(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】治療用および非治療用のビームの併用による3D画像化
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578054
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022032235
(87)【国際公開番号】W WO2023278099
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】1240 Deming Way, Madison, WI 53717 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】シュナー エリック
(72)【発明者】
【氏名】マウレール カルバン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハロウェイ リッチ
(72)【発明者】
【氏名】シーア ジェイコブ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック チャールズ ブランドン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC01
4C082AE03
4C082AG24
4C082AJ08
4C082AP07
(57)【要約】
本発明の放射線照射システムは、治療用放射線源から治療用放射線ビームを標的に照射する放射線治療セッションを開始する。続いて、1つまたは複数のX線放射線源から前記標的を通して撮像用放射線ビームを前記1つまたは複数のX線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビーム照射中に前記標的に関連する画像データを取得する。そして、取得された前記画像データを使用して、1つまたは複数の体積画像を構築する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線照射システムであって、
治療用放射線源と、
1つまたは複数のX線放射線源と、
前記治療用放射線源および前記1つまたは複数のX線放射線源を操作可能に接続された処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記治療用放射線源から治療用放射線ビームを標的に照射する放射線治療セッションを開始する処理と、
前記1つまたは複数のX線放射線源から前記標的を通して撮像用放射線ビームを前記1つまたは複数のX線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビームの照射中に前記標的に関連する画像データを取得する処理と、
取得された前記画像データを使用して、1つまたは複数の体積画像を構築する処理と、を実行する、放射線照射システム。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記処理装置は、さらに、
前記治療用放射線源から前記標的を通して第2撮像用放射線ビームを1つまたは複数の第2X線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビームの照射中に前記標的に関連する第2の画像データを取得する、放射線照射システム。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数のX線放射線源のうち1つの撮像用放射線ビームは、前記治療用放射線源からの治療用放射線ビームと同一直線上に照射される、放射線照射システム。
【請求項4】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数のX線放射線源のうちの1つの撮像用放射線ビームは、前記治療用放射線源からの治療用放射線ビームに対してオフセットされている、放射線照射システム。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数のX線放射線源の少なくとも1つは静止している、放射線照射システム。
【請求項6】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記治療用放射線ビームおよび前記撮像用放射線ビームによる照射が同時に実行される、放射線照射システム。
【請求項7】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記治療用放射線ビームおよび前記撮像用放射線ビームの照射が交互に実行される、放射線照射システム。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線照射システムであって、
前記治療用放射線ビームは、前記撮像用放射線ビームの1つまたは複数のパルスの間にアクティブ化され、かつ、前記1つまたは複数の体積画像の構築は、前記1つまたは複数のパルスで取得された画像データに基づいて実行される、放射線照射システム。
【請求項9】
請求項7に記載の放射線照射システムであって、
前記撮像用放射線ビームは、1つまたは複数の連続するアークでアクティブ化され、かつ、前記1つまたは複数の体積画像の構築は、前記1つまたは複数の連続するアークから取得された撮像データに基づいて実行される、放射線照射システム。
【請求項10】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数の体積画像は、完全にサンプリングされていない画像データのセットを使用して構築される、放射線照射システム。
【請求項11】
請求項10に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数の体積画像は、前記画像データに加えて、治療前の画像データ、治療計画時の画像データ、または放射線治療セッション中に取得された以前の画像データの少なくとも1つを使用して構築される、放射線照射システム。
【請求項12】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記1つまたは複数のX線検出器は、前記治療用放射線ビームまたは前記撮像用放射線ビームの一方を選択的に検出するように調整可能である、放射線照射システム。
【請求項13】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記治療用放射線ビームは、前記放射線治療セッション中に前記標的に関連する第2の画像データを取得するために、前記治療用放射線源から前記標的を通してX線検出器に照射され、
かつ、前記1つまたは複数の体積画像は、取得された前記第2の画像データ、および撮像用放射線ビームに基づいて取得される前記画像データの両方を使用して構築される、放射線照射システム。
【請求項14】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記処理装置は、さらに、
マルチリーフコリメータ(MLC)に対して、前記標的に対応するように前記治療用放射線ビームの第1部分を成形する第1開口部と、前記画像データを取得するために前記治療用放射線ビームの第2部分をファンビームに成形する第2開口部とを組み合わせてなる開口部を形成させる、放射線照射システム。
