(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】多層生体模倣骨軟骨移植片
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20240628BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/04 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/06 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240628BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61F2/28
A61L27/18
A61L27/36 110
A61L27/10
A61L27/44
A61L27/04
A61L27/06
A61L27/16
A61L27/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578056
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022036016
(87)【国際公開番号】W WO2023278875
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521022886
【氏名又は名称】ハイヤレックス オーソペディクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フライマン,ジェームズ,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス,マイケル,イー.
(72)【発明者】
【氏名】サーニー,ミラ
(72)【発明者】
【氏名】ミュング,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB03
4C081BB07
4C081CA02
4C081CA08
4C081CA10
4C081CA18
4C081CA21
4C081CF01
4C081CG02
4C081CG04
4C081CG05
4C081DB03
4C097AA01
4C097BB01
4C097DD01
4C097DD09
4C097EE09
4C097MM04
(57)【要約】
本明細書では、関節部内で損傷した軟骨組織を少なくとも部分的に再形成するのに一般的に有用な、生体模倣骨軟骨移植片(100)が提供される。移植片は、モジュール式の層状構造を有するように構成され、その層状構造は、置き換え対象の解剖学的構造に基づき、各層の物理的特性(例えば、剛性や潤滑性)または寸法を(例えば、適切な材料を使い、その材料の厚さを管理することによって)調整することができる。例えば、層の材料および/または厚さは、軟骨組織(および、任意で、軟骨および軟骨下骨)の物理的特性および/または寸法を近似するように選択することができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体模倣骨軟骨移植片であって、
支持域と、前記移植片の移植時に骨に連結されるように構成されたベース域と、前記支持域と前記ベース域との間に配置された疎水性の中間域とを備え、
前記支持域は、整形外科用関節部内での関節接合のために構成された適合面と、下面と、前記適合面と前記下面との間に延びる第1の厚さと、第1の剛性を有する第1の圧縮率とを備え、
前記中間域は、成形された第1の面と、第2の面と、前記成形された第1の面と前記第2の面との間に延びる第2の厚さとを有し、前記成形された第1の面は、外周と、前記外周内で間隔を空けて配置され、且つ前記支持域の前記下面に連結された外部表面とを含み、前記支持域の前記下面は、形状が前記表面と一致し、前記中間域はさらに、前記第1の剛性より大きい第2の剛性を有する第2の圧縮率を有し、
前記ベース域は、前記中間域の前記第2の面に連結された外側ベース面と、前記骨に連結するように構成された内側ベース面と、前記内側ベース面と前記外側ベース面との間に延びる第3の厚さとを有し、前記第2の剛性より大きい第3の剛性を有する第3の圧縮率とを有する、生体模倣骨軟骨移植片。
【請求項2】
前記支持域は二相ポリマーを含む、請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
前記二相ポリマーは少なくとも10%の水組成を有する、請求項2に記載の移植片。
【請求項4】
前記水組成は少なくとも20%または少なくとも30%である、請求項3に記載の移植片。
【請求項5】
前記二相ポリマーは、前記適合面と前記下面との間に水組成勾配を有し、前記勾配は、前記適合面での水組成と、前記下面での水組成と、前記適合面と前記下面との間に延びるバルク水組成とを備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項6】
前記適合面での前記水組成は前記バルク水組成より大きく、前記バルク水組成は前記下面での前記水組成より大きい、請求項5に記載の移植片。
【請求項7】
前記下面での前記水組成は1%未満である、請求項6に記載の移植片。
【請求項8】
前記バルク水組成は20%~45%の勾配を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項9】
前記適合面での前記水組成は40%~45%であり、前記バルク水組成の勾配は27%~41%である、請求項8に記載の移植片。
【請求項10】
前記適合面は滑らかである、請求項1から9のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項11】
前記下面は滑らかではない、請求項1から10のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項12】
前記支持域はウレタンを含む、請求項1、10、または11のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項13】
前記表面と前記下面との間に形成され、前記表面の少なくとも50%にわたって延在する接触界面を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項14】
前記接触界面は前記表面の少なくとも75%にわたって延在する、請求項13に記載の移植片。
【請求項15】
前記接触界面は前記表面の少なくとも95%にわたって延在する、請求項14に記載の移植片。
【請求項16】
前記中間域、前記支持域、またはその両方は、別々のポリマー網目構造を備える、請求項2から15のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項17】
前記支持域と前記中間域とは、化学的結合または機械的結合を介して一緒に接合される、請求項16に記載の移植片。
【請求項18】
前記支持域と前記中間域とは、共有結合を介して一緒に接合される、請求項17に記載の移植片。
【請求項19】
前記支持域と前記中間域とは、非共有結合を介して一緒に接合される、請求項17に記載の移植片。
【請求項20】
前記支持域と前記中間域とは、重合体のエンタングルメントを介して一緒に接合される、請求項17に記載の移植片。
【請求項21】
前記中間域と前記ベース域とは、分子レベルで絡み合っていない、請求項16から20のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項22】
前記中間域と前記ベース域との間の境界は、前記中間域の材料と前記ベース域の材料との相互嵌合を含む、請求項16から20のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項23】
前記中間域の前記材料はポリマーであり、前記ベース域の前記材料は多孔性金属である、請求項22に記載の移植片。
【請求項24】
前記中間域は接着剤である、または接着剤を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項25】
前記接着剤は注入可能な接着剤である、請求項24に記載の移植片。
【請求項26】
前記接着剤は光硬化性である、請求項24または25のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項27】
前記中間域に少なくとも1つの杭構造を備える、請求項1から26のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項28】
前記少なくとも1つの杭構造は、前記中間域に複数の杭を備える、請求項27に記載の移植片。
【請求項29】
前記少なくとも1つの杭構造は、前記成形された第1の面に配置される、請求項27または28のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項30】
前記少なくとも1つの杭構造は、前記第2の面に配置される、請求項27または28のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項31】
前記支持域、前記中間域、および前記ベース域を通って延びる中心軸を含み、前記支持域、前記中間域、および前記ベース域はそれぞれ軸を有し、前記中心軸に沿って同軸上に整列する、請求項1から30のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項32】
前記第2の厚さは、前記第1の面に沿った第1位置で前記第2の面と前記第1の面との間に延びる第1の高さと、前記第1の面に沿った第2位置で前記第2の面と前記第1の面との間に延びる第2の高さと、によって可変である、請求項31に記載の移植片。
【請求項33】
前記第1の高さは前記外周に沿った位置で最大となり、前記第2の高さは前記表面内の位置で最大となる、請求項32に記載の移植片。
【請求項34】
前記第2の高さは、前記ベース域の前記軸と同軸上に位置合わせされる、請求項33に記載の移植片。
【請求項35】
前記支持域または前記中間域のうちの1つ以上は、凸状、凹状、平凸状、または平凹状である、請求項32から34のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項36】
最大の第2の高さから前記外周に向かって、前記表面に沿って延在するテーパー領域を備える、請求項35に記載の移植片。
【請求項37】
最大の第1の高さは最大の第2の高さより高い、請求項36に記載の移植片。
【請求項38】
前記テーパー領域は凹曲面を形成する、請求項37に記載の移植片。
【請求項39】
最大の第1の高さは最大の第2の高さより低い、請求項38に記載の移植片。
【請求項40】
前記テーパー領域は凸曲面を形成する、請求項39に記載の移植片。
【請求項41】
前記外周は前記中心軸の回りを円周方向に延びる曲線縁を含む、請求項32から40のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項42】
前記表面にわたって放射状に延在する隆起領域を備える、請求項32から41のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項43】
前記下面内に突き出る複数の隆起部を備える、請求項32から42のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項44】
前記表面はそれぞれ異なる曲率半径を有する複数の領域を含む、請求項32から43のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項45】
前記外周に沿った位置にある前記第2の厚さは、0.01mm~10mmの境界高さを有する、請求項32から44のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項46】
前記中間域の厚さの前記境界高さは0.2mm~5mmである、請求項45に記載の移植片。
【請求項47】
前記第1の高さは約1mmである、請求項45または46のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項48】
前記中間域の前記第2の厚さは、前記境界高さが0.1mm未満になるように、前記外周に向かって先細である、請求項47に記載の移植片。
【請求項49】
前記支持域および前記中間域は、前記外側ベース面から前記適合面まで、2mm~10mmの軸方向長さにわたって軸方向に延在する、請求項47または48のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項50】
前記軸方向長さは4mm~4.5mmである、請求項49に記載の移植片。
【請求項51】
前記外周は5mm~15mmの幅を有する領域を取り囲む、請求項1から50のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項52】
前記第2の剛性は50MPa~500MPaである、請求項1から51のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項53】
前記第1の剛性は40MPa~150MPaであり、前記第3の剛性は1.5GPa~11GPaである、請求項52に記載の移植片。
【請求項54】
前記支持域は、前記下面から前記適合面まで延びる、1kPa/mm以上の剛性勾配を有する、請求項1から53のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項55】
前記ベース域は、金属、ポリマー、セラミック、骨、または合成骨のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から54のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項56】
前記金属は、チタン、タンタル、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン合金、ジルコニウム合金、プラズマ溶射されたチタンで被覆された金属、プラズマ溶射されたセラミックで被覆された金属のうちの1つ以上を含み、前記ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリスルホン、またはポリプロピレンのうちの1つ以上を含む、請求項55に記載の移植片。
【請求項57】
前記内側ベース面は、大腿遠位部に連結されるように構成される、請求項1から56のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項58】
前記内側ベース面は、脛骨近位部に連結されるように構成される、請求項1から56のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項59】
前記第1の厚さは1mm~5mmである、請求項1から58のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項60】
前記支持域は水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNを含み、前記ベース域は多孔性金属を含み、前記中間域は、ウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレート、アクリルアミド、およびジメチルアクリルアミドから選択されるモノマーとからなる共重合体を含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項61】
前記支持域は、生理学的負荷のもとで2%から25%の間で変形し、前記負荷を取り除くと前記変形の70%超の回復を繰り返すことができる能力を有する、請求項1から60のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項62】
前記中間域は、生理学的負荷のもとで2%から10%の間で変形し、前記生理学的負荷を取り除くと前記変形の70%以上の回復を繰り返すことができるように構成される、請求項61に記載の移植片。
【請求項63】
前記支持層および前記中間層が連結される場合、前記移植片は、生理学的負荷のもとで5%から20%の間で変形し、80%以上の回復を繰り返すことができる能力を有する、請求項1から62のいずれか一項に記載の移植片。
【請求項64】
前記繰り返すことができる回復は95%以上である、請求項63に記載の移植片。
【請求項65】
骨を含む可動関節内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法であって、前記損傷部は、前記関節接合する面で外部の軟骨組織によって少なくとも部分的に囲まれ、前記外部の軟骨組織の一部は、関節接合のために生来の組織ラインを持つ領域を提供し、
(i)前記損傷部を取り囲む前記軟骨組織の少なくとも一部を除去し、前記外部の軟骨組織領域を通って前記骨の中に延びる、内径を有する前記外部の軟骨組織の穴を残すことにより、前記外部の軟骨組織領域に外科手術部位を準備するステップと、
(ii)支持域と、ベース構成物とを含む生体模倣骨軟骨移植片であって、前記支持域は、下面と、外側表面および外径を有する第1の外周を有する適合面とを有し、前記適合面は、前記外側表面が前記整形外科用関節部の対向面の形状に一致するように、前記可動関節内での関節接合の際に形状を変えるように構成される、生体模倣骨軟骨移植片を提供するステップと、
(iii)前記ベース構成物が前記骨と直接結合するように、前記移植片を前記穴に入れて前記骨に向けて通すステップと、
(iv)前記適合面の前記外側表面が前記外部の軟骨組織の前記生来の組織ラインに対して高さがオフセットされるように、前記移植片を前記骨に固定するステップと、を備える方法。
【請求項66】
前記支持域は二相ポリマーを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記二相ポリマーは少なくとも10%の水組成を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記水組成は少なくとも20%である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記水組成は少なくとも30%である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記二相ポリマーは、前記適合面と前記下面との間に水組成勾配を有する、請求項68または69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記水組成勾配は、前記下面で5%未満の水組成を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記下面での前記水組成は1%未満である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記水組成勾配は、前記適合面で少なくとも40%の水組成を有する、請求項70から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記適合面は滑らかである、請求項65から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記下面は滑らかではない、請求項65から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記支持域はウレタンを含む、請求項65、74、または75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記移植片は平凸状または平凹状である、請求項65から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記ベース構成物は多孔性金属を含む、請求項65から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記外科手術部位は、大腿遠位部、脛骨近位部、または膝蓋骨にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記外科手術部位は、脛骨遠位部、腓骨遠位部、踵骨、または距骨にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記外科手術部位は、脛腓関節にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記外科手術部位は、上腕骨近位部または関節窩にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記外科手術部位は、大腿近位部または骨盤にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記外科手術部位は、上腕骨遠位部、尺骨近位部、または橈骨近位部にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記外科手術部位は、橈骨遠位部、尺骨遠位部、または手根骨にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記外科手術部位は、中足指節関節、足根中足関節、中足間関節、中手骨遠位部、または基節骨にある、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
ステップ(i)は、突きぎり、外科手術用ドリル、バー、リーマー、アライメントガイド、ピン、切歯、カッター、またはワイヤーのうちの少なくとも1つを使用することを含む、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記損傷部は、少なくとも部分的に組織に囲まれる、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
ステップ(iii)の前に、前記穴の深さを確認することをさらに備える、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記深さを確認することは、前記移植片を模倣する試験移植片を前記穴に挿入することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
ステップ(iii)は、前記移植片を脱着可能に保持する移植片挿込装置を使用することを含む、請求項65から90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
ステップ(iv)は、前記移植片を前記穴の中に完全に着座させるためのマレットおよびタンプを使用することを含む、請求項65から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
ステップ(i)は、前記穴の中の前記骨を再形成することを含む、請求項65から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
ステップ(i)~(iv)のうちの1つ以上は関節鏡を通して行われる、請求項65から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記支持域が前記外部の軟骨組織と接するように、前記支持域は、前記第1の外周に沿って前記外部の軟骨組織と横方向に整列する、請求項65から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記外科手術部位を閉じることをさらに備える、請求項65から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
