IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図1
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図2
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図3
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図4
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図5
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図6
  • 特表-高い侵入保護等級を持つ薄型ファン 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】高い侵入保護等級を持つ薄型ファン
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240628BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240628BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20240628BHJP
   F04D 25/02 20060101ALI20240628BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K7/14 A
F04D29/42 K
F04D25/02 Z
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573043
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022064989
(87)【国際公開番号】W WO2022258464
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/098693
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】グゥ ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】リン フゥ ルーン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ハイヨーン
(72)【発明者】
【氏名】リー ビーン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ジョーンチー
(72)【発明者】
【氏名】ターン リジァン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイジョーン
【テーマコード(参考)】
3B211
3H130
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3B211CE01
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC27
3H130BA22A
3H130BA52A
3H130BA52E
3H130BA97A
3H130BA97C
3H130DB01Z
3H130DD03Z
3H130EB02A
3H130EB05A
3H130EB05C
3H130EC17C
3H130ED04A
3H130ED04C
5H605AA03
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD32
5H607AA06
5H607BB01
5H607FF04
(57)【要約】
本開示の実施形態は、ファンに関し、これは、金属モータシェルを含むモータであって、金属モータシェルの底壁が、底壁の中心線に隣接して少なくとも1つの貫通孔を含む、モータと、金属モータシェルと一体化されたプラスチックファンブレード要素であって、上記底壁の外面に形成されたファンブレード支持体と、底壁の内側に形成され、中心線の周囲で円周方向に延びる保護リングとを含む、プラスチックファンブレード要素とを有し、ファンブレード支持体及び保護リングが、少なくとも1つの貫通孔を介して一体化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンであって、
金属モータシェルを含むモータであって、前記金属モータシェルの底壁が、前記底壁の中心線に隣接して少なくとも1つの貫通孔を含む、モータと、
前記金属モータシェルと一体化されたプラスチックファンブレード要素であって、
前記底壁の外面に形成されたファンブレード支持体と、
前記底壁の内側に形成され、前記中心線の周囲を周方向に延びる保護リングとを含む、プラスチックファンブレード要素とを有し、
前記ファンブレード支持体及び前記保護リングが、前記少なくとも1つの貫通孔を介して一体化される、ファン。
【請求項2】
前記プラスチックファンブレード要素が、前記金属モータシェル上に成形することにより形成された一体型要素である、請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記モータが、前記底壁に固定され、前記中心線に沿って延びるシャフトを更に有する、請求項1又は2に記載のファン。
【請求項4】
