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特表2024-524058成形装置用ホース、ホースを有する成形装置及び成形装置を有する包装機械
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  • 特表-成形装置用ホース、ホースを有する成形装置及び成形装置を有する包装機械 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】成形装置用ホース、ホースを有する成形装置及び成形装置を有する包装機械
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240628BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240628BHJP
   F16L 11/12 20060101ALI20240628BHJP
   F16L 53/37 20180101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
F16L11/12 Z
F16L53/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576108
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022066328
(87)【国際公開番号】W WO2022263520
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21180374.7
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ゴルフィエーリ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】グイデッティ、グロリア
(72)【発明者】
【氏名】スタグリアーノ、アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】マッツァ、レナン メラド
(72)【発明者】
【氏名】オーケソン、ボー
(72)【発明者】
【氏名】ハーネ、マッツ
【テーマコード(参考)】
3H025
3H111
4F206
【Fターム(参考)】
3H025AA01
3H025AB02
3H111AA02
3H111CB07
3H111CB14
3H111DA15
3H111DA26
3H111DB27
4F206AH54
4F206AJ01
4F206AJ09
4F206AK08
4F206JA07
4F206JD04
4F206JF01
4F206JF12
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN03
4F206JN43
4F206JQ34
4F206JQ90
(57)【要約】
成形装置(1)用のホース(5)が記載されている。ホース(5)は、溶融ポリマーを受け入れて案内するための搬送空間(21)を有するコアチューブ(20)と、加熱装置と、コアチューブ(20)の周囲に互いに重ねて配置された複数の層(22、23、24、25、26)とを含む多層構造を含む。コアチューブ(20)及び/又は複数の層(22、23、24、25、26)のうちの少なくとも1つは、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素(SiOx)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形装置(1)用のホース(5)であって、該ホース(5)は多層構造を有し、前記多層構造は、
溶融ポリマーを受け入れて案内するための搬送空間(21)を有するコアチューブ(20)と、
前記溶融ポリマーを溶融状態に維持するための加熱装置(26)と、
前記コアチューブ(20)の周囲に、互いに重ねて配置された複数の層(22、23、24、25、26)と、
を少なくとも備え、
前記コアチューブ(20)及び/又は前記複数の層(22、23、24、25、26)のうちの少なくとも1つは、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素(SiOx)を含む、
ホース(5)。
【請求項2】
グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素(SiOx)を有する少なくとも1つのガスバリア層(25)を含む、
請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記加熱装置が加熱層(26)を備え、