ステップ(i)は、ガイドを経由して前記損傷部にガイドワイヤーまたはピンのうちの1つ、または両方を挿入することと、前記ワイヤーまたはピンにわたってドリル、バー、またはリーマーのうちの少なくとも1つを配置することと、前記ドリル、バー、またはリーマーを使って前記穴を形成することと、を含む、請求項65から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記穴は、前記移植片が固定される際に前記穴に圧入状態となるように、成形される、請求項65から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記適合面は、前記骨に対して遠位の方向に、前記生来の組織ラインからオフセットしている、請求項65から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記適合面は、前記骨に対して近位の方向に、前記生来の組織ラインからオフセットしている、請求項65から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記支持域は、前記適合面と前記下面との間に剛性勾配を備える、請求項65から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記剛性勾配は、前記下面の剛性より小さい前記適合面の剛性を備える、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記支持域は、前記適合面と前記下面との間に設けられた第1のポリマー層であり、前記ベース構成物は、前記骨に直接連結するように構成された多孔質層と、第2のポリマー層とを含み、前記第2のポリマー層は、前記下面と前記第2のポリマー層の成形された面との間の中間界面で、前記第2の層が前記中間界面と前記多孔質層との間に設けられるように、前記第1のポリマー層に連結される、請求項65から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記第1のポリマー層は第1の剛性を有し、前記第2のポリマー層は第2の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性より大きい、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記多孔質層は、前記第2の剛性より大きい第3の剛性を有する、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記第2のポリマー層は、ハードセグメントおよびソフトセグメントを備えるウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレートモノマーとの共重合体を含む、請求項103から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記第1のポリマー接着剤の前記ウレタンジメタクリレートの前記ハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシル)イソシアネート(HMDI)、のうちの1つ以上から形成される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記ウレタンジメタクリレートモノマーの前記ソフトセグメントは、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、のうちの1つ以上から形成される、請求項106または107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第1のポリマー層は、熱可塑性ポリマーからなる第1高分子網目と第2高分子網目とを含む、水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNである、請求項103から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記移植片は、請求項1から64のいずれか一項に記載の移植片である、請求項65から109のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年7月1日に出願された「多層生体模倣骨軟骨移植片およびその使用方法」という名称の米国特許出願番号第17/365,135号の優先権および利益を主張し、その全内容は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くのさまざまな損傷または一定の応力により、関節部の滑走面である関節軟骨組織をすり減らすことがある。特に体重を支える関節での軟骨組織損傷は、多くの場合で自然治癒することができず、痛み、関節機能の喪失、および骨関節炎などの長期的な合併症を伴うことがある。米国では、年間120万人の患者が膝軟骨組織損傷と診断される一方で、膝軟骨組織修復手術を受ける患者は、わずか年間55万人である。それでも、軟骨組織損傷と診断された患者の満足度には大きな隔たりがあり、マイクロフラクチャー手術の30%超が失敗するという、転帰が悪かったり、リハビリテーションが長かったりすることが原因で、彼らは現在の外科的な標準治療を拒否している。さらに、人によっては、骨軟骨の損傷は、自然はもちろん治療的にも、現在の治療パラメータでは元の状態に戻せないと考えられている。修復の質が劣ることは一般的に生じ、硝子軟骨組織の安定した再生という転帰はまれである。従って、軟骨組織損傷修復における満たされていないニーズとしては、関節機能の向上および痛みの減少、治療介入のより高い有効性、体重のかかる日常の活動へのより早い復帰、リハビリテーション時間の短縮、長期的な移植有効性、広範な患者および様々な損傷への適用性、単一の手術による修復、ならびに外科医による効果的な技法の迅速な採用が挙げられる。
【0003】
軟骨組織欠損のいくつかの組織再生技法は、簡易なマイクロフラクチャー法(軟骨組織欠損部を経て軟骨下骨に多数の穴をドリルで開けるもの)から、多段階式の軟骨組織移植手術へと多岐にわたる。再生手法にはいくつかの欠点がある。例えば、それらは、患者が全体重の負荷および活動レベルへ復帰できるようになるまで長い回復期間を要し、結果は年齢や肥満度指数などの個々の患者の要因によって非常に変わりやすく、硝子軟骨組織を再生する能力が劣り、しばしば性状の劣った線維軟骨組織の生成をもたらすため、中高年の患者には一般に不向きである。さらに、再生手法は、再生された軟骨組織の骨との結合や固定を成功させるための実行可能な方法を立証してはいない。軟骨再生および修復、または骨再生および修復において多くの試みが行われてきたが、確かな臨床転帰に関連する骨軟骨複合体には取り組んでいない。しかも、当初は恩恵を得た患者であっても、長期的な実績はしばしばわかりにくい。組織供給の可用性、高い費用、および多数の外科手術の必要性のすべてが、再生手法にとって付加的な課題である。組織再生技法の欠点によって、合成移植片の使用についての調査が駆り立てられている。
【0004】
金属および大部分のポリマーなどの合成材料は通常、軟骨組織より耐久性があるが、生来の組織の性状を十分厳密に模倣することはできず、周囲の組織の健康に悪影響を与え、関節接合において対向する軟骨表面に損傷を与える傾向があり、その結果、このような移植片の寿命を限定し、対向する軟骨組織面の障害を加速する。軟骨組織と比較すると、引裂強度が低すぎ、機械的性質が弱く、多くの場合、安定した長期的な解決策を提供できるように患者の骨に適切に固定することができないため、役に立たない他の材料もある。従って、性状を改善した新たな骨軟骨移植片と、局所性の軟骨組織欠損を修復する技法とが必要である。
【発明の概要】
【0005】
関節軟骨組織欠損を修復する方法、ならびにその方法で用いるのに適した骨軟骨模倣移植片およびシステムを、本明細書中に開示する。本明細書では、重層化された構成物であり、その厚さを通して、関節軟骨組織、およびいくつかの実装例ではその下層の軟骨下骨の性状(例えば、剛性)を模倣する、生体模倣骨軟骨移植片が提供される。下層の多層構造は、機械的接続、化学的結合、生物学的接着、および/または他の連結機構により合わせて連結された、多数の区域によって得られる。置き換え対象の軟骨組織または他の組織の性状を可能な限り厳密に模倣することで、関節接合する面から軟骨下骨への応力伝達の改善や、関節部の一方だけの修復の場合は軟骨組織対向面の温存などの効果をもたらす。本開示は、一部分において、再形成により加えられた負荷およびその結果として生じる応力に対する組織の反応を観察することに関する。骨軟骨移植片が、周囲の組織の機械的性質とは著しく異なる機械的性質を有する材料から形成される場合、移植部位を取り囲む組織の形状および/または量が変化し、その結果、移植片の長期的な成功を損なう可能性がある。従って、本明細書に記載される技術の利点は、周囲の生来の軟骨組織および骨同様の性状をもたらす、骨軟骨移植片を提供し、生来の軟骨組織および骨の健康を損なうことなく、移植片が生理学的負荷により良く反応するようすることである。例示的な例では、移植片は関節接合域、ベース域、および中間域の3つの区域を備えており、中間域は関節接合域の下側に連結する第1の面と、ベース域に連結する第2の面と、中間域が関節接合負荷の一部を吸収できるようにする、第1の面と第2の面との間の厚さおよび剛性と、を備える。いくつかの実装例では、中間域は、剛性において生得の軟骨組織の中間域を模倣するが、疎水性であり、線維軟骨組織より強い。
【0006】
第1の態様において、生体模倣骨軟骨移植片が本明細書中に提供される。その移植片は、支持域と、移植片の移植時に骨(例えば、軟骨下骨、海綿骨、強膜骨)に連結されるよう構成されたベース域と、支持域とベース域との間に配置された疎水性の中間域とを有する。支持域は、可動関節部または他の関節部内での関節接合のために構成された適合面と、下面と、適合面と下面との間に延びる第1の厚さと、第1の剛性を有する第1の圧縮率とを備える。中間域は、成形された第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間に延びる第2の厚さとを有し、成形された第1の面は、外周と、外周内で間隔を空けて配置され、且つ支持域の下面に連結された外部表面とを含み、支持域の下面は、形状がその表面と一致し、中間域は、第1の剛性より大きい第2の剛性を有する第2の圧縮率をさらに備える。ベース域は、中間域の第2の面に連結された外側ベース面と、骨に連結するように構成された内側ベース面と、内側ベース面と外側ベース面との間に延びる第3の厚さとを有し、第2の剛性より大きい第3の剛性を有する第3の圧縮率とを有する。
【0007】
いくつかの実装例では、支持域は二相ポリマーを含む。二相ポリマーは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、またはそれ以上の水組成を有してもよい。いくつかの実装例では、二相ポリマーは、適合面と下面との間に水組成勾配を有する。例えば、水組成勾配は、下面で10%未満、5%未満、または1%未満の水組成を有する。例えば、水組成勾配は、適合面で30%超、40%超、50%超、約40%、約45%、または約50%の水組成を有する。例えば、水勾配は、下面では約5%の水、適合面では40%~50%の水の組成を提供する。いくつかの実装例では、適合面は滑らかである。いくつかの実装例では、下面は滑らかではない。いくつかの実装例では、支持域はウレタンを含む。いくつかの実装例では、支持域は水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNを含み、ベース域は多孔性金属を含み、中間域は、ウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレート、アクリルアミド、およびジメチルアクリルアミドから選択されるモノマーとからなる共重合体を含む。
【0008】
いくつかの実装例では、接触界面は、表面と下面との間に形成され、表面の少なくとも50%にわたって延在する。例えば、接触界面は、表面の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、または少なくとも95%にわたって延在する。
【0009】
いくつかの実装例では、移植片は、支持域、中間域、またはベース域に少なくとも1つの杭構造を有する。少なくとも1つの杭構造は、中間域に複数の杭を有してもよい。例えば、少なくとも1つの杭構造は、成形された第1の面または第2の面に配置される。
【0010】
いくつかの実装例では、移植片は、支持域、中間域、およびベース域を通って延びる中心軸を含み、支持域、中間域、およびベース域はそれぞれ軸を有し、中心軸に沿って同軸上に位置合わせされる。いくつかの実装例では、第2の厚さは、第1の面に沿った第1位置で第2の面と第1の面との間に延びる第1の高さと、第1の面に沿った第2位置で第2の面と第1の面との間に延びる第2の高さと、によって可変である。例えば、第1の高さは外周に沿った位置で最大となり、第2の高さは表面内の位置で最大となる。第2の高さは、ベース域の軸と同軸上に整列してもよい。いくつかの実装例では、中間域は、平凸状または平凹状である。いくつかの実装例では、移植片は、最大の第2の高さから外周に向かって、表面に沿って延在するテーパー領域を有する。いくつかの実装例では、最大の第1の高さは最大の第2の高さより高い。例えば、テーパー領域は凹曲面を形成する。いくつかの実装例では、最大の第1の高さは最大の第2の高さより低い。例えば、テーパー領域は凸曲面を形成する。
【0011】
いくつかの実装例では、外周は中心軸の回りを円周方向に延びる曲線縁を含む。いくつかの実装例では、隆起領域が表面にわたって放射状に延在する。いくつかの実装例では、複数の隆起部が下面内に突き出る。いくつかの実装例では、表面はそれぞれ異なる曲率半径を有する複数の領域を含む。
【0012】
いくつかの実装例では、外周に沿った位置にある第2の厚さは、0.01mm~10mm、0.2mm~5mm、または約1mmの境界高さを有する。中間域の第2の厚さは、境界高さが0.1mm未満になるように、外周に向かって先細になってもよい。いくつかの実装例では、支持域および中間域は、外側ベース面から適合面まで、2mm~10mmまたは4mm~4.5mmの軸方向長さにわたって軸方向に延在する。いくつかの実装例では、外周は5mm~15mmの幅を有する領域を取り囲む(領域が円形で、幅が円の直径の場合)。いくつかの実装例では、第1の厚さは1mm~5mmである。
【0013】
いくつかの実装例では、第2の剛性は50MPa~500MPaである。いくつかの実装例では、第1の剛性は40MPa~150MPaであり、第3の剛性は1.5GPa~11GPaである。いくつかの実装例では、支持域は、下面から適合面まで延びる1kPa/mm以上の剛性勾配を有する。いくつかの実装例では、中間域は、生理学的負荷(例えば、約3MPaの応力)がかかった時に、1%から20%の間で変形し、生理学的負荷を取り除くと変形の70%以上の回復を繰り返すことができるように構成される。いくつかの実装例では、支持域は、生理学的負荷のもとで1%から40%の間で変形し、その負荷を取り除くと変形の70%超の回復を繰り返すことができる能力を有する。いくつかの実装例では、支持層および中間層が連結される場合、移植片は、生理学的負荷のもとで5%から20%の間で変形し、80%以上または95%以上の回復を繰り返すことができる能力を有する。
【0014】
いくつかの実装例では、ベース域は、多孔性金属、ポリマー、セラミック、骨、または合成骨のうちの少なくとも1つを含む。例えば、多孔性金属は、チタン、タンタル、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン合金、またはジルコニウム合金のうちの1つ以上を含み、ポリマーは、多孔質ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、または任意の他の適切なエンジニアリングポリマーまたは多孔質ポリマーのうちの1つ以上を含む。
【0015】
いくつかの実装例では、内側ベース面は、大腿遠位部に連結されるように構成される。いくつかの実装例では、内側ベース面は、脛骨近位部に連結されるように構成される。移植片は、膝関節(例えば、顆、膝蓋大腿関節、全膝関節、半月板、膝蓋骨、または脛骨プラトー)、足首関節(例えば、距骨表面または脛骨表面)、肘関節(例えば、尺骨近位部、上腕骨遠位部、または橈骨頭)、肩関節(例えば、関節唇、関節窩、上腕骨頭またはそれらの任意の部分)、手関節(例えば、中手関節、指関節、母指関節、または母指関節の付け根)、股関節(例えば、寛骨臼表面、大腿骨頭またはどちらかの表面の一部)、足部関節(例えば、中足関節または足指関節)、顎関節(例えば、側頭下顎関節)、手首関節、および脊椎関節(例えば、椎間関節)など、体内の可動関節部または他の関節部内の軟骨組織、または軟骨組織および骨を修復または置き換えるように適合されてもよい。いくつかの実装例では、支持域および中間域は、外側ベース面に配置され、ベース域は金属またはポリマーで、例えば、ねじ締め、杭打ち、相互嵌合または別の方法によって、骨に機械的に連結できる、予め形成された連結機構(例えば、ねじ、杭、指状突起、または他の構成要素)を一端(例えば、大腿遠位部または大腿近位部)に有して構成される。他の用途では、移植片は、例えば、股関節の修復において金属またはポリマーの大腿骨頭といった既存の関節部置き換え構成要素に統合することによって配置される。このような場合、既に以前の手術で骨(例えば、大腿近位部)に連結されていた既存の金属またはポリマーの移植片(例えば、大腿骨頭)はベース域として機能し、予め形成された支持域および中間域を有する移植片(本明細書中に開示するもの)が、その既存の金属またはポリマーのベース域に直接連結される。
【0016】
別の態様において、軟骨下骨または他の骨を含む整形外科用関節部(例えば、可動関節部)内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法が、本明細書中に提供される。損傷部は、関節接合する面で外部の軟骨組織によって少なくとも部分的に囲まれ、その外部の軟骨組織の一部は、関節接合のために生来の組織ラインを持つ領域を提供する。その方法は、(i)損傷部を取り囲む軟骨組織の少なくとも一部を除去し、外部の軟骨組織領域を通って骨の中に延びる、内径を有する外部の軟骨組織の穴を残すことにより、外部の軟骨組織領域に外科手術部位を準備するステップと、(ii)下面と、外側表面および外径を有する第1の外周を有する適合面とを有する支持域と、ベース構成物とを含む生体模倣骨軟骨移植片であって、適合面は、外側表面が整形外科用関節部の対向面の形状に一致するように、関節部内での関節接合の際に形状を変えるように構成される、生体模倣骨軟骨移植片を提供するステップと、(iii)ベース構成物が骨と直接結合するように、移植片を穴に入れて骨の中に通すステップと、(iv)適合面の外側表面が外部の軟骨組織の生来の組織ラインに対して高さがオフセットされるように、移植片を骨に固定するステップと、を備える。適合面に沿った1つ以上の場所でオフセットがゼロになるように、移植片を固定してもよいことが理解されるべきである。移植片は、第1または第2の態様の実装例のいずれかに係る移植片であってよい。
【0017】
いくつかの実装例では、支持域は二相ポリマーを含む。二相ポリマーは少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、またはそれ以上の水組成を有してもよい。いくつかの実装例では、二相ポリマーは、適合面と下面との間に水組成勾配を有する。組成勾配は、二相ポリマーの厚さに沿って、一端でその外部の適合面から内部の下面まで、その間にバルク領域を有して水の組成が変化して、疎水性の中間層と親水性の関節接合する面との適正な接続を提供するように、構成される。勾配は、適合面での水組成と、下面での水組成と、適合面と下面との間に延びるバルク水組成と、を備える。いくつかの実装例では、水組成は適合面で最も高く、下面で最も低く(例えば、0に近い)、構成物の中間層と本質的に疎水性の界面を形成し、バルク水組成は2つの面の中間のレベルである。適合面での水組成は、残りの勾配の調整と組み合わせて、必要に応じて調整することができる。いくつかの実装例では、適合面での水組成は少なくとも25%で、より高くてもよく、一方、下面での水組成は低い(例えば、10%未満、5%未満、または1%未満(または、0の近傍、または0である))。バルク水組成は、親水性の適合面と疎水性の下面との間に最適な水のバランスおよび遷移を提供する運用条件で分布される。実装例では、バルク水組成は25%~41%の範囲(例えば、27%~34%)内であり、適合面と下面との間に円滑な遷移をもたらすように、その範囲の間の勾配として分布されてもよく、またはその範囲内のあるポイント(例えば、27%または34%)で、一般的に一定のレベルで分布されてもよい。いくつかの実装例では、適合面は滑らかである。いくつかの実装例では、下面は滑らかではない。いくつかの実装例では、支持域はポリウレタンを含む。いくつかの実装例では、移植片は、平凸状(一方は平坦状で、他方は凸状)、または平凹状(一方は平坦状で、他方は凹状)である。いくつかの実装例では、ベース構成物は多孔性金属を含む。いくつかの実装例では、支持域は、適合面と下面との間に剛性勾配を備える。例えば、剛性勾配は、下面での剛性より小さい適合面での剛性を備え、剛性が適合面と下面との間で変化する。
【0018】
いくつかの実装例では、前記支持域は、前記適合面と前記下面との間に設けられた第1のポリマー層であり、前記ベース構成物は、前記骨に直接連結するように構成された多孔質層と、第2のポリマー層とを含み、前記第2のポリマー層は、前記下面と前記第2のポリマー層の成形された面との間の中間界面で、前記第2の層が前記中間界面と前記多孔質層との間に設けられるように、前記第1のポリマー層に連結される。いくつかの実装例では、前記第1のポリマー層は第1の剛性を有し、前記第2のポリマー層は第2の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性より大きい。前記多孔質層は、前記第2の剛性より大きい第3の剛性を有してもよい。いくつかの実装例では、前記第2のポリマー層は、ハードセグメントおよびソフトセグメントを備えるウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレートモノマーとの共重合体を含む。例えば、前記第1のポリマー接着剤の前記ウレタンジメタクリレートの前記ハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシル)イソシアネート(HMDI)、のうちの1つ以上から形成される。例えば、前記ウレタンジメタクリレートモノマーの前記ソフトセグメントは、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、のうちの1つ以上から形成される。いくつかの実装例では、前記第1のポリマー層は、熱可塑性ポリマーからなる第1高分子網目と第2高分子網目とを含む、水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNである。
【0019】
いくつかの実装例では、外科手術部位は、大腿遠位部、脛骨近位部、膝蓋骨、脛骨遠位部、腓骨遠位部、踵骨、距骨、脛腓関節、上腕骨近位部、関節窩、大腿近位部、骨盤、上腕骨遠位部、尺骨近位部、橈骨近位部、橈骨遠位部、尺骨遠位部、手根骨、中手骨遠位部、基節骨、中足骨、または他の関節軟骨組織を有する関節面にある。いくつかの実装例では、損傷部は組織により部分的に、または完全に囲まれる。
【0020】
いくつかの実装例では、ステップ(i)は、突きぎり、外科手術用ドリル、バー、リーマー、アライメントガイド、ピン、切歯、カッター、またはワイヤーのうちの少なくとも1つを使用することを含む。ステップ(i)は、ガイドを経由して損傷部にワイヤーまたはピンを挿入することと、ワイヤーまたはピンにわたってドリル、バー、またはリーマーを配置することと、ドリル、バー、またはリーマーを使って穴を形成することと、を含んでもよい。いくつかの実装例では、ステップ(i)は、手術の間の器具の変更を最小限に抑えるように、リーマー機能を有する自動誘導式の外科手術用ドリルなどの単一の器具で行われる。いくつかの実装例では、ステップ(i)は、穴の中の骨を再形成することを含む。いくつかの実装例では、その方法は、ステップ(iii)の前に、穴の深さを確認することをさらに備える。例えば、深さを確認することは、移植片を模倣する試験移植片を、穴に挿入することを含む。いくつかの実装例では、ステップ(iii)は、移植片を脱着可能に保持する移植片挿込装置を使用することを含む。いくつかの実装例では、ステップ(iv)は、移植片を穴の中に完全に着座させるためのマレットおよびタンプを使用することを含む。いくつかの実装例では、ステップ(i)~(iv)のうちの1つ以上は関節鏡を通して行われる。いくつかの実装例では、その方法は外科手術部位を閉じることをさらに備える。
【0021】
穴は、移植片が固定される際にその穴に圧入状態となるように、成形されてもよい。いくつかの実装例では、適合面の少なくとも一部は、骨に対して遠位の方向に、生来の組織ラインからオフセットされる。いくつかの実装例では、適合面の少なくとも一部は、骨に対して近位の方向に、生来の組織ラインからオフセットされる。いくつかの実装例では、支持域が外部の軟骨組織と接するように、支持域は、第1の外周に沿って外部の軟骨組織と横方向に整列する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上述およびその他の目的および利点は、同様の参照符号が全体にわたって同様の部位を指し示す添付図面と併せて、以下の詳細な説明を検討したうえで明白になるであろう。
