(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】エネルギー回収のための、タービンが組み込まれたバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20240628BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F16K17/30 A
H02K7/18 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575516
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022032611
(87)【国際公開番号】W WO2022261165
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523457590
【氏名又は名称】サン・ハイドロリクス,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】SUN HYDRAULICS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ツェーエ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】マイスラーン,スティーヴン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ヘイリー
【テーマコード(参考)】
3H060
5H607
【Fターム(参考)】
3H060AA02
3H060BB03
3H060CC07
3H060CC40
3H060DA02
3H060DB02
3H060DC05
3H060DD02
3H060DD12
3H060EE08
5H607BB02
5H607CC05
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607FF21
5H607GG01
5H607GG02
(57)【要約】
例示的なバルブは、座部材と;バルブが閉状態にあるときに座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、第1のポートにおける流体がスプールに流体力を加える、スプールと;座部材に向かってスプールに付勢力を加えるばねであって、流体力が付勢力に打ち勝つことでスプールが近位方向に動いて座部材から離れ、そうすることで、スプールと座部材との間に形成された流通領域を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れが可能になる、ばねと;タービンであって、流通領域を通って流れる流体がタービンを経て下流に流れるときに回転するように構成されたタービンと;発電機であって、タービンが回転すると発電機が電力を生成するようにタービンに結合された発電機と;を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブであって、
座部材と、
前記バルブが閉状態にあるときに前記座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、前記第1のポートにおける流体が近位方向に前記スプールに流体力を加える、前記スプールと、
前記座部材に向かって遠位方向に前記スプールに付勢力を加えるばねであって、前記流体力が前記付勢力に打ち勝つことで前記スプールが近位方向に動いて前記座部材から離れ、そうすることで、前記スプールと前記座部材との間に形成された流通領域を通る前記第1のポートから前記第2のポートへの流体の流れが可能になる、前記ばねと、
タービンであって、前記流通領域を通って流れる流体が前記タービンを経て下流に流れるときに回転するように構成された前記タービンと、
発電機と、
を備え、
前記タービンは、前記タービンと共に回転するように構成されたタービンシャフトに取り付けられており、
前記発電機は、前記タービンシャフトが前記タービンと共に回転すると前記発電機が電力を生成するように、前記タービンシャフトに結合されている、バルブ。
【請求項2】
前記第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、前記スプールは近位方向により遠くに動き、そうすることで、流体の第1の部分が前記流通領域及び前記タービンを通って流れることが可能になり、流体の第2の部分が前記タービンを迂回して前記第1のポートから前記第2のポートに直接的に流れることが可能になる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
長手方向の筒状空所を有するスリーブを更に備え、前記筒状空所内に前記スプールが配設されて軸方向に可動であり、
前記第2のポートは、前記スリーブに形成された第1組の主流交差孔と、前記スリーブに形成された第2組のバイパス流交差孔と、を備え、
前記タービンを通って流れる流体の前記第1の部分は、前記第1組の主流交差孔を介して前記第2のポートに流れ、
前記タービンを迂回する流体の前記第2の部分は、前記第2組のバイパス流交差孔を介して前記第2のポートに流れる、請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記スリーブの遠位端に結合されたノーズピースを更に備え、
前記第1のポートは、前記ノーズピースに形成された複数の貫通孔を備え、前記座部材は、前記ノーズピースに結合されている、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記スプールは、複数のスプール交差孔を備え、
前記タービンを通って流れる流体の前記第1の部分は、前記複数のスプール交差孔を通り、次いで、前記スリーブの前記第1組の主流交差孔を通って流れる、請求項3に記載のバルブ。
【請求項6】
前記タービンの上流かつ前記流通領域の上流に配設されたステータを更に備え、
前記ステータは、流体を前記タービンにある角度で衝突させるように方向付けるように構成されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記座部材内で少なくとも部分的に前記タービンシャフトに取り付けられているラジアルベアリングを更に備え、
前記ラジアルベアリングは、前記座部材内で前記タービンシャフトを支持するように構成されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
アキシアル荷重に対して前記タービンシャフトを支持するスラストベアリングを更に備え、
前記スラストベアリングは、前記タービンを伴う前記タービンシャフトの回転を容易にする、請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
前記発電機はロータシャフトを備え、前記タービンシャフトが回転すると前記タービンシャフトと共に前記発電機の前記ロータシャフトが回転するように前記ロータシャフトが前記タービンシャフトに結合されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項10】
前記タービンシャフトを前記ロータシャフトに結合するコネクタを更に備え、
前記タービンシャフトが回転すると前記コネクタが回転し、それによって、前記コネクタと共に前記ロータシャフトが回転する、請求項9に記載のバルブ。
【請求項11】
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたアダプタと、
を更に備え、
前記発電機が前記アダプタに結合されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項12】
液圧システムであって、
第1のチャンバと第2のチャンバとを有する液圧アクチュエータと、
流体供給源と、
流体リザーバと、
前記流体供給源に流体結合されたインレットポート、前記液圧アクチュエータの前記第1のチャンバに流体結合された第1のワークポート、前記液圧アクチュエータの前記第2のチャンバに流体結合された第2のワークポート、及びリターンポートを有する、方向制御弁と、
バルブと、
を備え、
前記バルブは、
前記方向制御弁の前記リターンポートに流体結合された第1のポート、及び前記流体リザーバに流体結合された第2のポートと、
座部材と、
