(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】レーザパルスの選択及びエネルギーレベルの制御
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61F9/008 120D
A61F9/008 150
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574521
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 IB2022056434
(87)【国際公開番号】W WO2023285971
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホセイン カリム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー アンドリュー ゲレロ
(72)【発明者】
【氏名】アデラ アポストル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル カストロ
(72)【発明者】
【氏名】レザ カザエイネザード
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ マレク タブリジ
(72)【発明者】
【氏名】コーリー スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ゼノン ウィトウスキ
(57)【要約】
レーザ電磁エネルギーを選択的に通過させるか又は遮断するためのシステム及び方法が開示される。レーザシステムはシャッターを備え、それによって、シャッターが回転すると、シャッターの1つ以上の開口領域とシャッターの1つ以上の中実領域が、レーザによって放出された電磁放射の経路中に交互に位置する。シャッターは異なるモードで動作してもよく、これには、全てのレーザパルスを完全に又は部分的に通過させることと、全てのレーザパルスを通過させずに遮断することと、レーザパルスを交互に通過及び遮断することと、が含まれる。実施形態によっては、シャッターは、各選択されたレーザパルスの一部分のみを通過させるように制御される。レーザシステムは、異なる動作モードに対応した異なる位置に回転可能な波長板を備える。異なる動作モードは、レーザ電磁放射の一部分を許可し一部分を遮断することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
電磁放射を放出するように構成されたレーザと、
レーザシャッターアセンブリであって、
シャッターであって、回転軸、並びに前記シャッターの前記回転軸を中心として配置された少なくとも1つの開口領域及び少なくとも1つの中実領域を有するシャッター、及び、
前記シャッターの前記回転軸を中心として前記シャッターを回転させるように構成されたシャッター回転モータ、を備えるレーザシャッターアセンブリと、を備え、
前記シャッターは、前記シャッターの前記回転軸を中心として回転されたときに、前記シャッターの開口領域及び前記シャッターの中実領域が、前記レーザによって放出された前記電磁放射の経路に交互に位置するように配置されている、レーザシステム。
【請求項2】
前記レーザは、電磁放射をパルスで放出するように構成され、前記レーザシャッターアセンブリは、異なるモードで動作するように構成され、前記異なるモードには、全てのレーザパルスが完全に又は部分的に通過することが許される全パルス許可モードと、全てのレーザパルスを通過させないように前記シャッターが遮断する全パルス遮断モードと、一部のレーザパルスは完全に又は部分的に通過することが許され、一部のレーザパルスは前記シャッターにより遮断される少なくとも1つのパルス断続遮断モードと、が含まれる、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記レーザシャッターアセンブリはシャッター回転センサを更に備え、前記レーザシステムは、前記レーザパルスのタイミングを基準にして前記シャッターの前記回転を制御するように、前記シャッター回転センサからの信号に応答して前記シャッター回転モータを動作させるように構成される、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記レーザシャッターアセンブリは、キャリッジ位置決めモータであって、前記シャッターに動作可能に接続され、前記レーザシャッターアセンブリの前記異なる動作モードに対応した異なる位置に前記シャッターを移動させるように構成されたキャリッジ位置決めモータを備える、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記シャッターはその異なる位置に対応する複数のトラックを備え、前記複数のトラックには、前記レーザによって放出された前記レーザパルスの第1のパーセンテージが通過することが許される第1のトラックと、前記レーザによって放出された前記レーザパルスの第2のパーセンテージが通過することが許される第2のトラックと、が含まれ、前記第2のパーセンテージは、前記第1のパーセンテージより高い、請求項4に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記レーザシャッターアセンブリは、キャリッジカムプレート及び少なくとも1つのキャリッジ位置センサを更に備え、前記キャリッジカムプレートは、前記シャッターと共に動くように前記シャッターに接続され、前記少なくとも1つのキャリッジ位置センサは、前記キャリッジカムプレートの位置を検出して前記シャッターの位置を決定するように構成される、請求項4に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記レーザシステムは、前記レーザシャッターアセンブリをそれの異なるモードで動作させるために、前記レーザパルスのタイミングを基準にして前記シャッターの前記回転を制御するように前記シャッター回転モータを動作させるように構成される、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記レーザシステムは、レーザエネルギー出力を制御するために、少なくとも1組のレーザパルスについて、前記1組のレーザパルス中の前記レーザパルスの各々の一部分が通過することが許され、且つ前記1組のレーザパルス中の前記レーザパルスの各々の一部分が遮断されるように、前記レーザパルスを基準にして前記シャッターの前記回転を制御するように、前記シャッター回転モータを動作させるように構成される、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項9】
レーザシステムを制御する方法であって、
レーザから電磁放射を放出することと、
前記レーザによって放出された前記電磁放射の経路中でシャッターを回転させることであって、それによって、前記シャッターの開口領域及び前記シャッターの中実領域が、前記レーザによって放出された前記電磁放射の前記経路中に交互に位置するようになることと、を含むレーザシステムを制御する方法。
【請求項10】
前記レーザから電磁放射を放出するステップは、前記レーザから電磁放射をパルスで放出することを含み、前記方法は、異なるモードで前記シャッターを動作させることを更に含み、前記異なるモードには、全てのレーザパルスが完全に又は部分的に通過することが許される全パルス許可モードと、全てのレーザパルスを通過させないように前記シャッターが遮断する全パルス遮断モードと、一部のレーザパルスは完全に又は部分的に通過することが許され、一部のレーザパルスは前記シャッターにより遮断される少なくとも1つのパルス断続遮断モードと、が含まれる、請求項9に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項11】
前記レーザパルスのタイミングを基準にして前記シャッターの前記回転を制御するように、シャッター回転センサからの信号に応答して前記シャッターを動作させることを更に含む、請求項10に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項12】
前記シャッターに動作可能に接続されたキャリッジ位置決めモータを使用して、前記異なる動作モードに対応した異なる位置に前記シャッターを移動させることを更に含む、請求項10に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項13】
異なる位置に前記シャッターを移動させるステップは、前記シャッターを、第1の位置であって、前記レーザによって放出された前記レーザパルスの第1のパーセンテージが通過することが許される第1の位置、及び第2の位置であって、前記レーザによって放出された前記レーザパルスの第2のパーセンテージが通過することが許される第2の位置、に移動させることを含み、前記第2のパーセンテージは前記第1のパーセンテージより高い、請求項12に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項14】
少なくとも1つのキャリッジ位置センサを使用してキャリッジカムプレートの位置を検出することにより、前記シャッターの位置を決定することを更に含み、前記キャリッジカムプレートは、前記シャッターと共に動くように前記シャッターに接続されている、請求項12に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項15】
前記シャッターをそれの異なるモードで動作させるために、前記レーザパルスのタイミングを基準にして前記シャッターの前記回転を制御することを更に含む、請求項10に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項16】
レーザエネルギー出力を制御するために、少なくとも1組のレーザパルスについて、前記1組のレーザパルス中の前記レーザパルスの各々の一部分が通過することが許され、且つ前記1組のレーザパルス中の前記レーザパルスの各々の一部分が遮断されるように、前記レーザパルスを基準にして前記シャッターの前記回転を制御することを更に含む、請求項10に記載のレーザシステムを制御する方法。
【請求項17】
レーザシステムであって、
電磁放射を放出するように構成されたレーザ、及び、
エネルギー制御アセンブリを備え、前記エネルギー制御アセンブリは、
波長板と、
回転可能キャリッジであって、前記波長板は前記回転可能キャリッジに接続され前記回転可能キャリッジと共に回転するように構成される、回転可能キャリッジと、
波長板位置決めモータであって、前記回転可能キャリッジに動作可能に接続され、前記波長板の異なる動作モードに対応した異なる位置に前記波長板を回転させるように前記回転可能キャリッジを動かすように構成された、波長板位置決めモータと、を備える、レーザシステム。
【請求項18】
前記波長板の前記異なる動作モードには、全ての前記レーザの電磁放射の通過が許される全放射許可モードと、全ての前記レーザの電磁放射の通過が遮断される全放射遮断モードと、前記レーザの電磁放射の一部の通過が許され、前記レーザの電磁放射の一部が遮断される少なくとも1つの部分放射許可モードと、が含まれる、請求項17に記載のレーザシステム。