【
図1A】例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片の縦断面を示す。
【
図1C】別の例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片の縦断面を示す。
【
図2A】例示的実装例に係る二層の生体模倣骨軟骨移植片(外観図)を示す。
【
図2B】
図2Aの二層の生体模倣骨軟骨移植片の断面図である。
【
図3A】例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片(外観図)を示す。
【
図3B】
図3Aの三層の生体模倣骨軟骨移植片の断面図である。
【
図4A】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片であって、凸状の関節面を有する移植部位に挿入した後のものを示す。本実装例では、適合面の縁は軟骨組織の面からオフセットさせる一方、移植片の中心は、オフセットが適合面にわたって変化するように、生来の関節部の面から外方にはみ出す。点線は生来の関節部の面を表す。
【
図4B】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片であって、凸状の関節面を有する移植部位に挿入した後のものを示す。本実装例では、適合面の縁は軟骨組織の面からオフセットさせる一方、移植片の中心は、オフセットが適合面にわたって変化するように、生来の関節部の面から外方にはみ出す。点線は生来の関節部の面を表す。
図4Bは、移植片の生来の関節部の面との適合が向上され、今では本来の関節部のライン(点線)を綿密に近づける、負荷が加わった後の移植片の理想的な曲率を示す。
【
図5A】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片であって、凹状の関節面を有する移植部位に挿入した後のものを示す。
図5Aは、移植後、生理学的負荷を受ける前の生体模倣骨軟骨移植片で、適合面の外縁が軟骨組織の面に位置する、または軟骨組織の面からオフセットさせる一方、移植片の中心はより厚くなり、関節部の対向辺との適合に不一致を生じるものを示す。
【
図5B】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片であって、凹状の関節面を有する移植部位に挿入した後のものを示す。
図5Bは、移植片の面が元の関節部のラインに一致し、その結果、移植片が対向する関節部の面と密接に関節接合できる、負荷が加わった後の移植片の理想的な曲率を示す。
【
図6A】外科手術部位に挿入された、例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片を示す。
図6Aは、円形の適合面が代表的な凸状の関節部の面に移植された状態の移植片を示す。
【
図6B】外科手術部位に挿入された、例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片を示す。
図6Bは、細長い長円形の適合面が代表的な凸状の関節部の面に移植された状態の移植片を示す。
【
図7A】関節部または損傷部の異なる大きさのニーズに基づき選択され得る、例示的実装例に係る移植片の形状(または、滑らかな上面などの移植片の一部の形状)を示す。
【
図7B】関節部または損傷部の異なる大きさのニーズに基づき選択され得る、例示的実装例に係る移植片の形状(または、滑らかな上面などの移植片の一部の形状)を示す。
【
図7C】関節部または損傷部の異なる大きさのニーズに基づき選択され得る、例示的実装例に係る移植片の形状(または、滑らかな上面などの移植片の一部の形状)を示す。
【
図7D】関節部または損傷部の異なる大きさのニーズに基づき選択され得る、例示的実装例に係る移植片の形状(または、滑らかな上面などの移植片の一部の形状)を示す。
【
図8A】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8B】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8C】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8D】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8E】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8F】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8G】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8H】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図8I】例示的実装例に係るさまざまな連結機構を示す。連結機構は、移植片の層を互いに連結するために使ってもよいし、移植片を骨に連結するために使ってもよい。
【
図9A】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9B】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9C】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9D】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9E】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9F】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9G】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9H】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9I】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図9J】例示的実装例に係る生体模倣骨軟骨移植片のさまざまな表面の形状を示す。
【
図10】大腿骨内側顆における軟骨組織損傷部に対するさまざまな移植片のピーク接触圧のグラフを示す。生来の膝の結果は、適所に損傷部も移植片も存在しないものの結果であり、三層の移植片の結果は、本開示の例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片を使って移植した後の圧力を示し、CoCrの結果は、三層の生体模倣骨軟骨移植片と同じ形状のCoCr関節面を有する移植片を移植した後のものである。
【
図11A】半IPNポリマーのクリープおよび緩和挙動のプロットである。
【
図11B】UDMA-MMA共重合体のクリープおよび緩和挙動のプロットである。
【
図11C】半IPNポリマー層と、UDMA-MMA共重合体層と、多孔性チタン層との構成物のクリープおよび緩和挙動のプロットである。
【
図12】例示的実装例に係る、整形外科用関節部内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法のフローチャートを示す。
【
図13A】例示的実装例に係る、整形外科用関節部内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法を示す。
【
図13B】例示的実装例に係る、整形外科用関節部内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法を示す。
【
図13C】例示的実装例に係る、整形外科用関節部内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法を示す。
【
図13D】例示的実装例に係る、整形外科用関節部内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法を示す。
【
図14A】ヤギの大腿内側顆に着座させた生体模倣骨軟骨移植片の写真である。
【
図14B】移植部位の表面の輪郭を示すために手術中に移植片の表面にアルミ箔を押し当てた、
図14Aの生体模倣骨軟骨移植片の写真である。
【
図14C】周囲の組織との移植片全体の適合を示した、外植片の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書中に説明されるシステム、方法、および装置について全体的な理解を提供するために、いくらかの例示的実施形態を説明する。本明細書中に説明される実施形態および特徴は、具体的には、軟骨組織損傷の修復に関連した用途のために説明されるが、以下に概説されるすべての構成要素および他の特徴は、任意の適切な方法で互いに結合させてもよく、他の種類の内科的治療、患者の健康状態、および素材構造に適合され、適用されてもよいことを理解されたい。
【0024】
本開示のさまざまな態様を説明するために、特定の用語が本明細書中で使用される。参照しやすいように提供される定義もあれば、本願全体にわたって文脈で用語を使用することによって提供される定義もある。用語の範囲は、具体的に列挙されているか否かにかかわらず、当業者にとって既知のあらゆる種類を含むことが理解されるべきである。
【0025】
本明細書中において、「カルボン酸基」は、これらの基の非イオン化(プロトン化)型およびイオン化(カルボキシル化)型の両方を指すことがある。本願の目的のために、「スルホン酸基」は、これらの基の非イオン化(プロトン化)型およびイオン化(スルホン化)型の両方を指すことがある。
【0026】
本明細書中において、「相互貫入ポリマー網目構造」すなわち「IPN」は、少なくとも部分的に分子レベルで絡み合っているが、互いに共有結合しておらず、化学的結合が解かれない限り分離することはできない、2つ以上のポリマー網目構造を含む材料である。「半相互貫入ポリマー網目構造」すなわち「半IPN」は、1つ以上のポリマー網目構造と、1つ以上の線状または分岐ポリマーとを含む材料であり、少なくとも一部の線状または分岐高分子による、網目構造のうちの少なくとも1つの分子レベルでの浸透を特徴とする。半相互貫入ポリマー網目構造は、構成要素である線状または分岐ポリマーが、原則として、化学的結合を解くことなく構成要素であるポリマー網目構造から分離することができ、それらはポリマーブレンドであるため、相互貫入ポリマー網目構造とは区別される。
【0027】
「ポリマー」は、単独重合体(1種のモノマーに由来するポリマー)と、共重合体(2種以上のモノマーに由来するポリマー)とを含む、単一の種の繰り返し単位を有する物質である。「疎水性のポリマー」は、(1)表面水の接触角が少なくとも45°、(2)ASTM試験規格D570により室温にて24時間後に2.5%以下の吸水率を示す、という2つの性状のうち、少なくとも1つを有する、予め形成されたポリマー網目構造であり得る。「親水性のポリマー」は、表面水の接触角が45°未満で、ASTM試験規格D570により室温にて24時間後に2.5%超の吸水率を示す、ポリマー網目構造であり得る。「イオン性ポリマー」は、イオン性モノマー(例えば、カルボキシレート基、スルホン酸基、またはその両方を有するモノマー)、イオン化可能なモノマー(例えば、プロトン化カルボキシル基、プロトン化スルホン酸基、またはその両方を有するモノマー)、またはイオン性モノマーおよびイオン化可能なモノマーの両方を含み、それらの特質および配置に関係なく、一般的に、イオン性またはイオン化可能なモノマー(または、その両方)が少なくとも2重量%である高分子から成るポリマーである。「熱可塑性ポリマー」は、一度だけ加熱して形成することができる熱硬化性ポリマーとは異なり、加熱されると溶融または流動し、繰り返し再溶融して他の形状または製品を形成することができるものである。熱可塑性ポリマーは、共有結合で(化学的に)架橋結合されてもよい。「相分離」は、単相系を多相系に変換することと定義される。例えば、ブロック共重合体の2つの非混和性ブロックを二相に分離することが挙げられるが、これは多少の混合が生じる小さな相間が存在する可能性がある。
【0028】
「約」は、値のプラスマイナス20%を意味すると理解することができる。例えば、「約20mm」は、16mmから24mmの範囲を網羅する。
【0029】
本開示の態様は、生体模倣骨軟骨移植片、キット、または移植片と移植片を移植するための1つ以上の用具を備えるシステムと、移植片を製造し、移植する方法を含む。
生体模倣骨軟骨移植片
【0030】
本明細書では、関節部内の損傷した軟骨組織の置き換え、および/もしくは軟骨組織の部分的または完全な再形成に一般に有用である生体模倣骨軟骨移植片が提供される。移植片は、モジュール式の層状構造を有するように構成され、その層状構造は、置き換えまたは修復対象の解剖学的構造に基づき、各層の物理的特性(例えば、剛性や潤滑性)および寸法を(例えば、適切な材料を使い、その厚さおよび剛性を管理することによって)調整することができる。例えば、層の材料および/または厚さは、移植片が軟骨組織の模倣をするように、軟骨組織(および、任意で、軟骨および軟骨下骨)の物理的特性、機能、および寸法を近似するように選択することができる。また、本明細書では、関節部の骨軟骨欠損を修復するため、生体模倣骨軟骨移植片の使用を伴う治療の方法が提供される。
【0031】
本明細書の生体模倣骨軟骨移植片は、移植片が配置される特定の関節部に応じて、さまざまな形状や大きさに作ることができる。移植片は、膝関節(例えば、顆、膝蓋大腿関節、全膝関節、半月板、膝蓋骨、または脛骨プラトー)、足首関節(例えば、距骨表面または脛骨表面)、肘関節(例えば、尺骨近位部、上腕骨遠位部、または橈骨頭)、肩関節(例えば、関節唇、関節窩、上腕骨頭またはそれらの任意の部分)、手関節(例えば、中手関節、指関節、母指関節、または母指関節の付け根)、股関節(例えば、寛骨臼表面、大腿骨頭またはどちらかの表面の一部)、足部関節(例えば、中足関節または足指関節)、顎関節(例えば、側頭下顎関節)、手首関節、または脊椎関節(例えば、椎間関節)など、体内の関節部内の軟骨組織、または軟骨組織および骨を修復または置き換えるように適合されてもよい。用途によっては、本明細書に記載される移植片は、例えば、以前の股関節の修復において設置されていた可能性のある、金属またはポリマーの大腿骨頭といった既存の関節部置き換え構成要素への統合により、配置することができる。このような場合、既に以前の手術で骨(例えば、大腿近位部)に連結されていた既存の金属またはポリマーの移植片(例えば、それ自身で大腿骨ステムに接合された大腿骨頭)はベース域として機能し、支持域および中間域を有する移植片(本明細書中に開示するもの)が、その既存の金属またはポリマーのベース域に直接連結される。いくつかの実装例では、ベース域は、予め形成された連結機構(例えば、ねじ、杭、指状突起、または他の構成要素)を一端(例えば、大腿遠位部または大腿近位部)に有する金属またはポリマーとして構成され、例えば、ねじ締め、杭打ち、相互嵌合または別の方法によって、骨に機械的に連結するように構成される。ベース域および中間域の1つ以上の面には、プラズマ被覆または他の多孔質層を施すこともできる。ベース域は、球体、ディスク、円筒、または三角形や四辺形などの、ベース(例えば、骨)に適切な固定力を提供するのに適した他の形状として、適切に構成することができる。本明細書に提供される例は、移植片を可動関節の修復で使用することを記載しているが、移植片は、限定はしないが、脊椎、半月板、その他の骨または軟骨組織構造を含む他の組織および関節部の修復のためにも使用できることが理解されるべきである。移植片は、生来の組織に対して、または他の移植片(例えば、本開示に係る移植片、セラミック移植片、金属(CoCrなど)の移植片、またはポリマー移植片(例えば、PEEKまたは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の移植片)に対して、関節接合することができる。例えば、関節部の損傷は、その関節部の対向面に2つの生体模倣骨軟骨移植片を移植することで、修復することができる。対向面の一方または両方の全体を置き換えることができる。移植片の例の図示的表現が
図1~
図5に示される。
【0032】
いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片またはその一部(
図6Aの滑らかな上面など)は、円形の輪郭を示す。いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片またはその一部(
図6Bの滑らかな上面など)は、例えば、細長い長円形の輪郭を示す。生体模倣骨軟骨移植片(またはその一部)がとり得る他の非限定的な形状の例が、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示される。
【0033】
いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片は、関節部面の部分的な再形成のために、プラグ(例えば、円筒状プラグ)として成形される。いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片は、骨の中の穴や開口部へ挿入するために適合された、移植片の骨接触面(すなわち、ベースの底面)の上に形成された、またはそれに連結されたステム部を備える。いくつかの実装例では、ステムは骨の中の穴や開口部へ圧入され、人工軟骨組織としての機能を果たすために、移植片の滑らかな上面を露出させる。
【0034】
いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片は、軸対称または1つ以上の鉛直面に沿って対称である。例えば、移植片は、単一の曲率半径を有する外面上に半球体形状を有する円筒状とすることができる。あるいは、2つ以上の曲率半径を有することができる。例えば、移植片は1つの平面にある曲率半径を有し、垂直な平面により大きな曲率半径を有することで、一方向をより多く「傾斜」させて、垂直な平面をより少なく傾斜させる。膝の顆などの生得の関節面では、2つの主要な曲率面があってもよい。その一方は膝の屈曲/伸展軸に沿っており(本明細書中、「長半径」と称する)、他方はこの面に対して垂直で、より小さな曲率半径を有する(「短半径」と称する)。3つ以上の曲率半径があってもよい。これらの曲率半径は、関節面の正確な位置に応じて変化することもできる。例えば、移植片は、周囲の関節面の曲率を近似する骨軟骨欠損の中に設置してもよい。関節部内部では時間と共に、滑らかな上面が周囲の関節面の曲率半径を呈するように、適合面は生理学的負荷のもとで新しい形になる(
図4A、
図4B、
図5A、および
図5B)。本明細書の生体模倣骨軟骨移植片は、略凸状の関節面、略凹状の関節面、略平坦状の関節面、または凸状および凹状の両方の曲率を有する関節面を含む、いかなる関節部形状にも適合できる。このように、移植片は例えば、周囲の関節面の形状に応じて、凸状で始まり、より凸状になったり、平坦状になったり、凹状になったりすることができるし、平坦状で始まり、凹状または凸状になることもできるし、凹状で始まり、さらにいっそう凹状(より急勾配で湾曲する)こともできる。
【0035】
いくつかの実装例では、単一の曲率半径を有する軸対称の移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる曲率半径を有する移植部位に挿入する。移植後、移植片の適合面は生理学的負荷のもとで新しい形になり、移植片の曲率半径は生得の軟骨組織の曲率半径と実質的に一致し、移植片上およびその周りの修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0036】
いくつかの実装例では、単一の曲率半径を有する軸対称の移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる2つの曲率半径を有する移植部位に挿入する。移植後、移植片の適合面は生理学的負荷のもとで新しい形になり、生得の軟骨組織の曲率半径と一致する2つの曲率半径の輪郭を示し、移植片上およびその周りの修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0037】
いくつかの実装例では、2つの異なる(例えば、垂直な)曲率半径を有する移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる2つの曲率半径を有する移植部位に挿入する。移植後、移植片の適合面は生理学的負荷のもとで新しい形になり、生得の軟骨組織の曲率半径と一致する2つの曲率半径の輪郭を示し、移植片上およびその周りの修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0038】
図1Aは、例示的な例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片100の縦断面を示す。移植片100は、支持域102と、中間域106と、ベース域112とを含む。支持域102、中間域106、およびベース域112の各々は、明確に異なる物理的/機械的性質を有する。支持域102、中間域106、およびベース域112の各々は、区域間に明確に異なる界面および/またはへりを形成することができる複数の面を有する。例えば、支持域102、中間域106、およびベース域112は、本明細書に記載される1つ以上の連結技法を使い、(後述されるように)1つ以上の面で合わせて接合することができるように、別々に合成することができる。支持域102は、適合面104と、適合面104の反対側にある下面105と、適合面104と下面105との間に延びる第1の厚さ103と、第1の剛性を有する第1の圧縮率とを有する。中間域106は、成形された第1の面108と、第1の面108の反対側にある第2の面109と、第1の面108と第2の面109との間に延びる第2の厚さ107と、第1の剛性より大きい第2の剛性を有する第2の圧縮率とを有する。成形された第1の面108は、外周110と、外周110内で間隔を空けて配置された外部表面111とを含む。外部表面111と下面105とは連結されている(例えば、機械的に接続、化学的に結合、生物学的に貼り合わせ、または他の方法での連結が行われている)。いくつかの実装例では、支持域102と中間域106とは単一のポリマー網目構造を形成していないが、それらのへりで支持域102および中間域106を含む明確に異なる材料の非共有結合、共有結合、および/または機械的結合を介して、一緒に接合される。非共有結合は、水素結合、イオン性相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、および/または疎水結合を含む。いくつかの実装例では、支持域102と中間域106とは、例えば、中間域106に存在するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)および/またはポリウレタンの、支持域102に存在するポリマー(例えば、ポリウレタン)とのエンタングルメントなどの重合体のエンタングルメントを介して接合される。いくつかの実装例では、外部表面111と下面105とは、支持域102および中間域106がそれぞれ1つのポリマー網目構造を含む場合、支持域102および中間域106の2つのポリマー網目構造がそれぞれ(連続的な)相互貫入ポリマー網目構造を形成しないように、連結される。
【0039】
支持域102は、化学的、機械的、または物理的な手段(例えば、
図8A~
