(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ヒスチジン選択的ポリマー試薬
(51)【国際特許分類】
C08G 65/333 20060101AFI20240628BHJP
C08G 65/08 20060101ALI20240628BHJP
C08F 26/10 20060101ALI20240628BHJP
C08F 16/06 20060101ALI20240628BHJP
C08G 73/00 20060101ALI20240628BHJP
C08F 22/04 20060101ALI20240628BHJP
C08G 79/02 20160101ALI20240628BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240628BHJP
【FI】
C08G65/333
C08G65/08
C08F26/10
C08F16/06
C08G73/00
C08F22/04
C08G79/02
C08F20/00
A61K47/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577647
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022034085
(87)【国際公開番号】W WO2022266498
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597148884
【氏名又は名称】ネクター セラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コズロウスキ, アントニ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド, ニール ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シェン, シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャオビン
【テーマコード(参考)】
4C076
4J005
4J030
4J043
4J100
【Fターム(参考)】
4C076BB11
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF63
4J005AA02
4J005AA04
4J005BC00
4J005BD04
4J005BD05
4J030CB31
4J030CB43
4J043RA02
4J100AJ02P
4J100AM15P
4J100AM21P
4J100BA02P
4J100BA03P
(57)【要約】
本開示は、(とりわけ)、たとえばペプチド又はタンパク質中のヒスチジン残基に対する選択的コンジュゲーションが可能な新規な水溶性ポリマー試薬、並びに得られたコンジュゲート及び関連組成物を提供する。加えて、ポリマー試薬の調製方法、並びにポリマー試薬を活性薬剤及び他の物質にコンジュゲートするための方法、医薬組成物、並びにコンジュゲートを投与するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのポリマー試薬:
【化83】
(式中:
POLYは、水溶性ポリマーであり;
Xは、リンカー部分であり;
R
1は、有機基であり、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;
R
2は、存在する場合、R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し;
Yは、O及びSから選択され;
Zは、脱離基である)。
【請求項2】
R
1が、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換ヘテロアルキル、置換及び非置換シクロヘテロアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換ヘテロアリール、並びに置換及び非置換ヘテロアラルキルから選択される有機基である、請求項1に記載のポリマー試薬。
【請求項3】
R
1が、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル(それぞれ、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている)から選択される有機基である、請求項1に記載のポリマー試薬。
【請求項4】
R
1が、低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、ベンジル、ハロ置換ベンジル及びニトロ置換ベンジルからなる群から選択され、前記ベンジル環が1~5つのハロ置換基を有する、請求項3に記載のポリマー試薬。
【請求項5】
前記ハロ置換基がフルオロである、請求項3又は4に記載のポリマー試薬。
【請求項6】
R
2が存在しない、請求項1に記載のポリマー試薬。
【請求項7】
R
2が存在する、請求項1に記載のポリマー試薬。
【請求項8】
R
2が、R
1と一緒になって4、5、6又は7つの複素環環原子を含む窒素含有複素環を形成する、請求項1又は請求項7に記載のポリマー試薬。
【請求項9】
前記窒素含有複素環が1~3つの窒素原子を含む、請求項8に記載のポリマー試薬。
【請求項10】
R
2が、R
1と一緒になって、アゼチジン、置換アゼチジン、ジアゼチジン、置換ジアゼチジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾリジン、置換イミダゾリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、モルホリン、置換モルホリン、ジアジナン、置換ジアジナン、トリアジナン、置換トリアジナン、アゼパン、置換アゼパン、ジアゼパン及び置換ジアゼパンからなる群から選択される窒素含有複素環を形成する、請求項1又は請求項7に記載のポリマー試薬。
【請求項11】
R
2が、R
1と一緒になってピペリジン又は置換ピペリジンを形成する、請求項7、8、9及び10のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項12】
R
1と一緒になったR
2が、ジアジナン又は置換ジアジナンを形成する、請求項7、8、9及び10のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項13】
前記ジアジナン又は置換ジアジナンが、それぞれピペラジン又は置換ピペラジンである、請求項12に記載のポリマー試薬。
【請求項14】
前記窒素含有複素環が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている、請求項7~13のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項15】
R
1と一緒になったR
2が、(i)非置換又は(ii)1つ若しくはそれ以上の環位置において低級アルキル、置換低級アルキル、アラルキル、若しくは置換アラルキルで置換された窒素含有複素環を形成する、請求項7~14のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項16】
R
1と一緒になったR
2が、1つ又はそれ以上の環位置において低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、アラルキル、又はハロ置換アラルキルで置換された窒素含有複素環を形成する、請求項15に記載のポリマー試薬。
【請求項17】
前記窒素含有複素環が一又は二置換されている、請求項7~16のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項18】
Xが存在しない、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項19】
Xが存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項20】
Xが、-O-、-S-、-NH-、-C(O)-、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、-O-C(O)-NH-、-C(S)-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-CH
2C(O)-O-CH
2-、-C(O)-O-CH
2-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2CH
2、-O-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-NH-CH
2-、-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-CH
2-、C(O)CH
2-、-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-(CH
2)
0-6-(OCH
2CH
2)
0-2-,C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-NH-C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-O-C(O)-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-CH
2-、及び前述したものの任意の1つ又はそれ以上の組み合わせから選択される、請求項19に記載のポリマー試薬。
【請求項21】
Xが、~(CH
2)
a(O)
b[C(O)]
c(NH)
d(CH
2)
e~であり、式中:aは0~6であり;bは0,1であり;cは0,1であり;dは0,1であり;eは0~6であり、a、b、c、d及びeの少なくとも1つは正の整数である、請求項19に記載のポリマー試薬。
【請求項22】
Xが、-O-C(O)-、-O-C(O)-NH-、及び-O-C(O)-NH-CH
2-から選択される、請求項20に記載のポリマー試薬。
【請求項23】
YがOである、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項24】
YがSである、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項25】
POLYが、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メチルアクリルアミド、ジビニル(divyinyl)エーテル-無水マレイン酸、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、並びにそれらのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される水溶性ポリマーである、請求項1~24のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項26】
POLYがポリ(アルキレンオキシド)である、請求項25に記載のポリマー試薬。
【請求項27】
POLYがポリ(エチレングリコール)である、請求項26に記載のポリマー試薬。
【請求項28】
前記ポリ(エチレングリコール)が、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルキノキシ、アリールオキシ及び置換アリールオキシからなる群から選択されるエンドキャッピング部分で末端がキャップされている、請求項27に記載のポリマー試薬。
【請求項29】
前記ポリ(エチレングリコール)がメトキシでエンドキャップされている、請求項28に記載のポリマー試薬。
【請求項30】
POLYが、直鎖、分岐、又は多アーム状の水溶性ポリマーである、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項31】
POLYが、約100ダルトン~約100,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項32】
POLYが、約200ダルトン~約80,000ダルトン、又は約500ダルトン~約70,000ダルトン、又は約1,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約30,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項31に記載のポリマー試薬。
【請求項33】
POLYが、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、7500ダルトン、10,000ダルトン、15,000ダルトン、20,000ダルトン、25,000ダルトン、30,000ダルトン、40,000ダルトン、50,000ダルトン、55,000ダルトン、及び60,000ダルトンからなる群から選択される重量平均分子量を有する、請求項31に記載のポリマー試薬。
【請求項34】
Zが、テトラゾール、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、アシルアジド、フルオロフェノール、ベンゾトリアゾール、ニトロフェノール、及びトリアゾールからなる群から選択される、請求項1~33のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項35】
Zがテトラゾール脱離基である、請求項34に記載のポリマー試薬。
【請求項36】
Zがフェニルテトラゾールである、請求項35に記載のポリマー試薬。
【請求項37】
Zが、構造:
【化84】
(式中、g、h、i、j及びkは、それぞれ独立して0又は1であり(ここで0は非存在を示し、1は存在を示す)、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から選択される)を有するフェニルテトラゾールである、請求項36に記載のポリマー試薬。
【請求項38】
前記フェニルテトラゾールが、フェニル環上に単一の置換基を有する、請求項37に記載のポリマー試薬。
【請求項39】
前記単一の置換基が、前記フェニル環の炭素2にある、請求項38に記載のポリマー試薬。
【請求項40】
前記単一の置換基が、前記フェニル環の炭素3にある、請求項38に記載のポリマー試薬。
【請求項41】
前記単一の置換基が、前記フェニル環の炭素4にある、請求項38に記載のポリマー試薬。
【請求項42】
前記フェニルテトラゾールが、前記フェニル環上に2つの置換基を有する、請求項37に記載のポリマー試薬。
【請求項43】
前記2つのフェニル置換基がC2及びC3にある、請求項42に記載のポリマー試薬。
【請求項44】
前記2つのフェニル置換基がC2及びC4にある、請求項42に記載のポリマー試薬。
【請求項45】
前記2つのフェニル置換基がC3及びC5にある、請求項42に記載のポリマー試薬。
【請求項46】
前記2つのフェニル置換基がC3及びC4にある、請求項42に記載のポリマー試薬。
【請求項47】
前記2つのフェニル置換基がC2及びC6にある、請求項42に記載のポリマー試薬。
【請求項48】
前記フェニルテトラゾールが、前記フェニル環上に3つの置換基を有する、請求項37に記載のポリマー試薬。
【請求項49】
前記3つのフェニル置換基がC2、C3及びC4にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項50】
前記3つのフェニル置換基がC2、C3、及びC5にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項51】
前記3つのフェニル置換基がC2、C3及びC6にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項52】
前記3つのフェニル置換基がC2、C4、及びC6にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項53】
前記3つのフェニル置換基がC3、C4、及びC5にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項54】
前記3つのフェニル置換基がC3、C4、及びC6にある、請求項48に記載のポリマー試薬。
【請求項55】
前記フェニルテトラゾールが、前記フェニル環上に4つの置換基を有する、請求項37に記載のポリマー試薬。
【請求項56】
前記4つのフェニル置換基がC2、C3、C4、及びC5にある、請求項55に記載のポリマー試薬。
【請求項57】
前記4つのフェニル置換基がC2、C3、C5、及びC6にある、請求項55に記載のポリマー試薬。
【請求項58】
前記4つのフェニル置換基がC2、C3、C4、及びC6にある、請求項55に記載のポリマー試薬。
【請求項59】
前記フェニルテトラゾールが、前記フェニル環上に5つの置換基を有する、請求項37に記載のポリマー試薬。
【請求項60】
前記フェニル環上の前記置換基が同じである、請求項42~59のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項61】
前記フェニル環上の前記置換基の1つ又はそれ以上が異なる、請求項43~60のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項62】
前記1つ又はそれ以上の置換基がトリフルオロメチルである、請求項36~61のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項63】
【化85】
【化86】
(式中、各(n)は:約2~約2,273;約4~約1800;約11-1590;約23~約1363;約113~約568;約113~約682;約113~約1136;約227~約1363;約227~約1136;約454~約1136;約454~約909;及び約454~約1818からなる群から選択される範囲内であり;LGは脱離基である)からなる群から選択される、請求項1、32及び33のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項64】
【化87】
【化88】
【化89】
(式中、各(n)は、独立して:約2~約2,273;約4~約1800;約11~1590;約23~約1363;約113~約568;約113~約682;約113~約1136;約227~約1363;約227~約1136;約454~約1136;約454~約909;及び約454~約1818からなる群から選択される範囲内である)からなる群から選択される、請求項1、32及び33のいずれか一項に記載のポリマー試薬。
【請求項65】
請求項1~64のいずれか一項に記載のポリマー試薬を、活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基と前記ポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進する条件下で、前記1つ又はそれ以上のアミノ基を含む前記活性薬剤と反応させることによって調製されるコンジュゲート。
【請求項66】
前記活性薬剤が、タンパク質、ペプチド及び小分子から選択される、請求項65に記載のコンジュゲート。
【請求項67】
前記活性薬剤が、アミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含み、前記1つ又はそれ以上のヒスチジンアミノ基が、前記ポリマー試薬の~C(Y)~炭素に共有結合している、請求項65又は請求項66に記載のコンジュゲート。
【請求項68】
式:
【化90】
(式中:
POLYは、水溶性ポリマーであり;
Xは、リンカー部分であり;
R
1は、有機基であり、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;
R
2は、存在する場合、R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し;
Yは、O及びSから選択され;
R’は、H又は有機基であり;
A-N-R’は、アミノ基を含む活性薬剤である)を有するコンジュゲート。
【請求項69】
式:
【化91】
(式中、
【化92】
は、ヒスチジン残基を含む活性薬剤である)を有する、請求項68に記載のコンジュゲート。
【請求項70】
前記活性薬剤が、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質である、請求項69に記載のコンジュゲート。
【請求項71】
R
1が、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換ヘテロアルキル、置換及び非置換シクロヘテロアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換ヘテロアリール、並びに置換及び非置換ヘテロアラルキルから選択される有機基である、請求項68~70のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項72】
R
1が、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル(それぞれ、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからからなる群から独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている)から選択される有機基である、請求項68~70のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項73】
R
1が、低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、ベンジル、ハロ置換ベンジル及びニトロ置換ベンジルからなる群から選択され、前記ベンジル環が1~5つのハロ置換基を有する、請求項72に記載のコンジュゲート。
【請求項74】
前記ハロ置換基がフルオロである、請求項72又は73に記載のコンジュゲート。
【請求項75】
R
2が存在しない、請求項68に記載のコンジュゲート。
【請求項76】
R
2が存在する、請求項68に記載のコンジュゲート。
【請求項77】
R
2が、R
1と一緒になって、4、5、6又は7つの複素環環原子を含む窒素含有複素環を形成する、請求項68又は76に記載のコンジュゲート。
【請求項78】
前記窒素含有複素環が1~3つの窒素原子を含む、請求項77に記載のコンジュゲート。
【請求項79】
R
2が、R
1と一緒になって、アゼチジン、置換アゼチジン、ジアゼチジン、置換ジアゼチジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾリジン、置換イミダゾリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、ジアジナン、置換ジアジナン、トリアジナン、置換トリアジナン、アゼパン、置換アゼパン、ジアゼパン及び置換ジアゼパンからなる群から選択される窒素含有複素環を形成する、請求項68又は76に記載のコンジュゲート。
【請求項80】
R
2が、R
1と一緒になってピペリジン又は置換ピペリジンを形成する、請求項76~79のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項81】
R
1と一緒になったR
2が、ジアジナン又は置換ジアジナンを形成する、請求項76~79のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項82】
前記ジアジナン又は置換ジアジナンが、それぞれピペラジン又は置換ピペラジンである、請求項81に記載のコンジュゲート。
【請求項83】
前記窒素含有複素環が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている、請求項76~82のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項84】
R
1と一緒になったR
2が、(i)非置換又は(ii)1つ若しくはそれ以上の環位置において低級アルキル、置換低級アルキル、アラルキル、若しくは置換アラルキルで置換された窒素含有複素環を形成する、請求項76~83のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項85】
R
1と一緒になったR
2が、1つ又はそれ以上の環位置において低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、アラルキル、又はハロ置換アラルキルで置換された窒素含有複素環を形成する、請求項84に記載のコンジュゲート。
【請求項86】
前記窒素含有複素環が一又は二置換されている、請求項76~85のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項87】
Xが存在しない、請求項76~85のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項88】
Xが存在する、請求項76~83のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項89】
Xが、-O-、-S-、-NH-、-C(O)-、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、-O-C(O)-NH-、-C(S)-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-O-CH
2-、-C(O)-O-CH
2-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-NH-CH
2-、-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-CH
2-、C(O)CH
2-、-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-(CH
2)
0-6-(OCH
2CH
2)
0-2-,C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-NH-C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-O-C(O)-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-CH
2-、及び前述したものの任意の1つ又はそれ以上の組み合わせから選択される、請求項87に記載のコンジュゲート。
【請求項90】
Xが~(CH
2)
a(O)
b[C(O)]
c(NH)
d(CH
2)
e~であり、式中:aは0~6であり;bは0,1であり;cは0,1であり;dは0,1であり;eは0~6であり、a、b、c、d及びeの少なくとも1つは正の整数である、請求項88に記載のコンジュゲート。
【請求項91】
Xが、-O-C(O)-、-O-C(O)-NH-、及び-O-C(O)-NH-CH
2から選択される、請求項89に記載のコンジュゲート。
【請求項92】
YがOである、請求項68~91のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項93】
YがSである、請求項68~91のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項94】
POLYが、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、並びにそれらのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される水溶性ポリマーである、請求項68~93のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項95】
POLYがポリ(アルキレンオキシド)である、請求項94に記載のコンジュゲート。
【請求項96】
POLYがポリ(エチレングリコール)である、請求項95に記載のコンジュゲート。
【請求項97】
前記ポリ(エチレングリコール)が、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルキノキシ、アリールオキシ及び置換アリールオキシからなる群から選択されるエンドキャッピング部分で末端がキャップされている、請求項96に記載のコンジュゲート。
【請求項98】
前記ポリ(エチレングリコール)がメトキシでエンドキャップされている、請求項96に記載のコンジュゲート。
【請求項99】
POLYが、直鎖、分岐、又は多アーム状の水溶性ポリマーである、請求項68~98のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項100】
POLYが、約100ダルトン~約100,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項68~99のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項101】
POLYが、約200ダルトン~約80,000ダルトン、又は約500ダルトン~約70,000ダルトン、又は約1,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約2,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約30,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約50,000ダルトン、約20,000ダルトン~約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項100に記載のコンジュゲート。
【請求項102】
POLYが、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、7500ダルトン、10,000ダルトン、15,000ダルトン、20,000ダルトン、25,000ダルトン、30,000ダルトン、40,000ダルトン、50,000ダルトン、55,000ダルトン、及び60,000ダルトンからなる群から選択される重量平均分子量を有する、請求項100に記載のコンジュゲート。
【請求項103】
式:
【化93】
【化94】
(式中、コンジュゲート11~18のそれぞれの(n)は、約2~約2,273の範囲であり;
Hisは、ヒスチジン残基であり;
A-Hisは、ヒスチジン残基を含む活性薬剤である)を有する、請求項69、101又は102に記載のコンジュゲート。
【請求項104】
A-Hisが、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質である、請求項103に記載のコンジュゲート。
【請求項105】
請求項68~104のいずれか一項に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項106】
請求項68~104のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む組成物であって、前記組成物中のコンジュゲートの少なくとも60%が、ヒスチジン残基のみにおいて前記活性薬剤に共有結合したPOLYを含む、組成物。
