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特表2024-524121ハンドヘルドレーザシステムにおける材料加工機能
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ハンドヘルドレーザシステムにおける材料加工機能
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/14 20140101AFI20240628BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240628BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20240628BHJP
   B23K 26/342 20140101ALI20240628BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20240628BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/38 A
B23K26/36
B23K26/342
B23K26/064 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577767
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022034172
(87)【国際公開番号】W WO2022266534
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/212,290
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナム・リ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリー・マークショフ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ・グラポフ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・モンヴェルト
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・ノヴィコフ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168AD11
4E168AD18
4E168BA14
4E168BA32
4E168BA34
4E168BA37
4E168DA02
4E168EA24
4E168FA00
4E168FB03
4E168KB03
(57)【要約】
ハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するためのノズルアセンブリ。このハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるように構成されたレーザ光源と、レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイスと、レーザ光源に対してハンドヘルドデバイスを結合する光ファイバと、を備える。ノズルアセンブリは、表面に対してレーザ放射を送達するように構成されたノズルと、結合機構であって、ハンドヘルドデバイスの出力端部上に形成された保持部分、およびノズルに対して解除可能に装着可能であり、保持部分に係合するように構成された係合部分を備える、結合機構と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するためのノズルアセンブリであって、前記ハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるように構成されたレーザ光源と、前記レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイスと、前記レーザ光源に対して前記ハンドヘルドデバイスを結合する光ファイバと、を有する、前記ノズルアセンブリにおいて、
前記表面に対して前記レーザ放射を送達するように構成されたノズルと、
結合機構であって、
前記ハンドヘルドデバイスの出力端部上に形成された保持部分、および
前記ノズルに対して解除可能に装着可能であり、前記保持部分に係合するように構成された係合部分、
を備える、結合機構と、
を備える、ノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記保持部分は、前記出力端部の環状表面上に形成される、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記環状表面は、少なくとも1つの凹部と、前記少なくとも1つの凹部内に配設されたボールと、を有して構成される、請求項2に記載のノズルアセンブリ。
【請求項4】
前記係合部分は、環状カラーを備え、前記環状カラーの内周表面が、少なくとも一対の円弧形状スロットを有して構成され、各スロットが、前記少なくとも1つの凹部およびボールのボールを受けるように構成される、請求項3に記載のノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記対の円弧形状スロットは、前記ボールに係合するように構成された第1の円弧形状スロットと、前記係合部分が前記保持部分に対して回転された場合に前記保持部分に対して前記係合部分をロックするように構成された第2の円弧形状スロットと、を備える、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の円弧形状スロットは、前記第2の円弧形状スロットよりも大きくサイズ設定される、請求項5に記載のノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記環状カラーは、前記ハンドヘルドデバイスの前記出力端部上に位置決めされた割出し特徴部に対応する割出し特徴部を有して構成される、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項8】
前記割出し特徴部のそれぞれが、可視的割出しマークとして構成される、請求項7に記載のノズルアセンブリ。
【請求項9】
前記係合部分は、前記係合部分の内方表面に係合するばねをさらに備える、請求項4に記載のノズルアセンブリ。
【請求項10】
前記係合部分は、外方リングおよび内方リングを備え、
前記内方リングは、前記環状カラーが前記対の円弧形状スロットを有する状態で構成され、
前記外方リングは、前記内方表面が前記ばねに係合する状態で構成される、請求項9に記載のノズルアセンブリ。
【請求項11】
前記外方リングと前記内方リングとの間に位置決めされたOリングをさらに備える、請求項10に記載のノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記結合機構は、ツイストロック機構として構成される、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項13】
前記結合機構は、ねじ山を備えない、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項14】
前記係合部分に対して前記ノズルを解除可能に固定するように構成された締付けデバイスをさらに備える、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項15】
前記ハンドヘルドデバイスの前記出力端部は、前記ノズルに対してガスを供給するための少なくとも1つのガスポートを有して構成される、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項16】
前記ノズルは、切断ノズルとして構成され、前記切断ノズルは、
レーザ放射および前記ガスが前記切断ノズルから退出することを可能にするための放出口と、
z軸焦点距離調節機構と、
を備える、請求項15に記載のノズルアセンブリ。
【請求項17】
前記ノズルは、進入口、放出口、および中央アパーチャを有するノズル延長部を備え、前記ノズル延長部は、レーザ放射および前記ガスが前記進入口を通り前記中央アパーチャに進入し、前記放出口を通り退出することを可能にするためのものである、請求項15に記載のノズルアセンブリ。
【請求項18】
前記ノズル延長部の前記中央アパーチャの内部表面の少なくとも一部分が、材料プロセスオペレーションの最中に発生したデブリの通過を妨げるデブリシールドを有して構成される、請求項17に記載のノズルアセンブリ。
【請求項19】
前記デブリシールドは、前記中央アパーチャの前記内部表面上にねじ山を備える、請求項18に記載のノズルアセンブリ。
【請求項20】
前記デブリシールドを有して構成される前記内部表面の前記一部分は、少なくとも部分的にテーパ状を成す、請求項18に記載のノズルアセンブリ。
【請求項21】
前記ノズルは、保護ウィンドウを有して構成され、前記デブリシールドは、材料加工デブリが前記ウィンドウに到達するのを阻止する、請求項18に記載のノズルアセンブリ。
【請求項22】
前記係合部分は、前記ノズル延長部に対して装着される装着機構をさらに備える、請求項17に記載のノズルアセンブリ。
【請求項23】
前記ノズルは、前記ノズル延長部に対して装着される外部ワイヤ送出しデバイスをさらに備え、前記ワイヤ送出しデバイスは、前記表面に対してワイヤ材料を供給するように構成される、請求項17に記載のノズルアセンブリ。
【請求項24】
前記外部ワイヤ送出しデバイスは、前記ノズル延長部の下方に配設される、請求項23に記載のノズルアセンブリ。
【請求項25】
