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特表2024-524003磁気共鳴撮像のための無線周波数受信器アレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】磁気共鳴撮像のための無線周波数受信器アレイ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B5/055 355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574320
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2022067643
(87)【国際公開番号】W WO2023280628
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21183603.6
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】スレスサ ラメスウォル
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB42
4C096AB43
4C096AD10
4C096CC06
4C096DA21
(57)【要約】
磁気共鳴撮像のための無線周波数(RF)受信器アレイであって、前記RF受信器アレイは、標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するための少なくとも1つの受信器コイル素子と、前記受信された磁気共鳴信号を処理するための少なくとも1つのオンボードデジタル受信器回路とを備える、無線周波数(RF)受信器アレイ。磁気共鳴信号のオンコイルデジタル化のために、オンボードデジタル受信器回路は、特定用途向け集積回路ASICを備える。RF受信器アレイは、オンボードデジタル受信器回路と受信ユニットとの間でデータを搬送するように構成され配置された複数の信号線をさらに備える。オンボードデジタル受信器回路と受信ユニットとの間に容量性通信を提供するために、ASICは各信号線のための少なくとも1つのオンチップキャパシタを備え、オンチップキャパシタは信号線と直列に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴撮像のための無線周波数(RF)受信器アレイであって、前記RF受信器アレイは、
標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するための少なくとも1つの受信器コイル素子と、
前記受信された磁気共鳴信号を処理するための少なくとも1つのオンボードデジタル受信器回路と
を有し、
前記オンボードデジタル受信器回路は、前記磁気共鳴信号のオンコイルデジタル化のための特定用途向け集積回路ASICを有し、
前記RF受信器アレイは、前記オンボードデジタル受信器回路と受信ユニットとの間でデータを搬送するように構成される複数の信号線を有し、
前記ASICは、前記オンボードデジタル受信器回路と前記受信ユニットとの間に容量性通信を提供するための、各信号線に対する少なくとも1つのオンチップキャパシタを有し、前記オンチップキャパシタは前記信号線と直列に配置される
無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項2】
前記受信ユニットは、磁気共鳴撮像システムのデータインターフェース及び/又は第2のオンボードデジタル受信器回路である、請求項1に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項3】
前記オンボードデジタル受信器回路の各特定用途向け集積回路ASICは、前記信号線を介したデータ通信のための通信モジュールを備え、各通信モジュールは送信器及び/又は受信器を備え、前記通信モジュールの各々は前記信号線と直列に配置された前記オンチップキャパシタをさらに備える、請求項1乃至2の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項4】
前記通信モジュールの受信器は、コモンモード抑制回路を備える、請求項3に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項5】
前記信号線は、ワイヤ及び/又はツイスト差動対ケーブル及び/又はモノリシック導電ラインである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項6】
前記オンチップキャパシタは、オンチップ高電圧、低容量キャパシタである、請求項1乃至5の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項7】
前記オンチップキャパシタの容量は、約50フェムトファラド乃至100フェムトファラドである、請求項6に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項8】
前記オンチップキャパシタは、前記オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICにモノリシックに集積される、請求項1乃至7の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項9】
