IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イマーゴタグ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2024-524002商品又は価格の情報を表示するディスプレイシステム
<>
  • 特表-商品又は価格の情報を表示するディスプレイシステム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】商品又は価格の情報を表示するディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
G09G5/00 X
G09G5/00 510Q
G09G5/00 555D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574212
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021068275
(87)【国際公開番号】W WO2023274551
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】ヴジョングループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フィラリ・アンサリー・タリク
(72)【発明者】
【氏名】ヤウック・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドラン・フランソワ・グザヴィエ
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA03
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA14
5C182BB01
5C182BB11
5C182BB22
5C182BC03
5C182BC14
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB47
5C182CC21
5C182DA70
(57)【要約】
商品及び/又は価格の情報を表示するディスプレイシステムであって、コンテンツデータによって表されるコンテンツを表示する少なくとも一つの電子表示機器と、この少なくとも一つの電子表示機器にコンテンツデータを提供するように構成されたデータ提供システムと、電子表示機器によって表示されることを意図したコンテンツ及び/又は
電子表示機器によって既に表示されているコンテンツにおける不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージと、を備え、この検出ステージが、不具合を検出した場合に少なくとも一つのアクションを作動させるように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品及び/又は価格の情報を表示するディスプレイシステム(1)であって、
コンテンツデータ(D2)によって表されるコンテンツを表示する少なくとも一つの電子表示機器(2)と、
この少なくとも一つの電子表示機器(2)にコンテンツデータ(D2)を提供するように構成されたデータ提供システム(5)と、
電子表示機器(2)によって表示することを意図したコンテンツ及び/又は電子表示機器(2)によって既に表示されているコンテンツにおける不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージ(8)と、を備え、
この検出ステージ(8)が、不具合を検出した場合に少なくとも一つのアクションを作動させるように設計されているディスプレイシステム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のアクションが、
不具合の発生に関する情報をデータ提供システム(5)に送信することと、
不具合の発生に関する情報を通信機器に送信することと、
電子表示機器(2)に表示されるコンテンツを更新することと、
光学式又は音響式の警報を作動させることと、
不具合の発生を記録することと、
不具合の発生を計数するカウンターを更新することと、
の中の少なくとも一つを含むディスプレイシステム(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、意図したコンテンツ及び/又は意図していないコンテンツに関してコンテンツを分析することによって、コンテンツにおける不具合を検出するように設計されているディスプレイシステム(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、コンテンツのテキスト又はコンテンツの画像におけるパターンを特定するように設計されており、この特定されたパターンが、意図したコンテンツと意図していないコンテンツの間を区別することを可能にするディスプレイシステム(1)。
【請求項5】