前記バルブが閉状態にあるときに前記座部材上に着座して前記第1のポートから前記第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、前記第1のポートにおける流体が近位方向に前記スプールに流体力を加える、前記スプールと、
前記座部材に向かって遠位方向に前記スプールに付勢力を加えるばねであって、前記流体力が前記付勢力に打ち勝つことで前記スプールが近位方向に動いて前記座部材から離れ、そうすることで、前記スプールと前記座部材との間に形成された流通領域を通る前記第1のポートから前記第2のポートへの流体の流れが可能になる、前記ばねと、
タービンであって、前記流通領域を通って流れる流体が前記タービンを経て下流に流れるときに回転するように構成された前記タービンと、
発電機と、
を備え、
前記タービンは、前記タービンと共に回転するように構成されたタービンシャフトに取り付けられており、
前記発電機は、前記リターンポートから排出された流体が前記バルブを介して前記流体リザーバに流れるときに前記タービンシャフトが前記タービンと共に回転すると前記発電機が電力を生成するように、前記タービンシャフトに結合されている、液圧システム。
【請求項13】
前記第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、前記スプールは近位方向により遠くに動き、そうすることで、流体の第1の部分が前記流通領域及び前記タービンを通って流れることが可能になり、流体の第2の部分が前記タービンを迂回して前記第1のポートから前記第2のポートに直接的に流れることが可能になる、請求項12に記載の液圧システム。
【請求項14】
前記バルブは、長手方向の筒状空所を有するスリーブを更に備え、前記筒状空所に前記スプールが配設されて軸方向に可動であり、
前記第2のポートは、前記スリーブに形成された第1組の主流交差孔と、前記スリーブに形成された第2組のバイパス流交差孔と、を備え、
前記タービンを通って流れる流体の前記第1の部分は、前記第1組の主流交差孔を介して前記第2のポートに流れ、
前記タービンを迂回する流体の前記第2の部分は、前記第2組のバイパス流交差孔を介して前記第2のポートに流れる、請求項13に記載の液圧システム。
【請求項15】
前記バルブは、前記タービンの上流かつ前記流通領域の上流に配設されたステータを更に備え、
前記ステータは、流体を前記タービンにある角度で衝突させるように方向付けるように構成されている、請求項12に記載の液圧システム。
【請求項16】
前記バルブは、
前記座部材内で少なくとも部分的に前記タービンシャフトに取り付けられているラジアルベアリングと、
アキシアル荷重に対して前記タービンシャフトを支持するスラストベアリングと、
を更に備え、
前記ラジアルベアリングは、前記座部材内で前記タービンシャフトを支持するように構成されており、
前記スラストベアリングは、前記タービンを伴う前記タービンシャフトの回転を容易にする、請求項12に記載の液圧システム。
【請求項17】
前記発電機はロータシャフトを備え、前記タービンシャフトが回転すると前記タービンシャフトと共に前記発電機の前記ロータシャフトが回転するように前記ロータシャフトが前記タービンシャフトに結合されており、
前記バルブは、前記タービンシャフトを前記ロータシャフトに結合するコネクタを更に備え、
前記タービンシャフトが回転すると前記コネクタが回転し、それによって、前記コネクタと共に前記ロータシャフトが回転する、請求項12に記載の液圧システム。
【請求項18】
前記バルブは、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたアダプタと、
を更に備え、
前記発電機が前記アダプタに結合されている、請求項12に記載の液圧システム。
【請求項19】
スプールが座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックし、前記第1のポートにおける流体が近位方向に前記スプールに流体力を加え、ばねが前記座部材に向かって遠位方向に前記スプールに付勢力を加える閉状態で、バルブを動作させることと、
前記流体力が前記付勢力に打ち勝つことで、前記スプールを近位方向に動かして前記座部材から離して、前記スプールと前記座部材との間に形成された流通領域を通る前記第1のポートから前記第2のポートへの流体の流れを可能にする主流路を開くことと、
前記主流路を通って流れる流体が、タービンが回転すると発電機が電力を生成するように前記発電機に結合された前記タービンを回転させることと、
前記第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、前記スプールを近位方向により遠くに動かして、流体の一部分がタービンを迂回し前記第1のポートから前記第2のポートに直接的に流れることを可能にするバイパス流路を開くことと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記バルブは、長手方向の筒状空所を有するスリーブを備え、前記筒状空所内に前記スプールが配設されて軸方向に可動であり、
前記第2のポートは、前記スリーブに形成された第1組の主流交差孔及び第2組のバイパス流交差孔を備え、
前記主流路を介した前記第1のポートから前記第2のポートへの流体の流れを可能にすることは、前記第1組の主流交差孔を介して前記第2のポートに流体が流れることを可能にすることを含み、
流体の前記一部分が前記バイパス流路を通って前記第1のポートから前記第2のポートに直接的に流れることを可能にすることは、前記第2組のバイパス流交差孔を介して前記第2のポートに流体が流れることを可能にすることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー回収のための、タービンが組み込まれたバルブに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Valve with an Integrated Turbine for Energy Harvesting」という名称の2022年5月9日出願の米国特許出願第17/739,293号の優先権を主張するものであり、その文献は、「Pressure-Compensated Flow Control Valve with an Integrated Turbine for Energy Harvesting or Flow Rate Sensing」という名称の2021年6月11日出願の米国仮特許出願第63/209,441号の優先権を主張するものであり、それらのすべての文献の内容全体が、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
液圧バルブとは、液圧システムを通して、通常はオイルである液体媒体の流れを方向付けるものである。オイルの流れの方向は、スプール、ピストン、又はポペットなどの可動要素の位置によって決定される。バルブのサイズは、バルブを通る液圧システムの最大流量及びシステムの最大圧力によって決定できる。
【0004】
バルブの可動要素は、ハウジング又はスリーブ内に配設でき、可動要素は、流体力によって可動にすることができる。スプールが動くと、流通領域又はオリフィスが生じ、それが第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体が特定の流量でオリフィスを通って流れてオリフィスでの圧力降下を引き起こすときはいつでも、流体がバルブを通って流れるときに生成される熱の形態で動力(パワー)が失われる。動力損失は、流体の流量にオリフィス前後の圧力差を乗じたものになり得る。従って、システムをより効率的にするために、このような動力損失の少なくとも一部分を回収することが望ましい場合がある。これら及び他の考慮事項に関して、本明細書で本開示が提示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、エネルギー回収のための、タービンが組み込まれたバルブに関する実装形態について記載する。
【0007】
