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  • 特表-傾斜絶縁部材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】傾斜絶縁部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20240628BHJP
   G06F 30/10 20200101ALN20240628BHJP
   H01B 1/24 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10 100
H01B1/24 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573074
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2021128818
(87)【国際公開番号】W WO2023050531
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111153554.1
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444497
【氏名又は名称】南方▲電▼▲網▼科学研究院有限▲責▼任公司
【氏名又は名称原語表記】ELECTRIC POWER RESEARCH INSTITUTE. CHINA SOUTHERN POWER GRID
【住所又は居所原語表記】3/F of Building J3 and 3/F, 4/F, 5/F of Building J1 No.11 Kexiang Road, Science Park, Luogang District Guangzhou, Guangdong 510663 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼逸凡
(72)【発明者】
【氏名】傅明利
(72)【発明者】
【氏名】侯▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼兵
(72)【発明者】
【氏名】▲恵▼宝▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】朱▲聞▼博
(72)【発明者】
【氏名】展▲雲▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲雲▼
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼磊
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼喜▲鵬▼
【テーマコード(参考)】
5B146
5G301
【Fターム(参考)】
5B146AA10
5B146AA21
5B146BA04
5B146DC04
5B146DE12
5G301DA18
5G301DA45
5G301DD04
5G301DE01
(57)【要約】
傾斜絶縁部材の製造方法は、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算し、導電率最適分布と誘電率最適分布をそれぞれ計算し、高導電率と高誘電率を有する高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算し、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成する。当該方法は、局所的な電界歪みを抑制するための傾斜絶縁構造を迅速に最適化することができ、異なる電圧の作用下での動作状況に適用することができ、傾斜絶縁部材の製造の正確な制御を実現することができ、製造された傾斜絶縁部材の絶縁効果がより高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップと、
前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップと、
前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算するステップと、
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、
前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成するステップと、を含む、ことを特徴とする、傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項2】
前記所定領域は、具体的に、所定の局所的な領域又は前記傾斜絶縁部材の気固界面を含み、
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップは、具体的に、
前記局所的な領域又は前記気固界面での電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法におけるレベルセットアルゴリズムにより、前記傾斜絶縁部材構造内部の誘電率と導電率との共通の空間最適化目標fを求めるステップを含み、
ただし、
であり、Ωは、前記傾斜絶縁部材の電界積分項の計算領域であり、Ω1は、誘電パラメータ設計可能領域であり、Ω2は、所定の第1の最適化目標領域であり、Ω3は、所定の第2の最適化目標領域であり、Crefは、電界積分項における最適化成分の正規化パラメータであり、rは、2次元軸対称座標系における横座標であり、zは、2次元軸対称座標系における縦座標であり、Eは、前記第1の最適化目標領域内の電界強度であり、Emeanは、前記第2の最適化目標領域内の平均電界強度であり、(r,z)∈Ω1であり、
前記空間最適化目標fにおける、誘電率εri及び導電率σriに対する電界強度の制約条件は、
を含み、
ただし、εri、εmax及びεminは、それぞれ誘電パラメータ設計可能領域Ω1をグリッド分割した後のi番目のグリッド内の誘電率、誘電率変化の上限及び誘電率の下限であり、σri、σmax及びσminは、それぞれi番目のグリッド内の導電率、導電率変化の上限及び導電率の下限であり、mは、境界曲線形状制御係数であり、ρiは、i番目のグリッド内の密度であり、Aは、誘電傾斜領域の面積の大きさである、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項3】
前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップは、具体的に、