【請求項15】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記処理装置は、さらに、
前記1つまたは複数の体積画像に基づいて、前記標的または前記標的に近接する物体の1つまたは複数に照射される治療用線量を推定する、放射線照射システム。
【請求項16】
請求項1に記載の放射線照射システムであって、
前記処理装置は、さらに、
前記1つまたは複数の体積画像に基づいて、現在の前記放射線治療セッションにおける治療用放射線照射を補正する、放射線照射システム。
【請求項17】
以下のステップa~cを含む方法。
a.治療用放射線源から治療用放射線ビームを標的に照射する放射線治療セッションを開始するステップ、
b.処理装置によって、1つまたは複数のX線放射線源から前記標的を通して撮像用放射線ビームを1つまたは複数のX線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビームの照射中に前記標的に関連する画像データを取得するステップ、
c.取得された前記画像データを使用して、1つまたは複数の体積画像を構築する。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記治療用放射線源から前記標的を通して第2撮像用放射線ビームを1つまたは複数の第2X線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビームの照射中に前記標的に関連する第2の画像データを取得する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のX線放射線源のうち1つの撮像用放射線ビームは、前記治療用放射線源からの治療用放射線ビームと同一直線上に照射される、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のX線放射線源のうちの1つの撮像用放射線ビームは、前記治療用放射線源からの治療用放射線ビームに対してオフセットされている、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のX線放射線源の少なくとも1つは静止している、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、
前記1つまたは複数の体積画像は、完全にサンプリングされていない画像データのセットを使用して構築される、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記1つまたは複数の体積画像は、前記画像データに加えて、治療前の画像データ、治療計画時の画像データ、または放射線治療セッション中に取得された以前の画像データの少なくとも1つを使用して構築される、方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のX線検出器は、前記治療用放射線ビームまたは前記撮像用放射線ビームの一方を選択的に検出するように調整可能である、方法。
【請求項25】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、処理装置によって実行されると、前記処理装置に下記a~cを行わせる命令を格納する、記憶媒体。
a.治療用放射線源から治療用放射線ビームを標的に照射する放射線治療セッションを開始する。
b.1つまたは複数のX線放射線源から前記標的を通して撮像用放射線ビームを前記1つまたは複数のX線検出器に照射させ、かつ、前記治療用放射線ビームの照射中に前記標的に関連する画像データを取得する。
c.取得された前記画像データを使用して、1つまたは複数の体積画像を構築する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2021年6月30日に出願された米国特許出願第17/364,527号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全文は、ここに参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、治療用および非治療用のビームの併用による三次元(3D)画像化に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療に使用される放射線照射システムでは、患者の位置合わせ、動きの追跡、および被験者への投与された線量の検証のために画像が利用されることがある。三次元体積画像は、腫瘍(すなわち放射線治療の標的)と周囲の臓器の相対的な位置を視覚化および追跡するために最も有用である。治療用放射線の照射と同時に取得されたデータから構築された画像は、放射線が照射される瞬間の被写体の様子を最も適切に表示するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明は、後述の詳細な説明(発明の実施形態)および本開示の様々な実施形態を示す添付図面から、より完全に理解することができる。
【0005】
【
図1A】本発明の実施形態によるヘリカル放射線照射システムを示す説明図である。
【0006】
【
図1B】本発明の実施形態に従って使用可能なロボット型放射線照射システムを示す説明図である。
【0007】
【
図1C】本発明の実施形態によるCアームガントリベースの放射線照射システムを示す説明図である。
【0008】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による、治療用放射線ビーム照射中にX線放射線源を用いて画像データを取得する放射線照射システムの一例を示す説明図である。
【0009】
【
図3A】本発明の実施形態による、最初(第1の時間)に治療用放射線ビームを発生させる放射線照射システムの放射線源の一例を示す説明図である。
【0010】
【
図3B】本発明の実施形態による、第2の時間に撮像用放射線ビームを生成する放射線照射システムの放射線源の一例を示す説明図である。
【0011】
【
図4】本発明の実施形態による、標的開口部およびファンビーム開口部を形成するマルチリーフコリメータの一例を示す説明図である。
【0012】
【
図5】本発明の実施形態による、治療用放射線ビーム照射中に取得された画像データを用いて体積画像を構築する方法を示すフロー図である。
【0013】
【
図6】本発明の一部の実施形態に従って、本開示の操作の1つまたは複数を実行し得るコンピューティングデバイスの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示において、治療用放射線ビームの照射中に1つまたは複数の三次元(3D)画像を生成するための実施形態について説明する。
放射線照射システムは、腫瘍などの標的に治療用量の放射線を照射するために治療用放射線ビームを生成する1つまた複数の放射線源を備える。また、この標的に関連する画像データを取得するために使用される1つまたは複数の撮像用放射線ビームを含み得る。
【0015】
従来の放射線照射システムとしては、標的を含む関心体積の三次元体積画像を構築するものがある。この体積画像は、例えば、治療用放射線ビームの照射が開始される前に撮影された一連の二次元(2D)画像を使用して処理装置によって構築される。
