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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】空中リフト傾斜調整システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240628BHJP
   B60P 3/14 20060101ALI20240628BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B66F9/24 F
B60P3/14 A
B66F11/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577664
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022034011
(87)【国際公開番号】W WO2022266454
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,813
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514305219
【氏名又は名称】タイム マニュファクチャリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ランドール クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA09
3F333AB04
3F333BB03
3F333BB23
3F333FA09
3F333FA34
3F333FA36
3F333FD07
3F333FD08
3F333FE04
(57)【要約】
本開示は、特に、傾斜調整システム、及び、動作中に空中リフトが転倒することを防止する方法を提供する。そのようなシステムを備える空中リフトも提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中リフトの安全な動作のための傾斜調整システムであって、前記空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、前記台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、前記タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、前記下方ブームの第2の端部と伸長可能な上方ブームの第1の端部とを連結するナックルと、前記上方ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、前記傾斜調整システムは、
複数のセンサであって、少なくとも傾斜センサ及び下方ブームセンサを備え、前記傾斜センサは、前記タレットの底部に設置され、かつ、水平面に対する前記シャーシの角度であるシャーシ角をリアルタイムで測定し、前記下方ブームセンサは、前記下方ブーム上に設置され、かつ、前記シャーシの表面に対する前記下方ブームの角度である下方ブーム角をリアルタイムで測定する、複数のセンサと、
液圧式イネーブル弁であって、前記タレットの内部に設置され、かつ、前記台座の内側に設置され前記下方ブームを上昇又は下降させることが可能である液圧式制御弁に操作可能に連結され、前記下方ブームは、前記液圧式イネーブル弁がオンに切り替えられたときにのみ上昇させられることが可能である、液圧式イネーブル弁と、
制御モジュールであって、前記傾斜センサ及び前記下方ブームセンサによりそれぞれ測定される前記シャーシ角及び前記下方ブーム角のリアルタイムの値を受信し、かつ、前記受信した値、及びアルゴリズムに基づいて前記液圧式イネーブル弁をオン又はオフに切り替える制御モジュールと、
ブームレストであって、前記可動シャーシに対して垂直方向に搭載され、かつ、機械的収納スイッチをその上部に有し、前記機械的収納スイッチがオフのときは、前記傾斜センサは前記シャーシ角の測定及び更新を停止する、ブームレストと、
を備える、傾斜調整システム。
【請求項2】
前記アルゴリズムは、
1)前記受信したシャーシ角の値が最大動作シャーシ角以上の場合、前記液圧式イネーブル弁はオフに切り替えられ、前記下方ブームはその収納位置にロックされ、かつ、前記機械的収納スイッチはオンになる、又は
2)前記受信したシャーシ角の値が前記最大動作シャーシ角未満の場合、前記機械的収納スイッチはオフになり、かつ、前記下方ブームはその収納位置から解放され、前記制御モジュールは、前記受信したシャーシ角の値に基づいて最大動作下方ブーム角を決定し、
a)前記受信した下方ブーム角の値が前記最大動作下方ブーム角未満のときは、前記液圧式イネーブル弁はオンに切り替えられ、かつ、
b)前記受信した下方ブーム角の値が前記最大動作下方ブーム角に達したときは、前記液圧式イネーブル弁はオフに切り替えられる、
アルゴリズムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記最大動作シャーシ角は、7~10度の範囲内である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記最大動作シャーシ角は、10度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信したシャーシ角の値が所定の傾斜値以下であるときに、前記最大動作下方ブーム角が90度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定の傾斜値は、5度である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記空中ライフが一組の適切なスタビライザを備える場合、前記最大動作シャーシ角は10度を超えることが可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記受信したシャーシ角の値及び追加パラメータに基づいて前記最大動作下方ブーム角を決定し、前記追加パラメータは、前記上方ブームの長さ、前記上方ブームの重量、前記空中作業プラットフォームの荷重及びそれらの組合せから選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記空中リフトのリアルタイムのステータスを表示するLEDパネルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
空中リフトの動作中の転倒を防止する方法であって、前記空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、前記台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、前記タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、前記下方ブームの第2の端部と伸長可能な上部ブームの第1の端部とを連結するナックルと、前記上部ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、前記方法は、
a)水平面に対する前記シャーシの角度であるシャーシ角を測定することであって、
i.前記測定されるシャーシ角が最大動作シャーシ角を超える場合、前記下方ブームはその収納位置にロックされること、又は、
ii.前記測定されるシャーシ角が前記最大動作シャーシ角を超えない場合、前記測定されるシャーシ角に基づいて最大動作下方ブーム角を決定することと、
b)前記シャーシの表面に対する前記下方ブームの角度である下方ブーム角を測定することであって、
i.前記測定される下方ブーム角が前記最大動作下方ブーム角未満のときは、前記下方ブームの上昇機能を有効にすること、及び、
ii.前記測定される下方ブーム角が前記最大動作下方ブーム角に達したときは、前記下方ブームの上昇機能を無効にすることと、
を含む、方法である、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法。
【請求項11】
前記最大動作シャーシ角は、7~10度の範囲内である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最大動作シャーシ角は、10度である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記受信したシャーシ角の値が所定の傾斜値以下であるときに、前記最大動作下方ブーム角が90度である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の傾斜値は、5度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記空中ライフが一組の適切なスタビライザを備える場合、前記最大動作シャーシ角は10度を超えることが可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記制御モジュールは、前記受信したシャーシ角の値及び追加パラメータに基づいて前記最大動作下方ブーム角を決定し、前記追加パラメータは、前記上方ブームの長さ、前記上方ブームの重量、前記空中作業プラットフォームの荷重及びそれらの組合せから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記シャーシ角及び前記下方ブーム角は一組のセンサにより計測される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記下方ブーム角はリアルタイムで測定され、かつ、監視される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載の傾斜調整システムを備える、空中リフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願第63/211,813号明細書の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、一般に空中リフトの分野に関し、特に、そのようなリフトの安全な動作に関する。より具体的には、本開示は、特に、傾斜調整システム及び動作中の空中リフトの転倒を防止する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
