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特表2024-524125外科用ステープル留め装置のためのアンビルバットレスの取り付け
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め装置のためのアンビルバットレスの取り付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577784
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2022055594
(87)【国際公開番号】W WO2022269420
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/355,244
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】バリル, ジェイコブ シー.
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス, ロアニット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160CC40
4C160NN23
(57)【要約】
アンビルバットレス装填システムは、アンビルアセンブリと、アンビルアセンブリに結合されたアンビルバットレス保持クリップと、アンビルバットレス装填ツールと、アンビルバットレスと、を含む。アンビルバットレスは、アンビルバットレス装填ツール及びアンビルアセンブリの各々で保持可能であり、アンビルバットレス装填ツールからアンビルアセンブリまで移送可能である。一実施形態では、アンビルバットレス保持クリップのアームが、フックからアームの遠位端部まで遠位に先細になるカム表面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビルバットレス装填システムであって、
内部に複数のステープル形成ポケットを画定する組織対向表面と、前記複数のステープル形成ポケットの近位に配設された切欠き部と、を含む、アンビルアセンブリと、
前記アンビルアセンブリに結合されたアンビルバットレス保持クリップであって、前記アンビルアセンブリの前記切欠き部内に延在するフックを有するアームを含み、前記フックが、前記切欠き部の内外に枢動可能である、アンビルバットレス保持クリップと、
本体部分を含むアンビルバットレス装填ツールであって、前記本体部分から近位に延在する一対の支柱を有する、アンビルバットレス装填ツールと、
アンビルバットレスであって、その近位端部分に画定された窓を有する本体と、前記本体から近位に延在する一対のタブと、を含む、アンビルバットレスと、を備え、
前記アンビルバットレスの前記本体が、前記アンビルバットレスを前記アンビルバットレス装填ユニット上に保持するために、前記一対のタブが前記一対の支柱と係合した状態で、前記アンビルバットレス装填ツールの前記本体部分上に位置決め可能であり、前記アンビルバットレスの前記本体が、前記アンビルバットレスを前記アンビルアセンブリ上に保持するために、前記フックが前記窓を通って前記切欠き部内に延在した状態で、前記アンビルアセンブリの前記組織対向表面上に位置決め可能であり、前記アンビルバットレスが、前記アンビルバットレス装填ツールから前記アンビルアセンブリまで移送可能である、アンビルバットレス装填システム。
【請求項2】
前記アンビルバットレス保持クリップの前記アームが、前記フックから前記アームの遠位端部まで遠位に先細になるカム表面を含む、請求項1に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項3】
前記アンビルバットレス装填ツールの前記一対の支柱が、横方向に離間しており、前記アンビルバットレス装填ツールが前記アンビルアセンブリと位置合わせされたときに、前記アンビルバットレス保持クリップの前記アームの両側に延在するように構成されている、請求項1に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項4】
前記アンビルバットレス装填ツールが、前記本体部分の近位端部まで先細になり、かつ前記一対の支柱の間に延在する、傾斜部を含み、前記傾斜部が、前記アンビルバットレス装填ツールが前記アンビルアセンブリと係合したときに、前記アンビルバットレス保持クリップの前記アームを移動させるように構成されている、請求項1に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項5】
前記アンビルバットレスの前記窓が、前記アンビルバットレスが前記アンビルアセンブリ上に位置決めされたときに、前記アンビルアセンブリに画定された前記切欠き部及び中央長手方向スロットの上に延在するようにサイズ決めされている、請求項1に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項6】
前記アンビルアセンブリが、前記組織対向表面の両側に配設されたウィングを含み、前記アンビルバットレス保持クリップが、前記ウィングのうちの1つに結合されている、請求項1に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項7】
前記アンビルバットレス保持クリップが、前記アンビルアセンブリに固定されたアンビル保持部分と、前記アームを含むバットレス保持部分と、を含む、請求項6に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項8】
前記アンビル保持部分が、内部に画定されたスロットを含み、前記ウィングが、前記スロット内に保持されている、請求項7に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項9】
前記アンビル保持部分が、前記スロット内に延在するペグを含み、前記アンビルアセンブリの前記ウィングが、そこを通って画定された開口部を含み、前記ペグが、前記開口部を通って延在する、請求項8に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項10】
