(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電気機械の選択的相制御
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H02P25/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573134
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022033413
(87)【国際公開番号】W WO2023278139
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520347203
【氏名又は名称】トゥラ イーテクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジーチェン
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505BB02
5H505CC01
5H505DD11
5H505EE07
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA09
5H505HB02
5H505JJ03
5H505KK06
5H505LL06
5H505LL22
5H505LL41
(57)【要約】
電気機械を動作させる方法は、ステータコイル内の電流を、入力要求に従って機械に供給される電流の相又は相部分をスキップするように制御することを含む。より具体的には、ステータに電気結合されるコントローラは、個々のステータ巻線への電流の供給を独立して提供し、コントローラは、電流を複数の連続相において個々のステータ巻線に供給して、ロータの運動を駆動することと、電気機械への入力要求に応じて、複数の連続相の1つ以上又は複数の連続相の1つ以上の一部を選択的にスキップすることとを行うように構成される。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械において、
複数の離間された個々のステータ巻線を有するステータと、
前記ステータに近接したロータであって、前記個々のステータ巻線に供給された電流に回転して応答するロータと、
コントローラと
を含み、前記コントローラは、前記個々のステータ巻線への電流の供給を独立して提供するために前記ステータに電気結合され、前記コントローラは、
電流を複数の連続相において前記個々のステータ巻線に供給して、前記ロータの運動を駆動することと、
前記電気機械への入力要求に応じて、前記複数の連続相の1つ以上又は前記複数の連続相の1つ以上の一部を選択的にスキップすることと
を行うように構成されることを特徴とする電気機械。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械において、前記複数の連続相の各相は、1つ以上のそれぞれのステータ巻線への電流の供給に対応し、
前記複数の連続相の1つ以上を選択的にスキップすることは、スキップされる相に対応する前記1つ以上のそれぞれのステータ巻線への電流の供給を限定又は制限することを含むことを特徴とする電気機械。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機械において、前記コントローラは、スキップされるために選択されない前記複数の連続相の1つ以上の大きさ及びタイミングの1つ以上を変更するようにさらに構成されることを特徴とする電気機械。
【請求項4】
請求項3に記載の電気機械において、前記大きさ及びタイミングの前記1つ以上は、前記入力要求に対応するように前記電気機械の出力を変更するために選択されることを特徴とする電気機械。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機械において、スキップされない相の前記タイミングを変更することは、前記スキップされない相の1つ以上の転流角を変更することを含むことを特徴とする電気機械。
【請求項6】
請求項1に記載の電気機械において、前記コントローラは、前記入力要求に対応するスキップ割合を決定するようにさらに構成され、前記スキップ割合は、相活性化機会に対する、スキップされる相の数の比に対応することを特徴とする電気機械。
【請求項7】
請求項6に記載の電気機械において、前記スキップ割合は、前記入力要求及び所与の機械速度の関数として算出されることを特徴とする電気機械。
【請求項8】
請求項6に記載の電気機械において、前記コントローラは、前記スキップ割合の関数として相タイミングシーケンスを選択するようにさらに構成され、前記相タイミングシーケンスは、前記複数の連続相からの何れの相がスキップされるかの選択を含むことを特徴とする電気機械。
【請求項9】
請求項8に記載の電気機械において、前記コントローラは、前記相タイミングシーケンスを算出するように構成されたシグマ-デルタコントローラを含むことを特徴とする電気機械。
【請求項10】
請求項1に記載の電気機械において、スイッチリラクタンスモータを含むことを特徴とする電気機械。
【請求項11】
電気機械の動作を制御する方法において、
ステータに近接したロータを提供することであって、前記ステータは、複数の離間された個々のステータ巻線を含み、及び前記ロータは、前記個々のステータ巻線に供給された電流に回転して応答する、提供することと、
電流を複数の連続相において前記個々のステータ巻線に供給して、前記ロータの運動を駆動することと、
前記電気機械への入力要求に応じて、前記複数の連続相の1つ以上又は前記複数の連続相の1つ以上の一部を選択的にスキップすることと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記複数の連続相の各相は、1つ以上のそれぞれのステータ巻線への電流の供給に対応し、
前記複数の連続相の1つ以上を選択的にスキップすることは、スキップされる相に対応する前記1つ以上のそれぞれのステータ巻線への電流の供給を限定又は制限することを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、スキップされるために選択されない前記複数の連続相の1つ以上の大きさ及びタイミングの1つ以上を変更することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記大きさ及びタイミングの前記1つ以上は、前記入力要求に対応するように前記電気機械の出力を変更するために選択されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、スキップされない相の前記タイミングを変更することは、前記スキップされない相の1つ以上の転流角を変更することを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、前記入力要求に対応するスキップ割合を決定することをさらに含み、前記スキップ割合は、相活性化機会に対する、スキップされる相の数の比に対応することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記スキップ割合は、前記入力要求及び所与の機械速度の関数として算出されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記スキップ割合の関数として相タイミングシーケンスを算出することをさらに含み、前記相タイミングシーケンスは、前記複数の連続相からの何れの相がスキップされるかの選択を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、シグマ-デルタコントローラは、前記相タイミングシーケンスを算出するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法において、前記電気機械は、スイッチリラクタンスモータを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月28日に出願された米国特許出願第63/215,859号明細書の優先権の利益を主張し、この出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概して、電気機械の制御に関する。より詳細には、電気機械をよりエネルギー効率の高い方法で動作させることを促進するために、指定された動作条件中に多相電気機械の相を選択的に動作させる制御方式及びコントローラ設計が記載される。
【背景技術】
【0003】
電気モータ及び発電機は、構造的に非常に類似している。両方とも、複数の極を有するステータ及びロータを含む。ほとんどの電気モータは、発電機として動作することができ、逆も同様である。モータとして動作する際、電気エネルギーが機械エネルギーに変換される。発電機として動作する際、機械エネルギーが電気エネルギーに変換される。したがって、用語「機械」は、本明細書で使用するとき、電気モータ及び発電機の両方を意味するように広義に解釈されることが意図される。
【0004】
電気モータ及び発電機は、非常に多様な用途及び多様な動作条件下で用いられる。概して、多くの最新の電気機械は、比較的高いエネルギー変換効率を有する。しかし、ほとんどの電気機械のエネルギー変換効率は、その動作負荷に基づいて著しく変化し得る。多くの用途において、電気機械は、多様な異なる動作負荷条件下で動作することを必要とされる。その結果、多くの電気機械は、ある時点では最も高い効率レベル又はその付近で動作する一方、他の時点では、それらは、より低い効率レベルで動作する。機械は、概して、それが特定の速度範囲内で動作し、規定の範囲内のトルクを発生させるときに最も効率が高い。
【0005】
従来のスイッチリラクタンスモータ(SRM)に関して、要求トルクから電流指令が決定され、コントローラが電圧パルス幅を変調して電流を調節し、これにより、モータが、要求に一致するためにほぼ一定のトルク又は騒音を最小限に抑えるために非一定のトルクを出力するようにする。しかし、この方法では、モータは、必ずしもその最善の効率で動作するとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、したがってモータ及び発電機などの電気機械をより高い効率レベルで動作させる必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電気機械(例えば、電気モータ及び発電機)の選択的相制御のための種々の方法、コントローラ及び電気機械システムが記載される。
【0008】
1つの非網羅的な実施形態では、電気機械を動作させる方法は、ステータコイル内の電流を、入力要求に従って機械に供給される電流の相又は相部分をスキップするように制御することを含む。
【0009】
別の非網羅的な実施形態では、電気機械が提供される。ステータは、複数の離間された個々のステータ巻線を有する。ロータは、ステータに近接している。ロータは、個々のステータ巻線に供給された電流に回転して応答する。ステータに電気結合されるコントローラは、個々のステータ巻線への電流の供給を独立して提供し、コントローラは、電流を複数の連続相において個々のステータ巻線に供給して、ロータの運動を駆動することと、電気機械への入力要求に応じて、複数の連続相の1つ以上又は複数の連続相の1つ以上の一部を選択的にスキップすることとを行うように構成される。
【0010】
本明細書で説明される技術及びその利点は、以下の説明を添付の図面と併せて参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本説明の非網羅的な実施形態に係る選択的相電気機械制御システムを示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の選択的相電気機械制御システムによって動作される4相SRMの形態の電気機械の例示的な概略側面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の選択的相制御システムと共に用いるための、及び特に
図2のSRMと併せて用いられる変換器の一実施形態の概略回路図を示す。
【
図4A】
図4Aは、相A~Dの全てが順番に活性化される様子並びに対応するロータ70の位置及び巻線の通電/活性化(黒の塗りつぶしで示される)を示す、4相SRMのための典型的な相調整シーケンスを示す概略図である。
【
図4B】
図4Bは、相A~Dの全てが順番に活性化される様子並びに対応するロータ70の位置及び巻線の通電/活性化(黒の塗りつぶしで示される)を示す、4相SRMのための典型的な相調整シーケンスを示す概略図である。
【
図4C】
図4Cは、相A~Dの全てが順番に活性化される様子並びに対応するロータ70の位置及び巻線の通電/活性化(黒の塗りつぶしで示される)を示す、4相SRMのための典型的な相調整シーケンスを示す概略図である。
【
図4D】
図4Dは、相A~Dの全てが順番に活性化される様子並びに対応するロータ70の位置及び巻線の通電/活性化(黒の塗りつぶしで示される)を示す、4相SRMのための典型的な相調整シーケンスを示す概略図である。
【
図5A】
図5Aは、相A~Dの1つ以上の相又はその部分がスキップされる、相調整シーケンスの一実施形態を示す。
【
図5B】
図5Bは、相A~Dの1つ以上の相又はその部分がスキップされる、相調整シーケンスの一実施形態を示す。
【
図5C】
図5Cは、相A~Dの1つ以上の相又はその部分がスキップされる、相調整シーケンスの一実施形態を示す。
【
図5D】
図5Dは、相A~Dの1つ以上の相又はその部分がスキップされる、相調整シーケンスの一実施形態を示す。
【
図6A】
図6Aは、モータ(角度)位置に対する、理想インダクタンス、電圧、磁束鎖交数及び相電流のための、SRMモータの単一の相を動作させるための波形プロファイルの一実施形態を示す。例示的な転流角(すなわちターンオン(印加)角及びターンオフ(停止)角)の角度位置が様々な波形にわたる破線で示されている。
