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特表2024-524160コーティング剤、及びそれから得られ、改善された耐汚染性及び(自己)クリーニング特性を有するコーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】コーティング剤、及びそれから得られ、改善された耐汚染性及び(自己)クリーニング特性を有するコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20240628BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D175/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578076
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022066776
(87)【国際公開番号】W WO2022268744
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21180677.3
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイカート,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲムント,ズヴェン
(72)【発明者】
【氏名】パパドプールー,エリザヴェット
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG121
4J038CH121
4J038DD001
4J038DG022
4J038DG101
4J038DG111
4J038DG262
4J038GA03
4J038GA11
4J038GA15
4J038JC35
4J038JC36
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA06
4J038MA06
4J038NA05
4J038PA19
4J038PB07
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、アミノシラン基及び/又はメルカプトシラン基を含むポリイソシアネートを含み、更にはヒドロキシ基含有化合物及びアルコキシシリル官能性シロキサンの貯蔵された混合物、及びシラン基の架橋のための触媒を含むコーティング剤に関する。また、前記コーティング剤の製造及び基材、特にはプラスチック基材、例えば自動車産業で使用される基材上にコーティングを製造するためのその使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分(I)であって、
(A)少なくとも一つのポリイソシアネート成分であって、
(A1)少なくとも一つのポリイソシアネートと
(A2)少なくとも一つの下記一般式(I):
【化1】
[式中、
、R及びRは同一であるか異なる基であり、それぞれ、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基であり、それは酸素、硫黄及び窒素のシリーズからの最大3個のヘテロ原子を含んでいても良く、
Xは、直鎖若しくは分岐有機基であり、それは少なくとも2個の炭素原子を有し、最大2個のイミノ基(-NH-)を含んでいても良く、
は、水素、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基、又は
i)下記式の基:
【化2】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)、又は
ii)下記式の基:
【化3】
(式中、R及びRは互いに独立に、1~18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は芳香族有機基であり、それは置換されていても置換されていなくても良く、及び/又鎖中にヘテロ原子を有していても良い。)、又は
iii)下記式の基:
【化4】
(式中、Rは、水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)である。]の、
又は下記一般式(II):
【化5】
(式中、R、R及びRは式(I)について上記で定義した通りであり、
Yは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基である。)
のイソシアネート反応性化合物
との反応によって得ることができる少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
並びに、
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)少なくとも一つの下記式(III)のアルコキシシリル官能性シロキサン:
【化6】
[式中、
Aは-[O-SiR14 ]-基であり、Bは-[O-SiR1516]-基であり、
11、R12、R14及びR15は互いに独立に、1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、
10、R13及びR16は互いに独立に、-L-R17基であり、
L=直鎖若しくは分岐2価アルキル基であり、
17=H又は-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、z=0、1又は2であり、好ましくはz=0であり、
ただし、基の少なくとも一つがR10若しくはR13を含み、及び/又は少なくとも一つの基Bが基R17=-Si(R18(OR193-zを含み、
xは、各場合で独立に、1~20の整数であり、
yは、各場合で独立に、1~10の整数であり、
好ましくは、x+y≦20である。]、
及び
(B′)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなる二成分コーティング組成物であって、
成分IIが、C及びDの混合物を少なくとも(≧)5時間貯蔵することによって得られ、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが、少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含み、B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合され、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、二成分コーティング組成物。
【請求項2】
少なくとも一つのポリイソシアネートA1が、脂肪族的に、脂環式的に、芳香脂肪族的に及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有するモノマージイソシアネート並びにモノマーの脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族ジイソシアネートを修飾することによって得ることができるウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、チオウレタン、チオアロファネート、ビウレット、尿素、イミノオキサジアジンジオン及び/又はオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマージ-又はポリイソシアネートからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項3】
少なくとも一つのポリイソシアネートA1が、HDI、PDI及びHDI又はPDIに基づくオリゴマージ-又はポリイソシアネートからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項4】
少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aが、少なくとも一つの一般式I(A2)のイソシアネート反応性化合物に基づくものであり、ここで、
i)R、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基であり、
Xが、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基であり、
が、最大6個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は下記式の基:
【化7】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)であり、
又は
ii)R、R、R及びXがi)で定義した通りであり、
が下記式の基:
【化8】
(式中、R及びRは互いに独立に、メチル、エチル、n-ブチル又は2-エチルヘキシル基である。)であり、
又は
iii)R、R、R及びXがi)で定義した通りであり、
が下記式の基:
【化9】
(式中、Rは水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項5】
少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aが、少なくとも一つの一般式II(A2)のイソシアネート反応性化合物に基づくものであり、ここで、
、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基、好ましくはメトキシ又はエトキシ基であり、
Yが、2~10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキレン基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネート成分Aを製造するために、少なくとも一つのポリイソシアネートA1と少なくとも一つのイソシアネート反応性化合物A2とを、50:1~1.05:1、好ましくは30:1~1.25:1、特に好ましくは20:1~1.5:1のイソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比を維持しながら、20℃~200℃、好ましくは30℃~160℃の温度で反応させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項7】