請求項4に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、テキストの要素又はフレーズ、或いは画像要素の予め定義されたルックアップテーブルを使用することによって、意図したコンテンツと意図していないコンテンツの間を区別するように設計されているディスプレイシステム(1)。
【請求項6】
請求項3~5の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、コンテンツを分析して、有害な言葉、或いは有害な画像及び/又は誤った画像を検出するように設計されているディスプレイシステム(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のデータ提供システム(5)が、電子表示機器(2)によって表示されるコンテンツの少なくとも一部を定義するように設計された入力機器(6)を備え、この入力機器(6)が検出ステージ(8)を備えているディスプレイシステム(1)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のデータ提供システム(5)が、コンテンツデータ(D2)を電子表示機器(2)に配信するように設計されたサーバー又はクラウド(7)を備え、このサーバー又はクラウド(7)が検出ステージ(8)を備えているディスプレイシステム(1)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の電子表示機器(2)が検出ステージ(8)を備えているディスプレイシステム(1)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のディスプレイシステム(1)が、少なくとも一つの電子表示機器(2)上に表示されているコンテンツを撮影して、撮影されたコンテンツを表す撮影データ(D1)を作成するように設計及び構成されたカメラ(4)を備えているディスプレイシステム(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のカメラ(4)が検出ステージ(8)を備え、この検出ステージ(8)が、撮影データ(D1)を処理して、電子表示機器(2)によって既に表示されている不具合を自動的に検出するように設計されているディスプレイシステム(1)。
【請求項12】
請求項10に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記のデータ提供システム(5)が、撮影データ(D1)を受信するように設計されており、このデータ提供システム(5)が、撮影データ(D1)を処理して、電子表示機器(2)によって既に表示されている不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージ(8)を備えているディスプレイシステム(1)。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、撮影データ(D1)とコンテンツデータ(D2)を比較することによって不具合を検出するように構成されているディスプレイシステム(1)。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のディスプレイシステム(1)において、
前記の検出ステージ(8)が、検出された不具合の数に基づきアクションを選択するように設計されているディスプレイシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品又は価格の情報を表示するディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子表示機器、特に、電子棚ラベル及び/又はビデオ棚レールは、販売時点の様々な課題のためのディスプレイシステムで使用されており、ショッピング体験を大幅に改善させる。それらは、例えば、商品を広告したり、顧客の注意を商品に向けたり、商品及び価格の情報をリアルタイムに提示するために使用することができる。しかし、望ましくないコンテンツが表示される可能性があるとの虞が、過去において多くの事業運営業者が電子表示機器を使用することを躊躇させてきた。そのような望ましくないコンテンツは、例えば、商品情報を入力する際にタイプミスが生じて、その結果、意図したものと異なる言葉が作成された場合に、或いは表示機器又は表示機器を制御するディスプレイシステムの構成要素がハッキングされた場合に発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のことから、本発明の課題は、上述した問題を克服するディスプレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1に記載のディスプレイシステムによって達成される。そのため、本発明の主題は、コンテンツデータによって表されるコンテンツを表示する少なくとも一つの電子表示機器と、この少なくとも一つの電子表示機器にコンテンツデータを提供するように構成されたデータ提供システムと、この電子表示機器によって表示することを意図したコンテンツ及び/又はこの電子表示機器によって既に表示されているコンテンツにおける不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージとを備え、この検出ステージが、不具合を検出した場合に少なくとも一つアクションを作動させるように設計されている、商品及び/又は価格の情報を表示するディスプレイシステムである。