前記オンチップキャパシタは下部電極によって形成され、前記下部電極は、前記オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICの第1の金属層の一部であり、前記オンチップキャパシタは、
前記下部電極上に形成された絶縁層によって形成され、
前記絶縁層上に形成された上部電極によって形成され、前記上部電極は、前記オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICの第2の金属層の一部である、請求項8に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項10】
前記RF受信器アレイは複数のオンボードデジタル受信器回路を備え、前記オンボードデジタル受信器回路は、前記信号線によって互いに直列に接続される、請求項1乃至9の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイ。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の磁気共鳴撮像のための無線周波数(RF)受信器アレイを有する、磁気共鳴撮像システム。
【請求項12】
無線周波数(RF)受信器アレイを動作させるための方法であって、前記方法は、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイを提供するステップと、
前記RF受信器アレイの少なくとも1つの受信器コイル素子を使用して、標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するステップと、
前記RF受信器アレイのオンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICによって前記磁気共鳴信号をデジタル信号に変換するステップと、
少なくとも1つの信号線を介して受信ユニットに前記デジタルデータを送信するステップと
を有する、方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの信号線を介して受信ユニットにデジタルデータを送信するステップは、
前記オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICにおける通信モジュールであって、前記通信モジュールは、前記信号線を介したデータ通信のための送信器と受信器とを備える、通信モジュールを提供するステップと、
前記送信器によって受信ユニットに前記信号線を介して前記デジタルデータを送信するステップと、
前記特定用途向け集積回路ASIC内の通信モジュールの受信器によって前記デジタルデータを受信するステップと
を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
機械実行可能命令を有するコンピュータプログラムプロダクトであって、前記機械実行可能命令は、請求項12乃至13の何れか一項に記載の無線周波数(RF)受信器アレイを制御するプロセッサによって実行される、コンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数(RF)受信器アレイの分野に関し、特に、磁気共鳴撮像のためのRF受信器アレイに関する。本発明はさらに、RF受信器アレイを動作させるための方法に対する磁気共鳴撮像のためのRF受信器アレイと、コンピュータプログラム製品とを備える磁気共鳴撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同軸ケーブルは、受信コイルから近隣のアナログデジタル(ADC)コンバータにMR信号を伝送するために使用されている。しかしながら、これは、安全上の理由から、コモンモードRF電流を遮断するために、かさばる重いケーブルRFトラップを必要とする。アレイ内のコイルの数が増加することにつれて、これらのかさばるトラップは急速にボトルネックになりつつある。
【0003】
これらの問題を克服するために、2つの魅力的な技術、すなわち、光ファイバを介した光通信及び無線RF通信が、多くの文献において提案されている。しかしながら、光通信は100ミリワットのオーダーのかなりの電力を消費し、マルチモード伝送の場合には信号対雑音比の損失を被り、サイズが嵩張る。一方、無線RF通信は十分なクロック品質でクロックを回復するために重要な課題を有し、その結果、全体的な雑音指数及びダイナミックレンジに著しいペナルティが生じる。さらに、ワイヤレス通信は通常の使用におけるその信頼性が低いことが有名であり、したがって、過酷なMR環境において信頼性の高い通信を提供するその能力に重大な疑問がある。
【0004】
文献WO2007043009A2には、磁気共鳴信号をピックアップするように構成される共鳴ピックアップ回路と、磁気共鳴信号をデジタルデータに変換するように構成されるAD変換器と、デジタルデータの周波数の一次帯域を変換するように構成される周波数変換器とを備える無線周波数アンテナが開示されている。送信されたビットストリームの周波数をアップシフトすることによって、単純なハイパスフィルタリング技法によって伝送チャネルをRFトラップすることが可能である。送信ビットパターンが共振周波数にアプローチ周波数成分を有する場合、マンチェスタ符号化のような符号化技術を使用して、不要な信号を除去することができる。米国特許出願US2018/0348315は、MR周波数で信号を受信する受信アンテナを開示している。信号変換器は受信された信号をデジタル化し、それをより高い周波数帯域にアップコンバートするために提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はRFトラップを必要とせず、低電力を消費し、高速通信を提供する、磁気共鳴撮像のためのオンコイルデジタル無線周波数(RF)受信器アレイにおける容量性通信ソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、独立請求項の主題によって対処される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