【請求項19】
レーザシステムを制御する方法であって、
レーザから電磁放射を放出することと、
前記レーザによって放出された前記電磁放射の経路中にある波長板を、前記波長板の異なる動作モードに対応した異なる位置に回転させることと、を含む、レーザシステムを制御する方法。
【請求項20】
前記波長板の前記異なる動作モードには、全ての前記レーザの電磁放射の通過が許される全放射許可モードと、全ての前記レーザの電磁放射の通過が遮断される全放射遮断モードと、前記レーザの電磁放射の一部の通過が許され、前記レーザの電磁放射の一部が遮断される少なくとも1つの部分放射許可モードと、が含まれる、請求項19に記載のレーザシステムを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザパルスを選択的に通過させるか又は遮断するための且つレーザエネルギーを制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、複数の異なる眼科処置を含む多くの異なる医療処置に使用されている。例えば、レーザは、白内障水晶体を断片化させるためなど、白内障手術で使用されることがある。処置によっては、レーザを、水晶体の最初の断片化に使用し、これに続いて、超音波ハンドピースにより水晶体を乳化させて、除去するために水晶体の分解を完了する。他の処置では、超音波エネルギーを別個に適用する必要なしに、レーザが、除去するために水晶体の断片化又は水晶体乳化を完了するために、使用されることがある。レーザは、角膜切開及び/又はカプセルを開くなどの、白内障手術における他の工程にも使用されることがある。
【0003】
レーザは、硝子体網膜手術にも使用されることがある。処置によっては、レーザは、除去するために硝子体線維を切断又は破断するように、硝子体切除において使用されることがある。レーザは、硝子体切除プローブに組み込まれることがあり、レーザからのエネルギーを、硝子体線維に印加して、除去するために硝子体線維を切断又は破断することができる。
【0004】
他の硝子体網膜の用途では、レーザは、網膜組織の光凝固に使用されることがある。レーザ光凝固は、網膜裂孔及び/又は糖尿病性網膜症の影響などの問題を治療するために使用されることがある。
【0005】
米国特許出願公開第2018/0360657号明細書は、眼科用レーザシステムの例を開示している。この出願は、手術の切れ目を形成するため、又は眼の組織を光切断するため、並びにレーザ補助白内障手術(LACS)などの白内障手術などのためのレーザの使用について記載している。米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、眼科用レーザシステムの他の例を開示している。この出願は、硝子体線維を切断又は破断するための硝子体切除プローブなどにおけるレーザの使用について記載している。米国特許出願公開第2018/0360657号明細書及び米国特許出願公開第2019/0201238号明細書は、特に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
一部のレーザシステムは、所望の持続時間及び繰り返し率を有するパルスを放射する。レーザをパルスで動作させると、特定の用途に対して望ましいパワー及びエネルギー特性を達成することができる。更に、レーザによって放射されるビームのエネルギーは、レーザ自体を制御することにより制御できるが、システムによっては、レーザの下流でレーザビームのエネルギー量を制御することが望ましいことがある。レーザパルスの選択及びエネルギーの制御のための既存のシステムには、通常、1つ以上の欠点、例えば、電力損失、複雑さ、コストなどがある。レーザパルスの選択及びエネルギーレベルの制御のための、改良されたシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、レーザ電磁エネルギーを選択的に通過させるか又は遮断するための改良されたシステム及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によっては、レーザシステムは、電磁放射を放出するように構成されたレーザと、レーザシャッターアセンブリであって、シャッターであって、回転軸、並びにシャッターの回転軸を中心として配置された少なくとも1つの開口領域及び少なくとも1つの中実領域を有するシャッター、及び、シャッターの回転軸を中心としてシャッターを回転させるように構成されたシャッター回転モータ、を備えるレーザシャッターアセンブリと、を備える。シャッターは、シャッターの回転軸を中心として回転されたときに、シャッターの開口領域及びシャッターの中実領域が、レーザによって放出された電磁放射の経路に交互に位置するように配置されてもよい。
【0009】
実施形態によっては、レーザは、電磁放射をパルスで放出するように構成されてもよい。レーザシャッターアセンブリは、異なるモードで動作するように構成されてもよく、異なるモードには、全てのレーザパルスが完全に又は部分的に通過することが許される全パルス許可モードと、全てのレーザパルスを通過させないようにシャッターが遮断する全パルス遮断モードと、一部のレーザパルスは完全に又は部分的に通過することが許され、一部のレーザパルスはシャッターにより遮断される少なくとも1つのパルス断続遮断モードと、が含まれる。
【0010】
実施形態によっては、レーザシャッターアセンブリはシャッター回転センサを更に備え、レーザシステムは、レーザパルスのタイミングを基準にしてシャッターの回転を制御するように、シャッター回転センサからの信号に応答してシャッター回転モータを動作させるように構成される。
【0011】
実施形態によっては、レーザシャッターアセンブリは、キャリッジ位置決めモータであって、シャッターに動作可能に接続され、レーザシャッターアセンブリの異なる動作モードに対応した異なる位置にシャッターを移動させるように構成されたキャリッジ位置決めモータを更に備える。実施形態によっては、シャッターはその異なる位置に対応する複数のトラックを備え、この複数のトラックには、レーザによって放出されたレーザパルスの第1のパーセンテージが通過することが許される第1のトラックと、レーザによって放出されたレーザパルスの第2のパーセンテージが通過することが許される第2のトラックと、が含まれ、第2のパーセンテージは、第1のパーセンテージより高い。実施形態によっては、レーザシャッターアセンブリは、キャリッジカムプレート及びキャリッジ位置センサを更に備え、キャリッジカムプレートは、シャッターと共に動くようにシャッターに接続され、キャリッジ位置センサは、キャリッジカムプレートの位置を検出してシャッターの位置を決定するように構成される。
【0012】
実施形態によっては、レーザシステムは、レーザシャッターアセンブリを異なるモードで動作させるために、レーザパルスのタイミングを基準にしてシャッターの回転を制御するようにシャッター回転モータを動作させるように構成される。
【0013】
実施形態によっては、レーザシステムは、レーザエネルギー出力を制御するために、少なくとも1組のレーザパルスについて、その1組のレーザパルス中のレーザパルスの各々の一部分が通過することが許され、且つその1組のレーザパルス中のレーザパルスの各々の一部分が遮断されるように、レーザパルスを基準にしてシャッターの回転を制御するように、シャッター回転モータを動作させるように構成される。
【0014】
実施形態によっては、レーザシステムを制御する方法は、レーザから電磁放射を放出することと、レーザによって放出された電磁放射の経路中でシャッターを回転させることであって、それによって、シャッターの開口領域及びシャッターの中実領域が、レーザによって放出された電磁放射の経路中に交互に位置するようになることと、を含む。
【0015】
実施形態によっては、レーザから電磁放射を放出するステップは、レーザから電磁放射をパルスで放出することを含み、この方法は更に、異なるモードでシャッターを動作させることを更に含み、異なるモードには、全てのレーザパルスが完全に又は部分的に通過することが許される全パルス許可モードと、全てのレーザパルスを通過させないようにシャッターが遮断する全パルス遮断モードと、一部のレーザパルスは完全に又は部分的に通過することが許され、一部のレーザパルスはシャッターにより遮断される少なくとも1つのパルス断続遮断モードと、が含まれる。
【0016】
実施形態によっては、この方法は、レーザパルスのタイミングを基準にしてシャッターの回転を制御するように、シャッター回転センサからの信号に応答してシャッターを動作させることを更に含む。
【0017】
実施形態によっては、この方法は、シャッターに動作可能に接続されたキャリッジ位置決めモータを使用して、異なる動作モードに対応した異なる位置にシャッターを移動させることを更に含む。実施形態によっては、異なる位置にシャッターを移動させるステップは、シャッターを、第1の位置であって、レーザによって放出されたレーザパルスの第1のパーセンテージが通過することが許される第1の位置、及び第2の位置であって、レーザによって放出されたレーザパルスの第2のパーセンテージが通過することが許される第2の位置、に移動させることを含み、第2のパーセンテージは第1のパーセンテージより高い。実施形態によっては、この方法は、キャリッジ位置センサを使用してキャリッジカムプレートの位置を検出することにより、シャッターの位置を決定することを更に含み、キャリッジカムプレートは、シャッターと共に動くようにシャッターに接続されている。
【0018】
実施形態によっては、この方法は、シャッターを異なるモードで動作させるために、レーザパルスのタイミングを基準にしてシャッターの回転を制御することを更に含む。
【0019】
実施形態によっては、この方法は、レーザエネルギー出力を制御するために、少なくとも1組のレーザパルスについて、その1組のレーザパルス中のレーザパルスの各々の一部分が通過することが許され、且つその1組のレーザパルス中のレーザパルスの各々の一部分が遮断されるように、レーザパルスを基準にしてシャッターの回転を制御することを更に含む。
【0020】
実施形態によっては、レーザシステムは、電磁放射を放出するように構成されたレーザ、及びエネルギー制御アセンブリを備え、エネルギー制御アセンブリは、波長板と、回転可能キャリッジであって、波長板は回転可能キャリッジに接続され回転可能キャリッジと共に回転するように構成される、回転可能キャリッジと、波長板位置決めモータであって、回転可能キャリッジに動作可能に接続され、波長板の異なる動作モードに対応した異なる位置に波長板を回転させるように回転可能キャリッジを動かすように構成された、波長板位置決めモータと、を備える。実施形態によっては、レーザは、電磁放射をパルスで放出するように構成され、波長板の異なる動作モードには、全てのレーザ電磁放射の通過が許される全放射許可モードと、全てのレーザ電磁放射の通過が遮断される全放射遮断モードと、レーザ電磁放射の一部の通過が許され、レーザ電磁放射の一部が遮断される少なくとも1つの部分放射許可モードと、が含まれる。
【0021】