前記加熱層(26)は、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを含み、
前記加熱装置は、さらに、前記加熱層(26)のグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを加熱する電気エネルギー供給ユニットを備える、
請求項1又は2に記載のホース。
【請求項4】
前記加熱層(26)がガスバリア層と加熱層とを組み合わせたものである、
請求項3に記載のホース。
【請求項5】
カバー層(22)をさらに含み、前記複数の層の他の層(22、23、24、25、26)は、前記カバー層(22)と前記コアチューブ(20)との間に介在される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のホース。
【請求項6】
断熱層(23)をさらに含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載のホース。
【請求項7】
前記加熱装置が電気エネルギー供給ユニットを備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載のホース。
【請求項8】
前記コアチューブ(20)は、食品グレードの材料を備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載のホース。
【請求項9】
補強層(24)をさらに含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載のホース。
【請求項10】
前記コアチューブ(20)及び/又は前記複数の層(22、23、24、25、26)のうちの1つ以上がグラフェン系材料を含み、
前記グラフェン系材料は、グラフェン及び/又は酸化グラフェン及び/又は還元酸化グラフェン及び/又はグラフェン紙及び/又はグラフェンシート及び/又は塗布グラフェン分散液及び/又はグラファイトコーティングである、
請求項1~9のいずれか一項に記載のホース。
【請求項11】
プラスチック部品を多層包装材料に成形するための成形装置(1)であって、
固体ポリマー前駆体から溶融ポリマーを調製するように構成された調整装置(3)と、
前記多層包装材料に結合可能な少なくとも1つの金型ユニットを有し、前記プラスチック部品を形成するように前記金型ユニットに前記溶融ポリマーを注入するように構成された射出装置(4)と、
前記調整装置(3)と前記射出装置(4)とを流体的に接続し、前記溶融ポリマーを前記調整装置(3)から前記射出装置(4)へコアチューブ(20)を通して導くように構成された、請求項1~10のいずれか一項に記載のホースと、
を備える成形装置(1)。
【請求項12】
前記調整装置(3)は、固体ポリマー前駆体を受け取り、前記固体ポリマー前駆体を溶融するように構成された押出機(6)と、前記押出機(6)から前記溶融ポリマーを受け取るように構成されたアキュムレータ(7)と、を備え、
前記ホース(5)は、前記アキュムレータ(7)と前記射出装置(4)とを流体的に接続する、
請求項11に記載の成形装置。
【請求項13】
前記調整装置(3)が、請求項1~10のいずれか一項に記載のさらなるホース(5)を備え、
前記さらなるホース(5)は、前記押出機(6)と前記アキュムレータ(7)を互いに流体的に接続する、
請求項12に記載の成形装置。
【請求項14】
複合パッケージを形成するための包装機であって、
複合パッケージは、多層包装材料から形成された少なくとも一部分と、多層包装材料上に成形されたプラスチック部分を有し、
前記包装機は、前記プラスチック部品を多層包装材料上に成形するための、請求項11~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの成形装置(1)を備える、
包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置用ホースに関し、特にホースは、溶融ポリマーを受け入れ、溶融ポリマーを溶融状態に維持するように構成されている。
【0002】
好ましくは、本発明は、開口装置及び/又は注出装置のようなプラスチック部品を多層包装材料上に成形するための成形装置に関する。
【0003】
好ましくは、本発明は、注ぎ込み可能な製品、特に注ぎ込み可能な食品用の複合パッケージを形成するための包装機に関する。特に、複合パッケージは、多層包装材料から形成された少なくとも本体と、本体に成形される開口及び/又は注出装置のような付加的構成要素とを備える。包装機は、付加的な構成要素を多層包装材料に成形するように構成された成形装置を備える。