前記プラスチックファンブレード要素が、前記ファンブレード支持体から半径方向に延びる複数のプラスチックファンブレードを更に有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のファン。
【請求項5】
前記底壁の厚さが、0.2mmから0.5mmの範囲である、請求項1乃至4のいずれかに記載のファン。
【請求項6】
前記底壁の内面から前記保護リングの先端までの前記保護リングの高さが、0.6mm~0.8mmの範囲内である、請求項1乃至5のいずれかに記載のファン。
【請求項7】
前記少なくとも1つの貫通穴が、前記シャフトに対して対称に配置された複数の孔を有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のファン。
【請求項8】
前記金属モータシェルが、前記底壁から延びる側壁を更に有し、前記モータは、前記側壁の内面に形成された複数の磁極を更に有する、請求項1乃至7のいずれかに記載のファン。
【請求項9】
前記モータが更に、
前記金属モータシェル内に配置されたステータと、
前記ステータの中心部に配置され、軸受領域を区切る軸受ホルダと、
前記軸受領域内に取り付けられた軸受とを有し、
前記シャフトが前記軸受に固定接続される、請求項1乃至8のいずれかに記載のファン。
【請求項10】
前記保護リングの先端と前記軸受ホルダの近位端との間の隙間が、0.5mm以下である、請求項1に記載のファン。
【請求項11】
前記ファンの外径が、1.2cmから2cmの範囲である、請求項1乃至10のいずれかに記載のファン。
【請求項12】
前記ファンの厚さが、1cm以下である、請求項1乃至11のいずれかに記載のファン。
【請求項13】
前記モータが、DCブラシレスモータである、請求項1乃至12のいずれかに記載のファン。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のファンを有する装置。
【請求項15】
前記装置が、フェイスマスクである、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファンに関し、特に塵、埃又は湿気に強い設計の超薄型ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
ファンは、よく知られた装置であり、これは、環境から熱、塵、湿気を積極的に除去するために気流を生成し、その結果、環境が望ましい空気状態に保たれることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さまざまな異なる種類のファンが存在するが、なかでも超薄型のファンはユーザの関心を集めている。なぜなら、この超薄型ファンは、空間から熱、塵、湿気を十分に除去する能力を維持しつつ、限られたスペースに収容されることができるからである。超薄型ファンで小型化の限界に挑戦することに力が注がれている。
【0004】
本発明の実施形態は、改善されたファン(例えば、改善された超薄型ファン)を提供することを目的とし、このファンは、少なくとも、高いIP(侵入保護)等級及び低減された全体的な厚さを持つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特許請求の範囲により規定される。
【0006】
本開示の一態様によれば、ファンが提供され、これは、金属モータシェルを含むモータであって、金属モータシェルの底壁が、底壁の中心線に隣接して少なくとも1つの貫通孔を含む、モータと、金属モータシェルと一体化されたプラスチックファンブレード要素であって、上記底壁の外面に形成されたファンブレード支持体と、底壁の内側に形成され、中心線の周囲で円周方向に延びる保護リングとを含む、プラスチックファンブレード要素とを有し、ファンブレード支持体及び保護リングが、少なくとも1つの貫通孔を介して一体化される。
【0007】
本発明のファンによれば、底壁を持つ金属モータシェルの存在により、超薄型ファンの全体的な厚さが低減されることができる。一方、底壁の少なくとも1つの貫通穴の設計により、保護リングが容易に形成され、湿気、塵、又は埃がモータの軸受領域に侵入することを防止するプラスチックファンブレード要素と一体化されることができる。これにより、高いIP等級も達成されることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、プラスチックファンブレード要素は、金属モータシェル上に成形することにより形成される一体型要素であってもよい。例えば、プラスチックファンブレード要素は射出成形プロセスで製造されることができる。この方法では、ファンブレード支持体及び保護リングが同時に成形されることができる。また、成形されたファンブレード支持体が底壁の外面の全域を覆うことができる。こうして、ファンの機械的強度が向上されることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、モータは、底壁に固定され、中心線に沿って延びるシャフトを更に有する。例えば、シャフトは金属モータシェルの底壁にはんだ付け又は溶接されることができる。こうして、モータ全体の厚みが薄くされることができる。また、モータの組み立てが簡素化されることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、プラスチックファンブレード要素は、ファンブレード支持体から半径方向に延びる複数のプラスチックファンブレードを更に有する。複数のプラスチックファンブレードは、塵、熱、埃又は湿気を空間から排出するのに役立つ。