【
図6B】
図6Bは、
図4A~
図4Dに示される相調整シーケンス下で動作する4相モータに適用される
図6Aの波形プロファイルを示し、相Aは、実線として示されており、相B~Dは、異なる破線として示されている。理想インダクタンス、電圧、磁束鎖交数及び相電流のための波形と整列した、モータ位置の関数としての出力トルクのプロットも与えられている。
【
図7】
図7は、SRMを動作させるための閉ループ速度及び電流制御システムの一実施形態の概略図を示す。
【
図8A】
図8Aは、電気機械を動作させるための第1の制御プロセスのフロー図を示す。
【
図8B】
図8Bは、電気機械を動作させるための第2の制御プロセスのフロー図を示す。
【
図8C】
図8Cは、電気機械を動作させるための第3の制御プロセスのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面において、同様の参照符号は、ときに同様の構造要素を指定するために使用される。図内の描写は、概略的なものであり、原寸に比例しないことも理解されたい。
【0013】
本出願は、概して、多様な電気機械(例えば、電気モータ及び発電機)において実施され得る選択的相制御に関する。
【0014】
簡潔にするために、本明細書において提供されるとおりの電気機械の選択的相制御は、スイッチトリラクタンスモータ(SRM)に具体的に関連して説明される。しかし、この例示的な構成は、決して限定と解釈されてはならない。逆に、本明細書で説明されるとおりの選択的相制御は、多くの種類の電気機械、すなわち電気モータ及び発電機の両方のために用いることができる。例えば、本明細書で説明されるとおりの機械は、AC型(例えば、誘導型、同期型等)であるのか、それともDC型(例えばブラシレス型、電気励磁型、永久磁石型、直巻型、シャントブラシ型、複巻型等)であるのかにかかわらず、任意の種類の機械と共に用いられ得る。加えて、このような電気機械の選択的相制御は、多数の用途で用いられ得る。具体的には、本明細書で説明されるものと同じ又は同様の選択的相制御方略は、暖房、冷房及び換気システムのための電気モータから、輸送手段並びにコンプレッサ、洗濯機、乾燥機及び食洗機のような器具に及ぶ用途のための、加速度及び減速度が大きく異なるシステムにおいて用いられ得る。
【0015】
スイッチトリラクタンスモータ(SRM)は、2つの主構成要素:静止したステータ及び回転するロータを通して生成されたリラクタンストルクによって動作する電気モータである。一般的なブラシ付きDCモータのタイプと異なり、電力は、ロータではなく、ステータ内の巻線に供給される。これは、電力が運動部分に供給されなくてもよいため、機械設計を大幅に単純化するが、電力を異なる巻線に供給するために何らかの種類のスイッチングシステムが一般的に採用されるため、電気設計を複雑にし得る。ロータは永久磁石又は巻線を有せず、鋼積層体のみを有する。典型的なSRMでは、ロータ及びステータの両方は突極を有し、ロータ極の数はステータ極の数と異なり、少なくとも2つの極は直列又は並列に接続されて結合され、モータの1つの相を形成する。ステータ/ロータ極の典型的な組み合わせは、4/2(2相)、6/4(3相)、8/6(4相)、10/8(5相)、12/8(3相)等である。ロータの運動は、タイミングを調節したシーケンスで相巻線に通電/通電解除し、回転磁界(RMF)を発生してロータの回転を誘起することによって駆動される。
【0016】
選択的相制御を有する電気機械
図1は、本技術の非網羅的な実施形態に係る選択的相制御システム10を示す。本実施形態では、システム10は、機械コントローラ20、電源/シンク50、電力変換器30及び電気機械40を含む。
【0017】
電気機械40がモータとして動作されるとき、機械コントローラ20は、モータコントローラとして機能し、電力変換器30は、電源50から受電された電力を、コントローラ20からの信号26に従って電気機械40を駆動するために適した形態に変換する任務を負う。専用線32a、線32b及び専用線32c...線32n(ここで、n=電気機械40の相の数)としてラベル付けされた、選択的相入力電力は、電気機械40を駆動するために使用される回転運動を発生するために、それぞれのステータ巻線46a、46b、46c...46mに適用される。ここで、m=電気機械40のステータ巻線の数である。各専用線32a、32b、32c、最大32nは各巻線又は複数のステータ巻線46a、46b、46c、46mの独立した制御を提供し、これにより、相のタイミング及びスイッチングが制御され得る。相及び関連専用線32a、32b、32c、最大32nは、ステータ極(若しくはステータ歯の場所)における単一の巻線、(例えば、
図2の例示的な構成において提供されるとおりの)反対のステータ極における巻線の対又は他の数の巻線/極構成(例えば、3相12/8モータは、4つのステータ極にわたって分散した巻線に各々配線された3本の専用線を有するであろう)に独立して配線され得ることが理解される。2相モータでは、2本の専用線32a、32bのみが、ステータ歯又は極の反対の対の上に巻回されたそれぞれのステータ巻線46a、46bに結合されるであろう。
【0018】
様々な可能な相を示す専用線、例えば32a、32b、32c、32nは、両端に矢印を有するように示されており、機械がモータとして用いられるとき、電流は、変換器30から電気機械46に流れることもでき、機械が発電機として用いられるとき、電流は、電気機械46から変換器30に流れることもできることを指示する。電気機械40が発電機として動作されるとき、機械コントローラ20は、発電機コントローラとして機能し、変換器30は、発電機から受電された電力を、電力シンク50への供給のために適した形態に変換する。
【0019】
電源/シンク50が、電力を、電気機械40によって必要とされるか、又はそれによって出力される形態で直接供給又は受電することができる実施形態では、変換器30は、概念的に、電気機械40の動作を促進するためにモータを単にオン及びオフにするスイッチ又は論理乗算器の形態を取ることができる。
【0020】
電源/シンク50は任意の好適な形態を取ることができる。一部の実装形態では、電源/シンク50は、バッテリ又はキャパシタの形態を取り得る。他の実装形態では、電源/シンク50は、送電網(例えば、「壁面電源」)、太陽光発電システム又は任意の他の利用可能な供給源であり得る。同様に、シンクは、電気負荷(電気的に動作される機械若しくは機器、建物、工場、住宅等など)、送電網又は電力を使用若しくは蓄積する任意の他のシステムであり得る。
【0021】
変換器30は、多様な異なる形態も取り得る。電源/シンク50がDC電源であり、電気機械40がACモータであるとき、変換器30は、インバータの形態を取ることができる。逆に、電源/シンク50がDC電力シンクであり、電気機械40がAC発電機であるとき、変換器30は、整流器の形態を取ることができる。電源/シンク50及び電気機械の両方がAC構成要素であるとき、変換器30は、双方向性又は4象限電力変換器を含み得る。