前記バットレス保持部分が、前記アンビル保持部分から横断方向に延在するベースを含み、前記アームが、前記ベースから遠位に延在する、請求項7に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項11】
前記アームが、ヒンジを中心に前記ベースに相互接続されている、請求項10に記載のアンビルバットレス装填システム。
【請求項12】
アンビルバットレスをアンビルアセンブリ上に装填する方法であって、
アンビルバットレス保持クリップのアームのフックを、前記アンビルアセンブリの組織対向表面に画定された切欠き部の外に持ち上げることと、
前記アンビルバットレスの近位端部分に画定された窓が、前記切欠き部の上に配設されるまで、アンビルバットレスを前記アンビルアセンブリの前記組織対向表面上に摺動させることと、
前記アンビルバットレスの前記近位端部分を前記アンビルアセンブリに固定するために、前記フックが前記外科用バットレスの前記窓を通過し、前記アンビルアセンブリの前記切欠き部内に戻るように、前記フックを解放することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記アンビルバットレスが、アンビルバットレス装填ツールに解放可能に固定されており、前記フックを持ち上げること及び前記外科用バットレスを摺動させることが、前記アンビルバットレス装填ツールを摺動させて前記アームと接触させる間に同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アンビルバットレス装填ツールの本体部分から近位に延在する一対の支柱を、前記アンビルバットレス保持クリップの前記アームの両側に位置合わせすることであって、前記一対の支柱が、前記アンビルバットレスの一対のタブと係合される、位置合わせすることと、
前記アンビルバットレスの本体を、前記アンビルアセンブリの前記組織対向表面に対して位置決めすることと、を更に含み、
前記一対の支柱を位置合わせすること及び前記アンビルバットレスの前記本体を位置決めすることが、前記アンビルバットレス装填ツールを摺動させて前記アームと接触させる前に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フックを持ち上げることが、前記フックを前記アンビルバットレス装填ツールの傾斜部と接触させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フックを解放することが、前記アンビルバットレス装填ツールを摺動させて、前記アームとの接触から外すことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記外科用バットレスの遠位端部分を前記アンビルアセンブリに固定することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、外科用ステープル留め装置に関するものであり、より具体的には、アンビルバットレス装填システム、及び外科用ステープル留め装置にアンビルバットレスを解放可能に固定するためのアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め装置は、身体組織セグメントを一緒に接合する目的で、1列以上のファスナ、例えば、ステープル又は2部品型ファスナを身体組織に順次に又は同時に適用するために、外科医によって用いられる。そのような装置は、概して、その間に接合されるべき身体組織が配置される一対のジョー又はフィンガ状構造を含む。外科用ステープル留め装置を作動又は「発射」させたときに、長手方向に移動する発射バーが、ジョーのうちの1つのステープル駆動部材に接触する。ステープル駆動部材は、外科用ステープルに身体組織を通過させて、ステープルを形成する反対側のジョーのアンビルの中へ押し込む。身体組織を除去又は分離する場合は、装置のジョー内にナイフブレードを提供して、ステープルのラインの間で身体組織を切断することができる。
【0003】
外科用支持体、例えば、メッシュ又はバットレス材料が、患者内の組織欠損を埋める、再建、及び/又は補強するために、外科用ステープル留め装置と組み合わせて使用され得る。臨床医は、外科手技中に手術室内で外科用ステープル留め装置にバットレス材料を手動で取り付け得るか、又は、例えば、高価な自動化された取り付けプロセスによって、そこに予め挿入されたバットレス材料を含む外科用ステープル留め装置を利用し得る。バットレス材料は、ステープル又は縫合線を補強し、並びに組織の接合部を覆って、治癒前の漏出を低減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、外科用ステープル留め装置の装填ユニットへのアンビル側(片側)バットレス取り付けに関する。本開示のアンビルバットレス装填システム及びアセンブリは、手術室におけるアンビルバットレス取り付けを、単純で、簡単で、かつ費用効率的な手技にするように設計されている。
【0005】
一態様では、本開示は、アンビルアセンブリと、アンビルバットレス保持クリップと、アンビルバットレス装填ツールと、アンビルバットレスと、を含む、アンビルバットレス装填システムを提供する。アンビルアセンブリは、内部に複数のステープル形成ポケットを画定する組織対向表面と、複数のステープル形成ポケットの近位に配設された切欠き部と、を含む。アンビルバットレス保持クリップは、アンビルアセンブリに結合されており、アンビルアセンブリの切欠き部内に延在するフックを有するアームを含む。フックは、切欠き部の内外に枢動可能である。アンビルバットレス装填ツールは、本体部分であって、本体部分から近位に延在する一対の支柱を有する、本体部分を含む。アンビルバットレスは、その近位端部分に画定された窓を有する本体と、本体から近位に延在する一対のタブと、を含む。アンビルバットレスの本体は、アンビルバットレスをアンビルバットレス装填ユニット上に保持するために、一対のタブが一対の支柱と係合した状態で、アンビルバットレス装填ツールの本体部分上に位置決め可能であり、アンビルバットレスの本体は、アンビルバットレスをアンビルアセンブリ上に保持するために、フックが窓を通って切欠き部内に延在した状態で、アンビルアセンブリの組織対向表面上に位置決め可能である。アンビルバットレスは、アンビルバットレス装填ツールからアンビルアセンブリまで移送可能である。
【0006】
アンビルバットレス保持クリップのアームは、フックからアームの遠位端部まで遠位に先細になるカム表面を含み得る。
