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特表2024-5240882つの浮体構造物間で液体負荷の移送作業中に液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】2つの浮体構造物間で液体負荷の移送作業中に液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 27/34 20060101AFI20240628BHJP
   B63B 79/20 20200101ALI20240628BHJP
【FI】
B63B27/34
B63B79/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577366
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022065636
(87)【国際公開番号】W WO2022263267
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2106344
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】コルビヌー エルワン
(72)【発明者】
【氏名】デュマイル アルノー
(72)【発明者】
【氏名】シブラ アラリック
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴァール フローラン
(57)【要約】
本発明は、第1浮体構造物(1)から第2浮体構造物(40)へ液体負荷の移送作業中に前記液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定する方法(300)に関し、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)は、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)が共通方位(99)に向けられるように、前記移送作業中に互いに関連付けられる。前記方法は、前記少なくとも1つのタンクに対する少なくとも1つの損傷の確率を推定するステップ(307)と、推定された前記少なくとも1つの損傷の確率の関数として情報をユーザに提供するステップ(308)と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1浮体構造物(1)から第2浮体構造物(40)へ液体負荷の移送作業中に前記液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定する方法(300)であって、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)は、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)が共通方位(99)に向けられるように、前記移送作業中に互いに関連付けられ、前記方法(300)は、
前記移送作業の予測的地理位置を取得することステップ(301)と、
複数の時間周期について前記地理位置に関する気象学的予測および海象学的予測を取得するステップ(302)であって、前記複数の時間周期が合わせて前記移送作業の予測期間をカバーし、前記予測は、各期間のうねり状態を含み、前記うねり状態には、うねりの方向、うねりの有義波高、およびうねりの周期が含まれるステップ(302)と、
前記複数の時間周期のそれぞれには、
前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物体(40)の前記共通方位(99)を取得するステップ(304)と、
前記液体負荷の全てまたは一部を収容する、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)の少なくとも一方の少なくとも1つのタンクの少なくとも1つの予測充填レベルを決定するステップ(305)と、
前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物体(40)の前記共通方位(99)と前記うねりの方向(12)との間の角度であるうねりの迎角を決定するステップ(306)と、
決定された前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの少なくとも1つのタンクの前記少なくとも1つの予測充填レベルの関数として、前記少なくとも1つのタンクに対する少なくとも1つの損傷の確率を推定するステップ(307)と、を有し、
推定された前記少なくとも1つの損傷の確率の関数として情報をユーザに提供するステップ(308)と、
を有することを特徴とする、方法(300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの予測充填レベルは、時間の関数として前記タンクの充填レベルの推移を定義する液体負荷移送シナリオより決定される(305)ことを特徴とする、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記複数の時間周期のそれぞれには、
低い予測充填レベルおよび高い予測充填レベルを含む2つの前記予測充填レベルが決定するステップ(305)と、
2つの前記予測充填レベルのそれぞれについて、前記タンクの損傷の確率を推定するステップ(307)と、を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの損傷の確率は、前記タンクに関して事前に構築されたデータベースを参照することにより推定され(307)、
前記データベースは、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの現在の充填レベルの関数であり、実験によって決定されるスロッシングに関するデータを有し、
前記損傷の確率は、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの前記現在の充填レベルの関数として、前記タンクの内部強度を越える、前記タンクの内面における圧力に遭遇する確率密度に関係することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記情報は、前記複数の時間周期の関数として推定される前記損傷の確率を表す情報を含むことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記予測は、有義風波高および/または風波周期および/または風波方向(10)を含む風波状態をさらに含み、
前記少なくとも1つのタンクの前記損傷の確率は、さらに前記風波状態の関数として推定されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記移送作業中において、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)は、アンカーポイント(90)に係留され、
前記複数の時間周期のそれぞれには、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)の前記共通方位(99)を、
複数の理論方位について、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)に作用する力の合力を計算し、前記合力は、前記うねり状態および前記合力の前記アンカーポイント(90)に対するモーメントの関数であるステップ(304-2、304-3)と、
前記複数の理論方位より、前記合力の前記アンカーポイント(90)に対する前記モーメントの絶対値を最小にする前記共通方位(99)を選択するステップ(304-4)と、
