(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】マイクロ波耐性RFIDシステム及び構成要素
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20240628BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240628BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20240628BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20240628BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
G06K19/077 280
G06K19/077 296
H01Q9/16
H01Q9/30
H01Q7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574519
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 IB2022055847
(87)【国際公開番号】W WO2022269541
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,イアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,ノーマン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ペトリディス,パナギオティス
(72)【発明者】
【氏名】リズワン,ムハンマド
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AB06
5J047AB07
5J047AB08
5J047AB11
5J047EF04
(57)【要約】
一部の実施形態において、無線周波数識別(RFID)システムは、少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナ構成要素と、マイクロ波周波数(MW)で伝送される放射線の波長よりも小さい最大寸法を有する導電性ループとを含み得る。導電性ループは、ギャップを規定し、RFIDチップは、導電性ループに電気的に結合され得る。導電性ループは、超高周波(UHF)で共振し、マイクロ波周波数(MW)で共振がより少なく構成され得る。アンテナ構成要素は、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、またはスロットアンテナからなる群より選ばれ得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナ構成要素と、
RFIDチップに結合され、マイクロ波周波数(MW)で伝送される放射線の波長よりも小さい最大寸法を有する少なくとも1つの導電性ループであって、前記UHFアンテナ構成要素と結合するように構成される導電性ループと、を含む、無線周波数識別(RFID)システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの導電性ループは、ギャップを規定し、RFIDチップは、前記ギャップを横切って導電性ループに電気的に結合される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記アンテナ構成要素は、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、またはスロットアンテナからなる群より選ばれる、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
前記導電性ループは、超高周波(UHF)帯域で1次共振を示す、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項5】
前記導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)帯域で2次共振を示す、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項6】
前記導電性ループは、アンテナ構成要素に磁気的に結合される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項7】
前記導電性ループ及びアンテナ構成要素は、前記導電性ループが超高周波(UHF)帯域内でピーク共振を有し、前記マイクロ波周波数(MW)帯域内で最小の共振を有するよう、互いに対して位置決めされる、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項8】
前記導電性ループ及びアンテナ構成要素の相対的な位置決めは、UHFにおける電流の最大値がUHFアンテナ構成要素上の第1領域を通って流れるようにし、MWにおける電流の最大値と電流の最小値の一方がUHFアンテナ構成要素上の第2領域を通って流れるようにする、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大30%である、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大25%である、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項11】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大20%である、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項12】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大15%である、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項13】
前記アンテナ構成要素の一部は、前記導電性ループの一部の周囲に輪郭部を形成する、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項14】
前記アンテナ構成要素によって形成された輪郭部は、前記導電性ループの一部の周囲に平面状シールドを形成する、請求項13に記載のRFIDシステム。
【請求項15】
前記導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)における最小の共振の位置において、超高周波(UHF)帯域内でピーク共振を有するように構成される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項16】
前記導電性ループは、平面状シングルターンループである、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項17】
前記導電性ループは、平面状マルチターンループである、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項18】
前記導電性ループは、非平面状ソレノイドコイルである、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項19】
前記導電性ループは、より小さい導電性ループを囲み、前記より小さい導電性ループは、開口部を規定し、前記より小さい導電性ループは、2.45GHzで電界を短絡させるための平面状シールドとして構成される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項20】
前記より小さい導電性ループは、トラックのような形状である、請求項19に記載のRFIDシステム。
【請求項21】
前記導電性ループは、導電性ディスクを囲み、前記より小さい導電性ディスクは、2.45GHzで電界を短絡させるための平面状シールドとして構成される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項22】