【0022】
図1において、要請された出力又は要求24が、機械速度44と共に機械コントローラ20に入力され、且つ/又はフィードバックを提供し得る。要求24は、トルク要求、速度要求又はその両方の形態のものであり得る。電気機械40によって供給されるトルク42(出力トルクとも称され得る)又は受け取られるトルクも測定され、フィードバックをシステム10のために提供し得る。一部の実施形態では、機械コントローラ20は、電気機械を最適な効率及び他の性能特性若しくはパラメータにおいて動作させるためのステータ巻線46a、46b、46c...46mの各々への電流/信号の1つ以上の態様のタイミング及び/又は他の信号処理を提供するための、メモリ(図示せず)内に記憶され、プロセッサ(図示せず)上で実行可能なアプリケーションプログラミング22を含む。現在要請されている入力要求24及び機械コントローラ20及び変換器30に提供される機械速度44の入力に応じて、機械コントローラ20は、アプリケーションプログラミング22内の命令によって指示されるとおり、要請された入力要求24の出力を満たすために、ステータ巻線46a、46b、46c...46mに対する相のタイミング及び数を構造化し、電気機械40に供給される1つ以上の相又は相部分をスキップし得る。
【0023】
SRMの設計
スイッチトリラクタンスモータ(SRM)は、その特有の機械構造及び単純なパワー電子駆動要件のため、多くの商業用途において用いられている。固有の単純性及び堅牢性のため、それは、多数の用途のために他の電気機械よりも優れたものになっている。
【0024】
図2は、
図1の選択的相電気機械制御システム10における電気機械40として動作され得る例示的な4相8/6SRM40aの概略側面図を示す。理解しやすいように、
図2は、ロータ70に近接して位置付けられたステータ60の簡略図を提供し、明確にするために他の構成要素/配線は、省略される。
図2に示されるように、SRM40aのステータ60は、ステータ60の放射状に離間された円周位置に沿って配設された8つのステータ歯62及び隣接したステータスロット64を含む。一実施形態では、ステータ60は、ステータ60の軸に沿って互いに対して絶縁されて配設されたステータディスクの積層スタックで構成される。さらなる実施形態では、ステータ60の積層体又はディスクは鋼又は同様の材料で構成される。ロータ70は、同様に、鋼ロータディスクの積層スタックで構成され得る。
【0025】
図2にさらに示されるように、ステータ歯62a~62d’の反対の対の周りに巻かれた巻線コイルの対を各々形成し、極の対(例えばA、A’;B、B’;C、C’及びD、D’)を形成する、4つの個々のステータ巻線46a、46b、46c及び46dである。各ステータ巻線46a、46b、46c及び46dは、それぞれの専用線32a、32b、32c、32dに独立して配線され、コントローラ20に結合され、これにより、各巻線46a、46b、46c及び46dは、その独自の相(例えば、それぞれの相A、B、C及びD)において独立して給電され、ロータの運動を駆動し、すなわち回転磁界(RMF)を発生させ、ロータ70及びロータシャフト74の回転を誘起する方法で動作され得る。例えば、ステータ巻線46aは(隣接したステータスロット64を用いて)反対のステータ歯62a及び62a’の周りに巻かれて極A及びA’を形成し(明確にするために、ロータ70にまたがるステータ巻線の対46aの結合は、示されていない)、反対の端部において線32aに結合される。同様に、ステータ巻線46bは反対のステータ歯62b及び62b’の周りに巻かれて極B及びB’を形成し、反対の端部において線32bに結合され、ステータ巻線46cは、反対の歯62c及び62c’の周りに巻かれて極C及びC’を形成し、反対の端部において線32cに結合され、ステータ巻線46dは、反対のステータ歯62d及び62d’の周りに巻かれて極D及びD’を形成し、反対の端部において線32dに結合される。個々のステータ巻線46a、46b、46c及び46d、46a、46b、46c及び46dの各々は、
図2の実施形態において、一対の歯の周りに巻かれるように示されているが、個々のステータ巻線46a、46b、46c並びに46d、46a、46b、46c及び46dは、任意の数の対形成(例えば、3つ以上)で又はさらに専用ステータ歯若しくは極にのみ巻回され得ることが理解される。
【0026】
図3は、
図1の選択的相制御システム10の変換器30として実施され、特に(例えば、インバータとして)4相SRM40aと併せて用いられ得る変換器30aの一実施形態の概略回路図を示す。
図3に示される変換器の実施形態は、4相、半ブリッジ、非対称電力変換器(APC)として構成されるが、当技術分野において利用可能であるとおりの他の種類の変換器/インバータも用いられ得ることが理解される。変換器30aは、8つのダイオード(D1~D8)並びに8つのスイッチ(4つのハイサイド(S
xH)スイッチ(S1、S2、S3、S4)及び4つのローサイド(S
xL)スイッチ(S5、S6、S7、S8))を含み、各相又は巻線(A、B、C、D)の両側にスイッチの対を有する。例えば、相A(例えば、
図2におけるロータ70の極A、A’上の線32a及びステータ巻線46aに対応する)は、スイッチS1及びS5間に配設され、相B(例えば、
図2におけるロータ70の極B、B’上の線32b及びステータ巻線46bに対応する)は、スイッチS2及びS6間に配設され、相C(例えば、
図2におけるロータ70の極C、C’上の専用線32c及びステータ巻線46cに対応する)は、スイッチS3及びS7間に配設され、相D(例えば、
図2におけるロータ70の極D、D’上の線32d及びステータ巻線46dに対応する)はスイッチS4及びS8間に配設される。一実施形態では、変換器30aは、3つの状態(モード)で各相を動作させるように構成される:1)励磁(充電)、この場合、スイッチは、両方ともオンであり、電流は、第1の方向に(例えば、相巻線AにわたってS1からS5に)流れる;2)フリーホイーリング(アイドル)、この場合、一方のスイッチは、オンであり、一方は、(例えば、S5、D5及び相巻線Aにわたる)0電圧ループ内でオフである;並びに3)消磁(放電)、この場合、スイッチは、両方ともオフであり、電流は、反対方向に(例えば、相巻線AにわたってD5からD1に)流れる。諸実施形態では、スイッチS1~S8は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IBGT)、金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ(MOSFET)又は同様のデバイスを含み得る。
【0027】
図4A~