空中リフトは、電気事業会社において、電柱、電話線又は電線、街灯、ビルの壁のような場所における高い位置での作業を容易にするために、通常、使用される。空中リフトはまた、従来の電気事業会社を越え、例えば建設、緊急救助、映画産業などにおいて広く使用される。そのような空中リフトは、典型的には、複数のセクションブームを介してホイール付き車両に結合されている作業プラットフォーム(例えば、バケットの形状の作業ステーション)を有しており、セクションブームは、必要な作業を行うことができる作業者を収容する空中プラットフォームを上昇させ、向きを変えるように適合されている。作業者はまた、典型的には、制御組立体を介して、空中プラットフォーム又はバケットからリフトの動作を制御し、制御組立体は、バケットに結合され、特に複数のセクションブームを制御することによりバケットの位置と向きを操作するために使用可能な、幾つかのハンドルを含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空中リフトの安全な動作のために検討する要素は多くあり、その要素は、例えば、雪、氷、風などの気象状態や、地盤が固いか軟らかいか、表面が傾斜しているか水平か、などの土地の状態などを含む。考えられる全ての災害の中でも、転倒は、空中リフトの動作中に起こり得る最も過酷な事故の一つである。従って、空中リフトは、転倒安定性、動作上又は構造上の制限により、傾斜面で作業するときは、制約条件の下で動作するべきである。しかしながら、現在のところ、異なる作業条件下(すなわち、様々な傾斜)での正確な制約を決定する手段はなく、空中リフトの安全な適用が大きく制限されている。
【0005】
従って、傾斜面上で作業する空中リフトに指針を提供できる安全な動作システムが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、空中リフトが作業している地表面の傾斜角度を測定することが可能であり、さらに必要に応じて下方ブーム上昇機能を介して水平方向のリーチを制限することが可能である、傾斜動作システムを提供する。
【0007】
従って、本開示の一態様は、空中リフトの安全な動作のための傾斜調整システムであって、空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、下方ブームの第2の端部と伸長可能な上方ブームの第1の端部とを連結するナックルと、上方ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、傾斜調整システムは、複数のセンサであって、少なくとも傾斜センサ及び下方ブームセンサを備え、傾斜センサは、タレットの底部に設置され、かつ、水平面に対するシャーシの角度であるシャーシ角をリアルタイムで測定し、下方ブームセンサは、下方ブーム上に設置され、かつ、シャーシ表面に対する下方ブームの角度である下方ブーム角をリアルタイムで測定する、複数のセンサと、液圧式イネーブル弁であって、タレットの内部に設置され、かつ、台座の内側に設置され下方ブームを上昇又は下降させることが可能である液圧式制御弁に操作可能に連結され、当該下方ブームは液圧式イネーブル弁がオンに切り替えられたときにのみ上昇させられることが可能である、液圧式イネーブル弁と、制御モジュールであって、傾斜センサ及び下方ブームセンサによりそれぞれ測定されるシャーシ角及び下方ブーム角のリアルタイムの値を受信し、かつ、受信した値、及びアルゴリズムに基づいて、液圧式イネーブル弁をオン又はオフに切り替える制御モジュールと、ブームレストであって、可動シャーシに対して垂直方向に搭載され、かつ、機械的収納スイッチをその上部に有し、機械的収納スイッチがオフのときは、傾斜センサはシャーシ角の測定及び更新を停止する、ブームレストと、を備える、空中リフトの安全な動作のための傾斜調整システムに関する。
【0008】
本開示の別の態様は、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法であって、空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、下方ブームの第2の端部と伸長可能な上方ブームの第1の端部とを連結するナックルと、上方ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、当該方法は、a)水平面に対するシャーシの角度であるシャーシ角を測定することであって、i.測定されるシャーシ角が最大動作シャーシ角を超える場合、下方ブームはその収納位置にロックされること、又は、ii.測定されるシャーシ角が最大動作シャーシ角を超えない場合、測定されるシャーシ角に基づいて最大動作下方ブーム角を決定することと、b)シャーシの表面に対する下方ブームの角度である下方ブーム角を測定することであって、i.測定される下方ブーム角が最大動作下方ブーム角未満のときは、下方ブームの上昇機能を有効にすること、及び、ii.測定される下方ブーム角が最大動作下方ブーム角に達したときは、下方ブームの上昇機能を無効にすることと、を含む方法である、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法に関する。