【背景技術】
【0004】
周知のように、フルーツジュース、UHT(超高温処理)牛乳、ワイン、トマトソース等、多くの液体又は注ぎ込み可能な食品は、少なくとも部分的に多層包装材料から作られた複合パッケージで販売されている。
【0005】
典型的な例として、多層包装材料から形成された液体又は注ぎ込み可能な食品用の平行六面体形状の複合パッケージが挙げられる。複合パッケージの一例として、Tetra Brik(登録商標)Asepticが知られている。このような複合パッケージは、ラミネートされた多層包装材料をシールして折り畳むことによって作られている。この包装材料は、紙や厚紙等のベース層を、例えば、ポリエチレン等のヒートシールプラスチック材料で両面を覆った多層構造を有する。UHT牛乳等の長期保存可能な製品用の無菌包装の場合、包装材料は酸素バリア材料の層(酸素バリア層)、例えばアルミニウム箔の層を含み、この層はヒートシールプラスチック材料の層と重なり、さらに別のヒートシールプラスチック材料の層で覆われて、最終的に食品に接触する包装の内面を形成する。
【0006】
この種の複合パッケージは通常、全自動包装機で製造され、多層包装材料のウェブを前進させて殺菌し、その後チューブに成形され、個別の密封された複合パッケージを形成する前に注入可能な製品を充填する。
【0007】
いくつかのタイプの複合パッケージは、それぞれの開口及び/又は注出装置を含んでいることが知られており、この開口及び/又は注出装置は、注ぎ込み可能な製品にアクセスするため、及び/又は注ぎ込み可能な製品の注出を可能にするために操作することができる。
【0008】
Tetra Brik(登録商標)Asepticのバリエーションには、多層包装材料から形成された、それぞれの本体の上壁の所定の注出口領域の周囲に成形された開口及び/又は注出装置を含むものがある。
【0009】
別のタイプの複合パッケージとしては、Tetra Top(登録商標)が知られており、これは、多層包装材料から形成された本体と、本体に成形された開口部及び/又は注出装置を規定するプラスチック製の上面部分とを備える。Tetra Top(登録商標)パッケージの上部部分(開口及び/又は注出装置)は、注出口を有するネックからなり、注出口を選択的に開閉するように、取り外し可能なクロージャーが適用される。
【0010】
Tetra Top(登録商標)パッケージの開口及び/又は注出口部は、部分的に形成された本体に成形されるが、Tetra Brik(登録商標)Asepticパッケージの開口部及び/又は注出口装置は、多層包装材料のウェブ上に、ウェブの折り畳み前に成形される。
【0011】
複合包装体に開口及び/又は注出装置を設けるために、自動包装機は、開口及び/又は注出装置を多層包装材料に成形するための成形装置も備える。
【0012】
典型的な成形装置は、以下の構成を備える。
- 固形ポリマーペレットなどの固形ポリマー前駆体を受け取り、ポリマー前駆体を溶融させて、開口装置及び/又は注出装置の成形に使用する溶融ポリマーを得るように構成された調整装置;
- 多層包装材料に結合可能な少なくとも1つの金型ユニットを有し、部品を形成するように溶融ポリマーを金型ユニットに射出するように構成された射出装置;
- 調整装置と射出装置とを流体的に接続し、溶融ポリマーを調整装置から射出装置に導くように構成されたホース。
【0013】
ホースは、溶融ポリマーが供給されるコアチューブと、溶融ポリマーが溶融状態を維持するための加熱装置を備える。
【0014】
溶融ポリマーがコアチューブ内の酸素の存在によりコアチューブの劣化を促進するため、時々ホースを交換する必要がある。
【0015】
従って、このようなホース及びホースが装備される成形装置は、優れた作業結果を達成するにもかかわらず、この分野では、既知のホースをさらに改良し、ホースの寿命をさらに延ばすことが望まれている。
【0016】
この分野では、ホースの交換に必要なメンテナンス作業を減らすために、既知のホースを改良することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、寿命が長くなった成形装置用の改良されたホースを簡単かつ低コストで提供することである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、メンテナンス作業をほとんど必要としない、改良された成形装置を簡単かつ低コストで提供することである。
【0019】
また、本発明の目的は、複合パッケージを形成するための改良された包装機を簡単かつ低コストで提供することである。
【0020】
本発明によれば、請求項1に記載のホースが提供される。
【0021】
ホースの好ましい非限定的実施形態は、それぞれの従属請求項に記載される。