少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)が、アミンでブロックされた形態であっても良い酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル及びスルホン酸、並びにテトラアルキルアンモニウムカルボキシレートからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項8】
少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物Cが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリアクリレートポリオールからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項9】
成分IIが、少なくとも一つの式(III)のアルコキシシリル官能性シロキサンDを含み、ここで、
11、R12及びR14が互いに独立に、メチル及び/又はエチル、好ましくはメチルであり、
10及びR13が互いに独立に、-L-R17基であり、
L=直鎖若しくは分岐2価アルキル基、好ましくはエチレンであり、
17=-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、
z=0、1又は2、好ましくはz=0であり、y=0である、請求項1~6のいずれか1項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項10】
第1の成分(I)であって、
(A)請求項1の記載による少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
及び
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)請求項1の記載による少なくとも一つのアルコキシシリル官能性シロキサン(III)
及び
(B′)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなるコーティング組成物であって、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含むコーティング組成物の製造方法であって、
成分C及びDを完全に混合し、貯蔵と称される少なくとも(≧)5時間の期間後に、得られた混合物を任意に成分Bとの混合で成分Aと混合し、
B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中に貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合し、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、コーティング組成物の製造方法。
【請求項11】
成分IIは、C及びDの混合物を少なくとも(≧)24時間貯蔵することで、又は請求項10に記載のコーティング組成物の製造方法によって得られ、ここで、成分C及びDの混合物が、少なくとも(≧)24時間の期間後に、任意に成分Bとの混合で成分Aと混合される、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項12】
-請求項10又は11に記載の方法によって得ることができるコーティング組成物を基材に塗布すること、
-前記コーティング組成物を熱硬化させること
を含む、基材上にコーティングを製造する方法。
【請求項13】
前記コーティングがクリアコート又はトップコートである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材が、硬質又は軟質プラスチック、特には自動車産業で使用されるプラスチックである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるコーティングされた基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノシラン及び/又はメルカプトシラン含有ポリイソシアネート、ヒドロキシル含有化合物及びアルコキシシリル官能性シロキサンの貯蔵された混合物、並びにシラン基の架橋のための触媒を含有するコーティング組成物、並びにこれらのコーティング組成物の製造及び基材、特に例えば自動車産業で見られるようなプラスチック基材上にコーティングを作るためのそれの使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、非常に良好な耐汚染性及び(自己)クリーニング性を特徴とし、特にプラスチック製の基材のコーティングに適した新規なコーティング組成物を提供することである。
【0003】
この目的は、アミノシラン及び/又はメルカプトシラン含有ポリイソシアネートに加えて、ヒドロキシル含有化合物及びアルコキシシリル官能性シロキサンの貯蔵された混合物を含有する、後により詳細に説明する本発明によるコーティング組成物を提供することによって達成される。
【0004】
WO2017/202692は、ヒドロキシル含有化合物及びアルコキシシリル官能性シロキサンと組み合わせてアミノシラン官能化イソシアネートを使用して得ることができる、改善された耐汚染性及び(自己)クリーニング特性を有するコーティング組成物及びそれから得られるコーティングを開示している。ヒドロキシル含有化合物及びアルコキシシリル官能性シロキサンの貯蔵された混合物の使用については言及されておらず、明らかにもなっていない。
【0005】
本発明は、
第1の成分(I)であって、
(A)少なくとも一つのポリイソシアネート成分であって、
(A1)少なくとも一つのポリイソシアネートと
(A2)少なくとも一つの下記一般式(I):
【化1】
[式中、
、R及びRは同一であるか異なる基であり、それぞれ、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基であり、それは酸素、硫黄及び窒素のシリーズからの最大3個のヘテロ原子を含んでいても良く、
Xは、直鎖若しくは分岐有機基であり、それは少なくとも2個の炭素原子を有し、最大2個のイミノ基(-NH-)を含んでいても良く、
は、水素、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基、又は
i)下記式の基:
【化2】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)、又は
ii)下記式の基:
【化3】
(式中、R及びRは互いに独立に、1~18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は芳香族有機基であり、それは置換されていても置換されていなくても良く、及び/又鎖中にヘテロ原子を有していても良い。)、又は
iii)下記式の基:
【化4】
(式中、Rは、水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)である。]の、
又は下記一般式(II):
【化5】
(式中、R、R及びRは式(I)について上記で定義した通りであり、
Yは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基である。)
のイソシアネート反応性化合物
との反応によって得ることができる少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
並びに、
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)少なくとも一つの下記式(III)のアルコキシシリル官能性シロキサン:
【化6】
[式中、
Aは-[O-SiR14 ]-基であり、Bは-[O-SiR1516]-基であり、
11、R12、R14及びR15は互いに独立に、1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、
10、R13及びR16は互いに独立に、-L-R17基であり、
L=直鎖若しくは分岐2価アルキル基であり、
17=H又は-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、z=0、1又は2であり、好ましくはz=0であり、
ただし、基R10若しくはR13の少なくとも一つ及び/又は少なくとも一つの基Bが基R17=-Si(R18(OR193-zを含み、
xは、各場合で独立に、1~20の整数であり、
yは、各場合で独立に、0~10の整数であり、
好ましくは、x+y≦20である。]、
及び
(B′)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなる二成分コーティング組成物であって、
成分IIが、C及びDの混合物を少なくとも(≧)5時間貯蔵することによって得られ、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが、少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含み、B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合され、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、二成分コーティング組成物を提供する。
【0006】
ポリイソシアネート成分A
ポリイソシアネートA1
ポリイソシアネート成分Aを製造するのに好適な出発化合物A1には、脂肪族的に、脂環式的に、芳香脂肪族的に及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有する所望のモノマージイソシアネートなどがあり、それは、いずれか所望のプロセスによって、例えばホスゲン化又はホスゲンを使わない経路によって、例えばウレタン開裂によって製造することができる。
【0007】
好適なモノマージイソシアネートには、例えば一般式(IV)のもの:
【化7】
[式中、Zは最大18個の炭素原子、好ましくは4~18個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基、又は最大18個の炭素原子、好ましくは5~18個の炭素原子を有する置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基である。]などがあり、例えば1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,9-ジイソシアナトノナン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-及び1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4′-及び4,4′-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12-MDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4′-ジイソシアナト-3,3′-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′-ジイソシアナト-3,3′,5,5′-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′-ジイソシアナト-1,1′-ビ(クロヘキシル)、4,4′-ジイソシアナト-3,3′-ジメチル-1,1′-ビ(クロヘキシル)、4,4′-ジイソシアナト-2,2′,5,5′-テトラメチル-1,1′-ビ(クロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-及び1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、ビス(4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)フェニル)カーボネート、フェニレン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、トリレン2,4-及び2,6-ジイソシアネート及びこれらの異性体のいずれか所望の混合物、ジフェニルメタン2,4′-及び/又は4,4′-ジイソシアネート及びナフチレン1,5-ジイソシアネート及びそのようなジイソシアネートのいずれか所望の混合物である。同様に好適なさらなるジイソシアネートが、さらに、例えばJustus Liebigs Annalen der Chemie Volume 562(1949) pp.75-136にある。
【0008】
特に好ましいものは、Zが5~13個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基である一般式(IV)のモノマージイソシアネートである。
【0009】
ポリイソシアネート成分Aを製造するのに非常に特に好ましいモノマージイソシアネートは、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4′-及び/又は4,4′-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン又はこれらのジイソシアネートのいずれか所望の混合物である。
【0010】
上記のモノマージイソシアネートに加えて、ポリイソシアネート成分Aを製造するのに好適な出発化合物A1にはさらに、モノマーの脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族ジイソシアネートを修飾することによって得ることができるウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、チオウレタン、チオアロファネート、ビウレット、尿素、イミノオキサジアジンジオン及び/又はオキサジアジントリオン構造を有するいずれか所望のオリゴマージ-及びポリイソシアネート又はこれらのオリゴマージ-及びポリイソシアネートのいずれかの混合物などがある。これらのオリゴマー化合物の製造は、例えばJ. Prakt. Chem. 336(1994) 185-200、DE-A1670666、DE-A1954093、DE-A2414413、DE-A2452532、DE-A2641380、DE-A3700209、DE-A3900053及びDE-A3928503又はEP-A0336205、EP-A0339396及びEP-A0798299及びDE-A870400、DE-A953012、DE-A1090196、EP-A0546399、CN105218780、CN103881050、CN101717571、US3183112、EP-A0416338、EP-A0751163、EP-A1378529、EP-A1378530、EP-A2174967、JP63260915及びJP56059828に記載されている、それ自体公知のイソシアネートオリゴマー化方法に従って行う。好適なモノマージイソシアネートには、例えば上記のジイソシアネートなどがある。上記の好ましい範囲がここでも適用される。
【0011】
イソシアネート反応性化合物A2
ポリイソシアネート成分Aを製造するのに好適な出発化合物A2は、例えば、下記一般式(I)のアミノシランである。
【化8】
式中、
、R及びRは同一若しくは異なる基であり、それぞれ飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基であり、それは最大18個の炭素原子を有し、酸素、硫黄及び窒素のシリーズからの最大3個のヘテロ原子を含んでいても良く、
Xは直鎖若しくは分岐有機基であり、それは少なくとも2個の炭素原子を有し、最大2個のイミノ基(-NH-)を含んでいても良く、
は、水素、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基、又は
i)下記式の基:
【化9】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)、又は
ii)下記式の基:
【化10】
(式中、R及びRは互いに独立に、1~18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は芳香族有機基であり、それは置換されていても置換されていなくても良く、及び/又鎖中にヘテロ原子を有していても良い。)、又は
iii)下記式の基:
【化11】
(式中、Rは、水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)
である。
【0012】
一般式(I)の好適なアミノシランは、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3-アミノプロピルトリプロポキシシラン、3-アミノプロピルトリブトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、4-アミノブチルメチルジメトキシシラン、4-アミノブチルメチルジエトキシシラン、4-アミノブチルエチルジメトキシシラン、4-アミノブチルエチルジエトキシシラン、4-アミノブチルジメチルメトキシシラン、4-アミノブチルフェニルジメトキシシラン、4-アミノブチルフェニルジエトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)メチルジメトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)メチルジエトキシシラン、4-アミノ(3-メチルブチル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルフェニルメチル-n-プロポキシシラン、3-アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3-アミノプロピルジエチルメチルシラン、3-アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、11-アミノウンデシルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリス(2-エチルヘキソキシ)シラン、N-(6-アミノヘキシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルポリシロキサン、N-ビニルベンジル-N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルポリシロキサン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m-及び/又はp-アミノフェニルトリメトキシシラン、3-(3-アミノプロポキシ)-3,3-ジメチル-1-プロペニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン又はそのようなアミノシランのいずれか所望の混合物である。
【0013】
これらのうちで好ましいものは、
、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つが、この種類のアルコキシ基であり、
Xが、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基であり、
が、最大6個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は下記式の基:
【化12】
(式中、R、R、R及びXは上記で提供された定義を有する。)である、一般式(I)のアミノシランである。
【0014】
これらのうちで特に好ましいものは、
、R及びRがそれぞれ、メチル、メトキシ及び/又はエトキシであり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがメトキシ又はエトキシ基であり、
Xがプロピレン基(-CH-CH-CH-)であり、
が、最大4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基又は下記式の基:
【化13】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)である、一般式(I)のアミノシランである。
【0015】
これらのうちで非常に特に好ましいものは、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン及び/又はビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミンである。
【0016】
一般式(I)の好ましいアミノシランにはさらに、例えば、
が下記式の基:
【化14】
(式中、
、R及びRはそれぞれ、最大6炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基である。)であり、
Xが少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基であり、
及びRが互いに独立に、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は芳香族有機基であり、それらは1~18個の炭素原子を有し、置換されているか置換されておらず、及び/又は鎖中にヘテロ原子を有するものなどがある。
【0017】
これらのうちの特に好ましいものは、
が、下記式の基:
【化15】
であり、
、R及びRがそれぞれメチル、メトキシ及び/又はエトキシであり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがメトキシ又はエトキシ基であり、
Xがプロピレン基(-CH-CH-CH-)であり、
及びRが互いに独立に、メチル、エチル、n-ブチル又は2-エチルヘキシル基である、一般式(I)のアミノシランである。
【0018】
これらのアミノシランは、公知のシラン官能性アスパラギン酸エステルであり、例えばEP-A0596360の教示に従って、一級アミノ基を有するアミノシランをフマル酸エステル及び/又はマレイン酸エステルと反応させることで得ることができるものなどである。
【0019】
従って、これらのシラン官能性アスパラギン酸エステルを製造するのに好適な出発化合物は基本的に、いずれか所望の一般式(I)の所望のアミノシラン:
【化16】
であり、
式中、R、R、R及びXは式(I)について上記で定義した通りであり、Rが水素である。
【0020】
これらを、一般式(V)のフマル酸ジエステル及び/又はマレイン酸ジエステル:
【化17】
(式中、基R及びRは上記で定義した通りである。)と反応させる。
【0021】
非常に特に好ましいシラン官能性アスパラギン酸エステルは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3-アミノプロピルトリエトキシシランのマレイン酸ジエチルとの反応生成物である。
【0022】
好ましい一般式(I)のアミノシランにはさらに、
が下記式の基:
【化18】
(式中、
、R及びRはそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基であり、
Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基であり、
は、水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)であるものなどがある。
【0023】
これらのうちで特に好ましいものは、
が下記式の基:
【化19】
(式中、
、R及びRはそれぞれメチル、メトキシ及び/又はエトキシであり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがメトキシ又はエトキシ基であり、
Xはプロピレン基(-CH-CH-CH-)であり、
は水素を表す。)である、一般式(I)のアミノシランである。
【0024】
これらのアミノシランは、例えば、US4788310及びUS4826915に開示のプロセスによって、一級アミノ基を有するアミノシランをアルキルアルキルカルボキシレートと反応させることでアルコールを脱離させることによって得ることができる公知のシラン官能性アルキルアミドである。
【0025】
従って、シラン官能性アルキルアミドを製造するのに好適な出発化合物は、基本的に、いずれか所望の下記一般式(I)のアミノシラン:
【化20】
(式中、R、R、R及びXは式(I)について上記で定義した通りであり、Rは水素である。)である。
【0026】
これらを下記一般式(VI)のアルキルアルキルカルボキシレート:
【化21】
(式中、
は上記で定義した通りであり、
20は、1~4個の炭素原子を有する飽和脂肪族有機基である。)と反応させる。
【0027】
非常に特に好ましいシラン官能性アルキルアミドは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び/又は3-アミノプロピルトリエトキシシランのギ酸メチル及び/又はギ酸エチルとの反応生成物である。
【0028】
ポリイソシアネート成分Aを製造するのに好適な出発化合物A2には、下記一般式(II)のメルカプトシラン:
【化22】
(式中、
、R及びRは式(I)について上記で定義した通りであり、
Yは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基である。)などもある。
【0029】
好適なメルカプトシランA2は、例えば2-メルカプトエチルトリメチルシラン、2-メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン及び/又は4-メルカプトブチルトリメトキシシランである。
【0030】
本発明によるプロセスに好ましいメルカプトシランA2は、
、R及びRが同一若しくは異なる基であり、それぞれ最大6個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基であり、最大3個の酸素原子を含んでいても良く、
Yが2~10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキレン基である、一般式(II)のものである。
【0031】
特に好ましいメルカプトシランA2は、
、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基であり、
Yがプロピレン基(-CH-CH-CH-)である、一般式(II)のものである。
【0032】
非常に特に好ましいメルカプトシランA2は、
、R及びRが同一若しくは異なる基であり、それぞれメチル、メトキシ又はエトキシであり、ただし、前記基R、R及びRの少なくとも一つがメトキシ又はエトキシ基であり、
Xがプロピレン基(-CH-CH-CH-)である一般式(II)のものであり、
特には3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び/又は3-メルカプトプロピルトリエトキシシランである。
【0033】
ポリイソシアネート成分Aを製造するには、ポリイソシアネートA1を20℃~200℃の温度で、好ましくは30℃~160℃の温度でイソシアネート反応性化合物A2と反応させる。
【0034】
製造は好ましくは、50:1~1.05:1、好ましくは30:1~1.25:1、特に好ましくは20:1~1.5:1のイソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比を維持しながら行う。
【0035】
ポリイソシアネート成分Aの製造は、無溶媒で行うことができる。しかしながら、所望の場合、出発成分の反応性基に対して不活性である好適な溶媒も用いることができる。好適な溶媒の例は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールものメチル又はモノエチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート(MPA)、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイト・スピリット、例えばソルベントナフサ、Solvesso(登録商標)、Isopar(登録商標)、Nappar(登録商標)(Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH, Cologne,DE)及びShellsol(登録商標)(Deutsche Shell Chemie GmbH, Eschborn, DE)の名称で市販されている種類の比較的高度に置換された芳香族、並びにプロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチル及びブチルエーテルアセテート、N-メチルピロリドン及びN-メチルカプロラクタムなどの溶媒、又はそのような溶媒のいずれか所望の混合物などの自体公知である普通のコーティング溶媒である。
【0036】
出発成分A1及びA2の反応は、触媒を使用して又は使用せずに行うことができる。しかしながら、メルカプトシラン(式II)を使用する場合は特に、チオウレタン及び/又はチオアロファネート構造の形成に至るSH-NCO反応を促進するのに好適な触媒をさらに用いることが有利であり得る。好適な触媒は特別には、ポリウレタン化学から公知である普通のウレタン化触媒及びアロファネート化触媒などがある。
【0037】