本開示において、放射線治療セッションは、患者が放射線治療を開始するために部屋に入る瞬間から、患者が部屋を出る瞬間までの時間として定義することができる。また、治療用放射線ビームの照射は、治療用放射線ビームが最初にオンになる瞬間から、最終的にオフになる瞬間までの時間に行うものとして定義することができる。なお、本発明の実施形態においては、治療用放射線ビームは、治療用放射線ビームの照射時間内にオンおよびオフになることがある。
しかしながら、このような体積画像は、治療用放射線ビームの照射中に取得されなかった2D画像を使用して構築されているため、治療用放射線ビームの照射時点での関心体積を正確に表していない可能性がある。このため、標的の動きを正確に追跡したり、標的および/または患者の臓器等の標的に近接する他の構造体に照射された治療線量を推定したりすることが困難になる可能性がある。
【0016】
本発明の一態様では、治療用放射線ビームの照射中に体積画像を構築することによって、上記の欠点およびその他の不具合を改善することができる。
本発明の一態様において、放射線照射システムの処理装置による処理ロジックは、標的に治療用放射線ビームを照射するために放射線治療セッションを開始することができる。同処理ロジックは、治療用放射線ビームの照射中に、放射線源から撮像用放射線ビームを生成し、かつ、標的を通して1つまたは複数のX線検出器に対して照射させ、標的に関連する画像データを取得することができる。
【0017】
本発明の一態様において、放射線照射システムは、治療用放射線ビームおよび撮像用放射線ビームを生成するために一つの治療用放射線源を利用することができる。撮像用放射線ビームは、放射線照射システムの撮像システムによって撮影された画像データと組み合わせて使用することができる。
本発明の一態様において、1つまたは複数の撮像用放射線ビームのパルスは、1つまたは複数の治療用放射線ビームのパルス間に交互に実行されてもよい。例えば、1つの撮像用ビームのパルスが2つの治療用放射線ビームのパルスの後に発生してもよいし、2つの撮像ビームのパルスが1つの治療用放射線ビームのパルスの後に発生してもよい。
本発明の一態様において、任意の数の治療用放射線ビームのパルスと、任意の数の撮像用放射線ビームのパルスとが交互に発生するように実行されてもよい。一実施形態において、治療用放射線源は、後述の
図4でさらに詳細に説明されるように、治療用放射線ビームと撮像用放射線ビームとを同時に発生させるものであってもよい。
【0018】
本発明の一態様において、放射線照射システムは、複数の放射線源を利用することができる。例えば、放射線照射システムは、治療用放射線源と、1つまたは複数のX線放射線源を含むことができる。一実施形態では、1つまたは複数のX線放射線源は、標的を回転軸とする円弧軌道に沿って治療用放射線源に対してオフセットされてもよい。一部の実施形態では、1つまたは複数のX線放射線源の1つは、治療用放射線源の視点に対応する画像データを提供するために、治療用放射線源と整列して(標的と同一直線上に)配置されてもよい。
【0019】
本発明の一態様による処理ロジックは、治療用放射線ビーム照射中に取得された画像データを利用して、1つまたは複数の体積画像を構築することができる。この体積画像は、標的を含む関心体積に対応し得る。
一部の実施形態において、処理ロジックは、完全にサンプリングされていない画像データのセットを用いて体積画像を構築してもよい。例えば、このような処理ロジックは、画像再構成アルゴリズムを利用して、限定的な弧線の画像データから体積画像を構築してもよい。別の例では、同処理ロジックは、反復再構成アルゴリズムを実行して、連続した弧線でない可能性のある、サンプリング不足の画像データの集合から最も可能性の高い体積画像を構築してもよい。
また、一部の実施形態において、処理ロジックは、体積画像を構築するために、治療用放射線ビーム照射中に取得された撮像データに加えて、治療前の画像データ、治療計画時の画像データ、または以前に取得された画像データを利用することができる。同実施形態において、治療前の画像データは、放射線治療セッションの前に取得された画像データだけでなく、放射線治療セッション中に取得され、かつ治療用放射線ビームの照射前に取得された画像データも含み得る。
一部の実施形態では、治療用放射線ビームは、体積画像の構築に使用される画像データを取得するためにも使用することができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、治療用放射線ビームの照射中に取得される画像データから体積画像を構築することにより、改善された放射線照射システムが提供される。実施形態において、体積画像は、標的または標的に近接する物体(例:患者の臓器のような放射線感受性の構造体)に照射される治療用線量をより正確に推定するために使用することができる。一部の実施形態では、体積画像は、標的の動きまたは他の視覚的な変化を補うために治療用放射線の照射を補正(調整)するために使用され得る。これにより、適切な治療用線量が正確に標的に照射されることが保証される。
【0021】
図1Aは、本開示の実施形態に従うヘリカル放射線照射システム800を示す。
ヘリカル放射線照射システム800は、リングガントリ820に取り付けられたLINAC(線形加速器)850を含む。LINAC850は、電子ビームをX線照射標的に向けて誘導することにより、放射線ビーム(すなわち治療ビーム)を生成するために使用され得る。治療ビームは、標的の領域(すなわち腫瘍)に向けて放射線を照射することになる。
治療システムには、さらに、LINAC850の遠位端に接続されたMLC(マルチリーフコリメータ:多段絞り機構)860が含まれている。MLCには、複数の可動式のリーフを収容するハウジングが含まれており、治療ビームの形成を可能にするために、リーフを可動させてMLCの開口部を調整することができる。実施形態において、MLC860は、2つの対向するバンクに配置された複数のリーフを含むバイナリMLCであり、2つの対向するバンクのリーフが互いに挟み込まれ、開閉して開口部を形成することができる。一部の実施形態において、MLC860は電磁気作動型のMLCであってもよく、MLC860は、任意の他のタイプのMLCであってもよい。
リングガントリ820はトロイダル形状をしており、患者830がリング/トロイドのボアを通り抜ける。LINAC850はリングの周囲に取り付けられ、その中心を通る軸を中心に回転し、患者の周りの1つ以上の角度から供給される放射線を標的に照射する。治療中、患者830は治療台840の上でガントリのボアを通って同時に移動することができる。
【0022】
ヘリカル放射線照射システム800は、撮像源としてのLINAC850と、X線検出器870とを備えた撮像システムを含む。LINAC850は、患者830の関心領域(ROI)のメガボルトX線画像(MVCT)を生成するために使用することができる。この場合、ROIに向けて一連のX線ビームを発射し、LINAC850の反対側にあるX線検出器870に入射させることで、患者830を画像化し、セットアップおよび治療前の画像を生成する。