【0022】
本発明によれば、請求項11に記載の成形装置も提供される。
【0023】
成形装置の好ましい非限定的な実施形態は、請求項11に直接的又は間接的に従属する特許請求の範囲に記載される。
【0024】
本発明によれば、請求項14に記載の包装機も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による少なくとも1つのホースを有する成形装置の概略図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図2】成形装置の詳細を示す概略拡大図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図3a】本発明によるホースの変形例を示すそれぞれの断面図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図3b】本発明によるホースの変形例を示すそれぞれの断面図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図3c】本発明によるホースの変形例を示すそれぞれの断面図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図3d】本発明によるホースの変形例を示すそれぞれの断面図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
図3e】本発明によるホースの変形例を示すそれぞれの断面図であり、明瞭にするために部品が取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
番号1は、多層包装材料上に開封装置及び/又は注出装置などのプラスチック部品を成形するための成形装置全体を示す。
【0028】
成形装置1は、注ぎ込み可能な製品、特に、低温殺菌牛乳、フルーツジュース、ワイン、トマトソース、塩、砂糖、エマルジョン、果肉入り飲料などの注ぎ込み可能な食品用の複合パッケージを製造するための包装機の一部であってもよい。
【0029】
特に、各複合パッケージは、多層包装材料から形成された少なくとも本体と、特に開口及び/又は注出装置の操作後に、各複合パッケージ内に包装された注ぎ込み可能な製品にアクセスすること及び/又は注出することを可能にするように構成された少なくとも1つのそれぞれの開口及び/又は注出装置とを備える。特に、開口及び/又は注出装置の操作は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。
【0030】
開口及び/又は注出装置の一例は、本体の所定の注出口領域、特に本体の頂壁について配置された蓋-注出口組立体である。このような開口及び/又は注出装置の一例は、所定の注出口領域について配置された注ぎ口と、注ぎ口の注出口を選択的に閉じたり開いたりするように構成された蓋とを備える。それぞれのパッケージから注出製品にアクセス及び/又は注出するためには、蓋の取り外しが必要であり、これは典型的には可逆的であり、つまり蓋を注ぎ口に新たに結合することができる。
【0031】
開口装置及び/又は注出装置のさらなる例は、本体の所定の注出口領域、特に本体の頂部壁に配置された注ぎ口を具備するものであり、一方、パッケージは、注ぎ口に取り外し可能に接続された閉鎖要素をさらに具備する。
【0032】
第1の実施例では、注ぎ口と蓋の両方が1回の成形工程で得られるが、第2の実施例では、注ぎ口のみが1回の成形工程で得られ、閉鎖要素はその後に注ぎ口に結合される。
【0033】
開口及び/又は注出装置の別の例は、本体上に設けられ、注出孔を形成するため、及び/又はそれぞれの本体の2つの部分を互いに少なくとも部分的に分離することを可能にするために、それぞれの本体から取り外すことができるストリップである。
【0034】
さらに別の例は、複合パッケージの上部を画定し、本体に成形される開口及び/又は注出装置2(図1参照)である。この特定の場合、本体は、底壁と、底壁から立設する側壁とを備え、開口及び/又は注出装置は、側壁に成形される(特に、本体には頂壁がない)。開口及び/又は注出装置は、側壁に直接接触する肩部と、肩部に接続され、肩部から延び、注出開口を有するカラーと、を備えてもよい。任意選択で、開口及び/又は注出装置2は、ネックに取り外し可能に取り付けられ、注出口を閉鎖する膜を備えてもよい。さらに、このタイプの複合パッケージは、開口及び/又は注出装置2に取り外し可能に結合された閉鎖要素を含んでもよい。
【0035】