前記より小さい導電性ループ及び前記導電性ディスクは、導電性ループと相互作用して直列共振同調回路を形成し、前記RFIDチップの周囲にマイクロ波電流の選択的なバイパス周波数を形成するように構成される、請求項19~21のいずれか一項に記載のRFIDシステム。
【請求項23】
前記より小さい導電性ループは、2.45GHzで共振器を形成するために、その端部で所定のキャパシタンスを有するように構成される、請求項19に記載のRFIDシステム。
【請求項24】
前記導電性ループは、複数の埋め込みループを囲み、そのうちの少なくとも1つは、寄生キャパシタまたはインターデジタルキャパシタの要素を含む、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項25】
前記導電性ループの最大寸法よりも大きい最大寸法を有する第2導電性ループをさらに含み、前記第2導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)で動作するように構成され、マイクロ波エネルギーを吸収することによってエネルギーを導電性ループから遠ざけるように結合される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項26】
前記第2導電性ループは、分割リング共振器である、請求項25に記載のRFIDシステム。
【請求項27】
前記第2導電性ループ及び前記導電性ループは、共通の結合位置で前記アンテナ構成要素に結合される、請求項22に記載のRFIDシステム。
【請求項28】
前記導電性ループは、前記第2導電性ループとは異なる結合位置で前記アンテナ構成要素に結合される、請求項25に記載のRFIDシステム。
【請求項29】
前記アンテナ構成要素の片側に沿った複数のトラップループと、前記アンテナ構成要素の反対側の導電性ループと、をさらに含む、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項30】
前記複数のトラップループのうち各トラップループは、マイクロ波周波数帯域において同じであるかまたは異なる共振周波数を有するように構成される、請求項29に記載のRFIDシステム。
【請求項31】
前記RFIDチップの周囲で前記ギャップを横切って前記導電性ループに電気的に結合されたシールド構造体をさらに含む、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項32】
前記シールド構造体は、シールド導体及びシールド誘電体を含み、前記シールド誘電体は、前記シールド導体と前記RFチップとの間に少なくとも部分的に位置する、請求項31に記載のRFIDシステム。
【請求項33】
前記アンテナ構成要素は、マイクロ波周波数(MW)帯域内で放射線との相互作用を減少させるように各々構成された複数の導電性ループを利用して形成され、各導電性ループは、超高周波(UHF)で共振することによってラインを介して少なくとも1つの隣接した導電性ループに結合するように構成される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項34】
前記導電性ループは、テッセレーションされた導電性ループであり、前記テッセレーションされた導電性ループは、互いに分離された複数の金属部分を囲む、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項35】
前記導電性ループは、第1ピーク結合位置と、マイクロ波周波数(MW)で第2ピーク結合位置とを有するように構成され、前記第1ピーク結合位置から第2ピーク結合位置までの導電性ループの長さは、逆位相相殺放射線を生成するように構成される、請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項36】
ギャップと、前記ギャップを横切って導電性ループに電気的に結合されたRFIDチップと、を含む無線周波数通信用導電性ループであって、前記導電性ループは、超高周波でピーク共振を有するように構成され、マイクロ波周波数で伝送される放射線の波長よりも小さい最大寸法を有する、導電性ループ。
【請求項37】
前記無線周波数通信の類型は、近距離通信である、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項38】
前記無線周波数通信の類型は、遠距離通信であり、前記導電性ループは、前記超高周波アンテナ構成要素に結合するように構成される、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項39】
前記超高周波アンテナ構成要素とループとの結合は、磁気結合である、請求項38に記載の導電性ループ。
【請求項40】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数(MW)の波長の最大30%である、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項41】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数(MW)の波長の25%である、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項42】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数(MW)の波長の20%である、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項43】
前記導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数(MW)の波長の15%である、請求項36に記載の導電性ループ。
【請求項44】
マイクロ波周波数への露出に耐性を有する無線周波数通信用導電性ループを利用する方法であって、
マイクロ波周波数への露出に耐えるように構成された導電性ループを有する電子レンジ用商品パッケージを受信するステップであって、前記導電性ループは、RFIDチップを含み、前記導電性ループは、超高周波(UHF)で動作可能なように構成されるステップと、
前記導電性ループを少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナに結合することによって、遠距離無線周波数通信を介して電子レンジ用商品パッケージの在庫の読み取りを実施するステップと、
マイクロ波キャビティ内でマイクロ波周波数(MW)放射線に商品パッケージを露出することによって電子レンジ用商品パッケージを調理するステップと、
近距離リーダを用いる近距離通信で直接導電性ループに関連付けられたRFIDチップを読み取るステップと、を含む、方法。
【請求項45】
前記導電性ループはギャップを規定し、前記RFIDチップはギャップを横切って導電性ループに電気的に結合される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記導電性ループは、商品パッケージの底部に固定される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記商品パッケージは、ファストフードアイテムを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記商品パッケージは冷蔵庫に保管され、遠距離通信を用いる遠隔リーダを用いて目録化される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記商品パッケージ上に固定された導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)への露出の後、消費者に費用を請求するためにPOS端末機で読み取られる、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記RFIDチップを伴う導電性ループは、マイクロ波の露出と制限された相互作用を示し、界磁電流の破壊的な集中及び過熱を回避するように構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記電子レンジ用商品パッケージの在庫の読み取りを実施するステップは、UHFでの結合のためにブースターマット上に導電性ループを有するパッケージを配置するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記ブースターマットは、在庫チェックまたはPOS端末機で用いられる導電性棚、冷蔵ユニット、保管ユニット、陳列ユニットなどに提供される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ブースターマットは、導電性ループとの結合を増加させるために誘電体スペーサを含む、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にRFIDシステムに関し、特にマイクロ波放出による損傷への耐性を示すRFIDシステム及びタグに関する。