【0007】
アンビルバットレス装填ツールの一対の支柱は、横方向に離間され得、アンビルバットレス装填ツールがアンビルアセンブリと位置合わせされたときに、アンビルバットレス保持クリップのアームの両側に延在するように構成され得る。
【0008】
アンビルバットレス装填ツールは、本体部分の近位端部まで先細になり、一対の支柱の間に延在する傾斜部を含み得る。傾斜部は、アンビルバットレス装填ツールがアンビルアセンブリと係合したときに、アンビルバットレス保持クリップのアームを移動させるように構成され得る。
【0009】
アンビルバットレスの窓は、アンビルバットレスがアンビルアセンブリ上に位置決めされたときに、アンビルアセンブリに画定された切欠き部及び中央長手方向スロットの上に延在するようにサイズ決めされ得る。
【0010】
アンビルアセンブリは、組織対向表面の両側に配設されたウィングを含み得る。アンビルバットレス保持クリップは、ウィングのうちの1つに結合され得る。アンビルバットレス保持クリップは、アンビルアセンブリに固定されたアンビル保持部分と、アームを含むバットレス保持部分と、を含み得る。アンビル保持部分は、内部に画定されたスロットを含み得、ウィングは、スロット内に保持され得る。アンビル保持部分は、スロット内に延在するペグを含み得、アンビルアセンブリのウィングは、そこを通って画定された開口部を含み得、ペグが、開口部を通って延在する。バットレス保持部分は、アンビル保持部分から横断方向に延在するベースを含み得、アームは、ベースから遠位に延在し得る。アームは、ヒンジを中心にベースに相互接続され得る。
【0011】
別の態様では、本開示は、アンビルバットレスをアンビルアセンブリ上に装填する方法であって、アンビルバットレス保持クリップのアームのフックを、アンビルアセンブリの組織対向表面に画定された切欠き部の外に持ち上げることと、アンビルバットレスの近位端部分に画定された窓が、切欠き部の上に配設されるまで、アンビルバットレスをアンビルアセンブリの組織対向表面上に摺動させることと、アンビルバットレスの近位端部分をアンビルアセンブリに固定するために、フックが外科用バットレスの窓を通過し、アンビルアセンブリの切欠き部内に戻るように、フックを解放することと、を含む、方法を提供する。
【0012】
アンビルバットレスは、アンビルバットレス装填ツールに解放可能に固定され得、フックを持ち上げること及び外科用バットレスを摺動させることが、アンビルバットレス装填ツールを摺動させてアームと接触させる間に同時に行われ得る。方法は、アンビルバットレス装填ツールの本体部分から近位に延在する一対の支柱を、アンビルバットレス保持クリップのアームの両側に位置合わせすることであって、一対の支柱は、アンビルバットレスの一対のタブと係合される、位置合わせすることと、アンビルバットレスの本体を、アンビルアセンブリの組織対向表面に対して位置決めすることと、を更に含み得る。一対の支柱を位置合わせすること及びアンビルバットレスの本体を位置決めすることは、アンビルバットレス装填ツールを摺動させてアームと接触させる前に行われ得る。フックを持ち上げることは、フックをアンビルバットレス装填ツールの傾斜部と接触させることを含み得る。フックを解放することは、アンビルバットレス装填ツールを摺動させてアームとの接触から外すことを含み得る。
【0013】
方法は、外科用バットレスの遠位端部分をアンビルアセンブリに固定することを更に含み得る。
【0014】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示に説明されている他の態様、並びに態様の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の様々な態様を、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する、図面を参照して、以下で説明する。
【0016】
図1】本開示の一態様による、外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【0017】
図2】外科用ステープル留め装置の装填ユニットを例解する、図1の詳細領域2の拡大図である。
【0018】
図3図1の外科用ステープル留め装置のアンビルアセンブリと、アンビルバットレス保持クリップと、アンビルバットレスと、アンビルバットレス装填ツールと、を含む、アンビルバットレス装填システムの、構成要素が分離された状態で示される斜視図である。
【0019】
図4】アンビルバットレス保持クリップを例解する、図3の詳細領域4の拡大図である。
【0020】
図5図3の切断線5-5に沿った、図3のアンビルバットレス保持クリップ及びアンビルアセンブリの断面図であり、アンビルアセンブリのアーム上へのアンビルバットレス保持クリップの設置を例解する。
図6図3の切断線5-5に沿った、図3のアンビルバットレス保持クリップ及びアンビルアセンブリの断面図であり、アンビルアセンブリのアーム上へのアンビルバットレス保持クリップの設置を例解する。
図7図3の切断線5-5に沿った、図3のアンビルバットレス保持クリップ及びアンビルアセンブリの断面図であり、アンビルアセンブリのアーム上へのアンビルバットレス保持クリップの設置を例解する。
【0021】
図8】アンビルバットレス保持クリップがアンビルアセンブリ上に設置された状態で示される、図3のアンビルアセンブリ及びアンビルバットレス保持クリップの斜視図である。
【0022】
図9】アンビルアセンブリの近位端部分を例解する、図8の詳細領域9の拡大図である。
【0023】
図10】アンビルバットレスの近位端部分を例解する、図3の詳細領域10の拡大図である。
【0024】
図11図3のアンビルバットレスの上面図である。
【0025】
図12】アンビルバットレス装填ツールの近位端部分を例解する、図3の詳細領域12の拡大図である。
【0026】
図13図3のアンビルバットレス装填ツールの上面図である。
【0027】
図14】アンビルバットレスがアンビルバットレス装填ツール上に装填された状態で示される、図3のアンビルバットレス装填ツール及びアンビルバットレスの斜視図である。
【0028】
図15】アンビルバットレス装填ツール及びアンビルバットレスの近位端部分を例解する、図14の詳細領域15の拡大図である。
【0029】
図16図14の切断線16-16に沿った、図14のアンビルバットレス装填ツール及びアンビルバットレスの断面図である。