図8Hのもの)を介して中間域106に連結することができる。図示されるように、下面105は外部表面111と形状が一致する。いくつかの実装例では、下面105および成形された第1の面108、またはその一部は、化学的または機械的な連結手段を介して、負荷を下面105から成形された第1の面108に伝達することができるように、連結される。中間域106は、硬化性の液体および/または熱可塑性材料などの液体とすること、もしくはそれを含むことができ、機械加工、鋳造、および/または射出成形によって形成することができる。いくつかの実装例では、中間域106は光硬化性ポリマーである。いくつかの実装例では、外部表面111は移植時に液状の表面である。いくつかの実装例では、支持域102の下面105はポリウレタンである、またはポリウレタンを含む。いくつかの実装例では、中間域106はポリウレタンである、またはポリウレタンを含む。いくつかの実装例では、支持域102は下面105に設けられたポリウレタンを含み、下面105に設けられたポリウレタンは、中間域106のポリウレタンとともにポリマー網目構造を形成する。ベース域112は、第2の面109に連結された外側ベース面114と、外側ベース面114の反対側にあり、骨116に連結するように構成された内側ベース面115と、外側ベース面114と内側ベース面115との間に延びる第3の厚さ113と、第2の剛性より大きい第3の剛性を有する第3の圧縮率とを有する。いくつかの実装例では、中間域106およびベース域112は単一のポリマー網目構造を形成しない。いくつかの実装例では、外側ベース面114と第2の面109とは、中間域106およびベース域112がそれぞれ1つのポリマー網目構造を含む場合、中間域106およびベース域112の2つのポリマー網目構造が、(少なくとも、移植時に)分子レベルでそれぞれ絡み合わないように連結される。図示されるように、第2の面109は外側ベース面114と形状が一致する。いくつかの実装例では、第2の面109および外側ベース面114、または第2の面109および外側ベース面114の一部は、化学的または機械的な連結手段を介して、負荷を第2の面109から外側ベース面114に伝達することができるように、連結される。中間域106とベース域112とは、それらのへりで、化学的、機械的、または(他の)物理的な手段(例えば、
図8A~
図8Hのもの)を介して、一緒に接合される。いくつかの実装例では、中間域106とベース域112との間のへりは、中間域106の材料(例えば、ポリマー)の、ベース域112の材料(例えば、多孔性金属などの金属)との相互嵌合を含む。
図1Bは、移植片100の層の分解図を示す。移植片の面は、所定の形状が外方に湾曲または隆起する、凸状の形状を有するものとして示されるが、面のいずれも平坦状、凹状(
図1Cの別の形態の移植片100で示す、形状が内方に隆起するもの)であってもよいし、または平坦状、凸状、または凹状の面領域の任意の組み合わせであってもよいことが、理解されるべきである。
図1Aおよび
図1B、または本明細書中の他の場所で示されるような、いずれの凸状および凹状の面も、非対称または対称とすることができる、と理解される。
【0040】
移植片100の各々の層を構成するのに、さまざまな材料を使用することができる。適切な材料としては、ポリマー、セラミック、金属、合成骨、再生した組織、もしくはその他の適切な材料、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特に、支持域102の適切な材料としては、滑らかな性状を有する材料が挙げられる。例えば、支持域102は、滑らかな適合面104と、滑らかではない下面105とを提供する材料から構成される。
【0041】
いくつかの実装例では、支持域102などの層の1つは、ポリマーと水とを備える二相ポリマーを含む。例えば、二相ポリマーは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%の水組成を有することができる。二相ポリマーは、支持域102全体にわたって一貫して分布される水組成を有することができ、または水を支持域内で、例えば一面から対面に延びる勾配で、または支持域内で部分的にのみ延びる勾配で、分布することができる。水組成勾配は、その区域の厚さに沿って、一端でその外部の適合面(適合面104)からその内部の下面105まで、その間にバルク領域を有して水の組成が変化して、疎水性の中間層(中間域106)と親水性の関節接合する面(適合面104)との適正な接続を提供するように、構成される。より具体的には、勾配は、適合面104での第1の水組成と、下面105での第2の水組成と、それら2つの面の間に延びるバルク水組成と、を備える。いくつかの実装例では、例えば、可動関節を修復するのに有用なものでは、水は、水組成が適合面104で最も高く、下面105で最も低く(例えば、0または0の近辺)、2つの面のそれぞれの水組成の間の組成でバルク水が分布された状態で、その構成物の中間層(中間域106)との間に本質的に疎水性の滑らかではない界面を提供するように、支持域102で分布される。その配置は、支持域102の一面側に関節部の接合のための滑らかな界面を提供し、他面側に中間層(中間域106)に対する疎水性の滑らかではない接続面を提供する。適合面での水組成は、残りの勾配の調整と組み合わせて、必要に応じて調整することができる。例えば、水勾配は、適合面104と下面105との間に延びることができる。水勾配は、二相ポリマーの一方の部位での1%未満から、二相ポリマーの他方の部位での少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%までの範囲に及ぶことができる。例えば、勾配は、疎水性の側では(例えば、遠位大腿移植片で、中間域106との界面の直近位にある位置となり得る下面105では)1%未満であり、反対側のより親水性の側では(例えば、遠位大腿移植片で、支持域102の関節接合する面である適合面104では)少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%である、水組成を有することができる。いくつかの実装例では、適合面104での水組成は少なくとも25%で、より高くなることもでき(例えば、40%~50%、例えば、40%、45%、または50%、さらには60%~80%)、滑らかな性質をもたらす一方、下面105での水組成は低く(例えば、10%未満、5%未満、または1%未満(または、0に近づく、または0である))、滑らかではない性質をもたらす。バルク領域では、バルク水組成は、親水性の適合面104と疎水性の下面105との間に最適な水のバランスおよび遷移を提供する運用条件で分布される。いくつかの実装例では、バルク水組成は25%~41%の範囲(例えば、27%~34%)内であり、適合面104と下面105との間に円滑な遷移をもたらすように、その範囲の間の勾配として分布されてもよく、または、例えばその範囲内のあるポイント(例えば、27%または34%)で、2つの面の間に一般的に一定のレベルで分布されてもよい。
【0042】
二相ポリマーは、熱可塑性ポリマーからなる第1高分子網目と、カルボン酸基またはその誘導体を有するポリマーからなる第2高分子網目とを含む、水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNとすることができ、そのIPNまたは半IPNは、カルボン酸基またはその誘導体の濃度が適合面104において最大であり、IPNまたは半IPNのバルク内でゼロまで、または実質的にゼロまで減少する。カルボン酸基またはその誘導体は、非誘導体化カルボン酸基、スルホン酸誘導体化カルボン酸基、またはそれらの混合物を含むことができる。例えば、カルボン酸基またはその誘導体を有するポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、リノレン酸、マレイン酸、フマル酸、およびそれらの誘導体から選択される1つ以上のモノマーから形成される。カルボン酸基は完全に非誘導体化することができ、またはスルホン酸誘導体化カルボン酸基(誘導体化されていない基および誘導化されている基の混合物、または完全に誘導体化されている基)を含むことができる。スルホン酸誘導体化カルボン酸基は、タウリン誘導体化カルボン酸基とすることができる。いくつかの実装例では、熱可塑性ポリマーは水性ではないが、構成物の支持域で二相ポリマー、例えば、ポリエーテルウレタンなどのポリウレタンや他の形態のポリウレタンの代わりに使用されるように、機能的に関節部形状に適合しており、十分に生体適合性がある。
【0043】
いくつかの実装例では、中間域106などの層は、ウレタンまたはウレタン系材料を含む。いくつかの実装例では、ウレタン系材料は、ハードセグメントおよびソフトセグメントを備えるウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレートモノマーとの共重合体である。例えば、中間域106は、約60%(w/w)~約99%(w/w)(例えば、約60%(w/w)~約80%(w/w))のウレタンジメタクリレートモノマーと、約1%(w/w)~約40%(w/w)(20%(w/w)~約40%(w/w))のメチルメタクリレートモノマーとの共重合体から形成することができる。いくつかの実装例では、第1のポリマー接着剤のウレタンジメタクリレートのハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、のうちの1つ以上から形成される。いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートモノマーのソフトセグメントは、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、のうちの1つ以上から形成される。例えば、ウレタンジメタクリレートモノマーのハードセグメントはMDIから形成されてもよく、ウレタンジメタクリレートのソフトセグメントはPTMOから形成することができる。いくつかの実装例では、ポリマー接着剤層のウレタンジメタクリレートのソフトセグメントは、例えば、分子量が約500Daから約1250Daまでの範囲にわたる、異なる分子量を有するPTMOの混合物から形成することができる。
【0044】
いくつかの実装例では、移植片100のベース域112などの層は、金属(例えば、チタン、タンタル、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン、ジルコニウム、またはそれらの合金)、ポリマー(例えば、PEEK、PE、PS、またはPP)、セラミック、骨、もしくは合成骨、またはそれらの組み合わせを含む。ベース域112は、移植直後に、機械的または物理的な手段(例えば、
図8A~
図8Hのもの)を介して骨116に連結することができる。移植後のある時期において、新しい骨が骨116からベース域112内にすでに成長しており、移植片100を適所に固定することができる。
【0045】
成形された第1の面108の外部表面111は、1つの形状(すなわち、トポグラフィーまたは表面の輪郭)を有し、下面105は外部表面111のその形状に一致する。下面105の適合形状はその後、適合面104も外部表面111の形状を反映するように、支持域102を経て適合面104の適合形状に変換してもよい。従って、外部表面111は、移植片100が挿入された部位の生来の軟骨組織の面形状を近似する形を適合面104に付与するために、特有の様式(例えば、
図1Aおよび
図1Bに示されるような凸状、
図1Cに示されるような凹状、または
図9A~
図9Jに示される形状のいずれか)に成形することができる。適合面104の形状は、その部位において、周囲の生来の軟骨組織の面からオフセットさせ、適合面104を介して移植片100にかかる生理学的負荷により、適合面104が生来の軟骨組織の面形状を近似するようにしてもよい。いくつかの実装例では、外部表面111と下面105との間に接触界面が形成される。いくつかの実装例では、中間域106は接着剤である、または接着剤を含む。いくつかの実装例では、中間域106は注入可能な接着剤である、または注入可能な接着剤を含む。注入可能な接着剤は光硬化性とすることができる。いくつかの実装例では、外側ベース面114と第2の面109との間の接触界面では、ベース面114と第2の面109との間の中間の接着剤または他の結合層によって提供されない限り、化学的結合もポリマーの絡み合いも存在しない。外部表面111と下面105との間の接触界面は、外部表面111または下面105の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%にわたって延在することができる。外側ベース面114と第2の面109との間の接触界面は、外側ベース面114と第2の面109の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%にわたって延在することができる。
【0046】
さまざまな連結機構(例えば、機械的、化学的、または生物学的)を使って、支持域102、中間域106、およびベース域112の各々を互いに、または周囲の生来の軟骨組織または骨(例えば、ベース域112の下の骨116)に、連結することができる。
図8A~
図8Hに関して説明され、示された連結機構のいずれも、移植片100で使用することができる。適切な連結としては、杭構造(例えば、中間域106の成形された第1の面108または第2の面109における単一の杭または複数の杭)、スパイク、フック、ねじ、接着剤、化学的接合剤、縫合糸、逆とげ、プラグ、または他の形態の相互嵌合または当業者にとって既知の機構が挙げられる。連結機構は、移植片100の区域のいずれにも一体的に形成することができ、または別々の材料を含むこともできる。
【0047】
第1の厚さ103、第2の厚さ107、または第3の厚さ113のいずれも、高さを1mm~10mm、1mm~9mm、1mm~8mm、1mm~7mm、1mm~6mm、1mm~5mm、1mm~4mm、1mm~3mm、1mm~2mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、または約10mmとすることができる。
【0048】
移植片100および各層は、特定の形状を有することができる。例えば、移植片100またはある区域の形状は、製造中に作成することができるし、隣接する区域または生来の組織/骨の形状への適合から生じることもできる。いくつかの実装例では、移植片100は、支持域102、中間域106、およびベース域112を通って延びる中心軸を含み、支持域102、中間域106、およびベース域112は、それぞれ軸を有し、中心軸に沿って同軸上に整列する。
【0049】
いくつかの実装例では、第2の厚さ107は、第1の面108に沿った第1位置で第2の面109と第1の面108との間に延びる第1の高さと、第1の面108に沿った第2位置で第2の面109と第1の面108との間に延びる第2の高さと、によって可変である。第1の高さは外周110に沿った位置で最大とすることができ、第2の高さは外部表面111内の位置で最大となる。例えば、外部表面111内の位置で最大となる第2の高さは、支持域102の軸、中間域106の軸、またはベース域112の軸と同軸上に整列することができる。上述のように、外部表面111は凸状または凹状とする一方で、第2の面109は平坦状として、中間域106がそれぞれ、平凸状(例えば、
図3B、
図4A、および
図4Bに示すように)、または平凹状(例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように)となるようにすることができる。最大の第2の高さから外周110に向かって、外部表面111に沿って延在するテーパー領域をとることができる。テーパー領域が凹状の輪郭/曲面を形成するように、最大の第1の高さを最大の第2の高さよりも高くすることができる。あるいは、テーパー領域が凸状の輪郭/曲面を形成するように、最大の第1の高さを最大の第2の高さよりも低くする。外部表面111は、外部表面111にわたって放射状に延在する隆起領域を含むことができる。複数の隆起部が下面105内に突き出てもよい。いくつかの実装例では、外部表面111はそれぞれ異なる曲率半径を有する複数の領域を含む。例えば、それらの領域は、平坦面、凹状面、凸状面、傾斜面、隆起面、または尖形面のうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0050】
移植片100および外周110はさまざまな形状を有することができる。形状は、可動関節などの関節部の軟骨組織の損傷部を取り囲んだり、包み込んだりするように選択してもよい。移植片100および外周110の適切な形状が、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示される。ただし、移植片100を使って修復する所定の損傷または部位の大きさや形状に合わせて、他の形状を必要に応じて使用することができる。外周110は、移植片100の中心軸の周りを円周方向に延びる曲線縁を含むことができる。
【0051】
移植片100はさまざまな大きさをとることもでき、それに応じて、異なる実装例に従って、個々の区域が大きさを変えることができる。例えば、第1の厚さ103、第2の厚さ107、または第3の厚さ113は、それぞれ0.01mm~25mmの間、1mm~20mmの間、5mm~15mmの間、3mm~4.5mmの間、5mm~10mmの間、約1mm、約5mm、約10mm、または約15mmのうちの1つ以上の高さを有することができる。上記で説明したように、第2の厚さ107または他の厚さは、高さも変えることができる。第1の厚さ103、第2の厚さ107、または第3の厚さ113は、外周110に沿った位置に、それぞれ0.01mm~10mmの境界高さを有することができる。境界高さは、0.1mm~5mm、0.2mm~5mm、1mm~5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、または約5mmとすることができる。いくつかの実装例では、第1の高さは約1mmである。いくつかの実装例では、第1の厚さ103、第2の厚さ107、または第3の厚さ113は、境界高さが0.1mm未満となるように、外周110に向かって先細であるが、移植片100は、外周から離れて境界の中に配置された厚さが、境界高さよりもさらに高い、例えば、境界高さよりも2倍から10倍の間で高い。別の方法として、その厚さを、境界高さが境界内の内部の厚さの高さよりも高くなるように、内方へ先細にすることができる。支持域102および中間域106は、1mm~10mm、2mm~8mm、4mm~6mm、または約5mmの軸方向長さにわたって、外側ベース面114から適合面104まで軸方向に延在することができる。移植片100の幅を(または、その外周110が取り囲むことができる領域を)、5mm~25mm、5mm~15mm、または約10mmとすることができ、移植片100は中心軸に垂直に交差するように整列することができる。
【0052】
上述のように、中間域106の剛性は支持域102の剛性よりも大きく、ベース域112の剛性は中間域の剛性よりも大きく、その結果、通常の軟骨組織および骨軟骨単位に見ることができるものと同様の、支持域からベース域にかけて大きくなる剛性勾配を提供する。区域間の剛性の変化は極めて高くすることができる(例えば、剛性は20%~2,000%以上で変化することができる)。いくつかの実装例では、支持域の剛性は40MPa~150MPaである。いくつかの実装例では、中間域の剛性は50MPa~500MPaであり、一方、いくつかの実装例では、ベース域の剛性は1.5GPa~11GPaである。いくつかの実装例では、中間域の剛性は、支持域の剛性の少なくとも1倍~20倍、1倍~15倍、1倍~10倍、1倍~5倍、5倍~10倍、10倍~15倍、15倍~20倍、約1.25倍、約2倍、約5倍、約10倍、約15倍、または約20倍である。いくつかの実装例では、ベース域の剛性は、第2の剛性の少なくとも3倍~25倍、5倍~20倍、5倍~15倍、5倍~10倍、10倍~15倍、15倍~20倍、20倍~25倍、約3倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、または約25倍である。第1の剛性、第2の剛性、および第3の剛性のいずれも、第1の剛性、第2の剛性、および第3の剛性を通して延びる剛性勾配を有することができる。例えば、支持域102は、下面103から適合面104まで延びる、1kPa/mm以上の剛性勾配を有することができる。剛性勾配は、0.1kPa/mm、1kPa/mm、5kPa/mm、もしくは10kPa/mm以下、またはより大きくすることができる。区域間の剛性の相対的差異が高いと、移植片100に対向する関節部の面によって生理学的負荷がかけられるときに、その生理学的負荷の分布が悪くなり(
図10参照)、移植片100または周囲の生来の組織へ損傷を与える危険性の上昇につながり得る。層にわたるより緩やかな剛性勾配、且つ周囲の組織と一致する剛性勾配を作ることにより、負荷が、移植片と周囲の組織の間に円滑な遷移を生み出すように、移植片100全体に生来の組織と連結して、より良く分布することができ、また移植片の軸方向の構造を安定させるように、移植片内で横方向に力を分布させることができる。特定の実装では、支持域102は平均剛性が約100MPa、中間域106は平均剛性が約250MPa、ベース域112は平均剛性が約5GPaである。
【0053】
移植片100は、可動関節(例えば、膝、股関節、足首、足指、母指、手首、肘、肩)内の関節軟骨組織のような、体内のさまざまな部位での軟骨組織修復に適している。適切な部位としては、大腿遠位部、脛骨近位部、膝蓋骨、脛骨遠位部、腓骨遠位部、踵骨、距骨、脛腓関節、上腕骨近位部、関節窩、大腿近位部、骨盤、上腕骨遠位部、尺骨近位部、橈骨近位部、橈骨遠位部、尺骨遠位部、手根骨、中手骨遠位部、基節骨、および当業者にとって既知の他の軟骨組織が挙げられる。本明細書中に開示された技法で修復可能な他の関節接合する関節部面としては、脊椎円板(髄核)、脊椎小関節面、膝の半月板が挙げられる。移植片100は、人間ならびに軟骨組織、特に関節軟骨組織を有する他の生物への移植に適している。
【0054】
移植片100は、いずれかのまたはすべての区域の圧縮率を調整することで、生理学的負荷のもとで一定量、変形するように設計することができる。例えば、支持域102は、生理学的負荷のもとで2%から25%の間で変形し、その負荷を取り除くと変形の70%超の回復を繰り返すことができる能力を有するように構成することができる。中間域106は、生理学的負荷のもとで2%から10%の間で変形し、生理学的負荷を取り除くと変形の70%以上の回復を繰り返すことができるように構成してもよい。支持層および中間層が連結される場合、移植片100は、生理学的負荷のもとで5%から20%の間で変形し、80%以上の回復を繰り返すことができる能力を有することができる。いくつかの実装例では、繰り返し可能な回復は95%以上である。特に膝の場合、膝関節を介する標準的な最大の生理学的負荷は、ウォーキング中は体重の2~4倍(例えば、3.1BW)、ジョギング中は体重の4~6倍(例えば、5.5BW)、座る・立つ・座るを行う間は体重の2~5倍、階段を上る間は体重の4~6倍、およびランニング中は体重の7~12倍である。例えば、膝の移植片に作用する標準的な負荷(Bergmann G, Bender A, Graichen F, et al. Standardized loads acting in knee implants. PLoS One. 2014;9(1) (doi:10.1371/journal.pone.0086035))、および全人工膝関節置換術の負荷プロファイルの標準ガイド(ASTM F3141-17a Standard Guide for Total Knee Replacement Loading Profiles)を参照されたい。従って、膝関節に移植されると、移植片100は、膝関節へのこれらの最大の生理学的負荷のもとで上記の変形をたどる。
【0055】
移植片は、軸対称または1つ以上の鉛直面に沿って対称とすることができる。例えば、移植片は、単一の曲率半径を有する外面上に半球体形状を有する円筒状とすることができる。あるいは、2つ以上の曲率半径を有することができる。いくつかの実装例では、移植片は1つの平面にある曲率半径を有し、垂直な平面により大きな曲率半径を有することで、一方向をより多く「傾斜」させて、垂直な平面をより少なく傾斜させることができる。膝の顆などの生得の関節面では、2つの主要な曲率面があり得る。その一方は膝の屈曲/伸展軸に沿っており(「長半径」と称する)、他方はこの面に対して垂直で、より小さな曲率半径を有する(「短半径」と称する)。これらの曲率半径は、関節面の正確な位置に応じて変化することもできる。例えば、移植片は、周囲の関節面の曲率を近似する骨軟骨欠損の中に設置してもよい。関節部内部では時間と共に、適合面または支持域は、生理学的負荷のもとで新しい形になる。例えば、適合面または支持域は、滑らかな上面が周囲の関節面の曲率半径を呈するように新しい形になる(
図4A/4Bおよび
図5A/5B)。本開示の生体模倣骨軟骨移植片は、略凸状の関節面、略凹状の関節面、略平坦状の関節面、または凸状および凹状の両方の曲率を有する関節面を含む、いかなる関節部形状にも適合できる。このように、移植片は例えば、周囲の関節面の形状に応じて、凸状で始まり、より凸状になったり、平坦状になったり、凹状になったりすることができるし、平坦状で始まり、凹状または凸状になることもできるし、凹状で始まり、さらにいっそう凹状(より急勾配で湾曲する)こともできる。いかなる方法によっても、移植片は、生理学的負荷がかかったときに、移植片の表面の輪郭が生来の表面の輪郭に一致するように設計することができる。
