(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】代替肉組成物のための感覚改質剤
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240628BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240628BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20240628BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240628BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240628BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240628BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20240628BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L13/00 Z
A23L13/00 A
A23J3/00 502
A23J3/14
A23J3/16
A23L5/00 H
A23L29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576038
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022073010
(87)【国際公開番号】W WO2022266667
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】パール、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サランガパーニ、ラーマ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】シュメルツァー、ウェイド ノーラン
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、コナー
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC02
4B035LG01
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4B047LG29
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4B047LG41
(57)【要約】
植物ベースのタンパク質及び感覚改質剤を有する代替肉組成物であって、感覚改質剤を含まない同等の代替肉組成物と比較して苦味及び/又は植物タンパク質風味が低減されている、代替肉組成物。感覚改質剤は、ジカフェオイルキナ酸又はその塩、並びにモノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代替肉組成物であって、
少なくとも2.0%(重量)の植物ベースのタンパク質、及び
0.001%(重量)~1.0%(重量)の間の感覚改質剤であって、
ジカフェオイルキナ酸又はその塩と、
モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む、感覚改質剤を含む、代替肉組成物。
【請求項2】
前記感覚改質剤が、前記感覚改質剤の乾燥重量基準での重量パーセンテージとして、0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タータレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は0.05%(重量)未満のクロロフィル、又は0.1%(重量)未満のフラン、フラン含有化学物質、テオブロミン、テオフィリン、若しくはトリゴネリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記感覚改質剤が、0%(重量)のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0%(重量)のクロロフィルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記感覚改質剤が、前記組成物の0.001重量%~0.5重量%、0.005重量%~0.1重量%、0.01重量%~0.05重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ジカフェオイルキナ酸又はジカフェオイルキナ塩が、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記感覚改質剤中に存在する全てのジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ塩の合計が、前記感覚改質剤の総重量の10%(重量)以上、15重量%以上、20%(重量)以上、25%(重量)以上、30%(重量)以上、35%(重量)以上、40%(重量)以上、45%(重量)以上、50%(重量)以上、60%(重量)以上、70%(重量)以上、25~75%(重量)、又は40~60%(重量)を占める、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記感覚改質剤が、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるモノカフェオイルキナ構成成分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記感覚改質剤が、モノカフェオイルキナ構成成分とジカフェオイルキナ構成成分とを含み、前記モノカフェオイルキナ構成成分と前記ジカフェオイルキナ構成成分が一緒になって、前記感覚改質剤の50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を占める、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記植物ベースのタンパク質が、エンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、トウモロコシタンパク質、ジャガイモタンパク質、小麦タンパク質、豆類タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、米タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記代替肉が、50%(重量)~80%(重量)、55%(重量)~75%(重量)、又は58%(重量)~70%(重量)の水を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記代替肉が、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質組成物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記脂質組成物が、植物油、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、キャノーラ油、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記代替肉が、2重量%~30重量%、5重量%~25重量%、8重量%~20重量%、又は10重量%~19重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質が、テクスチャード加工豆類タンパク質、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質、テクスチャード加工大豆粉、テクスチャード加工大豆濃縮物、テクスチャード加工小麦タンパク質、テクスチャード加工ジャガイモタンパク質、又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記代替肉が、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%の粉末化された植物ベースのタンパク質を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記粉末化された植物ベースのタンパク質が、豆類タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質単離物、脱脂大豆粉、脱脂大豆単離物、脱脂大豆濃縮物、活性小麦グルテン、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質単離物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記代替肉が、メチルセルロースを最大2重量%又は0.1重量%~2重量%の量で含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
73.9℃の内部温度に調理された場合に、前記組成物の植物タンパク質風味の強度が、前記感覚改質剤を用いずに調製された同等の組成物中の植物タンパク質風味の強度と比較して低減される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記植物タンパク質風味が、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される風味である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
73.9℃の内部温度に調理された場合に、前記組成物の苦味強度が、前記感覚改質剤を用いずに調製された同等の組成物中の苦味強度と比較して低減される、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
代替肉組成物中の植物タンパク質風味を減少させる方法であって、
植物ベースのタンパク質を含む代替肉組成物に、感覚改質剤を添加して改質された代替肉組成物を作製する工程であって、前記感覚改質剤が、ジカフェオイルキナ酸又はその塩類と、モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸及びそれらの塩類からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む工程を含み、
73.9℃の内部温度に調理された場合に、前記改質された代替肉組成物の植物タンパク質風味が、前記感覚改質剤を用いずに調製した同等の代替肉組成物中の植物タンパク質風味と比較して低減される、方法。
【請求項22】
前記植物タンパク質風味が、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される風味である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記調理済みの改質された代替肉の苦味強度が、前記感覚改質剤を用いずに調製した同等の代替肉組成物における苦味強度と比較して低減される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記感覚改質剤が、前記感覚改質剤の乾燥重量基準での重量パーセンテージとして、0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タータレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は0.05%(重量)未満のクロロフィル、又は0.1%(重量)未満のフラン、フラン含有化学物質、テオブロミン、テオフィリン、若しくはトリゴネリンを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記感覚改質剤が、0%(重量)のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0%(重量)のクロロフィルを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記感覚改質剤が、前記改質された代替肉組成物の0.001重量%~0.5重量%、0.005重量%~0.1重量%、0.01重量%~0.05重量%である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ジカフェオイルキナ酸又はジカフェオイルキナ塩が、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記感覚改質剤中に存在する全てのジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ塩の合計が、前記感覚改質剤の総重量の10%(重量)以上、15重量%以上、20%(重量)以上、25%(重量)以上、30%(重量)以上、35%(重量)以上、40%(重量)以上、45%(重量)以上、50%(重量)以上、60%(重量)以上、70%(重量)以上、25~75%(重量)、又は40~60%(重量)を占める、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記感覚改質剤が、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるモノカフェオイルキナ構成成分を含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記感覚改質剤が、モノカフェオイルキナ構成成分とジカフェオイルキナ構成成分とを含み、前記モノカフェオイルキナ構成成分及び前記ジカフェオイルキナ構成成分が一緒になって、前記感覚改質剤の50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を占める、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記非肉タンパク質が、エンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、トウモロコシタンパク質、ジャガイモタンパク質、小麦タンパク質、豆類タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、米タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される植物ベースのタンパク質を含む、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記改質された代替肉組成物iが、50%(重量)~80%(重量)、55%(重量)~75%(重量)、又は58%(重量)~70%(重量)の水を含む、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記改質された代替肉組成物が、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質組成物を含む、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