【請求項107】
前記組成物中のコンジュゲートの少なくとも75%が、前記活性薬剤のヒスチジン残基のみにおいて前記活性薬剤に共有結合したPOLYを含む、請求項106に記載の組成物。
【請求項108】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項106又は請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
請求項68~104のいずれか一項に記載のコンジュゲートを対象に投与することを含む、投与方法。
【請求項110】
請求項105~108のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与することを含む、投与方法。
【請求項111】
活性薬剤のコンジュゲートの調製方法であって、請求項1~64のいずれか一項に記載のポリマー試薬を、前記活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基と前記ポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進するのに有効な反応条件下で、前記1つ又はそれ以上のアミノ基を含む前記活性薬剤と反応させることを含む、方法。
【請求項112】
前記活性薬剤が、タンパク質、ペプチド及び小分子から選択される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記活性薬剤が、前記反応条件下で前記ポリマー試薬と反応し、それによりポリマーコンジュゲートを形成するアミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含む、請求項111又は請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記反応が、約5.5~6.9のpHで行われる、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記反応が、約5.5~6.5のpH、又は約6.0~6.5のpHで行われる、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記反応が約25℃で行われる、請求項113~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記活性薬剤がタンパク質又はペプチドであり、前記反応が複数のコンジュゲートを形成するのに有効であり、前記複数を含むコンジュゲートの少なくとも70モルパーセントが、前記活性薬剤のヒスチジンアミノ酸において前記ポリマーに対する共有結合を有する、請求項113~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記複数を含むコンジュゲートの少なくとも75モルパーセントが、前記活性薬剤のヒスチジンアミノ酸において前記ポリマーに対する共有結合を有する、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記複数を含むコンジュゲートの少なくとも60モルパーセント、又は少なくとも70モルパーセント、又は少なくとも75モルパーセントが、前記活性薬剤のヒスチジンアミノ酸のみにおいて前記ポリマーに対する共有結合を有する、請求項117又は請求項118に記載の方法。
【請求項120】
形成された前記ポリマーコンジュゲートが、反応混合物中に含まれ、前記方法が、前記反応混合物から前記ポリマーコンジュゲートを回収することをさらに含む、請求項113~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記回収されたポリマーコンジュゲートを精製することをさらに含む、請求項114に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月17日に提出された米国仮特許出願第63/211,853号明細書に対して、優先権の利益を主張し、この開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、(とりわけ)、たとえば、ペプチド及びタンパク質中のヒスチジン残基に対する選択的コンジュゲーションが可能な新規な水溶性ポリマー試薬、並びにそのような試薬との反応によって形成されるコンジュゲートに関する。加えて、ポリマー試薬の調製方法、並びにポリマー試薬を活性薬剤及び他の物質にコンジュゲートするための方法、医薬組成物、並びにコンジュゲートを投与するための方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
度々「PEG化」と称されるポリエチレングリコールの共有結合による生理活性分子の修飾は、新たな且つ差別化された治療薬を提供するのに有効であり得る。PEG化は、たとえば、生理活性分子の薬理学的及び薬学的特性を向上させることができ、いくつかの市販製剤の開発に首尾よく使用されている。現在、FDAにより承認された10種を超える異なるPEG化タンパク質治療薬が存在する。たとえば、PEG化を用いて、生物薬剤が安定な結合によってポリエチレングリコールに共有結合した市販の製品、たとえば、CIMZIA(登録商標)(PEG化腫瘍壊死因子(TNF))、NEULASTA(登録商標)(PEG化顆粒球-コロニー刺激因子(GCSF))、PEGASYS(登録商標)(PEG化インターフェロンα-2a)、及びADYNOVATE(登録商標)(PEG化第八因子)が作製されている。これらの製品のほとんどは、リシン残基及びN-末端のアミン基との反応による、タンパク質の非特異的PEG化に依存している。
【0004】
多くの場合、活性薬剤への1つ又はそれ以上のポリエチレングリコール鎖の安定な共有結合は、未修飾分子と比較した場合、低下した機能活性を有するPEGコンジュゲートをもたらす。活性分子が安定な結合を介して1つ又はそれ以上のポリマー部分に共有結合した際、ポリマー結合活性分子は、共有結合したポリマーが、とりわけ、活性分子を取り囲む立体的及び電子的環境を変化させ得るため、非結合活性分子の機能的特性を保持し又はしない場合がある。リシン残基及びN-末端のアミノ基との反応による非選択的PEG化は、PEG化分子の異種混合物をもたらすことが多く、ここで混合物中の各PEGコンジュゲートは、異なる又は変更された生物学的活性又は他の機能的生物学的特性を有し得る。
【0005】
上記の問題のいくつかを回避するために、部位特異的PEG化が探索されているが、タンパク質又はペプチドへのPEGの部位特異的コンジュゲーションを達成するPEG化戦略はほとんど存在しない。他の利点のなかでも、部位特異的PEG化アプローチは、明確に定義され且つ治療的に有用なPEG化生成物、典型的には精製、特徴付け、及び再現可能な調製がより容易な、一般に、単一の一PEG化生成物を提供する高い可能性を有し得る。
【0006】
たとえば、部位特異的PEG化は、システインへの共有結合、又はより詳細にはシステインのチオール基への共有結合により提供することができる。システイン残基はタンパク質中のアミノ酸に豊富に存在せず、タンパク質の総アミノ酸含有量の1パーセント未満を占めている。さらに、タンパク質中に存在するシステインは、ジスルフィド結合を形成することが多く、それによって多くのチオール特異的PEG化試薬との反応に利用できないようにされている。PEG化のためのタンパク質候補中のシステインの欠如又は利用不可能性を回避するために、1つ又はそれ以上のシステイン残基をタンパク質の特定の位置に遺伝的にコードすることによってシステインムテインが調製され得る。次いで、チオール選択的又はチオール特異的PEG化試薬とのシステインムテインの反応を行って、特定のシステイン挿入部位に共有結合したPEG部分を有するタンパク質を調製することができる。システインとの反応に適したPEG試薬には、チオール、ジスルフィド、マレイミド、ビニルスルホン、オルトピリジルジスルフィド、及びヨードアセトアミドなどの反応性基を有するものが含まれる。システイン指向性部位特異的PEG化のための一般に使用されている1つのアプローチは、システイン-ムテイン又はシステイン含有タンパク質とマレイミド官能化PEG試薬との反応を含む。
【0007】
部位特異的PEG化を達成するための別のアプローチでは、腫瘍壊死因子α及びインターフェロンα-2a(IFN)に結合するドメイン抗体(dAb)を含むHis-タグ特異的PEG化タンパク質を形成するために、ポリヒスチジンタグが使用されている(Cong,Y.,et al.,Bioconjugate Chem.2012,23-248-263)。6-ヒスチジンタグをdAbのC末端に加えると共に、8-ヒスチジンタグをIFNのN-末端に挿入し、次いで、ビス-アルキル化による部位特異的PEG化が可能なPEG-ビス-スルホン試薬と反応させ、次いで1等量のスルフィン酸を排除して対応するPEG-モノ-スルホンを形成した。
【0008】
上述したアプローチは両方とも、目的のペプチド若しくはタンパク質配列中へのシステイン残基の挿入(未修飾タンパク質中に反応性システインが存在しない限り)又はポリ-ヒスチジン配列の挿入を必要とする。
システインと同様、ヒスチジンは球状タンパク質中の発生頻度が比較的低く(約2%)、ヒスチジンの約半分のみが表面アクセス可能であり、ヒスチジンを部位特異的PEG化のための魅力的な標的としている。さらに、システイン残基とは対照的に、ヒスチジンは、リシンと同様、イミダゾール環内にアミン指向性PEG化のための反応性アミノ基を提供する。ヒスチジン指向性コンジュゲートは以前に調製されているが、これらのコンジュゲートは不安定であることが見出され、生理学的条件下で水性緩衝液中で加水分解を受けることが報告された。たとえば、Veronese,F.M.,et al.、米国特許出願公開第2009/0185998号明細書;Lee,S.,McNemar,C.、米国特許第5,985,263号明細書を参照されたい。本出願人らの知る限りでは、これまで、たとえば、タンパク質又はペプチドのヒスチジン残基のアミノ基への共有結合による安定に結合した(たとえば、放出不可能な)コンジュゲートの形成が可能なPEG試薬、及び得られるコンジュゲートは、当技術分野で知られていない。
本開示は、とりわけ、たとえばペプチド又はタンパク質中のヒスチジンの部位選択的修飾が可能な新規なPEG試薬を提供する。得られたコンジュゲートは、生理学的pHを含む幅広いpHにわたって安定であり、それにより容易なクロマトグラフィー精製が可能であり、またたとえば、一貫し且つ有利な薬物動態及び薬力学特性を有する、理想的には、非選択的/非特異的に共有結合した1つ又はそれ以上のPEG部分を有する生物薬剤と比較した場合、改善された生物活性を有する、再現可能に調製され、明確に定義された、均質なPEG化生物薬剤製品の提供が可能である。本出願人らの知る限りでは、本明細書に記載されるポリマー、コンジュゲート、組成物及び方法は、新規であり、当技術分野で全く示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0185998号明細書
【特許文献2】米国特許第5,985,263号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Cong,Y.,et al.,Bioconjugate Chem.2012,23-248-263
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、式I:
【化1】
(式中、POLYは水溶性ポリマーであり;Xはリンカー部分であり;R
1は有機基であり、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;R
2は、存在する場合、R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し;Yは、O(酸素)又はS(硫黄)のいずれかであり;Zは脱離基である)のポリマー試薬が提供される。ポリマー試薬は、たとえばペプチド又はタンパク質中のヒスチジンの部位選択的修飾に使用することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、R1は、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換ヘテロアルキル、置換及び非置換シクロヘテロアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換ヘテロアリール、並びに置換及び非置換ヘテロアラルキルから選択される有機基である。
【0013】
いくつかのさらなる実施形態では、R1は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル(それぞれ、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている)から選択される有機基である。
【0014】
さらなる1つ又はそれ以上の特定の実施形態では、R1は、低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、ベンジル、ハロ置換ベンジル及びニトロ置換ベンジルからなる群から選択され、ここでベンジル環は、1~5つのハロ置換基を有する。前述したものに関連したいくつかの実施形態では、ハロ置換基はフルオロである。
【0015】
式(I)の1つ又はそれ以上の実施形態において、R2は存在しない。
【0016】
式(I)のさらなるいくつかの他の実施形態では、R2は存在する。R2が存在する場合、いくつかの実施形態では、R2は、R1と一緒になって、4、5、6又は7つの複素環環原子を含む窒素含有複素環、たとえば、非芳香族、飽和、窒素含有複素環を形成する。いくつかの他の実施形態では、R2が存在する場合、窒素含有複素環は、1~3つの窒素原子(たとえば、1つ、2つ、又は3つの窒素原子)を含む。例示的な窒素含有複素環としては、たとえば、アゼチジン、置換アゼチジン、ジアゼチジン、置換ジアゼチジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾリジン、置換イミダゾリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、モルホリン、置換モルホリン、ジアジナン、置換ジアジナン、トリアジナン、置換トリアジナン、アゼパン、置換アゼパン、ジアゼパン及び置換ジアゼパンが挙げられる。いくつかの特定の実施形態では、R2は、R1と一緒になってピペリジン又は置換ピペリジンを形成する。いくつかの他の実施形態では、R1と一緒になったR2は、ジアジナン又は置換ジアジナンを形成する。さらなるいくつかの追加の特定の実施形態では、ジアジナン又は置換ジアジナンは、それぞれピペラジン又は置換ピペラジンである。
【0017】
R1と一緒になったR2が窒素含有複素環を形成する実施形態を参照して、いくつかの実施形態では、窒素含有複素環は、1つ又はそれ以上の置換基、たとえば、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルで場合により置換されている。
【0018】
いくつかのより特定の実施形態では、R1と一緒になったR2は、(i)非置換又は(ii)1つ若しくはそれ以上の環位置において低級アルキル、置換低級アルキル、アラルキル、若しくは置換アラルキルで置換された窒素含有複素環を形成する。またいくつかのさらなる実施形態では、置換低級アルキル又は置換アラルキル置換基は、ハロ置換されている。
【0019】
また1つ又はそれ以上のさらなる実施形態では、R1と一緒になったR2は、一又は二置換された窒素含有複素環を形成する。
【0020】
式(I)のいくつかの実施形態では、Xは存在しない(すなわち、(X)0である)。さらなるいくつかの他の実施形態では、Xは存在する(すなわち、(X)1である)。いくつかの実施形態では、Xは、-O-、-S-、-NH- -C(O)-、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、-O-C(O)-NH-、-C(S)-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2、-O-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-O-、-O-CH2-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-CH2-O-、-O-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-O-、-C(O)-NH-CH2-、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-O-CH2-、-CH2-C(O)-O-CH2-、-CH2-CH2C(O)-O-CH2-、-C(O)-O-CH2-CH2-、-NH-C(O)-CH2-、-CH2-NH-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-、-NH-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-C(O)-NH-CH2-、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-O-C(O)-NH-CH2-、-O-C(O)-NH-CH2CH2、-O-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-NH-CH2-、-NH-CH2-CH2-、-CH2-NH-CH2-、-CH2-CH2-NH-CH2-、C(O)CH2-、-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-CH2-、-CH2-CH2C(O)-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-O-C(O)-NH-(CH2)0-6-(OCH2CH2)0-2-,C(O)-NH-(CH2)1-6-NH-C(O)-、-NH-C(O)-NH-(CH2)1-6-NH-C(O)-、-O-C(O)-CH2-、-O-C(O)-CH2-CH2-、-O-C(O)-CH2-CH2-CH2-、及び前述したものの任意の1つ又はそれ以上の組み合わせから選択される。いくつかのさらなる実施形態では、Xは~(CH2)a(O)b[C(O)]c(NH)d(CH2)e~であり、式中:aは0~6であり;bは0、1であり;cは0、1であり;dは0、1であり;eは0~6であり、a、b、c、d及びeの少なくとも1つは、正の整数である。いくつかの他の実施形態では、Xは、-O-C(O)-、-O-C(O)-NH-又は-O-C(O)-NH-CH2である。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、YはO(酸素)である。
【0022】
さらなるいくつかの他の実施形態では、YはS(硫黄)である。
【0023】
水溶性ポリマー、POLYは、いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メチルアクリルアミド、ジビニル(divyinyl)エーテル-無水マレイン酸、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、並びにそれらのコポリマー及びターポリマーから選択される。いくつかの実施形態では、POLYは、水溶性ポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの好ましい実施形態では、POLYは、ポリ(エチレングリコール)である。いくつかの他の好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は、エンドキャッピング部分、たとえば、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルキノキシ、アリールオキシ又は置換アリールオキシで末端がキャップされている。いくつかの好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は、低級アルキル基、たとえば、メトキシでエンドキャップされている。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施形態において、POLYは、直鎖、分岐、又は多アーム状の水溶性ポリマーである。たとえば、いくつかの実施形態では、POLYは、直鎖水溶性ポリマーである。他の実施形態では、POLYは、分岐水溶性ポリマーである。またいくつかのさらなる実施形態では、POLYは、多アーム状水溶性ポリマーである。
【0025】
いくつかの実施形態では、POLYは、約100ダルトン~約100,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0026】
1つ又はそれ以上の追加の実施形態において、POLYは、約200ダルトン~約80,000ダルトン、又は約500ダルトン~約70,000ダルトン、又は約1,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約30,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。
【0027】
またいくつかのさらなるより特定の実施形態では、POLYは、約200ダルトン、又は約300ダルトン、又は約400ダルトン、又は約500ダルトン、又は約750ダルトン、又は約1,000ダルトン、又は約2,500ダルトン、又は約3,000ダルトン、又は約5,000ダルトン、又は約7500ダルトン、又は約10,000ダルトン、又は約15,000ダルトン、又は約20,000ダルトン、又は約25,000ダルトン、又は約30,000ダルトン、又は約40,000ダルトン、又は約50,000ダルトン、又は約55,000ダルトン、又は約60,000ダルトン、又は約65,000ダルトン、又は約70,000ダルトン、又は約75,000ダルトン、又は75,000ダルトンを超える重量平均分子量を有する。
【0028】
1つ又はそれ以上の実施形態において、Zは、テトラゾール、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、アシルアジド、フルオロフェノール、ベンゾトリアゾール、ニトロフェノール、及びトリアゾールからなる群から選択される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、Zは、~N(R1)C(Y)-と一緒になった場合に尿素結合を形成する脱離基である。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態では、Zはテトラゾール脱離基である。例示的なテトラゾール脱離基としては、フェニルテトラゾールが挙げられる。たとえば、Zは、構造:
【化2】
を有するフェニルテトラゾールであり得る(式中、g、h、i、j及びkは、それぞれ独立して0又は1であり(ここで0は非存在を示し、1は存在を示す)、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7のそれぞれは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から独立して選択される)。いくつかの実施形態では、フェニルテトラゾールは、炭素2、炭素3、又は炭素4のいずれか1つにおいて、フェニル環上に単一の置換基を有する。さらなるいくつかの他の実施形態では、フェニルテトラゾールは、フェニル環上に2つの置換基を有する。たとえば、2つのフェニル置換基は、(i)C2及びC3に、又は(ii)C2及びC4に、又は(iii)C3及びC5に、又は(iv)C3及びC4に、又はC2及びC6にあってもよい。またいくつかのさらなる実施形態では、フェニルテトラゾールは、フェニル環上に、たとえば、(i)C2、C3及びC4に、又は(ii)C2、C3、及びC5に、又は(iii)C2、C3及びC6に、又は(iv)C2、C4、及びC6に、又は(v)C3、C4、及びC5に、又は(vi)C3、C4、及びC6に3つの置換基を有する。さらなるいくつかの他の実施形態では、フェニルテトラゾールは、フェニル環上に、たとえば、(i)C2、C3、C4、及びC5に、又は(ii)C2、C3、C5、及びC6に、又は(iii)C2、C3、C4、及びC6に4つの置換基を有する。さらなるいくつかの他の実施形態では、フェニルテトラゾールは、フェニル環上に5つの置換基を有する。フェニルテトラゾールがフェニル環上に1つを超える置換基を有する前述したものの任意の1つ又はそれ以上に関連したいくつかの実施形態では、フェニル環上の置換基は同じである。さらなるいくつかの代替的な実施形態では、フェニル環上の置換基の1つ又はそれ以上は異なる。いくつかの実施形態では、置換基の1つ又はそれ以上はトリフルオロメチルである。いくつかの他の特定の実施形態では、Zはビス(トリフルオロメチル)フェニルテトラゾールである。
【0031】
いくつかのさらなる実施形態では、ポリマー試薬は:
【化3】
【化4】
(式中、各(n)は独立して:約2~約2,273;約4~約1800;約11-1590;約23~約1363;約113~約568;約113~約682;約113~約1136;約227~約1363;約227~約1136;約454~約1136;約454~約909;及び約454~約1818からなる群から選択される範囲内にあり;LGは脱離基である)から選択される。試薬1’、2’、3’、4’、5’、6’、7’、8’及び9’に関連する1つ又はそれ以上の実施形態において、LGは、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾールである。
【0032】
尚さらなる態様では、たとえば、式Iのポリマー試薬の調製方法が提供される。
【0033】
さらに別の態様では、活性薬剤の水溶性ポリマーコンジュゲートが提供され、水溶性ポリマーと活性薬剤との間の結合は、尿素-イミダゾリル又はチオ尿素-イミダゾリル部分を含み、イミダゾリル基は、活性薬剤のヒスチジン残基の一部を形成する。
【0034】
さらに別の態様では、上記に提供され且つ本明細書に開示されるあらゆる実施形態を包含する式(I)のポリマー試薬を、活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基とポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進するのに有効な条件下で、1つ又はそれ以上のアミノ基を含む活性薬剤と反応させることによって調製されるコンジュゲートが本明細書に提供される。そのようなコンジュゲートに関連する1つ又はそれ以上の実施形態では、活性薬剤は、タンパク質、ペプチド及び小分子から選択される。さらなるいくつかの他の実施形態では、活性薬剤は、アミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含み、1つ又はそれ以上のヒスチジンアミノ基は、ポリマー試薬の~C(Y)~炭素に共有結合される。
【0035】
さらなるいくつかの他の態様では、コンジュゲートは、式:
【化5】
(式中、POLYは水溶性ポリマーであり;Xはリンカー部分であり;R
1は有機基であり、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;R
2は、存在する場合、R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し;Yは、O及びSから選択され;R’はH又は有機基であり、A-N-R’は、アミノ基(~NR’)を含む活性薬剤(A)であり、ここでPOLY、X、R
2、R
1、及びYは、上述し、さらに本明細書に開示されるあらゆる実施形態を包含する)のものである。いくつかの好ましい実施形態では、~N-R’は、Aと一緒になった場合、活性薬剤に含まれるヒスチジンのイミダゾリル環内に含まれるアミン(窒素原子)である。
【0036】
1つ又はそれ以上の実施形態において、コンジュゲートは、式:
【化6】
(式中、A-NR’は、ヒスチジン残基を含む活性薬剤であり、POLY、X、R
2、R
1、及びYは、前述したとおりである)を有する。上の式において、ヒスチジンは単一のアミノ酸として示されるが、第2の構造では、ヒスチジンは、ポリペプチドの一部としてより詳細に示される。しかしながら、上の構造に示されるヒスチジンは、単一のアミノ酸として描かれているが、ペプチド又はポリペプチド中に含まれるその存在も包含することが意図されることを理解するべきである。コンジュゲーションはヒスチジンイミダゾール環のいずれの窒素でも行われ得、前述した構造は、両方の異性体を包含することが意図されることを理解するべきである。いくつかのさらに好ましい実施形態では、活性薬剤は、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質である。
【0037】
本開示によるコンジュゲートは、たとえば
【化7】
【化8】
(式中、コンジュゲート11~18のそれぞれの(n)は、独立して約2~約2,273の範囲(上述され及び本明細書の他の箇所に記載されるその様々な実施形態を含む)であり;Hisはヒスチジン残基であり、ここで結合は、ヒスチジン窒素原子にあり;A-Hisは活性薬剤、たとえば、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質である)を含む。
【0038】
さらに別の態様では、式(II)のコンジュゲート(上記及び本明細書の他の箇所に示されるその実施形態を含む)及び薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物が本明細書に提供される。
【0039】
さらに別の態様では、式(II)によるコンジュゲート(上記及び本明細書の他の箇所に示されるその実施形態を含む)を含む組成物が提供され、ここで組成物中のコンジュゲートの少なくとも60%、又はコンジュゲートの少なくとも75%は、ヒスチジン残基のみにおいて活性薬剤に共有結合したPOLYを含む。いくつかのさらに関連した実施形態では、組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0040】
またさらなる態様では、活性薬剤のコンジュゲートの調製方法が提供され、方法は、式(I)のポリマー試薬(本明細書に提供されるあらゆる実施形態を含む)を、活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基とポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進するのに有効な条件下で、1つ又はそれ以上のアミノ基を含む活性薬剤と反応させることを含む。いくつかの好ましい実施形態では、活性薬剤は、反応条件下でポリマー試薬と反応し、それによりポリマーコンジュゲートを形成するアミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含む。
【0041】
追加の態様及び実施形態を、以下の説明及び特許請求の範囲に示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】例示的なヒスチジン選択的水溶性ポリマー試薬、mPEG-N(CH
