炭素数範囲のカーボンバックボーンは、組成物内で研磨促進剤の溶解度が特に高いことができ、これにより、有機膜研磨組成物の安定性が高くなり、優れた研磨速度を提供できる。研磨促進剤20の疎水性基22は、具体的に、炭素数7~16のカーボンバックボーン(Carbone backbone)、より具体的に、炭素数8~14のカーボンバックボーン(Carbone backbone)、さらに具体的に、炭素数8~12のカーボンバックボーン(Carbone backbone)を有することができ、前記具体的な炭素数を有したカーボンバックボーンを有した研磨促進剤は、研磨組成物内で疏水性相互作用が特に優れており、研磨速度をさらに向上させることができる。
【0043】
研磨促進剤は、具体的に、オリゴマー型研磨促進剤であることができる。オリゴマー型研磨促進剤20は、一実施形態として
図2のように図示することができ、親水性基の頭(head)部と疏水性基の尾(tail)部とからなることができる。オリゴマー型研磨促進剤20の場合、有機膜研磨組成物が高い研磨速度を有するだけでなく、研磨促進剤が有機膜破片(CMP、41)排出をより円滑にする効果を有することができる。
図3に示すように、有機膜破片(ACL debris)は、研磨促進剤の疏水性基が有機膜破片表面と疏水性相互作用を介しての結合を形成し、親水性基を破片表面に露出するようになるので、組成物内でさらに分散が容易になり、これを通じて有機膜破片は、より円滑に排出されることができる。
【0044】
互いに相反した電荷を有する研磨促進剤の親水性基21と研磨粒子10の電荷は、静電気的引力が作用し、これを利用して研磨効率を向上させることができる。例えば、研磨促進剤が
図2のようにオリゴマー型研磨促進剤の形態である場合、親水性基21は、研磨促進剤の頭(head)部になることができる。研磨促進剤の親水性基21は、研磨粒子との電荷関係を除いては、特に種類に限定されないが、例えば、スルフェート(Sulfate)、スルホネート(Sulfonate)、ホスフェート(Phospate)、カルボキシレート(Carboxylate)、またはこれらの誘導体のうち1つ以上を含むことができる。
【0045】
静電気的引力を利用して研磨効率を向上させるために、研磨粒子10の表面は、陽電荷であり、研磨促進剤の親水性基21は、陰電荷であることができ、または、研磨粒子10表面が陰電荷であり、研磨促進剤の親水性基21が陽電荷であることができる。前記親水性基が陽電荷を有する研磨促進剤は、例えば、ペンチルアンモニウムブロミド(Pentylammonium bromide)、ペンチルトリエチルアンモニウム(Pentyltriethylammonium)、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミド(Triethylhexylammonium bromide)、トリメチルオクチルアンモニウムブロミド(Trimethyloctylammonium bromide)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(Decyltrimethylammonium bromide)、及びトリメチル-テトラデシルアンモニウムクロライド(Trimethyl-tetradecylammonium chloride)からなる群より選ばれた1種または2種以上であることができる。前記親水性基が陰電荷を有する研磨促進剤は、例えば、ソジウム1-ヘプタンスルホネートモノハイドレート(Sodium 1-heptanesulfonate monohydrate)、ソジウムn-ヘプチルスルフェート(Sodiumn-heptyl sulfate)、ソジウムオクチルスルフェート(Sodium octyl sulfate)、ジポタシウムオクチルホスフェート(dipotassium octyl phosphate)、コバルト(II)オクチルホスフェート(cobalt(II) octyl phosphate)、ポタシウムオクチルハイドロゲンホスフェート(potassium octyl hydrogen phosphate)、ソジウム6-スルホナトオキシウンデカン(Sodium6-sulfonato oxy undecane)、ソジウムヘキサデシルスルフェート(Sodium hexadecyl sulfate)、硫酸ノナデシルナトリウム塩(Sulfuric acid nonadecyl=sodium salt)、ソジウムエイコシルスルフェート(Sodium