本開示は、手動介入を必要とすることなく、マイクロ波調理後のPOSカウンタでの自動チェックアウトまたはマイクロ波の露出により調理されるように意図されたファストフードの在庫チェックを可能とする遠距離(far field)通信用RFIDシステムを利用する方法についてさらに説明する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線周波数識別(RFID:radio-frequency identification)は、電磁エネルギーを用いて(RFID「タグ」またはトランスポンダとして知られている)応答装置を刺激し、それ自体を識別し、場合によっては、タグに追加で保存されたデータが提供される。通常、RFIDタグは、一般的にメモリと動作回路が形成されている「チップ」と呼ばれる半導体装置を含み、チップは、結果的にアンテナに連結される。通常、RFIDタグは、トランスポンダとして機能し、近距離または遠距離通信の設定で動作可能なインタロゲータとも呼ばれるリーダから受信した無線周波数(「RF」)インタロゲーション信号に応答して、チップメモリに保存された情報を提供する。パッシブRFID装置の場合、インタロゲーション信号のエネルギーは、RFIDタグ装置を動作させるのに必要なエネルギーをさらに提供する。
【0003】
RFIDタグは、追跡すべき物品に組み込まれるか取り付けられ得る。一部の場合において、タグは、粘着剤、テープ、またはその他の手段を用いて物品の外面に取り付けられ、他の場合には、タグは、包装材に含まれるか、物品の容器内に位置するか、或いは衣服に縫い付けられるなど、物品内に挿入され得る。RFIDタグは、通常、チェックデジットが付けられた数バイトの簡単なシリアル番号である固有識別番号で製造される。この識別番号は、製造時にタグに組み込まれ得る。利用者はこのシリアル番号/識別番号を変更することができず、製造業者は各シリアル番号が一回のみ用いられることを保証する。このような読み取り専用RFIDタグは、通常、追跡すべき物品に永久に取り付けられ、一旦取り付けられると、タグのシリアル番号は、コンピュータデータベースにおいてそのホスト物品と関連付けられる。
【0004】
現在、電子レンジで調理される食品アイテムに実装されるRFIDタグの多くは、電子レンジの高電界放出に残存できない。RFIDタグは、電子レンジのキャビティ内で破損することが多く、RFIDタグとRFIDタグが取り付けられている食品アイテムの両方に損傷を引き起こす。一般に高周波(HF、13.56MHzまたは3~30MHz)及び超高周波(UHF、860~928MHzまたは一部の実施形態において300MHz~3GHz)で動作するRFIDタグは、特にRFIDタグアンテナがマイクロ波で動作する約2.45GHz以上の周波数に露出するときに生成される高電圧により損傷する。この高い電圧は、タグに関連付けられているパッケージのアーク放電、スパーク、点滅、炭化、及び変形をもたらす。結局は、RFIDまたは電子レンジに関連付けられているパッケージや容器が発火したり、電子レンジが損傷したりする。
【0005】
上記の問題を軽減するために、いくつかの解決策が提案されている。しかし、そのようなやり方及び解決策は問題を完全に緩和せず、マイクロ波への露出による電圧の蓄積により依然として損傷の可能性があり、そのようなシステムは許容できないレベルの干渉を有し得る。さらに、上記のやり方は、読み取り動作や応答通信を成功させるためにHF及びUHF周波数で動作している間、RFIDタグの応答効率に一部干渉を与え得る。
【0006】
よって、RFID装置を用いた食品アイテムのマイクロ波調理、及びマイクロ波調理後のタグまたは他のRFID装置との通信を可能にするために、マイクロ波放出への耐性を維持しつつ、HF及びUHFの範囲で効率よく動作可能なRFIDシステム、タグ及びラベルに対するニーズが市場に存在する。
【発明の概要】
【0007】
以下では、開示されたイノベーションの一部の態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した要約を示す。本要約は、広範囲な概要ではなく、肝要な/重要な要素を識別したり、その範囲を説明するためのものではない。その唯一の目的は、後に示すより詳細な説明の導入部として、一部の概念を簡略化した形で提示することである。
【0008】
本主題の一態様は、高電界放出に耐性のあるRFIDタグに関する。RFIDタグは、UHFアンテナ構成要素と結合するように構成された導電性ループを含む。導電性ループはギャップを規定し、RFIDチップはギャップを横切って導電性ループに電気的に結合される。導電性ループは、超高周波でより高い共振を可能にし、マイクロ波周波数でより低い共振または最小の共振を可能にする寸法で構成される。
【0009】
本主題の一態様は、高エネルギー場に耐性のある無線周波数識別(RFID)システム及びRFIDタグに関する。RFIDシステムは、1つ以上の超高周波(UHF)アンテナ構成要素と、ギャップを規定する導電性ループを含むRFIDタグと、導電性ループに電気的に結合されたRFIDチップと、を含む。導電性ループは、超高周波でより高い共振を可能にし、マイクロ波周波数でより低い共振または最小の共振を可能にする寸法で構成される。RFIDシステムは、遠距離通信と近距離通信の両方を可能とする。
【0010】
本主題の他の態様は、マイクロ波周波数への露出に耐性があると共に、無線周波数通信が可能な導電性ループを利用する方法に関する。前記方法は、マイクロ波周波数への露出によって調理しようとする商品パッケージにRFIDチップを含む導電性ループを固定するステップと、前記導電性ループを少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナに結合することによって、遠距離無線周波数通信を介して在庫の読み取りを実施するステップと、前記商品パッケージをマイクロ波キャビティ内でマイクロ波周波数(MW)に露出させることによって商品パッケージを調理するステップと、近距離リーダを利用することによって近距離でRFIDチップを直接読み取るステップと、を含む。導電性ループは、超高周波(UHF)でより高い共振を可能にし、マイクロ波周波数(MW)で最小の共振を可能にする寸法で構成される。
【0011】
一部の実施形態において、無線周波数識別(RFID)システムは、少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナ構成要素と、マイクロ波周波数(MW)で伝送される放射線の波長よりも小さい最大寸法を有する導電性ループと、を含み得る。導電性ループはギャップを規定し、RFIDチップはギャップを横切って導電性ループに電気的に結合され、導電性ループは超高周波(UHF)で共振し、マイクロ波周波数(MW)で共振がより少ないようにサイズ決めされ得る。
【0012】
