(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】半径方向反転プーリを備えたトランスミッション
(51)【国際特許分類】
F16H 9/06 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F16H9/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577508
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022035190
(87)【国際公開番号】W WO2023278358
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーンバウム・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3J050
【Fターム(参考)】
3J050AA01
3J050AB01
3J050BA02
3J050CD03
3J050CE01
3J050CE02
3J050CE05
3J050DA01
(57)【要約】
【解決手段】プーリの間で動力を伝達する圧縮ベルトに力を「内向きに」掛けるために、互いに入れ子状でありまたは他の方法で重なっている「半径方向反転」プーリを備えた様々なトランスミッションが提供されている。ベルトへ「内向きに」力を掛けることにより、ベルトは、その長さに沿ってどの部分でも正味の圧縮を受けうる。これにより、そのベルトは、プーリからベルトに「外向きに」力を掛けることから、かかるベルトが「プッシュ」ベルトとして動作される場合でも、かかるベルトによって経験される長手方向の張力を維持するために、高価で技術的に困難なベルトパックまたはその他の要素を必要とするトランスミッションのベルトよりも、複雑ではなく、コストが低くなる。かかる「半径方向反転」プーリを備えたトランスミッションは、「非半径方向反転」プーリを利用するトランスミッションと比べて、小さいサイズ、低いコスト、および、高い動力容量を示しうる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を有し、前記第2ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を有し、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリと、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第3接触面を有し、前記第4ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第4接触面を有し、前記第2プーリは、前記第1プーリ内に入れ子状であり、
ベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触すると共に、前記第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触しており、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項3】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項4】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【請求項5】
請求項4に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えない、トランスミッション。
【請求項6】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
【請求項7】
請求項6に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項8】
請求項7に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
【請求項9】
請求項1に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
【請求項10】
請求項9に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項11】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
【請求項12】
請求項1に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1割りプーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
【請求項13】
請求項12に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項14】
トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリであって、前記第1割りプーリ内に入れ子状になっている第2割りプーリと、
ベルトと、を備え前記ベルトは、前記第1割りプーリおよび前記第2割りプーリと接触しており、前記第1および第2ハーフプーリの間の偶力が、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第3および第4ハーフプーリの間の偶力が、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
【請求項15】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項16】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項17】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【請求項18】
請求項17に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えていない、トランスミッション。
【請求項19】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
【請求項20】
請求項19に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の95%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項21】
請求項20に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
【請求項22】
請求項14に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
【請求項23】
請求項22に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項24】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
【請求項25】
請求項14に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1プーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
【請求項26】
請求項25に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項27】
制御可能な伝達比を有するトランスミッションであって、
第1軸を規定する第1プーリと、前記第1プーリは、前記第1プーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合されている第1および第2ハーフプーリを備えた割りプーリであり、
第2軸を規定する第2プーリと、前記第2プーリは、前記第1プーリ内に入れ子状になっており、前記第2プーリは、前記第2軸を中心に回転可能である第3および第4ハーフプーリを備え、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成され、
ベルトと、前記ベルトは、前記第1、第2、第3、および、第4ハーフプーリと接触しており、前記第2プーリに印加されたトルクにより、前記第2プーリから前記第1プーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1プーリにおいてトルクが実現され、
入力部材と、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こすように前記第2プーリに結合されて、
出力部材、前記出力部材は、前記第2プーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2プーリに結合され、
中心ギアと、を備え、前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2プーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項28】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記第1プーリは、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2プーリは、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼす、トランスミッション。
【請求項29】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を介して力を前記ベルトに及ぼし、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を介して力を掛ける、トランスミッション。
【請求項30】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1プーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2プーリと接触している、トランスミッション。
【請求項31】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備え、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2プーリから前記第1プーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項32】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本願は、2021年6月28日出願の米国仮特許出願第63/215,626号に基づく優先権を主張し、その内容は、参照によって組み込まれる。本願は、2018年4月3日出願のPCT出願第PCT/US2018/025804号、2019年5月21日出願のPCT出願第PCT/US2019/033414号、および、2019年11月20日出願のPCT出願第PCT/US2019/062486号を参照によって組み込んでいる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で別段の指示がない限りは、本セクションに記載の材料は、本願の請求項に対する先行技術ではなく、本セクションに含まれることによって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
入力トルクと出力トルクとの間の機械的利益を提供するために、様々な機構の一部としてトランスミッションが備えられる。したがって、トランスミッションは、モータ、エンジン、タービン、または、その他のトルクジェネレータの特性(例えば、トルク-速度曲線、効率曲線)を、エフェクタ、車輪、ジェネレータ、または、生み出されたトルクを対象とした何らかの他の用途の特性に合わせるために備えられうる。例えば、トランスミッションは、内燃エンジンによって生み出された高い回転速度および比較的低いトルクを、自動車の車輪を駆動するためのより低い速度およびより高いトルクの要件に合わせるために、自動車に設けられうる。別の例において、トランスミッションは、内燃エンジンおよびジェネレータの両方がそれぞれの効率的な回転数に従って動作されるように、内燃エンジンをジェネレータに接続するために提供されうる。
【0004】
