(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩
(51)【国際特許分類】
C07F 9/30 20060101AFI20240628BHJP
C09K 21/12 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07F9/30
C09K21/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577139
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022067572
(87)【国際公開番号】W WO2023280613
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100145333
【氏名又は名称】渡邉 弓子
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】ジッケン・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・エルマル
【テーマコード(参考)】
4H028
4H050
【Fターム(参考)】
4H028AA46
4H028AB04
4H028BA03
4H050AA02
4H050BB31
4H050BE04
4H050WA12
4H050WA26
(57)【要約】
本発明は、次式(I)で表されるジアルキルホスフィン酸塩の製造方法を提供する。
【化1】
[式中、aおよびbは、互いに同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して1~9であり、炭素鎖は直鎖状、分枝状、または環状であってもよく;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
mは1~4である。]
当該製造方法は、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流を、石油由来である従来原材料の主流に供給する工程;当該再生可能原材料および/またはリサイクル原材料を、当該従来原材料と共に、エチレンに変換する工程;当該得られたエチレン流を次亜リン酸誘導体と反応させ、ジアルキルホスフィン酸誘導体を得る工程;当該ジアルキルホスフィン酸誘導体を金属塩と反応させて、式(I)のジアルキルホスフィン酸塩を得る工程、を含み、ここで、当該再生可能原材料は、トール油、キリ油、ウッドタール、クレオソート、または、例えばパーム油、ダイズ油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム核油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油および/または紅花油などの植物油である、ここで、当該リサイクル原材料は、食品廃棄物、食品生産、製紙またはパルプ加工からの残渣物または廃棄物、および、その他のリサイクル起源の材料から選択され、当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
6である、ことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表されるジアルキルホスフィン酸塩の製造方法であって、
【化1】
[式中、aおよびbは、互いに同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して1~9であり、炭素鎖は直鎖状、分枝状、または環状であってもよく;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
mは1~4である。]
再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流を、石油由来である従来原材料の主流に供給する工程;
当該再生可能原材料および/またはリサイクル原材料を、当該従来原材料と共に、エチレンに変換する工程;
当該得られたエチレン流を次亜リン酸誘導体と反応させ、ジアルキルホスフィン酸誘導体を得る工程;
当該ジアルキルホスフィン酸誘導体を金属塩と反応させて、式(I)のジアルキルホスフィン酸塩を得る工程、を含み、
ここで、当該再生可能原材料は、トール油、キリ油、ウッドタール、クレオソート、または、例えばパーム油、ダイズ油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム核油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油および/または紅花油などの植物油である、
ここで、当該リサイクル原材料は、食品廃棄物、食品生産、製紙またはパルプ加工からの残渣物または廃棄物、および、その他のリサイクル起源の材料から選択され、当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
6であることを特徴とする、ジアルキルホスフィン酸塩の製造方法。
【請求項2】
当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
4であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
3であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
aおよびbは、互いに同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して1~5であり、炭素鎖は直鎖状、分枝状、または環状であってよく、Mは、Al、Fe、TiOq(q=0~1.9)またはZnであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
aおよびbはそれぞれ1であり、MはAlであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
当該再生可能原材料は、トール油であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
当該リサイクル原材料は、廃プラスチック(例えば廃タイヤ)からの熱分解油であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
当該副流は、再生可能原材料から作られ、当該金属塩はアルミニウム塩であり、式(1)のジアルキルホスフィン酸塩は、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
当該副流は、再生可能原材料から作られ、当該金属塩はアルミニウム塩であり、式(1)のジアルキルホスフィン酸塩は、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
当該次亜リン酸誘導体は、副流過程において、リサイクル原材料および石油由来の従来原材料から生産されることを特徴とする、請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
当該アルミニウム塩は、副流過程において、リサイクル原材料および石油由来の従来原材料から生産されることを特徴とする、請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項12】
当該アルミニウム塩は、硫酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の製造方法により製造されたジアルキルホスフィン酸塩の、さらなる合成のための中間体として;相乗剤として;結合剤として;エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤または促進剤として;ポリマー安定剤として;作物保護剤として;金属イオン封鎖剤として;鉱物油添加剤として;防食剤として;洗浄および洗浄組成物用途における;エレクトロニクス用途における;難燃剤における、または、難燃剤として;クリアコートおよび膨張性塗料用の難燃剤として;木材および他のセルロース製品のための難燃剤における、または、難燃剤として;ポリマー用の、難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造用の、難燃性ポリマー成形品の製造用の、および/または、含浸によりポリエステルおよび純粋なセルロースおよびセルロースブレンド布帛に難燃性を付与するための、反応性および/または非反応性の難燃剤における、または、難燃剤として;および/または、さらなる難燃剤混合物の相乗剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩、および、再生可能原材料からの製造方法に関する。本発明は、同様に持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の使用に関する。本発明において、「持続可能」または「持続可能的」という用語は、もっぱら環境目標に関連して定義され、資源の生産性を長期的に維持または向上させる能力を指す。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、高い熱安定性を有するジアルキルホスフィン酸塩の調製方法を開示している。当該調製方法は次の工程:(a)ジアルキルホスフィン酸および/またはジアルキルホスフィン酸アルカリ金属塩水溶液に強酸を添加して、pH1未満のジアルキルホスフィン酸および/またはジアルキルホスフィン酸アルカリ金属塩水溶液を得る工程;(b)金属化合物と水の混合物を、ジアルキルホスフィン酸および/またはジアルキルホスフィン酸アルカリ金属塩水溶液と1未満のpHで反応させて、ジアルキルホスフィン酸金属塩を生成し、当該溶液の反応後pHは1未満である工程;および、(c)濾過し、濾液を再利用し、フィルターケーキを洗浄および乾燥して、対応するホスフィン酸ジアルキルを得る工程、を含む。
【0003】
特許文献2は、単一のエチルホスフィン酸基を持たないジエチルホスフィン酸およびその製造方法を開示しており、その製造方法は、次の工程:次亜リン酸ナトリウム一水和物、無水酢酸および有機溶媒を混合し、有機酸、次いで濃硫酸または無水硫酸を添加し、冷却して静置し、濾過して硫酸ナトリウムをリサイクルして無水次亜リン酸溶液を得る工程;エチレンを供給し、開始剤の滴定を使用して最初の混合物を得る工程;および、蒸留を使用して有機酸と有機溶媒を回収する工程を含む。
【0004】
特許文献3は、オレフィンとアルキル亜リン酸および/または次亜リン酸および/またはこれらのアルカリ金属塩とを反応させることによって、ジアルキルホスフィン酸および/またはそのアルカリ金属塩を製造する方法に関し、当該方法は、遊離基開始剤としてアゾ化合物の存在下で当該反応を行う工程を含む。また当該米国特許は、上記方法に従い製造された生成物を難燃剤の製造に使用する方法にも関する。
【0005】
特許文献4は、ハロゲンを含まないホスフィン酸塩含有難燃剤、イニマーおよび金属抽出剤を製造するための共役ジエンホスフィネート化合物、当該化合物を不飽和ケトンまたはアルデヒドから製造する方法、およびそれらの使用に関する。
【0006】
特許文献5は、ポリマー製造のためのオレフィンモノマーの製造方法、特に、ポリオレフィンなどのトール油ベースのバイオポリマーの製造に関する。当該製造方法の段階では、当該トール油の脂肪酸が50%を超え、トール油の樹脂酸が25%以下のバイオオイルと水素ガスが触媒床に供給される;当該油は当該床内で水素によって触媒的に脱酸素化される;当該床を出る流れは冷却され、炭化水素を含む液相と気相とに分けられる;当該分離した炭化水素含有液体相は、水蒸気分解にかけて、重合性オレフィンを含む生成物を得る。当該床における脱酸素後に、接触分解を行うことも、または、適切な触媒を使用して脱酸素と分解を同時に行うこともできる。分離された水素含有気相はプロセス内で循環できる。
【0007】
(半)有機生成物の製造に用いられる材料の多くは、従来、原油から得られる(特許文献5)。環境、経済、持続可能性への関心により、当該限られた資源由来の製品の使用が制限されてきている。例えば、合成界面活性剤は、環境汚染、特に河川および海洋における水質問題などの環境汚染のために非難されている。同様のまたは異なる問題が原油から製造された製品についても起こり得る;更に、例えばタンカー事故が起きた場合のように、原油自体は水に対して有害であり深刻な環境汚染物質である。
【0008】