【0009】
本開示はまた、本明細書で開示される傾斜調整システムを備えた空中リフトを含む。
【0010】
図面の簡単な説明
本開示の実施形態のさらに詳細な説明を容易にするため、例示として以下の図面が提供されるが、本開示の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の傾斜調整システムを備えた空中リフトの異なる作業ステータスを示す。傾斜面(上側パネル)で作業する場合、下方ブームの上昇は制限されるが、水平面(下側パネル)では、最大に上昇させることができる。
【0012】
図2図2は、本開示の特定の実施形態による、傾斜調整システムを備えた空中リフトの透視図である。
【0013】
図3図3は、本開示の特定の実施形態による、機械的収納スイッチを備えたブームレストを含む図2の空中リフトの一部の拡大図である。
【0014】
図4図4は、ブームレストを除いた本開示に記載の傾斜調整システムの透視図である。
【0015】
図5図5は、制御モジュール、液圧式イネーブル弁、及び傾斜センサを含む、図4の傾斜調整システムの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示の詳細な説明
空中リフトの安全な動作のための新規なシステム、及び、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法が提供され、記載される。そのようなシステムを備えるか、又はそのような方法を実施する空中リフトも提供され、記載される。様々な実施形態及び変更が可能であり、本開示の範囲内にある。
【0017】
本開示の一態様によれば、空中リフトの安全な動作のための傾斜調整システムであって、空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、下方ブームの第2の端部と伸長可能な上方ブームの第1の端部とを連結するナックルと、上方ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、傾斜調整システムは、複数のセンサであって、少なくとも傾斜センサ及び下方ブームセンサを備え、傾斜センサは、タレットの底部に設置され、かつ、水平面に対するシャーシの角度であるシャーシ角をリアルタイムで測定し、下方ブームセンサは、下方ブーム上に設置され、かつ、シャーシ表面に対する下方ブームの角度である下方ブーム角をリアルタイムで測定する、複数のセンサと、液圧式イネーブル弁であって、タレットの内部に設置され、かつ、台座の内側に設置され下方ブームを上昇又は下降させることが可能である液圧式制御弁に操作可能に連結され、当該下方ブームは、液圧式イネーブル弁がオンに切り替えられたときにのみ上昇させられることが可能である、液圧式イネーブル弁と、制御モジュールであって、傾斜センサ及び下方ブームセンサによりそれぞれ測定されるシャーシ角および下方ブーム角のリアルタイムの値を受信し、かつ、受信した値、及びアルゴリズムに基づいて、液圧式イネーブル弁をオン又はオフに切り替える制御モジュールと、ブームレストであって、可動シャーシに対して垂直方向に搭載され、かつ、機械的収納スイッチをその上部に有し、機械的収納スイッチがオフのときは、傾斜センサはシャーシ角の測定及び更新を停止する、ブームレストと、を備える、空中リフトの安全な動作のための傾斜調整システムが提供される。
【0018】
本明細書で使用する「水平面」とは、鉛直線に対して直角の平坦面を指す。本明細書における水平面は、業界で標準的な空中リフトの通常の動作における「水準面」と互換的に使用することができる。本明細書で使用される場合、「水準面」は、あらゆる点で鉛直線又は重力が作用する方向に垂直であるか、又は静水の表面に平行である表面を指す。幾つかの実施形態では、下方ブームの角度は、水平面に対する下方ブームの向きを測定することによって決定することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、制御モジュールによって採用されるアルゴリズムは以下の通りであって、すなわち、1)受信したシャーシ角の値が最大動作シャーシ角以上の場合、液圧式イネーブル弁はオフに切り替えられ、下方ブームはその収納位置にロックされ、かつ、機械的収納スイッチはオンになる、又は、2)受信したシャーシ角の値が最大動作シャーシ角未満の場合、機械的収納スイッチはオフになり、かつ、下方ブームはその収納位置から解放され、制御モジュールは、受信したシャーシ角の値に基づいて最大動作下方ブーム角を決定し、a)受信した下方ブーム角の値が最大動作下方ブーム角未満のときは、液圧式イネーブル弁はオンに切り替えられ、かつ、b)受信した下方ブーム角の値が最大動作下方ブーム角に達したときは、液圧イネーブル弁はオフに切り替えられる、アルゴリズムである。
