(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ボア内位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240628BHJP
A61N 5/00 20060101ALI20240628BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61N5/00
A61B17/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576001
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 NL2022050320
(87)【国際公開番号】W WO2022260520
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523461346
【氏名又は名称】ニモ クリエイティビティ ホールディング ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】NEMO CREATIVITY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アウデ フリーリンク, ティモ ヨリック コーマン
【テーマコード(参考)】
4C082
4C096
4C160
【Fターム(参考)】
4C082AA00
4C082AC00
4C082AE01
4C096AA18
4C096AD08
4C096AD19
4C096CA58
4C096FC20
4C160GG22
(57)【要約】
装置(100)のボア(102)内に可動物体(550)を位置決めするための位置決めシステムが開示される。少なくとも1つのトラック(501)は、装置(100)の内面(103)に沿って配置されるように構成される。複数のスライダ(504)は、少なくとも1つのトラック(501)に沿って独立して摺動するように構成され、複数のスライダ(504)は、少なくとも1つのヒンジ接続(354)を介して可動物体(550)に機械的に結合される。少なくとも1つの関節部材(506)は、関節部材(506)の第1の端部で第1の接続(311)を介してスライダ(504)の1つに接続され、関節部材(506)の第2の端部で第2の接続(308)を介して可動物体(550)に接続される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(100)のボア(102)内に可動物体(550)を位置決めするための位置決めシステムであって、
前記ボア(102)の内面(103)に沿って配置されるように構成された少なくとも1つのトラック(501)と、
前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って独立して摺動するように構成された複数のスライダ(504)であって、少なくとも1つのヒンジ接続(354)を介して前記可動物体(550)に機械的に結合されている、複数のスライダ(504)と、
少なくとも1つの関節部材(506)であって、各関節部材(506)が、前記関節部材(506)の第1の端部で第1のヒンジ接続(311)を介して前記複数のスライダ(504)の1つに接続され、各関節部材(506)が、前記関節部材(506)の第2の端部で第2のヒンジ接続(308)を介して前記可動物体(550)にさらに接続される、少なくとも1つの関節部材(506)と、
を備える、位置決めシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトラック(401)が直線状であり、前記ボア(102)の中心軸線に平行な長手方向(250)に配向される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項3】
各関節部材(506)が、前記スライダ(504)と前記可動物体(550)との間に不変の長さを有する、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項4】
前記複数のスライダの少なくとも2つ(303,304)が、前記可動物体(310)を前記ボア(102)の前記内面(103)に向かって移動させるために互いから離れるように移動され得る、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項5】
前記ボア(102)が、支持部材(104)の1つの側で前記装置(100)の動作を受ける物体を支持するための支持部材(104)を備え、前記少なくとも1つのトラック(501)が、前記支持部材(104)の、前記動作を受ける前記物体の空間と同じ側に配置される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのトラック(501)が、少なくとも1つの懸吊要素(701)に懸吊される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項7】
前記装置(100)が前記少なくとも1つの懸吊要素を備える、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの懸吊要素(701)が、前記装置(100)を除く外部物体(150)によって、又は前記ボア102の底面によって支持されるように構成される、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの懸吊要素(701)が、前記少なくとも1つのトラック(501)とは異なって配向された少なくとも1つのさらなるトラック(702)を備え、前記少なくとも1つのトラック(501)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って摺動するように構成される、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトラック(501)の前記少なくとも1つを前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1003)をさらに備える、請求項9に記載の位置決めシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)が、前記ボア(102)の断面の円周の少なくとも一部に対応する形状を有する、請求項9に記載の位置決めシステム。
【請求項12】
前記ボア(102)の前記壁(103)が、前記少なくとも1つのさらなるトラック(1110)の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の位置決めシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのさらなるトラック(1302)の少なくとも1つが、前記ボア(102)の外側に配置される、請求項11に記載の位置決めシステム。
【請求項14】
前記複数のスライダの少なくとも1つの第2のスライダ(1204)とは独立して、前記複数のスライダの少なくとも1つの第1のスライダ(504)を前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1001)をさらに備える、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(1001)が、前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って配置された機械的結合部材(1002)によって前記スライダ(504)に機械的に結合される、請求項14に記載の位置決めシステム。
【請求項16】
前記可動物体(550)の所望の位置又は所望の向きに基づいて、前記少なくとも1つのアクチュエータ(1001)によって前記複数のスライダ(504)の前記少なくとも1つを自動的に制御するように構成された制御ユニット(1901)をさらに備える、請求項14に記載の位置決めシステム。
【請求項17】
前記装置(100)が、医用装置、特に医用イメージング装置又は放射線治療装置を含む、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項18】
前記可動物体(550)が、エンドエフェクタ(1350)又はエンドエフェクタ(1350)を取り付けるためのスロットを備える、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項19】
