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特表2024-524026部分的に非ロック係合状態にある自動ロック式ねじ連結部
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  • 特表-部分的に非ロック係合状態にある自動ロック式ねじ連結部 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】部分的に非ロック係合状態にある自動ロック式ねじ連結部
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/042 20060101AFI20240628BHJP
   E21B 7/20 20060101ALI20240628BHJP
   F16L 15/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
E21B17/042
E21B7/20
F16L15/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575475
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022063502
(87)【国際公開番号】W WO2022258334
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178068.9
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー デルボスコ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー オット
(72)【発明者】
【氏名】スコット グレンジャー
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB01
2D129EA21
2D129EC07
(57)【要約】
部分的に非ロック係合状態にある自動ロック式ねじ連結は、第1雄ねじ部(16)及び第2雄ねじ部(17)を含み、第1雄ねじ部(16)の谷底幅は第1パイプ本体(3)に向かう方向に減少し、第2雄ねじ部(17)の谷底幅は一定である第1管状部品(1)と、及び第2パイプ本体(5)に向かう方向に谷底幅が減少する第1雌ねじ部(19)を有する第1雌ねじ領域(10)を含む第2管状部品(2)と、を備え、連結部が自動ロック構成で部分的に組み付けられて、ロック領域(18)及び非ロック領域(20)を生じ、ロック領域(18)の遠位雌ねじ山(22)は、FDTWがロック領域における遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、THが遠位雌ねじ山(22)のねじ歯高さであるとして、FDTW/TH>=125%
となるような幅を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管状部品(1)及び第2管状部品(2)を備えるねじ連結部であって、
前記第1管状部品(1)は、第1パイプ本体(3)、雄ねじ領域(9)、及び雄側末端面(7)を含み、前記雄ねじ領域(9)は、第1パイプ本体(3)と雄側末端面(7)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記雄ねじ領域(9)は、第1雄ねじ部(16)及び第2雄ねじ部(17)を有し、前記第2雄ねじ部(17)は、前記第1雄ねじ部(16)と第1パイプ本体(3)との間に、前記長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記第1雄ねじ部(16)は、第1雄ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第2雄ねじ部(17)は、第2雄ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第1雄ねじ谷底幅は、前記雄側末端面(7)から前記第1パイプ本体(3)に向かう方向に減少し、前記第2雄ねじ谷底幅は、前記第2雄ねじ部に沿って一定であり、
前記第2管状部品(2)は、第2パイプ本体(5)、雌ねじ領域(10)、及び雌側末端面(8)を含み、前記雌ねじ領域(10)は、前記第2管状部品(5)と前記雌側末端面(8)との間に、前記長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記雌ねじ領域(10)は、第1雌ねじ部(19)及び第2雌ねじ部(21)を有し、前記第1雌ねじ部(19)は、第1雌ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第2雌ねじ部(21)は、第2雌ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第1雌ねじ谷底幅は、前記雌側末端面(8)から前記第2パイプ本体(5)に向かう方向に減少し、前記雌ねじ領域(10)における前記雌側末端面(8)に最も近いねじ歯(29)は、前記雌ねじ領域(10)における最大の雌ねじ谷底幅を有し、
前記雄ねじ領域(9)及び前記雌ねじ領域(10)は、自動ロック構成では部分的に組み付けられて、前記ねじ連結部にロック領域(18)及び非ロック領域(20、24、25)をもたらし、前記ロック領域(18)は、前記ねじ連結部の組み付け状態では、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第1雌ねじ部(19)の協働によって形成され、前記非ロック領域(20、24、25)は、前記ねじ連結部の組み付け状態では、前記第2雄ねじ部(17)及び前記雌ねじ領域(10)の協働によって形成され、
前記ロック領域(18)の遠位雌ねじ山(22)は、
FDTW/TH>=125%
となるような幅を有し、ここで、FDTWは、前記ロック領域における遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、THは、前記遠位雌ねじ山(22)のねじ歯高さである、ねじ連結部。
【請求項2】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記ロック領域(18)の遠位雌ねじ山(22)は、
FDTW/WTmax>=15%
となるような幅を有し、ここで、FDTWは、前記ロック領域の遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、WTmaxは、前記第1管状部品(3)の最大半径方向肉厚である、ねじ連結部。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のねじ連結部において、雄ねじ部及び雌ねじ部(9、10)は、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)と共にテーパ角(θ)を形成するテーパ母線を有し、前記雄ねじ部(9)における前記第1パイプ本体(3)に最も近い近位ねじ部(23)は、近位ねじ谷底、近位ロードフランク、近位頂上及び近位スタブフランクを有し、近位ねじ谷底幅は、
【数1】
となるようなものであり、ここで、PRTWは、前記近位ねじ谷底幅であり、FDTWは、前記ロック領域(18)における遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、THは、前記遠位雌ねじ山(22)のねじ歯高さであり、θは、前記雄ねじ領域のテーパ角であり、θSFは、近位スタブフランク角であり、θLFは、近位ロードフランク角である、ねじ連結部。
【請求項4】
請求項3に記載のねじ連結部において、2*tan(テーパ角(θ))に対応する前記雄ねじ領域及び前記雌ねじ領域(9、10)のテーパは、1/6~1/18であり、好ましくは1/6~1/10の範囲から選択され、さらにより好ましくは約1/8であり、前記ねじ領域(9、10)の雄ねじ部及び雌ねじ部の頂上及び谷底は、前記ロック領域のテーパ母線に平行である、ねじ連結部。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域の直径は、
ODpb<MTZD<IDpb+15%Wpbt
となるようなものであり、ここで、ODpbは、前記第1パイプ本体(3)の外径であり、MTZDは、前記雄ねじ領域(9)の直径であり、IDpbは、前記第1パイプ本体(3)の内径であり、Wpbtは、前記第1パイプ本体(3)の壁厚である、ねじ連結部。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のねじ連結部において、前記ロック領域(18)における雄側スタブフランクリード(SFL_p)と雄側ロードフランクリード(LFL_p)との差は、
【数2】