したがって、より環境に優しく持続可能な資源から(半)有機生成物を製造することが望まれている。化学工学における最近の研究および工業的発展は、エチレン、アクリル酸またはメチルメタクリレートなどの従来のモノマーが再生可能原材料から完全に製造され得ることを示している。本明細書で使用される「再生可能」という用語は、将来世代にも利用できるように補充または復元できる、農業または林業などの自然プロセスによって得られる材料を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】CN103172666B
【特許文献2】CN104478923B
【特許文献3】US6329544B1
【特許文献4】WO2011/050537A1
【特許文献5】WO2010/086507A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような新しいプロセスは、化学的製造目的のために全く異なる原材料が必要とされるという欠点を有することがあり、このことは、元の石油ベースの製造プロセスおよび関連設備の全再構築を必要とする。良好に機能する既存の従来の工場自体を完全に破棄することは巨大な廃棄物であり、環境に優しくない。
【0011】
さらに、従来の石油系原材料に基づくプロセスは、再生可能原材料からの代替プロセスと比べて、エネルギー的に優れている場合が多い。本明細書で使用するとき、「エネルギー的に優れている」とは、同量の最終生成物を生産するためのエネルギー消費がより低いことを意味する。このエネルギー消費は、例えば、カーボンフットプリントによって測定することができる。これは、とりわけ、使用される原材料および使用される製造プロセスの二酸化炭素当量の放出を計算する、いわゆるライフサイクル分析において行うことができる。
【0012】
したがって、持続可能な含有量が増した化学物質、つまり、最適なエネルギー効率を大幅に維持しつつ従来の石油ベースの製造方法よりも持続可能性が向上した製造方法による化学物質を生産する必要があった。本発明において、このように製造された化学物質は、「持続可能的に製造された」と称される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩、および従来の石油ベースの製造方法よりも優れた持続可能性を有するその製造方法を提供することである。
【0014】
本発明は、次式(I)で表される持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩を提供するものであって、
【化1】
[式中、aおよびbは、互いに同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して1~9であり、炭素鎖は直鎖状、分枝状、または環状であってもよく;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
mは1~4である。]
当該ジアルキルホスフィン酸塩は、当該化合物中の炭素の総重量を基準として、0.000001重量%~100重量%の持続可能的に製造された炭素の含有量を有することを特徴とする。
【0015】
これらの持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩は、好ましくは、当該化合物中の炭素の総重量を基準として、0.0001重量%~100重量%の持続可能的に製造された炭素の含有量を有する。
【0016】
これらの持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩は、より好ましくは、当該化合物中の炭素の総重量を基準として、0.001重量%~100重量%の持続可能的に製造された炭素の含有量を有する。
【0017】
好ましくは、式(I)において、aおよびbは、互いに同じかまたは異なり、それぞれ独立して1~5であり、炭素鎖は直鎖状、分枝状、または環状であってよく;Mは、Al、Fe、TiOq(q=0~1.9)またはZnである。より好ましくは、式(I)において、aおよびbはそれぞれ1であり、MはAlである。
【0018】
本発明において、当該ジアルキルホスフィン酸塩の持続可能的に製造された炭素の含有量は、好ましくは、再生可能またはリサイクル原材料から生成されたオレフィンに由来する。
【0019】
当該再生可能原材料は、好ましくは、トール油、キリ油、ウッドタール、クレオソート、または、例えばパーム油、ダイズ油、ナタネ油(rapeseed oil)、ヒマワリ油、パーム核油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油(maize kernel oil)、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油(linseed oil)および/または紅花油(safflower oil)などの植物油から選択される。当該再生可能原料の好ましい種類の1つはトール油である。
【0020】
当該リサイクル原材料は、食品廃棄物、食品生産、製紙またはパルプ加工からの残渣物または廃棄物、および、その他のリサイクル起源の材料から選択されうる。当該リサイクル原材料の、特に好ましい一例は、廃タイヤなどの廃プラスチックからの熱分解油である。
【0021】
本発明はまた、持続可能的に製造された式(I)のジアルキルホスフィン酸塩を製造する方法に関するものであって、当該製造方法は、変換された出発成分がリン成分および金属成分を有する有機成分であり、これらの出発成分の少なくとも1つが、再生可能原材料またはリサイクル原材料を含む、または、少なくとも部分的にこれら原材料から製造されていることを特徴とする。当該有機成分は、好ましくは、少なくとも部分的に、再生可能またはリサイクル原材料から生成されたオレフィンである。
【0022】
持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の別の製造方法では、リサイクル原材料の副流を非リサイクル原材料の主流に混合し、次いで、必要な/化学量論量の出発成分を共通の生成流から除去する。本発明による製造方法で製造される有機成分は、好ましくは、蒸気分解装置におけるオレフィンである。
【0023】
持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩を製造する方法は、好ましくは、対応する方法において、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流を、従来原材料の主流に供給する工程、および、さらなる製造工程のために必要量の共通の生成流から持続可能的に製造された有機成分を使用する工程によって実施される。本明細書で使用される場合、従来原材料とは石油由来である。
【0024】
本発明による持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の製造方法においては、好ましくは、再生可能原材料を使用することが好ましく、当該再生可能原材料は、従来原材料と共にオレフィンに変換され、次いで、共通の生成流からの持続可能的に製造されたオレフィンの必要量が、次亜リン酸誘導体との反応に使用されて、ジアルキルホスフィン酸誘導体を得て、次いで、当該ジアルキルホスフィン酸誘導体をアルミニウム塩と反応させて、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムを得る。
【0025】
持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の製造方法は、好ましくは、対応する方法において、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流を、従来原材料の主流に供給する工程、および、更なる処理工程のために有機成分の共通の生成流を使用する工程により実施される。
【0026】
持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の本発明による製造方法において、再生可能原材料を使用することが好ましく、当該再生可能原材料は従来原材料と共にオレフィンに変換され、次いで、共通のオレフィン生成流が次亜リン酸誘導体との反応に使用されて、ジアルキルホスフィン酸の誘導体を得て、次いで、このジアルキルホスフィン酸誘導体をアルミニウム塩と反応させて、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムを得る。
【0027】
認証方法および結果として得られる証明書を用いて、副流過程の総量における再生可能原材料に由来するオレフィンの分類を確実にすることが好ましい。ドイツにおける再生可能原材料由来のオレフィンの好ましい認証方式は、化学工業における持続可能な物質の流れの認証のためにTUEV Nord Cert社が運営するREDcert2方式である。
【0028】
また、次亜リン酸誘導体が、リサイクル原材料および従来原材料からの副流過程で製造される方法も好ましい。本発明において、次亜リン酸誘導体(特に白リン)の原材料は、好ましくは、例えばEP2792949A1またはDE102016011287A1に記載されているような単一焼却プロセスに由来することが好ましい。本発明によれば、改質されたヴェーラー法がスラッジに適用される。
【0029】
本発明によれば、次亜リン酸誘導体が白色リンから製造されることが好ましく、これは、完全にリサイクル原材料を用いて行われる熱化学プロセスに由来するか、または上記のような副流方法によって実施される。
【0030】
リサイクル原材料は、好ましくは、廃水処理施設からの下水汚泥、骨材等である。同様に、アルミニウム塩が、リサイクル原材料および従来原材料からの副流過程で製造される方法が好ましい。当該副流過程において、硫酸アルミニウムの製造において、アルミニウムスクラップ、廃水処理プラントからの下水スラッジ、および一般にアルミニウム含有化学廃棄物を使用することが好ましい。本発明において、ジアルキルホスフィン酸塩を製造するために使用されるオレフィンは、好ましくは、エチレンであり、ジアルキルホスフィン酸塩を製造するために使用されるアルミニウム塩は、好ましくは、硫酸アルミニウムである。
【0031】
最後に、本発明は、請求項1~10のいずれかに記載の製造方法により持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩の、さらなる合成のための中間体として;相乗剤として;結合剤として;エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤または促進剤として;ポリマー安定剤として;作物保護剤として;金属イオン封鎖剤として;鉱物油添加剤として;防食剤として;洗浄および洗浄組成物用途における;エレクトロニクス用途における;難燃剤における、または、難燃剤として;クリアコートおよび膨張性塗料用の難燃剤として;木材および他のセルロース製品のための難燃剤における、または、難燃剤として;ポリマー用の、難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造用の、難燃性ポリマー成形品の製造用の、および/または、含浸によりポリエステルおよび純粋なセルロースおよびセルロースブレンド布帛に難燃性を付与するための、反応性および/または非反応性の難燃剤における、または、難燃剤として;および/または、さらなる難燃剤混合物の相乗剤として、の使用に関する。
【0032】
本発明は、また、0.1~45重量%の請求項1~10のいずれかに記載の持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩、55~99.9重量%の熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、0~55重量%の添加剤および0~55重量%の充填剤または補強材を含む、ここで、当該成分の総和は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマーの、成形コンパウンド、ポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維を含む。
【0033】