導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、誘電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な導電率最適化分布に基づいて、導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な誘電率最適化分布を取得し、取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得し、導電率最適化分布及び誘電率最適化分布を取得するプロセスを所定回数繰り返して、最も新しく取得された導電率最適化分布を前記導電率最適分布とし、最も新しく取得された誘電率最適化分布を前記誘電率最適分布とするステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項4】
前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率及び均一な導電率を計算するステップは、具体的に、
前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とするステップと、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とするステップと、
前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して平縁の推移を行って、前記高誘電領域を取得するステップと、
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算するステップと、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項5】
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの割合を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップは、具体的に、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算するステップと、
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとするステップと、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、高電圧設備の製造の技術分野に関し、特に傾斜絶縁部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受変電システムは一連の電気機器で構成され、受変電システムにおいて絶縁部品は電位を絶縁し、導体を支持する役割を果たす。 絶縁構造の設計では、機器が設置されている系統で発生する可能性のある様々な電圧と、保護装置の特性を考慮し、機器の絶縁が損傷する確率や、機器に作用する様々な電圧による機器の連続運転への影響を、経済的・運転的に許容できるレベルまで低減するために、電気に耐えるために必要な機器の強度を決定する必要がある。従来の工事に用いられる絶縁構造の多くは、材料特性が均一な均質絶縁体であるため、受変電システムにおいて局所的な電界歪みの問題がある。高すぎる電界強度は、部分放電を引き起こしやすく、工事に用いられる特性が均一な均質絶縁体は、長期運転中に絶縁破壊事故を引き起こしやすく、設備の故障を引き起こし、ひいてはシステムの故障を引き起こす。局所的な電界歪み問題に対して、機能的傾斜材料(Functionally Graded Materials、FGM)は、この問題を解決するために新しいモード及び新しいアプローチを提供する。機能的傾斜材料とは、ある又は複数の次元方向において性能が連続的又は準連続的に変化する不均質な複合材料を指す。
【0003】
従来の傾斜絶縁部材の製造方法は、積層法、遠心法及び3D印刷法の3種類に大別される。しかし、従来の製造方法は、制御性が低く、製造された製品の絶縁効果が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の実施例は、傾斜絶縁部材の製造の正確な制御を実現でき、製造された傾斜絶縁部材の絶縁効果がより高い傾斜絶縁部材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の実施例は、傾斜絶縁部材の製造方法を提供し、前記方法は、
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップと、
前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップと、
前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算するステップと、
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、
高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成するステップと、を含む。
【0006】
好ましくは、前記所定領域は、具体的に、所定の局所的な領域又は前記傾斜絶縁部材の気固界面を含み、
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップは、具体的に、
前記局所的な領域又は前記気固界面での電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法におけるレベルセットアルゴリズムにより、前記傾斜絶縁部材構造内部の誘電率と導電率との共通の空間最適化目標fを求めるステップを含み、
ただし、
であり、Ωは、前記傾斜絶縁部材の電界積分項の計算領域であり、Ω1は、誘電パラメータ設計可能領域であり、Ω2は、所定の第1の最適化目標領域であり、Ω3は、所定の第2の最適化目標領域であり、Crefは、電界積分項における最適化成分の正規化パラメータであり、rは、2次元軸対称座標系における横座標であり、zは、2次元軸対称座標系における縦座標であり、Eは、前記第1の最適化目標領域内の電界強度であり、Emeanは、前記第2の最適化目標領域内の平均電界強度であり、(r,z)∈Ω1であり、
前記空間最適化目標fにおける、誘電率εri及び導電率σriに対する電界強度の制約条件は、
を含み、
ただし、εri、εmax及びεminは、それぞれ前記誘電パラメータ設計可能領域Ω1をグリッド分割した後のi番目のグリッド内の誘電率、誘電率変化の上限及び誘電率の下限であり、σri、σmax及びσminは、それぞれi番目のグリッド内の導電率、導電率変化の上限及び導電率の下限であり、mは、境界曲線形状制御係数であり、ρiは、i番目のグリッド内の密度であり、Aは、誘電傾斜領域の面積の大きさである。
【0007】
さらに、前記空間最適化目標に基づいて、導電率に対する前記空間最適化目標に対する導電率最適分布及び誘電率に対する前記空間最適化目標の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップは、具体的に、