前記エンドエフェクタ(1350)が、トランシーバ、又は生検器具、外科用器具もしくは物質を適用するためのアプリケータなどの医用機器を含む、請求項18に記載の位置決めシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの関節部材(506)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの関節部材(506)の前記少なくとも1つ又は前記可動物体(550)が交換され得るように、前記複数のスライダ(504)の前記1つ又は前記可動物体(550)に取り外し可能に接続されるように構成される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項21】
装置のボア内に可動物体を位置決めする方法であって、
前記ボアの内面に沿って少なくとも1つのトラックを配置するステップ(2001)と、
前記少なくとも1つのトラック上に複数のスライダを設けるステップ(2002)であって、前記複数のスライダが、少なくとも1つのヒンジ接続を介して前記可動物体に機械的に結合される、ステップ(2002)と、
少なくとも1つの関節部材を準備するステップ(2003)であって、各関節部材が、前記関節部材の第1の端部で第1のヒンジ接続を介して前記複数のスライダの1つに接続され、各関節部材が、前記関節部材の第2の端部で第2のヒンジ接続を介して前記可動物体にさらに接続される、ステップ(2003)と、
前記複数のスライダの各々を、前記少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように制御するステップ(2004)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置のボア内に可動物体を位置決めするための位置決めシステムに関する。本発明はまた、装置のボア内に可動物体を位置決めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年に、合計270万人が、がんと診断された。がんの主な診断方法は、組織病理学的検査のために組織生検を行うことである。残念なことに、見過ごされた生検針の誤配置が偽陰性の主な原因であり、がんは、後の段階で検出され、それによって治癒的ながんの治療の可能性が低下する。器具の誤配置は、適切な治療を提供する能力にも影響を及ぼす。例えば、切除針の不正確な配置は、腫瘍の不完全な治療の要因であり、したがってがんの再発を引き起こす。コア生検及びコア切除の両方は、主に超音波画像誘導下で実施される。超音波誘導は、その低解像度及び単一平面画像のために、操作する人間に大きく依存する。CT及びMRIシステムなどの高度なイメージングモダリティを使用して、3次元の高品質の医用画像を得ることができる。CT誘導下で最も一般的な技術は、スキャンが行われる前に針を位置決めし、スキャンを行うことによって針を確認することである。この方法は、所望の位置が最終的に見つかるまで針を再配置するための複数回の反復スキャンを必要とする。理想的には、切除針及び生検針などの器具の位置誘導は、リアルタイム及び高解像度の画像誘導下で実施される。残念なことに、ほとんどのCT及びMRIシステムは、閉ボア設計を有し、臨床医が器具を手動で位置決めするための追加のディスプレイを必要とする。
【0003】
外科及び介入ロボットは、脳生検のためのUNIMATE PUMA 200ロボットによる1985年の最初の臨床使用から始まったが、整形外科、脊椎、腹部、胸部、肺及び胃腸用途などの用途に拡大し、保健医療分野でますます使用されている。これらのロボットは、身体内の病変への低侵襲性アクセスを実現するのに役立ち得る。前述の用途では、イメージングは、計画、ナビゲーション、及び特定の場合には治療のための重要な要素である。注目すべきことに、直接内視鏡視覚化以外では、リアルタイムイメージングモダリティを使用する外科システムは非常に少なく、超音波又は蛍光透視のいずれかを使用する外科システムは、両方とも解像度及び単一平面画像の点で限定されている。ロボット工学と高品質のリアルタイムイメージングとのさらなる統合は、ロボット治療の臨床転帰を最終的に改善するための機械学習アルゴリズムの標準化及び統合の前提条件である。
【0004】
現在、MRI又はCTスキャナのボア内で使用するために設計されたシステムはわずかしかない。そのようなシステムにおける主な課題は、MRI又はCTスキャナとの適合性が必要であり、設計のほとんどの構成要素をそれぞれ非鉄材料又は放射線透過性材料に限定することである。プラスチックは、典型的にはこれらのニーズを満たす材料の一種であるが、材料の強度及び剛性の点で限定されている。これらの厳しい要件のために、空気圧モータ(例えば、米国特許第8061262号明細書、米国特許第9469026号明細書、米国特許出願公開第2020/0182267号明細書、米国特許出願公開第2021/0007817号明細書)及び力伝達機構などの非磁気作動方法を提供する方法として、作動のための代替方法が検討されてきた。
【0005】
メカトロニクス構成要素を含む構成はまた、作業空間、及び特定の解剖学的領域へのアクセスのために不可欠である。米国特許出願公開第2020/0086140号明細書は、小線源治療シードを配置するための針を位置決めするための一体型空気圧アクチュエータを有する並列機構を開示している。米国特許出願公開第2017/0367776号明細書は、カテーテルロボットが配置されたレールを使用して、直接MRI誘導の下でカテーテルを並進及び回転させる。これらのシステムは、患者のベッド上に一緒に配置され、したがって、使用ごとに較正及び設定時間を必要とする。代替の手法は、患者とロボットとが同じ基準フレーム内にある患者装着型システムである。米国特許第9326825号明細書は、例えば関節造影における針介入のための患者装着型ロボットである。米国特許出願公開第2021/0015558号明細書及び米国特許出願公開第2019/0314110号明細書は、患者の身体、特に神経外科画像誘導介入のためのスカルに装着されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、改善された位置決めシステムを提供することである。本発明の一態様によれば、装置のボア内に可動物体を位置決めするための位置決めシステムであって、
ボアの内面に沿って配置されるように構成された少なくとも1つのトラックと、
少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように構成された複数のスライダであって、少なくとも1つのヒンジ接続を介して可動物体に機械的に結合されている、複数のスライダと、
少なくとも1つの関節部材であって、各関節部材が、関節部材の第1の端部で第1のヒンジ接続を介してスライダの1つに接続され、各関節部材が、関節部材の第2の端部で第2のヒンジ接続(308)を介して可動物体にさらに接続される、少なくとも1つの関節部材と
を備える、位置決めシステムが提供される。
【0007】
この構造は、ボアの空間を通る物体の制御された移動を可能にする、特にコンパクトで汎用的なツールを提供する。複数の独立して可動なスライダの協調移動によって、可動物体は、所望の位置に対して複数の方向に移動させることができる。この場合、臨床医は器具の位置を直接見て修正することができ、高い精度でより迅速な(したがってより費用効果の高い)介入をもたらすことができる。構造は、ボア内の比較的少ない空間を使用することができる。
【0008】
少なくとも1つのトラックは、直線状であり、ボアの中心軸線に平行な長手方向に配向され得る。これは、ボアの長さを通って可動物体を容易に移動させることを可能にし、スライダを互いに向かって、又は離れて移動させることによって半径方向の移動を依然として可能にする。それは、また、スライダを互いから離れて移動させることによって邪魔にならない待機モードを可能にし、部材及び可動物体をトラックと位置合わせすることを可能にする。
【0009】
各関節部材は、スライダと可動物体との間に不変の長さを有し得る。このようにして、構造は、軽量又は比較的単純なままであり得る。摺動機構によって、可動物体は、空間を通って複数の方向に移動することができる。
【0010】
例えば、スライダの少なくとも2つを互いに離れるように移動させて、可動物体をボアの内面に向かって移動させることができる。このようにして、可動物体は、トラックも物体もボアへのアクセスを妨げることがないように、脇に移動させることができる。
【0011】
ボアは、支持部材の1つの側で装置の動作を受ける物体を支持するための支持部材を備えることができ、少なくとも1つのトラックは、支持部材の、動作を受ける物体の空間と同じ側に配置され得る。これにより、可動物体が支持部材上の物体に向かって又は離れて移動され得る好ましい構成がもたらされる。
【0012】
例えば、支持部材は、ボアの断面の第1の半分に配置されてもよく、少なくとも1つのトラックは、ボアの断面の第1の半分と反対側のボアの第2の半分に配置されてもよい。
【0013】
少なくとも1つのトラックは、少なくとも1つの懸吊要素に懸吊されてもよい。これにより、トラックを柔軟に位置決めすることが可能になる。
【0014】
装置は、懸吊要素を備え得る。これにより、位置決めシステムと装置との一体化が容易になる。
