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特表2024-524144コンテナをラッシングするためのラッシング要素及びラッシングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】コンテナをラッシングするためのラッシング要素及びラッシングシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/00 20060101AFI20240628BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B63B25/00 101D
B65D88/12 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577961
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022065816
(87)【国際公開番号】W WO2022263313
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115908.3
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021128216.0
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523473361
【氏名又は名称】ベーア・ペーター
(71)【出願人】
【識別番号】523473372
【氏名又は名称】ベーア・ダーニエール
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ベーア・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ベーア・ダーニエール
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170BA10
3E170QA20
3E170RA02
3E170RA20
3E170SA02
3E170SA03
3E170SA04
3E170VA20
3E170WE10
3E170WF01
3E170WF04
3E170WF07
(57)【要約】
本発明は、コンテナ(100)又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナ(100)のスタック(110)を、特に船の床の、表面に設けられたストッパ(40)に鉛直に結合するためのラッシング要素(10)に関し、ラッシング要素(10)は、ストッパ(40)との着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素(24)と、コンテナ(100)のコーナー金具(120)との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素(18)と、ラッシング要素(10)の長さを適合させるとともにコンテナコーナー(120)とストッパ(40)との間でラッシング要素を張設するための、ラッシング要素(10)の長さを変更する少なくとも1つの要素(12)と、を備える。ストッパ(40)との着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素(24)と、コンテナ(100)のコーナー金具(120)との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素(18)との間に耐圧縮性及び耐引張性の結合部が形成されることが企図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ(100)又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナ(100)のスタック(110)を、特に船舶の床の、表面に設けられたストッパ(40)に鉛直に結合するためのラッシング要素(10)であって、
前記ストッパ(40)との着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素(24)と、
前記コンテナ(100)のコーナー金具(120)との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素(18)と、
前記ラッシング要素(10)の長さを適合させるとともにコンテナ金具(120)と前記ストッパ(40)との間で前記ラッシング要素を張設するための、前記ラッシング要素(10)の長さを変更する少なくとも1つの要素(12)と、を備える
ラッシング要素(10)において、
前記ストッパ(40)との着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの前記要素(24)と前記コンテナ(100)のコーナー金具(120)との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの前記要素(18)との間に耐圧縮性及び耐引張性の結合部が形成されていることを特徴とする、ラッシング要素。
【請求項2】
前記ラッシング要素(10)の長さを変更する少なくとも1つの前記要素(12)は、ねじ要素(12)、好ましくは緊締ねじであることを特徴とする、請求項1に記載のラッシング要素。
【請求項3】
前記ねじ要素(12)は、少なくとも1つの開口部(16、17)、好ましくは2つの開口部を有し、開口部にはねじ山が設けられていて、前記ねじ山において、ラッシングバー(11)又は結合バー(13)のねじ山部分(14、15)がねじ込み及びねじ外し可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラッシング要素。
【請求項4】
前記ストッパ(40)との着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの前記要素(24)は、ボール要素(30)又はボール要素のための収容部であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項5】