前記ノズル延長部の前記放出口を通り退出する前記ガスは、一次ガス源であり、前記ノズルは、前記ノズル延長部に対して装着される外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスをさらに備え、前記外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスは、前記表面に対してワイヤ材料および二次ガス源を供給するように構成される、請求項17に記載のノズルアセンブリ。
【請求項26】
前記外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスは、
前記ノズル延長部の外周壁部の少なくとも一部分の周囲に嵌着するようにサイズ設定された中央アパーチャと、
ガス源に対して結合されたガス進入口と、
前記中央アパーチャを囲む環状開口として構成されたガス放出口と、
ワイヤ材料源に対して結合されたワイヤ材料進入口と、
前記表面に対して前記ワイヤ材料を供給するように構成されたワイヤ材料放出口と、
を備える、請求項25に記載のノズルアセンブリ。
【請求項27】
前記ワイヤ材料放出口は、前記ガス放出口の下方に配設される、請求項26に記載のノズルアセンブリ。
【請求項28】
前記ノズル延長部の少なくとも一部分と前記ノズル延長部に対して装着されたノズル先端部の少なくとも一部分とを囲むように構成されたガスレンズデバイスをさらに備え、前記ガスレンズデバイスは、前記ノズル先端部を囲む環状開口として構成されたガス放出口を有する、請求項17に記載のノズルアセンブリ。
【請求項29】
前記ノズルは、溶接、穿孔、切断、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、アブレーション、および熱処理材料プロセスオペレーションの中の少なくとも1つを実施するように構成される、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
【請求項30】
レーザ放射を用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するためのノズルアセンブリであって、
前記表面に対して前記レーザ放射を送達するように構成されたノズルと、
結合機構であって、
レーザ光源からレーザ放射を送るレーザヘッドの出力端部上に形成された保持部分、および
前記ノズルに対して解除可能に装着可能であり、前記保持部分に係合するように構成された係合部分、
を備える、結合機構と、
を備える、ノズルアセンブリ。
【請求項31】
前記保持部分は、前記レーザヘッドの前記出力端部の環状表面上に形成される、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項32】
前記環状表面は、少なくとも1つの凹部と、前記少なくとも1つの凹部内に配設されたボールと、を有して構成される、請求項31に記載のノズルアセンブリ。
【請求項33】
前記係合部分は、環状カラーを備え、前記環状カラーの内周表面が、少なくとも一対の円弧形状スロットを有して構成され、各スロットが、前記少なくとも1つの凹部およびボールのボールを受けるように構成される、請求項32に記載のノズルアセンブリ。
【請求項34】
前記対の円弧形状スロットは、前記ボールに係合するように構成された第1の円弧形状スロットと、前記係合部分が前記保持部分に対して回転された場合に前記保持部分に対して前記係合部分をロックするように構成された第2の円弧形状スロットと、を備える、請求項33に記載のノズルアセンブリ。
【請求項35】
前記第1の円弧形状スロットは、前記第2の円弧形状スロットよりも大きくサイズ設定される、請求項34に記載のノズルアセンブリ。
【請求項36】
前記係合部分は、前記係合部分の内方表面に係合するばねをさらに備える、請求項33に記載のノズルアセンブリ。
【請求項37】
前記係合部分は、外方リングおよび内方リングを備え、
前記内方リングは、前記環状カラーが前記対の円弧形状スロットを有する状態で構成され、
前記外方リングは、前記内方表面が前記ばねに係合する状態で構成される、請求項36に記載のノズルアセンブリ。
【請求項38】
前記外方リングと前記内方リングとの間に位置決めされたOリングをさらに備える、請求項37に記載のノズルアセンブリ。
【請求項39】
前記結合機構は、ツイストロック機構として構成される、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項40】
前記結合機構は、ねじ山を備えない、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項41】
前記係合部分に対して対接状態に前記ノズルを解除可能に固定するように構成された締付けデバイスをさらに備える、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項42】
前記レーザヘッドの前記出力端部は、前記ノズルに対してガスを供給するための少なくとも1つのガスポートを有して構成される、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項43】
前記ノズルは、進入口、放出口、および中央アパーチャを有するノズル延長部を備え、前記ノズル延長部は、レーザ放射および前記ガスが前記進入口を通り前記中央アパーチャに進入し、前記放出口を通り退出することを可能にするためのものである、請求項42に記載のノズルアセンブリ。
【請求項44】
前記ノズル延長部の前記中央アパーチャの内部表面の少なくとも一部分が、材料プロセスオペレーションの最中に発生したデブリの通過を妨げるデブリシールドを有して構成される、請求項43に記載のノズルアセンブリ。
【請求項45】
前記デブリシールドは、前記中央アパーチャの前記内部表面上にねじ山を備える、請求項44に記載のノズルアセンブリ。
【請求項46】
前記デブリシールドを有して構成される前記内部表面の前記一部分は、少なくとも部分的にテーパ状を成す、請求項44に記載のノズルアセンブリ。
【請求項47】
前記ノズルは、保護ウィンドウを有して構成され、前記デブリシールドは、材料加工デブリが前記ウィンドウに到達するのを阻止する、請求項44に記載のノズルアセンブリ。
【請求項48】
前記係合部分は、前記ノズル延長部に対して装着される装着機構をさらに備える、請求項43に記載のノズルアセンブリ。
【請求項49】
前記ノズルは、溶接、穿孔、切断、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、アブレーション、および熱処理材料プロセスオペレーションの中の少なくとも1つを実施するように構成される、請求項30に記載のノズルアセンブリ。
【請求項50】
ハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するための方法であって、前記ハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるように構成されたレーザ光源と、前記レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイスと、前記レーザ光源に対して前記ハンドヘルドデバイスを結合する光ファイバと、を有する、前記方法において、
結合機構を用意するステップであって、前記結合機構は、
前記ハンドヘルドデバイスの出力端部上に形成された保持部分、および
ノズルに対して解除可能に装着可能であり、前記保持部分に係合するように構成された係合部分、
を備える、ステップ、
を含む、方法。
【請求項51】
前記ノズルを用意するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記結合機構は、ツイストロック機構として構成される、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月18日に出願された「MATERIAL PROCESSING FUNCTIONALITY IN HANDHELD LASER SYSTEM」と題する米国仮特許出願第63/212,290号に基づく優先権を主張する。この仮特許出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2021年8月25日に出願された「HANDHELD LASER SYSTEM」と題するPCT国際出願PCT/US2021/047498に関する。このPCT国際出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本技術の分野は、一般的には材料加工オペレーションに対して使用することが可能なレーザデバイスに関し、さらに詳細にはモジュール式ノズルアセンブリを有して構成されるレーザデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
高出力性能(例えば少なくとも1kW)を有するレーザベース材料加工装置が、産業用の切断および溶接のためにこれまで使用されているが、これらは一般的に、多くの小規模の機械ショップまたは他の小規模エンドユーザにとっては過度に高額なものであった。しかし徐々に、レーザダイオードの平均出力は大幅に上昇し、また一方でそれらのワットあたりの平均価格は指数関数的に低下しつつある。さらに、技術上の進歩は、より出力の高いレーザシステムにおいてなされてきた。これらの要因により、例えばハンドヘルドレーザデバイスなどのより小型の材料加工システムにおいてより高い出力のレーザを実装することがより一層実現可能なものになった。かようなシステムは、より小規模な産業用ショップにとって望ましいばかりでなく、これらのデバイスは、より大型のシステムが実用不可能なまたはその使用が不可能な用途において、特に有用なものとなり得る。
【0005】