【0015】
少なくとも1つの懸吊要素は、装置を除く外部物体によって支持されるように構成されてもよい。これにより、位置決めシステムを、装置から独立した、機械的に独立したシステムとして提供することが可能になる。
【0016】
少なくとも1つの懸吊要素は、少なくとも1つのトラックとは異なって配向された少なくとも1つのさらなるトラックを備え、少なくとも1つのトラックの少なくとも1つは、少なくとも1つのさらなるトラックに沿って摺動するように構成される。これは、スライダをトラックに沿って、かつさらなるトラックの方向に移動させるためのさらなる可能性を提供する。
【0017】
システムは、少なくとも1つのさらなるトラックに沿って少なくとも1つのトラックの少なくとも1つを移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを備え得る。これは、トラックを移動させる自動化された方法を提供する。これにより、可動物体を位置決めするために、トラック、ひいてはトラック上の任意のスライダを移動させることがより容易になる。
【0018】
少なくとも1つのさらなるトラックは、ボアの断面の円周の少なくとも一部に対応する形状を有し得る。このようにして、トラックは、ボアの内壁に沿って接線方向に移動させることができる。
【0019】
ボアの壁は、前記少なくとも1つのさらなるトラックの少なくとも1つを含み得る。これにより、トラックと装置との一体化がもたらされる。
【0020】
前記少なくとも1つのさらなるトラックの少なくとも1つは、ボアの外側に配置されてもよい。これにより、位置決めシステムを、ボア内の干渉を最小限に抑えて動作可能にすることが可能になる。
【0021】
システムは、複数のスライダの少なくとも1つの第2のスライダとは独立して、複数のスライダの少なくとも1つの第1のスライダを少なくとも1つのトラックに沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを備え得る。これにより、位置決めシステムの自動化が容易になる。アクチュエータが各スライダを独立して移動させることを可能にすることによって、可動物体は、ボア内の3次元空間内で任意の方向に移動及び/又は回転させることができる。
【0022】
アクチュエータは、少なくとも1つのトラックに沿って配置された機械的結合部材によってスライダに機械的に結合されてもよい。これにより、アクチュエータをスライダから比較的離れて、可動デバイスから比較的離れて、任意選択的にさらにはボアの外側に保持することが可能になり、したがってボア内の干渉を低減することが可能になる。
【0023】
システムは、可動物体の所望の位置又は所望の向きに基づいて、少なくとも1つのアクチュエータによってスライダの少なくとも1つを自動的に制御するように構成された制御ユニットを備え得る。したがって、制御ユニットは、位置決めシステムの自動化を容易にする。
【0024】
装置は、医用装置、特に医用イメージング装置又は放射線治療装置を含み得る。本発明者は、位置決めシステムが医用イメージング装置又は放射線治療装置のボアに特に適していると考えた。この場合、臨床医は器具の位置を直接見て修正することができ、これにより、より効率的な介入及び/又はより高い精度がもたらされ得る。これは、入ってくるイメージングデータを表示しながら、例えば臨床医のコンソールから、器具を操作する能力を実現することができる、ロボット工学のための実現技術を提供することができる。
【0025】
可動物体は、エンドエフェクタ又はエンドエフェクタを取り付けるためのスロットを備え得る。これは、可動物体が所望の場所で効果をもたらすことを可能にする。
【0026】
エンドエフェクタは、トランシーバ、又は生検器具、外科用器具もしくは物質を適用するためのアプリケータなどの医用機器を含み得る。この種のエンドエフェクタは、介入又はスキャン中にボア内で位置決めするのが面倒であり得るが、位置決めシステムを使用して、これをより安全及び/又は効率的に行うことができる。
【0027】
関節部材の少なくとも1つは、関節部材の少なくとも1つ又は可動物体が交換され得るように、スライダの1つ又は可動物体に取り外し可能に接続されるように構成され得る。これにより、洗浄が容易になる。さらに、これらの項目を一時的に除去することによって、位置決めシステムが使用されていない間、ボア内により多くの空間が利用可能になり得る。
【0028】
本発明の別の態様によれば、装置のボア内に可動物体を位置決めする方法であって、
ボアの内面に沿って少なくとも1つのトラックを配置するステップと、
少なくとも1つのトラック上に複数のスライダを設けるステップであって、複数のスライダが、少なくとも1つのヒンジ接続を介して可動物体に機械的に結合される、ステップと、
少なくとも1つの関節部材を準備するステップであって、各関節部材が、関節部材の第1の端部で第1のヒンジ接続を介してスライダの1つに接続され、各関節部材が、長尺部材の第2の端部で第2のヒンジ接続を介して可動物体にさらに接続される、ステップと、
複数のスライダの各々を、少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように制御するステップと
を含む、方法が提供される。
【0029】
当業者であれば、上述の特徴は、有用と考えられる任意の方法で組み合わせることができることを理解するであろう。さらに、システムに関して説明した修正及び変形は、方法及びコンピュータプログラム製品にも同様に適用することができ、方法に関して説明した修正及び変形は、システム及びコンピュータプログラム製品にも同様に適用することができる。
【0030】
以下では、図面を参照して、実施例によって本発明の態様を説明する。図面は概略図であり、縮尺通りに描かれていない場合がある。図面を通して、同様の項目には同じ参照番号が付され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来技術の医用イメージング装置を示す図である。
【
図3A】位置決めシステムの別の例を示す図である。
【
図3B】位置決めシステムの代替例を示す図である。
【
図7】位置決めシステムの一例を備えた装置の正面図である。
【
図8】位置決めシステムの別の例を備えた装置の正面図である。
【
図9】位置決めシステムの別の例を備えた装置の正面図である。
【
図11】位置決めシステム及び装置の一部の断面図である。
【
図12】トラック及び懸吊部を有する装置の断面図である。
【
図13】別の例示的な位置決めシステムを有する装置の断面図である。
【
図14】位置決めシステムの別の例を有する装置の断面図である。
【
図15】
図11に示す位置決めシステムの詳細の断面図である。
【
図16】代替の例示的なアクチュエータを示す図である。
【
図17】別の代替例のアクチュエータを示す図である。
【
図18】関節部材の異なる実施形態を示す図である。
【
図20】装置のボア内に物体を位置決めする方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して、特定の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0033】
明細書に開示された事項、例えば詳細な構造及び要素は、例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。したがって、例示的な実施形態が、それらの具体的な規定事項を伴わずに実施され得ることは明らかである。また、周知の動作又は構造は、不必要な詳細によって説明が不明瞭になるため、詳細に説明されていない。
【0034】
図1は、医用イメージング装置100の正面図を示す。医用イメージング装置100は、ボア102を有する本体101を有する。本体101は、例えば、特定の電磁場の発生器及び/又は検出器を囲むハウジングを備え得る。装置100は、図示されていない制御パネルなどのさらなる構成要素を備えてもよい。ボア102は、装置100の本体101の内壁103によって境界付けられている。ボア102は、装置本体101の前面105から装置本体101の背面106(例えば、
図2を参照)まで延在し得る。そのような装置の多くでは、患者テーブルなどの支持体104が設けられ、その上にイメージングされる物体がボア102の内側に載置され得る。支持体104は任意選択であり、可動であっても、又は取り外し可能であってもよい。
【0035】