第1の例示的な実装形態において、本開示はバルブについて記載する。そのバルブは、座部材(シート部材)と;バルブが閉状態にあるときに座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、第1のポートにおける流体が近位方向にスプールに流体力を加える、スプールと;座部材に向かって遠位方向にスプールに付勢力を加えるばねであって、流体力が付勢力に打ち勝つことでスプールが近位方向に動いて座部材から離れ、そうすることで、スプールと座部材との間に形成された流通領域(流過領域)を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れが可能になる、ばねと;タービンであって、流通領域を通って流れる流体がタービンを経て(通って)下流に流れるときに回転するように構成されており、タービンと共に回転するように構成されたタービンシャフトに取り付けられている、タービンと;発電機であって、タービンシャフトがタービンと共に回転すると発電機が電力を生成するように、タービンシャフトに結合された発電機と;を含む。
【0008】
第2の例示的な実装形態において、本開示はシステムについて記載する。そのシステムは、第1のチャンバと第2のチャンバとを有する液圧アクチュエータと;流体供給源と;流体リザーバと;流体供給源に流体結合されたインレットポート、液圧アクチュエータの第1のチャンバに流体結合された第1のワークポート、液圧アクチュエータの第2のチャンバに流体結合された第2のワークポート、及びリターンポートを有する、方向制御弁と;第1の例示的な実装形態のバルブと;を含み、バルブの第1のポートは、方向制御弁のリターンポートに流体結合されており、バルブの第2のポートは、流体リザーバに流体結合されている。
【0009】
第3の例示的な実装形態において、本開示は方法について記載する。本方法は、スプールが座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックし、第1のポートにおける流体が近位方向にスプールに流体力を加え、ばねが座部材に向かって遠位方向にスプールに付勢力を加える閉状態で、バルブを動作させることと;流体力が付勢力に打ち勝つことで、スプールを近位方向に動かして座部材から離して、スプールと座部材との間に形成された流通領域を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にする主流路を開くことと;主流路を通って流れる流体が、タービンが回転すると発電機が電力を生成するように発電機に結合されたタービンを回転させることと;第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、スプールを近位方向により遠くに動かして、流体の一部分がタービンを迂回し第1のポートから第2のポートに直接的に流れることを可能にするバイパス流路を開くことと;を含む。
【0010】
前述の概要は、単なる説明に過ぎず、決して限定することを意図するものではない。先に記載した説明的な態様、実装形態、及び特性に加えて、図及び以下の詳細な説明を参照することによって更なる態様、実装形態、及び特性が明らかになる。
【0011】
説明的な例の特徴と考えられる新規的な特性は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかし、説明的な例ならびに好ましい使用モード、その更なる目的及び説明は、添付の図面を併せて本開示の説明的な例の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的な実装形態による、エネルギー回収のための、タービン及び発電機が組み込まれたバルブの側断面図である。
【
図2】例示的な実装形態による、タービンの斜視図である。
【
図3】例示的な実装形態による、
図2のタービンの斜視断面図である。
【
図4】例示的な実装形態による、流体がタービンを通って流れる状態で、第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にする第1のモードで動作する
図1のバルブの側断面図である。
【
図5】例示的な実装形態による、流体の一部分がタービンを通って流れ、別の部分がタービンを迂回する状態で、第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にする第2のモードで動作する
図1のバルブの側断面図である。
【
図6】例示的な実装形態による、液圧システムを示す図である。
【
図7】例示的な実装形態による、バルブを動作させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
各例において、フローコントロールバルブ(流量制御弁)は、スプールなどの可動要素を有することができ、可動要素は、第1のポートにおける圧力レベルが閾値圧力を超えるまで第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックする。圧力レベルが閾値圧力に達すると、スプールが動いて第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にすることができる。
【0014】
開示されている例示的なバルブでは、バルブ内にタービンが組み込まれている。「タービン」という用語は、本明細書において、流体の流れからエネルギーを抽出する、インペラー(羽根車)などの回転式機械デバイス(回転機械装置)を示すために用いられている。流体がタービンを経て流れると、その流体がタービンを回転させ、それを運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーを用いて有効な作用を生み出すことができる。
【0015】
一例において、タービンは、発電機内で回転するシャフトに結合されている。従って、シャフトが回転すると、発電機によって電力が生成される。このような構成の場合は、液体動力の少なくとも一部分が電力の形態で回収され、その一部分はその他の場合には流体がバルブを経て流れるときに熱の形態で失われることになる。このような回収された電力は、液圧システムの他の部分でその効率を高めるために使用できるか、又はそれ以外に電力へのアクセスのない機械の各部分に電力を供給できる。
【0016】
図1は、例示的な実装形態による、エネルギー回収のための、タービン及び発電機が組み込まれたバルブ100の側断面図を示す。バルブ100は、以下で説明するバルブ100のポートに対応するポートを有するマニホールドに挿入できるか又はねじ込むことができ、マニホールドは、バルブ100を液圧システムの他の構成要素に流体結合させることができる。
【0017】
バルブ100は、長手方向の筒状空所(長手方向に延びる筒状空所)を内部に有するハウジング102を含む。ハウジング102の長手方向の筒状空所は、バルブ100の構成要素を収納するように構成されている。バルブ100は更に、スリーブ104を含み、スリーブ104は、ハウジング102の長手方向の筒状空所内に部分的に固定して配設されている。スリーブ104は、個別の長手方向の筒状空所を内部に有する。
【0018】
バルブ100はノーズピース106を含み、ノーズピース106は、スリーブ104に結合されており、スリーブ104の遠位端に配設されている。ノーズピース106は、貫通孔107及び貫通孔108などの、複数の貫通孔を有し、それらは、ノーズピース106の遠位端に円形の配列で配設されている。バルブ100は座部材(シート部材)110も含み、座部材110は、ねじ111を介してノーズピース106に結合されている。
【0019】
バルブは更に、ステータ(静翼列)112を含み、ステータ112は、環状であり、径方向において座部材110とスリーブ104との間に配設されている。一例において、ステータ112は複数のブレード又はフィンを含み、それらを用いて、以下で説明するようにエネルギー回収効率を高めるために流体の流れを方向付け、それをスピンさせる。
【0020】
バルブ100はスプール114も含み、スプール114は、スリーブ104の長手方向の筒状空所内に配設されている。スプール114は、ピストン又はポペットと呼ぶこともできる。スプール114は、スプール114の外面がスリーブ104の内面に対して摺動するように、スリーブ104内で摺動可能に収容される。従って、スプール114は、スリーブ104内で軸方向に可動である。「摺動可能に収容される」という用語は、本明細書全体を通して、第1の構成要素(例えば、スプール114)がバルブ100内で静止していないか、ロックされていないか、又は固定状態で配設されておらず、むしろ、第2の構成要素(例えば、スリーブ104)に対して動くことが可能であることを示すために用いられる。
【0021】
更に、座部材110は、スプール114のためのシート(座)として動作する。特に、バルブ100が
図1に示された閉状態にあるときは、スプール114の内面は、座部(シート)115において座部材110にぴったり合う。
【0022】