本発明は、好ましくは、1~30重量%の請求項1~10のいずれかに記載の持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩、10~97重量%の熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、1~30重量%の添加剤および1~30重量%の充填剤または補強材を含む、ここで、当該成分の総和は100重量%である、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマーの、成形コンパウンド、ポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維を包む。
【0034】
請求項1~10のいずれかに記載の持続可能的に製造されたジアルキルホスフィン酸塩を含む難燃性の熱可塑性または熱硬化性ポリマーの、成形コンパウンド、ポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維は、好ましくは、当該ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートのタイプ、およびABS(アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ポリマーのタイプのブレンドまたはポリマーブレンドの熱可塑性ポリマー、および/または、不飽和ポリエステルもしくはエポキシ樹脂の種の熱硬化性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0035】
本発明は、完全に最適な持続可能な方法または原材料の組合せが、少なくとも1つの出発成分のために使用される、ハロゲンフリー難燃剤の製造方法を含む。本発明のこのような方法は、出発成分からハロゲンフリー難燃剤を製造する方法およびこれらの出発成分の製造方法の従属部とから構成される。このような製造方法の従属部では、本発明は、従来原材料の主流に加えて、持続可能原材料の副流に供給すること、および、その後、さらなる処理ステップのために、生成流からの対応する量の持続可能な出発成分のみを使用することを含む。
【0036】
このようにして、出発成分を得るためのエネルギー的に最適なプロセスにおいて、原材料の持続可能な起源の環境上の利益をその処理と組み合わせることができる。この基本原理は、出発成分が新たに生産可能でないか、または新たに生産することができない場合(例えば、有機物質の場合)、特に有利であるが、持続可能性は原材料のリサイクルによってのみ回収することで行われる。ここで、リサイクル原材料の副流は、リサイクルされていない主原料流と混合される。生産された余分な製品の対応する割合は、全体的な材料評価において、リサイクル原材料に割り当てることができる。
【0037】
本発明の新規かつ進歩的な態様は、少なくとも1つの出発成分がそのような副流過程によって製造されるプロセスによって、ハロゲンフリー難燃剤を製造することである。本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の製造方法は、有機成分、リン成分および金属成分に由来する。本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の製造方法は、有機成分をリン成分および金属成分と反応させる工程を含み、ここで、これらの反応物の少なくとも1つは、本発明による副流過程に由来する。
【0038】
本発明の有機成分のための本発明の原材料は、好ましくは、持続可能な製造から得られ、後者はCO2ニュートラルベースで製造された再生可能原材料を含み、石油化学品由来に基づかず、原油由来に基づかず、物理的な再利用から得られ、および/または、サーキュラー・エコノミーから得られる。サーキュラー・エコノミーの原理によれば、当該エコノミーは、浪費や環境汚染の回避に役立つ。
【0039】
したがって、本発明によるジアルキルホスフィン酸塩は、複数ある原材料の少なくとも1つをこのような副流過程から得る本発明による方法で製造される。本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明の製造方法において、使用される有機成分はオレフィンである。本発明によれば、この種の前述の副流過程におけるオレフィンのための原材料は、少なくとも部分的に、持続可能な起源から製造される。
【0040】
オレフィンのための当該再生可能原材料は、キリ油、ウッドタール、クレオソート、または、例えばパーム油、ダイズ油、ナタネ油(rapeseed oil)、ヒマワリ油、パーム核油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油(maize kernel oil)、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油(linseed oil)および/または紅花油(safflower oil)などの植物油に由来する。
【0041】
オレフィンのための原材料は、また、廃プラスチックからの熱分解油から等、リサイクルプロセスからのプラスチックに由来し得る。
【0042】
本発明において使用可能なトール油は、有利にはパルプ加工(クラフトプロセス法)から得られる。当該トール油成分は、アルカリ加水分解に供され、酸性化によって酸に変換される。粗トール油が得られる。これを減圧蒸留により樹脂酸と脂肪酸に精製する。また、トール油ピッチと低ボイラーもある。本発明において使用可能なトール油は、40~45重量%の脂肪酸、30~50重量%の樹脂酸および10~28重量%のステリンを含む。
【0043】
持続可能な原材料の可能な使用または利用のためには、それらが、それらの物理的特性において、従来の非持続可能な原材料と可能な限り類似していることが重要である。例えば、ポンプ性能の理由から、粘度(例えば、70℃における)は25~40mm2/sでなければならず、軟化点は0~100℃でなければならない。本発明による利用のためのコークス付着物の形成を低減するためには、トール油が0.003%~3%の硫黄含有量を有することが必須である。容器壁の腐食を抑えるために、本発明によれば、トール油は、145~180mgKOH/gの酸価を有する。
【0044】
当該樹脂酸は、縮合三環系(樹脂、C20H30O2)である。本発明によるトール油脂肪酸は、大豆油に似て、C18脂肪酸である。ニュートラル成分(「ステリン」、エステル、ステロール、炭化水素)は望ましくない。本発明において使用可能な脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ピノレン酸、アラキドン酸である。
【0045】
本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明の製造方法は、オレフィンが蒸気分解装置における副流過程によって製造されることを特徴とする。ここで、当該原材料は、750~900℃の焼成炉において、短い滞留時間(0.1~0.6s)で処理される。当該原材料は、オレフィン収率を増加させ、望ましくないコークス堆積物を減少させるために、予め蒸気で希釈されている。当該蒸気の原材料に対する比率は、0.3:1~1:1である。
【0046】
当該有機成分の製造のための副流過程において、当該従来原材料の、持続可能な原材料に対する比率は、好ましくは、109:1~1:106である。当該リン成分の製造のための本発明における副流過程は、本質的に、共同体から出る下水汚泥、または、工業的な下水処理プラントからの下水汚泥から進める。これは、カルシウム含有、アルミニウム含有、およびリン酸鉄含有の沈殿物、ならびに有機結合リンを含有する。ここでは、リン酸鉄含有沈殿物は、その後の処理工程において不要なフェロリンに変換されるため、優先されない。
【0047】
上述の沈殿物は、好ましくは、従来の方法、例えば、黄色リンの製造のための熱電方法において、リン酸カルシウム鉱石にさらに添加される。リサイクルされた持続可能なリンは、好ましくは、先行技術の方法に従って、ボイルによって水酸化ナトリウム溶液と反応して、次亜リン酸ナトリウムとなる。
【0048】
回収された持続可能な(リン)資源に由来するリンは、非持続可能なリンと共に、好ましくは、先行技術の方法に従って、ボイルによって水酸化ナトリウム溶液と反応して、次亜リン酸ナトリウムとなる。持続可能的に製造された本発明によるジアルキルホスフィン酸塩のさらなる製造のために、使用される次亜リン酸塩の割合(リンに基づく)は、回収された持続可能な(リン)資源からのリンが最初に使用された割合と同程度である。
【0049】
リン成分の製造のための副流過程において、従来原材料の持続可能原材料に対する比率は、好ましくは、109:1~1:106である。持続可能な資源はまた、再利用プロセスであり得る。金属成分、例えばアルミニウムの製造のための本発明による副流過程は、回収されたアルミニウム塩を、水酸化アルミニウムの製造のためのいわゆるバイエルプロセスに供給することである。金属成分の製造のための副流過程において、従来原材料の持続可能な原材料に対する比率は、好ましくは109:1~1:106である。持続可能な資源は、ここでは、同様に、再利用方法であってもよい。
【0050】
使用されるリン成分が次亜リン酸またはその誘導体の1つであることは、ジアルキルホスフィン酸塩の製造のための本発明による方法の特徴である。本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明による製造方法において、使用される金属成分は、好ましくは金属塩である。当該金属塩は、好ましくは硫酸アルミニウムである。
【0051】
本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明の製造方法は、次を特徴とする:
a)エチレンの原材料は、持続可能な起源からのものである、すなわちCO2ニュートラル生産から、および/または物理的リサイクルから、および/またはサーキュラー・エコノミーからの再生可能な起源からのものである、
b)持続可能な起源ではない他の原材料と副流過程においてエチレンに変換される、
c)持続可能な起源からの原材料の量に応じたエチレンおよび次亜リン酸誘導体は、ジエチルホスフィン酸誘導体に変換される、そして、
d)ジエチルホスフィン酸誘導体および硫酸アルミニウムは、本発明によるジエチルホスフィン酸アルミニウムに変される。
【0052】
本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明の別の製造方法は、次を特徴とする:
a)エチレンの原材料は、持続可能な起源からのものである、すなわちCO2ニュートラル生産から、物理的リサイクルから、および/またはサーキュラー・エコノミーからの再生可能な起源からのものである、
b)持続可能な起源ではない他の原材料と副流過程においてエチレンに変換される、
c)持続可能な起源からの原材料の量に応じたエチレンおよび次亜リン酸誘導体は、ジエチルホスフィン酸誘導体に変換され、ここで、当該次亜リン酸誘導体は、リサイクル原材料および従来原材料からの副流過程で調製される、
d)ジエチルホスフィン酸誘導体は、硫酸アルミニウムと反応して、本発明によるジエチルホスフィン酸アルミニウムに変換される。
【0053】
さらに、本発明によるジアルキルホスフィン酸塩の本発明の製造方法は、次を特徴とする:
a)エチレンの原材料は、持続可能な起源からのものである、すなわちCO2ニュートラル生産から、物理的リサイクルから、および/またはサーキュラー・エコノミーからの再生可能な起源からのものである、
b)持続可能な起源ではない他の原材料と副流過程においてエチレンに変換される、
c)持続可能な起源からの原材料の量に応じたエチレンおよび次亜リン酸誘導体は、ジエチルホスフィン酸誘導体に変換され、ここで、当該次亜リン酸誘導体は、リサイクル原材料および従来原材料からの副流過程で調製される、
d)ジエチルホスフィン酸誘導体は、硫酸アルミニウムと反応して、本発明によるジエチルホスフィン酸アルミニウムに変換される、ここで、当該硫酸アルミニウムは、リサイクル原材料および従来原材料からの副流過程で調製される。
【0054】
本発明の製造方法は、好ましくは、pH調整剤(例えば、酸、アルカリ)、フリーラジカル開始剤(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、表面改良剤、消泡剤、粉塵防止剤および/または凝集助剤の群からの少なくとも1つのプロセス補助剤を使用する。
【0055】
攪拌中(輸送および工業的処理中)の難燃性混合物の嵩密度およびタンピング密度の安定性のために、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩およびさらに相乗剤が小さい粒径である場合が有利である。したがって、両方の成分の平均粒径は1~100μmであることが好ましい。