【0005】
本発明による措置は、ディスプレイシステムが表示することを意図したコンテンツを自動的にチェックして、スーパーマーケットの従業員による誤った入力又は意図していない入力、並びに第三者による許可されていない操作の試みを検出するとの利点を提供する。これらの全ての事象は、公共の場に表示されるべきではないコンテンツを生じさせる可能性がある。従って、本システムは、表示される前に回避すべきコンテントをブロックする。更に、既に表示されているコンテンツをチェックすることによって、故障したディスプレイを自動的に検出して、特定することもできる。要約すると、本ディスプレイシステムは、前述した事象に関して自分自身を監視して、そのため、公共の場(例えば、小売店の敷地)における電子表示機器での間違ったコンテンツ又は不穏当なコンテンツの表示を防止することを可能にする。特に、これらの特徴は、有害なテキスト又は画像(例えば、ポルノ、悪口、テロなど)の表示を自動的に防止するための基礎を成す。
【0006】
本発明の更なる特に有利な実施形態及び拡張形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかになる。
【0007】
一般的に、本ディスプレイシステムは、より少ない数又はより多くの数の電子表示機器を備えることができる。設置する表示機器の数は、スーパーマーケットの大きさ及び/又はスーパーマーケットで提供される商品又は商品群の数に依存することができる。
【0008】
そのような電子表示機器は、それらが論理的に関連付けられている商品群又は商品の近くの棚レールに沿った位置で棚レールに設置される、所謂電子棚ラベル(ESL)として実現することができる。これらは、典型的には、前記の商品群又は商品に関する商品及び/又は価格の情報を表示するために(例えば、電子ペーパー又は電気泳動技術により実現された)消費電力が低いか、或いはゼロに近いディスプレイを備えている。このディスプレイによって表示されるコンテンツは、コンテンツデータによって提供され、このデータは、無線信号又は有線方式によってESLに送信されるとともに、典型的には、それに続いてディスプレイによって表示されるテキスト及び/又は画像を運搬する。
【0009】
そのような電子表示機器は、棚レールの上に(又は棚レールに沿って)設置されるか、或いは棚レール自体を形成する一つ又は複数のビデオスクリーンを備えた、所謂ビデオレールとして実現することができる。ESLと異なり、このビデオレールは、ビデオディスプレイを備えており、そのため、ビデオ及び/又は仮想的な電子棚ラベルを表示することができる。仮想的な電子棚ラベルは、ビデオレールのディスプレイに沿って自由に配置することができ、ビデオに重畳させることもできる。又もや、前記のコンテンツデータは、それに続いてディスプレイによって表示されるビデオ及び/又は仮想的な電子ラベルを運搬するために、ビデオレールに提供される。
【0010】
そのような電子表示機器は、状況に応じたコンテンツの表示を可能にするスマートポスターとして実現することもできる。
【0011】
コンテンツデータは、データ提供システムによって作成されて提供される。このデータ提供システムは、クラウドベース(ソフトウェア及び/又はハードウェア)のサービスによって、或いはスーパーマーケットの敷地内のローカルサーバーによって実現することができ、両方の場合に、各電子表示機器によって表示されるコンテンツである、人が読めるテキスト又は画像を処理する各コンピュータアーキテクチャ上でソフトウェアが実行される。この処理は、適切なデータフォーマットで符号化されて、電子表示機器に供給されるコンテンツデータを発生させる。
【0012】
典型的には、このデータ提供システムは、無線信号又は有線によってコンテンツデータを各電子表示機器に配信するように設計された、スーパーマーケットの敷地内の通信ネットワークに接続されている。そのような通信ネットワークは、無線アクセスポイントを備えることができ、各アクセスポイントが、電子表示機器のグループと無線通信を行うように設計されている。そのような通信ネットワークは、好ましくは、グループで電子表示機器が接続されるルータやコントローラなども備えることができる。
【0013】