導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、誘電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な導電率最適化分布に基づいて、導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な誘電率最適化分布を取得し、取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得し、導電率最適化分布及び誘電率最適化分布を取得するプロセスを所定回数繰り返して、最も新しく取得された導電率最適化分布を前記導電率最適分布とし、最も新しく取得された誘電率最適化分布を前記誘電率最適分布とするステップと、を含む。
【0008】
好ましい態様として、前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率及び均一な導電率を計算するステップは、具体的に、
前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とするステップと、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とするステップと、
前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して小半球状遷移を行って、前記高誘電領域を取得するステップと、
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算するステップと、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算するステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの割合を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップは、具体的に、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算するステップと、
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとするステップと、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、を含む。
【0010】
本願発明に係る傾斜絶縁部材の製造方法は、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算し、導電率最適分布と誘電率最適分布をそれぞれ計算し、高導電率と高誘電率を有する高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算し、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成する。本方法は、局所的な電界歪みを抑制するための傾斜絶縁構造を迅速に最適化することができ、異なる電圧の作用下での動作状況に適用することができ、傾斜絶縁部材の製造の正確な制御を実現することができ、製造された傾斜絶縁部材の絶縁効果がより高い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本願発明の実施例に係る傾斜絶縁部材の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本願発明の実施例における図面を参照しながら、本願発明の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本願発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本願発明の実施例に基づいて、当業者が創意工夫をせずに得られる全ての他の実施例は、いずれも本願発明の保護範囲に属する。
【0013】
本願発明の実施例は、傾斜絶縁部材の製造方法を提供し、図1は、本願発明の実施例に係る傾斜絶縁部材の製造方法のフロー模式図であり、前記方法は、ステップS1~S5を含み、
ステップS1は、傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算する、
ステップS2は、前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算する、
ステップS3は、前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算する、
ステップS4は、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成する、
ステップS5は、前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成する。
【0014】
本実施例を具体的に実施する場合、傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、誘電率と導電率に関する傾斜絶縁部材の内部電界強度の共通の空間最適化目標を求め、ここで、傾斜絶縁部材の内部電界強度は、内部電界の歪み状況を表し、電界強度は、誘電率と導電率の関数であり、誘電率と導電率によって影響されるものであり、
取得された電界強度の空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算し、
前記導電率最適分布における高導電率領域を計算し、前記誘電率最適分布における高誘電率領域を計算し、両者の共通部分を取って高誘電領域を取得し、そして、前記導電率最適分布及び前記誘電率最適分布に基づいて前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算し、
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成し、
前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完了する。
【0015】
本願発明の実施例に係る傾斜絶縁部材の製造方法は、傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算し、前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算し、前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算し、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成し、前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成する。傾斜絶縁部材の製造の正確な制御を実現でき、製造された傾斜絶縁部材の絶縁効果がより高い。
【0016】
本願発明に係る別の実施例において、前記所定領域は、具体的に、所定の局所的な領域又は前記傾斜絶縁部材の気固界面を含み、