【0056】
好ましくは、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩は、0.1~1000μmの平均粒径、80~800g/Lの嵩密度、100g/L~1100g/Lのタンピング密度/タップ密度、5~45度の安息角、1~40m2/gのBET表面積、85~99.9のカラー値L、-4~+9のカラー値a、および、-2~+6のカラー値bを有する。
【0057】
より好ましくは、本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩は、0.5~800μmの平均粒径、80g/l~600g/lの嵩密度/タップ密度、600g/l~800g/lのタンピング密度、および10~40度の安息角を有する。
【0058】
より好ましくは、本発明における相乗剤は、1.5~900μmの平均粒径、80g/l~600g/lの嵩密度/タップ密度、10~40度の安息角を有する。本発明による難燃性混合物は、1~99重量%の本発明によるジオルガニルホスフィン酸塩、1~99重量%の本発明による少なくとも1種の相乗剤を重量で含有する。
【0059】
前述の使用においては、ジオルガニルホスフィン酸塩を相乗剤と共に使用することが好ましい。当該相乗剤は、好ましくは、メラミンホスファート、ジメラミンホスファート、ペンタメラミントリホスファート、トリメラミンジホスファート、テトラキスメラミントリホスファート、ヘキサキスメラミンペンタホスファート、メラミンジホスファート、メラミンテトラホスファート、メラミンピロホスファート、メラミンポリホスファート、メラムポリホスファート、メレムポリホスファートおよび/またはメロンポリホスファート;または、メラム、メレム、メロンなどのメラミン縮合物;または、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴエステル、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、尿素シアヌレート、ジシアンジアミドおよび/またはグアニジン;または、式(NH4)yH3-yPO4または(NH4PO3)zで表される窒素含有リン酸塩(yは1~3であり、zが1~10、000である);または、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、ピロ亜リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム、ピロホスホン酸アルミニウム;または、ケイ酸塩、ゼオライト、シリカ、セラミック粉末、亜鉛化合物、例えば、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化錫水和物、塩基性ケイ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム;エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、n-ブチルホスホン酸、secブチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸および/またはオクチルホスホン酸の塩、である。
【0060】
本発明による難燃性ポリマーの、成形コンパウンド、成形品、フィルム、フィラメントおよび/または繊維は、25~99重量%の少なくとも1種の熱可塑性および/または熱硬化性ポリマー、および、1~75重量%の少なくとも1種の本発明による難燃性混合物、を含有する。
【0061】
本発明による難燃性ポリマーの、成形コンパウンド、成形品、フィルム、フィラメントおよび/または繊維は、25~99重量%の少なくとも1種の熱可塑性および/または熱硬化性ポリマー、1~75重量%の少なくとも1種の本発明による難燃性混合物、および、1~65重量%の少なくとも1種の本発明による補強材(例えば、ガラス繊維)、を含む。
【0062】
本発明による難燃性ポリマーの、成形コンパウンド、成形品、フィルム、フィラメントおよび/または繊維は、25~99重量%の少なくとも1種の熱可塑性および/または熱硬化性ポリマー、1~75重量%の少なくとも1種の本発明による難燃性混合物、1~65重量%の少なくとも1種の本発明による補強材(例えば、ガラス繊維)、および、0.01~25重量%の少なくとも1種の本発明による添加剤、を含む。
【0063】
好ましくは、さらなる添加剤が使用され、これらは、酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、乳化剤、核剤、可塑剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料などである。
【0064】
前記使用のための当該ポリマーは、好ましくは、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートのタイプ、およびABS(アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)もしくはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ポリマーのタイプのブレンドまたはポリマーブレンドの熱可塑性ポリマー、および/または、不飽和ポリエステルもしくはエポキシ樹脂の種の熱硬化性ポリマーである。
【0065】
当該ポリマーは、好ましくは、ポリエステル、ポリスチレンまたはポリアミドなどの熱可塑性ポリマー、および/または熱硬化性ポリマーの群から得られる。
【0066】
当該ポリマーは、モノ-およびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロプレン、ポリイソブチレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリイソプレン、またはポリブタジエン、およびシクロオレフィンの付加重合体、例えば、シクロペンテンまたはノルボルネン;およびポリエチレン(場合により、架橋されていてもよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン((HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、枝分かれした低密度ポリエチレン(BLDPE)、およびこれらの混合物であるのが好ましい。
【0067】
当該ポリマーは、好ましくは、モノ-およびジオレフィンと相互のまたはその他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはこれと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレンブテン-1コポリマー、プロピレン-イソブチレンコポリマー、エチレンブテン-1コポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-メチルペンテンコポリマー、エチレン-ヘプテンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマー、プロピレン-ブタジエンコポリマー、イソブチレン-イソプレンコポリマー、エチレン-アルキルアクリラートコポリマー、エチレン-アルキルメタクリラートコポリマー、エチレン-ビニルアセタートコポリマーおよびそれらと一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン-アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩(イオノマー)、そしてまた、エチレンとプロピレンとジエン、例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、またはエチリデンノルボルネンとのターポリマー;そしてまたこれらのコポリマーと互いとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-ビニルアセタートコポリマー、LDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン-ビニルアセタートコポリマー、LLDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー、および交互もしくはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、またはこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物であるのが好ましい。
【0068】
当該ポリマーは、好ましくは、炭化水素樹脂(例えばC5-C9)であり、これらの水素化変種(例えば粘着付与剤樹脂)およびポリアルキレンとでんぷんとの混合物を含む。当該ポリマーは、好ましくは、ポリスチレン(ポリスチロール143E、BASF)、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)である。
【0069】
当該ポリマーは、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンとジエンまたはアクリル酸誘導体とのコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルメタクリラート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリラートおよびメタクリラート、スチレン-無水マレイン酸、スチレン-アクリロニトリル-メタクリレート;スチレンコポリマーおよび別のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーの高耐衝撃性混合物;および、スチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、またはスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである。
【0070】
当該ポリマーは、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン-スチレンコポリマー上のまたはポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート;ポリブタジエン上のスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエン上のスチレンおよびマレイミド、ポリブタジエン上のスチレンおよびアルキルアクリラートおよびアルキルメタクリラート、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー上のスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリラートまたはポリアルキルメタクリラート上のスチレンおよびアクリロニトリル、アクリラート-ブタジエンコポリマー上のスチレンおよびアクリロニトリル、および、これらの混合物、例えば、ABS、MBS、ASA、またはAESポリマーとして知られているものである。
【0071】
当該ポリマーは、好ましくは、ハロゲン化ポリマー、例えば、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン-イソプレンで構成される塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ-およびコポリマー、特にハロゲン化ビニル化合物で構成されるポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;およびこれらのコポリマー、例えば、塩化ビニル-塩化ビニリデン、塩化ビニル-ビニルアセタート、または塩化ビニリデン-ビニルアセタートである。
【0072】
当該ポリマーは、好ましくは、アルファ-ベータ-不飽和酸およびそれらの誘導体に由来するポリマー、例えば、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート、ブチル-アクリラート-耐衝撃性改質ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル、ならびに、上述したモノマー同士の、または、他の不飽和のモノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル-アルキルアクリラートコポリマー、アクリロニトリル-アルコキシアルキルアクリラートコポリマー、アクリロニトリル-塩化ビニルコポリマー、またはアクリロニトリル-アルキルメタクリラート-ブタジエンターポリマーである。