【0030】
図17図9の切断線17-17に沿った、図9のアンビルアセンブリの断面図、及び図16の装填されたアンビルバットレス装填ツールの断面図である。
【0031】
図18】装填されたアンビルバットレス装填ツールがアンビルアセンブリ上に位置決めされた状態で示される、図17のアンビルアセンブリ及び装填されたアンビルバットレス装填ツールの斜視図である。
【0032】
図19図18の切断線19-19に沿った、図18のアンビルアセンブリ及び装填されたアンビルバットレス装填ツールの断面図である。
【0033】
図20】アンビルバットレスのアンビルアセンブリ上への設置を例解する、図19のアンビルアセンブリ及び装填されたアンビルバットレス装填ツールの断面図である。
図21】アンビルバットレスのアンビルアセンブリ上への設置を例解する、図19のアンビルアセンブリ及び装填されたアンビルバットレス装填ツールの断面図である。
図22】アンビルバットレスのアンビルアセンブリ上への設置を例解する、図19のアンビルアセンブリ及び装填されたアンビルバットレス装填ツールの断面図である。
【0034】
図23】アンビルバットレスが装填された状態で示される、図22のアンビルアセンブリの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示の態様が、同じ参照番号が同様の、又は同一の要素を特定する図面を参照して詳述に説明される。本明細書全体を通じて、「近位」という用語は、ユーザのより近くにある構造の一部分又はその構成要素を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠くにある構造の一部分又はその構成要素を指す。「概ね」、「実質的に」、及び「約」という用語は、修飾された用語における変動が比較的少ないか全くない(例えば、10%未満だけ異なる)ことを考慮に入れた近似の語として理解されるものとする。「下向き」、「上向き」などのような方向参照用語は、本開示の態様の説明を容易にするために使用されており、ある構造又はその任意の部分の最終的な配向に対していかなる限定的な影響も与えることを意図するものではない。
【0036】
以下、図1を参照すると、本開示の態様に従って組織をステープル留めする際に使用するための例示的な外科用ステープル留め装置又は外科用ステープラ1が示されている。外科用ステープル留め装置1は、一般に、ハンドルアセンブリ10と、ハンドルアセンブリ10から遠位に延在する細長い管状本体20と、細長い管状本体20から遠位に延在する装填ユニット30と、を含む。装填ユニット30は、ハウジング部分32と、第1のジョー部材34a及び第2のジョー部材34bを含むツール又はジョーアセンブリ34と、を含む。第1のジョー部材34a及び/又は第2のジョー部材34bは、ツールアセンブリ34が、第1のジョー部材34a及び第2のジョー部材34bが互いに対して離間される開位置と、第1のジョー部材34a及び第2のジョー部材34bが互いに実質的に隣接する閉位置との間で移動可能であるように、ハウジング部分32に対して枢動可能である。
【0037】
ハンドルアセンブリ10は、固定ハンドル部材12aと、移動可能なハンドル部材12bと、バレル部分14と、を含む。移動可能なハンドル部材12bの作動は、ツールアセンブリ34の第1のジョー部材34aと第2のジョー部材34bとの間で捕捉された組織にステープルのラインを印加する。関節運動レバー16は、ツールアセンブリ34の関節運動を容易にするために、バレル部分14の前端に装着される。回転可能な部材18もまた、関節運動レバー16に隣接してバレル部分14の前端に装着される。バレル部分14に対する回転可能な部材18の回転は、ステープル留めされた組織に対してツールアセンブリ34を適切に配向させるように、ハンドルアセンブリ10に対して細長い管状本体20及び装填ユニット30を回転させる。ノブ19は、バレル部分14に沿って移動可能に位置決め可能である。ノブ19は、互いに対してツールアセンブリ34の第1のジョー部材34a及び第2のジョー部材34bを接近させるか又は閉じるように遠位に前進され、また、互いに対してツールアセンブリ34の第1のジョー部材34a及び第2のジョー部材34bを離すか又は開くように近位に後退される。
【0038】
装填ユニット30は、細長い管状本体20に解放可能に固定され、したがって、新しい装填ユニット30と交換可能である、使い捨ての装填ユニット(disposable loading unit、「DLU」)である。装填ユニット30は、1回使用され、次いで、患者への外科用ステープル留め装置1の複数回使用を容易にするために交換される、単回使用装填ユニット(single use loading unit、「SULU」)であり得る。例えば、外科手技中に、外科用ステープル留め装置1を使用して、組織をステープル留め及び切断することができ、外科用ステープル留め装置1の各ステープル及び切断動作後に、SULU全体が交換される。装填ユニット30は、所定の回数再使用可能である、複数回使用装填ユニット(multi-use loading unit、「MULU」)であり得る。例えば、外科手技中に、外科用ステープル留め装置1を使用して、組織をステープル留め及び切断することができ、MULU全体の交換が必要になる前に、外科用ステープル留め装置1の各ステープル及び切断動作後に、MULUの再装填アセンブリ(例えば、図2に見られるステープルカートリッジ64)を所定の回数だけ交換する。代替的に、装填ユニット30は、細長い管状本体20に恒久的に固定され得る。
【0039】