より詳細には、多層包装材料は、例えば、紙又は厚紙層等の繊維質材料の層と、繊維質材料の層を互いの間に介在させる少なくとも2層のヒートシールプラスチック材料、例えばポリエチレンを備えても良い。これら2層のヒートシールプラスチック材料のうちの1層が、最終的に注出製品に接触する本体の内側面を画定する。
【0036】
包装材料のウェブは、特にヒートシールプラスチック材料の層の1つと繊維状材料の層との間に配置される、ガスバリア性及び光バリア性材料の層、例えば、アルミニウム箔又はエチレンビニルアルコール(EVOH)フィルムを含んでもよい。さらに、多層包装材料は、ガスバリア性材料及び光バリア性材料の層と繊維質材料の層との間に介在されるヒートシールプラスチック材料のさらなる層を含んでもよい。
【0037】
特に、包装機は、多層包装材料のウェブを処理し、多層包装材料のウェブから本体を形成するように構成されてもよい。
【0038】
好ましくは、多層包装材料のウェブは、特に多層包装材料のウェブに沿って互いに連続して配置された(等間隔に配置された)複数の繰り返し単位を備えてもよい。特に、各繰り返し単位は、それぞれ1つの本体の基礎を形成する。
【0039】
特に、各繰り返し単位は、多層包装材料のウェブ上に存在する1つのそれぞれのパターンによって画定され得る。さらに具体的には、パターンはすべての繰り返し単位で実質的に同一であるが、細部が異なる場合もある。例えば、製造日、製造ロット、パーソナライズされた情報等を示す情報タグの存在等である。
【0040】
特に、成形装置1は、それぞれの開口及び/又は注出装置を、(実質的に)平坦な構成にある多層包装材料上に成形するか、又は少なくとも部分的に形成された本体上に成形するように構成され得る。
【0041】
換言すれば、上述の蓋-注ぎ口組立体又は注ぎ口と(後付けの)閉鎖要素を有するもののような開口及び/又は注出装置は、多層包装材料のウェブの1つのそれぞれの繰り返し単位上にそれぞれ存在する、それぞれの指定された注出口領域の周りに成形されてもよい。次に、包装機は、多層包装材料のウェブからチューブを形成し、チューブを縦方向にシールし、チューブに注ぎ込み可能な製品を充填し、チューブを横方向にシールして切断するように構成され得る。
【0042】
あるいは、包装機は、多層包装材料の単一ブランクからパッケージを形成し充填するように構成されてもよい。
【0043】
開口及び/又は注出装置2の場合に戻ると、開口及び/又は注出装置2は、それぞれの部分的に形成された本体に成形されてもよい。特に、これらの場合、包装機は、多層包装材料から(例えば、包装機に単一のブランクとして供給されてもよく、又は包装機内で多層包装材料のウェブを切断することによって得られてもよい、多層包装材料のそれぞれのブランクから)本体の管状前駆体を形成するように構成され、管状前駆体は、2つの開口端を有する。次に、成形装置1は、開口及び/又は注出装置2を開口端のうち第1の開口端に成形するように構成され得る。さらに、包装機は、開放端の第2の開放端を通して注出製品を充填するように構成され、第2の開放端は、第1の開放端とは反対側にある。最後に、包装機は、包装の密封された底壁を形成するように、第2の開放端を折り畳むように構成される。
【0044】
図1及び図2を参照すると、成形装置1は少なくとも以下の構成を備える。
- 固体ポリマーペレットなどの固体ポリマー前駆体から溶融ポリマーを調製するように構成された調整装置3;
- 1つ又は複数の射出装置4であって、各々が多層包装材料に結合可能な少なくとも1つの金型ユニットを有し、プラスチック部品、特に開口及び/又は注出装置を形成するように金型ユニットに溶融ポリマーを射出するように構成されている、射出装置4;及び
- 1つ又は複数のホース5であって、各ホースは、調整装置3と1つのそれぞれの射出装置4とを流体的に接続し、溶融ポリマーを調整装置3からそれぞれの射出装置4に導くように構成されている、ホース5。
【0045】
より詳細には、調整装置3は、以下の構成を備えてもよい。
- 固体ポリマー前駆体を受け取り、固体ポリマー前駆体を溶融するように構成された押出機6;及び
- 押出機5から溶融ポリマーを受け取り、溶融ポリマーを(実質的に)一定圧力に維持するように構成されたアキュムレータ7。
【0046】
好ましくは、各ホース5はアキュムレータ7と各射出装置4を流体的に接続する。
【0047】
図示の具体例によれば、成形装置1、特に調整装置3は、溶融ポリマーが押出機6からアキュムレータ7に導かれるように、押出機6とアキュムレータ7とを互いに流体的に接続するホース5をさらに備え得る。
【0048】