一実施形態では、ヘリカル放射線照射システム800には、kV(キロボルト)撮像源810から構成される2次撮像システムも含まれることがある。このkV撮像源810は、LINAC850に直交して(例えば90度離れた位置に)リングガントリ820に取付けられ、標的領域に向けて撮影用X線ビームを照射し、患者130を通過した後に検出器の撮像面を照らすように配置され得る。
【0023】
図1Bは、本明細書に記載されている代替的な実施形態に応じて使用される放射線治療システム1200を示す。
図1Bに示すように、放射線治療システム1200は、放射線治療源として機能するLINAC(線形加速器)1201と、治療ビームを形成するためにLINAC1201の遠位端に接続されたMLC(マルチリーフコリメータ:多段絞り機構)1205とを含む。
一実施形態では、LINAC1201は、患者の周囲の作業領域で多くの角度や多くの平面からビームを送って病理解剖学的構造(例:標的)を照射するように、複数(例:5以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部に取り付けられて位置決めされる。
治療には、単一のアイソセンターを有するビームパス、複数のアイソセンターを有するビームパス、または非等心的なアプローチを伴うビームパスが関与することがある。
【0024】
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって、治療中に複数の異なるノード(LINAC1201が停止して放射線が照射される事前に定義された位置)に位置決めされることができる。ノードにおいて、LINAC1201は、1つまたは複数の放射線治療ビームを標的に照射することができ、そこでは、放射線ビームの形状は、MLC1205内のリーフの位置によって決定される。ノードは、患者の周囲におおよそ球状に分布するように配置され得る。特定のノード数、および各ノードに適用される治療ビームの数は、治療されるべき病理解剖学的構造の位置およびタイプに応じて異なってもよい。
【0025】
別の実施形態において、ロボットアーム1202、およびその端部におけるLINAC1201は、放射線が照射されている間に、ノード間を連続的に移動することができる。放射線ビームの形状および2次元強度マップは、LINAC1201が連続的に動作する間、MLC1205内のリーフの高速な動きによって決定される。
【0026】
放射線治療システム1200には、撮像システム1210が含まれる。この撮像システム1210は、X線源1203Aおよび1203B(すなわち撮像源)と、固定式X線検出器1204Aおよび1204Bとに接続された処理装置1230を備える。
また、上記に代えて、X線源1203A、1203Bおよび/またはX線検出器1204A、1204Bが移動可能である場合、これらは、標的との位置合わせを維持するために再配置されるか、または標的を異なる方向から撮像するために再配置される。また、多くのX線画像を取得して3次元(3D)コーンビームCT(コーンビーム・コンピュータ断層撮影)を再構築することがある。
一実施形態では、X線源は、点線源ではなく、当業者に理解されるように、むしろX線源アレイである。一実施形態では、LINAC1201は撮像源として機能し、LINACの出力レベルは画像化に適したレベルにまで下げられる。
【0027】
撮像システム1210は、コーンビームCTまたはヘリカルメガボルトコンピュータ断層撮影(MVCT)などのコンピュータ断層撮影(CT)を実行してもよく、撮像システム1210によって生成された画像は2次元(2D)または3次元(3D)であってもよい。2つのX線源1203Aおよび1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けられ、2つの異なる角度位置(例:90度離れている)からX線撮像ビームを投射して、マシンアイソセンタ(本明細書では治療中心と呼ばれ、治療中に患者を治療台1206上に位置付けるための基準点を提供)で交差し、患者を通過した後にそれぞれのX線検出器1204Aおよび1204Bの撮像面を照射できるように位置合わせされ得る。
一実施形態では、撮像システム1210は、標的および周囲の関心体積(VOI)の立体画像を提供する。
他の実施形態では、撮像システム1210は、2つ以上のまたは2つ未満のX線源と、2つ以上のまたは2つ未満の検出器とを含んでもよい。これらの検出器のいずれかは固定式ではなく可動式であってもよい。さらに他の実施形態では、X線源と検出器の位置は入れ替わってもよい。
一実施形態において、撮像システム1210の固定角度から取得された画像データは、計画画像または治療前CT画像などの以前の画像と組み合わせることができる。治療用放射線ビームの照射中に取得された固定角度からの画像データは、以前の画像を治療放射線ビーム照射時の患者を表す体積画像に変形させるために使用されてもよい。
X線検出器1204Aおよび1204Bは、X線を可視光に変換するシンチレーション材料(例:非晶質シリコン)から製造され得る。この場合、当業者によく知られているように、CMOS(補完型金属酸化物シリコン)またはCCD(電荷結合素子)のイメージングセルのアレイが光をデジタル画像に変換する。このデジタル画像は、画像登録プロセス中に基準画像と比較することができ、このプロセスでは、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する。
基準画像は、例えば、デジタルに再構築された放射線写真(DRR)であり得る。これは、三次元(3D)CT画像から作成された仮想X線画像で、CT画像を通してX線画像形成プロセスをシミュレーションすることによって生成される。
【0028】
一実施形態において、IGRT(画像誘導放射線治療)用照射システムとしての放射線治療システム1200は、2次撮像システム1239も含む。2次撮像システム1239は、CBCT(コーンビーム・コンピュータ断層撮影)撮像システムを使用することができる。また、これに代えて他のタイプの体積イメージングシステムを使用することもできる。
2次撮像システム1239は、アームおよびレールシステム(図示せず)に取り付けられた回転式ガントリ1240(例:リング)を含む。このアームおよびレールシステムは、回転式ガントリ1240を1つ以上の軸に沿って(例:治療台1206の頭部から足部まで延びる軸に沿って)移動させる。回転式ガントリ1240には、撮像源1245と検出器1250とが取り付けられている。回転式ガントリ1240は、治療台の頭部から足部まで延びる軸を中心に360度回転することができる。従って、撮像源1245および検出器1250は、多数の異なる角度に配置されることができる。
一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。
一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。この場合、撮像源1245を第1のリングに取り付け、検出器1250を第2のリングに取り付けることができる。
一実施形態では、回転式ガントリ1240は、治療放射線ビームの照射中にロボットアーム1202との衝突を回避するために治療台の足元で静止する。
【0029】
図1Bに示されるように、画像誘導型の放射線治療システム1200は、治療デリバリーワークステーション150(コンピューター制御システム)とさらに関連付けることができる。治療デリバリーワークステーションは、放射線治療システム1200および患者が配置されている治療室とは異なる部屋に、放射線治療システム1200から遠隔に配置されてもよい。