を行うことにより取得するステップ(304)を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)に作用する前記力の前記合力は、さらに前記風波状態の関数として計算される(304-2)ことを特徴とする、請求項6および請求項7に記載の方法(300)。
【請求項9】
前記予測は、風(16)の速度および/または前記風(16)の方向を含む風の状態をさらに含み、
前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)に作用する前記力の前記合力は、さらに前記風の状態の関数として計算されることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の方法(300)。
【請求項10】
前記予測は、海流の速度および/または前記海流の方向(14)を含む海流状態をさらに含み、
前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)に作用する前記力の前記合力は、さらに前記海流状態の関数として計算されることを特徴とする、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項11】
前記情報は、前記複数の理論方位の関数として推定される前記損傷の確率を表す情報を含む、請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項12】
推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップ(309)をさらに含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項13】
前記推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップ(309)は、前記共通方位(99)を変更する提案および/または前記移送作業の少なくとも1つのパラメータを変更する提案を前記ユーザに提供することを特徴とする、請求項12に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記液体負荷は、液化ガス負荷であり、特に液化石油ガス負荷または液化天然ガス負荷であることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項15】
前記液体負荷は、前記液化天然ガス負荷であり、
前記第1浮体構造物(1)は、液化天然ガス運搬船であり、
前記第2浮体構造物(40)は、液化天然ガス浮体式貯蔵再ガス化ユニットまたは液化天然ガス浮体式生産ユニットであることを特徴とする、請求項14に記載の方法(300)。
【請求項16】
第1浮体構造物(1)から第2浮体構造物(40)へ液体負荷の移送作業中に前記液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定するための装置(100)であって、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)は、前記第1浮体構造物(1)および前記第2浮体構造物(40)が共通方位(99)に向けられるように、前記移送作業中に互いに関連付けられ、前記装置(100)は、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載される前記方法(300)を実行するように構成されるプロセッサ(110)を備える装置(100)。
【請求項17】
請求項16に記載の前記装置(100)を備える、浮体構造物(1,40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの浮体構造物間で液体負荷を移送する作業に関する。特に、本発明は、第1浮体構造物から第2浮体構造物に前記液体負荷を移動させる作業中に、液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の負荷を運搬することができる浮体構造物の分野では、液体運搬船のような第1の浮体構造物から第2の浮体構造物に液体の負荷を移送する作業を行うことが知られている。
【0003】
この種の液体の負荷を移送する作業は、特に液化天然ガス(LNG)の負荷について一般的に採用されている。このような負荷に対して、既知の方法で、メタンタンカー(LNG船(LNGC)としても知られる)のようなLNG船船舶は、液化天然ガス向けの浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)により近いところに移動することができる。FSRUは、例えば、沖合に置かれ、海底ブイに係留されているか、または(波、風、電流などによって)構造物に加えられる力によって構造物の向きを自由にすることが可能なタレット係留システムに係留されている。次にLNGCFSRUに係留され、LNGCおよびFSRUの間に可撓性パイプが設置されてLNGCおよびFSRUの間にLNGを移送する。この種のLNG移送作業は、船舶間移動(STS)として知られている。また、この作業は、LNGCと浮体式の液体天然ガス製造ユニット(FLNG)のような別の浮体構造物との間で行うこともできる。
【0004】
しかし、この種の動作中には、LNGCのタンクおよびLNGを収容しようとするFSRUのタンクは、部分的に充填されている。このような状況では、波浪の影響でタンク内に収容されるLNGが乱されることが知られている。一般的にスロッシングとして知られる液体の乱れは、タンクの健全性を損なう確率があるタンクの壁に力を発生させる。現在、輸送される液体の可燃性または爆発性の性質および浮体構造物の鋼鉄製の船殻上におけるコールドスポットのリスクを考慮すると、LNGを収容することを目的とするタンクの健全性が特に重要視される。
【0005】
また、大容量のLNGCや高能力のFSRU、あるいは浮体式液体天然ガス(FLNG)製造ユニットに関わる場合、数十時間程度の時間がかかる動作になりやすい。現在、作業に必要な時間が長くなればなるほど、タンク内のLNGのスロッシングを引き起こしやすい気候条件が生じるリスクが高まる。
【0006】
上記の状況を考慮し、スロッシングによって生じるタンクの損傷のリスクを制限し、あるいは消滅させることを補助する方法及びシステムは有用である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の背後にある1つの思想は、前記移送作業の予測される持続時間において、液体負荷移送作業の地理的位置に関連する気象学的および海象学的予測を利用して、移送作業に関与する浮体構造物の少なくとも1つの少なくとも1つのタンクに対する損傷の確率を見積もることである。本発明の背後にある別の思想は、ユーザに、このように推定される損傷の確率の関数としての情報を提供することである。
【0008】