3)CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール(試薬1)の合成のための例示的な反応スキームを提供する。
【
図2-1】実施例10に記載されるように、PEG部分とBTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する、破線ボックスで示される多様なスペーサー基(すなわち、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)を含む例示的なヒスチジン選択的ポリ(エチレングリコール)試薬と、異なるpH条件下で、5時間の反応時間で形成されたコンジュゲートのパーセントに基づくそれらの反応性の表である。
【
図2-2】実施例10に記載されるように、PEG部分とBTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する、破線ボックスで示される多様なスペーサー基(すなわち、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)を含む例示的なヒスチジン選択的ポリ(エチレングリコール)試薬と、異なるpH条件下で、5時間の反応時間で形成されたコンジュゲートのパーセントに基づくそれらの反応性の表である。
【
図3】実施例10に記載されるように、PEG部分と例示的な~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する多様なアミノ基(X)を含む例示的なヒスチジン選択的ポリ(エチレングリコール)試薬についての、pH5.0で25℃で経時的に形成されるヒスチジン結合コンジュゲートのパーセントを示すプロットである。
【
図4】実施例14に記載されるように、PEG部分と、モデル化合物、α-CBZ-ヒスチジンの例示的な共有結合ヒスチジンとの間に介在する多様なスペーサー部分を含む例示的なヒスチジン結合ポリ(エチレングリコール)コンジュゲートについての加水分解安定性研究の結果を示すプロットである。詳細には、プロットは、生理学的条件(37℃でpH7.4)下での経時的な無傷ヒスチジン結合コンジュゲートのパーセントを示す。
【
図5】例示的なヒスチジン選択的PEG試薬(PEG部分と例示的な~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在するアミノ基、Xで示される)とカルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの、実施例10に記載されるようなpH5.5で25℃での反応性を示すプロットである。詳細には、プロットは、経時的に形成されたmPEG-ヒスチジン(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。
【
図6】例示的なヒスチジン選択的PEG試薬(PEG部分と例示的な~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在するアミノ基、Xで示される)とカルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの、実施例10に記載されるようなpH6.0で25℃での反応性を示すプロットである。詳細には、プロットは、経時的に形成されたmPEG-ヒスチジン(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。
【
図7】例示的なヒスチジン選択的PEG試薬(PEG部分と例示的な~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在するアミノ基、Xで示される)とカルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの、実施例10に記載されるようなpH6.5で25℃での反応性を示すプロットである。詳細には、プロットは、経時的に形成されたmPEG-ヒスチジン(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。示されるように、反応条件を適切に変更することによって、たとえば、この場合、pH)を増加させることによって、ヒスチジン結合コンジュゲートの良好な収量を得ることができる。
【
図8】例示的なヒスチジン選択的PEG試薬、mPEG-4-アミノピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5kDと、モデル化合物、カルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの、4つの異なるpH(5.0、5.5、6.0及び6.5)での反応性を示す。プロットは、実施例10に記載されるように異なるpHのそれぞれで経時的に形成されたmPEG-4-アミノピペリジン-C(O)-ヒスチジン(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。示されるように、反応性は、たとえば、pHを変化させることにより変更することができる。図に示すように、10時間後、pH5.0、5.5、6.0及び6.5で、形成されたコンジュゲートのパーセント(%)は、それぞれ4.7、15、57及び93であった。
【
図9】1つの例示的なヒスチジン選択的PEG試薬、mPEG-4-アミノメチルピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5kDと、モデル化合物、カルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの、実施例10に記載されるように4つの異なるpH(5.0、5.5、6.0及び6.5)での反応性を示す。プロットは、異なるpHのそれぞれで経時的に形成されたmPEG-4-アミノメチルピペリジン-C(O)-ヒスチジン(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。示されるように、反応性は、たとえばpHを変化させることにより変更することができる。図に示すように、10時間後、pH5.0、5.5、6.0及び6.5で、形成されたコンジュゲートのパーセントは、それぞれ2.0、7、30及び68であった。これらのデータはまた、mPEG-4-アミノピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール試薬と比較して低いmPEG-4-アミノメチルピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール試薬の相対的反応性も示し、2つの試薬は、カルバメート窒素とピペリジン環の4-炭素との間に挟まれる~CH
2~基の非存在又は存在において異なる。
【
図10】例示的なPEG試薬、試薬2(mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)と、モデル化合物、α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHとの1:10のモル比での、リン酸緩衝液中25℃でのコンジュゲーションのための反応スキームを提供する。反応は、
図11のデータにより支持されるように、試薬のヒスチジン選択性を示す。
【
図11】リン酸緩衝液中25℃で、異なるアミノ酸又はオリゴペプチド標的:α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHとモル比1:10で反応させた際の、本明細書に提供される例示的なPEG試薬、試薬2(R
2は、-NR
1と一緒になった場合、ピペラジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は~O-C(O)-ピペラジン-C(O)~である)の選択性を示すプロットである。結果は、実施例11に記載されるように、本明細書に提供される試薬の、リシンよりもヒスチジンに対する顕著な選択性を示す。
【
図12】リン酸緩衝液中25℃で、異なるアミノ酸又はオリゴペプチド標的:α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHとモル比1:10で反応させた際の、本明細書に提供される例示的なPEG試薬、試薬9(R
2は、-NR
1と一緒になった場合、ピペラジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は~O-C(O)-ピペラジン-C(O)~である)の選択性を示すプロットである。結果は、実施例13に記載されるように、本明細書に提供される試薬の、リシンよりもヒスチジンに対する顕著な選択性を示す。
【
図13】リン酸緩衝液中25℃で、異なるアミノ酸又はオリゴペプチド標的:α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHとモル比1:10で反応させた際の、本明細書に提供される例示的なPEG試薬、試薬7(R
2は、-NR
1と一緒になった場合、ピペリジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は~O-C(O)-NH-ピペラリン-C(O)~である)の選択性を示すプロットである。結果は、実施例13に記載されるように、本明細書に提供される試薬の、リシンよりもヒスチジンに対する顕著な選択性を示す。
【
図14A】実施例15に記載されるように、本明細書に提供されるポリマー試薬のヒスチジン選択性のさらなる証拠を提供する。より詳細には、
図14Aは、試薬1とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとの反応(pH7.4、25℃)を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-N(CH
3)-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。ヒスチジンコンジュゲート、たとえば試験した例示的なコンジュゲートは、ヒドロキシルアミンと反応した際、非コンジュゲートヒスチジン化合物が放出される逆反応を受ける。対照的に、ヒドロキシルアミンは、典型的には、リシン結合コンジュゲートと反応してリシン-ポリマー結合を切断することによって親リシン化合物を放出することはない。約22時間までに、100%のコンジュゲートがα-CBZ-Hisを放出して消失している。
図14Bは、試薬2とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により形成されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとの反応(pH7.3、25℃)を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-ピペラジン-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。約42時間において、4%のみの無傷コンジュゲートが残留している。
【
図14B】実施例15に記載されるように、本明細書に提供されるポリマー試薬のヒスチジン選択性のさらなる証拠を提供する。より詳細には、
図14Aは、試薬1とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとの反応(pH7.4、25℃)を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-N(CH
3)-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。ヒスチジンコンジュゲート、たとえば試験した例示的なコンジュゲートは、ヒドロキシルアミンと反応した際、非コンジュゲートヒスチジン化合物が放出される逆反応を受ける。対照的に、ヒドロキシルアミンは、典型的には、リシン結合コンジュゲートと反応してリシン-ポリマー結合を切断することによって親リシン化合物を放出することはない。約22時間までに、100%のコンジュゲートがα-CBZ-Hisを放出して消失している。
図14Bは、試薬2とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により形成されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとの反応(pH7.3、25℃)を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-ピペラジン-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。約42時間において、4%のみの無傷コンジュゲートが残留している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
定義
本開示のある特徴について記載し、主張する際には、特に明記しない限り、以下の術語を、下記に記載される定義に従って使用した。
【0044】
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その」は、文脈上、明らかに他の意味を示す場合を除き、複数形の指示対象を含む。したがって、たとえば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー及び2つ以上の同じ又は異なるポリマーを含み、「コンジュゲート」への言及は、単一のコンジュゲート及び2つ以上の同じ又は異なるコンジュゲートを指し、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤及び2つ以上の同じ又は異なる賦形剤を含む、などとなる。
【0045】
「水溶性非ペプチド性ポリマー」は、室温で、水中で、少なくとも35%(重量で)可溶性であるポリマーを指す。しかしながら、好ましい水溶性非ペプチド性ポリマーは、水中で、好ましくは70%(重量で)超、より好ましくは95%超(重量で)可溶性である。通常、「水溶性」ポリマーの濾過されてない水溶性調製物は、濾過した後の同じ溶液が透過する光の量の少なくとも75%を透過する。好ましくは、そのような濾過されてない水溶性調製物は、濾過した後の同じ溶液が透過する光の量の少なくとも95%を透過する。水中で少なくとも95%(重量で)可溶性である又は水中で完全に可溶性である水溶性ポリマーが、最も好ましい。「非ペプチド性」に関して、ポリマーが35%未満(重量で)のアミノ酸残基を含有する場合、ポリマーは非ペプチド性となる。
【0046】
用語「モノマー」、「モノマーサブユニット」、及び「モノマー単位」は、本明細書において区別なく使用され、ポリマーの基本的構造単位の1つを指す。ホモポリマーの場合、単一の反復構造単位が、ポリマーを形成する。コポリマーの場合、2つ以上の構造単位が、あるパターンで又はランダムに反復して、ポリマーを形成する。本発明に関連して使用される好ましいポリマーは、ホモポリマーである。水溶性非ペプチド性ポリマーは、連続的に付加された3つ以上のモノマーを含み、モノマーの鎖を形成する。
【0047】
本明細書において使用される「PEG」又は「ポリエチレングリコール」は、任意の水溶性ポリ(エチレンオキシド)を包含することを意図する。特に明記しない限り、「PEGポリマー」又はポリエチレングリコールは、実質的にすべての(好ましくはすべての)モノマーサブユニットがエチレンオキシドサブユニットであるが、ポリマーが、たとえばコンジュゲーションのために、特異なエンドキャッピング成分又は官能基を含有してもよいものである。PEGポリマーは、末端の酸素が、たとえば合成変換の間に、置き換えられたかどうかに依存して、2つの以下の構造のうちの1つを一般に含む:「-(CH2CH2O)n-」又は「-(CH2CH2O)n-1CH2CH2-」。上記のように、PEGポリマーについて、変数(n)は、約2~約2273の範囲にわたり、末端基及び全体的なPEGの構成は、変動し得る。「n」についてのその他の部分範囲は、本明細書において記載される。本開示に関連したPEGポリマーは、典型的にはエンドキャップされ、好ましいエンドキャッピング基は低級アルキル基であり、最も好ましいエンドキャッピング基は、メチル(隣接する酸素原子を考慮する場合、メトキシとも称される)である。
【0048】
本開示の文脈において、1つの構造又は式に関して提供される変数の定義は、文脈が特に指示しない限り、異なる構造で繰り返される同じ変数に適用できることを認識するべきである。したがって、たとえば、ポリマー試薬に関する「POLY」、「リンカー部分(X)」、有機基(R1)などの定義は、本明細書に提供される水溶性ポリマーコンジュゲート又はポリマー中間体(適宜)に等しく適用することができる。
【0049】
PEGなどのような水溶性ポリマーに関する分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量として表わすことができる。特に明記しない限り、本明細書における分子量への言及はすべて、重量平均分子量を指す。両方の分子量測定、数平均及び重量平均は、ゲル浸透クロマトグラフィー又は他の液体クロマトグラフィー技術(たとえばゲル濾過クロマトグラフィー)を使用して測定することができる。最もよく用いられるのは、ゲル浸透クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーである。分子量を決定するための他の方法は、数平均分子量を決定するための末端基分析又は束一性の測定(たとえば凝固点降下、沸点上昇、若しくは浸透圧)又は重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分離法、MALDI TOF、若しくはビスコメトリーの使用を含む。PEGポリマーは、通常、多分散であり(すなわち、ポリマーの数平均分子量及び重量平均分子量は、等しくない)、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらにより好ましくは約1.10未満、さらにより好ましくは約1.05未満、及び最も好ましくは約1.03未満の低い多分散度(polydispersity value)を持つ。
【0050】
ポリマーの幾何学的配置又は全体的な構造に関する「分岐」は、分岐点又は中央にある構造的な特徴から伸長する2つのポリマー「アーム」又は「鎖」を有するポリマーを指す。ある好ましい分岐ポリマーの例は、1つ又はそれ以上の以下の特徴を有するものである:2つのポリマーアームを有する、同じ構造を有するポリマー鎖から構成される(たとえば、同じモノマーサブユニットから構成される)、及び同じ重量平均分子量を有するポリマーアームから構成される。
【0051】
ポリマーの幾何学的形状又は全体構造に関する「多アーム状」は、3つ以上のポリマー含有鎖又は「アーム」を有するポリマーを指す。したがって、多アーム状ポリマーは、その構成及びコア構造に応じて3つのポリマーアーム、4つのポリマーアーム、5つのポリマーアーム、6つのポリマーアーム、7つのポリマーアーム、8つのポリマーアーム又はそれ以上を有し得る。
【0052】
「安定した」連結又は結合は、水中で実質的に安定している、すなわち、長期間にわたって任意の評価可能な程度まで、生理学的条件下で加水分解又は分解を受けない化学結合を指す。加水分解的に安定した連結の例は、一般に、以下のものを含むが、これらに限定されない:炭素-炭素結合(たとえば脂肪鎖において)、エーテル結合、アミド結合、アミン結合、及びその他同種のもの。しかしながら、化学技術の熟練者によって理解されるように、任意のある特定の化学結合の安定性は、結合が置かれる分子の特定の構造的特徴並びにある特定の分子内の主題の連結の配置、近接する及び隣接する原子、並びにその他同種のものによって影響を及ぼされ得ることが理解されるべきである。当業者は、たとえば、関心がある条件下に(たとえば生理学的条件下に)関心がある連結含有分子を配置し、適した時間にわたる遊離の証拠について試験することによって、ある特定の連結が、ある特定の状況において安定しているか遊離可能かどうかを決定することができる。一般に、安定した連結は、例えば、生理学的条件下で1日当たり約1~2%未満の加水分解の速度を示すものである。代表的な化学結合の加水分解速度は、標準的な有機化学のテキストにおいて見つけることができる。
【0053】
「アルキル」は、通常、長さが約1~15原子の範囲にわたる炭化水素鎖を指す。そのような炭化水素鎖は、必ずではないが、好ましくは飽和されており、分岐であっても直鎖であってもよいが、通常、直鎖が好ましい。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、3-メチルペンチル、及びその他同種のものを含む。
【0054】
「低級アルキル」は、1~6の炭素原子を含有するアルキル基を指し、メチル、エチル、n-ブチル、i-ブチル、及びt-ブチルによって例示されるように、直鎖であっても分岐であってもよい。
【0055】
「アルコキシ」は、-OR基を指し、ここで、Rは、アルキル又は置換アルキル、好ましくはC1~6アルキル(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ等)である。
【0056】
たとえば「置換アルキル」でのような「置換」という用語は、これらに限定されないが、アルキル、C3~8シクロアルキル、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、及びその他同種のもの;ハロ、たとえばフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード;シアノ;アルコキシ、低級フェニル;置換フェニル;並びにその他同種のものなどのような1つ又はそれ以上の非干渉性の置換基により置換される成分(たとえばアルキル基)を指す。「置換アリール」は、置換基として1つ又はそれ以上の非干渉性の基を有するアリールである。フェニル環の置換について、置換基は、任意の配向をしていてもよい(すなわち、オルト、メタ、又はパラ)。ナフタレン又はフルオレンコアなどのような、より複雑な系の一部であるアリール部分の置換基は、別の状況ではその構造において占められることはない、アリール環の任意の位置を占めてもよい。
【0057】
「非干渉性の置換基」は、分子中に存在する場合、分子内に含有される他の官能基と通常、非反応性である基である。
【0058】
「アリール」は、それぞれ5又は6のコア炭素原子の、1つ又はそれ以上の芳香環を意味する。アリールは、ナフチルでのように融合されてもよい又はビフェニルでのように非融合であってもよい多数のアリール環を含む。アリール環はまた、1つ又はそれ以上の環式炭化水素、ヘテロアリール、又は複素環と融合されてもよい又は非融合であってもよい。本明細書において使用されるように、「アリール」は、ヘテロアリールを含む。芳香族部分(たとえばAr1、Ar2等)は、アリールを含有する構造を意味する。
【0059】
「ヘテロアリール」は、1~4のヘテロ原子、好ましくは硫黄、酸素、若しくは窒素又はその組み合わせを含有するアリール基である。ヘテロアリール環はまた、1つ又はそれ以上の環式炭化水素、複素環、アリール環、又はヘテロアリール環と融合されてもよい。
【0060】
「ヘテロ環」又は「複素環」は、不飽和又は芳香族性を有し又は有しておらず、炭素ではない少なくとも1つの環原子を有する、5~12原子、好ましくは5~7原子の1つ又はそれ以上の環を意味する。好ましいヘテロ原子は、硫黄、酸素、及び窒素を含む。
【0061】
「置換ヘテロアリール」は、置換基として1つ又はそれ以上の非干渉性の基を有するヘテロアリールである。
【0062】
「置換ヘテロ環」は、非干渉性の置換基から形成される1つ又はそれ以上の側鎖を有するヘテロ環である。
【0063】
「保護基」は、特定の反応条件下で分子内の特定の化学反応性官能基の反応を防止又は遮断する部分である。保護基は、保護される化学反応性基のタイプ、並びに使用される反応条件、及び分子内の追加の反応性又は保護基の存在に応じて変動するであろう。保護され得る官能基としては、例として、カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル基などが挙げられる。カルボン酸の代表的な保護基には、エステル(たとえばp-メトキシベンジルエステル)、アミド及びヒドラジドが含まれ;アミノ基の場合、カルバメート(たとえばtert-ブトキシカルボニル)及びアミド;ヒドロキシル基の場合、エーテル及びエステル;チオール基の場合、チオエーテル及びチオエステル;カルボニル基の場合、アセタール及びケタール;などである。そのような保護基は当業者に周知であり、たとえば、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley,New York 1999、及びGreene’s Protective Groups in Organic Synthesis,Fifth Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New Jersey,2014、並びにそれらに引用される参考文献に記載されている。
【0064】
「保護形態」における官能基は、保護基を有する官能基を指す。本明細書で使用される場合、用語「官能基」若しくはその任意の同義語、又は特定の官能基への参照は、適宜、その保護形態を包含することが意図される。
【0065】
たとえば、ポリマー試薬及びそれらのコンジュゲートを含む、本明細書に記載される分子実体は、適用可能な場合、薬学的に許容される塩を含む塩形態を包含することが意図される。たとえば、Stahl,P.H.,Wermuth(Eds.),C.G.,Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use,Wiley-VCH(Germany)and VHCA(Switzerland),2002を参照されたい。
【0066】
用語「リンカー」は、たとえば、式(I)に示される水溶性ポリマー(POLY)及び窒素含有複素環又は窒素原子(~NR1)などの相互接続部分を結合するのに使用される原子又は原子の集合を指すために本明細書で使用される。リンカー(リンカー部分とも称される)は、加水分解的に安定であり得、又は生理学的に加水分解性若しくは酵素分解性の結合を含むことができる。好ましくは、本明細書で使用される場合、リンカーは、加水分解的に安定である。
【0067】
「小分子」は、典型的には約1000ダルトン未満の分子量を有する有機、無機、又は有機金属化合物として広く定義され得る。
【0068】
本明細書において使用される「有機ラジカル」は、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールを含むものとする。
【0069】
「実質的に」又は「本質的に」は、ほとんど全く又は完全に、たとえば、ある特定の数量の95%又はそれ以上を意味する。
【0070】
同様に、本明細書において使用される「約」又は「およそ」は、ある特定の数量のプラス又はマイナス5%の範囲内にあることを意味する。
【0071】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、続いて記載される状況が、必ずしも生じる必要はないが、生じてもよいことを意味し、その記載によって、状況が生じる場合及び生じない場合が含まれることになる。
【0072】
「薬学的に許容される賦形剤」又は「薬学的に許容されるキャリア」は、本明細書において記載される組成物中に含まれてもよく、対象に著しい有害な毒性の効果を引き起こさない構成成分を指す。
【0073】
本明細書において使用される「患者」又は「対象」という用語は、癌などのような、本明細書において提供される化合物若しくは組成物又は組み合わせの投与によって予防する又は治療することができる状態を患っている又はその傾向がある生物を指し、ヒト及び動物の両方を含む。対象は、哺乳動物(たとえばネズミ科の動物、類人猿、ウマ科の動物、ウシ属の動物、ブタ、イヌ科の動物、ネコ科の動物、及びその他同種のもの)を含むが、これらに限定されず、好ましくはヒトである。
【0074】
概要
本開示は、とりわけ、たとえばペプチド又はタンパク質中のヒスチジンの部位選択的修飾が可能な新規なPEG試薬、及びそれらの対応するコンジュゲートに関する。この新規なポリマー試薬は、活性分子内のヒスチジン部位に対するコンジュゲーションを指向させることによって、水溶性ポリマー-活性薬剤コンジュゲーションの可能性を高めることができる。このアプローチは、ほとんどのタンパク質治療薬において利用可能なリシンの豊富さに起因して、リシンの側鎖及びN-末端においてタンパク質アミノ基を標的とする(これは異なるPEG結合部位、及びタンパク質に結合した異なる数のPEG部分を有する、コンジュゲートの異種混合物の形成をもたらし得る)PEG化反応体と比較して有意な利点を提供することができる。ヒスチジンは、タンパク質中の比較的稀なアミノ酸であり;ヒスチジンは、タンパク質中の他の求核性残基、たとえば、リシン及びアルギニンなどよりも低いpKaを有し、それにより、本明細書に提供されるような特定の革新的な試薬のための反応条件を、ヒスチジン選択的コンジュゲーションに有利なように調整することができる。リシン残基よりもヒスチジン残基と選択的に反応することが可能な水溶性ポリマー試薬の発見及び設計は、注目すべきいくつかの利点を提供する。ヒスチジン残基を含む標的タンパク質の場合、選択的コンジュゲーションは、システイン若しくは非天然アミノ酸などの所望のコンジュゲーション部位を導入するようにタンパク質を操作する必要なく、又は代替的に、競合コンジュゲーションを受ける競合するアミノ酸の置換の必要なく行うことができるが、それらのアプローチは本開示の範囲内である。一般に、ポリマー試薬は、より少ない位置異性体を含むコンジュゲート生成物、及び活性分子に結合した実質的に同じ数のPEG(又は他の水溶性ポリマー)部分を有するコンジュゲート生成物を形成することが予想される。一般にイミダゾリル尿素又はチオ尿素結合を含む、対応するコンジュゲートは、生理学的pHを含む幅広いpHにわたって安定であり、それにより容易なクロマトグラフィー精製及び取り扱いが可能となり、またたとえば、一貫し且つ有利な薬物動態及び薬力学特性を有する、理想的には、非選択的/非特異的に多数のPEG部分に安定に共有結合した生物薬剤と比較した場合、改善された生物活性を有する、再現可能に調製され、明確に定義された、実質的に均質なPEG化生物薬剤製品の提供が可能となる。
【0075】
これら及び他の態様、並びに実施形態は、以下の節でより詳細に記載される。
【0076】
ポリマー試薬
第1の態様に目を向けると、独特のポリマー試薬が提供される。以前に開示したように、ポリマー試薬は、生物学的に活性な分子などの標的分子内のヒスチジンと選択的に、すなわち優先的に反応することが可能である。
【0077】
ポリマー試薬は、一般に以下の式(式I)により記述される:
【化9】
式中、POLYは水溶性ポリマーであり、Xはリンカー部分であり(「0」下付き文字は、その非存在を示し、「1」下付き文字は、その存在を示す)、R
1は有機基であり、場合によっては、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;R
2は、存在する場合(「0」下付き文字は、その非存在を示し、「1」下付き文字は、その存在を示す)R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し、Yは酸素(O)及び硫黄(S)から選択され、Zは脱離基である。
【0078】