図1及び図2に示されるように、ツールアセンブリ34の第1のジョー部材34aは、アンビルアセンブリ40を含み、ツールアセンブリ34の第2のジョー部材34bは、ステープルカートリッジアセンブリ60を含む。アンビルアセンブリ40は、アンビルプレート42と、アンビルプレート42の上に固定されたカバープレート44と、を含む。アンビルプレート42及びカバープレート44は、2つの別個の構成要素として示されているが、アンビルプレート42及びカバープレート44は、モノリシック単一部品構造を有し得ることが理解されるべきである。図2と併せて図3に見られるように、アンビルプレート42は、内部に形成された中央長手方向スロット41と、その内向き又は組織対向表面46に画定された複数のステープル形成ポケット又はキャビティ43と、複数のステープル形成ポケット43の遠位に延在するアンビル先端48と、を有する。中央長手方向スロット41は、外科用ステープル留め装置1の作動中に、ナイフブレード(図示せず)がそこを通過するように構成されている。カバー44は、アンビルプレート42の組織対向表面46内に画定された複数のステープル形成ポケット43の全て又は大部分に対して近位のアンビルプレート42の両側で下向きに延在する一対のウィング44a、44b(本明細書では概してウィングとも呼ばれる)を含む。ウィング44a、44bは、アンビルプレート42に沿って画定された平面に実質的に直交する、実質的に平行な平面に沿って延在する。アンビルバットレス保持クリップ50(本明細書では概してバットレス保持クリップとも呼ばれる)が、外科用バットレスの近位端部分をアーム44a、44bに解放可能に固定するために、アーム44a、44bのうちの1つに結合されている。アンビルバットレス保持クリップ50は、ポリマー(例えば、プラスチック)又は金属から形成され得、アンビルアセンブリ40に解放可能に又は恒久的に固定され得る。
【0040】
図1及び図2を引き続き参照すると、ステープルカートリッジアセンブリ60は、内部でステープルカートリッジ64を選択的に受容して支持するように構成及び寸法決めされたカートリッジキャリア62を含む。駆動アセンブリ(図示せず)が、アンビルアセンブリ40及びステープルカートリッジアセンブリ60内に支持されており、外科用ステープル留め装置1の作動中に、ステープルカートリッジ64からステープル(図示せず)を発射し、アンビルアセンブリ40とステープルカートリッジアセンブリ60との間に配設された組織を切断するために、アンビルアセンブリ40及びステープルカートリッジアセンブリ60に対して摺動可能である。
【0041】
例示的なステープルカートリッジ及び駆動アセンブリを含む、例示的な外科用ステープル留め装置の構造及び機能の詳細な説明については、米国特許第6,241,139号、同第6,330,965号、及び同第7,819,896号が参照され得、これらの各々の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の原理は、例えば、米国特許第5,964,394号、同第7,128,253号、及び同第7,334,717号に説明されているタイプなどの他の構成を有する外科用ステープル留め装置にも同様に適用可能であることが認識されるべきであり、これらの各々の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、様々な外科用ステープル留め装置が、本開示の態様とともに利用され得ることが理解されるべきである。例えば、本開示の態様は、例えば、Medtronic(North Haven,CT)を通して入手可能な、GIA(商標)、Endo GIA(商標)、TA(商標)、及びEndo TA(商標)ステープラ、並びに/又は例えばTri-Staple(商標)技術による線形及び半径方向再装填などの、腹腔鏡ステープラ又はオープンステープラとともに利用され得る。
【0042】
ここで図3を参照すると、アンビルアセンブリ40及びアンビルバットレス保持クリップ50を含む、アンビルバットレス装填システム2が示されている。アンビルアセンブリ40のウィング44aは、内部にアンビルバットレス保持クリップ50のアンビル保持部分50aを係合させるように構成されている、そこを通る開口部45を画定し、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46は、内部にアンビルバットレス保持クリップ50のバットレス保持部分50bを選択的に受容するように構成された溝又は切欠き部47を画定する。切欠き部47は、複数のステープル形成ポケット43の近位に、かつ開口部45の遠位に配設されている。
【0043】
図4に示されるように、アンビルバットレス保持クリップ50のアンビル保持部分50aは、本体52を含み、本体52は、実質的にU字形の構成で配設された第1、第2、及び第3の壁又は部分52a~cを有し、内部にスロット51を画定する。第1の壁52a及び第3の壁52cは、各々に対して離間した関係で(例えば、実質的に平行な平面に沿って)配設されており、アンビルバットレス保持クリップ50の第1の端部において第2の壁52bによって相互接続されている。スロット51は、内部にアンビルアセンブリ40のウィング44a(図3)を受容するようにサイズ決め及び形状決めされている。本体52の第1の壁52aは、そこから横断方向に延在するペグ又は突起54(仮想線で示される)を有する。ペグ54は、スロット51を通って、第3の壁52c内に画定されたアパーチャ53内に延在する。
【0044】
バットレス保持部分50bは、第3の壁52cから横断方向に延在するベース56と、ベース56から遠位に延在するアーム58と、を含む。アーム58は、アーム58がベース56に対して枢動可能であるように、ヒンジ55を中心としてベース56に相互接続されている。アーム58は、その末端部に、近位に屈曲又は湾曲するフック又はフィンガ58aと、フック58aからアーム58の遠位端部まで遠位方向に先細になるカム表面58bと、を含む。アーム58は、アンビルバットレス保持クリップ50がアンビルアセンブリ40(図3)に結合されるときに、フック58aがアンビルプレート42の組織対向表面46に画定された切欠き部47内に延在するように、付勢される。アーム58は、カム表面58bに対して力が印加されると、フック58aを切欠き部47から外に移動させるように枢動可能である。
【0045】