図6Cを参照すると、コントローラ20及びアプリケーションプログラミング22は、電気機械40の動作を制御し、且つ特に要求24又は機械速度44若しくは供給トルク42の形態のフィードバックを含む、1つ以上の様々な入力によって提供されるとおりのモータの動作条件の変更に応じてスキップされる1つ以上の相又は相部分を伴う指令信号を変換器30及び/又は電気機械40に提供するように構成される。
【0028】
図4A~
図4Dに、相A~Dの全てが順番に活性化される様子、
図2のSRM40aの対応するロータ70の位置及び巻線の通電/活性化(黒の塗りつぶしで示される)を示す、4相SRMのための典型的な相調整シーケンスが示されている。相A~Dの順番に関して、相の部分は重なり得ること、すなわち、後続の相の電流供給又は励磁は、このような励磁/電流供給が前の相において完了する前に開始し得ることが理解される。さらに、2つの連続相間のタイミングは、継続的であるか(すなわち相bが相Aの完了直後に連続して直ちに続く)又は後続の相が前の相の完了からの遅延後に連続して続くようにタイミングを調節され得る。
【0029】
図4Aでは、相Aの巻線が通電され、ロータ歯72をステータ極A及びA’と整列される一方、ロータ歯72は、ステータ極B及びB’並びにステータ極D及びD’と半分整列し、ステータ極C及びC’と整列しない。
図4Bでは、相Bの巻線が通電され、ロータ歯72をステータ極B及びB’と整列される一方、ロータ歯72は、ステータ極A及びA’並びにステータ極C及びC’と半分整列し、ステータ極D及びD’と整列しない。
図4Cでは、相Cの巻線が通電され、ロータ歯72をステータ極C及びC’と整列される一方、ロータ歯72は、ステータ極B及びB’並びにステータ極D及びD’と半分整列し、ステータ極A及びA’と整列しない。
図4Dでは、相Dの巻線が通電され、ロータ歯72をステータ極D及びD’と整列される一方、ロータ歯72は、ステータ極A及びA’並びにステータ極C及びC’と半分整列し、ステータ極B及びB’と整列しない。
【0030】
図6Aは、モータ(角度)位置に対する、理想インダクタンス、電圧、磁束鎖交数及び相電流のための、SRMモータの単一の相を動作させるための波形プロファイルの一実施形態を示す。例示的な転流角(すなわちターンオン(印加)角及びターンオフ(停止)角)の角度位置が様々な波形にわたる破線で示されている。
図6Bは、
図4A~
図4Dに示される相調整シーケンス下で動作する4相モータに適用される
図6Aの波形プロファイルを示し、相Aは、実線として示されており、相B~Dは、異なる破線として示されている。理想インダクタンス、電圧、磁束鎖交数及び相電流のための波形と整列した、モータ位置の関数としての出力トルクのプロットも図の一番下に与えられている。
【0031】
上述されたように、コントローラ20及びアプリケーションプログラミング22は、一実施形態では、モータの動作条件の変更に応じてスキップされる1つ以上の相又は相部分を伴う指令信号を提供するように構成される。
図5A~
図5Dは、本開示の一態様に係る、相A~Dの1つ以上の相又はその部分がスキップされる、相調整シーケンスの一実施形態を示す。「スキップされる」相又は相部分は、本明細書において、「スキップされる」相に対応する巻線46a~46nを活性化、通電、励磁しないか若しくはさもなければ電流を供給しないか、又は「スキップされる」相に対応する巻線46a~46nに部分的な若しくは低レベルの活性化、通電若しくは電流供給を提供する信号を(例えば、変換器30及び/又は巻線46a~46nに)提供することを意味すると定義される。一実施形態では、相又は相部分をスキップすることは、相の全ての3つの状態又はモードをスキップするための信号を変換器(例えば、変換器30a)に送信するか、又は変換器を他の方法でそのように動作させることによって達成され得る。代替的に、相又は相部分をスキップすることは相の1つ以上の状態を含めるか、又はスキップし得る(例えば、1つ以上の励磁(充電)及び/又は消磁(放電)状態をスキップする一方、相がフリーホイーリング(アイドル)状態で動作することを依然として可能にする)。スキップされる相又は相部分に対する、部分的な又は低レベルの活性化、通電又は電流供給に関して、減少された相電流レベル(例えば、大きさ/振幅)、総導通期間、活性化窓(例えば、ターンオン若しくは印加角とターンオフ若しくは停止角との間の時間)又は他のパラメータの1つ以上が、スキップされる相又は相部分が、他の(スキップされない)相と比べてより低い又は著しくより低いトルク出力を有するように調整され得る。
【0032】
図5A~
図5Dに示される相調整シーケンスの実施形態では、相A(
図5A)は、タイミング、大きさ等に関して部分的又は全体的にスキップされる(すなわち非活性化、通電解除、消磁されるなどする)一方、相B~D(
図5A~
図5D)は、それらの通常のシーケンスのままである。
図6Cは、相Aがスキップされる、
図5A~
図5Dに示される相調整シーケンス下で動作する4相モータに適用される
図6Aの波形プロファイルを示す。
図6Cに示されるように、理想インダクタンスについて、相Aの実線は、依然としてそのままであるが、電圧、磁束鎖交数及び相電流について、それは、0である。スキップされる相Aの波形は、相B、C及びDの波形と比べて、大きさ、振幅又は活性化窓(停止角-印加角)のいくらかの割合である、0でない値も有し得ることが理解される。
【0033】
図6Cに示されるように、出力トルクは、スキップされる相励磁に対応する角度位置において、相B、C及びDに対応する位置よりもはるかに小さい。さらに、コントローラ20及びアプリケーションプログラミング22は、スキップされないか又はスキップ解除された相に供給される電流のレベル(例えば、大きさ/振幅)及び(例えば、転流角を拡大することを介して)タイミングの1つ以上を、(例えば、
図4A~
図4Bにおいて提供されるとおりの)スキップされる相のない相調整シーケンス条件の場合よりも増大させるように構成され得る。これは、
図6Bに示される相A~Dの波形よりも大きい大きさ/振幅及び転流窓を有する、
図6Cに示される相B、C及びDの波形に反映される。これは、角度位置が相B、C及びDの相励磁に対応する間のトルクを、
図4A~
図4Bのスキップされないシーケンスの場合と比べて増大させる効果を有する。その際、平均又は総トルク出力は、モータに対する指定された要求に一致するように操作され得る。
【0034】
図5A~
図5Dに示される相調整シーケンスの実施形態は、1/4のスキップ割合(及び3/4の対応する印加割合)のために、4つのモータ相の1つの相(相A)がスキップされる様子を示す。しかし、任意の数又はシーケンスの相が、要請出力又は要求24に従ってスキップされ得ることが理解される。例えば、別の実施形態において又は異なる要請出力又は要求24に応じて、1/2のスキップ割合を発生するために、相B及びDがスキップされ得る。対応して、相の他のサイクルに関して(ここで、この4相モータでは、相A~Dは、1つの全サイクルに対応する)、変動する出力トルクからの可能な騒音、振動又はハーシュネス(NVH)を抑止又は低減するために、後続又は前のサイクルは、異なる相をスキップさせ得る。1つ以上の相サイクルは、スキップ割合の分母をさらに増大させるために、スキップされるサイクルを有しなくてもよい。例えば、2つの相サイクルごとに1つの相のみがスキップされる場合、対応するスキップ割合は、4相モータについて1/8である。