治療デリバリーワークステーション150は、処理装置(処理装置1230または別の処理装置であってもよい。)およびメモリを備えており、これにより、本明細書に記載されるような、1つ以上の画像レジストレーションに従った標的の動きの検出に基づいて患者1225への治療実施を修正することができる。
【0030】
図1Cは、Cアーム型放射線照射システム1400を示す。一実施形態において、Cアーム型放射線照射システム1400は、治療中にLINACのビームエネルギーを調整することができ、LINACをX線撮影と放射線治療の両方に使用することができる。別の実施形態では、Cアーム型放射線照射システム1400には、X線画像を生成するためのオンボードkV撮像システムと、より高エネルギーの治療用放射線ビームを生成するための別個のLINACとが組み込まれる場合がある。
Cアーム型放射線照射システム1400は、Cアーム型ガントリ1410と、LINAC1420と、ビームを形成するためにLINAC1420の遠位端と連結されたMLC1470と、ポータル撮像検出器1450とを含む。Cアーム型ガントリ1410は、選択された投影に対応する角度に回転させることで、治療台1440上の患者1430のVOI(関心体積)のX線画像を取得するために使用することができる。
ポータル撮像システムを含む実施形態では、LINAC1420は、患者1430の標的を通過してポータル撮像検出器1450に入射するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成する。標的のX線画像が生成された後、LINAC1420のビームエネルギーを増大させ、LINAC1420が患者1430の照射対象領域を治療するための放射線ビームを生成することができる。
別の実施形態では、kV撮像システムは、患者1430の標的を通過するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成することができる。いくつかの実施形態では、ポータル撮像システムは、治療のデリバリー(放射線照射)中にポータル画像を取得することができる。ポータル撮像検出器1450は、ビームが患者1430を通過した後に、出口線量を測定することができる。これにより、内部または外部の基準または解剖学的構造(例:腫瘍や骨など)をポータル画像内で局在化することができる。
【0031】
また、本明細書に記載されるkV撮像源またはポータル撮像装置および操作方法は、さらに他のタイプのガントリーベースのシステムと共に使用することができる。一部のガントリーベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンターを通過する軸の周りにkV撮像源およびLINACを回転させる。他の実施形態では、kV撮像源およびLINACは、互いに独立して回転するが、同じ関心体積に対して同時に撮像し、治療用放射線を照射することができる。
ガントリーベースのシステムには、患者の身体がリング/トロイドの内径(ボア)を通って延びる概ねトロイダル形状を有するリングガントリが含まれ、kV撮像源およびLINACはリングの外周に取り付けられ、アイソセンターを通る軸を中心に回転する。
ガントリーベースのシステムは、さらにCアームガントリーを含むことができ、このCアームガントリーでは、kV撮像源およびLINACは、カンチレバー状に取り付けられてアイソセンターを通る軸を中心に回転する。
別の実施形態では、kV撮像源およびLINACは、前述したようにkV撮像源およびLINACが取り付けられるロボットアームベースのシステムで使用することができる。
本開示の態様は、さらに、ガントリーベースのLINACシステム、放射線治療および放射線外科手術に関連する静的撮像システム、統合イメージガイダンスを使用する陽子線治療システム、介入放射線学および術中X線イメージングシステムなど、その他のこのようなシステムでも使用され得る。
【0032】
図2は、本開示の実施形態に従って、治療用放射線ビームの照射中にX線放射線源を使用して画像データを取得する放射線照射システム200の一例を示す説明図である。実施形態において、放射線照射システム200は、
図1A-Cで前述した放射線照射システムのうちの1つに対応し、その構成要素を含み得る。
【0033】
放射線照射システム200には、治療用放射線ビーム210を生成する治療用放射線源202が含まれる。実施形態において、治療用放射線源202は、
図1AのLINAC850、
図1BのLINAC1201、または
図1CのLINAC1420に対応し得る。
放射線照射システム200には、撮像用放射線ビーム212を生成するX線放射線源204も含まれる。実施形態において、X線放射線源204は、
図1AのkV撮像源810、
図1Bの撮像源1203Aもしくは撮像源1203Bのうちの1つ、または
図1Cの放射線照射システム1400の撮像システムに対応し得る。
放射線照射システム200には、さらにX線検出器208aおよびX線検出器208bも含まれる。実施形態において、
図1AのX線検出器870、
図1Bの検出器1204aおよび検出器1204b、または
図1Cの放射線照射システム1400のX線検出器に対応し得る。
【0034】
実施形態において、X線放射線源204は、標的を回転軸として円弧軌道214に沿って治療用放射線源202に対してオフセット216に配置される。円弧軌道214は、治療用放射線ビーム照射中にX線放射線源204および/または治療用放射線源202が標的206に対して旋回する軌道に対応し得る。
一実施形態では、オフセット216は、治療用放射線源202とX線放射線源204との間の角度に対応する。例えば、オフセット216は、治療用放射線源202とX線放射線源204との間の90度の角度に対応し得る。
一部の実施形態では、X線放射線源204は、治療用放射線源202と整列して(標的と同一直線上に)配置される。この場合のオフセット216は、治療用放射線源202に対するX線放射線源204の軸方向のオフセットに対応し得る。このような実施形態において、軸方向のオフセットは0~40センチメートル(cm)である。
【0035】
治療用放射線ビームを照射する間、治療用放射線源202は、標的206に必要な放射線用量を供給するために治療用放射線ビーム210を生成する。実施形態において、標的206は、治療用放射線ビーム210によって治療される腫瘍または他の構造に対応し得る。治療用放射線ビーム210がアクティブである間(例:同時に)、X線放射線源204は、撮像用放射線ビーム212を生成することができ、この撮像用放射線ビーム212は、標的206を通過し、X線検出器208aに入射して、標的206に関連するX線画像データを生成する。
【0036】
一部の実施形態では、X線放射線源204は、コリメータ218を含むことができる。このコリメータ218は、標的206の形状または標的206に関連する関心体積の形状に相関するように撮像用放射線ビーム212を成形するために使用される。
コリメータ218を用いて撮像用放射線ビーム212を成形することにより、画像データの品質を向上させ、患者に提供される撮像線量を低減させることができる。一部の実施形態では、コリメータ218は、前述したように、MLCであってもよい。一実施形態では、コリメータ218はアイリス(虹彩)コリメータであってもよい。実施形態において、コリメータ218は、撮像用放射線ビーム212を形状付けるために使用可能な任意のタイプのコリメータに対応し得る。