となるようなものであり、ここで、LDは、前記雄側スタブフランクリード(SFL_p)と前記雄側ロードフランクリード(SFL_p)との差であり、SFLは、前記雄側スタブフランクリード(SFL_p)であり、θは、前記雄ねじ領域(9)のテーパ角であり、θSFは、前記雄ねじ山(11)のスタブフランク角であり、θLFは、前記雄ねじ山(11)のロードフランク角である、ねじ連結部。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のねじ連結部において、前記第1雌ねじ部(19)は、前記第2雌ねじ部(21)と前記第2パイプ本体(5)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置される、ねじ連結部。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のねじ連結部において、前記第1雌ねじ部(19)は、前記第2雌ねじ部(21)と前記雌側末端面(8)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置されている、ねじ連結部。
【請求項9】
請求項8に記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域(9)は、雄側スタブフランクリード(SFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)上における単一の雄側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雌ねじ領域(10)は、雌側スタブフランクリード(SFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)上における単一の雌側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雄側スタブフランク変化箇所及び前記雌側スタブフランク変化箇所は、前記雄側末端面と、前記雄側スタブフランク変化箇所と前記雌側スタブフランク変化箇所との間における前記雄側末端面に最も近い箇所との間で前記ロック領域(18)が画定されるように、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる箇所にあり、雄側スタブフランクリード(LFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)に沿って一定のままであり、雌側ロードフランクリード(LFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)に沿って一定のままである、ねじ連結部。
【請求項10】
請求項8に記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域(9)は、雄側ロードフランクリード(LFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)上における単一の雄側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雌ねじ領域(10)は、雌ロードフランクリード(LFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)上における単一の雌側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雄側ロードフランク変化箇所及び前記雌側ロードフランク変化箇所は、前記ロック領域(18)が、前記雄側末端面(7)と、前記雄側ロードフランク変化箇所と前記雌側ロードフランク変化箇所との間における前記雄側末端面(7)に最も近い箇所との間で画定されるように、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる箇所にあり、雄側スタブフランクリード(SFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)に沿って一定のままであり、雌側スタブフランクリード(SFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)に沿って一定のままである、ねじ連結部。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかに記載のねじ連結部において、前記非ロック領域(24)は第1非ロック領域(24)であり、前記ロック領域(18)は、前記第1非ロック領域(24)と第2非ロック領域(25)との間に位置し、第1非ロック領域(24)は、前記第2雄ねじ部(17)及び前記第1雌ねじ部(19)によって画定され、第前記2雌ねじ谷底幅は、前記第2雌ねじ部(21)に沿って一定であり、前記第2非ロック領域(25)は、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第2雌ねじ部(21)によって画定され、前記ロック領域(18)は、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第1雌ねじ部(19)によって画定される、ねじ連結部。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のねじ連結部において、前記雌ねじ領域(10)における前記パイプ本体(5)に最も近い谷底は、前記雄ねじ領域(9)における前記第1パイプ本体(3)に最も近い谷底と同一の谷底幅を有する、ねじ連結部。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のねじ連結部において、前記第2雄ねじ部(17)のねじ山が、不完全ねじ山高さ及び/又は減退していくねじ山歯を有する、ねじ連結部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に非ロック係合状態にある自動ロック式ねじ連結部に関する。本発明の目的の1つは、シェールガスの操業を行う顧客のために信頼性及びコスト効率を最適化すること、特に、そのようなシェールガス坑井の完全性を十分に高めることである。本発明に係る連結部は、高い張力及び圧縮ロード、並びに高トルクに耐えることができる。そのため、本発明は、例えば、引張及び圧縮、内圧及び外圧、並びに屈曲等の複合ロードの厳しい試験プログラムに耐えることができるケーシング用のねじ連結部を提示する。
【0002】
本発明の設計は特に中間ケーシングに適しており、とりわけフラッキングに使用されるケーシングに適している。
【背景技術】
【0003】
通常、継手構成(coupling arrangement)は、継手によって接合される2つのパイプを備える。各パイプは、パイプ本体の両端にピンとも呼ばれる雄部材を管状部品である。また、継手も管状部品であるが、継手は両端に、ボックスとも呼ばれる雌部材を備える。雄部材及び雌部材には、それぞれに対応するねじ領域が設けられている。
【0004】
公知の方法では、雄ねじ領域を雌ねじ領域で組み付ける(make-up)ことにより、雄部材及び雌部材を連結することが一般的であり、このアセンブリが連結部を画定する。したがって、一連の管状部品を形成するために、複数の継手を使用して複数のパイプを結合することができる。
【0005】
このような一連の管状部品は、オイル又はガスのための坑井内で使用することができる。したがって、このように構成された一連の管状部品も、坑井のケーシングを用いて穿孔するときに回転してもよい。このため、この一連の管状部品をウェル内に進入させるのに十分な回転トルクを伝達することができ、且つ、この部品を破壊しないようにするには、この部品は、高トルクで組み付けられなければならない。この一連の管状部品に回転運動を与えて坑井内で進行させるとき、回転運動は、最大直径を有するパイプ本体から、一連の管状部品のうち、最も深い位置にあるより小さな管状部品に徐々に伝達される。
【0006】
従来の製品では、一般に、組み付けトルクは、パイプ本体の自由端部に設けられた衝合面を締め込むことにより協働させて、組み付け位置で継手における対応するショルダ面に衝合させることによって達成される。しかしながら、衝合面の範囲はパイプの厚さの一部であるため、特に小さい直径を有するパイプ本体に関する場合、非常に大きな組み付けトルクを加えたときに、衝合面の臨界降伏閾値(critical yielding threshold)に急速に達する。
【0007】
従来、雄ねじ領域のねじ山は、ピン側ねじ山頂上、ピン側ねじ谷底、ピン側ロードフランク、及びピン側スタブフランクを有する。雌ねじ領域のねじ山は、ボックス側ねじ山頂上、ボックス側ねじ谷底、ボックス側ロードフランク、及びボックス側スタブフランクを有する。
【0008】
くさび状構成では、雄部材又は雌部材のねじ山における頂上の幅はそれぞれ、雄側軸方向自由端部又は雌側軸方向自由端部からの距離がそれぞれ増加するにつれて、徐々に増加する。このようなくさび状構成では、雄部材又は雌部材におけるねじ山の谷底の幅はそれぞれ、雄側軸方向自由端部又は雌側軸方向自由端部からの距離がそれぞれ増加するにつれて、徐々に減少する。
【0009】