【0035】
SRMのための選択的相制御システム
図7は、SRM40aを動作させるための閉ループ速度及び電流制御システム100の一実施形態の概略図を示す。システム100は、外部速度制御ループ及び所望の電流をSRM40aのステータ内に作り出す内部電流ループを含む。外部制御ループでは、速度位置データが、所望の相電流指令/要求I
refを生成するために速度コントローラ102に入力される。一実施形態では、所望の電流I
refは固定されず、入力要求24(例えば、要請速度、トルク)とSRM40aの測定又は出力速度44との間の(比較器112を介して算出された)誤差に基づいて変化する。一部の実施形態では、所望の電流I
refは、入力要求24において提供されたトルク要求及びSRM40aからの測定又は出力トルク42の関数にもなり得る。例えば、ロータシャフト74又はSRM40a上の他の場所におけるオプトカプラ又は同様のものなどのセンサの使用により、ロータ角度位置θから機械速度ωを獲得するために速度算出モジュールが用いられ得る。
【0036】
速度コントローラ102は、比例・積分・微分(PID))コントローラ、2自由度コントローラ、ファジーコントローラ、適応コントローラ、人工ニューラルネットワークコントローラ又は同様のものなど、当技術分野で利用可能な任意の数のコントローラタイプを含み得る。
【0037】
速度コントローラ102の出力は、ヒステリシスコントローラ又は同様のデバイスを含み得る、電流コントローラ104によって受信される。
図7に示される実施形態は、速度コントローラ102及び電流コントローラ104を含むハイブリッド構造を含むが、他の実施形態では、システム100は、速度コントローラ及び電流コントローラの一方のみ又はその統合バージョンを含み得ることが理解される。
【0038】
一実施形態では、電流コントローラ104は、相電流及び所望の電流(電流指令)Irefの関数としてスイッチング/ゲーティング信号を変換器30aに提供するように構成される。一実施形態では、ヒステリシスバンド限界に関するそのステータスをチェックするために、現在の相電流と電流基準との差が算出される。電流コントローラ104は、SRM40aのモータリング及び発電動作のためのヒステリシス電流制御アルゴリズムを含み得る。例えば、モータリング/発電スイッチングステータスを決定するための制御アルゴリズムは、2つのスイッチをオンにするための第1のステータス、一方のスイッチをオンにし、他方のスイッチをオフにするための第2のステータス及び変換器30aの様々な相の両方のスイッチをオフにするための第3のステータスを含み得る。
【0039】
電流コントローラ104は、所望の電流Irefに従って1つ以上の相のスキップを決定するためのアルゴリズムも含み得る。具体的には、電流コントローラ104は、所望の電流Irefに基づいてスキップ割合(及び/又は対応する印加割合)を決定し、また(例えば、以下においてより詳細に提供されるとおりのシグマ-デルタコントローラ又は同様のコントローラの実施を介して)スキップ/印加割合に従って現在及び後続の相サイクル内の何れの相がスキップされるかについての命令も提供し得る。一実施形態では、電流コントローラ104は、SRM40aの測定又は出力トルク42の平均を、入力要求24に一致するか、又はさもなければ所与のモータ速度におけるSRM40aの最善の効率に対応するレベルになるように制御する電流指令又は所望の電流Irefを調整するように構成される。
【0040】
様々な機械動作速度における相電流の精密制御を達成するために、電流コントローラ104は相コミュテータ106からの入力を受信し得、これにより、各活性状態の相が最適なターンオン及びターンオフ角度位置間で動作されるようにする。相の動作が開始するとき、巻線は、電流指令に到達するまで励磁され、その後、相の動作がオフにされるときに消磁される。相コミュテータ106は、様々なSRM40aの動作条件下における様々な相サイクルのための転流角を決定する際に速度算出110及び速度コントローラ(符号108)からのロータ位置及び/又は速度入力を受信し、転流角(ターンオン(印加)角、ターンオフ(停止)角、総導通期間及び相電流の大きさの1つ以上を決定し得る。一実施形態では、相コミュテータ106は、平均トルク、トルクリップル、NVH及び他の性能パラメータなどの様々なパラメータの関数として、トルク指令及び/又は速度指令を相電流指令のセットに変換するように構成され得る。
【0041】
図7に示される実施形態では、その機能の説明を容易にするために、電流コントローラ104及び相コミュテータ106は、速度コントローラ102とは別個である構成要素として示されている。しかし、様々な実施形態では、電流コントローラ104及び相コミュテータ106は、速度コントローラ102及び他の論理デバイスと一緒にデジタル信号プロセッサ(DSP)コントローラ20aなどの統合プロセッサとして、別個の構成要素として若しくは電力コントローラ/変換器30/30aの部分として又は他の適切な形態で実施され得る。さらに、速度コントローラ102、電流コントローラ104、相コミュテータ106の1つ以上の動作のために用いられるアルゴリズムは、アプリケーションプログラミング22内の1つ以上のサブルーチン又は異なるプロセッサ上で動作可能な別個のアプリケーションとして実施され得る。
【0042】
別の実施形態では、DSPコントローラ20aは、全体が本明細書において参照により組み込まれる、2019年3月14日に出願された米国特許出願公開第16/353,166号明細書(米国特許第10,742,155号明細書)に記載されるシステム及び方法に係るパルス制御を提供するように構成され得、これにより、SRM40aの出力は、(1)動作要求を満たす一方、(2)全体効率を改善する方法で「トルクオン」と「0(無)トルク」状態との間でインテリジェントに且つ断続的に変調される。1つのこのような実施形態では、速度コントローラ102及び電流コントローラ104の1つ以上は、指定された電流モータ速度におけるパルス化動作のための所望の出力レベル及び所望のデューティサイクルを決定するために使用される(これは、好ましくは、現在のモータ速度におけるシステムの最大効率エネルギー変換出力レベル又はその付近にある - ただし、他のエネルギー効率の高いレベルを必要に応じて用いることもできる)。速度コントローラ102及び電流コントローラ104は、次に、変換器30aに、指定された電力レベルにおいて所望のデューティサイクルを実施するように指示し得る。概念的に、これは、電力がモータに供給される時間の割合が所望のデューティサイクルに対応し、電力レベルが好ましい出力レベルに対応するよう、電源114を比較的高い周波数で実効的にオン及びオフにすることによって達成され得る。一部の実施形態では、デューティサイクルの「オフ」部分は、変換器30aに、モータを、0トルクを供給するよう駆動するよう指示することによって実施され得る。
