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特表2024-524147マイコスポリン様アミノ酸を含む日焼け防止化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】マイコスポリン様アミノ酸を含む日焼け防止化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577991
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 FR2022051365
(87)【国際公開番号】W WO2023281224
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2107441
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522477148
【氏名又は名称】ナオス・インスティテュート・オブ・ライフ・サイエンス
(71)【出願人】
【識別番号】505247627
【氏名又は名称】トレル、 ジャン ノエル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ノエル・トレル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC762
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC862
4C083AC902
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD262
4C083AD352
4C083AD662
4C083BB46
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、紫外線太陽照射から保護するための組成物及びその使用に関する。特に、本発明は、-「MAA」と称される少なくとも1つのマイコスポリン様アミノ酸;-UVB有機系遮蔽剤及び/又はUVB範囲とUVA範囲の両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される、少なくとも2つの有機系遮蔽剤;-少なくとも1つのUVA有機系遮蔽剤を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式IAの分子A又はその許容される塩のうちの1つからなる群、及び/又は式IBの分子B又はその許容される塩のうちの1つからなる群、から選択される、「MAA」と称されるマイコスポリンの少なくとも1つのアミノ酸類似体であって、
式IAが、式IA:
【化1】
であり、
式IBが、式IB:
【化2】
であり、
式IA及び式IBのそれぞれにおいて、
- R1は、水素;アルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテロサイクル;シクロアルキル;アルコキシ;アルカノイル;ヒドロキシル;スルホ基;ハロゲン基;ホスホノ基;エステル基;カルボン酸基;フェニル基;アミノ基;アルキル化脂肪酸鎖又はポリエーテルであり;
- R2は、アルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテロサイクル;シクロアルキル;アルコキシ;アルカノイル;スルホ基;ホスホノ基;エステル基;カルボン酸基;ヒドロキシル;又はフェニル基である、アミノ酸類似体
を含む、組成物であって、
前記組成物が、
- 有機系UVB遮蔽剤及び/又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される、少なくとも2つの有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を更に含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
R1が、[CH3]-[CH2]n-O-(式中、「n」は0~10であり、好ましくは「n」=0又は「n」=8である)タイプのアルコキシ基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R2が、[COOH]-[CH2]n-(式中、「n」が0~5であり、好ましくは「n」=1又は「n」=0である)タイプのカルボン酸基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのMAAが、以下のINCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネート、及びCAS番号2699128-33-9に対応する化合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤が、以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル ベンゾイル)ピペラジン、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート二ナトリウム、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する化合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤が、以下のINCI指定名:エチルヘキシルサリシレート、ホモサレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びエチルヘキシルトリアゾンに対応する化合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの広域スペクトル有機系遮蔽剤が、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、トリス-ビフェニルトリアジン、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及びドロメトリゾールトリシロキサン、特にビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、トリス-ビフェニルトリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのMAAが、組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、更により有利には1質量%~2質量%を占めることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤が、組成物の総質量に対して1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%を占めることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤が、組成物の総質量に対して1質量%~10質量%、好ましくは2質量%~7質量%を占めることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
UVBとUVAの両方を吸収する前記少なくとも1つの広域スペクトル有機系遮蔽剤が、組成物の総質量に対して1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~10質量%を占めることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
- 少なくとも2つの有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
- 少なくとも2つの、UVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
- 少なくとも、以下のINCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応するUVB遮蔽剤;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタンに対応する有機系UVA遮蔽剤
を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する、UVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル遮蔽剤;
- 少なくとも1つの、以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル ベンゾイル)ピペラジン、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート二ナトリウム、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、有利にはブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する化合物を含む群から選択されるUVA太陽光遮蔽剤
を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
以下のINCI指定名:4-メチルベンジリデンカンファー、3-メチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、オクトクリレン、オクチルジメチルPABAに対応する太陽光遮蔽剤は含んでいないことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
20に等しいか若しくはそれを超える、有利には30に等しいか若しくはそれを超える、好ましくは40に等しいか若しくはそれを超える、又は更に50に等しいか若しくはそれを超える、「SPF」と称される太陽光保護指数を有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