【0073】
当該ポリマーは、好ましくは、不飽和アルコールおよびアミンまたはアシル誘導体またはアセタールに由来するポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ステアラート、ベンゾアート、またはマレアート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタラート、ポリアリルメラミン;およびそれらとオレフィンとのコポリマーである。
【0074】
当該ポリマーは、好ましくは、環状エーテルのホモ-およびコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0075】
当該ポリマーは、好ましくは、ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン、およびコモノマー、例えばエチレンオキシドを含有するそれらのポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタンで、またはアクリラートで、またはMBSで修飾されたポリアセタールである
【0076】
当該ポリマーは、好ましくは、ポリフェニレンオキシドおよび硫化物およびこれらとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物である。
【0077】
当該ポリマーは、好ましくは、一方の、末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル、ポリエステルおよびポリブタジエンと、他方の、脂肪族ポリイソシアネートまたは芳香族ポリイソシアネートとから誘導されるポリウレタン、ならびにその前駆体である。
【0078】
当該ポリマーは、好ましくは、ジアミンとジカルボン酸とから、および/またはアミノカルボン酸もしくは相応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド2/12、ポリアミド4(ポリ-4-アミノ酪酸、Nylon(登録商標)4、DuPont社)、ポリアミド4/6(ポリ(テトラメチレン-アジパミド)、ポリ-(テトラメチレン-アジピン酸ジアミド)、ポリテトラメチレンアジパミド、Nylon(登録商標)4/6、DuPont社)、ポリアミド6(ポリカプロラクタム、ポリ-6-アミノヘキサン酸、Nylon(登録商標)6、DuPont社、Akulon(登録商標)K122、DSM社、Zytel(登録商標)7301、DuPont社、Durethan(登録商標)B29、Bayer社)、ポリアミド6/6((ポリ(N、N’-ヘキサメチレンアジピンジアミド)、Nylon(登録商標)6/6、DuPont社、Zytel(登録商標)101、DuPont社、Durethan(登録商標)A30、Durethan(登録商標)AKV、Durethan(登録商標)AM、Bayer社、Ultramid(登録商標)A3、BASF社)、ポリアミド6/9(ポリ(ヘキサメチレンノナンジアミド)、Nylon(登録商標)6/9、DuPont社)、ポリアミド6/10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、Nylon(登録商標)6/10、DuPont社)、ポリアミド6/12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、Nylon(登録商標)6/12、DuPont社)、ポリアミド6/66(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド-コ-カプロラクタム)、Nylon(登録商標)6/66、DuPont社)、ポリアミド7(ポリ-7-アミノヘプタン酸、Nylon(登録商標)7、DuPont社)、ポリアミド7、7(ポリへプタメチレンピメラミド、Nylon(登録商標)7、7、DuPont社)、ポリアミド8(ポリ-8-アミノオクタン酸、Nylon(登録商標)8、DuPont社)、ポリアミド8、8(ポリオクタメチレンスベラミド、Nylon(登録商標)8、8、DuPont社)、ポリアミド9(ポリ-9-アミノノナン酸、Nylon(登録商標)9、DuPont社)、ポリアミド9、9(ポリノナメチレンアゼラミド、Nylon(登録商標)9、9、DuPont社)、ポリアミド10(ポリ-10-アミノ-デカン酸、Nylon(登録商標)10、DuPont社)、ポリアミド10、9(ポリ(デカメチレンアゼラミド)、Nylon(登録商標)10、9、DuPont社)、ポリアミド10、10(ポリデカメチレンセバカミド、Nylon(登録商標)10、10、DuPont社)、ポリアミド11(ポリ-1b1-アミノウンデカン酸、Nylon(登録商標)11、DuPont社)、ポリアミド12(ポリラウリルラクタム、Nylon(登録商標)12、DuPont社、Grillamid(登録商標)L20、Ems Chemie社)、m-キシレン、ジアミンおよびアジピン酸を起点とする芳香族ポリアミド、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸とから製造されたポリアミド(ポリヘキサメチレンイソフタラミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、ならびに場合によって修飾剤としてエラストマーを加えて製造されたポリアミド、例えば、ポリ-2、4、4-トリメチルヘキサメチレンテレフタラミドまたはポリ-m-フェニレンイソフタラミドである。前記のポリアミドの、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、または化学結合もしくはグラフト化されたエラストマーとのブロックコポリマー、あるいはポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー。さらには、EPDMまたはABSで修飾されたポリアミドまたはコポリアミド、および加工中に縮合させたポリアミド(「RIM-ポリアミド系」)。
【0079】
芳香族ポリアミド、例えば、PA4T、PA6T、PA9T、PA10T、PA11T、および/またはMXD6、非晶質ポリアミド、例えば、6I/XおよびTPE-A「rigid(剛性)」および「soft(軟性)」も使用可能である。
【0080】
当該ポリマーは、好ましくは、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、および/またはポリベンゾイミダゾールである。
【0081】
当該ポリマーは、好ましくは、ジカルボン酸とジアルコールとからおよび/またはヒドロキシカルボン酸とから、あるいは対応するラクトン類から誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(セラニーズ社のCelanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002;BASF社のUltradur(登録商標))、ポリ-1、4-ジメチロールシクロヘキサンフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;更にポリカーボネートもしくはMBSで変性されたポリエステルである。
【0082】
好ましくは、前記ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンである。好ましくは、熱硬化性ポリマーは、ホルムアルデヒドポリマー、エポキシポリマー、メラミン-フェノール樹脂ポリマー、および/またはポリウレタンである。
【0083】
当該熱硬化性ポリマーは、好ましくは、エポキシ樹脂である。当該熱硬化性ポリマーは、好ましくは、レゾール、フェノール、フェノール誘導体で、および/またはジシアンジアミド、アルコール、およびアミンで硬化させたエポキシ樹脂である。好ましくは、当該エポキシ樹脂はポリエポキシ化合物である。好ましくは、当該エポキシ樹脂は、ノボラックおよびビスフェノールA樹脂の群に由来する。
【0084】
当該熱硬化性ポリマーは、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエン修飾された不飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、またはブタジエンポリマー;ポリブタジエンブロックまたはポリイソプレンブロックと、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンからなるブロックとを含むブロックコポリマー;第1のポリブタジエンブロックと第2のポリエチレンブロックまたはエチレン-プロピレンブロックとを含むブロックコポリマー、第1のポリイソプレンブロックと第2のポリエチレンブロックまたはエチレン-プロピレンブロックとを含むブロックコポリマーを含む。
【0085】
当該熱硬化性ポリマーは、好ましくは、エポキシ化された植物油(エポキシ化されたダイズ油/アマニ油)、アクリル酸誘導体(アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、メチルメタクリレート)、およびヒドロキシアルキル-アクリレートおよび/またはヒドロキシアルキル-アルカクリレート(ヒドロキシエチル-メタクリレート、ヒドロキシプロピル-メタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート)をベースとするようなポリマーである。
【0086】
当該熱硬化性ポリマーは、好ましくは、電気スイッチ部品、自動車製造部品、電気工学、電子工学、回路基板、プリプレグ、電子工学部品用の封止材料において、船および回転翼の製作において、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の屋外用途、家庭用用途および衛生用途、工学材料、ならびにさらなる製品において使用される。
【0087】
好ましくは、熱硬化性ポリマーは、飽和および不飽和、多価、とりわけジカルボン酸、またはそれらの無水物の、多価アルコール、および架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)である。UP樹脂は、開始剤(例えば、ペルオキシド)および促進剤を用いたラジカル重合によって硬化させる。不飽和ポリエステルは、ポリマー鎖中に、結合員(Verbindungsglied)としてエステル基を有してもよい。
【0088】
ポリエステルを製造するために好ましい不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸誘導体は、マレイン酸、無水マレイン酸、およびフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸である。これらは、不飽和酸成分に対して200モル%までの少なくとも1つの脂肪族飽和ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸と混合されていてもよい。
好ましい飽和ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、メチルグルタル酸、ピメリン酸である。好ましい多価、とりわけ二価の、場合によっては不飽和のアルコールは、通常の非環基または環基を有するアルカンジオールおよびオキサアルカンジオールである。
【0089】