バルブ100は、スリーブ104の遠位端に第1のポート116を含む。第1のポート116は、例えば、ノーズピース106の複数の貫通孔107,108を含む。バルブ100は更に、第2のポート118を含む。第2のポート118は2組の交差孔を含み、各組は、スリーブ104に周方向の配列(円周配列)で形成されている。第1組の交差孔は、主流交差孔と呼ぶことができ、例えば、主流交差孔119A及び主流交差孔119Bを含む。第2組の交差孔は、バイパス流交差孔と呼ぶことができ、例えば、バイパス流交差孔120A及びバイパス流交差孔120Bを含む。第1組の交差孔(例えば、主流交差孔119A,119B)と第2組の交差孔(例えば、バイパス流交差孔120A,120B)とは、スリーブ104の長さに沿って軸方向に互いに離間している。
【0023】
図1に示すように、スプール114は、スプール114に周方向の配列(円周配列)で形成されたスプール交差孔121A及びスプール交差孔121Bなどの、複数のスプール交差孔を有する。
図1に示す位置では、スプール114は、バイパス流交差孔120A,120Bをブロックしている。しかし、
図1に示す位置では、主流交差孔119A,119Bは、スプール114のスプール交差孔121A,121Bに流体結合されている。
【0024】
「流体結合される」という用語は、本明細書全体を通して、2つの流体通路、チャンバ、ポート、又は開口部の間を流体が流れることができるか又は流体が往来できることを示すために用いられる。「ブロックする(妨げる)」という用語は、本明細書全体を通して、例えば、1分当たり数滴の漏出の流れ又は最小限を除いて流体の流れを実質的に阻止することを示すために用いられる。「孔」という用語は、概して、本明細書では、例えば、中実の本体又は表面における中空の場所(例えば、空所)を示すために用いられる。「交差孔(cross-hole)」という用語は、本明細書において、別の孔、空所、又はチャネルの通路に交差するか又はそれを横断するように形成された任意のタイプの開口部(例えば、スロット、窓、孔など)を含むように用いられる。
【0025】
バルブ100は更にタービン122を含み、タービン122は、スプール114内に配設され、タービンシャフト124に取り付けられている。タービン122は、タービン122が回転するとそれと共にタービンシャフト124が回転するように、タービンシャフト124に取り付けられている。
【0026】
図2は、例示的な実装形態による、タービン122の斜視図を示し、
図3は、タービン122の斜視断面図を示す。タービン122は、タービン122の外面に配設された、複数のフィン又はブレード200を有する。流体が十分な速度でブレード200にぶつかる(衝突する)と、タービン122が回転する。
【0027】
タービン122は、それを通してタービンシャフト124が配設されることが可能になるように中空である。タービン122は、六角形の内面202を有し、タービンシャフト124は、タービン122の取付けを容易にするように対応する六角形の外面を有するシャフト部分125(
図1参照)を有する。このような構成の場合は、タービン122が回転すると、それと共にタービンシャフト124が回転する。
【0028】
タービン122は更に、内向きフランジ部分(内フランジ部分)204を含み、内向きフランジ部分204にはシャフト部分125が当たっている。このようにして、タービン122は、近位方向に動かないようになっている。
【0029】
図1に戻ると、タービンシャフト124の遠位端は、座部材110内に受け入れられており、座部材110内に少なくとも部分的に取り付けられたラジアルベアリング126(例えば、ボールベアリング)によって支持されている。ラジアルベアリング126は、タービンシャフト124を中央に維持し、その低摩擦の回転を容易にする(促進する)。
【0030】
バルブ100は更に、ハウジング102内に配設された、ばね127、ばねキャップ128、シールキャリア130、及びシール支持部材132を含む。ばねキャップ128、シールキャリア130、及びシール支持部材132は、リング状であり、タービンシャフト124に取り付けられている。
【0031】
シールキャリア130及びシール支持部材132は、ハウジング102内に固定して配設されており、シール133及びシール134などのラジアルシールを支持するように構成されている。ばねキャップ128は、シールキャリア130に当たっており、従って、やはり静止している。
【0032】
ばね127の近位端は、ばねキャップ128に当たっており、ばね127の遠位端は、スプール114に当たっている。このような構成の場合は、バルブ100が閉状態にあるときにスプール114が座部115に着座するように、ばね127は、座部材110に向かって遠位方向にスプール114に付勢力を加える。
【0033】
バルブ100は更に、タービンシャフト124に取り付けられたスラストベアリング136を含む。スラストベアリング136は、軸方向においてばねキャップ128とシールキャリア130との間に保持されている。スラストベアリング136は、スラストボールベアリング、円筒スラストローラベアリング、円錐ローラスラストベアリング、球面ローラスラストベアリング、流体ベアリング、磁気ベアリング、又はニードルベアリングなどの、任意のタイプのスラストベアリングとすることができる。
【0034】
スラストベアリング136は、低摩擦によってタービンシャフト124の回転を容易にする(促進する)。特に、スラストベアリング136は遠位のレース(distal race)138を有し、遠位のレース138にはタービンシャフト124の拡張シャフト部分139が当たっている。スラストベアリング136は近位のレース(proximal race)140も含み、近位のレース140は、シールキャリア130と接触する(つながる)ケージ(cage)(例えば、ナイロンケージ)として構成されている。近位のレース140は、スラストベアリング136のボールのためのキャリア又はリテーナーとして構成されている。このような構成の場合は、タービン122が回転し、それと共にタービンシャフト124が回転すると、スラストベアリング136は、低摩擦のタービン122の回転運動を容易にしながら、タービン122が受け、拡張シャフト部分139を介してスラストベアリング136に伝達される、アキシアル荷重を支持する。
【0035】
バルブ100は更に発電機142を含む。一例において、発電機142は、ステータ及びロータ(図示せず)を有する。ステータは、ステータの本体(例えば、ラミネーション積層体(積層スタック))の周りに巻き付けられたワイヤ巻線を含むことができる。ロータは、ステータ内に配置され、発電機142は、ステータとロータとの間の環状空間に、ロータに取り付けられた磁石を含むことができる。ロータは、バルブ100内を延びるロータシャフト144を有することができる。
【0036】
ロータシャフト144は、タービンシャフト124に結合でき、そのため、タービンシャフト124が回転するとそれと共にロータシャフト144が回転する。一例として、バルブ100は、ロータシャフト144をタービンシャフト124に結合するように構成されたコネクタ146を含むことができる。例えば、タービンシャフト124の近位端147は、六角形の外面を有することができ、コネクタ146は、タービンシャフト124の近位端147の六角形の外面に取り付けられる、対応する六角形の内面を有することができる。このようにして、タービンシャフト124が回転すると、それと共にコネクタ146が回転する。また、ロータシャフト144は、コネクタ146にプレス嵌め(圧入)でき、そのため、コネクタ146がロータシャフト144に結合される。
【0037】
一例において、コネクタ146は孔148を有することができる。ロータシャフト144を変形させ、ロータシャフト144がコネクタ146に確実に結合されるように、孔148を通してツールを挿入でき、そのため、コネクタ146がタービンシャフト124と共に回転すると、それと共にロータシャフト144(及び発電機142のロータ)が回転する。
【0038】
バルブ100は更に、発電機142をハウジング102に結合するアダプタ150を含むことができる。例えば、アダプタ150は、筒状かつ中空とすることができる。アダプタ150は、ねじ山152を介してハウジング102の内面に螺合している(通されている)。アダプタ150は、ねじ孔154などの、複数のねじ孔を有することができ、発電機142は、ねじ孔156などの、複数の対応するねじ孔を有することができる。従って、アダプタ150の複数のねじ孔及び発電機142のそれぞれのねじ孔を通してねじを取り付けることで、アダプタ150に発電機142を結合することができ、アダプタ150は、ねじ山152を介してハウジング102に結合されている。