くさび状ねじ部は、ロードフランクリードLFLとスタブフランクリードSFLとの間のゼロではない差であるくさび比率によって特徴付けられる。ロードフランクリードLFLはスタブフランクリードSFLよりも厳密に大きく又は厳密に小さく、その差は各リード値を用いて計算される。ロック式くさび状ねじ部では、雄部材と雌部材のLFLは互いに等しく、ピン部材とボックス部材のSFLも互いに等しい。したがって、くさび比率は、雄部材及び雌部材のどちらも同じである。組み付け中には、雄ねじ部及び雌ねじ部は、ロック箇所に対応する予測可能な位置で互いにロックすることにより、完成する。
【0010】
より正確には、雄ねじ部のスタブフランク及びロードフランクのどちらも、それぞれ対応する雌ねじ部のスタブフランク及びロードフランクに対してロックしたときに、自動ロック式ねじ部にロックが生じる。この理由としては、組み付けトルクは、これらのフランク相互間の全ての接触面、すなわち、衝合面によって構成される表面積よりも実質的に極めて大きな全表面積によって受け止められるからである。
【0011】
特許文献1(WO2019/076622A1)は、部分的に自動ロック式に係合するねじ連結部を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/076622号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの連結部の主要な課題も、坑井内の適切な位置に配置されたときに十分なシール性能をもたらすことである。製造工程では、連結部が流体にさらされて、ケーシング内の内圧が大きく変化する。そのため、連結部は、トルク容量とシール性能のどちらも同時に最適化しなければならない。
【0014】
高トルクで、組み付けが迅速で、製造が経済的であり、且つ取扱損傷リスクが低い連結部が必要とされている。これらの必要性は、良好な効率、例えばパイプ本体の約100%以上の効率を有する連結部の必要性と結びついている。このような引張及びトルクの要件、例えば、坑井の側部にケーシングを設置する間のねじ部の回転に起因する繰り返し疲労、及びその後に水圧破砕工程による高い内圧、屈曲、及び高温にさらされること等の、シェール特有の要件に耐えることが可能な解決策について、非常に具体的な必要性が存在する。また、屈曲条件下でも行われた水密性及び/又は気密性試験を含む厳格な試験プログラムを実施した。
【0015】
このため、本発明の目的は、高トルク容量、より迅速な組付け、製造の容易さ、及び低い取扱損傷リスクの低下を伴う連結部を提供することである。また、本発明の目的は、良好な効率、例えばパイプ本体の約100%又はそれ以上の効率を有するそのような連結部を提供することでもある。
【0016】
[課題を解決するための手段]
より正確には、本発明は、第1管状部品及び第2管状部品を備えるねじ連結部を提供する。第1管状部品は、第1パイプ本体、雄ねじ領域、及び雄側末端面を含み、雄ねじ領域は、第1パイプ本体と雄側末端面との間に、ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置され、雄ねじ領域は、第1雄ねじ部及び第2雄ねじ部を有し、第2雄ねじ部は、第1雄ねじ部と第1パイプ本体との間に、長手方向軸線(X)に沿って配置され、第1雄ねじ部は、第1雄ねじ谷底幅を有するねじ山を持ち、第2雄ねじ部は、第2雄ねじ谷底幅を有するねじ山を持ち、第1雄ねじ谷底幅は、雄側末端面から第1パイプ本体に向かう方向に減少し、第2雄ねじ谷底幅は、第2雄ねじ部に沿って一定である。第2管状部品は、第2パイプ本体、雌ねじ領域、及び雌側末端面を含み、雌ねじ領域は、第2管状部品と雌側末端面との間に、長手方向軸線(X)に沿って配置され、雌ねじ領域は、第1雌ねじ部及び第2雌ねじ部を有し、第1雌ねじ部は、第1雌ねじ谷底幅を有するねじ山を持ち、第2雌ねじ部は、第2雌ねじ谷底幅を有するねじ山を持ち、第1雌ねじ谷底幅は、雌側末端面から第2パイプ本体に向かう方向に減少し、雌ねじ領域における雌側末端面に最も近いねじ歯は、雌ねじ領域における最大の雌ねじ谷底幅を有する。雄ねじ領域及び雌ねじ領域は、自動ロック構成では部分的に組み付けられて、ねじ連結部にロック領域及び非ロック領域をもたらし、ロック領域は、ねじ連結部の付け状態では、第1雄ねじ部及び第1雌ねじ部の協働によって形成され、非ロック領域は、ねじ連結部の組み付け状態では、第2雄ねじ部及び雌ねじ領域の協働によって形成される。ロック領域の遠位雌ねじ山は、
FDTW/TH>=125%
となるような幅を有する。ここで、FDTWは、ロック領域における遠位雌ねじ山のねじ歯幅であり、THは、遠位雌ねじ山のねじ歯高さである。
【0017】
上記の特徴によるねじ連結部は、例えば、シェール用途専用のセミプレミアム連結部(semi-premium connection)を提供し、自動ロック式ねじ山を有し、このロックねじ山は、液体、有利にはガスに対してもシールするのに十分であるが、十分なトルク容量を提供するのにも十分なシールをもたらす。これらの特徴に従うねじ連結部は、肩部も金属間シールがなくとも、高い引張及び圧縮効率をもたらす。さらに、このようなねじ連結部は、低コストで製造するのが容易である。特に、これらの特徴に従うねじ連結部は、より高いトルク定格を考慮した場合、ねじ連結部及び継ぎ合わせ連結部の効率と同様に、100%に等しい引張及び圧縮効率をもたらすことができる。
【0018】
ロック領域に起因して、ねじ連結部はねじシールを有し、専用の金属間封止部を必要とせずに、組み立て損失を最小限に抑える。言い換えれば、ロック領域に起因してシール特性を有するこのような連結部は、ねじ連結部のシール特性を保証するために、雄部材及び雌部材のどちらでも専用の軸方向部分を必要とせず、そのため、管状要素のパイプ本体は、この連結部では、シール特性のための専用の軸方向部分を使用する連結部よりも長くなる可能性がある。
【0019】
さらに、第1雌ねじ部におけるロック領域の雌側末端面に最も近いねじ山である、ロック領域における遠位雌ねじ山のねじ歯幅と、遠位雌ねじ山のねじ歯高さとの比率は、ねじ歯が狭すぎるねじ山では連結部を損傷することになるので、雌側末端面近傍のねじ山の歯幅を、雌側末端面付近の雌ねじ歯がせん断することを回避するのに充分大きなものにすることを許容する。
【0020】
このようなねじ連結部は、以下の1つ以上の特徴を、単独で又は組み合わせて備えてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、雄ねじ領域は、複数のねじ山を備える。一実施形態によれば、雌ねじ領域は複数のねじ山を備え、複数のねじ山は、ロック領域の遠位雌ねじ山を含む。一実施形態によれば、各ねじ山は、ねじ谷底、ねじ山ロードフランク、ねじ頂上、及びねじ山スタブフランクを含み、ねじ山スタブフランクは、長手方向軸線に沿って、対応する末端面面に向かうように配向され、ねじ山ロードフランクは、長手方向軸線に沿って、対応する終端面から離れるように配向される。ねじ歯幅は、対応するねじ領域のテーパ軸に沿って、ねじ山のねじ山スタブフランクとねじ山のねじ山ロードフランクとの間で、例えばねじ頂上において画定される。谷底幅は、ねじ山スタブフランクと隣接するねじ山のねじ山ロードフランクとの間の対応するねじ領域のテーパ軸に沿って画定される。
【0022】
一実施形態によれば、第1雄ねじ部のねじ頂上幅は、雄側末端面から第1パイプ本体に向かう方向に増加し、第2雄ねじ部のねじ頂上幅は一定であり、第2雄ねじ部のねじ頂上幅は、雄ねじ領域の最小頂上幅を示し、第1パイプ本体に最も近い雄ねじ部は、雄ねじ領域の最小頂上幅の値を示す。
【0023】
一実施形態によれば、第1雌ねじ部のねじ頂上幅は、雌側末端面から第2パイプ本体に向かう方向に増加し、第2雌ねじ部のねじ頂上幅は、雌ねじ領域の最大頂上幅を示し、第2パイプ本体に最も近い雌ねじは、雌ねじ領域の最小頂上幅の値を示す。
【0024】
一実施形態によれば、ロック領域の遠位雌ねじ山は、
FDTW/WTmax>=15%
となるような幅を有し、ここで、FDTWは、ロック領域における遠位雌ねじ山のねじ歯幅であり、WTmaxは、第1管状要素の最大半径方向肉厚である。
【0025】
一実施形態によれば、雄ねじ領域及び雌ねじ領域は、ねじ連結部の長手方向軸線(X)と共にテーパ角(θ)を形成するテーパ母線を有する。一実施形態によれば、雄ねじ領域における第1パイプ本体に最も近い近位ねじ山は、近位ねじ山谷底、近位ロードフランク、近位頂上、及び近位スタブフランクを有し、近位ねじ山谷底幅は、
【数1】

となるようなものである。ここで、PRTWは、近位ねじ山の谷底幅であり、FDTWは、ロック領域における雌遠位ねじ山のねじ歯幅であり、THは、雌遠位ねじ山のねじ歯高さであり、θは、雄ねじ領域のテーパ角であり、θSFは、近位スタブフランク角であり、θLFは、近位ロードフランク角である。
【0026】
これらの特徴に起因して、ねじ連結部の付け作業中に、ロック領域の近位雄ねじ谷底と遠位雌ねじ山との間に締め代がない。
【0027】
一実施形態によれば、2*tan(テーパ角)に相当する雄ねじ領域及び/又は雌ねじ領域のテーパは1/6~1/18であり、好ましくは1/6~1/10の範囲内、さらにより好ましくは約1/8の範囲内で選択される。一実施形態によれば、ねじ領域における雄ねじ山及び雌ねじ山の頂上及び谷底は、ロック領域におけるテーパ母線に平行である。一実施形態によれば、ねじ領域の雄ねじ山及び雌ねじ山の頂上及び谷底は、非ロック領域におけるテーパ母線に平行である。
