(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】車両の流体ライン用バルブ
(51)【国際特許分類】
F16L 37/32 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F16L37/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573627
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022063446
(87)【国際公開番号】W WO2022258331
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114973.8
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル ストル
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル キンティ
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC12
3J106BD01
3J106GA03
3J106GA21
3J106GB03
(57)【要約】
本発明は、車両の流体ライン用のバルブ(10)に関し、バルブ(10)が、流体チャネル(12)と、ばね部材(14)と、シール部材(18)を備えた支持部材(16)とを備え、支持部材(16)が、流体チャネル(12)内に移動可能に配置され、流体チャネル(12)が、バルブ(10)の開口とバルブ(10)に接続された流体ラインとの間で流体を案内するように構成され、ばね部材(14)が、バルブ(10)を閉じるために、支持部材(16)を介してシール部材(18)を弁座(20)上に押し付けるように構成され、支持部材(16)が、流体チャネル(12)をばね部材(14)から分離するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の流体ライン用のバルブであって、
該バルブ(10)が、流体チャネル(12)と、ばね部材(14)と、シール部材(18)を備えた支持部材(16)とを備え、
該支持部材(16)が、前記流体チャネル(12)内に移動可能に配置され、
前記流体チャネル(12)が、前記バルブ(10)の開口と前記バルブ(10)に接続された流体ラインとの間で流体を案内するように構成され、
前記ばね部材(14)が、前記バルブ(10)を閉じるために、前記支持部材(16)を介して前記シール部材(18)を弁座(20)に押し付けるように構成され、
前記支持部材(16)が、前記流体チャネル(12)を前記ばね部材(14)から分離するように構成されているバルブ。
【請求項2】
前記支持部材(16)の少なくとも一部分(22)が、前記ばね部材(14)と前記流体チャネル(12)との間に配置されている請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記支持部材(16)が、前記流体チャネル(12)の周りに延びるガイド部材(28)を備え、
該ガイド部材(28)が、前記流体チャネル(12)に沿って流体を案内するように構成され、
前記ばね部材(14)が、前記ガイド部材(28)の周りに延びている請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記支持部材(16)が、ばね座(24)とシール座(26)とを備えたバルブスプールであり、
前記ばね部材(14)が、前記ばね座(24)に結合され、
前記シール部材(18)が、前記シール座(26)に取り付けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項5】
少なくとも1つのアームが、前記ばね座(24)と前記シール座(26)とを連結し、
前記少なくとも1つのアームが、前記流体チャネル(12)の流れ方向から半径方向に平行に、前記流体チャネル(12)の一部を通って延びている請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記シール座(26)が、前記流体チャネル(12)内に配置されている請求項4または請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記シール座(26)が、該シール座(26)と前記ばね座(24)との間において前記流体チャネル(12)内の流体を案内するための外壁(42)を備える請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項8】
