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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】綿代替物を含む難燃性布帛
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/282 20060101AFI20240628BHJP
   D06M 13/432 20060101ALI20240628BHJP
   D03D 15/513 20210101ALI20240628BHJP
   D03D 15/225 20210101ALI20240628BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20240628BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240628BHJP
【FI】
D06M13/282
D06M13/432
D03D15/513 ZAB
D03D15/225
D03D15/47
A41D31/00 502B
A41D31/00 503G
A41D31/00 503F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577970
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022066529
(87)【国際公開番号】W WO2022263615
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2028484
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523473523
【氏名又は名称】テン・ケイト・プロテクト・ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】TEN CATE PROTECT BV
【住所又は居所原語表記】G VAN DER MUELENWEG 2,7443 RE NIJVERDAL,THE NETHERLANDS
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルクデイク、シモーネ・クリスティーナ・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ファン・レイン、アンドレ・エセルレッド・ローレンティウス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デイク、ヘリット・ベールト
【テーマコード(参考)】
4L033
4L048
【Fターム(参考)】
4L033AA01
4L033AA04
4L033AB04
4L033AC05
4L033BA35
4L033BA79
4L048AA08
4L048AA13
4L048AA20
4L048AA52
4L048AB05
4L048BA01
4L048CA01
4L048CA06
4L048CA09
4L048DA01
4L048EB00
(57)【要約】
本開示は、天然及び/又は合成繊維の混合物から形成された糸を含む難燃性(FR)処理した布帛に関し、布帛は、FR処理したリヨセル繊維をさらに含み、ここで、FR処理は、非セルロース反応性FR処理であり、FR処理したリヨセル繊維は低フィブリル化となり、例えば、それによって、ヒドロキシル基の少なくともいくらかは反応性樹脂と架橋する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性(FR)処理した布帛であって、天然及び/又は合成繊維の混合物から形成された糸を含み、FR処理したリヨセル繊維をさらに含み、ここで、前記FR処理は、非セルロース反応性FR処理であり、前記FR処理したリヨセル繊維は低フィブリル化となる、布帛。
【請求項2】
縦糸及び横糸を含む織った布帛である、請求項1に記載の布帛。
【請求項3】
前記天然繊維が、綿を含む、請求項1又は請求項2に記載の布帛。
【請求項4】
前記合成繊維が、好ましくは再生された、ポリエステル、ポリアミド及び/又はアラミドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項5】
前記リヨセル繊維が、前記縦糸中にのみ存在する、請求項2~4のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項6】
前記縦糸が、好ましくは、概ね50/25/25の重量%比でリヨセル繊維、合成繊維及び天然繊維を含む、請求項5に記載の布帛。
【請求項7】
前記横糸が、優勢な、好ましくは、70重量%~95重量%の天然繊維を含む、請求項5又は請求項6に記載の布帛。
【請求項8】
綾織り、好ましくは、2/1綾織りとして織られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項9】
抗フィブリル化仕上げをさらに含み、好ましくは、抗フィブリル化添加物、任意選択で、前記FRリヨセルのヒドロキシル基に架橋可能な樹脂、好ましくは、DMDHEU樹脂を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項10】