1つの実施形態による本発明の最初のバリエーションは、第1浮体構造物から第2浮体構造物へ液体負荷の移送作業中に前記液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定する方法を提供し、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物は、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物が共通方位に向けられるように、前記移送作業中に互いに関連付けられ、前記方法は、前記移送作業の予測的地理位置を取得することステップと、複数の時間周期について前記地理位置に関する気象学的予測および海象学的予測を取得するステップであって、前記複数の時間周期が合わせて前記移送作業の予測期間をカバーし、前記予測は、各期間のうねり状態を含み、前記うねり状態には、うねりの方向、うねりの有義波高、およびうねりの周期が含まれるステップと、前記複数の時間周期のそれぞれには、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物体の前記共通方位を取得するステップと、前記液体負荷の全てまたは一部を収容する、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物の少なくとも一方の少なくとも1つのタンクの少なくとも1つの予測充填レベルを決定するステップと、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物体の前記共通方位と前記うねりの方向との間の角度であるうねりの迎角を決定するステップと、決定された前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの少なくとも1つのタンクの前記少なくとも1つの予測充填レベルの関数として、前記少なくとも1つのタンクに対する少なくとも1つの損傷の確率を推定するステップと、を有し、推定された前記少なくとも1つの損傷の確率の関数として情報をユーザに提供するステップと、を有する。
【0009】
このような方法のおかけで、乗組員部材のようなユーザは、例えば、2つの浮体構造物の共通方位を変更すること及び/又は移送作業のパラメータ、例えば、(同じ浮体構造物のタンク間及び/又は2つの浮体構造物のタンク間における)液体負荷移送流量及び/又はタンクの充填ベルなど、を変更することのような、浮体構造物のタンクに対する損傷のリスクを制限するために必要なあらゆる措置を実施することができる。
【0010】
この種の方法のいくつかの実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有してもよい。
【0011】
一実施形態によれば、うねりの周期は、うねりのピーク周期、すなわちうねりの連続する2つのピークの流路の間の時間周期である。一実施形態によれば、うねりの周期は、うねりの平均周期、すなわち、海の平均高さにおけるうねりの3つの流路の間の時間周期であり、この周期は、一般に、Tと表される。
【0012】
タンクの予測充填レベルは、さまざまな方法で推定できる。一実施形態によれば、少なくとも1つの予測充填レベルは、時間の関数として、前記タンクの充填レベルの経時変化を定義する液体負荷移送シナリオから決定される。
【0013】
この種の液体負荷移送シナリオは、特に、移送作業のスタート時にユーザによって入力されてもよい。
【0014】
一実施形態によれば、各時間周期について、前記タンクの2つの予測充填レベルが決定される。2つの予測充填レベルは、低い予測充填レベルと高い予測充填レベルを含み、2つの予測充填レベルのそれぞれについて、前記タンクについて、損傷の確率が推定される。
【0015】
このように、損傷の確率の推定は、液体負荷のスロッシングがタンクの充填レベルによって異なっていることを考慮に入れることができる。
【0016】
一実施形態によれば、低い予測充填レベルと高い予測充填レベルは、例えば、スロッシングによるタンクの損傷のリスクをもたらす確率が最も高い、タンクの2つの充填レベルについて、シミュレーションおよび/または実験で調べることを含む予備ステップで事前に決定される。
【0017】
損傷の確率はいろいろな方法で推定することができる。一実施形態によれば、損傷の確率は、前記タンクのためにあらかじめ構築されたデータベースを参照することによって推定され、前記データベースは、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの現在の充填レベルの関数であり、実験によって決定されるスロッシングに関するデータを有する。前記損傷の確率は、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの前記現在の充填レベルの関数として、前記タンクの内部強度を越える、前記タンクの内面における圧力に遭遇する確率密度に関係する。
【0018】
一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の時間周期の関数として推定される損傷の確率を表す情報を含む。特に、一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の時間周期の関数として推定される損傷の確率を視覚的に示す指標を含む。
【0019】
一実施形態によれば、前記移送作業中において、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物は、アンカーポイントに係留される。
【0020】
一実施形態によれば、前記予測は、有義風波高および/または風波周期および/または風波方向を含む風波状態をさらに含む。
【0021】
一実施形態によれば、前記風波の周期は、風波のピーク周期、すなわち風波の連続する2つのピークの流路の間の時間周期である。一実施形態によれば、風波の周期は、風波の平均周期、すなわち、海の平均高さにおける風波の連続する3つの流路の間の時間周期であり、この平均周期は、一般に、Tと表される。
【0022】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのタンクの損傷の確率は、さらに、風波状態に応じて推定される。
【0023】
前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物の前記共通方位は、例えば、前記ユーザによって、前記複数の時間周期のそれぞれにおいて事前に提供されることが可能である。あるいは、一実施形態によれば、前記2つの浮体構造物の前記共通方位は、複数の理論方位について、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物に作用する力の合力を計算し、前記合力は、前記うねり状態および前記合力の前記アンカーポイントに対するモーメントの関数であるステップと、前記複数の理論方位より、前記合力の前記アンカーポイントに対する前記モーメントの絶対値を最小にする前記共通方位を選択するステップと、を行うことにより取得される。
【0024】
一実施形態によれば、第1および第2浮体構造物が受ける力の合力は、さらに前記風波状態に応じて計算される。
【0025】
一実施形態によれば、前記予測は、風の速度および/または前記風の方向を含む風の状態をさらに含み、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記風の状態の関数として計算される。
【0026】
一実施形態によれば、前記予測は、海流の速度および/または前記海流の方向を含む海流状態をさらに含み、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記海流状態の関数として計算される。
【0027】
一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の理論方位の関数として推定される前記損傷の確率を表す情報を含む。
【0028】
一実施形態によれば、前記方法は、推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップをさらに含む。
【0029】
一実施形態によれば、前記推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップは、前記共通方位を変更する提案および/または前記移送作業の少なくとも1つのパラメータを変更する提案を前記ユーザに提供する。
【0030】
一実施形態によれば、前記移送作業の少なくとも1つのパラメータを変更する前記提案は、液体負荷移送流量(同一の浮体構造物のタンク間及び/又は2つの浮体構造物のタンク間)及び/又はタンクの充填レベルを変更する提案を含む。
【0031】