とりわけファイバレーザ技術は、例えばエクシマまたはCOシステムなどの他のレーザ技術に比べて複数の利点を有する。ファイバレーザ技術は、そのメンテナンスコストの低さに加えて、ウォールプラグ効率の高さおよびダイオードの耐用寿命の長さをさらに実現し、輸送がさらに容易になり得る。
【0006】
切断および溶接に加えて、レーザベース材料プロセスの他の非限定的な例としては、穿孔、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、ならびに例えば洗浄およびパッシベーションなどの他の熱処理が含まれる。それぞれ異なるレーザベース材料加工オペレーションの実施のために、それぞれ異なるノズルが使用され得る。いくつかの用途では、2つ以上の異なる材料プロセスが必要となる場合がある。異なるタイプのノズルを容易に切り替えることが可能なハンドヘルドレーザデバイスを実装および提供することが望ましい。これにより、完全に異なるレーザ材料加工装置がその用途に対して必要となることがなくなるため、装置コストが削減され、またそれぞれ異なる材料加工オペレーションの実施のためにノズルタイプを簡単に切り替えられる同一「ベース」のハンドヘルドレーザデバイスまたはレーザヘッドを使用することが可能となるため、オペレータにとっては加工時間が短縮される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
態様および実施形態は、ハンドヘルドレーザまたはレーザヘッドを使用して材料加工オペレーションを実施するための方法およびシステムに関する。
【0008】
例示の一実施形態によれば、ハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するためのノズルアセンブリが提供される。ハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるように構成されたレーザ光源と、レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイスと、レーザ光源に対してハンドヘルドデバイスを結合する光ファイバと、を有する。ノズルアセンブリは、表面に対してレーザ放射を送達するように構成されたノズルと、結合機構であって、ハンドヘルドデバイスの出力端部上に形成された保持部分、およびノズルに対して解除可能に装着可能であり、保持部分に係合するように構成された係合部分を備える、結合機構と、を備える。
【0009】
一例では、保持部分は、出力端部の環状表面上に形成される。他の一例では、環状表面は、少なくとも1つの凹部と、少なくとも1つの凹部内に配設されたボールと、を有して構成される。他の一例では、係合部分は、環状カラーを備え、環状カラーの内周表面が、少なくとも一対の円弧形状スロットを有して構成され、各スロットは、少なくとも1つの凹部およびボールのボールを受けるように構成される。他の一例では、この対の円弧形状スロットは、ボールに係合するように構成された第1の円弧形状スロットと、係合部分が保持部分に対して回転された場合に保持部分に対して係合部分をロックするように構成された第2の円弧形状スロットと、を備える。他の一例では、第1の円弧形状スロットは、第2の円弧形状スロットよりも大きくサイズ設定される。別の一例では、環状カラーは、ハンドヘルドデバイスの出力端部上に位置決めされた割出し特徴部に対応する割出し特徴部を有して構成される。他の一例では、割出し特徴部のそれぞれが、可視的割出しマークとして構成される。
【0010】
一例では、係合部分は、係合部分の内方表面に係合するばねをさらに備える。他の一例では、係合部分は、外方リングおよび内方リングを備え、内方リングは、環状カラーが対の円弧形状スロットを有する状態で構成され、外方リングは、内方表面がばねに係合する状態で構成される。別の例では、ノズルアセンブリは、外方リングと内方リングとの間に位置決めされたOリングをさらに備える。
【0011】
一例では、結合機構は、ツイストロック機構として構成される。
【0012】
一例では、結合機構は、ねじ山を備えない。
【0013】
一例では、ノズルアセンブリは、係合部分に対して対接状態にノズルを解除可能に固定するように構成された締付けデバイスをさらに備える。
【0014】
一例では、ハンドヘルドデバイスの出力端部は、ノズルに対してガスを供給するための少なくとも1つのガスポートを有して構成される。
【0015】
一例では、ノズルは、切断ノズルとして構成され、切断ノズルは、レーザ放射およびガスが切断ノズルから退出することを可能にするための放出口と、z軸焦点距離調節機構と、を備える。
【0016】
一例では、ノズルは、進入口、放出口、および中央アパーチャを有するノズル延長部を備え、ノズル延長部は、レーザ放射およびガスが進入口を通り中央アパーチャに進入し、放出口を通り退出することを可能にするためのものである。他の一例では、ノズル延長部の中央アパーチャの内部表面の少なくとも一部分が、材料プロセスオペレーションの最中に発生したデブリの通過を妨げるデブリシールドを有して構成される。一例では、デブリシールドは、中央アパーチャの内部表面上にねじ山を備える。他の一例では、デブリシールドを有して構成される内部表面の部分は、少なくとも部分的にテーパ状を成す。一例では、ノズルは、保護ウィンドウを有して構成され、デブリシールドは、材料加工デブリがウィンドウに到達するのを阻止する。
【0017】
一例では、係合部分は、ノズル延長部に対して装着される装着機構をさらに備える。
【0018】
一例では、ノズルは、ノズル延長部に対して装着される外部ワイヤ送出しデバイスをさらに備え、ワイヤ送出しデバイスは、表面に対してワイヤ材料を供給するように構成される。一例では、外部ワイヤ送出しデバイスは、ノズル延長部の下方に配設される。一例では、ノズル延長部の放出口を通り退出するガスは、一次ガス源であり、ノズルは、ノズル延長部に対して装着される外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスをさらに備え、外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスは、表面に対してワイヤ材料および二次ガス源を供給するように構成される。一例では、外部ワイヤ送出しおよびガスデバイスは、ノズル延長部の外周壁部の少なくとも一部分の周囲に嵌着するようにサイズ設定された中央アパーチャと、ガス源に対して結合されたガス進入口と、中央アパーチャを囲む環状開口として構成されたガス放出口と、ワイヤ材料源に対して結合されたワイヤ材料進入口と、表面に対してワイヤ材料を供給するように構成されたワイヤ材料放出口と、を備える。他の一例では、ワイヤ材料放出口は、ガス放出口の下方に配設される。
【0019】
一例では、ノズルアセンブリは、ノズル延長部の少なくとも一部分と、ノズル延長部に対して装着されたノズル先端部の少なくとも一部分と、を囲むように構成されたガスレンズデバイスをさらに備え、ガスレンズデバイスは、ノズル先端部を囲む環状開口として構成されたガス放出口を有する。
【0020】
一例では、ノズルは、溶接、穿孔、切断、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、アブレーション、および熱処理材料プロセスオペレーションの中の少なくとも1つを実施するように構成される。
【0021】
他の例示の実施形態によれば、レーザ放射を用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するためのノズルアセンブリが提供される。このノズルアセンブリは、表面に対してレーザ放射を送達するように構成されたノズルと、結合機構であって、レーザ光源からレーザ放射を送るレーザヘッドの出力端部上に形成された保持部分、およびノズルに対して解除可能に装着可能であり、保持部分に係合するように構成された係合部分を備える、結合機構と、を備える。一例では、保持部分は、レーザヘッドの出力端部の環状表面上に形成される。一例では、環状表面は、少なくとも1つの凹部と、少なくとも1つの凹部内に配設されたボールと、を有して構成される。一例では、係合部分は、環状カラーを備え、環状カラーの内周表面が、少なくとも1対の円弧形状スロットを有して構成され、各スロットが、少なくとも1つの凹部およびボールのボールを受けるように構成される。一例では、この対の円弧形状スロットは、ボールに係合するように構成された第1の円弧形状スロットと、係合部分が保持部分に対して回転された場合に保持部分に対して係合部分をロックするように構成された第2の円弧形状スロットと、を備える。一例では、第1の円弧形状スロットは、第2の円弧形状スロットよりも大きくサイズ設定される。一例では、係合部分は、係合部分の内方表面に係合するばねをさらに備える。一例では、係合部分は、外方リングおよび内方リングを備え、内方リングは、環状カラーが対の円弧形状スロットを有する状態で構成され、外方リングは、内方表面がばねに係合する状態で構成される。一例では、ノズルアセンブリは、外方リングと内方リングとの間に位置決めされたOリングをさらに備える。一例では、結合機構は、ツイストロック機構として構成される。一例では、結合機構は、ねじ山を備えない。一例では、ノズルアセンブリは、係合部分に対して対接状態にノズルを解除可能に固定するように構成された締付けデバイスをさらに備える。一例では、レーザヘッドの出力端部は、ノズルに対してガスを供給するための少なくとも1つのガスポートを有して構成される。一例では、ノズルは、進入口、放出口、および中央アパーチャを有するノズル延長部を備え、ノズル延長部は、レーザ放射およびガスが進入口を通り中央アパーチャに進入し、放出口を通り退出することを可能にするためのものである。一例では、ノズル延長部の中央アパーチャの内部表面の少なくとも一部分が、材料プロセスオペレーションの最中に発生したデブリの通過を妨げるデブリシールドを有して構成される。一例では、デブリシールドは、中央アパーチャの内部表面上にねじ山を備える。一例では、デブリシールドを有して構成される内部表面の部分は、少なくとも部分的にテーパ状を成す。一例では、ノズルは、保護ウィンドウを有して構成され、デブリシールドは、材料加工デブリがウィンドウに到達するのを阻止する。一例では、係合部分は、ノズル延長部に対して装着される装着機構をさらに備える。一例では、ノズルは、溶接、穿孔、切断、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、アブレーション、および熱処理材料プロセスオペレーションの中の少なくとも1つを実施するように構成される。