撥水及び/又は撥油仕上げをさらに含み、好ましくは、フルオロカーボンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項11】
好ましくは、0.2重量%~5重量%の量で帯電防止繊維をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項12】
前記縦糸において:
40~60重量%、好ましくは、概ね50重量%のリヨセル、
15~35重量%、好ましくは、概ね25重量%の綿;及び
15~35重量%、好ましくは、概ね25重量%の再生ポリエステル;並びに
前記横糸において:
70~99重量%、好ましくは、概ね90重量%の綿、
1~20重量%、好ましくは、概ね10重量%の再生ポリエステル
を含む、請求項2に記載の布帛。
【請求項13】
ISO15797によって少なくとも50回の洗濯に対して耐久性があり、以下の特性:
- ISO105-A02のグレースケール比較による、2超又は3超の色保留スコア;
- ISO15025(2000)の試験手順による、ISO11612の表面への着火基準を超える
- ISO15025(2000)の試験手順による、ISO11612の下側エッジ部着火基準を超える;
- ISO13937-2(2000)による、10N超の引裂き強度;
- ISO13934-1(2013)による、300N超の引張強度
の少なくとも1つ若しくは複数を保持する、請求項1~12のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項14】
マーチンデール法によって15000サイクル超、好ましくは、20000サイクル超に対する摩耗抵抗を有し、12KPaの加えられた力についてISO12947-2を満たす、請求項1~13のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項15】
前記非セルロース反応性処理が、THP塩を含み、好ましくは、最終布帛中のリンの量が、2.5重量%未満であり、及び/又は前記最終布帛中の窒素の量が、2.0重量%未満である、請求項1~14のいずれか一項に記載の布帛。
【請求項16】
到達可能なヒドロキシル基を有する天然及び/又は合成繊維並びにリヨセル繊維の混合物を含む糸を含む難燃性布帛を生成する方法であって、前記布帛を非セルロース反応性FR処理に最初に供することと、それに続いて、前記リヨセルのフィブリル化を安定化するために樹脂の適用によって前記布帛を仕上げることとを含む、方法。
【請求項17】
好ましくは、綾織りにおいて、縦糸及び横糸で前記糸を織ることによって前記布帛を構成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リヨセルが、前記縦糸中にのみ存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記FR処理が、THPをベースとするプロセスである、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
樹脂の適用によって前記布帛を仕上げることが、前記樹脂、好ましくは、ホルムアルデヒド樹脂を架橋することを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
仕上げが、好ましくは、フィブリル化を防止するための前記樹脂の前記適用の後の別々のステップにおいて提供される、撥水及び/又は撥油処理をさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記布帛を前記FR処理に供する前に、前記布帛が、糊抜き、スカーリング、漂白、シルケット加工、反応性及び非反応性染料を含めた染色からなる群から選択される1つ若しくは複数のプロセスによって事前処理される、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記糸が、人造繊維の密接ミックスを含む紡績糸である、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~15のいずれか一項に記載の布帛で製造されるか、又は請求項16~23のいずれか一項に記載の方法によって製造される、衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難熱性及び難燃性布帛、並びにこれを作製する方法に関する。布帛は、難熱特性及び難燃特性を有するセルロースをベースとする綿代替物を含む。
【背景技術】
【0002】
多数の専門的職業は、個人が極度の熱及び/又は火炎に曝露される危険に曝されることを必要とする。典型的な例は、産業労働者、消防士、警察官及び軍人である。このような人員は、可能な限り適当な火炎防護衣類の提供を受ける。これらの衣類は、難燃性布地から少なくとも部分的に構成されているため、通常の日常使用衣類とは明確に異なる。
【0003】