【0028】
一実施形態によれば、雄ねじ領域の直径は、
ODpb<MTZD<IDpb+15%Wpbt
となるようなものである。ここで、ODpbは、第1パイプ本体の外径であり、MTZDは、雄ねじ領域の直径であり、IDpbは、第1パイプ本体の内径であり、Wpbtは、第1パイプ本体の壁厚である。
【0029】
これらの特徴に起因して、ロック領域を最大化することができ、ねじ連結部において、雄ねじ領域と雌ねじ領域との間に、ロック領域における重要な協働面をもたらすことができる。このような最大化されたロック領域は、最大化されたシール及びトルク支持ねじ山を可能にし、特に雄側末端面の付近で、より隆起した雄部材を可能にし、ねじ連結部のシール特性をさらに改善する。
【0030】
一実施形態によれば、ロック領域における雄側スタブフランクリードと雄側ロードフランクリードとの間の差は、
【数2】
となる。ここで、LDは、雄側スタブフランクリードと雄側ロードフランクリードとの差であり、SFLは、雄側スタブフランクリードであり、θは、雄ねじ領域のテーパ角であり、θSFは、雄ねじのスタブフランク角であり、θLFは、雄ねじのロードフランク角である。
【0031】
一実施形態によれば、ロック領域における雌側スタブフランクリードと雌側ロードフランクリードとの差は、雄側スタブフランクリードと雄側ロードフランクリードとの差に等しい。言い換えれば、雌側フランクリード間のこの差は、雄側フランクリード間のこの差に関する上述の規範に従う。
【0032】
これらの特徴は、組み付け中の早期のフランクロックを回避する。フランクロックとは、雄ねじ領域と雌ねじ領域との間のねじ込み作業の終わり、すなわち組み付け作業の終わりに生じる、連結部のロック領域におけるフランク相互間の接触である。
【0033】
一実施形態によれば、第1雌ねじ部は、第2雌ねじ部と第2パイプ本体との間に、ねじ連結部の長手方向軸線に沿って配置される。
【0034】
一実施形態によれば、第2雌型谷底幅は、雌側末端面から第2パイプ本体に向かう方向に減少する。好ましくは、第1雌ねじ部及び第2雌ねじ部では、くさび比率が等しい。これらの特徴のおかげで、第1雌ねじ部及び第2雌ねじ部は、どちらの雌ねじ部の場合にも単一の連続製造プロセスを使用して、容易に製造することができる。
【0035】
一実施形態によれば、第2雌ねじ谷底幅は、第2雌ねじ部に沿って一定である。
【0036】
一実施形態によれば、第1雌ねじ部は、第2雌ねじ部と雌側末端面との間に、ねじ連結部の長手方向軸線に沿って配置される。
【0037】
一実施形態によれば、雄ねじ領域は、雄側スタブフランクのリードが、雄ねじ領域上における単一の雄側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有する。好ましくは、雌ねじ領域は、雌側スタブフランクのリードが、雌ねじ領域上における単一の雌側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続螺旋を有し、雄側スタブフランク変化箇所及び雌側スタブフランク変化箇所は、雄側末端面と、雄側スタブフランク変化箇所と雌側スタブフランク変化箇所との間における雄側末端面に最も近い箇所との間でロック領域が画定されるように、ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる位置にある。この実施形態では、好ましくは、雄側ロードフランクのリードが、雄ねじ領域に沿って一定のままであり、雌側ロードフランクのリードが、雌ねじ領域に沿って一定のままである。
【0038】
一実施形態によれば、雄ねじ領域は、雄側ロードフランクのリードが、雄ねじ領域上における単一の雄側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続螺旋を有する。好ましくは、雌ねじ領域は、雌ロードフランクのリードが、雌ねじ領域上における単一の雌側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続螺旋を有し、雄側ロードフランク変化箇所及び雌側ロードフランク変化箇所は、雄側末端面と、雄側ロードフランク変化箇所と雌ロードフランク変化箇所との間における雄側末端面に最も近い箇所との間でロック領域が画定されるように、ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる位置にある。この実施形態では、好ましくは、雄側スタブフランクのリードが、雄ねじ領域に沿って一定のままであり、雌側スタブフランクのリードが、雌ねじ領域に沿って一定のままである。
【0039】
一実施形態によれば、非ロック領域は第1非ロック領域であり、ロック領域は、第1非ロック領域と第2非ロック領域との間に位置し、第1非ロック領域は、第2雄ねじ部及び第1雌ねじ部によって画定され、第2雌ねじ部は、第2雌ねじ部に沿って一定であり、第2非ロック領域は、第1雄ねじ部及び第2雌ねじ部によって画定され、ロック領域は、第1雄ねじ部及び第1雌ねじ部によって画定される。
【0040】
一実施形態によれば、第1非ロック部又は第2非ロック部は、第2雄ねじ部と第1雌ねじ部との係合によって形成される。一実施形態によれば、第1非ロック部又は第2非ロック部は、第1雄ねじ部と第2雌ねじ部との係合によって形成される。
【0041】
一実施形態によれば、第2パイプ本体に最も近い近位雌ねじ山の谷底は、第1パイプ本体に最も近い雄ねじ山の谷底と同一の谷底幅を有する。
【0042】
一実施形態によれば、第2雄ねじ部のねじ山は、不完全ねじ山高さ及び/又は減退していくねじ歯を有する。
【0043】
一実施形態によれば、雌ねじ領域は雌側末端面から始まり、且つ/又は雄ねじ領域は雄側末端面から始まる。
【0044】
一実施形態によれば、雄ねじ領域のねじ山及び雌ねじ領域のねじ山は、抜け落ちを回避する鳩尾状断面等の、鳩尾状断面を有する。
【0045】
一実施形態によれば、ねじ山のロードフランク角αは、ねじ連結部の長手方向軸線(X)に垂直な方向に対して5°未満である。一実施形態によれば、ねじ山のスタブフランク角βは、ねじ連結部の長手方向軸線(X)に垂直な方向に対して5°未満である。
【0046】
一実施形態によれば、雄ねじ山の頂上と雌ねじ山の頂上のどちらも、ロック領域における雌ねじ山及び雄ねじ山のそれぞれにおける対応する谷底と干渉している。言い換えれば、雄ねじ山の頂上は、ロック領域における雌ねじ山の谷底と干渉し、雌ねじ山の頂上は、ロック領域における雄ねじ山の谷底と干渉する。一実施形態によれば、雄ねじ山の頂上と雌ねじ山の頂上のどちらも、非ロック領域における対応する谷底部と干渉している。一実施形態によれば、谷底/頂上の締め代における直径締め代は、第1パイプ本体の公称外径の0.0020~0.0030倍である。
【0047】
これらの特徴に起因して、ねじ連結部は、ロック領域において良好なシール特性を有する。
【0048】
一実施形態によれば、ねじ連結部には、いかなる遠位衝合面もなく、雄側末端面は、雌部材から軸方向に離れており、雌側末端面は、雄部材から軸方向に離れている。
【0049】
一実施形態によれば、雄部材及び雌部材のどちらにも、ロック領域に隣接する任意の追加のシール面がない。
【0050】
一実施形態によれば、雄ねじ領域及び雌ねじ領域は、単一の開始ねじ山から作製される。
【0051】
一実施形態によれば、第1雄ねじ部は、例えば第1管状部品の公称外径を考慮して、好ましくは第1管状部品の最小外径を考慮して、完全ねじ山の少なくとも90%を含む。一実施形態によれば、第1雌ねじ部は、例えば第2管状部品の公称外径を考慮して、好ましくは前記第2管状部品の最小外径を考慮して、完全ねじ山の少なくとも90%を含む。
【0052】
このような完全なねじ山は、ねじ領域に沿って同一のフランク高さを有する。これらの特徴に起因して、ねじ連結部は、ロック領域に、連結部の良好な支持効率及びシール性を保証するのに十分な完全ねじ山を有する。
【0053】
一実施形態によれば、ロック領域は、少なくとも90%の完全なねじ山を含む。一実施形態によれば、第1雄ねじ部は、雄ねじ領域における完全ねじ山の少なくとも90%を含む。一実施形態によれば、第1雌ねじ部は、雌ねじ領域における完全ねじ山の少なくとも90%を含む。
【0054】
一実施形態によれば、ねじ領域の雄ねじ部及び雌ねじ部の頂上及び谷底は、ロック領域のテーパ母線に平行である。
【0055】
一実施形態によれば、雌ねじ領域は第1雌ねじ領域であり、雌側末端面は第1雌側末端面であり、第2管状部品は、第2雌ねじ領域及び第2末端面をさらに備え、第2雌ねじ領域は、第2パイプ本体と第2末端面との間に、長手方向軸線に沿って配置される。このような第2雌ねじ領域は、第3管状部品と協働するように意図され、第3管状部品は第1管状部品と同様であり、第2雌ねじ領域は、第1管状部品と第2管状部品との組立状態に関して上記で定義された組立状態で第3管状部品と協働するために、上述の特徴のいずれかを有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明においてより詳細に開示される。