このため、ユーザは、タンクの損傷のリスクを低減するために、これらの提案に基づいて必要な措置を実施することができる。
【0032】
前記方法は、あらゆる種類の液体負荷を輸送する浮体構造物に適用可能である。ただし、低温液体製品負荷を輸送する浮体構造物への1つの特定用途が見いだされた。
【0033】
一実施形態によれば、前記液体負荷は、液化ガス負荷であり、特に液化石油ガス(LPG)負荷または液化天然ガス(LNG)負荷である。
【0034】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのタンクは密封タンクおよび/または断熱タンクである。
【0035】
一実施形態によれば、第1浮体構造物は液化天然ガス運搬船(LNGC)であり、第2浮体構造物は液化天然ガス浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)または液化天然ガス浮体式生産ユニット(FLNG)である。
【0036】
一実施形態によれば、本発明はさらに第1浮体構造物から第2浮体構造物へ液体負荷の移送作業中に前記液体負荷のスロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定するための装置を提供し、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物は、前記第1浮体構造物および前記第2浮体構造物が共通方位に向けられるように、前記移送作業中に互いに関連付けられ、前記装置は、上述の各実施形態のいずれか一つに記載される前記方法を実行するように構成されるプロセッサを備える。
【0037】
この種の装置は、上述の方法と同じ利点を有する。
【0038】
一実施形態によれば、本発明はさらに、上述の装置を含む浮体構造物を提供する。
【0039】
上述の原理は、液体負荷を運搬し、アンカーポイントに係留される浮体構造物に適用可能である。事実上、この種の浮体構造物の液体負荷は、液体負荷を収容するタンクの健全性を損なう恐れのあるスロッシング現象を招く恐れがある波浪の影響によっても乱されやすい。
【0040】
このため、一実施形態による本発明の第2のバリエーションでは、浮体構造物の液体負荷のスロッシングによって生じる損傷の確率を推定する方法が提供され、前記浮体構造物は、海底に対してアンカーポイントに係留される一方、前記アンカーポイントの周りを自由に旋回する。前記方法は、前記アンカーポイントに係留された浮体構造物の地理的位置を取得するステップと、複数の時間周期にわたり、前記地理的位置に関する気象学的予測及び海象学的予測を取得し、前記予測は、各時間周期において、うねりの方向、うねりの有義波高、およびうねりの周期を含むうねり状態を含むステップと、前記複数の時間周期のそれぞれについて、前記浮体構造物の方位を取得し、前記液体負荷を収容する予定の前記浮体構造物の前記少なくとも1つのタンクの予測充填レベルを決定し、前記方位および前記うねりの方向の間の角度として前記うねりの迎角を決定し、このように決定された前記うねりの前記迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの予測充填レベルの関数として、前記少なくとも1つのタンクの損傷の確立を推定するステップと、このように推定された少なくとも1つの損傷の確率の関数である情報をユーザに提供するステップとを含む。
【0041】
この種の方法のおかげで、乗組員部材のようなユーザは、浮体構造物がそのアンカーポイントを中心に自由に旋回することを覚えて浮体構造物の方位を修正することなど、浮体構造物物のタンクの損傷のリスクを制限するために必要なあらゆる措置を実行することができる。
【0042】
この種の方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有する。
【0043】
一実施形態によれば、うねりの周期は、うねりの周期は、うねりのピーク周期、すなわちうねりの連続する2つのピークの流路の間の時間周期である。一実施形態によれば、うねりの周期は、うねりの平均周期、すなわち、海の平均高さにおけるうねりの3つの流路の間の時間周期であり、この周期は、一般に、Tと表される。
【0044】
一実施形態によれば、損傷の確率は、前記タンクのためにあらかじめ構築されたデータベースを参照することによって推定され、前記データベースは、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの現在の充填レベルの関数であり、実験によって決定されるスロッシングに関するデータを有する。前記損傷の確率は、前記うねりの迎角、前記うねりの有義波高、前記うねりの周期、および前記タンクの前記現在の充填レベルの関数として、前記タンクの内部強度を越える、前記タンクの内面における圧力に遭遇する確率密度に関係する。
【0045】
一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の時間周期の関数として推定される損傷の確率を表す情報を含む。特に、一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の時間周期の関数として推定される損傷の確率を視覚的に示す指標を含む。
【0046】
一実施形態によれば、前記予測は、有義風波高および/または風波周期および/または風波方向を含む風波状態をさらに含む。
【0047】
一実施形態によれば、前記風波の周期は、風波のピーク周期、すなわち風波の連続する2つのピークの流路の間の時間周期である。一実施形態によれば、風波の周期は、風波の平均周期、すなわち、海の平均高さにおける風波の連続する3つの流路の間の時間周期であり、この平均周期は、一般に、Tと表される。
【0048】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのタンクの損傷の確率は、さらに、風波状態に応じて推定される。
【0049】
前記浮体構造物の前記方位は、例えば、前記ユーザによって、前記複数の時間周期のそれぞれにおいて事前に提供されることが可能である。あるいは、一実施形態によれば、前記浮体構造物の前記方位は、複数の理論方位について、前記浮体構造物に作用する力の合力を計算し、前記合力は、前記うねり状態および前記合力の前記アンカーポイントに対するモーメントの関数であるステップと、前記複数の理論方位より、前記合力の前記アンカーポイントに対する前記モーメントの絶対値を最小にする前記方位を選択するステップと、を行うことにより取得される。
【0050】
一実施形態によれば、前記浮体構造物が受ける力の合力は、さらに前記風波状態に応じて計算される。
【0051】
一実施形態によれば、前記予測は、風の速度および/または前記風の方向を含む風の状態をさらに含み、前記浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記風の状態の関数として計算される。
【0052】
一実施形態によれば、前記予測は、海流の速度および/または前記海流の方向を含む海流状態をさらに含み、前記浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記海流状態の関数として計算される。
【0053】
一実施形態によれば、前記浮体構造物が受ける力の合力は、さらに前記風波状態の関数として計算される。
【0054】
一実施形態によれば、前記予測は、風の速度および/または前記風の方向を含む風の状態をさらに含み、前記浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記風の状態の関数として計算される。
【0055】
一実施形態によれば、前記予測は、海流の速度および/または前記海流の方向を含む海流状態をさらに含み、前記浮体構造物に作用する前記力の前記合力は、さらに前記海流状態の関数として計算される。
【0056】