【0056】
単一の曲率半径を有する軸対称の移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる曲率半径を有する移植部位に挿入することができる。移植後、移植片の適合面または支持域は生理学的負荷のもとで新しい形になり、移植片の曲率半径は生得の軟骨組織の曲率半径と実質的に一致し、移植片上およびその周りのすべての方向で修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0057】
いくつかの実装例では、単一の曲率半径を有する軸対称の移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる2つの曲率半径を有する移植部位に挿入する。移植後、移植片の適合面または支持域は生理学的負荷のもとで新しい形になり、生得の軟骨組織の曲率半径と一致する2つの曲率半径の輪郭を示し、移植片上およびその周りの修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0058】
いくつかの実装例では、2つの異なる、垂直な曲率半径を有する移植片を、生得の軟骨組織が移植片とは異なる2つの曲率半径を有する移植部位に挿入する。移植後、移植片の適合面または支持域は生理学的負荷のもとで新しい形になり、生得の軟骨組織の曲率半径と一致する2つの曲率半径の輪郭を示し、移植片上およびその周りの修復された関節部に、曲率の滑らかな連続性をもたらす。
【0059】
図1A~
図1Cで示されているものは3つの区域を有しているが、本明細書中に提供される多層移植片は、三層より少なくても、多くてもよいことが理解されるべきである。
図2Aは、上述した移植片100の例示的実装例に係る二層の生体模倣骨軟骨移植片200(外観図)を示し、
図2Bは、
図2Aの二層の生体模倣骨軟骨移植片200の断面図である。移植片200は、支持域202と、ベース域206とを含む。支持域202は、第1の厚さ203と、適合面204と、下面205とを有する。ベース域206は、第2の厚さ207と、外側ベース面208と、内側ベース面209とを有する。
図2Aおよび
図2Bは、凸形状の適合面204、下面205、および外側ベース面208を示し、移植片200に全体として平凸形状をもたらしているが、移植片200が平凹状または平面状となるように、移植片200をそれぞれ凹状の面または平坦な面を持つように形成することもできることが理解されるべきである。移植片200の区域および面の各々は、前述の移植片100の区域および面の要素または性状のいずれも有することができる。移植片200は円筒形または楕円筒形を有しているように見えるが、移植片200は、限定はしないが、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示されるいずれの形状も含む、他の形状を有することができることが理解されるべきである。
【0060】
図3Aは、上述した移植片100の例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片300(外観図)を示し、
図3Bは、移植片300の断面図を示す。移植片300は、支持域302と、中間域306と、ベース域312とを含む。支持域302は、第1の厚さ303と、対向する関節面と結合するように構成された適合面304と、下面305とを有する。中間域306は、第2の厚さ307と、下面305に連結された成形された第1の面308と、第2の面309とを有する。ベース域312は、第3の厚さ313と、第2の面309に連結された外側ベース面314と、骨と結合するように構成された内側ベース面315と、を有する。下面305は、支持域302および適合面304が凸形状を呈するように、凸形状を有する成形された第1の面308と適合する。
図3Aおよび
図3Bは、凸形状の適合面304、下面305、および成形された第1の面308を示し、移植片300に全体として平凸形状をもたらしているが、移植片300が平凹状または平面状となるように、移植片300をそれぞれ凹状の面または平坦な面を持つように形成することもできることが理解されるべきである。移植片300の区域および面の各々は、前述の移植片100の区域および面の要素または性状のいずれも有することができる。移植片300は円筒形または楕円筒形を有しているように見えるが、移植片300は、限定はしないが、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示されるいずれの形状も含む、他の形状を有してもよいことが理解されるべきである。
【0061】
図4Aおよび
図4Bは、上述した移植片100の例示的実装例に係る三層の生体模倣骨軟骨移植片400で、生来の組織418(例えば、関節軟骨組織)と骨416とからなる骨軟骨の部位に移植されているものを示す。移植片400は、支持域402と、中間域406と、ベース域412とを含む。支持域402は、第1の厚さ403と、適合面404と、下面405とを有する。中間域406は、第2の厚さ407と、成形された第1の面408と、第2の面409とを有する。ベース域412は、第3の厚さ413と、外側ベース面414と、骨416に固定された内側ベース面415とを有する。生来の組織418は、
図4Aおよび
図4Bの破線によって表される生来の組織面ライン419を有する。移植片400の区域および面の各々は、前述の移植片100の区域および面の要素または性状のいずれも有することができる。移植片400は2次元で示しているように見えるが、移植片400は、限定はしないが、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示されるいずれの形状も含む、さまざまな3次元形状のいずれも有することができることが理解されるべきである。
【0062】
図4Aは、移植片400が、移植されて骨416に固定された後、生来の組織面ライン419からオフセットさせた状態を示す。移植片400の縁では、適合面404は生来の組織面ライン419より下に位置し、移植片400の中央では、適合面404は生来の組織面ライン419より上にはみ出している。このオフセットは、対向する関節部の面と関節接合されるときに、生来の組織418に対して、適合の不一致を生じさせる。
【0063】
この適合の不一致により、戦略的に、生理学的負荷が加わる間または加わった後に、移植片400は生来の組織面ライン419を近似できるようになる。このように、移植片400は、周囲の生来の組織418と連続的に、対向する関節部の面と密接に関節接合し、移植片400または周囲の生来の組織418への長期的なダメージを最小限に抑える有利な模倣効果をもたらす。
図4Bは、移植片400の生来の関節部の面との適合が向上され、今では本来の組織面ライン419を綿密に近似する、負荷が加わった後の移植片の理想的な曲率を示す。
【0064】
図5Aおよび
図5Bは、上述した移植片100の例示的実装例に係る凹状の生体模倣骨軟骨移植片500を使用した際に、同じ効果がどのように得られるかを示す。移植片500は、支持域502と、中間域506と、ベース域512とを含む。支持域502は、厚さ503と、適合面504と、下面505とを有する。中間域506は、厚さ507と、成形された第1の面508と、第2の面509とを有する。ベース域512は、厚さ513と、外側ベース面514と、骨516に固定された内側ベース面515とを有する。形状が凹状の対向する関節部の面520は、適合面504の上に配置される。移植片500の区域および面の各々は、前述の移植片400の区域および面の要素または性状のいずれも有することができる。移植片500は2次元で示されているが、移植片500は、限定はしないが、
図7A~
図7Dおよび
図9A~
図9Jに示されるいずれの形状も含む、さまざまな3次元形状のいずれも有することができることが理解されるべきである。
【0065】
図5Aでは、移植片500が移植され、対向する関節部の面520の生理学的負荷はまだ加えられていない。負荷を加える前、移植片500の外縁では、適合面504は生来の組織516の面に、または生来の組織516の面より下に位置し、移植片500の中央では、適合面504はより厚くなって、上記で説明されているように、対向する面520との適合に同様の不一致を生じる。
【0066】
図5Bは、対向する関節部の面520を介して生理学的負荷が加えられたときに、移植片500がどのように生来の組織518の生来の組織ラインに適合して、移植片500が対向する関節部の面520と密接に関節接合できるかを示す。これは、生理学的負荷が加わる間、移植片500および周囲の軟骨組織への長期的なダメージを最小限に抑える利点がある。例えば、支持域を形成する二相ポリマーは、機械的な負荷が移植片にわたって均等に分布されるように、圧縮時に(すなわち、対向する関節部の面によって)支持域の中に再分布する、複数の構造分子(例えば、ポリマー鎖)および水組成を有することができる。
【0067】
図6Aおよび
図6Bは、上述した移植片100の例示的実装例に係る、移植片600の3次元形状(または、適合面604などの移植片600の一部の形状)の例を示す。各例において、移植片604は適合面604を有し、骨軟骨の部位に移植されている。生来の組織618は、少なくとも部分的に、骨616に固定された移植片600を包囲する(例えば、取り囲む、外周に沿って接触界面を形成する、または移植片600の辺を包み込む)。移植片600は多層式で、例えば、上述したように、二層または三層式である。移植片600は、上述のいずれの例に記載されたいずれの移植片(
図1の移植片100など)の区域または性状であっても有することができる。移植片600は、代表的な凸状の関節部の面618で示されるが、生来の組織のいかなる曲率にも合うように調整することができる。
【0068】
図6Aは、円形の移植片600(または、少なくとも円形の適合面604)を説明する。円形の移植片600は、関節軟骨組織の点状欠損の修復に特に有用となり得る。円形の移植片600は、特定の状況(例えば、特定の関節部または関節部の面)に合うように必要に応じて、凹状、平坦状、凸状、またはそれらの任意の組み合わせの形状の面を有することができる。
【0069】
図6Bは、長円形または楕円形の移植片600(または、少なくとも長円形または楕円形の適合面604)を説明する。長円形または楕円形の移植片600は、1つ以上の方向で軟骨組織の面にわたって延びる関節軟骨組織の欠損の修復に特に有用となり得る。長円形または楕円形の移植片600は、特定の状況(例えば、特定の関節部または関節部の面)に合うように必要に応じて、凹状、平坦状、凸状、またはそれらの任意の組み合わせの形状の面を有することができる。本明細書中に開示された関節部修復移植片および手術は、部分的な関節部修復手術(例えば、一部(例えば、1つの顆面)を置き換える、または再形成する「単一」モデル)、複合関節部修復手術(例えば、複数の顆面)、または移植片が隣接する関節接合する面の両方に適用される、関節部の片側または両側の完全な修復手術(例えば、全人工膝関節手術)として、適用することができる。いくつかの実装例では、移植片(600など)は、関節部の面の大部分にわたって、例えば、関節部の関節接合する面の領域の5%超、10%超、20%超、または関節接合する面の少なくとも50%、またはそれ以上にわたって、放射状に延在する大きな欠損を修復するのに有用となり得る。
【0070】
図7A~
図7Dは、本明細書中に提供される骨軟骨の移植片のさらなる形状を表す。
図7A~
図7Dの各々は、移植片700の適合面704を上から見下ろした図であり、外周の2次元視を示す。各形状は、異なる関節部または欠損に対するニーズに基づき、選択してもよい。上述において提供された移植片のいずれも、これらの形状に調整することができる。例えば、損傷部の領域が生来の軟骨組織にわたって占めることがあり得るが、移植片700の形状は、その損傷部の占める領域を完全に取り囲むように選択してもよい。
【0071】
図7Aは円形の移植片700を示す。
図7Bは楕円形の移植片700を示す。
図7Cは長円形の移植片700を示す。
図7Dは「クローバー」形の移植片700を示す。クローバー形は、2つの重ね合わせた楕円形または長円形から形成することができる。他の適切な形状としては、多角形、正多角形、または無定形のものが挙げられる。他の移植片形状は、本開示を審査したうえで、当業者には明白になるであろう。
【0072】
図8A~
図8Iは、本明細書中に提供される移植片で使用する連結機構822のさまざまな例の断面図を示す。各例において、連結機構822は、第1の層802を第2の層806に連結するが、機械的な連結、化学的結合、生物学的な貼り合わせ、もしくはそれらの組み合わせ、または任意の他の適切な連結とすることができる。第1の層802または第2の層806は、本明細書中に説明されている支持域、中間域、ベース域、ベース構成物、または骨(すなわち、
図1A~
図5Bの任意の層/区域)のいずれにすることもできる。例えば、連結機構822は、支持域102を中間域106に(すなわち、下面105と成形された第1の面108(または外部表面111)との間を)、中間域106をベース域112に(すなわち、第2の面109と外側ベース面114との間を)、またはベース域112を骨116に(すなわち、内側ベース面115と骨116との間を)、連結することができる。移植片で2つ以上の層を連結するために、連結機構822のいずれも組み合わせることができる。一部の連結機構は、多数の特徴部(例えば、多数の杭、より糸、スパイク、張り出し、逆とげ、ねじ、フック、接着剤スポット、または他の連結ユニット)を備える。連結機構822は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、または少なくとも1000の機能(例えば、杭、より糸、スパイク、張り出し、逆とげ、ねじ、フック、他の形態の相互嵌合、もしくは接着剤スポット、またはそれらの組み合わせ)を備えることができることが理解されるべきである。機能は、第2の層806または第1の層802にわたって規則的なパターンで分散することができ、あるいは機械的または生物学的な連結のための表面積の増加を提供するように、ランダムに配置されてもよい。機能は、ピコスケール、ナノスケール、マイクロスケール、またはミリスケールの寸法を有することができる。例えば、連結機構822は、1pm~1000pm、1nm~1000nm、1μm~1000μm、または1mm~20mmの高さ、幅、または長さを有してもよい。連結機構822は、第2の層806に一体的に形成することができるし、分離した構成物として構成することもできる。
【0073】
図8Aは、第2の層806から第1の層802の中に(またはその逆に)延びる複数の杭を有する、杭構造を含む連結機構822を示す。例えば、第2の層806は
図1のベース域112であり、移植および固定に際して、第1の層802である骨116の中に内側ベース面115から延びる杭を有する。いくつかの実装例では、杭は、圧入を使用して第1の層802に予め製造された空洞に延びる。あるいは、杭は、第1の層802の中に入り込んで、空洞を形成するように構成することができる。杭としては、
図8C~
図8Gに示して詳述されるように、スパイク、張り出し、逆とげ、ねじ山、またはフックが挙げられる。杭は、第1の層802に真っすぐ延びることができるし、曲率または角度を有することもできる。例えば、杭は、各杭が少なくとも1つの他の杭と互いにかみ合うように、第1の層802内で互いに組み合わせることができる(例えば、2つの手の間で指を組み合わせるように)。
【0074】
図8Bは、第1の層802を第2の層806に連結する、より糸またはワイヤーを備える連結機構822を示す。外科縫合糸または形状記憶ワイヤーのような、任意の適切なタイプのより糸、ワイヤー、または縫合糸を使用することができる。より糸またはワイヤーは、例えば、手術針または他の適切な縫合機構を使用して、第1の層802と第2の層806との間を縫合することができる。いくつかの実装例では、より糸またはワイヤーは、移植片の製造または移植の間に導入され、その後、層が互いに結合または連結された後に取り除かれる。例えば、第2の層806が骨であり、第1の層802が多孔質のベース域であるとき、連結機構822は移植の間にそれらの層を一緒に保持する。移植後、新しい成長が移植片を固定するように、骨が多孔質のベース域の中に成長すると、連結機構822はもう不要となり、取り除くことができる。
【0075】
図8Cは、第2の層806から第1の層802の中に延びる、複数のスパイクを備える連結機構822を示す。スパイクは、円錐形、四角錘形、または他の適切な形状を有することができる。スパイクは真っすぐ延びて示されているが、スパイクは第1の層802内に入り込んで固定するために湾曲する、または柔軟性を持つこともできる。いくつかの実装例では、スパイクとしては、張り出し、逆とげ、ねじ山、またはフック(
図8D~
図8Gに示すもの)が挙げられる。
【0076】
図8Dは、第2の層806から第1の層802の中に延びる、張り出しを有する複数の杭を備える連結機構822を示す。張り出しのある杭は、「柄」から放射状に外方に延びる「かさ」を有するキノコのように成形することができる。張り出しは、第2の層806を第1の層802に差し込む働きをする。
【0077】
図8Eは、第2の層806から第1の層802の中に延びる、複数の逆とげのある杭を備える連結機構822を示す。図示される逆とげのある杭は、2つ以上の逆とげを有するが、逆とげのある杭は、少なくとも1つの逆とげ、少なくとも2つの逆とげ、少なくとも3つの逆とげ、少なくとも4つの逆とげ、少なくとも5つの逆とげ、またはそれ以上を備えることができることが理解されるべきである。
【0078】
図8Fは、第2の層806から第1の層802の中に延びる、複数のねじ山付きの杭またはねじを備える連結機構822を示す。ねじは、機械ねじ(均一の径を有する。図示せず)、またはテーパーねじ(
図8Fに示すように鋭い先端を有する)とすることができる。連結822は、ねじを受けるためのねじ山付き空洞をさらに含むことができる。
【0079】
図8Gは、第2の層806から第1の層802の中に延びる、複数のフックを備える連結機構822を示す。フックは、1つのフック先端を有して示されているが、複数のフック先端を有して構成することができる。第1の層802は、移植の製造の間、連結機構822のフックを受け止める、複数のソケットまたはループなどの受け機構を有して構成することができる。
【0080】
図8Hは、第1の層802と第2の層806との間に接着剤または結合層を備える連結機構822を示す。接着剤(層)は、支持域102、中間域106、およびベース域112などの上述してきた区域を構成するものではない。接着剤または結合層は、例が後述される粘着性物質または結合剤を含むことができるし、第1の層802と第2の層806とを構成するために使用される物質間の化学的結合を表すこともできる。例えば、結合層は、第1の層802と第2の層806との間の共有結合を表す。連結機構822は、第1の層802と第2の層806との間の接触界面の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または約100%にわたって延在する、連続的な接着剤または結合層を備えることができる。あるいは、接着剤または結合層は、第1の層802と第2の層806との間に、間隙をあけた複数の接着剤または結合剤のスポットを含む。適切な結合剤および接着剤は、材料のセクションで後述する。
【0081】
図8Iは、第1の層802に設けられた複数の細孔を備える連結機構822を示す。細孔は、例えば、移植片の製造中に、または移植後の骨/組織の細孔への成長によって、対向面との相互嵌合を可能にする。細孔は、製造中に(例えば、第2の層806を少なくとも部分的に構成する材料を細孔に注入することによって)、または経時的な細孔への材料の成長またはクリープによって充填されてもよい。例えば、第2の層806は、骨(例えば、軟骨下骨または海綿骨)とすることができるが、移植片がその骨に移植された後、骨は、移植片のベースとなり得る第1の層802の細孔の中に成長する。第2の層806と結合する第1の層802の面では、複数の細孔が、大まかで無作為にしかれた境界またはへりを形成してもよい。細孔は、界面で連結の堅牢性を高める、第1および第2の層の相互嵌合により、連結にとって有利となり得る。
【0082】
図示を省略したさらなる連結機構としては、隆起、細孔、支柱、溝、角錐、または表面に質感を持たせる他の形態が挙げられる。
【0083】
上記で
図1Aおよび
図1Bに関して説明されているように、本明細書中に提供される生体模倣骨軟骨移植片は、対向する関節部の面と結合するように成形された1つ以上の面(例えば、支持域102などの支持域の適合面または外向きの面として)、または中間面としての1つ以上の面を備えることができる。中間面は、その中間面に隣接して設けられた他の層に形を伝えるように構成される(例えば、支持域102の下面105などの、支持域の下側を成形する)。
図9A~
図9Jは、特定の関節部または欠損に使用できる、さらなる表面形状および移植片形状を示す。
図9A~
図9Jの形状は、本明細書中に説明されている層または区域のいずれにも適用することができる。
【0084】
図9A~
図9Dは、厚さ907と、外周910および面911を有する成形された第1の面908と、成形された第1の面908の反対側に配置された第2の面909と、を有する円形または楕円形の層906を示す。
図9Aでは、第1の面908は平坦状である一方で、
図9Bおよび
図9Dでは、第1の面908はそれぞれ、凸状および凹状である。
図9Bおよび
図9Dの第1の面908は、鞍形を作るために、凸状および凹状の曲面の対向する方向に逆に湾曲することができることが理解されるべきである。
図9Cは、面908が凹状領域と凸状領域とを有する実装例を示す。第1の面908および第2の面909の両方が平坦状であるが、面911が第2の面909に対して対角線上に(例えば、傾斜して)配置され、第1の面908の平面が、あるラインで第2の面909の平面に交差する他の実装例は、図示が省略される。図示が省略される他の実装例としては、鞍形(すなわち、第1軸に沿って凸状、および第1軸に垂直な第2軸に沿って凹状)を有する、成形された第1の面908がある。他の形状は、当業者には、または固有の関節部または欠損のために移植片を設計する際に、明白になるであろう。
【0085】
図9Eおよび
図9Fは、厚さ907と、外周910および面911を有する成形された第1の面908と、成形された第1の面908の反対側に配置された第2の面909と、を有する細長い長円形または楕円形の層906を示す。
図9Eでは、第1の面908は平坦状である一方で、
図9Fの第1の面908は、凹状領域928と凸状領域929とを有する。長円形または楕円形の層906は、凹状のみ、凸状のみ、傾斜状、または鞍形の面911を有する第1の面908を備えてもよい。
【0086】
図9G~
図9Jは、厚さ907と、外周910および面911を有する成形された第1の面908と、成形された第1の面908の反対側に配置された第2の面909と、を備える正方形または長方形の層906を示す。
図9Gは、平坦な第1の面908を示す。
図9Hおよび
図9Iは、それぞれ凹状および凸状の第1の面908を示す。
図9Jは、凹状領域928と凸状領域929とを有する第1の面908を備える。正方形または長方形の層906は、傾斜状または鞍形の面911を有する第1の面908を備えてもよい。
【0087】
材料
上述したように、
図1Aの移植片100の支持域102などの、生体模倣骨軟骨移植片の1つ以上の層は、いくつかの実装例では、流動性を有する熱可塑性ポリマーを含むことができる。適切な熱可塑性ポリマーとしては、限定はしないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロイド、酢酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、カイデックス、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリアクリレート(アクリル)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PAまたはナイロン)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、スペクトラロン、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびポリウレタン(PU)が挙げられる。本明細書中に説明するように、さまざまなハードセグメント、ソフトセグメント、および鎖延長剤組成を有する、多種多様なポリウレタンを使用することができる。
【0088】