不飽和ポリエステルと共重合可能な好ましい不飽和モノマーは、好ましくは、ビニル基、ビニリデン基、またはアリル基を担持し、例えば、好ましくはスチレンであるが、さらには、例えば、核アルキル化ないしは核アルケニル化されたスチレンであり、アルキル基は、1~4個の炭素原子を含有してもよく、例えば、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アルファ-メチルスチレン、tert.-ブチルスチレンであり、2~6個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルであり、ビニルピリジン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサン、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに/またはそれらの、アルコール成分中に1~4個の炭素原子を有するエステル(好ましくは、ビニルエステル、アリルエステルおよびメタリルエステル)、それらのアミドおよびニトリル、無水マレイン酸、アルコール成分中に1~4個の炭素原子を有するマレイン酸半エステルおよびマレイン酸ジエステル、マレイン酸半アミドおよびマレイン酸ジアミド、または環状イミド、例えば、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリル、N-メチルマレインイミドまたはN-シクロヘキシルマレインイミドであり、アリル化合物、例えば、アリルベンゼン、およびアリルエステル、例えば、酢酸アリル、フタル酸ジアリルエステル、イソフタル酸ジアリルエステル、フマル酸ジアリルエステル、炭酸アリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、リン酸トリアリル、およびシアヌル酸トリアリルである。
【0090】
架橋用の好ましいビニル化合物は、スチレンである。好ましい不飽和ポリエステルは、エステル基を、側鎖に担持することもでき、例えば、ポリアクリルエステルおよびポリメタクリルエステルである。好ましい硬化剤系は、ペルオキシドと促進剤である。
【0091】
好ましい促進剤は、金属共開始剤および芳香族アミン、および/またはUV光、および光増感剤、例えば、ベンゾインエーテル、ならびにアゾ触媒、例えば、アゾイソブチロニトリル、メルカプタン、例えば、ラウリルメルカプタン、ビス-(2-エチルへキシル)スルフィドおよびビス-(2-メルカプトエチル)スルフィドである。
【0092】
難燃性コポリマーの製造方法は、少なくとも1つのC4~C8-ジカルボン酸から誘導された少なくとも1つのエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、少なくとも1つのビニル芳香族化合物、および少なくとも1つのポリオールを共重合させてから、本発明による難燃剤混合物と反応させることを特徴とする。好ましく使用できるのは、ジシクロペンタジエン、無水マレイン酸、水、飽和アルコール、および場合によってはもう1つの多価酸の反応によって得られるジシクロペンタジエン修飾された不飽和ポリエステルである。このポリエステルを、ラジカル重合可能なモノマー、例えば、スチレンを使って樹脂へと架橋させる。
【0093】
当該ポリマーは、好ましくは、アルデヒドから、またはフェノール、尿素もしくはメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0094】
当該ポリマーは、好ましくは、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0095】
当該ポリマーは、好ましくは、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、またはエポキシ樹脂によって架橋されているアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびアクリレート樹脂である。
【0096】
当該ポリマーは、好ましくは、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物から誘導される架橋エポキシ樹脂、例えば、通常の硬化剤、例えば、無水物またはアミドを使って、促進剤を加えるか、または加えずに架橋されるビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテルからの生成物である。
【0097】
ましい熱硬化性樹脂は、シアネートエステル、シアネートエステル/ビスマレイミドコポリマー、ビスマレイミド-トリアジン-エポキシブレンド、およびブタジエンポリマーのクラスからのポリマーである。
【0098】
好ましいブタジエンポリマーは、1つまたは複数の、8~18C原子を有するモノビニル置換芳香族炭化水素化合物70から95重量%、1つまたは複数の、4~12C原子を有する共役ジエン30から5%重量%、および選択的に架橋剤を含有するブロックコポリマーである。
【0099】
好ましくは、本発明による難燃剤混合物を、ポリブタジエン樹脂もしくはポリイソプレン樹脂またはそれらの混合物からなる、架橋に関与できるブタジエン含有またはイソプレン含有不飽和ポリマーを含む樹脂系にも使用する。
【0100】
好ましくは、前記ポリマーは、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物、例えば、通常の硬化剤および/または促進剤を使って架橋されるビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、および、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテルから誘導される架橋エポキシ樹脂である。
【0101】
適切なグリシジル化合物は、ビスフェノールA-ジグリシジルエステル、ビスフェノールF-ジグリシジルエステル、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂およびクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸ならびにトリメリット酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミンおよび複素環式窒素塩基のN-グリシジル化合物、ならびに多価脂肪族アルコールのジグリシジル化合物およびポリグリシジル化合物である。
【0102】
適切な硬化剤は、脂肪族、脂環式、芳香族、および複素環式のアミンまたはポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロパン-1、3-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリアミドアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェノールスルホン(Diaminodiphenolsulfon)、アニリン-ホルムアルデヒド樹脂、2、2、4-トリメチルヘキサン-1、6-ジアミン、m-キシリレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2、2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、3-アミノメチル-3、5、5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、ポリアミドアミン、シアングアニジン、およびジシアンジアミドであり、同様に、多塩基酸またはその無水物、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ならびにフェノール、例えば、フェノール-ノボラック樹脂、クレゾール-ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノールアダクト樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェノール修飾フェノールアルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトール-ノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮合物樹脂、ナフトール-クレゾール共縮合物樹脂、ビフェノール修飾フェノール樹脂、およびアミノトリアジン修飾フェノール樹脂である。すべての硬化剤は、単独または互いに組み合わせて使用できる。
【0103】
重合時の架橋のために適切な触媒または促進剤は、第三級アミン、ベンジルジメチルアミン、N-アルキルピリジン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、有機酸、ルイス酸の金属塩、およびアミン錯塩である。
【0104】
当該ポリマーは、好ましくは、一方のアルデヒドと、他方のフェノール、尿素、またはメラミンとから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂である。好ましくは、ポリマーが、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0105】
好ましいポリエステル-ポリオールは、ポリアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、4-ブタンジオール、1、5-ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1、6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、ブドウ糖、および/またはソルビトールの、二塩基酸、例えば、オキサル酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、および/またはテレフタル酸との重縮合により得られる。これらのポリエステル-ポリオールは、単独または組み合わせて利用できる。
【0106】
適切なポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂環式、および/または脂肪族のポリイソシアネート、ならびにそれらの混合物である。好ましいのは、芳香族ポリイソシアネート、例えば、トリルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリス-4-イソシアナトフェニルメタン、およびポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリルジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート(Isophorendiisocyanat)、デメリルジイソシアネート(Demeryldiisocyanat)、1、1-メチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン-4、4’-ジイソシアナトジシクロへキシルメタン異性体混合物、1、4-シクロヘキシルジイソシアネート、Desmodur(登録商標)タイプ(Bayer)、およびリジンジイソシアネート、ならびにそれらの混合物である。
【0107】
適切なポリイソシアネートは、ポリイソシアネートと、ポリオール、尿素、カルボジイミド、および/またはビウレットとの反応によって得られる修飾生成物である。好ましくは、前記ポリマーは、飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の、多価アルコール、および架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂、同じくそれらのハロゲン含有難燃性修飾物である。好ましくは、前記ポリマーは、置換アクリル酸エステルから、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0108】
好ましくは、前記ポリマーは、前記のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、ポリアミド/EPDMまたはABS(ポリアミド/エチレン-プロピレン-ジエンゴムまたはアクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)、PVC/EVA(ポリ塩化ビニル/エチレン酢酸ビニル)、PVC/ABS(ポリ塩化ビニル/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)、PVC/MBS(ポリ塩化ビニル/メタクリレート-ブタジエン-スチレン)、PC/ABS(ポリカーボネート/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)、PBTP/ABS(ポリブチレンテレフタレート/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)、PC/ASA(ポリカーボネート/アクリルエステル-スチレン-アクリルニトリル)、PC/PBT(ポリカーボネート/ポリブチレン-テレフタレート)、PVC/CPE(ポリ塩化ビニル/塩素化ポリエチレン)、PVC/アクリレート(ポリ塩化ビニル/アクリレート、POM/熱可塑性PUR(ポリオキシメチレン/熱可塑性ポリウレタン)、PC/熱可塑性PUR(ポリカーボネート/熱可塑性ポリウレタン)、POM/アクリレート(ポリオキシメチレン/アクリレート)、POM/MBS(ポリオキシメチレン/メタクリレート-ブタジエン-スチレン)、PPO/HIPS(ポリフェニレンオキシド/耐衝撃性ポリスチレン)、PPO/PA6.6(ポリフェニレンオキシド/ポリアミド6.6)、およびコポリマー、PA/HDPE(ポリアミド/高密度ポリエチレン)、PA/PP(ポリアミド/ポリエチレン)、PA/PPO(ポリアミド/ポリフェニレンオキシド)、PBT/PC/ABS(ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート/アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン)、および/またはPBT/PET/PC(ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネート)である。