【0043】
次に、
図8A~
図8Cを参照すると、コントローラ20、DSPコントローラ20a又は速度コントローラ102、電流コントローラ104、相コミュテータ106の1つ以上は、集合的に又は個々に、
図1及び
図7にそれぞれ示される電気機械40又はSRM40aの動作のための多数の異なる制御プロセス構成で動作するように構成され得る。
図8A~
図8Cのフロー図において詳述されるプロセスステップの各々は、個々のコントローラ、モジュール、サブルーチン又は他のプログラミングとして提供され得る。
【0044】
図8Aは、電気機械40又はSRM40aを動作させるための第1の制御プロセス150のフロー図を示す。ブロック152において、速度及び/又はトルク要求データを、ブロック156における電流要求(すなわちI
ref)及び154におけるスキップ割合の決定のために受信する。スキップ割合は、相活性化/励磁機会(すなわちスキップされる相プラス印加される(活性化/励磁される)相)に対する、スキップされる相の数の比である。ブロック152は、同様に又は代替的に、印加割合に関して、例えば位相活性化/励磁機会に対する、印加される(活性化される/励磁される)位相の数の比を通した部分に対して算出され得ることが理解される。
【0045】
一実施形態では、スキップ割合算出ブロック/モジュール152は、所望のトルクを供給するために適した効果的なスキップ又は印加割合を決定するように構成され得る。一部の実施形態では、スキップ割合は、機械を所与として、燃料効率がよくなり、且つ/又は許容範囲のNVH特性を有するように決定された所定のスキップ割合のセットから選択される。スキップ割合は、任意の好適な機構を用いて生成又は選択され、例えば既定の効果的な印加割合のライブラリ及び/又は1つ以上のルックアップ表から選択され得る。様々な実装形態は、1つ以上の機械パラメータ(例えば、トルク、機械速度等)、燃料消費及び/又は様々な効果的な印加割合に関連付けられたNVHに基づいて効果的な印加割合を決定するためのルックアップ表を用いることを含む。
【0046】
一実施形態では、スキップ割合は、入力要求24(例えば、トルク要求)及び所与の機械速度ωにおける最適なトルク効率に対応する所望のトルクの関数として選択又はさもなければ算出される。他の実施形態では、スキップ割合は、出力トルク42の平均が入力要求24に一致するように選択される。さらなる実施形態では、スキップ割合は、NVHのために最適化する分母を有するように選択される。
【0047】
ブロック158において、スキップ割合をNVH最小化のためにさらに調整し得る。ブロック160において、ブロック158からの調整されたスキップ割合を用いて、ブロック156からの電流要求をトルク精度のためにブロック160で調整し得る。次に、ブロック162及びブロック164において、転流角(すなわち印加角、停止角)及びデューティサイクルをそれぞれ計算し得る。
【0048】
図8Bは、電気機械40又はSRM40aを動作させるための第2の制御プロセス170のフロー図を示す。ブロック172において、速度及び/又はトルク要求データを、ブロック176における電流要求(すなわちI
ref)及び174におけるスキップ割合の決定のために受信する。ブロック178において、スキップ割合をNVH最小化のためにさらに調整し得る。ブロック180において、ブロック178からの調整されたスキップ割合及びブロック176からの電流要求を用いて、ブロック160で転流角(すなわち印加角、停止角)をトルク精度のために計算する。ブロック182において、転流角(すなわち印加角、停止角)をトルク精度のためにさらに調整し得、ブロック184において、次にデューティサイクルを計算し得る。
【0049】
図8Cは、電気機械40又はSRM40aを動作させるための第3の制御プロセス190のフロー図を示す。ブロック192において、速度及び/又はトルク要求データを、ブロック196における電流要求(すなわちI
ref)及び194におけるスキップ割合の決定のために受信する。ブロック196からの電流要求(すなわちI
ref)、ブロック198において、転流角(すなわち印加角、停止角)を計算し、ブロック199において、デューティサイクルを計算する。
【0050】
スキップ割合又は印加割合が算出されると、スキップ(又は印加)タイミングの決定が行われる。一部の状況では、スキップされる相を繰り返すことは、望ましくない騒音、ハーシュネス及び振動(NVH)を生じさせ得ることが留意される。そのため、何れの相がスキップ又は印加されるのかのタイミング/分布は、NVHを最小限に抑え、且つ/又は他の方法で機械性能を最適化するためのタイミングシーケンスに従って相間で分布され得る。特定の実施形態では、これは、NVH最小化のための調整(例えば、
図8Aのブロック158及び
図8Bのブロック178)の部分であるか又はそれに適用され得る。受信されたスキップ又は印加割合に基づいて、スキップ(又は印加)タイミングの決定は、機械に、所望の機械出力を発生するために必要な印加率及び印加出力トルクレベルを供給させる、スキップ(又は印加)指令のシーケンス、相タイミングシーケンスを含み得、シーケンスは、選択された区間にわたる印加/スキップ機会の結果の混合を含む。相タイミングシーケンスは、複数の連続相からの何れの相がスキップされるのかの選択を含み得る。「駆動パルス」と称され得る、このシーケンスは、種々の方法で、例えばシグマ-デルタ変換器などの別個のモジュールを用いて、又は1つ以上のルックアップ表の使用を通して、又は状態機械を用いて生成され得る。
【0051】
駆動パルス発電機としての使用のために特によく適した1つの分類のコントローラは適応予測コントローラである。制御理論に精通した人々によって理解されるであろうように、適応予測コントローラは、それらは、フィードバックを利用して、所望の出力信号からの出力信号の差異に基づいてそれらの出力信号の性質を適応させるか又は変更する点で適応的であり、それらは、入力信号の過去の挙動が将来の出力信号に影響を及ぼすよう統合的である点で予測的である。
【0052】
シグマ-デルタ制御
種々の異なる適応予測コントローラが、所望の出力を提供するために必要とされる駆動パルスを算出するため及び/又はスキップ(若しくは印加)タイミングの決定のため並びに特にNVHなどの問題を軽減するために使用され得る。この適用において特に良好に機能する1つの分類の適応予測コントローラは、シグマ-デルタコントローラである。シグマ-デルタコントローラは、サンプルデータシグマ-デルタ、連続時間シグマ-デルタ、アルゴリズムベースのシグマ-デルタ、差動シグマ-デルタ、ハイブリッドアナログ/デジタルシグマ-デルタ機構又は任意の他の好適なシグマ-デルタの実装形態を利用し得る。例示的なシグマ-デルタ決定モジュールは、何れも2019年3月14日に出願され、何れも全ての目的のために本明細書において組み込まれる米国特許出願公開第16/353,159号明細書及び同第16/353,166号明細書に記載されている。