一部の実施形態において、アンテナ構成要素は、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、またはスロットアンテナからなる群より選ばれる。アンテナ構成要素の近くにおいて、導電性ループは、超高周波(UHF)帯域で1次共振を示し、マイクロ波周波数(MW)帯域で2次共振を示す。導電性ループは、アンテナ構成要素に磁気的に結合され得る。いくつかの実施形態において、導電性ループ及びアンテナ構成要素は、導電性ループが超高周波(UHF)帯域内でピーク共振を有し、マイクロ波周波数(MW)帯域内で最小の共振を有するように、互いに対して位置決めされる。
【0013】
一部の実施形態において、導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大30%である。他の実施形態において、導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大25%である。他のいくつかの実施形態において、導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大20%である。他の実施形態において、導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数帯域内で伝送される放射線の最長波長の最大15%である。
【0014】
一部の実施形態において、アンテナ構成要素の一部が導電性ループの周囲に輪郭部を形成し、導電性ループの周囲に平面状シールドを生成する。
【0015】
一部の実施形態において、導電性ループは、超高周波(UHF)帯域内で第1ピーク共振を生成する第1領域と、マイクロ波周波数(MW)帯域内で第2ピーク共振を引き起こす第2領域と、を有する。導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)における最小の共振の位置において、超高周波(UHF)帯域内でピーク共振を有するように構成され得る。
【0016】
一部の実施形態において、導電性ループは、平面状シングルターンループである。他の実施形態において、導電性ループは、平面状マルチターンループである。他の実施形態において、導電性ループは、非平面状ソレノイドコイルであり得る。
【0017】
一部の実施形態において、導電性ループは、より小さい導電性ループを囲み、より小さい導電性ループは、開口部を規定する。他の実施形態において、導電性ループは、導電性ディスクを囲む。他の一部の実施形態において、導電性ループは、複数の埋め込みループを囲み、そのうちの少なくとも1つは、寄生キャパシタまたはインターデジタルキャパシタの要素を含み得る。
【0018】
一部の実施形態において、RFIDシステムは、導電性ループの最大寸法よりも大きい最大寸法を有する第2導電性ループを含む。特定の実施形態において、第2導電性ループは、アンテナ構成要素の片側に隣接して位置し、導電性ループは、アンテナ構成要素の反対側に位置する。第2導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)で動作し、マイクロ波エネルギーを吸収することによってエネルギーを導電性ループから遠ざけるように構成され得る。第2導電性ループは、分割リング共振器であり得る。一実施形態において、第2導電性ループと導電性ループは、共通の結合位置でアンテナ構成要素に結合され得る。他の実施形態において、導電性ループは、第2導電性ループとは異なる結合位置でアンテナ構成要素に結合され得る。
【0019】
一部の実施形態において、RFIDシステムは、アンテナ構成要素の片側に沿って複数のトラップループを含み、アンテナ構成要素の反対側に導電性ループを含み得る。各トラップループは、マイクロ波周波数帯域において同じであるかまたは異なる共振周波数を有するように構成され得る。
【0020】
一部の実施形態において、RFIDシステムは、RFIDチップの周囲でギャップを横切って導電性ループに電気的に結合されたシールド構造体を含み得る。シールド構造体は、シールド導体及びシールド誘電体を含み、シールド誘電体は、シールド導体とRFIDチップとの間に少なくとも部分的に位置し得る。
【0021】
一部の実施形態において、アンテナ構成要素は、マイクロ波周波数(MW)帯域内で放射線との相互作用が減少するように各々構成された複数の導電性ループを利用して形成され、各導電性ループは、超高周波(UHF)で共振することによって少なくとも隣接した導電性ループに結合するように構成され得る。
【0022】
一部の実施形態において、導電性ループは、超高周波(UHF)で第1ピーク結合位置を有し、マイクロ波周波数(MW)で第2ピーク結合位置を有するように構成される。第1ピーク位置から第2ピーク位置までの導電性ループの長さは、逆位相相殺放射線(anti-phase cancelling radiation)を生成するように構成され得る。この実施形態において、結合位置間の長さが915MHzにおける波長に比べて小さく、UHF誘導電流が逆位相ではないので、915MHzにおけるエネルギーは正常に結合される。
【0023】
一部の実施形態において、導電性ループの無線周波数通信の類型は、遠距離通信であり、導電性ループは、超高周波アンテナ構成要素に結合するように構成される。超高周波アンテナ構成要素とループとの結合は、磁気結合であり得る。導電性ループの最大寸法は、マイクロ波周波数(MW)の波長の最大30%であり得る。
【0024】
一部の実施形態において、マイクロ波周波数への露出に耐性を有する無線周波数通信用の導電性ループを利用する方法は、UHFで動作しながらも、マイクロ波周波数への露出に耐えることを目的とする導電性ループを有する電子レンジ用商品パッケージを受信するステップを含み得る。導電性ループはRFIDチップを含み、超高周波(UHF)で動作可能なように構成される。導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)で共振が少ない。
【0025】
一部の実施形態において、前記方法は、導電性ループを少なくとも1つの超高周波(UHF)アンテナに結合することによって、遠距離無線周波数通信を介して在庫の読み取りを実施するステップを含み得る。前記方法は、マイクロ波キャビティ内でマイクロ波周波数(MW)放射線に商品パッケージを露出することによって電子レンジ用商品パッケージを調理するステップを含み得る。前記方法は、近距離リーダを用いる近距離通信で直接導電性ループに関連付けられたRFIDチップを読み取るステップを含み得る。導電性ループはギャップを規定し、RFIDチップはギャップの周囲で導電性ループに電気的に結合され得る。
【0026】
一部の実施形態において、商品パッケージはファストフードアイテムを含み得る。商品パッケージは冷蔵庫に保管され、遠距離通信を用いる遠隔リーダを用いて目録化され得る。商品パッケージ上に固定された導電性ループは、マイクロ波周波数(MW)への露出の後、消費者に費用を請求するためにPOS端末機で読み取られ得る。RFIDチップを伴う導電性ループは、マイクロ波の露出と制限された相互作用を示し、界磁電流の破壊的な集中及び過熱を回避するように構成され得る。
【0027】
上述及び後述の本開示の実施形態は、以下の詳細な説明に開示された正確な形態に本発明を限定したり完全にすることを意図するものではない。むしろ、本実施形態は、当業者が本開示の原理及び実施を認識して理解できるように選択され説明される。
【0028】
これに関して、本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の説明で明示するまたは図面で示す構成要素の配列及び構成の細部事項に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、多様な方法で行ったり実施することができる。また、本明細書で用いる表現や用語は、説明のためのものであり、限定的と見なしてはならないことを理解すべきである。
【0029】
これだけでなく、本発明の他の目的及び利点は、添付の図面と共に本発明の好ましい例示的な実施形態に関する以下のより詳細な説明を参照して、より完全に理解され、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ダイポールアンテナ、及び前記アンテナに結合されてUHF周波数で動作するRFIDチップからなるRFIDタグの従来技術の設計を示す。