eicosyl sulfate)、ソジウムイコシルハイドロゲンスルフェート(Sodium icosyl hydrogen sulfate)、ソジウムドコシルスルフェート(Sodium docosyl sulfate)、ソジウムトリコシルスルフェート(Sodium tricosyl sulfate)、ソジウムヘキサコシルスルフェート(Sodium hexacosyl sulfate)、ソジウムオクタコシルスルフェート(Sodium octacosyl sulfate)、ソジウムトリアコンチルスルフェート(Sodium triacontyl sulfate)、及びソジウムテトラトリアコンチルスルフェート(Sodium tetratriacontyl sulfate)からなる群より選ばれた1種または2種であることができる。
【0046】
研磨促進剤の疎水性基22が有機膜方向に配向される場合、研磨促進剤の親水性基21は、有機膜の外側方向に配向され、研磨促進剤の親水性基21は、外部に露出される形態であることができる。したがって、研磨促進剤の親水性基21と研磨粒子10表面の電荷が相反した場合、静電気的引力を利用して研磨粒子が有機膜表面にさらに容易に接近でき、組成物を用いた研磨効率が向上しうる。
【0047】
このとき、研磨促進剤20の含量は、有機膜研磨組成物に対して5~200ppmであるものが好まれ、例えば、30~160ppm、30~120ppm、50~100ppm、50~90ppmであることができる。研磨促進剤20の含量が5ppm以上である場合、研磨効率低下を防止でき、研磨促進剤20の含量が200ppm以下である場合、研磨粒子の不安定性を防止でき、これにより、研磨率が低下したり、表面スクラッチが発生するという問題を防止できる。
【0048】
研磨効率を向上させるためには、研磨粒子10単独のゼータポテンシャルより研磨粒子表面と研磨促進剤を含む有機膜表面のゼータポテンシャル差の絶対値が重要な要素である。このとき、研磨促進剤を含む有機膜表面とは、研磨促進剤が有機膜表面に位置した状態で前記研磨促進剤の親水性基によりさらに強い電荷を帯びるように誘導された有機膜表面を意味し、有機膜表面のゼータポテンシャルは、研磨促進剤によりさらに強い陰電荷を帯びるように誘導されることができる。
【0049】
研磨粒子または有機膜のゼータポテンシャルは、一般的に、pHの変化に敏感に変化する。通常、酸性pH領域へ行くほど、ゼータポテンシャルは、陽電荷(+)が強くなってから平衡に達し、塩基性pH領域へ行くほど、陰電荷(-)が強くなってから平衡に達するようになる。ゼータポテンシャルが0mVになるpH地点である等電点(IEP)を外れたpH領域で、研磨粒子と有機膜のゼータポテンシャルが反対であり、そのサイズの差が大きいほど、研磨速度は増加されることができる。
【0050】
したがって、研磨組成物のpHにより研磨粒子のゼータポテンシャルと研磨促進剤を含む有機膜表面のゼータポテンシャルとが調整され得る。例えば、有機膜研磨組成物のpHが3~7である場合、研磨組成物の研磨効率が優れることができる。より高い研磨効率実現のために、研磨組成物のpHは、具体的に、3~5.5、より具体的に、3.5~4.5である有機膜研磨組成物を使用する場合、研磨効率が特に高く表れることができる。研磨組成物のpHが7以下である場合、研磨剤の分散性低下による組成物の安定性低下の問題を防止できるので、pHを7以下にして、研磨組成物の安定性を優秀に維持することができる。pHが3以上である場合、研磨促進剤を含む有機膜表面は、陰電荷を帯びるようになり、研磨粒子は、陽電荷を帯びるようになり、これにより、静電気的引力を利用した研磨効率が高くなり得る。したがって、ゼータポテンシャルを用いて研磨効率を安定的に向上させるためには、研磨組成物のpHが3以上であることが好まれ得る。
【0051】
研磨組成物の前記pH範囲を満たすために、酸性あるいは塩基性pH調整剤のうち、少なくとも1つ以上を使用できる。酸性調整剤は、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、ギ酸、クエン酸のうち1つ以上であることができるが、前記例示に限定されない。そして、塩基性調整剤は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムのうち1つ以上であることができるが、前記例示に限定されるものではない。
【0052】