ここでの例としては、三級アミン類、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、N-メチル-又はN-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N-メチルピペリジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、N,N′-ジメチルピペラジン、N-メチル-N′-ジメチルアミノピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルイミダゾール-β-フェニルエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及びビス(N,N-ジメチルアミノエチル)アジペート、アミジン類、例えば1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及び2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、アルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N′,N″-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N′,N″-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及び金属塩、例えば金属の普通の酸化状態での鉄、鉛、ビスマス、亜鉛及び/又はスズの無機及び/又は有機化合物、例えば塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、ビスマス(III)ビスマス(III)2-エチルヘキサノエート、ビスマス(III)オクトエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、塩化亜鉛、2-エチルカプリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)又は亜鉛(II)アセチルアセトネート、スズ(II)オクトエート、エチルカプリル酸スズ(II)、パルミチン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、時ラウリン酸ジブチルスズ(IV)(DBTL)、ジブチルスズ(IV)ジクロライド、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ(II)、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジマレイン酸ジブチルスズ又はジ酢酸ジオクチルスズ、鉛オクトエート、ジルコニウム化合物、例えば2-エチル-1-ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ネオデカン酸ジルコニウム(IV)、ナフテン酸ジルコニウム(IV)又はジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、オクタン酸カリウム、マンガン、コバルト又はニッケル化合物及び強酸、例えばトリフルオロ酢酸、硫酸、塩化水素、臭化水素、リン酸又は過塩素酸又はこれらの触媒のいずれか所望の混合物などがある。
【0038】
チオウレタン化反応を促進するために使用するのに好ましい触媒は、列挙した種類の三級アミン、アミジン及びスズ化合物である。特に好ましいのは、1,4-ジアザビシクロ-(2,2,2)-オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)及びジブチルスズ(IV)ジラウレート(DBTL)、又はこれらの触媒のいずれか所望の混合物である。
【0039】
チオウレタン化反応を促進するために触媒を使用する場合、これらは、使用されるポリイソシアネートA1及びメルカプトシランA2の総量に対する使用される触媒の総量として計算して、0.001重量%~1.0重量%、好ましくは0.01重量%~0.5重量%の量で使用される。
【0040】
チオアロファネート化反応を促進するために使用するのに好ましい触媒は、上述の種類の亜鉛及びジルコニウム化合物である。非常に特に好ましいものは、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)及び/又はステアリン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸ジルコニウム(IV)、2-エチル-1-ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、及び/又はネオデカン酸ジルコニウム(IV)、又はこれらの触媒のいずれか所望の混合物である。
【0041】
チオアロファネート化反応を促進するために触媒を使用する場合、これらは、使用されるポリイソシアネートA1及びメルカプトシランA2の総量に対する使用される触媒の総量として計算して、0.001重量%~5重量%、好ましくは0.005重量%~1重量%の量で使用される。
【0042】
チオウレタン構造及びチオアロファネート構造を形成するための、式II(A2)によるメルカプトシランと成分A1によるポリイソシアネートとの反応に基づく、Aによるポリイソシアネート成分の合成の詳細な合成経路は、それぞれEP-B2892905及びWO15/189164に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
好ましい実施形態では、少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aがチオアロファネート構造を有する。
【0044】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aが、モノマー脂肪族ジイソシアネートと式IIのメルカプトシランとの反応に基づくチオアロファネート構造を有する。
【0045】
非常に特に好ましい実施形態では、モノマー脂肪族ジイソシアネートはPDI及び/又はHDIである。別の非常に特に好ましい実施形態では、メルカプトシランはメルカプトプロピルトリメトキシシランである。使用されるモノマージイソシアネートがHDIであり、使用されるメルカプトシランがメルカプトプロピルトリメトキシシランである場合が最も好ましい。
【0046】
ポリイソシアネート成分Aは、好ましくは1.3重量%~24.9重量%、特に好ましくは4.0重量%~23.5重量%、非常に特に好ましくは5.0重量%~21.0重量%のNCO含有量を有し、好ましくは1.0~4.9、特に好ましくは1.8~4.8、非常に特に好ましくは2.0~4.0の平均NCO官能価を有する。
【0047】
シラン基を架橋するための触媒B及びB′
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、シラン基を架橋するための少なくとも一つの触媒を含む。これは、第1又は第2のコーティング組成物成分中に、又は両方のコーティング組成物成分中に存在することができる。後者の場合、両方の成分に同一/同一又は異なる成分が含まれ得る。
【0048】
これらの触媒は、アルコキシシラン基の加水分解及び縮合、又は好ましくは熱誘導シラン縮合を促進することができるいずれか所望の化合物である。
【0049】
好適な触媒B/B′は、例えば酸、例えば有機カルボン酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステル、例えばリン酸ジブチル、リン酸2-エチルヘキシル、リン酸フェニル及びリン酸ビス(2-エチルヘキシル)であり、例えばWO2007/033786に記載されているホスホン酸ジエステル及びジホスホン酸ジエステルも挙げられる。
【0050】
好適な触媒B/B′には、同様に塩基、例えばN-置換アミジン1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)及び1,5-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、又は他の金属塩及び金属キレート、例えば、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチル、チタン(IV)アセチルアセトネート、アルミニウムトリ-sec-ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリフレート、トリフ酸スズ又はジルコニウムエチルアセトアセテート、例えばWO2006/042658に記載のものなどがある。
【0051】
好適な触媒B/B′には同様に、アミンでブロックされた形態、好ましくは三級アミンでブロックされた形態で存在する上記種類のリン酸エステル及びホスホン酸エステルが含まれる。特に好ましいこの種類の触媒は、自動車のトップコート及びクリアコートの硬化の温度範囲、例えば100~150℃の範囲で、ブロッキングアミンを脱離させて、酸性リン酸エステル及びホスホン酸エステルを再度放出するものであり、前記エステルは実際に活性な触媒を代表するものである。好適なアミンでブロックされたリン酸触媒B/B′は、例えばWO2008/074489及びWO2009/077180に記載されている。
【0052】
好適な触媒B/B′には、同様に、DE2356768B1に記載されているように、ブロックされた形態、例えばアミンで中和された形態で、又はエポキシドとの付加物として使用され、100℃を超えると触媒活性のあるスルホン酸が再放出される上記の種類の有機スルホン酸などがある。
【0053】
シラン基を架橋するのに好適な触媒B/B′には、さらに、テトラアルキルアンモニウムカルボキシレート、例えばギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、プロピオン酸テトラメチルアンモニウム、酪酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、プロピオン酸テトラエチルアンモニウム、酪酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラエチルアンモニウム、ギ酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、プロピオン酸テトラプロピルアンモニウム、酪酸テトラプロピルアンモニウム、安息香酸テトラプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、プロピオン酸テトラブチルアンモニウム、酪酸テトラブチルアンモニウム及び/又は安息香酸テトラブチルアンモニウムなどがある。
【0054】
シラン基を架橋するのに好適な触媒B/B′には、四級アンモニウム及びホスホニウムポリフルオリド、例えばEP-A0798299、EP-A0896009及びEP-A0962455からのイソシアネート基の三量体化触媒として知られているものがさらに含まれる。
【0055】
好適な触媒B/B′には、最終的に、WO2014/016019の方法による1以上のビスカルボン酸亜鉛(II)とアミジンとの反応によって生成可能な亜鉛-アミジン錯体も含まれる。