【0020】
最大動作シャーシ角は、空中リフトの機種によって異なる。幾つかの実施形態では、最大動作シャーシ角は7~10度の範囲内であり得る。幾つかの実施形態では、最大動作シャーシ角は10度である。
【0021】
幾つかの実施形態では、受信したシャーシ角の値が所定の傾斜値以下であるときに、下方ブームは90度の最大動作下方ブーム角を有して完全に伸長(上昇)させることができる。すなわち、所定の傾斜値を超えない傾斜を有する傾斜面上で作業する空中リフトは、水平面上で作業するように、その全包囲範囲まで動作することが許容される。この所定の傾斜値は、空中リフトの機種によって異なる。幾つかの実施形態では、所定の傾斜値は5度である。
【0022】
幾つかの実施形態では、空中ライフが適切なスタビライザセットを備えている場合、最大動作シャーシ角は10度を超えることができる。本明細書で使用される場合、「スタビライザ」又は「アウトリガ」は、例えば、重い荷物を持ち上げるクレーン、又は本開示に記載されるような空中リフトにおいて、安定化が必要なときに折り畳まれる、ホイール付き車両上の補助部品(通常は脚のようなもの)を指すことがある。幾つかの実施形態では、スタビライザ又はアウトリガを備える空中リフトは、最大動作シャーシ角を2度まで増加させることができる。
【0023】
特定の空中リフトの機種の場合、さらに多くの要因も最大動作下方ブーム角に実際に影響する可能性がある。従って、幾つかの実施形態では、制御モジュールは、受信したシャーシ角の値と、追加パラメータとに基づいて最大動作下方ブーム角を決定し、当該追加パラメータは、上方ブームの長さ、上方ブームの重量、空中作業プラットホームの荷重、及びそれらの組み合わせから選択される。例示的な他のパラメータは、下方ブーム及び/又は上方ブームの材質、水平面に対する上方ブームの角度、台座よりも下にある空中リフトの部分の重量、空中リフト全体の重量分布などを含むが、これらに限定されない。
【0024】
幾つかの実施形態では、システムは、空中リフトのリアルタイムのステータスを表示するLEDパネルをさらに備える。ステータスは、任意の適切な方法、例えば、カラーコード、グラフィック及び/又はテキスト形式、又はそれらの組み合わせで表示することができる。
【0025】
本開示の別の態様は、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法であって、空中リフトは、可動シャーシに載る台座と、台座の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレットと、タレットの上端に連結される第1の端部を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブームと、下方ブームの第2の端部と伸長可能な上部ブームの第1の端部とを連結するナックルと、上部ブームの第2の端部に連結される空中作業プラットフォームと、を備え、当該方法は、a)水平面に対するシャーシの角度であるシャーシ角を測定することであって、i.測定されるシャーシ角が最大動作シャーシ角を超える場合、下方ブームはその収納位置にロックされること、又は、ii.測定されるシャーシ角度が最大動作シャーシ角を超えない場合、測定されるシャーシ角に基づいて最大動作下方ブーム角を決定することと、b)シャーシ表面に対する下方ブームの角度である下方ブーム角を測定することであって、i.測定される下方ブーム角が最大動作下方ブーム角未満のときは、下方ブームの上昇機能を有効にすること、及び、ii.測定される下方ブーム角が最大動作下方ブーム角に達したときは、下方ブームの上昇機能を無効にすることと、を含む方法である、空中リフトの動作中の転倒を防止する方法に関する。
【0026】
幾つかの実施形態では、最大動作シャーシ角は7~10度の範囲内である。幾つかの実施形態では、最大動作シャーシ角は10度である。
【0027】
幾つかの実施形態では、測定されるシャーシ角が所定の傾斜値以下であるとき、最大動作下方ブーム角は90度である。幾つかの実施形態では、所定の傾斜値は5度である。
【0028】
幾つかの実施形態では、空中ライフが適切なスタビライザセットを備えている場合、最大動作シャーシ角は10度を超えることができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、最大動作下方ブーム角は、測定されるシャーシ角、及び追加パラメータに基づいて決定され、当該追加パラメータは、上方ブームの長さ、上方ブームの重量、空中作業プラットホームの荷重、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0030】
幾つかの実施形態では、シャーシ角と下方ブーム角は、一組のセンサによって測定される。本明細書で使用するセンサは、特定のタイプや機種に限定されない。各センサは単独で動作してもよいし、他のセンサと組み合わせて動作してもよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、下方ブーム角はリアルタイムで測定され、かつ、監視され、空中ライフが安全領域で動作していることを確認する。