トランスミッションは、設定された伝達比(トランスミッションの入力側での回転速度および/または印加トルクと、トランスミッションの出力側での回転速度および/または供給トルクとの比)を有してもよいし、制御可能な伝達比を有してもよい。かかるトランスミッションの伝達比は、電子的方法、機械的方法、油圧、および/または、その他の方法によって(例えば、モータ、ソレノイド、または、その他の方法による、クラッチ、スライド可能ギア、割りプーリ、ドラム、タービン翼、油圧弁、または、トランスミッションのその他の要素の作動を通して)制御可能であってよい。一部の例において、トランスミッションは、1以上のクラッチまたはその他のアクチュエータを動作させることによって選択できる離散的な数の選択可能な伝達比(すなわち、「ギア」)を有しうる。別の例において、トランスミッションは、伝達比の範囲全体にわたって連続的に制御可能な伝達比を有しえ、かかるトランスミッションは、「連続可変トランスミッション」と呼んでもよい。かかる可変トランスミッションは、伝達比の範囲全体にわたって伝達比の連続制御を可能にするために、割りプーリ、トロイダルドラム、ハイドロスタティック要素、または、その他の作動可能な構成要素を備えうる。
【発明の概要】
【0005】
第1態様において、トランスミッションが提供される。トランスミッションは、(i)第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、第1ハーフプーリは、第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を有し、第2ハーフプーリは、第1軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を有し、(ii)第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリと、第3ハーフプーリは、第2軸に対して放射対称である凹状の第3接触面を有し、第4ハーフプーリは、第2軸に対して放射対称である凹状の第4接触面を有し、第2プーリは、第1プーリ内に入れ子状であり、(iii)ベルトと、を備え、ベルトは、第1および第2接触面を介して第1割りプーリと接触すると共に、第3および第4接触面を介して第2割りプーリと接触しており、第2割りプーリに印加されたトルクにより、第2割りプーリから第1割りプーリへベルトに沿って伝達される圧縮力を介して第1割りプーリにおいてトルクが実現される。
【0006】
第2態様において、トランスミッションが提供される。トランスミッションは、(i)第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、(ii)第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリであって、第1割りプーリ内に入れ子状になっている、第2割りプーリと、(iii)ベルトと、を備え、ベルトは、第1割りプーリおよび第2割りプーリと接触しており、第1および第2ハーフプーリの間の偶力が、第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力をベルトに及ぼし、第3および第4ハーフプーリの間の偶力が、第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力をベルトに及ぼし、第2割りプーリに印加されたトルクにより、第2割りプーリから第1割りプーリへベルトに沿って伝達される圧縮力を介して第1割りプーリにおいてトルクが実現される、を備える。
【0007】
第3態様において、制御可能な伝達比を有するトランスミッションが提供されており、そのトランスミッションは、(i)第1軸を規定する第1プーリと、第1プーリは、第1プーリが第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合されている第1および第2ハーフプーリを備えた割りプーリであり、(ii)第2軸を規定する第2プーリと、第2プーリは、第1プーリ内に入れ子状になっており、第2プーリは、第2軸を中心に回転可能である第3および第4ハーフプーリを備え、トランスミッションは、第1および第2ハーフプーリの間の分離と第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、トランスミッションの伝達比を制御するよう構成され、(iii)ベルトと、ベルトは、第1、第2、第3、および、第4ハーフプーリと接触しており、第2プーリに印加されたトルクにより、第2プーリから第1プーリへベルトに沿って伝達される圧縮力を介して第1プーリにおいてトルクが実現され、(iv)入力部材と、入力部材の回転が第1軸を中心とした第2軸の運動を引き起こすように第2プーリに結合され、(v)出力部材と、第2プーリの回転が出力部材の回転を引き起こし、さらに、入力部材におけるトルクにより出力部材におけるトルクが実現されるように、第2プーリに結合され、(vi)中心ギアと、を備え、中心ギアは、中心ギアの回転が出力部材の回転を引き起こすように出力部材に結合され、第3および第4ハーフプーリは、第2プーリの回転が中心ギアの回転を引き起こすように中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、第3および第4ハーフプーリは、第3および第4ハーフプーリの間の分離を調整することが中心ギアに向かうまたは中心ギアから離れる第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように中心ギアに対して対称的に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかのトランスミッション例の要素を示す断面図。
【0009】
【
図2】可変トランスミッション例の要素を示す斜視断面図。
【0010】
【
図3A】トランスミッション例の物理的モデルの写真を示す図。
【0011】
【
図3B】
図3Aに示したトランスミッション例の物理的モデルの別の写真を示す図。
【0012】
【
図4A】可変トランスミッション例の要素を示す斜視断面図。
【0013】
【
図4B】
図4Aに示したトランスミッション例の要素を示す断面図。
【0014】
【
図4C】
図4Aに示したトランスミッション例の要素を示す断面図。
【0015】
【
図5A】トランスミッション例のベルトの要素を示す断面図。
【0016】
【
図5B】
図5Aに示したトランスミッション例の要素を示す断面図。
【0017】
【
図5C】
図5Aに示したトランスミッション例のベルトの要素を示す断面図。
【0018】
【0019】
【
図7】ベルトおよびトランスミッションの要素を示す断面図。
【0020】
【
図8A】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【0021】
【
図8B】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【0022】
【
図8C】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【0023】
【
図8D】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【0024】
【
図8E】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【0025】
【
図8F】一実施形態例に従って、実験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。図面において、同様の符号は、通例、文脈で特に指示が限りは、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および、請求項に記載の実施形態の例は、限定を意図したものではない。本明細書に提示された主題の範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、その他の変更がなされてもよい。本明細書に概略的に記載され、図に示されている本開示の態様は、幅広い異なる構成で、配置、置換、組みあわせ、分離、および、設計されてよく、それらのすべてが、本明細書内で明確に意図されていることが容易に理解される。
【0027】
I.概要
ベルト・プーリ型のトランスミッションは、ベルトと係合する2以上のプーリを備える。かかるトランスミッションの伝達比は、固定または可変であってよい。動力が、プーリの間で走るベルトの長さを介して、或るプーリから他のプーリへ伝達される。この動力は、ベルトに沿った張力として、または、ベルトに沿った圧縮力によって、伝達されうる。
【0028】
従来のベルト・プーリ型のトランスミッションのプーリは、プーリの回転軸に対して半径方向「外向き」に方向付けられたプーリの接触面を介してベルトに力を掛けることによって、ベルトと係合する。すなわち、かかるトランスミッションのプーリによってかかるトランスミッションのベルトへ向けられる力は、プーリの回転軸から離れて外を向く(プーリの形状に対する)半径方向成分を有する。プッシュベルトを介して圧縮的に動力を伝達する従来のトランスミッションについて、ベルトは、ベルトに作用するこれらの「外向きの」力に対抗するために、張力の掛かったバンドまたはその他の要素を備え、結果として、ベルトの長さの一部で正味張力が生じ、したがって、ベルトとプーリとの係合を維持する。かかる圧縮トランスミッションは、しばしば、張力によって動力を伝達するトランスミッションよりも好ましい。しかしながら、かかる圧縮トランスミッションの動力容量および寿命は、しばしば、高出力用途の高い張力に耐えることのできるプッシュベルトのコストおよび複雑さによって制限される。
【0029】
本明細書に記載されている改良トランスミッションは、圧縮プッシュタイプベルトに、プーリの回転軸に対して半径方向「内向き」の力を掛ける「半径方向反転プーリ」を有する。すなわち、そのプーリによってかかる改良トランスミッションのベルトへ向けられる力は、プーリの回転軸から内向きに方向付けられた(プーリの形状に対して)半径方向の成分を有する。したがって、かかるトランスミッションのベルトは、動力を伝達する圧縮力の大きさと同等の大きさの張力を受けない。そのため、かかるベルトは、コストおよび複雑さの大幅な低減を示すバンドパック(または、ベルトに印加される張力に抵抗するよう構成されているその他の要素)を備え、あるいは、かかる複雑かつ高価な要素を完全に省くこともできる。
【0030】
かかるトランスミッションの「半径方向反転」プーリがベルトに「内向きの」力を掛けるために、プーリは、互いに入れ子状になっており、または、少なくとも部分的に重なるように別の方法で構成されうる。(伝達比の変更を可能にする割りプーリであってよい)かかるトランスミッションの第1プーリの要素が、重なり構成を可能にするために分割されている第2プーリの要素の中または間に配置されうる。いくつかの例において、かかるトランスミッションのプーリの回転軸の一方または両方が、互いに対して、および/または、それらを部品として含むメカニズムまたはシステムに対して、移動できる。例えば、かかるトランスミッション内の第1プーリは、トランスミッション内でトロコイド運動を行い、トランスミッションおよび/または第2プーリの中心回転軸から特定の距離で中心回転軸を中心にそれ自体が周回する回転軸を中心に回転する。かかるトランスミッションの第1プーリは、入力部材によって(例えば、偏心カムを介して)駆動されてよく、オフセットされたシャフト継手または何らかの他の機構を介して第1プーリから動力が引き出されうる。別の例において、かかるトランスミッションのプーリの回転軸の位置は、固定されていてもよい。例えば、両方のプーリが、それらを部品として含むメカニズムまたはシステムに対して動かないオフセットされた回転軸を有してよい(例えば、外側プーリが、内側プーリの軸を貫通させることを可能にするために、非常に広いスロートまたはその他の開口部を有してよい)。
【0031】
II. トランスミッションの例
様々なトランスミッションが、両方のプーリと接触するベルトを介して、1(または複数)のプーリから別のプーリへ力を伝達することによって、入力と出力との間の固定伝達比または可変伝達比を提供する。プーリの有効直径の差により、トランスミッションは、1ではない伝達比(すなわち、1より大きいまたは1より小さい伝達比)を示すことが可能になる。プーリは、有効直径を調整することによってトランスミッションの伝達比を調整できるように分割されまたは別の方法で構成されていてよい。動力が、ベルトにおける張力を介して、または、(例えば、「プッシュタイプ」ベルトを用いて)圧縮力を介して、プーリの間で伝達されうる。
【0032】