本開示の原理は、ボアを有する医用イメージング装置に関連して示されるが、同じ原理が、放射線治療装置又は非医用イメージング装置など、ボアを有する他の装置に適用され得る。さらに、画像は、水平に配向されたボア及び水平な患者支持体を有する装置を示しているが、これに限定されない。本明細書に開示される技術はまた、垂直又は斜めに配向されたボアを有する装置に適用されてもよい。支持体は、例えば、物体が寄りかかることができる垂直支持プレートであり得る。また、この原理は、貫通ボア、すなわちボアの両端に開口部を有するボアを有する装置に適用されてもよい。代替的に、本開示の原理は、一端のみに開口部を有するキャビティの形態のボアに適用されてもよく、ボアは、一端が閉鎖され他端が開放された例えば円筒形の空間である。「オープンMRI」などの本明細書に開示された技術のさらに他の用途では、ボアは、1つの側面のみが閉鎖され、3つの側面が開放され得る。ボア102は、長手方向軸線(通常、ボアの1つの開口部からボアの別の開口部まで延在する)及び半径を有する略円筒形の形状であってもよい。
【0036】
装置100は、床150に載置することができる。しかしながら、これに限定されず、装置100は、代替的に天井から懸吊されてもよく、又は任意の他の様式の支持構造を有してもよい。
【0037】
図2は、装置100のボア102の内側に可動物体を位置決めするための位置決めシステムの一例を示す。位置決めシステムは、トラック201と、トラックに沿って摺動するように構成されたスライダ202と、スライダ202の一端に固定された部材203とを備え、可動物体(図示せず)は、部材203の他端204に取り付けることができる。部材203は、内壁103からボア102内に延在し得る。トラック201は、ボアの長手方向250に配向され得る。特定の実施形態では、トラック201は、本体101の前面105から本体101の背面106まで延在し得る。例えば、トラック201は、装置100の内壁103上、内壁103内、又は内壁103に近接して配置され得る。図示の構成により、可動物体を長手方向に移動させることが可能になる。物体を半径方向に移動させるため、又は可動物体を回転させるためには、トラック201及びスライダ202に加えて他の手段が必要である。
【0038】
図3Aは、装置100のボア102の内側に可動物体を位置決めするための位置決めシステムの第2の例を示す。位置決めシステムは、一方が他方に隣接する2つのトラック301及び302を備える。第1のトラック301には、第1のスライダ303が存在する。第2のトラック302には、第2のスライダ304が存在する。第1の長尺部材305の第1の端部が、ヒンジ311によって第1のスライダ303に取り付けられている。第2の長尺部材306の第1の端部が、ヒンジ307によって第2のスライダ304に取り付けられている。プラットフォーム310が、第1の長尺部材305の第2の端部及び長尺部材306の第2の端部に取り付けられている。第1の長尺部材305は、ヒンジ308によってプラットフォーム310に取り付けられ、第2の長尺部材306は、ヒンジ309によってプラットフォーム310に取り付けられ、ヒンジ308とヒンジ309との間には距離がある。スライダ303及び304をそれらのトラックに沿って移動させることによって、プラットフォーム310の位置は、変更することができ、プラットフォーム310は、スライダ303及び304の移動に応じて、長手方向又は半径方向に移動させることができる。したがって、プラットフォーム310は、スライダ303及び304を独立して摺動させることによって移動させることができる可動物体である。プラットフォーム310は、代替的に、別の可動物体のためのプラットフォームであってもよい。プラットフォーム310に物体を取り付けるだけで、可動物体が作成され得る。例えば、医療処置におけるエンドエフェクタが、可動物体となるようにプラットフォーム310に取り付けられてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、ヒンジは任意選択である。すなわち、関節部材306とスライダ304との間のすべての接続がヒンジ式である必要はない。特定の実施形態では、少なくとも1つの関節部材306は、スライダ304に堅固に接続され、可動物体又はプラットフォーム310にヒンジ接続される。特定の実施形態では、少なくとも1つの関節部材306は、スライダ306にヒンジ接続され、可動物体又はプラットフォーム310に堅固に接続される。
【0040】
図3Bは、そのような構成の図を示す。図は、2つのスライダ352及び355を有するスライダ351を示す。第1のスライダ352は、スライダ352にヒンジ接続されていないが、一体成形又は接着などの堅固な接続353によってスライダ352に接続されている長尺部材357の第1の端部に接続されている。第1の端部の反対側の他端において、長尺部材357は、可動物体359に対するヒンジ接続354を有する。関節部材358は、第2のスライダ355に対するヒンジ接続360と、可動物体359に対するヒンジ接続356とを有する。このようにして、回転移動に加えて、可動物体359の少なくとも1次元の並進移動が可能である。
【0041】
図3Aの例では、2つの隣接するトラック301及び302が示されており、各スライダに対して1つのトラックである。これは、本開示の他の箇所で説明するように、アクチュエータによる独立した移動を容易にすることができる。しかしながら、これに限定されない。他の実施形態は、各スライダがトラックに沿って他のスライダから独立して摺動することができるように、各スライダに対して独立したアクチュエータを使用して、複数のスライダに対して単一のトラックを使用することができる。同じトラック上に複数のスライダを有する特定の実施形態では、そのようなスライダは、互いに交差することができない。
【0042】
図3Aに示す例では、トラック301,302は、内壁103に沿って長手方向に配向されている。しかしながら、これに限定されない。特定の実施形態では、例えば、トラックは、円弧状であり、内壁に沿って接線方向に配置されてもよい。
【0043】
図4は、2つのトラック401及び402が
図3Aの例と比較してさらに離間している位置決めシステムの例を示す。これは、可動物体310を移動させる際のさらなる可能性を提供することができる。ヒンジ取付け部材305,306及び可動物体310の詳細は、
図3Aに示す構成と同様であり、ここでは簡略化のため繰り返さない。
【0044】
図示は1自由度のヒンジを示しているが、これに限定されない。球面継手又はボール継手などの2つ又は3つの自由度を有するヒンジなどの他の種類のヒンジが、代替的に適用され得る。特定の実施形態では、弾性体変形によって力及び運動伝達を達成する可撓性機構であるコンプライアント機構を使用するコンプライアント継手が、ヒンジ接続として使用され得る。コンプライアント継手は、摩擦が低減され、及び/又は比較的大きな位置決め精度を達成する可能性があるという利点を有し得る。
【0045】
図5は、2つの離間したマルチスライダトラック501,502が設けられた位置決めシステムの別の例を示す。2つの離間したマルチスライダトラック501,502は、ボア102の長手方向に配向され、装置100の内面103に配置される。各マルチスライダトラック501,502は、複数のスライダを有する。スライダは、関節部材506によって可動物体550に接続されている。図示の例では、マルチスライダトラック501は、複数の隣接する平行トラック503を含む。同様に、マルチスライダトラック502は、複数の隣接する平行トラック507を含む。これらの隣接する平行トラック503,507は、例えば、レールの形態で実装されてもよい。各スライダ504は、マルチスライダトラック501の異なるトラック503に沿って摺動するように配置される。各スライダ505は、マルチスライダトラック502の異なるトラック507に沿って摺動するように配置される。スライダ504,505は、それぞれの関節部材506によって可動物体550に接続され、関節部材506の両端にヒンジ接続を有する。関節部材506は、可動物体550上の異なる位置に接続され、可動物体550の向きを制御することを可能にする。
【0046】
代替の実施形態では、マルチスライダトラック501,502が、複数のスライダが取り付けられ得る単一のトラック(例えば、レール)として実装されてもよい。
【0047】
代替の実施形態では、湾曲した平行トラック、例えばマルチスライダトラックが、ボア102の中心軸線に対して長手方向ではなく接線方向に実装されてもよい。
【0048】
図6は、装置のボア内に可動物体を位置決めするための位置決めシステムの別の構成を示す。システムは、3つのマルチスライダトラックを備える。図示の構成では、各マルチスライダトラックに2つのスライダが取り付けられている。トラック間の距離は変化し得る。
【0049】
一般に、トラックが平行であることが有効であり得る。トラックが平行に配置されていない特定の実施形態では、トラックは、好ましくは互いに交差しないように配置され得る。
【0050】
トラック及びスライダのいくつかの構成が図に示されているが、これらの図は例を示すためのものにすぎず、限定するものではない。トラックの他の構成も考えられる。
図2~