このデータ提供システムは、典型的には、全体的な表示計画、棚、棚上の商品及び各商品と関連付けられた電子棚ラベルを保存するデータベースを保守する店舗管理ソフトウェアを備えている。そのようなデータ構造は、プラノグラムとして周知である。従って、このデータ提供システムは、個々の電子表示機器にそれぞれ対処して、ディスプレイシステムの許可されたユーザーによって自動的に作成又は定義された個々のコンテンツを表示することを可能にする。
【0014】
このデータ提供システムは、ディスプレイシステムの許可されたユーザーが、電子表示機器の中の一つ又は電子表示機器のグループによって表示することを意図した、人間が読めるテキスト又は画像を選択又は定義することを可能にするコンピュータベースの一つ又は複数の入力機器を更に備えることができる。そのような入力機器は、例えば、コンピュータ端末、パーソナルデジタル支援機器、携帯電話、タブレットコンピュータなどであるとすることができる。これらの入力機器は、それらのコンピュータのハードウェア上で、ユーザーが人が読めるテキスト又は画像を選択又は定義するための適切なユーザー対話機能を実行することと、店舗管理ソフトウェアと対話することとを可能にするようにプログラムされたユーザーインタフェースソフトウェアを実行する。これらの入力機器は、人が読めるテキスト又は画像の表現をデジタル形式で、例えば、中間データ形式で、或いはコンテンツデータとしてデータ提供システムに供給するのに必要なハードウエアとソフトウエアを更に備えている。
【0015】
不具合は、対策を講じなければ望ましくないコンテンツが表示される虞を生じさせる様々な事象を反映している可能性がある。望ましくないコンテンツとしては、網羅する形ではないが、次の事象を挙げることができる。
a)望ましくないコンテンツとは、例えば、テキストの自動修正によって作成された単語であるが、それが記述する商品に適合しない単語であるとすることができる。
b)望ましくないコンテンツとは、未成年に相応しくないコンテンツであるとすることもできる。
c)望ましくないコンテンツとは、人種差別的な意味に解釈される可能性のあるコンテンツ又はテロリスト的な特性を有するコンテンツであるとすることもできる。
【0016】
望ましくないコンテンツの表示を防止するために、検出ステージが、以下のアクションの中の少なくとも一つを作動させるように設計されている。
【0017】
a)不具合の発生に関する情報をデータ提供システムに送信すること。これは、データ提供システム及び/又はデータ提供システムの許可されたユーザー(例えば、オペレーター)に、不具合を検出した事実に関するフィードバックを与えて、データ提供システムが誤ったコンテンツ又は問題のコンテンツを自動的に調整することを可能にするか、或いはオペレーターがそのようなコンテンツを手動で調整することを可能にする。不具合の検出を引き起こす事象は、電子表示機器に対する新しい商品及び価格の情報を入力する際のスーパーマーケットの従業員の入力、例えば、「six」の代わりに「sex」をキー入力することに起因する可能性がある。
【0018】
b)不具合の発生に関する情報を通信機器に送信すること。そのような通信機器は、例えば、スーパーマーケットの事務室に設置されたコンピュータ又は棚への収納に責任を持つ従業員の携帯電話である。従って、不具合の発生に関する情報は、この情報を処理できる通信機器に自動的に送信することができ、担当者が適切なアクションをとることを可能にする。この通信機器は、データ提供システムから独立した機器であるとするか、或いはデータ提供システムの構成要素であるとすることができる。特に、この通信機器はデータ提供システムの入力機器であるとすることもできる。
【0019】
c)電子表示機器に表示されるコンテンツを更新すること。これは、会社の評判を落とす可能性のあるコンテンツが表示されることを防止するのに資することができる。この目的のために、例えば、不具合が検出された場合に、画面を空の画像に切り替えるか、或いは電源を切ることができる。しかし、電子表示機器は、別の画像及び/又はテキストに切り替えて、その別の画像及び/又はテキストを表示することもできる。この画像及び/又はテキストは、例えば、従業員が多数の電子表示機器の中から対応する電子表示機器を発見するのに役立つ注意書きを含むことができる。この目的のために、不具合が検出された場合に、この別の画像及び/又はテキストを示すデータを電子表示機器に送信することができる。この別の画像及び/又はテキストを示すデータは、予め電子表示機器に保存しておくこともできる。この目的のために、電子表示機器は、不具合の指示を受信した場合に、この予め保存しておいた画像及び/又はテキストを表示するように設計することができる。
【0020】
d)光学式又は音響式の警報を作動させること。一方で、これは、現場で操作の試みが実行される事象において、操作者を抑止するのに有用である。他方で、これは、不具合が発生したとの指示を販売スタッフに与える。この警報は、それぞれ通信機器又は入力機器上に映像化することができる。この警報は、スーパーマーケット内の中央の地点から出ることができる。この警報は、電子表示機器から出すこともでき、当該電子表示機器の迅速な位置特定を可能にする。