前記衣類は、最低の熱的性能に関する要求事項、例えば、難燃性及び/又は難熱性、溶解した金属に対する抵抗性、電気アーク抵抗性、サーマルマネキン試験における低率の(推定上の)体の火傷、限定された残炎時間、燃焼に対する高い復元力、並びに放射熱に対する保護について合格しなければならない。
【0004】
専門的な火炎防護衣類に加えて、より一般の作業服は高い耐炎性を必要とされることが多いが、これは1つ若しくは複数の標準によって認定し得る。他の重要な性能に関する要求事項は、引張強度及び引裂き強度、破断伸び、摩耗抵抗、スナッギング抵抗、並びに水及び液状化学品による浸透に対する抵抗である。
【0005】
さらに、例えば、蒸気が体から外に運ばれることを可能とし、且つ衣類が堅すぎないことを確実にすることによって、衣類が適切な快適さを実現することが重要であると考えられる。また、衣類は、上で開示したパラメーターが少なくとも意図するか又は保証された製品の寿命の間継続するという意味で耐久性でなくてはならない。これはいくつかの洗浄サイクルによって定義し得る。
【0006】
さらに、例えば、衣類を染色して、可視性を増加させることができるように、衣類は耐久性のある結果を伴って印刷可能又は染色可能でなくてはならない。可撓性材料から作製される難熱性及び難燃性衣料品のための性能に関する要求事項のための使用されることが多い標準は、ISO11612である。
【0007】
セルロース繊維又はセルロース繊維を含む布地物品を難燃性とするための周知の処理は、Proban(登録商標)処理である。この処理は、尿素で事前反応させ、且つpHを5~8に調節したテトラキスヒドロキシアルキルホスホニウム(THP)塩を含む水溶液で布地物品をパディングすることを含む。
【0008】
THPは、セルロース繊維と実質的に反応せず、前記繊維を含む布地物品とも実質的に反応しないが、代わりに、セルロース繊維の分子構造の周囲及び/又はその全体に亘って被覆ネットワークを形成する。したがって、Proban(登録商標)処理は、非セルロース反応性処理であり、これは、THP及びセルロース繊維の間に実質的に化学反応がないことを意味する。Proban及びTHPに対する代替の非セルロース反応性処理は、同じ効果を達成し得る。
【0009】
代替の難燃性処理は、N-メチロールホスホネート化合物、例えば、N-メチロールジアルキルホスホノプロピオンアミドによる処理である。商業的に、このような処理は、Pyrovatex(登録商標)CP及びAflammit(登録商標)KWBというブランドで提供される。この場合、難燃性化合物は、セルロースのC(6)ヒドロキシル基上の反応によってセルロース上へとグラフトされ、セルロース繊維の外側上のグラフトされた保護ホスホノプロピオンアミド分子がもたらされる。したがって、セルロース及びリン含有化合物の間に反応が存在するため、これはセルロース反応性リン含有化合物の一例である。したがって、Pyrovatex処理は、Probanプロセスとは本質的に異なる化学的性質及び機序を有する。
【0010】
Pyrovatex及びProbanは綿を難燃性とするために開発されたが、このように得られた布帛について多くの関連する問題を有する。米国特許出願公開3816068A1号明細書は、セルロース布帛のための難燃剤を開示しており、Pyrovatexプロセスの不都合について記載している。Pyrovatex処理した布帛の不都合は、多くの他の処理との不適合性、及び時間と共に加水分解するその傾向を含む。Pyrovatex処理した製品は、加水分解及びそれと関連する不快な臭いを防止するために、生産の後に(使用に関わらず)1年に少なくとも1回の洗浄を必要とする。典型的には、達成される難燃性の程度はTHP処理より限定されており、プロセスは最大で20%の合成繊維でのみ適合性である。欧州特許出願公開第0709518A1号明細書は、Proban処理した綿布帛について開示している。この文献は、Proban処理した綿の剛性の問題を解決することを対象としている。
【0011】
本来固有に難燃性であり、この難燃性を達成するための処理を必要としない繊維がまた存在する。パラ-アラミド及びメタ-アラミド繊維、PPS、PBO並びにPBIを含めたこのような繊維は、防炎性繊維と称し得る。本質的に難燃性である他の防炎性繊維は、例えば、マスターバッチとして紡糸する前に難燃性添加物が加えられている繊維紡糸ドープから押し出される繊維を含む。このように得られた繊維には、FRリヨセル、モダクリリック、FRポリエステル及びFRポリアミドFRが含まれる。以下において、難燃性(FR)という用語は、固有の難燃特性を有するものとは対照的に、処理されて難燃性とされた繊維を指すために使用される。
【0012】
衣料品製造の分野における増大する懸念は、環境に優しいオプションの選択である。天然繊維、例えば、綿はいくつかの観点において合成繊維より有利であり得るが、綿はその生産のための必要条件、特に、水の使用に関して相対的に強い影響のものであることは周知である。難燃性衣料品中の綿又は他の天然繊維を少なくとも部分的に置き換える綿代替物を提供することが望ましい。
【0013】