一実施形態によれば、前記情報は、前記複数の理論方位の関数として推定される前記損傷の確率を表す情報を含む。
【0057】
一実施形態によれば、前記方法は、推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップをさらに含む。
【0058】
一実施形態によれば、前記推定される前記損傷の確率を低減するための決定を補助するステップは、前記共通方位を変更する提案および/または前記移送作業の少なくとも1つのパラメータを変更する提案を前記ユーザに提供する。
【0059】
このため、ユーザは、前記浮体構造物のタンクの損傷のリスクを低減するために、これらの提案に基づいて必要な措置を実施することができる。
【0060】
前記方法は、あらゆる種類の液体負荷を輸送する浮体構造物に適用可能である。ただし、低温液体製品負荷を輸送する浮体構造物への1つの特定用途が見いだされた。
【0061】
一実施形態によれば、前記液体負荷は、液化ガス負荷であり、特に液化石油ガス(LPG)負荷または液化天然ガス(LNG)負荷である。
【0062】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのタンクは密封タンクおよび/または断熱タンクである。
【0063】
一実施形態によれば、前記浮体構造物は、液化天然ガス運搬船(LNGC)、液化天然ガス浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)または液化天然ガス浮体式生産ユニット(FLNG)である。
【0064】
一実施形態によれば、本発明はさらに、海底に対してアンカーポイントに係留される一方、前記アンカーポイントの周りを自由に旋回する浮体構造物の液体負荷のスロッシングによって生じる損傷の確率を推定する装置が提供され、前記装置は、上述の各実施形態のいずれか一つに記載される前記方法を実行するように構成されるプロセッサを備える。
【0065】
この種の装置は、上述の方法と同じ利点を有する。
【0066】
一実施形態によれば、本発明はさらに、前述の装置を含む浮体構造物を提供する。
【0067】
本発明、そして本発明のその他の目的、詳細、特徴、および利点は、下記の限定されない図面および添付図面に記載の符号により、本発明の特定の実施形態に関する以下の説明において、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】液体負荷を含む複数のタンクを含む浮体構造物、この例では船の縦断面図である。
図2】液体負荷の移送作業において互いに関連付けられる2つの浮体構造物、この例では船および1つの浮体構造物と、この2つの浮体構造物に作用する風波状態、うねり状態、海流の状態、および風の状態とを示す図である。
図3A】液体負荷を第1浮体構造物から第2浮体構造物に移送する作業中の液体負荷のスロッシングによる損傷のリスクを推定する方法を示すフローチャートである。
図3B】前記方法の1つの変形例を表す図3Aのフローチャートの細部を示す図である。
図4】第1浮体構造物から第2浮体構造物に液体負荷を移送する作業中の液体負荷のスロッシングを予測する装置の図である。
図5】周期の関数としての浮体構造物のタンクの推定される損傷の確率の視覚的表示の例を表す図である。
図6】海底に対してアンカーポイントに係留され、かつ、当該アンカーポイントを中心に自由に旋回することができる浮体構造物と、浮体構造物に作用する風波状態、うねり状態、海流の状態及び風の状態を表す概略図である。
図7A図6の浮体構造物の液体負荷のスロッシングによる損傷のリスクの推定方法を示すフローチャートである。
図7B】前記方法の1つの変形例を表す図7Aのフローチャートの細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
これらの図面について、複数の密閉された断熱タンクが配置された支持構造を形成する二重船殻を含む船舶1の文脈で以下のように説明される。この種の支持構造は、例えば角柱形状の多面体形状を有する。
【0070】
上記の種類の密閉された断熱タンクは、例えば液化ガスの輸送用に設計されている。液化ガスは、低温で貯蔵および輸送されるため、液化ガスをその温度に維持するためには断熱性の高いタンク壁が必要となる。そのため、一方、タンクの密閉性を保ち、かつ、タンク外への液化ガスの漏れを防ぐために、タンク壁にキズがないようにその健全性を保ち、一方でガスを液化状態に維持するためにタンクの絶縁性の低下を防ぐことが特に重要である。
【0071】
上記の種類のような密閉されて熱絶縁性を有するタンクは、船舶の二重船殻に固着され、少なくとも1つの密閉メンブレンを搭載する絶縁バリアを含む。一例として、この種のタンクは、例えば仏国特許出願公開第2691520号明細書に記載されているようなMark III(登録商標)タイプ、例えば仏国特許出願公開第2877638号明細書に記載されているようなNO96(登録商標)タイプ、または例えば国際公開第2014/057221号に記載されているような他の種類の技術を使用して製造することができる。
【0072】
図1は、4つの密閉された断熱タンク2を含む船舶1を示す。この種の船舶1では、タンク2は、多数のコンポーネント、例えば、ポンプ、バルブおよびパイプを含むことができる荷役装置(図示せず)によって相互接続され、これにより、タンク2のうちの1つから別のタンク2への液体の移送を可能にする。
【0073】
図2において、船舶1は、船舶1の4つのタンク2に収容されたLNGを静止浮体構造物40の密閉された熱絶縁タンク(図示せず)に移送する船舶対船舶(ship-to-ship,STS)動作を実行するために、静止浮体構造物40に関連することが示されている。ここで、静止浮体構造物式構造体40は、液化天然ガス浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)であるが、同様に、液化天然ガス浮体式生産ユニット(FLNG)、船舶1に類似する別のLNG運搬船、又はより一般的には、LNGを受け入れるための密閉型及び熱絶縁型タンクを含む、静止型又は静止型ではない浮体構造物であってもよい。
【0074】
ここで、静止浮体構造物40は、沖合に位置し、海底に係留された水中ブイまたはタレット係留システムのような、海底に対するアンカーポイント90に係留される。船舶1は、通常、船舶1の船首部及び船尾部と、静止浮体構造物40とに位置する複数の係留線92の手段によって、静止浮体構造物40に関連付けられている。フロート91は、静止浮体構造物40と船舶1との間における偶発的な衝突を防止するように、これらの間に配置されてもよい。船舶1の4つのタンク2に収容されているLNGを静止浮体構造物40のタンクに移送するために、少なくとも1つの可撓性パイプ93が設置されている。
【0075】
LNG移送作業の間、船舶1と静止浮体構造物とが同じ方位99、以下共通方位99と呼ばれる向きになる。それにもかかわらず、共通方位99は、数時間又は数十時間も持続し得る移送作業の間に修正され得ることが規定される。
【0076】
船舶1は、通常、その4つのタンク2がほぼ完全にLNGで満たされた状態で、静止浮体構造物40の近傍に到達する。しかし、LNGが移送されると、複数のタンク2は次第に空になる。図1において、4つのタンク2は、部分的に充填される状態を有する。第1タンク3はそのキャパシティの約60%まで満たされている。第2タンク4は、そのキャパシティの約35%まで満たされている。第3タンク5は、そのキャパシティの約35%まで満たされている。第4のタンク6は、そのキャパシティの約40%まで充填される。
【0077】
タンク3、4、5、6におけるこのような部分的な充填は、LNG移送作業中にタンク3、4、5、6に高い損傷リスクを発生させる可能性がある。実際、海上にいる場合、船舶1は気候条件に連動し、数多くの移動が発生する。
【0078】