図6の図は、互いに対して、及びボアの壁に対して固定され得るトラックを示す。例えば、これは、例えば接着によって、ボアの壁にトラックを取り付けることによって実現することができる。代替的に、トラックは、ボアの壁に一体化されてもよい。例えば、トラックは、ボアの壁のスリット内に実装されてもよい。さらに代替的に、トラックは、例えばボアの開口部にある懸吊構造によって懸吊されてもよい。以下に示すように、そのような懸吊構造は、必要に応じてトラックを移動させることを可能にすることができる。
【0051】
図7は、位置決めシステム700の一例を備えた装置100の正面図を示す。位置決めシステム700は、
図5と組み合わせて最もよく理解することができる。位置決めシステムのトラック501,502は、装置100の内壁103に沿って長手方向(
図7の視野方向に対して垂直)に、ボア102内に位置決めされる。さらに、トラック501は、トラック懸吊部701に懸吊されている。次に、トラック懸吊部701は、トラック懸吊部701が湾曲トラック702に沿って摺動できるように、スライダによって湾曲トラック702に取り付けられる。このようにして、湾曲トラック702に沿って懸吊部701を摺動させることによって、ボア102の内側のトラック501の接線方向位置は変更することができる。ボア102の内側のトラック501の一部又は全部は、このようにして可動にすることができる。懸吊部トラック702及び懸吊部701は、トラック510に安定性を付与するために、ボア102の両端に設けられてもよい。懸吊部トラック702は、装置100の本体101に一体化されてもよい。代替的に、懸吊部トラック702は、接着又はねじなどの固定手段によって装置100の本体101に取り付けられてもよい。さらに代替的に、懸吊部トラック702は、任意の適切な手段によって定位置に保持されてもよい。
【0052】
図7、
図8、
図9、
図12、
図13及び
図14に示すように、エンドエフェクタ703は、可動物体550に取り付けられてもよい。このエンドエフェクタは、可動物体550と一体化されてもよい。代替的に、可動物体550は、エンドエフェクタ703が(取り外し可能に)挿入され得るスロットを含んでもよい。エンドエフェクタ703を可動物体550に取り付ける他の方法が、本開示を考慮して考えられ得る。エンドエフェクタ703は、例えば、試料を採取する又は流体を注入するなどの介入を実施するために、位置決めシステム100によって位置決めされ得る。
【0053】
図8は、位置決めシステム800の一例を備えた装置100の正面図を示す。位置決めシステム800は、位置決めシステム700と同様である。しかしながら、位置決めシステム800は、懸吊部トラック702が取り付けられる前面取付けプレート801をさらに備える。さらに、装置本体101の内面103は、ライナ803によって部分的に覆われている。これは、
図13を参照して以下でさらに説明する。
【0054】
図9は、位置決めシステム900の一例を備えた装置100の正面図を示す。位置決めシステム900は、各々が2つのスライダを有する3つのトラックを有し、したがって、
図6と組み合わせて理解することができる。位置決めシステム900の構造及び動作は、トラックの数を除いて、位置決めシステム700と同様である。
図9に示す例では、各トラックに1つずつ、3つの摺動トラック懸吊部901が存在する。
【0055】
図10は、トラック懸吊部701の1つをより詳細に示す。トラック501は、円形トラック702と略直交する方向に延在する。さらに、スライダ504は、アクチュエータ1001に動作可能に接続され得る。これらのアクチュエータは、いくつかの方法で実装することができる。例えば、各スライダ504は、ワイヤ又はベルト1002によって、そのトラック501の両端でアクチュエータ1001に接続されてもよい。アクチュエータ1001は、スライダをその近くに移動させるために、ベルト1002を引っ張るように構成されてもよい。そのようにして、特定の実施形態では、トラック501の両側でアクチュエータを作動させることによって、スライダ504は、いずれかの方向に移動され得る。スライダを移動させることによって、対応する関節部材506に力が加えられ、したがって、可動物体550が移動される。さらに、懸吊部701自体は、さらなるアクチュエータ1003によって、トラック702に沿って移動され得る。例えば、アクチュエータ1003は、円形トラック702に沿って両方向に懸吊部701を移動させることができるラックアンドピニオン機構1004を作動させることができる。懸吊部701を円形トラック702と良好に位置合わせしたままにするために、さらなる安定性のために、ガイドホイール1005が設けられてもよい。
【0056】
適切なタイプのアクチュエータには装置100の動作に適合するアクチュエータが含まれ得ることに留意されたい。装置100がMRI装置を含む場合、アクチュエータは、好ましくはMRI適合アクチュエータであり得る。そのようなMRI適合アクチュエータには、圧電モータ、空気圧ドライバ及び油圧モータが含まれ得る。これは、アクチュエータがボアから出て保持され得ることを助ける。CT装置の場合、例えば、ステッパモータがボアの外側で使用され得る。
【0057】
図11は、装置100の本体101及び内壁103の一部の断面図を示す。図は、円形トラック702に沿って移動することができるトラック501及び懸吊部701を示す。構造は、例えば
図5、
図7及び
図10に関して上述した構造と同様である。
図11に示すように、トラック501は、内壁103への接続によって、その2つの端部間において補強されてもよい。この補強体は、内壁103における支持スロット又はガイド1110の形態を有してもよい。スロット又はガイド1110は、トラック501の両端の懸吊部701が移動されるときに、トラック501がそれに沿って摺動することができる別のトラックである。スロット又はガイド1110は、例えば、重力又は関節部材を介して伝達される他の力(反力)に起因してトラック501が曲がるのを防止するのに役立ち得る。
【0058】
図12は、トラック501と、懸吊部701と、トラック702上を摺動することができる懸吊部701aと、トラック501の両端上の懸吊部702aとを有する装置100の断面図を示す。トラック501には、スライダが存在する。関節部材を介してスライダ504に接続された可動物体550も示されている。トラック501の1つのみが見えるが、実際の実装形態では1より多いトラック501が存在し得ることが理解されよう。特定の実施形態では、
図12に示すように、スライダ504のアクチュエータ1001は、懸吊部701内のトラック501の一端に設けられる。トラック501の他端には、懸吊部701aにおいて、アイドラプーリ1205が設けられている。これにより、スライダ504は、単一のアクチュエータ1001で両方向に移動させることができる。ベルト501に十分な張力を保持するための機構(図示せず)がさらに設けられてもよい。
【0059】
図13は、位置決めシステム800を有する装置100の断面図を示す。
図8を参照して上述したように、位置決めシステム800は、前面取付けプレート801及び背面取付けプレート801aを備え、ボア102の各端部に1つの取付けプレートが存在する。さらに、位置決めシステム800は、ボアの壁にライナ803をさらに備える。ライナ803は、例えば、合成材料などの頑丈な材料で作製することができる。好ましくは、ライナ803は、装置100の動作に適合する材料、例えばMRI適合材料、又は放射線透過性である、すなわち装置100によって放出及び/又は検出される放射線(例えば、X線)に対して透過性の材料で作製される。例えば、ライナ803は、ボア102の内側の管とみなすことができる。適切な材料の例は、メチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)、炭素繊維複合材料、ナイロン、又は磁化率の低い非鉄金属、例えばチタン、タングステン、白金もしくは適切な合金などのエンジニアリングプラスチックである。
【0060】
ライナ803は、位置決めシステムを既存の装置100に追加する様式の一例にすぎないことに留意されたい。別の実装形態は、例えば、中実ライナの代わりにフレームを設けることができる。
【0061】
ライナ803ならびに前面及び背面の取付けプレート801,801aは、装置100の構造から独立して、位置決めシステム800に機械的安定性を付与するための構造として機能することができる。すなわち、懸吊部701,701aのためのトラック1302,1302aは、前面及び背面の取付けプレート801,801aの一部であってもよく、ボア内の支持トラック1310は、ライナ803の一部であってもよい。前面及び背面の取付けプレート801,801aは、成形によって、又は締結具を使用して、ライナ803に取り付けることができる。ナイロンねじなどの締結具は、位置決めシステムの組立て及び分解がより容易であるという利点を有し得る。
【0062】
例えば、ライナ803は、断面が馬蹄形であってもよく、端部は、ボア102の内側で、例えば支持体104の両側で装置100に載置される。
【0063】