【0037】
実施形態において、治療用放射線ビーム210は、撮像用放射線ビーム212に加えて、画像データを取得するために使用されてもよい。このような実施形態では、第2の検出器(例:X線検出器208b)が、治療用放射線源202に対して標的206の反対側に配置され得る。治療用放射線ビーム210は、標的206を通過し、X線検出器208bに入射して、標的206に関連する追加のX線画像データを生成することができる。
【0038】
放射線照射システム200は、単一の治療用放射線源と、単一のX線放射線源とを有するように示されるが、本開示の実施形態は、複数のX線放射線源および/または治療用放射線源を採用し得ることに留意すべきである。例えば、放射線照射システムは、単一の治療用放射線源と、円弧軌道214に沿った様々な位置に配置された複数のX線放射線源とを含むようにしてもよい。
【0039】
図3Aは、本開示の実施形態に従って、放射線照射システム300の放射線源が治療用放射線ビームを生成する最初(第1の)の時間の一例を示す説明図である。
放射線照射システム300は、前述の
図1A~
図2で説明した放射線照射システムと類似の構成要素を含み得る。放射線照射システム300は、治療用放射線ビーム304および撮像用放射線ビーム(図示省略)の両方を生成するために放射線源302を使用することができる。
撮像用放射線ビームは、後述の
図3Bで説明するように、1つ以上のX線放射線源(図示省略)を用いて取得される画像データと共に使用される画像データを取得するために使用することができる。
一実施形態では、放射線源302は、放射線治療の照射中に、治療用放射線ビーム304の1つ以上のパルスと、撮像用放射線ビームの1つ以上のパルスとを交互に行ってもよい。他の実施形態では、放射線源302は、後述の
図4で説明するように、治療用放射線ビーム304と撮像用放射線ビームとを同時に生成してもよい。
【0040】
実施形態において、放射線照射システム300は、チューナブルX線検出器308を含むことができる。チューナブルX線検出器308は、特定のエネルギーレベルの範囲内の放射線ビームを検出するように選択的に調整され得る。例えば、治療用放射線ビーム304がメガ電子ボルト(MeV)放射線ビームであり、撮像用放射線ビームがキロ電子ボルト(KeV)放射線ビームである場合、チューナブルX線検出器308は、エネルギーレベルのKeV範囲内の放射線ビームを検出するように選択的に調整されることがある。
【0041】
図3Aに示すように、放射線源302は、最初(第1)の時間(T1)で1つ以上の治療用放射線ビーム304パルスを生成し、標的306に治療用量の放射線を供給する。一部の実施形態では、治療用放射線ビーム304は、前述の
図2で説明したように、画像データを生成するために使用され得る。このような実施形態では、チューナブルX線検出器308は、治療用放射線ビーム304がチューナブルX線検出器308に入射したときに画像データを生成するために、治療用放射線ビーム304のエネルギーレベルに対応する放射線ビームを検出するようにチューニングされ得る。例えば、チューナブルX線検出器308は、MeVの放射線ビームを検出するように調整されてもよい。
【0042】
図3Bは、本開示の実施形態に従って、第2の時間に撮像用放射線ビームを生成する放射線照射システム350の放射線源の一例を示す説明図である。
放射線照射システム350は、前述の
図1A~
図3Aで説明した放射線照射システムと同様の構成要素を含み得る。放射線照射システム350は、前述の
図2で説明したように、撮像用放射線ビーム212を生成するX線放射線源204をさらに含む。この撮像用放射線ビーム212は、標的306を通過し、標的306に関連する画像データを取得するためにX線検出器208aに入射する。
【0043】
図3Bに示すように、放射線源302は、標的306に関連する画像データを取得するために、第2の時間(T2)で1つまたは複数の撮像用放射線ビーム352のパルスを生成する。放射線源302が1つ以上の撮像用放射線ビーム352のパルスを生成している間、チューナブルX線検出器308は、撮像用放射線ビーム352のエネルギーレベルに対応する放射線ビームを検出するように調整され、撮像用放射線ビーム352がチューナブルX線検出器308に入射したときに画像データを生成する。例えば、チューナブルX線検出器308は、kVの放射線ビームを検出するように調整され得る。実施形態において、撮像用放射線ビーム352のパルスは、標的306に関連する画像データを取得するために、1つまたは複数の連続するアークでアクティブ化され得る(弧の軌道を描きながら標的306に照射される)。
【0044】
実施形態において、前述の
図3Aおよび
図3Bで説明したように、治療用放射線ビームのパルスと、撮像用放射線ビームのパルスとを交互に行うプロセスは、治療用放射線ビームの照射中に放射線源302が標的306の周りの円弧軌道354に沿って移動する際に繰り返して実行され得る。
【0045】
図4は、本開示の実施形態に従って、マルチリーフコリメータ400が標的(治療)開口部とファンビーム開口部を形成する一例を示す説明図である。
マルチリーフコリメータ(MLC)400は、治療平面における放射線ビームの動的なソースコリメーションを実現するために使用することができ、ファンビームCT(ファンビーム・コンピュータ断層撮影)を可能にするために、ファンビーム開口部404aおよびファンビーム開口部404bを治療開口部402内またはその隣に配置する。ファンビーム開口部404aおよびファンビーム開口部404bは、データ取得間隔中に標的の治療領域を包含する画像データが得られるようにサイズと位置が調整され得る。
【0046】
実施形態において、MLC400のリーフは、通常閉じられた状態のすべてのリーフがスリット状の開口になることでファンビーム開口部404aおよびファンビーム開口部404bを形成する撮像モードをサポートすることができる。ファンビーム開口部404aおよびファンビーム開口部404bは、標的に関連する画像データを取得するために、放射線ビームをファンビームに成形する狭いコリメーションを介して少量のフルエンスを許容することができる。
一方、治療開口部402は、標的に治療用量の放射線を提供するために放射線ビームを成形することができる。一部の実施形態では、ファンビーム開口部404aおよびファンビーム開口部404bは、ファンビーム画像データが治療領域を横切って長手方向中央に位置するように配置され得る。
MLC400は、
図3Aおよび
図3Bの放射線源302のような治療用放射線源が治療用放射線と撮像用放射線とを同時に生成するために、標的開口部402を治療用放射線のユニオン(結合部)とし、ファンビーム開口部404aおよび404bを撮像用の開口にすることができる。
【0047】
実施形態において、リーフ対の接触面は、閉鎖状態のリーフの漏れを減少させるため、またはスリバー(スリット)が開いたリーフを通過する放射線量を減少させるために、リーフ先端に角度を持たせるか、歯状にすることができる。治療領域の端に近いリーフ窓は、放射線ビームと垂直リーフ面との間に生じる角度により、既に放射線に減衰が生じている可能性がある。したがって、スリバー幅は、治療領域の中心からのオフセットの関数として(相対的な位置に依存して)設定することができる。