【0056】
シラン基を架橋するのに好ましい触媒B/B′は、アミンでブロックされた形態で存在してもよい、列挙した種類の酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル及びスルホン酸エステル、並びにまた列挙した種類のテトラアルキルアンモニウムカルボキシレートである。特に好ましい触媒B/B′は、アミンでブロックされたリン酸エステル及びスルホン酸、さらには列挙されたテトラアルキルアンモニウムカルボキシレートである。
【0057】
非常に特に好ましい触媒B/B′は、アミンでブロックされたフェニルホスフェート及びビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート及びテトラブチルアンモニウムベンゾエートである。
【0058】
触媒B/B′は、本発明によるコーティング組成物中で、すべての使用される触媒B/B′の合計として計算され、ポリイソシアネート成分A、ヒドロキシル含有成分C及びシロキサン成分Dの総量に対して0.005重量%から5重量%、好ましくは0.005重量%~2重量%、特に好ましくは0.005重量%~1重量%の量で使用される。
【0059】
ヒドロキシル含有化合物C
使用されるヒドロキシル含有化合物Cは、少なくとも二つのヒドロキシル基を有するいずれか所望のポリオールである。適切なヒドロキシル含有化合物Cは、例えば、ポリウレタン化学から公知の通常のポリヒドロキシル化合物、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び/又はポリアクリレートポリオール、又はそのようなポリオールのいずれか所望の混合物である。
【0060】
好適なポリエステルポリオールCは、例えば、官能価及びヒドロキシル価から計算できる平均分子量が200~3000、好ましくは250~2500であり、ヒドロキシル基含有量が1重量%~21重量%、好ましくは2重量%~18重量%である、多価アルコールと不足量の多塩基性カルボン酸、対応するカルボン酸無水物、対応する低級アルコールの多価カルボン酸エステル又はラクトンとの反応により、自体公知の方法で製造可能な種類のものである。
【0061】
これらのポリエステルポリオールを製造するのに適した多価アルコールは、特に、分子量範囲62~400のもの、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール及びオクタンジオール、1,2-及び1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4′-(1-メチルエチリデン)ビスシクロヘキサノール、1,2,3-プロパントリオール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール又は1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである。
【0062】
ポリエステルポリオールCの製造に使用される酸又は酸誘導体は、本質的に脂肪族、脂環式及び/又は複素芳香族であることができ、場合により例えばハロゲン原子で置換されていたり、及び/又は不飽和であってもよい。好適な酸の例は、例えば、分子量範囲118~300の多塩基性カルボン酸、又はその誘導体、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、二量体及び三量体脂肪酸、テレフタル酸ジメチル、及びテレフタル酸ビスグリコールである。
【0063】
ポリエステルポリオールCの製造では、例として挙げたこれらの出発化合物のいずれか所望の混合物を使用することもできる。
【0064】
好適なポリエステルポリオールCには、ラクトン及び簡単な多価アルコールから自体公知の方法で開環によって製造可能なもの、例えば出発分子として上記で例として挙げたものなどもある。これらのポリエステルポリオールA1)を製造するのに好適なラクトンの例は、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-及びδ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、3,5,5-及び3,3,5-トリメチルカプロラクトン、又はそのようなラクトンのいずれか所望の混合物である。
【0065】
これらのラクトンポリエステルの製造は、一般に、触媒、例えばルイス酸又はブレンステッド酸、有機スズ又は有機チタン化合物の存在下、20℃~200℃、好ましくは50℃~160℃の温度で行われる。
【0066】
好適なポリエーテルポリオールCは、例えば、官能価及びヒドロキシル価から計算できる平均分子量が200~6000、好ましくは250~4000であり、ヒドロキシル基含有量が0.6重量%~34重量%、好ましくは1重量%~27重量%のものであり、好適な出発分子のアルコキシル化によって自体公知の方法で得ることができる。これらのポリエーテルポリオールの製造では、いずれか所望の多価アルコール、例えばポリエステルポリオールの製造において上述したような分子量62~400を有する多価アルコールを出発分子として使用することができる。
【0067】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキサイドとしては、特には、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドなどがあり、これらはアルコキシル化反応においていずれか所望の順序で、又は混合して使用することができる。
【0068】
好適なポリアクリレートポリオールCは、例えば、官能価及びヒドロキシル価から計算できる、又はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定できる、800~50000、好ましくは1000~20000の平均分子量を有し、ヒドロキシル基含有量0.1~12重量%、好ましくは1~10重量%を有するものであり、ヒドロキシル基を含有するオレフィン性不飽和モノマーとヒドロキシルを含まないオレフィン性モノマーとの共重合によって自体公知の方法で製造することができる。
【0069】
ポリアクリレートポリオールCを製造するのに好適なモノマーの例は、ビニルモノマー及びビニリデンモノマー、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-及び/又はp-クロロスチレン、o-、m-又はp-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、最大18個の炭素原子を有するアルコールのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸3,3,5-トリメチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル又はメタクリル酸イソボルニル、フマル酸、イタコン酸又はマレイン酸と4~8個の炭素原子を有するアルコールとのジエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、2~5個の炭素原子を有するアルカンモノカルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル、ヒドロキシアルキル基に2~5個の炭素原子を有するアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、トリメチロールプロパンモノアクリレート若しくはモノメタクリレート、又はペンタエリスリトールモノアクリレート若しくはモノメタクリレート、及びまたそのような例示されたモノマーのいずれか所望の混合物である。
【0070】
好ましいヒドロキシル含有化合物Cは、上述の種類のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び/又はポリアクリレートポリオールである。特に好ましいヒドロキシル含有化合物Cは、列挙した種類のポリアクリレートポリオールであり、それは列挙した種類のポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールと混合して使用しても良い。成分Cが、専ら列挙された種類のポリアクリレートポリオールを含有する場合が特に好ましい。
【0071】
アルコキシシリル官能性シロキサンD
本発明によるコーティング組成物は、少なくとも一つのアルコキシシリル官能性シロキサンDを含有する。
【0072】
シロキサンは当業者に知られている。ここで問題となるのは、一般式RSi-[O-SiR-O-SiRの成分であり、ここでRは純粋なシラン(すなわち、SiとHから構成される二元化合物)に由来する水素原子又はアルキル基であることができる。したがって、シロキサンでは、ケイ素原子は正確に一つの酸素原子を介してそれの隣接するケイ素原子に結合しており、少なくとも一つのSi-O-Si結合を含んでいる。少なくとも一つの水素原子がアルキル基などの有機基で置換されている場合、得られる化合物は有機シロキサンとも称される。オリゴマー又はポリマーの有機シロキサン(R≠Hのシロキサン)は長いSi-O主鎖を持ち、そしてシリコーンと呼ばれる。
【0073】
有機シロキサンの上述の有機基が少なくとも一つのアルコキシシリル基をさらに含む場合、有機基はアルコキシシリル基によって置換された少なくとも一つの水素基を有し、その結果、純粋なシロキサンから誘導された誘導体の水素は有機基によって少なくとも部分的に置換されており、その有機基は次にアルコキシシリル官能性基を含み、それは本発明の文脈においてアルコキシシリル官能性シロキサン(成分D)と称される。
【0074】
アルコキシシリル官能性基は、アルコキシシランに由来する官能基であり、純粋なシランに由来し、Si-OR基を含む成分である。したがって、純粋なシランの少なくとも一つの水素原子が、アルコキシ基-OR、すなわち、酸素を介してケイ素に結合したアルキル基によって置換されている。例としては、モノ-、ジ-、又はトリメトキシ-又は-エトキシシランなどがある。
【0075】