信頼できる源からの木材チップセルロースから作製された1つの綿代替物はリヨセルである。これはレーヨンと同様の材料であるが、ビスコースプロセスの不都合を伴わない。これはまた綿より相当により低いウォーターフットプリントを有し、最大95%までより少ない水を使用する。しかし今までのところ、適切にリヨセルを綿の代わりにすることは可能ではなかったが、耐久性及び他の作業服の必要条件と組み合わせて難燃性が必要とされる。特に、リヨセルがフィブリル化する傾向は主要な欠点として見られてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
より小さな環境フットプリントを有する、防護服に期待される少なくともある特定の品質要求事項をそれにも関わらず満たす通常のFR綿の代替物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、天然及び/又は合成繊維の混合物から形成される糸を含む難燃性(FR)処理した布帛を提供し、布帛は、FR処理したリヨセル繊維をさらに含み、ここで、FR処理は、非セルロース反応性FR処理であり、FR処理したリヨセル繊維は、低フィブリル化となる。以下において、用語「リヨセル」は、人工的なセルロースをベースとする綿代替物を示すために使用される。特に、これらは有機溶媒紡糸プロセスによって得られるセルロース繊維を表し得るが、本発明はまた、ビスコースプロセスによって得ることができるいくつかのセルロース繊維に適用可能であり得る。リヨセル、例えば、Lenzing AGから入手可能なTencell(登録商標)製品は周知であるが、他の同様のセルロースをベースとする綿代替物が利用可能であり、同等に適用可能であり得る。リヨセルは短い人造繊維、長い人造繊維の形態で、又はフィラメント若しくはリボンとして存在し得る。さらに、この文脈において、天然及び合成の繊維への言及はリヨセル繊維を除外することを意図し、すなわち、これらはリヨセルと他のものである。必要とされる特性によって、任意の量のリヨセルが存在し得る。特に、1~99重量%のリヨセル、好ましくは、10~70重量%、より好ましくは、15~50重量%のリヨセル又は20~35重量%のリヨセルが存在し得る。
【0016】
リヨセルがフィブリル化を起こしやすいことは周知である。リヨセルは、水を吸収したとき、すなわち、湿った布帛の状態であるとき、低減された引張強度を有することがまた理解される。調査の結果として、本発明の状況において、フィブリル化は、THPタイプFR処理を実行することによってさらに悪化することがまた明らかにされてきた。湿った状態で、水はリヨセルフィブリルの束に浸透し、繊維表面におけるフィブリルの曝露をもたらし得る。フィブリル化の割合は、通常のFR処理の間に経験するように、pHの上昇及び温度の上昇と共に増加する。綿とは異なり、リヨセルは自然に架橋せず、したがって、フィブリル化の増加を少なくとも部分的に補う仕上げを提供することが望ましい。リヨセル様材料について、フィブリルは隣接するフィブリルの間の水素結合によって少なくとも部分的にまとまっていると考えられる。例えば、水の存在下で又はある特定の処理の結果として、水素結合の程度の低減はフィブリル化の増加をもたらし得る。
【0017】
抗フィブリル化仕上げは、適切な添加物の適用によって、布帛上で行うことができる。好ましくは、添加物はセルロースのヒドロキシル基と反応して、フィブリルを安定化させる物質である。これは水素結合の存在を増加させることによるか、又は共有結合の形成によるものでよく、それによってフィブリルの改善された架橋が達成される。セルロース材料のヒドロキシル基への共有結合の形成によって架橋する添加物は、反応性樹脂、熱硬化性樹脂又はイージーケア仕上げと称し得る。反応性樹脂には、エチレン尿素ホルムアルデヒド、プロピレン尿素ホルムアルデヒド、メチル化ウロンホルムアルデヒド及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)修飾樹脂が含まれる。後者が好ましい選択である。上記に対する代替物及び同等物をまた適用し得ることを当業者は十分承知している。この文脈において、低フィブリル化は、リヨセルのヒドロキシル基への架橋の存在によって定性的に決定し得る。代わりに、これは、例えば、ピリング、摩耗、色の保留又は下で規定する他の試験によって実験的に決定し得る。
【0018】
一実施形態では、天然繊維は、FR綿を含む。布帛は綿布帛の全体的な感覚を有し得、綿の一部がリヨセル代替物で置き換えられている。布帛の全体的性能にかなり影響を与えることなしに、綿の概ね50%までを置き換え得る。それにも関わらず、布帛の柔らかさはかなり増加し、使用中に非常に快適であることが一般に体験される。しかし、一般に、綿がリヨセルで置き換えられている場合、ある量のより強い繊維、例えば、ある特定の特性の喪失を相殺するか、又はリヨセルを他の点で補完する合成繊維を必要とし得る。特に、リヨセルは一般に、綿より僅かにより低い湿潤強度を有するが、THP加工の後で強度がかなり低減する。したがって、ポリエステルを繊維ブレンドに加えて、補償し得る。しかし、他の天然繊維、例えば、より多い又はより少ない量のリネン又はウールが存在し得ることは除外されない。
【0019】