いくつかの実装例では、熱可塑性ポリマーは、ハードセグメントおよびソフトセグメントの網目を含む熱可塑性ポリウレタン系ポリマー(例えば、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン尿素、シリコーンポリエーテルウレタン、またはシリコーンポリカーボネートウレタン)であり、この網目は、ソフトセグメントが膨潤される一方で、ハードセグメント材にはほとんど影響しないように、開始剤および架橋剤と一緒に、モノマーおよび任意の溶剤で膨潤してもよい。この膨潤プロセスは、ポリマーの溶解ではなく、むしろ、ハードセグメントが物理的な架橋として機能して、ソフトセグメントがモノマーおよび任意の溶剤によって吸収されるにつれて、材料を結び付ける。モノマーの重合および架橋結合の後、第1の網目の存在下で第2高分子網目が形成され、第2高分子網目(すなわち、重合されたモノマー)が主として第1のポリマーの柔らかい非結晶質の領域内に隔離された、IPNまたは半IPNを作り出す。ある程度の分子内転位およびさらなる相分離にも拘わらず、ハードセグメントは大部分が秩序をもって結晶性を保ち、材料に構造および強度を提供する。このようなプロセスにより調製された新たな性状は、導入されていた重合されたモノマーの性状、および、いくつかの実装例では、その後に導入される重合されたモノマー(例えば、カルボン酸含有モノマー)の改質に依存する。このような新たな性状の例としては、滑らかさ、伝導性、硬度、吸収性、浸透性、光反応性、および熱反応性が挙げられる。
【0089】
ポリウレタンポリマーを作成するために、任意の数の化学的構造および化学量論を使用することができる。例えば、ハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、イソホロンイソシアネート(IPDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、メチレンビス(p-シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチルジイソシアネート、またはメチレンビス(p-フェニルイソシアナート)から形成されてもよく、ソフトセグメントは、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびポリブチレンオキシド(PBO))、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリテトラメチレンアジペート、ポリイソブチレン、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)から形成されてもよい。イソシアネートと反応する末端基を使用する場合、任意の数のテレケリックポリマーをソフトセグメントで使用することができる。例えば、ヒドロキシルまたはアミン末端ポリ(ビニルピロリドン)、ジメチルアクリルアミド、カルボン酸またはスルホン酸化ポリマー、テレケリック炭化水素鎖(ヒドロキシルおよび/またはアミン末端基を有する)、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、またはこれらの、互いに、または上記で言及した他のソフトセグメント(例えば、PDMS)と、組み合わせたものを使用することができる。
【0090】
鎖延長剤としては、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレンジアミン、4,4′-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、エチレングリコール、およびヘキサンジオールが挙げられる。任意の他の相溶性のある鎖延長剤を単独で、または組み合わせて使用することができる。鎖延長剤の架橋結合は、イソシアネート反応性末端基(例えば、ヒドロキシルまたはアミン)を含んで使用することができ、ビニル系官能基(例えば、ビニル、メタクリレート、アクリレート、アリルエーテル、またはアクリルアミド)は、鎖延長剤の一部またはすべての代わりに使用することができる。例としては、1,4-ジヒドロキシブタンおよびグリセロールメタクリレートが挙げられる。あるいは、架橋結合は、イソシアネートとの反応のために、3つ以上のヒドロキシル基を含む、グリセロールなどのポリオールを用いて達成することができる。
【0091】
いくつかの実装例では、モノマーはカルボン酸含有モノマーである。第2高分子網目を形成するために使用する適切なカルボン酸含有モノマーは、(1)熱可塑性ポリマー(例えば、ポリウレタン)を溶解することなく膨潤可能である、および(2)重合可能である、といった特性を備える。非限定的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、リノレン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらの組み合わせが挙げられる。緩衝化した水溶液での任意の膨潤の後、混合アニオンIPNまたは半IPNの第2網目がイオン化され、混合アニオンIPNまたは半IPNは水膨潤して滑らかになる。このように、そうでなければ疎水性の材料に、親水性(すなわち、吸水性)を導入することができる。ポリウレタンまたはABSなどの疎水性のポリマー材料は、水を吸収するように、さまざまな混合アニオンポリマー(例えば、非誘導体化カルボン酸基および誘導体化カルボン酸基の組み合わせからなるポリマー)に浸潤させることができる。いくつかの実装例では、第2高分子網目を形成するために、さらなるコモノマーを使用する。さらなるコモノマーは、イオン性または非イオン性とすることができる。非イオン性モノマーの例としては、限定はしないが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0092】
官能基は、例えば、IPNのポリ(カルボン酸)(例えば、ポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸))に存在するペンダントカルボン酸基を官能基で置き換えることで、カルボン酸基を含む第2高分子網目を備えるIPNまたは半IPNに組み込むことができる。いくつかの実装例では、官能基はスルホン酸基であり、スルホン酸基は、例えば、アミド結合がポリ(カルボン酸)のカルボン酸基とアミノスルホン酸化合物のアミン基との間に形成されるように、固形物のカルボン酸基をアミノスルホン酸化合物と反応させることで、IPNまたは半IPNをスルホン酸含有化合物と反応させることにより、カルボン酸基を含むIPNまたは半IPNに組み込むことができる。いくつかの実装例では、アミノスルホン酸化合物は、式(H2N)xR(SO3H)yの化合物またはその塩である。ここで、Rは有機部分、xは正整数、yは正整数である。特定の実装例では、xは1~10、一般的に1~5までの範囲に及ぶことができ(すなわち、xは1、2、3、4または5でよい)、yは1~10、一般的に1~5までの範囲に及ぶことができる(すなわち、yは1、2、3、4または5でよい)。いくつかの実装例では、式(H2N)xR(SO3H)yの化合物は、IPN内で分子の拡散を可能にする流体力学半径を有する。例えば、Rは、例えば直鎖状、分岐状または環状の炭化水素部分を含む炭化水素部分、または直鎖状、分岐状および環状の炭化水素置換基のうちの2つ以上の組み合わせを有する炭化水素部分とすることができる。炭化水素部分は、例えば、C1~C12炭化水素またはヘテロ原子を含有するポリマー/オリゴマーを含むポリマー部分とすることができる。特定の実装例では、炭化水素部分は、アルカン部分、アルケン部分、アルキン部分、芳香族部分、もしくはアルカン成分、アルケン成分、アルキン成分、または芳香族成分のうちの2つ以上の組み合わせを有する炭化水素部分から選択することができる。特定の実装例では、アミノスルホン酸は、1-炭化水素置換、2-炭化水素置換、1,1-炭化水素二置換、2,2-炭化水素二置換、および1,2-炭化水素二置換タウリンなどの、1-置換、2-置換、1,1-二置換、2,2-二置換、および1,2-二置換タウリンを含むタウリンおよびタウリン誘導体から選択することができる。ここで、置換炭化水素は、例えば、上述の炭化水素部分から選択することができる。他の実装例では、アミノスルホン酸化合物は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはアクリルアミドエタンスルホン酸の形成をもたらすものである。
【0093】
層としての使用に適したIPNおよび半IPN、ならびにその調製手順の例は、例えば、米国特許第8,883,915、10,457,803、10,752,168、10,792,392、および10,869,960号明細書に開示され、その内容全体が、本明細書中に完全に説明されるように、目的を問わず参照により組み込まれる。
【0094】
上述したように、
図1Aの移植片100の中間域106などの移植片の中間層は、関節部内で結合し、関節接合することになる外側の層よりも大きい剛性を有するポリマーで構成される。
【0095】
いくつかの実装例では、中間層は、第1前駆体および第2前駆体から形成される。いくつかの実装例では、中間層は、1つ以上の付加的な前駆体から形成することができる。第1前駆体は、第2化学官能基を有する第2前駆体との共有結合を形成して、共重合体の形成を可能にする、第1化学官能基を有する。第1前駆体は、第2前駆体および任意の付加的な前駆体と同様に、1つ、2つ、3つ、または4つ以上の化学官能基を有することができる。1つの前駆体上の第1、第2、および任意の付加的な化学官能基は、同じものとすることもできるし、異なるものとすることもできる。異なる前駆体上の官能基は、同じものとすることもできるし、異なるものとすることもできる。いくつかの実装例では、前駆体は、遊離基開始剤に反応して、または他の(例えば、イオン/アニオン)開始剤に反応して共有結合を形成することができる、化学官能基を有する。いくつかの実装例では、化学官能基は、エチレン性不飽和基(例えば、ビニル基)などの不飽和基とすることができる。
【0096】
いくつかの実装例では、化学官能基はアクリル基とすることができ、炭素-炭素二重結合と、炭素-炭素一重結合によって分離された炭素-酸素二重結合とを有することができる。「アクリルの」官能基は、例えば、α,β-不飽和カルボニル化合物から得ることができる。アクリル基を含む分子は、付加的な化学的部分で装飾することができる。前駆体で使用することができるアクリル基の例としては、限定はしないが、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートが挙げられる。
【0097】
前駆体で使用してもよい他のエチレン性不飽和基の例としては、アクリルアミドおよびメタクリルアミド(例えば、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N-アクリロイルアミド-エトキシエタノール、3-アクリロイルアミノ-1-プロパノール、N-tert-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-ジフェニルメチルアクリルアミド、N,N′-ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド)、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-(トリフェニルメチル)メタクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド)、酸アクリレート(例えば、塩化アクリロイル、4-アクリロイルモルホリン、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、アクリル酸2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチル、ベンジル2-プロピルアクリレート、アクリル酸ブチル、アクリル酸tert-ブチル、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、tert-ブチル2-ブロモアクリレート、アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、アクリル酸2-カルボキシエチル、アクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2-エチルヘキシルエーテルアクリレート、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸3-(ジメチルアミノ)プロピル、ペンタ-/ヘキサ-アクリル酸ジペンタエリスリトール、アクリル酸エチル、2-エチル-塩化アクリロイル、2-(ブロモメチル)アクリル酸エチル、エチルcis-(β-シアノ)アクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、2-エチルアクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、エチル2-プロピルアクリレート、エチル2-(トリメチルシリルメチル)アクリレート、アクリル酸ヘキシル、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、2-アセトアミドアクリル酸メチル、アクリル酸メチル、α-ブロモアクリル酸メチル、メチル2-(ブロモメチル)アクリレート、メチル3-ヒドロキシ-2-メチレンブチラート、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸メチル、ネオペンチルグリコールメチルエーテルプロポキシラート(2PO/OH)アクリレート、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、アクリル酸ペンタブロモフェニル、アクリル酸ペンタフルオロフェニル、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、大豆油、エポキシ化アクリレート、アクリル酸3-スルホプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、5,5-トリメチルヘキシルアクリレート、10-ウンデセニルアクリレート)、アクリル酸およびアクリル酸の塩(例えば、無水アクリル酸、2-ブロモアクリル酸、2-(ブロモメチル)アクリル酸、2-エチルアクリル酸、ハフニウムカルボキシエチルアクリレート、メタクリル酸、2-プロピルアクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、アクリル酸亜鉛、ジルコニウムアクリレート、ジルコニウムブロモノルボルナンラクトンカルボキシラートトリアクリラート、およびジルコニウムカルボキシエチルアクリレート)、アクリロニトリル(例えば、アクリロニトリル、酢酸1-シアノビニル、および2-シアノアクリル酸エチル)、ビスフェノールアクリル(例えば、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ビスフェノールAグリセロラートジメタクリレート、ビスフェノールAグリセロラート(1グリセロール/フェノール)ジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、およびビスフェノールFエトキシレート(2 EO/フェノール)ジアクリレート)、フッ素化アクリル(例えば、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,12,12,12-エイコサフルオロ-11-(トリフルオロメチル)ドデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ヘネイコサフルオロドデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ヘネイコサフルオロドデシルメタクリレート、メタクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル、アクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、アクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル、メタクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル、アクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルアクリレート、メタクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル、メタクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-5-ペンチルメタクリレート、および2-[(1′,1′,1′-トリフルオロ-2′-(トリフルオロメチル)-2′-ヒドロキシ)プロピル]-3-ノルボルニルメタクリレート)、マレイミド(例えば、2-[8-(3-ヘキシル-2,6-ジオクチルシクロヘキシル)オクチル]ピロメリット酸ジイミドオリゴマー、マレイミド末端、2-[8-(3-ヘキシル-2,6-ジオクチルシクロヘキシル)オクチル]ピロメリット酸ジイミドオリゴマー、マレイミド末端、N,N′-(o-フェニレン)ジマレイミド、N,N′-(1,3-フェニレン)ジマレイミド、およびN,N′-(1,4-フェニレン)ジマレイミド)、メタクリレート(例えば、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2-アミノエチル、メタクリル酸2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチル、メタクリル酸ベンジル、ビス(2-メタクリロイル)オキシエチルジスルフィド、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート、メタクリル酸2-(tert-ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、9H-カルバゾール-9-エチルメタクリレート、メタクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、メタクリル酸2-(ジイソプロピルアミノ)エチル、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2-エトキシエチル、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、フェロセニルメチルメタクリレート、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリコシルオキシエチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル2-(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2-イソシアナトエチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルクロリド(およそ95%純粋)、メタクリロイルクロリド、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルスルファート、2-(メチルチオ)エチルメタクリレート、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルマレアート、モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルコハク酸、メタクリル酸2-N-モルホリノエチル、1-ナフチルメタクリレート、メタクリル酸ペンタブロモフェニル、メタクリル酸ペンタフルオロフェニル、メタクリル酸フェニル、リン酸メタクリル酸2-ヒドロキシエチルエステル、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)2,4,6-トリス(1-フェニルエチル)フェニルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、メタクリル酸プロピル、1-ピレンメチルメタクリレート、ソルケタールメタクリレート、メタクリル酸ステアリル、3-スルホプロピルメタクリレート、メタクリル酸TEMPO、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2,4,6-トリブロモフェニル、3-(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、メタクリル酸トリエチレングリコールメチルエーテル、1,1,1-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-5-ペンチルメタクリレート、2-[(1′,1′,1′-トリフルオロ-2′-(トリフルオロメチル)-2′-ヒドロキシ)プロピル]-3-ノルボルニルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、メタクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、(トリメチルシリル)メタクリレート、メタクリル酸2-(トリメチルシリルオキシ)エチル、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、およびメタクリル酸ビニル)、ならびに、多官能アクリル(例えば、アクリルアミド:N,N′-メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル、リン酸ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、N,N′-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、N,N′-エチレンビス(アクリルアミド)、グリセロール1,3-ジグリセロレートジアクリレート、ジメタクリル酸グリセロール、グリセロールプロポキシレート、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、
ビス[6-(アクリロイルオキシ)ヘキサノエート]、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールプロポキシラート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、およびトリス[2-(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌラート、ならびにそれらの塩および変異、が挙げられる。
【0098】
いくつかの実装例では、層はウレタンジメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体から形成される。その例は、例えば、米国特許第9,750,842および10,519,270号明細書、ならびに米国特許出願公開第2020/0087440号明細書に開示され、その内容全体が、本明細書中に完全に説明されるように、目的を問わず参照により組み込まれる。ウレタンジメタクリレートは、例えば、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)から選択される、ソフトセグメントを含むことができる。ウレタンジメタクリレートは、例えば、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)から形成される、ハードセグメントを含むことができる。いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートは、約100Da~約5000Daの間(例えば、約200Da~約2000Da、約400Da~約1500Da、約650Da、または約1000Da)の1つ以上の分子量(Mn)を有するPTMOを基にしたソフトセグメントを含む。いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートは、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1:2:1、3:1、4:1または5:1のモル比などの定義されたモル比(例えば、1:1)で、約650Daの分子量を有するPTMOと、約1000Daの分子量を有するPTMOとの混合物を基にしたソフトセグメントを含む。PTMOの分子量は、層の剛性を調整するために変えることができる。
【0099】