前記コンテナ(100)のコーナー金具(120)との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの前記要素(18)は、ラッシング金具(18)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項6】
前記ラッシング金具(18)は、前記コンテナ(100)の前記コーナー金具(120)の開口部(121)に係合して形状結合に基づく結合部を形成するための回動可能な円錐要素(20)であることを特徴とする、請求項5に記載のラッシング要素。
【請求項7】
前記ラッシング金具(18)は、前記ラッシングバー(11)のバー部分(35)に対して可動に、好ましくは回動軸(38)を支点に旋回可能に配置された回動ヘッド(19)を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載のラッシング要素。
【請求項8】
前記ラッシング金具(18)は、前記コンテナ(100)の前記コーナー金具(120)の前記開口部(121)に挿入可能な挿入要素(23)を有することを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項9】
前記挿入要素(23)は、前記コンテナ(100)の前記コーナー金具(120)の前記開口部(121)の寸法を有しており、前記挿入要素(23)を前記開口部に挿入すると、前記開口部(121)の平面において形状結合に基づく結合部が設けられることを特徴とする、請求項8に記載のラッシング要素。
【請求項10】
前記円錐要素(20)は、前記回動ヘッド(19)に回動可能に配置されていることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項11】
前記挿入要素(23)は、前記円錐要素(20)と前記回動ヘッド(19)との間に配置されていることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項12】
前記ラッシング要素(11)は、互いに着脱自在に結合されるねじ山バー部分(28)とラッシングバー部分(29)とを有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のラッシング要素。
【請求項13】
前記ねじ山バー部分(28)と前記ラッシングバー部分(29)との間の結合部は、圧縮力及び引張力が前記結合部を介して伝達可能であるように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載のラッシング要素。
【請求項14】
前記ねじ山バー部分(28)は、前記ラッシングバー部分(29)の結合要素(31)、好ましくは前記ラッシングバー部分(29)の後端部の突起(31)のための受容部(33)を有することを特徴とする、請求項12又は13に記載のラッシング要素。
【請求項15】
前記受容部(33)は、ロック要素(34、52)を用いて前記結合要素(31)に対してロック可能であることを特徴とする、請求項14に記載のラッシング要素。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の少なくとも2つのラッシング要素(10)と、例えばデッキ、ハッチカバー又はラッシングブリッジなどの少なくとも1つの表面に設けられた少なくとも2つのストッパ(40)とを備える、コンテナ(100)又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナ(100)のスタック(110)を、特に船の床に設けられたストッパ(40)に鉛直に固定するラッシングシステム。
【請求項17】
2つの前記ストッパ(40)のうち少なくとも1つが、少なくとも1つの前記表面に設けられた少なくとも1つの台座(43)に設けられていることを特徴とする、請求項16に記載のラッシングシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの前記ストッパ(40)は、前記台座(43)に変位可能に配置されていることを特徴とする、請求項16又は17に記載のラッシングシステム。
【請求項19】
前記ラッシング要素(10)は、前記ストッパを起点として上方又は下方に向けて配置されていることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のラッシングシステム。
【請求項20】
前記ストッパは、固定すべき前記コンテナ(100)に対して中央に配置されていて、好ましくは、前記ラッシング要素(10)は、前記ストッパ(40)と前記コンテナ(100)の前記コーナー金具(120)との間で互いに交差しないように配置されていることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のラッシングシステム。
【請求項21】
前記ストッパは、固定すべき前記コンテナ(100)に対して外側に配置されていて、好ましくは、前記ラッシング要素(10)は、前記ストッパ(40)と前記コンテナ(100)の前記コーナー金具(120)との間で互いに交差するように配置されていることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のラッシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナのスタックを、特に船の床の、表面に設けられたストッパに鉛直に結合するためのラッシング要素であって、ストッパとの着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素と、コンテナのコーナー金具との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素と、ラッシング要素の長さを適合させるとともにコンテナ金具とストッパとの間でラッシング要素を張設するための、ラッシング要素の長さを変更する少なくとも1つの要素と、を備えるラッシング要素、並びにコンテナ又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナのスタックを、特に船の床に設けられたストッパに鉛直に固定するためのラッシングシステムに関する。
【0002】