【0021】
e)不具合の発生を記録すること。従って、不具合の発生を時間的又は空間的なコンテキストに関して設定することができ、これは、それに続いてシステムの安全性とシステム動作の信頼性を一層向上させることを可能にする。
【0022】
f)不具合の発生を計数するカウンターを更新すること。そのようなカウンターは、不具合の発生を計数して、それらを整数値として保存することができる。このカウンタ-の結果は、発生した不具合の種類に依存するとともに、発生した不具合の種類の量及び/又は質を反映するように作成することもできる。これは、検出された不具合毎にスコアを保存できるようにし、このスコアは、それぞれ取るべきアクションを定義するために使用することができる。このスコアは、閾値と比較して、スコアが閾値を上回った場合にのみアクションを作動させることができる。このカウンター又はスコアの結果は、不具合の発生の時間的及び空間的なコンテキストを反映することもできる。例えば、コンテンツが一方で猥褻であると理解される可能性のある単語を含む場合、より高いスコアを与えることができる。他方で、或るトリガーとなる単語の組合せ(例えば、「crazy」と「women」の組合せ)が差別的な性質との関連性を示す可能性がある一方、それらの単語が互いに独立して、或いは別の組合せ(例えば、「crazy」と「taste」の組合せ)で用いられた際に問題にならない場合でも、より高いスコアを与えることができる。
【0023】
不具合が検出されたシステム内の場所に依存して、これらのアクション及び更なるアクションをとることができる。
【0024】
既に前に示した通り、この検出ステージが、意図したコンテンツ及び/又は意図していないコンテンツに関してコンテンツを分析することによって、コンテンツにおける不具合を検出するように設計されていることが特に有利である。これは、どのコンテンツが受け入れ可能であるのか、並びにどのコンテンツが受け入れ可能ではなく、それに対応したアクションが必要であるのかを明確に定義することを可能にする。例えば、分析すべきコンテンツがテキストである場合、例えば、避けるべき単語又は避けようとする単語の予め定義されたテンプレート又はそのような単語の組合せとコンテンツのテキスト又は単語の比較によって、意図したコンテンツと意図していないコンテンツの間を容易に区別することができる。
【0025】
それに加えて、この検出ステージが、コンテンツのテキスト又はコンテンツの画像におけるパターンを特定するように設計されていることが有利であり、このパターンの特定は、意図したコンテンツと意図していないコンテンツの間を区別することを可能にする。これは、コンテンツをチェックして、不具合を検出する検出プロセスにおいて特に注意を要する、そのコンテンツの個々のパターン(コンポーネント又は要素)を特定することを可能にする。そのようなテキスト又は画像のコンテンツのコンテキストにおける個々の要素は、例えば、「sEx」を映像化するコンテンツである。そのようなコンテンツは、トリガーとなる単語等との比較によって特定することは殆どできない。そのようなコンテンツを特定するためには、例えば、有害な言葉を検出するために、OCR検出(OCRとは光学式文字認識を意味する)をコンテンツに適用することが有利である。他方、誤った画像を検出するために、カラメトリー検出を使用することもできる。
【0026】
それに加えて、この検出ステージが、テキストの要素又はフレーズ、或いは画像要素の予め定義されたルックアップテーブルを使用することによって、意図したコンテンツと意図していないコンテンツの間を区別するように設計されていることが有利である。このルックアップテーブルは、実際には、検出ステージの検出プロセスで使用される、デジタル形式の重要なテキストの要素又はフレーズ、或いは画像要素のコレクションを含むデータベースであるとすることができる。これは、望ましくないコンテンツを簡単に予め定義することを可能にする。これは、更に、異なるタイプのビジネスに対して異なる望ましくないコンテンツを定義することを可能にする。従って、異なるビジネスシナリオに本発明を適用する柔軟性が確保される。
【0027】
既に述べた通り、この検出ステージが、コンテンツを分析して、有害な言葉、或いは有害な画像及び/又は誤った画像を検出するように設計されていることが有利である。この分析は、英数字又は画像要素に基づいている。文字列又はテキストを分析するか、さもなければグラフィック要素を分析して、望ましくないコンテンツ又は意図していないコンテンツを特定する。これは、更に、異なるタイプのビジネスに対して異なる望ましくないコンテンツを定義することを可能にする。
【0028】
本発明の一つの観点において、このデータ提供システムは、電子表示機器によって表示されるべきコンテンツの少なくとも一部を定義するように設計された入力機器を備え、この入力機器が検出ステージを備えている。従って、望ましくないコンテンツの表示に対して、それが電子表示機器に表示される前であっても対処することができる。特に、意図していないコンテンツは、入力プロセス中に直ちに検出することができる。ここで、入力機器のオペレーターは、システムが許可すれば、操作者の入力を直ちに補正する手段を有する。しかし、不具合の検出後に、更なる入力をブロックして、管理者が許した場合にのみ再度許可する形態を実現することもできる。