太陽照射、特に100~400nmの波長の照射から保護するためのその使用のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコスポリン様アミノ酸及び太陽光遮蔽剤を含む、有利には太陽光対策(advantageously solar)の組成物、特に化粧用又は皮膚科学的組成物、並びに紫外線照射に対して皮膚を保護するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)照射は、100nmから400nmの間の波長を有する光からなり、従来、3つのサブグループ:UVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)及びUV-C(280~100nm)に分類されている。UV-Cは波長が短く、最も高いエネルギーを有する有害なUVである。それは大気のオゾン層によって遮蔽され、著しい量が地表に到達することはない。大部分の皮膚損傷は、UVA及びUVBによって引き起こされる。
【0003】
UVBは「メラニン」と称される皮膚の天然色素の産生を誘発し、これが通常「日焼け」と称される現象の起原である。UVBはまた、細胞を刺激して厚い表皮を生成する。上述の反応は、UV照射に対する身体の保護機序を構成する。
【0004】
高エネルギーのUVBは、分子障害(DNAの変化及びタンパク質の損傷)を生成し、長期にわたって核DNA修復システムを飽和させブロックする。これは、影響を受けた細胞のゲノムにおける永続的な変異につながり、これが皮膚がんをもたらす。この場合は直接的なUVB毒性である。UVAに関しては、それが皮膚の深部層に浸透することは既知であり、そこで、特に結合組織内及び血管に悪影響を与える。特に、それは「日光皮膚症(helioderma)」と称される現象、すなわち、皮膚の早期光線性老化の原因である。
【0005】
更に、UVBは皮膚がんの主な原因であるが、UVAもこのタイプの損傷に間接的に寄与している。実際に、UVA及びUVBは、フリーラジカル、特にROS(反応性酸素種)の産生をもたらす。これらは、ナノ秒からミリ秒程度の非常に短い半減期を有する非常に不安定な分子である。ROSは、細胞内構造(DNA、膜、細胞内タンパク質等)並びに細胞外構造(細胞外マトリックスの構成要素、例えばコラーゲン線維等)にダメージを与える場合がある。ROSはまた、膜脂質の酸化をもたらすことによって有害な作用を間接的に及ぼし、それが組織及び細胞損傷を増幅する一因となる反応性カルボニル種の形成を誘発する。
【0006】
したがって、個人差、例えば、皮膚のタイプ(フォトタイプ)及び日光曝露時間を考慮して、UV照射、特に、UVA及びUVBの悪影響を阻止することが必要とされている。この理由のため、UV照射に曝される領域の光保護を確実にするための日焼け防止組成物が開発されている。これらの組成物は、ローション剤、油剤、水中油若しくは油中水タイプの乳剤、フォーム剤、ゲル剤、スティック剤又はスプレー剤の形態である。それらは、化粧品的に許容される支持体及び1つ又は複数の化学系遮蔽剤又は鉱物系遮蔽物質をさまざまな濃度で含んでいる。
【0007】
酸化亜鉛及び二酸化チタンを含む鉱物系日焼け止めは、太陽光を反射することによってUV光線からの保護を行う。したがって、それらは、皮膚表面上に位置する鏡のように作用する。少なくともマイクロメトリック(micrometric)製剤における鉱物系遮蔽物質は、ヒトでの使用に関しては安全であり、健康上のリスクは有していない。
【0008】
しかし、それらは欠点を有する:
- 鉱物系遮蔽物質は、皮膚を乾燥させ、塗り広げるのが困難な傾向があり、皮膚に白色のすじが残り、それが非常に不快な場合がある;
- 鉱物系遮蔽物質ベースの組成物、特にシリコーン不含組成物のガレニック(galenic)評価では、不十分であることが多い。
【0009】
化学系遮蔽剤は、光を吸収する有機系化合物であり、皮膚上に遮蔽剤層を作成し、それがUV光線を中和する。したがって、太陽光遮蔽剤分子がUV照射を受けた場合、照射エネルギーを吸収することによって励起状態になり、次いでその安定状態に戻る。この機序によって、光照射は熱に変換され消失する。したがって、化学系遮蔽剤は、皮膚の天然の光保護色素であるメラニンと同じ方法で作用する。大部分の化学又は有機系遮蔽剤は親油性であり、したがって、高耐水性組成物における使用に好適である。ガレニックの観点から、有機系遮蔽剤ベースの組成物は、鉱物系遮蔽物質ベースの組成物よりも一般的に高く評価されており、したがって、使用者によるコンプライアンスを改善することを可能にする。
【0010】
ヨーロッパでは、規制によって認可された全ての有機系遮蔽剤又は鉱物系遮蔽物質はリスト(European Cosmetic Products DirectiveのAnnex VI)に含まれている。現在のところ、これはそのINCI指定名によっておよそ30種類の化合物を含むリストであり、化粧品産業では太陽光保護製品を製剤化するために、それを基にしなければならない。しかし、このリストは静的なものではなく、科学的研究の結果に基づいて常に進化している。実際、いくつかの研究が、このリスト上の有機系遮蔽剤のうちのいくつかは特に内分泌攪乱物質として作用する疑いがあるため、ヒトの健康及び環境にリスクをもたらす可能性があることを実証している。
【0011】
特に、科学的結果によって、ベンゾフェノン-4又は更にベンゾフェノン-3(Kinnbergら、2015年;Zucchiら、2011年)、オクチルメトキシシンナメート(Szwarcfarbら、2008年、Axelstadら、2011年)、3-メチルベンジリデンカンファー及び4-メチルベンジリデンカンファー(Schlumpfら、2008年;Petersenら、2007年)、オクトクリレン、イソアミルメトキシシンナメート、或いはオクチルジメチルPABA(Schlumpfら、2001年;Rehfeldら、2016年;Ozaezら、2016年)の安全性に対する疑いが投じられている。
【0012】
ヒトに対する可能性のある影響と同時に、これらの分子の自然環境に対する効果を見逃すことはできず;実際、遮蔽剤は水浴び場又は廃水において連続的に分散されている。この水質汚染はUV遮蔽剤と関連し、食物連鎖全体にわたって必然的に影響を及ぼし、ヒトの活動によってすでに損なわれた生態系のバランスに予測不可能な結果を伴い;生態毒性の影響の他の例のうち、太陽光遮蔽剤はマリンリーフ(marine reefs)に負の影響を有することになり、特にサンゴ白化現象の原因となるであろう(Danovaroら、2008年)。
【0013】
ヒトでの使用及び環境に関して安全と考えられる有機系太陽光遮蔽剤の数が減少することによって、化粧用日焼け止め製品、特に高い保護係数を有する、すなわち、20を超えるか又は更に30を超えるSPF(「太陽光保護指数」)を有する日焼け止め製品の製剤化が次第に複雑になっている。カナダ及びアメリカの市場用に生産される製品の場合、高い太陽光保護を有する製品の製剤化は特に困難であり、そこでは、20年間ヨーロッパで使用されている最新世代の遮蔽剤の一部のみが認可されている。
【0014】
使用可能な太陽光遮蔽剤の数の減少を補うために太陽光保護剤が化粧料として製剤化されることが多い。これらの太陽光保護剤は、認可された太陽光遮蔽剤、又はプラスチック誘導体に近い分子である場合があり、したがって、有機系太陽光遮蔽剤と同じ欠点に苦しめられることがあり;特に、それらの生態毒性は重大であり得る。
【0015】
保護剤の興味深いファミリーは、マイコスポリン様アミノ酸(又はMAA)によって代表される。MAAは、シクロヘキセノン又はシクロヘキセニミン発色団を含む小複素環式分子(<400Da)である。
【0016】
MAAは、海洋生物、例えば、サンゴ、藻類及びシアノバクテリアにおいて二次代謝物として自然界で見出されており、したがって、環境に適し、水界生態系を尊重することが期待される。
【0017】
特に、文献EP2855441では、以下の一般的なIE式を有するMAAタイプの化合物のファミリーが開示されている:
【0018】
【化1】
【0019】
その文献では、IE分子ファミリーからのこれらの化合物が紫外線照射を吸収し、抗UV薬剤として使用することができることを明記している。2.4及び4.5の太陽光保護指数をそれぞれ有する式IA1及びIE4の化合物が例として与えられている。
【0020】
したがって、IE分子ファミリーのMAAはUV照射を吸収するが、その太陽光保護指数は日焼け防止化粧用組成物に使用するには不十分である。
【0021】
環境に適合する太陽光対策製品(solar products)を製剤化するための良好な候補物質が考えられるが、太陽光対策製品においてその使用を可能にするためには、MAAの抗UV潜在力を改善するために解決策を見出すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】EP2855441
【特許文献2】WO2013/181741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明は、MMAを含み、そのSPFが太陽光対策の局所適用(topical solar application)に適合する環境生物学的(ecobiological)組成物を提案することによって、最新技術の欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本出願人は、非常に驚くことに、MMAと、少なくとも2つの有機系UVB遮蔽剤及び/又は広域スペクトル遮蔽剤とを、少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤の存在下で組み合わせると、MAA及び有機系遮蔽剤の個別のSPFの合計を超える値を有するSPFを得ることが可能になることを観察した。
【0025】
したがって、この組合せは、比較的低レベルの有機系遮蔽剤を用いて高度の太陽光保護効果を有する組成物における実施に適している。
【0026】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、組成物、特に化粧用又は皮膚科学的組成物であって:
- 「MAA」と称されるマイコスポリンの少なくとも1つのアミノ酸類似体;
- 少なくとも2つの有機系UVB遮蔽剤及び/又は少なくとも2つの広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む組成物に関する。
【0027】
別の態様によれば、本発明は、組成物、特に化粧用又は皮膚科学的組成物であって:
- 式IAの分子A又はその許容される塩のうちの1つからなる群、及び/又は式IBの分子B又はその許容される塩のうちの1つからなる群から選択される、「MAA」と称されるマイコスポリンの少なくとも1つのアミノ酸類似体であって、前記式IAが:
【0028】
式IA:
【0029】
【化2】
【0030】
式IB:
【0031】
【化3】
【0032】
(式中:
R1は、水素;アルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテロサイクル;シクロアルキル;アルコキシ;アルカノイル;ヒドロキシル;スルホ基;ハロゲン基;ホスホノ基;エステル基;カルボン酸基;フェニル基;アミノ基;アルキル化脂肪酸鎖又はポリエーテルであり;
R2は、アルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテロサイクル;シクロアルキル;アルコキシ;アルカノイル;スルホ基;ホスホノ基;エステル基;カルボン酸基;ヒドロキシル;又はフェニル基である)であるアミノ酸類似体を含み;
- 有機系UVB遮蔽剤及び/又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される少なくとも2つの有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を更に含む前記組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は環境生物学的なものである。「環境生物学的組成物」という用語は、人間、世界と人間の相互作用、及び地球を尊重することを意味すると理解される。
【0034】
本発明によるMAAは、当業者であれば既知であり、例えば、それを取得し精製するための方法が詳述されている特許出願WO2013/181741に開示されている。
【0035】
特定の実施形態によれば、R1は、[CH3]-[CH2]n-O-(式中、「n」は0から10の間である)タイプのアルコキシ基である。好ましい実施形態によれば、「n」=0又は「n」=8である。
【0036】
本発明の特定の実施形態によれば、R2は、[COOH]-[CH2]n-(式中、「n」は、0から5の間であるか、又は好ましくは「n」=1又は「n」=0である)のタイプのカルボン酸基である。
【0037】
本発明の代替の実施形態によれば、R2は、[CH3]-[CH2]n-[COOH]-(式中、「n」は、0から5の間であるか、又は好ましくは「n」=1又は「n」=2である)のタイプのエステル基である。
【0038】
別の特定の実施形態によれば、R1は、[CH3]-[CH2]n-O-(式中、「n」=0である)タイプのアルコキシ基であり、;R2は、[CH3]-[CH2]n-[COOH]-(式中、「n」=1若しくは「n」=2である)タイプのエステル基であるか、又はR2は、[COOH]-[CH2]n-(式中、「n」が0から5の間であるか、若しくは好ましくは「n」=1又は「n」=0である)タイプのカルボン酸基である。
【0039】
したがって、特定の実施形態によれば、式IAによるMAAは、以下の式IIA1の分子に対応する:
【0040】
式IIA1:
【0041】
【化4】
【0042】
この式IIA1:[N-[(3E)-3-[(4-メトキシフェニル)イミノ]-5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル]-グリシン、CAS番号1509902-01-5に対応する]の分子は、ELKIMIA Inc.社よりINCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシンで販売されている。
【0043】
別の実施形態において、式IAによるMAAは、以下の式IIA2の分子に対応する。
【0044】
式IIA2:
【0045】
【化5】
【0046】
この式IIA2:[N-[3-[(4-メトキシフェニル)アミノ]-5,5-ジメチル-2-シクロヘキセン-1-イリデン]-,エチルエステル,[N(E)]-グリシン、CAS番号2640340-86-7に対応する]の分子は、SENSIENT Inc.社から商標名SENSISORB(商標)BIOMIM(INCI:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネート)で入手可能である。
【0047】
好ましい実施形態によれば、式IBによるMAAは、以下の式IIB1の分子に対応する:
【0048】
式IIB1:
【0049】
【化6】
【0050】
この式IIB1[3,5,6,7-テトラヒドロ-6,6-ジメチル-8-[[4-(オクチルオキシ)フェニル]アミノ]-2H-1,4-ベンゾチアジン-3-カルボン酸、CAS番号1629023-01-3に対応する]の分子は、ELKIMIA Inc.社よりINCI指定名:カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸で販売されている。
【0051】
代替の実施形態によれば、式IBによるMAAは、以下の式IIB2の分子に対応する:
【0052】
式IIB2:
【0053】
【化7】
【0054】
この式IIB2[3,5,6,7-テトラヒドロ-8-[(4-メトキシフェニル)アミノ]-6,6-ジメチル-2H-1,4-ベンゾチアジン-3-カルボン酸、CAS番号1629023-04-6に対応する]の分子は、ELKIMIA Inc.社よりINCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸で販売されている。
【0055】
代替の実施形態によれば、式IBによるMAAは、以下の式IIB3の分子に対応する。
【0056】
式IIB3:
【0057】
【化8】
【0058】
このエチルエステル-(3R)-2H-1,4-ベンゾチアジン-3-カルボン酸、3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-8-[(4-メトキシフェニル)イミノ]-6,6-ジメチルの式の分子は、CAS番号2699128-33-9に対応する。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、本発明による組成物は、上記で定義された、特にINCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸及びメトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物から選択される、少なくとも2つのMAAを含む。
【0060】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも3つのMAAを含む。
【0061】
本発明の意味の範囲内において、「許容される塩」という用語は、MAAの任意の薬理学的に又は化粧品的に許容される塩、例えば、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩及び3-ヒドロキシナフトエ酸塩を意味すると理解される。
【0062】
特定の実施形態によれば、MAAは、組成物の総質量に対して0.1質量%から20質量%の間、好ましくは0.5%から10%の間、更により有利には1から2%の間を占める。
【0063】
「有機系太陽光遮蔽剤」という用語は、有機系UVB遮蔽剤、有機系UVA遮蔽剤、及び広域スペクトル有機系遮蔽剤を指す。
【0064】
本発明の意味の範囲内において、「有機系UVB遮蔽剤」という用語は、親水性であろうと親油性であろうと、それが主に又は排他的にUVBを吸収する任意の有機系太陽光遮蔽剤を意味すると理解される。
【0065】
特定の実施形態によれば、有機系UVB遮蔽剤はサリシレートから選択される。更に詳細には、有機系UVB遮蔽剤は、以下のINCI指定名:エチルヘキシルサリシレート及びホモサレート或いはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸又はエチルヘキシルトリアゾンに対応する化合物から選択される。
【0066】
後者の原料は、BASF社より販売されている原材料UVINUL(商標)T150である。
【0067】
その一方、INCI指定名:フェニルベンズイミダゾールスルホン酸に対応する有機系UVB遮蔽剤は、AAKO BV社から名称AakoSun PBSAで入手可能である。INCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応するサリシレートは、SYMRISE社からそれぞれ名称Neo Heliopan(商標)OS及びNeo Heliopan(商標)HMSで入手可能である。
【0068】
本発明の特定の実施形態によれば、前記少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤は、組成物の総質量に対して1質量%から20質量%の間、好ましくは2%から15%の間を占める。
【0069】
本発明の意味の範囲内において、「有機系UVA遮蔽剤」という用語は、親水性であろうと親油性であろうと、それが主に又は排他的にUVAを吸収する任意の有機系太陽光遮蔽剤を意味すると理解される。
【0070】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート二ナトリウム、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する化合物を含む群から選択される少なくとも1つのUVA太陽光遮蔽剤を含む。
【0071】
例えば、本発明によるUVA遮蔽剤は、DSM社より販売されている原材料Parsol1789(登録商標)(INCI:ブチルメトキシジベンゾイルメタン);BASF社より販売されている原材料UVINUL(商標)A+(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート);BASF社より販売されている原材料C1332(商標)[INCI:ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン;CAS番号919803-06-8];又はINCI指定名:フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート二ナトリウムに対応し、SYMRISE社より販売されている原材料Neo Heliopan(商標)APに対応する。