【0039】
シールキャリア130及びシール支持部材132は、アダプタ150の遠位端に当接(隣接)しており、アダプタ150は、ハウジング102に螺合しているため静止している。このようにして、シールキャリア130、シール支持部材132、及びばねキャップ128も同様に静止したままである。
【0040】
一例において、バルブ100は、チェックバルブとして使用することができ、チェックバルブは、第1のポート116から第2のポート118への流体の流れを可能にし、第2のポート118から第1のポート116への流体の流れを阻止する。この例では、第1のポート116は、流体供給源(例えば、液圧アクチュエータのチャンバ、アキュムレータ、ポンプなど)に流体結合でき、第2のポート118は、流体リザーバ(液体容器)に流体結合できる。
【0041】
特に、
図1に示す閉状態に加えて、バルブ100は、少なくとも2つの動作モードで動作するように構成されている。第1の動作モードでは、バルブ100によって、流体が、第1のポート116からタービン122を通り、次いで第2のポート118の主流交差孔119A,119Bを通って流れることが可能になる。第2の動作モードでは、バルブ100によって、流体の一部分(一部分の流体)が、第1のポート116からタービン122を通り、次いで第2のポート118の主流交差孔119A,119Bを通って流れることが可能になり、流体の別の部分(別の部分の流体)が、タービン122を迂回し、第1のポート116からバイパス流交差孔120A,120Bを介して直接的に第2のポート118に流れることが可能になる。
【0042】
第1のポート116における流体は、ばね127に抗して近位方向にスプール114に流体力を加え、ばね127は、遠位方向にスプール114に付勢力を加える。第1のポート116における流体の圧力レベルがばね127の付勢力に打ち勝つのに十分でない限り、ばね127は、スプール114を座部115において座部材110に対して着座させた状態に維持する。
【0043】
単純化された例として、ばね127が1平方インチ当たり100ポンド(psi)のばねであると仮定し、第2のポート118における圧力レベルがゼロpsiであると仮定すると、第1のポート116における圧力レベルが100psi未満である限り、スプール114は着座したままとなり得る。第1のポート116における圧力レベルが100psiに達すると、スプール114は近位方向に動き得る。
【0044】
スプール114が近位方向に動くと、ばね127は圧縮され、その付勢力が増大する。スプール114は、スプール114に作用する力同士の間に力のつり合いが実現される特定の軸方向位置まで近位方向に動くことができる。第1の動作モードでは、スプール114が動いて座部115から離れて、スプール114と座部材110との間の流体の流れを可能にする。ただし、スプール114は、バイパス流交差孔120A,120Bをブロックしたままである。
【0045】
図4は、例示的な実装形態による、流体がタービン122を通って流れる状態で、第1のポート116から第2のポート118までの流体の流れを可能にする第1のモードで動作するバルブ100の側断面図を示す。
図4に示すように、スプール114は、スプール114の遠位端が座部材110から離れる軸方向位置まで、十分な軸方向の距離を動き、そうすることで、環状の流通領域(流過領域)400が形成され、一方で、バイパス流交差孔120A,120Bはスプール114によってブロックされたままである。
【0046】
その結果、第1のポート116における流体は、ノーズピース106の貫通孔107,108を通り、次いでステータ112を通って流れ、そのことから流れの渦流又はスピンを生み出すことができ、また、流体ジェットを環状の流通領域400を通してタービン122に向けることが可能である。特に、ステータ112は、流体ジェットがタービン122の効率を改善するような角度でタービン122にぶつかるような径方向の速度成分を有する流れを生み出すことができる。
【0047】
スプール114が着座解除されて座部115から離れ、環状の流通領域400が開き始めて流体がそこを通って流れることが可能になると、環状の流通領域400が流量制限手段(絞り)のオリフィスとして動作するため、環状の流通領域400で圧力降下が起きる。言い換えれば、環状の流通領域400の上流(例えば、ステータ112の出口)の圧力レベルは、環状の流通領域400の下流におけるタービン122での圧力レベルよりも高い。
【0048】
ベルヌーイの原理に基づくと、環状の流通領域400でのそのような圧力差によって、流体が環状の流通領域400を通って加速される。言い換えれば、流体の速度は、環状の流通領域400を通って流れるときに実質的に上昇する。説明のための一例として、環状の流通領域400での圧力降下が100psiである場合、環状の流通領域400を通る流体の速度は秒速15メートルに達し得る。従って、環状の流通領域400から排出される流体は下流に流れて、そのような高速でタービン122にぶつかる。
【0049】
従って、スプール114が動いて座部115から離れ始めるときに流体の流量が小さくても、流体が高速でタービン122にぶつかって、タービン122がその慣性及び摩擦に打ち勝ち、回転する。次いで、タービン122を経て流れる流体は、スプール交差孔121A,121Bを通り、次いで第2のポート118の主流交差孔119A,119Bを通って流れることができる。
【0050】
流体がタービン122を経て流れると、そこで圧力降下が起きる。タービン122での圧力降下にバルブ100を通る流体の流量を乗じたものは、発電機142を介して回収できる動力(パワー、仕事量)を表す。
【0051】
特に、タービン122が回転すると、それと共にタービンシャフト124が回転し、そうすることで、発電機142のロータのロータシャフト144が回転する。ロータがそれに結合された磁石と共に発電機142のステータ内で回転すると、ステータのワイヤ巻線において電流が生成される(電気負荷又は抵抗が発電機142と電気的に接続されていると仮定する)。従って、流体がバルブ100を通ることで発電機142によって電力が生成される。他の例示的な実装形態において、異なるタイプの発電機、例えば、磁石を含まない発電機を使用してよい。
【0052】
発電機142に接続された電気負荷は、流体がタービン122を通るときにタービン122に加えられるトルクに等しくすることができる。発電機142に接続された電気負荷がない場合は、タービン122はトルクなしで自由に回転できる。
【0053】
回収される電力は、損失(例えば、摩擦損失)がないと仮定すると、タービン122のトルクにタービン122の回転速度を乗じたものに等しくすることができる。回収される動力は、タービン122での圧力降下にそれを通る流体の流量を乗じたものに等しくすることもできる。
【0054】
いくつかの用途では、バルブ100は、予期される流体の流れの量(流量)がバルブ100の容量を超える可能性がある機械の液圧ラインに配置されることがあり得る。そのような過剰な流体の流れが起きるときは、第1のポート116における圧力レベルが上昇し、バルブ100での圧力降下が大きくなり、そのことは望ましくない可能性がある。従って、バルブ100は、過剰な流れをタービン122からそらしてバルブ100での圧力降下を制限するために、バイパス流路を有するように構成されている。
【0055】
図5は、例示的な実装形態による、流体の一部分がタービン122を通って流れ、別の部分がタービン122を迂回する状態で、第1のポート116から第2のポート118への流体の流れを可能にする第2のモードで動作する
図1のバルブの側断面図を示す。第1のポート116において過剰な流体の流量が起きる場合に、第1のポート116における圧力レベルが上昇し始めることがある。その結果、スプール114に作用する流体力が上昇し、
図5に示すように、
図4と比べて近位方向により遠くにスプール114を動かす可能性がある。
【0056】