【0048】
一部の実施形態では、関心平面の円軌道を取得するために、スライディング撮像アパーチャ(撮像開口部)を使用することができる。この撮像アパーチャは、放射線治療システムの治療台の速度でスライドするが、同治療台とは反対方向にスライドすることができる。取得する画像スライスの間隔は、スキャンの持続時間、治療台の速度、およびアパーチャを先端までリセットするための回復速度に依存し得る。
【0049】
図5は、本開示の実施形態に従って、治療用放射線ビーム照射中に取得された撮像データを用いて体積画像を構築する方法500を示すフロー図である。
方法500は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理デバイス、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)等)、ソフトウェア(例:処理デバイス上で実行/実行される命令)、ファームウェア(例:マイクロコード)、または、それらの組合せから構成され得る処理ロジックによって実行することができる。実施形態において、方法500の様々な部分は、前述の
図1A~
図4で説明したように、放射線照射システムの処理デバイスの処理ロジックによって実行され得る。
【0050】
図5に参照されるように、方法500は、各種の実施形態で使用される例示的な機能を示している。具体的な機能ブロック(“ブロック”)が方法500で開示されるが、これらのブロックは例示である。つまり、実施形態は、方法500に記載されたブロックを様々な他のブロックに置き換え、または各ブロックの変更を行ってもよい。
方法500のブロックは、提示された順序とは異なる順序で実行される場合があり、また、方法500のすべてのブロックが実行されるわけではない。
【0051】
方法500は、ブロック510で開始され、ここでは、処理ロジックは、放射線治療セッションを開始し、治療用放射線源から標的に向けて治療用放射線ビームを照射する。
【0052】
ブロック520では、処理ロジックは、治療用放射線ビームの照射中に、1つまたは複数のX線放射線源から撮像用X線放射線ビームを発射し、標的を通して1つまたは複数のX線検出器に照射して、標的に関連する画像データを取得する。なお、これは、前述の
図2~
図4で説明したとおりである。
【0053】
ブロック530では、処理ロジックは、取得した画像データを使用して、1つまたは複数の体積画像を構築する。一部の実施形態では、処理ロジックは、完全にサンプリングされていない画像データのセットを使用して体積画像を構築してもよい。また、実施形態において、処理ロジックは、治療用放射線ビーム照射中に取得された画像データに加えて、治療前の画像データ、治療計画時の画像データ、以前に取得された画像データを利用して体積画像を構築してもよい。
【0054】
ブロック540では、処理ロジックは、1つまたは複数の体積画像に基づいて治療用放射線の線量を推定する。
実施形態において、処理ロジックは、治療用放射線ビームおよび/または撮像用放射線ビームによって標的に提供される治療線量を推定し得る。例えば、処理ロジックは、患者の腫瘍に提供される治療線量を推定することができる。
一部の実施形態では、処理ロジックは、治療用放射線ビームおよび/または撮像用放射線ビームによって標的に近接する物体に提供される治療用線量を推定し得る。例えば、処理ロジックは、腫瘍に近接する患者の臓器に提供される治療用線量を推定することができる。
【0055】
ブロック550では、処理ロジックは、標的の動きに対応するために、一つまたは複数の体積画像に基づいて放射線治療セッションの治療用放射線の照射を補正(調整)する。
実施形態において、処理ロジックは、標的の動きによる形状および/または位置の変化に対応するように、コリメータの開口部(例えば
図4の標的開口402)またはアパーチャの形状を変更することによって治療用放射線の照射を補正(調整)することができる。
一部の実施形態では、処理ロジックは、治療用放射線ビームおよび/または撮像用放射線ビームが放射線治療セッション中にアクティブである時間を変更することによって放射線治療セッションを修正することができる。
一実施形態では、処理ロジックは、治療用放射線ビームおよび/または撮像用放射線ビームのエネルギーレベルを変更することによって放射線治療セッションを修正することができる。
実施形態において、処理ロジックは、円弧軌道に沿って1つまたは複数の放射線源の位置を標的に対して変更することによって放射線治療セッションを修正してもよい。
一実施形態では、処理ロジックは、例えば、リスクのある臓器が治療用放射線源と標的の間を移動する場合など、リスクのある臓器を避けるために治療用放射線ビームのコリメータアパーチャの形状を変更してもよい。
一部の実施形態において、処理ロジックは、標的の動きに対応するために放射線照射システムに関連する他のパラメータを変更してもよい。
【0056】
図6は、一部の実施形態に従って、本明細書に記載される動作の1つ以上を実行することができる例示的なコンピューティングデバイス600のブロック図である。
コンピューティングデバイス600は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネットにより他のコンピューティングデバイスに接続される場合がある。コンピューティングデバイスは、クライアントサーバネットワーク環境においてはサーバマシンとして、また、ピアツーピアネットワーク環境においてクライアントとして動作することができる。
コンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、ブリッジ、またはそのマシンによって実行されるべき動作を指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行する任意のマシンによって提供されることができる。さらに、単一のコンピューティングデバイスのみが図示されているが、「コンピューティングデバイス」の用語は、本明細書で説明される方法を実行するために命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するコンピューティングデバイスの集合体を含むと解釈される。
【0057】
ここに例示されるコンピューティングデバイス600は、処理装置(例:汎用プロセッサ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)など)602、主記憶装置604(例:同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み取り専用メモリ(ROM))、スタティックメモリ606(例:フラッシュメモリおよびデータ記憶装置618)を含む場合があり、これらはバス630を介して互いに通信する場合がある。
【0058】