一実施形態では、合成繊維は、ポリエステルを含む。他の合成繊維、例えば、ポリアミド又はアラミドがまた意図されてもよく、さらなる少容量の高性能の合成繊維を含み得ることは除外されない。一実施形態では、合成繊維は、再生ポリエステルを含む。再生ポリエステルの1つの好ましい源は、機械的に再生されたポリエステルであるUnifi IncからのRepreve(登録商標)である。化学的に再生されたポリエステルをまた使用し得る。再生ポリエステルは、多くの魅力的な利点、例えば、バージンポリエステルと比較して45%のエネルギー消費の低減を有すること;バージンポリエステルと比較して概ね20%の水消費の低減;及びバージンポリエステルと比較して30%超の温室効果ガス排出削減を有する。再生ポリエステルは優れた強度特性を有し、耐久性を加えるが、これは多くのFR処理に応答しない。合成繊維は、短い人造繊維、長い人造繊維及びフィラメントを含めた様々な形態で存在し得る。
【0020】
織った布帛及び編んだ布帛を含めた様々な可能な布帛を想定し得ることが理解される。織った布帛が好ましい。織った布帛は、任意の適当な構成を有し得、選択された織り又はパターンでの縦糸と横糸から形成される。縦糸及び横糸の両方の糸は、それらの組成、重量などに関して、全てが同じであり得るか、又は異なり得る。それぞれの糸は紡績糸であり得る。紡績糸は構成物繊維の密接ブレンドを含むと理解される。糸のいくつかの端部は、一緒により合わせて、プライを形成し得る。プライはまた、1つ若しくは複数のフィラメントを有する紡績された繊維をより合わせることによって形成し得る。
【0021】
一実施形態では、リヨセル繊維は、縦糸においてのみ存在し得る。これは、リヨセルが仕上げプロセスによってフィブリル化に対して適切に安定化されてきた場合について、最も適していることが見出されてきた。その場合、リヨセルは、縦糸中にまたブレンドされる合成繊維の存在によって強化し得る。リヨセルがフィブリル化に供される場合、例えば、綾織りにおける布帛の外面へのその曝露を減少させるために、横糸においてのみリヨセルを代わりに含むことが好ましくてもよい。
【0022】
特定の実施形態では、縦糸は、リヨセル繊維、合成繊維及び天然繊維を含む。このように、ブレンドは、リヨセル、綿及びポリエステル人造繊維のものであり得、これらは一緒に縦糸の少なくとも95%を構成する。一実施形態では、縦糸の50%がリヨセルを含み得、等しい量の綿及びポリエステルが残部を占める。一実施形態では、これらは、好ましくは、それぞれ、概ね50/25/25の重量%比で縦糸中に存在し得る。
【0023】
最適化された結果をもたらす布帛の異なる特徴の間にある特定の関係が存在することが観察されてきた。特に、リヨセルの使用の増加は、リヨセルの強度の喪失を補うために必要とされるより強い合成繊維の量の釣り合った増加を必要とする(特に、FR処理に供された後)ことを留意し得る。増加したリヨセルに対応して、合成繊維は糸方向において存在する。本質的にFRでもなく、FR処理可能でもない合成繊維の場合、導入することができる合成繊維の総量は、天然繊維及びリヨセルのFR処理の程度によって決まる。下でさらに説明する理由のために、過剰なフィブリル化を回避するために、限定された程度のFR処理が好ましくてもよい。したがって、ミックス中に存在することができる非FR合成繊維の全体的な量は制限し得る。このため、縦糸における上記の50/25/25ミックスはむしろ適切であることが見出されてきており、その明らかな変異形は同じ有利な効果を達成する。
【0024】
しかし、合成繊維が一方向に導入されるとき、布帛は、例えば、縮みに関して不安定となり得る。この理由のために、制限された量の合成繊維を他の織り方向において必要とし得、例えば、90/10の綿/ポリエステルブレンドが適当であり得る。概ね50/30/20の綿/リヨセル/ポリエステルの全体的なブレンドが結果として起こり得る。一般に、低量の合成繊維が好ましくてもよいことが留意される。それは、その主要目的が強度の補強であり、合成繊維が全体的な布帛のFRの程度に対してマイナスの影響を与えるからである。それにも関わらず、Pyrovatexタイプの処理について達成可能である合成繊維の量を超える合成繊維の量を達成してもよい。
【0025】
ポリエステルの場合、50重量%までのポリエステルが全体的な布帛中に存在し得る。他の繊維、例えば、ポリアミドについて、20重量%までが存在し得る。THP FR処理との適合性のために上限未満のままである代替繊維割合は最終用途によって選択し得、また本出願の範囲に含まれる。例えば、柔らかさ、色の保留割合に望ましい強度を提供するか、又はより多い量の地球に優しい繊維を含有する。
【0026】
一実施形態では、横糸は、優勢な天然繊維、好ましくは、70重量%~95重量%の天然繊維、特に、綿を含み得る。
【0027】
任意の適切な織り構成を意図してもよく、当業者はこのような織りのそれぞれの利点を十分承知している。一実施形態では、布帛は、綾織り、好ましくは、2/1綾織りとして織り得る。繻子織りをまた使用し得、ここで、特定のドレープを実現するか、又はある特定の糸が1つの面又は他の面にもっぱら提供されることを確実にすることが望ましい。布帛はまた、それぞれの表布及び裏布に別個の特性を有するダブルクロス、表裏のある布帛、又は2つの同一の面を有する布帛であり得る。
【0028】