【0029】
本発明の別の観点において、このデータ提供システムは、コンテンツデータを電子表示機器に配信するように設計されたサーバ又はクラウドを備え、このサーバ又はクラウドが検出ステージを備えている。これは、コンテンツが電子表示機器に送信される前に直ちにコンテンツをチェックすることを可能にする。従って、電子表示機器に送信される前に、望ましくないコンテンツの表示に対処することができる。例えば、入力機器を介して入力された後にのみ、或いはサーバー又はクラウドにアップロードされた後にのみ、コンテンツが操作された場合に、これを認識して、対策を講じることができる。このシナリオでは、本システムが第三者によってハッキングされたと仮定することができ、自動的にマスター警報を発生させることができる。
【0030】
本発明の別の観点において、この電子表示機器が検出ステージを備えている。この手法では、コンテンツデータがどこで操作されたのか、或いは誤って作成されたのかに関わらず、係員に気付かれずに表示されることを防止できる。この措置は、不具合を検出するための別の措置とは独立して講じることができる。しかし、前述の措置と組み合わせて実施することもできる。この場合、この措置は、上流の措置が不具合を検出しなかった場合の最後の命綱を提供する。
【0031】
本発明の別の観点において、本ディスプレイシステムは、少なくとも一つの電子表示機器に表示されるコンテンツを撮影して、撮影されたコンテンツを表す撮影データを作成するように設計及び構成されたカメラを備えている。これは、電子表示機器によって実際に表示されているコンテンツを把握することを可能にする。そのようなカメラは、単一の電子表示機器を撮像するか、或いはカメラの検出領域内に配置された一定数の電子表示機器を撮像することができる。そのようなカメラは、例えば、スーパーマーケットの天井に設置して、カメラに見える棚を撮影するような方向に向けることができる。そのようなカメラは、棚に直接設置するか、或いは棚レールにさえ設置して、棚通路の反対側に配置された別の棚又は棚レールを撮影することもできる。
【0032】
本発明のカメラに基づく実施形態では、このカメラが検出ステージを備え、この検出ステージが、撮影データを処理して、電子表示機器によって既に表示されている不具合を自動的に検出するように設計されている。これは、不具合が発生する電子表示機器の直ぐ近くで撮影データを評価することを可能にする。従って、不具合が発生した電子表示機器のグループを特定するためには、不具合が特定されたカメラを特定するだけで十分である。そのようなグループ単位での特定のベースとなるのは、電子表示機器の全ての位置をカメラ及びその視野角と共に記録することができるプラノグラムである。迅速なアクション(例えば、故障した電子表示機器を棚から取り除くこと)を実行するためには、カメラの位置とその撮影方向又は視野角を知ればそれで十分である。これは、スタッフが問題の棚に急行して、取り除かなければならない電子表示機器を手動で特定することを可能にする。
【0033】
本発明のカメラに基づく更なる実施形態では、このデータ提供システムが、カメラから撮影データを受信するように設計されており、このデータ提供システムが、撮影データを処理して、電子表示機器によって既に表示されている不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージを備えている。これは、高性能なデータ提供システムによって、多数のカメラから受信した撮影データでさえも一括して評価することを可能にする。そのため、カメラを比較的単純で安価なものにすることができる。従って、比較的少ない安価なカメラのコンポーネントを用いて、多数の電子表示機器をチェックすることができる。
【0034】
特に、本発明のカメラに基づく実施形態では、この検出ステージが撮影データとコンテンツデータを比較することによって不具合を検出するように構成されていることが有利である。起こり得る意図していないコンテンツを認識する以外に、さもなければ検出されないままである、電子表示機器のエラーも認識することができる。そのようなエラーは、電子表示機器のガラス/ディスプレイのひび割れ、電子表示機器の欠陥のある画素又は電子表示機器のディスプレイ上の単なる汚れであるが、これらは網羅的に列挙したものではない。
【0035】
一般的に、本発明の更なる観点において、この検出ステージは、検出した不具合の数に基づいてアクションを選択するように設計されている。従って、ディスプレイシステムの状況に応じて対応することが可能である。例えば、一つのグループの電子表示機器で検出された不具合の数が、予め定義された閾値を上回った場合、重大な事象、例えば、システム全体に対する大規模なハッキングを想定することができる。従って、これより前に説明したアクションの中の一つ又はそれらのアクションの組合せである迅速で強力かつ大規模なアクションを取らなければならない。