今日の大型コンテナ船、いわゆるパナマックス及びポストパナマックスのコンテナ船は、全長最大400メートル、全幅最大61メートル、積載量は最大220000トンで、2万4000TEUのコンテナを積載する場所がある。このうち、約14000個から15000個のコンテナが、上下最大12段でデッキ上に船のほぼ全長と全幅にわたって積み込まれる。これらの船舶は、デッキにコンテナを可能な限り大量に積み込んで最大速度が出るよう設計されている。積載貨物は主にバルク貨物、つまり軽貨物であり、水中船体部は速度及び低抵抗を追及して設計されている。また、これら水中船体部はスリムでエンジン出力が高いので悪天候域での高速航行を可能にするが、その結果、船の構造及び積載貨物固定システムを含むコンテナに対する荷重はより高くなる。
【0003】
このような船舶には例えば多段のラッシングブリッジが設けられており、そのラッシングブリッジの階層から最大12段のコンテナを、ラッシング手段を用いて固定することができる。この場合、各スタックは、交差して配置されたラッシングによってコンテナコーナーにおいて固定される。さらにコンテナは、各スタックにおいてツイストロックによって4つのコンテナコーナーで互いにロックされる。したがって、このように固定することよって、各スタックは、デッキ上に十分に固定されていて、これにより、ローリング、ピッチング及びヒービングなどの従来想定しうるあらゆる船の海上の動きに対して損傷を受けずに耐えられる。
【0004】
このタイプの船舶はその特殊な構造に基づいて、近年いわゆる海難事故が頻発しており、これらの船舶には、相応の波の高い悪天候域を航行する際に、パラメトリックローリングと呼ばれるこれまで知られていなかった現象が発生する。この場合、船舶には、そのような海面状態(波高、波長、波数)並びにそれに応じた船舶の波に対する遭遇方向及び船速に応じて、予期せぬ激しいローリング運動が起こり、それには両側に最大40度までの大きなロール角及び大きなロール加速度が伴う。
【0005】
このような短期間での極端な荷重によって、個々のコンテナスタックは非常に高い横方向の荷重を受け、その結果、その際に個々のコンテナスタックは過剰に荷重を掛けられ、倒壊して側方に倒れる。その際に、隣のコンテナスタックも崩れる。次いで、同じことが外側に向かって続き、コンテナの一部は海中に落下する。
【0006】
こうした海難事故が頻発する原因として、コンテナも積載貨物固定システムも、こうした極端な荷重を想定して設計されていないことが挙げられる。気候変動によりこのような極端な気象条件は今後さらに頻発すると思われる。その際、このような大きな損失を伴う事故が増加する可能性は否定できない。
【0007】
また、船舶から落下したコンテナのいくつかは海面で浮遊又は浮流しており、衝突の可能性も否定できないことから船の航行にとって追加的な危険となる。さらに、その中には環境に大きな負荷を与える危険物の入ったコンテナも含まれている。
【0008】
広範な調査から、このような状況ではコンテナ自体に過剰な荷重がかかることが明らかになっている。このことは、ほぼ同じ損傷パターンが何度も見受けられることから認識される。この原因は、現在の一般的な固定システムにある。コンテナは4つのコーナー金具においてツイストロックにより互いにロックされ、最大12段の高さになるスタックを形成する。
【0009】
このように非常に高さの高いコンテナスタックを、特に船のローリング時に転倒しないように固定するために、いわゆるラッシングブリッジがそれぞれのハッチ間に設けられていて、その中には最大5段のコンテナ高さを持つものもある。コンテナはこのラッシングブリッジから、従来一般的なラッシングシステムを交差させて固定される。このラッシングは通常、緊締ねじ132とラッシングバー131とからなるラッシング要素130から構成される。ラッシングバー131は、一端にフック133を有し、このフックは、コンテナ100のコーナー金具120に係合する。他端には少なくとも1つの突起134があり、この突起は緊締ねじ132の一端にある対応する開口部135にルーズに挿入される。緊締ねじ132の他端には、デッキ150上又はラッシングブリッジに設けられたストッパ140との着脱自在で可動の結合部を形成するための結合手段136が設けられている(図3参照)。結合手段136は、ねじ山部137を有し、このねじ山部137は、緊締ねじ132の回動要素138のねじ山139にねじ込んで長さを変えることができる。緊締ねじ132には、通常、手動でプレテンションが掛けられる。その後、それぞれ2つ又は4つの緊締ねじにより両側で固定が行われる。
【0010】
非常に長い間、基本的に2種類のラッシングシステムが使われてきた。一つは、いわゆる「内部ラッシング」である。この場合、ラッシングバー131の上部金具(フック133)は、コンテナスタック110の、ストッパポイントの領域内に直接的に位置するコンテナ100のコンテナ金具120に係合する。「外部ラッシング」では、金具133は、右側又は左側で、それぞれ隣接するコンテナスタック110のコンテナ金具120に係合する(図1参照)。
【0011】
コンテナ100の各多段スタック110(図1参照)はそれぞれ自立し、転倒及び浮き上がりに対して相応に固定される。例えば、船が矢印方向Aに(右に向かって)右舷側にローリングすると、外部ラッシングを例にとると、左側のコンテナコーナー金具120に係合するラッシングは矢印C方向に引張力を受け、右側のコンテナコーナー金具120に係合する、先行技術による緊締ねじ132を備えたラッシングバー131からなるラッシング130は、コンテナ100が荷重により矢印方向Bに右に移動しようとし、それに応じて変形するので荷重がかからない。コンテナ100の運動/変形によって対角線上にセットされた左側のラッシング130は伸びるが、右側のラッシング130は緩む(図1参照)。
【0012】
コンテナフレームは平行四辺形を形成する。コンテナの壁側は、ドア側と比べて剛性が著しく高いことによって、非常に大きな荷重が掛けられる。例えば、ドア側は壁側よりも4倍以上柔軟であり、極端な気象条件下では壁側が完全に崩壊してしまう。そのためドア側のラッシングは、閉じた壁側のラッシングよりも著しく大きな力を吸収する。コンテナフレームとラッシングとが、1つのシステムを形成し、力の方向に変形する。そのために緊締ねじを備えたラッシングバーは、引張力によって引き伸ばされる。ここで矢印方向Dに過大な圧縮力がかかったためにコンテナの端部フレームにかかる荷重が大きくなりすぎると、端部フレームが座屈し、図2に示すようにコンテナスタック110全体が側方に傾く。