研磨粒子10のゼータポテンシャル(Zeta Potential)は、前記表面改質とpH調整を介して10~80mV、具体的に、10~60mV、より具体的に、30~60mVであることが研磨効率を向上させるのに最適の範囲でありうる。例えば、前記研磨粒子のゼータポテンシャル10~80mVであるとき、研磨促進剤を含む有機膜表面のゼータポテンシャルは、-60~0mVであり、研磨粒子と前記有機膜表面のゼータポテンシャル差の絶対値は、10~120mVであるとき、優れた研磨効率が実現され得る。より効果的な研磨効率のために、研磨粒子のゼータポテンシャルが20~60mVであり、研磨促進剤を含む有機膜表面のゼータポテンシャルは、-60~-10mVであり、研磨粒子と有機膜表面のゼータポテンシャル差の絶対値が30~120mVに調整され得る。特に、研磨粒子のゼータポテンシャルが30~60mVであり、研磨促進剤を含む有機膜表面のゼータポテンシャルは、-60~-30mVであり、研磨粒子と有機膜表面のゼータポテンシャル差の絶対値が60~120mVである場合、さらに優れた研磨効率を実現できる。
【0053】
本発明の一実施形態に係る有機膜研磨組成物は、性能向上のために様々な添加剤をさらに含むことができる。
【0054】
具体的に、微生物汚染防止のために、バイオサイド(Biocide)を含むことができる。例えば、イソチアゾリノン(Isothiazolinone)またはその誘導体、メチルイソチアゾリノン(Methyl isothiazolinone:MIT、MI)、クロロメチルイソチアゾリノン(Chloromethyl isothiazolinone:CMIT、CMI、MCI)、ベンズイソチアゾリノン(Benz isothiazolinone:BIT)、オクチルイソチアゾリノン(Octyl isothiazolinone:OIT、OI)、ジクロロオクチルイソチアゾリノン(Dichlorooctylisothiazolinone:DCOIT、DCOI)、ブチルベンズイソチアゾリノン(Butylbenzisothiazolinone:BBIT)、またはポリヘキサメチルレングアニジン(PHMG)であることができる。バイオサイドの含量は制限されず、有機膜研磨組成物の全体重量に対して0.0001~0.05重量%、具体的に、0.005~0.03重量%であることができる。
【0055】
この他にも、分散安静剤、研磨プロファイル改善剤などが含まれ得る。
【0056】
分散安静剤は、例えば、酢酸ナトリウム(Sodium Acetate)と酢酸(Acetic Acid)との組み合わせ、硫酸ナトリウム(Sodium Sulfate)と硫酸(Sulfuric Acid)との組み合わせ、クエン酸(Citric Acid)、グリシン(Glycine)、イミダゾール(Imidazole)、及びリン酸カリウム(Potassium Phosphate)のうち1つ以上であることができる。特に、酢酸ナトリウム(Sodium Acetate)と酢酸(Acetic Acid)との組み合わせまたは硫酸ナトリウム(Sodium Sulfate)と硫酸(Sulfuric Acid)との組み合わせが、共役酸、共役塩基の存在によりpH安定性に優れ、分散性維持に有利である。分散安静剤の使用含量は、500~8000ppm、具体的に、600~5000ppmが使用され得る。
【0057】
研磨プロファイル改善剤は、研磨対象膜質の研磨後の平坦度を向上させるために含まれることができ、一例として、ピコリン酸(Picolinic Acid)、ピコリン(Picoline)、ジピコリン酸(Dipicolinic Acid)、ピリジン(Pyridine)、ピぺコリン酸(Pipecolic acid)、キノリン酸(Quinolinic Acid)などを挙げることができ、使用含量は、100~1000ppm範囲で使用されることができる。
【0058】
本発明の一実施形態に係る有機膜研磨組成物の溶媒30は、前記組成物を溶解できる溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、蒸留水であることができる。
【0059】