【
図2】RFIDチップと共に導電性ループを含む本開示の実施形態を示す。
【
図3】遠距離UHF RFIDタグを形成するために、超高周波(UHF)ダイポールアンテナの近くにRFIDチップ付き導電性ループを含む、本開示のRFIDシステムの実施形態を示す。
【
図4】UHFアンテナの一部が導電性ループの周囲に巻かれている本RFIDシステムの実施形態を示す。
【
図5】UHFアンテナ及び導電性ループを含む本RFIDシステムの実施形態を示す。
【
図6A】複数のターンを有する導電性ループの代案の実施形態を示す。
【
図6B】複数のターンを有する導電性ループの代案の実施形態を示す。
【
図6C】複数のターンを有する導電性ループの代案の実施形態を示す。
【
図7A】さらなる内部金属構造体を有する導電性ループの実施形態を示す。
【
図7B】さらなる内部金属構造体を有する導電性ループの実施形態を示す。
【
図7C】さらなる内部金属構造体を有する導電性ループの実施形態を示す。
【
図8】内部に複数の埋め込みループを囲む導電性ループの他の実施形態を示す。
【
図9A】より大きな寸法で規定されたさらなる導電性ループを含む実施形態を示す。
【
図9B】より大きな寸法で規定されたさらなる導電性ループを含む実施形態を示す。
【
図10】トラップとして複数のループを含む他の実施形態を示す。
【
図11】導電性ループが導電性ループに電気的に結合されたシールド構造体を含むRFIDシステムのさらなる実施形態を示す。
【
図12】アンテナ自体が一連の小さいUHF共振器である他の実施形態を示す。
【
図13】導電性ループの中央領域が、小さな間隙でテッセレーションされた一連の金属部分で満たされている導電性ループの他の実施形態を示す。
【
図14】導電性ループ構造体及びUHFアンテナが、導電性ループ内のマイクロ波の露出下での逆位相電流を誘導するように位置するRFIDシステムの実施形態を示す。
【
図15】マイクロ波の露出に耐性のある導電性ループを用いる方法を示す。
【
図16】
図15の導電性ループを用いて、在庫チェックを実施する方法の例示的な実施形態を示す。
【
図17】導電ループと結合するためのブースターマットを含む配列の実施形態を示す。
【
図18A】導電性ループで固定された商品パッケージを棚に積載し、無線通信の読み取り範囲を向上させるためにブースターマットを用いる配列を示す。
【
図18B】導電性ループで固定された商品パッケージを棚に積載し、無線通信の読み取り範囲を向上させるためにブースターマットを用いる配列を示す。
【
図19】保管ユニットまたは陳列ユニットにおける導電性棚が導電性ループ用ブースターアンテナとして動作する配列の実施形態を示す。
【
図20】導電性ループに関する通信性能を強化する他の実施形態を示し、ここで、マットは、UHF周波数を吸収または吸着する自然食品を含む商品パッケージの間に誘電体スペーサを用いる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本文書で開示する機器及び方法を実施例により図面を参照して詳細に説明する。特に明示しない限り、図中の同様の付号は、図面全体を通して同一、類似、または対応する要素への参照を示す。開示され説明された実施例、配列、構成、構成要素、要素、機器、方法、材料などに修正を加えることが可能であり、特定の応用に好ましい場合があることを理解すべきであろう。本開示において、特定の形状、材料、技術、配列などの任意の識別は、提示された特定の実施例に関連するか、または単にそのような形状、材料、技術、配列などに関する一般的な説明である。特定の詳細または実施例に対する識別は、特に指定しない限り、強制的または限定的であると解釈してはならない。以下、機器及び方法の選択例を開示し、図を参照して詳細に説明する。
【0032】
一部の従来のRFIDタグは、マイクロ波場に露出すると、マイクロ波場との相互作用による高電圧の蓄積、タグアンテナ領域の過熱、及びマイクロ波場の破壊的な集中のためにチップ全体にアークが発生し、潜在的にタグアンテナが発火するなどの1つ以上の不具合が生じ得る。例えば、
図1は、UHF周波数で動作し得るダイポールアンテナと、アンテナに結合されたRFIDチップからなるRFIDタグの従来技術の設計を示す。800ワット以上の電力レベルで動作するマイクロ波によって生成するような高電界エネルギーは、
図1のRFIDチップが結合されるRFIDギャップ全体に非常に高い電圧の生成をもたらし得る。一部の状況下では、従来技術のRFIDタグは、過熱、アーク放電、発火に遭遇し得る。一部の従来技術のRFIDタグは、上記の問題を引き起こすことなく、マイクロ波処理ができるものの、依然として機能しなくなる場合があり、店舗やレストランでの在庫管理やPOSカウンタによる自動チェックアウトへの使用が難しくなり得る。
【0033】
本開示は、一般に、電子レンジなどの高放出の電界への露出に耐えることができるが、これに限定されないRFID通信を可能にする無線周波数識別(「RFID」)システム及びRFIDタグに関する。一部の実施形態は、マイクロ波などによる加熱プロセスの態様を制御するために、高放出の電界に耐性のあるRFIDタグを利用する方法を含む。具体的に、一部の実施形態について、電子レンジなどの機器で調理または加熱する前にRFIDタグを製品または食品アイテムから取り外す必要がなく、RFIDタグは、無線周波数通信が可能なよう、高放出の露出後に影響されることなく残っている。本開示の電子レンジで安全なRFIDタグは、アークが発生することを防止し、よって、取り付けられている製品または食品アイテムを破損することなく電子レンジの内部に置くことができる。従って、RFIDタグは、1つ以上のマイクロ波への露出の発生にかかわらず、RFIDリーダシステムによって読み取られるか、またはインタロゲートできる。一部の実施形態の場合、本主題のRFIDシステム及びタグは、調理済みアイテム/食事などの商品アイテムのアイテムレベルのタグ付け及び追跡を可能にする。多様な実施形態について、食品アイテムに付随するRFIDタグは、マイクロ波の加熱の前に食品パッケージから取り外す必要がない。
【0034】
本主題は、マイクロ波などの高電界放出に耐えることができる特別に設計されたRFIDタグを提供する。RFIDタグ200は、
図2に示すように、小さな寸法(D)の導電性ループ202の形態である。導電性ループ202はギャップ204を規定し、RFIDチップ206はギャップ204を横切って電気的に結合される。導電性ループは、超高周波(UHF)で共振を維持し、マイクロ波周波数(MW)などの高電界放出で共振を防止または制限する寸法となっている。
【0035】
一部の実施形態において、導電性ループ202は、一般に環状である。しかし、他の構造や形状が可能であり、急激なターンを避けることは利点になり得る。多様な実施形態について、環状または円形に対して一定の及び/または徐々に変化する半径を有することは、高電界への露出の間導電性ループ202の一部に電流が蓄積することを防止するのに役立つ。多様な実施形態について、最大寸法の制御などを通じて、導電性ループのサイズ及び/または寸法全体を制限することは、マイクロ波からのマイクロ波放射線などの特定の高電界放出との相互作用を制限するのに役立ち得る。
【0036】
導電性ループ202の多様な実施形態において、ループの最大寸法は、2450MHzにおける波長の最大30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%まで(例えば、12~19mm)、或いは前記挙げられたパーセンテージの2つ以上の間の下部範囲(例えば、0.1%~5%、及び/または15%~30%)のいずれかに制限される。結果として、多様な実施形態について、導電性ループ202は、電子レンジ内で2450MHzの電界との相互作用が減少し得る。一部の実施形態について、電磁場の波長よりも寸法が小さいアイテムは、当該電磁場と大きく相互作用する傾向がないことが分かった。多様な実施形態について、波長に比べて寸法が小さいほど、当該波長を有する電界との相互作用が減少する。しかし、構成要素の寸法またはサイズは理論的にはある程度まで減少し得るが、このような減少は、超高周波(UHF)などでの所望の電磁場で動作する構成要素の能力に否定的な影響を及ぼし得る。例えば、UHF周波数は、約860MHz~930MHzの範囲にあり、RFIDリーダからの入射電力を受信するアンテナがこれをとらえてRFIDチップ全体に電圧に変換して応答できるようにしなければならない。