【0013】
このように、今日のコンテナ積載貨物固定システムは、デッキ積みコンテナのための片側でのみ支持する単なる引張システムである。コンテナは常に1つのコーナー金具においてのみ荷重が掛けられ、そこで故障するか、又はスタックの転倒モーメントに基づく全圧縮力が常に壁側又はドア側の1つのコーナーポストのみにより吸収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、前述の条件下でコンテナスタックの故障の確率を低減/回避するラッシングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、ストッパとの着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素と、コンテナのコーナー金具との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素との間に耐圧縮性及び耐引張性の結合部が形成されることにより解決される。
【0016】
本発明のラッシング要素による固定によって、引張力及び圧縮力を吸収することによって荷重の導出が可能であることに起因して、負荷を著しく低減する、コンテナにおける荷重の分散が予想を超えて達成されることが分かった。これにより特にパラメトリックローリングによる作用が低減されるので、そのような条件下でのコンテナの屈服が相応に低減/回避される。ドア側と壁側との間の剛性の差に関して、本発明のラッシングシステムは、圧縮ラッシングと引張ラッシングとを備えており、その結果より高い剛性が得られるため、荷重が掛けられた際の壁側の負荷が軽減される。
【0017】
本発明のさらなる教示によると、ラッシング要素の長さを変更するための少なくとも1つの要素は、ねじ要素、好ましくは緊締ねじである。本発明のさらなる教示によると、このねじ要素は、少なくとも1つの開口部、好ましくは2つの開口部を有しており、開口部には、ラッシングバー又は結合バーのねじ山部分をねじ込み及びねじ外しできるねじ山が設けられている。これにより、ラッシング要素の必要な長さの適合を容易に達成できる。さらに、容易にラッシング要素を張設する/ラッシング要素にプリテンションを掛けることができる。
【0018】
好ましくは、緊締ねじは、端部にそれぞれ溶接されたねじ山部を有する管スリーブを有しており、特に好ましくは一方は右ねじ山、もう一方は左ねじ山を備えている。これにより、ラチェットレンチ又はスパナを使用して管スリーブを回動させることにより、最適な長さ変更が容易に行える。
【0019】
本発明のさらなる教示によると、ストッパとの着脱自在で可動の結合部を形成する少なくとも1つの要素は、ボール要素又はボール要素のための収容部である。このような結合部の構成手段によって、全方向への動き可能になる。同時に、結合部に過剰な荷重をかけることなく圧縮力と引張力の両方を確実に吸収できる。
【0020】
本発明のさらなる教示によると、コンテナのコーナー金具との着脱自在な結合部を形成する少なくとも1つの要素は、ラッシング金具である。この場合、有利には、ラッシング金具は、コンテナのコーナー金具の開口部に係合して形状結合に基づく結合部を形成するための回動可能な円錐要素である。これにより、圧縮力と引張力との両方を吸収できる確実な結合部を容易に提供できる。
【0021】
さらに有利には、ラッシング金具が、ラッシングバーのバー部分に対して可動に、好ましくは回転軸を支点に旋回可能に配置された回動ヘッドを有している。これにより、ストッパに対するコンテナのそれぞれのコーナー金具の高さに応じて、円錐要素に必要な配置角度を容易に提供することができる。
【0022】
本発明のさらなる教示によると、ラッシング金具は、コンテナのコーナー金具の開口部に挿入可能な挿入要素を有する。本発明のさらなる教示によると、挿入要素はコンテナのコーナー金具の開口部の寸法を有しているので、挿入要素を開口部に挿入すると開口部の平面において形状結合に基づく結合部が提供される。これにより、海面状態によって引き起こされるコンテナ/コンテナスタックの動きに関する、コンテナのコーナー金具に対して相対的な金具要素の運動が回避されるので、発生する引張力及び圧縮力を導出することができる。
【0023】
円錐要素が回動ヘッドに回動可能に配置されていることも有利である。これにより、コーナー金具内の迅速なロック及びロック解除が容易に達成できる。
【0024】
本発明のさらなる教示によると、円錐要素と回動ヘッドとの間に挿入要素が配置されている。これにより、コーナー金具内で確実にロックが行われると同時に、開口部の平面におけるラッシング要素の確実で形状結合に基づくロックが達成される。
【0025】
本発明のさらなる教示によると、ラッシング要素は、互いに着脱自在に結合されるねじ山バー部分とラッシングバー部分とを有する。この場合、ねじ山バー部分とラッシングバー部分との間の結合部は、結合部を介して圧縮力及び引張力が伝達され得るように構成されていることが有利である。これにより、様々に異なるコンテナの高さを補整するために長さが様々に異なるラッシングバー部分を容易に提供することが可能である。
【0026】
ねじ山バー部分に、ラッシングバー部分の結合要素、好ましくはラッシングバー部分の後端にある突起のための収容部を設けることもさらに有利である。これにより、長さが様々に異なるラッシングバー部分を使用するために分離機構を用いているにもかかわらず、引張力と圧縮力を確実に伝達できることが分かっている。
【0027】
この場合、収容部は、結合要素に対して、ロック要素を用いてロックできることが有利である。これにより、海面状態による荷重が掛けられても容易に確実な結合が行われる。
【0028】
さらに、本発明の課題は、コンテナ又は上下に配置された少なくとも2つのコンテナのスタックを、特に船の床に設けられたストッパに鉛直に固定するためのラッシングシステムであって、少なくとも2つの前述のラッシング要素と、例えばデッキ、ハッチカバー又はラッシングブリッジといった少なくとも1つの表面上に設けられた少なくとも2つのストッパとを有するラッシングシステムによって解決される。
【0029】