図1は、様々なかかるベルト・プーリ型のトランスミッションを示す。第1トランスミッション100aは、第1プーリ110aおよび第2プーリ120aを備える。ベルト130aが、プーリ110a、120aの周りに巻き付いている。プーリ110a、120aからベルト130aに加えられる(例えば、プーリ110aの形状に対して、加えられる力の半径方向成分が、プーリ110aの軸115aから外向きに方向付けられるように、第1プーリ110aの回転軸115aから半径方向に離れる方向に第1プーリ110aから加えられる)(
図1に矢印で示す)外向きの力により、ベルト130aがプーリ110a、120aの接触面上での滑りに抵抗することが可能になり、プーリの一方へ印加された動力(トルクおよび/または回転)が、ベルト130aを介して他方のプーリへ伝達されることが可能になる。プーリ110a、120aの一方または両方は、割りプーリであり、割りプーリのハーフプーリの間の軸方向分離の調整を可能にすることでトランスミッション100aの伝達比を制御するよう構成されていてよい。
図1の下半分は、ベルト130aの面を通る断面でのトランスミッション100aを示しており、
図1の上半分は、プーリ110aの回転軸115aを通過する平面を通る断面でのトランスミッション100aを示し、第1プーリ110aおよびそれと接触するベルト130aの部分のみを図示している。
【0033】
ベルト・プーリ型のトランスミッションのプーリは、様々な利点を提供するために、互いに部分的に重なるように、入れ子状にされ、または、別の方法で形成されている。これらの利点には、サイズの減少、伝達比の増大、割りプーリの軸方向分離の小さい変化がトランスミッションの伝達比の大きい変化をもたらすこと(ここで、トランスミッションは、割りプーリを利用してその比を調整する可変トランスミッションである)、伝達比を変える際の速度の増大、または、重なりのない構成に対するその他の利点、が含まれうる。かかる重なりのあるトランスミッションは、2つのハーフプーリに分割された「外側」プーリを備えることで、「内側」プーリの要素が外側の2つのハーフプーリの間に配置されることを可能にし、内側および外側プーリが互いに重なり合うのにもかかわらず、ベルトがそれらと接触することを可能にしうる。
【0034】
かかる入れ子状トランスミッションのプーリは、固定されている(すなわち、地面、ハウジング、または、トランスミッションのその他の構成要素に対して空間的に移動しない)軸の周りを回転してよい。あるいは、プーリの一方または両方(例えば、内側プーリ)の回転軸が動いてもよい。例えば、内側プーリの回転軸は、内側プーリがトロコイド運動を行うように、外側プーリの回転軸の周りを周回してよい。
【0035】
図1に示す第2トランスミッション100bは、かかる入れ子状プーリトランスミッションの一例である。第2トランスミッション100bは、第1プーリ110bおよび第2プーリ120bを備える。ベルト130bが、プーリ110b、120bの周りに巻き付いている。プーリ110b、120bからベルト130bに加えられる(例えば、プーリ110bの形状に対して、加えられる力の半径方向成分が、プーリ110cの軸115bから外向きに方向付けられるように、第1プーリ110bの回転軸115bから離れる方向に第1プーリ110bから加えられる)(
図1に矢印で示す)外向きの力により、ベルト130bがプーリ110b、120bの接触面上での滑りに抵抗することが可能になり、プーリの一方へ印加された動力(力および/または回転)が、ベルト130bを介して他方のプーリへ伝達されることが可能になる。プーリの一方(例えば、110b)は、両方のプーリが回転し、ベルト130bが一方のプーリの接触面から他方へ通ることを可能にするために、プーリの他方(例えば、120b)の要素と反対側に配置されている2つのハーフプーリに分割されていてよい。プーリ110b、120bの接触面は、かかる半径方向「外向きの」力をベルト130bに及ぼすために、プーリ110b、120bのそれぞれの回転軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた面法線を有する。したがって、プーリ110b、120bの接触面は、凸状である。
【0036】
プーリ110b、120bの両方が、割りプーリであり、割りプーリのハーフプーリの間の軸方向分離の調整を可能にすることでトランスミッション100bの伝達比を制御するよう構成されていてよい。
図1の下半分は、ベルト130bの面を通る断面でトランスミッション100bを示しており、
図1の上半分は、プーリ110bの回転軸115bを通過する平面を通る断面でのトランスミッション100bを示し、第1プーリ110bおよびそれと接触するベルト130bの部分のみを図示している(第1プーリ110bが重なりうる第2プーリ120bの部分は
図1の上部分から省略されている)。
【0037】
プーリがそれらの回転軸から外向きに、プーリに巻き付いたベルトへ力を掛けるトランスミッション例100a、100bのように、トランスミッションを構成すると、様々な利点および欠点が生じうる。ベルトがベルト内の張力を介してプーリ間で力を伝達するよう構成されている(例えば、ベルトが「プルタイプ」のベルトである)場合、伝達される動力の増大の結果として、ベルトに掛かる垂直抗力の増大につながり、プーリに対してベルトが滑る可能性が低減される。
【0038】
いくつかの例において、ベルト内の圧縮力を介してプーリ間で力を伝達するよう構成されているベルトを用いることが好ましい(例えば、ベルトは「プッシュタイプ」のベルトである)。かかるベルトによる動力伝達方法は、効率を改善し、ノイズおよび振動を低減し、もしくは、トランスミッションのその他の特徴を改善するために選択されうる。しかしながら、かかるベルトが、ベルトに「外向きの」力を掛けるプーリと共に用いられる場合、ベルトは、典型的には、ベルトに沿って実質的に静的な引張荷重を伝達するために、ストラップ、バンドパック、ヒンジ、マルチバーリンク、または、その他の要素を備える。プーリによってベルトに加えられる垂直抗力がプーリの接触面に対してベルトが滑るのを防ぐのに十分であることを保証するために、これらの引張荷重の大きさが調整される。したがって、かかるトランスミッションの動力容量の増大には、ベルトが耐えなければならない引張荷重の増大が伴い、ベルトのコスト、重量、体積、および/または、複雑さが増す。さらに、かかる「プッシュベルト」によって伝達される動力の増大は、(圧縮的な動力伝達力の増大が、ベルト内の実質的に静的な張力をより多く打ち消すことに起因して)ベルトに掛かる垂直抗力の減少につながるので、伝達される動力が増大するのに伴って、ベルトがプーリに対して滑る可能性を増し、潜在的な不安定性につながる。
【0039】
重なりプーリタイプのベルト・プーリ型トランスミッションのプーリは、プーリの有効外周によって完全に囲まれた領域を規定する。したがって、かかる重なりプーリタイプのトランスミッションは、それらの回転軸へ向かって「内向きに」力をベルトに及ぼすよう構成されうる。したがって、ベルトは、どの部分でも圧縮下にあるため、ベルトの完全性および/またはそのセグメントのアライメントを維持するための張力伝達要素を省略できる(または、より少なく、より小さく、および/または、より低コストの張力伝達要素を備えることができる)。
【0040】
図1に示す第3トランスミッション100cは、入れ子状プーリトランスミッションの一例であり、プーリがベルトに「内向きの」力を掛ける。第3トランスミッション100cは、第1プーリ110cおよび第2プーリ120cを備える。ベルト130cが、プーリ110c、120cの重なった有効外周によって規定された領域内に配置されている。プーリ110c、120cからベルト130cに加えられる(例えば、プーリ110cの形状に対して、加えられる力の半径方向成分が、プーリ110cの軸115cに向かって内向きに方向付けられるように、第1プーリ110cの回転軸115cへ向かう方向に第1プーリ110cから加えられる)(
図1に矢印で示す)内向きの力により、ベルト130cがプーリ110c、120cの接触面上での滑りに抵抗することが可能になり、プーリの一方へ印加された動力(力および/または回転)が、ベルト130cを介して他方のプーリへ伝達されることが可能になる。ベルト130cは、第1接触面131cに沿って第1プーリ110cと接触し、第2接触面133cを介して第2プーリ120cと接触している。プーリ110c、120cの接触面131c、133cは、かかる半径方向「内向きの」力をベルト130cに及ぼすために、プーリ110c、120cのそれぞれの回転軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた面法線を有する。したがって、プーリ110c、120cの接触面131c、133cは、凹状である。
図1の下半分は、ベルト130cの面を通る断面でトランスミッション100cを示しており、
図1の上半分は、プーリ110cの回転軸115cを通過する平面を通る断面でトランスミッション100cを示し、第1プーリ110cおよびベルト130cのみを図示している(第1プーリ110cが重なりうる第2プーリ120cの部分は、図をわかりやすくするために、
図1の上部分から省略されている)。
【0041】
ベルト130cの長さのほとんど(例えば、マルチセグメントベルトの個別のセグメントのほとんど)が、接触面131c、133cの一方または他方と接触している。しかしながら、ベルトの2つの部分135cは、プーリ110c、120cのいずれとも接触しないように、「浮いている」。これらの「浮いている」部分は、プーリの一方との接触およびプーリの他方との接触の間で移行するベルトの部分である。
【0042】
プーリ(例えば、110c)の一方は、プーリの他方(例えば、120c)の要素と反対側に配置された2つのハーフプーリに分割されていてよい。これらの構成は、両方のプーリが回転することを可能にし、ベルト130cが一方のプーリから他方のプーリへ通ることを可能にする。プーリ110c、120cの両方が、割りプーリであり、割りプーリのハーフプーリの間の軸方向分離の調整を可能にすることでトランスミッション100cの伝達比を制御するよう構成されていてよい。
【0043】
ベルトへ内向きの力を掛けることでベルトの張力維持要素の必要性を低減または排除するかかるトランスミッションは、様々な方法で実装可能である。プーリの一方または両方は、割りプーリであってよく、割りプーリのハーフプーリの間の分離は、トランスミッションの伝達比を制御するために制御可能である。いくつかの例において、本明細書に記載されているトランスミッションのプーリは両方とも、自身はトランスミッション内で移動しないそれぞれの回転軸の周りを回転しうる。あるいは、プーリの一方は、機械的にグラウンドされうるが、他方のプーリの回転軸は、グラウンドされたプーリの対称軸の周りを周回してよく、回転軸の周回がトランスミッションの入力であり、その軸の周りを周回するプーリの全体回転がトランスミッションの出力である(例えば、トランスミッションは、サイクロイド型のトランスミッションとして構成されうる)。プーリの一方が、このように「周回する」よう構成されている場合、トランスミッションを駆動し、および/または、出力を提供するまたはその逆のための周回プーリの動きを修正するために、様々なメカニズムが利用されうる。例えば、内側プーリの回転軸の動きは、内側プーリへ回転可能に結合されている偏心カムに結合された入力部材によって駆動されうる。また、内側プーリの回転軸がトランスミッション内で周回する際に、内側プーリの偏心質量の動きをオフセットするために、バランシング質量が、カムおよび/または入力部材に結合されてもよい。その回転軸の周りの内側プーリの回転は、内側プーリにおける対応する穴またはその他の特徴部に貫通する個々のピン(ベアリングで囲まれている)のセットを用いて、出力部材へ結合(または「修正」)されうる。かかるトランスミッションの要素へ/から回転/トルクを結合するための他の方法も可能である。
【0044】
また、かかるトランスミッションのベルトの構成も、所望の利点またはトレードオフにアクセスするために、様々な可能性から選択されうる。例えば、ベルトは、「A字型」断面を有してよく(すなわち、ベルトがプーリと接触する接触面すべてが互いに反対を向いている)、両方の割りプーリが、ベルトを駆動してプーリに対するベルトの滑りを防ぐために、局所的な圧縮力をベルトに(例えば、ベルトの個々のセグメントに)掛ける。別の例において、ベルトは、「M字型」断面を有してもよく(すなわち、ベルトのプーリ接触面の一部が互いの方を向き、一部が互いに反対を向いている)、割りプーリの一方が、ベルトに局所的な圧縮力を掛け(例えば、「内側」プーリが、互いに反対を向いているベルト接触面と接触する)、他方が、ベルトを駆動してプーリに対するベルトの滑りを防ぐために、ベルトに局所的な張力/膨張力を掛ける(例えば、「外側」プーリが、互いの方を向いているベルト接触面と接触する)。「M字型ベルト」の利用は、「A字型ベルト」の利用よりも、小さく、短く、および/または、軽いトラスミッションを提供できるが、潜在的にトランスミッション製造の複雑さを増し、ベルトの材料および製造に対してより高い製造要件を課し(例えば、より高い引張荷重ならびに/もしくは圧縮荷重および引張荷重の交互の繰り返しに耐えうる材料の利用を必要とする)、もしくは、トランスミッションの製造または動作に関して何らかのその他の異なる要因を課す。