【0037】
例示的な実施形態において、導電性ループ202の最大寸法は、2450MHzにおける波長の最大15%、即ち、約18.3mm以下に制限され、よって、電子レンジ内で2450MHzの電界との相互作用が減少する。
【0038】
一部の実施形態において、導電性ループ202は、超高周波(UHF)帯域で1次共振を示す。導電性ループ202は、マイクロ波周波数(MW)帯域で2次共振を示す。
【0039】
高電界の放出への耐性が可能なように構成された導電性ループを有するRFIDタグの多様な実施形態について、マイクロ波耐性及び/または他の帯域における信号の改善された送信または受信に影響を与える要素は、i)高電界エネルギーとの相互作用を最小化するために、導電性ループの形状全体及び最大寸法または直径を最小化すること、ii)導電性ループが導電性ループの最大寸法を増加させるなどにより、遠距離通信用タグを生成する好適なUHFアンテナに結合されるよう、超高周波(UHF)の周波数帯域における共振を達成すること、及びii)増加した電流の流れの取り扱いを改善するために、導電性ループの幅を増加させることのうち一つ以上を含み得る。
【0040】
他の実施形態において、そして、
図3に示すように、RFIDシステム300が提供される。RFIDシステム300は、ギャップ304付き導電性ループ302と、ギャップ304を横切って電気的に連結されたRFIDチップ306とを含み得る。RFIDシステム300は、UHFアンテナ構成要素308をさらに含む。導電性ループ302は、超高周波(UHF)アンテナ構成要素308と結合するように構成され、遠距離UHF通信に参加するRFIDシステム300を生成する。
図3は、RFIDシステムの実施形態を示し、導電性ループ302は、ギャップ304を横切って導電性ループに電気的に結合されたRFIDチップ308を有し、導電性ループ302は、UHFアンテナ305に磁気的に結合される。
【0041】
多様な実施形態において、UHFアンテナ構成要素308は、棒状ダイポールアンテナなどのダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、スロットアンテナ、または等価物を含み得る。
【0042】
RFIDシステム400に関する
図4に示すように、UFHアンテナ408の一部(a、b)は、導電性ループ402の一部の周囲に輪郭部409を形成する。本実施形態において、輪郭部409は、平面状シールドとして機能し、2.45GHzのマイクロ波エネルギーなどの高電界放射線に露出する際、導電性ループ402の周囲の電圧の蓄積または電流の流れをさらに減少させる。これにより、マイクロ波の露出下でのRFIDチップ406の保護が改善される。
【0043】
図5に示すようなRFIDシステム500の他の実施形態において、UHFアンテナと相互作用する導電性ループを説明する。本実施形態について、導電性ループ502は、反応性ループとして機能し、UHFアンテナ構成要素508は、その上の2つの異なる領域で2.45GHz及び915MHzに対応する2つの電流のピークを提供するように構成される。例えば、UHFアンテナ構成要素508上で、2.45GHzにおける電流の最大値は、第1領域(a)を通って流れ、915MHzにおける電流の最大値は、第2領域(b)を通って流れる。最大磁場は、マイクロ波周波数における第1領域(a)で発生し、UHF周波数における最大磁場をとらえる最適な位置は、第2領域(b)で発生する。即ち、UHF電流が最大となる位置は2450MHzの電流が最小となる地点であり、2450MHzで可能な限り最小の結合を提供することにより、RFIDチップ及びタグの保護を強化する。導電性ループ502及びアンテナ構成要素508の相対的な位置決めは、UHFにおける電流の最大値がUHFアンテナ構成要素上の第1領域を通って流れるようにし、MWにおける電流の最大値と最小値の一方がUHFアンテナ構成要素上の第2領域を通って流れるようにする。
【0044】
導電性ループは、本開示の実施形態に従って異なる構造及び変形とすることができる。特に、導電性ループは、マルチターンが用いられる構造からなり、インダクタンスを増加させ、よって、必要なUHF共振を満たすために相対的に小さい寸法の導電性ループを用いることを可能にする。多様な実施形態について、導電性ループの寸法が小さいほど、2.45GHzのエネルギーがより小さく吸収されるであろう。
図6A乃至6Cは、RFIDシステムにおける導電性ループの多様な構造または代案の構造を示し、導電性ループは、平面状シングルターンループ601、または平面状マルチターンループ602であり得る。また、導電性ループは、非平面状ソレノイドコイル603であり得る。
【0045】
図7A乃至7Cは、導電性ループ702の代案の構造に関するRFIDシステムのさらなる実施形態を示す。導電性ループ702には、トラックやディスクの形態など、ループ内部に1つ以上のさらなる金属構造体が提供される。一部の実施形態について、金属構造体は、2.45GHzで電界を短絡させる平面状シールドとして機能する。優先的に、ループ702と金属構造体との相互作用は、直列共振同調回路(series resonant tuned circuit)を形成し、ループ702に付随するRFIDチップ706の周囲にマイクロ波電流の周波数選択的バイパスを形成するようにする。内部構造体は、2.45GHzで共振器を形成するその端部に規定された/所定のキャパシタンスを有する、断たれた(broken)ループであり得る。一部の実施形態について、平面状シールド/バイパスと小さいループ寸法との組み合わせにより、RFIDチップ706の保護を改善させる。
図7A及び7Bに示すように、一部の実施形態について、導電性ループは、開口部を規定する相対的に小さい導電性ループ703を囲む。一部の実施形態において、より小さい導電性ループ703は、断たれたループである。
図7Cに示すように、一部の実施形態について、
図7Cに示す導電性ループ703は、導電性ディスク704を囲む。平面状シールド/バイパスの形成により、高電界エネルギーをRFIDチップから遠ざけ、RFIDチップを損傷から保護する。例示の実施形態において、より小さい導電性ループは、2.45GHzで電界を短絡させるための平面状シールドとして構成される。上述のより小さい導電性ループ及び導電性ディスクは、導電性ループと相互作用して直列共振同調回路を形成するように構成され、RFIDチップの周囲にマイクロ波電流の選択的なバイパス周波数を形成する。
【0046】
図8に示す実施形態などの一部の実施形態において、導電性ループ802は、寄生キャパシタまたはインターデジタルキャパシタの要素を含む複数(例えば、2つ以上)の埋め込みループ807を囲む。複数の埋め込みループを利用して、周波数選択的バイパス、及び、例えば、UHF(例えば、915MHz)での所望の共振で、2.45GHzなどのMW周波数におけるエネルギーを最小限とらえることができる。例えば、一部の実施形態における埋め込みループ807は、RFIDチップ806を用いてUHF(例えば、915MHz)における1次共振を可能とし、寄生キャパシタンスまたは構造キャパシタンスを用いてMW周波数(例えば、24.45GHz)における2次共振を可能とし得る。
【0047】
図9などの一部の実施形態において、RFIDシステム900は、2つ以上の導電性ループを含む。一部の実施形態において、導電性ループ902及び潜在的により大きな寸法を有する第2導電性ループ903を含む2つ以上の共振構造体は、2つ以上の共振構造体(例えば、両方)を共通のUHFアンテナ構成要素908に結合することによって電界を操作するのに用いられる。本実施形態において、導電性ループ902は、UHFアンテナ構成要素の片側に配置され、第2導電性ループ903は、UHFアンテナ構成要素の反対側に配置される。例えば、一部の実施形態では、分割リング共振器などの2.45GHzで自己共振する1つ以上の第1共振器と、915MHzで動作するUHF共振ループなどの1つ以上の第2共振器とを用いることができる。よって、両者は、共通または異なる結合位置で、共通のUHFアンテナに結合される(