【0109】
製造された成形コンパウンドは、好ましくは、規則的または不規則な底面を有する長方形、立方体、直方体、クッション形、角柱形を有する。本発明による難燃剤混合物は、エラストマー、例えば、ニトリルゴム、カルボキシル基およびカルボキシル基末端ブタジエン-アクリルニトリルを含むニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリルニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル樹脂および熱可塑性ポリイミドを含むブタジエンゴム、ウレタン修飾コポリエステルポリマー、および他のエラストマーにおいても使用できる。
【0110】
本発明による難燃剤混合物中における好ましいさらなる添加剤は、カルボジイミドおよび/または(ポリ)イソシアネートの群からである。好ましいさらなる添加剤は、立体障害フェノール(例えば、Hostanox(登録商標)OSP1)、立体障害アミン、および光安定剤(例えば、Chimasorb(登録商標)944、Hostavin(登録商標)タイプ)、ホスホナイト、および抗酸化剤(例えば、Clariant社のSandostab(登録商標)PEPQ)、および離型剤(Clariant社のLicomont(登録商標)タイプ)の群からである。
【0111】
発明による難燃剤混合物中における好ましいフィラーは、ケイ素の酸素化合物、マグネシウム化合物、例えば、周期表の第2主族の金属の金属炭酸塩、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルク石、ジハイドロタルク石、炭酸マグネシウム、または炭酸カルシウムマグネシウム、カルシウム化合物、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ハイドロカルマイト、アルミニウム化合物、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ギブス石、またはリン酸アルミニウム、赤リン、亜鉛化合物、および/またはアルミニウム化合物である。
【0112】
好ましい更なるフィラーは、ガラス球である。好ましくは、ガラス繊維が補強材として使用される。本発明によると使用可能な配合ユニットは、スリーゾーンスクリューおよび/またはショートコンプレッションスクリューを有するマルチゾーンスクリュー押出機である。本発明により使用可能な配合ユニットは、さらに、例えば、Coperion Buss Compounding Systems社(プラッテルン、スイス)の共混錬機(Ko-Kneter)、例えば、MDK/E46-11D、および/または実験室混錬機(Buss社(スイス)のMDK46(L=11D))である。
【0113】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、例えば、Coperion Werner&Pfleiderer GmbH&Co.KG、シュトゥットガルト、の二軸スクリュー押出機(ZSK25、ZSK30、ZSK40、ZSK58、ZSK MEGA―compounder40、50、58、70、92、119、177、250、320、350、380)、および/またはBerstorff社(ハノーファー)、Leistritz Extrusionstechnik社(ニュルンベルク)の二軸スクリュー押出機である。
【0114】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、例えば、3+Extruder社(ラウフェン)の、スタティックコアの周りを回転する、3から12個の小さなスクリューのリングを有するリング押出機、および/または、例えば、Entex社(ボーフム)の遊星ローラ押出機、および/またはベント押出機、および/またはカスケード押出機、および/またはMailleferスクリューである。
【0115】
本発明によると使用可能な配合ユニットは、逆方向二軸スクリューを有する配合機、例えば、Krauss-Maffei Berstorff社のCompex37型、およびCompex70型である。本本発明によるスクリュー有効長(L)は、単軸押出機または単軸スクリュー押出機の場合、20から40Dであり、二軸スクリュー押出機の場合、8から48Dであり、マルチゾーンスクリュー押出機の場合、例えば、25D(入口ゾーン(L=10D)、移行ゾーン(L=6D)、および放出ゾーン(L=9D))である。
【0116】
更に、本発明は、請求項1~19のいずれか一つに記載の本発明による難燃剤混合物の、プラグコネクタ、配電盤の充電部(漏電遮断器)、印刷回路板、封止材料、プラグコネクタ、遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、コイル要素、および換気装置、接地端子、プラグにおいてまたはそれら用での、回路基板、プラグハウジング、ケーブル、フレキシブルプリント基板、携帯電話充電用ケーブル、モータカバー、織物被覆、およびその他の製品の中/表面における使用にも関する。
【0117】
これらは、電気/電子工学分野用の部品の形態の、とりわけプリント基板、ハウジング、フィルム、ワイヤ、スイッチ、配電器、継電器、抵抗器、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、調整器、メモリー素子、およびセンサの部品用の成形体、広い面積の部品、とりわけ配電盤キャビネット用のハウジング部品の形態の成形体、ならびに要求の高い形状を有する、手間をかけて構成された部品の形態の成形体を含む。
【0118】
そのような成形体において、好ましくは、壁厚は、0.5mm未満であるが、1.5mm超(10mmまで)であることも可能である。特に適切であるのは、1.5mm未満、より好ましくは1mm未満、特に好ましくは0.5mm未満である。
【0119】
本発明による難燃剤混合物は、好ましくは、長さの算術平均が100から220μmのガラス繊維と共に、難燃性のポリアミド成形コンパウンドおよび/または成形品を製造するために使用し、結果として生じるポリアミド成形コンパウンドまたは成形品中において、ガラス繊維が、100から220μmの範囲にある長さの算術平均を有するようにポリアミド成形コンパウンドまたは成形品用の製造プロセスを調整し、ポリアミド成形コンパウンドまたは成形品は、好ましくは、IEC60695-11-10(UL94)に準拠してV-0と分類される。
【0120】
難燃性のポリマー成形コンパウンドおよびポリマー成形体の製造、加工、および試験。
ジアルキルホスフィン酸塩は、ポリマーペレットおよび任意の添加剤と混合され、二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE27/44D型)の側方入口を通して、230から260℃(ガラス繊維強化PBT)、260から310℃(PA6、6)、または250から275℃(PA6)の温度においてポリマーに配合する。ガラス繊維は、第2の側方入口から添加した。均質化されたポリマーストランドを引き抜き、水浴中で冷却してから、難燃性ポリマー成形材料へとペレット化した。
【0121】
十分に乾燥させた後、射出成形機(Arburg320C Allrounder型)上で、240から300℃の融液温度において、成形材料を難燃性ポリマー成形体へと加工した。これらは検査試料として使用でき、UL94テスト(Underwriter Laboratories)に基づいて難燃性を試験して、分類することができる。
【0122】
本発明による難燃剤混合物のフリーフローは、Pfrengle(DIN―ISO4324界面活性剤、粉末および顆粒、安息角の測定、1983年12月、Beuth Verlag Berlin)に従って測定される。前述のフリーフローは、粉末もしくは顆粒の円錐の高さの算出、または円錐半径の、円錐高さに対する比率の算出によって定める。当該円錐は、特定量の被検査物質を、定められた装置内において特殊漏斗を通して注ぐことによって作られる。生成物が基板から盛り上がった円形プレートにわたってあふれるまで、円錐を生成することにより、特定の円錐半径を得る。プレートの半径は指定されている。漏斗は、10mmの内径を有する。プレートは、50mmの半径を有する。5回の測定を行い、平均値を出す。高さは、プレートを起点にスケールを使って、円錐の頂点までミリメートルで測定する。円錐半径(50mm)の、円錐高さに対する比率を、平均値から算出する。
【0123】
従来技術の難燃剤混合物では、29.9~49.9mmの安息円錐の高さが測定され(20mmのスパンに相当)、1.67~1.00の半径と高さの比(=cotα)が測定された(0.67のスパンに相当)。当該安息角は、円錐の底面によって形成される直線と円錐の斜面によって形成される直線との間の角度であり、すなわち、円錐頂点と円錐半径とによって決まる。
【実施例】
【0124】
640gのトール油を、10,387kgの従来のナフサと一緒に、蒸気分解装置で処理して、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な原材料に対する比率は、16,230:1である。使用されるトール油の量は、168gの持続可能なエチレンに相当する。この持続可能的に製造されたエチレンを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、318gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および440gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物をさらに、1990gの脱塩水および628gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃で濾過し、25~100℃で39~7800gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥させた後、炭素の総重量を基準として、100重量%の持続可能的に製造された炭素含有量を有する、持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム382gが得られる。当該生成物は、0.2%の残留水分含量、28μmの平均粒径、および510g/lの嵩密度(98%収率)を有する。このようにして得られたジエチルホスフィン酸アルミニウムは、43が再生可能起源に由来する(ジエチルホスフィン酸アルミニウム中で100%程度変換された再生可能起源由来のエチレンの割合)。
【実施例】
【0125】
640gのトール油を、10,387kgの従来のナフサと一緒に、蒸気分解装置で処理して、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な原材料に対する比率は、16,230:1である。168gの当該エチレンを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、318gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および440gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物をさらに、1,990gの脱塩水および628gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃で濾過し、25~100℃で39~7,800gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥した後、炭素の総重量を基準として、0.006重量%の持続可能的に製造された炭素含有量を有する、部分的に持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム382gが得られる。当該生成物は、0.15%の残留水分含量、31μmの平均粒径、および530g/lの嵩密度(98%収率)を有する。