【0036】
最後に、本特許出願の明細書に記載された電子デバイスは、周知の単体の電子機器及び/又は集積された電子機器を用いて実現できることに言及しておく。インタフェースが必要であれば、当業者は、データ及び/又は信号の通信を可能にする適切なインタフェース回路(トランシーバー)を選択して、設計することができる。プログラミング可能な機器は、マイクロプロセッサと幾つかの周辺電子機器を備えることができる。そのようなプログラミング可能な機器は、マイクロコントローラ又は特定用途向け集積回路(ASIC)などを用いて実現することもできる。そのような機器上でソフトウェアルーチンを実行することは、ここで考察したコンピュータに実装された機能を提供することとなる。
【0037】
本発明の上記の観点及びそれ以外の観点は、以下で考察する図面から得られる。
【0038】
以下において、添付図面を参照して、実施例に基づき本発明を再度説明するが、これらは、それにも関わらず本発明の範囲を限定するものではない。この図面は模式的な図である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本ディスプレイシステムの一例の模式図
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、スーパーマーケットに設置されたディスプレイシステム1を図示している。スーパーマーケットに設置された棚3の例として、一つの棚だけが図示されている。この棚3は6台の電子表示機器2を搭載しており、これらは、本実施形態では電子棚ラベルとして実現されており、以降ESL2と称する。これらのESL2は、(図示されていない)棚の底面3B上に商品を配置した位置に棚レール3Aに取り付けられる。
【0041】
このディスプレイシステム1は、棚3、その上のESL2及びESL2に表示されるコンテンツを撮影して、撮影された情景を表す撮影データD1を作成するカメラ4を更に備えている。これらの撮影データD1は、様々な店舗管理活動のために使用することができる。明確化のために、複数の異なる棚3又はそのグループを監視するために、複数のカメラ4も設置できることを述べておきたい。
【0042】
このディスプレイシステム1は、ディスプレイシステム1のサブシステムを構成するデータ提供システム5を更に備えている。このデータ提供システム5は、個々のESL2に送信されて、通常の環境下においてESL2によって表示されることを意図した、商品及び/又は価格の情報を表すコンテンツデータD2を作成する。典型的には、コンテンツデータD1は、無線ネットワークを介してESL2に送信され、この無線ネットワークの構成要素は、基本的に当業者に周知であるため、図1には図示されていない。
【0043】
意図したコンテンツは、この場合にはスーパーマーケットの事務室に配置されたパーソナルコンピュータである入力機器6を用いて作成される。許可されたユーザー(例えば、スーパーマーケットの従業員)が、ESL2に関して意図したコンテンツを定義して、ユーザーの入力が入力機器6によって受信されて、処理され、クラウドベースのサービス7に転送され、そこで、最終的なコンテンツデータD1が作成される。このクラウドベースのサービス7は、スーパーマーケットの運営業者がESL2を管理するために典型的に必要な全ての機能を提供するソフトウェアが実行されるコンピュータ又はサーバーファームによって実現される。これは、個々のESL2に関する個々のコンテンツデータD2の前記の作成、デジタル形式のプラノグラム、或いは店舗又はフロアのプランの作成及び保守を含む。決済機能や商品及びESLの物流などの別の機能を含むこともできる。
【0044】
このデータ提供システム5は、カメラ4から撮影データD1を受信して処理し、それを商品の在庫切れ状況、商品の誤配置、ESL2と商品の不一致などを特定するために使用することもできる。
【0045】
意図していないコンテンツの表示を防止するか、或いはESL2による意図していないコンテンツの表示の影響を低減するために、このディスプレイシステム1は、電子表示機器によって表示されることを意図したコンテンツにおける不具合を自動的に検出するように設計された検出ステージ8を更に備え、これは、このコンテンツが未だESL2に到達していないか、或いは電子表示機器2によって既に表示されていることを意味する。
【0046】
この検出ステージ8は、実際の実装形態に応じて、入力機器6のコンピュータ、クラウドベースのサービス7のコンピュータ又はカメラ4のコンピュータによって、或いはESL2自体によってさえ実行される、ソフトウェアのアプリケーション又はルーチンとして実現される。図1は、検出ステージ8を実装できる様々な場所を図示している。
【0047】