実施形態によっては、レーザシステムを制御する方法は、レーザから電磁放射を放出することと、レーザによって放出された電磁放射の経路中にある波長板を、波長板の異なる動作モードに対応した異なる位置に回転させることと、を含む。実施形態によっては、波長板の異なる動作モードには、全てのレーザ電磁放射の通過が許される全放射許可モードと、全てのレーザ電磁放射の通過が遮断される全放射遮断モードと、レーザ電磁放射の一部の通過が許され、レーザ電磁放射の一部が遮断される少なくとも1つの部分放射許可モードと、が含まれる。
【0022】
本発明の実施形態の更なる例及び特徴が、図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【0023】
添付図面は、本明細書中に開示する装置及び方法の実施態様を例示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本開示によるレーザシステムの一例の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本開示による例示的なレーザシャッターアセンブリの第1の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、
図2のレーザシャッターアセンブリの第2の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図2のレーザシャッターアセンブリの第3の図を示す。
【
図5】
図5は、
図2のレーザシャッターアセンブリの正面図を示す。
【
図6】
図6は、
図2のレーザシャッターアセンブリの左側面図を示す。
【
図7】
図7は、
図2のレーザシャッターアセンブリの背面図を示す。
【
図8】
図8は、
図2のレーザシャッターアセンブリの右側面図を示す。
【
図9】
図9は、
図2のレーザシャッターアセンブリのシャッターの正面図を示す。
【
図10】
図10は、本開示による例示的なレーザエネルギー制御アセンブリの第1の斜視図を示す。
【
図16】
図16は、本開示による別の例示的なレーザシャッターアセンブリの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明を参照することにより、添付図面に対する理解を深めることができる。
【0026】
ここで、本開示の原理の理解を促すことを目的として、図面に示す実施態様を参照し、特定の文言を用いてそれらの実施態様及び他の実施態様について説明する。けれども、図面に図示される例又は本明細書に記載される例によって、特許請求の範囲を限定することは意図されていないことが理解されよう。図示する又は説明するシステム、装置、機器、又は方法に対するあらゆる変更形態及び更なる修正形態、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関連する当業者であれば通常想起されるものと十分に考えられる。特に、本開示のある実施態様に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程は、本開示の他の実施態様に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わされてもよい。簡略化のために、場合により、図面全体を通して同じ参照番号を用いて同じ又は類似の部分を参照する。
【0027】
本明細書で使用される「第1」及び「第2」という呼称は、いかなる特定の位置又は他の特性も示す又は暗示することを意図していない。むしろ、本明細書で「第1」及び「第2」という呼称が使用される場合、それらは、ある構成要素を別の構成要素から区別するためだけに使用される。「取り付けられた」「接続された」「結合された」などの用語は、直接的又は間接的な取り付け、接続、結合等が明記されていない限り、ある部品が別の部品に直接的に又は1つ以上の他の部品を介して間接的に取り付け、接続、結合等されていることを意味する。
【0028】
本開示の実施形態によれば、本明細書で説明するレーザシステムは、レーザを備え、レーザパルス選択システム、レーザエネルギー制御システム、又はレーザパルス選択システムとレーザエネルギー制御システムの両方、を含んでもよい。
【0029】
図1は、例示的なレーザシステム10の概略図である。例示的なレーザシステム10は、レーザ20、レーザパルス選択システム30、レーザエネルギー制御システム40,及び偏光板70を備えるが、レーザパルス選択システム又はレーザエネルギー制御システムの何れか及び偏光板は省略されてもよい。必要に応じて、また用途に応じて、レーザシステム10は、1つ以上の他の光学コンポーネント又は他のコンポーネントを備えてもよい。動作中、レーザ20は、システムを通るレーザ経路22に沿ってレーザ電磁放射を放出し、それによって、レーザ電磁放射はシステムの出口50から出射し、ターゲット60に向かう。例示的な実施形態では、ターゲットは、白内障水晶体、硝子体線維、網膜組織、又は他の組織などの、眼の組織であってもよい。
【0030】
図2~
図8は、
図1のレーザシステム10などのレーザシステムで使用されてもよい例示的なレーザシャッターアセンブリ100の様々な図を示す。レーザシャッターアセンブリ100は、
図1のレーザパルス選択システム30のようなレーザパルス選択システムとして機能してもよい。
【0031】
図2~
図8に示すように、例示的なレーザシャッターアセンブリ100は、回転可能シャッター110を備える。以下でより詳細に説明するように、シャッター110は、レーザ電磁放射を選択的に遮断するか、又はレーザ電磁放射を選択的に通過させるために使用される。シャッター110は、1つ以上の開口領域112及び1つ以上の中実領域118を有する。各開口領域112は、前縁114及び後縁116を有する。
【0032】
シャッター110は、回転軸111を中心として回転可能である。シャッター110は、開口領域112と中実領域118がレーザ経路中に交互に位置するように、レーザ経路に対して回転可能である。開口領域112がレーザ経路中に位置している場合、開口領域は、開口領域112に向けられたレーザ電磁放射が開口領域112を通過するのを可能にする。図示する実施形態では、開口領域112は、シャッター110を貫通する開いた穴又は隙間である。中実領域118がレーザ経路中に位置している場合、中実領域118は、中実領域118に向けられたレーザ電磁放射が中実領域118を通過するのを遮断する。本開示の文脈では、レーザ電磁放射を遮断するとは、全ての又は実質的に全てのレーザ電磁放射の通過を防止することを意味する。中実領域118は、不透明の又は実質的に不透明の材料を含んでもよい。図示する実施形態では、シャッター110は、金属の又は不透明の若しくは実質的に不透明のプラスチックを含む。図示する例では、中実領域118は、シャッター110の一部であり、同じ材料のものである。
【0033】
図示した例では、開口領域112は、シャッター110の構造によって、完全に境界を付けられている。他の実施形態では、開口領域112は、1つ以上の側面又は部分において境界が付けられていなくてもよい。例えば、開口領域112は、ノッチ、切り欠き、開口部、又は他の適切な構造であってもよい。一例では、シャッターは扇風機に似た形状を有し、くさび形、三角形、扇風機のブレード形状、又は他の適切な形状を有する中実領域と開口領域が交互になっている。
【0034】
図示した例では、シャッター110は、車輪又はディスクの形状をしている。しかしながら、シャッター110は、任意の他の適切な形状をしていてもよい。例えば、シャッターは、円形ではない外周部を備えたプレートであるか、又は、上述したような扇風機構造を有するか、又は、開口領域と中実領域を交互に有するように開口部を備えたブロック若しくは樽のような形状をしていてもよい。
【0035】
レーザシャッターアセンブリ100は、シャッター110を回転させるためのシャッター回転モータ120を更に備える。シャッター回転モータ120は、例えば、ブラシレスDCモータ、又はシャッター110を回転させるための任意の他の適切なモータであってもよい。シャッター110は、シャッター回転モータ120によって回転するように、シャッター回転モータ120の回転子に結合されている。シャッター110は、シャッター回転モータ120の回転子に直接的に結合されていてもよく、又は1つ以上の他の構成要素を介して結合されていてもよい。シャッター110をシャッター回転モータ120に直接的に又は間接的に結合するために、留め具121を使用してもよい。
【0036】
レーザ経路に対して回転可能であることに加えて、シャッター110は、シャッター110の各回転中にレーザ電磁放射をシャッター110がどれ位遮断するかという特性を変更するために、レーザ経路に対して異なる位置に移動されてもよい。シャッター110及びシャッター回転モータ120は、可動アーム122に取り付けられており、その結果、可動アーム122が移動すると、シャッター110及びシャッター回転モータ120が可動アーム122と共に移動する。可動アーム122は、次いで、例えば留め具125により、可動キャリッジ124に取り付けられている。
【0037】
図示した例では、キャリッジ124は概ねディスク状であるが、他の適切な形状及び構造を使用してもよい。キャリッジ124は、内部に穴又は開口部126を有してもよく、それらは、この構成要素の材料の量を低減し、重量及びコストを低減するようにはたらく。キャリッジ124は、軸の周りを回転するように構成される。動作時に、キャリッジ124の回転範囲は、以下で更に詳細に説明するように、可動アーム122を所望の円弧で移動させる量の範囲内である。
【0038】
キャリッジ124が移動すると、可動アーム122ひいてはシャッター110が円弧に沿って移動することになり、このキャリッジ124の移動は、キャリッジ位置決めモータ130によって行われる。図示する例では、キャリッジ位置決めモータ130はステップモータであるが、ボイスコイル及び他のモータなどの他の適切なモータを使用してもよい。キャリッジ位置決めモータ130は、滑車132を駆動する。ベルト134が、滑車132及びキャリッジ124の周りに延在する。ベルト134の端部は、クランプ128によってキャリッジ124に結合されており、このクランプ128は、例えば留め具129によってキャリッジ124に固定されてもよい。ベルト134の端部は、他の方法により、例えば、留め具若しくは接着剤により直接的に、又は1つ以上の他の部品を介して、キャリッジ124に固定されてもよい。他の実施形態では、ベルト134は、キャリッジ124の周りに完全に延びる連続的なベルトであってもよく、隆起した表面を用いて又は摩擦係合を介して、キャリッジと係合してもよい。
【0039】
キャリッジ位置決めモータ130が動作すると、滑車132が回転する。次いで、滑車132は、ベルト134を駆動し、ベルト134は、次いで所望の量の角度移動でキャリッジ124を回転させる。次いで、キャリッジ124の所望の量の角度移動は、所望の量のシャッター110の移動を引き起こし、それによって、シャッター110がレーザ経路に対して所望の位置に移動する。多くの可能な例の1つでは、キャリッジ位置決めモータ130は、ステップ毎に1.8度の移動、又は任意の適切な量の移動を生成するステップモータであってもよい。
【0040】