【0022】
例示の一実施形態によれば、ハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対する材料加工オペレーションを実施するための方法が提供される。ハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるように構成されたレーザ光源と、レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイスと、レーザ光源に対してハンドヘルドデバイスを結合する光ファイバと、を有する。この方法は、結合機構を用意するステップを含む。結合機構は、ハンドヘルドデバイスの出力端部上に形成された保持部分、およびノズルに対して解除可能に装着可能であり、保持部分に係合するように構成された係合部分を備える。一例では、この方法は、ノズルを用意するステップをさらに含む。一例では、結合機構は、ツイストロック機構として構成される。
【0023】
以降では、さらに他の態様、実施形態、ならびにこれらの例示の態様および実施形態の利点を詳細に論じる。さらに、前述の情報および以降で詳述する説明はいずれも、様々な態様および実施形態の単なる例にすぎず、特許請求される態様および実施形態の特性および特徴を理解するための概要または枠組みを提示することを意図されたものである。本明細書において開示される実施形態は、他の実施形態と組み合わされてよく、「一実施形態、」、「一例」、「いくつかの実施形態」、「いくつかの例」、「代替的な一実施形態」、「様々な実施形態」、「1つの実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」、「このおよび他の実施形態」、または「特定の実施形態」等の語は、必ずしも相互に排他的であるとは限らず、説明されるある特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示唆するように意図される。本明細書において、かかる用語が用いられる場合に、それらはいずれも同一の実施形態を必ずしも指すとは限らない。
【0024】
以下、添付の図面を参照として少なくとも1つの実施形態の様々な態様を論じる。添付の図面は、縮尺どおりに図示するようには意図されない。これらの図は、様々な態様および実施形態の例示およびさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に組み込まれその一部を構成するが、いずれの実施形態の範囲を定義するようにも意図されない。図面および明細書の他の部分は、説明され特許請求される態様および実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。これらの図において、様々な図面に図示される同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で示される。明瞭化のために、すべての図面において、すべての構成要素に符号を付すわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の態様によるハンドヘルドレーザシステムの一例の概略図である。
図2】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイスに対して装着されたノズルアセンブリの斜視図である。
図3A】本発明の態様によるノズルアセンブリの写真である。
図3B】本発明の態様によるノズルアセンブリの写真である。
図4】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイスから装着解除されたノズルアセンブリの第1の斜視図である。
図5】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイスに対してノズルアセンブリを装着するために使用される結合機構を示す図4の一部分の近接図である。
図6】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイスから装着解除されたノズルアセンブリの第2の斜視図である。
図7A】本発明の態様による結合機構の保持部分の写真である。
図7B】本発明の態様による結合機構の保持部分の写真である。
図7C】本発明の態様による結合機構の保持部分の写真である。
図7D】本発明の態様による結合機構の保持部分の写真である。
図8】本発明の態様による結合機構の部分破断斜視図である。
図9】本発明の態様による係合部分および締付けデバイスの写真である。
図10】締付けデバイスが取り外された状態にある、図9の係合部分の写真である。
図11】本発明の態様による結合機構の係合部分の写真である。
図12】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイス上の割出し特徴部の写真である。
図13】本発明の態様による係合部分および締付けデバイスの側面図を示す写真である。
図13A図13の係合部分の正面図を示す写真である。
図13B図13の締付けデバイスの斜視図を示す写真である。
図14A】本発明の態様による係合部分および締付けデバイスの第2の例の側方斜視図を示す写真である。
図14B図14Aの係合部分の前方斜視図を示す写真である。
図15】本発明の態様による図14Aおよび図14Bの係合部分を使用する結合機構の部分破断斜視図である。
図16】本発明の態様によるハンドヘルドレーザデバイスの入力端部の写真である。
図17A】本発明の態様による溶接ノズル先端部の一例とノズル延長部との写真である。
図17B】本発明の態様による溶接ノズル先端部の一例とノズル延長部との写真である。
図18】本発明の態様による溶接ノズル先端部の他の例とノズル延長部との写真である。
図19図17A図17B、および図18のノズル延長部の概略断面図である。
図20】本発明の態様によるワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルの一例の写真である。
図21A】本発明の態様によるワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルの他の例の側面図の写真である。
図21B図21Aのノズルの端面図の写真である。
図22A】本発明の態様によるワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルの他の例の写真である。
図22B】本発明の態様によるワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルの他の例の写真である。
図23図22Aおよび図22Bのノズルの概略端面図である。
図24A】本発明の態様によるガスレンズ構成の一例の写真である。
図24B】本発明の態様によるガスレンズ構成の一例の写真である。
図25】本発明の態様による切断ノズルの斜視図である。
図26】本発明の態様によるレーザヘッドに対して装着されたノズルアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書では、以降において「ハンドヘルドレーザ基礎出願」と呼ばれるPCT国際出願PCT/US2021/047498を参照とする。このハンドヘルドレーザ基礎出願は、光ファイバを介してハンドヘルド構成要素に対して結合される空気冷却式レーザ光源を備えるハンドヘルドレーザシステムについて説明している。このハンドヘルドレーザシステムは、少なくとも約1kWの出力性能を有し、ビームウォブリング機能を有して構成される。
【0027】
図1は、ハンドヘルドレーザ基礎出願に開示されるハンドヘルドレーザシステムとの類似点を有するハンドヘルドレーザシステム100の一例の概略図を示す。これらの類似点には、レーザ光源115と、コントローラ150と、ハンドヘルド装置120(本明細書ではハンドヘルドデバイスとも呼ばれる)として構成されるハウジングと、ハンドヘルド装置120に対してレーザ光源115を結合する光ファイバ130と、レーザ光源115を収容するレーザモジュール110と、コントローラ150と、レーザ光源115を冷却する空気冷却システム140と、が含まれる。レーザモジュール110は、可動カート上に配置され得る。レーザ光源115は、発せられたレーザ光によるレーザ光線122で工作物105に対して材料加工オペレーションを実施するために、波長(例えばYb1030-1090nm)にてレーザ光を発する。いくつかの実施形態では、レーザ光源115は、約1500Wの出力を有するレーザ放射を発する。また、ハンドヘルド装置120は、ビームウォブリング性能を有して構成される。
【0028】