上述したように、生体模倣骨軟骨移植片は、(例えば、
図8A~
図8Iに関して説明された連結機構のいずれかによって)移植後に骨と結合する、
図1Aの移植片100のベース域112などのベース層を有することができる。ベース層は多孔性とすることができる。ベース層は、適切な構造的および/または機械的性状を有する任意の生体適合材料から形成することができる。例えば、生体適合材料は、移植片が固定される骨の機械的性状を有するように選択することができる。材料の多孔度も、血管形成および骨の内部成長に有利になるように設計または選択することができる。
【0100】
いくつかの実装例では、ベース層は、超音波溶着振動、超音波エネルギー、レーザエネルギー、熱、無線周波エネルギー、および電気エネルギーで流動させることができる、硬く、再吸収可能ではない熱可塑性物質、例えば、ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、およびPEEK、から形成することができる。
【0101】
いくつかの実装例では、ベース層は、多孔性の骨、例えば、人間(同種移植片)または動物(異種移植片)からの海綿骨である。合成骨状材料が使用される場合、それは、多孔性のリン酸カルシウム(または、限定はしないが、多孔性の炭酸アパタイト、ベータ型リン酸三カルシウム、またはヒドロキシアパタイトを含む他の材料)、または多孔性の再吸収可能な熱可塑性物質または上述した再吸収可能ではない熱可塑性物質、から形成することができる。
【0102】
いくつかの実装例では、ベース層は、チタン、タンタル、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン合金(すなわち、ニチノール)、またはジルコニウム合金などの金属を含む。いくつかの実装例では、ベース層は多孔性チタンである。ベース層は、例えば、外側ベース面および内側ベース面の一方または両方に表面被膜を有する金属とすることができる。ベース層は、プラズマ溶射されたチタン被膜、またはプラズマ溶射されたセラミック被膜を、一面または両面に有してもよい。
【0103】
いくつかの実装例では、ベース層は、セラミック、例えば、再吸収可能なセラミックまたは再吸収可能ではないセラミックである。
【0104】
いくつかの実装例では、ベース層は、意図された解剖学的用途に応じて、追加の材料を含むことができる。例えば、非常に薄い海綿骨および皮質骨を有する肩甲骨の関節窩の欠損を修復するために移植片が使用される場合、骨の成長を誘発または誘引する材料をベース層に注入することができる。ベース層はまた、ねじ、ピン、アンカー、およびステムなどの機械的な締結手段(
図8A~
図8Iに示された/記載された連結機構のいずれかを含む)と組み合わせることもできるし、時間と共に生得の組織によって置き換えられるように設計された、再吸収可能ではない材料または再吸収可能な材料から形成することもできる。
【0105】
上述してきたように、結合剤(例えば、ポリマー接着剤、PMMAなどの骨セメント、エポキシ樹脂、接着剤、またはグラウト材)は、第1の層802(例えば、移植片100の内側ベース面115、二層の移植片200の外側ベース面208もしくは内側ベース面209、または三層の構成物300の内側ベース面315)と、第2の層806(例えば、骨、または移植片200の下面205)との間に塗布される。
【0106】
いくつかの実装例では、結合剤は、上記で説明された第1前駆体と第2前駆体とを含むポリマー接着剤である。いくつかの実装例では、結合剤は、ウレタンジメタクリレートとメチルメタクリレートとを含むポリマー接着剤である。塗布後、ポリマー接着剤は、光開始剤を使用して、可視光、赤外光、または紫外線などの放射線を使用して硬化してもよいし、熱開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル)、化学開始剤または触媒、および/または酸化還元活性された開始系、例えばカンファキノンを含有するもの、を使用して硬化してもよい。光開始系と、熱系、化学系、および/または酸化還元系などの非光ベースの開始系と、の組み合わせを使用することができる。N,N-ジメチル-p-トルイジンなどの促進剤を使用してもよい。
【0107】
ウレタンジメタクリレートは、例えば、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)から選択される、ソフトセグメントを含んでもよい。ウレタンジメタクリレートは、例えば、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トルエン-2,6-ジイソシアネートまたはトルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、3,3′-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)から形成される、ハードセグメントを含んでもよい。いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートは、約100Da~約5000Daの間(例えば、約250Da~約2500Da、約400Da~約2000Da、約500Da~約1250Da、約250Da、約400Da、約500Da、約650Da、約800Da、約1000Da、約1250Da、約1500Da、約2000Da、約2500Da、約4000Da、約5000Da、またはそれらの混合)の1つ以上の分子量を有するPTMOを基にしたソフトセグメントを含む。いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートは、任意のモル比で、それぞれ、約500Da~約1250Daの分子量を有する、2つ以上(例えば、2つ、3つ、または4つ)のPTMOの混合物(例えば、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1:2:1、3:1、4:1または5:1のモル比などの定義されたモル比(例えば、1:1)で、650Paおよび1000Paの分子量を有するPTMOの混合物)を基にしたソフトセグメントを含む。PTMOの分子量は、硬化した後のポリマー接着剤の剛性を調整するために変えてもよい。
【0108】
いくつかの実装例では、ウレタンジメタクリレートとしては、ポリマー接着剤の約60%(w/w)~約80%(w/w)、約60%(w/w)~約90%(w/w)、約60%(w/w)~約99%(w/w)、または約70%(w/w)~約90%(w/w)が挙げられる。いくつかの実装例では、メチルメタクリレートの領域としては、ポリマー接着剤の約20%(w/w)~約40%(w/w)、約1%~約20%(w/w)、約1%(w/w)~約40%(w/w)、または約25%(w/w)~約35%(w/w)が挙げられる。いくつかの実装例では、ポリマー接着剤は、ウレタンジメタクリレートとメチルメタクリレートとから形成され、約30MPaから約2000MPaの間(例えば、約100MPa~約1000MPa、約200MPa~約500MPa、約200MPa、約300MPa、約400MPa、または約500MPa)の引張係数を規定する。いくつかの実装例では、ポリマー接着剤は、ウレタンジメタクリレートとメチルメタクリレートとから形成され、約25%から200%の間の破損歪を規定する。いくつかの実装例では、ポリマー接着剤は、ウレタンジメタクリレートとメチルメタクリレートとから形成され、約30MPaから約2000MPaの間(例えば、約30MPa~約500MPa、約50MPa~約250MPa、約100MPa~約200MPa、または約75MPa、約100MPa、約120MPa、約150MPa、約180MPa、または約200MPa)の圧縮率を規定する。
【0109】
ポリマー接着剤とその調製方法の例は、例えば、米国特許第9,750,842および10,519,270号明細書、ならびに米国特許出願公開第2020/0087440号明細書に開示され、その内容全体が、本明細書中に完全に説明されるように、目的を問わず参照により組み込まれる。
【0110】
実施例1:生来の膝およびさまざまな円形の移植片設計の有限要素解析(FEA)接触圧評価
大腿骨および脛骨と、三層の移植片との間の接触圧を評価するための膝モデルを作るために、検討が行われた。サンプルは、実質的に以下の材料で構成された。1)ポリウレタンとスルホン酸化されたポリアクリル酸とを含む半相互貫入ポリマー網目構造の第1の層、2)UDMA-MMA共重合体の第2の層、および3)多孔性チタンの第3の層(三層の移植片の例)。最上層がポリウレタンとスルホン酸化されたポリアクリル酸とを含む半相互貫入ポリマー網目構造であり、中間層がUDMA-MMA共重合体から形成され、最下層が多孔性チタンである。三層の移植片はまた、同じ多孔性材料に連結された2つのポリマー層と同じ形状を有するCoCr移植片に対して比較された。大腿骨の顆に対して適切にサイズ調整された、移植片の径(12mm~24mm)の範囲および関節面の曲率が検討された。
【0111】
膝モデルは、健康な患者に由来する画像データから構築された。そのモデルには、大腿骨、脛骨、および半月板を備えた。大腿骨および脛骨のモデルには、どちらも関節軟骨組織を備えた。関節部は15°の屈曲角で配向され、3100Nの負荷(~3MPaの平均圧力)が関節部にわたって加えられた。この屈曲角および負荷の大きさは、ウォーキング中に観測されるものを代表する。
【0112】
生来の関節部の接触圧が得られた。そして、生来の損傷を受けていない膝で観測される圧力中心で、大腿骨の内側顆に円筒状の欠損部が作られた。三層の移植片をその後、その欠損部に挿入し、接触圧測定を繰り返した。最後に、CoCr移植片をその欠損部に挿入し、接触圧測定を繰り返した。
【0113】
すべての移植片の場合で、移植片の縁が隣接した軟骨組織より低く、移植片の中心が本来の軟骨組織の面より高くなる(
図4Aに示すように)、その面と同じ高さになる、またはその面よりも低くなることが確実となるように、移植片を欠損部の中に着座させた。
【0114】
さまざまな条件および移植片に対するピーク接触圧の一連のシミュレーションにおいて、三層の移植片は、一貫して生来の膝よりも低いピーク接触圧を示した一方、CoCr移植片は、一貫して生来のピーク接触圧よりも高く示した。検討したさまざまな移植片と状況の間のピーク接触圧の差を明示するため、
図10においてその圧力をグラフに記す。グラフは、三層の移植片およびCoCr移植片について、観測された値の範囲を示す。結果は、三層の移植片が、関節面が完全に一致することなく、膝でのピーク接触圧の削減に成功したことを示した。CoCrと直接比較すると、三層の移植片の接触圧は、3.4から5.8MPaの範囲で観測され、同等の設定(形状および着座条件)のCoCr移植片で観測されたもの(5.0MPa~10.5MPa)未満であることが認められた。
実施例2:第1ポリマー、第2ポリマー、および三層移植片のクリープおよび緩和評価
【0115】
本明細書中に説明されている生体模倣骨軟骨移植片の例である、サンプル移植片の、生理学的負荷のもとでの拘束クリープおよび緩和を評価するために、検討が行われた。3つのサンプルに対して試験が行われた。それらのサンプルは、1)ポリウレタンとスルホン酸化されたポリアクリル酸とを含む半相互貫入ポリマー網目構造の8mm径片、2)UDMA-MMA共重合体の8mm径片、および3)半IPN層と、UDMA-MMA共重合体層と、多孔性チタン層とを有する8mm径構成物(三層の移植片の例)、である。
【0116】
3MPaの負荷を1時間、各材料に加えて拘束クリープ状態にし、それから30分間、緩和させた。半IPNは、10%~20%のクリープ、および50%~100%の回復を生じた。UDMA-MMA共重合体は、2%~10%のクリープ、および60%~90%の回復を生じた。構成物は、5%~7%のクリープ、および90%~100%の回復を生じた。この試験からの代表的な曲線が、
図11A、
図11B、および
図11Cで確認することができる。
【0117】
移植方法
本明細書ではさらに、本明細書中に説明されている生体模倣骨軟骨移植片を移植する方法が提供される。
図1A~
図9Jに示される、およびそれらに関して説明されるいずれの移植片も、これらの方法に従って移植して構わない。
【0118】
いくつかの実装例では、生体模倣骨軟骨移植片は、関節部の骨軟骨欠損を修復するために使用される。所定の関節部について適切な手法で骨軟骨の損傷部へのアクセスを得た後、損傷部をカバーし、安定した軟骨組織のマージンをもたらす移植片の選択を支援するために、定寸装置を使用する。そして、移植片の大きさを近似するガイドを使って、ワイヤー(例えば、k-ワイヤー)またはピン(例えば、スタインマンピン)を損傷部の中心に置く。ガイドにより、ワイヤーは確実に、関節部の面に対して垂直に置くことができる。このガイドは、治療される関節部の関節面に適合する形状を有することができる。ワイヤーまたはピンの挿入後、ガイドを外科手術部位から取り除く。
【0119】
きれいなマージンを作るために、切開または切断用具を使用して、軟骨組織を切開することができる。切歯を先に置いたガイドワイヤーにわたって配置し、適正なアライメントを確保する。その後、ドリル、バー、またはリーマーを使用して、移植片を受けるように設計された空洞(すなわち、移植部位)を骨の中に作成する。ドリル、バー、またはリーマーは、ワイヤーまたはピンにわたって配置し、適正なアライメントを確保する。この空洞により、移植片との圧入を生じて、初期の固定をもたらしてもよい。この空洞は、杭、ねじ山、または移植片を作成した空洞内に固定する他の手段を受けるように設計することもできる。結合剤を介して第2のポリマー層を体内で骨に付着させる際に、接着剤の侵入および連結のための海綿骨へのアクセスを得るために、空洞を作成することもできる。ドリルは別のガイドと一緒に使用することも、マーキングがされている、確実に空洞が適切な深さに穿設されるように肩部を有することもできる。空洞を作成した後、ワイヤーまたはピンを取り除く。
【0120】
空洞はその後、試験片を用いて精度および適合が確認される。試験片は移植片の形状を模倣し、所望する移植片の着座深さおよび配置の評価を可能にする。その評価が完了した後、試験片を空洞から取り除く。必要に応じて、移植片の着座が十分深くなかった場合、ワイヤーまたはピンを再度挿入し、ドリルを再び使用して空洞の深さを調製することができる。その後、移植片を空洞の中に配置する。的確な挿入技術は、選択した移植片形状によって決まる(例えば、圧入、杭、ねじ山など)。
【0121】
いくつかの実装例では、移植片は、移植片の中心が本来の関節部のラインより高くなり得る、周囲の軟骨組織より移植片の縁が低くくぼんだ状態で、着座させる(
図4A)。移植片に付加が掛かると、支持域の弾性変形と時間依存性のクリープの組み合わせにより、移植片の適合が体内で向上し、周囲の軟骨組織と一致する(
図4B)。
【0122】
図12は、関節部(例えば、可動関節)内の関節接合する面における軟骨組織損傷を修復する方法1200を説明するフローチャートである。関節部は骨を含み、損傷部は、関節接合する面で外部の軟骨組織によって少なくとも部分的に囲まれ、その外部の軟骨組織の一部は、関節接合のために生来の組織ラインを持つ領域を提供する。方法1200は、ステップ1202、1204、1206、および1208を備える。ステップ1202は、損傷部を取り囲む軟骨組織の少なくとも一部を除去し、外部の軟骨組織領域を通って骨の中に延びる穴を残すことにより、外部の軟骨組織領域に外科手術部位を準備することを含む。外部の軟骨組織の穴は内径を有する。ステップ1204は、支持域とベース構成物とを含む生体模倣骨軟骨移植片を提供することを含む。移植片は、
図1A~
図9Jに示される、およびそれらに関して説明される移植片など、本明細書中に説明されている移植片のいずれにすることもできる。支持域は、下面と、外側表面および外径を有する第1の外周を有する適合面とを有する。適合面は、外側表面が整形外科用関節部の対向面の形状に一致するように、可動関節内での関節接合の際に形状を変えるように構成される。ステップ1206は、ベース構成物が骨と直接結合するように、移植片を穴に通して骨の中に入れることを含む。ステップ1208は、適合面の外側表面が外部の軟骨組織の生来の組織ラインに対して高さがオフセットするように、移植片を骨に固定することを含む。
【0123】
支持域は第1の剛性を有することができ、ベース構成物は第1の剛性より大きい第2の剛性を有することができる。支持域は、適合面から下面まで延びる剛性勾配を有することができる。例えば、適合面の剛性は、下面の剛性よりも小さくすることができる。以上のように、支持域は、上述したように水組成勾配を有する二相ポリマーを含むことができる。支持域はウレタンを含むことができる。支持域は、その面で、滑らかになることも、滑らかではなくなることもできる。ベース構成物は、金属、セラミック、骨、合成骨、またはポリマーを含むことができる。
【0124】
いくつかの実装例では、支持域は、適合面と下面との間に設けられた第1のポリマー層であり、ベース構成物は、直接骨に連結するように構成された多孔質層と、第2のポリマー層とを含む。第2のポリマー層は、下面と第2のポリマー層の成形された面との間の中間界面で、その第2の層が中間界面と多孔質層との間に設けられるように、第1のポリマー層に連結される。第1のポリマー層は第1の剛性を有し、第2のポリマー層は第2の剛性を有し、第2の剛性は第1の剛性より大きい。第1のポリマー層は第1の剛性を有することができ、第2のポリマー層は第2の剛性を有することができ、第2の剛性は第1の剛性より大きい。さらに、多孔質層は、第2の剛性より大きい第3の剛性を有することができる。
【0125】
いくつかの実装例では、第1のポリマー層は、熱可塑性ポリマーからなる第1高分子網目と第2高分子網目とを含む、水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNである。いくつかの実装例では、第2のポリマー層は、ハードセグメントおよびソフトセグメントを備えるウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレートモノマーとの共重合体を含む。第1のポリマー接着剤のウレタンジメタクリレートのハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシル)イソシアネート(HMDI)、のうちの1つ以上から形成することができる。ウレタンジメタクリレートモノマーのソフトセグメントは、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、のうちの1つ以上から形成することができる。
【0126】
本明細書に記載の移植片は、平面状、平凸状、もしくは平凹状、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。支持軟骨組織が第1の外周に沿って外部の軟骨組織と接するように、支持域は、第1の外周に沿って周囲の外部の軟骨組織と横方向に整列することができる。移植片が移植され、固定される際に穴に圧入されるように、移植片の側面は、その穴を画定する周囲の軟骨組織と完全に接することができる。適合面は、骨に対して遠位の方向、または骨に対して近位の方向に、生来の組織ラインからオフセットさせることができる。適合面の縁が一方向で生来の組織ラインからオフセットさせ、適合面の中心が対向する方向で生来の組織ラインからオフセットさせるように、支持域は厚さを変えることができる。
【0127】
方法1200は、限定はしないが、可動関節の関節接合する面を含む、さまざまな生理学的部位での骨軟骨欠損修復のために使用することができる。適切な部位としては、膝関節(例えば、顆、膝蓋大腿関節、全膝関節、半月板、膝蓋骨、または脛骨プラトー)、足首関節(例えば、距骨表面または脛骨表面)、肘関節(例えば、尺骨近位部、上腕骨遠位部、または橈骨頭)、肩関節(例えば、関節唇、関節窩、上腕骨頭またはそれらの任意の部分)、手関節(例えば、中手関節、指関節、母指関節、または母指関節の付け根)、股関節(例えば、寛骨臼表面、大腿骨頭またはどちらかの表面の一部)、足部関節(例えば、中足関節または足指関節)、顎関節(例えば、側頭下顎関節)、手首関節、脊椎関節(例えば、椎間関節)、およびそれらの任意の一部が挙げられる。方法1200は、人間への使用に限定されず、他の生物、特に整形外科用関節部または関節接合する軟骨組織を有するものの骨軟骨の修復に使用することができる。
【0128】
いくつかの実装例では、ステップ1202は、突きぎり、外科手術用ドリル、バー、リーマー、アライメントガイド、ピン、切歯、カッター、またはワイヤーのうちの少なくとも1つを使用することを含む。これらの用具のいずれも、外科手術部位を準備するため、または軟骨組織を除去するために使用することができる。ステップ1202は、ガイドを経由して損傷部にワイヤーまたはピンを挿入することと、ワイヤーまたはピンにわたってドリル、バー、またはリーマーを配置することと、ドリル、バー、またはリーマーを使って穴を形成することと、を含むことができる。いくつかの実装例では、ステップ1202は、穴の中の骨を再形成することを含む。
【0129】
いくつかの実装例では、ステップ1206の前に、方法1200は、穴の深さを確認することをさらに備える。深さを確認することは、試験移植片が移植片の大きさおよび形状を模倣する場合には、試験移植片をその穴に挿入することを含むことができる。
【0130】
ステップ1206は、クランプまたはねじ付きロッドなどの、移植片を脱着可能に保持する移植片挿込装置を使用することを含むことができる。ステップ1208は、移植片を穴の中に完全に着座させるためのマレットおよびタンプを使用することを含むことができる。ステップ1208は、
図8A~
図8Iのいずれの連結機構822の使用も含むことができる。ステップ1208は、骨がベース構成物内に新しい骨材料を成長させることを含むことができる。例えば、ステップ1208はある時間周期に及び、その時間周期の初期に、ベース構成物および骨が物理的に結合し、その時間周期の終わりには、骨からベース構成物に新しい骨材料が成長している。方法1200は、外科手術部位を閉じることをさらに備える。いくつかの実装例では、ステップ1202~1208のうちの1つ以上は関節鏡を通して行われる。
【0131】
図13A~
図13Dは、三層の移植片1300を使用した、
図12の移植方法1200の例を示す。
図13Aは、生来の組織1318の中、且つ骨1316の上に設けられた損傷部1324を示す。生来の組織1318は、その損傷部の形成より前に、生来の組織が対向する関節部の面と関節接合された、破線で表される生来の組織面ライン1319を有する。
【0132】
図13Bは、方法1200のステップ1202の間に形成される穴1326を示す。穴1326は、生来の組織面ライン1319から骨1316まで延び、生来の組織1318に囲まれる。穴1326は、一般に開示される、または具体的に本明細書中に提供される三層の移植片(例えば、移植片100、移植片300、移植片400、または移植片500)のいずれとすることもできる、移植片1300に適合するようにサイズ調整および成形される。
【0133】
図13Cは、方法1200のステップ1206における移植片1300の挿入を示す。移植片1300は、適合面1304と、例えば、
図3または
図4について上述された、支持域、中間域、およびベース域と、を含む。移植片1300は、ベース域が骨1316と直接結合するように、穴1326に通して、骨1316の中に入れられる。
【0134】
図13Dは、骨1316に完全に固定された移植片1300を示す。適合面1304は、周囲の生来の軟骨組織1318の生来の組織面ライン1319に対して、高さをオフセットさせる。上述で説明されるように、生理学的負荷がかかったときに、適合面1304が圧縮により対向する関節部の面に適合して、生来の組織面ライン1319を模倣するように、適合面1304の中心は生来の組織面ライン1319の上にはみ出すことができる。
【0135】
実施例3:移植片曲率適合
実施例1で説明された8mm径バージョンの移植片を、骨格的に発達したボーア種交雑ヤギの大腿内側顆に移植した。パラパテラアプローチを使用して、骨軟骨欠損を外科手術用ドリルおよび深さガイドを使って作成した。移植片を欠損に圧入して、切開部を閉じた。無制限の体重負荷および活動が認められた。関節部は8週間で外植された。
図14A~
図14Bは、移植片の縁が周囲の軟骨組織に対してくぼんだ状態の、移植時の移植片の外観を示す。これは、移植片の初期の着座状態を確かめるために、薄い箔を使用して跡を作り出した
図14Bで、より良く可視化されている。
図14Cは、8週間後の移植片の外観を示すが、ここで周囲の軟骨組織に完全に整列していることがわかった。
【0136】
例示の実施形態の大きさおよび形状