【0011】
いくつかの実施形態において、底壁の厚さは、0.2mmから0.5mmの範囲内であってもよい。底壁の材料は、硬質金属(例えば、鋼板)から選択されることができる。ファンブレード支持体と組み合わせた底壁の選択された厚さは、動作中に複数のファンブレードを支持するのに十分である。
【0012】
いくつかの実施形態では、底壁の内面から保護リングの先端までの保護リングの高さは、0.6mm~0.8mmの範囲内とすることができる。この高さの範囲は、保護リングの先端と軸受ホルダの近位端との間に最小の隙間を生み出すのに十分であり、塵、熱、埃又は湿気が軸受領域に侵入するのを阻止するのに有利である。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの貫通孔は、シャフトに対して対称に配置された複数の孔を有する。こうして、保護リングがより均一かつ容易にシャフトの周囲に形成されることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、金属モータシェルは、底壁から延びる側壁を更に有し、モータは、側壁の内面に形成された複数の磁極を更に有する。複数の磁極は、各磁極がステータコアの対応する先端部を向く態様で、複数の永久磁石又は単一の磁石要素で形成されることができる。動作中、ロータ磁界とステータ交番磁界との相互作用が、ロータ及び複数のファンブレードが回転することをもたらす。
【0015】
いくつかの実施形態では、モータは更に、金属モータシェル内に配置されたステータと、ステータの中心部に配置され、軸受領域を区切る軸受ホルダと、軸受領域内に取り付けられる軸受とを含み、シャフトが、軸受と固定接続される。こうして、コンパクトな設計のモータが提供される。
【0016】
いくつかの実施形態では、保護リングの先端と軸受ホルダの近位端との間の隙間は、0.5mm以下であってもよい。この限られた隙間により、動作中に水分、塵又は埃が軸受領域に侵入することが防止されることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ファンの外径は1.2cmから2cmの範囲内である。いくつかの実施形態では、ファンの厚さは1cm以下である。ファンの外径寸法と全体の厚みとを規定することで、超薄型及び超小型ファンが提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、モータはブラシレスモータ、例えばDCブラシレスモータであってもよい。いくつかの他の実施形態では、モータはブラシ付きモータであってもよい。
【0019】
本開示の別の態様によれば、第1の態様における任意のファンを有する装置が提供される。例示的な例として、装置はフェイスマスクであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の従来型ファンの断面図である。
図2】第2の従来の超薄型ファンの断面図である。
図3】本開示の一実施形態によるファンの断面図である。
図4】本開示の一実施形態によるファンの金属モータシェルの断面図である。
図5】本開示の一実施形態によるファンの金属モータシェルの透視図である。
図6】本開示の一実施形態による、プラスチックファンブレード要素と一体化された金属モータシェルの透視図である。
図7】本開示の一実施形態によるファンを組み込んだフェイスマスクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面において、異なる図を通して類似/同一の参照符号は、一般に類似/同一の部品を表す。図面は必ずしも縮尺通りではない。むしろ、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【0022】
本開示の実施形態が、図面を参照してより詳細に説明される。図面は本開示のいくつかの実施形態を示すが、本開示は様々な態様で実施可能であり、本書で説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではない点を理解されたい。逆に、実施形態は、本開示をより徹底的かつ完全な態様で理解するために提供される。本開示の図面及び実施形態は、本開示の保護範囲を制限するものではなく、例示する目的に過ぎないことを理解されたい。
【0023】
本開示の実施形態の説明において、用語”includes(含む)”及びその変形は、”includes, but is not limited to(含むが、これに限定されるものではない)”を意味するオープンエンドな用語として読まれることになる。「に基づかれる」という用語は、「に少なくとも部分的に基づかれる」と読み替えられる。用語”一実施形態”及び”本実施形態”は、”少なくとも一つの実施形態”と読み替えられる。以下の文章は、他の明示的及び黙示的な定義を有する可能性もある。
【0024】
上述したように、全体的な厚みが低減され、高いIP等級を持つ超薄型ファンを提供することが特に注目される。
【0025】