ハンドヘルド装置120として構成されるハウジングは、レーザ光線122のための放出口123または出口を有する。本説明では、その全体を通じて、「ハンドヘルド」という語は、ユーザの片手または両手に容易に保持され操作されるために十分な小型性および軽量性の両方を兼ね備えるレーザデバイスを指すものとして理解される。さらに、ハンドヘルドレーザデバイスは、レーザ加工の最中にユーザが容易に移動させることができるような、可搬性を有するべきである。しかし、本発明の実施形態が「ハンドヘルド」と呼ばれ、独立した可搬デバイスとして使用され得る一方で、このハンドヘルドレーザデバイスは、いくつかの実施形態では固定設備に対して連結され、この固定設備との組合せにおいて使用されてもよい。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、および次に図2図6を参照すると、全体として155で示されるノズルアセンブリが示される。このノズルアセンブリ155は、例えばハンドヘルドレーザ基礎出願に記載されるものなどのハンドヘルドレーザシステムを用いて工作物の表面に対して材料加工オペレーションを実施するために使用され得る。先に図1を参照として論じたように、かかるハンドヘルドレーザシステムは、レーザ放射を発生させるために構成されたレーザ光源115と、レーザ放射を案内するハンドヘルドデバイス120と、レーザ光源115に対してハンドヘルドデバイス120を結合する光ファイバ130と、を有する。ノズルアセンブリ155は、工作物の表面に対してレーザ放射を送達するように構成されたノズル(例えば図17A図17B図18図20に記載のノズル170、以降において論じるノズル180、190、200など)と、ハンドヘルドデバイス120に対してこのノズルを装着するように構成された結合機構160と、を備える。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、結合機構160は、ツイストロック機構として構成される。次に、ツイストロック機構の非限定的な一例を説明する。このツイストロック機構は、ポストおよび溝構成を使用するものであり、ポストが、1つの構成要素上に形成され、選択された構成の溝が、第2の構成要素上に形成される。これらの溝は、最初にポストを着座させ、次いで第1の構成要素が回されると、溝内へとポストをさらに移動させて第1の構成要素および第2の構成要素を一体固定するように形状設定される。
【0031】
1つ以上の実施形態によれば、結合機構160および/または結合機構160の1つ以上の構成要素は、ねじ山を備えない。これにより、アタッチメントの迅速な交換が可能となり、動作寿命がより長くなり、損傷(例えばクロススレッディング)の発生リスクが低下し、別個の道具の必要性が解消され、係合およびロックが緊密なものになる(部分螺着と比較して)という点を含む、いくつかの利点が得られる。少なくとも1つの実施形態によれば、保持部分161(以降でさらに詳細に説明する)は、ねじ山を備えない。
【0032】
図4図13は、少なくとも1つの実施形態による結合機構160の態様を示す。結合機構160は、ハンドヘルドデバイス120の出力端部124(例えば図4および図5を参照)上に形成された保持部分161(少なくとも図4図5図7A図7Dに図示、受け部分とも呼ばれる場合がある)と、ノズルに対して解除可能に装着可能であり、保持部分161に係合するように構成された係合部分162(少なくとも図5図6図8図11図13図13Aに図示)と、を備える。
【0033】
保持部分161は、ハンドヘルドデバイス120の出力端部124の環状表面126上に形成される。環状表面126は、少なくとも1つの凹部163と、少なくとも1つの凹部163内に配設されたボールまたはピン165と、を有して構成される。一実施形態では、凹部163およびボール165の組合せが、環状表面126の外縁部に沿って等距離間隔をおいた位置に配設される。
【0034】
係合部分162は、環状カラー167(例えば図6図11を参照)を備える。環状カラー167の内周表面は、少なくとも一対の円弧形状スロット166、168を有して構成され、これらの各スロットは、ボール165を受けるように構成される。理解されるように、保持部分161の各ボール165は、1対の円弧形状スロット166、168に関係づけられたものであり、したがって同一個数のボールと対の円弧形状スロットとが存在する。対の円弧形状スロット166、168は、最初にボールに係合するように構成された第1の円弧形状スロット166と、係合部分162が保持部分161に対して回転された場合に、保持部分161に対して係合部分162をロックするように構成された第2の円弧形状スロット168と、を備える。したがって、ボール165は、最初にスロット166内に挿入され、次いで係合部分162が回転されると、スロット168内へと挿入されることになる。第1の円弧形状スロット166は、第2の円弧形状スロット168よりも大きくサイズ設定される。
【0035】
また、係合部分162は、この係合部分の内方(環状)表面1052に係合するばね152(図8を参照)を備える。内方表面1052が、リップまたは他の突出部を備え、このリップまたは他の突出部は、ばね152の一方の端部が載置される表面を提供する。ばね152は、係合部分162が保持部分161上に完全にロックされると、少なくとも部分的に圧縮され、係合部分162が保持部分161から取り外されると、少なくとも部分的に圧縮解除される。
【0036】
ハンドヘルドデバイス120からノズルを取り外すためには、係合部分162が、逆方向に回転され、また同時に圧力が、すなわち係合部分162内に位置決めされたばね152により印加される力を克服し、第2のスロット168からボール165を移動させて出し第1のスロット166内にこのボールを移動させる、すなわちノズルの取外しが可能になるように第1のスロット166にボールが係合するまでボールを移動させる圧力が印加される。
【0037】
図11および図12に示すように、いくつかの実施形態によれば、結合機構160の1つ以上の構成要素は割出し特徴部169を有して構成される。この例では、係合部分162の環状カラー167は、ハンドヘルドデバイス120の出力端部124上に位置決めされた割出し特徴部169dに対応する割出し特徴部169aを有して構成される。これにより、オペレータは、結合機構160の係合部分162に対して保持部分161を整列させることが可能となる。一実施形態では、これらの割出し特徴部169は、図11および図12において赤点で示されるように、可視的割出しマークとして構成される。いくつかの実施形態によれば、係合部分162またはノズルの構成要素上において、例えば図6および図11に示す割出し特徴部169bおよび169cなどの追加の割出し特徴部が使用され得る。例えば、割出し特徴部169bは、コア部材153上に位置し、割出し特徴部169cは、保護ウィンドウ178を保持するリングエンクロージャ上に位置する。
【0038】
図2図4図5図6を参照すると、ならびに図3A図3B図8図9図13、および図13Bに示すように、少なくとも1つの実施形態によれば、ノズルアセンブリ155は、係合部分162に対して対接状態にノズルを解除可能に固定するように構成された締付けデバイス164または締付けノブを備える。一実施形態では、締付けデバイス164および装着機構156(例えば図3A図3B図9図10図13図13A図13Bを参照、および以降においてさらに詳細に説明するような)のそれぞれが、係合部分162に対して対接状態にノズルを締め付けるためのねじ部分を有する。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、ノズルアセンブリ155において使用可能な1つ以上のノズルは、材料加工オペレーションの最中に表面に対してガスを送達するように構成される。いくつかの実施形態によれば、不活性ガスまたは準不活性ガス(例えば溶接オペレーション用のシールドガス)が使用されてもよく、他の実施形態では、このガスは、空気または他のガスであることが可能である。いくつかの実施形態では、ハンドヘルドデバイス120は、レーザ放射との組合せにおいてノズルへガスを送達する機能を有して構成される。例えば、図7A図7Dのハンドヘルドデバイス120の出力端部124は、ノズルに対してガスを送るまたは供給するための少なくとも1つのガスポート127を有して構成される。さらに、出力端部124は、例えば放出口123などを経由してノズルに対してレーザ放射を供給する。図16では、ハンドヘルドデバイス120の入力端部128の写真が示されるが、ここではガスが、ハンドヘルドデバイス120に対して導入され、出力端部124に位置するガスポート127へとデバイスを経由して送られ得る。
【0040】
図4図5、および図7A図7Dに示すように、少なくとも1つの実施形態によれば、保持部分161は内方環状表面121またはリップを備える。少なくとも1つの実施形態では、内方環状表面121は、少なくとも1つのガスポート127を備える。他の一実施形態によれば、および図7B図7Dに示すように、内方環状表面121は、電気接触スイッチ154をさらに備える。接触スイッチ154は、係合部分162の内部上の対応する、例えばコア部材153上の導電性パッドなどの接触表面(例えば導電性パッド)に接触し、この導電性パッドは、レーザに関する安全システムの一部として機能する電子回路である。例えば、この電子回路は、ノズル先端部を含んでもよく、ノズル先端部が工作物表面と接触状態にある(またはない)場合にレーザに対して出力を制御する安全インターロックシステムの一部であってもよい。
【0041】
少なくとも1つの他の実施形態では、保持部分161は、コントローラ150が係合部分162に対して装着されるノズルのタイプを識別することが可能となるように、識別機構(図示略)をさらに備える。例えば、保持部分161(例えば内方環状表面121上の)が、係合部分162上に位置決めされた抵抗に対して接続される導電性表面または端子を備えてもよい。この抵抗は、定位置にロックされると、ノズルタイプ(例えば溶接用、洗浄用、切断用、等)に対応する抵抗値をコントローラ150に対して送信し、次いでコントローラ150は、レーザパラメータを制御するために任意に使用されることが可能となる。
【0042】