したがって、本発明によれば、
磁気共鳴撮像のための無線周波数(RF)受信器アレイであって、前記RF受信器アレイは、
標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するための少なくとも1つの受信器コイル素子と、
前記受信された磁気共鳴信号を処理するための少なくとも1つのオンボードデジタル受信器回路と
を有し、
前記オンボードデジタル受信器回路は、前記磁気共鳴信号のオンコイルデジタル化のための特定用途向け集積回路ASICを有し、
前記RF受信器アレイは、前記オンボードデジタル受信器回路と受信ユニットとの間でデータを搬送するように構成される複数の信号線を有し、
前記ASICは、前記オンボードデジタル受信器回路と前記受信ユニットとの間に容量性通信を提供するための、各信号線に対する少なくとも1つのオンチップキャパシタを有し、前記オンチップキャパシタは前記信号線と直列に配置される
無線周波数(RF)受信器アレイが提供される。
【0008】
本発明の主なアイデアは、MR受信器システムにおける高速かつ低電力の通信のための容量性通信ソリューションを提供することである。主な利点は、この解決策がMR周波数でのRF電流がキャパクタによって遮断される一方でデータエッジが通過するので、嵩張り且つ重いRFケーブルトラップの必要性を排除することである。データ通信速度(1Gbpsまで)は、MR周波数よりはるかに速い。ガルバニック接続の結果として、データラインに沿ってエネルギーを伝達することができることがさらに有利である。
【0009】
本発明の無線周波数(RF)受信器アレイは、磁気共鳴信号を受信するように構成される。そのために、受信器コイル素子は、これらの磁気共鳴信号の磁場の磁束をピックアップする。オンボードのRF受信器アレイには、信号線によって結合された1つ又は複数のデジタル受信器回路が設けられている。RF受信器コイル素子よりも少ないデジタル受信器ユニットがあり得、隣接する受信器コイル素子は、単一のデジタル受信器回路を共有し得る。これらのデジタル受信器回路は、様々な受信器コイル素子の出力ポートでアナログ信号をデジタル化する。さらに、受信ユニットがデジタル受信器回路と、磁気共鳴検査システム(例えば、システムホスト)へのRF受信器アレイの出力との間のインターフェースとして機能するように提供される。磁気共鳴信号のデジタル化は、各デジタル受信器ユニットに設けられたASICによって行われる。デジタルデータは信号線の様々なデジタル受信器ユニット間で(インターフェース)受信ユニットに、最終的にはシステムホストに通信される。デジタル受信器ユニットは、それぞれの信号線と直列のそれぞれのASIC内のオンチップキャパシタによって形成される容量性通信によって受信器ユニットにリンクされる。実際、ASIC内のキャパシタは、MR高周波キャリア周波数コモンモードをブロックするローカルフィルタからのものである。これは差動信号のみが送信され、大きな信号トラップはRF受信器アレイに搭載される必要はない。
【0010】
本発明の一実施形態では、受信ユニットが磁気共鳴撮像システム及び/又は第2のオンボードデジタル受信器回路のデータインターフェースである。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、オンボードデジタル受信器回路のASICは信号線を介したデータ通信のための通信モジュールを備え、各通信モジュールは送信器及び/又は受信器を備え、通信モジュールの各々は信号線と直列に配置されたオンチップキャパシタをさらに備える。
【0012】
本発明の一実施形態では、通信モジュールの受信器がコモンモード抑制回路を備える。
【0013】
本発明の別の実施形態では、信号線がワイヤ及び/又はツイスト差動対ケーブル及び/又はモノリシック導電ラインである。信号線は、様々な方法で実装することができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、オンチップキャパシタは、オンチップ高電圧低容量キャパシタである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、オンチップキャパシタの静電容量が約50フェムトファラド乃至100フェムトファラドである。小さい値(50fF―100fF)と高電圧オンチップキャパシタは、MR周波数で高いインピーダンスを提供する。小さな値のキャパシタを使用することにより、MR周波数において高インピーダンス経路(>10kOhm)を確実に提供し、電流の流れを遮断し、ケーブル捕捉要件を排除する。
【0016】
オンチップキャパシタは、オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路に集積されるという利点がある。
【0017】