レーザシャッターアセンブリ100は、システムの様々な部品を支持するための支持構造140を更に備える。図示する例では、支持構造140は、軸受保持体の形態をした支持構造構成要素142、底板の形態をした支持構造構成要素146、底板146に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素148、軸受保持体142に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素150、軸受保持体142に取り付けられたカバープレートの形態をした支持構造構成要素152、並びに、プレート150及びカバープレート152に取り付けられたブラケットの形態をした支持構造構成要素154を備える。支持構造は、より多くの又はより少ない構成要素を有してもよい。
【0041】
支持構造140は、システム100の様々な部品を、それぞれの位置決め及び機能のために支持する。例えば、軸受保持体142は、キャリッジ124を、1つ以上の軸受144を介して軸受保持体142に対して回転させるように支持する。例示的な軸受144は転がり軸受であってもよく、外側の軌道輪は軸受保持体142に固定され、内側の軌道輪はキャリッジ124に固定されている。
【0042】
底板146はプレート148を支持し、プレート148はプレート150を支持し、プレート150はレーザビーム経路と位置合わせするためのビーム経路ガイド156を支持する。ビーム経路ガイド156は、ビーム経路ガイド開口部158を有し、システム100がレーザに対して取り付けられたときに、このビーム経路ガイド開口部158をレーザビームが通過する。ビーム経路ガイド156は、ブラケット、ブロック、プレート、又は他の適切な構造であってもよい。底板146は、ビーム経路ガイド156を横方向に、即ち、底板146の平面の方向に位置合わせするようにはたらき、プレート148は、ビーム経路ガイド156を垂直方向に、即ち、底板146の平面に垂直な方向に位置合わせするようにはたらく。
【0043】
以下で更に説明するように、プレート150は、支持ポスト192を介してPCBアセンブリ190を支持し、支持スペーサ178を介してキャリッジ位置センサ174などの他の構成要素を支持する。ブラケット154は、プレート150及びプレート152に取り付けられ、キャリッジ位置決めモータ130を支持する。
【0044】
レーザシャッターアセンブリ100は、キャリッジ位置センサアセンブリ160を更に備える。キャリッジ位置センサアセンブリ160は、シャッター110が確実に所望の位置にあるよう支援するようにはたらく。キャリッジ位置センサアセンブリ160は、プレート又は他の適切な構造の形態をしたキャリッジカムプレート162を備える。図示した例示的なキャリッジカムプレート162は、1つ以上の回転センサ窓開口部164、第1の検出エッジ168A、及び第2の検出エッジ168Bを有する。キャリッジカムプレート162は、例えば、キャリッジ124、可動アーム122、又はシャッター110と共に動く別の構成要素、に直接的に取り付けられることにより、シャッター110と結合されている。図示した例では、キャリッジカムプレート162は、支持ポスト172に取り付けられたアーム170を有し、支持ポスト172は、キャリッジ124に取り付けられ、その結果、可動アーム122及びシャッター110に取り付けられている。
【0045】
キャリッジ位置センサアセンブリ160は、1つ以上のセンサ174を更に備える。図示した例では、センサ174はスロット付光学センサであり、3つのそのようなセンサ、即ちキャリッジ開始位置センサ174A、キャリッジ回転センサ174B、及びキャリッジ終了位置センサ174Cが、キャリッジ位置センサアセンブリ160内で使用されているが、より多くの又はより少ないセンサ174を使用してもよい。センサワイヤ176の端部が示されているが、センサワイヤは、適切なコンピュータ構成要素と通信するために、これらのセンサ174を接続していることが、当業者には理解されるであろう。支持スペーサ178は、センサ174を所望の位置に取り付けるために使用される。
【0046】
レーザシャッターアセンブリ100は、シャッター回転センサアセンブリ180を更に備える。シャッター回転センサアセンブリ180は、シャッター110が、確実に所望のタイミングで回転軸を中心として回転していることを支援するようにはたらく。シャッター回転センサアセンブリ180は、1つ以上のシャッター回転センサ182を備える。図示する例では、シャッター回転センサ182は、スロット付光学センサであり、1つのそのようなシャッター回転センサ182が使用されているが、より多くのシャッター回転センサ182を使用してもよい。ブラケットの形態をした支持構造構成要素184が、シャッター回転センサ182を支持する。ブラケット184は、シャッター回転センサ182が、シャッター110の回転軸に対して固定位置にあるように、可動アーム122及び/又はキャリッジ124若しくは別の構成要素に取り付けられてもよい。
【0047】
レーザシャッターアセンブリ100は、システム100を制御するために、当技術分野で既知のコンピュータ構成要素及び電気構成要素を含んでもよい。コンピュータ構成要素は、1つ以上のプロセッサ、メモリ構成要素、並びにハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含んでもよい。集積回路などの一部の構成要素は、PCBアセンブリ190上に支持されてもよく、PCBアセンブリ190は、支持ポスト192を介してプレート150に取り付けられている。
【0048】
動作時に、レーザシャッターアセンブリ100は、
図1のレーザ20などのレーザを含むレーザシステムの一部分として取り付けられる。レーザシャッターアセンブリ100は、レーザの動作中に、レーザビームが、シャッター110の位置に応じて選択的に遮断されるか又は通過できるように、レーザに対して取り付けられている。図示する例では、レーザシャッターアセンブリ100は、レーザの動作中に、レーザビームが、ビーム経路ガイド156のビーム経路ガイド開口部158を通過するように、レーザに対して取り付けられている。レーザシャッターアセンブリ100は、レーザの動作中に、レーザビームが、ビーム経路ガイド156のビーム経路ガイド開口部158を通過する前に、シャッター110を通過するように、レーザに対して取り付けられていてもよい。或いは、レーザシャッターアセンブリ100は、レーザの動作中に、レーザビームが、シャッター110を通過する前に、ビーム経路ガイド156のビーム経路ガイド開口部158を通過するように、レーザに対して取り付けられてもよい。
【0049】
レーザシャッターアセンブリ100を通過できたレーザ電磁放射は、レーザシステムの出力に向けて続行する。そのようなレーザ電磁放射は、レーザエネルギー制御システム及び/又は1つ以上の他の構成要素などの、レーザシステムの1つ以上の他の構成要素まで続行してもよい。
【0050】
レーザシステムのレーザは、電磁エネルギーをパルスで放出するように動作してもよく、シャッター110が、レーザからの特定のレーザパルスを選択的に遮断するか又は通過させるようにはたらいてもよい。或いは、レーザは、電磁エネルギーを連続的に放出するように動作してもよく、シャッター110が選択的にレーザビームを遮断するか又はレーザビームを通過させるようにはたらき、それによってレーザシャッターアセンブリ100からのパルス状の出力又は断続的な出力を生成してもよい。
【0051】
ユーザ制御又は自動制御によることがある、動作モードを選択する入力に応じて、キャリッジ位置決めモータ130は、所望の角度移動量でキャリッジ124を回転させて、シャッター110を動作位置の1つに移動させる。
図9は、シャッター110の例示的な動作位置に対応する、T0、T1、T2、T3、T4、T5、TN、及びTXとラベル付けされた点線の円形経路によって示されるトラックを示す。
図9の例では、シャッター110は、8つのトラックに対応する8つの動作位置を有する。より多くの又はより少ない動作位置及び対応するトラックを使用してもよい。
【0052】
T0、T1、T2、T3、T4、T5、TN、及びTXとラベル付けされた点線の円形経路又はトラックは、シャッター110が対応する位置にあるときに、レーザ経路がどこにあるかを示す。動作位置は、次の通りである。動作位置0=全遮断モード、動作位置X=全許可モード、及び動作位置1~N=断続遮断モード、但し、Nはそのような位置の数である。
図9の例では、6つの断続遮断動作位置がある、即ち、N=6である。
【0053】
円形経路又はトラックT0は、シャッター110の回転全体中に、シャッター110がレーザ経路を遮断する位置を示す。この位置では、シャッター110の回転全体中に、中実領域118がレーザ経路内にある。円形経路又はトラックTXは、シャッター110の回転全体中に、シャッター110がレーザ経路を全く遮断しない位置を示す。この位置では、シャッター110の回転全体中に、シャッター110全体がレーザ経路の邪魔にならない所にある。円形経路又はトラックT1~TNは、シャッター110の回転の一部分中に、シャッター110がレーザ経路を遮断する位置を示す。即ち、断続遮断モードでは、シャッター110は、交互に、レーザ電磁放射を遮断し、レーザ電磁放射を通過させる。
【0054】
多数の可能な例の1つを挙げると、一実施形態では、レーザは、毎秒900パルスの周波数でパルスを放出してもよい。シャッター110は、毎分2700回転、即ち毎秒45回転で回転するように動作してもよい。これらの規格値を用いると、レーザは、シャッター110の各回転中に、20パルスを放出することになる。開口領域112及び中実領域118の幾何学的形状により、これらのパラメータで動作する例示的なシャッター110は、以下のようにパルスを通過させることができる。トラックT1に対応する動作位置1は、10パルス毎にそのうちの1パルスを通過させ残りを遮断し、トラックT2に対応する動作位置2は、10パルス毎にそのうちの2つの連続するパルスを通過させ残りを遮断し、トラックT3に対応する動作位置3は、10パルス毎にそのうちの3つの連続するパルスを通過させ残りを遮断し、トラックT4に対応する動作位置4は、10パルス毎にそのうちの4つの連続するパルスを通過させ残りを遮断し、トラックT5に対応する動作位置5は、10パルス毎にそのうちの5つの連続するパルスを通過させ残りを遮断し、(N=6である実施形態において)トラックT6に対応する動作位置6は、10パルス毎にそのうちの6つの連続するパルスを通過させ残りを遮断する。別の言い方をすると、動作位置1、2、3、4、5、及び6は、それぞれレーザパルスの10%、20%、30%、40%、50%、及び60%を通過させ、残りを遮断する。
【0055】
多くの他の変形例が可能である。レーザは、特定の用途に適した任意の周波数でパルスを放出してもよく、動作中に周波数を切り替えてもよい。シャッター110は、任意の適切な速度で回転するように動作してもよく、動作中に速度を切り替えてもよい。レーザは、シャッター110の各回転において任意の適切な数のパルスを放出してもよい。開口領域112及び中実領域118は、任意の適切な幾何学的形状を有してもよい。任意の動作位置は、任意の適切な数のパルスを通過させ、任意の適切な数のパルスを遮断してもよい。レーザはまた、連続的な電磁エネルギーを放出してもよく、この場合には、シャッター110の位置決めは、パルス状の出力を生成するように動作してもよい。
【0056】
レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の全許可モードは、全てのレーザパルスを通過させる全パルス許可モードと、全ての電磁放射を通過させる全放射許可モードとの両方になる。レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の全遮断モードは、全てのレーザパルスを通過させずに遮断する全パルス遮断モードと、全ての電磁放射を通過させずに遮断する全放射遮断モードとの両方になる。レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の断続遮断モードは、1つ以上の連続的なレーザパルスを通過させることと1つ以上の連続的なパルスを通過させずに遮断することとの間で急速に切り替わるパルス断続遮断モードと、電磁照射の選択された部分のみを通過させる部分放射許可モードとの両方になる。
【0057】
レーザが電磁エネルギーを連続的に放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の全許可モードは、全ての電磁放射を通過させる全放射許可モードになる。レーザが電磁エネルギーを連続的に放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の全遮断モードは、全ての電磁放射を通過させずに遮断する全放射遮断モードになる。レーザが電磁エネルギーを連続的に放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ100の断続遮断モードは、パルス状の出力又は断続的な出力を生成するパルス生成モードと、電磁放射の選択された部分のみを通過させる部分放射許可モードとの両方になる。
【0058】
キャリッジ位置センサアセンブリ160は、シャッター110が確実に所望の動作位置にあるよう支援するようにはたらく。キャリッジ位置センサ174は光学センサであり、キャリッジカムプレート162の一方の側にLEDなどの光源を有し、キャリッジカムプレート162の反対側に光検出器を有する。回転センサ窓開口部164のうちの1つがキャリッジ位置センサ174の光源と光検出器との間に位置したとき、光は、開口部164を通過することができ、光検出器によって検出される。或いは、キャリッジカムプレート162の中実の不透明な材料が、キャリッジ位置センサ174の光源と光検出器との間に位置したとき、光は遮断され、光検出器によって検出されない。
【0059】
一例では、このシステムは、キャリッジ開始位置センサ174Aが第1の検出エッジ168Aを検出するまで、キャリッジ位置決めモータ130を動作させてシャッター110ひいてはキャリッジカムプレート162を動かすことにより、シャッター110の位置を較正してもよい。これは、例えば、キャリッジ開始位置センサ174Aの光路がキャリッジカムプレート162によって遮断されるまで、キャリッジ位置決めモータ130を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。或いは、初期位置が、キャリッジ開始位置センサ174Aの光路がキャリッジカムプレート162によって遮断される位置である場合、これは、例えば、キャリッジ開始位置センサ174Aの光路がもはやキャリッジカムプレート162によって遮断されなくなるまで、キャリッジ位置決めモータ130を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。別の例では、このシステムは、キャリッジ終了位置センサ174Cが第2の検出エッジ168Bを検出するまで、キャリッジ位置決めモータ130を動作させてシャッター110ひいてはキャリッジカムプレート162を動かすことにより、シャッター110の位置を較正してもよい。これは、例えば、キャリッジ終了位置センサ174Cの光路がキャリッジカムプレート162によって遮断されるまで、キャリッジ位置決めモータ130を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。或いは、初期位置が、キャリッジ終了位置センサ174Cの光路がキャリッジカムプレート162によって遮断される位置である場合、これは、例えば、キャリッジ終了位置センサ174Cの光路がもはやキャリッジカムプレート162によって遮断されなくなるまで、キャリッジ位置決めモータ130を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。キャリッジ位置決めモータ130が段階的に動くように作動されると、回転センサ窓開口部164を通る光路の遮断により、キャリッジ回転センサ174Bが、PCBアセンブリ190への確認フィードバックとして、その出力状態を切り替える。
【0060】
一旦、キャリッジ位置センサ174のうちの1つ以上により、例えば、検出エッジ168のうちの1つを検出することにより、位置が決定されると、その位置を、これにより動作位置を決定できる開始位置として使用してもよい。例えば、システム100は、動作位置の各々が、開始位置から特定の数のキャリッジ位置決めモータステップとなるように、構成されてもよい。このシステムは、動作位置の各々に対応するステップ数でプログラムされる。従って、所望の動作位置に移動するために、キャリッジ位置決めモータは、現在の位置から新しい位置まで、既知の方向に既知のステップ数動くことにより、現在の位置がどこであれ、そこから所望の新しい位置まで動く。
【0061】
レーザシャッターアセンブリ100は、シャッター回転センサアセンブリ180を使用して、シャッター110が確実に所望のタイミングで回転しているように支援してもよい。これには、シャッター110が所望の回転速度で回転していること、及び/又は、シャッター110がパルスレーザの周波数に位相ロックされていること、を確実にするように支援することが含まれてもよい。
【0062】
キャリッジ位置センサ174と同様に、シャッター回転センサ182は光学センサであり、シャッター110の一方の側にLEDなどの光源を備え、シャッター110の反対側に光検出器を備えている。シャッター110の開口領域112がシャッター回転センサ182の光源と光検出器との間に位置したとき、光は、開口領域112を通過することができ、光検出器によって検出される。或いは、シャッター110の中実領域118が、シャッター回転センサ182の光源と光検出器との間に位置したとき、光は遮断され、光検出器によって検出されない。
【0063】
一例では、このシステムは、シャッター回転モータ120を動作させてシャッター110を回転させることにより、且つシャッター回転センサ182を使用して回転を検出することにより、シャッター110の回転タイミングを較正してもよい。シャッター回転センサ182を使用して、開口領域112の前縁114及び/又は後縁116を検出してもよい。この検出を使用して、シャッター110の回転速度を検出し、且つ、シャッター回転モータ120を調節してシャッター110の回転速度を調節してもよい。これに加えて又はその代わりに、この検出を使用して、シャッター回転モータ120を調節してシャッター110の回転を調節し、それにより、シャッター110がパルスレーザと位相ロックされるように、また、所望の数のパルスが遮断され且つ通過を許されるようにしてもよい。
【0064】
図10~
図15は、
図1のレーザシステム10などのレーザシステムで使用されてもよい例示的なレーザエネルギー制御システム200の様々な図を示す。レーザエネルギー制御システム200は、
図1のエネルギー制御システム40のようなエネルギー制御システムとして機能してもよい。
【0065】
図10~
図15に示すように、例示的なレーザエネルギー制御システム200は、システムのレーザエネルギー出力を制御するために使用されてもよいエネルギー制御アセンブリ210を含む。エネルギー制御アセンブリ210は、可動キャリッジ212、波長板220、並びに、キャリッジ212及び波長板220を動かすための機構、を備えている。図示した例では、キャリッジ212は概ねディスク状であるが、他の適切な形状及び構造を使用してもよい。キャリッジ212は、内部に穴又は開口部226を有してもよく、それらは、この構成要素の材料の量を低減し、重量及びコストを低減するようにはたらく。波長板220は、キャリッジ212と共に回転移動するように、キャリッジ212に固定されている。波長板220は、留め具218によってキャリッジ212に取り付けられている波長板保持体214に取り付けられていてもよい。波長板220は、波長板保持体214の前面216と面一になるように取り付けられてもよい。或いは、波長板220は、波長板保持体214からくぼんでいてもよく、又は、キャリッジ212、若しくはキャリッジ212と共に動く何らかの他の部品に取り付けられてもよい。
【0066】
キャリッジ212は、軸の周りを回転するように構成される。動作時に、キャリッジ212の回転範囲は、以下で更に詳細に説明するように、波長板220を所望の角度量だけ回転させる量の範囲内である。
【0067】
キャリッジ212が動くと、波長板220が動き、このキャリッジ212の動きは、波長板位置決めモータ230によって行われる。図示する例では、波長板位置決めモータ230はステップモータであるが、ボイスコイル及び他のモータなどの他の適切なモータを使用してもよい。波長板位置決めモータ230は、滑車232を駆動する。ベルト234が、滑車232及びキャリッジ212の周りに延在する。ベルト234の端部は、クランプ228によってキャリッジ212に結合されており、このクランプ228は、例えば留め具229によってキャリッジ212に固定されてもよい。ベルト234の端部は、他の方法により、例えば、留め具若しくは接着剤により直接的に、又は1つ以上の他の部品を介して、キャリッジ212に固定されてもよい。他の実施形態では、ベルト234は、キャリッジ212の周りに完全に延びる連続的なベルトであってもよく、隆起した表面を用いて又は摩擦係合を介して、キャリッジと係合してもよい。
【0068】
波長板位置決めモータ230が動作すると、滑車232が回転する。次いで、滑車232は、ベルト234を駆動し、ベルト234は、次いで所望の量の角度移動でキャリッジ212を回転させる。キャリッジ212の所望の量の角度移動により、波長板220の所望の量の角度移動が引き起こされる。多くの可能な例の1つでは、波長板位置決めモータ230は、ステップ毎に1.8度の移動、又は任意の適切な量の移動を生成するステップモータであってもよい。
【0069】
レーザエネルギー制御システム200は、システムの様々な部品を支持するための支持構造240を更に備える。図示する例では、支持構造240は、軸受保持体の形態をした支持構造構成要素242、底板の形態をした支持構造構成要素246、底板246に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素248、軸受保持体242に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素250、軸受保持体242に取り付けられたカバープレートの形態をした支持構造構成要素252、並びに、プレート250及びカバープレート252に取り付けられたブラケットの形態をした支持構造構成要素254を備える。支持構造は、より多くの又はより少ない構成要素を有してもよい。
【0070】