図2図3A図17A図17B図18、および図20に示すノズル170は、溶接などの材料プロセスオペレーションに対して使用することが可能である。いくつかの実施形態では、ノズルは、ノズル延長部175を備える。少なくとも1つの実施形態によれば、ノズル延長部175は、工作物の表面に対して、例えばこの表面上の溶接パドルなどに対して、ガス層流を供給するように、または他の方法でガス層流の供給を支援するように構成される。対照的に、ガス乱流は、酸素および酸化物を含む雰囲気空気が溶接パドルと接触状態になり溶接品質上の問題を生じさせ得る可能性を上昇させる。他の一態様によれば、ノズル延長部175は、ハンドヘルドデバイス120の1つ以上の構成要素および/またはノズルを、溶接の最中に生成されたデブリから保護するように構成される。例えば図6および図13Aに示すように、ノズルは、保護ウィンドウ178を有して構成され、ノズル延長部175は、このウィンドウを保護するために使用され得る。さらに、ノズル延長部175は、例えば集束レンズなどの光学素子からのノズル先端部157の位置を位置決めする機能を果たす。
【0043】
図19の概略図では、ノズル延長部175の断面が示される。一実施形態によれば、ノズル延長部175は、進入口171、放出口179、および中央アパーチャ712を有し、これによりレーザ放射およびガスが進入口171を通り中央アパーチャ172に進入し、放出口179を通り退出することを可能にする。ノズル延長部175は、例えば鋼などの金属材料から構成することが可能である。中央アパーチャ172の内部表面の少なくとも一部分が、材料プロセスオペレーションの最中に発生するデブリの通過を妨げるデブリシールド176を有して構成される。デブリシールド176は、例えば溶接デブリなどの材料加工デブリが、ウィンドウ178ならびに上流に位置決めされた他の光学素子および構成要素に到達するのを阻止する。
【0044】
非限定的な一実施形態によれば、デブリシールド176は、中央アパーチャ172の内部表面上にねじ山を備える。図19に示すように、いくつかの実施形態では、デブリシールド176を有して構成される中央アパーチャ172の内部表面の部分は、少なくとも部分的にテーパ状を成す、または狭窄形状を成す。デブリシールド176により、ノズル延長部175に進入し、通過し、退出するレーザ放射およびガスの通過が可能となるが、放出口179の近傍で発生したデブリは、上流方向へと逆方向に戻るように移動することが阻止される。ノズル延長部175の内部の中央部分または内方部分に向かうテーパ部により、デブリが通過して移動し得る開口のサイズが限定され、ねじ山は、粗状表面を形成することまたは表面積を拡大することにより、この開口を通過して移動するデブリを「捕捉する」ように機能する。いくつかの実施形態では、および図19に示すように、中央アパーチャは、テーパ状特徴部または狭窄状特徴部を越えて放出口に向かって外方へと広くなる。
【0045】
図2図3A図17A図17B、ならびに図18(および図20)に示すように、少なくとも1つの実施形態によれば、ノズル先端部157が、ノズル延長部175の放出口179に対して装着され得る。理解されるように、ノズル先端部157は、溶接用途における複数の異なるタイプの溶接接合向けに構成され得る。ノズル先端部157は、例えば銅またはアルミニウムなどの金属材料から作製され得る。図17A図17B、および図18に示すように、いくつかの実施形態では、ノズル170はスペーサ158をさらに備え、スペーサ158は、ノズル延長部175の放出口179およびノズル先端部157に対して装着され、放出口179とノズル先端部157との間に位置決めされる。
【0046】
図3B図9図10図13、および図13Aに示すように、一実施形態では、係合部分162は、ノズル延長部175に対して装着されるように構成される、またはノズル延長部175に対して装着される装着機構156を備える。装着機構156は、圧縮連結部を介してノズル延長部175に対して装着され、コレットとも呼ばれ得る。そのため、コレット156は、ノズル延長部の周囲にカラーを形成することによりクランプ圧力を利用する。かかる機構により、例えばコレットによって自動センタリングおよび緩み防止抵抗がもたらされるなどの、複数の利点が得られる。図6および図11に示すように、コア部材153が、係合部分162の内部に配設される。保持部材151(図10を参照)が、コア部材153に対して装着され、装着機構156および1対の非導電性絶縁体(図示略)を保持する。また、保持部材151は、ばね152を保持または他の方法で捕捉し、ばね152は、前述のように、係合部分162の環状カラー167に対する圧力を維持し、それによりスロット168内にボール165を保持するのを支援する。いくつかの実施形態によれば、保持部材151は、コア部材153に対して螺着されて、非導電性絶縁体および装着機構156を保持する。
【0047】
本明細書において、これらの例は、ノズル延長部175に対して装着される装着機構156を参照とするが、装着機構156は、他のタイプのノズルまたはノズル構成要素に対して装着するために使用されてもよい点を理解されたい。例えば、図21Aのノズル180のためのノズル延長部は、装着機構156によって装着することが可能である。装着機構156により実現される圧縮連結は、装着機構156により収容され得る管状延長部または任意の他の構成部を有するノズルに対して使用することが可能である。
【0048】
保護ウィンドウ178は、コア部材153の一方の端部に対して装着され、装着機構156は、コア部材153の他方の端部に対して装着される。さらに、係合部分162がコア部材153に対して装着される。一実施形態では、ばね152は、保護ウィンドウ178を定位置に保持するように構成されるか、または保護ウィンドウ178を定位置に保持するのを支援する(ウィンドウハウジングに対して力を印加することにより、ウィンドウハウジングを保持部分161(すなわち内方環状表面121)に対して押し付けることによって)。しかし、容易に理解されるであろうが、例えばねじ山付き保持機構などの他の保持機構もまた、本開示の範囲内に含まれる。また、ばね152の構成により、別個の道具を用いることなく保護ウィンドウ178を交換することが可能となる。
【0049】
さらに、コア部材153は、ハンドヘルドデバイス120のガスポート127から退出してノズルまでガスを送るのを支援する。ガスは、保護ウィンドウ178の周囲からノズル延長部175の進入口171および中央アパーチャ172へと送られる。例えば、一実施形態によれば、コア部材153は、保護ウィンドウ178の周囲にガスを案内するガスチャネル(例えば穿孔された)を有する。本明細書では、コア部材153、装着機構156、保持部材151、および係合部分162はそれぞれ別個のパーツとして説明されるが、これらの構成要素の中の2つ以上が単一のモノリシックパーツとして構成されることも可能である点を理解されたい。
【0050】
図3B図17B、および図18に示すように、いくつかの実施形態によれば、ノズル延長部175の外部表面は、一連のラインからなる目盛りマーク174を備えることが可能である。これらの目盛りマーク174は、ノズル延長部175が装着機構156に対して連結されるノズル延長部の進入口端部の付近に位置し、装着機構156内へのノズル延長部175の挿入においてユーザを支援するためにマーキングされる。例えば、ユーザは、装着機構156の端部に目盛りマーク174のラインの中の1つを整列させることができる。
【0051】
図14A図14B、および図15では、他の実施形態による係合部分の第2の例が示される。この実施形態によれば、この係合部分は、外方リング1062aおよび内方リング1062bを備える。外方リング1062aは、内方リング1062bの外周表面の少なくとも一部分の上に位置決めされる。外方リング1062aの内周表面は、少なくとも1つの溝またはリッジ1064aを有し、この少なくとも1つの溝またはリッジ1064aは、内方リング1062bの外周表面上の対応するリッジまたは溝1064bを受けるように構成される。内方リング1062bは、上述のように対の円弧形状スロット166、168を有する環状カラー167を有して構成され、外方リング1062aは、上述のようにばね152に係合する内方表面1052を有して構成される。したがって、ツイストロック機構は、前述のように機能し、簡略化のために、この機能についてはここでは繰り返し説明しない。また、係合部分は、外方リング1062aと内方リング1062bとの間に位置決めされるOリング159を備える。Oリング159は、内方リング1062bの溝1063内に着座する。少なくとも1つの態様によれば、外方リング1062aは、ばね152に対して圧縮力を印加することにより、係合部分の最終変位後の遊びを軽減または解消する。Oリング159は、内方リング1062bと外方リング1062aとの間に摩擦力を生じさせる役割を果たし、この摩擦力により遊びが解消され、内方リングと外方リングとの間の「フェルト」回転/係合が円滑化される。また、Oリング159は、内方リング1062bが外方リング1062a内部において前後方向に回転し得る距離を限定するとともに、一方のリングが他方のリングから回転して外れるのを防止する役割を果たす。
【0052】
本明細書において説明されるノズルの例は、主に溶接(ワイヤを用いたまたは用いない)用途のために使用されるものであるが、ノズル延長部175および/またはその態様は、例えばレーザ切断および穿孔などの、デブリを発生させる材料加工オペレーションにおいて使用される任意のノズルと共に実装されることも可能である点を理解されたい。
【0053】