図1は、第1の従来のファンを示す。図1に示されるように、第1の従来のファン1’は、モータ2'と、モータ2'上に成形されたプラスチックファンブレード要素20'とを有する。モータ2'は、金属モータシェル3'と、複数の磁石4'と、ステータ5'とを有し、ステータ5'は金属モータシェル3'内に配置され、複数の磁石4'は金属モータシェル3'の側壁に固定される。金属モータシェル3'は、複数の磁石4'と組み合わせてアウターロータとして機能することができる。
【0026】
プラスチックファンブレード要素20'は、樽状に形成されたファンブレード支持体21'と、ファンブレード支持体21’から半径方向に延びる複数のファンブレード22'とを含む。金属モータシェル3は環状であり、即ち側壁があり底壁はほとんどない。製造工程中、プラスチックファンブレード要素20'は少なくとも、金属モータシェル3の側壁にオーバーモールドされる。ファンブレード支持体21’は、金属モータシェル3'の仮想底壁を実質的に覆う。
【0027】
モータ2'は更に、プラスチックファンブレード要素20'と一体化された回転シャフト7'と、軸受ホルダ11’に収容された軸受8'とを有する。軸受ホルダ11’はステータ5'の中央に配置され、軸受領域を区切る。回転シャフト7'は軸受8'内に取り付けられる。動作中、ロータ磁界とステータ交番磁界との相互作用が、ロータ及び複数のファンブレードが回転することをもたらす。
【0028】
湿気、埃又は塵が軸受8'に入るのを防ぐため、プラスチックファンブレード要素20'は、ファンブレード支持体21’の内面に形成された保護リング23'を備え、このリングは、軸受ホルダ11’に隣接し、回転シャフト7'の周囲を円周方向に延びている。保護リング23'の先端と軸受ホルダ11’の近位端との間に隙間が形成されることができる。ファン1’の動作中、軸受領域内にガス圧が確立される場合があり、十分に小さい隙間は、ガス圧により軸受領域内に湿気、埃又は塵が侵入するのを防ぐことができる。通常、隙間の寸法は0.5mm以下である。
【0029】
成形工程では、ファンブレード支持体21’は、十分な厚みで成形される必要がある。その結果、回転シャフト7'の一端が、ファンブレード支持体21’内に埋め込まれることができ、ファンブレード支持体21'は、複数のファンブレード22'の回転を支持するのに十分な強度を提供することができる。しかしながら、プラスチックファンブレード要素20'に必要とされる十分な厚みは、ファン1’の全体的な厚みを悪い方向に増加させる場合がある。
【0030】
図2は第2の従来型超薄型ファン1”を示し、その厚さは第1の従来型ファン1'に比べて薄くなっている。
【0031】
第2の従来の超薄型ファン1”は、底壁31”及び環状の側壁32”を備える金属モータシェル3”を有する。複数の磁石4”が環状側壁32”の第1側面に取り付けられる。プラスチックファンブレード要素20”は、単に環状側壁32”の第2側面に成形され、第2側面から半径方向に延びている。金属モータシェル3”は、複数の磁石4”と組み合わせてアウターロータとして機能することができる。
【0032】
金属モータシェル3”は1枚の金属でできている。回転シャフト7”は、金属モータシェル3”の底壁31”の内面中央にはんだ付けされる。
【0033】
第2の従来型超薄型ファン1”は更に、ステータ5”と、軸受ホルダ11”に含まれる軸受8”とを有する。軸受ホルダ11”は、ステータ5''の中央に配置され、軸受領域を区切る。回転シャフト7”は軸受8”内に取り付けられる。
【0034】
金属モータシェル3”のこの薄い底壁31”には成形されたプラスチック要素が存在せず、回転シャフト7”は底壁31”に直接はんだ付けされるという事実により、図1のファン1’に比べ、ファン1”の厚みが薄くされることができる。
【0035】
しかしながら、ファン1”の問題点は、塵、埃又は湿気が軸受部に侵入するのを防ぐために薄い金属底壁31”の内面に保護リングを配置するのは不便であること、及び薄い底壁31”の機械的強度は、プラスチックファンブレード要素20”を支持するのに十分な機械的強度を持たない可能性があることにある。
【0036】
以上、図1及び図2に示した2つの従来の超薄型ファンの観点から、本開示の目的は、改良されたファン、特に超薄型ファンを提供することであり、このファンは、ファンの全体的な厚さを低減し、高いIP等級を持つことができる。
【0037】
図3は、本開示の一実施形態によるファンの断面図を示す。
【0038】
図3に示すように、ファン1は、モータ2と、モータ2上に成形されたプラスチックファンブレード要素20とを有する。原理的には、ファンは任意の大きさとすることができる。特に、ファン1は、例えば、2cm、1cm、又は0.5cm未満の厚さを持つ超薄型ファン1とすることができる。ファン1は、ファンの外径が1.2cmから2cmの範囲にある超小型ファンであってもよい。
【0039】
モータ2は、金属モータシェル3、複数の磁極4及びステータ6を有する。いくつかの実施形態では、モータ2はDCブラシレスモータであってもよい。しかしながら、他のタイプのモータ、例えばブラシ付きDCモータも可能である。
【0040】
通常、金属モータシェル3は樽型をしている。ステータ6は、金属モータシェル3内に収容されることができる。ステータ6は、ステータコア9と、ステータコア9に巻かれた電機子巻線10とを有する。いくつかの実施形態では、ステータコア9は、磁性導電性材料から作られることができる。例えば、ステータコア9として珪素鋼ラミネートが形成されることができる。
【0041】
モータ2は、ステータコア9の中心部に配置され、軸受領域を画定する軸受ホルダ11を更に備えることができる。軸受ホルダ11内には、回転シャフト7にフィットする軸受8(例えば、ボール軸受)が収容されることができる。