図1及び図2を参照すると、各射出装置4は、それぞれのホース5から溶融ポリマーを受け入れるための入口9と、溶融ポリマーをそれぞれの金型ユニット内に導くための出口10とを有する少なくとも1つの射出ヘッド8を備える。さらに、各射出ヘッド8は、出口10を選択的に閉じたり開いたりするための1つのそれぞれのシャッター11と、シャッター11がそれぞれ出口10を閉じたり開いたりする閉位置と開位置との間でシャッター11を動かすためのアクチュエータ12とを備えてもよい。
【0049】
さらに、各成形ユニットは、それぞれの射出装置4、特にそれぞれの射出ヘッド8から溶融ポリマーを受け取るように構成され、それぞれの開口及び/又は注出装置の形状を規定するように構成されたキャビティを備える。さらに、各成形ユニットは、それぞれの射出装置4、特にそれぞれの射出ヘッド8から溶融ポリマーを受け取るように構成された1つ以上の流通路(図示せず)を備える。
【0050】
各ホース5は(実質的に)中心軸Aに沿って延びている(ホース5が湾曲した部分を有してもよい)。
【0051】
さらに、各ホース5は、少なくとも以下の構成を含む多層構造を有する。
- 溶融ポリマーを受け入れ、案内するための搬送空間21を有し、及び/又はそれを画定するコアチューブ20;
- 特に溶融ポリマーを加熱して溶融ポリマーを溶融状態に維持するための加熱装置;及び
- コアチューブ20の周囲に、互いに重なるように配置された複数の層。
【0052】
コアチューブ及び/又は複数の層の少なくとも1つは、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素(SiOx)を含む。
【0053】
グラフェン系材料は、グラフェン及び/又は酸化グラフェン及び/又は還元酸化グラフェン及び/又はグラフェン紙及び/又はグラフェンシート及び/又は塗布されたグラフェン分散液及び/又はグラファイトコーティングを含み、及び/又はそれらを含んでもよい。
【0054】
より具体的には、グラフェン系材料は1層又は複数層で提供することができる。
【0055】
最も好ましくは、グラフェン系材料は、主要量のグラフェン及び/又は還元酸化グラフェン、すなわち酸化グラフェンから還元して得られるグラフェンを含む。
【0056】
より具体的には、グラフェン系材料は、乾燥重量を基準として、少なくとも50重量%以上、少なくとも60重量%以上、少なくとも70重量%以上、少なくとも80重量%以上、少なくとも90重量%以上、少なくとも95重量%以上、又は最大100重量%のグラフェン及び/又は還元酸化グラフェンを含んでもよい。
【0057】
「グラフェン系」という用語における「グラフェン」の定義には、還元酸化グラフェン、単層グラフェン、及び/又は還元酸化グラフェン、単層グラフェン、及び/又は還元酸化グラフェンの剥離フレーク、ならびに(数層の)多層グラフェンフレーク、又はいわゆるグラフェン/グラファイトナノプレートレットが含まれる。すなわち、単層グラフェン及び/又は還元型酸化グラフェンの複数層、特に最大10層又は最大20層の、部分的に剥離したフレーク状の積層体である。
【0058】
一実施形態において、グラフェン系材料は、グラフェン及び/又は酸化グラフェン及び/又は還元酸化グラフェン及び/又は多層グラフェンナノプレートレット(最大20個、好ましくは最大10個の積層された単層フレークを有する)のそのような剥離フレークの分散液から得られる層を含んでもよい。
【0059】
さらに、剥離したフレーク状グラフェンは、例えば、グラファイト粒子の剥離、フレーク状酸化グラフェンの還元、マイクロ流体剥離、電気化学的膨張、又は超音波剥離(これもまた、その製造プロセス固有の剥離状態である)によって得ることができる。剥離プロセスの性質や性能によって、純粋な単層グラフェンフレークと多層グラフェンフレークの割合は異なってもよい。
【0060】
好ましくは、グラフェン系材料の乾燥重量に基づいて、より少量、すなわち40重量%より低いか、20重量%より低いか、又は5重量%より低いグラフェン単層フレークのみが、20個のグラフェン単層フレークより高い数のグラフェン単層フレークに剥離されたが、嵩高いグラファイト粒子、すなわちいわゆる「多層グラファイトナノプレートレット」よりも小さい横方向の粒子サイズを有するグラファイトフレークであってもよく、これらはナノサイズであり、すなわち、100nmより小さい横方向のサイズを有する。
【0061】
特に、このような横方向にナノサイズのグラファイトフレークは、グラフェン系材料の性能をあまり低下させない限り、少量が存在してもよい。好ましくは、ナノグラファイトフレーク/プレートレットは、乾燥重量で20重量%以下又は5重量%以下の低量でのみ組成物中に存在する。
【0062】
好ましくは、グラフェン又はグラファイト又はグラフェン紙は、1600~1800W/mKの熱伝導率(平面方向)、400℃までの熱抵抗(酸化環境下)、及び1200℃の融点を有する。
【0063】