次に図20を参照すると、ワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルの一例が示される。ノズル170は、結合機構を介してハンドヘルドデバイス120に対して装着されたノズル延長部175(およびノズル先端部157)を備え、さらにこの図には係合部分162および締付けデバイス164が示される。さらに、ノズルは、加工される表面にワイヤ材料を供給するように構成されたノズル延長部175に対して装着される外部ワイヤ送出しデバイス183を備える。図20に示すように、少なくとも1つの実施形態によれば、外部ワイヤ送出しデバイス183は、例えばクランプなどの装着機構(図には具体的に符号を付していない)によりノズル延長部175に対して装着される。さらに、この外部ワイヤ送出しデバイス183は、ノズル延長部175の下方に配設され、ワイヤ送出し機能が溶接プロセスに対して不都合にならぬように、工作物表面に対してある角度または角度範囲で位置決めされ得る。図20には示さないが、いくつかの実装形態では、ノズル先端部157は、外部ワイヤ送出しデバイス183を定位置に保持するのを支援するための凹部または他の保持特徴部を有する。
【0054】
図21Aおよび図21Bは、ワイヤ送出し機能を有して構成された、180で全体的に示されるノズルのもう1つの例を示す。図21Aは、ノズル180の側面図の写真であり、図21Bは、ノズル180の端面図(放出口側)の写真である。この例では、ワイヤ送出し機能は、ワイヤの出力部がノズルの放出口内に配設されるように、ノズルに対して「内部に位置する」。ノズル180は、中央アパーチャ182と、レーザ放射およびガスが中央アパーチャ182に進入するのを可能にするための第1の進入口181と、ワイヤ材料供給源に対して結合された第2の進入口185と、放出口189と、を備える。この放出口189は、レーザ放射およびガスが中央アパーチャ182から退出するのを可能にするための第1の放出ポート188と、工作物表面に対してワイヤ材料を供給するように構成された第2の放出ポート187と、を備える。第1の進入口181は、上述の結合機構160を介してハンドヘルドデバイス120に対して結合され得る。ノズル180は、例えば図21Bに示すようにスクリーンとして構成されたデブリシールド184などのデブリシールドをさらに備える。デブリシールド184は、放出口189の少なくとも一部分に配設される。ノズル180は、ノズル延長部175ではなく装着機構/コレット156に対して装着されるように構成される。
【0055】
次に図22A図22B、および図23を参照すると、ワイヤ送出し機能を有して構成されたノズルのもう1つの例が示される。図22Aおよび図22Bの写真に示す例では、このノズルは、ノズル延長部175に対して装着される外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス190を備える。この例では、ノズル延長部175の放出口179を通り退出するガスは、一次ガス源であり、外部ワイヤ送出しガスデバイス190は、工作物表面に対してワイヤ材料および二次ガス源を供給するように構成される。1つ以上の態様によれば、デバイス190は、ガスレンズデバイスと呼ぶまたは記述することも可能である。デバイス190の機能は、溶接パドルの周囲においてガスをより広く覆わせるように構成されるものであり、ノズルのみからのガスでは工作物を十分に覆う供給量として不十分である場合に有用となる。この後者の問題は、工作物の形状または幾何学的形態により、ガスが溶接パドルの近傍内に留まらずに吹き払ってしまう場合に生じ得る。溶接オペレーションの最中に、ノズル先端部は、ガスが溶接パドルの周囲にシールドを形成する能力に適応し得るまたは他の方法により溶接パドルの周囲にシールドを形成することが可能となり得るよりも速く、移動されることが可能であり(すなわち溶接オペレーションはガス機能に先んじて行われる)、デバイス190は、この問題に対処する。
【0056】
外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス190は、ノズル延長部175の外周壁部の少なくとも一部分の周囲に嵌着するようにサイズ設定された中央アパーチャ192と、ガス供給源に対して結合されたガス進入口194と、中央アパーチャ192を囲む環状開口として構成されたガス放出口196と、ワイヤ材料供給源に対して結合されたワイヤ材料進入口195と、工作物表面に対してワイヤ材料を供給するように構成されたワイヤ材料放出口197と、を備える。外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス190は、例えば鋼などの金属材料から作製することが可能である。デバイス190は、ノズル延長部175に対して装着されるように構成され得る。
【0057】
図23では、デバイス190の概略端面図が示される。全体的には、ノズルの放出口199は、レーザ放射および一次ガス源が中央アパーチャ192から退出するのを可能にするように構成された第1の放出ポート198と、工作物表面に対してワイヤ材料を供給するように構成された第2の放出ポート197と、を備える。外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス190は、ノズル延長部175に対して装着されるように構成されたものとして図示されるが、他の構成および設計は、本開示の範囲内において、一次ガス源およびレーザ放射のための中央アパーチャを有する単一の(モノリシックの)ノズルデバイスとしてこの性能を統合するように構成される点を理解されたい。第1の進入口は、レーザ放射およびガスを中央アパーチャ192に進入させることが可能であり、いくつかの例では、第1の進入口は、ハンドヘルドデバイス120の出力端部124に対して第1の進入口を解除可能に装着する結合機構(上述の結合機構160など)に対して結合される。第2の進入口(進入口195と同様の)が、ワイヤ材料供給源に対して結合され、第3の進入口(進入口194と同様の)が、ガス源に対して結合される。図23に示す放出口199などの放出口は、レーザ放射および一次ガス源が中央アパーチャ192から退出するのを可能にするように構成された第1の放出ポート198を備え、第2の放出ポート197は、表面に対してワイヤ材料を供給するように構成され、第3の放出ポート196は、表面に対して二次ガス源を供給するように構成される。第3の放出ポート196は、第1の放出ポート198を囲む環状開口として構成される。ワイヤ材料放出口または第2の放出ポート197は、一次ガスおよびレーザ放射のための各放出ポート198とガスのための二次放出口196との下方に配設されることが可能である。
【0058】
1つ以上の態様によれば、図21Aおよび図21Bのノズル180、ならびに図22Aおよび図22Bの外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス190はそれぞれ、ガスレンズデバイスとも呼ぶことができる。図24Aおよび図24Bでは、ガスレンズデバイスの他の非限定的な例が全体として1090で示される。この実施形態によれば、ガスレンズデバイス1090は、ノズル延長部175の少なくとも一部分と、ノズル延長部に対して装着されるノズル先端部157の少なくとも一部分と、を囲むように構成される。ガスレンズデバイス1090は、ノズル先端部157を囲む環状開口として構成されたガス放出口196を有する。図24Bに示す例では、一次ガスおよびレーザ放射のための放出ポート198を収容するノズル先端部157は、二次ガス放出口196を越えて延出する。他の実施形態では、ノズル先端部157は、ガス放出口196とより緊密に位置合わせされた状態にあり得る、またはガス放出口196に整列され得る。図24Bに示すように、二次ガス源は、ガス放出口196を備える環状空間内へと送られる。
【0059】
図2図3A図17A図17B図18図20図21A図21B図22A、および図22Bに示すノズルは、溶接オペレーション向けに構成されるが、例えば穿孔、切断(例えば以降で説明する切断ノズル200など)、ろう付けおよび/またははんだ付け、クラッディング、アブレーション、熱処理、積層造形、ならびに表面洗浄および表面構造形成などの、他のタイプの溶接およびその他の材料プロセスオペレーションを実施するために構成されたノズルもまた、本開示の範囲内に含まれる点を理解されたい。これらのノズルは、例えば本明細書において説明される結合機構160などの結合機構を使用してハンドヘルドデバイス120に対して結合することが可能である。これにより、種々の用途に対してまたは単一用途内における種々の材料プロセスオペレーションに対して、このハンドヘルドデバイスを用いてノズルを容易に交換することが可能になるような、モジュール式アプローチが可能となる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、ノズルは、切断ノズルとして構成される。図25では、切断ノズルの1つの非限定的な例が全体として200で示される。切断ノズル200は、上述のような係合部分162(図14A図14B、および図15を参照として上述したような内方リングおよび外方リングを有する係合部分を含む)を介してハンドヘルドデバイス120に対して装着される。切断ノズル200は、レーザ放射およびガスが切断ノズルから退出することを可能にするための放出口298を備える。いくつかの実施形態では、切断ノズル200は、z軸焦点距離調節機構210をさらに備える。この調節機構により、レーザ光線の焦点を工作物表面に対して合焦させることが可能となる。例えば、切断ノズル先端部257は、ノズルのねじ山付き円筒状部分の上に位置決めされてもよく、これによりレーザ光線の焦点を調節するために回転させ得る。また、切断ノズル200は、ハンドヘルドデバイスから退出するレーザ光線を放出口298に対して整列させるための、すなわちノズルを通過し先端部までレーザ光線を案内する中央アパーチャを移動させることにより整列させるための、少なくとも1つのx軸およびy軸調節機構220を備えてもよい。この調節機構220は、設定点調節ねじ(例えばノズル200の周縁部に沿って位置決めされた2つ以上の設定点調節ねじなど)として構成することができるが、他の機械的アラインメントオプションもまた本開示の範囲内に含まれる点を理解されたい。さらに、いくつかの実施形態によれば、コントローラ150は、レーザのx軸設定、y軸設定、およびz軸設定の中の少なくとも1つを調節する役割を果たしてもよく、したがって、ノズル200の機械構成要素に対して結合されてもよい。締付けデバイスまたはノブ264が、係合部分162に対して対接状態にノズルを解除可能に固定するように構成され、上記で論じた締付けデバイス164と同様の様式で機能する、すなわちコレットをしっかりと締め付ける。また任意には、切断ノズル200は、追加のガス源のための進入口294をさらに備えてもよい。切断ノズル先端部257は、種々の用途に対してそれぞれ異なるサイズの放出口298を有してもよい点を理解されたい。