【0072】
特定の実施形態によれば、前記少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤は、組成物の総質量に対して1質量%から10質量%の間、好ましくは2%から7%の間を占める。
【0073】
本発明の意味の範囲内において、「広域スペクトル有機系遮蔽剤」という用語は、親水性であろうと親油性であろうと、それがUVBとUVAの両方を吸収する任意の有機系太陽光遮蔽剤を意味すると理解される。好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、以下のINCI指定名:ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、トリス-ビフェニルトリアジン、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及びドロメトリゾールトリシロキサン、特にビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、トリス-ビフェニルトリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールに対応する化合物を含む群から選択される少なくとも1つの広域スペクトル太陽光遮蔽剤を含む。
【0074】
これらの太陽光遮蔽剤は、以下の供給業者:
- PARSOL(商標)Shield、SYMRISE社より販売され、INCI指定名:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応するもの;
- UVASORB(商標)HEB、SIGMA 3V社より販売され、INCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンに対応するもの;
- TINOSORB(商標)A2B、BASF社より販売され、INCI指定名:トリス-ビフェニルトリアジンに対応するもの;
- TRIASORB(商標)、PLANTES & INDUSTRIE社より販売され、INCI指定名:フェニレンビス-ジフェニルトリアジン(CAS番号55514-22-2)に対応するもの;
- MEXORYL(商標)XL、INCI指定名:ドロメトリゾールトリシロキサンに対応するもの;
- TINOSORB(商標)M、BASF社より販売され、INCI指定名:メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールに対応するもの
から入手可能である。
【0075】
特定の実施形態によれば、前記少なくとも1つの広域スペクトル有機系遮蔽剤は、組成物の総質量に対して1質量%から15質量%の間、好ましくは2%から10%の間を占める。
【0076】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義された少なくとも1つのMAA、
- 少なくとも2つの有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0077】
代替の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも2つの広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0078】
代替の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも1つの広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0079】
更に別の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも2つの広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0080】
更に別の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも2つの有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも1つの広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0081】
別の態様によれば、本発明による組成物は:
- 特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義された少なくとも1つのMAA;
- 以下のINCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応する少なくとも2つのUVB遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタンに対応する少なくとも有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0082】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、MAA及び有機系太陽光遮蔽剤として:
- INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物、有利には、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシンからなる群から選択される1つのMAA;
- 以下のINCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応する2つのUVB遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタンに対応する有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0083】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、MAA及び有機系太陽光遮蔽剤として:
- INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物、有利には、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン及びメトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸及びメトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートからなる群から選択される2つのMAA;
- 以下のINCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応する2つのUVB遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタンに対応する有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0084】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義された少なくとも1つのMAA;
- 以下のINCI指定名:オクチルサリシレート及びホモサレートに対応する少なくとも2つのUVB遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する少なくとも有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0085】
異なる実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する少なくとも2つの広域スペクトル遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビス-(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾイル)ピペラジン、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート二ナトリウム、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、有利にはブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する化合物を含む群から選択される少なくとも1つのUVA太陽光遮蔽剤
を含む。
【0086】
異なる実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する少なくとも2つの広域スペクトル遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する少なくとも1つのUVA太陽光遮蔽剤
を含む。
【0087】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、MAA及び有機系太陽光遮蔽剤として:
- 特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物、有利にはメトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシンからなる群から選択される、上記で定義された1つのMAA;
- 以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する2つの広域スペクトル遮蔽剤;
- 以下のINCI指定名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応するUVA太陽光遮蔽剤
を含む。
【0088】
代替の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する広域スペクトル遮蔽剤;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:エチルヘキシルトリアゾンに対応する有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ブチルメトキシジベンゾイルメタンに対応する有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0089】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は:
- 少なくとも1つの、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択される、上記で定義されたMAA;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに対応する広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:エチルヘキシルトリアゾンに対応する有機系UVB遮蔽剤;
- 少なくとも、以下のINCI指定名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートに対応する有機系UVA遮蔽剤
を含む。
【0090】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1つの、或いはいくつかの、以下のINCI指定名:4-メチルベンジリデンカンファー、3-メチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、オクトクリレン、オクチルジメチルPABAに対応する太陽光遮蔽剤は含んでいない。
【0091】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの太陽光遮蔽剤可溶化剤も含む。本発明の目的のためには、「可溶化剤」という用語は、効果的且つ持続可能な様式で、すなわち、その可溶化された形態に安定化させることによって、トリアジン由来の少なくとも1つの太陽光遮蔽剤を可溶化、分散及び/又は溶解し、同時に製品の使用期間全体にわたって製剤中のその再結晶化又は沈殿を予防するか又は減少させるのを可能にする化合物を意味すると理解される。
【0092】
したがって、本発明による組成物は、以下のINCI指定名:カプリル酸/カプリン酸カプリリル、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル、ジカプリリルエーテル、ココカプリレート、安息香酸C12~15アルキル、カプリル酸プロピルヘプチル、ブチレングリコールジカプリル酸/ジカプリン酸、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、トリヘプタノイン、乳酸C12~13アルキル、安息香酸エチルヘキシル、乳酸C12~C15アルキル、酒石酸C12~13アルキル、サリチル酸トリデシル、乳酸ラウリル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、ジカプリル酸プロパンジオール、プロピレングリコールジカプリル酸/ジカプリン酸、イソプロピルラウロイルサルコシネート、プロピレングリコールベンゾエート、ヒドロキシルジメトキシベンジルマロネート、カプリル酸フェノキシエチル、サリチル酸イソデシル、ジメチルカプラミド及び安息香酸フェネチルに対応する化合物を含む群から選択される少なくとも1つの可溶化剤、特に、以下の群:カプリル酸/カプリン酸カプリリル、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル、ジカプリリルエーテル、ココカプリレート、安息香酸C12~15アルキル、カプリル酸プロピルヘプチル、ブチレングリコールジカプリル酸/ジカプリン酸から選択される少なくとも2つの可溶化剤、を更に含む。
【0093】
本発明による組成物において使用することができる可溶化剤は、いくつかの供給業者から市場で入手可能である。例として、以下:
- BASF社より販売されているCETIOL(商標)系列からのいくつかの原材料、特に、以下のINCI指定名:カプリル酸/カプリン酸カプリリル、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、ジカプリリルエーテル、ココカプリレート、安息香酸C12~15アルキル、カプリル酸プロピルヘプチルにそれぞれ対応するCETIOL(商標)RLF、CETIOL(商標)B、CETIOL(商標)CC、CETIOL(商標)O、CETIOL(商標)C5、CETIOL(商標)AB、CETIOL(商標)SENSOFT;
- DUB(商標)DIS、DEA、DIBA、ZENOAT、STEARINE DUBOIS社より販売されており、それぞれ以下のINCI指定名:セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル及びカプリル酸プロパンジオールに対応するもの;
- MIGLYOL(商標)8810及びMIGLYOL(商標)T-C7、IOI Oleo GmbH社により販売されており、それぞれ以下のINCI指定名:ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート及びトリヘプタノインに対応するもの;
- Lexsolv(商標)A、INOLEX社より販売されており、以下のINCI指定名:ジプロピレングリコールベンゾエート及びネオペンチルグリコールジヘプタノエートに対応するもの;
- COSMACOL(商標)ELI、ETI、ESI及びLL、SASOL社より販売されており、それぞれ以下のINCI指定名:乳酸C12~13アルキル、酒石酸C12~13アルキル、サリチル酸トリデシル及び乳酸ラウリルに対応するもの;
- Ceraphyl(商標)41エステル、ASHLAND社より販売されており、以下のINCI指定名:乳酸C12~C15アルキルに対応するもの;
- Finsolv(商標)EB及びPG22、INNOSPEC社より販売されており、それぞれ以下のINCI指定名:安息香酸エチルヘキシル及びジプロピレングリコールベンゾエートに対応するもの;
- CRODAMOL(商標)DA、DOA、OSU及びPC、CRODA社より販売されており、それぞれ以下のINCI指定名:アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル及びプロピレングリコールジカプリル酸/ジカプリン酸に対応するもの;
- ELDEW(商標)SL-205、AJINOMOTO社より販売されており、以下のINCI指定名:イソプロピルラウロイルサルコシネートに対応するもの;
- Lexfeel(商標)Shine、INOLEX社より販売されており、INCI指定名:プロピレングリコールベンゾエートに対応するもの;
- TEGOSOFT(商標)XC、EVONIK社より販売されており、以下のINCI指定名:カプリル酸フェノキシエチルに対応するもの;
- RONACARE(商標)AP、MERCK KGaAより販売されており、以下のINCI指定名:ヒドロキシルジメトキシベンジルマロネートに対応するもの;
- DERMOL(商標)IDSA、Alzo INTL社より販売されており、以下のINCI指定名:サリチル酸イソデシルに対応するもの;
- Spectrasolv(商標)DMDA、Hallstar社より販売されており、以下のINCI指定名:ジメチルカプラミドに対応するもの;
- X-TEND(商標)226、Ashland社より販売されており、以下のINCI指定名:安息香酸フェネチルに対応するもの
の原材料を本発明による組成物において使用してもよい。
【0094】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、以下のINCI指定名:カプリル酸/カプリン酸カプリリル、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル、ジカプリリルエーテル、ココカプリレート、安息香酸C12~15アルキル、カプリル酸プロピルヘプチル、ブチレングリコールジカプリル酸/ジカプリン酸に対応する化合物を含む群から選択される、少なくとも3つの可溶化剤を含む。
【0095】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも、以下のINCI指定名:アジピン酸ジブチル、カルボン酸ジカプリリル及びセバシン酸ジイソプロピルに対応する可溶化剤を含む。
【0096】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも、以下のINCI指定名:アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル及びカプリル酸プロピルヘプチルに対応する可溶化剤を含む。
【0097】
特定の実施形態によれば、可溶化剤は、組成物の総質量に対して5質量%から80質量%の間、有利には10%から70%の間、好ましくは15%から60%の間を占める。
【0098】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、金属酸化物に対応する鉱物系遮蔽物質(又は無機鉱物系遮蔽剤)、及び/又は水中に難溶性又は不溶性の他の化合物、特に酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化マンガン(例えば、MnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、若しくは酸化セリウム(Ce2O3)、又は三酸化ビスマス(Bi2O3)を含む。
【0099】
無機鉱物系遮蔽剤はまた、親水性、両親媒性又は疎水性の特性を与えるために、表面処置又はカプセル化されていてもよい。この表面処置は、薄い親水性及び/又は疎水性の無機系及び/又は有機系フィルムを有する鉱物系遮蔽剤を提供することからなっていてもよい。
【0100】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、以下のINCI指定名:酸化亜鉛、二酸化チタン及びこれらの混合物に対応する化合物を含む群から選択される少なくとも1つの鉱物系遮蔽物質を含む。
【0101】
例えば、酸化亜鉛は、Z-COTE(登録商標)LSA原材料に対応し、二酸化チタンはBASF社より販売されているT-Lite(登録商標)原材料に対応する。
【0102】
本発明の意味の範囲内で行うことができる、列挙されるUV遮蔽剤のリストは、明らかに例として与えられるがこれらに限定されるものではない。