前記ステップS1は、具体的に、
前記局所的な領域又は前記気固界面での電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法におけるレベルセットアルゴリズムにより、前記傾斜絶縁部材構造内部の誘電率と導電率との共通の空間最適化目標fを求めるステップを含み、
ただし、
であり、Ωは、前記傾斜絶縁部材の電界積分項の計算領域であり、Ω1は、誘電パラメータ設計可能領域であり、Ω2は、所定の第1の最適化目標領域であり、Ω3は、所定の第2の最適化目標領域であり、Crefは、電界積分項における最適化成分の正規化パラメータであり、rは、2次元軸対称座標系における横座標であり、zは、2次元軸対称座標系における縦座標であり、Eは、前記第1の最適化目標領域内の電界強度であり、Emeanは、前記第2の最適化目標領域内の平均電界強度であり、(r,z)∈Ω1であり、
前記空間最適化目標fにおける、誘電率εri及び導電率σriに対する電界強度の制約条件は、
を含み、
ただし、εri、εmax及びεminは、それぞれ前記誘電パラメータ設計可能領域Ω1をグリッド分割した後のi番目のグリッド内の誘電率、誘電率変化の上限及び誘電率の下限であり、σri、σmax及びσminは、それぞれi番目のグリッド内の導電率、導電率変化の上限及び導電率の下限であり、mは、境界曲線形状制御係数であり、ρiは、i番目のグリッド内の密度であり、Aは、誘電傾斜領域の面積の大きさである。
【0017】
本実施例を具体的に実施する場合、変数である誘電率及び導電率を前記空間最適化目標の変数であるように設計し、傾斜絶縁部材の局所的な領域又は気固界面での電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法におけるレベルセットアルゴリズムにより、絶縁構造内部の誘電率と導電率との共通の空間最適化目標fを前後に求める。
【0018】
ただし、
であり、Ωは、前記傾斜絶縁部材の電界積分項の計算領域であり、Ω1は、誘電パラメータ設計可能領域であり、Ω2は、所定の第1の最適化目標領域であり、Ω3は、所定の第2の最適化目標領域であり、Crefは、電界積分項における最適化成分の正規化パラメータであり、rは、2次元軸対称座標系における横座標であり、zは、2次元軸対称座標系における縦座標であり、Eは、前記第1の最適化目標領域内の電界強度であり、Emeanは、前記第2の最適化目標領域内の平均電界強度であり、(r,z)∈Ω1である。
【0019】
さらに、前記誘電パラメータ設計可能領域Ω1に対してグリッド分割を行い、空間最適化目標fにおける、誘電率εri及び導電率σriに対する電界強度の制約条件は、
を含み、
ただし、εri、εmax及びεminは、それぞれi番目のグリッド内の誘電率、誘電率変化の上限及び誘電率の下限であり、σri、σmax及びσminは、それぞれi番目のグリッド内の導電率、導電率変化の上限及び導電率の下限であり、mは、境界曲線形状制御係数であり、ρiは、i番目のグリッド内の密度であり、Aは、誘電傾斜領域の面積の大きさである。
【0020】
トポロジー最適化におけるレベルセットアルゴリズムにより、設計された傾斜絶縁部材の領域を離散化し、導電率、誘電率及び最適化目標の数学モデルを確立することにより、局所的な電界歪みを抑制するための傾斜絶縁部材の内部構造を迅速に最適化することができ、最適化目標により傾斜絶縁部材の製造に対する正確な制御を実現することができる。
【0021】
本願発明に係る別の実施例において、前記ステップS2は、具体的に、
導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、誘電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得するステップと、
導電率分布を維持したまま、誘電率空間分布を最適化し、最適化によって得られた誘電率分布の上で、導電率空間分布を最適化し、この過程を複数回繰り返して実行した後、誘電率と導電率の最適空間分布を取得する。
【0022】
誘電率及び導電率を交互に最適化する反復方法を用いることにより、最適化された傾斜絶縁部材の絶縁特性がより正確になり、異なる電圧下での作業に適用することができ、交流電圧条件下での誘電率傾斜絶縁部材に適用し、かつ直流電圧条件下での導電率傾斜絶縁部材に適用する。
【0023】
本願発明に係る別の実施例において、前記ステップS3は、具体的に、
前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とするステップと、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とするステップと、
前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して小半球状遷移を行って、前記高誘電領域を取得するステップと、
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算するステップと、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算するステップと、を含む。
【0024】
本実施例を具体的に実施する場合、前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とし、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とし、
前記第1の所定値は、前記導電率最適分布のうち90%の導電率を超える具体的な値として予め設定されてもよく、前記第1の所定値により、導電率が最も高い10%の領域を高導電率領域として選択し、
前記第2の所定値は、前記誘電率最適分布のうち90%の誘電率を超える具体的な値として予め設定されてもよく、前記第2の所定値により、誘電率が最も高い10%の領域を高誘電率領域として選択し、
なお、前記第1の所定値及び前記第1の所定値は、高導電率領域及び高誘電率領域を選択するための一定値であってもよく、
前記高誘電領域に電界歪み点がないことを確保するために、前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して小半球状遷移を行って、前記高誘電領域を取得する。
【0025】
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算し、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算する。
【0026】
本願発明に係る別の実施例において、前記ステップS4は、具体的に、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算するステップと、