図14は、位置決めシステム1400の一例を有する装置100の断面図を示す。位置決めシステム1400は、位置決めシステム800と大部分で同様である。しかしながら、位置決めシステム1400のトラック1404を有するライナ1401は、ボア102の長さを超えて延在する。このようにして、スライダ1405は、それらのトラック1404に沿ってボア102から外に摺動することができる。これは、可動物体550がボア102の外側に、又はボア102の外側近くに移動される必要がある特定の場合に有用であり得る。
【0064】
特定の実施形態では、ライナ1401及びトラック1404は、延在可能である。すなわち、ライナ1401は、ボア102の長さを超えて長さが延在するように、より短く又はより長くすることができる。例えば、ライナ1401は、より長いライナ1401又はより短いライナ1401を作成するように、入れ子式に互いに係合する2つの半体1402,1403を備える。例えば、特定の実装形態では、アクチュエータをスライダと接続するラインは、十分に長くてもよく、例えばアイドラプーリを備えてもよく、その結果、ラインはライナ1401の延在した長さを支持することができる。
【0065】
延在した長さの位置決めシステムの異なる実装形態が可能であることが理解されよう。ライナ1401全体を長くする必要はない。代替的に、例えば入れ子式に、ボア102の端部を越えてトラックのみを延在させることが可能である。このようにして、スライダ1405は、ボア102の外側でトラック1404に沿って移動することができる。
【0066】
さらに別の実施形態では、位置決めシステム800又は1400全体は、装置100に対して可動であってもよい。例えば、ライナ803,1401は、ボア102を通って長手方向にシフトすることができる。
【0067】
位置決めシステムの特定の実施形態では、一般に、可動物体550をスライダ504に接続する部材506は、例えばピストン又はリニアアクチュエータに基づいて可変で制御可能な長さを有する。これにより、機械的複雑性が増すが、位置決めの柔軟性は高くなる。
【0068】
図15は、関節部材506及びヒンジ接続311を有するスライダ504を含む、
図11に示す位置決めシステムの詳細の断面図を示す。図示のように、トラック501は、例えば、スライダ504が係合されるレール又はバー又は剛性管として実装することができる。また、トラック501は、トラック501をその長さに沿って内壁103(又はライナ803)と位置合わせしたままにするために、内壁103(又は代替的にライナ803)のスロット1110と係合する拡張部1510を備えてもよい。スライダ504をトラック501に沿って移動させるために、及び/又はスライダ504を特定の場所に保持するために、ライン1002は、スライダ504を懸吊部701,701aのアクチュエータ1001に接続することができる。同じトラック501上の複数の個別に可動スライダを可能にするために、スライダ504ごとに別個のライン1002,1002aが設けられてもよい。
【0069】
図16は、懸吊部701,701aに内蔵されたアクチュエータの代替例を示す。
図16の代替構成では、アクチュエータ1601がスライダ504に内蔵されている。アクチュエータ及びプーリ1602は、スライダ504をトラック501に沿って移動させることができる。この構成は、単一のライン1002を有する単一のトラック501上で複数のスライダ504を使用することを可能にする。
【0070】
図17は、懸吊部701,701aに内蔵されたアクチュエータの別の代替例を示す。
図17の代替構成では、アクチュエータ1703がスライダ504に内蔵されている。トラック1701にはラックが設けられている。アクチュエータ1703及びピニオン1702は、ピニオン1702を回転させることによってスライダ504をトラック501に沿って移動させることができる。この構成は、ライン1002を使用することなく、単一のトラック501上で複数のスライダ504を使用することを可能にする。
【0071】
図18は、関節部材506の異なる実施形態を示す。この構成では、関節部材506は、力センサ1801を備える。これは、位置決めシステムに触覚フィードバックを提供する。力センサ1801は、例えば、電気抵抗の変化を検出することによって力を測定することができる)ホイートストンブリッジ、又はファイバブラッグなどのファイバベースの光変形検出を含むことができる。ファイバベースの力センサは、例えばMRIとのより良好な適合性を有し得る。力センサ1801は、位置決めシステムの任意の実施形態の追加の特徴として実装され得ることに留意されたい。
【0072】
特定の実施形態では、関節部材は、剛性の長尺部材である。例えば、関節部材は、ロッドであってもよい。別の例では、関節部材は、剛性材料の矩形ストリップであってもよい。関節部材の他の形状が代替的に可能である。
【0073】
特定の実施形態では、関節部材/ロッドは、取り外して(異なる)関節部材/ロッドと交換することができる。例えば、関節部材は、クリック接続システムによってスライダ及び/又は可動物体に接続されてもよい。特定の実施形態では、可動物体は、関節部材から取り外し可能であってもよい。
【0074】
本明細書に開示される位置決めシステムは、例えばロボット介入に適した柔軟な位置決めシステムを提供するのに有用であり得るが、使用していないとき、又はそのような介入の前に患者などの物体をボア内に位置決めする間、破壊されにくく、折り畳むのが容易である。曲がる構造は、位置決めシステムをMRI適合性に特に適したものにする。また、構造は、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、放射線治療などの装置によって生成又は検出される電波及び/又は任意の電磁信号を含む電磁場の破壊を比較的ほとんど引き起こさない。
【0075】
摺動機構は、力をいくつかの関節部材にわたって分散することを可能にすることができる。摺動機構はまた、位置誤差が累積されるのではなく平均化され得るので、精度を助ける。力は関節部材にわたって分散されるため、これらの力は比較的低くすることができる。これにより、より剛性の低い材料を使用することが可能になる。MRI適合材料は一般に剛性が低い可能性があるので、この特性は、MRI適合性のために位置決めシステムを最適化することを可能にする。したがって、位置決めシステムは、比較的小さい構造重量及びシステムに加えられる比較的低い力と、比較的高い位置決め精度とを組み合わせることができる。さらに、位置決めシステムは、本明細書に示すように、イメージング領域の外側(例えば、ボアの外側)のアクチュエータを用いて設計することができ、したがってボア内により多くの利用可能な空間を提供し、材料及び電流の影響を低減する。
【0076】
図19は、位置決めシステム1900の機能図を示す。位置決めシステム1900は、例えば、1つ又は複数のコンピュータプロセッサ及びメモリを備え得る制御ユニット1901を備える。メモリは、例えば、プロセッサに本明細書に記載のステップを実施させるコンピュータ可読命令を記憶することができる。メモリは、位置決めシステムの空間モデルをさらに記憶することができる。制御ユニット1901は、位置決めシステム1900の動作を制御するように構成されてもよい。その目的のために、位置決めシステム1900はまた、ディスプレイ及びタッチスクリーン又はキーボードなどの入力ユニットを備え得るユーザインターフェースユニット1902を備えてもよい。特定の実施形態では、ユーザインターフェースユニット1902は、触覚コントローラを備えてもよい。触覚フィードバックは、例えば、力センサ1801によって検出された力に基づいて生成することができる。代替的に、位置決めシステム1900は、位置決めシステム1900を画像及び管理システム(PACS)又は装置100のコンソールなどの外部デバイスによって制御又はプログラムすることを可能にするために、無線又は有線ネットワーク接続などの通信ユニット1903を備えて、位置決めシステム1900を一体型コンピュータシステムに接続することができる。代替的に、通信ユニット1903は、そのような外部デバイスから、可動物体の移動を制御するために使用することができる画像等の情報を受信するように構成されてもよい。位置決めシステムは、上述したように、複数のアクチュエータ1904をさらに備える。制御ユニット1901のメモリは、トラック、スライダ、可動物体及びアクチュエータモードの空間モデルを記憶することができる。例えば、制御ユニット1901は、ユーザインターフェースユニット1902又は通信ユニット1903を介して、可動物体550の目標場所及び向きを受信するように構成されてもよい。制御ユニット1901は、目標場所及び向きをスライダ504の目標位置にマッピングするようにさらに構成され得る。このマッピングは、空間モデルによって行うことができる。制御ユニット1901は、スライダの目標位置をアクチュエータ1904のためのコマンド信号に変換するようにさらに構成され得る。制御ユニット1901は、アクチュエータ1904にコマンド信号を送信するように構成されてもよい。