植物油、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、キャノーラ油、又はそれらの組み合わせを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記改質された代替肉組成物が、2重量%~30重量%、5重量%~25重量%、8重量%~20重量%、又は10重量%~19重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含む、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質が、テクスチャード加工豆類タンパク質、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質、テクスチャード加工大豆粉、テクスチャード加工大豆濃縮物、テクスチャード加工小麦タンパク質、テクスチャード加工ジャガイモタンパク質、又はこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記改質された代替肉組成物が、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%の粉末化された植物ベースのタンパク質を含む、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記粉末化された植物ベースのタンパク質が、豆類タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質単離物、脱脂大豆粉、脱脂大豆単離物、脱脂大豆濃縮物、活性小麦グルテン、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質単離物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記改質された代替肉が、最大2重量%又は0.5重量%~2重量%の量のメチルセルロースを含む、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
植物ベースのタンパク質風味が低減された代替肉組成物を調製するための方法であって、
(i)テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を水の第1の部分で水和させる工程と、
(ii)可溶性の植物ベースのタンパク質と、ゲル化剤と、水の第2の部分とを組み合わせて、生地を形成する工程と、
(iii)前記水和したテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を前記生地に混合する工程と、
(iv)脂質組成物を前記水和したテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質生地混合物に添加する工程とを含み、
ジカフェオイルキナ酸又はその塩類と、モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含む感覚改質剤が、工程(i)、工程(ii)、工程(iii)、工程(iv)又はそれらの組み合わせにおいて、最終代替肉組成物の0.001重量%~1.0重量%の濃度で添加される、方法。
【請求項41】
前記代替肉が、50%(重量)~80%(重量)、55%(重量)~75%(重量)、又は58%(重量)~70%(重量)の水を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記代替肉組成物が、1重量%~10重量%、2重量%~8重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の前記脂質組成物を含む、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記脂質組成物が、植物油、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、キャノーラ油、又はこれらの組み合わせを含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記代替肉組成物が、5重量%~30重量%、8重量%~25重量%、10重量%~20重量%、又は12重量%~19重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含む、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質が、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質、テクスチャード加工大豆粉、テクスチャード加工大豆濃縮物、テクスチャード加工小麦タンパク質、テクスチャード加工ジャガイモタンパク質、又はこれらの組み合わせを含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記代替肉組成物が、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%の可溶性の粉末化された植物ベースのタンパク質を含む、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記可溶性の粉末化された植物ベースのタンパク質が、エンドウ豆タンパク質単離物、脱脂大豆粉、脱脂大豆単離物、脱脂大豆濃縮物、活性小麦グルテン、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質単離物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項40~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記代替肉組成物が、メチルセルロースを最大2重量%又は0.5重量%~2重量%の量で含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記感覚改質剤が、工程(ii)において添加される、請求項40~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記代替肉が、0.001%(重量)~0.5%(重量)の前記感覚改質剤を含む、請求項40~49のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/212,381号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
植物ベースの代替肉に対する需要は、様々な理由で増加している。多くの消費者は、動物肉に最も類似して機能する代替肉の選択肢を好む。しかしながら、場合によっては、消費者は、植物ベースのタンパク質を用いて調製された代替肉の感覚的及び時間的味覚プロファイルが苦く、不快な口当たりを有し、不快な後味を有すると認識することがある。これらの感覚特性は、これらの製品に対する消費者の選好を制限し、代替肉組成物の用途を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、少なくとも2.0%(重量)の植物ベースのタンパク質と、ジカフェオイルキナ酸又はその塩を含む0.001%(重量)~1.0%(重量)の感覚改質剤と、モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有する組成物を提供する。植物ベースのタンパク質は、エンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、トウモロコシタンパク質、ジャガイモタンパク質、小麦タンパク質、豆類タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、キャノーラタンパク質、米タンパク質、ヒマワリタンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0004】
感覚改質剤は、感覚改質剤の乾燥重量基準での重量パーセンテージとして、0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タータレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は0.05%(重量)未満のクロロフィル、又は0.1%(重量)未満のフラン、フラン含有化学物質、テオブロミン、テオフィリン、若しくはトリゴネリンを含み得る。感覚改質剤は、0%(重量)のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0%(重量)のクロロフィルを含み得る。ジカフェオイルキナ酸又はジカフェオイルキナ塩(dicaffeoylquinic salt)は、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。いくつかの態様では、感覚改質剤中に存在する全てのジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ塩の合計は、感覚改質剤の総重量の10%(重量)以上、15重量%以上、20%(重量)以上、25%(重量)以上、30%(重量)以上、35%(重量)以上、40%(重量)以上、45%(重量)以上、50%(重量)以上、60%(重量)以上、70%(重量)以上、25~75%(重量)、又は40~60%(重量)を占める。感覚改質剤は、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるモノカフェオイルキナ構成成分を含み得る。感覚改質剤は、モノカフェオイルキナ構成成分とジカフェオイルキナ構成成分とを含み得、モノカフェオイルキナ構成成分及びジカフェオイルキナ構成成分は一緒になって、感覚改質剤の50%(重量)超、好ましくは60%(重量)超、70%(重量)超、80%(重量)超、90%(重量)超、又は95%(重量)超を占める。感覚改質剤は、組成物の0.001重量%~0.5重量%、0.005重量%~0.1重量%、0.01重量%~0.05重量%であってもよい。
【0005】
組成物は、50%(重量)~80%(重量)、55%(重量)~75%(重量)、又は58%(重量)~70%(重量)の水を更に含み得る。代替肉は、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質組成物を含み得る。脂質組成物は、植物油、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、キャノーラ油、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替肉は、2重量%~30重量%、5重量%~25重量%、8重量%~20重量%、又は10重量%~19重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含み得る。テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質は、テクスチャード加工豆類タンパク質、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質、テクスチャード加工大豆粉、テクスチャード加工大豆濃縮物、テクスチャード加工小麦タンパク質、テクスチャード加工ジャガイモタンパク質、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替肉は、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のテクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質を含み得る。テクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質は、豆類タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質単離物、脱脂大豆粉、脱脂大豆単離物、脱脂大豆濃縮物、活性小麦グルテン、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質単離物、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替肉は、メチルセルロースを最大2重量%又は0.1重量%~2重量%の量で含み得る。
【0006】
例えば、本開示は、73.9℃の内部温度に調理された場合に、組成物の植物タンパク質風味の強度が、感覚改質剤を用いずに調製された同等の組成物中の植物タンパク質風味の強度と比較して低減される、代替肉組成物を提供する。植物タンパク質風味は、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ様、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される風味であり得る。73.9℃の内部温度に調理された場合に、代替肉組成物の苦味強度は、感覚改質剤を用いずに調製された同等の組成物中の苦味強度と比較して低減され得る。
【0007】
本開示はまた、代替肉組成物中の植物タンパク質風味を減少させるための方法であって、植物ベースのタンパク質を含む代替肉組成物に、感覚改質剤を加えて改質された代替肉組成物を作製する工程であって、感覚改質剤が、ジカフェオイルキナ酸又はその塩と、モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む、工程を含み、73.9℃の内部温度に調理された場合に、改質された代替肉組成物の植物タンパク質風味が、感覚改質剤を用いずに調製された同等の代替肉組成物中の植物タンパク質風味と比較して低減される、方法を提供する。植物タンパク質風味は、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ様、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される風味であり得る。調理済みの改質された代替肉の苦味強度は、感覚改質剤を用いずに調製された同等の代替肉組成物中の苦味強度と比較して低減され得る。
【0008】
本開示はまた、植物ベースのタンパク質の風味が低減された代替肉組成物を調製するための方法であって、(i)テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を水の第1の部分で水和させる工程と、(ii)可溶性の植物ベースのタンパク質と、ゲル化剤と、水の第2の部分とを組み合わせて、生地を形成する工程と、(iii)水和したテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を生地に混合する工程と、(iv)水和したテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質の生地混合物に脂質組成物を添加する工程であって、工程(i)、工程(ii)、工程(iii)、工程(iv)又はそれらの組み合わせにおいて、ジカフェオイルキナ酸又はその塩と、モノカフェオイルキナ酸、モノフェルロイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、モノクマロイルキナ酸、ジクマロイルキナ酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む感覚改質剤が、最終的な代替肉組成物の0.001%~1.0重量%の濃度で添加される、工程とを含む方法を提供する。いくつかの態様では、感覚改質剤は工程(ii)において添加される。代替肉は、0.001%(重量)~0.5%(重量)の感覚改質剤を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本特許又は本出願は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許又は本特許出願公開のコピーは、請求及び必要な手数料の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【0010】
図面は、一般に、限定の手段によらないが、例の手段によって、本明細書で考察される様々な態様を例示する。
【
図1】試料1.1(左上)、試料1.2(右上)、試料1.3(左下)、及び試料1.4(右下)を含む、実施例1に従って調製したエンドウ豆タンパク質パティを示す。
【
図2】165°F(約73.9℃)の内部温度まで調理し、両面に焦げ目を付けた後の
図1のエンドウ豆タンパク質パティを示す。
【
図3】試料1.1(左)、試料1.5(中央)、及び試料1.6(右)を含む、実施例3に従って調製したエンドウ豆タンパク質パティを示す図である。
【
図4】165°F(約73.9℃)の内部温度に調理し、両面に焦げ目を付けた後の
図3のエンドウ豆タンパク質パティを示す。
【
図5A】実施例8に従って調製した植物ベースのタンパク質溶液の写真を示す。
【
図5B】実施例8に従って調製した植物ベースのタンパク質溶液の写真を示す。
【
図5C】実施例8に従って調製した植物ベースのタンパク質溶液の写真を示す。
【
図5D】実施例8に従って調製した植物ベースのタンパク質溶液の写真を示す。
【
図5E】実施例8に従って調製した植物ベースのタンパク質溶液の写真を示す。
【
図6A】実施例9に従って調製したエンドウ豆タンパク質単離物溶液の写真を示す。
【
図6B】実施例9に従って調製したエンドウ豆タンパク質単離物溶液の写真を示す。
【
図6C】実施例9に従って調製したエンドウ豆タンパク質単離物溶液の写真を示す。
【
図6D】実施例9に従って調製したエンドウ豆タンパク質単離物溶液の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、開示される主題のある特定の態様が詳細に参照され、その例は、添付の図面に部分的に例示される。開示される主題は、列挙される特許請求の範囲と共に説明されるが、例示される主題は、特許請求の範囲を開示される主題に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0012】
本文書では、用語「a」、「an」、又は「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り、1つ又は2つ以上のものを含むために使用される。用語「又は」は、別段示されない限り、非排他的な「又は」を指すために使用される。本文書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許文献は、参照により個々に組み込まれているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。この文書とこのように参照により組み込まれるそれらの文書との間で使用が一貫していない場合、組み込まれる参考文献における使用は、この文書のものを補足するものであると解釈されるべきである。相容れない矛盾の場合、この文書における使用を優先する。
【0013】
範囲形式で表される値は、範囲の限度として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%及び4%)及び部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。「約X~Y」という記述は、別段示されない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Y、又は約Z」という記述は、別段示されない限り、「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。
【0014】
明示的な記載のない限り、ppm(parts per million、百万分率)は、パーセンテージ、及び比は、重量基準である。重量基準のパーセンテージは、以下で重量%又は%(重量)とも称される。
【0015】
本開示は、植物タンパク質風味が低減された、後味が低減された、口当たりが改善された、ワックス性が低減された、風味がより一貫した、及び/又は苦味が低減されたなどの感覚特性が改善された様々な代替肉組成物に関する。本開示はまた、概して、感覚改質剤及びその使用に関する。様々な態様では、感覚改質剤は、1つ以上のカフェオイル置換キナ酸及びその塩を含有する。本開示は、植物タンパク質ベースの代替肉に関連する望ましくない特性を低減し、本明細書に記載の感覚改質剤を欠く代替肉と比較して改善された組成物を提供する方法に更に関する。
【0016】
組成物
本開示は、非肉タンパク質(例えば、植物ベースのタンパク質)を含有する代替肉組成物、及び使用においてその感覚知覚を改質する役割を果たす様々な改善を提供する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「代替肉」及び「代替肉組成物」は、互換的に使用され、天然動物肉又は天然動物肉組成物の一般的な外観、栄養素含有量、及び/又は味を模倣する組成物であって、大部分の構成成分として、生きている脊椎動物全体に由来する組織又は細胞を含有しない組成物を指す。例えば、代替肉は、動物肉組成物を模倣するが、動物の組織に由来するタンパク質を含まない。いくつかの態様では、代替肉は、任意の乳タンパク質又は卵タンパク質を含む任意の動物タンパク質を含まない。いくつかの態様に関して、代替肉は、乳及び/又は卵タンパク質を含み得ることによって、組織由来の動物タンパク質を含まない。代替肉組成物は、テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質、テクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質(例えば、粉末化された植物ベースのタンパク質、植物ベースのタンパク質単離物、植物タンパク質ベースの粉、植物タンパク質濃縮物)、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「テクスチャード加工タンパク質」及び「テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質」は、互換的に使用され、食用タンパク質源から加工され、繊維、細断片、チャンク、小片、顆粒、スライスなどとして現れる個々の単位が、水和及び調理、又は消費用食品の製造において使用される他の手順に耐えるように、構造的完全性及び識別可能な構造を有することを特徴とする食用食物成分を指す。一般に、テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質は、肉のテクスチャーを模倣し、代替肉組成物中の水と結合するために使用される。テクスチャード加工タンパク質が製造される食用タンパク質源としては、以下に限定されないが、豆科植物(例えば、豆類タンパク質)、エンドウ豆、大豆、トウモロコシ、小麦、ヒヨコ豆、ジャガイモ、キャノーラ、米、ヒマワリなどを挙げることができる。例えば、テクスチャード加工タンパク質としては、以下に限定されないが、テクスチャード加工豆類タンパク質、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質、テクスチャード加工大豆粉、テクスチャード加工大豆濃縮物、テクスチャード加工小麦タンパク質、テクスチャード加工ジャガイモタンパク質、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。タンパク質のテクスチャード加工のための方法は、当技術分野において公知であり、記載されており、例えば、高温高圧押出、スピニング、凍結テクスチャード加工、化学的又は酵素的テクスチャード加工などを含み得る。
【0019】
本明細書に記載の代替肉はまた、テクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質、例えば、粉末化された植物ベースのタンパク質、植物ベースのタンパク質単離物、植物タンパク質ベースの粉、植物タンパク質濃縮物、これらの組み合わせなどを含み得る。粉末化された植物ベースのタンパク質及び植物ベースのタンパク質単離物は、食品成分として使用される可溶性形態の植物ベースのタンパク質を含み得る。テクスチャード加工されていないタンパク質が製造され得る食用タンパク質源としては、以下に限定されないが、豆科植物(例えば、豆類タンパク質)、エンドウ豆、大豆、トウモロコシ、小麦、ヒヨコ豆、ジャガイモ、キャノーラ、米、ヒマワリなどを挙げることができる。例えば、テクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質としては、以下に限定されないが、豆科植物(例えば、豆類タンパク質)、エンドウ豆タンパク質、脱脂大豆粉、脱脂大豆単離物、大豆濃縮物、活性小麦グルテン、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質単離物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「非肉タンパク質」は、植物、真菌、昆虫、又は乳製品に由来するタンパク質を指し、in vivoの脊椎動物由来の組織、細胞、又はタンパク質を除外する。例えば、非肉タンパク質としては、植物ベースのタンパク質、真菌ベースのタンパク質、昆虫タンパク質、乳タンパク質(例えば、カゼイン及び乳清)、卵タンパク質、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。代替肉は、植物ベースのタンパク質、真菌ベースのタンパク質、及び昆虫タンパク質のうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0021】
好適な真菌ベースのタンパク質としては、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)由来のマイコタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。真菌ベースのタンパク質は、真菌及び/若しくは微生物バイオマスの形態で、又はフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)抽出物を含むがこれに限定されない真菌抽出物の形態で、代替肉組成物に組み込まれてもよい。
【0022】
いくつかの態様では、代替肉は、牛肉製品、例えば、牛挽肉、ステーキ、ビーフジャーキー、牛肉リブ、牛肉パティ、牛肉ソーセージなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、豚肉製品、例えば、豚肉挽肉、ポークチョップ、ハム、燻製豚肉、ベーコン、ポークソーセージ、豚肉パティ、豚肉リブなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、鶏肉製品、例えば、鶏挽肉、鶏むね、チェックレッグ(check legs)、鶏モモ、手羽先、鶏パティ、鶏ささみ、チキンナゲット、チキンソーセージなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、七面鳥製品、例えば、挽いた七面鳥、七面鳥ソーセージ、七面鳥パティなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、全筋の魚肉製品、例えば、サケ、マグロなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、甲殻類製品、例えば、カニ、ロブスター、エビ、ザリガニ、ハマグリ、ホタテガイ、カキ、イガイなどを模倣し得る。いくつかの態様では、代替肉は、塩漬け(cured)肉、塩漬け(salted)肉、発酵肉、又は加工肉製品、例えば、肉加工食品、サラミ、サマーソーセージ、生ハム、ボローニャ、キィエルバサなどを模倣し得る。
【0023】
一般に、本明細書に記載の代替肉組成物は、非肉タンパク質(例えば、植物ベースのタンパク質)を含み、水、脂質組成物、繊維、デンプン、ゲル化剤(例えば、メチルセルロース)、防腐剤、色素、風味、又はこれらの組み合わせを任意選択的に含む。代替肉は、挽肉及び成形肉(例えば、牛挽肉、ソーセージ、又は生肉が挽肉及び再成形された別の肉製品)、デリ肉又は乳化肉(例えば、ホットドック、ボローニャ、及び他の加工肉)、又は全筋からの切り身(例えば、動物由来の全筋からの鶏むね、ステーキなど)を模倣する形態であり得る。代替肉は、テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質、テクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替肉は、2重量%~30重量%、5重量%~25重量%、8重量%~20重量%、又は10重量%~19重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含み得る。代替肉は、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、20重量%~40重量%、又は25重量%~35重量%のテクスチャード加工されていない植物ベースのタンパク質を含み得る。
【0024】
テクスチャード加工された植物ベースのタンパク質は、高水分処理、例えば押出の生成物であってもよい。例えば、2重量%~30重量%、5重量%~25重量%、8重量%~20重量%、又は10重量%~19重量%の植物ベースのタンパク質を高水分加工に使用して、高水分テクスチャード加工タンパク質製品を形成することができる。一般に、植物ベースのタンパク質は、繊維、デンプンなども任意選択的に含むスラリーの一部として高水分処理に添加されてもよい。
【0025】