第1流体ラインコネクタ(32)と、第2流体ラインコネクタ(34)とを備える含むバルブカップリングアセンブリであって、少なくとも前記第1流体ラインコネクタ(32)が、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のバルブ(10)を備えるバルブカップリングアセンブリ。
【請求項9】
第1流体ラインと第2流体ラインとを備える車両であって、請求項8に記載のバルブカップリングアセンブリ(30)が、前記第1流体ラインと前記第2流体ラインとを流体連通可能に連結する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の流体ライン用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特に車両において、流体ラインの接続にカップリングアセンブリが使用される。冷却システムのいずれかにメンテナンスが必要な場合には、カップリングアセンブリは切り離される。このため、切り離された流体ラインから流出する冷却液が大量に失われる。空気が、切り離された流体ラインおよびカップリングアセンブリで失われた冷却液に置き換わる。メンテナンス後に再使用する前に、誤動作を避けるために、流体ラインおよびカップリングアセンブリに閉じ込められた空気は除去されなければならない。
【0003】
バルブカップリングアセンブリを使用することにより、冷却液の損失、ひいては空気の閉じ込めを回避することができる。これらのカップリングアセンブリは、それぞれバルブを備える2つのカップリング半体から構成される。バルブは、バルブの流体チャネルに配置されたピストンを備えている。バルブカップリングアセンブリが分離されると、例えば、メンテナンス中に、ばねがピストンを弁座に押し付けてバルブを閉じる。バルブカップリングアセンブリが結合されると、例えば、通常運転中、ピストンは弁座から離れる方向に押され、流体が流れることを許容する。ピストンおよびばねの周囲のバルブを通る流れは、流体の流れに乱れを生じさせ、バルブ内の圧力損失が発生する。
【発明の概要】
【0004】
したがって、技術的な課題は、圧力損失が低減された改良されたバルブを提供することである。
請求項1、請求項8および請求項9は、本発明の主な特徴を示している。本発明の実施形態の特徴は、請求項2から請求項7の主題である。
【0005】
本発明の一態様においては、車両の流体ライン用のバルブが提供され、バルブは、流体チャネルと、ばね部材と、シール部材を有する支持部材とを備え、支持部材が、流体チャネル内に移動可能に配置され、流体チャネルが、バルブ開口とバルブに接続された流体ラインとの間に流体を案内するように構成され、ばね部材が、バルブを閉じるために、支持部材を介してシール部材を弁座に押し付けるように構成され、支持部材が、流体チャネルをばね部材から分離するように構成されている。
【0006】
支持部材は、バルブの閉状態においてバルブを密閉するためのシール部材を備える。ばね部材は、バルブを閉じるために、シール部材とともに支持部材を弁座に押し付けるように構成されている。支持部材を弁座から離れる方向に押す反力がなければ、ばね部材の押圧力により、シール部材は弁座に密着させられる。バルブの支持部材は、ばね部材が流体チャネルに配置されないように、流体チャネルをばね部材から分離する。したがって、ばね部材は流体チャネルに沿って流れる流体を乱さない、すなわち、流れにおける乱流の形成が低減される。乱流の減少はバルブ内の流体の圧力損失を減少させる。
【0007】
一例においては、支持部材の少なくとも一部が、ばね部材と流体チャネルとの間に配置されてもよい。
支持部材のその部分は、流体チャネルをばね部材から遮蔽することができる。
【0008】
他の例においては、支持部材は流体チャネルの周囲に延びるガイド部材を備えていてもよく、ガイド部材は流体チャネルに沿って流体を案内するように構成され、ばね部材はガイド部材の周囲に延びている。
【0009】
ばね部材はガイド部材の周囲に延びているため、ガイド部材はばね部材と流体チャネルの間に挟まれている。したがって、流体チャネル内の流体の流れはばね部材に接触しない。これにより、ガイド部材は流体の流れをばね部材から離してバイパスする。
【0010】
一例において、流体チャネルは支持部材の周囲に延びていてもよく、支持部材はばね部材の周囲に延びている。したがって、ばね部材は支持部材の内側に配置されてもよい。
【0011】
さらに、支持部材は、例えば、ばね座とシール座とを備えたバルブスプールであってもよく、ばね部材はばね座に結合され、シール部材はシール座に取り付けられる。