【0042】
金属モータシェル3は、底壁31と、底壁31から延びる側壁32とを有する。複数の磁極4は、金属モータシェル3の側壁32の内面に固定された複数の永久磁石又は単一の磁石要素により形成されることができる。いくつかの実施形態では、複数の永久磁石又は単一の磁石要素は、側壁32の内面に溶接、はんだ付け、又は接着されてもよい。複数の磁極4と組み合わされた金属モータシェル3は、アウターロータ5として機能することができる。動作中、電機子巻線10が通電されるとき、ロータ磁界とステータ交番磁界との相互作用が、アウターロータ5(即ち、金属モータシェル3と複数の磁極4とを含む)及びプラスチックファンブレード要素20が回転することをもたらすことができる。
【0043】
図4及び図5はそれぞれ、金属モータシェル3の断面図及び透視図を示す。図4及び図5からわかるように、底壁31は特に少なくとも1つの貫通孔33を具備する。少なくとも1つの貫通孔33は、底壁31の中心線15に隣接して配置される。少なくとも1つの貫通孔33は、後述するように、保護リング23の製造を容易にするよう構成されることを理解されたい。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの貫通孔33は、中心線15の周りの底壁31上に分散配置された複数の貫通孔を有する。例示的な例として、4つの貫通穴33が底壁31に配されることができる。しかしながら、複数の貫通孔の他の数も可能である。更に、少なくとも1つの貫通孔33は、シャフト7に対して底壁31上に均等に又は対称に分布していても、分布していなくてもよい。
【0045】
シャフト7は底壁31の内面に固定され、中心線15に沿って延びている。いくつかの実施形態では、シャフト7は底壁31の内面に溶接又ははんだ付けされることができる。
【0046】
図3及び図6を参照すると、プラスチックファンブレード要素20は、ファンブレード支持体21、複数のファンブレード22及び保護リング23を含む。プラスチックファンブレード支持体21は、金属モータ壁3の外面に形成される。複数のファンブレード22は、ファンブレード支持体21から半径方向及び外向きに延びる。保護リング23は、少なくとも1つの貫通孔33を介してファンブレード支持体21と一体化され、シャフト7を取り囲む。いくつかの実施形態では、プラスチックファンブレード要素20は、例えば射出成形プロセスにより金属モータシェル3上にオーバーモールドすることにより形成された一体型要素である。成形プロセス中、圧力(例えば、射出圧力)下の成形材料は、少なくとも1つの貫通孔33を通って流れ、保護リング23を形成することができる。こうして、ファンブレード支持体21、複数のファンブレード22及び保護リング23が同時に製造されることができる。
【0047】
保護リング33は、底壁31の内面から保護リング22の先端までの高さHで形成されることができる。いくつかの実施形態では、保護リング33は、ステータ6に向かって底壁31に対して垂直又は斜めに延びることができる。いくつかの実施形態では、保護リング22の先端が、軸受ホルダ11の近位端に隣接するが軸受ホルダに接触しない、軸受ホルダ11の周辺領域に配置され得るよう、保護リング22は形成され得る。いくつかの実施形態では、高さHは、0.6mmから0.8mmの範囲であってもよい。
【0048】
ステータ6又は軸受ホルダ11に向かう保護リング22の突出が、保護リング22の先端と軸受ホルダ11の近位端との間の隙間Gを規定する。隙間Gは、保護リング22の先端と軸受ホルダ11の近位端との間の最小距離として測定されることができる。十分に小さい隙間Gは、ファンの動作中に湿気、埃又は塵が軸受領域に侵入するのを防ぐことができることを理解されたい。一例として、十分に小さい隙間Gは0.5mm以下とすることができる。
【0049】
金属底壁31の存在と、シャフト7が金属底壁33にはんだ付け又は溶接されることとにより、ファンブレード支持体21は厚くする必要がなく、ファン1の全体的な厚さは、第1の従来のファン1'と比較して薄くされることができる点を理解されたい。
【0050】
第2の従来型ファン1”と比較すると、ファン1の全体的な厚みは若干増加するかもしれないが、保護リング23の存在が、IP(侵入保護)等級を向上させ、これにより、ファン1の寿命が延ばされる。更に、プラスチックファンブレード要素20は、射出成形プロセスにより薄い金属シェル3にオーバーモールドされ、複数のファンブレード23を支持するための機械的強度も向上されることができる。
【0051】
本発明のファンは、さまざまな目的のための任意の装置に組み込まれることができ、又は独立した装置として機能することもできる。一例として、図7は本発明のファンを組み込んだフェイスマスクを示す。フェイスマスク100がユーザにより装着されるとき、フェイスマスクにより高湿度の密閉空間が形成されることを理解されたい。フェイスマスクに一体化された本ファンにより、この密閉空間内の湿気、塵及び埃(もしあれば)は排出されることができ、密閉空間内の空気状態が改善される。また、本ファンは高いIP等級を持ち、環境中の湿気、塵又は埃の存在がファンの寿命に大きな影響を与えることもない。
【0052】
開示された実施形態に対する他の変形が、図、説明、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】