代替肉は、1つ以上の脂質組成物、例えば、脂肪、油、又はこれらの組み合わせを含み得る。一般に、脂肪は室温で固体である脂質組成物を指し、一方、油は室温で液体である。脂質組成物は、飽和脂肪酸(「飽和脂肪」とも呼ばれる)、不飽和脂肪酸(「不飽和脂肪」とも呼ばれる)、又はこれらの組み合わせを、典型的には遊離脂肪酸の代わりにモノ-、ジ-、又はトリ-アシルグリセリドの形態で含み得る。脂質組成物は、以下に限定されないが、植物油、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油、大豆油、キャノーラ油、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替肉組成物は、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質組成物を含み得る。
【0026】
一部の態様において、代替肉は、本明細書に記載の脂質組成物の代わりに、又はそれに加えて、脂質模倣物を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「脂質模倣物」は、食品成分として使用される場合、脂質組成物の形態、機能、テクスチャー、口当たり、及び味を模倣するが、それが置き換わる脂質よりも低い脂肪含量を有する化合物又は組成物を指す。本明細書に記載の代替肉組成物において使用するための脂質模倣物としては、以下に限定されないが、繊維、デンプン、炭水化物、タンパク質、これらの水和形態、これらの構造化形態、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの態様では、脂質模倣物は植物抽出物であってもよい。代替肉組成物は、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質模倣物を含み得る。脂質模倣物が脂質組成物と組み合わせて使用される場合、代替肉は、1重量%~25重量%、1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、2.5重量%~10重量%、3重量%~8重量%、又は4重量%~7重量%の脂質模倣物と脂質組成物との組み合わせを含み得る。
【0027】
代替肉は、水を含み得る。例えば、代替肉は、50%(重量)~80%(重量)、55%(重量)~75%(重量)、又は58%(重量)~70%(重量)の水を含み得る。いくつかの態様では、水の一部又は全てが高水分テクスチャード加工タンパク質製品に含まれ得る。
【0028】
いくつかの態様では、代替肉組成物は、使用前に再水和される乾燥ミックス代替肉組成物であってもよい。例えば、乾燥ミックス代替肉組成物は、添加水を含まなくてもよいが、好適な量の水で再構成されると、本明細書に記載されている代替肉組成物を形成する。いくつかの態様では、乾燥ミックス代替肉組成物は、75重量%~100重量%のテクスチャード加工された植物ベースのタンパク質を含み得、繊維、デンプン、粉末脂質組成物、ゲル化剤、防腐剤、色素、風味、及び/又は調味料を、水で再構成した場合に、得られる代替肉組成物が本明細書に記載の濃度で成分を含むような濃度で任意選択的に含み得る。
【0029】
代替肉は、繊維を含み得る。繊維としては、以下に限定されないが、ペクチン、アップル繊維、サイリウム、亜麻繊維、米糠エキス、コンニャク粉などを挙げることができる。代替肉は、0.1%(重量)~3%(重量)、0.1%(重量)~2%(重量)、又は0.5%(重量)~2%(重量)の繊維を含み得る。代替肉は、繊維を最大1%(重量)、最大1.5%(重量)、最大2%(重量)、最大2.5%(重量)、又は最大3%(重量)の量で含み得る。
【0030】
代替肉はデンプンを含み得る。デンプンは、アルファ化デンプン、加工デンプン、又はこれらの組み合わせを含み得る。デンプンとしては、以下に限定されないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプンなどを挙げることができる。代替肉は、0.1%(重量)~3%(重量)、0.1%(重量)~2%(重量)、又は0.5%(重量)~2%(重量)のデンプンを含み得る。代替肉は、デンプンを最大1%(重量)、最大1.5%(重量)、最大2%(重量)、最大2.5%(重量)、又は最大3%(重量)の量で含み得る。
【0031】
代替肉は、ゲル化剤を含み得る。ゲル化剤としては、以下に限定されないが、メチルセルロース、卵白タンパク質、カゼイン、ペクチン、親水コロイド(例えば、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムなど)、架橋酵素(例えば、トランスグルタミナーゼ)、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの態様では、大豆、キャノーラ、又はジャガイモタンパク質などの植物ベースのタンパク質を使用することにより、ゲル化剤を添加する必要性を排除又は低減することができる。代替肉は、0.1%(重量)~3%(重量)、0.1%(重量)~2%(重量)、又は0.5%(重量)~2%(重量)のゲル化剤を含み得る。代替肉は、最大1%(重量)、最大1.5%(重量)、最大2%(重量)、最大2.5%(重量)、又は最大3%(重量)の量でゲル化剤を含み得る。
【0032】
いくつかの態様では、ゲル化剤はメチルセルロースである。代替肉は、0.1%(重量)~3%(重量)、0.1%(重量)~2%(重量)、又は0.5%(重量)~2%(重量)のメチルセルロースを含み得る。代替肉は、メチルセルロースを最大1%(重量)、最大1.5%(重量)、最大2%(重量)、最大2.5%(重量)、又は最大3%(重量)の量で含み得る。
【0033】
代替肉は防腐剤を含み得る。例えば、代替肉は、ソルビン酸カリウム、培養デキストロース、酢などの防腐剤を含み得る。
【0034】
代替肉は、色素を含み得る。代替肉組成物のための色素は、当技術分野において公知であり、記載されており、以下に限定されないが、果実及び野菜抽出物(例えば、ビートジュース及びビート抽出物)、ヘム含有タンパク質などを含み得る。
【0035】
代替肉は、風味又は調味料を含み得る。例えば、代替肉は、天然又は人工の風味及び/又は調味料を含み得る。調味料としては、以下に限定されないが、イーストエキストラクト、スパイス、パプリカ、ニンニク(例えば、ニンニク粉末、刻みニンニク、脱水ニンニク)、タマネギ(例えば、タマネギ粉末、刻みタマネギ、脱水タマネギ物)、オレガノ、パセリ、甘味料、塩(例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウム)、カイエンヌ、チリパウダー、クミン、ショウガなどを挙げることができる。
【0036】
代替肉は、甘味料を含み得る。好適な甘味料は、当技術分野において既知であり、記載されている。甘味料は、ノンカロリー甘味料又はカロリー甘味料のうちの少なくとも1つであり得る。甘味料は、任意の種類の甘味料、例えば、植物若しくは植物製品から得られた甘味料、又は植物から得られた物理的若しくは化学的に修飾された甘味料、又は合成甘味料であり得る。例示的な甘味料としては、ステビオールグリコシド、モグロサイド、スクロース、フルクトース、グルコース、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、a-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、フクロース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖類(キシロトリオース、及びキシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖類(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、及びゲンチオテトラオースなど)、ガラクトオリゴ糖類、ソルボース、ケトトリオース(デヒドロキシアセトン)、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)、ニゲロオリゴ糖類、フルクトオリゴ糖類(ケストース、及びニストースなど)、マルトテトラオース、マルトトリオース、四糖類、マンナンオリゴ糖類、マルトオリゴ糖類(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、及びマルトヘプタオースなど)、デキストリン類、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、サッカリン、カップリング糖類、大豆オリゴ糖類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。適用可能な場合、D又はL構成を使用することができる。好適な甘味料及びそれらの態様もまた、国際公開第2019/071220号及び同第2019/071182号、並びに米国特許出願公開第2019/0223481号及び同第2019/0223483号に記載されており、これらは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
感覚改質剤
感覚改質剤は、ある特定の量で、消耗品、例えば、飲料、食品製品などの感覚特徴又は感覚特性を変化させる化合物又は組成物である。感覚改質剤が変化させ得る感覚特性の非限定的な例としては、苦味、酸味、しびれ、渋味、クリーミーさ、金属性、凝固、乾燥、甘味、デンプン質、口当たり、甘味の時間的側面、塩味の時間的側面、苦味の時間的側面、又は本明細書に記載の任意の感覚特徴の時間的側面、並びに風味ノート、例えば甘草、バニラ、プルーン、綿菓子、乳酸、旨味、及び糖蜜風味のノートが挙げられる。感覚改質剤は、クリーミーさを増強するなど、感覚特徴を増強し得るか、苦味を低減するか若しくは植物タンパク質風味を低減するなど、感覚特徴を抑制し得るか、又は例えば、植物タンパク質風味の残存を低減すること若しくはこれらの組み合わせによって感覚特徴の時間的側面を変化させ得る。いくつかの態様では、植物ベースのタンパク質及び1つ以上の感覚改質剤を有する代替肉又は植物ベースのタンパク質組成物中で用いられる量は、少なくとも1つの感覚特徴を変化させ、例えば、この組み合わせは、感覚改質剤を含まない代替肉又は植物ベースのタンパク質組成物と比較して苦味が低減され得るか又は植物タンパク質風味が低減され得る。
【0038】
本開示は、1つ以上のカフェオイル置換キナ酸と、その塩とを含む感覚改質剤を提供する。様々な態様では、カフェオイル置換キナ酸は、カフェ酸のカルボン酸及びキナ酸のアルコールから得られるエステルを含む。「カフェオイル置換キナ酸」又は「カフェオイルキナ酸」は、それらの用語が本明細書で使用される場合、モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸並びにそれらの塩を含む。モノカフェオイルキナ酸は、単一のカフェイン酸、及びキナ酸(例えば、クロロゲン酸(5-O-カフェオイルキナ酸)、ネオクロロゲン酸(3-O-カフェオイルキナ酸)、及びクリプトクロロゲン酸(4-O-カフェオイルキナ酸))から得られるエステルを含む。ジカフェオイルキナ酸は、2つのカフェイン酸、及びキナ酸(例えば、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸)から得られるエステルを含む。したがって、感覚改質剤は、カフェオイル置換キナ酸の酸形態及び塩形態の両方を含む。様々なカフェオイル置換キナ酸の遊離酸形態が表1に示される。
【0039】
【0040】
様々な態様では、感覚改質剤は、キナ酸、カフェイン酸、フェルラ酸、シナピン酸、p-クマル酸、キナ酸のエステル、カフェイン酸のエステル、フェルラ酸のエステル、シナピン酸のエステル、p-クマル酸のエステル、カフェイン酸及びキナ酸のエステル、単一のカフェイン酸部分を含むカフェ酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のカフェイン酸部分を含むカフェイン酸及びキナ酸のエステル、フェルラ酸及びキナ酸のエステル、単一のフェルラ酸部分を含むフェルラ酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のフェルラ酸部分を含むフェルラ酸及びキナ酸のエステル、シナピン酸及びキナ酸のエステル、単一のシナピン酸部分を含むシナピン酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のシナピン酸部分を含むシナピン酸及びキナ酸のエステル、p-クマル酸及びキナ酸のエステル、単一のp-クマル酸部分を含むp-クマル酸及びキナ酸のエステル、2つ以上のp-クマル酸部分を含むp-クマル酸及びキナ酸のエステル、1つのカフェイン酸部分及び1つのフェルラ酸部分を含有するキナ酸のジ-エステル、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のカフェイン酸エステル、酒石酸のカフェイン酸エステル、2つ以上のカフェイン酸部分を含有する酒石酸のカフェイン酸エステル、並びに/又はそれらの異性体、及び対応する塩のうちの1つ以上を更に含む。
【0041】
いくつかの態様では、感覚改質剤は、クロロゲン酸(5-O-カフェオイルキナ酸)、ネオクロロゲン酸(3-O-カフェオイルキナ酸)、クリプトクロロゲン酸(4-O-カフェオイルキナ酸)、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、3-O-フェルロイルキナ酸、4-O-フェルロイルキナ酸、5-O-フェルロイルキナ酸、1,3-ジフェルロイルキナ酸、1,4-ジフェルロイルキナ酸、1,5-ジフェルロイルキナ酸、3,4-ジフェルロイルキナ酸、3,5-ジフェルロイルキナ酸、4,5-ジフェルロイルキナ酸、ロスマリン酸、カフタル酸(モノカフェオイル酒石酸)、チコリ酸(cichoric acid)(ジカフェオイル酒石酸)及び塩、並びに/又はそれらの異性体、及び対応する塩のうちの1つ以上を含む。
【0042】
いくつかの態様では、感覚改質剤は、クロロゲン酸(5-O-カフェオイルキナ酸)、ネオクロロゲン酸(3-O-カフェオイルキナ酸)、クリプトクロロゲン酸(4-O-カフェオイルキナ酸)、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの任意の組み合わせ、それらの異性体、及び対応する塩からなるリストから選択される1つ以上の化合物から本質的になる。様々な態様では、カフェオイル部分の1つ以上のアルコールは、水素で置換されるか、又はC1~C10アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)、C1~C10アルケニル、C6~C10アリール、C2~C10アシル、アクリレート、カフェオイル、o-クマロイル、p-クマロイル、m-クマロイル、シンナモイル、4-ヒドロキシシンナモイル、フェルロイル、イソ-フェルロイル、シナポイル、ガロイル、サルフェート、ホスフェート、若しくはホスホネートで置換される。したがって、修飾及び置換されたカフェイン酸部分は、ケイ皮酸、o-クマロイル、p-クマリン酸、m-クマリン酸、フェルラ酸、並びにそれらのアシル及びエステル形態をもたらす。様々な態様では、キナ酸部分の1つ以上のアルコールは、C1~C10アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)、C1~C10アルケニル、C6~C10アリール、C2~C10アシル、アクリレート、カフェオイル、o-クマロイル、p-クマロイル、m-クマロイル、シンナモイル、4-ヒドロキシシンナモイル、フェルロイル、イソ-フェルロイル、シナポイル、ガロイル、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートで置換される。