図5に示すスプール114のこのような軸方向位置では、バイパス流交差孔120A,120Bはスプール114によってブロックされていない。むしろ、バイパス流交差孔120A,120Bは露出され、バイパス流通領域(流過領域)500が形成される。従って、流体の一部分は、第1のポート116から、貫通孔107,108、ステータ112、環状の流通領域400、タービン122、スプール交差孔121A,121B、及び第2のポート118の主流交差孔119A,119Bを通って流れ、流体の別の部分は、第1のポート116から、貫通孔107,108、ステータ112、バイパス流通領域500を通り、第2のポート118のバイパス流交差孔120A,120Bを通って流れる。言い換えれば、流体の一部分は、タービン122を通って流れ、流体の別の部分は、タービン122を迂回し、第2のポート118に直接的に流れる。
【0057】
このような付加的なバイパス流路が第1のポート116から第2のポート118に直接的に開いている結果、過剰な流れによる第1のポート116における圧力レベルの上昇は制限される。従って、バイパス流交差孔120A,120Bによって、バルブ100において不必要に大きい圧力降下を引き起こすことなく、より高い流量が予期される液圧機械の流体ラインでバルブ100を使用することが可能になる。例えば、バルブ100での圧力降下は約150psiに制限することができる。
【0058】
このような構成の場合は、タービン122での圧力降下は、特定のレベルを超えないようになっている。このようにして、タービン122及び発電機142は、過剰なトルク及び速度から保護されている。更に、バルブ100のこのような構成によって、特定の範囲の動力を確実に回収でき、そうすることで、そのような範囲を扱う発電機の構成を容易にすることができる。
【0059】
回収される電力はいくつかの目的で使用することができる。例えば、バルブ100が使用される車両(例えば、ホイールローダ又はエクスカベータ(掘削機)などの建設機械)のバッテリを充電するために使用することができる。別の例では、その電力を使用して、他の構成要素を作動させることができる。例えば、ソレノイドバルブ及びセンサのソレノイドに電気信号又は電力を供給するために使用できる。そのことは、このようなバルブが電源から遠くに配設されるとき、ならびにワイヤ及びケーブルが長距離にわたって延びることでシステムの信頼性を損ない、その複雑さを増大させる恐れがある場合に、特に有益な場合がある。長距離にわたって延びるワイヤではなく、ソレノイドバルブ又はセンサの近くに配置できるバルブ100によって回収される電力は、ソレノイドバルブ又はセンサに動力を供給するために使用できる。他の例では、機械の動力が停止した(例えば、バッテリの充電が切れた)場合に、バルブ100を通る流体が電力を生成し、その電力が他の構成要素に電力供給するか又はそれを作動させて、機械の器具類を安全な状態にするか又は安全な位置に入れることができる。
【0060】
図6は、例示的な実装形態による、液圧システム600を示す。液圧システム600は、記号で表されたバルブ100を含む。主流路(第1のポート116から第2のポート118へのタービン122を介した流体の流れ)は、ばね利用のチェックバルブ602によって表されており、バイパス流路(タービン122を経て流れることのない、第1のポート116から第2のポート118への直接的な流れ)は、バイパスバルブ部分604によって表されている。
【0061】
液圧システム600は、ポンプ、アキュムレータ、又は液圧システムの別の部分などの、流体の供給源606を含む。液圧システム600は、流体を低圧(例えば、0~70psi)で貯蔵できる流体リザーバ608も含む。バルブ100の第2のポート118は、流体リザーバ608に流体結合されている。
【0062】
液圧システム600は、液圧アクチュエータ610を含む。液圧アクチュエータ610は、シリンダ612と、シリンダ612に摺動可能に収容されたアクチュエータピストン614とを含む。アクチュエータピストン614は、ピストンヘッド616と、ピストンヘッド616からシリンダ612の長手方向中心軸の方向に沿って延びるピストンロッド618とを含む。ピストンヘッド616は、シリンダ612の内側空間を、第1のチャンバ620と第2のチャンバ622とに分ける。一例として、本明細書では液圧シリンダアクチュエータが使用される。他のタイプのアクチュエータ(例えば、液圧モータ)又は他の液圧装置(液圧コンシューマ)を使用することができる。
【0063】
液圧システム600は、液圧アクチュエータ610との間(行き来)で流体を方向付ける方向制御弁(方向コントロールバルブ)624を含む。一例において、方向制御弁624は、4つのポート、すなわち、供給源606に流体結合されたインレットポートと、バルブ100の第1のポート116に流体結合されたリターンポートと、液圧アクチュエータ610の第1のチャンバ620に流体結合された第1のバルブワークポートと、第2のチャンバ622に流体結合された第2のバルブワークポートと、を含むことができる。
【0064】
一例において、方向制御弁624は、方向制御弁624の弁体のボア内で軸方向に可動なスプールを有するスプールタイプの弁とすることができる。その例では、スプールは、
図6に記号で示すように、スプールの両側にある2つのばねによってニュートラル位置(中立位置)に付勢され得る。
図6の例示的な実装形態において、そのようなニュートラル位置では、2つのバルブワークポートは、バルブ100の第1のポート116に流体結合することができる。他の例では、スプールは、ニュートラル位置ですべてのポートをブロックすることができる。
【0065】
更に、方向制御弁624が単一の弁として示されているが、他の例示的な実装形態において、方向制御弁624は2つの別々の弁を備えることができ、各弁は、液圧アクチュエータ610のそれぞれのチャンバへの流体の流れを独立に制御する。従って、本明細書では、方向制御弁624の動作を実施するどのような弁アセンブリ又は弁構成も企図される。
【0066】
方向制御弁624は電気で作動できる。例えば、方向制御弁624は、通電時に方向制御弁624内でスプールを動かす、第1のソレノイド626及び第2のソレノイド628を有することができる。
【0067】
液圧システム600は更に、コントローラ630を含む。コントローラ630は、1つ又は複数のプロセッサ又はマイクロプロセッサを含むことができ、データストレージ(例えば、メモリ、一時的コンピュータ可読媒体、非一時的コンピュータ可読媒体など)を含むことができる。データストレージは、コントローラ630の1つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、本明細書に記載されている動作をコントローラ630に実施させる命令をそこに格納していてよい。コントローラ630との間の信号線は、
図6に破線で示している。信号線は、コントローラ630を第1のソレノイド626に接続している。尚、図面が視覚的に見づらくならないように、コントローラ630を第2のソレノイド628に接続する信号線は図示していない。
【0068】
コントローラ630は、液圧アクチュエータ610を動作させるためのインプットコマンドを含むインプット情報又はインプット(入力)を受信することができる。それに応答して、コントローラ630は、第1のソレノイド626及び第2のソレノイド628などの、液圧システム600の様々な構成要素に電気信号を提供する。
【0069】
例えば、コントローラ630は、アクチュエータピストン614が伸長される(例えば、
図6の右に動かされる)ことを要求するコマンド又はインプット情報を受信することができる。それに応答して、コントローラ630は、第1のソレノイド626を作動させる。このようにして、流体が、供給源606から方向制御弁624のインレットポートに供給され、方向制御弁624は、流体を第1のバルブワークポートに、次いで、流体線632を通って第1のチャンバ620に方向付けて、アクチュエータピストン614を伸長(前進)させる。第2のチャンバ622から排出された流体は、流体線634を通って方向制御弁624の第2のバルブワークポートに流れ、方向制御弁624は、流体をリターンポートに方向付ける。リターンポートから排出された流体は、バルブ100の第1のポート116に流れる。
【0070】
第1のポート116における圧力レベルがばね127に打ち勝つのに十分である場合には、バルブ100のスプール114は、
図4に関して先に記載したように動き、主流路は、ばね利用のチェックバルブ602及びタービン122を通る流体の流れを可能にするように開き、そうすることで、発電機142が電力を生成することが可能になり、その電力は、先に記載したように液圧システム600において有効に使用される(例えば、バッテリの充電、あるいは、第1のソレノイド626もしくは第2のソレノイド628の作動又は液圧システム600における不図示の他の電気作動する何らかの構成要素の作動)。次いで、流体は、第2のポート118に、その後、流体リザーバ608に流れる。