【0103】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、20に等しいか若しくはそれを超える、有利には30に等しいか若しくはそれを超える、好ましくは40に等しいか若しくはそれを超える、又は更に50に等しいか若しくはそれを超える「SPF」と称される太陽光保護指数を有する。
【0104】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、1/3に等しいか又はそれを超えるUVA/UVB保護比を含む。
【0105】
特に、本発明による組成物は、370nmを超える臨界波長(λc)を有する。当業者であれば既知のin vitro法によって判定されるこの値は、290nmから開始される吸収スペクトル曲線の積分値が290と400nmとの間の積分の90%に達する波長に対応する。
【0106】
本発明による組成物は、SPF「ブースター」、すなわち、太陽光保護指数を増幅する薬剤及び/又は光安定化剤、すなわちSPFを増加させるか又は遮蔽剤を光安定化させることを可能にする成分を更に含んでいてもよく、このような成分はそれ自体は太陽光遮蔽剤として考えられることはない。これらのブースターとしては、例えば:
- ブチルオクチルサリシレート(INCI)、組成物の総質量に対して有利には0.01質量%から10質量%の間、更により有利には0.1%から2%の間を占める光安定化物質。この原材料は、例えば、Hallstar社より名称Hallbrite(商標)BHBで販売されている;
- ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(INCI)、組成物の総質量に対して有利には0.01質量%から10質量%の間、更により有利には0.1%から2%の間を占める光安定化物質。この原材料は、例えば、BASF社より名称TINOGARD(商標)TLで販売されている;
- ポンガモール(INCI)、有利には組成物の総質量に対して0.5から2質量%、更により有利には1%のオーダーを占める植物性分子吸収UVA。例えば、GIVAUDAN社より販売されている原材料のポンガミア抽出物を本発明の文脈において使用してもよい;
- エチルヘキシルメトキシクリレン(INCI)、組成物の総質量に対して有利には1質量%から5質量%の間を占める光安定化物質、可溶化剤及びSPF「ブースター」。Hallstar社より販売されているSolaStay(商標)S1原材料を本発明の文脈において使用してもよい;
- スチレンアクリレートコポリマー(INCI:スチレン/アクリレートコポリマー)、本発明による組成物の総質量に対して好ましくは1質量%から10質量%の間を占めるもの。DOW CHEMICALS社より販売されているSunSpheres(商標)H53及びSunSpheres(商標)PGLポリマー原材料を本発明の文脈において使用してもよい;
- ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート(INCI)、組成物の総質量に対して有利には1質量%から10質量%の間を占めるもの。MERCK社より販売されている原材料OXYNET(商標)STを本発明の文脈において使用してもよい;
- 水分散性ポリエステル、INCI指定名:ポリエステル-5(及び)シリコアルミン酸ナトリウムに対応し、組成物の総質量に対して有利には1質量%から10質量%の間を占めるもの、特にSAFIC-ALCAN社より販売されているEASTMANN AQTM38Sポリマー;
- 示差走査熱量測定法で測定した場合に-5℃から-15℃のガラス転移温度を有するアクリレートコポリマーであって、組成物の総質量に対して有利には1質量%から10質量%の間を占める前記コポリマー。例えば、INCI指定名:アクリレートコポリマーに対応するポリマー、例えば、DOW CHEMICALS社より販売されている原材料EPITEX66を本発明の文脈において使用してもよい。
があり得る。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、DNA保護、UV照射によって誘発された免疫抑制における減少、抗ラジカル作用又はこれらの作用を組み合わせた効果からなり得る作用による内部保護に寄与し得る他の構成要素を更に含む。
【0108】
酸化的ストレスに対する又はフリーラジカルの影響に対する本発明による組成物の保護作用は、当業者によって容易に選択される1つ又は複数の抗酸化物質、例えば、次のリスト:トタロール、マグノロール、ホノキオール、アミノ酸及びそれらの誘導体、ペプチド(D及び/又はL-カルノシン)及びそれらの誘導体(例えば、アンセリン、l-ヒポタウリン、タウリン)、カロテノイド、カロテン(α-カロテン、β-カロテン、リコピン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びそれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノール酸、コレステリル及びグリセリルのエステル)並びにこれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体、スルホキシミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-及びヘプタチオニンスルホキシミン)、キレート化剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、又はリンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、エチレンジアミン5ナトリウムテトラメチレンホスフェート及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体、ビタミンA及びその誘導体(ビタミンAパルミテート)、ベンゾイン樹脂からの安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸及びその誘導体、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(ZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(セレノメチオニン)、スチルベン及びそれらの誘導体(lスチルベン酸化物、トランス-スチルベン酸化物)におけるものを更に含む場合、更に改善される場合がある。
【0109】
特定の実施形態において、本発明による組成物は、鎮静剤(抗炎症剤)として使用され、組成物の総質量に対して0.01質量%から2質量%の間、好ましくは0.1%から1%の間を占めるグリチルレチン酸、この酸の誘導体又は塩を更に含む。
【0110】
本発明の別の好ましい特徴によれば、化粧用及び/又は皮膚科学的組成物は、UVA及び/又はUVB照射をそれぞれ受けた、皮膚、口唇、毛髪及び/又は粘膜の細胞に対してin vivoで生物学的活性を与える少なくとも1つの又は更には全ての以下の構成成分を含む:
- 抗ラジカル剤、細胞構造を保存するもの、例えば、ビタミンE及び/又はその脂溶性又は水溶性誘導体、特にトコトリエノール及び/又はトコフェロール、組成物の総質量に対して有利には0.001から10質量%、更により有利には0.02から2%の間、好ましくは0.04%のオーダーのものを占めるもの;
- 免疫抑制を制限する薬剤、例えば、ビタミンPP、組成物の総質量に対して有利には0.001から1質量%、更により有利には0.01%から0.3%を占めるもの;
- p53タンパク質のための保護剤、例えば、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、組成物の総質量に対して有利には0.001から1質量%、更により有利には0.005%から0.05%を占めるもの。
【0111】
本発明による組成物は、更に大豆植物(soya)及び/又は小麦のペプチド抽出物、例えば、文献EP2059230に記載されているものを更に含んでいてもよい。
【0112】
実際に、大豆(soybean)及び小麦種子に由来するペプチド抽出物は、平均サイズが700ダルトンのペプチドを回収することを可能にするペプチダーゼを使用した前記種子の酵素加水分解の結果得られたものである。好ましくは、小麦ペプチド抽出物がCAS番号70084-87-6で同定される抽出物であるのと同じように、大豆ペプチド抽出物はCAS番号68607-88-5で同定される抽出物である。小麦及び大豆抽出物はそれぞれ以下のINCI指定名:加水分解小麦タンパク質及び加水分解大豆タンパク質に対応し得る。
【0113】
特定の実施形態において、大豆植物及び/又は小麦のペプチド抽出物は、例えば、それぞれ80/20から20/80の間の、有利には70/30から30/70の間の、好ましくは60/40に等しい質量比で一緒に使用される。
【0114】
特定の実施形態において、大豆及び/又は小麦のペプチド抽出物は、合成GHK(グリシル-ヒスチジル-リジン;INCI:トリペプチド-1)トリペプチドを含まない。実際に、大豆植物及び/又は小麦のペプチド抽出物は、組成物の総質量に対して0.01から20質量%、有利には0.1%から10%、更により有利には0.2%から0.7%を占める。
【0115】
代替の実施形態において、本発明による組成物は、文献FR2865398の教示に従って、エクトイン、クレアチン、エルゴチオネイン及び/若しくはカルノシンからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸、又はそれらの生理学的に許容される塩と、マンニトール又はマンニトール誘導体との会合物を含む。
【0116】
好ましくは、本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体中に、アミノ酸又はその塩のうちの1つを、単独で又は混合物として、組成物の総質量に対して0.001質量%から10質量%の間、好ましくは0.01%から5%の間の割合で含む。
【0117】
本発明による組成物は好ましくは、生理学的に許容される媒体中に、マンニトール又はその誘導体のうちの1つを、組成物の総質量に対して0.01質量%から30質量%の間、有利には0.1%から10%の間の割合で含む。
【0118】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、エクトイン及びマンニトールを含む。