【0077】
特定の実施形態では、位置決めシステム1900は、1つ又は複数のセンサ1905をさらに備える。センサ1905は、例えば、関節部材506に加えられた力を検出するように構成された力センサ1801を備え得る。力が検出された場合、制御ユニット1901は、警報信号を生成し、及び/又はアクチュエータ1904を停止するように構成され得る。代替的に、関節部材506内の力センサ1801によって検出された力を、空間モデルを使用して組み合わせて、可動物体550上の力を推定することができる。センサ1905は、スライダ及び/又は可動物体の現在の位置を検出することができるセンサをさらに備えてもよく、これにより、制御ユニット1901が、アクチュエータ1904に送信される制御信号をさらに最適化することを可能にする。さらに代替的に、可動物体の位置は、装置100によって生成された画像を分析することによって検出されてもよい。
【0078】
図20は、装置のボア内に物体を位置決めする方法のフローチャートを示す。本方法は、ボアの内面に沿って少なくとも1つのトラックを配置するステップ2001を含む。本方法は、少なくとも1つのトラック上に複数のスライダを設けるステップ2002をさらに含む。本方法は、ボアの内側に複数の関節部材を設けるステップ2003をさらに含み、各関節部材は、関節部材の第1の端部で第1の接続を介してスライダの1つに接続され、各関節部材は、長尺部材の第2の端部で第2のヒンジ接続を介して可動物体にさらに接続される。本方法は、複数のスライダの各々を、少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように制御するステップ2004をさらに含む。
【0079】
ボア内位置決めシステムの代替的な使用は、物質を身体内に適用するため、特に再生医療に使用するための物質及び組織のin-situ in-vivoバイオプリンティングを実現するためである。ハイドロゲル又は他の生体適合性足場材料の適用は、胎児手術中の二分脊椎の治療にも使用することができる。特定の実施形態では、可動物体のエンドエフェクタは、in-situ 3Dプリンタなどのこの目的のためのツールであってもよい。
【0080】
本発明の一部又は全部の態様は、ソフトウェア、特にコンピュータプログラム製品の形態で実装されるのに適し得る。コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含み得る。また、コンピュータプログラムは、光ファイバケーブル又は空気などの伝送媒体によって運ばれる光信号又は電磁信号などの信号によって表され得る。コンピュータプログラムは、部分的又は全体的に、コンピュータシステムによって実行されるのに適したソースコード、オブジェクトコード、又は擬似コードの形態を有し得る。例えば、コードは、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能であってもよい。
【0081】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、本発明を限定するのではなく説明する役割を果たす。当業者は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を設計することができるであろう。特許請求の範囲の括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特許請求の範囲又は明細書において別個のエンティティとして記載された項目は、記載された項目の特徴を組み合わせた単一のハードウェア又はソフトウェア項目として実装され得る。
【0082】
特定の態様は、以下の条項で定義される。
1.装置(100)のボア(102)内に可動物体(550)を位置決めするための位置決めシステムであって、
装置(100)の内面(103)に沿って配置されるように構成された少なくとも1つのトラック(501)と、
少なくとも1つのトラック(501)に沿って独立して摺動するように構成された複数のスライダ(504)であって、少なくとも1つのヒンジ接続(354)を介して可動物体(550)に機械的に結合されている、複数のスライダ(504)と、
少なくとも1つの関節部材(506)であって、各関節部材(506)が、関節部材(506)の第1の端部で第1のヒンジ接続(311)を介してスライダ(504)の1つに接続され、各関節部材(506)が、関節部材(506)の第2の端部で第2のヒンジ接続(308)を介して可動物体(550)にさらに接続される、少なくとも1つの関節部材(506)と
を備える、位置決めシステム。
【0083】
2.少なくとも1つのトラック(401)が直線状であり、ボア(102)の中心軸線に平行な長手方向(250)に配向される、条項1に記載の位置決めシステム。
【0084】
3.各関節部材(506)が、スライダ(504)と可動物体(550)との間に不変の長さを有する、条項1に記載の位置決めシステム。
【0085】
4.スライダの少なくとも2つ(303,304)が、可動物体(310)を装置(100)の内面(103)に向かって移動させるために互いから離れるように移動され得る、条項1に記載の位置決めシステム。
【0086】
5.ボア(102)が、支持部材(104)の1つの側で装置(100)の動作を受ける物体を支持するための支持部材(104)を備え、少なくとも1つのトラック(501)が、支持部材(104)の、動作を受ける物体の空間と同じ側に配置される、条項1に記載の位置決めシステム。
【0087】
6.少なくとも1つのトラック(501)が、少なくとも1つの懸吊要素(701)に懸吊される、条項1に記載の位置決めシステム。
【0088】
7.装置(100)が少なくとも1つの懸吊要素を備える、条項6に記載の位置決めシステム。
【0089】
8.少なくとも1つの懸吊要素(701)が、装置(100)を除く外部物体(150)によって、又はボア102の底面によって支持されるように構成される、条項6に記載の位置決めシステム。
【0090】
9.少なくとも1つの懸吊要素(701)が、少なくとも1つのトラック(501)とは異なって配向された少なくとも1つのさらなるトラック(702)を備え、少なくとも1つのトラック(501)の少なくとも1つが、少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って摺動するように構成される、条項6に記載の位置決めシステム。
【0091】
10.少なくとも1つのトラック(501)の少なくとも1つを少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1003)をさらに備える、条項9に記載の位置決めシステム。
【0092】
11.少なくとも1つのさらなるトラック(702)が、ボア(102)の断面の円周の少なくとも一部に対応する形状を有する、条項9に記載の位置決めシステム。
【0093】
12.ボア(102)の壁(103)が、前記少なくとも1つのさらなるトラック(1110)の少なくとも1つを含む、条項11に記載の位置決めシステム。
【0094】
13.前記少なくとも1つのさらなるトラック(1302)の少なくとも1つが、ボア(102)の外側に配置される、条項11に記載の位置決めシステム。
【0095】
14.複数のスライダの少なくとも1つの第2のスライダ(1204)とは独立して、複数のスライダの少なくとも1つの第1のスライダ(504)を少なくとも1つのトラック(501)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1001)をさらに備える、条項1に記載の位置決めシステム。
【0096】
15.少なくとも1つのアクチュエータ(1001)が、少なくとも1つのトラック(501)に沿って配置された機械的結合部材(1002)によってスライダ(504)に機械的に結合される、条項14に記載の位置決めシステム。
【0097】
16.可動物体(550)の所望の位置又は所望の向きに基づいて、少なくとも1つのアクチュエータ(1001)によってスライダ(504)の少なくとも1つを自動的に制御するように構成された制御ユニット(1901)をさらに備える、条項14に記載の位置決めシステム。
【0098】
17.装置(100)が、医用装置、特に医用イメージング装置又は放射線治療装置を含む、条項1に記載の位置決めシステム。
【0099】
18.可動物体(550)が、エンドエフェクタ(1350)又はエンドエフェクタ(1350)を取り付けるためのスロットを備える、条項1に記載の位置決めシステム。
【0100】
19.エンドエフェクタ(1350)が、トランシーバ、又は生検器具、外科用器具もしくは物質を適用するためのアプリケータなどの医用機器を含む、条項18に記載の位置決めシステム。
【0101】