【0053】
一実施形態では、シグマ-デルタ変換器又はモジュールは、例えば、分離可能なコントローラとして或いは電流コントローラ104又は他のモジュール若しくはコントローラ内に統合されたものとしてコントローラ20、DSPコントローラ20a内に組み込まれる。シグマ-デルタ制御に精通した人々によって理解されるであろうように、シグマデ-ルタ制御の特性は、それがノイズシェーピングを容易にし、アイドルトーンを低減/解消し、騒音をより高い周波数に押しやる傾向を有することである。騒音がランダム化され、且つ/又は人間の知覚の限界を上回る周波数に広げられると、このような騒音及び/又は振動は、何れも機械のユーザにとって煩わしくないため、騒音は、あまり心配でなくなる。
【0054】
多様な異なるシグマ-デルタ変換器がシグマ-デルタ変換器として用いられ得、シグマ-デルタ変換器は種々の異なるフィードバック方式を利用し得る。例として、1次シグマ-デルタ変換器はコントローラとして本質的に安定している。1次シグマ-デルタ変換器が良好に機能するが、他の実施形態では、より高次のシグマ-デルタ変換器(例えば、1次シグマ-デルタ変換器よりも多数の積分器を利用するシグマ-デルタ変換器)が用いられ得ることを理解されたい。例えば、(例えば、リッチーアーキテクチャを用いる変換器としての)3次シグマ-デルタ変換器は、3つの比較器を用いる。
【0055】
概して、シグマ-デルタ変換器は、アルゴリズム的に、デジタル的に、アナログ構成要素を用いて且つ/又はハイブリッドアプローチを用いて実施され得る。例えば、様々な実施形態では、シグマ-デルタ変換器は、プロセッサ上、FPGAなどのプログラマブル論理上、ASICなどの回路機構内、デジタル信号プロセッサ(DSP)上、アナログ、デジタル及び/若しくはハイブリッド構成要素を用いて或いは任意の/又はハードウェア及び/若しくはソフトウェアの他の好適な組み合わせを用いて実施され得る。様々な実施形態では、シグマ-デルタコントローラは、サンプルデータシグマ-デルタ、連続時間シグマ-デルタ、差動シグマ-デルタ又は任意の他の好適なシグマ-デルタ実施方式を利用し得る。
【0056】
全体が本明細書において参照により組み込まれる、米国特許第8,099,224号明細書及び米国特許出願公開第2018-0216551号明細書は、多数の代表的なシグマ-デルタ変換器設計を記載している。それらに記載される用途は、異なる種類の機械又はモータを制御するためのものであるが、同様の種類の変換器が本出願のために用いられ得る。
【0057】
追加の実施形態
SRMに関連して、本説明の選択的相制御システム及び方法は、種々の産業:自動車ロボティクス、航空、工業用途、オートメーション、洗濯機、真空掃除器、ファン、油ポンプ等において用いられ得る。
【0058】
上述の選択的相制御システム及び方法は、SRMのために特に有用であるが、上述の選択的相制御システム及び方法は、トラック、乗用車、運搬車、オートバイ、自転車、ドローン及び他の飛行デバイスを含む他の種類の輸送手段において、環境内で自律的に移動するロボット及び他のデバイス、その他で用いられる電気モータを含む多くの輸送手段及び推進関連用途における使用のための種々の電気機械のために同等に有益になり得ることを理解されたい。そのため、用語「輸送手段」は、現在知られているか又は将来開発されるかにかかわりなく、上述の及び任意の他の種類のモータ駆動移動アセンブリの全てを含むものと広義に解釈されるべきである。
【0059】
洗濯機、乾燥機、暖房、換気及び空調(HVAC)用途などの器具で用いられるモータは、選択的相制御から恩恵を受けることができる用途の追加の例を提供し得る。本技術の少数の実施形態のみが詳細に説明されたが、本技術は、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの他の形態で実施され得ることを理解されたい。様々な上述の選択的相コントローラ及び関連機械要素は、異なる実施形態において多様な異なるアーキテクチャで実施、グループ化及び構成され得る。例えば、一部の実施形態では、コントローラは、モータコントローラ若しくはインバータコントローラ内に組み込まれ得るか、又はそれは、別個の構成要素として提供され得る。同様に、発電機のために、コントローラは発電機コントローラ又は整流器コントローラ内に組み込まれ得、複合型モータ/発電機では、コントローラは、複合型モータ/発電機コントローラ又は複合型インバータ/整流器コントローラ内に組み込まれ得る。一部の実施形態では、上述の制御機能性は、- 例えば、汎用プロセッサ及びマイクロプロセッサ、DSP等を含む任意の好適な形態を取り得る - プロセッサ上で実行されるソフトウェア又はファームウェアにおいてアルゴリズム的に実施され得る。
【0060】
機械コントローラは、より大きい制御システムの部分であり得る。例えば、輸送手段の用途では、上述の制御は、輸送手段制御に関連する種々の機能を遂行する、輸送手段コントローラ、パワートレインコントローラ、ハイブリッドパワートレインコントローラ又はECU(エンジン制御ユニット)等の部分であり得る。このような用途では、輸送手段又は他の関連コントローラ等は、必要とされる制御の全てを実行する単一のプロセッサの形態を取り得るか、或いはそれは、パワートレイン若しくは輸送手段制御モジュールの部分として共同配置されるか、又は輸送手段内の様々な場所に分布した複数のプロセッサを含み得る。プロセッサ又は制御ユニットの任意のものによって遂行される特定の機能性は、幅広く多様であり得る。
【0061】
概して、選択的相モータ制御のための方式は、デジタル的に、アルゴリズム的に、アナログ構成要素又はハイブリッドアプローチを用いて実施され得る。機械コントローラは、プロセッサ上、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などのプログラマブル論理上、ASIC(特定用途向け集積回路)などの回路機構内、デジタル信号プロセッサ(DSP)上、アナログ構成要素又は任意の他の好適なハードウェアを用いて実行するコードとして実施され得る。一部の実装形態では、上述の制御方式は、インバータコントローラ(並びに/又は発電機及び/若しくは複合型インバータ/整流器コントローラに関連して整流器コントローラ)内に組み込まれたデジタル信号プロセッサ(DSP)上で実行されるオブジェクトコード内に組み込まれ得る。
【0062】
したがって、本実施形態は、限定ではなく、例示と考えるべきであり、本技術は、本明細書で与えられる詳細に限定されず、添付の請求項の範囲及び均等物内で変更され得る。
【国際調査報告】