支持構造240は、システム200の様々な部品を、それぞれの位置決め及び機能のために支持する。例えば、軸受保持体242は、キャリッジ212を、1つ以上の軸受244を介して軸受保持体242に対して回転させるように支持する。例示的な軸受244は転がり軸受であってもよく、外側の軌道輪は軸受保持体242に固定され、内側の軌道輪はキャリッジ212に固定されている。
【0071】
底板246はプレート248を支持し、プレート248は軸受保持体242を支持する。軸受保持体242は、プレート250及びカバープレート252を支持する。以下で更に説明するように、プレート250は、支持ポスト292を介してPCBアセンブリ290を支持し、支持スペーサ278を介してキャリッジ位置センサ274などの他の構成要素を支持する。ブラケット254は、プレート250及びカバープレート252に取り付けられ、波長板位置決めモータ230を支持する。
【0072】
レーザエネルギー制御システム200は、キャリッジ位置センサアセンブリ260を更に備える。キャリッジ位置センサアセンブリ260は、波長板220が確実に所望の位置にあるよう支援するようにはたらく。キャリッジ位置センサアセンブリ260は、プレート又は他の適切な構造の形態をしたキャリッジカムプレート262を備える。図示した例示的なキャリッジカムプレート262は、1つ以上の回転センサ窓開口部264、第1の検出エッジ268A、及び第2の検出エッジ268Bを有する。キャリッジカムプレート262は、例えば、キャリッジ212、又は波長板220と共に動く別の構成要素、に直接的に取り付けられることにより、波長板220と結合されている。図示した例では、キャリッジカムプレート262は、支持ポスト272に取り付けられたアーム270を有し、支持ポスト272は、キャリッジ212に取り付けられ、その結果、波長板220に取り付けられている。
【0073】
キャリッジ位置センサアセンブリ260は、1つ以上のキャリッジ位置センサ274を更に備える。図示した例では、キャリッジ位置センサ274はスロット付光学センサであり、3つのそのようなキャリッジ位置センサ274A、274B、及び274Cが、キャリッジ位置及び回転センサアセンブリ260内で使用されているが、より多くの又はより少ないキャリッジ位置センサ274を使用してもよい。センサワイヤ276の端部が示されているが、センサワイヤは、適切なコンピュータ構成要素と通信するために、これらのキャリッジ位置センサ274を接続していることが、当業者には理解されるであろう。支持スペーサ278は、キャリッジ位置センサ274を所望の位置に取り付けるために使用される。
【0074】
レーザエネルギー制御システム200は、システム200を制御するために、当技術分野で既知のコンピュータ構成要素及び電気構成要素を含んでもよい。コンピュータ構成要素は、1つ以上のプロセッサ、メモリ構成要素、並びにハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含んでもよい。集積回路などの一部の構成要素は、PCBアセンブリ290上に支持されてもよく、PCBアセンブリ290は、支持ポスト292を介してプレート250に取り付けられている。
【0075】
動作時に、レーザエネルギー制御システム200は、
図1のレーザ20などのレーザを含むレーザシステムの一部分として取り付けられる。レーザエネルギー制御システム200は、波長板220がレーザビーム経路内にあるように、レーザに対して取り付けられる。
【0076】
波長板220は、偏光板70と共にはたらいて、波長板220の回転を介して、レーザエネルギーレベルを通過させるか又は遮断する。例えば水平面内で偏光されたレーザビームが波長板220を通過し、波長板220は次いで、波長板220の回転位置に基づいて、0度~90度のどこにでも、偏光されたレーザビームを回転させる。波長板220を通過した後、レーザビームは偏光板70に到達し、偏光板70は、偏光板70と同じ平面内に偏光されていないレーザビームエネルギーを止め、偏光板70と同じ平面内に偏光された全レーザビームエネルギーを通過させる。
【0077】
波長板200の動作位置は、90度の円弧に沿ったインクリメンタルな位置であってもよい。円弧の一方の側までずっと、波長板220は、偏光板70に対して90度回転されるように極性を変更することにより、(又は、レーザ電磁放射が、偏光板70に対して既に90度回転された波長板220に入射する実施形態では、極性を変更しないままにすることにより、)レーザ電磁放射を完全に遮断する。円弧の他方の側までずっと、波長板220は、偏光板70と同じ平面内にあるように極性を変更することにより、(又は、レーザ電磁放射が、既に偏光板70と同じ平面内にある波長板220に入射する実施形態では、極性を変更しないままにすることにより、)レーザ電磁放射を完全に通過させる。90度の円弧に沿った中間の角度位置では、波長板220は、0%~100%までの異なるパーセンテージのレーザ電磁放射を通過させる。
【0078】
レーザエネルギー制御システム200を通過するレーザ電磁放射は、レーザシステムの出力に向けて続行する。そのようなレーザ電磁放射は、レーザパルス選択システム及び/又は1つ以上の他の構成要素などの、レーザシステムの1つ以上の他の構成要素まで続行してもよい。
【0079】
キャリッジ位置センサアセンブリ260は、波長板220が確実に所望の動作位置にあるよう支援するようにはたらく。キャリッジ位置センサ274は光学センサであり、キャリッジカムプレート262の一方の側にLEDなどの光源を有し、キャリッジカムプレート262の反対側に光検出器を有する。回転センサ窓開口部264のうちの1つがキャリッジ位置センサ274の光源と光検出器との間に位置したとき、光は、開口部264を通過することができ、光検出器によって検出される。或いは、キャリッジカムプレート262の中実の不透明な材料が、キャリッジ位置センサ274の光源と光検出器との間に位置したとき、光は遮断され、光検出器によって検出されない。
【0080】
一例では、このシステムは、キャリッジ開始位置センサ274Aが第1の検出エッジ268Aを検出するまで、波長板位置決めモータ230を動作させて波長板220ひいてはキャリッジカムプレート262を動かすことにより、波長板220の位置を較正してもよい。これは、例えば、キャリッジ開始位置センサ274Aの光路がキャリッジカムプレート262によって遮断されるまで、波長板位置決めモータ230を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。或いは、初期位置が、キャリッジ開始位置センサ274Aの光路がキャリッジカムプレート262によって遮断される位置である場合、これは、例えば、キャリッジ開始位置センサ274Aの光路がもはやキャリッジカムプレート262によって遮断されなくなるまで、波長板位置決めモータ230を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。別の例では、このシステムは、キャリッジ終了位置センサ274Cが第2の検出エッジ268Bを検出するまで、波長板位置決めモータ230を動作させて波長板220ひいてはキャリッジカムプレート262を動かすことにより、波長板220の位置を較正してもよい。これは、例えば、キャリッジ終了位置センサ274Cの光路がキャリッジカムプレート262によって遮断されるまで、波長板位置決めモータ230を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。或いは、初期位置が、キャリッジ終了位置センサ274Cの光路がキャリッジカムプレート262によって遮断される位置である場合、これは、例えば、キャリッジ終了位置センサ274Cの光路がもはやキャリッジカムプレート262によって遮断されなくなるまで、波長板位置決めモータ230を段階的に動かすことにより、実施されてもよい。波長板位置決めモータ230が段階的に動くように作動されると、回転センサ窓開口部264を通る光路の遮断により、キャリッジ回転センサ274Bが、PCBアセンブリ290への確認フィードバックとして、その出力状態を切り替える。
【0081】
一旦、キャリッジ位置センサ274のうちの1つ以上により、例えば、検出エッジ268のうちの1つを検出することにより、位置が決定されると、その位置を、これにより動作位置を決定できる開始位置として使用してもよい。例えば、システム200は、検出エッジ268のうちの一方が、波長板220の90度の動作円弧の一方の端部に対応し、検出エッジ268のうちの他方が、波長板220の90度の動作円弧の他方の端部に対応するように構成されてもよい。或いは、システム200は、検出エッジ268のうちの一方が、波長板220の90度の動作円弧の一方の端部から既知の距離だけ離れており、検出エッジ268のうちの他方が、波長板220の90度の動作円弧の他方の端部から既知の距離だけ離れているように構成されてもよい。
【0082】
従って、検出エッジ268のうちの一方のエッジの位置に対応するか、又は検出エッジ268のうちの一方のエッジの位置から離れた既知の距離に対応することがある、波長板220の90度の動作円弧の一方の端部において、波長板220はレーザ電磁放射を完全に遮断する。検出エッジ268のうちの他方のエッジの位置に対応するか、又は検出エッジ268のうちの他方のエッジの位置から離れた既知の距離に対応することがある、波長板220の90度の動作円弧の他方の端部において、波長板220はレーザ電磁放射を完全に通過させる。90度の円弧に沿った中間の角度位置では、波長板220は、0%~100%の間の異なるパーセンテージのレーザ電磁放射を通過させる。円弧に沿った波長板位置決めモータ230のステップは、異なる位置と異なる量のエネルギー制御とに対応し、このステップを使用して、通過させるレーザエネルギーの量を調節することができる。このシステムは、円弧に沿った動作位置の各々に対応するステップ数でプログラムされてもよい。従って、所望の動作位置に移動するために、波長板位置決めモータ230は、現在の位置から新しい位置まで、既知の方向に既知のステップ数動くことにより、現在の位置がどこであれ、そこから所望の新しい位置まで動く。
【0083】
言い換えると、波長板220がその動作円弧に沿った第1の位置にある場合、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220は全許可モードになり、これは、全放射許可モードであり、全ての電磁放射を通過させる。波長板220がその動作円弧に沿った第2の位置にある場合、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220は全遮断モードになり、これは、全放射遮断モードであり、全ての電磁放射を通過させずに遮断する。波長板220がその動作円弧に沿って第1の位置と第2の位置との間にある場合、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220は、部分放射許可モードになり、電磁放射の選択された部分のみを通過させる。
【0084】