本発明のさらなる教示によると、2つのストッパのうち少なくとも1つは、少なくとも1つの表面上の少なくとも1つの台座に設けられている。
【0030】
本発明のさらなる教示によると、少なくとも1つのストッパが台座に変位可能に配置されている。
【0031】
本発明のさらなる教示によると、ラッシング要素が、ストッパを起点として上向きに又は下向きに配置されている。
【0032】
本発明のさらなる教示によると、ストッパは、固定すべきコンテナを基準にして中央に配置されているので、好ましくは、ラッシング要素は互いに交差しないようにストッパとコンテナのコーナー金具との間に配置されている。
【0033】
本発明の代替的な教示によると、ストッパは、固定すべきコンテナに対して外側に配置されているので、好ましくはラッシング要素は互いに交差するようにストッパとコンテナのコーナー金具との間に配置されている。
【0034】
本発明のラッシング要素を備えた本発明のラッシングシステムによって、予想を超えて、容易に、コンテナ船のデッキにコンテナスタックを固定するための引張圧縮固定システムが実現可能になる。
【0035】
この新しいラッシングシステムでは、船舶固有のデータに基づいて、必要なスタック重量及び海面状態における荷重に応じて、例えばラッシングブリッジ又はデッキにおいて1つ又は2つの平面からコンテナが固定される。
【0036】
ラッシングブリッジの支柱に取り付けられたラッシング要素は、例えば緊締ねじを有している。必要な長さ調節に応じて、例えばラチェットレンチ又はスパナを用いて緊締ねじを必要な長さに合わせ、これにより金具要素の円錐要素をコンテナコーナーの開口部に挿入する。例えば挿嵌管によって延長できる短いレバーを用いて、円錐要素を90度回動させ、その結果、金具要素がコンテナコーナーに確実に嵌着される。
【0037】
ラッシング要素の緊締ねじの下端は例えばラッシングブリッジ平面上に設けられたストッパの形態の基部に取り付けられ、この基部は、例えば球面軸受を有するか、又は球面の要素を収容できる。このストッパに、ラッシング要素の下端が取り付けられている。ストッパは、例えば2つのハーフシェルを有しており、これらのハーフシェルは、内面で、球状に形成されており、固定に組み込まれた球面軸受の周囲に係合する。これらのハーフシェルは、ねじを用いて互い固く結合されており、この結合部を介して引張力と圧縮力の両方を伝達することができる。
【0038】
引張/圧縮緊締ねじは、例えば500KNの破断荷重及び250KNの使用荷重に対して設計されている。重要な荷重は圧縮荷重であり、それに応じて、ラッシング要素は座屈に対して寸法決めしなければならない。
【0039】
ラッシング要素の最大長さは、下側のストッパポイントから上側のコンテナコーナーまでを測定した場合に最大9フィート6インチの高さのコンテナの固定装置から得られる。ラッシング要素の長さを素早く容易に調節できるように、緊締ねじは、両端で、溶接されたねじ山スリーブを有していて、ねじ山スリーブは、例えば左回り及び右回りの台形ねじ山を有している。ねじ山は、圧縮荷重と引張荷重との両方を即座に力結合に基づいて吸収できるように、ねじ山に最小の遊びしか存在しないように製造されている。
【0040】
ラッシング要素の個々の横断面は、好ましくは従来のラッシングよりもはるかに大きい。そのため、本発明のラッシングシステムの剛性は大幅に高くなっている。このように剛性がより高くなることで、コンテナスタックをより強くすると同時に2つのストッパポイントで支持するので、コンテナの負荷が軽減される。
【0041】
この引張/圧縮緊締ねじは、コンテナ船運航での使用に加え、原理的に水上及び陸上における重量のある積載物の考えられる他のあらゆる輸送用固定装置にも使用できる。例えば、RORO船に使用することも可能である。この場合、コンテナは、トレーラ上で、それぞれ10個のチェン及びチェンテンショナを用いて、そのために設けられたソケットに固定されている。引張/圧縮ラッシング要素によって、それぞれのコンテナコーナーに全体で4つの留め具を設けるだけでよい。
【0042】
以下、本発明を、図面に関連して好ましい実施形態に基づいてより詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】従来技術による外部ラッシングを備えたコンテナスタックの側面図。
図2】損傷したコンテナスタックの側面図であり、従来技術によるラッシングは図示されていない。
図3】従来技術により既知のラッシング手段を個々の部品と共に示した図。
図4】本発明のラッシング手段の第1の実施形態を個々の部品と共に示した図。
図5図4のラッシングをデッキ又はラッシングブリッジに取り付けるための様々なストッパ。
図6図4のラッシング手段を使用した、本発明のラッシングシステムの第1の実施形態。
図7図6の側面図。
図8図6のラッシングシステムを図1のように表した図。
図9図4のラッシング手段のコンテナコーナー金具におけるロックステップを示す図。
図10】本発明のラッシング手段の第2の実施形態の前側(左側)を上から立体的に表した図及び後側(右側)を上から立体的に表した図。
図11図10のラッシング手段の組立ステップを立体的に表した図。
図12】本発明のラッシング手段の第3の実施形態の前側(左側)を上から立体的に表した図及び後側(右側)を上から立体的に表した図。
図13a図12のラッシング手段の組立ステップを立体的に表した図。
図13b図12のラッシング手段の組立ステップを立体的に表した図。
図14a図10及び図12のラッシング手段のストッパへの組立ステップを立体的に表した図。
図14b図10及び図12のラッシング手段のストッパへの組立ステップを立体的に表した図。
図14c図10及び図12のラッシング手段のストッパへの組立ステップを立体的に表した図。
図14d図10及び図12のラッシング手段のストッパへの組立ステップを立体的に表した図。
図15a】本発明のラッシングバーをロック位置とロック解除位置において立体的に表した図。
図15b】本発明のラッシングバーをロック位置とロック解除位置において立体的に表した図。
図16a図15a、15bの本発明のラッシングバーをロック位置及びロック解除位置で背面から立体的に表した図。
図16b図15a、15bの本発明のラッシングバーをロック位置及びロック解除位置で背面から立体的に表した図。