特に、船舶1は、軸10で表される風波励起、軸12で表されるうねり励起、海流励起14、そして風励起16にさらされる。風波は、船舶1の近くにおける風励起16によって作られ、軸10に平行する風波方向、風波の有義波高、および風波のピーク周期を有する波を生じさせる。うねりは、船舶1から遠く離れた風励起によって作られ、軸12と平行するうねり方向、うねりの有義波高およびうねりのピーク周期を有する波を生じさせる。うねりによって励起される波と風波によって励起される波との遭遇は、船舶1の移動を引き起こす。船舶1は、また軸14に平行する方向および海流速度を有する海流によって移動が引き起こされる。最後に、船舶1は、軸16に平行する方向および風速を有する風による風励起にさらされる。船舶1のこれらの運動は、タンク3、4、5、6内に収容された液体に転送され、その結果、タンク3、4、5、6内がスロッシングにされされ、タンク壁に衝撃を生じる。スロッシングがタンク壁3、4、5、6への衝撃を吸収または分散するタンク壁の能力を超える場合、タンク壁3、4、5、6への衝撃がタンク壁3、4、5、6を劣化させる可能性がある。そうなると、タンク3、4、5、6の密閉性および断熱特性を維持するように、タンク壁3、4、5、6の健全性を維持することが重要になる。したがって、このような損傷を防止するためには、スロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定することが重要である。
【0079】
明らかに、船舶1のタンク壁3、4、5、6に関する損傷の確率は、同様に風波励起10、うねり励起12、および海流励起14を受ける静止浮体構造物40のタンクの壁についても同様である。
【0080】
図3Aに示す方法300は、船舶1および/または静止浮体構造物40のタンクの損傷の確率を予測するために使用することができる。
【0081】
方法300は、LNG移送作業の予測的地理位置が得られる第1ステップ301を有する。この地理位置は、ユーザによって入力されてもよいし、船舶1または静止浮体構造物40に搭載されるシステム、例えば、GPS座標の形式で自動的に取得されてもよい。
【0082】
ステップ301の後、方法300はステップ302に進み、ステップ301で得られた地理位置について、気象学及び海象学の予測値が得られる。この種の予測は、例えば、気象学的予測及び海象学的予測の提供者によってラジオ又は衛星のような通信手段によって送信される。これらの予測は、合わせてLNG移送作業の予測時間をカバーする複数の時間周期について取得され、この予測時間は、ユーザによって入力することができる。
【0083】
各時間周期における予測には、少なくとも1つのうねり状態を含む。これらの予測は、風波状態または海流状態または風の状態、より好ましくは複数のこれらの状態、さらにより好ましくはこれらのすべての状態をさらに含むことが好ましい。
【0084】
ステップ302の後に、方法300はさらに以下のステップを含む:
各時間周期について、うねりの方向(図2において、軸12の方向で表される)、うねりの有義波高、およびうねりのピーク周期をステップ302で得られた予測から抽出するステップ303A、
適宜、各時間周期について、風波の方向(図2において、軸10の方向で表される)、風波の有義波高、および風波のピーク周期をステップ302で得られた予測から抽出するステップ303B、
適宜、各時間周期について、海流の速度および/または海流の方向(図2において、軸14の方向で表される)をステップ302で得られた予測から抽出するステップ303C、
適宜、各時間周期について、風の速度および/または風の方向(図2において、軸16の方向で表される)をステップ302で得られた予測から抽出するステップ303D。
【0085】
その後、方法300は、各時間周期で繰り返し行う以下のステップをさらに含む:
船舶1および静止浮体構造物40の共通方位99が得られるステップ304、
船舶1および/または静止浮体構造物40の少なくとも1つのタンクの少なくとも1つの予測充填レベルが決定されるステップ305、
共通方位99およびうねりの方向(図2において、軸12の方向で表される)の間の角度としてうねりの迎角が決定されるステップ306、
ステップ306で決定されたうねりの迎角、ステップ303Aで決定されたうねりの有義波高およびうねりのピーク周期、およびステップ305で決定されタンクの少なくとも1つの予測充填レベルの関数として、ステップ305で決定された少なくとも1つの予測充填レベルを有するタンクに関する少なくとも1つの損傷の確率が推定されるステップ307。
【0086】
ステップ305は、様々な方法で実行され得る。1つの変形例において、タンクの少なくとも1つの予測充填レベルは、時間の関数として前記タンクの充填レベルの経時変化を定義する液体負荷移送シナリオより決定される。この種の液体負荷移送シナリオは、事前に決定され、および例えば移送作業の前にユーザによって入力されてもよい。
【0087】
タンクの複数の予測充填レベルがステップ305で決定され、ステップ305で決定された各予測充填レベルについて、タンクの損傷確率がステップ307で決定されることが可能である。1つの変形例において、ステップ305で、タンクの2つの予測充填レベルが決定され、この2つの予測充填レベルは、低い予測充填レベルと高い予測充填レベルを含む。1つの特定の変形例では、低い予測充填レベルおよび高い予測充填レベルは、予め決定されている。それから、ステップ305は、例えば、後述するステップ307におけるデータベースにおいて、単に低い予測充填レベルおよび高い予測充填レベルの値を有することに読める。低い予測充填レベルおよび高い予測充填レベルの値は、例えば、スロッシングによって生じるタンクの損傷のリスクを生じる確率が最も高いタンクの2つの充填レベルについて、シミュレーションおよび/または実験によって調べる予備ステップ(図示せず)において事前に決定されてもよい。
【0088】
船舶1の複数および/または静止浮体構造物40のタンクが考慮される場合、ステップ305およびステップ307は、それらのタンクのそれぞれについて実行される。この選択は、船舶1及び/又は静止浮体構造物40のタンクの一部のみ、例えば、予備分析の手段で決定された、スロッシングによって生じるタンクの損傷のリスクが最も高い船舶1及び/又は静止浮体構造物40の1つ以上のタンクのみを考慮してもよい。
【0089】
ステップ307は、船舶1または静止浮体構造物40の該当するタンクについてあらかじめ構築されたデータベースを参照することによって実行することができる。この種のデータベースは、うねりの迎角、うねりの有義波高、うねりのピーク周期、およびタンクの現在充填レベルの関数としてのスロッシングに関連するデータを含み、スロッシングに関連するデータは、実験によって決定される。損傷の確率は、うねりの迎角、うねりの有義波高、うねりのピーク周期、およびタンクの充填レベルの関数として、前記タンクの内部強度を越える、前記タンクの内面における圧力に遭遇する確率密度に関係する。
【0090】
ステップ304で得られた共通方位99をあらかじめ定義してもよい。1つの変形例によれば、共通方位99は、それぞれの時間周期について、あるいは考慮されるべき全ての時間周期について、ユーザによって入力されてもよい。有利な1つの変形例では、この共通方位99は、うねりの状態、より好ましくは風波状態および/または海流状態のために、船舶1および浮体構造物40が受ける力を考慮に入れて得られる。
【0091】
図3Bは、ステップ304のこの種の実現の例示を表している。
第1ステップ304-1において、うねりの状態、より好ましくは風波状態および/または海流状態および/または風のために、船舶1および浮体構造物40が受ける力が計算される。
第2ステップ304-2において、ステップ304-1で決定された力の合力を算出する。
第3ステップ304-3において、ステップ304-2で決定された合力のモーメントがアンカーポイント90を中心に計算される。