本発明の一実施形態ではオンチップキャパシタが下部電極によって形成され、下部電極はオンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICの第1の金属層の一部であり、下部電極上に形成された絶縁層によって形成され、上部電極はオンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICの第2の金属層の一部である。これは、MRシステムにおけるオンコイルデジタル化コイルアレイのMR受信器間のガルバニック絶縁されモノリシックに集積された容量性通信ソリューションを提供する。
【0018】
本発明のさらなる実施形態ではRF受信器アレイが複数のオンボードデジタル受信器回路を備え、オンボードデジタル受信器回路は信号線によって互いに直列に接続される。特定用途向け回路(ASIC)設計によるMR信号のオンコイルデジタル化の進歩に伴い、コイルアレイ内の受信器は、各MR受信器からのデータがさらなる処理及び画像再構成のために磁気共鳴撮像システムのデータインターフェースに送信される従来の構造と同様に直列に接続することもできる。
【0019】
本発明の別の態様では、上記目的が上述の磁気共鳴撮像のための無線周波数(RF)受信器アレイを備える磁気共鳴撮像システムによって達成される。
【0020】
本発明のさらなる態様では、この目的は、無線周波数(RF)受信器アレイを動作させるための方法であって、
前記無線周波数(RF)受信器アレイを提供するステップと、
前記RF受信器アレイの少なくとも1つの受信器コイル素子を使用して、標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するステップと、
前記RF受信器アレイのオンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICによって前記磁気共鳴信号をデジタル信号に変換するステップと、
少なくとも1つの信号線を介して受信ユニットに前記デジタルデータを送信するステップと
を有する、方法によって達成される。
【0021】
本発明の一実施形態では、前記少なくとも1つの信号線を介して受信ユニットにデジタルデータを送信するステップは、
前記オンボードデジタル受信器回路の特定用途向け集積回路ASICにおける通信モジュールであって、前記通信モジュールは、前記信号線を介したデータ通信のための送信器と受信器とを備える、通信モジュールを提供するステップと、
前記送信器によって受信ユニットに前記信号線を介して前記デジタルデータを送信するステップと、
前記特定用途向け集積回路ASIC内の通信モジュールの受信器によって前記デジタルデータを受信するステップと
を有する。
【0022】
本発明のさらなる態様では本目的は、機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品によって達成され、機械実行可能命令は上述の無線周波数(RF)受信器アレイを制御するプロセッサによって実行される。
【0023】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。しかしながら、そのような実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による無線周波数(RF)受信機アレイを概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態による無線周波数(RF)受信器アレイを概略的に示す。
図3】本発明の実施形態によるガルバニック接続によって互いに接続された無線周波数(RF)受信器アレイの2つのオンボードデジタル受信器回路を概略的に示し、図3は特定用途向け集積回路、本発明の別の実施形態によるASICを備える2つのオンボードデジタル受信器回路を概略的に示す。
図4】本発明の実施形態による容量性通信受信器の実装を概略的に示す。
図5】本発明の実施形態による高速容量性通信送信器及び受信器における主波形を概略的に示す。
図6】本発明の実施形態による無線周波数(RF)受信器アレイを動作させるための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による無線周波数(RF)受信器アレイ1を概略的に示す。RF受信器アレイ1は、標的領域の少なくとも一部から磁気共鳴信号を受信するための複数の受信器コイル素子2を備える。標的領域は例えば、人体の一部であり得る。図1にはさらに、RF受信器アレイ1が、受信された磁気共鳴信号を処理するための複数のオンボードデジタル受信器回路3を備えることが示されている。オンボードデジタル受信器回路3はさらに、磁気共鳴信号のオンコイルデジタル化のための特定用途向け集積回路ASIC 4を含む。受信コイル素子2におけるデジタル化はデジタルデータが例えば、アップシフトされた周波数でのデジタル通信を可能にするために、デジタル受信回路3の間又は磁気共鳴システムのデータインターフェースシステム7へ送信されることを可能にする。オンボードデジタル受信器回路3は、信号線5によって互いに直列に接続されている。本発明の一実施形態では、信号線5がワイヤ又はツイスト差動対ケーブル又はモノリシック導電ラインである。信号線5は、オンボードデジタル受信器回路3の間でデータを搬送するように構成され、配置される。ASICは、各信号線5のための少なくとも1つのオンチップキャパシタ6をさらに備える。1つのオンチップキャパシタ6は、オンチップキャパシタ6が信号線5と直列に配置されているオンボードデジタル受信器回路3の間の容量性通信を提供する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態によるガルバニック接続によって互いに接続された無線周波数(RF)受信器アレイ1の2つのオンボードデジタル受信器回路3を概略的に示す。