図17a図15a、15bの本発明のラッシングバーを正面及び背面から立体的に表した分解図。
図17b図15a、15bの本発明のラッシングバーを正面及び背面から立体的に表した分解図。
図18a図15a、15bのラッシングバーのコンテナコーナー金具におけるロックステップを上から表した図。
図18b図15a、15bのラッシングバーのコンテナコーナー金具におけるロックステップを上から表した図。
図18c図15a、15bのラッシングバーのコンテナコーナー金具におけるロックステップを上から表した図。
図19a】コンテナコーナー金具の断面図であって、図18b、18cの内部を表す図。
図19b】コンテナコーナー金具の断面図であって、図18b、18cの内部を表す図。
図20a図19bと同様の代替的な断面図であり、引張荷重及び圧縮荷重が表されている。
図20b図19bと同様の代替的な断面図であり、引張荷重及び圧縮荷重が表されている。
図21】本発明のシステムを備えた内部ラッシングの概略図。
図22】本発明のシステムを備えた外部ラッシングの概略図。
図23a】本発明のシステムの一実施形態について様々なストッパポイントを立体的に表した図。
図23b】本発明のシステムの一実施形態について様々なストッパポイントを立体的に表した図。
図24】上向きに配置されたラッシング手段を有する本発明のラッシングシステムの一実施形態における、図12のラッシング手段によるコンテナのラッシングを立体的に表した図。
図25a】下向きに配置されたラッシング手段を有する本発明のラッシングシステムの代替的な一実施形態における、図10のラッシング手段によるコンテナのラッシングを立体的に表した図。
図26】ラッシングブリッジにおけるラッシング手段の構成部品の非使用時の立体的な図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図6から図8は、本発明のラッシングシステムの第1の実施形態を示している。このラッシングシステムは、図4及び図5に示すストッパ40と組み合わせた、対角線上に交差して配置された本発明の第1の形態の2つのラッシング要素10を有する。
【0045】
ラッシング要素10は、ラッシングバー11と例えば緊締ねじといったねじ要素12と第2の結合バー13とを備えている。
【0046】
ラッシングバー11と結合バー13とは、それぞれねじ山部分14、15を有し、ねじ山部分14、15はそれぞれ、ねじ要素12/緊締ねじの対応するねじ山部分(図示されていない)を有する開口部16、17にねじ込むことができる。
【0047】
結合バー13は、ねじ山部分15とは反対側に、ストッパ40に結合するための結合手段24を有する(図5参照)。ここでストッパ40は、ボールヘッド41を備えており、このボールヘッドは、デッキ150上又はラッシングブリッジ160に配置可能なプレート42に配置されている。デッキ150又はラッシングブリッジ160の間に台座43を設けることができる。
【0048】
結合手段24は、ストッパ40のボールヘッド41に対応する開口部25を有する。この場合、結合手段には第1のブラケット26が固定的に配置されていて、これが開口部25の第1の部分を有している。ボールヘッド41を包囲するように着脱自在な第2ブラケット27が、第1のブラケット26に着脱自在に取り付けられている。着脱自在な結合は、例えばねじ結合である。
【0049】
ラッシングバー11は、ラッシング金具18を有し、このラッシング金具は、円錐要素20を備えた回動ヘッド19を有する。円錐要素は、回動ヘッド19に対して回動可能に支持されており、回動ヘッド19を通って延びる軸21に結合されている。その反対側において軸21はレバー22に結合されている。レバー22を用いて、円錐体20をロック解除位置からロック位置へ回動させ、そして再び戻すことができる。
【0050】
ロック解除位置において円錐体20はコンテナ120のコーナー金具120の端面122の側方開口部121に挿入されるので、円錐体20は、内側空間123内に位置している。レバー22が回動されると、その回動運動が軸21を介して円錐体20にも伝達され、円錐体20はロック位置に移行する。
【0051】
好ましくは、回動ヘッド19は、回動軸38を介してラッシングバー11のバー部分35に対して回動可能に支持されている。
【0052】
この場合、円錐体20は、内側空間123に挿入された後、内側空間123において端面122の裏側に対しては回動可能であるものの、端壁の裏側に保持作用をもって結合するように、回動ヘッドから離間して設けられている。
【0053】
好ましくは、回動ヘッド19と円錐要素19との間に挿入要素23が設けられており、挿入要素23の大きさは開口部121の大きさにほぼ一致するので、挿入要素23は、端壁122の平面において開口部121に形状結合に基づく結合部を提供し、それにより回動ヘッド19は、端壁122の平面における形状結合により開口部121内で動かない。
【0054】
デッキ150又はラッシングブリッジ160には、例えば台座43上に、それぞれボールヘッド41を備えているストッパ40が設けられている。このボールヘッド41に、ラッシング要素10の結合手段24が配置され、着脱自在なブラケット27を固定のブラケット26に取り付けることによって、固定される。
【0055】
ねじ要素12を回動させることにより、ラッシングバー11及び結合バー13のねじ山部分14、15は、ねじ要素12の開口部16、17にねじ込まれる、又はラッシング要素10の長さが、円錐要素20をコーナー金具120の開口部121に挿入できる長さになるように、開口部16、17からねじ外しされる。
【0056】
次に、回動ヘッド19の円錐要素20をコーナー金具120の開口部121に挿入し、レバー22を矢印方向Eに作動させてロックする(図9参照)。
【0057】
コンテナ100の第2のコーナー金具120の次のラッシング要素10でも同じことを繰り返すことにより、図6に示すようなクロスラッシングが形成される。
【0058】
例えば図8に示すように船が矢印方向Aに(右に向かって)右舷側にローリングすると、内部ラッシングを例にとると、コンテナ100は荷重により矢印方向Bに右に移動しようとするので、右側のコンテナコーナー金具120に係合するラッシング10は、矢印方向Cに引張力を受け、左側のコンテナコーナー金具120に係合するラッシング10は矢印方向Fに圧縮力を受ける。