ステップ304-1、304-2、304-3は、複数の理論方位、すなわち、共通方位99の取り得る複数の値に対して実行される。例えば、ステップ304-1、304-2、304-3は、共通方位99の増加値について、5度、2度または1度の値刻みで実行される。その後、ステップ304-4において、ステップ304-3で決定されたモーメントの絶対値を最小にする方位が前記複数の理論方位から共通方位99として選択される。
【0092】
ステップ307の後に、方法300はステップ308に進み、ステップ307で推定された損傷の確率の関数である情報がユーザに提供される。
【0093】
このステップ308は、単純に、複数のタンクのうちの1つの損傷の確率が所定の閾値を超えた場合に、ユーザに視覚的および/または音響的なアラームを与えることからなるものであってもよい。これに加えて、またはこれに代えて、ステップ308において提供される情報は、ステップ307において推定された損傷の確率について、他のいくつかの振幅の関数として、少なくとも1つの視覚的指標をユーザに提供するステップを含んでもよい。
【0094】
図5は、一例として、ステップ307において推定される損傷の確率を、それらが関連する時間周期の関数として、視覚的な指標で示すことを表す。この図においては、この視覚的指標は、各時間周期に対応するボックスを含む。ハッチングがない場合は、損傷の確率が0、または低い閾値よりも低いことを示す。単一のハッチングの場合は、損傷の確率が低い閾値および高い閾値の間にあることを示す。二重ハッチングは、損傷の確率が高い閾値よりも高いことを示す。異なるハッチングの代わりに、カラーコードまたは任意の他の表現に従った異なる色を採用してもよいことは明らかである。さらに、異なる数の損傷の確率の閾値を用いてもよい。
【0095】
ステップ308の後、方法300は、ステップ307で推定された損傷の確率を低減することが意図される決定を支援するステップ309に進むことが好ましい。この決定支援ステップ309は、特に下記のもの、すなわち共通方位99を変更する提案、及び/又は移送作業の少なくとも1つのパラメータ、例えば、液体負荷移送流量(船舶1のタンク間、及び/又は静止浮体構造物40のタンク間、及び/又は船舶1のタンクと静止浮体構造物40のタンクとの間)、及び/又はタンク又はタンクの充填レベルを修正する提案をユーザへ提供することを含んでもよい。
【0096】
このステップ309のおかげで、タンクの損傷のリスクを低減するために、ユーザはこれらの提案に基づいて必要な措置を実施することができる。
【0097】
図4は、船舶1に搭載可能なスロッシング決定装置100を示す。この装置100は、方法300のさまざまなステップを実行して、船舶1および/または静止浮体構造物40のタンクの損傷の確率を推定するように構成された中央ユニット110を含む。
【0098】
中央ユニット110は、複数のオンボードセンサ120に接続され、上述の様々なマグニチュードの数値を取得することが可能である。したがって、センサ120は、たとえば、無尽蔵ではないが、各タンクの充填レベルのためのセンサ121と、うねりの状態、および好ましくは風波状態および/または海流状態および/または風の状態をそれらの出力のマグニチュードとして提供できる他のセンサ122、123とを含む。
【0099】
装置100は、ヒューマンマシンインタフェース140を更に含む。このヒューマンマシンインタフェース140は、船舶1上の作業員が様々な情報、例えば、方法300のステップを用いて推定された損傷の確率、ステップ308で生成された情報、ステップ309で生成された判定支援、センサ120で取得された値のマグニチュード、および船舶または気象学的情報の負荷状態を取得することが可能な表示手段41を含む。
【0100】
ヒューマンマシンインタフェース140は、作業員が手動で中央ユニット110に各マグニチュードの値を入力できる取得手段42をさらに備え、典型的に、船舶1が必要なセンサを備えていないか、または後者が損傷しているため、中央ユニット110に各マグニチュードの値を手動で入力することができる。例えば、一実施形態によれば、取得手段42は、作業員に風波の状態および/またはうねり状態に関する情報を入力させることが可能である。
【0101】
装置100は、デ-タベ-ス150を含む。このデータベース150は、例えば、実験室で、または海上で実施される測定キャンペーン中に取得されたいくつかのマグニチュードの値を含む。例えば、与えられたタンクに関して、データベース150は、うねりの迎角、うねりの有義波高、うねりのピーク周期、および該タンクの現在充填レベルの関数として、スロッシングに関連するデータを含むことができる。
【0102】
装置100はまた、例えば気象学的予測及び船舶の位置に関するデータ又は他のデータを得るために中央ユニット110が遠隔装置と通信することを可能にする通信インタフェース130を含む。
【0103】
特に中央ユニット110におけるいくつかの要素は、ハードウエア及び/又はソフトウェアコンポーネントによって、ユニタリー方式又は分散方式で種々の形態で生成することができる。使用可能なハードウエアコンポーネントには、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびマイクロプロセッサなどがある。ソフトウェアコンポーネントは、C、C++、C#、Java (登録商標)、およびVHDL などの種々のプログラミング言語で記述することができる。このリストは網羅的ではない。
【0104】
ここでの説明では、うねりのピーク周期、すなわちうねりの連続する2つのピークの流路の間の時間周期を参照して定義される。変形例では、うねりのピーク周期の代わりに、うねりの平均周期、すなわち、海の平均高さにおけるうねりの連続する3つの流路の間の時間周期が考えられる。
【0105】
同様に、風波のピーク周期の代わりに、風波の平均周期、すなわち、海の平均高さにおける風波の連続する3つの流路の間の時間周期が考えられる。
【0106】
上述の原理は、液体負荷を運搬し、アンカーポイントに係留される浮体構造物に適用可能である。実際、この種の浮体構造物の液体負荷は、同様に波浪の影響によっても乱されやすく、また、液体負荷を収容するタンクの健全性を損なう可能性のあるスロッシングの現象を招く恐れがある。
【0107】
したがって、図6には、図1よる船舶1は、1つまたは複数の係留線92によって、海底に係留された海底ブイのような海底に対するアンカーポイントに係留されたことが示されている。船舶1は、アンカーポイント90を中心に自由に旋回することができ、したがって、アンカーポイント90を中心に旋回することによって任意の方位を採用することができる。ここで船舶1の方位は参照符号190に向けている。
【0108】
図2を参照して上述したように、ここで船舶1は、また、軸10で表される風波励起を受け、軸12で表されるうねり励起を受け、海流励起14及び風励起16を受ける。船舶1の動きは、タンク3、4、5、6内に収容された液体に転送され、次第にタンク3、4、5、6内のスロッシングを引き起こしてタンク壁に衝撃を生じる。スロッシングがタンクの壁がスロッシングの衝撃を吸収または分散するキャパシティを超える場合、タンク3、4、5、6の壁に対する衝撃がタンク3、4、5、6の壁を損傷させる可能性がある。そうなると、タンク3、4、5、6の壁の完全性を保ち、タンク3、4、5、6の密閉性および断熱特性を保つことが重要になる。したがって、このような損傷を防止するために、スロッシングによって引き起こされる損傷の確率を推定することも重要である。
【0109】
図7Aに示される方法1300は、船舶1のタンクが損傷する確率を予測するために採用され得る。
【0110】
方法1300は、アンカーポイント190に係留された船舶1の地理的位置が得られる第1ステップ1301を有する。この地理的位置は、ユーザによって入力されてもよいし、船舶1に搭載されたシステム、例えば、GPS座標の形式によって自動的に取得されてもよい。