【0061】
本明細書において説明される例は、ハンドヘルドレーザシステムのハンドヘルドデバイス120との組合せにおいて使用されるノズルアセンブリ155を参照とするが、少なくとも1つの実施形態によれば、ノズルアセンブリ155は、レーザ放射源およびガスを供給するレーザヘッドと共に使用されることが可能であり、したがって本発明の態様は、ハンドヘルドレーザに限定されない。図26の概略図では、レーザヘッドを有するレーザシステムの一例が示される。ノズルアセンブリ1055は、ノズルアセンブリ155を参照として上述したものと同様であるが、この例では、保持部分161は、レーザヘッド1020の出力端部1024上に形成される。レーザヘッド1020は、レーザ光源115からレーザヘッド1020の出力端部1024外へとレーザ放射を送る。レーザヘッド1020は、レーザ光源115を備えなくてもよいが、レーザ光源115から発せられるレーザ放射を送るようにハウジング内に備えられた光学素子および光線案内構成要素を備える。また、ガスが、ハンドヘルドレーザの出力端部124を参照として上述したものと同様の様式でレーザヘッド1020の出力端部1024から退出する。例えば、レーザヘッド1020の出力端部1024は、ノズルにガスを供給するための少なくとも1つのガスポート127を有して構成される。ノズルアセンブリ1055は、上述のような例えばノズル170(またはノズル180、220)などのノズルと、上述のような結合機構160と、を備える。レーザ光線122は、ノズル170から発せられ、工作物105へと送られる。また、コントローラ150は、制御信号を送信するために、ならびにいくつかの例ではフィードバックおよび/または入力信号を受信するために、レーザヘッド1020およびレーザ光源115に対して結合される。
【0062】
先述のように、ノズルアセンブリ1055は、ノズルアセンブリ155を参照として上述したものと同様であり、簡略化のために、ここでは繰り返し説明しない。例えば、結合機構160は、レーザヘッド1020の出力端部1024上に形成された保持部分161と、ノズル170に対して解除可能に装着可能であり、保持部分161に係合するように構成された係合部分162と、を備える。保持部分161は、レーザヘッド1020の出力端部1024の環状表面上に形成される(図26では符号を付されないが、環状表面126を参照として上述したように構成される)。環状表面は、先述の少なくとも1つの凹部163およびボール165と同様の、少なくとも1つの凹部および少なくとも1つの凹部内に配設されたボールを有して構成される。係合部分162は、係合部分162の内方表面に係合するばね(ばね152に関連して先述したような)をさらに備えてもよい(例えば図8および図15を参照)。この係合部分は、図14A図14B、および図15を参照として上述したように外方リング1062aおよび内方リング1062bを備え、内方リング1062bは、対の円弧形状スロット166、168を有する環状カラー167を有して構成され、外方リング1062aは、ばね152に係合する内方表面を有して構成される。ノズルアセンブリ1055は、先述のように締付けデバイス164をさらに備えてもよい。上述のように、結合機構160は、ツイストロック機構として構成され、ねじ山を備えない。ノズル170は、中央アパーチャ172の内部表面上に構成された内蔵デブリシールド176を有する、例えば先述のようなノズル延長部175などのノズル延長部をさらに備えてもよい(図19を参照)。係合部分は、上記で論じたように、ノズル延長部175(または他のタイプのノズルの他の管状延長部)に対して装着される装着機構156を備える。ノズルは、溶接、穿孔、切断、ろう付け、はんだ付け、クラッディング、アブレーションおよび熱処理材料プロセスオペレーションの中の少なくとも1つを実施するように構成され得る。
【0063】
本発明による本明細書において開示する態様は、以降の説明において示されるまたは添付の図面において示される構成要素の構造および構成の詳細に対してそれらの適用を限定されるものではない。これらの態様は、他の実施形態を想定することが可能であり、様々な方法で実施または実行されることが可能である。本明細書においては、具体的な実装形態の例は、もっぱら例示を目的として提示され、限定的なものとしては意図されない。特に、いずれの1つ以上の実施形態に関連して論じられる動作、構成要素、要素、および特徴も、いずれの他の実施形態の同様の役割から除外されるように意図されるものではない。
【0064】
また、本明細書において使用される表現および術語は、説明を目的としたものであり、限定的なものとして理解されるべきではない。本明細書においては、単数形で示されるシステムおよび方法の例、実施形態、構成要素、要素、または動作を指示する語はいずれも、複数性を含む実施形態をさらに包含し得るものであり、本明細書における任意の実施形態、構成要素、要素、または動作を指示する複数形の語はいずれも、単一性のみを含む実施形態をさらに包含し得る。単数形または複数系での指示語は、本開示のシステムもしくは方法、それらの構成要素、動作、または要素を限定するように意図されるものではない。本明細書において、「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」、「伴う」、およびそれらの変形語の使用は、その後に列挙される項目およびその均等物、ならびにその他の項目を包含するように意図される。「または」という指示語は、非排他的なものとして解釈されてもよく、したがって「または」を用いて記載される語はいずれも、記載される語の中の1つ、2つ以上、およびすべての中のいずれをも示し得る。さらに、本文献と参照により本明細書に組み込まれる文献との間において用語の使用に不一致が存在する場合には、本明細書に組み込まれる参考文献における用語の使用が、本文献における用語の使用に対する補足的なものとなり、両立しない不一致に関しては、本文献における用語の使用を優先するものとする。さらに、本明細書において、表題および副題は、読者の便宜を目的として使用される場合があるが、本発明の範囲に対して影響を有さない。
【0065】
少なくとも1つの例の複数の態様を説明したが、当業者には様々な変更、修正、および改良が容易に想起されることが理解されよう。例えば、本明細書において開示される例は、他の状況において使用されてもよい。かかる変更、修正、および改良は、本開示の一部として意図され、本明細書において論じる例の範囲内に含まれるものとして意図される。したがって、上記の説明および図面は、例にすぎない。
【符号の説明】
【0066】
100 ハンドヘルドレーザシステム
105 工作物
110 レーザモジュール
115 レーザ光源
120 ハンドヘルド装置、ハンドヘルドデバイス
121 内方環状表面
122 レーザ光線
123 放出口
124 出力端部
126 環状表面
127 ガスポート
128 入力端部
130 光ファイバ
140 空気冷却システム
150 コントローラ
151 保持部材
152 ばね
153 コア部材
154 電気接触スイッチ
155 ノズルアセンブリ
156 装着機構、コレット
157 ノズル先端部
158 スペーサ
159 Oリング
160 結合機構
161 保持部分
162 係合部分
163 凹部
164 締付けデバイス
165 ボール、ピン
166 円弧形状スロット、第1の円弧形状スロット
167 環状カラー
168 円弧形状スロット、第2の円弧形状スロット
169 割出し特徴部
169a 割出し特徴部
169b 割出し特徴部
169c 割出し特徴部
169d 割出し特徴部
170 ノズル
171 進入口
172 中央アパーチャ
174 目盛りマーク
175 ノズル延長部
176 デブリシールド
178 保護ウィンドウ
179 放出口
180 ノズル
181 第1の進入口
182 中央アパーチャ
183 外部ワイヤ送出しデバイス
184 デブリシールド
185 第2の進入口
187 第2の放出ポート
188 第1の放出ポート
189 放出口
190 外部ワイヤ送出しおよびガスデバイス
192 中央アパーチャ
194 ガス進入口
195 ワイヤ材料進入口
196 ガス放出口、第3の放出ポート、二次放出口、二次ガス放出口
197 ワイヤ材料放出口、第2の放出ポート
198 第1の放出ポート
199 放出口
200 切断ノズル
210 z軸焦点距離調節機構
220 x軸およびy軸調節機構
257 切断ノズル先端部
264 ノブ
294 進入口
298 放出口
712 中央アパーチャ
1020 レーザヘッド
1024 出力端部
1052 内方環状表面、内方表面
1055 ノズルアセンブリ
1062a 外方リング
1062b 内方リング
1063 溝
1064a リッジ
1064b リッジまたは溝
1090 ガスレンズデバイス
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17A-17B】
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図25
図26
【国際調査報告】