【0043】
感覚改質剤は、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のカフェイン酸エステル、酒石酸のカフェイン酸エステル、キナ酸のフェルラ酸エステル、又はカフェオイルキナ酸以外のキナ酸の任意の他の任意選択的に置換されたシンナモイルエステルのうちの1つ以上を含み得る。キナ酸のフェルラ酸エステルの例としては、3-O-フェルロイルキナ酸、4-O-フェルロイルキナ酸、5-O-フェルロイルキナ酸、1,3-ジフェルロイルキナ酸、1,4-ジフェルロイルキナ酸、1,5-ジフェルロイルキナ酸、3,4-ジフェルロイルキナ酸、3,5-ジフェルロイルキナ酸、4,5-ジフェルロイルキナ酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のカフェイン酸エステルの一例は、ロスマリン酸である。酒石酸のカフェイン酸エステルの例としては、チコリ酸(ジカフェオイル酒石酸)及びカフタル酸(モノカフェオイル酒石酸)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
代替の態様では、感覚改質剤は、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)乳酸のカフェイン酸エステル、酒石酸のカフェイン酸エステル、キナ酸のフェルラ酸エステル、又はカフェオイルキナ酸以外のキナ酸の任意の他の任意選択的に置換されたシンナモイルエステルのうちの1つ以上からなる混合物である。このような感覚改質剤はまた、塩画分及び酸画分を有するようにその塩も含む。したがって、カフェオイルキナ酸及び他の感覚改質剤に関連する、本明細書に記載される様々な態様の各々が、この代替手段に等しく適用可能であり得ることが更に想定される。
【0045】
コーヒー酸は、以下の構造を有する:
【0046】
【0047】
キナ酸は、以下の構造を有する:
【0048】
【0049】
上記に提供される構造は、D-(-)-キナ酸であり、示される数字は、現行のIUPAC番号付けに対応する。
【0050】
様々な態様では、感覚改質剤は、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上が濃縮され得る。用語「濃縮された」は、感覚改質剤中に存在する1つ以上の他の化合物と比較して、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つの量の増加を指す。カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上が濃縮されている感覚改質剤は、代替肉組成物の感覚特性を改質することができる。
【0051】
1つ以上のジカフェオイルキナ酸が濃縮された感覚改質剤は、代替肉組成物の感覚特性を改質することができる。ジカフェオイルキナ酸が濃縮されている感覚改質剤は、感覚改質剤の総重量のパーセンテージとして、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上のジカフェオイルキナ酸を含み得る。
【0052】
様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、モノカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、クロロゲン酸(5-O-カフェオイルキナ酸)及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、ネオクロロゲン酸(3-O-カフェオイルキナ酸)及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、クリプトクロロゲン酸(4-O-カフェオイルキナ酸)及びその塩であり得る。
【0053】
様々な更なる態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、1,3-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、1,4-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、1,5-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、3,4-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、3,5-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。様々な態様では、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は少なくとも若しくは約50重量%は、4,5-ジカフェオイルキナ酸及びその塩であり得る。
【0054】
感覚改質剤は、例えば、20:1~1:20、例えば、3:1~1:20のモノカフェオイルキナ酸及び塩全体のジカフェオイルキナ酸及び塩全体に対する重量比を有することができる。様々な態様では、感覚改質剤は、15:1~1:15、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、5:1~1:1、3:1~1:1、2:1~1:1、1.5:1~1:1.1、1:1~1:20、1:1~1:15、1:1~1:10、1:5~1:20、1:5~1:15、1:5~1:10、1:2~1:20、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:1~1:3、1:1~1:2、又は1:1~1:1.5のモノカフェオイルキナ酸及びその塩:ジカフェオイルキナ酸及びその塩の重量比を有する。いくつかの態様では、感覚改質剤は、モノカフェオイルキナ酸及びモノカフェオイルキナ酸の塩の量と比較して、重量でより大量のジカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸の塩を有する。様々な態様では、感覚改質剤は、約1:1のモノカフェオイルキナ酸:ジカフェオイルキナ酸(それらの塩を含む)の比を有する。
【0055】
本明細書に提供される感覚改質剤は、塩形態である部分(「塩画分」に対応する)、及び酸形態である部分(「酸画分」に対応する)を含有し得る。様々な態様では、塩画分は、感覚改質剤全体の少なくとも50重量%を占める。様々な態様では、感覚改質剤は、塩画分及び酸画分を含み、塩画分は、モノカフェオイルキナ酸の塩及びジカフェオイルキナ酸の塩のうちの1つ以上を含み、酸画分は、モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上を含み、塩画分は、感覚改質剤全体の少なくとも50重量%を含む。
【0056】
例えば、塩画分は、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は少なくとも若しくは約90重量%を含む。更なる態様では、塩画分は、感覚改質剤全体の約60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%(若しくはそれら未満)、又は約90重量%(若しくはそれ未満)を含む。なお更なる態様では、塩画分は、感覚改質剤全体の50重量%~90重量%、50重量%~80重量%、50重量%~75重量%、60重量%~90重量%、60重量%~80重量%、65重量%~80重量%、又は65重量%~75重量%を含む。別段の定めがない限り、塩画分の重量%は、平衡カチオン種を含めて計算されるべきである。
【0057】
更なる例では、酸画分は、感覚改質剤全体の少なくとも若しくは約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は少なくとも若しくは約45重量%を含む。更なる態様では、酸画分は、感覚改質剤全体の約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%(若しくはそれら未満)、又は約50重量%未満を含む。なお更なる態様では、酸画分は、感覚改質剤全体の5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、15重量%~50重量%、20重量%~50重量%、5重量%~40重量%、10重量%~40重量%、15重量%~40重量%、20重量%~40重量%、5重量%~35重量%、10重量%~35重量%、15重量%~35重量%、20重量%~35重量%、5重量%~30重量%、10重量%~30重量%、15重量%~30重量%、20重量%~30重量%、5重量%~20重量%、10重量%~20重量%、15重量%~20重量%、5重量%~15重量%、10重量%~15重量%、又は5重量%~10重量%を含む。
【0058】
様々な態様では、例えば、水溶液中では、感覚改質剤全体の塩形態は、酸形態と平衡状態で存在する。例えば、特定の塩形態分子は、プロトン化され、したがって酸形態に変換され得、酸形態分子は、脱プロトン化されて塩形態をもたらすことができる。平衡に近づいた又は平衡を達成した後、このような相互作用は、感覚改質剤全体の所与の形態又は画分の全体的な重量%を実質的に変化させない。例えば、感覚改質剤全体の50重量%以上の塩画分を有する組成物は、様々な化合物がある画分から別の画分に交換し得るとしても、塩及び酸画分の同じ割合を維持することができる。
【0059】
塩形態と酸形態との間の平衡が、組成物への構成成分の添加に応答してシフトし得る場合もある。例えば、緩衝液、塩、酸、又は塩基の添加は、平衡をシフトさせて塩画分又は酸画分を選ぶことができ、したがって組成物の重量%を変化させることができる。
【0060】
様々な他の態様では、例えば、固体組成物において、塩形態及び酸形態は、固体状態であり得、塩形態と酸形態との間の割合は動かない。様々な態様では、顆粒状の塩組成物などの固体組成物中の塩画分対酸画分の比は、固体組成物が添加される得られる溶液の比とは異なり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの態様では、固体状態の塩組成物は、溶解するか又は崩壊すると、少なくとも50重量%が塩形態である感覚改質剤を有する溶液をもたらす。
【0061】
感覚改質剤の有効量
本開示の組成物は、感覚改質剤を含まない同等の代替肉組成物と比較して、代替肉組成物の植物タンパク質風味の強度及び異味を低減するのに有効な量で感覚改質剤を含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「植物タンパク質風味」は、植物ベースのタンパク質が食品及び飲料製品中の成分として使用される場合に、当該植物ベースのタンパク質に関連し、且つそれから予想される特徴的な風味を指す。例えば、植物タンパク質風味としては、通常植物ベースのタンパク質から見出され、予想される、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ様、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一般に、ある特定の特徴的な植物タンパク質風味は、ある特定の植物ベースのタンパク質に起因し得る。例えば、エンドウ豆タンパク質は、グリーンノート、エンドウ豆風味、及び干し草風味と関連する場合があり、大豆タンパク質は、豆類の風味及び干し草風味と関連する場合があり、トウモロコシタンパク質は、トウモロコシ風味及び干し草風味と関連する場合があり、ジャガイモタンパク質はイヌビエ風味及び発酵風味と関連する場合がある。
【0063】
本明細書で使用される場合、「異味」は、本明細書に記載されるような物質若しくは組成物に特徴的ではないか、若しくは通常関連しない味若しくは風味プロファイル、及び/又は望ましくない物質若しくは組成物に関連する特徴的な味若しくは風味を指す。例えば、異味は、苦味などの望ましくない味、渋味などの望ましくない口当たり、口内乾燥、悪臭、段ボール、後味、一貫性のない風味などの望ましくない風味(例えば、開始又は強度が不均一な風味、早すぎる又は遅すぎると知覚され得る風味)などであり得る。
【0064】
感覚パネルを使用して、植物タンパク質風味の低減又はその時間的プロファイルのシフトの大きさを決定し、それによって、植物タンパク質風味を低減するのに有効な感覚改質剤の量を定量化することができる。感覚パネルは、食品科学産業に不可欠である科学的及び再現可能な方法である。感覚パネルは、2人以上の個々のパネリストの群を含む。パネリストは、個人的な主観性の影響を回避し、再現性を強化するために、産業において認識された慣行に従って指導される。例えば、パネリストは、試験製品の感覚特性を客観的に評価するが、個人的選好などの主観的特性を提供しない。様々な態様では、感覚パネルは、2人、3人、4人、5人、6人又はそれ以上のパネリストを用いて行うことができ、パネリストは、所与の試料セットについての感覚特性の語彙を特定し、それに同意する。特定の試料を評価した後、パネリストは、強度スケールを使用して各特性について数値強度スコアを割り当てることができる。例えば、強度スケールは、0~6(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=わずか、3=中程度、4=明確、5=強い、6=極度)、0~9(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=かすか、3=わずか、4=軽度、5=中程度、6=明確、7=強い、8=非常に強い、9=極度)、又は0~15の範囲であり得、ここで、0は、特性の不在に対応し、6、9、又は15は、それぞれ、特性の上限極度発生に対応する。パネルは、ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用してもよく、又はパネリストは、感覚特性を個別にスコア付け及び評価してもよい。どちらの形式でも、専門用語に関する考察を指示し、特定の製品及び特性を評価するようにパネルに指示するパネルリーダーを更に含み得る。他の態様では、訓練された感覚パネルを利用して、記述分析又は時間強度方法論を使用して特定の特性を評価することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「パネリスト」は、記述分析などの感覚的方法論に一般的に使用されるものなどの高度に訓練された専門の食味検査員、及び/又は試験される感覚特性に精通した経験のある食味検査員を指す。いくつかの態様では、パネリストは、訓練されたパネリストであり得る。訓練されたパネリストは、試験された製品に関連するそれらの感覚特性と関連付けられた用語及び感覚現象を理解するための訓練を受けており、対象のそれらの感覚特性についての共通の記述子(すなわち、感覚語彙)の使用に関して整列される。例えば、所与の組成物を試験する訓練されたパネリストは、当該組成物と関連する用語及び感覚特性、例えば、塩味、酸味、苦味、渋味、口当たり、酸性度などを理解するであろう。訓練されたパネリストは、試験される感覚特性に相当する参照試料に対して訓練されており、したがって、そのような基準を認識し、定量的に評価するように較正するであろう。いくつかの態様では、パネリストは、熟練した食味検査員であり得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ラウンドテーブルコンセンサスアプローチ」は、パネリストが、アッセイされている特定の感覚特性についての強度スコア及び特性特徴付けに相互に同意する前に、感覚特性及び強度を考察する感覚パネルアッセイ方法論を指す。ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用する感覚パネルは、2人、3人、4人、5人、6人、又はそれ以上のパネリストを含み得る。コンセンサス強度スケールは、0~6(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=わずか、3=中程度、4=明確、5=強い、6=極度)又は0~9(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=かすか、3=わずか、4=軽度、5=中程度、6=明確、7=強い、8=非常に強い、9=極度)の範囲であり得る。試料の所与のセットについて、パネリストは、適用可能な場合、特定の感覚特性についての参照試料又は標準化された試料(感覚アンカーとも称される)を含む、感覚特性の語彙を特定し、それに同意する。所与の感覚特性のために使用される参照試料は、アッセイされる試料及びパネルによって決定される感覚特性の語彙に依存する。当業者は、所与の試料の感覚評価に必要な適切な語彙及び参照又は標準試料を認識するであろう。