20.少なくとも1つの関節部材(506)の少なくとも1つが、少なくとも1つの関節部材(506)の少なくとも1つ又は可動物体(550)が交換され得るように、スライダ(504)の1つ又は可動物体(550)に取り外し可能に接続されるように構成される、条項1に記載の位置決めシステム。
【0102】
21.装置のボア内に可動物体を位置決めする方法であって、
ボアの内面に沿って少なくとも1つのトラックを配置するステップ(2001)と、
少なくとも1つのトラック上に複数のスライダを設けるステップ(2002)であって、複数のスライダが、少なくとも1つのヒンジ接続を介して可動物体に機械的に結合される、ステップ(2002)と、
少なくとも1つの関節部材を準備するステップ(2003)であって、各関節部材が、関節部材の第1の端部で第1のヒンジ接続を介してスライダの1つに接続され、各関節部材が、関節部材の第2の端部で第2のヒンジ接続を介して可動物体にさらに接続される、ステップ(2003)と、
複数のスライダの各々を、少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように制御するステップ(2004)と
を含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(100)のボア(102)内に可動物体(550)を位置決めするための位置決めシステムであって、
前記ボア(102)の内面(103)に沿って配置されるように構成された少なくとも1つのトラック(501)と、
前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って独立して摺動するように構成された複数のスライダ(504)であって、少なくとも1つのヒンジ接続(354)を介して前記可動物体(550)に機械的に結合されている、複数のスライダ(504)と、
少なくとも1つの関節部材(506)であって、各関節部材(506)が、前記関節部材(506)の第1の端部で第1のヒンジ接続(311)を介して前記複数のスライダ(504)の1つに接続され、各関節部材(506)が、前記関節部材(506)の第2の端部で第2のヒンジ接続(308)を介して前記可動物体(550)にさらに接続される、少なくとも1つの関節部材(506)と、
前記複数のスライダの少なくとも1つの第2のスライダ(1204)とは独立して、前記複数のスライダの少なくとも1つの第1のスライダ(504)を前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1001)と、
を備える、位置決めシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトラック(401)が直線状であり、前記ボア(102)の中心軸線に平行な長手方向(250)に配向される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項3】
各関節部材(506)が、前記スライダ(504)と前記可動物体(550)との間に不変の長さを有する、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項4】
前記複数のスライダの少なくとも2つ(303,304)が、前記可動物体(310)を前記ボア(102)の前記内面(103)に向かって移動させるために互いから離れるように移動され得る、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項5】
前記ボア(102)が、支持部材(104)の1つの側で前記装置(100)の動作を受ける物体を支持するための支持部材(104)を備え、前記少なくとも1つのトラック(501)が、前記支持部材(104)の、前記動作を受ける前記物体の空間と同じ側に配置される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのトラック(501)が、少なくとも1つの懸吊要素(701)に懸吊される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項7】
前記装置(100)が前記少なくとも1つの懸吊要素を備える、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの懸吊要素(701)が、前記装置(100)を除く外部物体(150)によって、又は前記ボア102の底面によって支持されるように構成される、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの懸吊要素(701)が、前記少なくとも1つのトラック(501)とは異なって配向された少なくとも1つのさらなるトラック(702)を備え、前記少なくとも1つのトラック(501)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って摺動するように構成される、請求項6に記載の位置決めシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトラック(501)の前記少なくとも1つを前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)に沿って移動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(1003)をさらに備える、請求項9に記載の位置決めシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのさらなるトラック(702)が、前記ボア(102)の断面の円周の少なくとも一部に対応する形状を有する、請求項9に記載の位置決めシステム。
【請求項12】
前記ボア(102)の前記壁(103)が、前記少なくとも1つのさらなるトラック(1110)の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の位置決めシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのさらなるトラック(1302)の少なくとも1つが、前記ボア(102)の外側に配置される、請求項11に記載の位置決めシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(1001)が、前記少なくとも1つのトラック(501)に沿って配置された機械的結合部材(1002)によって前記スライダ(504)に機械的に結合される、請求項
1に記載の位置決めシステム。
【請求項15】
前記可動物体(550)の所望の位置又は所望の向きに基づいて、前記少なくとも1つのアクチュエータ(1001)によって前記複数のスライダ(504)の前記少なくとも1つを自動的に制御するように構成された制御ユニット(1901)をさらに備える、請求項
1に記載の位置決めシステム。
【請求項16】
前記装置(100)が、医用装置、特に医用イメージング装置又は放射線治療装置を含む、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項17】
前記可動物体(550)が、エンドエフェクタ(1350)又はエンドエフェクタ(1350)を取り付けるためのスロットを備える、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項18】
前記エンドエフェクタ(1350)が、トランシーバ、又は生検器具、外科用器具もしくは物質を適用するためのアプリケータなどの医用機器を含む、請求項
17に記載の位置決めシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの関節部材(506)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの関節部材(506)の前記少なくとも1つ又は前記可動物体(550)が交換され得るように、前記複数のスライダ(504)の前記1つ又は前記可動物体(550)に取り外し可能に接続されるように構成される、請求項1に記載の位置決めシステム。
【請求項20】
装置のボア内に可動物体を位置決めする方法であって、
前記ボアの内面に沿って少なくとも1つのトラックを配置するステップ(2001)と、
前記少なくとも1つのトラック上に複数のスライダを設けるステップ(2002)であって、前記複数のスライダが、少なくとも1つのヒンジ接続を介して前記可動物体に機械的に結合される、ステップ(2002)と、
少なくとも1つの関節部材を準備するステップ(2003)であって、各関節部材が、前記関節部材の第1の端部で第1のヒンジ接続を介して前記複数のスライダの1つに接続され、各関節部材が、前記関節部材の第2の端部で第2のヒンジ接続を介して前記可動物体にさらに接続される、ステップ(2003)と、
前記複数のスライダの各々を、前記少なくとも1つのトラックに沿って独立して摺動するように制御するステップ(2004)と、
を含む、方法。
【国際調査報告】