本発明の一実施形態に係る研磨組成物の研磨対象は制限されず、エポキシ(Epoxy)、アクリレート(Acrylate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリベンゾオキサゾール(Polybenzoxazole)などのポリマー膜(Polymer Layer)、SOC(Spin on Carbon)、SOH(Spin on Hardmask)、無定形炭素膜(Amorphous Carbon Layer、ACL)などの炭素含有膜質、銅、アルミニウム、タングステンなどの金属配線、及びこれらが同時に存在する複合膜を例に挙げることができる。前記複合膜の場合、同時に研磨を行うこともできる。特に、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)で形成された無定形炭素膜またはDLC(Diamond-Like Carbon)のように、非常に硬いカーボン系膜に対して高い研磨速度を実現できる。
【0060】
本発明の他の一実施形態に係る研磨方法は、前記有機膜研磨組成物を用いて研磨する方法であって、具体的な例として、上記本発明の一実施形態に係る研磨組成物を研磨パッドに均一に塗布するステップと、研磨対象膜が形成された基板を前記研磨組成物が均一に塗布された研磨パッドと接触させて、摩擦により研磨対象膜の少なくとも一部分を除去するステップとを含むことができる。前記研磨対象膜は有機膜であり、研磨剤として本発明に係る有機膜研磨組成物を使用する点を除いては、一般的に使用される研磨方法を利用でき、前記例示に限定されるものではない。
【0061】
本発明の一実施形態に係る研磨方法は、前記有機膜研磨組成物を用いながら、エポキシ(Epoxy)、アクリレート(Acrylate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリベンゾオキサゾール(Polybenzoxazole)などのポリマー膜(Polymer Layer)、SOC(Spin on Carbon)、SOH(Spin on Hardmask)、または無定形炭素膜(Amorphous Carbon Layer、ACL)などの炭素含有膜質を研磨する研磨方法であることができる。
【0062】
研磨速度は、圧力と研磨装備の回転RPMに比例して上昇する。ACLの場合、非常に硬い炭素共有結合により、従来、3psi程度の高い圧力を利用してこそ研磨され、これより低い圧力では研磨がうまくいかないという問題点がある。しかし、本発明に係る研磨組成物は、3psi以下の圧力、具体的に、0.5~1psiの非常に低い圧力でも高い研磨速度実現が可能であり、3psi以上の圧力では、非常に速い研磨速度を見せることができる。
【0063】
図3は、有機膜をACLとし、研磨促進剤の親水性基が陰電荷を帯び、研磨促進剤が
図2のようにオリゴマー型であり、研磨粒子表面は陽電荷である、本発明の一実施形態に係る有機膜研磨組成物を用いて有機膜を研磨するメカニズムを簡略に示したものである。
図3に示すように、ACLを研磨対象有機膜40として、研磨粒子10が静電気的引力の助けを受けて有機膜40へと接近して有機膜40を研磨し、研磨を介して発生した有機膜破片41と研磨粒子10とが結合して有機膜破片と結合された研磨粒子50が形成されたことを示したものである。このとき、研磨促進剤20の疎水性基22は、有機膜40面方向に配向されていることができる。
【0064】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示するが、下記の実施例は、本発明を例示するだけであり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0065】
[製造例1:表面改質された研磨粒子の製造]
下記の表1に提示された研磨粒子の重量と改質剤の含量を脱イオン水(D/W)に添加した後、改質反応のpH制御のためにpH調整剤を添加した。その後、常温、常圧条件で6~24時間の間機械的攪拌機で攪拌してアルミニウムクラスタでコーティングされ、表面改質された研磨粒子を製造した。
【0066】
【0067】
[製造例2:有機膜研磨組成物の製造]
下記の表2に示した研磨粒子の種類及び研磨促進剤含量によって常温、常圧条件で混合し、機械的撹拌機を使用した攪拌環境下にpH調整剤を添加して比較例1及び2と実施例1~15の有機膜研磨組成物を製造した。このとき、研磨粒子として、前記製造例1の表面改質された研磨粒子、アルミナ、ジルコニア、及びセリアのうちいずれか1つを使用し、研磨促進剤として、疏水性基の炭素数が8である陰イオン研磨促進剤を使用した。
【0068】
【0069】
[実験例1:研磨促進剤含量によるACL研磨速度比較]