【0067】
いくつかの態様では、試料は、パネリストが、適用可能な場合、特定の感覚特性についての参照試料(感覚アンカーとも称される)に対するアッセイ特異的較正を含む、感覚特性及び強度スコアの語彙について同意したか又は指導された後に、パネリストによって独立してスコア付けされ、評価される。共通参照試料の例を以下に記載する。パネリストは、試料を反復して評価することができ、試験している試料を盲検化することができる。試験される試料は、無作為に又は連続した順序でパネリストに提供され得る。いくつかの態様では、無作為化均衡連続順序を使用して、パネリストによって試料を試験することができる。次いで、個々のパネリストからのスコアを、標準的な統計分析方法を使用して評価して、平均感覚強度スコアを決定する。当業者は、所与の試料の感覚評価に必要な適切な語彙及び参照又は標準試料、並びに適切な統計分析方法を認識するであろう。
【0068】
本明細書で使用される場合、「無作為化均衡連続順序」は、順序が無作為化されているが、全てのパネリストにわたって、試料の全ての可能な順序が提示されて、特定の順序で試験される試料に対する偏りを除去する、試料が提示される順序を指す。例えば、2つの試料の無作為化均衡連続順序では、所与のパネリストが試料2の前に試料1を受け取り、試料1の前に試料2を受け取る可能性は等しくなろう。3つの試料(すなわち、試料1、2、及び3)を伴う例では、無作為化均衡連続順序は、パネリストが以下の順序で試料を受け取る等しい可能性を含むであろう:(i)1、2、3;(ii)1、3、2;(iii)2、1、3;(iv)2、3、1;(v)3、2、1;(vi)3、1、2。
【0069】
所与の組成物の感覚特性は、1つ以上の参照又はアンカー試料と比較して評価され得る。例えば、塩化ナトリウム溶液は、所与の組成物について塩味の相対強度を評価するための塩味アンカーとして、経験のあるパネリストによって使用され得、スクロース溶液は、所与の組成物に対する甘味の相対強度を評価するための甘味アンカーとして、経験のあるパネリストによって使用され得、クエン酸溶液は、所与の組成物の酸味の相対強度を評価するための酸味アンカーとして、経験のあるパネリストによって使用され得、コーヒー溶液は、所与の組成物についての苦味の相対強度を評価するための苦味アンカーとして、経験のあるパネリストによって使用することができ、グルタミン酸一ナトリウム(monosodium glutamate、MSG)溶液は、所与の組成物についての旨味の相対強度を評価するための旨味アンカーとして、経験のあるパネリストによって使用することができる。経験のあるパネリストに、感覚特性を評価するための溶液、例えば、10~20mLの試料を提示することができる。パネリストは、約3~4mLの各溶液を自身の口に分配し、舌を動かすことによって溶液を分散させ、試験されている特定の感覚特性の値を記録する。複数の溶液がセッション中に試験される場合、パネリストは、試料間で口蓋を水で洗浄することができる。例えば、塩味、甘味、酸味、旨味などのラウンドテーブル評価は、0~9のスケールを割り当てることができ、例えば、0のスコアは、塩味がないことを示し、9のスコアは、極度の塩味を示す(0=検出されない、1=微量、2=かすか、3=わずか、4=軽度、5=中程度、6=明確、7=強い、8=非常に強い、9=極度)。同等のスケール及び方法論を、甘味、苦味、酸味、及び旨味の感覚特性に使用することができる。
【0070】
更なる例として、組成物の塩味は、少なくとも2人のパネリストのパネルによって試験され得る。パネリストは、それぞれ2、2.5、5、8.5、10、11、13、及び15の塩味強度値に相当する0.18%(重量)、0.2%(重量)、0.35%(重量)、0.5%(重量)、0.567%(重量)、0.6%(重量)、0.65%(重量)、及び0.7%(重量)の塩化ナトリウム水溶液の標準範囲を使用することができる。当業者は、試験される試料/組成物に応じて、標準溶液の数及び範囲が変更され得る(例えば、2、2.5、及び5の塩味強度値に相当する溶液のみを使用して)ことを認識するであろう。各試験組成物について、パネリストは、液体組成物若しくは水で調製された溶液については約2~5mL、又は固体組成物については5~10gの各組成物を自身の口に分配し、舌を動かす/噛むことによって組成物を分散させ、前述の標準塩化ナトリウム溶液との比較に基づいて、各組成物について0~15の塩味強度値を記録する。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができる。パネリストはまた、記録された塩味強度値が標準塩化ナトリウム溶液のスケールに対して正確であることを確実にするために、試験溶液を味見する間に、標準0.18%、0.2%、0.35%、0.5%、0.567%、0.6%、0.65%、及び0.7%塩化ナトリウム溶液を自由に味見することができる。試験が行われる温度は、試験を開始する試料に特異的であってもよく、例えば、試料は、22℃(例えば、室温)、0℃(例えば、冷凍試料)、又は60~80℃(例えば、温かい状態で提供される調理済み試料)で試験されてもよい。当業者は、所与の試料を試験するための適切な温度を認識するであろう。本明細書では、この試験を「標準化塩味強度試験」と呼ぶ。
【0071】
組成物の酸味は、少なくとも2人のパネリストのパネルによって試験され得る。パネリストは、それぞれ2、3、5、10、及び15の酸味強度値に相当する、0.035%(重量)、0.05%(重量)、0.07%(重量)、0.15%(重量)、及び0.2%(重量)のクエン酸水溶液の標準範囲を使用することができる。当業者は、試験される試料/組成物に応じて、標準溶液の数及び範囲が変更され得る(例えば、2及び7の酸味強度値に相当する溶液のみを使用して)ことを認識するであろう。各試験組成物について、パネリストは、液体組成物若しくは水で調製した溶液については約2~5mL、又は固体組成物については5~10gの各組成物を自身の口に分配し、舌を動かす/噛むことによって組成物を分散させ、前述の標準クエン酸溶液との比較に基づいて、各組成物について0~15の酸味強度値を記録する。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができる。パネリストはまた、記録された酸味強度値が標準クエン酸溶液のスケールに対して正確であることを確実にするために、試験溶液を味見する間に、標準0.035%、0.05%、0.07%、0.15%、及び0.2%クエン酸溶液を自由に味見することができる。試験が行われる温度は、試験を開始する試料に特異的であってもよく、例えば、試料は、22℃(例えば、室温)、0℃(例えば、冷凍試料)、又は60~80℃(例えば、温かい状態で提供される調理済み試料)で試験されてもよい。当業者は、所与の試料を試験するための適切な温度を認識するであろう。本明細書では、この試験を「標準化酸味強度試験」と呼ぶ。
【0072】
組成物の苦味は、少なくとも2人のパネリストのパネルによって試験され得る。パネリストは、それぞれ2、3、4、5、10、及び15の苦味強度値に相当する0.0125%(重量)、0.01875%(重量)、0.025%(重量)、0.031%(重量)、0.07%(重量)、及び0.12%(重量)の水中のカフェイン溶液の標準範囲を使用することができる。当業者は、試験される試料/組成物に応じて、標準溶液の数及び範囲が変更され得る(例えば、2、3、及び5の苦味強度値に相当する溶液のみを使用して)ことを認識するであろう。各試験組成物について、パネリストは、液体組成物若しくは水で調製された溶液については約2~5mL、又は固体組成物については5~10gの各組成物を自身の口に分配し、舌を動かす/噛むことによって組成物を分散させ、前述の標準カフェイン溶液との比較に基づいて各組成物について0~15の苦味強度値を記録する。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができる。パネリストはまた、記録された苦味強度値が標準カフェイン溶液のスケールに対して正確であることを確実にするために、試験溶液を味見する間に、標準0.0125%、0.01875%、0.025%、0.031%、0.07%、及び0.12%カフェイン溶液を自由に味見することができる。試験が行われる温度は、試験を開始する試料に特異的であってもよく、例えば、試料は、22℃(例えば、室温)、0℃(例えば、冷凍試料)、又は60~80℃(例えば、温かい状態で提供される調理済み試料)で試験されてもよい。当業者は、所与の試料を試験するための適切な温度を認識するであろう。本明細書では、この試験を「標準化苦味強度試験」と呼ぶ。
【0073】
組成物の甘味は、少なくとも2人のパネリストのパネルによって試験され得る。パネリストは、それぞれ2、5、8、10、及び15の甘味強度値に相当する2%(重量)、5%(重量)、8%(重量)、10%(重量)、及び15%(重量)のスクロース溶液の標準範囲を使用することができる。当業者は、試験される試料/組成物に応じて、標準溶液の数及び範囲が変更され得る(例えば、2、5、及び8の甘味強度値に対応する溶液のみを使用して)ことを認識するであろう。各試験組成物について、パネリストは、液体組成物若しくは水で調製した溶液については約2~5mL、又は固体組成物については5~10gの各組成物を自身の口に分配し、舌を動かす/噛むことによって組成物を分散させ、前述の標準スクロース溶液との比較に基づいて各組成物について0~15の甘味強度値を記録する。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができる。パネリストはまた、記録された甘味強度値が標準スクロース溶液のスケールに対して正確であることを確実にするために、試験溶液を味見する間に、標準2%、5%、8%、10%、及び15%スクロース溶液を自由に味見することができる。試験が行われる温度は、試験を開始する試料に特異的であってもよく、例えば、試料は、22℃(例えば、室温)、0℃(例えば、冷凍試料)、又は60~80℃(例えば、温かい状態で提供される調理済み試料)で試験されてもよい。当業者は、所与の試料を試験するための適切な温度を認識するであろう。本明細書では、この試験を「標準化甘味強度試験」と呼ぶ。
【0074】
組成物の旨味は、少なくとも2人のパネリストのパネルによって試験され得る。パネリストは、それぞれ4及び6.5の旨味強度値に相当する0.75%(重量)及び0.125%(重量)のグルタミン酸一ナトリウム(MSG)溶液の標準範囲を使用することができる。当業者は、試験される試料/組成物に応じて、標準溶液の数及び範囲が変更され得る(例えば、旨味強度が、4~6.5の旨味強度値のかなり外側であると予想される場合、追加の旨味溶液を添加して)ことを認識するであろう。各試験組成物について、パネリストは、液体組成物若しくは水で調製された溶液については約2~5mL、又は固体組成物については5~10gの各組成物を自身の口に分配し、舌を動かす/噛むことによって組成物を分散させ、前述の標準MSG溶液との比較に基づいて各組成物について0~15の旨味強度値を記録する。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができる。パネリストはまた、記録された旨味強度値が標準MSG溶液のスケールに対して正確であることを確実にするために、試験溶液を味見する間に、標準0.075%及び0.125%MSG溶液を自由に味見することができる。試験が行われる温度は、試験を開始する試料に特異的であってもよく、例えば、試料は、22℃(例えば、室温)、0℃(例えば、冷凍試料)、又は60~80℃(例えば、温かい状態で提供される調理済み試料)で試験されてもよい。当業者は、所与の試料を試験するための適切な温度を認識するであろう。本明細書では、この試験を「標準化旨味強度試験」と呼ぶ。
【0075】
対照試料は、典型的には、基準点として、又は比較目的で使用される。例えば、感覚改質剤の有効性を適格とするために、対照試料が使用され得る。対照試料は、本明細書に記載されている組成物などの組成物であってもよいが、感覚改質剤が存在しない組成物であってもよい。感覚改質剤以外、対照試料は、他の点で同じであり、同じ成分及び同じ相対濃度で他の成分を含有すべきである。他の標準試料、例えば、上記で概説したような感覚特性の強度を評価するために使用される標準試料が、感覚パネルで一般的に使用される。他の態様では、対照試料は、競合感覚改質剤などの異なる感覚改質剤を含有する改質対照試料であり得る。
【0076】
本開示は、経験のある又は訓練を受けたパネリストによる感覚試験に限定されない。例えば、訓練を受けていない無経験のパネリストを利用することが可能である。しかしながら、訓練を受けていない無経験のパネリストの場合、より多くのこれらのパネリストが、再現可能な結果を提供するために通常必要であり、これは典型的には、選好又は全体的な好みなどの主観的特性に焦点を合わせる。同様に、訓練されていない無経験のパネリストは、2つの試料間の所与の感覚特性の相対的変化を評価するように求められ得る。例えば、特定の試料が、参照試料よりも多少塩辛い、多少甘い、多少苦い場合など。
【0077】
更なる感覚特性の例示された感覚アッセイ及び試験基準は、本開示に提供される実施例に記載される。ラウンドテーブル感覚パネル及び感覚試験に関する更なる説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/071220号として2019年4月11日に公開された国際出願第PCT/US2018/054743号に記載されている。