【0045】
図2は、プーリが半径方向「内向きの」力をベルトに及ぼすトランスミッション例200の要素を断面図で示しており、ここで、一方のプーリの軸が、他方のプーリの回転軸の周りを「周回する」。トランスミッション200は、内側プーリ230、外側割りプーリ220、および、ベルト240を備える。(
図2の上側に示す)ベルト240の第1部分が、内側プーリ230と接触し、(
図2の下側に示す)ベルト240の第2部分が、外側割りプーリ220と接触している。入力部材210が、トルク/回転をトランスミッション200へ/から結合し、入力部材210が回転するのに伴って(外側割りプーリ220のベルト接触面の対称軸でもある)中心軸201を中心に回転するカム215を中心に回転することによって内側プーリ230に歳差運動をさせる。また、カウンターウェイト217が、軸201に関する内側プーリ230の重心の動きを補償するために、入力部材210に結合されている。外側割りプーリ220は、機械的グラウンド260に対して回転するのを防止されるように、トランスミッション200の機械的グラウンド260(例えば、ハウジング)へ機械的に結合されている。出力部材270が、ギア275を介して内側プーリ230の歯付き接触面235へ結合されることによって、トランスミッション200から/へトルク/回転を結合する。したがって、入力部材210での回転/トルクの印加が、出力部材270での回転/トルクの実現につながり、その逆も成り立つ。
【0046】
トランスミッション例200の内側プーリ230は、割りプーリではないため、ベルト240との接触に関して非調整可能な有効直径を有する。したがって、トランスミッション200は、固定された伝達比を有する。外側割りプーリ220のハーフプーリの間の軸方向分離は、静的に設定されてもよいし、絶えず調整されてもよい(例えば、異なるトルクおよび/または動力の条件にわたってベルト240における張力を最適化するため)。しかしながら、いくつかの例において、内側プーリも割りプーリであってよい。かかる例において、内側および外側割りプーリのハーフプーリの間の軸方向距離は、トランスミッションの伝達比を制御し、および/または、ベルトにおける張力のレベルを制御するために、調整されうる。
【0047】
いくつかの例において、内側プーリ230は、ギア275の中心面に対して対称に分割されていてよい。かかる例において、ギア275の山型または「V」字型の歯の角度、形状、数、または、その他の特性は、ギア275と内側プーリ230の歯付き接触面235との間の相互作用がベルト240における張力に関して負のフィードバックを提供するように規定されうる。このアプローチは、少ないアクチュエータでトランスミッション240の制御を有益に単純化する。例えば、トランスミッション240は、トランスミッション200を通した動力伝達の増大が、内側プーリ230のハーフプーリを引き寄せるように作用する力の増大につながり、それによって、内側プーリ230によってベルト240に及ぼす内向きの力を増大させ、ベルト240がプーリ220、230に対して滑る可能性を低減させるように構成されてよい。これは、静的な伝達比または動的に制御可能な伝達比を有するトランスミッション200の例で実施されうる。かかるメカニズムは、トランスミッションのプーリがベルトに「従来の」外向きの力を掛けるトランスミッション(例えば、ベルトに沿って大きい引張荷重を伝達することによって、ベルトを滑らせることなしに大きい荷重が一方のプーリから他方へと伝達されうるように、大きい外向きの力がベルトに及ぼされることを可能にするよう構成されているバンドパックまたはその他の張力要素を、ベルトが備えるトランスミッション)へ有益に適用されうることに注意されたい。かかる応用例は、伝達されるトルクと、(半径方向外向きの方向にベルトへ印加される力に起因する)ベルト張力との間の有益な関係性が得られるように、「V」字型の歯の方向を逆転させることを含みうる。
【0048】
上記の「V」字型の歯を有するギアの利用は、非限定的な実施形態例を意図されているに注意されたい。係合する歯を持つハーフプーリが、ギアを通る中心面に向かって/から離れて、軸方向で対称的に動きうるような形状の何らかの他の方法で成形された歯(例えば、平坦な歯)を、中心ギアが有する。
【0049】
図2に示すように、ベルト240は、「M」字型の断面を有する。したがって、
図2に示すように、外側割りプーリ220は、互いの方を向くベルト上の接触面を介してベルトへ局所的な張力/膨張力を掛け、一方、内側割りプーリ230は、互いに反対を向くベルト上の接触面を介してベルトへ局所的な圧縮力を掛ける。ただし、ベルトに「内向きの」力を掛けるよう構成されている入れ子状プーリまたは別の方法で重なり合うプーリを有する本明細書に記載のトランスミッションは、「A」字型の断面またはその他の断面形状を有するベルトを用いて実施されてもよい。
【0050】
さらに、内側部材210と内側プーリ230との間および/または出力部材270と内側プーリ230との間の結合(すなわち、内側プーリ230内の歯付き接触面235と接触するギア275を用いた結合)は、変更されてもよい。例えば、出力部材270は、オフセットシャフト結合、サイクロイドトランスミッション、または、何らかの他の型の結合を用いて、内側プーリ230へ回転可能に結合されてもよい。
【0051】
さらに、本明細書に記載のトランスミッション(例えば、200、300、400)は、そこから力が出力へ伝達される入力を備えるものとして特徴付けられているが、これらのトランスミッションは、追加的または代替的に、バックドライブ可能であるよう構成されてもよいし、双方向エネルギ伝達および/または出力から入力へのエネルギ伝達を可能にするよう他の方法で構成されてもよい。例えば、本明細書に記載のトランスミッションは、ロボットの関節の間でエネルギを双方向に伝達するために、例えば、1つの関節(例えば、エネルギを、例えば接地との接触から現在受けている関節)からエネルギを取り込んで、別の関節(例えば、ペイロードに力を加えるために現在利用されている関節)に印加するかまたはその逆を可能にすることによってロボットの全体効率を高めるために、利用できる。さらに、かかる構成は、(例えば、ロボットの1以上の関節の)複数の自由度を単一のモータによって(例えば、それぞれの入れ子状プーリ無限可変トランスミッションを介して)駆動することを可能にしうる。
【0052】
またさらに、かかるトランスミッションは、2以上の内側プーリおよび/または2以上の外側プーリを備えてもよい。例えば、かかるトランスミッションは、中心軸に関する重心の動きを打ち消すことで、振動を低減し、ベアリングを通して伝達される反力の大きさを低減し、または、何らかのその他の利点を提供するように、中心軸に対して均一に配列された複数の内側プーリを備えてもよい。
【0053】
図3Aおよび
図3Bは、どの場所でも圧縮状態にあるベルトに「内向きに」力を掛けるプーリを備えたトランスミッション300の写真である。
図3Aは、トランスミッション300全体を図示している。
図3Bは、トランスミッション300のベルト340の個別の要素の形状および配列を示すために、拡大してバックライトを当てたトランスミッション300の一部を図示している。
【0054】
図4Aは、プーリがベルトに「内向きの」力を掛けるトランスミッション例400の要素を示す斜視断面であり、ここで、プーリの回転軸は、トランスミッション400全体に対して動かない。トランスミッション400は、第1回転軸401を中心に回転する内側割りプーリ410(第1ハーフプーリ410aおよび第2ハーフプーリ410bを備える)と、第2回転軸403を中心に回転する外側割りプーリ420(第1ハーフプーリ420aおよび第2ハーフプーリ420bを備える)と、ベルト430と、を備える。図に示すように、外側割りプーリ420および内側割りプーリ410のハーフプーリの間の軸方向距離は、例えば、トランスミッションの伝達比の変化をもたらし、ベルト430における張力を調整し、および/または、何らかのその他の利点を提供するために、制御可能である。(
図4の上側に示す)ベルト430の第1部分が、外側ハーフプーリ420a、420bと接触し、(
図4の下側に示す)ベルト430の第2部分が、内側ハーフプーリ410a、410bと接触している。入力部材405が、トランスミッション400へ/からトルク/回転を結合し、入力部材405が回転するのに伴って、第1軸401に対して内側割りプーリ410を回転させる。出力部材407が、トランスミッション400へ/からトルク/回転を結合し、出力部材407が回転するのに伴って、第2軸403に対して外側割りプーリ420を回転させる。したがって、入力部材405での回転/トルクの印加が、出力部材407での回転/トルクの実現につながり、その逆も成り立つ。
【0055】
内側割りプーリ410のハーフプーリ410a、410bの間の軸方向分離、および、内側割りプーリ420のハーフプーリ420a、420bの間の軸方向分離は、トランスミッションの伝達比を制御するために調整されうる。これは、ベルト430が内側割りプーリ410および外側割りプーリ420と接触する内側割りプーリ410および外側割りプーリ420に沿った位置が変化することで、ベルト430との相互作用に関して内側割りプーリ410および外側割りプーリ420の有効直径を調整するように、内側割りプーリ410および外側割りプーリ420の軸方向分離を調整することによって達成されうる。例えば、
図4Bは、軸方向分離が減速比またはアンダードライブ比をもたらすために調整された時のトランスミッション400を示している。内側ハーフプーリ410a、410bの間の分離が小さくなっていることで、ベルト430が第1軸401のより近くで内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bに接触することを可能にして、内側割りプーリ410の有効直径の減少につながっており、対称的に、外側ハーフプーリ420a、420bの間の分離が大きくなっていることで、ベルト430が第2軸403からより遠くで外側ハーフプーリ420a、420bの接触面425a、425bに接触することを可能にして、外側割りプーリ420の有効直径の増大につながっている。別の例において、
図4Cは、軸方向分離がオーバードライブ比をもたらすために調整された時のトランスミッション400を示している。内側ハーフプーリ410a、410bの間の分離が大きくなっていることで、ベルト430が第1軸401からより遠くで内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bに接触することを可能にして、内側割りプーリ410の有効直径の増大につながっており、対称的に、外側ハーフプーリ420a、420bの間の分離が小さくなっていることで、ベルト430が第2軸403のより近くで外側ハーフプーリ420a、420bの接触面425a、425bに接触することを可能にして、外側割りプーリ420の有効直径の減少につながっている。
【0056】
図4Bは、トランスミッション400のプーリによってベルト430に及ぼされている力を詳細に示している。特に、外側ハーフプーリの接触面425a、425bは、それぞれの力427a、427bをベルト430に及ぼし、内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bは、それぞれの力417a、417bをベルト430に及ぼしている。力417a、417b、427a、427bは、
図4Bの平面の中へ/から外を向く成分(図示せず)を有してよく、かかる成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「接線」成分であることに注意されたい。それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの回転軸410、403と平行な力417a、417b、427a、427bの成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「軸方向」成分である。