図9A及び9Bに示す)。例えば、本実施形態において、導電性ループ902は、UHF共振ループであるのに対し、第2導電性ループ903は、2.45GHzで自己共振する。2.45GHzのループは、より高い電流を流すために幅が広く、その位置は、2450MHzにおける最大の電流をUHF導電性ループから遠く移動させ、よって、UHF導電性ループに流れる電流を減少させるよう、ダイポールアンテナと結合される。分割リング共振器は、所望の場所で共振を得るために用いられる共振器である。
図9の実施形態は、マイクロ波エネルギーがUHF導電性ループに進入しないことをより可能にするか保障し、または導電性ループに進入するマイクロ波エネルギーを減少させる。
【0048】
図10に示すような一部の実施形態において、RFIDシステム100は、トラップ1001として2つ以上のループを含む。このようなトラップは、同一周波数または周波数の拡散の何れかで動作するアンテナ構造体1008に結合され得る。例えば、アンテナ構造体1008は、電子レンジが通常動作する2400MHzから2500MHzの帯域で動作してこれをカバーすることができる。本実施形態において、アンテナ構造体1008は、UHFダイポールアンテナである。トラップ1001は、マイクロ波エネルギーを吸収し、エネルギーをUHF導電性ループ1002から遠ざける役割もする。
【0049】
図11に示すような一部の実施形態において、RFIDシステム1100は、RFIDチップ1106の周囲でギャップを横切って導電性ループ1102に電気的に結合されたシールド構造体1110を含む。シールド構造体1110は、シールド導体1110aとシールド誘電体1110bとを含み得る。シールド誘電体1110bは、シールド導体1110aとRFIDチップ1106との間に少なくとも部分的に位置し得る。シールドにより、RFIDシステムは2.45GHzで導電性ループのギャップを横切ってより低い結合を達成することが可能となる。本実施形態において、導電性ループ1102の直径は小さく維持される。シールド構造体と導電性ループ1102の小径の組み合わせにより、RFIDチップ1106全体に寄生キャパシタンスを提供し、幅広のより小さい直径ループでUHF共振器が達成される。前記組み合わせにより、2450MHzのエネルギーに対するバイパス経路がさらに提供される。
【0050】
図12などの一部の実施形態において、UHFアンテナ構成要素は、一連の小さいUHF共振器1201によって形成される。一連のUHF共振器1201のうち1つの共振器は、RFIDチップ1206を運搬し、他の共振器は自己共振を維持する。共振器はループ状であり、それらの間に配置されたライン1210を介してまたは磁気結合によって互いに結合するので、UHFでの電流のみ下に流れ、アンテナを形成できるが、2450MHzのエネルギーは流れない。各ループは、2450MHzにおける波長の小さい分画であり、よって、マイクロ波との相互作用が制限される。
【0051】
図13などの一部の実施形態において、1つ以上の導電性ループは、テッセレーションされた導電性ループ1302である。例えば、各テッセレーションされた導電性ループは、ギャップ、余白、窪み、空洞、チャネル、孔、穿孔、またはその他の形状などによって互いに分離され得る任意の幾何学的形態の複数の金属部分を囲む。テッセレーションされた金属部分は、エネルギーがテッセレーションの各々のギャップに流入するため、マイクロ波エネルギーの影響を減少させ得る。また、テッセレーションは、導電性ループの動作を妨害し得る渦電流の循環を防止し得る。
【0052】
図14などの一部の実施形態において、導電性ループ1402は、UHF及びマイクロ波周波数の両方でアンテナ構成要素1408と結合するように構成される。本実施形態において、導電性ループ1402とアンテナ構成要素1408との相対位置は、ピーク結合位置間の長さを逆位相とし、ループ内の電流が相殺されるようにする。例えば、アンテナ構成要素1408上の第1ピーク結合位置(c)及び第2ピーク結合位置(d)は、各々2.45GHzにおけるピーク位置及び915MHzにおけるピーク位置に対応する。第1ピーク結合位置から第2ピーク結合位置までの導電性ループの長さは、第2ピークが第1ピークに対して逆位相となる測定値を有するように構成され、よって、第2ピーク結合位置で共振を相殺する。
【0053】
上述のように、マイクロ波で処理された後でも機能するRFIDタグは、アイテムの移動をモニタリングして、在庫追跡や、店頭販売(point of purchase sale)で有用であるような1つ以上の利点を提供し得る。例えば、様々なビジネス部門、特にレストランの組織における食品、飲料、食事の提供サービスにおいて、食品/食事の提供や配達のためのアイテムレベルでのリアルタイムの追跡やトレースの必要性が高まっている。リアルタイムの追跡及びモニタリングのその他の利点としては、食品の賞味期限切れの可能性の減少、需要予測の改善、在庫管理、及び購入経験の向上が含まれ得る。
【0054】
一部の実施形態において、マイクロ波周波数への露出に耐性を有する無線周波数通信用RFIDシステム及び導電性ループを利用する方法は、
図15、16、及び17に示す動作や材料を含み得る。多様な実施形態は、以下の動作のうち1つ以上を含み得るが、まず、導電性ループは、マイクロ波周波数へ露出して調理することを意図するファストフードなどの商品パッケージに固定された小さな反応性導電性ループであり得る。上述のように、導電性ループは、ギャップの周囲でまたはギャップを横切って電気的に結合されたRFIDチップを含み、導電性ループは、超高周波(UHF)で共振し、マイクロ波周波数(MW)で共振が少ないまたは最小であるよう、寸法決定され得る。導電性ループは、商品パッケージの底部に固定され得る。RFIDチップは、少なくとも商品パッケージに関して必要な情報やデータを伝達し、供給し得る。これは続いて、導電性ループが1つ以上の超高周波(UHF)アンテナに結合されている遠距離無線周波数通信を介して、遠距離リーダによるRFIDチップの在庫の読み取りが行われる。ループは、アイテムの決済や返品状況の点検などのような動作に好適である、UHF周波数における短距離(short range)のRFID読み取り機能を提供するようにさらに構成され得る。
【0055】
導電性ループでタグ付けされた食品パッケージなどの商品パッケージは、冷蔵状態または冷凍状態の下で維持される保管または陳列ユニットに存在し得る。来店する購入者は、陳列ユニットから食品パッケージまたはアイテムを手に取り、電子レンジでアイテムを安全に調理し、マイクロ波周波数にアイテムを露出させた後、チェックアウトカウンタで決済を行うことができる。調理は特定の持続時間と強度で行うことができる。導電性ループ状のRFIDタグ及びRFIDシステムの設計により、露出の時間や強度にかかわらず、調理後にRFIDタグまたはその他の装置が通信機能を維持し得る。よって、商品パッケージ上に固定された導電性ループは、RFID装置及び商品パッケージをマイクロ波周波数(MW)に露出させた後、消費者に費用を請求するためにPOS端末機で読み取られ得る。RFIDシステムの一部の実施形態について、RFIDチップは、マイクロ波エネルギーとの制限された相互作用を示し、よって、界磁電流の破壊的な集中及び過熱を回避する。
【0056】