【0078】
いくつかの態様では、植物タンパク質風味を減少させるのに有効な感覚改質剤の量は、感覚改質剤を欠く同等の組成物中の植物タンパク質風味の強度と比較して、植物タンパク質風味の強度スコアを少なくとも1単位低減するのに有効な量であり得る。植物タンパク質風味の強度スコアは、0~9のスケールを使用するラウンドテーブル方法論を使用して、植物タンパク質組成物を味見する訓練を受けた少なくとも3人のパネリストによって決定され、0のスコアは、植物タンパク質風味がないことを示し、9は、極度の植物タンパク質風味強度を示す(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=かすか、3=わずか、4=軽度、5=中程度、6=明確、7=強い、8=非常に強い、9=極度)。いくつかの態様では、植物タンパク質風味は、少なくとも2単位、少なくとも3単位、又は少なくとも4単位低減され得る。いくつかの態様では、植物タンパク質風味の強度は、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ様、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様の風味の強度をアッセイすることによって評価されてもよく、豆類、エンドウ豆、トウモロコシ様、干し草、グリーンノート、イヌビエ、発酵、ワックス様の風味の強度の低下は、それぞれ、植物タンパク質風味の強度の低下を示す。
【0079】
いくつかの態様では、塩味を減少させるのに有効な感覚改質剤の量は、感覚試験を経験した少なくとも4人のパネリストによる標準化された塩味強度試験によって測定される塩味強度値を少なくとも1単位低減するのに有効な量であり得る。他の態様では、塩味を減少させるのに有効な量は、同様に測定した塩味強度値を少なくとも1単位、2単位、3単位、4単位、5単位、又は6単位以上低減するのに有効な量を含む。他の態様では、塩味を減少させるのに有効な量は、同様に測定された塩味強度値を7、6、5、4、3、又は2単位未満まで低減するのに有効な量を含む。いくつかの態様では、塩味を減少させるのに有効な量は、同様に測定された塩味強度値をゼロまで低減するのに有効な量を含む。同様の試験を使用して、記載された代替肉組成物中の甘味、酸味、苦味、及び旨味を減少又は増加させるのに有効な感覚改質剤の量を評価することができる。
【0080】
代替肉組成物は、様々な量の感覚改質剤を有することができる。感覚改質剤は、特定の使用にとって所望される任意の量で代替肉組成物中に存在し得る。例えば、感覚改質剤は、0.001%(重量)~1.0%(重量)、0.001%(重量)~0.5%(重量)、0.005%(重量)~0.1%(重量)、0.005%(重量)~0.050%(重量)、又は0.005%(重量)~0.02%(重量)の総濃度で、代替肉組成物中に存在することができる。代替肉組成物は、代替肉組成物の少なくとも0.001重量%、0.002重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、又は0.05重量%の濃度で感覚改質剤を含み得る。代替肉組成物は、最大1.0%(重量)、0.5%(重量)、0.25%(重量)、0.2%(重量)、0.1%(重量)、又は0.05%(重量)の濃度で感覚改質剤を含み得る。
【0081】
本明細書に記載される様々な組成物中の個々の感覚改質剤種の量は、各々独立して変化し得る。例えば、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、又は両方は各々、個々に、約1ppm~約1000ppmの濃度で代替肉組成物中に存在し得る。いくつかの態様では、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、又は両方は各々、個々に、約100ppm~約1000ppm、約200ppm~約1000ppm、300ppm~約1000ppm、400ppm~約1000ppm、500ppm~約1000ppm、600ppm~約1000ppm、700ppm~約1000ppm、800ppm~約1000ppm、900ppm~約1000ppmの濃度で代替肉組成物中に存在し得る。いくつかの態様では、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、又は両方は各々、個々に、代替肉組成物中に約10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000ppm以上の濃度で存在し得る。いくつかの態様では、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、又は両方は各々、個々に、約100ppm~約800ppm、約200ppm~約800ppm、300ppm~約800ppm、400ppm~約800ppm、500ppm~約800ppm、600ppm~約800ppm、又は700ppm~約800ppmの濃度で代替肉組成物中に存在し得る。いくつかの態様では、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、又は両方は各々、個々に、約400ppm~約800ppmの濃度で代替肉組成物中に存在し得る。
【0082】
感覚改質剤の植物源
様々な態様では、感覚改質剤は、植物源から単離され得る。様々な植物源は、感覚改質剤を含み、感覚改質剤は、これらの植物源から単離され得る。感覚改質剤が単離され得る植物源のいくつかの例としては、Eucommia ulmoides、ハニーサックル、Nicotiana benthamiana、アーティチョーク、グローブアーティチョーク、カルドン、Stevia rebaudiana、モンクフルーツ、コーヒー、コーヒー豆、生コーヒー豆、茶、白茶、黄茶、緑茶、ウーロン茶、黒茶、紅茶、発酵後茶、竹、ヘザー、ヒマワリ、ブルーベリー、クランベリー、ビルベリー、グラウスベリー、ハイデルベリー、リンゴンベリー、カウベリー、ハックルベリー、ブドウ、チコリ、ムラサキバレンギク、エキナセア、イースタンペリトリーオブザウォール(Eastern pellitory-of-the-wall)、アップライトペリトリー(Upright pellitory)、リヒワート(Lichwort)、グレーターセランダイン(Greater celandine)、テッターワート(Tetterwort)、ニップルワート(Nipplewort)、スワローワート(Swallowwort)、赤根草、コモンネトル、スティンギングネトル、ジャガイモ、ジャガイモの葉、ナス(Eggplant)、ナス(Aubergine)、トマト、チェリートマト、ビターアップル、サンザシの実、サツマイモ、リンゴ、モモ、ネクタリン、チェリー、サワーチェリー、ワイルドチェリー、アプリコット、アーモンド、プラム、プルーン、セイヨウヒイラギ、イェルバマテ、マテ茶、グアユサ、ヤポンホーリー、苦丁茶、ガラナ、ココア、ココア豆、カカオ、カカオ豆、コラナッツ、コラノキ、コーラナッツ、コーラノキ、クサソテツ、イヌガンソク(Ostrich fern)、フィドルヘッドファーン(Fiddlehead fern)、シャトルコックファーン(Shuttlecock fern)、イヌガンソク(Oriental ostrich fern)、アジアゼンマイ、ゼンマイ、ブラッケン(Bracken)、ブレーキ(Brake)、コモンブラッケン(Common bracken)、イーグルファーン(Eagle fern)、イースタンブラッケンファーン(Eastern brakenfern)、クローブ、シナモン、インディアンベイリーフ、ナツメグ、ベイローレル、ベイリーフ、バジル、グレートバジル、セントジョセフワート、タイム、セージ、ガーデンセージ、コモンセージ、カリナリーセージ、ローズマリー、オレガノ、ワイルドマジョラム、マジョラム、スイートマジョラム、ノッテッドマジョラム、ポットマジョラム、ディル、アニス、スターアニス、フェンネル、フローレンスフェンネル、タラゴン、エストラゴン、オオヨモギ、リコリス(Licorice)、リコリス(Liquorice)、大豆(Soy)、大豆(Soybean)、大豆(Soyabean)、大豆(Soya vean)、小麦、普通小麦、米、キャノーラ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、チンゲン菜、ケール、コラードグリーン、芽キャベツ、コールラビ、ウィンターズバーク(Winter's bark)、エルダーフラワー、アサペイシェ(Assa-Peixe)、グレイターバードック(Greater burdock)、ヴァレリアン、及びカモミールが挙げられる。
【0083】
いくつかの植物源は、カフェイン酸、モノカフェオイルキナ酸、及びジカフェオイルキナ酸のうちの1つ以上が濃縮されている感覚改質剤を生成し得る。例えば、イェルバマテ植物(Ilex paraguariensis)から単離された感覚改質剤は、モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸が濃縮されている。他の態様では、ジカフェオイルキナ酸が濃縮されているイェルバマテ植物から単離された感覚改質剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上の、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの塩のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。例えば、他の植物源から単離された感覚改質剤は、ジカフェオイルキナ酸が濃縮され得る。他の態様では、ジカフェオイルキナ酸が濃縮されている他の植物源から単離された感覚改質剤は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上、又は90%以上の、1,3-ジカフェオイルキナ酸、1,4-ジカフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5-ジカフェオイルキナ酸、並びにそれらの塩のうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。
【0084】
感覚改質剤は、様々な方式で単離され得る。いくつかの好適なプロセスは、2019年4月4日に出願され、「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題された米国出願第16/373,206号(米国特許出願公開第2019/0223481号として2019年7月25日に公開された)、2018年10月5日に出願され、「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題された国際出願第PCT/US2018/054691号、2017年10月6日に出願され、「Steviol Glycoside Solubility Enhancers」と題された米国仮出願第62/569,279号、2019年4月4日に出願され、「Methods for Making Yerba Mate Composition」と題された米国出願第16/374,894号(米国特許出願公開第2019/0231834号として2019年8月1日に公開された)、2018年10月5日に出願され、「Methods for Making Yerba Mate Composition」と題された国際出願第PCT/US2018/054688号、2018年5月25日に出願され、「Methods for Making Yerba Mate Extract Composition」と題された米国仮出願第62/676,722号、及び2020年4月6日に出願され、「Stevia Processing」と題され、2020年10月15日に国際公開第2020/210161号として公開された国際出願第PCT/US2020/026885号に開示されている。例えば、感覚改質剤は、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、及びそれらの塩のうちの1つ以上を含む植物源から単離されてもよい。例えばイェルバマテバイオマス及びステビアバイオマスを使用して、感覚改質剤を調製することができる。1つの例示的なプロセスでは、感覚改質剤は、商業的に得られる粉砕イェルバマテバイオマスから調製される。簡潔に述べると、イェルバマテバイオマスを50%(v/v)エタノール/水に懸濁し、少なくとも1時間振盪し、得られた混合物を濾過して初期抽出物を得る。この初期抽出物を水で35%(v/v)エタノールに希釈し、再濾過する。次いで、再濾過した透過液を、35%(v/v)エタノール/水で平衡化されたAMBERLITE(登録商標)FPA 53樹脂カラムに適用し、カラム透過液を捨てる。カラムを35%(v/v)エタノール/水で洗浄し、カラム透過液を捨てる。次いで、カラムを、50%(v/v)エタノール/水中の10%(w/v)FCCグレードの塩化ナトリウムで溶出し、溶出液を保持する。窒素ガスを溶出液の表面上に室温で吹き込んでエタノールを除去し、その元の体積の1/3まで溶出液を減少させる。次いで、減少した体積の溶出液を0.2μmのポリエーテルスルホンフィルターを通して濾過し、次いで、3kDaの分子量カットオフ膜を通過させることによって脱色する。脱色された透過液を保持し、ナノ濾過膜を通過させることによって脱塩する。次いで、脱塩された透過物を凍結乾燥して、感覚改質剤を得る。このプロセスはまた、ステビアバイオマスから感覚改質剤を得るのに好適であり、他の植物源、例えば、上記のものから感覚改質剤を得るように適合され得る。
【0085】
いくつかの態様では、感覚改質剤は、2つ以上の植物源から単離された感覚改質剤のブレンドであり得る。
【0086】
いくつかの化合物は、水溶液又は代替肉組成物の風味又は芳香に悪影響を及ぼし得る。植物抽出物から調製されたものなどの特定の感覚改質剤は、表2に示される化合物のうちの1つ以上、又はこれらの任意の組み合わせを、開示される好ましい含量レベルを超えて含まない。全ての好ましい含量レベルは、乾燥重量基準での重量パーセントとして記載される。ある特定の商業的に望ましい固体(乾燥)感覚改質剤は、好ましいレベルを超えた、表2に列挙される化合物のうちのいずれかを含まない。酸であるこれらの列挙される化合物について、化合物は、酸形態及び/又はスラット(slat)形態で存在してもよい。
【0087】
【0088】
【0089】
いくつかの態様では、感覚改質剤は、0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タータレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は約0.05%(重量)未満のクロロフィル、を含み得る。
【0090】