水溶性ポリマー部分に関して、水溶性ポリマーは、ポリマーが水溶性及び非ペプチド性である限り、任意のポリマーを含むことができる。ポリ(エチレングリコール)が好ましいが、水溶性ポリマーは、たとえば、他の水溶性ポリマー、たとえば他のポリ(アルキレンオキシド)、たとえばエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーなど、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メチルアクリルアミド、ジビニル(divyinyl)エーテル-無水マレイン酸、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、並びにそれらのコポリマー及びターポリマーであってもよい。水溶性ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、又は、上述したように、コポリマー若しくはターポリマーであってもよく;そのようなコポリマー又はターポリマーは、非ランダム又はランダムであり得る。加えて、水溶性ポリマーは直鎖であってもよいが、他の幾何形態、たとえば分岐、フォーク状、多アーム状などであってもよい。さらに、ポリ(エチレングリコール)などのポリ(アルキレンオキシド)ポリマーは、典型的には、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルキノキシ、アリールオキシ及び置換アリールオキシからなる群から選択されるエンドキャッピング部分で末端がキャップされる。好ましいエンドキャッピング基は、低級アルコキシ(C1~C6アルコキシ)及びベンジルオキシを含み;特に好ましい末端キャッピング基はメトキシであり、そのような末端キャップされたポリ(エチレングリコール)ポリマーは、多くの場合、メトキシポリ(エチレングリコール)又はmPEGと称される。或いは、POLYは、その末端に、たとえば、ヒドロキシ、アミノ、エステル、カーボネートアルデヒド、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、スルホン、チオール、カルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジド、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、シラン、脂質、リン脂質、ビオチン、フルオレセインなどを含むがこれらに限定されない官能基又は反応性部分を含んでもよく、ここで反応性基は、たとえば、脱離基、「Z」に対して遠位の末端においてさらなるカップリング又は転換を可能にするために、保護形態にあり得る。
【0079】
上述したように、試薬の水溶性ポリマー部分は、数個の幾何形態のいずれか、たとえば直鎖、分岐、多アーム状などを有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、POLYは直鎖である。さらなるいくつかの他の実施形態では、POLYは分岐である。分岐ポリマーは、たとえば、そこから2つの水溶性ポリマー「アーム」又は鎖が延びる中心コア基又は分岐点を含むことができる。たとえば、分岐又は多アーム状ポリマー、「POLY」は、以下のような一般構造を有することができ:
【化10】
ここでポリ
a及びポリ
bは、本明細書に記載される(また同じ又は異なり得る)水溶性ポリマー、たとえば、メトキシポリ(エチレングリコール)であり;R”は、非反応性部分、たとえばH、メチル又は追加の水溶性ポリマー、ポリc(たとえば、メトキシポリ(エチレングリコール)、ここでポリ
cは、ポリ
a及び/又はポリ
bと同じ又は異なり得る)であり、P及びQは、非反応性結合である。
【0080】
1つの例示的な分岐水溶性ポリマー(POLY)は、以下のような構造を有するリシン-分岐PEGであり、ここで2つのポリ(エチレングリコール)鎖は、カルバメート結合を介してリシンのアミノ基に結合し、CH炭素は、さらなる修飾のための部位を提供する:
【化11】
ここでnの値は、本明細書に提供される例示的な分子量範囲の任意の1つ又はそれ以上に含まれ得る。
【0081】
分岐構造を有する別の例示的なPOLYは、以下である:
【化12】
ここで、中心コア基(ここからポリ(エチレングリコール)鎖が発散する)は、(~HC(CH
2O-)
2)であり、ポリ(エチレングリコール)鎖の両方は、カルバメート結合を介してコア基に結合し、カルバメート窒素原子はポリマー鎖に近接し、nの値は、本明細書に提供される例示的な分子量範囲の任意の1つ又はそれ以上に含まれ得る。或いは、分岐POLYは、カルバメート結合の配向が逆転し、中心コア基が(~HC(CH
2NH-)
2)である前述した構造のような構成
【化13】
を有することができる。数個の分岐ポリ(エチレングリコール)部分のいずれも同様に想定することができ、本開示はこの点に関して限定されない。
【0082】
追加の例示的な分岐水溶性ポリマーは、数個の分子配置のいずれか、たとえば
【化14】
を有することができ、ここでnの値は、本明細書に提供される例示的な分子量範囲の任意の1つ又はそれ以上に含まれ得る。前述した分岐ポリマー構造のそれぞれにおいて、
【化15】
は、式(I)におけるように、(X)
0,1に対する結合を示す。様々な例示的な結合部分(X)が本明細書に詳細に記載される。数個の有機分子のいずれかをコアとして使用して、そこから2つ以上のポリマー鎖が発散して分岐又は多アーム状のポリマー、POLYを提供することができる。適切なコア基としては、ポリオール、ポリチオール、及びポリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なポリオールコア基には、グリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトール又はペンタエリトリトールなどの還元糖、及び、ヘキサグリセロールなどのグリセロールオリゴマーから誘導されるものが含まれ;前述したポリオールのポリチオール及びポリアミノコア基対応物も同様に使用することができる。
【0083】
水溶性ポリマーの重量平均分子量は変動し得るが、任意の所与の水溶性ポリマーの重量平均分子量は、典型的には約100ダルトン~約200,000ダルトン、又は約100ダルトン~約150,000ダルトン、又は約100ダルトン~約100,000ダルトンの範囲であろう。いくつかのさらなる実施形態では、POLYの例示的な重量平均分子量は、たとえば、約120ダルトン~約100,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約3~約2272の範囲の場合)、又は約250ダルトン~約60,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約4.5~約1363の範囲の場合)、又は約120ダルトン~約6,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約3~約136の範囲の場合)、又は約6,000ダルトン~約80,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約136~約1818の範囲の場合)、又は約5,000~約25,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約113~約568の範囲の場合)、又は約10,000~約25,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)が約227~約568の場合)の範囲である。当業者が理解するように、「(n)」の例示的な値は、直鎖ポリ(エチレングリコール)鎖について計算される。したがって、たとえば、分岐ポリ(エチレングリコール)が約20,000ダルトンの全体の重量平均分子量を有する、POLYが2つのポリマー鎖(ポリマー鎖は同じである)を含む分岐ポリ(エチレングリコール)である実施形態では、分岐ポリマーを含む2つのポリマー鎖のそれぞれは、各ポリマー鎖の「(n)」の値が約227であるように、約10,000ダルトンの重量平均分子量を有することが理解されるであろう。同様の計算を、3つ以上のポリマー鎖を含む多アーム状ポリマーについて行うことができる。
【0084】
さらなるいくつかの他の実施形態では、POLYは、たとえば、約200ダルトン~約80,000ダルトン、又は約500ダルトン~約70,000ダルトン、又は約1,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約30,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。
【0085】
しかしながら、例示的な範囲は、以下の範囲の重量平均分子量を含む:約880ダルトン~約5,000ダルトン(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約20~約113の範囲である);5,000ダルトン超~約100,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約113~約2272の範囲である);約6,000ダルトン~約90,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約136~約2045の範囲である);約10,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約227~約1932の範囲である);10,000ダルトン超~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約230~約1932の範囲である);約20,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約454~約1932の範囲である);約25,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約568~約2727の範囲である);約29,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約659~約2727の範囲である);約35,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約795~約2727の範囲である);約880ダルトン~約60,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約20~約1364の範囲である);約440ダルトン~約40,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約10~約909の範囲である);約440ダルトン~約30,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約10~約682の範囲である);約10,000ダルトン~約25,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約227~約568の範囲である)、又は約15,000ダルトン~約25,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約341~約568の範囲である)、及び約40,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、ポリ(エチレングリコール)の(n)は、約909~約2727の範囲である)。
【0086】
POLYの例示的な重量平均分子量としては、たとえば、約100ダルトン、約120ダルトン、約200ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約440ダルトン、約500ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約1,500ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約4,500ダルトン、約5,000ダルトン、約5,500ダルトン、約6,000ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約16,000ダルトン、約17,000ダルトン、約18,000ダルトン、約19,000ダルトン、約20,000ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約45,000ダルトン、約50,000ダルトン、約55,000ダルトン、約60,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、及び約75,000ダルトン、約80,000ダルトン、約85,000ダルトン、約90,000ダルトン、約95,000ダルトン、及び約100,000ダルトンが挙げられる。
【0087】
さらなるいくつかの特定の実施形態では、POLYは、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、7500ダルトン、10,000ダルトン、15,000ダルトン、20,000ダルトン、25,000ダルトン、30,000ダルトン、40,000ダルトン、50,000ダルトン、55,000ダルトン、60,000ダルトン、及び65,000ダルトンから選択される重量平均分子量を有する。
【0088】
上述したように、POLYは、好ましくはポリエチレングリコールである。PEGがポリマー試薬中の水溶性ポリマーとして使用される場合、PEGは、PEGがどのように定義されるかに応じて、典型的には数個の(OCH2CH2)モノマー(又は(CH2CH2O)モノマーを含む。本明細書全体で使用されるように、反復単位の数は、「(OCH2CH2)n」における添字「n」により特定される。したがって、(n)の値は、典型的には、本明細書に提供される範囲の1つ又はそれ以上に含まれる。分子量が既知の任意の所与のポリマーの場合、ポリマーの総重量平均分子量を反復モノマーの分子量で割ることによって、モノマー反復単位の数(すなわち、「n」)を決定することができる。たとえば、POLYが約10,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールの場合、(n)の値は約227であり;POLYが約20,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールの場合、(n)の値は約454である、などである。
【0089】
式(I)を参照して、ポリマー試薬は、リンカー部分、Xを含み得る。リンカー部分は、存在する場合、水溶性ポリマーと、R
2の存在又は非存在に応じて、R
2とR
1N又はNR
1との間に形成された窒素含有複素環
【化16】
のいずれかとの間に挟まれる。いくつかの実施形態では、Xは存在しない。1つ又はそれ以上のさらなる実施形態では、X及びR
2の両方が存在しない。いくつかの他の実施形態では、Xは存在する。1つ又はそれ以上のさらなる実施形態では、X及びR
2の両方が存在する。好ましくは、Xは、加水分解的に安定なリンカーである。リンカー部分は、単一の原子又は原子の集合を含み得る。一般に、リンカー部分(本明細書でときには単に「リンカー」と称される)、Xは、約1個の原子~約25個の原子、又は約1個の原子~約20個の原子の原子長を有する。いくつかの実施形態では、リンカー部分は、約2個の原子~約10個の原子の鎖長を有する。代表的なリンカーは、約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個の原子の長さを有する。原子の集合の鎖長を参照すると、-CH
2-は、たとえば、メチレン基自体は合計3つの原子を含むが、水素原子が炭素上の置換基であるため、1つの原子の長さを有するとみなされ、-CH
2CH
2-は、たとえば、2つの炭素原子の鎖長を有するとみなされる、などである。同様に、-OC(O)-は、2つの原子の長さを有するとみなされ、一方、-OC(O)-NH-は、3つの原子の長さを有するとみなされる、などである。例示的なリンカー部分は、たとえば、-O-、-S-、-NH、-C(O)-、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、-O-C(O)-NH-、-O-C(O)-NHCH
2-、-C(S)-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2、-O-CH
2-、-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-、-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-C(O)-O-CH
2-、-CH
2-CH
2C(O)-O-CH
2-、-C(O)-O-CH
2-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-、-C(O)-NH-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2-、-O-C(O)-NH-CH
2CH
2、-O-C(O)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-NH-CH
2-、-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-CH
2-、C(O)CH
2-、-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(O)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-NH-(CH
2)
0-6-(OCH
2CH
2)
0-2-、C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-NH-C(O)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(O)-、-O-C(O)-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-、-O-C(O)-CH
2-CH
2-CH
2-、-S-C(S)-、-C(S)S-、-C(S)-NH-、-NH-C(S)-NH-、-S-C(S)-NH-、-S-C(S)-NHCH
2、-C(S)-、-S-CH
2-、-CH
2-S-、-S-CH
2-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-CH
2-CH
2-S-、-S-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-S-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-S-、-S-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-S-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-S-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-S-、-C(S)-NH-CH
2-、-C(S)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(S)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(S)-NH-、-C(S)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-、-C(S)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-、-C(S)-S-CH
2-、-CH
2-C(S)-S-CH
2-、-CH
2-CH
2C(S)-S-CH
2-、-C(S)-S-CH
2-CH
2-、-NH-C(S)-CH
2-、-CH
2-NH-C(S)-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(S)-CH
2-、-NH-C(S)-CH
2-CH
2-、-CH
2-NH-C(S)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-NH-C(S)-CH
2-CH
2-、-C(S)-NH-CH
2-、-C(S)-NH-CH
2-CH
2-、-S-C(S)-NH-CH
2-、-S-C(S)-NH-CH
2CH
2、-S-C(S)-NH-CH
2-CH
2-CH
2-、-C(S)CH
2-、-C(S)-CH
2-CH
2-、-CH
2-C(S)-CH
2-、-CH
2-CH
2C(S)-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(S)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-C(S)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(S)-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(S)-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-C(S)-NH-CH
2-CH
2-NH-C(S)-CH
2-CH
2-、-S-C(S)-NH-(CH
2)
0-6-(OCH
2CH
2)
0-2-,C(S)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(S)-、-NH-C(S)-NH-(CH
2)
1-6-NH-C(S)-、-S-C(S)-CH
2-、-S-C(S)-CH
2-CH
2-、-S-C(S)-CH
2-CH
2-CH
2から選択されるものなどの原子又は原子の群を含むことができる。リンカー部分はまた、前述した原子又は原子の群の任意の2つ以上の組み合わせを、任意の配向で含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、リンカー部分は、一般構造:~(CH2)a(O)b[C(O)]c(NH)d(CH2)e~によって特徴付けられ、式中、(a)は、0~6の値を有する整数であり;(b)は0又は1であり;(c)は0又は1であり;(d)は0又は1であり;(e)は、0~6の値を有する整数であり、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の少なくとも1つは、正の整数である(すなわち、ゼロではない)。たとえば、いくつかの実施形態では、(a)はゼロであり、(b)、(c)、(d)、及び(e)はすべてゼロではく、したがってリンカーは構造:~OC(O)NH(CH2)1~6~を有し、例示的なリンカーは:~OC(O)NHCH2~、~OC(O)NH(CH2)2~、~OC(O)NH(CH2)3~、~OC(O)NH(CH2)4~、~OC(O)NH(CH2)5~、及び~OC(O)NH(CH2)6~から選択される構造を有する。いくつかの他の実施形態では、(a)及び(e)の両方がゼロであり、したがってリンカーは構造:~OC(O)NH~を有する。いくつかの他の実施形態では、(a)、(d)、及び(e)はゼロである一方、(b)及び(c)は両方とも1であり、したがってリンカーは構造:~OC(O)~を有する。いくつかの他の実施形態では、(a)、(b)、(c)及び(d)は1であり、(e)はゼロであり、したがってリンカーは構造:~(CH2)1~6OC(O)NH~を有する、などである。したがって、いくつかの実施形態では、リンカー部分は、~OC(O)~、~OC(O)NH~、及び~O-C(O)NH(CH2)1~6~(すなわち、~O-C(O)NH(CH2)~、~O-C(O)NH(CH2)2~、~O-C(O)NH(CH2)3~、~O-C(O)NH(CH2)4~、~O-C(O)NH(CH2)5~、又は~O-C(O)NH(CH2)6~)から選択される。たとえば、例示的な試薬2’、7’、8’及び9’を参照されたい。
【0091】
式(1)のポリマー試薬
【化17】
を参照して、R
1は、窒素原子(すなわち、~C(Y)Zに隣接する窒素原子)に結合した有機基であり、場合によっては、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環
【化18】
を形成することができる。R
2は、存在しないか、又は存在する場合、R
1(すなわち、R
1-N)と一緒になって、窒素含有複素環を形成する。R
1は、たとえば、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換ヘテロアルキル、置換及び非置換シクロヘテロアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換ヘテロアリール、並びに置換及び非置換ヘテロアラルキルから選択されてもよい。例示的な有機基としては、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル(それぞれ、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルから独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている)が挙げられる。
【0092】
いくつかの特定の実施形態では、たとえば、R2が存在しない場合、R1は、低級アルキル(C1~C6アルキル)、ハロ置換(たとえば、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換)低級アルキル、ベンジル、ハロ置換ベンジル、及びニトロ置換ベンジルから選択される。好ましい実施形態において、ハロ置換された基、たとえば、ハロ置換低級アルキル又はハロ置換ベンジルは、1つ又はそれ以上のフルオロ又はクロロ原子で置換されている。たとえば、ハロ置換ベンジルは、ベンジル環上に1、2、3、4若しくは5つのハロ置換基を有し得、及び/又はベンジルメチレン基上に1つ又はそれ以上のハロ置換基を有し得る。ベンジルフェニル環上の置換基は、任意の位置、すなわち、任意の利用可能な環炭素上にあり得る。いくつかの実施形態では、R1上の1つ又はそれ以上の置換基は、電子吸引性である。いくつかのさらなる実施形態では、R1上の1つ又はそれ以上の置換基は、フッ素である。例示的な置換R1基は、たとえば、~CH2X、CHX2、~CH2CH2X、~CH2CHX2、~CH2CX3、CHXCH3、~CX2CH3、~CHXCH2X、~CHXCHX2、CHXCX3、~CH2CH2CH2X、~CH2CH2CHX2、~CH2CH2CX3を含み、各Xは、独立してハロ(たとえば、F、Cl、Br、I)である。いくつかの実施形態では、各Xは、同じハロである。いくつかの好ましい実施形態では、各Xは、フルオロである。たとえば、それぞれR1基~CH2CH2F、~CH2CHF2、~CH2CHF3、及び~CH2C6F5を有する例示的な試薬3’、4’、5’及び6’を参照されたい。
【0093】
いくつかの他の実施形態では、R2は存在し、R1-Nと一緒になった場合、窒素含有複素環、すなわち、非芳香族窒素含有複素環を形成し、窒素含有複素環は、置換され又は非置換であり得る。窒素含有複素環は、飽和又は不飽和であり得、複素環式環原子の1つ(N-R1以外)は、X(存在する場合)又はPOLYに結合している。1つ又はそれ以上の好ましい実施形態では、窒素含有複素環は飽和である。適切な窒素含有複素環は、たとえば、4、5、6又は7つの複素環環原子を含み得、3つまでの窒素(たとえば、1つ、2つ又は3つ)の窒素環原子を含み得る。いくつかの実施形態では、窒素含有複素環は、1つの窒素原子(すなわち、~N-R1)を含む。さらなるいくつかの他の実施形態では、窒素含有複素環は、2つの窒素原子を含む。窒素含有複素環は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、窒素含有複素環は、1つ又はそれ以上の環位置において、低級アルキル、置換低級アルキル、アラルキル、又は置換アラルキル、たとえば、ハロ置換低級アルキル又はハロ置換アラルキルなどで置換されている。いくつかの好ましい実施形態では、置換された窒素含有複素環は、一置換又は二置換されている。いくつかの特定の実施形態では、置換された窒素含有複素環は、一置換されている。いくつかのさらなるより特定の実施形態では、窒素含有複素環は、フルオロ置換低級アルキルで一置換されている。1つ又はそれ以上の追加の好ましい実施形態では、R2が存在する(したがって、R1-Nと一緒になった場合、窒素含有複素環を形成する)場合、Xも存在する。
【0094】
R
2をR
1と一緒にして形成される例示的な窒素含有複素環には、例示的な非置換窒素含有複素環について以下に示すように、アゼチジン、置換アゼチジン、ジアゼチジン、置換ジアゼチジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾリジン、置換イミダゾリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、モルホリン、置換モルホリン、ジアジナン(1,2-、1,3-、1,4-ジアジナン)置換ジアジナン、トリアジナン(1,2,3-、1,2,4-、1,3,5-)、置換トリアジナン、アゼパン、置換アゼパン、ジアゼパン(1,2-、1,3-、1,4-)、及び置換ジアゼパンなどが含まれ、
【化19】
は、-C(Y)Zへの結合を示し、任意の1つ又はそれ以上の環位置は、上述した置換基を含むことができる。以下に示される例示的な窒素含有複素環は、POLY-(X)
0,1~に結合した炭素又は窒素環原子において、水素がPOLY-(X)
0,1~への結合によって置き換えられることが理解されるであろう。
【化20】
いくつかの好ましい実施形態では、R
2は、R
1と一緒になってピペリジン又は置換ピペリジンを形成する。いくつかの他の好ましい実施形態では、R
2は、R
1と一緒になってジアジナン又は置換ジアジナン、たとえば、ピペラジン又は置換ピペラジンなどを形成する。
【0095】
したがって、たとえば付随する実施例に提供される例示的なポリマー試薬は、式(I)による以下の窒素含有複素環:
【化21】
を含んで、対応するポリマー試薬:
【化22】
を形成する。たとえば、試薬2、7、8及び9を参照されたい。
【0096】
式(I)を参照して、Yは酸素(O)又は硫黄(S)である。いくつかの好ましい実施形態では、YはOである。
【0097】
上述したように、ポリマー試薬は、脱離基、Zを含む。脱離基は、置換反応などの反応中に分子の残りの部分から置き換えられる原子又は原子の集合(たとえば、官能基)である。脱離基、Zは、Zと一緒になって~C(Y)により形成されるポリマー試薬の反応性基内に含まれ得る。たとえば、ヒスチジンアミノ基などのアミノ基を有する活性薬剤とのポリマー試薬の反応(たとえば、バイオコンジュゲーション反応において)後、Zは脱離基として機能する。適切な反応性基には、とりわけ、たとえば、テトラゾール、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、カルボジイミド、アシルアジド、カーボネート、ヨードエステル、フルオロフェニルエステル、ベンゾトリアゾール、及びパラ-ニトロフェニルカーボネートが含まれる。そのような反応性基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、NHSカーボネートエステル、スクシンイミジルスクシネート、スクシンイミジルグルタレート、パラ-ニトロフェニルカーボネート、及びベンゾトリアゾールカーボネートが挙げられる。適切な脱離基、Zとしては、とりわけ、たとえば、テトラゾール、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、アシルアジド、フルオロフェノール、ベンゾトリアゾール、ニトロフェノール、及びトリアゾールが挙げられる。