【0012】
ばね座は、支持部材の外側に面する部分に配置されてもよく、支持部材の内側に面する部分は、流体チャネルに接していてもよい。
【0013】
他の例において、少なくとも1つのアームがばね座をシール座に接続し、少なくとも1つのアームは流体チャネルの流れ方向から半径方向に平行に流体チャネルの一部を通って延びる。
【0014】
少なくとも1つのアームはさらに、流体チャネルまたはバルブの中心軸に近い位置から、中心軸から半径方向に間隔を開けて離れた位置まで延びていてもよい。ばね座は、例えば、シール座の周りに延びる円筒状であってもよい。したがって、シール座は、支持部材上の中心位置に配置されていてもよい。
【0015】
シール座は、例えば、流体チャネル内に配置されてもよい。
【0016】
さらに、シール座は、シール座とばね座との間で流体チャネル内の流体を案内するための外壁を備えていてもよい。
【0017】
したがって、例えば、バルブは、高流量断面積を有する魚雷スプールバルブであってもよい。流体チャネル内の流体の案内は、乱流の形成をさらに低減する。その結果、圧力損失はさらに減少する。
【0018】
本発明の他の態様において、第1流体ラインコネクタと第2流体ラインコネクタとを備えるバルブカップリングアセンブリが提供され、第1流体ラインコネクタは、先の説明によるバルブを備える。
【0019】
本発明に係るバルブカップリングアセンブリの効果および他の実施形態は、前述の説明によるバルブの効果および実施形態に類似している。したがって、バルブに関する上述の説明を参照されたい。
【0020】
本発明の他の態様において、第1流体ラインと第2流体ラインとを備える車両が提供され、前述の説明によるバルブカップリングアセンブリが、第1流体ラインと第2流体ラインとを流体連通するように連結する。
【0021】
本発明に係る車両の効果および他の実施形態は、前述の説明によるバルブおよびバルブカップリングアセンブリの効果および実施形態に類似している。したがって、バルブおよびバルブカップリングアセンブリに関する上述の説明を参照されたい。
【0022】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、特許請求の範囲の文言ならびに図面に基づく例示的な実施形態の以下の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】バルブカップリングアセンブリの概略図である。
【
図3】バルブカップリングアセンブリの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1はバルブカップリングアセンブリを示し、その全体が参照符号30によって示されている。
バルブカップリングアセンブリ30は、第1流体ラインコネクタ32と第2流体ラインコネクタ34とを備える。
【0025】
第1流体ラインコネクタ32はバルブ10を備え、第1流体ラインに接続可能である。さらに、第1流体ラインコネクタ32は雄スピゴットであってもよい。
【0026】
バルブ10,11は、第1流体ラインコネクタ32および第2流体ラインコネクタ34が作動状態にあるときにバルブ10,11を自動的に開くための幾何学的部材25を有していてもよい。したがって、バルブカップリングアセンブリ30は、連結された流体ライン間に流体連通可能な接続を提供する。
【0027】
第2流体ラインコネクタ34は、第2流体ラインに接続可能であり、雄スピゴットを受けるように構成された雌ハウジングであってもよい。バルブカップリングアセンブリ30は、第1流体ラインを第2流体ラインに接続することができる。第2流体ラインコネクタ34は、バルブ10と同じ特徴を有するバルブ11を備える。バルブ10に関する以下の説明は、それに応じてバルブ11に適用されてもよい。
【0028】
バルブ10は、流体チャネル12と、ばね部材14と、支持部材16と、シール部材18と、弁座20とを備える。
【0029】
流体チャネル12は、バルブ10を通って延び、バルブ10に接続され得る第1流体ラインとバルブ10の開口21との間に流体連通可能な接続を提供する。バルブ10は、第1流体ラインの流体の流れを制御する。
【0030】
弁座20は、開口21に配置されている。さらに、弁座20は、開口21の中心軸の周りに延びている。
【0031】
シール部材18は、支持部材16のシール座26に取り付けられている。支持部材16は、流体チャネル12内に移動可能に配置されている。支持部材16は、シール部材18が弁座20に押し付けられてバルブ10を閉じるように動かすことができる。バルブ10が閉じられると、支持部材16が開口21を塞ぎ、シール部材18が開口21を密封する。