【0059】
したがって、コンテナフレームの平行四辺形が安定化される。なぜならば、これによりコンテナフレーム/コンテナコーナー金具の荷重が分散され、それにより図1及び図2に示す片側荷重のケースが回避されるからである。これにより最下部のコンテナコーナーの故障又はコンテナ側面/ポストの崩壊が阻止されるか、又は故障の確率が大幅に低下される。
【0060】
これにより、従来は非常に大きな荷重が掛けられていた多段スタックの下段のコンテナは、本発明のラッシングシステムによって大幅に負荷が軽減される。ラッシングの角度に応じて、極端な荷重が掛かったコンテナに作用する力はほぼ半減する。従来のシステムにおいては片側のみに掛かっていた力(図1参照)と同じ力は、対角線上に配置された両方のラッシング要素10により、一方の側が圧縮され、もう一方の側が引張られることにより吸収される。
【0061】
図10、11は、本発明のラッシング要素10の第2の実施形態を示す。
【0062】
ラッシング要素10は、ラッシングバー11と例えば緊締ねじといったねじ要素12と第2の結合バー13とを備えている。
【0063】
ラッシングバー11は、ねじ山部分14を有するねじ山部分要素28とラッシングバー部分29との2つに分割されている(図15a~図17bも参照)。結合バー13もねじ山部分15を有している。ねじ山部分14、15はそれぞれ、対応するねじ山部分(図示されていない)を持つ、ねじ要素12/緊締ねじの開口部16、17にねじ込むことができる。緊締ねじ12は、好ましくはねじ要素12を回動させることによって、ねじ山部分14、15に対して緊締ねじ12のねじ込み又はねじ外しを行うことができる。さらに、好ましくは、安全ロック37を設けることができる。
【0064】
ラッシングバー部分29は、突起31を有するバー部分35を有し、この突起31は、突起31に対応する開口部32を有する、ねじ山バー部分28の外側端部に配置された収容部33に挿入することができる。
【0065】
好ましくは、ラッシングバー部分29のバー部分35の上方に安全キャップ34が可動に配置されている。これは上端に開口部36を有しており、この開口部は、突起31よりも小さいので、安全キャップ34はバー部分35から引き出せない。
【0066】
本発明のラッシング要素10を用いてコンテナ100をラッシングするために、突起31を有するラッシングバー部分29を開口部32に挿入する。挿入後、安全キャップ34が収容部にわたって締め付けられるので、突起31がもはや開口部32から外へ移動できない。好ましくは、ロック装置(図示されていない)が設けられていて、このロック装置によって、安全キャップ34は、締め付けが緩まないように固定される。
【0067】
この場合、収容部33及び突起31は、2つの要素33、31の結合部を介して圧縮力が伝達可能であるように設けられている。
【0068】
図12、13a、13bは、本発明のラッシング要素10の第3の実施形態を示す。
【0069】
ラッシング要素10は、ラッシングバー11と例えば緊締ねじなどのねじ要素12と第2の結合バー13とを備えている。
【0070】
ラッシングバー11は、ねじ山部分14を有するねじ山部分要素28とラッシングバー部分29との2つに分割されている(図15a~図17bも参照)。結合バー13もねじ山部分15を有している。ねじ山部分14、15はそれぞれ、対応するねじ山部分(図示されていない)を持つ、ねじ要素12/緊締ねじの開口部16、17にねじ込むことができる。緊締ねじ12は、好ましくは、ねじ要素12を回動させることによって、ねじ山部分14、15に対してねじ込み又はねじ外しを行う。さらに、好ましくは安全ロック37を設けることができる。
【0071】
ラッシングバー部分29は、突起31を有するバー部分35を有しており、この突起31は、突起31に対応する開口部32を有する、ねじ山バー部分28の外側端部に配置された収容部33に挿入することができる。
【0072】
ラッシングバー部分29とねじ山バー部分28とを保持作用をもって確実に結合するために、開口部31を閉じるための収容部33には、ヒンジ51に可動に配置された少なくとも1つのクランプ要素52が設けられている。図12、13a、13bに示す実施形態では、好ましくは2つのクランプ要素52が設けられている。
【0073】
開口部の反対の別の側には封鎖用の収容部53が設けられている。収容部53は、開口部54を有している。クランプ要素53は、開口部55を有し、クランプ要素52が封鎖用の収容部53に挿入されているとき、開口部55は、開口部54と整合する。開口部54、55を通って、封鎖のために、ここでは好ましくはピンである封鎖要素56が挿入される。
【0074】
図13a及び図13bは、ラッシングバー部分29の収容部33への挿入、クランプ要素52によるロック、及び封鎖要素56によるロックの封鎖を示している。
【0075】
クランプ要素53が閉じられ、ピン56でロックされると、ラッシングバー部分29は、ねじ山バー部分28に力結合及び/又は形状結合に基づいて固く結合される。
【0076】
本発明のラッシング要素10を用いてコンテナ100をラッシングするために、突起31を有するラッシングバー部分29を開口部32に挿入する。挿入後、少なくとも1つのクランプ要素52を対応する封鎖用の収容部53に挿入し、ロック要素56を開口部54、55に挿入することによってロックし、それにより突起31がもはや開口部32からそとへ動かないようにする。
【0077】
この場合、収容部33と突起31とは、これら2つの要素33、31の結合を介して圧縮力が伝達可能であるように設けられている。
【0078】
好ましくは、ラッシングに、図14a~14dに示すストッパシステムを備えた、ラッシング要素の2つの実施形態が用いられる。
【0079】
ラッシング要素10の第2及び第3の実施形態における結合バー13は、ねじ山部分15とは反対側に、ストッパ40に結合するための結合手段24を有する。ここでは、この結合手段24は、好ましくはボール要素30である。ストッパ40は、ここでは収容部44を有しており、この収容部44は、固定の保持部46と着脱自在な保持部47とが配置された2つの部分からなる保持要素45を有するプレート42を有しており、収容部44は、デッキ150又はラッシングブリッジ160に配置することができる。
【0080】