より詳細には、熱分解グラファイトは、複数のグラフェンシート及び/又はグラフェン層を備えてもよく、これらのグラフェン層は、1つ又は複数のグラフェン層内でワン・デ・ワールス相互作用しながら積層し、グラファイトドメインを形成し得る。グラフェン紙やグラフェンシートと比較すると、熱分解グラファイトは低コストであり、同様の物理的特性を有する。
【0064】
本出願人は、コアチューブ20及び/又はグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素(SiOx)を含む層の少なくとも一つを設けることによって、特にコアチューブ20が劣化しにくいので、ホース5の寿命を著しく増加させることが可能であることを観察した。これは特に、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素が酸素バリア特性を有することにより、酸素透過性が著しく低下するためである。
【0065】
特に、各層はそれぞれの管状構造自体を画定してもよい。
【0066】
より詳細には、各コアチューブ20は、食品グレードの材料を含んでもよい(特に、材料から構成されてもよい)。より具体的には、各コアチューブ20は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、又はエチレンビニルアルコール(EVOH)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0067】
各ホース5は、特にホース5の最外層を画定する、少なくとも1つのカバー層22を含んでもよい。より具体的には、カバー層22は中心軸Aに対して半径方向外側にあり、コアチューブ20は半径方向内側にある。
【0068】
さらに詳細には、カバー層22は保護と安全のために設けられている。
【0069】
好ましくは、カバー層22は、ポリマー、特に機械的摩耗保護を可能にするポリマーを含む、及び/又はポリマーから構成され得る。
【0070】
各ホース5はまた、例えば断熱繊維及び/又はポリマーからなる、特に断熱層23を含んでもよい。好ましくは、断熱層23は、カバー層22と接触して配置されてもよく、すなわち、断熱層23は、コアチューブ20に対して半径方向外側にあり、カバー層22に対して半径方向内側にある。
【0071】
さらに、ホース5は、特に断熱層23とコアチューブ20との間に介在する、例えば編組鋼シースなどの補強層24を含んでもよい。
【0072】
さらに(例えば図3a、3b及び3eの変形例を参照)、ホース5は、ガスバリアとして作用する(別個の)ガスバリア層25を含んでもよい。これらの変形例によれば、ガスバリア層25は、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素を含んでもよく、特にそれから構成されてもよい。より具体的には、ガスバリア層25のグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素は、ガスバリア層25のガスバリア特性を規定し得る。
【0073】
さらに、加熱装置は、特に断熱層23と接触する加熱層26を含んでもよい。より具体的には、加熱層26は断熱層23に対して半径方向内側にある。
【0074】
さらに、加熱装置は、加熱層26内に電流を発生させ、それによって熱を発生させるように、加熱層26に作動可能に結合された電気エネルギー供給ユニットを含んでもよい。
【0075】
図3a~図3c及び図3eの変形例によれば、加熱層26は、螺旋状に配置された電線を含んでもよい。
【0076】
代替的に(図3d参照)又は追加的に、加熱層26は、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを含み、及び/又はグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトから構成され、電気エネルギー供給ユニットに電気的に接続されてもよい。特に、電気エネルギー供給ユニットは、電気エネルギーによってグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを加熱するように構成されてもよい。
【0077】
さらに(図3d参照)、加熱層26は、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを含んでもよく、ガスバリア層と加熱層を組み合わせたものとして機能してもよい。
【0078】
あるいは、熱層26とガスバリア層25は別個のものであり、熱層26はグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイトを含んでもよく、ガスバリア層25はグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素を含んでもよい。