したがって、本発明に従って使用されるアルコキシシリル官能性シロキサンDは、少なくとも一つの水素原子が有機基で置換され、さらに少なくとも一つの水素基がアルコキシシリル基で置換されているシロキサンの誘導体である。したがって、アルコキシシリル基は常に、それ自体がシロキサン骨格に結合しているアルキル基の官能基を意味すると理解されるべきである。したがって、アルコキシシリル基は常に二価の有機基R、例えばアルキレンを介してSi-O-Si構造に連結されており、Si-O-Si単位のシロキサン主鎖に直接結合していることはない。
【0076】
本発明に従って使用されるアルコキシシリル官能性シロキサンDは、一般式(III)を有する。
【化23】
式中、
Aは-[O-SiR14 ]-基であり、Bは-[O-SiR1516]-基であり、
11、R12、R14及びR15は互いに独立に、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基であり、
10、R13及びR16は互いに独立に-LR17基であり、
L=直鎖又は分岐の2価アルキル基であり、
17=H又は-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル基であり、z=0、1又は2、好ましくはz=0であり、
ただし、基の少なくとも一つはR10若しくはR13を含み、及び/又は少なくとも一つの基Bは基R17=-Si(R18(OR193-zを含み、
xは、各場合で独立に1~20の整数であり、
yは、各場合で独立に1~10の整数であり、
好ましくはx+y≦20である。
【0077】
したがって、シロキサンDは、いずれの場合も、少なくとも一つの基-Si(R18(OR193-zを含む。
【0078】
y>0の場合、ポリシロキサン鎖は単位Aと単位Bを含む。他方、y=0の場合、単位Aのみが存在する。単位Aのみが存在する場合(y=0)が好ましい。y=0であり、xが6~14の数字である場合がさらに好ましい。
【0079】
アルコキシシリル官能性シロキサンDは、基R10、R13及び/又はR16のいずれがアルコキシシリル基を含むかに応じて、直鎖又は分枝であることができる。基R17=-Si(R18(OR193-z(R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基であり、z=0、1又は2、好ましくはz=0である)の形態のアルコキシシリル基が、末端でのみ基R10及びR13に配置されている場合、そのアルコキシシリル官能性シロキサンは直鎖である。しかしながら、アルコキシシリル基も基R16に存在する場合、そのシロキサンは分岐している。そのシロキサンは好ましくは直鎖状である。
【0080】
基R10、R13及びR16は、同一又は異なる基であり、その基の少なくとも一つは常に-LR17基であり、R17はアルコキシシリル基である。これらの基R10、R13及びR16の少なくとも一つが-LR17基を有し、Lがエチレン基であり、R17がトリアルコキシシラン基である場合が非常に特に好ましい。Lがエチレン基であり、R17がトリメトキシシラン基又はトリエトキシシラン基である場合が特に好ましい。y=0であり、両末端基R10及びR13が-LR17基であり、Lがエチレン基であり、R17がトリメトキシ又はトリエトキシシラン基である場合がさらに非常に特に好ましい。別の非常に特に好ましい実施形態では、y>0であり、R16は-LR17基であり、Lはエチレン基であり、R17はトリアルコキシシラン基であり、R10及びR13は-LR17基であり、R17は水素原子である。
【0081】
基R11、R12、R14、R15、R18及びR19は、特に好ましくは同一又は異なるアルキル基であり、これらの基R11、R12、R14、R15、R18及びR19は非常に特に好ましくは1~4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、基R11、R12、R14、R15、R18及びR19はさらに非常に特に好ましくはメチル及び/又はエチル基、特にメチル基である。
【0082】
成分Dは、少なくとも一つのアルコキシシリル官能性シロキサンを含む。したがって、側鎖にアルコキシシリル官能基を有するアルコキシシリル官能性シロキサンは、アルコキシシリル官能基がシロキサン鎖上の末端位置に存在するものと並んで存在し得る。
【0083】
特に好ましいアルコキシシリル官能性シロキサンDは、Shin Etsuから市販されている。
【0084】
本発明によるコーティング組成物が0.001重量%~5重量%、好ましくは0.005重量%~3重量%、特に好ましくは0.01重量%~2重量%の成分Eを含む場合が好ましく、ここで重量%で報告されている量は、各場合において、ポリイソシアネート成分A、イソシアネート反応性成分C及びシロキサン成分Dの総量に基づくものである。
【0085】
さらなる成分
補助物質及び添加物質
本発明によるコーティング組成物は、任意に、さらなる補助物質及び添加物質を含んでもよい。これらは、第1又は第2のコーティング組成物成分中に、又は両方のコーティング組成物成分中に存在することができる。後者の場合、同一又は異なる補助物質及び添加物質が両方の成分に存在し得る。
【0086】
補助物質及び添加物質が第2のコーティング組成物成分中に存在する場合、これらは保存開始時にC及びDの混合物中にすでに存在していてもよく、或いは貯蔵時にC及びDの混合物と混合されてもよい。補助物質及び添加物質の一部がCとDの混合物の保管開始時にすでにその混合物中に存在しており、さらなる部分が混合物の保管時に混合されることも可能である。
【0087】
補助物質及び添加物質は、特には、コーティング技術から当業者に公知である補助物質及び添加物質、例えば溶媒、UV安定剤、酸化防止剤、水捕捉剤、レベリング剤、レオロジー添加剤、スリップ添加剤、消泡剤、充填剤及び/又は顔料及び無機ナノ粒子、特にケイ素、アルミニウム、セリウム及び/又はチタンの酸化物であり、それは任意に、有利には二酸化ケイ素のオルガノゾルなどの対応するゾルの形態で使用することもできる。
【0088】
加工粘度を下げるために、本発明によるコーティング組成物を、例えば慣用の有機溶媒で希釈してもよい。この目的に適した溶媒は、例えば、シラン含有ポリイソシアネートAの製造において任意の追加使用するための溶媒として上述したコーティング溶媒であり、これらの溶媒は、コーティング組成物の成分の反応性基に対して化学的不活性を示し、使用される溶媒に基づいて1.0重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下の水含有量を有する。
【0089】
好適なUV安定剤は、好ましくは、ピペリジン誘導体、例えば4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-1-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スベレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ドデカンジオエート;ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン又は2,2′-ジヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン;ベンゾトリアゾール誘導体、例えば2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、イソオクチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール;オキサルアニリド類、例えば2-エチル-2′-エトキシオキサルアニリド又は4-メチル-4′-メトキシオキサルアニリド;サリチル酸エステル、例えばサリチル酸フェニル、サリチル酸4-tert-ブチルフェニル、サリチル酸4-tert-オクチルフェニル;ケイ皮酸エステル誘導体、例えばケイ皮酸メチルα-シアノ-β-メチル-4-メトキシ、ケイ皮酸ブチルα-シアノ-β-メチル-4-メトキシ、ケイ皮酸エチルα-シアノ-β-フェニル、ケイ皮酸イソオクチルα-シアノ-β-フェニル;及びマロン酸エステル誘導体、例えばマロン酸ジメチル4-メトキシベンジリデン、マロン酸ジエチル4-メトキシベンジリデン、マロン酸ジメチル4-ブトキッシベンジリデンからなる群から選択され得る。これらの好ましいUV安定剤は、単独で、又は互いとのいずれか所望の組み合わせで用いることができる。
【0090】
例として挙げた1以上のUV安定剤は、任意に、本発明によるコーティング組成物に、ポリイソシアネート成分A、イソシアネート反応性成分C、成分B、及びB′並びにシロキサン成分Dの総量基準で、使用されるU安定剤の総量として計算して好ましくは0.001重量%~3.0重量%、特に好ましくは0.01重量%~2重量%の量で添加される。
【0091】
好適な酸化防止剤は、好ましくは立体障害フェノールであり、それは好ましくは2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(イオノール)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、2,2′-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、及び2,2′-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群から選択することができる。これらは、必要に応じて、個別に、又は互いにいずれか所望の組み合わせで使用することができる。
【0092】
これらの酸化防止剤は、ポリイソシアネート成分A、イソシアネート反応性成分C及びシロキサン成分Dの総量に基づいて、使用される酸化防止剤の総量として計算して、好ましくは0.01重量%~3.0重量%、特に好ましくは0.02重量%~2.0重量%の量で使用される。
【0093】
本発明によるコーティング組成物中のシラン基の早期架橋を防ぐために、水捕捉剤、例えばオルトギ酸エステル、例えばオルトギ酸トリエチル、又はビニルシラン、例えばビニルトリメトキシシランを添加することが有利であり得る。これらの水捕捉剤は、使用する場合には、ポリイソシアネート成分A、イソシアネート反応性成分C及びシロキサン成分Dの総量に基づいて、0.01重量%~5重量%、好ましくは0.01重量%~2重量%の量で使用される。