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとするステップと、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、を含む。
【0027】
本実施例を具体的に実施する場合、表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとし、感光性樹脂を製造材料とし、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算し、複合スラリーにおけるフィラーの割合を変更することにより複合スラリーの材料特性を変更し、前記材料特性は、粘度、印刷時の硬化深さ、成形後の材料の誘電率、成形後の材料の導電率及び成形後の材料の引張強度を含み、
表1は、表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとし、感光性樹脂を製造材料とし、異なる割合のフィラーに対応する複合スラリーの材料特性を示す表である。
【0028】
【表1】
【0029】
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとして用いることは、未変性多層カーボンナノチューブをフィラーとして用いることに比べて、同じ質量分率で表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを用いると、より低い複合スラリーの粘度、より高い複合スラリーの硬化深さ、より広い誘電率と導電率の変化範囲、及びより強い引張強度を有する。
【0030】
表2は、未変性単層カーボンナノチューブをフィラーとし、感光性樹脂を製造材料とし、異なる割合のフィラーに対応する複合スラリーの材料特性を示す表である。
【0031】
【表2】
【0032】
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとし、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記傾斜絶縁部材の高誘電部分の製造を完成する。
【0033】
製造された高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁構造の残りの低誘電部材の製造を完成して、傾斜絶縁部材の製造を完成する。
【0034】
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとして用いると、材料の誘電率と導電率を共に調整することを実現できる一方、他の機能性フィラーよりも優れた加工性能及び材料強度を有する。3D印刷で高誘電部品を製造することにより、最適化された複雑な構造の迅速かつ高精度な生産製造を迅速に実現できる一方、ポリマー材料自体と、碍子を支持するポリマーとの相溶性が高く、界面接着強度が高い。
【0035】
本願発明に係る傾斜絶縁部材の製造方法は、傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算し、前記空間最適化目標に基づいて、前記空間最適化目標に対する導電率の導電率最適分布及び前記空間最適化目標に対する誘電率の誘電率最適分布をそれぞれ計算し、前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算し、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成し、前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成する。トポロジー最適化におけるレベルセットアルゴリズムを用い、設計領域を離散化し、導電率と誘電率の最適化目標を確立することにより、局所的な電界歪みを抑制するための傾斜絶縁構造を迅速に最適化することができ、誘電率及び導電率を交互に最適化する反復方法を用いることにより、最適化された絶縁構造が異なる電圧の作用下での作業に適用することができる。表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとして用いると、材料の誘電率と導電率を共に調整することを実現でき、より優れた加工性能及び材料強度を有する。傾斜絶縁部材の迅速かつ高精度な製造が実現される。本願発明に係る傾斜絶縁部材の製造方法は、傾斜絶縁部材の製造の正確な制御を実現でき、製造された傾斜絶縁部材の絶縁効果がより高い。
【0036】
以上は、本願発明の好ましい実施形態に過ぎず、なお、当業者にとって、本願発明に記載の原理から逸脱しない限り、さらに、様々な改善や変更を行うことができ、これらの改善や変更も本願発明の保護範囲と見なすべきである。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップと、
前記空間最適化目標に基づいて、導電率に対する前記空間最適化目標の導電率最適分布及び誘電率に対する前記空間最適化目標の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップと、
前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率値及び均一な導電率値を計算するステップと、
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、
前記高誘電部分を金型に固定し、真空注入手段を用いて絶縁部材の残りの低絶縁領域の製造を完成するステップと、を含む、ことを特徴とする、傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項2】
前記所定領域は、具体的に、所定の局所的な領域又は前記傾斜絶縁部材の気固界面を含み、
傾斜絶縁部材の所定領域の電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法により、前記傾斜絶縁部材構造内部の導電率と誘電率との共通の空間最適化目標を計算するステップは、具体的に、
前記局所的な領域又は前記気固界面での電界強度を低減することを最適化目標として、トポロジー最適化の方法におけるレベルセットアルゴリズムにより、前記傾斜絶縁部材構造内部の誘電率と導電率との共通の空間最適化目標fを求めるステップを含み、
ただし、
であり、Ωは、前記傾斜絶縁部材の電界積分項の計算領域であり、Ω1は、誘電パラメータ設計可能領域であり、Ω2は、所定の第1の最適化目標領域であり、Ω3は、所定の第2の最適化目標領域であり、Crefは、電界積分項における最適化成分の正規化パラメータであり、rは、2次元軸対称座標系における横座標であり、zは、2次元軸対称座標系における縦座標であり、Eは、前記第1の最適化目標領域内の電界強度であり、Emeanは、前記第2の最適化目標領域内の平均電界強度であり、(r,z)∈Ω1であり、
前記空間最適化目標fにおける、誘電率εri及び導電率σriに対する電界強度の制約条件は、
を含み、