図4Bの平面内でそれぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの回転軸410、403と垂直な力417a、417b、427a、427bの成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「半径方向」成分である。したがって、ハーフプーリ410a、410b、420a、420bによって掛けられる力はすべて、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bのそれぞれの回転軸410、403に向かって内向きに方向付けられた半径方向成分を有する点で、半径方向「内向きに」方向付けられている。
【0057】
図4Bに示すように、各割りプーリを形成するハーフプーリのペアは、ハーフプーリの間の圧縮偶力を表す力のペアをベルトに及ぼしる。外側ハーフプーリ420a、420bによってベルトに及ぼされる力427a、427bは、(力427a、427bの軸方向成分が互いに向かっているので)ベルトへの圧縮力、および、ベルト430への半径方向内向きの力と、ベルト430への潜在的に接線方向の力を掛けるよう作用する圧縮偶力を形成する。同様に、内側ハーフプーリ410a、410bによってベルトに及ぼされる力417a、417bは、(力417a、417bの軸方向成分が互いに向かっているので)ベルトへの圧縮力、および、ベルト430への半径方向内向きの力と、ベルト430への潜在的に接線方向の力を掛けるよう作用する圧縮偶力を形成する。しかしながら、(例えば、
図2に示したトランスミッション200に関連して)本明細書の別の箇所で述べられているように、ベルトへ半径方向内向きの方向に及ぼされるかかる偶力は、互いの方を向くベルトの接触面へ、互いから離れる向きに及ぼされ、それにより、ベルトへの張力(ならびに、内向きの半径方向の力および任意選択的に接線力)を掛けうる。
【0058】
かかる半径方向「内向きの」力をベルト430に及ぼすために、接触面415a、415b、425a、425bは、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bのそれぞれの回転軸410、403に向かって半径方向内向きに方向付けられた面法線を有する。すなわち、任意の接触面415a、415b、425a、425bの任意の部分の局所的な面法線が、
図4Bの平面内にあり、回転軸401、403に垂直であり、対応する回転軸401、403に向かって内向きに方向付けられた半径方向成分を有する。任意の接触面415a、415b、425a、425bの任意の部分の局所的な面法線の軸方向成分は、ベルト430と接触面との間の非滑り接触を維持するために、ベルトへ圧縮力を掛けるのを容易にするのに適切な方向を有しうる(例えば、第1ハーフプーリ410aの接触面415aの部分に対する面法線の軸方向成分は、
図4Bにおいて「上向き」に方向付けられ、一方、第2ハーフプーリ410bの接触面415bの部分に対する面法線の軸方向成分は、
図4Bにおいて「下向き」に方向付けられる)。したがって、ハーフプーリ410a、410b、420a、420bの接触面415a、415b、425a、425bは、凹状である。
【0059】
図4A~Cに示すように、ベルト430は、「A」字型の断面を有する。したがって、
図4A~Cに示すように、外側割りプーリ420は、(互いに反対を向くベルト430の接触面を介して)ベルト430へ局所的な圧縮力を掛け、内側割りプーリ410も、(互いに反対を向くベルト430の接触面を介して)ベルトへ局所的な圧縮力を掛ける。ただし、ベルトに「内向きの」力を掛けるよう構成されている入れ子状プーリまたは別の方法で重なり合うプーリを有する本明細書に記載のトランスミッションは、「M」字型の断面またはその他の断面形状を有するベルトを用いて実施されてもよい。
【0060】
内向きの力をベルトに及ぼすプーリを有する本明細書に記載のトランミッション(例えば、100c、200、300、400)のベルトは、一方のプーリから別のプーリへ、長い動作寿命の期間にわたって、大きい伝達動力に対して、効率的な低リップルの動力伝達を提供するために、様々な方法で構成されうる。かかるベルトは、トランスミッション内に一緒にスタックされた複数のセグメントを備えてよく、(特定の時点に)セグメントの内の第1サブセットは、第1内側プーリと接触し、セグメントの内の第2サブセットは、第2外側プーリと接触し、セグメントの内の第3サブセットは、どのプーリとも接触しないが、圧縮荷重を介して第1プーリから第2プーリへ動力を伝達する(かかるトランスミッションは、さらに、どのプーリとも接触せず、圧縮的に動力を伝達しないが、単に、駆動されているプーリから駆動プーリへ戻るセグメントの第4サブセットを備える)。プーリの回転軸に垂直な平面におけるセグメントの断面形状は、円形、楕円形、もしくは、セグメントが略純転がり運動で互いに係合することで、伝達効率を高め、ベルトおよび/またはトランスミッションの動作寿命を延長するように規定された何らかのその他の形状であってよい。ベルトへ内向きに力を方向付けるかかるトランスミッションのベルトは、どの部分でも圧縮状態でありうるので、ベルトに沿って静的な張力を維持するためにその他のトランスミッションに存在するバンドパックまたはその他の要素は、削減または完全に省略されてよい。
【0061】
かかるベルトは、衝撃、振動、トランスミッション内の粒子、トランスミッションの要素における欠陥(例えば、プーリにおける欠陥、ベルトセグメントにおける欠陥)、もしくは、セグメントが互いとのおよび/またはトランスミッションのプーリとのアライメントずれを起こすことにつながりうるその他のプロセスまたは要因にもかかわらず、ベルトのセグメントを適切なアライメントに維持するための特徴部を備えてよい。例えば、各セグメントは、隣接するセグメント上の対応する特徴部(例えば、半球形のくぼみ)内に収まるよう構成されている1または複数の半球形または別の形状の突出特徴部を備えてよい。かかる特徴部は、トランスミッションの通常動作中に、純転がり運動(例えば、滑り運動)以外の方法で互いに係合しうる。ただし、セグメントは、アライメント特徴部の互いに対する非純転がり運動がベルトおよび/またはトランスミッションの効率または動作寿命に著しい悪影響を与えないように、ベルトを通した圧縮力の大部分がセグメントの他の側面を介して(例えば、略純転がり運動を介して互いに係合する形状のより大きい表面を介して)伝達されるような形状であってよい。追加的または代替的に、かかるベルトは、トランスミッションの動作時にセグメントが互いに対して転がることを許容しつつセグメントのアライメントを維持するために、ストラップまたはその他の特徴部を備えてもよい。かかるストラップまたはその他の特徴部は、織り構成でセグメントの間/周囲に配置されてよい(例えば、金属、布、または、その他の材料のバンドが「縦糸」として機能し、ベルトの耐荷重セグメントが「横糸」として機能する)。ストラップまたはその他の特徴部は、ベルトを通して動力を伝達する圧縮に対抗するのに十分な大きい静的引張を維持するのではなく、ミスアライメントを起こす小さい力に対抗するよう機能するので、ストラップまたはその他の特徴部は、従来のプッシュタイプベルトの引張バンドパックに比べて、小さく、軽く、低コスト、または、別の点で改善されうる。
【0062】
上述のように、ベルトが力を伝達する方向と垂直な平面におけるセグメントの断面形状は、「A」字型、「M」字型、または、セグメントが滑らずにトランスミッションのプーリと接触するように規定された何らかのその他の形状であってよい。ベルトセグメントの特定の構成は、所望のサイズ、体積、重量、コスト、製造の複雑さ、寿命、材料の組成または仕様、伝達比または制御可能な伝達比の範囲、効率、生成される振動またはノイズ・振動・ハーシュネス、もしくは、ベルトおよび/またはトランスミッションの何らかのその他の望ましい制約を得るように規定されうる。
【0063】
図6は、本明細書に記載のベルト例600(例えば、M字型ベルト、A字型ベルト)の複数のセグメント(セグメント例610を含む)を示す断面図である。断面図の平面は、ベルト600の長さ、および、ベルト600が接触するプーリの回転軸と垂直である。各セグメントは、隣接するセグメントと接触して、隣接するセグメントへおよび隣接するセグメントから力を伝達する接触面(例えば、セグメント610の表面615)を有する。かかる接触面(例えば、615)の形状は、円形、楕円形、または、セグメントが略純転がり運動を介して互いに係合するその他の特定の形状であってよい。したがって、1つのプーリから次のプーリへベルトに沿って伝達される圧縮力の実質的にすべてが、転がり運動を介して互いに係合するかかる接触面を介して伝達されうる(例えば、1つのプーリから次のプーリへベルトに沿って伝達される圧縮力の90%超が、かかる転がり運動接触面を介して伝達されうる)。また、接触面の形状は、速度リップルを最小化し、トランスミッションの一方のプーリまたは他方のプーリとの接触の間で「浮いている」ベルトのセクションを安定化させ、もしくは、何らかのその他の利点を提供するように規定されうる。セグメントの厚さは、ヘルツ接触力を減少させることで荷重および剛性を増大させるために低減されてよい。
【0064】
マルチセグメントベルトを備えた従来のベルト・プーリ型トランスミッションでは、プーリとのセグメントの接触の位置と、隣接するセグメントの間での張力/圧縮力の伝達の位置との間の差が、セグメントに与えられる正味のモーメントにつながりうる。この正味のモーメントは、プーリに対するセグメントの蛇行、効率および最大動力伝達の低下、摩耗の増大、ならびに、装置寿命の短縮につながりうる。しかしながら、本明細書に記載の内向きトランスミッションのベルトのセグメントは、略純転がり運動を介して互いに係合するようにベルトセグメントを制約する特徴部を備えるよう構成された場合に、制約特徴部を通して補償する力を伝達することによって、かかるモーメントを完全または部分的に改善できる。かかるトランスミッションの要素によって生じるこれらの力は、
図7に示されている。
【0065】
図7は、本明細書に記載のベルト例700(例えば、A字型ベルト)の複数のセグメント(セグメント例710を含む)を示す断面図である。断面図の平面は、ベルト700の長さと垂直である。各セグメントは、隣接するセグメントと接触して、隣接するセグメントへおよび隣接するセグメントから力を伝達する接触面を有する。かかる接触面の形状は、円形、楕円形、または、セグメントが略純転がり運動を介して互いに係合しうるようなその他の特定の形状であってよい。ベルトは、さらに、互いに対してセグメントのアライメントを維持し、互いに対して略純転がり運動を行うようにセグメントを制約し、セグメントがトランスミッションのいずれかのプーリとの接触の間で「浮いている」時にベルトのセグメントがベルトから「逸脱」するのを防止するよう構成されている制約特徴部を備える(セグメント周囲/間を通るストラップ、隣接するセグメント上の対応するフィーチャ内に収まるよう構成されている半球形または別の形状のかみ合い突出特徴部、など(図示せず))。ウェッジとトランスミッションのプーリとの間の接触線は、曲線720aによって示され、一方、隣接するウェッジの間の接触線は、曲線720bによって示されている。これらの接触点は、それぞれ、725aおよび725bによって示されている反対向きの力をセグメント例710に及ぼす。互いからオフセットされているので、これらの力は、蛇行させるモーメントをセグメント例710に与えうる。しかしながら、互いに対して略純転がりを行うようにウェッジを制約するよう構成されている制約特徴部(ストラップ、ウェッジの表面上のかみ合い突出特徴部)が、蛇行させるモーメントに対抗するように補償する力を加えて、互いとのおよびプーリとの適切なアライメントにセグメントを維持しうる。セグメントによってセグメント例710にその左右へ向かって加えられるこれらの対抗する力は、それぞれ、727aおよび727bによって示されている。かかる構成は、ベルト設計を大幅に単純化し、所与のトルクに対して40%だけ総駆動ボリュームを低減できる。
【0066】
上述のように、ベルトのセグメントの形状、特に、隣接するベルトセグメントが互いに接触する接触面の形状は、セグメントが略純転がり運動で互いに係合する可能性を高めることによって、ベルトを含むトランスミッションの効率を向上させるよう規定されうる。これは、摩耗およびノイズを低減し、効率およびベルト寿命を向上させ、トランスミッションのトルクおよび/またはエネルギ容量を増大させる。また、ベルトセグメントの形状は、ベルトセグメントが他方のプーリとの接触に向けて一方のプーリとの接触から「浮く」位置でのベルトの安定性を高めることで、いずれかのプーリによって直接的に及ぼされる安定化力がないにもかかわらず、かかる「浮いている」ベルトにわたって大きい荷重が圧縮的に伝達できることを保証するように規定されてよい。
【0067】