オンボードデジタル受信器回路3の各々は特定用途向け集積回路ASIC 4を備え、ASIC4の各々は通信モジュール8を備える。通信モジュール8は信号線5を介したガルバニック接続によって接続され、信号線5はワイヤ、ツイスト差動対ケーブル、又はモノリシック導電ラインである。左側の受信器ASIC 4は、信号線5を介してデータを送信するための送信器9を備える。右側の受信器ASIC 4は、信号線5を介してデータを受信するための受信器10を備える。各信号線5に対して、オンチップキャパシタ6が通信モジュール内の各信号線5と直列に配置される。オンチップキャパシタ6はモノリシックに集積されたキャパシタ6とすることができるが、PCB内に製造されたキャパシタ6、又は更には別個のキャパシタ6とすることもできる。本発明の一実施形態では、オンチップキャパシタ6がオンチップ高電圧及び低容量キャパシタである。本発明の一実施形態では、キャパシタ6が例えば、50フェムトファラド乃至100フェムトファラドの間の静電容量を有する。小さな値のキャパシタ6の使用はMR周波数において高インピーダンス経路(>10kΩ)を確実に提供し、電流の流れを遮断し、ケーブル捕捉要件を排除する。さらに、オンボードデジタル受信器回路3の通信モジュール8間に安全なガルバニック絶縁を提供するために、高電圧(>1kV)に耐えることができるオンチップキャパシタ6を実装することも可能である。
【0027】
図3は、本発明の別の実施形態による特定用途向け集積回路ASIC 4を備える2つのオンボードデジタル受信器回路3を概略的に示す。図3には、特に、本発明の一実施形態によるオンチップキャパシタ6の実装が示されている。図3に示すように、基板上キャパシタ6は、ASIC内の下部金属層11、例えば第1の金属層と、一例として上部金属層12との間に形成される。特定用途向け集積回路4の製造においては、金属層11,12間のアイソレーションとして高品質のSiO2が用いられるため、高電圧(1kV/umまで)ストレスに耐えることができる。オンチップキャパシタ6によって提供される高インピーダンスにより、送信MRフィールドによって誘導される電流は、RFケーブルトラップを使用する従来の方法によって達成され得るレベルをはるかに下回るように低減される。
【0028】
図4は、本発明の実施形態による容量性通信受信器10の実装を概略的に示す。図4において、左から来る2つの信号線5は、2つの基板キャパシタ6と直列に接続される。2つの信号線5の間で、正の入力inpと負の入力nnpとの間に、同相モード抑制回路15が設けられて、同相モードを拒絶し、データが再構成されるデータ構築回路16のための直流バイアス点を提供する。データ出力14は、受信器10の右側に位置する。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態による高速容量通信送信器9及び受信器10における主な波形を概略的に示す。MR受信器システムにおける上述の通信方法は、1Gbps以上の範囲の高速デジタル通信に適している。通信信号線5はMR信号を遮断し、データの高周波成分を通過させるハイパスフィルタのように作用する。図5に示す通信方式は、本発明の一実施形態によるデータエッジ検出に基づく。図5の1行目は、入力データDinを示す。送信器9は、図5の2行目に示される入力データDinに基づいて、図5の4行目に示される正出力Tx_outp及び負出力Tx_outnに対して逆位相ブロック波信号を送信する。通信リンクの特性のために、受信器10は、4行目及び5行目に示されるRx_inp及びRx_innによって示される送信信号の高周波部分のみを受信する。データ構築回路16は、データを再更なる処理のためにデータを送信する。5行目には、出力データDoutが示されている。
【0030】
図6は、本発明の実施形態による無線周波数(RF)受信器アレイ1を動作させるための方法のフローチャートを示す。RF受信器アレイ1を動作させるための方法は、ステップ600において、上述のようにRF受信器アレイ1を提供することによって開始する。ステップ610において、RF受信器アレイ1の少なくとも1つの受信器コイル素子2を使用して、標的領域の少なくとも一部分から磁気共鳴信号が受信される。ステップ620において、磁気共鳴信号は、RF受信器アレイ1のオンボードデジタル受信器回路3の特定用途向け集積回路ASIC 4によってデジタル信号に変換される。ステップ630において、デジタルデータは、少なくとも1つの信号線5を介して受信ユニット3、7に送信される。
【0031】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、明瞭にするために、図面中のすべての要素に参照符号が付されているわけではない。
【符号の説明】
【0032】
無線周波数(RF)受信器アレイ 1
受信器コイル素子 2
オンボードデジタル受信回路 3
特定用途向け集積回路 4
信号線 5
オンチップキャパシタ 6
データインターフェース 7
通信モジュール 8
送信器 9
受信器 10
金属層 11
金属層 12
データ入力 13
データ出力 14
コモンモード抑制回路 15
データ構築回路 16
正入力 inp
負入力 inn
データ入力 Din
データ出力 Dout
正のトランスミッタ出力 Tx_outp
負のトランスミッタ出力 Tx_outn
送信信号の正の高周波部分 Rx_inp
送信信号の負の高周波部分 Rx_inn
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】