ただし、εri、εmax及びεminは、それぞれ誘電パラメータ設計可能領域Ω1をグリッド分割した後のi番目のグリッド内の誘電率、誘電率変化の上限及び誘電率の下限であり、σri、σmax及びσminは、それぞれi番目のグリッド内の導電率、導電率変化の上限及び導電率の下限であり、mは、境界曲線形状制御係数であり、ρiは、i番目のグリッド内の密度であり、Aは、誘電傾斜領域の面積である、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項3】
前記空間最適化目標に基づいて、導電率に対する前記空間最適化目標の導電率最適分布及び誘電率に対する前記空間最適化目標の誘電率最適分布をそれぞれ計算するステップは、具体的に、
導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、誘電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得するステップと、
取得された最適な導電率最適化分布に基づいて、導電率を維持したまま誘電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な誘電率最適化分布を取得し、取得された最適な誘電率最適化分布の上で、誘電率を維持したまま導電率の分布を変化させ、前記空間最適化目標に基づいて、最適な導電率最適化分布を取得し、導電率最適化分布及び誘電率最適化分布を取得するプロセスを所定回数繰り返して、最も新しく取得された導電率最適化分布を前記導電率最適分布とし、最も新しく取得された誘電率最適化分布を前記誘電率最適分布とするステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項2に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項4】
前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率及び均一な導電率を計算するステップは、具体的に、
前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とするステップと、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とするステップと、
前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して平縁の推移を行って、前記高誘電領域を取得するステップと、
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算するステップと、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【請求項5】
前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップは、具体的に、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算するステップと、
表面ヒドロキシ変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとするステップと、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の傾斜絶縁部材の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
好ましい態様として、前記導電率最適分布における高導電率領域と前記誘電率最適分布における高誘電率領域との共通部分を取って高誘電領域を取得し、前記高誘電領域の均一な誘電率及び均一な導電率を計算するステップは、具体的に、
前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とするステップと、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とするステップと、
前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して小半球状遷移を行って、前記高誘電領域を取得するステップと、
前記導電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の導電率の平均値を前記均一な導電率値として計算するステップと、
前記誘電率最適分布に基づいて、前記高誘電領域内の誘電率の平均値を前記均一な誘電率値として計算するステップと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
好ましくは、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記高誘電領域の製造材料におけるフィラーの添加量を決定して、前記高誘電部分の製造を完成するステップは、具体的に、
前記フィラーの材料特性パラメータ、前記製造材料の材料特性パラメータ、前記均一な誘電率値及び前記均一な導電率値に基づいて、前記フィラーの割合を計算するステップと、
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを前記フィラーとして、前記割合で製造材料に添加して複合スラリーとするステップと、
光硬化3D印刷で複合スラリーを印刷して、前記高誘電部分の製造を完成するステップと、を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本実施例を具体的に実施する場合、前記導電率最適分布における導電率が第1の所定値より大きい領域を高導電率領域とし、
前記誘電率最適分布における誘電率が第2の所定値より大きい領域を高誘電率領域とし、
前記第1の所定値は、前記導電率最適分布のうち90%の導電率を超える具体的な値として予め設定されてもよく、前記第1の所定値により、導電率が最も高い10%の領域を高導電率領域として選択し、
前記第2の所定値は、前記誘電率最適分布のうち90%の誘電率を超える具体的な値として予め設定されてもよく、前記第2の所定値により、誘電率が最も高い10%の領域を高誘電率領域として選択し、
なお、前記第1の所定値及び前記第の所定値は、高導電率領域及び高誘電率領域を選択するための一定値であってもよく、
前記高誘電領域に電界歪み点がないことを確保するために、前記高導電率領域と前記高誘電率領域との共通部分を取って、共通部分を取った後に境界が不連続な領域及び局所的な先端部がある領域に対して平縁の推移を行って、前記高誘電領域を取得する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブをフィラーとして用いることは、未変性層カーボンナノチューブをフィラーとして用いることに比べて、同じ質量分率で表面ヒドロキシル変性単層カーボンナノチューブを用いると、より低い複合スラリーの粘度、より高い複合スラリーの硬化深さ、より広い誘電率と導電率の変化範囲、及びより強い引張強度を有する。
【国際調査報告】