パルスレーザの場合には、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220の全許可モードは、全パルス許可モードにもなり、全てのレーザパルスを通過させる。パルスレーザの場合、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220の全遮断モードは、全パルス遮断モードにもなり、全てのレーザパルスを通過させずに遮断する。パルスレーザの場合、レーザエネルギー制御システム200及び波長板220の部分放射許可モードは、全パルス許可モードでもあるが、エネルギー出力が低下しており、各レーザパルスの電磁放射の選択された部分のみを通過させる。
【0085】
図16及び
図17は、
図1のレーザシステム10などのレーザシステムで使用されてもよいレーザシャッターアセンブリ300を示す。レーザシャッターアセンブリ300は、レーザパルス選択システム及び/又はレーザエネルギー制御システムとして動作することができる。レーザシャッターアセンブリ300は、
図1のレーザパルス選択システム30のようなレーザパルス選択システムとして、又は、
図1のレーザエネルギー制御システム40のようなレーザエネルギー制御システムとして、又は、レーザパルス選択システム30とレーザエネルギー制御システム40の両方として、機能してもよい。
【0086】
図16及び
図17に示すように、例示的なレーザシャッターアセンブリ300は、回転可能シャッター310を備える。以下でより詳細に説明するように、シャッター310は、レーザ電磁放射を選択的に遮断するか、又はレーザ電磁放射を選択的に通過させるために使用される。シャッター310は、エネルギー制御システムとして機能するために、パルス及びレーザパルスの一部分を選択的に遮断してもよい。
【0087】
シャッターは、一連の開口領域312を有し、開口領域312の間には中実領域318がある。各開口領域312は、前縁314及び後縁316を有する。
【0088】
シャッター310は、回転軸311を中心として回転可能である。シャッター310は、開口領域312と中実領域318がレーザ経路中に交互に位置するように、レーザ経路に対して回転可能である。開口領域312がレーザ経路中に位置している場合、開口領域は、開口領域312に向けられたレーザ電磁放射が開口領域312を通過するのを可能にする。上述した開口領域112のように、開口領域312は、シャッター310を貫通する開いた穴又は隙間であってもよい。中実領域318がレーザ経路中に位置している場合、中実領域318は、中実領域318に向けられたレーザ電磁放射が中実領域318を通過するのを遮断する。
【0089】
図示する例では、開口領域312は、シャッター310の構造によって、完全に境界を付けられている。他の実施形態では、開口領域312は、1つ以上の側面又は部分において境界が付けられていなくてもよい。例えば、開口領域312は、ノッチ、切り欠き、又は他の適切な構造であってもよい。一例では、シャッターは歯車に似た形状をしており、シャッターの外周部の周りに開口領域と中実領域を交互に備え、シャッターの外周部にぎざぎざのついた輪郭を与える。
【0090】
図示した例では、シャッター310は、車輪又はディスクの形状をしている。しかしながら、シャッター310は、任意の他の適切な形状をしていてもよい。例えば、シャッターは、円形ではない外周部を備えたプレートであるか、又は、上述したような扇風機構造を有するか、又は、開口領域と中実領域を交互に有するように開口部を備えたブロック若しくは樽のような形状をしていてもよい。
【0091】
レーザシャッターアセンブリ300は、シャッター310を回転させるためのシャッター回転モータ320(
図16~
図17の図では隠れているが、シャッター回転モータ120に似ている)を更に備える。シャッター回転モータ320は、例えば、ブラシレスDCモータ、又はシャッター310を回転させるための任意の他の適切なモータであってもよい。シャッター310は、シャッター回転モータ320によって回転するように、シャッター回転モータ320の回転子に結合されている。シャッター310は、シャッター回転モータ320の回転子に直接的に結合されていてもよく、又は1つ以上の他の構成要素を介して結合されていてもよい。シャッター310をシャッター回転モータ320に直接的に又は間接的に結合するために、留め具321を使用してもよい。
【0092】
レーザシャッターアセンブリ300は、システムの様々な部品を支持するための支持構造340を更に備える。図示する例では、支持構造340は、センサ保持体の形態をした支持構造構成要素342、底板の形態をした支持構造構成要素346、底板346に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素348、及び、センサ保持体342に接続されたプレートの形態をした支持構造構成要素350を備える。支持構造は、より多くの又はより少ない構成要素を有してもよい。
【0093】
支持構造340は、システム300の様々な部品を、それぞれの位置決め及び機能のために支持する。例えば、センサ保持体342は、以下に説明するように、1つ以上のセンサを支持する。底板346はプレート348を支持し、プレート348はプレート342を支持し、プレート342はプレート350を支持し、プレート350はレーザビーム経路と位置合わせするためのビーム経路ガイド356を支持する。ビーム経路ガイド356は、ビーム経路ガイド開口部358を有し、システム300がレーザに対して取り付けられたときに、このビーム経路ガイド開口部358をレーザビームが通過する。ビーム経路ガイド356は、ブラケット、ブロック、プレート、又は他の適切な構造であってもよい。底板346は、ビーム経路ガイド356を横方向に、即ち、底板346の平面の方向に位置合わせするようにはたらき、プレート348は、ビーム経路ガイド356を垂直方向に、即ち、底板346の平面に垂直な方向に位置合わせするようにはたらく。プレート350は、支持ポスト392を介してPCBアセンブリ390を支持しており、シャッター回転モータ320などの他の構成要素を支持してもよい。
【0094】
レーザシャッターアセンブリ300は、シャッター回転センサアセンブリ380を更に備える。シャッター回転センサアセンブリ380は、シャッター310が、確実に所望のタイミングで回転軸を中心として回転していることを支援するようにはたらく。シャッター回転センサアセンブリ380は、1つ以上のシャッター回転センサ382を備える。図示する例では、シャッター回転センサ382は、スロット付光学センサであり、2つのそのようなシャッター回転センサ382A、382Bが使用されているが、より多くのシャッター回転センサ382を使用してもよい。ブラケットの形態をした支持構造構成要素384が、シャッター回転センサ382を支持する。ブラケット384は、シャッター310の回転軸に対して固定された位置で、支持構造340の別の構成要素に取り付けられてもよい。
【0095】
レーザシャッターアセンブリ300は、システム300を制御するために、当技術分野で既知のコンピュータ構成要素及び電気構成要素を含んでもよい。コンピュータ構成要素は、1つ以上のプロセッサ、メモリ構成要素、並びにハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含んでもよい。集積回路などの一部の構成要素は、PCBアセンブリ390上に支持されてもよく、PCBアセンブリ390は、支持ポスト392を介してプレート350に取り付けられている。
【0096】
動作時に、レーザシャッターアセンブリ300は、
図1のレーザ20などのレーザを含むレーザシステムの一部分として取り付けられる。レーザシャッターアセンブリ300は、レーザの動作中に、レーザビームが、シャッター310の回転位置に応じて選択的に遮断されるか又は通過できるように、レーザに対して取り付けられている。図示する例では、レーザシャッターアセンブリ300は、レーザの動作中に、レーザビームが、ビーム経路ガイド356のビーム経路ガイド開口部358を通過するように、レーザに対して取り付けられている。レーザシャッターアセンブリ300は、レーザの動作中に、レーザビームが、ビーム経路ガイド356のビーム経路ガイド開口部358を通過する前に、シャッター310を通過するように、レーザに対して取り付けられていてもよい。或いは、レーザシャッターアセンブリ300は、レーザの動作中に、レーザビームが、シャッター310を通過する前に、ビーム経路ガイド356のビーム経路ガイド開口部358を通過するように、レーザに対して取り付けられてもよい。
【0097】
レーザシャッターアセンブリ300を通過できたレーザ電磁放射は、レーザシステムの出力に向けて続行する。そのようなレーザ電磁放射は、レーザシステムの出力の前に、レーザシステムの1つ以上の他の構成要素まで続行してもよい。
【0098】
上述のように、レーザシステムのレーザは、電磁エネルギーをパルスで放出するように動作してもよく、シャッター310が、レーザからの特定のレーザパルスを選択的に遮断するか又は通過させるようにはたらいてもよい。或いは、レーザは、電磁エネルギーを連続的に放出するように動作してもよく、シャッター310が選択的にレーザビームを遮断するか又はレーザビームを通過させるようにはたらき、それによってレーザシャッターアセンブリ300からのパルス状の出力又は断続的な出力を生成してもよい。
【0099】
パルスレーザの場合、ユーザ制御又は自動制御によることがある、動作モードを選択する入力に応じて、シャッター310を、全てのレーザパルスを(完全に又は部分的に)通過させる全パルス許可モード、又は全てのレーザパルスを完全に遮断する全パルス遮断モード、又は一部のレーザパルスを完全に又は部分的に通過させ、他のレーザパルスを完全に遮断するパルス断続遮断モードで、回転させてもよい。パルス断続遮断モードは、シャッター310が、全パルス許可モードと全パルス遮断モードとの間で高速で行ったり来たり切り替わるモードである。例えば、シャッター310は、一連の連続パルスに対して全パルス許可モードで動作し、一連の連続パルスに対して全パルス遮断モードで動作するように切り替わり、これらの2つの状態の間を行ったり来たり高速で切り替わることができる。このようにして、シャッター310は、通過させるパルスの特定のパーセンテージを選択するように動作することができる。
【0100】
多数の可能な例の1つを挙げると、一実施形態では、レーザは、毎秒900パルスの周波数でパルスを放出してもよい。シャッター310は、例えば、シャッター310の中心の周りに等間隔に並んだ20個の開口領域312と、それらの間の中実領域318とを備えて構成されてもよい。シャッター310は、毎分2700回転、即ち毎秒45回転で回転するように動作してもよい。これらの規格値を用いると、レーザは、シャッター310の各回転中に、20パルスを放出することになる。1つの動作モードである全パルス許可モードでは、開口領域312が各レーザパルスにおいてレーザビーム経路と整列するようにシャッター310を回転させ、全てのレーザパルスを(完全に又は部分的に)通過させてもよい。別の動作モードである全パルス遮断モードでは、開口領域312間の中実領域318が各レーザパルスにおいてレーザビーム経路と整列するようにシャッター310を回転させ、それによって全てのレーザパルスを完全に遮断してもよい。パルス断続遮断モードでは、このシステムは、全パルス許可モードと全パルス遮断モードとの間を行ったり来たり高速に切り替わる。例えば、シャッター310は、一連の連続パルスに対して、例えば1~19個のパルスに対して、全パルス許可モードで動作し、一連の連続パルス、例えば、シャッター310の一回転中の残りのパルスに対して全パルス遮断モードで動作するように切り替わり、これらの2つの状態の間を行ったり来たり高速で切り替わることができる。このようにして、シャッター310は、通過させるパルスの特定のパーセンテージを選択するように動作することができる。