【0032】
本開示はまた、本明細書に開示される傾斜調整システムを備える空中リフトも含む。
【0033】
以下の議論では、本開示をさらに説明するための例を提供する。これらの例は、例示に過ぎず、本開示の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
【0034】
図2及び3を参照すると、典型的な空中リフト100は、可動シャーシ1(通常はトラックのような自動車)と、可動シャーシ1に載る台座2と、台座2の上部に連結され、かつ、水平方向に回転可能であるタレット3と、タレット3の上端301に連結される第1の端部402を有し、かつ、垂直方向に回転可能である下方ブーム4(補償リンク401を含むことが多い)と、下方ブーム4の第2の端部403と伸長可能な上方ブーム6の第1の端部601とを連結するナックル5と、上方ブーム6の第2の端部602に連結される空中作業プラットフォーム7と、を備える。空中リフト100が水平面又は一定値(特定の空中リフトの機種に依存し、通常は5度)以下の角度を有する傾斜面で動作しているとき、空中リフトはその全包囲範囲で動作が許可される、すなわち、空中リフト全体の重心変化による転倒の潜在的な危険なしに、下方ブーム4は最大伸長まで上昇することが可能である。傾斜角度が、例えば水平面から5度を超えると、空中作業プラットフォームが最大水平位置にあるときに、構造的、機能的、及び転倒安定性限界を越える可能性があり、すなわち、転倒の危険が著しく増大する。この転倒の危険に対する解決策は、図1に示されるように、傾斜面上での作業時に下方ブームの最大上昇位置を制限することである。
【0035】
本開示は、この安全対策を実施するための傾斜調整システムを提供する。図4を参照すると、このシステムは、一組の角度センサを採用し、下方ブーム上昇機能の制限の決定を支援する。具体的には、本開示の特定の実施形態では、傾斜センサ8をタレット3の内部に設置し、シャーシ1と水平面との間の角度(すなわち、シャーシ角)をリアルタイムで測定することができる。シャーシ角は、水平面に対する傾斜面の傾斜角度に相当する。シャーシ角のリアルタイムの値は、タレット3の内部に設置された制御モジュール11に送られ、制御モジュール11はシャーシ角の値を所定の最大動作シャーシ角と比較する。受信したシャーシ角が最大動作シャーシ角を超える場合、制御モジュール11は、次に、同じくタレット3の内部に設置され、台座2の内側に設置される液圧式制御弁13に操作可能に連結された液圧式イネーブル弁10のスイッチをオフにすることによって、下方ブーム4の上昇(向上)機能を無効にし、特定の環境下において、上方ブーム6は動作自由であり得るが、下方ブーム4はその収納位置にロックされる。受信したシャーシ角が最大動作シャーシ角を超えない場合、ブームレスト8の上部にある機械的収納スイッチ801はオフにされ(図3)、傾斜センサ8はシャーシ角の測定/更新を停止し、下方ブーム4及び上方ブーム6のいずれも動作が許可される。
【0036】
図4に戻り参照すると、傾斜センサ8がシャーシ角の更新を停止すると、制御モジュール11は、次に、最後に受信したシャーシ角の値に基づいて最大動作下方ブーム角を決定する。これにより、下方ブーム4が動作するための「安全領域」が形成される。下方ブーム4上に設置された下方ブームセンサ9は、下方ブームのシャーシ表面(又は等価的に、空中リフトが動作している面)に対する角度である下方ブーム角をリアルタイムで測定することができる。制御モジュール11は、このリアルタイムの下方ブーム角を受信し、その下方ブーム角と、下方ブーム4が自由に動作可能である範囲内で事前に決定された最大動作下方ブーム角とを比較する。下方ブーム角が最大動作下方ブーム角に達すると、制御モジュール11は液圧式イネーブル弁10をオフに切り替え、それにより下方ブーム4の上昇機能を無効にし、それ以上の上昇を防止する。動作を容易にするために、本開示の特定の実施形態では、LEDパネル12も傾斜調整システムに含まれる。操作者はパネルを確認して、空中リフトのステータスを監視し、動作が安全領域内にあることを確認することができる。図5は、傾斜センサ8、制御モジュール11、及び液圧式イネーブル弁10に焦点を当てた拡大図を提供する。
【0037】
本開示の例示的な実施形態が本明細書で説明されたが、本開示は説明されたものに限定されず、当業者によって他の様々な変更又は修正がなされ得ることが理解されるべきである。例えば、記載及び図示されたシステム及び方法の様々な省略及び置換、ならびに形態及び詳細の変更が、当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。とりわけ、方法のステップは、そのようなことが適切であり得る多くの場合において、異なる順序で実施され得る。さらなる変形、修正、及び実施は、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、当業者に生じ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】