図5図7に示されるように、アンビルバットレス保持クリップ50をアンビルアセンブリ40のウィング44aに固定する方法において、アンビルバットレス保持クリップ50のアンビル保持部分50aのスロット51は、開口部45を含むアンビルアセンブリ40のウィング44aの部分と位置合わせされ、アンビルバットレス保持クリップ50のバットレス保持部分50bは、ウィング44aの内側に(例えば、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46上に)配向される。次に、アンビルバットレス保持クリップ50は、ウィング44a上に摺動される。この摺動移動の間、アンビルバットレス保持クリップ50のペグ54は、ウィング44aに対して接触して摺動し、図7に見られるように、ペグ54がウィング44a内に画定された開口部45、並びにアンビル保持部分50aの第3の壁52c内のアパーチャ53を捕捉して入るまで、図6に見られるように、アンビル保持部分50aの第1の壁52aを外向きに偏向させ、アンビルバットレス保持クリップ50をアンビルアセンブリ40に固定する。図8及び図9に示されるように、アンビルバットレス保持クリップ50がアンビルアセンブリ40のウィング44aに結合されると、バットレス保持部分50bのアーム58は、アーム58のフック58a(図9に仮想線で示される)が、アンビルプレート42に画定された切欠き部47内に位置決めされた状態で、ウィング44aの内側に横方向に離間している。アンビルバットレス保持クリップ50をアンビルアセンブリ40に固定するために、他の嵌合構造及び関係が企図されることが理解されるべきである(例えば、締まり嵌め、接着剤、溶接など)。
【0046】
再び図3を参照すると、アンビルバットレス装填システム2は、アンビルバットレス70(本明細書では概して外科用バットレスとも呼ばれる)と、アンビルバットレス70をアンビルアセンブリ40上に装填するためのアンビルバットレス装填ツール80(本明細書では概してバットレス装填ツールとも呼ばれる)と、を更に含む。図3、並びに図10及び図11に示されるように、アンビルバットレス70は、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46を覆うようにサイズ決め及び形状決めされた本体72を含む。アンビルバットレス70は、その近位端部分70aに画定された窓73を含む。窓73は、本体72の中央部分72a及び側方部分72bのうちの1つを通って延在し、それにより、アンビルバットレス70がアンビルアセンブリ40に結合されると、窓73は、アンビルアセンブリ40に画定された中央長手方向スロット41及び切欠き部47にわたって延在する(図23)。一対のタブ74(本明細書では概してタブとも呼ばれる)が、本体72から近位に延在する。タブ74は、互いに対して離間した関係で配設されており、タブ74のうちの一方は、本体72の中央部分72aから延在し、タブ74のうちの他方は、窓73を含む本体72の側方部分72bから延在する。アンビルバットレス70がアンビルアセンブリ40に結合されると、タブ74は、アンビルアセンブリ40内の切欠き部47の近位に、かつその両側に配設される。タブ74の各々は、アンビルバットレス装填ツール80に係合するように構成された、そこを通って延在する開口部75を含む。
【0047】
アンビルバットレス70は、生体吸収性又は非吸収性の天然又は合成材料である、生体適合性材料から製造される。単一の又は組み合わせた天然、合成、生体吸収性、及び/又は非生体吸収性の材料を使用して、アンビルバットレス70が形成され得ることが理解されるべきである。態様では、アンビルバットレス70は、切断して成形される単一の材料シートから形成される。他の態様では、アンビルバットレス70は、同じ又は異なる材料から製造される複数の材料シートから形成され、並びに/又はアンビルバットレス70の構成要素(例えば、本体、タブなど)は、例えば溶接、接着剤の使用、縫合糸の結束などによって互いに取り付けられる、同じ又は異なる材料から形成される。
【0048】
アンビルバットレス70は、多孔質、非多孔質、又はそれらの組み合わせであり得る。好適な多孔質構造としては、例えば、線維状構造(例えば、編み込み構造、織り込み構造、及び不織構造)及び/又は発泡体(例えば、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体)が挙げられる。好適な非多孔質構造としては、例えば、フィルムが挙げられる。アンビルバットレス70は、単一の多孔質層若しくは非多孔質層であり得るか、又は多孔質層及び非多孔質層の任意の組み合わせを含む複数の層を含み得る。例えば、アンビルバットレスは、交互様式で積層される、複数の多孔質層及び非多孔質層を含み得る。別の実施例では、アンビルバットレスは、外側層が多孔質であり、内側層が非多孔質である、又はその逆である、「サンドイッチ状の」様式で形成され得る。
【0049】
外科用バットレス内の多孔質層は、流体を吸収し、出血を低減し、及び/又は創傷を密封する、外科用バットレスの能力を増強し得る。また、多孔質層は、組織の内殖が外科用バットレスを適所に固定することを可能にし得る。外科用バットレスの非多孔質層は、製造中、輸送中、取り扱い中、及び/又はステープル留めプロセス中に、断裂及び穿孔に耐える外科用バットレスの能力を増強し得る。また、非多孔質層は、周囲組織からの組織の内殖を遅延させるか、又は防止し得、それによって、癒着障壁として作用し、不要な瘢痕組織の形成を防止する。
【0050】
図12及び図13と併せて図3を引き続き参照すると、アンビルバットレス装填ツール80は、アンビルバットレス70をアンビルアセンブリ40上に装填する(例えば、アンビルバットレス70をアンビルバットレス装填ツール80からアンビルアセンブリ40に移送する)ために、アンビルバットレス70をその上に解放可能に保持し、かつアンビルアセンブリ40に係合させるように構成されている。アンビルバットレス装填ツール80は、剛性材料(例えば、ポリマー又は金属)から形成されており、その上にアンビルバットレス70を支持する。アンビルバットレス装填ツール80は、本体部分82と、本体部分82の近位端部82aから近位に延在する一対の支柱84(本明細書では概して支柱とも呼ばれる)と、を含む。本体部分82は、アンビルバットレス70の本体72をその上に受け入れるための第1の又はバットレス接触表面83aと、本体部分82の、第1の表面83aとは反対側に配設された第2の又はクリップ接触表面83bと、を含む。支柱84は、アンビルバットレス70のタブ74に係合するように構成されている。支柱84は、アンビルバットレス70のタブ74と位置合わせするように横方向に離間しており、タブ74の開口部75を通って延在するようにサイズ決め及び形状決めされている。いくつかの態様において、支柱84は、支柱84がタブ74の内外に容易に摺動可能であるように、開口部75の内径よりも小さい外径を有する。傾斜部86が、本体部分82の第2の表面83bに画定される。傾斜部86は、本体部分82の近位端部82aに向かって近位に先細になっている。傾斜部86は、支柱84の間に延在し、かつアンビルバットレス装填ツール80がアンビルアセンブリ40と係合すると、アンビルバットレス保持クリップ50のアーム58に接触するようにサイズ決めされている。グリップ部分88が、ユーザによる把持のために、本体部分82から遠位に延在し得る(例えば、本体部分82の延在部であり得る)。