図5Aは、ベルト500のセグメント(例えば、セグメント550、551、553)を示している。セグメントの第1サブセット501aはプーリと接触しておらず(または「浮いている」)、第2サブセット503aは第1プーリと接触し、第3サブセット505aは第2プーリと接触している。第2サブセット503aは、第1プーリの第1ピッチ線510aに沿って第1プーリと接触しており、第1ピッチ線510aは、第1プーリとベルト500との相互作用に関する第1プーリの有効直径を規定し、第3サブセット505aは、第2プーリの第2ピッチ線520aに沿って第2プーリと接触しており、第2ピッチ線520aは、第2プーリとベルト500との相互作用に関する第2プーリの有効直径を規定している。トランスミッションの全体の伝達比は、ピッチ線510a、520aの半径の間の比に関連している。
【0068】
力/仕事が、ベルトセグメントの「浮いている」第1サブセット501を介して、第1プーリから第2プーリへ(またはその逆に)伝達される。ベルトセグメントが、(例えば、
図5Aに示すように、円形またはその他の楕円形の断面と共形である接触面を有することによって)略純転がり運動を介して互いに係合するよう構成された場合、これらの力は、直線559aに沿って、セグメントからセグメントへ、すなわち、第1ピッチ円510aから第2ピッチ円520aへ伝達される。各ベルトセグメントは、線559aに沿った点で隣と接触するように隣のセグメントと係合することにより、線559aに沿った力の伝達を容易にするよう構成されている。したがって、例えば、浮いているセグメント501aの第1ベルトセグメント550は、第1接触点555で第1隣接ベルトセグメント551と接触し、第1接触点557で第2隣接ベルトセグメント553と接触している。
【0069】
ベルトの実際の実装では、純転がり運動から或る程度逸脱するので、伝達される力の或る程度の部分は、線559aから若干ずれた位置で、および/または、線559aの方向と完全に平行ではない方向に、セグメント間で伝達されうる。実際、ベルトセグメントは、ベルトセグメントのアライメントを保証するために、半球形の突起/ピット、ラッピングベルトまたはストラップ、もしくは、アライメント特徴部を備えてよく、伝達される力の一部は、(伝達される力がベルトセグメントを適切なアライメントに維持するよう作用するような方向および位置で)かかるアライメント特徴部を介して伝達されてよい。
【0070】
プーリの有効直径は、トランスミッションの伝達比を調整することにより、第1および第2プーリと接触しているセグメントならびにプーリと接触していない「浮いている」セグメントの数および位置を調整するために変更されてよい。
図5Bは、トランスミッションが1.36:1のトルク比を有するよう設定された場合のベルト500の構成を示している。それぞれ第1および第2プーリの回転軸515b、515bと、この構成におけるそれぞれのピッチ線510b、520bの位置が、
図5Bに示されている。また、
図5Bには、圧縮力が第1プーリから第2プーリへ(またはその逆へ)伝達される線559bの位置も示されている。
図5Cは、トランスミッションが0.96:1のトルク比を有するよう設定された場合のベルト500の構成を示している。それぞれ第1および第2プーリの回転軸515c、515cと、この構成におけるそれぞれのピッチ線510c、520cの位置が、
図5Cに示されている。また、
図5Cには、圧縮力が第1プーリから第2プーリへ(またはその逆へ)伝達される線559cの位置も示されている。
【0071】
III.実験結果
圧縮プッシュタイプベルトへ「内向きに」力を掛ける「半径方向反転」プーリを有する本明細書に記載のトランスミッションについて、かかるトランスミッションの利点を実証するために、様々な条件および構成で実験的に評価した。特に、回転軸が「固定」されている2つのプーリを有するトランスミッション(例えば、
図4A~Cに示したトランスミッション400と同様のもの)を製造して評価した。この評価の結果が、このセクションに記載されている。
【0072】
製造したトランスミッションは、金属プーリおよびプラスチックベルトを有し、潤滑なしで1.2:1の伝達比で評価された。このトランスミッションは、5~10ニュートンメートルの印加入力トルクで拘束(binding)も詰まり(jamming)もなしに静かに予め形成され、90%を超える効率を示した。ノイズ・振動・ハーシュネスが、~20ニュートンメートルより高い印加トルクで増大した。トランスミッションの性能は30~210RPMで評価され、その範囲では3%未満の効率損失が観察された。ピーク動力トランスミッションは、合計78ワットの出力に対して、210RPMおよび22ニュートンメートルの入力で観察された。
【0073】
トランスミッションは、1:1の伝達比および7mmのプーリの軸間分離(「小オフセット」)で、スチールベルトでも評価された。プーリによってスチールベルトに印加されるクランプ力の効果について、効率への効果と、滑りにつながる入力トルクのレベルへの効果とを評価した。
図8Aは、かかるテストの結果として、様々な異なるプーリクランプ力の値(800、1200、2000、および、3000ニュートン)について出力トルクの関数として、効率およびトランスミッションの滑りの起こらない最大トルクを示している。図に示すように、滑りの起こらない最大トルクは、プーリクランプ力におおよそ線形比例する。
図8Bは、これらの同じ結果を示しているが、出力トルクの関数が、印加されたクランプ力に対して正規化されている。
図8Bに示すように、効率に対するおよび滑りの起こらない正規化最大トルクに対するクランプ力の効果は、1000ニュートンを超えるクランプ力ではおおよそ同じだった。
【0074】
図8Cおよび
図8Dは、アンダードライブ(伝達比1.1:1、
図8C)およびオーバードライブ(伝達比0.9:1、
図8D)の条件下で、プラスチックベルトおよびスチールベルトの両方について、効率およびトランスミッションの滑りを起こさない最大トルクを比較している。これらの結果は、プラスチックベルトの低い剛性が、(例えば、
図8Dに示すオーバードライブ条件中)ベルトとプーリとの間の接触面積が減少した時に、低い性能をもたらしうることを示している。また、これらの結果は、ベルトウェッジがプーリ表面に「張り付く」ことに関連した効率損失を、スチールベルトの剛性が悪化させうることも示している。
【0075】
トランスミッション効率および滑りを起こさない最大トルクに対する伝達比の影響についても、24ミリメートルの分離(「大オフセット」)でのプーリ軸で、スチールベルトトランスミッションに対して調べた。これらの結果を、1.1:1、1:1、および、0.9:1の伝達比について
図8Eに示している。
図8Eに示すように、効率およびトルク容量は、アンダードライブ(1.1:1)で若干高く、オーバードライブ(0.9:1)で若干低かった。ただし、これらの差は、スチールベルトでは小さかった。
【0076】
トランスミッション効率および滑りを起こさない最大トルクに対するプーリ軸オフセットおよびクランプ力の影響についても、スチールベルトトランスミッションに対して調べた。これらの結果は、
図8Fに示されている。図に示すように、より大きいプーリ軸オフセット(「大オフセット」、24ミリメートル)では、クランプ力に対して正規化された出力トルクの関数として、より小さいプーリ軸オフセット(「小オフセット」、7ミリメートル)よりも効率が低いが、滑りを起こさない最大トルクについては同等の値を示した。クランプ力の効果は、約1000ニュートンより上では最小であった。
【0077】
IV. 結び
図に示した特定の配置は、限定と見なすべきではない。別の実施形態が、所与の図に示した各要素を多くまたは少なく備えてもよいことを理解されたい。さらに、図示した要素の一部は、組み合わせられてもよいし、省略されてもよい。さらにまた、一実施形態例が、図示されていない要素を備えてもよい。
【0078】
さらに、様々な態様および実施形態を本明細書で開示したが、別の態様および実施形態が当業者にとっては明らかである。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものであり、限定の意図はなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書に提示された主題の精神または範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、その他の変更がなされてもよい。本明細書に概略的に記載され、図に示されている本開示の態様は、幅広い異なる構成で、配置、置換、組みあわせ、分離、および、設計されてよく、それらのすべてが、本明細書内で想定されていることが容易に理解される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を有し、前記第2ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を有し、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリと、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第3接触面を有し、前記第4ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第4接触面を有し、前記第2プーリは、前記第1
割りプーリ内に入れ子状であり、
ベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触すると共に、前記第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触しており、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項3】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項4】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【請求項5】
請求項4に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えない、トランスミッション。
【請求項6】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
【請求項7】
請求項6に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項8】
請求項7に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
【請求項9】
請求項1に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
【請求項10】
請求項9に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項11】
請求項1に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
【請求項12】
請求項1に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1割りプーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
【請求項13】
請求項12に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項14】
トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリであって、前記第1割りプーリ内に入れ子状になっている第2割りプーリと、
ベルトと、を備え前記ベルトは、前記第1割りプーリおよび前記第2割りプーリと接触しており、前記第1および第2ハーフプーリの間の偶力が、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第3および第4ハーフプーリの間の偶力が、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
【請求項15】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項16】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項17】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【請求項18】
請求項17に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えていない、トランスミッション。
【請求項19】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