【0098】
1つ又はそれ以上の実施形態において、好ましい脱離基は、たとえば、フェニルテトラゾール及びベンゾトリアゾールなどのテトラゾールを含む。いくつかの特に好ましい実施形態では、脱離基は、置換ベンゾトリアゾール又はフェニルテトラゾール若しくは置換フェニルテトラゾール、たとえば5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール(BTMP)である。
【0099】
フェニルテトラゾール脱離基は、以下のような構造を有し得る:
【化23】
(式中、g、h、i、j及びkは、それぞれ独立して0又は1(0は非存在を示し、1は存在を示す)であり、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から選択される)。たとえば、フェニルテトラゾール脱離基は、非置換(すなわち、、h、i、j、及びkは、それぞれ0である)であり得る。或いは、フェニルテトラゾールは、フェニル環上に(たとえば、炭素2(C2)に、炭素3(C3)に、又は炭素4(C4)に)単一の置換基を有し得る。いくつかのさらなる実施形態では、フェニル環は、2つの置換基(たとえば、炭素2(C2)及び炭素3(C3)に、炭素2(C2)及び炭素4(C4)に、炭素3(C3)及び炭素5(C5)に、炭素3(C3)及び炭素4(C4)に、又は炭素2(C2)及び炭素6(C6)に)を有した。フェニルテトラゾールはまた、フェニル環上に(たとえば、C2、C3及びC4に;又はC2、C3、及びC5に;又はC2、C3及びC6に;又はC2、C4、及びC6に;又C3、C4及びC5に;又はC3、C4、及びC6に)3つの置換基を有し得る。またいくつかのさらなる実施形態では、フェニルテトラゾール脱離基は、フェニル環上に(たとえば、C2、C3、C4及びC5に;又はC2、C3、C5及びC6に;又はC2、C3、C4及びC6に)4つの置換基を有し得る。さらなるいくつかの追加の実施形態では、フェニルテトラゾール脱離基は、フェニル環上に5つの置換基を有し得る。フェニル環上に1つを超える置換基を有する、上述したような置換フェニルテトラゾールに関して、置換基は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい(又は組み合わせであってもよく、ここで2つ以上の置換基は同じであり、さらなる置換基は前者とは異なる)。いくつかの好ましい実施形態では、フェニル環上の1つ又はそれ以上の置換基は、トリフルオロメチルである。より特定の好ましい実施形態では、脱離基は、以下に示すような、C3及びC5にトリフルオロメチル置換基を有する二置換フェニルテトラゾール(すなわち、5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール(BTMP))である:
【化24】
【0100】
例示的なヒスチジン選択的ポリマー試薬は、さらに表1及び実施例に記載される。表1に提供されるように、多様な構造的特徴を有するポリマー試薬が調製されている。本開示による例示的なポリマー試薬は、以下に示され、式中、POLYは水溶性ポリマー(好ましくはポリ(エチレングリコール)ポリマー)であり、LGは、前述したような脱離基である:
【化25】
【0101】
より特定の例示的なポリ(エチレングリコール)ポリマー試薬は、以下を含む:
【化26】
【化27】
式中、各(n)は、独立して:約2~約2,273;約4~約1800;約11~1590;約23~約1363;約113~約568;約113~約682;約113~約1136;約227~約1363;約227~約1136;約454~約1136;約454~約909;及び約454~約1818からなる群から選択される範囲内にあり;LGは、前述したような脱離基である。1つ又はそれ以上の好ましい実施形態では、脱離基は、5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール(BTMP))である。
【0102】
作製方法
本明細書に記載される一般構造及び機能的特徴を有するヒスチジン選択的ポリマー試薬は、本開示に照らして従来の有機及びポリマー化学技術を用いて合成することができる。例示的なポリマー試薬1~8(及びそれらの対応するコンジュゲート)の合成は、付随する実施例に記載され;式Iによる追加のポリマー試薬は、同様に調製することができる。本明細書で例示したものとは異なる合成戦略及びアプローチも、本発明によるポリマー試薬の調製に使用することができ、本明細書に提供される構造及び支持情報に基づいて、そのような代替的な合成は、合成有機化学の当業者のレベルの範囲内であることが理解されるであろう。
【0103】
本開示によるヒスチジン選択的ポリマー試薬は、適切な水溶性ポリマー出発材料から調製することができる。好ましい実施例として水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールを採用し(任意の適切な水溶性ポリマーを同様に官能化することができると認識した上で)、対象ヒスチジン選択的ポリマー試薬は、ポリ(エチレングリコール)、又は好ましくはエンドキャップされたポリ(エチレングリコール)、たとえば、メトキシ(ポリエチレングリコール)などの出発材料から調製することができ、ここでポリマーは、本明細書に前述したように、直鎖、分岐などであり得、それにより~(X)0,1-(R2)0,1-N(R1)-C(Y)-Zの特徴をポリマーに導入することができる。
【0104】
たとえば、式(I)によるポリマー試薬、たとえば、例示的な試薬1、3、4、5及び6(ここでX及びR2は存在しない)の合成では、適切なポリ(エチレングリコール)出発材料、たとえばメトキシポリエチレングリコール(「mPEG-OH」)を、ヒドロキシ末端を良好な脱離基に変換するのに有効な試薬と反応させ得る。例示的な脱離基としては、トシレート(p-トルエンスルホネート)、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、メシレート(メタンスルホネート)、クロリド、ブロミドなどが挙げられ、対応する試薬を使用して導入することができる。たとえば、メトキシ(ポリエチレングリコール)を、末端ヒドロキシを良好な脱離基で置き換えるのに有効な条件下で、たとえば、メシル塩、トシル塩、若しくはトリフレート塩、たとえば、それぞれ塩化メシル、塩化トシル、若しくは塩化トリフレート、又は他の適切な試薬と反応させ得る。たとえば、実施例1.1を参照されたい。良好な脱離基を有する得られたポリマー中間体を、次いで適切なアミン(又は対応するアミン塩)と反応させることによって脱離基を置き換え、ポリマー試薬の対応する(~NR1)部分を導入することができ、ここでR1は有機基(本明細書の他の箇所に詳細に記載されている)であり、R2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成し得る。そのような変換は、単一の転換により行うことができ、又は1つを超える転換ステップを必要とし得る。いくつかの好ましい実施形態では、R1は、低級アルキル、ハロ置換低級アルキル、ベンジル、又はハロ置換ベンジルであり、ベンジル環は1~5つのハロ置換基(たとえば、フルオロ、クロロ、又はブロモ)を有する。例示的なアミン試薬は、NH2R1(その塩形態を含む)を含む。反応は、塩基性条件下、たとえば、化学転換の詳細に応じて、約11.0~14.0、又は約12~14の範囲のpHで行うことができる。所望のポリマー-アミン中間体を次いで典型的には回収し、所望であればさらに精製することができる。例示として、メチルアミン塩酸塩を使用して試薬1のポリマーアミン中間体(mPEG-NHCH3)を形成し;2-フルオロエチルアミン塩酸塩をアミン反応体として使用して試薬3のポリマーアミン中間体(mPEG-NHCH2CH2F)を形成し;2,2-ジフルオロエチルアミンをアミン反応体として使用して試薬4のポリマーアミン中間体(mPEG-NHCH2CHF2)を形成し、水酸化アンモニウムをアミン反応体として使用して試薬5の前駆体ポリマーアミン中間体、mPEGアミンを形成した後、トリフルオロ酢酸無水物と反応させることによって、アミノ窒素上へのトリフルオロ酢酸塩基の導入を促進し、その後、適切な還元剤(たとえば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素又はジボランなどのボラン)で還元して試薬5のポリマーアミン中間体、mPEG-NHCH2CF3を形成した。或いは、出発材料として使用される多様な分子量を有するPEGアミンは、Creative PEGWorks又はNOF America Corporationなどの販売会社から購入することもできる。前駆体PEGアミン、mPEGアミンはまた、mPEGアミンを還元剤の存在下、ペンタフルオロベンゼン反応体、ペンタフルオロベンズアルデヒドと反応させることによって、試薬6のポリマーアミン中間体、mPEG-NHCH2C6F5の調製に使用することができる。多様なR1基を有する他のポリマーアミン中間体は、本明細書に記載されるポリマー試薬を調製するために同様に調製することができ、ここで適切なR1基は、たとえば、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換シクロアルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換シクロアルケニル、置換及び非置換アルキニル、置換及び非置換ヘテロアルキル、置換及び非置換シクロヘテロアルキル、置換及び非置換アリール、置換及び非置換アラルキル、置換及び非置換ヘテロアリール、並びに置換及び非置換ヘテロアラルキルを含み;より詳細には、例示的なR1基は、たとえば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル(それぞれ、ハロ、アルキルハロ、ヒドロキシ、アルキルヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフヒドリル、アルキルスルフヒドリル、ニトロ、アルキルニトロ、シアノ、アルキルシアノ、チオシアノ、アルキルチオシアノ、イミノ、アルキルイミノ、カルバメート、アルキルカルバメート、ホスフェート、アルキルホスフェート、アルキルカルボニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アルコキシカルボニル、チオアルキル、チオエステル、及びアルキルチオエステルからなる群から独立して選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換される)を含む。
【0105】
例示的な試薬2、7、8及び9(ここでX及びR2は両方とも存在し、さらにXはエステル官能基、~OC(O)~を含み、R1及びR2は、一緒になって窒素含有複素環を形成する)などの試薬の合成では、対応するヒスチジン選択的試薬をポリ(エチレングリコール)活性化エステル出発材料、たとえばメトキシポリエチレングリコールスクシンイミジルカーボネート又はメトキシポリエチレングリコールクロロギ酸エステルから調製することができる。このような活性化水溶性ポリマー試薬を、次いでアミン含有化合物、たとえばアミン含有複素環と反応させて、対応するアミドを形成することができ、ここで試薬2及び9の場合と同様、得られたアミドアミノ基は窒素含有複素環(例示的な試薬2及び9の場合、ピペラジン)の一部を形成する。或いは、新たに形成されたアミド基の窒素原子は、窒素含有複素環の一部を形成しなくてもよいが、そこに近接し得(たとえば、試薬7を参照されたい)、又は、例示的な試薬8の場合のように、それと窒素含有複素環との間に、1つ又はそれ以上の介在する原子又は一連の原子を有し得る。例示的な試薬は、たとえば、-OC(O)-、-OC(O)-NH-、及び-OC(O)-NH-(CH2)1~6などのX基を含むが、Xはこの点に関して限定されない。
【0106】
活性化PEGエステルは、メトキシPEG-OH(又は任意の他の適切にエンドキャップされた水溶性ポリマー)から直接調製することができ、又はたとえば、Axis Pharm(San Diego、CA)及びNOF America Corporation(San Mateo、CA)などの商業的供給源から購入することができる。mPEG活性化エステル試薬、たとえばmPEG-SC(メトキシPEGスクシンイミジルカーボネート、mPEG NHSエステルとも称される)の調製は、メトキシPEG-OHを適切なエステル活性化剤、たとえばN、N’-ジスクシンイミジルカーボネートと適切な有機溶媒又は溶媒の混合物中で反応させることによって行うことができる。同様に、mPEGクロロギ酸エステルは、メトキシPEG-OHをホスゲンと適切な有機溶媒又は溶媒の混合物中で無水条件下で反応させることによって調製することができる。他の活性化PEG試薬も同様に調製することができる。活性化PEG試薬の形成後、場合によりリンカー、Xを介した窒素含有複素環の導入を行うことができ、又は代替的に、インサイチュ環形成反応を行うことができる。たとえば、mPEG活性化エステルをアミン含有複素環、好ましくは4、5、6又は7つの環原子を含むアミン含有複素環と反応させてPEG-X-R
2-NR
1Hを形成することができる。例示的な複素環としては、アゼチジン、置換アゼチジン、ジアゼチジン、置換ジアゼチジン、ピロリジン、置換ピロリジン、イミダゾリジン、置換イミダゾリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、ジアジナン、置換ジアジナン、トリアジナン、置換トリアジナン、アゼパン、置換アゼパン、ジアゼパン及び置換ジアゼパンが挙げられるが、これらに限定されず;いくつかの好ましい複素環は、ピペリジン及びピペラジン(その置換形態を含む)を含む。実例的な実施例2では、mPEG活性化エステルを有機溶媒中で例示的な窒素含有複素環、ピペラジンと反応させて、対応する窒素含有複素環官能化PEG中間体を形成する。実施例7では、mPEG活性化エステルを、ブチル化ヒドロキシトルエン及び塩基の存在下、不活性雰囲気下でアミノ置換窒素含有複素環、4-アミノピペリジンと反応させて、対応する窒素含有複素環官能化PEG中間体を形成し、ここでピペリジンアミノ基は、非環アミノ基と活性化PEG試薬とのカップリングを促進するために保護形態にあった。実施例8では、mPEG活性化エステルを、ブチル化ヒドロキシトルエン及び塩基の存在下、不活性雰囲気下でアミノ置換窒素含有複素環、より詳細には、アルキルアミノ置換窒素含有複素環、4-アミノメチルピペリジンと反応させて、対応する窒素含有複素環官能化PEG中間体を形成し、ここでピペリジンアミノ基は、非環アミノ基と活性化PEG試薬とのカップリングを促進するために保護形態にあった。実施例9では、活性化PEG試薬、メトキシポリエチレングリコールクロロギ酸エステルを、塩基の存在下、有機溶媒中でハロアルキル置換基を含む窒素含有複素環、トリフルオロメチル-ピペラジンと反応させた。反応は不活性雰囲気下で行い;2-トリフルオロメチルピペラジン環の4-アミノ基は保護形態にあった。窒素含有複素環反応体、4-アミノ-ピペリジン(たとえば、保護形態にあり得る)、4-アミノメチル-ピペリジン(たとえば、保護形態にあり得る)、及び2-トリフルオロメチル-ピペラジン(たとえば、保護形態にあり得る)は例示であり;他の窒素含有複素環又は置換窒素含有複素環反応体を同様に使用して窒素含有複素環含有PEG(又は他の適切な水溶性ポリマー)中間体
【化28】
を形成することができる。保護基の除去後(存在する場合)、次いで中間体を回収し、場合によりさらに精製することができる。たとえば、PEG中間体は、たとえば、PEG中間体の溶解度が低い又はPEG中間体が実質的に溶解性を有さない溶媒、たとえばエーテル(たとえば、メチルtert-ブチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、イソプロピルアルコール、又は類似の有機溶媒を使用して、沈殿後回収することができる。PEG中間体の追加の精製も、クロマトグラフィーなどの従来の精製技術を用いて行うことができる。
【0107】
ポリマーアミン中間体、POLY-(X)0,1-(R2)0,1-N(R1)Hの形成後、カルボニル官能基(~C(Y)~)を導入するアミノ基の官能化を、適切な反応体、たとえば、ホスゲン、ジホスゲン、又はトリホスゲンなどのホスゲンを用いて行うことができ;他の適切な反応体としては、金属カーボネート/CO2、ジメチルカーボネート、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)、ベンゾトリアゾリルカーボネートなどが挙げられる。たとえば、対応するポリマーハロゲン化カルバモイル(たとえば、塩化カルバモイル)又は他のポリマーカルバモイル中間体を形成するための、カルボニル基の導入に続いて、所望であれば、反応性脱離基(Z)を導入して所望のヒスチジン選択的ポリマー試薬を形成することができる。適切な反応性脱離基としては、とりわけ、たとえば、テトラゾール、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、塩化スルホニル、カルボジイミド、アシルアジド、カーボネート、ヨードエステル、エポキシド、フルオロフェニルエステル、無水物、ベンゾトリアゾール、及びパラ-ニトロフェニルカーボネートが挙げられる。好ましい脱離基としては、たとえば、置換ベンゾトリアゾール又は置換フェニルテトラゾール、たとえば5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール(BTMP)が挙げられる。
【0108】
調製されたら、ポリマー試薬を単離することができる。公知の方法、たとえば沈殿を用いてポリマー試薬を単離することができる。たとえば、減圧下での蒸発により、ポリマー試薬を含有する粗生成物の混合物から溶媒を除去又は実質的に除去して粗生成物の残留物を提供し、その後、ポリマー試薬の沈殿を達成するのに適した溶媒を加えることができる。ポリマー試薬の沈殿に適し得る溶媒としては、たとえば、メチル-tert-ブチルエーテル及びジエチルエーテルなどのエーテル、並びにイソプロピルアルコールなどのアルコールが挙げられる。追加の精製が所望の場合、ポリマー試薬(及び、所望であれば、ポリマー試薬をもたらすポリマー中間体)は、当技術分野で公知の標準的な精製方法、たとえばクロマトグラフィーを用いてさらに精製することができる。適切なクロマトグラフィー方法としては、たとえば、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、順相及び逆相クロマトグラフィーが挙げられる。
【0109】
試薬、反応条件、溶媒、温度、単離及び精製技術などを含む例示的な合成は、実施例1~9に提供される。
【0110】
コンジュゲート
本開示はまた、式(I)のポリマー試薬を、活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基とポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進するのに有効な条件下で、1つ又はそれ以上のアミノ基を含む活性薬剤、たとえば生物学的に活性な薬剤又は表面と反応させることによって得ることができる/得られるコンジュゲートを含む。好ましい実施形態において、コンジュゲートは、水溶性ポリマー試薬と活性薬剤との間の結合が尿素-イミダゾリル又はチオ尿素-イミダゾリル部分を含み、且つイミダゾリル基が活性薬剤のヒスチジン残基の一部を形成するように、式(I)のポリマー試薬を、アミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含む活性薬剤と反応させることによって得ることができる/得られる。
【0111】
本開示によるコンジュゲートは、好ましくは式(II)に対応する:
【化29】
(式中、POLYは水溶性ポリマー(たとえば、ポリ(エチレングリコール)又はメトキシポリ(エチレングリコール))であり;Xはリンカー部分であり;R
1は有機基であり、R
2と一緒になった場合、窒素含有複素環を形成することができ;R
2は、存在する場合、R
1と一緒になって窒素含有複素環を形成し;Yは、O及びSから選択され;R’はH又は有機基であり、
【化30】
は、アミノ基(NR’)を含む活性薬剤である)。コンジュゲート成分POLY、X、R
2、R
1及びYは、上述し、且つ本明細書の他の箇所に記載されたあらゆる実施形態を包含する。水溶性ポリマーセグメント、POLYは、たとえば、約200ダルトン~約80,000ダルトン、又は約500ダルトン~約70,000ダルトン、又は約1,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約2,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約30,000ダルトン、又は約5,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約60,000ダルトン、又は約10,000ダルトン~約50,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約50,000ダルトン、約20,000ダルトン~約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有することができる。いくつかのより特定の実施形態では、POLYは、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、2,500ダルトン、3,000ダルトン、5,000ダルトン、7500ダルトン、10,000ダルトン、15,000ダルトン、20,000ダルトン、25,000ダルトン、30,000ダルトン、40,000ダルトン、50,000ダルトン、55,000ダルトン、及び60,000ダルトンからなる群から選択される重量平均分子量を有する。好ましい実施形態において、~N-R’は、Aと一緒になった場合、活性薬剤に含まれるヒスチジンのイミダゾリル環に含まれるアミンである。活性薬剤は、好ましくは、たとえば、小分子、ペプチド及びタンパク質を含む生物学的に活性な薬剤である。好ましくは、活性薬剤は、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質であり、これは天然に存在し得るか、又は、たとえば、部位指向性変異誘発などの公知のタンパク質工学技術を用いて標的タンパク質若しくはペプチドに(付加又は置換により)導入され得る。
【0112】
したがって、活性薬剤のヒスチジンとの反応により形成されるコンジュゲートについて、コンジュゲートは、好ましくは以下の式に対応するであろう:
【化31】
ここで、式(II)を参照して、A-NR’は、ヒスチジン残基(単一のアミノ酸として上記の式に示されるが、ヒスチジンはペプチド又はポリペプチド鎖内に含まれ得ることが理解される)を含む活性薬剤であり、POLY、X、R
2、R
1、及びYは、前述したとおりである。ペプチド又はポリペプチド(たとえば、タンパク質)内に含まれるヒスチジンをより詳細に示す式を、下記に示す:
【化32】
コンジュゲーションは、ヒスチジンイミダゾール環上のいずれかの窒素で行われ得、前述した構造は、両異性体を包含することが意図されることを理解するべきである。異性体コンジュゲート(ヒスチジンに対する共有結合の位置に関して)のそれぞれの構造を以下に提供し;イミダゾール環の窒素原子(Nε2)の立体障害が少ないと思われるため、すぐ下の構造に示される共有結合が好ましい可能性があることが想定されるが、他の環窒素、Nδ1(下記の第2の構造を参照)における置換も起こり得る。
【化33】
上記の2つの構造は、ペプチド又はポリペプチド鎖内(たとえば、アミノ酸の配列中)にヒスチジンを含む活性薬剤を包含することが意図されるが、さらに明確にするために、以下の2つの構造は、より長いアミノ酸配列内、たとえばペプチド又はポリペプチド中に含まれるヒスチジンの存在をより詳細に示す。
【化34】
【0113】
例示的なコンジュゲートは、たとえば
【化35】
【化36】
を含み、式中、「His」は、活性薬剤、Aのヒスチジン残基であり、POLYは、前述したような水溶性ポリマーである。
【0114】
たとえば、POLYが直鎖ポリ(エチレングリコール)ポリマーの場合、コンジュゲートは:
【化37】
【化38】
から選択される構造を有することができる(式中、コンジュゲート11~18のそれぞれの(n)は、独立して約2~約2,273((n)の前述した下位範囲及び特定の値を含む)の範囲であり;Hisはヒスチジン残基であり、ここで結合は、ヒスチジン窒素原子にあり;A-Hisは活性薬剤、たとえば、ヒスチジン残基を含むペプチド又はタンパク質である。各(n)の値は、たとえば、約4~約1800;又は約11~約1590;又は約23~約1363;又は約113~約568;約113~約682;又は約113~約1136;又は約227~約1363;又は約227~約1136;又は約454~約1136;又は約454~約909;又は約454~約1818の範囲に含まれ得る。
【0115】
本明細書に記載されるポリマー試薬は、アミノ基を含む活性薬剤に対するコンジュゲーションに有用である。したがって、活性薬剤のコンジュゲートの調製方法も提供され、該方法は、本明細書に提供されるポリマー試薬を、活性薬剤の1つ又はそれ以上のアミノ基とポリマー試薬とのコンジュゲーションを促進するのに有効な条件下で、1つ又はそれ以上のアミノ基を含む活性薬剤と反応させることを含む。好ましくは、活性薬剤は、使用される反応条件下でポリマー試薬と反応し、それによりポリマーコンジュゲートを形成するアミノ基(「ヒスチジンアミノ基」)を含む1つ又はそれ以上のヒスチジン残基を含む。付随する実施例に示すように、たとえばペプチド又はタンパク質中のヒスチジンと選択的に反応するのに有効な、新規なポリマー試薬が本明細書に提供される。
【0116】
適切なコンジュゲーション条件は、タンパク質構造(活性薬剤がタンパク質の場合において)を実質的に維持すると共に、ポリマー試薬と活性薬剤とのコンジュゲーションを促す、時間、温度、pH、試薬濃度、ポリマー試薬の反応性、活性薬剤中の利用可能な官能基、溶媒などの条件を含む。さらに、付随する実施例に示すように、反応条件は、リシンよりもヒスチジンにおける、又は活性薬剤、たとえばタンパク質若しくはペプチドのN-末端におけるコンジュゲーションに有利なように調整され得る。当技術分野で公知のように、特定の条件は、とりわけ、活性薬剤、反応混合物中の他の材料の存在などに依存するであろう。任意の特定の場合においてコンジュゲーションを達成する反応条件は、本開示を読み、関連する文献を参照し、及び/又は日常的な実験を介して、当業者が決定することができる。
【0117】
たとえば、ヒスチジン残基(リシンよりも豊富でない)における選択的コンジュゲーションに有利にするために、コンジュゲーションは、タンパク質に対するポリマー試薬の少ないモル過剰、たとえば、ポリマー試薬の約1.1倍~20倍のモル過剰を有するように、等モル未満(たとえば、約1:20~約1:10)のポリマー試薬と活性薬剤(たとえば、タンパク質)のモル比、又はポリマー試薬とタンパク質の約1:5、若しくは約1:2モル比からほぼ等モル(約1:1)を用いて行うことができる。ポリマー試薬と活性薬剤(たとえば、タンパク質)のさらなる例示的な比は、ポリマー試薬の約1.1倍~10倍のモル過剰、又はポリマー試薬の約1.1倍~約5倍のモル過剰である。コンジュゲーションは、典型的には約0℃~約60℃、又は約0℃~約40℃、又は約0℃~約30℃、又は約0℃~約10℃であるが必ずしもそうではない幅広い温度にわたって行うことができる。反応は、たとえば、周囲温度で行うことができる。コンジュゲーション反応は、典型的には、適切な溶媒、たとえば、タンパク質又はペプチドのコンジュゲーションの場合、水性溶媒中で行われ;小分子との反応の場合、有機溶媒が使用され得る。コンジュゲーションは、適切な緩衝溶液、たとえば、リン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどのリン酸塩を含有する水溶液中で行うことができる。活性薬剤、たとえばタンパク質の濃度は、典型的には約0.1mg/ml~約5mg/ml、又は約0.5mg/ml~約2.5mg/mlの範囲である。反応のpHは、好ましくはわずかに酸性であり、約4.5~約6.8、又は約4.8~約6.8の範囲のpHである。ポリマー試薬の反応性及び活性薬剤の1つ又はそれ以上のヒスチジン残基のアクセス可能性に応じて、コンジュゲーションは、好ましくは約5.0~約6.8のpHで行われ得る。ポリマー試薬の反応性(X、R2及びR1に応じて)は変動し得るが、試薬のヒスチジン反応性は、一般に、表1に示すように、約4.5~約6.8の範囲、又はより詳細には約5.0~約6.5の範囲で、pHの増加と共に増加する傾向に従うように思われる。スペーサー、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1~内に電子吸引基を含むポリマー試薬は、電子吸引基が存在しない同じ又は類似の構造を有するポリマー試薬よりも反応性が高いように思われる。したがって、コンジュゲーション反応に使用されるポリマー試薬の反応性、並びに反応変数及び条件に応じて、反応時間は、1時間未満~数時間の範囲、場合によっては24時間まで、又はそれ以上でさえもあり得る。コンジュゲーション反応は、実質的にさらにコンジュゲーションが起こらなくなるまで進行させ、これは一般に、反応の進行を経時的に監視することによって決定され得る。反応の進行は、反応混合物からアリコートを様々な時点で引き出し、反応混合物をSDS-PAGE若しくはMALDI-TOF質量分析又は任意の他の適切な分析方法により分析することによって監視することができる。形成されたコンジュゲートの量又は残留する未コンジュゲートポリマーの量についてプラトーに達したら、反応は完了したと見なされる。
【0118】