【0051】
アンビルバットレス70をアンビルバットレス装填ツール80上に装填する方法において、図14図16に示されるように、アンビルバットレス70の本体72は、アンビルバットレス装填ツール80の本体部分82の第1の表面83aに面して位置決めされ、アンビルバットレス装填ツール80の支柱84は、アンビルバットレス70の近位端部分70aをアンビルバットレス装填ツール80に解放可能に固定するように、アンビルバットレス70のタブ74の開口部75を通して摺動される。装填されると、アンビルバットレス70の窓73及びアンビルバットレス装填ツール80の傾斜部86は、アンビルバットレス装填ツール80の反対の側に配設される。アンビルバットレス70は、タブ74においてのみアンビルバットレス装填ツール80と係合される。
【0052】
ここで図17を参照すると、アンビルアセンブリ40、及びアンビルバットレス70が装填されたアンビルバットレス装填ツール80は、本開示の他の態様に従って示されている。図17図22に示されるように、アンビルバットレス70をアンビルアセンブリ40上に装填する方法において、アンビルバットレス70が、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46に面し、アンビルバットレス装填ツール80の支柱84が、アンビルバットレス保持クリップ50と位置合わせされるように、アンビルバットレス70が装填されたアンビルバットレス装填ツール80の近位端部80aが、アンビルアセンブリ40と位置合わせされる。アンビルバットレス70の近位端部分70aは、上で説明したように、支柱84によってアンビルバットレス装填ツール80上に保持され、アンビルバットレス70の遠位端部分70bが、設置の間、ユーザによってアンビルバットレス装填ツール80の本体部分82に対して保持され得る。アンビルバットレス装填ツール80は、アンビルアセンブリ40に隣接して配置されており、アンビルバットレス70の本体72は、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46と接触し(例えば、ユーザは、アンビルバットレス70の遠位端部分70bを組織対向表面46上に解放する)、アンビルバットレス装填ツール80の支柱84は、アンビルバットレス保持クリップ50のアーム58の両側にあり、それにより、図18及び図19に見られるように、傾斜部86はアーム58に隣接する。
【0053】
次いで、アンビルバットレス装填ツール80は、アンビルバットレス保持クリップ50に向かって近位に摺動され、それにより、傾斜部86は、アンビルバットレス保持クリップ50のカム表面58bに接触し、図20及び図21に見られるように、アンビルバットレス保持クリップ50のアーム58を枢動させ、組織対向表面46から離れて上向きに持ち上げ、かつフック58aをアンビルアセンブリ40に画定された切欠き部47から出す。この近位摺動移動の間、アーム58は、アンビルバットレス装填ツール80の第2の表面83b(例えば、傾斜部86の傾斜表面)に従う。アンビルバットレス装填ツール80は、アンビルバットレス70がアンビルアセンブリ40の組織対向表面46の上に配設される(例えば、中央に置かれる)まで、近位に摺動される。いくつかの態様では、アンビルバットレス装填ツール80の第2の表面83bは、その上にマーキング又はエッチング89(図18)を含み、このマーキング又はエッチング89は、アンビルバットレス装填ツール80がアンビルアセンブリ40に対して近位にどの程度摺動されるべきかの指示をユーザに提供する。マーキング89は、アンビルバットレス70がアンビルバットレス装填ツール80上に装填されたときに、アンビルバットレス70の窓73の位置と反対側のアンビルバットレス装填ツール80の第2の表面83bの一部分に配設されており、窓73がアンビルアセンブリ40の切欠き部47の上に位置決めされていることを示す。
【0054】
アンビルバットレス70が、アンビルアセンブリ40の組織対向表面46の上に位置決めされ、アンビルバットレス70の窓73が切欠き部47と位置合わせされると、アンビルバットレス装填ツール80は、アンビルアセンブリ40に対して遠位に摺動されて、アンビルバットレス装填ツール80をアンビルバットレス70から分離する。この遠位の摺動移動の間、アンビルバットレス装填ツール80の支柱84は、アンビルバットレス70とアンビルアセンブリ40との間の摩擦力が、アンビルバットレス装填ツール80に対するアンビルバットレス70の摩擦力よりも大きいため、アンビルバットレス70のタブ74から係合解除される。アンビルバットレス装填ツール80が取り外され、アンビルバットレス保持クリップ50から離れると、アンビルバットレス保持クリップ50のアーム58は、フック58aがアンビルアセンブリ40の切欠き部47に再び入るように、スナップして下に戻る。アーム58がその付勢位置に戻ると、フック58aは、図22に見られるように、アンビルバットレス70の窓73を通過し、それによって、アンビルバットレス70の近位端部分70aをアンビルアセンブリ40に捕捉する。
【0055】
図23に示されるように、アンビルバットレス70の近位端部分70aは、アンビルバットレス70の窓73を通るアンビルバットレス保持クリップ50のフック58aの通過によってアンビルアセンブリ40上に保持され、アンビルバットレス70の遠位端部分70bは、当業者の知識の範囲内の任意の好適な取り付け特徴部、例えば、機械的取り付け特徴部(例えば、図23に見られるような縫合糸)、化学的取り付け特徴部(例えば、接着剤)、及び/又は取り付け方法(例えば、溶接)などによって、アンビルアセンブリ40上に保持される。外科用ステープル留め装置1(図1)は、アンビルアセンブリ40にアンビルバットレス70が装填されることで、使用可能となる。態様では、図1に見られるように、ステープルカートリッジアセンブリ60は、カートリッジバットレス66が予め装填されており、及び/又は装填される。
【0056】