【0032】
支持部材16は、ばね座24をさらに備えていてもよい。ばね座24は、ばね部材14を支持部材16に支持する。第1流体ラインコネクタ32は、ばね部材14の他の部分を支持するためのばね支持部を備えていてもよい。ばね部材14は、シール部材18が弁座20に押し付けられるように、支持部材16を開口21に向かって移動させる力を提供するように構成されている。
【0033】
ばね座24は、支持部材16の外側に面する側に配置され、流体チャネル12は支持部材16の内側に面する側に接触する。その内向きの側面は、流体チャネル12に沿って流体を案内するガイド部材28として機能することができる。
【0034】
したがって、支持部材16は、ばね部材14が流体チャネル12の外側に配置されるように、流体チャネル12をばね部材14から分離する。流体チャネル12内を流れる流体は、ばね部材14によって乱されることはない。
【0035】
流体チャネル12をばね部材14から分離するために、支持部材16の少なくとも一部分22をばね部材14と流体チャネル12との間に配置してもよい。その部分22は、流体チャネル12内を流れる流体に対して物理的な障壁を提供する。
【0036】
支持部材16は、
図2に示すようなバルブスプール、特に魚雷の形状を有する魚雷スプールであってもよい。
【0037】
ばね座24およびシール座26は、バルブスプールの別々の部品に配置されてもよい。魚雷スプールにおいては、シール座26は魚雷の胴体であってもよく、ばね座24は魚雷の尾部であってもよい。
【0038】
シール座26は流体チャネル12内に配置される。流体チャネル12は、シール座26の周りに延びる。ばね座24は、ガイド部材28に接していてもよい。ばね座26は、部分22の外向きの側面に配置されてもよく、ガイド部材28は、部分22の内向きの側面に配置されてもよく、ガイド部材28は、流体チャネル12に接している。
【0039】
少なくとも1つのアーム36が、ばね座24とシール座26とを接続していてもよい。アーム36は、流体チャネル12の流れ方向から半径方向に沿って流体チャネル12を通って延びている。魚雷スプールにおいては、少なくとも1つのアーム36が魚雷の舵となっていてもよい。しかしながら、アーム36は、流体チャネル12内の流体の流れの方向を積極的に変更するために可動ではない。
【0040】
1つ以上のアーム36が設けられている場合、アーム36は流体チャネル12をサブ部分に分割する。流体チャネル12のサブ部分を通過する流体の流れは、乱流および渦が低減されたものとなる。したがって、少なくとも1つのアーム36は、流体チャネル12内を流れる流体を案内して、乱流および渦を減少させることができる。
【0041】
図3は、流体チャネル12を通る流体の流れの方向を示す矢印とともにバルブ10を示している。流体の流れは、矢印で示されている方向とは反対方向にも向けられてもよいことは明らかである。
【0042】
流体チャネル12を流れる流体は、支持部材16のシール座26の周りを流れる。シール座26の外壁42は、シール座26の周囲で流体を案内する。部分22は、流体の流れがばね座24を通過する際にばね部材14に接触しないように、ばね部材14を流体チャネル12から分離する。
【0043】
車両(図示せず)がバルブカップリングアセンブリ30を備えていてもよい。バルブカップリングアセンブリは、例えば、2つの流体ラインを接続してもよい。これらの流体ラインは、例えば、冷却液などの流体を輸送してもよい。バルブカップリングアセンブリの圧力損失が低減されるため、流体ラインを通して流体を圧送するための車両ポンプは、圧力損失に対応するためにサイズを大きくする必要がない。
【0044】
本発明は、前述の実施形態の一つに限定されるものではない。多くの変更が可能である。
構成的な詳細、空間的な配置、および手順ステップを含む、特許請求の範囲、説明、および図面から生じる全ての特徴および利点は、それら自体でも、さまざまな組み合わせでも、本発明に不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0045】
10 バルブ
11 バルブ
12 流体チャネル
14 ばね部材
16 支持部材
18 シール部材
20 弁座
21 開口
22 サポート部材の部分
24 ばね座
25 幾何学的部材
26 シール座
28 ガイド部材
30 バルブカップリングアセンブリ
32 第1流体ラインコネクタ
34 第2流体ラインコネクタ
36 アーム
42 外壁
【国際調査報告】