いくつかの態様では、本明細書に記載の感覚改質剤を使用して調製される代替肉組成物は、特定のカットオフ重量%を超える特定の化合物を含まない。例えば、代替肉は、0.3%(重量)未満のマロネート、マロン酸、オキサレート、シュウ酸、ラクテート、乳酸、サクシネート、コハク酸、マレート、若しくはリンゴ酸、又は0.05%(重量)未満のピルベート、ピルビン酸、フマレート、フマル酸、タータレート、酒石酸、ソルベート、ソルビン酸、アセテート、若しくは酢酸、又は約0.05%(重量)未満のクロロフィル、を含み得る。
【0091】
本発明は、例示として提供される以下の実施例を参照することによって、よりよく理解され得る。本発明は、本明細書に示される実施例に限定されない。
【実施例】
【0092】
材料及び方法
試験された感覚改質剤は、イェルバマテから調製され、且つ65:35の比の塩画分対酸画分を有する、モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸と塩との混合物であった。組成物の一部については、感覚改質剤をステビオールグリコシドと共噴霧乾燥した。表3は、様々な構成成分の含量及び供給元を列挙する。
【0093】
【0094】
代替肉アッセイ
様々な量の感覚改質剤を有する代替肉組成物の感覚特性を特徴付けるために、アッセイを実施した。感覚試験の経験がある個人のパネルによって、組成物の感覚特性を試験した。経験のあるパネリストは、以下に限定されないが、色、テクスチャー、植物タンパク質風味、及び植物タンパク質風味マスキングなどの感覚特性を評価した。いくつかの実施例では、ラウンドテーブル方法論を使用して、様々な風味特性を評価した。各組成物を試験するために、経験のあるパネリストは、約14gの各組成物を自身の口に分配し、噛むこと及び舌を動かすことによって組成物を分散させ、試験されている特性の値又はコメントを記録した。組成物を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができた。
【0095】
植物タンパク質アッセイ
様々な量の感覚改質剤を有する植物タンパク質単離物溶液の感覚特性を特徴付けるために、アッセイを実施した。感覚試験の経験がある個人のパネルによって、組成物の感覚特性を試験した。経験のあるパネリストは、必ずしも限定されないが、豆風味、干し草風味、口内乾燥、クリーミーさ、グリーンピース風味、苦味、オイルノート、トウモロコシ風味、デンプン質、イヌビエ風味、酸味、及び渋味などの感覚特性を評価した。感覚特性は、0が感覚特性強度なしを示し、9が極度の感覚特性強度を示す(すなわち、0=検出されない、1=微量、2=かすか、3=わずか、4=軽度、5=中程度、6=明確、7=強い、8=非常に強い、9=極端)0~9のスケールでスコア付けした。いくつかの実施例では、ラウンドテーブル方法論を使用して、様々な風味特性を評価した。各組成物を試験するために、経験のあるパネリストは、2~5mLの各溶液を自身の口に分配し、舌を動かすことによって溶液を分散させ、コンセンサス感覚特性スケール値を記録した。溶液を味見する間で、パネリストは、口蓋を水で洗浄することができた。
【0096】
実施例1-エンドウ豆タンパク質パティ
エンドウ豆タンパク質パティを、表4に概説される成分を用いて調製した。エンドウ豆タンパク質パティ試料を調製するために、テクスチャード加工エンドウ豆タンパク質を最初に、表面が光沢を失い、もはや光沢がなくなり、ボウルの底に残留水分が存在しなくなるまで約5~7分間混合することによって、総水の約半分で水和させた。可溶性エンドウ豆タンパク質、メチルセルロースメトロース、及び塩乾燥成分を均質になるまで混合する。総水の残りを均質な乾燥成分に添加し、生地様の粘稠度が形成されるまで混合する。次に、水和したテクスチャード加工エンドウ豆構成成分を、混合物が十分に取り込まれ、塊が残らなくなるまで、生地様の水和した乾燥成分と混合する。4.4℃未満に冷却した後、ココナッツ油チップを添加し、均一に組み込まれるまで混合する。約113gのパティが混合物から形成され、冷凍される。感覚改質剤を表5に概説するように添加した。
【0097】
【0098】
【0099】
実施例2-エンドウ豆パティ試料の官能評価
実施例1に記載したエンドウ豆タンパク質パティ試料の色、テクスチャー、及び風味を含む感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。調理前後の試料1.1~1.4の画像がそれぞれ
図1及び
図2に提供される。各パティの色を調理前に評価し、スコア5は対照試料1.1と一致することを示し、スコア1は対照と非常に異なる試料を示す。試料1.1~1.4のそれぞれを、165°F(すなわち、約73.9℃)の内部温度まで調理し、パティの両面に焦げ目を付けた。調理後、先に記載したのと同じスケールを使用して色を再び評価した。テクスチャー及び植物タンパク質風味を同じ5~1スケールでスコア付けし、5は対照試料1.1との一致を示し、1は対照と非常に異なる試料を示す。試料1.2、1.3、及び1.4のそれぞれをまた、感覚改質剤成分の添加が植物タンパク質の風味をどの程度良好にマスクしたかに基づいてランク付けした。試料1.1~1.4の感覚結果を、表6に概説する。
【0100】
【0101】
実施例3-エンドウ豆タンパク質パティ試料の官能評価
実施例1に記載したエンドウ豆タンパク質パティ試料の色、テクスチャー、及び風味を含む感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。調理前後の試料1.1、1.5、及び1.6の画像は、それぞれ
図3及び
図4に提供される。試料1.1、1.5、及び1.6のそれぞれを、165°F(すなわち、約73.9℃)の内部温度まで調理し、パティの両面に焦げ目を付けた。
【0102】
調理後、試料1.5は、試料1.1の対照パティと視覚的に区別される外観と共に、ハーブノートを有すると特徴付けられた。試料1.5は、エンドウ豆タンパク質風味がより少なく、風味が全体的に抑制されていた。試料1.5の風味は、いくらかの茶の芳香を有する干し草様の仕上がりを有していた。
【0103】
調理後、試料1.6は、エンドウ豆又は干し草風味の後味のない対照試料1.1よりも一貫した風味を有すると特徴付けられた。
【0104】
実施例4-大豆タンパク質単離物溶液の官能評価
大豆タンパク質単離物溶液の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。豆風味、干し草風味、口内乾燥、及びクリーミーさのスコアを、ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用して4人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストは、上記の植物タンパク質アッセイ法を使用した。大豆タンパク質単離物溶液は、大豆タンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、大豆タンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験した大豆タンパク質単離物溶液を表7に概説する。
【0105】
【0106】
【0107】
実施例5-エンドウ豆タンパク質単離物溶液の官能評価
エンドウ豆タンパク質単離物溶液の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。グリーンピースの風味、苦味及び油様/クリーム様のスコアを、ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用して3人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストは、上記の植物タンパク質アッセイ法を使用した。エンドウ豆タンパク質単離物溶液は、エンドウ豆タンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、エンドウ豆タンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験したエンドウ豆タンパク質単離物溶液を表9に概説する。
【0108】
【0109】
【0110】
実施例6-トウモロコシタンパク質単離物溶液の官能評価
トウモロコシタンパク質単離物溶液の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。トウモロコシ強度、デンプン質、及び口内乾燥スコアを、ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用して6人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストは、上記の植物タンパク質アッセイ法を使用した。トウモロコシタンパク質単離物溶液は、トウモロコシタンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、トウモロコシタンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験したトウモロコシタンパク質単離物溶液を表11に概説する。
【0111】
【0112】
【0113】
実施例7-ジャガイモタンパク質単離物溶液の官能評価
ジャガイモタンパク質単離物溶液の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。イヌビエ風味、酸味、渋味、及び苦味のスコアを、ラウンドテーブルコンセンサスアプローチを使用して5人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストは、上記の植物タンパク質アッセイ法を使用した。ジャガイモタンパク質単離物溶液は、ジャガイモタンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、ジャガイモタンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験したジャガイモタンパク質単離物溶液を表13に概説する。
【0114】
【0115】
【0116】
実施例8-植物ベースのタンパク質溶液の官能評価
様々な植物源からの植物ベースのタンパク質単離物の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。感覚特性強度スコアを、少なくとも6人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストが上記の植物タンパク質アッセイ法を使用し、個々の感覚特性強度スコアを平均して以下に報告した。植物ベースのタンパク質溶液は、植物ベースのタンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、植物ベースのタンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験した植物ベースのタンパク質単離物溶液を表15に概説する。
【0117】
【0118】
植物ベースのタンパク質溶液のほとんどは、それぞれ5.58及び6.05のpHを有する米及びヒマワリタンパク質を除いて、中性に近いpHを有していた。感覚改質剤をヒヨコ豆及びジャガイモの溶液に添加すると、溶液は暗灰色/緑色に見えた(
図5A、
図5B、及び
図5E)。しかしながら、感覚改質剤を米及びヒマワリの溶液に添加した場合、色の変化は観察されなかった(
図5C及び
図5D)。感覚改質剤の添加は、pHに対して有意な効果を有さなかった(表15)。
【0119】
全ての試料について、全体的な芳香及び粘度の感覚特性を評価した。全体的な芳香及び粘度に加えて、パネリストは、各植物ベースのタンパク質源について最も優勢であった4つの追加の感覚特性を集合的に選択し、感覚改質剤を用いて調製した試料と用いずに調製した試料との間で当該特性を比較した。各植物ベースのタンパク質源についてアッセイした感覚特性のリストを以下の表16~20に示し、感覚特性の定義を表21に提供する。表16に示すように、高粘度ヒヨコ豆タンパク質溶液に感覚改質剤を添加した場合の大豆/豆腐の強度及びどのような感覚属性が低下したか。低粘度ヒヨコ豆溶液については、感覚改質剤の添加により、渋味の強度が低下した(表17)。米タンパク質の溶液への感覚改質剤の添加により、プレイドウノートの強度が低下した(表18)。表19に示されるように、外皮、段ボール、及び渋味の強度は、感覚改質剤を用いて調製されたヒマワリタンパク質試料において低下した。ジャガイモタンパク質単離物溶液については、感覚改質剤の添加により、ジャガイモの皮ノートの強度が低下した(表20)。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
実施例9-エンドウ豆タンパク質溶液の官能評価
様々なエンドウ豆タンパク質単離物の感覚特性を特徴付けるためにアッセイを行った。エンドウ豆タンパク質単離物は、標準的な等電沈殿抽出エンドウ豆タンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、低ナトリウムエンドウ豆タンパク質、及び酵素により改質されたエンドウ豆タンパク質を含んでいた。感覚特性強度スコアを、少なくとも5人の個人のパネルによって決定した。パネリストは、感覚試験を経験した。全てのパネリストが上記の植物タンパク質アッセイ法を使用し、個々の感覚特性強度スコアを平均して以下に報告した。エンドウ豆タンパク質溶液は、エンドウ豆タンパク質単離物を水と混合することによって調製した。感覚改質剤を含む組成物については、感覚改質剤を、エンドウ豆タンパク質単離物と混合する前に水に添加した。試験したエンドウ豆タンパク質単離物溶液を表21に概説する。
【0127】
【0128】
植物ベースのタンパク質溶液のほとんどが、中性に近いpHを有していた。感覚改質剤の添加は、pHに対して有意な効果を有さなかった(表22)。感覚改質剤をエンドウ豆タンパク質単離物溶液に添加した場合、溶液は暗灰色/緑色に見えた(
図6A~
図6D)。
【0129】
苦味及び粘度の感覚特性を全ての試料について評価した。苦味及び粘度に加えて、パネリストは、各エンドウ豆タンパク質単離物について最も優勢であった追加の感覚特性を集合的に選択し、感覚改質剤を用いて調製した試料と用いずに調製した試料との間で当該特性を比較した。感覚特性の定義は表24に提供される。各植物ベースのタンパク質源についてアッセイした感覚特性のリストを表23に示す。
【0130】
表23に示すように、感覚改質剤を含む試料は、感覚改質剤を含まない同等のエンドウ豆タンパク質単離物溶液と比較して、1つ以上の感覚特性の強度が低下した。例えば、感覚改質剤を標準的なエンドウ豆タンパク質単離物に添加した場合、試料は、苦味、エンドウ豆、及び草色/緑色の強度が低下した。加水分解エンドウ豆タンパク質を用いて調製した試料において、感覚改質剤を含む試料は、感覚改質剤を含まない試料と比較して苦味強度が低下していた。酵素により改質されたエンドウ豆タンパク質を用いて調製した試料について、感覚改質剤の添加は、エンドウ豆及び緑色/草色の強度の低下を示した。最後に、低ナトリウム及び感覚改質剤を含む試料は、エンドウ豆タンパク質単離物のみを含む試料と比較して、苦味、エンドウ豆、渋味、及び粉っぽさの強度が低下していた。
【0131】
【表23】
空白は、所与の試料について評価されなかった感覚特性を示す
【0132】
【国際調査報告】