本発明の重要な態様によると、布帛は、リヨセルがフィブリル化することを防止するための抗フィブリル化仕上げを含む。上で述べたように、リヨセルは自然に架橋せず、したがって、フィブリル化の増加に対して少なくとも部分的に補償が行われる仕上げを提供することが望ましい。重要なことに、仕上げしたリヨセル繊維の使用はフィブリル化の防止において周知である一方、非フィブリル化仕上げはリヨセル繊維への難燃性処理の適用に対して有害であることが今や見出されてきた。未処理のリヨセル繊維、すなわち、抗フィブリル化処理を施されてこなかったリヨセル繊維を使用することによって、FR処理の改善された適用を達成し得る。これは、Probanタイプ(THP)の処理について特に当てはまることが見出された。理論に束縛されるものではないが、架橋された樹脂、例えば、ホルムアルデヒドの存在はTHP機序(リヨセル繊維の分子構造の周囲及び/又はその全体に亘って被覆ネットワークの形成を必要とする)の作動を防止すると考えられる。
【0029】
本発明によれば、抗フィブリル化樹脂仕上げは、FR処理に続いて適用し得る。しかし、FR処理はそれ自体が抗フィブリル化仕上げプロセスに対してそれに続くマイナスの効果を有し得ることがまた見出されてきた。これはTHP処理の結果としてヒドロキシル基の立体障害によるものと考えられる。本発明の一態様によると、FR処理の程度は最小に保持される。この文脈において、最終布帛中のリンの量は、2.5重量%未満、好ましくは、2.4重量%未満又はそれどころか2.2重量%未満に保持し得る。窒素についての値はまたFR処理の程度を反映し、これらは1.7重量%未満又は1.6重量%未満又はそれどころか1.5重量%未満に保持し得る。これらの値は、適正なFR遵守を確実にすることがまた見出されてきた。それにも関わらず、上記のように、FR処理の程度の低減は、それらの合成繊維が非FRである場合について、ブレンド中に存在し得る合成繊維の全体的な容量を限定する。
【0030】
一実施形態では、布帛は、撥水及び/又は撥油仕上げをさらに含む。適切な仕上げは、通常のPFAS(ペルフルオロ化アルキル化物質)仕上げ、例えば、PTFE、Teflon(登録商標)などを含む。代わりに、本開示の布帛はまたPFAS非含有仕上げを伴って作製し得、したがって、さらに環境に優しい。
【0031】
上記のように、布帛はまた、特定の技術的目的のための他の繊維又は糸を含み得る。防護用作業服のために、帯電防止繊維をブレンド中の繊維として、又は別々の帯電防止糸若しくはフィラメントとして含み得る。一実施形態では、布帛は、0.2重量%~3重量%の量で帯電防止繊維又はフィラメントを含み得る。帯電防止人造フィラメントが使用される場合、帯電防止繊維が分配又は局在化されているかどうかによって5重量%もの量を必要とし得る。
【0032】
本発明による例示的な布帛は、縦糸において:
40~60重量%、好ましくは、概ね50重量%のリヨセル、
15~35重量%、好ましくは、概ね25重量%の綿;及び
15~35重量%、好ましくは、概ね25重量%の再生ポリエステル;並びに
横糸において:
70~99重量%、好ましくは、概ね90重量%の綿、
1~20重量%、好ましくは、概ね10重量%の再生ポリエステル
を含み得る。
【0033】
布帛は、その必要とされる特性を失うことなく、ISO15797によって少なくとも50回の洗濯に対して望ましくは耐久性がある。これらは、以下の1つ若しくは複数を含み得る。
・ISO105-A02のグレースケール比較による、2超又は3超の色保留スコア;
・ISO15025(2000)の試験手順による、ISO11612の表面への着火基準を超える;
・ISO15025(2000)の試験手順による、ISO11612の下側エッジ部着火基準を超える;
・ISO13937-2(2000)による、10N超の引裂き強度;
・ISO13934-1(2013)による、300N超の引張強度。
・布帛はまた好ましくは、マーチンデール法によって、15000サイクル超、好ましくは、20000サイクル超に対する布帛摩耗抵抗を示し、12KPaの加えられた力についてISO12947-2を満たすべきである。
【0034】
非セルロース反応性処理は、好ましくは、THP塩をベースとする任意の適切なこのような処理、例えば、Proban(登録商標)処理であり得る。
【0035】
本発明はまた、到達可能なヒドロキシル基を有する天然及び/又は合成繊維並びにリヨセル繊維の混合物を含む難熱性及び難燃性布帛を生成する方法に関し、この方法は、布帛を非セルロース反応性FR処理に最初に供することと、それに続いて、リヨセルのフィブリル化を安定化するために樹脂の適用によって布帛を仕上げることとを含む。
【0036】
この文脈において、用語「到達可能なヒドロキシル基」は、リヨセル繊維が抗フィブリル化添加物、例えば、架橋樹脂で処理されていないという事実を指すことを意図する。本発明によれば、FR処理の前のこのような添加物の存在は処理の有効性を低減し得ることが示されてきた。このため、FR処理は、糸中に提供されるリヨセル繊維がヒドロキシル基を占有し得る処理によってフィブリル化に対してまだ安定化されていない布帛上で実行されることが望ましい。
【0037】
FR処理の前に、布帛は、群:糊抜き、スカーリング、漂白、シルケット加工、反応性及び非反応性染料を含む染色から選択されるプロセスの1つ若しくは複数によって事前処理し得る。
【0038】