【0101】
多くの他の変形例が可能である。レーザは、特定の用途に適した任意の周波数でパルスを放出してもよく、動作中に周波数を切り替えてもよい。シャッター310は、任意の適切な速度で回転するように動作してもよく、動作中に速度を切り替えてもよい。レーザは、シャッター310の各回転において任意の適切な数のパルスを放出してもよい。開口領域312及び中実領域318は、任意の適切な幾何学的形状を有してもよい。任意の動作位置は、任意の適切な数のパルスを通過させ、任意の適切な数のパルスを遮断してもよい。レーザはまた、連続的な電磁エネルギーを放出してもよく、この場合には、シャッター310の位置決めは、パルス状の出力を生成するように動作してもよい。
【0102】
レーザシャッターアセンブリ300は、レーザエネルギー制御システムとしても使用されてもよい。パルスレーザの場合、シャッター310の回転は、レーザビームの中心が開口領域312の中心からずれているように、レーザパルスと同期させることができ、それにより、レーザビームの一部分のみが開口領域312を通過でき、レーザビームの残りの部分は、開口領域318のエッジにおいて中実領域318によって遮断される。位置ずれの量を調節することにより、レーザシャッターアセンブリ300を、任意の所望のパーセンテージのレーザエネルギー、例えば50%、75%等を通過させるように同期させることができる。従って、レーザシャッターアセンブリ300がこのように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ300は、部分放射許可モードで動作し、このモードでは、レーザビームの一部分のみが開口領域312を通過でき、レーザビームの残りの部分は、開口領域318のエッジにおいて中実領域318によって遮断される。
【0103】
レーザシャッターアセンブリ300は、レーザパルス選択システムとレーザエネルギー制御システムの両方として動作してもよい。動作の一部分の間、シャッター310の回転は、エネルギー制御モード又は部分放射許可モードで動作してもよく、その結果、一組の1つ以上の連続パルスについて、レーザビームの一部分は開口領域312を通過でき、レーザビームの一部分は、開口領域318のエッジにおいて中実領域318によって遮断される。このエネルギー制御モード又は部分放射許可モードの間、一組の1つ以上の連続パルス中の各レーザパルスの一部分が通過することができる全パルス許可モードと、一組の1つ以上の連続パルス中の各レーザパルスが完全に遮断される全パルス遮断モードとの間で、機能を行ったり来たり高速に切り替えることができる。レーザシャッターアセンブリ300を、全てのレーザパルスがエネルギー出力が低下した状態で通過できるエネルギー制御モードで、所望の期間の間、維持することもできる。
【0104】
従って、レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ300の全パルス許可モードは、各レーザパルスの全ての電磁放射を通過させる全放射許可モードか、又は、各レーザパルスの部分的な電磁放射のみを通過させる部分放射許可モードの何れかになってもよい。レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ300の全パルス遮断モードは、全ての電磁放射を通過させずに遮断する全放射遮断モードにもなる。レーザが電磁エネルギーをパルスで放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ300のパルス断続遮断モードは、部分放射許可モードにもなり、複数のレーザパルスのうちの幾つかのみを(全体的に又は部分的に)通過させることにより、電磁放射の選択された部分のみを通過させる。
【0105】
レーザが電磁エネルギーを連続的に放出するように動作する場合、シャッター310の開口領域312及び中実領域318は、交互にレーザビームの正面を通過する。従って、レーザが電磁エネルギーを連続的に放出するように動作する場合、レーザシャッターアセンブリ300は、パルス状の出力又は断続的な出力を生成するパルス生成モードと、電磁放射の選択された部分のみを通過させる部分放射許可モードとの両方になる。
【0106】
レーザシャッターアセンブリ300は、シャッター回転センサアセンブリ380を使用して、シャッター310が確実に所望のタイミングで回転しているように支援してもよい。これには、シャッター310が所望の回転速度で回転していること、及び/又は、シャッター310がパルスレーザの周波数に位相ロックされていること、を確実にするように支援することが含まれてもよく、その結果、開口領域312、中実領域318、又は各々の一部分が、所望の時点でレーザ経路と位置合わせされる。
【0107】
シャッター回転センサ182と同様に、シャッター回転センサ382は光学センサであり、シャッター310の一方の側にLEDなどの光源を備え、シャッター310の反対側に光検出器を備えている。この例では、シャッター310は、一連のセンサ開口部386を有する。センサ開口部386は、シャッター回転センサ382のうちの各々の光源と光検出器との間を通過するように、円形の経路内に配置されている。シャッター310のセンサ開口部386がシャッター回転センサ382の光源と光検出器との間に位置したとき、光は、開口部386を通過することができ、光検出器によって検出される。或いは、シャッター310の開口部386の間の中実領域318が、シャッター回転センサ382の光源と光検出器との間に位置したとき、光は遮断され、光検出器によって検出されない。一例では、一方のシャッター回転センサ、382A又は382Bは、開口領域312がレーザ経路と整列したときにセンサ開口部386に対応するように配置されてもよく、一方、他方のシャッター回転センサ、382B又は382Aは、開口領域312の間の中実領域318がレーザ経路と整列したときに、センサ開口部386に対応するように配置されてもよい。
【0108】
一例では、このシステムは、シャッター回転モータ320を動作させてシャッター310を回転させることにより、且つシャッター回転センサ382を使用して回転を検出することにより、シャッター310の回転タイミングを較正してもよい。シャッター回転センサ382を使用して、開口部386、又は開口部386の前縁若しくは後縁を検出してもよい。この検出を使用して、シャッター310の回転速度を検出し、且つ、シャッター回転モータ320を調節してシャッター310の回転速度を調節してもよい。やはりこの検出を使用して、シャッター回転モータ320を調節してシャッター310の回転を調節し、それにより、シャッター310がパルスレーザと位相ロックされるように、且つ/又は、所望の数のパルスが遮断され且つ通過を許されるように、且つ/又は、所望の量のレーザエネルギーが通過を許されるようにしてもよい。
【0109】
実施形態によっては、本明細書で説明するレーザシステムを、白内障手術のために使用してもよい。実施形態によっては、レーザシステムの出力エネルギーを、白内障水晶体の断片化又は水晶体乳化のために使用してもよい。例によっては、レーザ出力を、白内障水晶体の最初の断片化のために使用し、これに続いて、超音波ハンドピースを使用して水晶体を乳化させて、除去するために水晶体の分解を完了してもよい。他の例では、超音波エネルギーを別個に適用する必要なしに、レーザ出力が、水晶体を除去するのに十分な程度まで水晶体を断片化又は乳化させるために、使用されることがある。これに加えて又はその代わりに、レーザ出力は、角膜切開を行うのに且つ/又は水晶体嚢を開くのに適していてもよい。
【0110】
他の実施形態では、レーザシステムは、硝子体網膜手術に適していてもよい。実施形態によっては、レーザシステムの出力エネルギーは、除去するために硝子体線維を切断又は破断するのに適していてもよい。他の硝子体網膜用途では、レーザ出力は、網膜裂孔及び/又は糖尿病性網膜症の影響などの問題を治療するための網膜組織の光凝固などの、眼の組織の治療に適していてもよい。
【0111】
一例では、レーザは、赤外線範囲で動作する。例えば、レーザは、中間赤外範囲、例えば、約2.0ミクロンから約4.0ミクロンまでの波長範囲にある電磁放射を出力してもよい。幾つかの例示的な波長としては、約2.5ミクロン~3.5ミクロン、例えば、約2.775ミクロン、約2.8ミクロン、又は約3.0ミクロンなどが挙げられる。そのようなレーザは、例えば、白内障手術における水晶体断片化、又は他の処置に適していてもよい。別の例では、レーザは、紫外線範囲の電磁放射を放出する。別の例では、レーザは、可視範囲の電磁放射を放出する。
【0112】
レーザパルスを選択的に遮断したり且つ/又はレーザ出力エネルギーを制御したりする能力は、レーザ制御が有利である処置に役立つ。例えば、白内障手術では、水晶体を最初に破壊するためには高出力で、しかしながらより小さな断片を破壊するためにはより低い出力でレーザシステムを動作させることが望ましいことがある。レーザビームのパルス数制御及びパルスエネルギーレベル制御により、適正なレベルの力をより小さな粒子に加えることが可能になり、そういった粒子は、さもなければ、ハンドピースの潅注システムにより眼から吸引され得る前に、押しのけられてしまう可能性がある。
【0113】
当業者ならば理解するように、本明細書に開示されるシステム及び方法は、従来のシステム及び方法よりも優れた利点を有する。例えば、一部の従来のシステム及び方法では、パルスを選択するには、大量の電力を必要とすることがあり、レーザ出力の望ましくない損失につながることがある。ポッケルスセルシステムは、結晶を使用し、この結晶に高電圧を印加することにより、レーザビームの極性を回転させる。この高電圧は、必要とされる極性回転の量に基づいて、0~6.5KVまで変化することがある。対照的に、本明細書に記載するシステム及び方法は、電力使用が低く、レーザ出力の望ましくない損失が全く無いか又は実質的に無い状態で、レーザパルスを選択することができる。更に、本明細書に記載するシステムのコストは、特定の他のシステムよりも大幅に低く、場合によっては、特定の他のシステムのコストの3分の1よりも小さいことがある。また、実施形態によっては、高電圧は必要なく、これによりシステムの電磁適合性が向上する。
【0114】
当業者には、本開示が包含する実施形態が、上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことが認識されよう。例示的な実施形態を図示及び説明してきたが、前述した開示においては、広範囲の修正形態、変更形態、及び置換形態が考えられる。かかる変形例が、本開示の適用範囲から逸脱することなく、前述したものに対して行われてもよいことを理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲は、広範に且つ本開示と整合するように解釈されることが適切である。
【国際調査報告】