図1図1は、組立状態における、本発明による自動ロック式ねじ山を備える連結部の半分の長手方向断面図である。
図2図2は、図1の連結部の雌部材の半分の縦断面図である。
図3図3は、図1の連結部の雄部材の半分の縦断面図である。
図4図4は、図1のねじ連結部の概略図であり、詳細に且つ半径方向に分離した概略図で、組立作業中の、ロック領域における遠位雌ねじ部と、雄ねじ領域の近位ねじ部とを示しており、これらのねじ部は、図4では半径方向に離して示されている。
図5図5は、本発明の第1実施形態によるグラフであり、雄部材及び雌部材のそれぞれにおけるロードフランク及びスタブフランクのリードの進展を、図1による雄部材及び雌部材のねじ部に沿って示す。
図6図6は、本発明による連結部の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
慣例に沿って、「外方(outer)」若しくは「外側(external)」及び「内方(inner)」若しくは「内側(internal)」という用語は、ある要素の別の要素に対する相対位置、又はある要素のねじ連結部の長手方向軸線Xに対する向きを定義するために使用され、ある要素又はある面が長手方向軸線Xに近い/面することは「内方」又は「内側」として認定され、ある要素又はある面が長手方向軸線Xから離れている/反対側を向くことは、「外方」又は「外側」として認定される。半径方向は、ねじ連結部の長手方向軸線Xに直交すると定義される。
【0058】
図1に示されるねじ連結部は、以下では連結部と称されており、第1管状部品1及び第2管状部品2を備える。第1管状部品1及び第2管状部品2は継手(カップリング)連結部の一部であり、これは、第1管状部品1が、第1パイプ本体3と、第1パイプ本体3の両端における雄要素4とを備え、第2管状要素2が、第2パイプ本体5と、第2パイプ本体5の両端における雌要素6とを備えることを意味する。言い換えれば、第2管状部品2は、第1管状部品1の雄要素4と、第2管状部品5の雌要素6との間で協働することにより、2つの第1管状部品1を連結して一体にするために使用される連結部である。図1には、第1管状部品1と、第2管状部品2の一方の雌要素6と協働する一方の雄要素4のみが、組み付け状態で部分的に示されているが、以下の説明は、第2管状部品2の他方の雌要素(図示しない)及び他方の第1管状部品(図示しない)の他方の雄要素(図示しない)にも当てはめることができる。どちらの管状部品1、2も、スチールで作製される。
【0059】
図1に示されるような連結部の組み付け状態では、雄部材4及び雌部材6は、連結部の長手方向軸線Xが第1管状部品1及び第2管状部品2と同軸状になるように連結され、長手方向軸線Xは、連結部の軸方向を規定する。
【0060】
雄部材4のうち第1パイプ本体3側とは反対側の端部は、雄側末端面7で終端する。この雄側末端面7は、雄部材4の軸方向自由端部又はピン面を形成する。また雄側末端面7は、第1管状部品1の軸方向自由面でもある。雌部材6の端部は、雌側末端面8で終端する。この雌側末端面8は、雌部材6の軸方向自由端部又はボックス面を形成する。また雌側末端面8は、第2管状部品2の軸方向自由面でもある。雄側末端面7及び雌側末端面8は、連結部の長手方向軸線Xに対して半径方向に指向する。雄側末端面7及び雌側末端面8のいずれも、組み付け状態の端部で衝合接触するようには配置されない。言い換えれば、雄側末端面7は、第2管状部品2から軸方向に離れており、また雌側末端面8は、第1管状部品1から軸方向に離れている。
【0061】
図1図3に示すように、雄部材4には雄ねじ領域9が設けられ、雌部材6には雌ねじ領域10が設けられている。雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10は、2つの管状部品1、2の組み付けによる相互接続のために協働する。ねじ領域9、10はそれぞれ機械加工されている。図1では、管状ねじ連結部は、完全に組み付けられた状態で示されている。
【0062】
本発明によれば、連結効率は、第1パイプ本体3の降伏強度の少なくとも100%である。
【0063】
雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10は、テーパ角θでテーパ状であり、テーパ角θは、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10のどちらの場合も同じである。このテーパ角θは、雄ねじ領域9及び/又は雌ねじ領域10の母線と、連結部の長手方向軸線Xとの間の角度である。テーパは2*tan(θ)に対応し、例えば、1/6~1/18であり、好ましくは1/6~1/10の範囲から選択され、さらにより好ましくは約1/8である。好ましくは、テーパの値が1/8又は1/6であってもよく、これらの値は、それぞれ3.6°及び4.8°のテーパ角θに対応する。
【0064】
雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10は一条ねじである。一条ねじとは、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10がそれぞれ、中断のない固有の単一のねじ切りされた渦巻を有し、この渦巻が、連続した螺旋となっていることを意味する。雄ねじ領域9は、雄側末端面7から始まる。雌ねじ領域10は、雌側末端面8から始まる。雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10はそれぞれ、ねじ切りされた渦巻によって形成される複数のねじ山11を備える。各ねじ山11は、ロードフランク12、頂上13、スタブフランク14、及び谷底15を含む。
【0065】
雄ねじ領域9は、第1雄ねじ部16及び第2雄ねじ部17を備える。第2雄ねじ部17は、第1雄ねじ部16と第1パイプ本体3との間に、長手方向軸線Xに沿って配置されている。第1ねじ部16では、雄側末端面7から第1パイプ本体3に向かう方向に沿って、ねじ谷の軸方向幅WRp1が減少し、また雄側末端面7から第1パイプ本体3に向かう方向に沿って、頂上の軸方向幅が増加している。第2ねじ部17では、ねじ谷底の軸方向幅WRp2が、最小一定幅の値WRpminのまま保たれており、また頂上の軸方向幅が、最大幅の値のまま保たれている。雄側末端面7に最も近い雄ねじ領域9のねじ山18は、雄ねじ領域9の軸方向最大谷底幅WRpmaxを呈する。
【0066】
雌ねじ領域10は、第1雌ねじ部19及び第2雌ねじ部21を備える。第1雌ねじ部19は、雌側末端面8から第2パイプ本体5に向かう方向に沿って減少するねじ谷底の軸方向幅WRと、雌側末端面8から第2パイプ本体5に向かう方向に沿って増加する頂上の軸方向幅とを有する。
【0067】
図1及び図2に示す実施形態では、第1雌ねじ部19は、第2雌ねじ部21と第2パイプ本体5との間に、長手方向軸線(X)に沿って配置されている。この実施形態では、第2雌ねじ部も、雌側末端面8から第2パイプ本体5に向かう方向に沿って減少するねじ谷底の軸方向幅WRと、雌側末端面8から第2パイプ本体5に向かう方向に沿って増加する頂上の軸方向幅とを有する。言い換えれば、雌ねじ領域10の頂上及び谷底の幅の変動は、この実施形態では雌ねじ領域10に沿って全て一定である。雌側末端面8に最も近い雌ねじ領域10のねじ山29は、雌ねじ領域10の軸方向最大谷底幅WRbmaxを呈する。
【0068】
以下に説明するように、雌ねじ領域10及び第1雄ねじ部16は、同じくさび比率を有する。雌ねじ領域10及び第1雄ねじ部16では、ロック領域におけるスタブフランクリードSFLとロードフランクリードLFLとの差は、好ましくは、
【数3】
となる。ここで、LDは、スタブフランクリードSFLとロードフランクリードLFLとの差であり、θは、ねじ領域9又は10のテーパであり、θSFは、ねじ山11のスタブフランク角であり、θLFは、ねじ山11のロードフランク角であり、テーパ及びフランク角は、雌ねじ領域10及び第1雄ねじ部16でも同じである。このような差により、組み付け作業中のロック領域18における早期のフランクロックが回避される。
【0069】
図1に示されるような組み付け状態では、連結部は、雌ねじ領域10の第1雌ねじ部19が、自動ロック構成で第1雄ねじ部16と協働するロック領域18と、雌ねじ領域10の第2部分21が、非自動ロック構成で第2雄ねじ部17と協働する非ロック領域20とを備える。
【0070】
このような「自動ロック(self-locking)」構成では、雄ねじ山11は、雌ねじ山11と同様に一定のリードを有するが、それらの頂上の幅は、対応するパイプ本体3、5から各末端面7、8に向かってそれぞれ減少し、それらの谷底の幅は、対応するパイプ本体3、5から各末端面7、8に向かってそれぞれ増加する。組み付け中、雄ねじ山及び雌ねじ山11は、この頂上及び谷底の幅の変化に起因して、決められた位置で互いにロックされて完了する。言い換えれば、図1に示されるような組み付け状態では、ロック領域18において、雌ねじ領域10のロードフランク12が、雄ねじ領域9のロードフランク12に対して締め代(interference)接触し、雌ねじ領域10のスタブフランク14が、雄ねじ領域9のスタブフランク14に対して締め代接触する。