上記で示した通り、本明細書に記載の方法および移植片は、さまざまな解剖学的関節部の部分的または完全な修復において使用するように調節可能である。適切な移植片の構造は、この開示に従って、所望の解剖学的位置にとって、適切な形状および大きさ(同時に、本明細書中に開示された適切な勾配)を提供するために、さまざまな設計パラメータを考慮に入れるであろう。表1は、使用され得る構成の例を示す。
【0137】
【0138】
上記は本開示の原理を単に例示するものであり、装置は説明の目的で提示されたものであり限定ではない記載の実施形態以外によっても実施することができる。本明細書中に開示された対象物および方法は、軟骨組織損傷の修復のために示される一方で、他の形態の骨軟骨、軟骨下骨、または他の骨の修復に適用することができることが理解されなければならない。
【0139】
本開示を検討した後、当業者には、変形および変更が生じるであろう。開示された機能は、本明細書中に説明された1つ以上の他の機能との任意の組み合わせおよびサブコンビネーション(多数の依存する組み合わせおよびサブコンビネーションを含む)で、実施してもよい。上記で説明された、または示されたさまざまな機能は、それらの機能の任意の構成要素を含み、他のシステムに組み込まれても、統合されてもよい。さらに、特定の機能が省略されてもよいし、実施されなくてもよい。
【0140】
変更、置換、および改変の例は、当業者によって解明可能であり、本明細書中に開示した情報の範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書中のすべての引用文献は、その全体が参照により組み込まれ、本願の一部となる。
実装例
【0141】
項目1.生体模倣骨軟骨移植片であって、
支持域と、前記移植片の移植時に骨に連結されるように構成されたベース域と、前記支持域と前記ベース域との間に配置された疎水性の中間域とを備え、
前記支持域は、整形外科用関節部内での関節接合のために構成された適合面と、下面と、前記適合面と前記下面との間に延びる第1の厚さと、第1の剛性を有する第1の圧縮率とを備え、
前記中間域は、成形された第1の面と、第2の面と、前記成形された第1の面と前記第2の面との間に延びる第2の厚さとを有し、前記成形された第1の面は、外周と、前記外周内で間隔を空けて配置され、且つ前記支持域の前記下面に連結された外部表面とを含み、前記支持域の前記下面は、形状が前記表面と一致し、前記中間域はさらに、前記第1の剛性より大きい第2の剛性を有する第2の圧縮率を有し、
前記ベース域は、前記中間域の前記第2の面に連結された外側ベース面と、前記骨に連結するように構成された内側ベース面と、前記内側ベース面と前記外側ベース面との間に延びる第3の厚さとを有し、前記第2の剛性より大きい第3の剛性を有する第3の圧縮率とを有する、生体模倣骨軟骨移植片。
【0142】
項目2.前記支持域は二相ポリマーを含む、項目1に記載の移植片。
【0143】
項目3.前記二相ポリマーは少なくとも10%の水組成を有する、項目2に記載の移植片。
【0144】
項目4.前記水組成は少なくとも20%または少なくとも30%である、項目3に記載の移植片。
【0145】
項目5.前記二相ポリマーは、前記適合面と前記下面との間に水組成勾配を有し、前記勾配は、前記適合面での水組成と、前記下面での水組成と、前記適合面と前記下面との間に延びるバルク水組成とを備える、項目2から4のいずれか一項に記載の移植片。
【0146】
項目6.前記適合面での前記水組成は前記バルク水組成より大きく、前記バルク水組成は前記下面での前記水組成より大きい、項目5に記載の移植片。
【0147】
項目7.前記下面での前記水組成は1%未満である、項目6に記載の移植片。
【0148】
項目8.前記バルク水組成は20%~45%の勾配を有する、項目5から7のいずれか一項に記載の移植片。
【0149】
項目9.前記適合面での前記水組成は40%~45%であり、前記バルク水組成の勾配は27%~41%である、項目8に記載の移植片。
【0150】
項目10.前記適合面は滑らかである、項目1から9のいずれか一項に記載の移植片。
【0151】
項目11.前記下面は滑らかではない、項目1から10のいずれか一項に記載の移植片。
【0152】
項目12.前記支持域はウレタンを含む、項目1、10、または11のいずれか一項に記載の移植片。
【0153】
項目13.前記表面と前記下面との間に形成され、前記表面の少なくとも50%にわたって延在する接触界面を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の移植片。
【0154】
項目14.前記接触界面は前記表面の少なくとも75%にわたって延在する、項目13に記載の移植片。
【0155】
項目15.前記接触界面は前記表面の少なくとも95%にわたって延在する、項目14に記載の移植片。
【0156】
項目16.前記中間域、前記支持域、またはその両方は、別々のポリマー網目構造を備える、項目2から15のいずれか一項に記載の移植片。
【0157】
項目17.前記支持域と前記中間域とは、化学的結合または機械的結合を介して一緒に接合される、項目16に記載の移植片。
【0158】
項目18.前記支持域と前記中間域とは、共有結合を介して一緒に接合される、項目17に記載の移植片。
【0159】
項目19.前記支持域と前記中間域とは、非共有結合を介して一緒に接合される、項目17に記載の移植片。
【0160】
項目20.前記支持域と前記中間域とは、重合体のエンタングルメントを介して一緒に接合される、項目17に記載の移植片。
【0161】
項目21.前記中間域と前記ベース域とは、分子レベルで絡み合っていない、項目16から20のいずれか一項に記載の移植片。
【0162】
項目22.前記中間域と前記ベース域との間の境界は、前記中間域の材料と前記ベース域の材料との相互嵌合を含む、項目16から20のいずれか一項に記載の移植片。
【0163】
項目23.前記中間域の前記材料はポリマーであり、前記ベース域の前記材料は多孔性金属である、項目22に記載の移植片。
【0164】
項目24.前記中間域は接着剤である、または接着剤を含む、項目1から23のいずれか一項に記載の移植片。
【0165】
項目25.前記接着剤は注入可能な接着剤である、項目24に記載の移植片。
【0166】
項目26.前記接着剤は光硬化性である、項目24または25のいずれか一項に記載の移植片。
【0167】
項目27.前記中間域に少なくとも1つの杭構造を備える、項目1から26のいずれか一項に記載の移植片。
【0168】
項目28.前記少なくとも1つの杭構造は、前記中間域に複数の杭を備える、項目27に記載の移植片。
【0169】
項目29.前記少なくとも1つの杭構造は、前記成形された第1の面に配置される、項目27または28のいずれか一項に記載の移植片。
【0170】
項目30.前記少なくとも1つの杭構造は、前記第2の面に配置される、項目27または28のいずれか一項に記載の移植片。
【0171】
項目31.前記支持域、前記中間域、および前記ベース域を通って延びる中心軸を含み、前記支持域、前記中間域、および前記ベース域はそれぞれ軸を有し、前記中心軸に沿って同軸上に整列する、項目1から30のいずれか一項に記載の移植片。
【0172】
項目32.前記第2の厚さは、前記第1の面に沿った第1位置で前記第2の面と前記第1の面との間に延びる第1の高さと、前記第1の面に沿った第2位置で前記第2の面と前記第1の面との間に延びる第2の高さと、によって可変である、項目31に記載の移植片。
【0173】
項目33.前記第1の高さは前記外周に沿った位置で最大となり、前記第2の高さは前記表面内の位置で最大となる、項目32に記載の移植片。
【0174】
項目34.前記第2の高さは、前記ベース域の前記軸と同軸上に位置合わせされる、項目33に記載の移植片。
【0175】
項目35.前記支持域または前記中間域のうちの1つ以上は、凸状、凹状、平凸状、または平凹状である、項目32から34のいずれか一項に記載の移植片。
【0176】
項目36.最大の第2の高さから前記外周に向かって、前記表面に沿って延在するテーパー領域を備える、項目35に記載の移植片。
【0177】
項目37.最大の第1の高さは最大の第2の高さより高い、項目36に記載の移植片。
【0178】
項目38.前記テーパー領域は凹曲面を形成する、項目37に記載の移植片。
【0179】
項目39.最大の第1の高さは最大の第2の高さより低い、項目38に記載の移植片。
【0180】
項目40.前記テーパー領域は凸曲面を形成する、項目39に記載の移植片。
【0181】
項目41.前記外周は前記中心軸の回りを円周方向に延びる曲線縁を含む、項目32から40のいずれか一項に記載の移植片。
【0182】
項目42.前記表面にわたって放射状に延在する隆起領域を備える、項目32から41のいずれか一項に記載の移植片。
【0183】
項目43.前記下面内に突き出る複数の隆起部を備える、項目32から42のいずれか一項に記載の移植片。
【0184】
項目44.前記表面はそれぞれ異なる曲率半径を有する複数の領域を含む、項目32から43のいずれか一項に記載の移植片。
【0185】
項目45.前記外周に沿った位置にある前記第2の厚さは、0.01mm~10mmの境界高さを有する、項目32から44のいずれか一項に記載の移植片。
【0186】
項目46.前記中間域の厚さの前記境界高さは0.2mm~5mmである、項目45に記載の移植片。
【0187】
項目47.前記第1の高さは約1mmである、項目45または46のいずれか一項に記載の移植片。
【0188】
項目48.前記中間域の前記第2の厚さは、前記境界高さが0.1mm未満になるように、前記外周に向かって先細である、項目47に記載の移植片。
【0189】
項目49.前記支持域および前記中間域は、前記外側ベース面から前記適合面まで、2mm~10mmの軸方向長さにわたって軸方向に延在する、項目47または48のいずれか一項に記載の移植片。
【0190】
項目50.前記軸方向長さは4mm~4.5mmである、項目49に記載の移植片。
【0191】
項目51.前記外周は5mm~15mmの幅を有する領域を取り囲む、項目1から50のいずれか一項に記載の移植片。
【0192】
項目52.前記第2の剛性は50MPa~500MPaである、項目1から51のいずれか一項に記載の移植片。
【0193】
項目53.前記第1の剛性は40MPa~150MPaであり、前記第3の剛性は1.5GPa~11GPaである、項目52に記載の移植片。
【0194】
項目54.前記支持域は、前記下面から前記適合面まで延びる、1kPa/mm以上の剛性勾配を有する、項目1から53のいずれか一項に記載の移植片。
【0195】
項目55.前記ベース域は、金属、ポリマー、セラミック、骨、または合成骨のうちの少なくとも1つを含む、項目1から54のいずれか一項に記載の移植片。
【0196】
項目56.前記金属は、チタン、タンタル、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニッケルチタン合金、ジルコニウム合金、プラズマ溶射されたチタンで被覆された金属、プラズマ溶射されたセラミックで被覆された金属のうちの1つ以上を含み、前記ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリスルホン、またはポリプロピレンのうちの1つ以上を含む、項目55に記載の移植片。
【0197】
項目57.前記内側ベース面は、大腿遠位部に連結されるように構成される、項目1から56のいずれか一項に記載の移植片。
【0198】
項目58.前記内側ベース面は、脛骨近位部に連結されるように構成される、項目1から56のいずれか一項に記載の移植片。
【0199】
項目59.前記第1の厚さは1mm~5mmである、項目1から58のいずれか一項に記載の移植片。
【0200】
項目60.前記支持域は水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNを含み、前記ベース域は多孔性金属を含み、前記中間域は、ウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレート、アクリルアミド、およびジメチルアクリルアミドから選択されるモノマーとからなる共重合体を含む、項目1から59のいずれか一項に記載の移植片。
【0201】
項目61.前記支持域は、生理学的負荷のもとで2%から25%の間で変形し、前記負荷を取り除くと前記変形の70%超の回復を繰り返すことができる能力を有する、項目1から60のいずれか一項に記載の移植片。
【0202】
項目62.前記中間域は、生理学的負荷のもとで2%から10%の間で変形し、前記生理学的負荷を取り除くと前記変形の70%以上の回復を繰り返すことができるように構成される、項目61に記載の移植片。
【0203】
項目63.前記支持層および前記中間層が連結される場合、前記移植片は、生理学的負荷のもとで5%から20%の間で変形し、80%以上の回復を繰り返すことができる能力を有する、項目1から62のいずれか一項に記載の移植片。
【0204】
項目64.前記繰り返すことができる回復は95%以上である、項目63に記載の移植片。
【0205】
項目65.骨を含む可動関節内の関節接合する面における軟骨組織損傷部を修復する方法であって、前記損傷部は、前記関節接合する面で外部の軟骨組織によって少なくとも部分的に囲まれ、前記外部の軟骨組織の一部は、関節接合のために生来の組織ラインを持つ領域を提供し、
(i)前記損傷部を取り囲む前記軟骨組織の少なくとも一部を除去し、前記外部の軟骨組織領域を通って前記骨の中に延びる、内径を有する前記外部の軟骨組織の穴を残すことにより、前記外部の軟骨組織領域に外科手術部位を準備するステップと、
(ii)支持域と、ベース構成物とを含む生体模倣骨軟骨移植片であって、前記支持域は、下面と、外側表面および外径を有する第1の外周を有する適合面とを有し、前記適合面は、前記外側表面が前記整形外科用関節部の対向面の形状に一致するように、前記可動関節内での関節接合の際に形状を変えるように構成される、生体模倣骨軟骨移植片を提供するステップと、
(iii)前記ベース構成物が前記骨と直接結合するように、前記移植片を前記穴に入れて前記骨に向けて通すステップと、
(iv)前記適合面の前記外側表面が前記外部の軟骨組織の前記生来の組織ラインに対して高さがオフセットされるように、前記移植片を前記骨に固定するステップと、を備える方法。
【0206】
項目66.前記支持域は二相ポリマーを含む、項目65に記載の方法。
【0207】
項目67.前記二相ポリマーは少なくとも10%の水組成を有する、項目66に記載の方法。
【0208】
項目68.前記水組成は少なくとも20%である、項目67に記載の方法。
【0209】
項目69.前記水組成は少なくとも30%である、項目68に記載の方法。
【0210】
項目70.前記二相ポリマーは、前記適合面と前記下面との間に水組成勾配を有する、項目68または69のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
項目71.前記水組成勾配は、前記下面で5%未満の水組成を有する、項目70に記載の方法。
【0212】
項目72.前記下面での前記水組成は1%未満である、項目71に記載の方法。
【0213】
項目73.前記水組成勾配は、前記適合面で少なくとも40%の水組成を有する、項目70から72のいずれか一項に記載の方法。
【0214】
項目74.前記適合面は滑らかである、項目65から73のいずれか一項に記載の方法。
【0215】
項目75.前記下面は滑らかではない、項目65から74のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
項目76.前記支持域はウレタンを含む、項目65、74、または75のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
項目77.前記移植片は平凸状または平凹状である、項目65から76のいずれか一項に記載の方法。
【0218】
項目78.前記ベース構成物は多孔性金属を含む、項目65から76のいずれか一項に記載の方法。
【0219】
項目79.前記外科手術部位は、大腿遠位部、脛骨近位部、または膝蓋骨にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0220】
項目80.前記外科手術部位は、脛骨遠位部、腓骨遠位部、踵骨、または距骨にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
項目81.前記外科手術部位は、脛腓関節にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
項目82.前記外科手術部位は、上腕骨近位部または関節窩にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
項目83.前記外科手術部位は、大腿近位部または骨盤にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
項目84.前記外科手術部位は、上腕骨遠位部、尺骨近位部、または橈骨近位部にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
項目85.前記外科手術部位は、橈骨遠位部、尺骨遠位部、または手根骨にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
項目86.前記外科手術部位は、中足指節関節、足根中足関節、中足間関節、中手骨遠位部、または基節骨にある、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
項目87.ステップ(i)は、突きぎり、外科手術用ドリル、バー、リーマー、アライメントガイド、ピン、切歯、カッター、またはワイヤーのうちの少なくとも1つを使用することを含む、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
項目88.前記損傷部は、少なくとも部分的に組織に囲まれる、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
項目89.ステップ(iii)の前に、前記穴の深さを確認することをさらに備える、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
【0230】
項目90.前記深さを確認することは、前記移植片を模倣する試験移植片を前記穴に挿入することを含む、項目89に記載の方法。
【0231】
項目91.ステップ(iii)は、前記移植片を脱着可能に保持する移植片挿込装置を使用することを含む、項目65から90のいずれか一項に記載の方法。
【0232】
項目92.ステップ(iv)は、前記移植片を前記穴の中に完全に着座させるためのマレットおよびタンプを使用することを含む、項目65から91のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
項目93.ステップ(i)は、前記穴の中の前記骨を再形成することを含む、項目65から92のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
項目94.ステップ(i)~(iv)のうちの1つ以上は関節鏡を通して行われる、項目65から93のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
項目95.前記支持域が前記外部の軟骨組織と接するように、前記支持域は、前記第1の外周に沿って前記外部の軟骨組織と横方向に整列する、項目65から94のいずれか一項に記載の方法。
【0236】
項目96.前記外科手術部位を閉じることをさらに備える、項目65から95のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
項目97.ステップ(i)は、ガイドを経由して前記損傷部にガイドワイヤーまたはピンのうちの1つ、または両方を挿入することと、前記ワイヤーまたはピンにわたってドリル、バー、またはリーマーのうちの少なくとも1つを配置することと、前記ドリル、バー、またはリーマーを使って前記穴を形成することと、を含む、項目65から96のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
項目98.前記穴は、前記移植片が固定される際に前記穴に圧入状態となるように、成形される、項目65から97のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
項目99.前記適合面は、前記骨に対して遠位の方向に、前記生来の組織ラインからオフセットしている、項目65から98のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
項目100.前記適合面は、前記骨に対して近位の方向に、前記生来の組織ラインからオフセットしている、項目65から98のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
項目101.前記支持域は、前記適合面と前記下面との間に剛性勾配を備える、項目65から100のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
項目102.前記剛性勾配は、前記下面の剛性より小さい前記適合面の剛性を備える、項目101に記載の方法。
【0243】
項目103.前記支持域は、前記適合面と前記下面との間に設けられた第1のポリマー層であり、前記ベース構成物は、前記骨に直接連結するように構成された多孔質層と、第2のポリマー層とを含み、前記第2のポリマー層は、前記下面と前記第2のポリマー層の成形された面との間の中間界面で、前記第2の層が前記中間界面と前記多孔質層との間に設けられるように、前記第1のポリマー層に連結される、項目65から102のいずれか一項に記載の方法。
【0244】
項目104.前記第1のポリマー層は第1の剛性を有し、前記第2のポリマー層は第2の剛性を有し、前記第2の剛性は前記第1の剛性より大きい、項目103に記載の方法。
【0245】
項目105.前記多孔質層は、前記第2の剛性より大きい第3の剛性を有する、項目104に記載の方法。
【0246】
項目106.前記第2のポリマー層は、ハードセグメントおよびソフトセグメントを備えるウレタンジメタクリレートモノマーと、メチルメタクリレートモノマーとの共重合体を含む、項目103から105のいずれか一項に記載の方法。
【0247】
項目107.前記第1のポリマー接着剤の前記ウレタンジメタクリレートの前記ハードセグメントは、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,6-トルエンジイソシアネートまたは2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3-ビトルエンジイソシアネート(TODI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチルジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(p-フェニル)イソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、およびメチレンビス(p-シクロヘキシル)イソシアネート(HMDI)、のうちの1つ以上から形成される、項目106に記載の方法。
【0248】
項目108.前記ウレタンジメタクリレートモノマーの前記ソフトセグメントは、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヒドロキシ末端ブタジエン、ヒドロキシブチル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ヒドロキシル末端ポリイソブチレン、ポリ(1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ(ジメチルシロキサン)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、のうちの1つ以上から形成される、項目106または107のいずれか一項に記載の方法。
【0249】
項目109.前記第1のポリマー層は、熱可塑性ポリマーからなる第1高分子網目と第2高分子網目とを含む、水膨潤性の相互貫入ポリマー網目構造(IPN)または半IPNである、項目103から108のいずれか一項に記載の方法。
【0250】
項目110.前記移植片は、項目1から64のいずれか一項に記載の移植片である、項目65から109のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】