好ましくは、単一のヒスチジン、たとえば、表面アクセス可能なヒスチジンを含むタンパク質などの活性薬剤の場合、適切な反応条件下での本開示のポリマー試薬との反応は、主にヒスチジン結合ポリマー修飾タンパク質を含む生成物の混合物をもたらし、すなわち、形成されたコンジュゲートの大部分がヒスチジン結合位置異性体であり、たとえば、コンジュゲートの少なくとも約50モルパーセント以上は、活性薬剤のヒスチジン残基に共有結合した(たとえば、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1-C(Y)~を介して間接的に)ポリマー(POLY)を含み、又はコンジュゲートの少なくとも約60モルパーセント以上は、活性薬剤のヒスチジン残基に共有結合したポリマー(POLY)を含む。場合によっては、形成されたコンジュゲートの大部分は、ヒスチジン結合位置異性体であり、たとえば、コンジュゲートの少なくとも約75モルパーセント以上は、活性薬剤のヒスチジン残基に共有結合した(たとえば、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1-C(Y)~を介して間接的に)ポリマー(POLY)を含む。場合によっては、組成物は、水溶性ポリマーPOLYがヒスチジン残基のみで活性薬剤に共有結合したコンジュゲートを含むであろう。たとえば、例示的な組成物は、形成されたコンジュゲートの大部分がヒスチジン結合位置異性体であるものを含み、たとえば、コンジュゲートの少なくとも約50モルパーセント以上が、活性薬剤のヒスチジン残基のみで共有結合した(たとえば、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1-C(Y)~を介して間接的に)ポリマー(POLY)を含み、又はコンジュゲートの少なくとも約60モルパーセント以上が、活性薬剤のヒスチジン残基のみで共有結合したポリマー(POLY)を含む。場合によっては、形成されたコンジュゲートの大部分は、ヒスチジン結合位置異性体であり、たとえば、コンジュゲートの少なくとも約75モルパーセント以上が、活性薬剤のヒスチジン残基のみで共有結合した(たとえば、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1-C(Y)~を介して間接的に)ポリマー(POLY)を含む。
【0119】
付随する実施例に示し及び前述したように、ヒスチジンと反応することができるポリマー試薬が本明細書に提供される。たとえば、破線ボックスで示される、PEG部分とBTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する多様な例示的なスペーサー基(すなわち、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)を含む例示的なヒスチジン反応性ポリ(エチレングリコール)試薬、及び、実施例10に記載されるように、5時間の反応時間における異なるpH条件(5.0、5.5及び6.5)下で形成されたコンジュゲートのパーセントに基づくそれらの反応性の表を提供する
図2を参照されたい。これらのデータは、対象ポリマー試薬のヒスチジン反応性の特徴を支持し、さらに、試薬の反応性が、所与の用途及び反応条件に適した最適な反応性のために、スペーサー部分の成分の選択によって効果的に調整することができることを示す。試薬の反応性は、一般に、所与の条件下でpHの増加と共に増加する傾向に従うように思われる。一例として、
図3は、実施例10に記載されるように、PEG部分と、例示的な~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する多様なアミノ基(X)を含む例示的なヒスチジン選択的ポリ(エチレングリコール)試薬についての、25℃でpH5.0で経時的に形成されるヒスチジン結合コンジュゲートのパーセントを示すプロットである。同様に、
図5、6及び7は、実施例10に記載されるように、PEG部分と、~C(O)BTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する多様なアミノ基(X)を含む例示的なヒスチジン選択的ポリ(エチレングリコール)試薬についての、25℃でそれぞれpH5.5、6.0及び6.5で経時的に形成されるヒスチジン結合コンジュゲートのパーセントを示すプロットである。
図8及び9に示す結果も参照されたい。
図8は、4つの異なるpH(5.0、5.5、6.0及び6.5)でのmPEG-4-アミノピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5kDとモデル化合物、カルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの反応性を示す。実施例10に記載されるように、反応性は、たとえば、pHを変化させることにより変更することができる。図に示すように、10時間後、pH5.0、5.5、6.0及び6.5では、形成されたコンジュゲートのパーセント(%)は、それぞれ4.7、15、57及び93であった。同様に、
図9は、実施例10に記載されるように、4つの異なるpH(5.0、5.5、6.0及び6.5)におけるmPEG-4-アミノメチルピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5kDと、モデル化合物、カルボキシベンジル(CBZ)-ヒスチジンとの反応性を示す。図に示すように、10時間後、pH5.0、5.5、6.0及び6.5では、形成されたコンジュゲートのパーセントは、それぞれ2.0、7、30及び68であった。これらのデータはまた、mPEG-4-アミノピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール試薬と比較して相対的に低いmPEG-4-アミノメチルピペリジン-C(O)-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール試薬の反応性を示し、ここで2つの試薬は、カルバメート窒素と、ピペリジン環の4-炭素との間に挟まれる~CH
2~基の非存在又は存在において異なり、それにより標的活性薬剤に対するポリマー試薬の選択、及び所望の用途を調整する能力を示している。
【0120】
選択的コンジュゲーションのための反応条件は、当業者によってさらに最適化することができる。本明細書に記載されるポリマー試薬のヒスチジン選択性の特徴をさらに支持するために、実施例11及び12は、例示的なポリマー試薬2が、使用される反応条件下で、モデル化合物、α-CBZ-ヒスチジン、α-CBZ-リシン、及びトリペプチド、ω-CBZ-リシン-グリシン-グリシン-OHにおいてリシンよりもヒスチジンと選択的に反応する傾向を示す。たとえば、表2にまとめた結果を参照されたい。
図11は、リン酸緩衝液中25℃で、異なるアミノ酸又はオリゴペプチド標的:α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHとモル比1:10で反応させた際の、本明細書に提供される例示的なPEG試薬、試薬2(R
2は、-NR
1と一緒になった場合、ピペラジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は、~O-C(O)-ピペラジン-C(O)~である)の選択性を示す。結果は、実施例11に記載されるように、本明細書に提供される試薬の、リシンよりもヒスチジンに対する顕著な選択性を示す。追加の証拠として、
図12は、リン酸緩衝液中25℃、モル比1:10で、異なるアミノ酸又はオリゴペプチド標的:α-CBZ-His、α-CBZ-Lys、及びω-CBZ-Lys-Gly-Gly-OHと反応した際の例示的なPEG試薬、試薬9(R
2と一緒になった場合、-NR
1はピペラジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は~O-C(O)-ピペラジン-C(O)~である)の選択性を示す。結果はさらに、実施例13に記載されるように、リシンと比較してヒスチジンに対する本明細書に提供される試薬の顕著な選択性を示す。本明細書に提供されるポリマー試薬のヒスチジン選択性のさらなる証拠を提供する、実施例13に詳細に記載される試薬7(R
2と一緒になった場合、-NR
1はピペリジンを形成し、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)~)は~O-C(O)-NH-ピペリジン-C(O)~である)のヒスチジン選択性を示す
図13も参照されたい。
【0121】
本ポリマー試薬との反応によって形成されるヒスチジン-コンジュゲートの別の顕著な特徴及び利点は、たとえば、
図4に示すように、それらの加水分解安定性である。
図4に示すように、PEG部分と、ヒスチジンに対する共有結合との間に介在する多様なスペーサー部分(~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1-C(O)-His)を含む例示的なヒスチジン結合ポリ(エチレングリコール)コンジュゲートについての加水分解安定性研究の結果を示すプロットにより、及びさらに実施例14に示すように、モデルヒスチジン含有化合物、α-CBZ-ヒスチジンと、本明細書に提供される例示的なヒスチジン選択的ポリマー試薬との反応によって形成されるコンジュゲートは、約8.0までのpHで水性緩衝液中で比較的安定である。評価され、他のコンジュゲートと比較して最も高い程度の加水分解安定性を示した尿素結合コンジュゲート、コンジュゲート10、17及び18は、場合によりR
2(存在する場合)と組み合わされたR
1が、一般式
【化39】
を参照して、メチル及びピペリジンであるものである。試験した他のコンジュゲートと比較して中程度の加水分解安定性を有するコンジュゲート11は、リンカーX、~OC(O)~に加えて、ピペラジン部分(Nと組み合わせてR
1及びR
2により形成された)を含む。試験した他のコンジュゲートと比較して中程度の加水分解安定性を同様に有するコンジュゲート14は、R
1として、~CH
2CH
2CF
3を有する。最後に、試験条件下で最も高い程度の加水分解を示すコンジュゲート、コンジュゲート16は、リンカーX、~OC(O)~に加えて、トリフルオロメチル置換ピペラジン(Nと組み合わせてR
1及びR
2により形成された)を含む。得られたコンジュゲートの加水分解安定性(所与のpH及び温度で、たとえば、生理学的条件又は生理学的条件を模倣する条件下で)は、R
1、R
2及びXの選択による影響を受け、ここで電子吸引基の存在は、より高い程度の加水分解に寄与するように思われる。したがって、本明細書に一般に記載され、且つスペーサー全体、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1~内に1つ又はそれ以上の電子吸引基又は原子を含むコンジュゲートは、そのような電子吸引部分が存在しないコンジュゲートと比較した場合、減少した加水分解安定性を示すことが予想される。したがって、ポリマー試薬(ひいては、それとの反応によって形成されるコンジュゲート)は、X、R
2及びR
1などのポリマー試薬成分の適切な選択によって、所望の標的分子又は表面との反応に最適な反応性、選択性及びコンジュゲート安定性を有するように設計することができる。
【0122】
試験した例示的なコンジュゲートなどのヒスチジンコンジュゲートは、ヒドロキシルアミンで処理された場合、非コンジュゲートヒスチジン化合物が放出される逆反応を受ける。対照的に、ヒドロキシルアミンは、典型的には、リシン結合コンジュゲートと反応してリシン-ポリマー結合を切断することによって親リシン化合物を放出することはない。
図14Aは、ヒスチジンコンジュゲート(試薬1とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製)とヒドロキシルアミンとの反応(pH7.4、25℃)を示すプロットである。このプロットは、経時的に残留するmPEG-N(CH
3)-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示している。このモデル反応では、約22時間までに、100%のコンジュゲートがα-CBZ-Hisを放出して消失している。同様に、
図14Bは、異なるヒスチジンコンジュゲート(試薬2とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製)とヒドロキシルアミンとの反応(pH7.3、25℃)を示す。このプロットは、経時的に残留するmPEG-ピペラジン-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示し、約42時間において4%のみの無傷コンジュゲートが残留している。したがって、これらの実験は、ヒドロキシルアミンの存在下での形成されたコンジュゲートの破壊によって示されるように(リシン結合コンジュゲートでは典型的には起こらないであろう)、本明細書に提供されるポリマー試薬のヒスチジン選択性をさらに支持する。
【0123】
ペプチド又はタンパク質のイプシロンアミノ基(たとえば、リシン)に対するコンジュゲーションに有利であることを所望する場合、コンジュゲーション反応は塩基性条件下、たとえば、約7.5~約10、又は約8.0~約10の範囲のpHで行われ得る。
【0124】
反応時間は、典型的には、反応の進行を経時的に監視することによって決定される。コンジュゲーション反応の進行は、反応混合物からアリコートを様々な時点で引き抜き、反応混合物をRP-HPLC、SDS-PAGE若しくはMALDI-TOF質量分析又は任意の他の適切な分析方法で分析することによって監視することができる。生成物の混合物は、クロマトグラフィー、MALDI、キャピラリー電気泳動、及び/又はゲル電気泳動などの分析方法を用いてさらに特徴付けることができる。
【0125】
次いで、得られた生成物の混合物を、好ましくは精製して、過剰なPEG若しくは他の試薬、未反応活性薬剤(たとえば、タンパク質又はペプチド)、他の可能な副生物の1つ若しくはそれ以上を低減若しくは除去し、又は異なる数の共有結合した水溶性ポリマーを有するポリマーコンジュゲートを分離する(適宜)。
【0126】
たとえば、コンジュゲート含有反応混合物を精製して、異なるコンジュゲート種を得/単離し、又は所望のコンジュゲート種、たとえば、ヒスチジン結合コンジュゲートにさらに富んだ組成物を提供することができる。
【0127】
所望であれば、異なる分子量を有するコンジュゲートを、ゲル濾過クロマトグラフィー及び/又はイオン交換クロマトグラフィーを用いて分離することができる。たとえば、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて、異なる数の水溶性ポリマーと活性薬剤の比(たとえば、1-mer、2-mer、3-merなど、ここで「1-mer」は、活性薬剤に共有結合した(たとえば、ヒスチジン残基において)1つの水溶性ポリマーなどを示す)を有するコンジュゲートを、それらの異なる分子量に基づいて、分離することができる。
【0128】
ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて未反応ポリマー試薬及び異なる分子量を有するコンジュゲートを分離することができるが、このアプローチは一般に、タンパク質又は他の活性分子に対して異なる結合部位を有する位置アイソフォームを分離するのに有効ではない。このタイプの分離を行うのに適したゲル濾過カラムは、GE Healthcare(Buckinghamshire、UK)から入手可能なSuperdex(商標)及びSephadex(商標)カラムを含む。特定のカラムの選択は、所望の分画範囲に依存するであろう。溶離は、一般に、リン酸塩、酢酸塩などの適切な緩衝液を使用して行われる。収集した画分は、多数の異なる方法、たとえば、(i)タンパク質含有量についての280nmでの吸光度、(ii)標準としてウシ血清アルブミン(BSA)を使用する染料ベースのタンパク質分析、(iii)PEG含有量についてのヨウ素試験(Sims et al.(1980)Anal.Biochem,107:60-63)、(iv)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)、次いでヨウ化バリウムによる染色、及び(v)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析することができる。
【0129】
或いは、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、上述した分離/精製を行うことができる。たとえば、溶離に適した緩衝液を用いたカチオン交換クロマトグラフィーを用いて、精製されたコンジュゲート組成物を提供することができる。カチオン交換カラム及び適切な担体は、Bio-Rad、Thermo Fisher、及びGE Healthcareを含む様々は供給業者から入手可能である。
【0130】
所望であれば、位置アイソフォームの分離は、適切なカラム(たとえば、Agilent又はVydacなどの会社から市販されているC18カラム又はC3カラム)を使用した逆相-高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を用いた逆相クロマトグラフィー、又はイオン交換カラム、たとえば、GE Healthcareから入手可能なSepharose(商標)イオン交換カラムを使用したイオン交換クロマトグラフィーによって行うことができる。このようなアプローチは、同じ分子量を有する位置異性体(すなわち、タンパク質に対する結合部位が異なる位置アイソフォーム、たとえば、ヒスチジン対リシン)の分離に使用することができる。
【0131】
得られたコンジュゲート、特にヒスチジン結合コンジュゲートは、生理学的pH(たとえば、
図4参照)を含む幅広いpH範囲にわたって安定であり、それにより容易なクロマトグラフィー精製が可能である。たとえば、PEG部分と、共有結合したヒスチジン(モデル化合物、α-CBZ-ヒスチジンの)との間に介在する多様なスペーサー部分を含むヒスチジン結合ポリ(エチレングリコール)コンジュゲートの加水分解安定性が評価された、実施例14に記載した結果を参照されたい。
【0132】
本開示はまた、本明細書に提供されるコンジュゲートと医薬賦形剤との組み合わせを含む医薬製剤も含む。一般に、コンジュゲート自体は、固体又は液体形態のいずれかであり得る1つ又はそれ以上の適切な医薬賦形剤と組み合わせることができる固体形態(たとえば、沈殿物)であろう。
【0133】
例示的な賦形剤としては、炭水化物、無機塩、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝液、酸、塩基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
医薬製剤は、全タイプの製剤、特に、注射に適したもの、たとえば、再構成できる粉末、並びに縣濁液及び溶液を包含する。組成物中のコンジュゲート(すなわち、本明細書に記載される活性薬剤とのポリマーとの間で形成されるコンジュゲート)の量は、いくつかの要因に応じて変動するが、最適には、組成物が単位用量容器(たとえば、バイアル)内に保存される場合、治療的有効用量であろう。加えて、医薬製剤は、注射器に収容され得る。治療的有効用量は、どの量が臨床的に望ましいエンドポイントを生じるかを決定するために、増加する量のコンジュゲートを反復投与することによって実験的に決定することができる。
【0135】
組成物中の任意の個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性と、組成物の特定の必要性に応じて変動するであろう。典型的には、任意の個々の賦形剤の最適な量は、日常的な実験、すなわち、様々な量(少量~多量の範囲)の賦形剤を含有する組成物を調製し、安定性及び他のパラメーターを調べ、次いで有意な有害効果を有さずに最適なパフォーマンスを得る範囲を決定することによって決定される。
【0136】
しかしながら、一般に、賦形剤は、約1重量%~約99重量%、好ましくは約5重量%~98重量%、より好ましくは約15~95重量%の賦形剤の量で組成物中に存在するであろう。
【0137】
前述したこれらの医薬賦形剤は、他の賦形剤と共に、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」,(2020)、「Physician’s Desk Reference」,PDR,LLC.,オンラインバージョン(2021)、及びKibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,9th Edition,Eds.Sheskey,P.J.,Hancock,B.C.,Moss,G.P.,Goldfarb,D.J.,The Pharmaceutical Press(2020)に記載されている。
【0138】
本開示の医薬製剤は、必ずしもそうではないが、典型的には注射を介して投与され、したがって一般に、投与直前に液体溶液又は縣濁液である。医薬製剤はまた、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤、粉末などの他の形態であってもよい。経肺、直腸、経皮、経粘膜、経口、髄腔内、皮下、動脈内などの他の投与モードも含まれる。
【0139】
前述したように、コンジュゲートは、静脈内注射により非経口的に、又はあまり好ましくないが筋肉内若しくは皮下注射により投与することができる。非経口投与に適した製剤タイプには、とりわけ、注射の準備が整った(ready-for-injection)溶液、使用前に溶媒と組み合わされる乾燥粉末、注射の準備が整った縣濁液、使用前にビヒクルと組み合わされる乾燥不溶性組成物、並びに投与前に希釈されるエマルション及び濃縮液が含まれる。
【0140】
以下の実施例は、とりわけ、(i)新規なヒスチジン選択的水溶性ポリマー試薬、(ii)そのような試薬の合成方法;(iii)リシンと比較してヒスチジンとの好ましい反応性/選択性、(iv)対象試薬との反応により形成されるコンジュゲート、及び(v)対応するコンジュゲートの生理学的条件下での加水分解安定性を示す。
【0141】
本明細書において参照されるすべての論文、本、特許、特許公報、及び他の刊行物は、それらの全体が参照によって援用される。本明細書の教示及び参照によって援用される技術の間に矛盾が生じた場合、本明細書における教示及び定義の説明が、優先されるものとする(特に、本明細書に添付される請求項において使用される用語に関して)。たとえば、本出願及び参照によって援用される公報が、同じ用語を異なって定義する場合、用語の定義は、定義について書かれている本文の教示の範囲内にとどめられるものとする。
【実施例】
【0142】
前述の説明及び続く実施例が、本明細書において提供される本発明を例証し、その範囲を限定するものではないことを意図するものであることが理解されるべきである。本発明の範囲内にある他の態様、利点、及び変更は、当業者らに明らかであろう。
【0143】
材料及び方法
本開示は、特に明記しない限り、当業者によって理解され、文献において説明される有機合成の従来の技術及びその他同種のものを利用する。以下の実施例では、使用される数(たとえば量、温度等)に関して、正確さを確実にするように努めたが、いくらかの実験誤差及び偏差が、含まれるはずである。特に明記しない限り、温度は、摂氏度とし、気圧は、海面気圧又はその付近とする。
【0144】
試薬、反応条件、溶媒、温度、単離及び精製技術などを含む例示的な合成は、付随する実施例に提供され;これらの実施例は、限定ではなく例示を意図し、本開示に照らして式(I)による多様なポリマー試薬を調製するためのガイドラインを提供する。
【0145】
ヒスチジン結合コンジュゲートに関して、コンジュゲーションは、ヒスチジンイミダゾール環上のいずれの窒素(Nε2又はNδ1)でも起こり得、示される構造は、両方の異性体が明示的に示されなくても、両方の異性体を包含することが意図されることを理解するべきである。
【0146】
PEG試薬を除いて、すべての試薬は、特に明記しない限り、市販で得た。すべてのPEG原材料は、Huntsville、ALのNektar Therapeuticsから購入した。Nektar Therapeuticsで生成されたすべてのNMRデータは、Bruker(Billerica、MA)によって製造された300又は400MHz NMRシステムを使用して得た。
【0147】
略語:
ACN アセトニトリル
anh 無水
BHT ブチル化ヒドロキシトルエン
ジ-BTC ジベンゾトリアゾイルカーボネート
DCM ジクロロメタン
DCC N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
EDAC HCl 1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、HCl
HOBT ヒドロキシベンゾトリアゾール
IPA イソプロピルアルコール
MTBE メチル-tert-ブチルエーテル
NHS N-ヒドロキシスクシンイミド
Pyr ピリジン
RB 丸底
RT 室温、20~25℃
SC スクシンイミジルカーボネート
THF テトラヒドロフラン
【0148】
実施例1
mPEG-N(CH
3)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDa(試薬1)の合成
1.1. mPEG-メシレート、5kDaの調製
【化40】
mPEG-OH 5kDa(30g、6mmol)を300mLのトルエンに溶解し、次いで溶媒を乾燥するまで留去した。残留物を300mLの無水ジクロロメタン(DCM)に溶解し、トリエチルアミン(1.25mL、9mmol)を加えた。混合物を窒素流下で5分間撹拌し、塩化メタンスルホニル(0.51mL、6.6mmol)を激しく撹拌しながら滴加した。反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度で一晩撹拌した。
【0149】
次に、溶媒を蒸発させ、600mLのイソプロピルアルコール(IPA)を加えることにより生成物を沈殿させた。沈殿物を真空濾過により収集し、減圧下で乾燥した。収量:29.2g;CDCL3中の1H NMRは、完全な置換を示した。1H NMR(CDCl3):d,ppm 4.38(m,-CH2-OMs,2H),3.65(bs,PEG骨格),3.38(s,-OCH3,3H),3.09 ppm(s,-CH3 メシラート,3H).
【0150】
1.2. mPEG-NH(CH
3)、5kDaの調製
【化41】
メチルアミン塩酸塩(19.58g、290mmol)を180mLのDI水に溶解し、溶液を0~5℃に冷却した。120mLのDI水に溶解した水酸化ナトリウム(11.6g、290mmol)を、メチルアミン塩酸塩溶液に加えた。次いで、1.0M NaOHを加えることによりpHを13~14に調整した。温度が周囲温度に上昇した後、mPEG-メシレート5kDa(29g、5.8mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で2日間撹拌した。
【0151】
次に、NaCl(30g)を加え、生成物をDCM(100mL、50mL×2)で抽出した。抽出物を無水MgSO4で乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。残留物をIPA/ジエチルエーテル(1:1;250mL)で沈殿させた。沈殿物を収集し、真空下で一晩乾燥した。収量:27g;純度約90%(D2O中の1H NMR)。
【0152】
POROS 50HSカラム(Thermo Fisher)を使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量23.5g。D2O中の1H NMRによる純度100%.1H NMR(D2O):d(ppm)3.73(bs,PEG骨格),3.41(s,-OCH3,3H),2.84(t,-CH2-N-,2H),2.43(s,CH3N-,3H).
【0153】
1.3. mPEG-N(CH
3)-CO-Cl、5kDaの調製
【化42】
mPEG-メチルアミン5kDa(3.0g、0.5900mmol)を250mLの丸底フラスコ内の50mLのトルエンに溶解した。溶媒を減圧下で乾燥するまで留去した(ロータリーエバポレーター)。乾燥した残留物を10mLの無水DCMに溶解した。40mLの無水トルエンを加えた後、9.03mL(1.78mmol)のトルエン中のホスゲン溶液を加えた。次に、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0154】
溶媒を減圧下で乾燥するまで留去し、50mLのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を加えることにより残留物(粗mPEG-N(CH3)-CO-Cl 5kDa)を沈殿させた。沈殿物を真空濾過により収集し、減圧下で一晩乾燥して2.85gの生成物を得た。CDCl3中の1H NMRによる純度95.7%.1H NMR(CDCl3):d(ppm)3.64(bs,PEG骨格),3.38(s,-OCH3,3H),3.21及び3.12(s,CH3N-,3H).
【0155】
1.4. mPEG-N(CH
3)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化43】
mPEG-N(CH
3)-CO-Cl(200mg、0.0400mmol)を、5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール(0.1200mmol)を含有するアセトニトリル溶液(1.2mL)に溶解した。ピリジン(0.48mL、6mmol)を加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0156】
次に、溶媒を減圧下で留去し、20mL MTBEを加えることにより生成物を沈殿させた。沈殿物を収集し、真空下で乾燥して172mgの所望の生成物を得た。1H NMR(CDCl3):d(ppm)8.72(s,Ar,2H),8.03(s,Ar,1H),3.64(bs,PEG骨格),3.38(s,-OCH3,3H),3.36及び3.28(s,CH3N-,3H).
【0157】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0158】
実施例2
mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDa(試薬2)の合成
2.1. mPEG-スクシンイミジルカーボネート(mPEG-SC)5kDaの調製
【化44】
mPEG-OH、5kDa(20g、4mmol)を100mLのクロロホルムに溶解し、溶媒を乾燥するまで蒸発させた。残留物を150mLの無水アセトニトリルに溶解した。次いで、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)(2.05g、8mmol)を加えた。混合物を15分間撹拌し、ピリジン(1.61mL、20mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0159】
反応混合物のサンプルをNMRにより分析し、90%置換を示し、その後、さらに追加の30%の試薬を加えた(DSC:0.62g;ピリジン:0.48mL)。反応混合物を周囲温度で6時間撹拌した。次いで、溶媒を乾燥するまで蒸発させ、300mLのIPA/エチルエーテル(7:3)の混合物を加えることにより残留物を沈殿させた。沈殿物を収集し、真空下で一晩乾燥した。
【0160】
粗生成物を40mLのDMFに溶解し(暖めながら)、160mLのMTBEを加えることにより沈殿させた。沈殿物を収集し、100mLのジエチルエーテルで洗浄し、真空下で4時間乾燥して17.3gの生成物を得た。
【0161】
17.3gの生成物を20mLのDCMに溶解し、0~5℃でIPA(200mL)で沈殿させた。沈殿物を周囲温度で15分間撹拌した。沈殿物を収集し、真空下で一晩乾燥した。収量:16.2g、純度:約100%;DCS及び遊離NHSなし(NMR)。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)4.46(m,-CH2-O-NHS,2H),3.64(bs,PEG骨格),3.38(s,-OCH3,3H),2.84(s,-CH2CH2-,NHS,4H).