【0071】
逆に、「非自動ロック」構成では、雄ねじ領域9のロードフランク12及び/又はスタブフランク14と雌ねじ領域10との間に軸方向ギャップが残る。
【0072】
ロック領域18では、第1雄ねじ部16及び第1雌ねじ部19と同様に、軸方向頂上幅が徐々に変化し、これに対応して、軸方向谷底幅が徐々に変化し、最終ロック位置までの組み付け中に、第1雄ねじ部16のねじ山11と第1雌ねじ部19のねじ山11との間で、徐々に軸方向の締め込みが生じる。上述のように、このような最終ロック位置では、第1雄ねじ部16のねじ山11は、それらのスタブフランク14及びロードフランク12が、第1雌ねじ部分19の対応するねじ山11のスタブフランク14及びロードフランク12をそれぞれロックするようになっている。
【0073】
さらに、図1に示される連結部の設計によれば、ロック領域18におけるねじ頂上13とねじ谷底15との間には、雄部材4のねじ頂上13と雌部材6のねじ山谷底15との間にも、雌部材6のねじ頂上13と雄部材4のねじ谷底15との間にも、半径方向のギャップが存在しない。したがって、ロック領域18は、機械油(dope)を捕捉し且つ高圧に耐えるのに十分なだけ接触することによって、シールを形成する。この実施形態では、ロック領域18における雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10の頂上13及び谷底15が、ねじ領域9、10のテーパ母線に対して平行である。
【0074】
連結部の良好なシール挙動を保証するために、谷底/頂上の締め代における直径締め代は、第1パイプ本体3の外径の0.0020~0.0030倍である。好ましい実施形態では、連結部の良好なシール挙動を保証するために、谷底/頂上の締め代における直径締め代は、0.4*((OD-2*Wtmin)*EULより大きいものとして定義され、ここで、ODは、第1パイプ本体の公称外径であり、Wtminは、第1パイプ本体3の最小壁厚であり、最小壁厚は、例えば、API規格5CTにおいて、残りのパイプ本体の肉厚*壁厚として定義され、EULは、最小等級、例えば0.005の負荷の下での伸びである。
【0075】
非ロック領域20では、第2雄ねじ部17と同様に、ねじ谷底の軸方向幅WRp2が一定のままである一方、第2雌ねじ部21のねじ頂上13の軸方向幅は、ロック領域18から雄側末端面7に向かって小さくなり、連結部において第2雄ねじ部17及び第2雌ねじ部21がそれぞれ組み付け状態にある場合、スタブフランク14及び/又はロードフランク12の間にギャップが残る。
【0076】
せん断を回避するために、雌ねじ領域10のねじ頂上13は、特にロック領域18に関与するねじ山11に対して、狭すぎてはならない。図4に示すように、遠位雌ねじ山22は、
FDTW/TH>=125%
となる。ここで、FDTW(遠位雌ねじ歯の幅)は、ロック領域18における遠位雌ねじ歯22のねじ歯幅であり、TH(ねじ山高さ)は、ロック領域18における遠位雌ねじ歯22のねじ歯高さである。このような遠位雌ねじ山22は、自動ロック構成で係合されている雌ねじ領域10のねじ山11である。すなわち、この遠位雌ねじ山22は、ロック領域18内にあり、したがって、連結部の組み付け状態では、ロードフランク12及びスタブフランク14のどちらも締め代干渉状態で、雄ねじ領域9において雌側末端面8に最も近い対応するロードフランク12及びスタブフランク14とそれぞれ接触する。言い換えれば、そのような遠位雌ねじ山22は、非ロック領域20に隣接するロック領域における雌ねじ領域10の最後のねじ山である。上述の比率に従う遠位雌ねじ山22は、連結部のせん断を回避するのに十分な大きさの頂上幅を有する。
【0077】
さらに、好ましくは、遠位雌ねじ山22は、
FDTW/WTmax>=15%
となる。ここで、FDTWは、遠位雌ねじ山22のねじ歯幅であり、WTmaxは、第1パイプ本体3の最大径方向肉厚である。
【0078】
有利なことに、図4に示されるように、雄ねじ領域9の近位ねじ山23は、以下のような谷底幅PRTWとして、
【数4】
を有する。ここで、FDTWは、遠位雌ねじ山22のねじ歯幅であり、THは、雌遠位ねじ山22のねじ歯高さであり、θは、雄ねじ領域9のテーパであり、θSFは、近位ねじ山23の近位スタブフランク角であり、θLFは、近位ねじ山23の近位ロードフランク角である。雄ねじ領域9におけるこのような近位ねじ山23は、連結部の組み付け作業中に、近位ねじ山23と雌遠位ねじ山22との間に締め代がないことを保証して、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10を容易にねじ込むことを可能にする。
【0079】
好ましくは、雄ねじ領域直径MTZDは、
ODpb<MTZD<IDpb+15%Wpbt
となる。ここで、ODpbは、第1パイプ本体3の外径であり、MTZDは、雄ねじ領域の直径であり、IDpbは、第1パイプ本体3の内径であり、Wpbtは、第1パイプ本体3の壁厚である。このような雄ねじ領域直径MTZDであれば、ロック領域18の長さを最大にすることができ、第1雄ねじ部16のねじ山11と第1雌ねじ部19との連結の際に重要な協働面を与え、良好なシール特性及びトルク支持ねじ山を与え、特に雄側末端面7の付近で、より隆起した雄部材を可能にする。
【0080】
有利なことに、図4に示されるように、雄ねじ領域9のねじ山11及び雌ねじ領域10のねじ山11は、鳩尾状輪郭(dovetail profile)を有する。この鳩尾状輪郭により、連結部が大きな曲げ応力又は引張応力を受けたときに、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10が離れることに相当する抜け落ちのリスクを回避することができる。より正確には、鳩尾状ねじ山11の幾何学的形状は、軸方向ねじ山幅がねじ山の谷底から頂上まで減少して、通常は「台形状」ねじ山と呼ばれるねじ山と比較して、ねじ山のアセンブリの径方向剛性を増加させる。有利なことに、ねじ山11のロードフランク12は、丸み部分によって、ねじ頂上13及び隣接するねじ谷底15に連結され、その結果、これらの丸み部分は、ロードフランク12の底部における応力集中係数を低減させ、それにより、連結部の疲労挙動を改善する。
【0081】
連結部の長手方向断面に沿って、ロードフランク12及びスタブフランク14はどちらも真っ直ぐな輪郭を示す。ロードフランク12及びスタブフランク14は、長手方向軸線Xに直交する方向と、それぞれ負の角度α、負の角度βをなしている。ロードフランク角度値αは、スタブフランク角度値β以下であると同時に、長手方向軸線Xに直交する方向に関して対向する側で逆向きのものであると定義される。例えば、角度α及びβは、1°~5°である。したがって、長手方向軸線Xに沿ったねじ山の幅を考慮すると、谷底15の幅、すなわち2つの隣接するねじ山11間の底部における間隔は、常にそのねじ山の最大寸法である。
【0082】
図5に示されるような第1実施形態によれば、第1雄ねじ部16におけるスタブフランク14間の第1雄側スタブフランクリードSFL_pは、値SFL_p1で一定である。第1雄ねじ部16におけるロードフランク12間の第1雄側ロードフランクリードLFL_p1も一定の値LFL_p1であるが、LFL_p1は、第1雄側スタブフランクリードSFL_p1とは異なる。図5の実施例において、LFL_p1は、厳密にはSFL_p1よりも大きい。さらに、第2雄ねじ部17におけるスタブフランク14間の第2雄側スタブフランクリードSFL_p2は、値SFL_p2で一定であり、第2雄ねじ部17におけるロードフランク12間の第2雄側ロードフランクリードLFL_p2は、第1雄側ロードフランクLFL_p1に等しい値で一定のままである。第2雄側スタブフランクリードSFL_p2は、第2雄ねじ部17の第2雄側ロードフランクリードLFL_p2に等しく、その結果、第2雄ねじ部17におけるねじ山の谷底幅は、一定のままとなる。
【0083】
第1雄ねじ部16のくさび比率は、ロードフランクリードLFL_p1とスタブフランクリードSFL_p1との差であり、いずれの実施例でも0,15mm未満である。
【0084】
本発明の範囲内で、他のスタブフランクリードSFL_p1及び/又はロードフランクリードLFL_p1の値も許容可能である。
【0085】
同様に、雌ねじ領域10のロードフランク12間の雌側ロードフランクリードLFL_bは、値LFL_b1で一定であり、雌ねじ領域10のスタブフランク14間の雌側スタブフランクリードSFL_bもまた、値SFL_b1で一定となるが、SFL_b1は、LFL_p1とは異なり、第1雌側ロードフランクリードLFL_b1は第1雌側スタブフランクリードSFL_b1よりも大きいという特徴を有する。
【0086】