【0111】
ステップ1301の後、方法1300はステップ1302に進み、ステップ1301で得られた地理的位置に対して気象学的予測及び海象学の予測が得られる。この種の予測は、例えば、気象学的予測及び海象学の予測の提供者によってラジオ又は衛星のような通信手段によって送信される。これらの予測は、合わせてLNG移送作業の予測期間をカバーする複数の時間周期について得られ、この予測期間は、ユーザによって入力することができる。
【0112】
各時間周期の予測には、少なくとも1つのうねり状態が含まれる。それらの時間周期は、好ましくはさらに風波状態または海流状態または風の状態を含み、より好ましくはこれらの状態の複数を含み、さらにより好ましくはこれらのすべての状態を含む。
【0113】
ステップ1302の後に、方法1300はさらに以下のステップを含む:
ステップ1302で得られた予測値から、各時間周期について、うねりの方向(図6において軸12の方向で表される)、うねりの有義波高、およびうねりのピーク周期を抽出するステップ1303Aと、
適宜、ステップ1302で得られた予測値から、各時間周期について、風波の方向(図6において軸10の方向で表される)、風波の有義波高、および/または風波のピーク周期、および/または風波の方向を抽出するステップ1303Bと、
適宜、ステップ1302で得られた予測値から、各時間周期について、海流の速度および/または海流の方向(図6において軸14の方向で表される)を抽出するステップ1303Cと、
適宜、ステップ1302で得られた予測値から、各時間周期について、風の速度および/または風の方向(図6において軸16の方向で表される)を抽出するステップ1303C。
【0114】
次いで、方法1300は、各周期のそれぞれについて繰り返される以下のステップを含み:
船舶1の方位190を取得するステップ1304と、
船舶1の少なくとも1つのタンクについての少なくとも1つの予測充填レベルを決定するステップ1305と、
うねりの迎角、すなわち船舶1の方位190とうねりの方向(図6における軸12の方向によって表される)との間の角度を決定するステップ1306と、
ステップ1306で決定されたうねりの迎角、ステップ1303Aで抽出されたうねりの有義波高およびうねりのピーク周期、およびステップ1305で抽出されたタンクの少なくとも1つの予測充填レベルの関数として、ステップ1305で抽出された少なくとも1つの予測充填レベルを有するタンクについて、少なくとも1つの損傷の確率を推定するステップ1307。
【0115】
船舶1の複数のタンクが考慮される場合、それらのタンクの各々についてステップ1305および1307が実行される。この選択は、船舶1のタンクの一部のみ、例えば、スロッシングによって引き起こされる損傷のリスクを最も受けやすいことが予め実施された分析によって決定された、船舶1の1つまたはいくつかのタンクを考慮する際に同様に行われる。
【0116】
ステップ1307は、船舶1の該当タンクについて予め構築されたデータベースを参照することにより実行されてもよい。この種のデータベースは、うねりの迎角、うねりの有義波高、うねりのピーク周期、およびタンクの現在充填レベルの関数としてのスロッシングに関連するデータを含み、スロッシングに関連するデータは、実験によって決定される。損傷の確率は、うねりの迎角、うねりの有義波高、うねりのピーク周期、およびタンクの充填レベルの関数として、前記タンクの内部強度を越える、前記タンクの内面における圧力に遭遇する確率密度に関係する。
【0117】
ステップ1304で得られた方位190は、事前に定義してもよい。1つの変形例では、方位190は、ユーザによって入力されてもよく、また、考慮されるすべての時間周期についても入力されてもよい。さらに1つの変形例では、船舶のこの方位190は、各時間周期について、うねり状態、および好ましくは風波状態および/または海流状態により、船舶1が受ける力を考慮するように得られる。
【0118】
図7Bは、ステップ1304の実行の一例を下記の様に表し:
第1ステップ1304-1において、船舶1がうねり状態のため、好ましくは風波状態および/または海流状態および/または風の状態のために受ける力が計算され、
第2ステップ1304-2において、ステップ1304-1で求めた力の合力が算出され、
第3ステップ1304-3において、ステップ1304-2で決定された合力について、アンカーポイント90を中心とするモーメントが計算される。
ステップ1304-1、1304-2、1304-3は、複数の理論的方位、すなわち、方位190の複数の可能値について実行される。例えば、ステップ1304-1、1304-2、1304-3は、方位190の増加値について、5度、2度または1度の刻みで実行される。その後、ステップ1304-4において、ステップ1304-3で決定されたモーメントの絶対値を最小にする方位が前記複数の理論方位から共通方位190として選択される。
【0119】
ステップ1307の後に、方法1300はステップ1308に進み、ステップ1307で推定された損傷の確率の関数として情報がユーザに提供される。
【0120】
このステップ1308は、複数のタンクのうちの1つに関する損傷の確率が所定の閾値を超える場合に、ユーザに視覚的および/または音響的なアラームを与えることのみからなるものであってもよい。これに加えて、または代わって、ステップ1308においてユーザに提供される情報は、ステップ1307において、いくつかの他のマグニチュードの関数として推定される損傷の確率の少なくとも1つの視覚的指標を含んでもよい。この視覚的表示は、図5に関連して上述されたものと類似場合がある。
【0121】
ステップ1308の後、方法1300は、ステップ1307で推定された損傷の確率を低減することが意図された判断を支援するステップ1309に進むことが好ましい。決定を支援するこのステップ1309は、特にユーザへ提供する下記内容を含んでもよい:方位190を変更する提案、および/または船舶1の少なくとも一つのタンクの充填レベルを修正する提案。
【0122】
このステップ1309のおかげで、タンクの損傷のリスクを低減するために、ユーザはこれらの提案に基づいて必要な措置を実施することができる。
【0123】
方法1300の種々のステップは、図4を参照して既に述べた装置100の中央ユニット110によって実行されてもよい。
【0124】
上記の説明は、うねりのピーク周期、すなわちうねりの連続する2つのピークの流路の間の時間周期を参照して定義される。変形例では、うねりのピーク周期の代わりに、うねりの平均周期、すなわち、海の平均高さにおけるうねりの連続する3つの流路の間の時間周期が考えられる。
【0125】
同様に、風の海のピーク期間の代わりに、風波の平均周期、すなわち、海の平均高さにおける風波の連続する3つの流路の間の期間を考慮してもよい。
【0126】
以上のように、本発明を特定の実施形態を用いて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されないことが明らかであり、本発明の範囲内であれば、説明された手段及びそれらの組合せの全ての技術的等価物が含まれることは明らかである。
【0127】
さらに、方法に関連して記載された特徴または特徴の組合せが、対応するシステムにも同様に適用され、その逆も同様であることは明らかである。
【0128】
「含む(comprise)」又は「備える(include)」の用語及びこれらの活用形の使用は、請求項に記載されたものに加えて、他の要素又は他の工程の存在を除外するものではない。
【0129】
各請求項において、括弧内の参照符号は、請求項の限定を構成するものとして理解されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】