検出ステージ8が入力機器6において実現される場合、この検出ステージ8は、ユーザーの入力をチェックすることができ、データ提供システム5への入力時点において直ちに意図していないコンテンツを検出することができる。そのため、この検出ステージ8は、データ提供システム5内でのそのような意図していないコンテンツの更なる処理及び伝播を阻止して、警報を作動させる、例えば、各ユーザーに即座にフィードバックを与えることができる。
【0048】
検出ステージ8がクラウドベースのサービス7において実現される場合、この検出ステージ8は、少なくともユーザーの観点からESL2によって表示されることを意図したコンテンツを表す、入力機器6から受信するユーザーの入力と、ESL2によって既に表示されているコンテンツを表す、カメラ4から受信する撮影データとをチェックすることができる。
【0049】
一方で、入力機器6から受信するコンテンツは、第三者によるデータ操作を受けて、そのため、ユーザーによって作成された本来のコンテンツと異なる可能性がある。この第三者によるデジタル操作は、検出ステージ8によって検出することができ、上述したシナリオと同様に、検出ステージ8が、データ提供システム5内でのそのような意図していないコンテンツの更なる処理及び伝播を阻止して、警報を作動させる、例えば、各ユーザーに即座にフィードバックを与えたり、管理者に検出情報を送信することができる。
【0050】
他方で、データ提供システム5からESL2に送信されるコンテンツデータD2に対する第三者の介入に起因する可能性のある不具合に関して、カメラ4から受信する撮影データをチェックすることもできる。又もや、この第三者によるデジタル操作は、検出ステージ8によって検出することができ、上述したシナリオと異なり、ここでは、検出ステージ8が、例えば、ESL2によって既に表示されているコンテンツの削除を開始することができる。又もや、この検出ステージ8は、警報を作動させる、例えば、各ユーザーに即座にフィードバックを与えるか、或いは管理者に検出情報を送信することができる。
【0051】
それに追加して、カメラ4から受信する撮影データは、ESL2の電気的又は機械的な故障に起因する可能性のある不具合に関してチェックすることもできる。これらの状況下において、該当するESL2の画面をスイッチオフするのか、或いはブランクにするのかは、デジタル画像処理を使用する検出ステージ8によって決定される、検出された不具合の程度に依存することができる。何れにせよ、検出ステージ8は、警報を作動させる、例えば、各ユーザー又は管理者にエラー情報を転送することができる。
【0052】
検出ステージ8がカメラ4において実現される場合、前の二つの段落で述べた撮影データD1に基づく全ての検出は、カメラ4によって直ちに実行することができる。一つの実施形態では、検出ステージ8の検出プロセスは、ユーザーの本来の入力又はそれに対応するコンテンツデータD2に関する情報が無くとも自律的に動作する。この実施形態では、検出ステージ8は、公共の場所で表示されることが決して意図されていないような意図していないコンテンツ、言い換えると明らかに意図していないコンテンツを特定することができる。別の実施形態では、ユーザーの本来の入力及び/又はコンテンツデータD2をカメラ4に供給して、検出プロセスによって考慮することができる。この実施形態では、検出ステージ8は、それほど明白ではないような、言い換えると「行間に隠されているかもしれない」ような意図していないコンテンツを特定することができる。検出された不具合のタイプに応じて、検出ステージ8が適切な警報を作動させることができる。
【0053】
更に、検出ステージ8をESL2に組み込むこともでき、これは、ESL2が少なくともデータ提供システム5から受信するコンテンツデータD2を自ら監視するか、或いは自らチェックすることを可能にすることを述べておきたい。
【0054】
完璧にするために、前述した要素の中の一つにおいてのみ検出ステージ8を実現する必要がないことを強調しておく。この検出ステージ8は、ディスプレイシステム1におけるこれら全ての異なる要素又はそのような要素のグループに同時に実装することができる。本ディスプレイシステムの様々な要素に配置された認識ステージ8は、それらの結果を互いにチェックし合って、チェックされたコンテンツの総合的な評価を導き出すこともできる。この認識ステージ8は、本ディスプレイシステム1の要素に沿ってデイジーチェーン構成で互いに接続することもでき、そのため、先行する認識ステージ8の結果は、ESL2に向かう方向において下流にある次の検出ステージ8で考慮することができる。これらの全ての措置は、本ディスプレイシステム1のセキュリティを強化することができる。
【0055】
最後に、上で詳細に説明した図は、専門家が本発明の範囲内から逸脱することなく、多種多様な方法で修正できる実施例と関連しているに過ぎないことを再度指摘しておきたい。完璧にするために、不定冠詞「a」又は「an」の使用は、それぞれの特徴が複数回存在し得ないことを意味しないことも述べておきたい。
図1
【国際調査報告】