動作中に、上で説明したように、装填ユニット30にアンビルバットレス70が装填された状態で、外科用ステープル留め装置1が、当業者に既知である方法に従って使用される。アンビルアセンブリ40及びステープルカートリッジアセンブリ60が組織上へクランプされた時点で、外科用ステープル留め装置1が発射され、それによって、アンビルバットレス70を組織にステープル留めする。発射中、ナイフ(図示せず)が、ツールアセンブリ34を通って(アンビルアセンブリ40の中央長手方向スロット41を通って)遠位に進み、組織と、形成されたステープルの列の間に配設されたアンビルバットレス70と、を実質的に同時に切断及び分割する。アンビルバットレス70の窓73が、アンビルアセンブリ40の中央長手方向スロット41の上に延在するため、ナイフの通過は、アンビルバットレス70をアンビルバットレス保持クリップ50から解放し、それにより、発射が完了し、アンビルアセンブリ40及びステープルカートリッジアセンブリ60がクランプ解除されると、ここで組織にステープル留めされているアンビルバットレス70は、アンビルアセンブリ40から引き離され、ツールアセンブリ34は、手術部位から除去することができる。次いで、使用済みのステープルカートリッジ64がツールアセンブリ34から除去されて、新しいステープルカートリッジ64と交換され得る。新しいアンビルバットレス70は、上で説明したように、必要又は所望に応じて、アンビルアセンブリ40の上へ設置され得る。
【0057】
上記では、手持ち式手動作動外科用デバイス上で使用されるとして例解されているが、装填ユニット30が、種々の電気機械外科用器具及び/又は電気外科用器具とともに使用するために構成されることが企図され、本開示の範囲内であり、例えば、装填ユニット30は、米国特許公開第2016/0310134号(その全容は、参照により本明細書に組み込まれる)に図示及び説明されている手持ち式電気機械外科用システムなどの手持ち式電気機械外科用デバイスによって、又はロボット外科用システムによって、取り外し可能に結合可能かつ制御可能であるように構成され得る。1つの例示的なロボット外科用システムは、概して、各々が、器具駆動ユニット及びそれに取り外し可能に取り付けられた装填ユニット30を有する、複数の外科用ロボットアームと、制御デバイスと、制御デバイスに結合された動作コンソールと、を含み得る。
【0058】
動作コンソールは、当業者にとって原理的に既知であるように、特に三次元画像を表示するように設定されている表示デバイスと、例えば、外科医などの人間が、ロボットアームを第1の動作モードで遠隔操作することができる、手動入力デバイスと、を含む。ロボットアームの各々は、接合部を介して接続された、複数の部材から構成され得る。ロボットアームは、制御デバイスに接続された電気駆動装置によって駆動され得る。制御デバイス(例えば、コンピュータ)は、ロボットアームと、取り付けられた器具駆動ユニットと、したがって装填ユニット30とが、手動入力デバイスによって定義される移動に従って所望の移動を実行するように、特にコンピュータプログラムによって、駆動装置を起動させるように設定されている。制御デバイスはまた、ロボットアーム及び/又は駆動装置の移動を調整するように設定され得る。
【0059】
ロボット外科用システムは、装填ユニット30によって、低侵襲的に、治療される手術台に横たわる患者に対して使用するように構成されている。ロボット外科用システムはまた、3つ以上のロボットアームを含み得、同様に追加のロボットアームは、制御デバイスに接続されており、動作コンソールによって遠隔操作可能である。装填ユニット30はまた、追加のロボットアームに取り付けられ得る。
【0060】
制御デバイスは、複数のモータを制御し得、各モータは、複数の方向におけるロボットアームの移動を駆動するように構成されている。更に、制御デバイスは、器具駆動ユニットの起動を制御して、装填ユニット30の種々の動作を駆動し得、器具駆動ユニットの内部モータパックの回転を制御して、最終的に装填ユニット30をその長手方向軸を中心に回転させ得る。
【0061】
ロボット外科用システムは、ロボットアームとともに又はロボットアームに結合されるように構成された外科用器具ホルダを更に含み得る。外科用器具ホルダは、器具駆動ユニット及び装填ユニット30を保持する。外科用器具ホルダは、モータを支持又は収容し、モータは、制御デバイスから制御及び電力を受容して、器具駆動ユニットの内部モータパックを回転させ、その結果、装填ユニット30がその長手方向軸を中心に回転する。外科用器具ホルダは、ロボットアームのレール上に摺動可能に装着され、モータ駆動チェーン又はベルトなどを介してレールに沿って移動され、装填ユニット30の位置を調節し得る。
【0062】
ロボット外科用システムの構築及び動作の詳細な説明については、2011年11月3日に出願された「Medical Workstation」という名称の米国特許出願公開第2012/0116416号が参照され得、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本開示の態様が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容する程度に広い範囲であること、並びに本明細書が同様に読み取られることが意図されるため、本開示は、これらの態様に限定されるものではないことが意図される。したがって、本開示は、説明される正にその態様に限定されるものではなく、様々な他の変更及び修正が、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、当業者によりなされ得ることが理解されよう。追加的に、特定の本開示の態様に関連して図示及び説明されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の他の態様の要素及び特徴と組み合わされ得、かかるその修正及び変形もまた本開示の範囲に含まれる。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に本開示の態様の例示として解釈されるべきである。したがって、本開示の範囲は、与えられた実施例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって決定されるべきである。
図1
図2
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図10
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【国際調査報告】