さらに、図5に示されるように、第1雄側スタブフランクリードSFL_p1及び第1雌側スタブフランクリードSFL_b1は、互いに等しく、また、第1雄側ロードフランクリードLFL_p1及び第1雌側ロードフランクリードLFL_b1よりもそれぞれ小さく、第1雄側ロードフランクリードLFL_p1及び第1雌側ロードフランクリードLFL_b1は等しい。
【0087】
ロック領域18の長手方向側部28は、雄ねじ領域9のスタブフランクリードが変化する位置によって画定される。雄ねじ領域9は、スタブフランクリードの値において固有の変化を有し、一方、ロードフランクリードは、雄ねじ領域9に沿って全て一定のままである。変化は突発的であり、1回転未満、好ましくは180°未満で現れる。
【0088】
代替的には、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10が一定のスタブフランクリードを有してもよいが、雄ねじ領域は、ロードフランクリードの値において固有の変化を有する。
【0089】
本発明によれば、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10のそれぞれにおける特定の数のねじ山11のみが、その特定のロック構成になっており、またロック領域18に関与する。ロック領域18は、雌ねじ領域10において雌側末端面8に最も近いねじ山29から離れている。言い換えれば、少なくともねじ山29は、ロック構成になっていない。ロック領域18は、係合された雄ねじ山及び雌ねじ山11の組み付け全長、すなわちロック領域18の長さに非ロック領域の長さを加えた長さの、55%超、好ましくは60%超、さらに好ましくは70%超を占める。
【0090】
例えば、ロック領域18は、ねじ山が10~16回ターンしており、雌ねじ領域10では、ねじ山が少なくとも16回、完全にターンしており、雄ねじ領域9では、ねじ山が少なくとも16回、完全にターンしている。
【0091】
雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10のねじ山11は、完全ねじ山26及び不完全ねじ山27を含む。
【0092】
完全ねじ山26は、テーパ母線に平行な頂上13及び谷底15を有する。さらに、完全ねじ山26は、ねじ領域9、10に沿って一定の径方向高さを有する。したがって、これらの完全ねじ山26のフランク12及び14は、他のねじ山11と協働するための大きな面を与える。
【0093】
例えば、壁厚の材料が利用できなくなるにつれて、雄ねじ領域9及び雌ねじ領域10のねじ山の頂上13が連結部の長手方向軸線Xに平行になるように、壁厚に利用可能な材料がなくなるため、不完全ねじ山27は、連結部において完全には形成されていない。これにより、機械加工が容易になる。第2雄ねじ部17には、不完全ねじ山27が設けられている。不完全ねじ山27は、第2パイプ本体5付近の雌ねじ領域に配置される。第2雄ねじ部17及び雌ねじ領域内の不完全ねじ山27は、管状ねじ連結部の張力効率を改善する。
【0094】
最小の谷底幅を有するねじ山11は、パイプ本体3又は5に向かう非ねじ部を有する遷移部付近では、不完全である。不完全ねじ山27は、ロック領域21における他のねじ山、すなわち完全ねじ山26の規則的な高さよりも低い高さを有する。
【0095】
機械加工コストを削減するために、雄部材4及び雌部材6は、まず、意図されたねじ領域9又は10のテーパ角θでブランク加工し、このブランク加工したテーパ角θは、ねじ山の頂上13の定義になる。したがって、ねじ頂上13をさらに機械加工する必要はない。この実施形態による頂上13は、ねじ領域9、10のテーパ軸線に平行である。
【0096】
組み付けを容易にするために、雌部材6にのみ表面処理が施され、連結部の組み付け前に、雄部材4及び/又は雌部材6の周りに機械油が追加で配置される。代案として、雄部材4及び雌部材6の双方が表面処理されてもよい。例えば、表面処理はリン酸亜鉛処理であってもよい。
【0097】
図示されていない実施形態では、第2雌ねじ部は、連結部の長手方向軸線に沿って一定のままである谷底幅及び頂上幅を有する。非ロック領域は、第2雄ねじ部及び第2雌ねじ部の協働によって画定されたままであるが、非ロック領域におけるロードフランク相互間及び/又はスタブフランク相互間の軸方向ギャップは図1図4を参照して上述した実施形態よりも小さい。連結部の他の特徴は、図1~5に照らして上述した通りである。
【0098】
図6に示す別の実施形態は、第2雌ねじ部21が、第1雌ねじ部19と第2パイプ本体5との間に、長手方向軸線(X)に沿って配置されている点で、図1図5を参照して説明した実施形態とは異なる。この実施形態では、第1雌ねじ部19の谷底及び頂上は、雌側末端面8から始まって第2パイプ本体5に向かう始まる上述のような変化を有するが、第2雌ねじ部21は、長手方向軸線(X)に沿って一定のままである谷底幅及び頂上幅を有する。したがって、雌ねじ領域10は、スタブフランクリードSFL_bにおいて変化箇所を有するが、雌ねじ領域10におけるロードフランクリードLFL_bは一定のままである。第1雌ねじ部19における雌側スタブフランクリードの値SFL_b1は、第2雌ねじ部21における雌側スタブフランクリードの値SFL_b2より厳密に低く、第2雌ねじ部21における雌側スタブフランクリードの値SFL_b2は、雌ねじ領域10におけるロードフランクリードLFL_bに等しい。
【0099】
ロック領域18は、第1雄ねじ部16及び第1雌ねじ部19の組み付けによって形成されるが、ロック領域18は、第1非ロック領域24と第2非ロック領域25との間に配置される。第1非ロック領域24は、第2雄ねじ部17のねじ山11を第1雌ねじ部19のねじ山11に係合させることによって形成され、第2非ロック領域25は、第2雌ねじ部21のねじ山11を第1雄ねじ部16のねじ山11に係合させることによって形成される。
【0100】
第1非ロック領域24では、第2雄ねじ部17の谷底15の幅が一定のままであり、一方、第1雌ねじ部19の頂上13の幅は、雌側末端面8から第2パイプ本体5に向かって減少するので、第1非ロック領域24における第2雄ねじ部17のねじ山11は、それらのロードフランク12及び/又はそれらのスタブフランク14のいずれかを考慮して、連結部の組み付け状態では、第1雌ねじ部19の対応するロードフランク12及び/又はスタブフランク14と接触しない。言い換えれば、第1非ロック領域24における第2雄ねじ部17のねじ山11は自動ロック構成となっておらず、これはすなわち、ねじ山が第1雌ねじ部19の対応するいずれの面とも接触しない、少なくとも1つのロードフランク12又はスタブフランク14を有し、それらフランク相互間に軸方向隙間が存在するからである。同様に、第2非ロック領域25では、第2雌ねじ部21における谷底15の幅が一定のままである一方で、第1雄ねじ部16における頂上13の幅が、雄側末端面7から第1パイプ本体3に向かって減少するので、第2非ロック領域25における第2雌ねじ部21のねじ山11は、それらのロードフランク12及び/又はそれらのスタブフランク14を考慮して、連結部の組み付け状態では、第1雄ねじ部16の対応するロードフランク12及び/又はスタブフランク14と接触しない。
【0101】
好ましい実施形態では、1つ又は複数の非ロック領域における各雄側及び雌側のスタブフランク14相互間に正の隙間が存在する。例えば、その隙間は、少なくとも1mmであり、例えば5mm未満である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管状部品(1)及び第2管状部品(2)を備えるねじ連結部であって、
前記第1管状部品(1)は、第1パイプ本体(3)、雄ねじ領域(9)、及び雄側末端面(7)を含み、前記雄ねじ領域(9)は、第1パイプ本体(3)と雄側末端面(7)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記雄ねじ領域(9)は、第1雄ねじ部(16)及び第2雄ねじ部(17)を有し、前記第2雄ねじ部(17)は、前記第1雄ねじ部(16)と第1パイプ本体(3)との間に、前記長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記第1雄ねじ部(16)は、第1雄ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第2雄ねじ部(17)は、第2雄ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第1雄ねじ谷底幅は、前記雄側末端面(7)から前記第1パイプ本体(3)に向かう方向に減少し、前記第2雄ねじ谷底幅は、前記第2雄ねじ部に沿って一定であり、
前記第2管状部品(2)は、第2パイプ本体(5)、雌ねじ領域(10)、及び雌側末端面(8)を含み、前記雌ねじ領域(10)は、前記第2管状部品(5)と前記雌側末端面(8)との間に、前記長手方向軸線(X)に沿って配置され、前記雌ねじ領域(10)は、第1雌ねじ部(19)及び第2雌ねじ部(21)を有し、前記第1雌ねじ部(19)は、第1雌ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第2雌ねじ部(21)は、第2雌ねじ谷底幅を有するねじ山(11)を持ち、前記第1雌ねじ谷底幅は、前記雌側末端面(8)から前記第2パイプ本体(5)に向かう方向に減少し、前記雌ねじ領域(10)における前記雌側末端面(8)に最も近いねじ歯(29)は、前記雌ねじ領域(10)における最大の雌ねじ谷底幅を有し、