【0162】
2.2 mPEG-ピペラジン、5kDaの調製
【化45】
ピペラジン(689mg、8.0mmol)を50mLのDCMに溶解した。次に、mPEG-SC、5kDa(2.0g、0.40mmol)を溶液に加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、DCMを蒸発させ、40mLのIPAを加えることにより残留物を沈殿させた。沈殿物を収集し、10mLのMTBEで洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:1.89g;末端基置換93%;(HPLC)。
【0163】
POROS 50 HSカラム(Thermo Fisher)を使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量:1.28g;HPLCは、100%の置換を示した。
1H NMR(D2O):δ(ppm)4.23(m,-CH2-O(C=O)-N-,2H),3.68(bs,PEG骨格),3.36(s,-OCH3,3H),2.80(m,-CH2-NH-CH2-,ピペラジン,4H).
【0164】
2.3 mPEG-ピペラジン-CO-Cl、5kDaの調製
【化46】
mPEG-ピペラジン5kDa(1.28g、0.2600mmol)を20mLのトルエンに溶解し、溶媒を乾燥するまで蒸発させた。残留物を10mLの無水DCMに溶解した。ピリジン(0.03mL、0.3800mmol)をPEG溶液に加え、混合物を窒素雰囲気下で0~5℃に冷却し、トリホスゲン(37.98mg、0.1300mmol)の無水DCM(10mL)溶液で処理した。トリホスゲン溶液を加えた後、溶液を0℃で1時間、次いで周囲温度で一晩撹拌した。
【0165】
溶媒を減圧下で留去し、50mLのMTBEを加えた。得られた沈殿を濾去し、真空下で乾燥して1.25gの所望の生成物を得た。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)4.26(m,-CH2-O(C=O)-N,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H).
【0166】
2.4 mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化47】
mPEG-ピペラジン-CO-Cl、5kDa(500mg、0.10mmol)を5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール(3mL、0.30mmol)のアセトニトリル溶液に溶解した。ピリジン(1.2mL、15.0mmol)を加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0167】
混合物のアリコートをHPLCにより検査し、残った出発材料は示されなかった。溶媒を減圧下で留去し、残留物を50mLのDCMに溶解した。この溶液を10% H2NaPO4+5%のNaCl(10mL×2)の溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させた。40mLのIPAを加えることにより粗生成物を沈殿させた。沈殿物を収集し、10mLのMTBEで洗浄し、真空下で3時間乾燥して430mgの所望の生成物を得た。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)8.71(s,Ar,2H),8.04(s,Ar,1H),4.30(m,-CH2-(C=O)-N-),3.65(bs,PEG骨格),3.38(s,-OCH3,3H).
【0168】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0169】
実施例3
MPEG-N(CH
2CH
2F)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDa(試薬3)の合成
3.1 mPEG-NH(CH
2CH
2F)、5kDaの調製
【化48】
2-フルオロエチルアミン塩酸塩(5g、50mmol)をDI水(100mL)に溶解した後、pHを1N NaOHでpH12.5に調整し、mPEG-メシレート5kDa(10g、2mmol、実施例1.1に記載の手順により調製)を加えた。混合物を20℃で63時間撹拌した。次いで、溶液中で10% NaClを形成するのに十分な量でNaClを加え、次いでDCM(50mL×3)で抽出した。抽出物を合わせ、MgSO
4上で乾燥した。固体を濾去し、濾液を乾燥するまで濃縮した。残留物をMTBE(50mL)から沈殿させた。粉末を濾過により収集し、IPA(30mL)で1回洗浄し、300ppmのBHTを含むMTBEで2回(20mL×2)洗浄した。固体を真空下で12時間乾燥した。収量:9.7g。
【0170】
POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量:2.45g。HPLCによる純度:96.3%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)4.50(t,-CH2-F,1H),4.38(t,-CH2-F,1H),3.50(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),2.83(t,-N-CH2-CH2F,1H),2.76(t,-N-CH2-CH2F,1H),2.68(t,-CH2-NH-,2H).
【0171】
3.2 mPEG-N(CH
2CH
2F)-CO-Cl、5kDaの調製
【化49】
mPEG-NH(CH
2CH
2F)、5kDa(1.0g、0.2mmol)を、丸底フラスコ(100mL)内の30mLのトルエンに溶解した。溶媒を減圧下で乾燥するまで留去した。残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(20mL)の混合物に溶解し、0℃でトルエン中20%ホスゲン溶液(5.0mL)に加え、無水トルエン(30mL)で希釈した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0172】
反応溶液を乾燥するまで慎重に蒸発させた。残留物をMTBE(15mL)から沈殿させた。得られた生成物をアルゴン雰囲気下で濾過により収集し、MTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で6時間乾燥した。収量:0.9g。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)4.66(dq,-CH2F,2H),3.93(dt,-N(CO)-CH2-CH2F,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H).
【0173】
3.3 mPEG-N(CH
2CH
2F)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化50】
mPEG-N(CH
2CH
2F)-CO-Cl、5kDa(0.9g)を丸底フラスコ(100mL)に加え、次いでフラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた後、5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールのアセトニトリル溶液(0.25M、5mL)(Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン雰囲気下で周囲温度で48時間撹拌した。溶媒を減圧下で乾燥するまで蒸発させ、MTBE(15mL)を加えた後、残留物を沈殿させた。粉末を濾過により収集し、IPA(10mL)及びMTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で週末にわたり乾燥した。収量:920mg。
1H NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.67(s,Ar,2H),8.02(s,Ar,1H),4.76(t,-CH
2-F,2H),4.05(t,-N-CH
2-CH
2F,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.36(s,3H).
【0174】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0175】
実施例4
MPEG-N(CH
2CHF
2)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDa(試薬4)の合成
4.1 mPEG-NH(CH
2CHF
2)、5kDaの調製
【化51】
2,2-ジフルオロエチルアミン(5.6mL、79mmol)をDI水(100mL)に溶解した。1N NaOHを加えることにより溶液のpHを12.5に調整し、次いでmPEG-メシレート、5kDa(10g、2mmol、実施例1.1に記載の手順により調製)を室温で加えた。混合物を55~60℃で63時間撹拌した。溶液中10% NaClを形成するのに十分な量でNaClを加えた後、DCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥した。固体を濾去した後、濾液を乾燥するまで濃縮した。粗生成物をMTBE(30mL)から沈殿させ、濾過し、IPA(15mL)で洗浄した後、200ppm BHTを含むMTBE(10mL×2)で洗浄した。得られた固体を真空下で12時間乾燥した。収量:9.5g。
【0176】
POROS 50HSカラム(Thermo Fisher)を使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより生成物を精製した。収量:5.1g。HPLCによる純度:100%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)5.97(t,-CHF2,1H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),2.89(t,-N-CH2-CHF2,2H),2.70(bs,-CH2-NH-,2H).
【0177】
4.2 mPEG-N(CH
2CHF
2)-CO-Cl、5kDaの調製
【化52】
mPEG-NH(CH
2CHF
2)、5kDa(3g、0.6mmol)を、丸底フラスコ(100mL)内の30mLのトルエンに溶解した。次いで、溶媒を減圧下で乾燥するまで留去し、残った残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(30mL)の混合物に溶解した。得られた溶液を0℃でトルエン(9.0mL)中20%ホスゲン溶液に加え、無水トルエン(30mL)で希釈した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0178】
溶媒を乾燥するまで慎重に蒸発させた。残留物をMTBE(15mL)から沈殿させた。沈殿した生成物をアルゴン下で濾過により収集し、MTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:2.8g。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.03(tt,-CHF2,1H),3.95(dt,-N-CH2-CHF2,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H).
【0179】
4.3 mPEG-N(CH
2CHF
2)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化53】
mPEG-N(CH
2CHF
2)-CO-Cl 5kDa(2.6g)を丸底フラスコ(100mL)に加え;次いでフラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた。次に、5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールのアセトニトリル溶液(0.25M、10mL;Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン雰囲気下で周囲温度で48時間撹拌した後、減圧下で乾燥するまで蒸発させることにより溶媒を除去した。残留物をMTBE(25mL)で沈殿させた。粉末を濾過により収集し、IPA(15mL)及びMTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:2.4g
1H NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.69(s,Ar,2H),8.03(s,Ar,1H),6.25(t,-CHF
2,1H),4.13(t,-N-CH
2-CHF
2,2H),3.90(t,-CH
2-N(CH
2CHF
2)-CO-,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.36(s,-OCH
3,3H).
【0180】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0181】
実施例5
MPEG-N(CH
2CF
3)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール5kDa(試薬5)の合成
5.1 mPEG-NH
2、5kDaの調製
【化54】
mPEG-メシレート5kDa(20g、4mmol、実施例1.1に記載の手順により調製)を、塩化アンモニウム(30g)を含む水酸化アンモニウム(500mL)と共に25℃で48時間撹拌した。NaCl(50g)及びDI水(200mL)を反応混合物に加えた後、DCM(100mL×4)で抽出した。抽出物を合わせ、1N HCl(0.5mL)で処理し、硫酸ナトリウム(15g)上で乾燥し、濾過した。濾液を乾燥するまで濃縮した。残留物をMTBE(100mL)から沈殿させた。粗生成物を濾過により収集し、IPA(25mL×2)で洗浄し、次いで200ppmのBHTを含むMTBE(25mL×2)で洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:19.0g。
【0182】
粗生成物の一部(15g)を、POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより精製した。収量12.5g。HPLCによる純度:98.5%。1H-NMRによる置換:93.0%。1H NMR(DMSO-d6):δ(ppm)3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),2.65(t,-CH2-NH2,2H).
【0183】
5.2 mPEG-NH(COCF
3)、5kDaの調製
【化55】
mPEG-アミン、5kDa(6.0g、1.2mmol)及びトリエチルアミン(1.8mL、10eq)を無水DCM(45mL)中で混合した後、撹拌しながらトリフルオロ酢酸無水物(0.72mL、4.5eq)を加えた。室温で1時間撹拌した後、溶液を乾燥するまで濃縮した。得られた残留物を、MTBE(30mL)を加えることにより沈殿させた。固体を濾過により収集し、IPA(20mL)及びMTBE(20mL×2)で洗浄した。得られた生成物を真空下で一晩乾燥した。収量:6.0g。HPLCによる純度:100%。
1H-NMR(DMSO-d
6):δ(ppm)3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH
3,3H).
【0184】
5.3 mPEG-NH(CH
2CF
3)、5kDaの調製
【化56】
mPEG-NH(COCF
3)、5kDa(6.0g、1.2mmol)及びBHT(10mg)の無水トルエン(200mL)溶液を乾燥するまで共沸蒸留した。無水THF(100mL)をフラスコに加え、氷浴内で冷却した後、THF中のボラン溶液(0.9M、30mL、27mmol)を滴加した。0℃で2時間撹拌した後、混合物をアルゴン雰囲気下で72時間還流撹拌した。
【0185】
次に、反応混合物を室温に冷却し、メタノール(100mL)を加え、混合物を還流下でさらに5時間撹拌した。溶媒の蒸発後、残留物を10% NaCl水溶液に溶解した。溶液のpHを1N NaOHで11に調整した。粗生成物をDCMで3回(50mL×3)抽出した。有機層を合わせ、MgSO4上で乾燥した。固体不純物を濾去した後、濾液を乾燥するまで蒸発させ、粗生成物をMTBE(50mL)で沈殿させた。固体沈殿を濾過により収集し、BHT(30mg)を含むMTBE(100mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:5.7g。
【0186】
次に、生成物を1N NaOH(30mL)に溶解し、溶液を室温で一晩撹拌し、上述した後処理により単離した。最後に、POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより生成物を精製した。収量:1.5g。HPLCによる純度:100%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)3.51(bs,PEG骨格),3.24(m,-OCH3 & -N-CH2-CF3,5H),2.75(q,-CH2-NH-,2H),2.25(m,-NH-).
【0187】
5.4. mPEG-N(CH
2CF
3)-CO-Cl、5kDaの調製
【化57】
mPEG-NH(CH
2CF
3)5kDa(0.9g、0.18mmol)を、丸底フラスコ(100mL)内の30mLのトルエンに溶解した。次に、溶媒を減圧下で乾燥するまで留去した。残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(20mL)の混合物に溶解した。得られた溶液を0℃で、無水トルエン(30mL)で希釈したトルエン(5.0mL)中20%ホスゲン溶液に加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0188】
反応溶液を乾燥するまで慎重に濃縮した。残留物をMTBE(50mL)から沈殿させた。生成物をアルゴン下で濾過により収集し、MTBE(5mL×2)で2回洗浄し、真空下で3時間乾燥した。収量:0.84g。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)4.34(q,-N-CH2-CF3,1H),4.21(q,-N-CH2-CF3,1H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H).
【0189】
5.5 mPEG-N(CH
2CF
3)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化58】
mPEG-N(CH
2CF
3)-CO-Cl、5kDa(0.84g)を丸底フラスコ(25mL)に加えた。次いで、フラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた後、アセトニトリル中の5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール溶液(0.25M、5mL;Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン雰囲気下で周囲温度で48時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で乾燥するまで蒸発させ、MTBE(15mL)を加えることにより残留物を沈殿させた。生成物を濾過により収集し、IPA(10mL)で洗浄した後、MTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で5時間乾燥した。収量:0.80mg。
1H NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.70(s,Ar,2H),8.03(s,Ar,1H),4.68(br,-N-CH
2-CF
3,2H),3.96(s,-CH
2-N-CH
2CF
3,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH
3,3H).
【0190】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0191】
実施例6
MPEG-N(CH
2C
6F
5)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール5kDa(試薬6)の合成
6.1. mPEG-NH(CH
2C
6F
5)5kDaの調製
【化59】
mPEG-アミン、5kDa(3g、0.6mmol、実施例5.1に記載の手順により調製)、ペンタフルオロベンズアルデヒド(700μL、10eq)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(150mg、4.2eq)をDMF(20mL)中で混合した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で30℃で蒸発させた後、残留物をMTBE(20mL)で沈殿させた。固体を濾過により収集し、IPA(15mL)、次いでMTBE(10mL×2)で順次洗浄した。フィルターケーキを真空下で2時間乾燥した。収量:3.1g。HPLCによる純度:90%。
【0192】
POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量:1.4g。HPLCによる純度:96.5%;1H-NMRによる置換:約100%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)3.82(s,-N-CH2-C6F5,2H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),2.62(t,-CH2-N-,2H).
【0193】
6.2. mPEG-N(CH
2C
6F
5)-CO-Cl、5kDaの調製
【化60】
mPEG-NH(CH
2C
6F
5)、5kDa(1.0g、0.2mmol)を丸底フラスコ(100mL)内の30mLのトルエンに溶解した後、溶媒を蒸留により減圧下で乾燥するまで除去した。残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(30mL)の混合物に溶解した。得られた溶液を0℃でトルエン(9.0mL)中の20%ホスゲン溶液に加え、無水トルエン(30mL)で希釈し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0194】
溶媒を乾燥するまで慎重に蒸発させた。次いで、MTBE(15mL)を加えることにより残留物を沈殿させた。粉末をアルゴン下で濾過により収集し、MTBEで2回(10mL×2)洗浄し、真空下で6時間乾燥した。収量:1.0g。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)4.93(s,-N-CH2-C6F5,1H),4.76(s,-N-CH2-C6F5,1H),3.63(bs,PEG骨格 & -CH2-N-COCl),3.37(s,-OCH3,3H).
【0195】
6.3. mPEG-N(CH
2C
6F
5)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化61】
mPEG-N(CH
2C
6F
5)-CO-Cl、5kDa(1.0g)を丸底フラスコ(100mL)に加え、次いでフラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた。次に、アセトニトリル(0.25M、5mL)中の5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールの溶液(Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。次いで、撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン下で周囲温度で48時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で乾燥するまで蒸発させ、MTBE(15mL)を加えることにより残留物を沈殿させた。生成物を濾過により収集し、IPAで3回(10mL×3)、MTBEで2回(10mL×2)洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:0.85mg。
1H NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.78(s,Ar,2H),8.02(s,Ar,1H),5.04(bs,-N(CO)-CH
2-C
6F
5,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH
3,3H).
【0196】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0197】
実施例7
MPEG-OCO-NH-(ピペリジン-4-イル)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール5kDa(試薬7)の合成
7.1. mPEG-OCO-NH-(ピペリジン-4-イル)5kDaの調製
【化62】
ステップ1. 4-アミノ-1-Boc-ピペリジン(2.2g、11mmol)及びBHT(20mg)をDCM(50mL)に溶解した後、mPEG-SC 5kDa(5.5g、1.1mmol、実施例2.1に記載の手順により調製)及びTEA(4mL、29mmol)を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下で周囲温度で一晩撹拌した。溶液を乾燥するまで濃縮し、生成物をMTBE(50mL)で沈殿させた。固体を濾過により収集し、IPAで1回(25mL)、次いでMTBEで2回(25mL×2)洗浄した。固体を真空下で1時間乾燥した。収量:5.4g。
【0198】
ステップ2. 得られた固体及びBHT(50mg)をジオキサン(10mL)に溶解し、氷浴内で冷却した。撹拌している間、ジオキサン中HCl(4M、15mL)を縣濁液にゆっくり加え、混合物を0℃で周囲温度まで一晩撹拌した。溶液を乾燥するまで濃縮した。残留物をDI水(200mL)に溶解し、Na2CO3(20g)を用いて溶液のpHをpH10.5~11に調整した。塩化ナトリウムを加えることにより10% NaClに飽和させた後、溶液をDCM(40mL×3)で抽出した。合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥した。固体を濾去した後、濾液を乾燥するまで蒸発させた。POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量:3.5g;HPLCによる純度:98.3%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)4.03(t,-CH2-OCO-,2H),3.51(bs,PEG骨格 & -N-CH<),3.24(s,-OCH3,3H),2.88(dd,NH(CH2-)-CH2-,2H),2.44(dd,NH(CH2-)-CH2-,2H),1.64(dd,-NHCH(CH2-)-CH2-,2H),1.29(m,-NHCH(CH2-)-CH2-,2H).
【0199】
7.2. mPEG-OCO-NH-(1-COCl-ピペリジン-4-イル)、5kDaの調製
【化63】
mPEG-OCO-NH-(ピペリジン-4-イル)、5kDa(610mg、0.12mmol)を、丸底フラスコ(100mL)内の50mLのトルエンに溶解した。次に、溶媒を減圧下で乾燥するまで留去した。残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(30mL)の混合物に溶解した。得られた溶液を0℃で、無水トルエン(30mL)で希釈したトルエン中20%ホスゲン溶液(5.0mL)に加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0200】
溶媒を乾燥するまで慎重に蒸発させた。残留物をMTBE(30mL)で沈殿させた。生成物をアルゴン下で濾過により収集し、MTBEで2回(15mL×2)洗浄し、真空下で3時間乾燥した。収量:540mg。1H NMR(CDCl3):d(ppm)4.21-4.24(br,-CH2-OCO- & -CH2(-CH2)N-COCl,4H),3.63(bs,PEG骨格 & -OCONH-CH<),3.36(s,-OCH3,3H),3.2-3.0(dt,-CH2(-CH2)N-COCl,2H),2.00(br,-CH(CH2-)CH2-,2H),1.44(br,-CH(CH2-)CH2-,2H).
【0201】
7.3. mPEG-OCO-NH-(ピペリジン-4-イル)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化64】
mPEG-OCO-NH-(1-COCl-ピペリジン-4-イル)、5kDa(0.54g)を丸底フラスコ(25mL)に加え、フラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた。次に、アセトニトリル中の5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール溶液(0.25M、5mL;Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン下で周囲温度で24時間撹拌した。溶媒を減圧下で乾燥するまで蒸発させ、残留物をMTBE(40mL)で沈殿させた。生成物を濾過により収集し、IPAで1回(30mL)洗浄し、次いでMTBE(10mL×2)で2回洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:0.49g。
1H NMR(DMSO-d
6):δ(ppm)8.65(s,Ar,2H),8.43(s,Ar,1H),7.44(s,-NH-,1H),4.21(d,-NH-CH<,1H),4.06(s,-CH
2-OCO-,2H),3.51(bs,PEG骨格 & -(CH
2)
2-N-CO-),3.24(s,-OCH
3,3H),1.99-1.80(dd,CH(CH
2-)CH
2-,2H),1.53(m,CH(CH
2-)CH
2-,2H).
【0202】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0203】
実施例8
MPEG-OCO-NH-CH
2-(ピペリジン-4-イル)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール5kDa(試薬8)の合成
8.1. mPEG-OCO-NH-CH
2-(ピペリジン-4-イル)、5kDaの調製
【化65】
4-アミノメチル-1-Boc-ピペリジン(2.2g、11mmol)及びBHT(20mg)をDCM(50mL)に溶解した後、mPEG-SC 5kDa(5.0g、1mmol、実施例2.1に記載した手順により調製)及びTEA(4mL、29mmol)を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下で周囲温度で一晩撹拌した。次に、溶媒を蒸留により乾燥するまで除去した。粗生成物をMTBE(50mL)で沈殿させ、濾去し、IPA(25mL)及びMTBE(25mL×2)で洗浄し、次いで真空下で2時間乾燥した。収量:4.77g。
【0204】
粗生成物及びBHT(20mg)をジオキサン(5mL)に溶解した後、氷浴内で冷却しながらジオキサン中4M HCl(20mL)を加えた。溶液を撹拌しながら0℃から周囲温度に一晩暖めた。溶媒の蒸発後、残留物をMTBE(50mL)から沈殿させた。濾過後、フィルターケーキを100mLのDI水に溶解した。Na2CO3を使用して溶液のpHをpH11に調整した。NaClで10% NaClまで飽和させた後、溶液をDCMで3回(40mL×3)抽出した。合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、濾液を乾燥するまで蒸発させた。残留物をMTBE(50mL)で沈殿させた。粗生成物を濾過により収集し、真空下で2時間乾燥した。重量:4.6g。
【0205】
POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。重量:3.3g。HPLCによる純度:98.8%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)4.03(t,-CH2-OCO-,2H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),2.90(dt,-CONH-CH2-,2H),2.82(t,-CH2-NH(CH2-),2H),2.37(dt,-CH2-NH(CH2-)-,2H),1.55(bd,-CH(CH2-)CH2-,2H),1.45(br,-CH2-CH<,1H),0.97(dq,-CH(CH2-)-CH2-,2H).
【0206】
8.2. mPEG-OCO-NH-CH
2-(1-COCl-ピペリジン-4-イル)、5kDaの調製
【化66】
mPEG-OCO-NH-CH
2-(ピペリジン-4-イル)、5kDa(500mg、0.12mmol)を、丸底フラスコ(100mL)内の50mLのトルエンに溶解した。次に、溶媒を蒸留により減圧下で乾燥するまで除去した。残留物を無水DCM(15mL)及び無水トルエン(30mL)の混合物に溶解し、得られた溶液を、トルエン(5.0mL)中20%ホスゲンの溶液に0℃で加え、無水トルエン(30mL)で希釈した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0207】
次に、溶媒を乾燥するまで慎重に蒸発させた。残留物をMTBE(50mL)から沈殿させた。生成物をアルゴン下で濾過により収集し、MTBE(15mL×2)で2回洗浄し、真空下で3時間乾燥した。収量:400mg。1H NMR(CDCl3):d(ppm)5.00(t,-OCONH-,1H),4.34(d,-OCONH-CH2-,2H),4.20(t,-CH2-OCO-,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H),3.08-2.86(m,-CH2-N(COCl)-CH2-4H),1.77(br,-CH(CH2-)CH2-,3H),1.24(br,-CH(CH2-)-CH2-,2H).