【実施例】
【0126】
640gのトール油を、624,454,994kgの従来のナフサと一緒に、蒸気分解装置で処理して、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な原材料に対する比率は、975,711:1である。使用されるトール油の量は、168gの持続可能なエチレンに相当する。この持続可能的に製造されたエチレンを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、318gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および440gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物をさらに、1990gの脱塩水および628gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃で濾過し、25~100℃で39~7800gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥した後、炭素の総重量を基準として、100重量%の持続可能的に製造された炭素含有量を有する持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム384gが得られる。当該生成物は、0.2%の残留水分含量、28μmの平均粒径、および500g/lの嵩密度(収率98.5%)を有する。
【実施例】
【0127】
10.6gのトール油を、10,387.797kgの従来のナフサまたは軽油と一緒に、蒸気分解装置で処理して、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な原材料に対する比率は、975,711:1である。168gのこのエチレンを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、318gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および440gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物をさらに、1,990gの脱塩水および628gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃で濾過し、25~100℃で39~7,800gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥させた後、炭素の総重量を基準として、0.0001重量%の持続可能的に製造された炭素の含有量を有する、部分的に持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム380gが得られる。当該生成物は、0.22%の残留水分含量、35μmの平均粒径、および535g/lの嵩密度(収率97.5%)を有する。
【実施例】
【0128】
トール油は、蒸気分解装置において副流として持続可能なエチレンに変換される。質量バランスの観点から、使用されるトール油に起因する、全プロセスから得られるエチレンは、後続の合成に使用される。下水汚泥からのリン酸アルミニウムは、熱電プロセスで比例的に黄リンに変換され、これを水酸化ナトリウム溶液とボイルして次亜リン酸塩を得る。エチレンを水溶液中で次亜リン酸ナトリウムと反応させる。これにより、ジエチルホスフィン酸ナトリウムを形成する。これを同様に水溶液中で硫酸アルミニウムと反応させて、ジエチルホスフィン酸アルミニウムを得る。このようにして得られたジエチルホスフィン酸アルミニウムは、93%再生可能な起源に由来する(ジエチルホスフィン酸アルミニウム中で100%の割合で変換された再生可能な起源からのエチレンおよび次亜リン酸塩の割合)である。
【実施例】
【0129】
トール油は、蒸気分解装置内の副流として持続可能なエチレンに変換される。質量バランスの観点から、使用されるトール油に起因する、全プロセスから得られるエチレンは、後続の合成に使用される。下水汚泥からのリン酸アルミニウムは、熱電プロセスにおいて副流として黄リンに変換され、これを水酸化ナトリウム溶液とボイルして次亜リン酸塩を得る。下水汚泥からのリン酸アルミニウムにリンを介して帰せられる、全プロセスにおいて得られるジエチルホスフィン酸ナトリウムの割合は、後続の合成のために使用される。硫酸アルミニウムは、副流においてリサイクルアルミニウム化合物から調整され、主に従来の水酸化アルミニウムから調製される。アルミニウムを介してリサイクルされたアルミニウム化合物に帰せられる、全プロセスにおいて得られる硫酸アルミニウムの割合は、後続の合成のために使用される。エチレンを水溶液中で次亜リン酸ナトリウムと反応させる。これにより、ジエチルホスフィン酸ナトリウムが形成される。これを同様に水溶液中で硫酸アルミニウムと反応させて、ジエチルホスフィン酸アルミニウムを得る。このようにして得られたジエチルホスフィン酸アルミニウムは、100%再生可能な起源に由来する(ジエチルホスフィン酸アルミニウム中で100%の割合で変換された再生可能な起源からのエチレン、次亜リン酸塩およびアルミニウムの割合)。
【実施例】
【0130】
プラスチックリサイクルからの熱分解油880gを、従来のナフサ12,500kgと共に蒸気分解装置内で処理し、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な鉱物材料に対する比率は、14,205:1である。このエチレン168gを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、318gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および440gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物を、1,990gの脱塩水および628gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃で濾過し、25~100℃で39~7,800gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥した後、炭素の総重量を基準として、0.007重量%の持続可能的に製造された炭素含有量を有する、部分的に持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム382gが得られる。当該生成物は、0.2%の残留水分含量、30μmの平均粒径および530g/lの嵩密度(98%収率)を有する。
【実施例】
【0131】
プラスチックリサイクルからの熱分解油880gを、従来のナフサ12,500kgと共に蒸気分解装置内で処理し、エチレンを得る。従来原材料の持続可能な鉱物材料に対する比率は、14,205:1である。使用される熱分解油の量は、202gの持続可能なエチレンに相当する。この持続可能的に製造されたエチレンを、ペルオキソ二硫酸ナトリウム添加剤(加工助剤)を加えて、120℃、10barで、382gの次亜リン酸ナトリウム一水和物および500gの脱塩水と完全に反応させる。当該生成物を、2,200gの脱塩水および754gの硫酸アルミニウム溶液(4.3%のAlを含有)と反応させる。pH調整剤を用いてpHを2~7に保ち、温度を25~100℃に保つ。得られた固体を25~100℃でろ過し、25~100℃で39~9,000gの脱塩水で洗浄する。0.1~10時間にわたって60~150℃、0.1~1barの圧力で乾燥した後、炭素の総重量を基準として、100重量%の持続可能的に製造された炭素を有する持続可能的に製造されたジエチルホスフィン酸アルミニウム458gが得られる。当該生成物は、0.1%の残留水分含量、28μmの平均粒径、および510g/lの嵩密度(98%収率)を有する。このようにして得られたジエチルホスフィン酸アルミニウムは、43%持続可能な起源に由来する(ジエチルホスフィン酸アルミニウム中の100%までの持続可能な起源から生じるエチレンの割合)。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表されるジアルキルホスフィン酸塩の製造方法であって、
【化1】
[式中、aおよびbは、互いに同じかまたは異なり、それぞれ独立して1~9であり;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
mは1~4である。]
再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流を、石油由来である従来原材料の主流に供給する工程;
当該再生可能原材料および/またはリサイクル原材料を、当該従来原材料と共に、エチレンに変換する工程;
当該得られたエチレン流を次亜リン酸誘導体と反応させ、ジアルキルホスフィン酸誘導体を得る工程;
当該ジアルキルホスフィン酸誘導体を金属塩と反応させて、式(I)のジアルキルホスフィン酸塩を得る工程、を含み、
ここで、当該再生可能原材料は、トール油、キリ油、ウッドタール、クレオソート、または、例えばパーム油、ダイズ油、ナタネ油、ヒマワリ油、パーム核油、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、亜麻仁油および/または紅花油などの植物油である、
ここで、当該リサイクル原材料は、食品廃棄物、食品生産、製紙またはパルプ加工からの残渣物または廃棄物、および、リサイクルプロセスからのプラスチックから選択され、当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
6であることを特徴とする、ジアルキルホスフィン酸塩の製造方法。
【請求項2】
当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
4であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
当該従来原材料の主流の、再生可能原材料および/またはリサイクル原材料の副流に対する比率は、10
9:1~1:10
3であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
aおよびbは、互いに同じかまたは異なり、それぞれ独立して1~5であり、Mは、Al、Fe、TiOq(q=0~1.9)またはZnであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
aおよびbはそれぞれ1であり、MはAlであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
当該再生可能原材料は、トール油であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
当該リサイクル原材料は、廃プラスチックからの熱分解油であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
当該副流は、再生可能原材料から作られ、当該金属塩はアルミニウム塩であり、式(1)のジアルキルホスフィン酸塩は、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
当該次亜リン酸誘導体は、副流過程において、リサイクル原材料および石油由来の従来原材料から生産されることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
当該アルミニウム塩は、副流過程において、リサイクル原材料および石油由来の従来原材料から生産されることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
当該アルミニウム塩は、硫酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【国際調査報告】