【0119】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、1つ又は複数の他の日焼け又は自己日焼け剤を含む。それは、メイラード反応に従って又はマイケル付加によって皮膚のアミノ酸と反応する自己タンナー(tanner)、又はメラニン生成の促進物質若しくは皮膚の自然な日焼けプロセスを促進する色素化促進化合物であってもよい。
【0120】
このような日焼け又は自己日焼け剤は、組成物の総質量に対して好ましくは0.01%から20質量%、有利には0.5質量%から15質量%、更により有利には1質量%から8質量%の範囲の量で組成物中に存在する。
【0121】
自己日焼け物質は、1,3-ジヒドロキシアセトン(DHA)、グリセロールアルデヒド、ヒドロキシメチルグリオキサール、γ-ジアルデヒド、エリスルロース、6-アルド-D-フルクトース、ニンヒドリン、5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ユグロン)、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ラウソン)、又はこれらの組合せであってもよい。
【0122】
色素化促進物質は、メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、α-MSHのペプチド類似体、エンドセリン-1受容体アゴニスト、μ-オピオイド受容体アゴニスト、cAMP刺激物質、又はチロシナーゼ刺激物質であってもよい。
【0123】
特定の実施形態において、本発明による組成物は、ジヒドロキシメチルクロモニルパルミテート及び/又はジメチルメトキシクロマノール、並びにチロシンの親油性形態の組合せを自己タンナーとして更に含む。
【0124】
活性成分のこの組合せは、日焼けを有効に刺激する。ジヒドロキシメチルクロモニルパルミテート(CAS番号:1387636-35-2)は、例えば、MERCK社より名称RonaCare(商標)Bronzylで販売されている化粧料成分に対応する。ジメチルメトキシクロマノール(CAS番号:83923-51-7)は、例えば、LIPOTEC SA社より名称lipochromone-6で販売されている化粧料成分に対応する。
【0125】
特定の実施形態によれば、ジヒドロキシメチルクロモニルパルミテート又はジメチルメトキシクロマノールは、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、有利には0.05質量%から10質量%、更により有利には0.1質量%から5質量%、更に詳細には0.1%から0.5%の量で本発明による組成物中に含まれる。
【0126】
本発明の意味の範囲内において、チロシンの親油性形態は、チロシンよりも顕著な親油性特性を有するチロシンベースの成分である。チロシンの親油性形態は、特に、例えば、SEDERMA社より販売されており、ブチレングリコール中におよそ50質量%のオレオイルチロシンを含む(およそ30質量%+およそ20質量%オレイン酸)液体化粧料成分TYR-OL中に、又はSEDERMA社により販売されており、およそ50質量%のオレオイルチロシン、およそ20質量%のオレイン酸(CAS番号.:112-80-1)及びおよそ30質量%のヘチマ油(スポンジパンプキン(sponge pumpkin)種子油;CAS番号:1242417-48-6)を含む液体化粧料成分TYR-EXCEL中に認められるオレオイルチロシン(CAS番号:147732-57-8)に対応する場合がある。
【0127】
別の実施形態によれば、チロシンの親油性形態は、チロシンが製剤化された植物油に対応する。
【0128】
特定の実施形態によれば、植物油は、特に脱臭されたオレイン酸ヒマワリ油である。したがって、OLEOS社より販売されており、INCI指定名:ヒマワリ(Helianthus annuus)種子油(及び)チロシン(及び)グリセリルステアレートに対応するOLEOACTIVE TYROSINE BASED HELIANTHUS ANNUS原材料を本発明の文脈において使用してもよい。
【0129】
実際に、チロシンの親油性形態、例えば、オレオイル-チロシンベースの化粧料成分中のもの(有利には50質量%のもの)又は植物油中に製剤化されたチロシンは、組成物の総質量に対して0.1質量%から10質量%の間、有利には1質量%から3質量%の間、更により有利には1質量%から1.5質量%の間を占める。
【0130】
本発明による組成物は、脱色素特性を有する活性成分、例えば:
- アゼライン酸リジン、又はアゼライン酸の他の誘導体若しくは塩;
- アンドログラフォリド、特にINCI指定名:センシンレン(Andrographis paniculata)の葉の抽出物に対応するセンシンレン(Andrographis paniculata)の抽出物;
- 天然アスコルビン酸(ビタミンC)又はその誘導体、特にINCI指定名:アスコルビルグルコシド、エチルアスコルビン酸、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、アスコルビルリン酸ナトリウム及びアスコルビルテトライソパルミテート、有利にはアスコルビルグルコシドに対応する誘導体;
- アルブチン又はそれを含む植物抽出物、特に、INCI指定名:クマコケモモ(Arctostaphylos uva-ursi)の葉の抽出物に対応するクマコケモモ抽出物;
- グラブリジン又はそれを含む植物抽出物、特に、INCI指定名:Glycyrrhiza glabraの根の抽出物、チョウカンゾウ(Glycyrrhiza inflata)の根の抽出物、ウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)の根の抽出物に対応するカンゾウ抽出物;
- INCI指定名:ヘキサペプチド2及び/又はノナペプチド-1に対応する生体模倣ペプチド;
- パルマリア・パルマタ(Palmaria palmata)と称される藻の水性抽出物、特にINCI指定名:パルマリア・パルマタ(Palmaria palmata)抽出物に対応する抽出物;
- 4-n-ブチルレゾルシノール;
- ナイアシンアミド又はニコチンアミドとも称されるビタミンPP、及びその誘導体;
- 又はこれらの混合物
を更に含んでいてもよい。
【0131】
本発明による組成物は、治癒特性を有する活性成分、例えば、次のINCI指定名:硫酸銅、硫酸亜鉛、ヒアルロン酸ナトリウム、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)(ブドウ)のつるの抽出物及びこれらの混合物に対応する活性成分から選択される抗菌剤を更に含んでいてもよい。
【0132】
本発明による組成物は、座瘡を処置する太陽光遮蔽剤製品の製剤化を可能にするために、皮脂補正性(sebocorrective)、角質溶解性、皮脂調節特性及び/又は抗座瘡活性を有する活性成分を更に含んでいてもよい。
【0133】
例えば、本発明による組成物は、次のINCI指定名:没食子酸プロピル、没食子酸ドデシル、イチョウ(Ginkgo biloba)の葉の抽出物、バクチオール、ジヒドロミリセチン、グルコン酸亜鉛、サリチル酸及びこれらの混合物に対応する活性成分から選択される抗菌剤を含んでいてもよい。
【0134】
したがって、本発明による組成物は、以下のリスト:
- 可視光、特に青色光を遮蔽することができる薬剤;
- 藻類ラミナリア・オクロレウカ(Laminaria ochroleuca)、ヒメアオノリ(Blidingia minima)又はカラフトコンブ(Laminaria saccharina)の抽出物;
- フユサンショウ(Zanthoxylum alatum)植物の抽出物;
- パンテノール;
- ケードウッド(cade wood)抽出物;
- ボルド抽出物;
- シモツケソウ抽出物;
- クロヨナ(Pongamia glabra)からのカランジャ油の抽出物;
- 直鎖状パラフィン;
- ATP(アデノシン-5トリ-ホスフェート)、Gp4G(ジグアノシン4ホスフェート)又はAp4A(ジアデノシン4ホスフェート)、
- デカルボキシカルノシン、グルタミン及びそれらの塩からなる群から選択されるアミノ酸
から選択される少なくとも1つの成分を更に含んでいてもよい。
【0135】
本発明による組成物は、アジュバント、例えば、化粧品の分野において通常使用されるもの、例えば、保存料、抗酸化物質、錯体化剤、溶媒、香料、フィラー、殺菌物質、電解質、臭気吸収物質、着色材料又は更に脂質小胞を更に含んでいてもよい。これらのアジュバントの選択、並びにそれらの濃度は、本発明の組成物に求められる特性及び利点が改変されるのを予防するように決定しなければならない。
【0136】
本発明の組成物は、局所適用のためのもの、更に詳細には、皮膚、口唇、毛髪及び/又は粘膜に適用するためのものである。したがって、本発明の文脈において、このような組成物は、特に、UV照射に対して皮膚及び/又は外皮、特に粘膜、口唇及び毛髪を保護することを意図する。
【0137】
本発明の組成物は、化粧品及び皮膚科学的分野において通常使用される全てのガレニック形態で、例えば、これらに限定されないが、必要に応じてゲル化された水溶液剤、ローションタイプの分散剤、ほぼ流体のO/W若しくは逆にW/O乳剤、若しくは多重乳剤、例えば三重乳剤(W/O/W又はO/W/O)の形態で、又は更にイオン性(リポソーム)及び/若しくは非イオン性タイプの小胞分散剤、非混和性相が保存中に分離する、乳化剤及びゲル化剤を含まない2相組成物、フォーム剤、スティック剤、無水油剤、スプレー剤若しくはミスト剤の形態で提示してもよい。
【0138】
好ましい実施形態において、本発明による組成物はW/O乳剤である。特定の実施形態において、本発明によるW/O乳剤は、乳化剤としてPEG-30ジポリヒドロキシステアレート(INCI)、又はポリグリセリル-4ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケートを含む。これらの原材料はそれぞれ、CRODA社からCithrol DPHSの商標名で及びEVONIK社から名称Isolan GPSで入手可能である。
【0139】