【0208】
8.3. mPEG-OCO-NH-CH
2-(ピペリジン-4-イル)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDaの調製
【化67】
mPEG-OCO-NH-CH
2-(1-COCl-ピペリジン-4-イル)、5kDa(0.40g)を丸底フラスコ(25mL)に加え、次いでフラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた後、アセトニトリル中の5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール溶液(0.25M、5mL;Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(1mL)を注射器を介して加えた。溶液を周囲温度でアルゴン雰囲気下で72時間撹拌した。次に、溶媒を蒸留により減圧下で乾燥するまで除去した。残留物をMTBE(40mL)から沈殿させ、濾過により収集し、IPAで1回(30mL)60分間、MTBEで2回(15mL×2)洗浄し、真空下で3時間乾燥した。収量:0.38g。
1H NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.69(s,Ar,2H),8.02(s,Ar,1H),5.06(t,-CONH-,1H),4.55(d,-CONH-CH
2-,1H),4.21(t,-CH
2-OCO-,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH
3,3H),3.20(br,-CH
2-N(CH
2-)-CO-,4H),2.01(br,-CH
2-CH(CH
2-)CH
2-,1H),1.84(br,-CH(CH
2-)CH
2-,2H),1.42(t,-CH(CH
2-)CH
2-,2H).
【0209】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0210】
実施例9
MPEG-OCO-(2-CF
3-ピペラジン-1-イル)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール、5kDa(試薬9)の合成
9.1. mPEG-OCO-Cl、5kDaの調製
【化68】
mPEG-OH 5kDa(4.0g、0.8mmol)を無水トルエン(100mL)に溶解した。次に、溶媒を乾燥するまで留去した。残留物を無水トルエン(20mL)及び無水DCM(10mL)の混合物に溶解した。溶液をアルゴン雰囲気下で撹拌しながら、トルエン中20%-ホスゲン溶液(2mL、5eq)を加え、混合物をアルゴン下で周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を乾燥するまで慎重に蒸発させ、次いで粗生成物をMTBE(100mL)で沈殿させた。沈殿物を濾過により収集し、MTBE(50mL×2)で洗浄した。生成物を真空下で3時間乾燥した。収量:4.0g。NMRは、92.3%置換を示した。
1H-NMR(CDCl
3):δ(ppm)4.44(t,-CH
2-OCO-Cl,2H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH
3,3H).
【0211】
9.2. mPEG-OCO-(2-CF
3-ピペラジン-1-イル)5kDaの調製
【化69】
mPEG-OCO-Cl 5kDaを無水DCM(25mL)に溶解した。アルゴン下で撹拌しながら、4-Boc-2-トリフルオロメチル-ピペラジン(250mg、1.3eq)及び無水ピリジン(3mL)を順次加えた。反応混合物を周囲温度でアルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。濃縮後、残留物をMTBE(50mL)から沈殿させた。固体を濾過により収集し、IPAで2回(25mL×2)、2時間洗浄した。粉末を再度濾過により収集した。フィルターケーキをMTBE(25mL×2)で洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:3.8g。
【0212】
得られた粉末及びBHT(20mg)をジオキサン(10mL)に溶解した後、氷浴内で冷却しながらジオキサン中4M HCl(15mL)を加えた。溶液を撹拌しながら0℃から周囲温度に一晩暖めた。溶媒の蒸発後、残留物をMTBE(50mL)で沈殿させた。沈殿物を濾過により収集し、次いで100mLのDI水に溶解した。溶液のpHをNa2CO3を使用して11に調整した。溶液を10% NaClに飽和させた後、DCM(40mL×3)を用いた抽出により生成物を回収した。合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥し、濾過し、濾液を乾燥するまで蒸発させた。残留物をMTBE(50mL)で処理した。固体を濾過により収集し、真空下で2時間乾燥した。収量:3.7g。HPLCによる純度:25.8%。
【0213】
次いで、POROS 50HSカラムを使用するカチオン交換クロマトグラフィーにより残留物を精製した。収量:720mg。HPLCによる純度:100%。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)4.54(br,CF3-CH-,1H),4.16(t,-CH2-OCO-,2H),3.82(d,-CO-N(CH-)-CH2-,1H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),3.19(d,-CO-N(CH-)-CH2-,1H),2.90-2.80(br,-CH2-NH-CH2-,3H),2.54(t,-CH2-NH-CH2-,1H).
【0214】
9.3. mPEG-OCO-(4-COCl-2-CF
3-ピペラジン-1-イル)、5kDaの調製
【化70】
mPEG-OCO-(2-CF
3-ピペラジン-1-イル)、5kDa(310mg、0.06mmol)を丸底フラスコ(100mL)内の15mLのトルエンに溶解した。次いで、溶媒を減圧下で乾燥するまで留去した。次に、残留物を無水DCM(10mL)及び無水トルエン(30mL)の混合物に溶解した。得られた溶液を、トルエン(5.0mL)中の20%ホスゲン溶液に0℃で加え、無水トルエン(5mL)で希釈した。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0215】
反応溶液を乾燥するまで慎重に蒸発させた。残留物をMTBE(20mL)から沈殿させた。生成物をアルゴン下で濾過により収集し、MTBE(10mL×2)で洗浄し、真空下で4時間乾燥した。収量:230mg。1H NMR(CDCl3):d(ppm)4.81(br,CF3-CH-,1H),4.64(br,-CH2-N(COCl)-,1H),4.32(br,-CH2-OCO-N< & -CH2-N(COCl)-,4H),4.15(br,>N-CH2-,1H),3.63(bs,PEG骨格),3.37(s,-OCH3,3H),3.26-3.02(m,>N-CH2-CH2-N(COCl)-,3H).
【0216】
9.4. mPEG-OCO-(1-(2-CF
3-ピペラジニル)-4-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)、5kDaの調製
【化71】
mPEG-(4-クロロカルボニル-2-トリフルオロメチル-ピペラジン-1-イル)-カルボキシレート5kDa(0.23g)を丸底フラスコ(25mL)に加えた。次いで、フラスコを隔膜でキャップし、アルゴンを入れた後、アセトニトリル中の5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾール溶液(0.25M、5mL;Activator 42(登録商標)溶液;Sigma-Aldrich)を加えた。撹拌している間、無水ピリジン(0.5mL)を注射器を介して加えた。溶液をアルゴン雰囲気下で周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を、減圧下で乾燥するまで蒸発させた。生成物をMTBE(40mL)で沈殿させた。沈殿物を濾過により収集し、IPAで1回(30mL)30分間、MTBEで2回(10mL×2)洗浄し、真空下で一晩乾燥した。収量:0.17g。
1H NMR(DMSO-d
6):δ(ppm)8.67(s,Ar,2H),8.45(s,Ar,1H),4.95(br,CF
3-CH-,1H),4.22-3.96(br,-CH
2-OCO- & CF
3CH-CH
2-N(CO-)-,4H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH
3,3H).
【0217】
本明細書に記載の多様な分子量のPEG出発材料を使用して、上記の例示的な合成を適切に行うことができる。
【0218】
実施例10
PH5.0、5.5、6.0及び6.5で25℃での試薬1~9のα-CBZ-ヒスチジンとの反応性(1:10) - ヒスチジン反応性の検討
試薬1との例示的な反応:
【化72】
例示的なヒスチジン含有モデル化合物としてのα-CBZ-ヒスチジン(5.79mg、0.020mmol)を、5つの異なるpH(5.0、5.5、6.0及び6.5)の1.0mLの100mMリン酸緩衝液に溶解した。試薬1(mPEG-N(CH
3)-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)(10mg、0.002mmol)を各溶液に加えた。得られた混合物を25℃で撹拌し、異なる時間間隔でRP-HPLCにより分析した。
【0219】
前段落のpH範囲で、25℃でα-CBZ-ヒスチジンとの試薬2~9の反応性評価を行った。結果を表1(
図2)にまとめ、
図3(pH5.0)、
図5(pH5.5、4コンジュゲート)、
図6(pH6.0、4コンジュゲート)、
図7(pH6.5、4コンジュゲート)、
図8(試薬7の反応性)、及び
図9(試薬8の反応性)に示した。
【0220】
【0221】
上記の表に示すように、ポリマー部分と例示的なBTMP-テトラゾール(又は他の適切な)脱離基との間に介在する異なるスペーサー部分(すなわち、~(X)0,1-(R2)0,1-NR1-C(O)-BTMP-テトラゾール)全体を有する本開示による例示的な試薬は、一連のpH条件下で評価した場合、ヒスチジン含有反応体と異なる反応性を有する。これらのデータは、本明細書に記載されるポリマー試薬の特徴がヒスチジン反応性であることを支持し、さらに、所与の用途及び反応条件に適した最適な反応性を達成するために、スペーサー部分の成分の選択によって試薬の反応性を効果的に調整できることを示す。理解し得るように、試薬の反応性は、一般に、所与の条件下で、pHの増加と共に増加する傾向に従うように思われる。
【0222】
実施例11
PH5.0及び5.5で25℃でのα-CBZ-リシンとの試薬2のコンジュゲーション(1:10) - リシン反応性の検討
【化73】
例示的なリシン含有反応体としてのα-CBZ-リシン(5.61mg、0.020mmol)を、それぞれpH5.0及び5.5の、それぞれ1.0mLの100mMリン酸緩衝液に溶解した。試薬2(mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール))(10mg、0.002mmol)を各溶液に加えた。得られた溶液を25℃で撹拌し、異なる時間間隔でRP-HPLCにより分析した。結果を以下の表に提供する。
【0223】
【0224】
表2の結果から明らかであり得るように、モデル化合物、α-CBZ-ヒスチジン、α-CBZ-リシン及びトリ-ペプチド、ω-CBZ-リシン-グリシン-グリシン-OH(以下の実施例12に記載)を用いて行った反応により証明されるように、例示的な試薬2は、示される反応条件下で、アミノ酸、リシンとの反応と比較して、アミノ酸、ヒスチジンとの反応について有意に高い選択性を示し、例示的なポリマー試薬のヒスチジン選択性を示した。pH5.0では、5時間の反応時間及び示した反応条件下で、試薬2との反応により14%のヒスチジン-コンジュゲートが形成され、一方、単一のアミノ酸、α-CBZ-リシンとの試薬2の反応により検出可能なコンジュゲートは形成されず、トリペプチド、ω-CBZ-リシン-グリシン-グリシン-OHとの反応の結果、1.2%のみのコンジュゲートが形成された。pH5.5では、5時間の反応時間及び示した反応条件下で、試薬2との反応により30%のヒスチジン-コンジュゲートが形成され、一方、単一のアミノ酸、α-CBZ-リシンとの試薬2の反応により単に0.5%コンジュゲートが形成され、トリペプチド、ω-CBZ-リシン-グリシン-グリシン-OHとの反応の結果、3.1%%のみのコンジュゲートが形成された。
【0225】
実施例12
25℃でPH5.0及びPH5.5でのトリペプチド、H
2N-LYS(α-CBZ)-GLY-GLY-OHとの試薬2のコンジュゲーション(1:10) - リシン反応性の検討
【化74】
トリペプチドH
2N-Lys(α-CBZ)-Gly-Gly-OH(5.61mg、0.020mmol)を、それぞれpH5.0及び5.5の1.0mLの100mMリン酸緩衝液のそれぞれに溶解した。試薬2(mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール))(10mg、0.002mmol)を各溶液に加えた。得られた溶液を25℃で撹拌し、異なる時間間隔でRP-HPLCにより分析した。
【0226】
結果を表2にまとめ、本明細書で提供されるポリマー試薬のヒスチジン選択性の特徴をさらに支持する。
【0227】
実施例13
α-CBZ-ヒスチジンを有する例示的なコンジュゲートの合成
13.1. mPEG-N(CH
3)-CO-α-CBZ-ヒスチジン、5kDa(コンジュゲート10)の調製
【化75】
α-CBZ-ヒスチジン(83.88mg、0.2900mmol)を6mlのDMFに溶解した。ピリジン(0.05mL、0.5800mmol)を加えた後、mPEG-N(CH
3)-CO-Cl(500mg、0.10mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0228】
20時間の反応後、100mlのMTBEを加えることにより反応生成物を沈殿させた。沈殿物を収集し、20mlのMTBEで洗浄し、真空下で3時間乾燥して515mgの粗生成物を得た。GFC:約34%の所望の生成物。
【0229】
DEAE Sepharose FFカラムを使用するイオン交換クロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。収量115mg;GFCにより純度98%。1H NMR(DMSO-d6):δ、ppm 7.97(s,-εHヒスチジン,1H),7.53(d,-δHヒスチジン,1H),7.33(br,Ar-H,5H),4.99(s,-CH2ベンジル,2H),4.27(bs,-αHヒスチジン,1H),3.51(bs,PEG骨格),3.24(s,-OCH3,3H),3.00(s,-NCH3,3H),2.94(bd,-βHヒスチジン,1H),2.83(m,-βHヒスチジン,1H)。
【0230】
13.2. mPEG-ピペラジン-CO-α-CBZ-ヒスチジン、5kDa(コンジュゲート11)の調製
【化76】
α-CBZ-ヒスチジン(11.57mg、0.0400mmol)を2mLの100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に溶解した。mPEG-ピペラジン-CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール(100mg、0.0200mmol)をα-CBZ-ヒスチジン溶液に加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0231】
HPLCは、対応するヒスチジンコンジュゲートへのPEG試薬の完全な変換を示した。反応混合物を10% NaClで50mLまで希釈した。生成物をDCM(10mL×3)で抽出した。抽出物をNa2SO4/MgSO4混合物で乾燥し、濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させた。残留物をMTBE(50ml)で沈殿させ、濾過により回収し、真空下で乾燥した。
【0232】
粗生成物(90mg)を30mLの温IPAに再溶解した。30分間撹拌した後、沈殿物を収集し、真空下で乾燥して52mgの精製生成物を得た。
【0233】
HPLC分析は、出発試薬、5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾールで汚染されていない純生成物の1つのピークを示した。生成物の化学構造をNMR解析により確認した。1H NMR(CD2Cl2):δ,ppm 8.51(s,-εHヒスチジン,1H),7.34(bs,Ar-H,5H),7.24(d,-δHヒスチジン,1H),6.28(d,-NHCO-,1H),5.05(s,-CH2ベンジル,2H),4.65(t,-αHヒスチジン,1H),4.24(t,-CH2-OCO-,2H),3.60(bs,PEG骨格),3.33(s,-OCH3 & -βHヒスチジン,4H),3.17(br,-βHヒスチジン,1H)。
【0234】
13.3. mPEG-N(CH
2CF
3)-CO-α-CBZ-ヒスチジン、5kDa(コンジュゲート14)の調製
【化77】
mPEG-N(CH
2CF
3)-CO-5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル-2H-テトラゾール、5K(300mg、0.0600mmol)を、α-CBZ-ヒスチジン(86.79mg、0.3000mmol)を含有する10mLの100mMリン酸緩衝液(pH5.0)に溶解した。反応混合物を周囲温度で3日間撹拌した。
【0235】
反応混合物を濾過し、D.I.水で20mLまで希釈した。2gのNaClを加え、1.0N HClを加えることにより溶液のpHを3.0に調整した。得られたコンジュゲート生成物をDCM(10mL×2)で抽出し、Na2SO4で乾燥し、抽出物を濾過した。溶媒を乾燥するまで蒸発させ、IPA(50mL)を加えることにより残留物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過により回収し、10mLのジエチルエーテルで洗浄し、真空中で3時間乾燥して237mgの粗生成物を得た。
【0236】
HPLC分析は、92%の所望の生成物及び8%のmPEG-NH(CH2CF3)を示した。
【0237】
13.4. mPEG-OCO-(2-CF
3-ピペラジン-1-イル)-CO-α-CBZ-His 5kDa(コンジュゲート16)の調製
【化78】
4-(CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)-2-トリフルオロメチル-ピペラジン-1-イル)-mPEG-カルバメート5kDa(50mg、0.0100mmol)を、α-CBZ-ヒスチジン(28.93mg、0.1000mmol)を含有する5mLの100mMリン酸緩衝液(pH5.5)に溶解した。反応混合物を周囲温度で週末にわたり撹拌した。
【0238】
HPLCは、91%の所望のコンジュゲート、9%のmPEG-CF3-ピペリジン、5kDaを示し、出発PEG試薬は示さなかった。反応混合物を濾過し、Vivaspin遠心分離濃縮器(MWCO 3000)を使用して濾液を濃縮した。濃縮後、溶液を凍結乾燥して、HPLCにより88%純度を有する35mgの固体生成物を提供した。
【0239】
13.5. mPEG-OCO-NH-(ピペリジン-4-イル)-CO-α-CBZ-His 5kDa(コンジュゲート17)の調製
【化79】
α-CBZ-ヒスチジン(11.57mg、0.0400mmol)を5mLのDMFに溶解した。(1-(CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)-ピペリジン-4-イル)-mPEG-カルバメート5kDa(100mg、0.0200mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02mL、0.1200mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0240】
HPLCにより検査したサンプルは、約3%の未反応出発材料の存在を示した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02mL、0.1200mmol)を加え、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。DCMを蒸発させ、残留物をMTBE(70mL、冷)で沈殿させた。沈殿物を収集し、真空下で一晩乾燥して、HPLCにより98.3%の純度を有する92mgの所望のコンジュゲート生成物を得た。
【0241】
13.6. mPEG-OCO-NH-CH
2-(ピペリジン-4-イル)-α-CBZ-His 5kDa(コンジュゲート18)の調製
【化80】
(1-(CO-5-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2H-テトラゾール)-ピペリジン-4-イル)-メチル-mPEG-カルバメート5k(10mg、0.002mmol)を、α-CBZ-ヒスチジン(5.79mg;0.0200mmol)を含有する1mLの100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に溶解した。溶液を濾過し、室温で撹拌した。反応の進行を異なる時間間隔でRP-HPLCにより監視した。5時間後、約36%のコンジュゲートが形成されていた。10時間後、約68%のコンジュゲートが形成されていた。15時間後、87%のコンジュゲートが形成されていた。
【0242】
上記の反応を異なるpH(5.0、5.5及び6.0)でさらに3回繰り返し、反応混合物を合わせた。HPLC分析は、88%の所望の生成物及び12%のmPEG mPEG-OCO-NH-CH2-(ピペリジン-4-イル)を示した。
【0243】
合わせた溶液を水(MECO 3K)(3L×3)に対して透析した。透析後、溶液をPOROS 50HSカラム(5mL)に通してmPEG-OCO-NH-CH2-(ピペリジン-4-イル)を除去した。溶離液を遠心濾過により濃縮した。0.1N NaOHを加えることにより濃縮溶液のpHを7.0に調整し、溶液を一晩凍結乾燥して、HPLCにより97%純度を有する35mgの所望の生成物を得た。
【0244】
追加のコンジュゲートを同様に調製した。
【0245】
実施例14
PBS緩衝液中、PH7.4、37℃でのコンジュゲート10~18の加水分解安定性
14.1. PBS緩衝液中、pH7.4、37℃でのコンジュゲート10(mPEG-N(CH
3)-CO-ヒスチジン(α-CBZ)-5kDaの加水分解安定性の決定
【化81】
mPEG-N(CH
3)-CO-ヒスチジン(α-CBZ)-5kDa(10.0mg)を1.0mLのPBS緩衝液pH7.4に溶解した。反応混合物を37℃でインキュベートし、HPLCで周期的に分析した。10日後、1.8%のコンジュゲートのみが加水分解を受けてmPEG-NH(CH
3)を生成した。
【0246】
14.2. PBS緩衝液中、pH7.4、37℃でのコンジュゲート11、14、16、17及び18の加水分解安定性の決定
コンジュゲート11、14、16、17及び18の加水分解安定性を、コンジュゲート10について上述した方法に従って決定した。安定性結果を表3にまとめ、
図4に示す。
【0247】
【0248】
モデルヒスチジン含有化合物、α-CBZ-ヒスチジンと、本明細書に提供される例示的なヒスチジン選択的ポリマー試薬との反応により形成されたコンジュゲートは、約8.0までのpHで水性緩衝液中で比較的安定である。評価され、他のコンジュゲートと比較して最も高い程度の加水分解安定性を示した尿素結合コンジュゲート、コンジュゲート10、17及び18は、場合によりR
2(存在する場合)と組み合わされたR
1が、一般式
【化82】
を参照して、メチル及びピペリジンであるものである。試験した他のコンジュゲートと比較して中程度の加水分解安定性を有するコンジュゲート11は、リンカーX、~OC(O)~に加えてピペラジン部分(Nと組み合わせてR
1及びR
2により形成される)を含む。試験した他のコンジュゲートと比較して同様に中程度の加水分解安定性を有するコンジュゲート14は、R
1として、~CH
2CH
2CF
3を有する。最後に、試験条件下で最も高い程度の加水分解を示すコンジュゲート、コンジュゲート16は、リンカーX、~OC(O)~に加えてトリフルオロメチル置換ピペラジン(Nと組み合わせてR
1及びR
2により形成された)を含む。得られたコンジュゲートの加水分解安定性(所与のpH及び温度で、たとえば、生理学的条件又は生理学的条件を模倣する条件下で)は、R
1、R
2及びXの選択による影響を受け、電子吸引基の存在は、より高い程度の加水分解に寄与するように思われる。したがって、本明細書に一般に記載され、スペーサー全体、~(X)
0,1-(R
2)
0,1-NR
1~内に1つ又はそれ以上の電子吸引基又は原子を含むコンジュゲートは、そのような電子吸引部分が存在しないコンジュゲートと比較した場合、減少した加水分解安定性を示すことが予想される。したがって、前述したように、ポリマー試薬(ひいては、それとの反応によって形成されたコンジュゲー)は、X、R
2及びR
1などのポリマー試薬成分の適切な選択によって、所望の標的分子又は表面との反応に最適な反応性、選択性及びコンジュゲート安定性を有するように設計することができる。
【0249】
実施例15
例示的なコンジュゲートのヒスチジン選択性 - PH7.4、25℃でのヒドロキシルアミンとの反応
図14A及び14Bは、それらの対応するヒスチジン結合コンジュゲートとヒドロキシルアミンとの反応により示される、本明細書に提供される例示的なポリマー試薬のヒスチジン選択性のさらなる証拠を提供する。以下に記載されるデータは、ヒスチジン結合ポリマーコンジュゲートとヒドロキシルアミンとの反応から生じるヒスチジン結合分子の置き換えによる、本明細書に提供されるポリマー試薬とアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド又は他の活性ヒスチジン含有分子のヒスチジン残基との共有結合を評価するための間接的方法を代表する。
【0250】
より詳細には、
図14Aは、試薬1とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとのpH7.4、25℃での反応を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-N(CH
3)-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示す。ヒスチジンコンジュゲート、たとえば試験した例示的なコンジュゲートは、ヒドロキシルアミンで処理した際、非コンジュゲートヒスチジン化合物が放出されるように逆反応を受ける。対照的に、ヒドロキシルアミンは、典型的には、リシン結合コンジュゲートと反応してリシン-ポリマー結合を切断し、それにより親リシン化合物を放出することはない。約22時間までに、100%のコンジュゲートがα-CBZ-Hisを放出して消失した。
【0251】
同様に、
図14Bは、試薬2とモデル化合物、α-CBZ-Hisとの反応により調製されたヒスチジンコンジュゲートと、ヒドロキシルアミンとのpH7.3、25℃での反応を示すプロットである。プロットは、経時的に残留するmPEG-ピペラジン-CO-His(α-CBZ)コンジュゲートのパーセントを示し、約42時間で4%のみの無傷コンジュゲートが残留した。
【国際調査報告】