【0071】
第2のチャンバ622から排出される流体の流量がバルブ100の容量を超える場合には、第1のポート116における圧力レベルが上昇することで、
図5に関して先に記載したようにスプール114がより遠くに動き、バイパスバルブ部分604を通るバイパス流路を開くことができる(すなわち、バイパス流交差孔120A,120Bが露出され、そこを通る流体の流れを可能にする位置に、スプール114が動く)。次いで、このようなバイパス流体は、直接的に第2のポート118に流れる。
【0072】
アクチュエータピストン614を後退させるために、コントローラ630は、方向制御弁624の第2のソレノイド628に信号を送ることができる。このようにして、供給源606からの流体は、第2のチャンバ622に方向付けることができ、第1のチャンバ620から排出された流体は、バルブ100を通るように方向付けられ、バルブ100は、先に記載したように、第1のチャンバ620から排出される流体の流量及び第1のポート116における圧力レベルに基づいて動作する。
【0073】
液圧システム600の構成は、説明のために単純化した例である。他のシステム構成、構成要素、方向制御弁のタイプなどを使用することができる。
【0074】
図7は、例示的な実装形態による、バルブを動作させるための方法700のフローチャートである。方法700は、例えば、バルブ100を動作させるために使用することができる。
【0075】
方法700は、ブロック702~708のうちの1つ又は複数によって示された1つ又は複数の動作、機能、又は作用を含むことができる。それらのブロックは、連続した順序で示されているが、並列に、及び/又は、本明細書に記載されているものとは異なる順序で行うこともできる。また、所望の実装形態に基づいて、様々なブロックを組み合わせてより少ないブロックにしてもよく、分割して付加的なブロックにしてもよく、及び/又は、削除してもよい。本明細書に開示しているこの及び他のプロセス及び方法に関して、フローチャートは、本例の実現可能な一実装形態の機能及び動作を示すことを理解されたい。本開示の例の範囲内には、代替的な実装形態が含まれ、代替的な実装形態では、一般的な当業者には理解されるように、関係する機能に応じて実質的に同時又は逆の順序を含む、図示されているか又は論じられているもの以外の順序で機能を実行できる。
【0076】
ブロック702で、方法700は、スプール114が座部材110上に着座して第1のポート116から第2のポート118への流体の流れをブロックし、第1のポート116における流体が近位方向にスプール114に流体力を加え、ばね127が座部材110に向かって遠位方向にスプール114に付勢力を加える閉状態で、バルブ100を動作させることを含む。
【0077】
ブロック704で、方法700は、流体力が付勢力に打ち勝つことで、スプール114を近位方向に動かして座部材110から離して、スプール114と座部材110との間に形成された流通領域(例えば、環状の流通領域400)を通る第1のポート116から第2のポートへの流体の流れを可能にする主流路を開くことを含む。
【0078】
ブロック706で、方法700は、主流路を通って流れる流体が、タービン122が回転すると発電機142が電力を生成するように発電機142に結合されたタービン122を回転させることを含む。
【0079】
ブロック708で、方法700は、第1のポート116における流体の圧力レベルが上昇することで、スプール114を近位方向により遠くに動かして、流体の一部分がタービン122を迂回し第1のポート116から第2のポート118に直接的に流れることを可能にするバイパス流路を開くことを含む。
【0080】
方法700は更に、本明細書に記載する他のステップを含むことができる。
【0081】
上述の詳細な説明は、添付の図を参照しながら、開示されているシステムの様々な特性及び動作を説明している。本明細書に記載する説明的な実装形態は限定を意味するものではない。開示されているシステムのある一定の態様は、本明細書ですべて企図される多種多様の異なる構成で、配置することができ、組み合わせることができる。
【0082】
更に、文脈による別段の示唆がない限り、図のそれぞれに示された特性を互いに組み合わせて使用してよい。従って、図は、例示したすべての特性が各実装形態に必要というわけではないことを理解しながら、1つ又は複数の全体的な実装形態の構成要素の態様として概略的に見るべきである。
【0083】
付加的に、本明細書又は特許請求の範囲における要素、ブロック、又はステップの列挙はいずれも、分かりやすくするためのものである。従って、このような列挙は、それらの要素、ブロック、又はステップが特定の機構に必須であるか又は特定の順序で行われることが、必要であるか又はそれを示唆していると解釈するべきではない。
【0084】
更に、デバイス又はシステムは、図に示されている機能を実施するために使用できるか又は実施するように構成できる。いくつかの例では、デバイス及び/又はシステムの構成要素は、構成要素がそのような性能を可能にするように(ハードウェア及び/又はソフトウェアを用いて)実際に構成及び構築されるように、それらの機能を実施するように構成できる。他の例では、デバイス及び/又はシステムの構成要素は、特定の形式で動作するときなどに、機能を実施するように適合されるか、機能を実施できるか、又は機能を実施するのに適切になるように配置することができる。
【0085】
「実質的に」又は「約」という用語によって、記載されている特徴、パラメータ、又は値を厳密に達成する必要はないが、その特徴が提供することが意図された効果を妨げない量だけ、例えば、公差、測定エラー、測定の正確さの限界、及び当業者に公知の他の因子を含む、偏差又はばらつきが起こり得ることを意味している。
【0086】
本明細書に記載する機構は例示を目的としているに過ぎない。従って、その代わりに他の機構及び他の要素(例えば、機械、インターフェース、動作、順序、及び動作のグループ分けなど)を使用でき、所望の結果に応じていくつかの要素をまとめて省略できることを、当業者は理解するであろう。更に、記載されている要素の多くは、任意の適切な組み合わせ及び箇所で、別々のもしくは分散した構成要素として又は他の構成要素と組み合わせて実装できる機能エンティティである。
【0087】
様々な態様及び実装形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実装形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示した様々な態様及び実装形態は説明のためのものであり、限定する意図はなく、真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって、それらの特許請求の範囲が含まれる等価物の全範囲と共に示されている。また、本明細書で用いられている技術用語は、特定の実装形態を説明するためのものに過ぎず、限定する意図はない。
【0088】
従って、本開示の実施形態は、以下に記載する列挙形式の例示的な実施形態(EEE:enumerated example embodiment)の1つに関係することができる。
【0089】
EEE1は、座部材と;バルブが閉状態にあるときに座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、第1のポートにおける流体が近位方向にスプールに流体力を加える、スプールと;座部材に向かって遠位方向にスプールに付勢力を加えるばねであって、流体力が付勢力に打ち勝つことでスプールが近位方向に動いて座部材から離れ、そうすることで、スプールと座部材との間に形成された流通領域を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れが可能になる、ばねと;タービンであって、流通領域を通って流れる流体がタービンを経て下流に流れるときに回転するように構成されており、タービンと共に回転するように構成されたタービンシャフトに取り付けられている、タービンと;発電機であって、タービンシャフトがタービンと共に回転すると発電機が電力を生成するように、タービンシャフトに結合された発電機と;を備える、バルブである。
【0090】