代替の実施形態において、本発明による組成物は、O/W乳剤である。特定の実施形態において、本発明によるO/W乳剤は、そのINCI指定名で同定される化合物の以下の群:ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、セチルリン酸カリウム、グリセリルステアレート/PEG-100ステアレート及びC20~22アルキルホスフェート/C20~C22アルキルアルコール、トリベヘニンPEG-20エステル、C14~C22アルコール/C12~20アルキルグルコシド、セテアリルアルコール/ココグルコシド、ポリグリセリル-6ステアレート、ポリグリセリル-6ベヘネート及びこれらの混合物から選択される乳化剤を含む。これらの原材料は、いくつかの供給業者から入手可能である。例えば、EMULGIN SG原材料(INCI:ステアロイルグルタミン酸ナトリウム;供給業者:BASF社);EMULIUM 22(INCI:トリベヘニンPEG-20エステル;供給業者GATTEFOSSE社);SENSANOV WR(INCI:C20~22アルキルホスフェート/C20~C22アルキルアルコール;供給業者:SEPPIC社);MONTANOV L(INCI:C14~C22アルコール/C12~20アルキルグルコシド)、AMPHISOL K(INCI:セチルリン酸カリウム;供給業者:DSM社)、MONTANOV 82(INCI:セテアリルアルコール/ココグルコシド;供給業者:SEPPIC社);TEGO(商標)Care PBS 6 MB(INCI:ポリグリセリル-6ステアレート及びポリグリセリル-6ベヘネート;供給業者:EVONIK社)を本発明による組成物中に使用してもよい。
【0140】
別の態様によれば、本発明は、紫外線太陽照射、特に100から400nmの間の波長のもの照射から保護するために使用されることになる上述のような組成物に関する。
【0141】
特定の実施形態によれば、本発明は:
- 上記で定義された少なくとも1つのMAA、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択されるもの;
- 少なくとも1つの有機系UVB遮蔽剤又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む組成物であって;
UV照射から皮膚、粘膜及び/又は外皮を保護するために使用されることになる組成物に関する。
【0142】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、280から400nmの間の、特に300から380nmの間のUV照射の遮蔽剤に使用される。
【0143】
特定の実施形態によれば、本発明は:
- 上記で定義された少なくとも1つのMAA、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択されるもの;
- 有機系UVB遮蔽剤及び/又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される、少なくとも2つの有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む組成物であって、
UV遮蔽剤として、特に280から400nmの間の、特に300から380nmの間の波長スペクトルに対して使用されることになる組成物に関する。
【0144】
特定の実施形態によれば、本発明は:
- 上記で定義された少なくとも1つのMAA、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応するもの、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択されるもの;
- 有機系UVB遮蔽剤及び/又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される、少なくとも2つの有機系遮蔽剤;及び
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
の使用であって;
化粧用組成物を調製するために使用されることになる使用に関する。
【0145】
本発明はまた:
- 上記で定義された少なくとも1つのMAA、特に、INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン、カプリリルオキシフェニルアミノジメチルテトラヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸、メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセニルエチルグリシネートに対応する分子、並びに必要に応じて、CAS番号2699128-33-9に対応する化合物からなる群から選択されるもの;
- 有機系UVB遮蔽剤及び/又はUVBとUVAの両方を吸収する広域スペクトル有機系遮蔽剤から選択される、少なくとも2つの有機系遮蔽剤;
- 少なくとも1つの有機系UVA遮蔽剤
を含む組成物を皮膚及び外皮への適用からなる美容処置方法に関する。
【0146】
本発明を行ってもよい様式及びその結果得られる利点は、例として与えられるがこれらに限定されない以下の例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【実施例
【0147】
本発明の例示的な実施形態
以下の表において、示される百分率は、組成物の総質量に対する製品の質量で与えられる。
【0148】
(実施例I-太陽光乳剤)
【0149】
【表1】
【0150】
(実施例II-太陽光乳剤)
【0151】
【表2A】
【表2B】
【0152】
(実施例III-太陽光乳剤)
【0153】
【表3】
【0154】
(実施例IV-太陽光乳剤)
【0155】
【表4A】
【表4B】
【0156】
(実施例V-本発明による組成物を用いて得られる太陽光保護指数(SPF)の測定)
V-1研究の目的
研究の目的は、本発明による有機系UV遮蔽剤及びMAAが組み込まれた、いわゆる高度な太陽光保護指数(SPF)を有する、すなわち20を超えるSPFを有する組成物を開発することであった。
【0157】
V-2材料及び方法
太陽光保護指数を測定するためのin vitro法を使用した。第1のUV吸収測定は、15μlのグリセリン(白色)で覆われたプレート(成形PMMAプレート又はSB6サンドブラストプレート、Helioscreen社)で行っており、このプレートは支持体による吸収を取り除くものである。
【0158】
式1及び式2に関しては、以下のプロトコールに従って、HD6成形プレートを使用して測定を行う。
【0159】
次いで、研究される製品を採取し、Helioscreen社のHD6成形PMMAプレート(5*5cm)上の16スポットに蒸着させる。秤量量は32.5mgであり、これは、1.3mg/cm2の濃度に対応する。サンプルを、拡散ロボット(HD-SPREADMASTER-Helioscreen社)を使用して均一に拡散させる。次いでプレートを室温で少なくとも15分間暗室中に入れる。プレートを、LabsphereUV 2000 S分光光度計の測定チャンバー中に導入して、290から400nmの間のUV吸収測定を行う。測定は、実際は9回の測定の平均に対応する点に留意するべきである(PMMAプレート上の9点を測定する)。
【0160】
製剤3から製剤7の場合、プロトコールは同一であるが、SB6サンドブラストプレートを使用する。これらのプレートに関しては、秤量量は30mgであり、これは1.2mg/cm2の濃度に対応する。
【0161】
in vitroでのSPFはこれらの条件下では測定することができないため、理論的SPFは個々の遮蔽剤に関して計算する。BASFシミュレーターを使用してこれらを測定する(Herzogら、2003年)。
【0162】
以下の製剤を生成し、試験を行った:
【0163】
【表5A】
【表5B】
【0164】
Table 5(表5):広域スペクトル及びUVA遮蔽剤を含む比較製剤
【0165】
【表6A】
【表6B】
【0166】
Table 6(表6):UVB及びUVA遮蔽剤を含む比較製剤
【0167】
IV-3結果及び考察
異なる層によって与えられるSPF(太陽光保護指数)が測定される:
【0168】
【表7】
【0169】
Table 7(表7):式1及び式2のSPF測定
【0170】
【表8】
【0171】
Table 8(表8):製剤3から製剤7までのSPF測定
【0172】
広域スペクトル遮蔽剤+UVA遮蔽剤に関連する試験の場合、本発明によるMAA(INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン)、UVA遮蔽剤及び広域スペクトル遮蔽剤を含む製剤1(Fla 1)に関して、非常に低いSPFが得られた。
【0173】
第2の広域スペクトル遮蔽剤を添加すると、SPF値5からSPF値21にすることが可能になり、同時に広域スペクトル遮蔽剤に関する理論的期待寄与率は7.5であった。
【0174】
UVB+UVA遮蔽剤に関連する試験に関しては、本発明によるMAA(INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルシクロヘキセングリシン)を含む製剤4中にUVB遮蔽剤を添加すると、SPF値12.5をSPF値24.11にすることが可能になる。別の本発明によるMAA(INCI指定名:メトキシフェニルイミノジメチルヘキサヒドロベンゾチアジンカルボン酸)を含む製剤6中に同じ濃度で同じ遮蔽剤を添加すると、SPF値11.73からSPF値25.93にすることを可能にする。
【0175】
9%ホモサレートUVB遮蔽剤に関する期待理論寄与率は4.6であった。
【0176】
本発明によるMAAの存在のみが異なる試験3と5との間の比較によって、MAAの太陽光保護増幅機能が検証される(SPF18.62→24.11)。
【0177】
最後に、等しい保護指数を有する場合、遮蔽剤と本発明によるMAAとの組合せは、良好な保護指数(SPF>20)によって特徴付けられる製品を得、同時にMAAの太陽光保護増幅作用のために有機系遮蔽剤が製剤に導入されるのを制限することを可能にする。
【0178】
したがって、本発明は、日焼け止め製品に必要とされる有機系遮蔽剤の量及び濃度を減少させ、同時に高度な太陽光保護指数、すなわち20を超えるものを維持することを可能にする。有機系遮蔽剤との組み合わせた、抗UV剤としてのMAAの使用は、環境に適合した解決策であり、環境に対して責任を有し、ヒトに安全なものである。
【0179】
(参考文献)
【国際調査報告】