デッキ150又はラッシングブリッジ160の間に台座43を設けることができ、台座43は、ここでは好ましくは保持要素45のための傾斜した収容部面を有し、この収容部面に保持要素45が取り付けられる。
【0081】
ボール要素30を保持要素45の固定の保持部46に挿入することにより、ボール要素30が収容部44に挿入される。次に、着脱自在な保持部47をはめ込み、好ましくはねじ49を用いて固くねじ止めし、その結果、ボール要素30が、保持要素44内でロックされるものの依然として回転可能である。このことを図14a~14dに示す。
【0082】
さらに好ましくは、図15a~図17bに示されたラッシングバー11のラッシングバー部分28を有するラッシング要素10の2つの実施形態が使用される。
【0083】
ラッシングバー11のラッシングバー部分29は、ラッシング金具18を有しており、ラッシング金具18は、円錐要素20を有する回動ヘッド19を有する。円錐要素20は、回動ヘッド19に対して回動可能に支持されており、回動ヘッド19を通って延びる軸21に結合されている。軸21は、反対側において、レバー22に結合されている。軸21は、ナットなどのロック要素39で固定することができる。円錐体20は、レバー22を用いてアンロック位置(図15b、16b)からロック位置(図15a、16a)へ回動させること、また再び戻すことができる。
【0084】
図18a~図20bには、円錐要素20と挿入要素23とを備えた回動ヘッドを持つラッシングバー11の挿入とロックが図示されている。
【0085】
図18a、図18b、図19aに示すように、ロック解除位置において、円錐体20は、コンテナ100のコーナー金具120の端面122の開口部121に挿入されるので、円錐体20は、内側空間123内に位置し、挿入要素23は開口部121内に位置する。これに続いてレバー22が回動されるので、軸21を介して回動運動が円錐体20にも伝達され、円錐体20がロック位置に移行される(図18c、19b)。
【0086】
好ましくは、回動ヘッド19は、ストッパ50が端面122に真っ直ぐに端面122に当接するように、回動軸38を介してバー部分に対して必要な角度に調節される。
【0087】
好ましくは、回動ヘッド19は、回動軸38を介してラッシングバー11のバー部分35に対して回動可能に支持されている。
【0088】
円錐体20は、内側空間123に挿入された後、内側空間123内で端面122の裏側に対して回動可能であるものの、端壁の裏側には保持作用をもって結合されるように、回動ヘッドから離間して設けられる。
【0089】
好ましくは、回動ヘッド19と円錐要素19との間に、開口部121の大きさにほぼ一致する大きさの挿入要素23が設けられており、それにより挿入要素23が端壁122の平面において開口部121内で形状結合に基づく結合部を提供するので、回動ヘッド19は、端壁122の平面におけるこの形状結合によって、開口部121内で動かない。これにより容易に、図20a、20bに示すように、圧縮力と引張力との両方を、コーナー金具120からラッシング要素10へ、又はその逆へ、安全に伝達できる。
【0090】
図26は、本発明のラッシング要素10の未使用時にこれらをラッシングブリッジ160に配置する可能性の一つを示している。そのために、ラッシング要素10は、ストッパ40に取り付けたまま、フック57にロックされている。別々に収容部58に設けられた、異なる長さのバー部分29を有する2つのラッシングバー要素11又はラッシングバー部分29が設けられている。
【0091】
これらのラッシング要素10を使用するには、これらをフック57から取り外し、ねじ要素を回して必要に応じて所望の長さにする。次に、所望の長さの2つのラッシングバー要素11又はラッシングバー部分29をそれぞれの収容部58から取り出し、突起31を収容部33に挿入し、前述のようにロックする。
【0092】
次に円錐要素20が開口部121を通って押し込まれ、挿入要素23が開口部121に挿入される。次にレバー22を作動させて円錐要素20を回動させ、ラッシング要素をコンテナ100のコーナー金具120にロックし、これにより、形状結合及び力結合に基づく結合部が形成される。目的地においてコンテナ100を荷下ろしする際には、相応にこの逆の手順でラッシング要素を取り外す。
【0093】
図21は、内部ラッシングの概略図であり、内部ラッシングでは、ラッシングブリッジ160に配置されたストッパ40と、ラッシング領域内に直に位置するコンテナ100のコーナー金具120との間においてラッシングブリッジ160に本発明のラッシング要素10が用いられている。
【0094】
図22は、外部ラッシングの概略図であり、外部ラッシングでは、ラッシングブリッジ160に配置されたストッパ40と、直にラッシング領域に隣接して位置するコンテナ100のコーナー金具120との間においてラッシングブリッジ160に本発明のラッシング要素10が用いられている。
【0095】
図23a及び図23bは、本発明のラッシング要素10を用いた内部ラッシングの図である。この場合、ラッシング領域の中央でラッシングブリッジ160に台座43が配置されている。コンテナスタック110内のコンテナ100の高さに応じて、コーナー金具120の高さは様々に異なる可能性がある。好ましくは、この高さの差を補整するために、ストッパ40を台座43において異なる高さに配置することができる。
【0096】
ストッパ40をコンテナ100の中心に設け、ラッシング要素10を互いに交差させずに中心から外へ向けて配置することが有利であることが証明されている。この場合、ラッシング要素は、図23a、図23b、図24に示すように上向きに配置することも、又は図25に示すように下向きに配置することもできる。両方の配置において圧縮力と引張力を吸収する機能が保証されている。
【0097】
図25に示すように、本発明のラッシング要素10が下向きに配置される場合、それぞれ圧縮側の負荷が軽減され、引張側の負荷も軽減されることが有利である。これは、左舷及び右舷の船のローリング運動について言えることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18a
図18b
図18c
図19a
図19b
図20a
図20b
図21
図22
図23a
図23b
図24
図25
図26
【国際調査報告】