【0079】
いくつかの可能な実施形態によれば、各ホース5は、加熱層26及び/又はコアチューブ20内の溶融ポリマーの温度を決定するための温度測定装置を含んでもよい。さらに、電気エネルギー供給装置は、溶融ポリマーの溶融状態の維持を保証するように、温度測定装置によって測定された温度に依存して制御されてもよい。
【0080】
いくつかの可能な変形例(例えば図3a~図3d参照)によれば、補強層24はコアチューブ20と接触していてもよい。さらに、補強層24は、コアチューブ20とガスバリア層25との間に接触して介在していてもよい(例えば図3e参照)。
【0081】
図3cに示すホース5の変形例を参照すると、コアチューブ20は、グラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素を含んでもよい。このような変形例によれば、コアチューブ20内に含まれるグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素によってガスバリア特性が既に提供されているため、特定のガスバリア層を予見することはできない。さらに、さらなるガスバリア層25が存在する場合、このガスバリア層25もグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素を含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、コアチューブ20は、グラフェンをベースとする材料を含んでもよい。特に、コアチューブ20は、ポリマーとグラフェンとの混合物から得てもよい。
【0083】
より詳細には、グラフェン粒子及び/又はグラフェン粉末は、充填剤として挿入されたポリマーのポリマーマトリックス中に分散されてもよい。ポリマーのポリマーマトリックスは、さらに他の充填剤を含んでもよい。
【0084】
さらに詳細には、グラフェン粒子及び/又はグラフェン粉末は、単層グラフェン粒子及び/又はグラフェン粉末であってもよい。
【0085】
あるいは、グラフェン粒子及び/又はグラフェン粉末は多層グラフェンであってもよい。特に、多層グラフェンは、最大5層、最大10層、又は最大20層の単一グラフェン層を含んでもよい。
【0086】
あるいは、グラフェン粒子及び/又はグラフェン粉末は、単層グラフェンと多層グラフェンの混合物であってもよく、特に黒鉛粒子(乾燥重量で40%まで)であってもよい。
【0087】
好ましくは、加熱層26及び/又はガスバリア層25及び/又は補強層24は、断熱層23とコアチューブ20との間に介在させてもよい。
【0088】
いくつかの可能な変形例(例えば図3a~図3d参照)によれば、補強層24はコアチューブ20と接触していてもよい。さらに、補強層24は、コアチューブ20とガスバリア層25との間に接触して介在していてもよい(例えば図3e参照)。
【0089】
あるいは、ガスバリア層25は、補強層24とコアチューブ20の間に接触し、介在していてもよい。
【0090】
いくつかの可能な非限定的実施形態によれば、ガスバリア層25は、箔、シート又は(粘着性)テープの形態で提供され得る(例えば図3a、3d、3e参照)。
【0091】
あるいは、ガスバリア層25は、コーティングの形態で提供されてもよい(例えば図3b参照)。特に、ガスバリア層25は、他の層及び/又はコアチューブ20のいずれかにコーティングされてもよい。図3bの変形例では、ガスバリア層25は、補強層24上及び/又は加熱層26上にコーティングされてもよい。図示されていない更なる変形例によれば、ガスバリア層25は、補強層24とコアチューブ26との間に介在されてもよく、補強層24及び/又はコアチューブ20上にコーティングされてもよい。
【0092】
本発明によるホース5の利点は、前述の説明から明らかであろう。
【0093】
特に、ホース5の少なくとも1つの層及び/又はコアチューブ20にグラフェン系材料及び/又は熱分解グラファイト及び/又は酸化ケイ素を設けることにより、ホース5の寿命を長くすることが可能である。これはまた、成形装置1のメンテナンス頻度を低減できることを意味する。
【0094】
しかしながら、添付の特許請求の範囲に定義される保護範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される成形装置1及び/又はホース5及び/又は包装機に変更を加えてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
【国際調査報告】