図15及び16に示すような本開示の一部の実施形態において、小さな導電性ループ1501がアイテムまたはパッケージに取り付けられ得る。例示的なパッケージまたはアイテムは、食品アイテムを運搬するトレイや食品アイテムそのものを含み得る。食品アイテムには、肉、調理済み食料などが含まれ、その他のアイテムには、カップやプレートなどの再使用可能なアイテムが含まれ得る。これらのアイテムまたは食品は、マーチャンダイジング、商業販売、レストラン環境などの位置や、POS端末機で追跡する必要があり得る。ブースターマット1510またはカバーが当該位置に提供され得る。マット1510は、遠距離UHFアンテナとして動作する。小さな導電性ループ1501は、アイテムの決済、返品状況、所有権の点検などのような動作に好適である、UHF周波数における短距離のRFID読み取り機能を提供し得る。マット1510上に配置されると、マットの一部を形成する金属構造体と導電性ループ1501との間の結合は、ループがマット上に置かれていたり、そうでなければマットに近接しているパッケージの一部を形成したりそこに取り付けられている限り、在庫管理に適した長距離(longer range)RFIDタグを一時的に生成し得る。例えば、ハンドヘルド装置が冷蔵保管ユニットの内容物を読み取るのに用いられ得る。食品アイテムが電子レンジに配置されると、遠距離UHFアンテナが存在しないため、マイクロ波周波数をとらえるUHF遠距離アンテナにより発生する損傷または任意の副作用を有利に回避できる。小さいループにさらなるエネルギーが結合されることを回避することで、RFIDチップがプロセスで保存される可能性が向上する。
【0057】
図16は、食品アイテムを加熱する例示的なプロセス及び食品カウンタにおけるそれらの識別に関わる例示的なハードウェアの構成要素及びステップを示す。麺のパック1603などの食品アイテムは、(上記の実施形態のいずれかに示すような)導電性ループ1602を含むRFIDタグまたは他のRFID装置(図示せず)を含み、麺のパックは、上記で説明したように、マット1610上で冷蔵庫に保管できる。一部の実施形態について、マット1610は、ハンドヘルドまたはその他のRFIDリーダによる信号の送信及び/または受信を強化するのに役立ち得る。多様な実施形態において、マット1610と導電性ループとが相互作用するとき、冷蔵庫の内容物は、ハンドヘルドやその他のリーダを用いて、遠隔でまたは近距離で容易に目録化され得る。食品アイテムは、冷蔵庫から取り出して電子レンジに入れて加熱し得る。RFIDタグにおける導電性ループの設計及び構成により、従来の設計に比べて、加熱及びマイクロ波エネルギーの影響が減少し、RFIDタグが引き続き動作可能であり得る。次いで、加熱されたアイテムのRFID装置(例えば、RFIDタグ、インレイ)は、販売を取り扱うためのレジ係やスタッフを必要とすることなく、消費者にアイテムの費用を請求するために、POS端末機などで読み取られ得る。
【0058】
図17に示すような一部の実施形態において、ブースターマット1710は、RFID性能の改善に役立ち得る。ブースターマット構造体の一部は、肉やチーズなどのアイテムの誘電負荷がRFID装置とRFIDリーダとの効果的な通信を妨害しないよう、商品の下から端に出されるときに、導電性ループに結合され得る。多様な実施形態において、RFID装置は導電性ループからなり得る。
【0059】
図18A乃至18Bなどの一部の実施形態において、食品アイテムまたはパッケージは、ベース上に導電性ループを有し、パッケージの上端に電子レンジで安全な金属ストリップを有し得る。マットを有する棚の上にアイテムを積載することができる。
【0060】
図18Bに示すように、アイテム1、2、3、及び4の積載物は、各々、上述のような導電性ループ及び電子レンジで安全な金属ストリップを有し得る。パッケージ4上の下端ループは、アイテム4の下に配置されたマットと結合するように位置し得る。下端ループをマットに結合させることにより、RFID装置のより長い範囲の機能が得られる。多様な実施形態において、アイテム1、2、または3に関連付けられている導電性ループは、性能を強化させるために内部の金属構造体を用いるには、マットから離れ過ぎていることがある。アイテム1、2、または3に関連付けられているループは、各々、積載物内のループを介して、真下に配置されたアイテム上の上端導体と結合することができ、よって、積載物内の全ての小さいRFIDループに対してより長い読み取り範囲を可能とする。多様な実施形態について、各ループは、本明細書で開示する実施形態の1つとして構成され、食品アイテムの加熱のために用いられる電子レンジに収容された後でも動作可能に維持できる。多様な実施形態において、各ループは、2.45GHzのエネルギーが対応するブースターストリップから内部に結合されることを防止するために、対応するブースターストリップから十分に離れるように構成され位置する。
【0061】
図19などの一部の実施形態において、保管または陳列ユニット1901の導電性棚は、食品アイテムまたはパッケージ1903に固定されたRFIDタグ内の導電性ループ1902に対するブースターアンテナマット1910として動作する。一部の実施形態について、導電性棚は、上記で説明したように、その性能を強化させるために導電性ループに依存するステンレス鋼ワイヤのグリッドからなる。
【0062】
図20などの一部の実施形態において、導電性ループ2002を有する容器2001内の食品アイテムは、導電性要素と食品との間に誘電体スペーサ2003を有するマット2010に結合される。新鮮な肉やチーズなどの一部の食品アイテムは、UHFエネルギーを吸収して、実質的に高損失の誘電体となる。しかし、一部の実施形態について、相対透過率は実質的に1であるため、無線周波数場と磁気的に相互作用しないことがあり得る。導電性ループは、一次的な磁気応答を有し得るので、高損失の誘電体アイテムとの相互作用が減少し得る。ブースターは、所望の範囲を達成するために遠距離場で放射され、近くの製品と相互作用し得る電場(electric field)成分を含む。本実施形態において、ブースターマットは、発泡体やプラスチックなどの誘電体で覆われており、マット内の金属要素とループとの間の距離が増加すると、性能が低下するが、製品からの誘電負荷が低くなると、マットの効率性が増加して、全般的に改善した性能を提供し得る。さらなる実施形態において、スペーサは、マット導体と導電性ループとの結合を増加させるための磁気特性を有し得る。
【0063】
上述の内容は、請求された主題の実施例を含む。もちろん、請求された主題を説明するために、考えられる全ての構成要素や方法論の組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、請求された主題のさらに多くの組み合わせや置換が可能であることを認識し得る。従って、請求された主題は、添付の請求範囲の趣旨及び範囲内に含まれる全ての変更、修正、変形を含むよう意図され得る。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明や請求範囲で用いられる限り、このような用語は「含む(comprising)」が請求範囲で転換語として用いられる際に解釈されるように、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることを意図する。
【0064】
[用語の説明]
導電性ループ-導電性ループには、異なる寸法、形状、またはサイズからなり、電磁エネルギーが伝播され得る導電性金属からなるアンテナが含まれ得る。あらゆる電気導電性材料は、現実の世界での放射線場とある程度の結合を有する。アンテナとして構成される導体は、特定の媒体間で高い結合の効率を提供するように設計され得る。
【0065】
共振-これは、2つの周波数や波動など、2つのものが同時にまたは固定ステップで移動している際に発生し得る。アンテナ構成要素と電界/周波数間の共振を設定するために、アンテナは流入電界の周波数と一致するように構成され得る。共振は、対象波長の倍数に基づくことができる。
【0066】
1次共振-アンテナの対応する位置及び/または設計で指定された電界/周波数の最大エネルギーピークに関する。
【0067】
2次共振-制限されたエネルギーが指定された電界/周波数でピークに達するときのアンテナの位置及び/または設計に関する。
【0068】
結合-タグとリーダまたは電磁エネルギーの伝播を可能とする2つのアイテムをマッチングさせて、同じ周波数で効果的に共に通信できるようにすること。あらゆる電気導電性材料は、現実の世界で放射線場とある程度の結合を有する。導体が特定の媒体間で高い結合効率を提供するように設計された場合のみ、アンテナと呼ばれる。
【国際調査報告】