EEE2は、第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、スプールが近位方向により遠くに動き、そうすることで、流体の第1の部分が流通領域及びタービンを通って流れることが可能になり、流体の第2の部分がタービンを迂回して第1のポートから第2のポートに直接的に流れることが可能になる、EEE1に記載のバルブである。
【0091】
EEE3は、長手方向の筒状空所を有するスリーブを更に備え、当該筒状空所内にスプールが配設されて軸方向に可動であり、第2のポートが、スリーブに形成された第1組の主流交差孔と、スリーブに形成された第2組のバイパス流交差孔と、を備え、タービンを通って流れる流体の第1の部分が、第1組の主流交差孔を介して第2のポートに流れ、タービンを迂回する流体の第2の部分が、第2組のバイパス流交差孔を介して第2のポートに流れる、EEE2に記載のバルブである。
【0092】
EEE4は、スリーブの遠位端に結合されたノーズピースを更に備え、第1のポートは、ノーズピースに形成された複数の貫通孔を備え、座部材は、ノーズピースに結合されている、EEE3に記載のバルブである。
【0093】
EEE5は、スプールが、複数のスプール交差孔を備え、タービンを通って流れる流体の第1の部分が、複数のスプール交差孔を通り、次いで、スリーブの第1組の主流交差孔を通って流れる、EEE3~4のいずれかに記載のバルブである。
【0094】
EEE6は、タービン及び流通領域の上流に配設されたステータであって、流体をタービンにある角度で衝突させるように方向付けるように構成されているステータを更に備える、EEE1~5のいずれかに記載のバルブである。
【0095】
EEE7は、座部材内で少なくとも部分的にタービンシャフトに取り付けられているラジアルベアリングであって、座部材内でタービンシャフトを支持するように構成されているラジアルベアリングを更に備える、EEE1~6のいずれかに記載のバルブである。
【0096】
EEE8は、アキシアル荷重に対してタービンシャフトを支持し、かつ、タービンを伴うタービンシャフトの回転を容易にするスラストベアリングを更に備える、EEE1~7のいずれかに記載のバルブである。
【0097】
EEE9は、発電機が、タービンシャフトが回転するとそれと共に発電機のロータシャフトが回転するようにタービンシャフトに結合されたロータシャフトを備える、EEE1~8のいずれかに記載のバルブである。
【0098】
EEE10は、タービンシャフトをロータシャフトに結合するコネクタを更に備え、タービンシャフトが回転するとコネクタが回転し、それによって、それと共にロータシャフトが回転する、EEE9に記載のバルブである。
【0099】
EEE11は、ハウジングと、ハウジングに結合されたアダプタと、を更に備え、発電機がアダプタに結合されている、EEE1~10のいずれかに記載のバルブである。
【0100】
EEE12は、液圧システムであって:第1のチャンバと第2のチャンバとを有する液圧アクチュエータと;流体供給源と;流体リザーバと;流体供給源に流体結合されたインレットポート、液圧アクチュエータの第1のチャンバに流体結合された第1のワークポート、液圧アクチュエータの第2のチャンバに流体結合された第2のワークポート、及びリターンポートを有する、方向制御弁と;バルブと;を備え、そのバルブは:方向制御弁のリターンポートに流体結合された第1のポート、及び流体リザーバに流体結合された第2のポートと;座部材と;バルブが閉状態にあるときに座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックするように構成されたスプールであって、第1のポートにおける流体が近位方向にスプールに流体力を加える、スプールと;座部材に向かって遠位方向にスプールに付勢力を加えるばねであって、流体力が付勢力に打ち勝つことでスプールが近位方向に動いて座部材から離れ、そうすることで、スプールと座部材との間に形成された流通領域を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れが可能になる、ばねと;タービンであって、流通領域を通って流れる流体がタービンを経て下流に流れるときに回転するように構成されており、タービンと共に回転するように構成されたタービンシャフトに取り付けられている、タービンと;発電機であって、リターンポートから排出された流体がバルブを介して流体リザーバに流れるときにタービンシャフトがタービンと共に回転すると発電機が電力を生成するように、タービンシャフトに結合された発電機と;を備える、液圧システムである。
【0101】
EEE13は、第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、スプールが近位方向により遠くに動き、そうすることで、流体の第1の部分が流通領域及びタービンを通って流れることが可能になり、流体の第2の部分がタービンを迂回して第1のポートから第2のポートに直接的に流れることが可能になる、EEE12に記載の液圧システムである。
【0102】
EEE14は、バルブが、長手方向の筒状空所を有するスリーブを更に備え、当該筒状空所内にスプールが配設されて軸方向に可動であり、第2のポートが、スリーブに形成された第1組の主流交差孔と、スリーブに形成された第2組のバイパス流交差孔と、を備え、タービンを通って流れる流体の第1の部分は、第1組の主流交差孔を介して第2のポートに流れ、タービンを迂回する流体の第2の部分は、第2組のバイパス流交差孔を介して第2のポートに流れる、EEE13に記載の液圧システムである。
【0103】
EEE15は、バルブが、タービン及び流通領域の上流に配設されたステータであって、流体をタービンにある角度で衝突させるように流体を方向付けるように構成されているステータを更に備える、EEE12~14のいずれかに記載の液圧システムである。
【0104】
EEE16は、バルブが、座部材内で少なくとも部分的にタービンシャフトに取り付けられているラジアルベアリングであって、座部材内でタービンシャフトを支持するように構成されているラジアルベアリングと;アキシアル荷重に対してタービンシャフトを支持し、かつ、タービンを伴うタービンシャフトの回転を容易にするスラストベアリングと;を更に備える、EEE12~15のいずれかに記載の液圧システムである。
【0105】
EEE17は、発電機が、タービンシャフトが回転するとそれと共に発電機のロータシャフトが回転するようにタービンシャフトに結合されたロータシャフトを備え、バルブが、タービンシャフトをロータシャフトに結合するコネクタを更に備え、タービンシャフトが回転するとコネクタが回転し、それによって、それと共にロータシャフトが回転する、EEE12~16のいずれかに記載の液圧システムである。
【0106】
EEE18は、バルブが、ハウジングと;ハウジングに結合されたアダプタと;を備え、発電機がアダプタに結合されている、EEE12~17のいずれかに記載の液圧システムである。
【0107】
EEE19は、スプールが座部材上に着座して第1のポートから第2のポートへの流体の流れをブロックし、第1のポートにおける流体が近位方向にスプールに流体力を加え、ばねが座部材に向かって遠位方向にスプールに付勢力を加える閉状態で、バルブを動作させることと;流体力が付勢力に打ち勝つことで、スプールを近位方向に動かして座部材から離して、スプールと座部材との間に形成された流通領域を通る第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にする主流路を開くことと;主流路を通って流れる流体が、タービンが回転すると発電機が電力を生成するように発電機に結合されたタービンを回転させることと;第1のポートにおける流体の圧力レベルが上昇することで、スプールを近位方向により遠くに動かして、流体の一部分がタービンを迂回し第1のポートから第2のポートに直接的に流れることを可能にするバイパス流路を開くことと;を含む、方法である。
【0108】
EEE20は、バルブが、長手方向の筒状空所を有するスリーブを備え、当該筒状空所内にスプールが配設されて軸方向に可動であり;第2のポートが、スリーブに形成された第1組の主流交差孔及び第2組のバイパス流交差孔を備え;主流路を介した第1のポートから第2のポートへの流体の流れを可能にすることが、第1組の主流交差孔を介して第2のポートに流体が流れることを可能にすることを含み;流体の一部分がバイパス流路を通って第1のポートから第2のポートに直接的に流れることを可能にすることが、第2組のバイパス流交差孔を介して第2のポートに流体が流れることを可能にすることを含む;EEE19に記載の方法である。
【国際調査報告】