前記雄ねじ領域(9)及び前記雌ねじ領域(10)は、自動ロック構成では部分的に組み付けられて、前記ねじ連結部にロック領域(18)及び非ロック領域(20、24、25)をもたらし、前記ロック領域(18)は、前記ねじ連結部の組み付け状態では、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第1雌ねじ部(19)の協働によって形成され、前記非ロック領域(20、24、25)は、前記ねじ連結部の組み付け状態では、前記第2雄ねじ部(17)及び前記雌ねじ領域(10)の協働によって形成され、
前記ロック領域(18)の遠位雌ねじ山(22)は、
FDTW/TH>=125%
となるような幅を有し、ここで、FDTWは、前記ロック領域における遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、THは、前記遠位雌ねじ山(22)のねじ歯高さである、ねじ連結部。
【請求項2】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記ロック領域(18)の遠位雌ねじ山(22)は、
FDTW/WTmax>=15%
となるような幅を有し、ここで、FDTWは、前記ロック領域の遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、WTmaxは、前記第1管状部品(3)の最大半径方向肉厚である、ねじ連結部。
【請求項3】
請求項1に記載のねじ連結部において、雄ねじ部及び雌ねじ部(9、10)は、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)と共にテーパ角(θT)を形成するテーパ母線を有し、前記雄ねじ部(9)における前記第1パイプ本体(3)に最も近い近位ねじ部(23)は、近位ねじ谷底、近位ロードフランク、近位頂上及び近位スタブフランクを有し、近位ねじ谷底幅は、
【数1】

となるようなものであり、ここで、PRTWは、前記近位ねじ谷底幅であり、FDTWは、前記ロック領域(18)における遠位雌ねじ山(22)のねじ歯幅であり、THは、前記遠位雌ねじ山(22)のねじ歯高さであり、θTは、前記雄ねじ領域のテーパ角であり、θSFは、近位スタブフランク角であり、θLFは、近位ロードフランク角である、ねじ連結部。
【請求項4】
請求項3に記載のねじ連結部において、2*tan(テーパ角(θT))に対応する前記雄ねじ領域及び前記雌ねじ領域(9、10)のテーパは、1/6~1/18であり、好ましくは1/6~1/10の範囲から選択され、さらにより好ましくは約1/8であり、前記ねじ領域(9、10)の雄ねじ部及び雌ねじ部の頂上及び谷底は、前記ロック領域のテーパ母線に平行である、ねじ連結部。
【請求項5】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域の直径は、
ODpb<MTZD<IDpb+15%Wpbt
となるようなものであり、ここで、ODpbは、前記第1パイプ本体(3)の外径であり、MTZDは、前記雄ねじ領域(9)の直径であり、IDpbは、前記第1パイプ本体(3)の内径であり、Wpbtは、前記第1パイプ本体(3)の壁厚である、ねじ連結部。
【請求項6】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記ロック領域(18)における雄側スタブフランクリード(SFL_p)と雄側ロードフランクリード(LFL_p)との差は、
【数2】

となるようなものであり、ここで、LDは、前記雄側スタブフランクリード(SFL_p)と前記雄側ロードフランクリード(SFL_p)との差であり、SFLは、前記雄側スタブフランクリード(SFL_p)であり、θTは、前記雄ねじ領域(9)のテーパ角であり、θSFは、前記雄ねじ山(11)のスタブフランク角であり、θLFは、前記雄ねじ山(11)のロードフランク角である、ねじ連結部。
【請求項7】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記第1雌ねじ部(19)は、前記第2雌ねじ部(21)と前記第2パイプ本体(5)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置される、ねじ連結部。
【請求項8】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記第1雌ねじ部(19)は、前記第2雌ねじ部(21)と前記雌側末端面(8)との間に、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って配置されている、ねじ連結部。
【請求項9】
請求項8に記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域(9)は、雄側スタブフランクリード(SFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)上における単一の雄側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雌ねじ領域(10)は、雌側スタブフランクリード(SFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)上における単一の雌側スタブフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雄側スタブフランク変化箇所及び前記雌側スタブフランク変化箇所は、前記雄側末端面と、前記雄側スタブフランク変化箇所と前記雌側スタブフランク変化箇所との間における前記雄側末端面に最も近い箇所との間で前記ロック領域(18)が画定されるように、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる箇所にあり、雄側スタブフランクリード(LFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)に沿って一定のままであり、雌側ロードフランクリード(LFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)に沿って一定のままである、ねじ連結部。
【請求項10】
請求項8に記載のねじ連結部において、前記雄ねじ領域(9)は、雄側ロードフランクリード(LFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)上における単一の雄側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雌ねじ領域(10)は、雌ロードフランクリード(LFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)上における単一の雌側ロードフランク変化箇所で変化するような、単一の連続する螺旋を有し、前記雄側ロードフランク変化箇所及び前記雌側ロードフランク変化箇所は、前記ロック領域(18)が、前記雄側末端面(7)と、前記雄側ロードフランク変化箇所と前記雌側ロードフランク変化箇所との間における前記雄側末端面(7)に最も近い箇所との間で画定されるように、前記ねじ連結部の長手方向軸線(X)に沿って異なる箇所にあり、雄側スタブフランクリード(SFL_p)が、前記雄ねじ領域(9)に沿って一定のままであり、雌側スタブフランクリード(SFL_b)が、前記雌ねじ領域(10)に沿って一定のままである、ねじ連結部。
【請求項11】
請求項8に記載のねじ連結部において、前記非ロック領域(24)は第1非ロック領域(24)であり、前記ロック領域(18)は、前記第1非ロック領域(24)と第2非ロック領域(25)との間に位置し、第1非ロック領域(24)は、前記第2雄ねじ部(17)及び前記第1雌ねじ部(19)によって画定され、第前記2雌ねじ谷底幅は、前記第2雌ねじ部(21)に沿って一定であり、前記第2非ロック領域(25)は、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第2雌ねじ部(21)によって画定され、前記ロック領域(18)は、前記第1雄ねじ部(16)及び前記第1雌ねじ部(19)によって画定される、ねじ連結部。
【請求項12】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記雌ねじ領域(10)における前記パイプ本体(5)に最も近い谷底は、前記雄ねじ領域(9)における前記第1パイプ本体(3)に最も近い谷底と同一の谷底幅を有する、ねじ連結部。
【請求項13】
請求項1に記載のねじ連結部において、前記第2雄ねじ部(17)のねじ山が、不完全ねじ山高さ及び/又は減退していくねじ山歯を有する、ねじ連結部。
【国際調査報告】