実験ウエハ(Wafer)は、無定形炭素膜(ACL)12インチブランケット(Blanket)を使用し、研磨装備(Polisher)は、AP-300(CTS社)を使用し、研磨パッド(Pad)は、IC-1010(Rohm & Haas社)を使用し、M-2000(JA Woollam社)及びCMT-SR5000(AIT社)を用いて研磨速度を測定し、下記の表3に表した。表2と表3を参照すれば、研磨促進剤が含まれた実施例の場合、研磨速度が大きく向上することが分かる。また、実施例8と実施例13~15とを比較すれば、表面が改質された研磨粒子を使用することにより、研磨速度が顕著に向上することを確認できる。
【0070】
【0071】
[実験例2:研磨促進剤含量による研磨後のCMP廃液色相比較]
図4は、無定形炭素膜(ACL)を前記製造例2で製造された比較例1(a)、実施例3(b)、実施例4(c)、実施例6(d)、実施例7(e)、及び実施例8(f)の有機膜研磨組成物で各々研磨した後のCMP廃液色相を比較したものである。
【0072】
図4に示すように、本発明に係る有機膜研磨組成物(b、c、d、e、f)を使用したCMP廃液色相は、非常に濁っているのに対し、研磨促進剤を使用しなかった場合(a)のCMP廃液色相は、相対的に非常に澄んでいることを確認でき、これを通じて本発明の有機膜研磨組成物のACL研磨効果が優れていることが分かる。
【0073】
表3を参照すれば、ACLの研磨速度は、研磨促進剤の濃度が増加するにつれて上昇してから、一定濃度以上では、類似した研磨速度に維持されることを見ることができるが、
図4に示すように、CMP廃液の色相は、研磨促進剤の濃度増加により濃くなり続けることを確認できる。
【0074】
CMPにより研磨されたACL破片は、疏水性の表面特性を有していることで、親水性のスラリー溶液内でよく分散できず、CMP廃液に排出され難い。しかし、研磨促進剤が添加されれば、CMP後のACL破片は、研磨促進剤により親水性表面に変わるようになり、CMP廃液に排出される効果が増加しうる。このようなACL破片排出効果は、研磨促進剤の濃度が増加するにつれて、さらに効果的であることができるが、研磨促進剤の濃度影響によるスラリー溶液の安定性を考慮して、望ましい濃度が選択され得る。
【0075】
[実験例3:研磨促進剤の疏水性基の炭素数によるACL研磨速度比較]
前記製造例2の製造方法と同じ方法にて有機膜研磨組成物を製造するものの、研磨促進剤を陰イオン研磨促進剤とし、研磨促進剤の疏水性基の炭素数が研磨促進剤のカーボンバックボーン(Carbon backbone)と同じようにして研磨促進剤の炭素数によるACL研磨速度を測定し、下記の表4に表した。表4を参照すれば、研磨促進剤の炭素数が5~30の範囲内にある実施例8及び実施例16~21の場合が、前記炭素数範囲を外れる比較例3及び比較例4より研磨速度が高いことが分かる。
【0076】
【0077】
[実験例4:研磨粒子と研磨促進剤の電荷によるACL研磨速度比較]
前記製造例2の製造方法と同じ方法にて有機膜研磨組成物を製造するものの、研磨粒子の電荷と研磨促進剤の親水性基の電荷とが相反する場合(実施例17)と電荷が相反しない場合(比較例5、6)とのACL研磨速度を比較し、下記の表5に表した。表5を参照すれば、研磨粒子と研磨促進剤の親水性基の電荷が同じ極性を帯びる場合(比較例5、6)、ACL研磨速度が顕著に低いが、電荷が互いに異なる極性を帯びる場合(実施例17)、ACL研磨速度が大きく向上することが分かる。
【0078】
【0079】
1)研磨促進剤の種類:ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(Dodecyl trimethyl ammonium chloride)
2)研磨促進剤の種類:実施例17と同一
【0080】
[実験例5:研磨圧力によるACL研磨速度測定]
下記の表6は、CMP圧力とACL研磨速度とを比較測定して表した表である。表6を参照すれば、実施例8は、0.5psiの低い圧力でも1454Å/minの優れた研磨速度を見せ、CMP圧力を除いた他の要素が実施例8と同一であり、CMP圧力が3psiである実施例22は、5089Å/minの非常に速い研磨速度を表した。
【0081】
【0082】
[実験例6:研磨粒子含量によるACL研磨速度比較]
下記の表7は、研磨粒子含量によるACL研磨速度を比較測定して表した表である。表7を参照すれば、ACL研磨に対して研磨粒子含量(研磨粒子TS)の差があっても、全て優れた研磨速度を表した。
【0083】
【0084】
以上から、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であるということは、当該技術分野の通常の知識を有する者には自明であろう。
【国際調査報告】