処理装置602は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つ以上の汎用処理装置によって提供される場合がある。具体的な例として、処理装置602は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットまたは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサからなる場合がある。処理装置602はまた特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の特定用途向け処理装置を含む場合もある。また、処理装置602は、本開示の1つ以上の態様に従って、本明細書で説明される動作およびステップを実行するために構成される場合がある。
【0059】
コンピューティングデバイス600は、さらにネットワーク620と通信可能なネットワークインターフェース装置608を含むことができる。また、コンピューティングデバイス600は、映像表示装置610(例:液晶表示装置(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力装置612(例:キーボード)、カーソル制御装置614(例:マウス)および音響信号発生装置616(例:スピーカー)を含むことができる。一実施形態では、映像表示装置610、英数字入力装置612およびカーソル制御装置614は、単一のコンポーネントまたは装置(例:液晶タッチパネル)に組み合わされることがある。
【0060】
データ記憶装置618は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(たとえば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)628を含むことができ、ここには、本開示の1つ以上の態様に従って本明細書に記載された動作を実行するためのビーム発生手順625を含む1つ以上の命令集合が格納され得る。
このような命令は、コンピューティングデバイス600によって実行される際に、完全にまたは少なくとも部分的に主記憶装置604および/または処理装置602内に存在することがあり、この場合、主記憶装置604および処理装置602もまたコンピュータ読み取り可能な媒体を構成する。さらに、同命令は、ネットワークインターフェース装置608を介してネットワーク620経由で送信または受信される場合もある。
【0061】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体628は、単一の媒体であることが例示的に示されているが、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、1つ以上の命令集合を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例:集中型または分散型データベースおよび/または関連キャッシュおよびサーバ)を含むとみなす必要がある。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、マシンによる実行のための集合命令を記憶、符号化(エンコード)または転送することが可能な任意の媒体を含み、これによってマシンに本明細書に記載の方法を実行させることができる。したがって、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の用語は、固体メモリ、光学媒体および磁気媒体を含むが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書に記載された方法および装置は、医療診断画像処理および治療に使用することに限定されないことに留意すべきである。代替的な実施形態では、本明細書の方法および装置は、産業用画像処理および材料の非破壊検査など、医療技術分野以外の用途に使用することもできる。そのような用途において、例えば、「治療」は、治療計画システムによって制御される操作の実行を一般的に指すことがあり、その操作にはビーム(例:放射線、音響など)の適用が含まれることがある。また、「標的」は、解剖学的な物体や領域ではなく、非解剖学的な物体または領域を指す場合がある。
【0063】
前述した説明では、本発明の実施形態を理解しやすくするために、特定のシステム、コンポーネント、方法などの具体例を複数示しているが、少なくとも本開示の一部の実施形態は、当業者であればこれらの具体例の説明がなくても本発明を実施しうる。
また、公知のコンポーネントや方法はその詳細が省略されていたり、単純なブロック図の形式で示されることがあるが、これは本発明の理解を容易にするためである。したがって、開示された内容は単に例示であり、一事例は他の例示と異なる場合があっても、本発明の範囲内に含まれる場合がある。
【0064】
本明細書において「一実施形態」または「実施形態」という表現が使用される場合、それらの実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書のいくつかの箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れている場合、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。
【0065】
ここで説明されている方法の操作は特定の順序で示されているが、各方法の操作の順序は変更されることがあり、特定の操作を逆順で行ってもよいし、少なくとも一部の操作を他の操作と同時に行ってもよい。異なる操作の指示または補助的な操作は、断続的または交互に行うことができる。
【0066】
上記の本発明に関する実施形態の説明は、その抽象的な概念説明を含め本発明をこれらに限定するものではない。本明細書において説明された実施形態や具体例は、本発明の説明の目的で記載されるものであり、本件技術分野における当業者が認識する範囲で種々の同等な変更を行うことができる。
ここで使用される「例」または「例示的」の語は、事例または例示として役立つように使用されている。「例」または「例示的」と説明された態様や造形がどのようなものであっても他の態様や造形に対して優れたものとして解釈されるべきではない。「例」または「例示的」という用語の使用は、概念を具体的な形で示すことを意図している。
本明細書において使用される「または」の用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」として解釈されることを意図している。つまり、特に指定されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」という表現は、自然な包括的な並び替えのいずれかを意味する。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、あるいはXがAとBの両方を含む場合、すべての前述の場合において、「X はAまたはBを含む」という条件を満たすものとする。
さらに、本明細書および添付された特許請求の範囲の請求項で使用される冠詞「a」と「an」は、特に指定されていない限り、文脈から単数形であることが明らかでない場合には「1つまたは複数」を意味するものと解釈される。
さらに、明細書において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」のような用語が使用される場合、これらの用語は異なる要素を区別するためのラベルとして使用されるもので、数字の指定に従って必ずしも順序を示すものではない。
【国際調査報告】