布帛は、織った布帛又は編んだ布帛を含めた任意の適切な布帛であり得、方法は、FR処理を実行する前に個々の糸から布帛を最初に構成することを含み得る。言い換えると、FR処理は、糸自体に適用されるよりむしろ布帛上で行われる。布帛を構成することは、好ましくは、綾織りにおいて縦糸及び横糸で糸を織ることを含み得る。一実施形態では、リヨセルは、縦方向においてのみ糸中に存在する。
【0039】
樹脂の適用によって布帛を仕上げることは、フィブリル化を防止するための任意の適当な化学反応の使用を含み得る。好ましくは、樹脂は、セルロースのヒドロキシル基と反応して、フィブリルを安定化させる物質である。このような樹脂は、反応性樹脂、熱硬化性樹脂又はイージーケア仕上げと称し得る。反応性樹脂には、エチレン尿素ホルムアルデヒド、プロピレン尿素ホルムアルデヒド、メチル化ウロンホルムアルデヒド及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)修飾樹脂が含まれる。後者が好ましい選択であるが、同等物及び代替物を等しく適用し得る。仕上げステップは、例えば、熱の適用による樹脂の架橋によって完了し得る。
【0040】
仕上げ処理は、フィブリル化を防止するための樹脂の適用の後で、好ましくは、別々のステップにおいて提供される撥水及び/又は撥油処理をさらに含み得る。両方の処理は、一緒に適用し得るが、現存する処理について、抗フィブリル化仕上げを最初に行い、それに続いて撥水/撥油仕上げを適用することによってより良好な有効性が達成されることが見出されてきた。熱処理は両方の処理について一緒に行い得るが、好ましくは、抗フィブリル化樹脂は、撥水/撥油仕上げを開始する前に熱処理によって架橋される。適切な撥油及び/又は撥水仕上げは、通常のPFAS(ペルフルオロ化アルキル化物質)仕上げ、例えば、PTFE、Teflon(登録商標)などを含む。代わりに、本開示の布帛はまた、PFAS非含有仕上げを伴って作製し得、したがって、さらに環境に優しい。
【0041】
本発明はまた、本明細書の上記又は下記のような方法によって製造された衣類に関する。
【0042】
材料のこの組合せは、通気性があり、快適で、耐久性があり(速いフィブリル化を回避する)、FRである、環境に優しい布帛をもたらす。綿の有利な範囲は、持続可能性及び通気性の両方を布帛にもたらす。
【0043】
いくつかの材料は、環境に優しい製品における考慮のために特に魅力的である。再生された材料、持続性がある材料及び低い水不足を伴う材料は、より少ない環境への影響を有する。
【0044】
難燃性(FR)は、本出願において、フィラメント、繊維、糸又は布帛への処理によって与えられる難燃性及び/又は難熱性を意味するように定義される。これによって、サーマルマネキン試験における低率の(推定上の)体の火傷、限定された残炎時間、燃焼に対する高い復元力、並びに放射熱に対する保護、電気アーク及び溶解した金属に対する抵抗性を伴う布帛を提供し得る。例えば、ISO11612の可撓性材料から作製した難燃性衣料品についての性能に関する要求事項を満たす。
【発明を実施するための形態】
【0045】
非限定的例として、源から製品への以下の工程ステップを説明する。
【0046】
例示的な製造工程のステップを以下の通り記載する。
・最初に、人造繊維を紡糸によって糸へと形成する。
・次いで、これらの糸を望ましく最適な規格によって未漂白未染色の布に織る。
・未漂白未染色の布を点検する。
・糊抜き、スカーリング及び漂白を含む事前処理を行う。
・さらなる事前処理ステップにおいて、綿及びリヨセルをシルケット加工する。
・次いで、布帛を染色及び色止めを含む連続的染色プロセスにおいて染色する。
・次いで、色の不具合について布をチェックし、その後、仕上げ処理プロセスラインに入れる。
・布帛の含浸及びアンモニア硬化が関与する1つ又は2つのFR処理ステップを行うことができる。
・布帛を空気タンブラーにおいて機械的に柔らかくし、より可撓性とさせる。
・製品をテンターフレーム上で広げ、樹脂で処理し、フィブリル化を防止する。
・布帛をそれに続いて熱処理し、加えられた樹脂を架橋させる。
・さらなる仕上げを適用し、撥油性及び撥水性を得る。
・製品を熱処置/徐冷する。
・布帛をサンフォライズし、縮みを低減させる。
・次いで、品質管理を行う。
・これに続いて包装及び衣料品メーカーへの出荷が行われ、ここで、これを特定の使用、例えば、特定の職場のユニフォームのために形づくる。
【0047】
糸へと形成される人造繊維には、綿、リヨセル及び再生ポリエステルが含まれる。綿は、快適さ、及び合成繊維より良好な水分管理を提供する天然繊維である。綿は、FR処理した布帛のための、従来より使用される繊維である。
【0048】
リヨセルは、合成セルロース繊維である。他の代替のセルロースをベースとする綿代替物、例えば、Birla Celluloseによって提供されるLivaeco(商標)、Birla Modal(商標)、Birla Excel(商標)、Birla Viscose(商標)及びBirla Spunshades(商標)が存在する。リヨセルは、湿った状態で強度を失う産業用及び洗濯可能な繊維である。リヨセルは、実際は湿った状態の綿と同様の強度を有し、綿より持続性がある。綿と比較して、リヨセルの水使用は、綿より95%少ない。リヨセルはより良好な水分管理を伴って綿より快適であり、一般に皮膚にとってより滑らかである。しかし、これはフィブリル化する繊維である。例えば、湿った状態で、水がフィブリルの束の内側に浸透し、繊維表面におけるフィブリルの曝露をもたらす。フィブリル化の割合は、pHの上昇及び温度の上昇と共に増加する。