【請求項20】
請求項19に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の95%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項21】
請求項20に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
【請求項22】
請求項14に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
【請求項23】
請求項22に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
【請求項24】
請求項14に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
【請求項25】
請求項14に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1
割りプーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
【請求項26】
請求項25に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項27】
制御可能な伝達比を有するトランスミッションであって、
第1軸を規定する第1プーリと、前記第1プーリは、前記第1プーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合されている第1および第2ハーフプーリを備えた割りプーリであり、
第2軸を規定する第2プーリと、前記第2プーリは、前記第1プーリ内に入れ子状になっており、前記第2プーリは、前記第2軸を中心に回転可能である第3および第4ハーフプーリを備え、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成され、
ベルトと、前記ベルトは、前記第1、第2、第3、および、第4ハーフプーリと接触しており、前記第2プーリに印加されたトルクにより、前記第2プーリから前記第1プーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1プーリにおいてトルクが実現され、
入力部材と、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こすように前記第2プーリに結合されて、
出力部材、前記出力部材は、前記第2プーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2プーリに結合され、
中心ギアと、を備え、前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2プーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
【請求項28】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記第1プーリは、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2プーリは、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼす、トランスミッション。
【請求項29】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を介して力を前記ベルトに及ぼし、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を介して力を掛ける、トランスミッション。
【請求項30】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1プーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2プーリと接触している、トランスミッション。
【請求項31】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備え、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2プーリから前記第1プーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
【請求項32】
請求項27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
さらに、入力部材210と内側プーリ230との間および/または出力部材270と内側プーリ230との間の結合(すなわち、内側プーリ230内の歯付き接触面235と接触するギア275を用いた結合)は、変更されてもよい。例えば、出力部材270は、オフセットシャフト結合、サイクロイドトランスミッション、または、何らかの他の型の結合を用いて、内側プーリ230へ回転可能に結合されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
内側割りプーリ410のハーフプーリ410a、410bの間の軸方向分離、および、
外側割りプーリ420のハーフプーリ420a、420bの間の軸方向分離は、トランスミッションの伝達比を制御するために調整されうる。これは、ベルト430が内側割りプーリ410および外側割りプーリ420と接触する内側割りプーリ410および外側割りプーリ420に沿った位置が変化することで、ベルト430との相互作用に関して内側割りプーリ410および外側割りプーリ420の有効直径を調整するように、内側割りプーリ410および外側割りプーリ420の軸方向分離を調整することによって達成されうる。例えば、
図4Bは、軸方向分離が減速比またはアンダードライブ比をもたらすために調整された時のトランスミッション400を示している。内側ハーフプーリ410a、410bの間の分離が小さくなっていることで、ベルト430が第1軸401のより近くで内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bに接触することを可能にして、内側割りプーリ410の有効直径の減少につながっており、対称的に、外側ハーフプーリ420a、420bの間の分離が大きくなっていることで、ベルト430が第2軸403からより遠くで外側ハーフプーリ420a、420bの接触面425a、425bに接触することを可能にして、外側割りプーリ420の有効直径の増大につながっている。別の例において、
図4Cは、軸方向分離がオーバードライブ比をもたらすために調整された時のトランスミッション400を示している。内側ハーフプーリ410a、410bの間の分離が大きくなっていることで、ベルト430が第1軸401からより遠くで内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bに接触することを可能にして、内側割りプーリ410の有効直径の増大につながっており、対称的に、外側ハーフプーリ420a、420bの間の分離が小さくなっていることで、ベルト430が第2軸403のより近くで外側ハーフプーリ420a、420bの接触面425a、425bに接触することを可能にして、外側割りプーリ420の有効直径の減少につながっている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
図4Bは、トランスミッション400のプーリによってベルト430に及ぼされている力を詳細に示している。特に、外側ハーフプーリの接触面425a、425bは、それぞれの力427a、427bをベルト430に及ぼし、内側ハーフプーリ410a、410bの接触面415a、415bは、それぞれの力417a、417bをベルト430に及ぼしている。力417a、417b、427a、427bは、
図4Bの平面の中へ/から外を向く成分(図示せず)を有してよく、かかる成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「接線」成分であることに注意されたい。それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの回転軸
401、403と平行な力417a、417b、427a、427bの成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「軸方向」成分である。
図4Bの平面内でそれぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの回転軸
401、403と垂直な力417a、417b、427a、427bの成分は、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bの円筒形状に対する「半径方向」成分である。したがって、ハーフプーリ410a、410b、420a、420bによって掛けられる力はすべて、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bのそれぞれの回転軸
401、403に向かって内向きに方向付けられた半径方向成分を有する点で、半径方向「内向きに」方向付けられている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
かかる半径方向「内向きの」力をベルト430に及ぼすために、接触面415a、415b、425a、425bは、それぞれのハーフプーリ410a、410b、420a、420bのそれぞれの回転軸
401、403に向かって半径方向内向きに方向付けられた面法線を有する。すなわち、任意の接触面415a、415b、425a、425bの任意の部分の局所的な面法線が、
図4Bの平面内にあり、回転軸401、403に垂直であり、対応する回転軸401、403に向かって内向きに方向付けられた半径方向成分を有する。任意の接触面415a、415b、425a、425bの任意の部分の局所的な面法線の軸方向成分は、ベルト430と接触面との間の非滑り接触を維持するために、ベルトへ圧縮力を掛けるのを容易にするのに適切な方向を有しうる(例えば、第1ハーフプーリ410aの接触面415aの部分に対する面法線の軸方向成分は、
図4Bにおいて「上向き」に方向付けられ、一方、第2ハーフプーリ410bの接触面415bの部分に対する面法線の軸方向成分は、
図4Bにおいて「下向き」に方向付けられる)。したがって、ハーフプーリ410a、410b、420a、420bの接触面415a、415b、425a、425bは、凹状である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
力/仕事が、ベルトセグメントの「浮いている」第1サブセット501を介して、第1プーリから第2プーリへ(またはその逆に)伝達される。ベルトセグメントが、(例えば、
図5Aに示すように、円形またはその他の楕円形の断面と共形である接触面を有することによって)略純転がり運動を介して互いに係合するよう構成された場合、これらの力は、直線559aに沿って、セグメントからセグメントへ、すなわち、第1ピッチ円510aから第2ピッチ円520aへ伝達される。各ベルトセグメントは、線559aに沿った点で隣と接触するように隣のセグメントと係合することにより、線559aに沿った力の伝達を容易にするよう構成されている。したがって、例えば、浮いているセグメント501aの第1ベルトセグメント550は、第1接触点555で第1隣接ベルトセグメント551と接触し、第
2接触点557で第2隣接ベルトセグメント553と接触している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
プーリの有効直径は、トランスミッションの伝達比を調整することにより、第1および第2プーリと接触しているセグメントならびにプーリと接触していない「浮いている」セグメントの数および位置を調整するために変更されてよい。
図5Bは、トランスミッションが1.36:1のトルク比を有するよう設定された場合のベルト500の構成を示している。それぞれ第1および第2プーリの回転軸515b、5
25bと、この構成におけるそれぞれのピッチ線510b、520bの位置が、
図5Bに示されている。また、
図5Bには、圧縮力が第1プーリから第2プーリへ(またはその逆へ)伝達される線559bの位置も示されている。
図5Cは、トランスミッションが0.96:1のトルク比を有するよう設定された場合のベルト500の構成を示している。それぞれ第1および第2プーリの回転軸515c、5
25cと、この構成におけるそれぞれのピッチ線510c、520cの位置が、
図5Cに示されている。また、