【0049】
(再生)ポリエステルは、機械的又は化学的に再生することができる。ポリエステルはFR処理した布帛において使用され、それは相対的により強い材料であるため耐久性を増加させるが、またセルロースをベースとする布帛よりも重い。ポリエステルは、Probanの化学的性質では難燃性とすることができない。機械的に再生されたポリエステルを使用して、持続可能性を改善させることができる。再生ポリエステルの使用は、バージンポリエステルの使用と比較して45%のエネルギー消費の低減を実現し、バージンポリエステルと比較して概ね20%の水消費の低減を有する。温室効果ガスの排出は、バージンポリエステルと比較して30%超低減する。
【0050】
例示的なEG9600布帛のために、以下の人造繊維を使用して糸を紡績した。
綿(中等品)
・カウント、3.8~4.4Micronair
・長さ、27mm
・テナシティ、26~30cN/tex
Tencelリヨセルスタンダード
・カウント、1.25dtex
・長さ、38mm
・テナシティ、38cN/tex
・テナシティ、湿った、31cN/tex
Repreve再生ポリエステル
・カウント、1.3dtex
・長さ、38mm
・テナシティ、59cN/tex
Nega-Stat(登録商標)P190
・カウント、39/6dtex
・長さ=フィラメント
【0051】
布帛糸の例示的な配合は、以下である。
縦糸:
50%のリヨセル
25%の綿;及び
25%の再生ポリエステル。
横糸:
90%の綿;及び
10%の再生ポリエステル。
AS撚糸:
75%の綿;
8%の再生ポリエステル。
17%のNegastatフィラメント
【0052】
EC9600布帛は、上記の縦糸と横糸を伴って2/1綾織りで織られる。横方向において1:20毎の間隔で帯電防止糸が含まれる。最終布帛中のそれぞれの繊維の全体的な重量パーセントは、
50%の綿;
30%のリヨセル;
19%の再生ポリエステル、
1%のNegastatフィラメント
である。
【0053】
単一パスTHP処理の後、布帛が以下の難燃性固有値を有することを測定した。
【0054】
THPの量を以下の結果を伴ってP、N分析によって測定する:
EG9600:P2.1% N1.7%
伝統的な綿製品:P2.9% N1.9%。
【0055】
FR処理の後の布帛は、フィブリル化に対してまだ脆弱である。適切な樹脂でFR処理した後に布帛を仕上げることは、製品中のリヨセルのフィブリル化を防止する。樹脂をフーラードプロセスにおいて適用し、適用プロセスはプレス及び加熱による水の除去、それに続く樹脂を架橋するための熱処理を含む。非フィブリル化という用語は、本明細書において使用されるように、実質的な非フィブリル化を意味すると理解され、低フィブリル化と交換可能である。非フィブリル化樹脂の適用は、その未処理の状態の布帛と比較して低減されたフィブリル化を有する布帛を実現する。
【0056】
第2の仕上げは、ISO13034を満たすために布帛をフルオロカーボン樹脂(FC)によって撥水及び/又は撥油仕上げとするために必要とされる。樹脂及びFCは1つのバッチにおいて合わせてもよく、又は、フィブリル化を改善し、色の喪失を防止するために、樹脂及びFC仕上げを2ステッププロセスにおいて次から次に適用し得る。この2ステッププロセスは、洗濯の後でフィブリル化を低減させる。さらなる改善は、FC仕上げを適用する前に最初に樹脂を架橋することである。
【0057】
標準ISO15797、75oC、j基準による洗濯が可能であり、低減され均質なフィブリル化がもたらされる。布帛はISO15797、75oC、jによる50回までの厳しい洗濯に対して依然として耐久性である。
【0058】
最終製品は、以下の利点を有する:
・50%の地球に優しい材料、
・耐久性があり持続性がある、
・伝統的なFR処理した布帛より28%低いウォーターフットプリント、
・伝統的なFR処理した布帛より10%低いCO2フットプリント、
・リヨセルのおかげで通気性を伴って非常に柔らかい、
・低い水蒸気抵抗(通気性)及び良好な短時間の蒸気吸収度、
・伝統的なFR処理した布帛より良好な性能、
・伝統的なFR処理した綿布帛は硬く頑丈であると感じられ、EG9600は皮膚にとってしなやかで柔らかいと感じられる、
・伝統的なFR処理した綿布帛と等しいFR性能、
・低いピリング。
【実施例
【0059】
3バッチの改善されたFR布帛を試験し、最終仕上げの後に測定した特性は再現可能であり、以下のような詳細を伴う技術的明細事項に従うことが示される。
【0060】
【表1】
【0061】
本発明の布帛の技術的明細事項は、特性に関して標準的なFR布帛、及びModal/Tencel(商標)として知られている代替の本質的に難燃性の布帛に匹敵し、これらと釣り合っている。本発明の改善されたFR布帛は、改善された快適さ及び低減したカーボンフットプリントをさらに有する。技術的明細事項の比較は以下の通りである。
【0062】
【表2】
【国際調査報告】