図5Cには、圧縮力が第1プーリから第2プーリへ(またはその逆へ)伝達される線559cの位置も示されている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
さらに、様々な態様および実施形態を本明細書で開示したが、別の態様および実施形態が当業者にとっては明らかである。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものであり、限定の意図はなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書に提示された主題の精神または範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、その他の変更がなされてもよい。本明細書に概略的に記載され、図に示されている本開示の態様は、幅広い異なる構成で、配置、置換、組みあわせ、分離、および、設計されてよく、それらのすべてが、本明細書内で想定されていることが容易に理解される。
[適用例1]トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を有し、前記第2ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を有し、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリと、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第3接触面を有し、前記第4ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第4接触面を有し、前記第2プーリは、前記第1プーリ内に入れ子状であり、
ベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触すると共に、前記第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触しており、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
[適用例2]適用例1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例3]適用例1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例4]適用例1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
[適用例5]適用例4に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えない、トランスミッション。
[適用例6]適用例1に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
[適用例7]適用例6に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
[適用例8]適用例7に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
[適用例9]適用例1に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
[適用例10]適用例9に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例11]適用例1に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
[適用例12]適用例1に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1割りプーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
[適用例13]適用例12に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
[適用例14]トランスミッションであって、
第1軸を規定し、第1および第2ハーフプーリを備えた第1割りプーリと、
第2軸を規定し、第3および第4ハーフプーリを備えた第2割りプーリであって、前記第1割りプーリ内に入れ子状になっている第2割りプーリと、
ベルトと、を備え前記ベルトは、前記第1割りプーリおよび前記第2割りプーリと接触しており、前記第1および第2ハーフプーリの間の偶力が、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第3および第4ハーフプーリの間の偶力が、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2割りプーリに印加されたトルクにより、前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1割りプーリにおいてトルクが実現される、トランスミッション。
[適用例15]適用例14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例16]適用例14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1割りプーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例17]適用例14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
[適用例18]適用例17に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、張力を受けている縦バンドを備えていない、トランスミッション。
[適用例19]適用例14に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備える、トランスミッション。
[適用例20]適用例19に記載のトランスミッションであって、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2割りプーリから前記第1割りプーリへ伝達される前記圧縮力の95%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
[適用例21]適用例20に記載のトランスミッションであって、前記ベルトセグメントの前記接触面は、楕円円筒の一部と共形である形状を有する、トランスミッション。
[適用例22]適用例14に記載のトランスミッションであって、さらに、機械的グラウンドを備え、前記第1軸および第2軸の位置は、前記機械的グラウンドに対して固定されており、前記第1割りプーリは、前記第1軸を中心に回転可能であり、前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能である、トランスミッション。
[適用例23]適用例22に記載のトランスミッションであって、さらに、入力部材を備え、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第2割りプーリの回転を引き起こすように前記第2割りプーリに結合されており、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2割りプーリと接触している、トランスミッション。
[適用例24]適用例14に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されている、トランスミッション。
[適用例25]適用例14に記載のトランスミッションであって、さらに、
入力部材と、
出力部材と、
を備え、
前記第2割りプーリは、前記第2軸を中心に回転可能であり、前記第1プーリは、前記第1割りプーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合され、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こし、前記出力部材は、前記第2割りプーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2割りプーリに結合されている、トランスミッション。
[適用例26]適用例25に記載のトランスミッションであって、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成されており、
前記トランスミッションは、さらに、中心ギアを備え、
前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2割りプーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
[適用例27]制御可能な伝達比を有するトランスミッションであって、
第1軸を規定する第1プーリと、前記第1プーリは、前記第1プーリが前記第1軸を中心に回転することを防止されるように機械的グラウンドに結合されている第1および第2ハーフプーリを備えた割りプーリであり、
第2軸を規定する第2プーリと、前記第2プーリは、前記第1プーリ内に入れ子状になっており、前記第2プーリは、前記第2軸を中心に回転可能である第3および第4ハーフプーリを備え、前記トランスミッションは、前記第1および第2ハーフプーリの間の分離と前記第3および第4ハーフプーリの間の分離とを調整することによって、前記トランスミッションの伝達比を制御するよう構成され、
ベルトと、前記ベルトは、前記第1、第2、第3、および、第4ハーフプーリと接触しており、前記第2プーリに印加されたトルクにより、前記第2プーリから前記第1プーリへ前記ベルトに沿って伝達される圧縮力を介して前記第1プーリにおいてトルクが実現され、
入力部材と、前記入力部材は、前記入力部材の回転が前記第1軸を中心とした前記第2軸の運動を引き起こすように前記第2プーリに結合されて、
出力部材、前記出力部材は、前記第2プーリの回転が前記出力部材の回転を引き起こし、さらに、前記入力部材におけるトルクにより前記出力部材におけるトルクが実現されるように、前記第2プーリに結合され、
中心ギアと、を備え、前記中心ギアは、前記中心ギアの回転が前記出力部材の回転を引き起こすように前記出力部材に結合され、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第2プーリの回転が前記中心ギアの回転を引き起こすように前記中心ギアとギア接触する歯を有するそれぞれの第1および第2リングギアを備え、前記第3および第4ハーフプーリは、前記第3および第4ハーフプーリの間の前記分離を調整することが前記中心ギアに向かうまたは前記中心ギアから離れる前記第3および第4ハーフプーリの対称運動を引き起こすように前記中心ギアに対して対称的に配置されている、トランスミッション。
[適用例28]適用例27に記載のトランスミッションであって、前記第1プーリは、前記第1軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼし、前記第2プーリは、前記第2軸に向かって半径方向内向きに方向付けられた力を前記ベルトに及ぼす、トランスミッション。
[適用例29]適用例27に記載のトランスミッションであって、前記第1ハーフプーリは、前記第1軸に対して放射対称である凹状の第1接触面を介して力を前記ベルトに及ぼし、前記第3ハーフプーリは、前記第2軸に対して放射対称である凹状の第2接触面を介して力を掛ける、トランスミッション。
[適用例30]適用例27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、互いの方を向く前記ベルトの第1および第2接触面を介して前記第1プーリと接触し、前記ベルトは、互いに反対を向く前記ベルトの第3および第4接触面を介して前記第2プーリと接触している、トランスミッション。
[適用例31]適用例27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、複数のベルトセグメントを備え、前記ベルトの各ベルトセグメントは、前記ベルトセグメントが前記接触面に沿った転がり運動を介して互いに係合する形状の接触面を介して前記ベルトの隣接するセグメントと係合し、前記ベルトに沿って前記第2プーリから前記第1プーリへ伝達される前記圧縮力の90%超が、前記ベルトセグメントの前記接触面を介して伝達される、トランスミッション。
[適用例32]適用例27に記載のトランスミッションであって、前記ベルトは、前記ベルトの長さに沿ったすべての位置で前記ベルトの長さに沿った正味の圧縮力を受ける、トランスミッション。
【国際調査報告】