【0094】
基材の濡れを改善するために、本発明によるコーティング組成物は、任意に、好適なレベリング剤、例えば有機変性シロキサン、例えばポリエーテル変性シロキサン、ポリアクリレート及び/又はフッ素系界面活性剤を含有してもよい。これらのレベリング剤は、使用する場合、ポリイソシアネート成分A、イソシアネート反応性成分C及びシロキサン成分Dの総量基準で、0.01重量%~3重量%、好ましくは0.01重量%~2重量%、特に好ましくは0.05重量%~1.5重量%の量で使用される。
【0095】
同様に、さらなる補助物質及び添加物質として、本発明によるコーティング組成物中に存在していても良いレオロジー添加剤、スリップ添加剤、消泡剤、充填剤、艶消し剤及び/又は顔料は、当業者には公知であり、使用する場合は、コーティング技術で一般的な量で用いられる。このような好適な補助物質及び添加物質の包括的な総論が、例えば、Bodo Muller, ″Additive kompakt″, Vincentz Network GmbH & Co KG (2009)にある。
【0096】
本発明によるコーティング組成物に添加することができるさらなる補助物質及び添加物質としては、硬化速度を制御するのに適した触媒、例えばイソシアネート化学において慣用的なウレタン化及びアロファネート化触媒、例えば三級アミン類、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、N-メチル-又はN-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N-メチルピペリジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、N,N′-ジメチルピペラジン、N-メチル-N′-ジメチルアミノピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルイミダゾール-β-フェニルエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及びビス(N,N-ジメチルアミノエチル)アジペート、アミジン類、例えば1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及び2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、アルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N′,N″-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン類、例えばN,N′,N″-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及び金属塩、例えば金属の通常の酸化状態にある鉄、鉛、ビスマス、亜鉛及び/又はスズの無機及び/又は有機化合物、例えば塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス(III)ビスマス(III)、オクタン酸ビスマス(III)、ネオデカン酸ビスマス(III)、塩化亜鉛、2-エチルカプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)又はアセチルアセトン酸亜鉛(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルカプロン酸スズ(II)、パルミチン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ(IV)(DBTL)、二塩化ジブチルスズ(IV)、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ(II)、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジマレエート又はジオクチルスズジアセテート、オクタン酸鉛、ジルコニウム化合物、例えば、2-エチル-1-ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ネオデカン酸ジルコニウム(IV)、ナフテン酸ジルコニウム(IV)又はジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、オクタン酸カリウム、マンガン、コバルト若しくはニッケル化合物及び強酸、例えばトリフルオロ酢酸、硫酸、塩化水素、臭化水素、リン酸若しくは過塩素酸、或いはこれらの触媒のいずれか所望の混合物などがある。
【0097】
さらなる加水分解性シラン化合物
さらなる成分として、本発明によるコーティング組成物はまた、共反応物として、いずれか所望のさらなる加水分解性シラン化合物、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン又はフェニルトリエトキシシランテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどと混合することもできる。、(3グリシジルオキシプロピル)は、メチルジエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン若しくはフェニルトリエトキシシランと混合することもできる。
【0098】
これらの化合物は、成分(I)に添加することが好ましい。それらを成分(II)に添加する場合、成分(II)の安定性が所望の貯蔵期間にわたって保持されることを確認するために、特定の組成物について簡単な予備試験を実施しなければならない。たとえば、濁り又は粘度上昇は、安定性が不十分であることの兆候である。
【0099】
これらの加水分解性シラン化合物をコーティング組成物成分IIと混合する場合、これらはC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在していてもよく、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合してもよい。これらの加水分解性シラン化合物の一部がCとDの混合物中にその貯蔵開始時に既に存在しており、さらなる部分を混合物の貯蔵中に混合することも可能である。
【0100】
さらなるポリイソシアネート
ポリイソシアネートAに加えて、コーティング組成物成分Iは、さらなるポリイソシアネートを含有することもできる。これらは、例えば、成分A1で上述したようなモノマー又は変性ポリイソシアネートであってもよい。
【0101】
本発明によるコーティング組成物において、共反応物は、代表的には、各イソシアネート基について0.5~3、好ましくは0.6~2.0、特に好ましくは0.8~1.6のイソシアネート反応性基があるような量で存在する。NCO基のイソシアネート反応性基の比を少なくとも1.0に設定することが非常に特に好ましい。最も好ましい変形形態は、NCO基のイソシアネート反応性基に対する比1.05~1.50に相当する過剰のNCO基を使用する。
【0102】
本発明は、
第1の成分(I)であって、
(A)先の記載による少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
及び
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)先の記載による少なくとも一つのアルコキシシリル官能性シロキサン(III)
及び
(B′)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなるコーティング組成物であって、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含むコーティング組成物の製造方法であって、
成分C及びDを完全に混合し、貯蔵と称される少なくとも(≧)5時間の期間後に、得られた混合物を任意に成分Bとの混合で成分Aと混合し、
B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合し、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、コーティング組成物の製造方法を提供する。
【0103】
本発明はさらに、上記の方法によって得られるコーティング組成物を提供する。
【0104】
貯蔵
上述のように、成分IIは、成分C及びDの混合物を少なくとも(≧)5時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは少なくとも48時間貯蔵することによって得られる。
【0105】
成分C及びDを互いに添加して混合物を作る。貯蔵の開始は、その2成分が完全に相互に添加された時点として定義される。二つの物質を相互に添加する間、及び添加が完了した後の一定期間、通常は混合物を攪拌して、物質の最適な混合を達成する。
【0106】
貯蔵は、二つのコーティング組成物成分I又はIIの一方の第1の量がそれぞれの他方の成分と接触した時点で終了する。
【0107】
上述のように、成分IIはさらなる成分、例えばシラン基の架橋のための触媒(B′)、補助物質及び添加物質などを含んでもよい。
【0108】
同様に上述したように、これらの化合物は、C及びDの混合物中にすでに存在していてもよいし、C及びDの混合物とその貯蔵中に混合されてもよい。同様に、これらの化合物の一部がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分を混合物の貯蔵中に混合することも可能である。
【0109】
これらの化合物を貯蔵中に完全又は部分的に添加する場合、混合物を再度撹拌して、すべての成分の最適なブレンドを達成することができる。これらの化合物の添加により、貯蔵の開始時期が遅れることはない。
【0110】
貯蔵は、好ましくは5℃~40℃のコーティングのための通常の貯蔵条件下で行われる。特に好ましくは、15℃~25℃、特に室温(23℃)での貯蔵である。
【0111】
貯蔵は少なくとも(≧)5時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは少なくとも(≧)48時間、非常に特に好ましくは少なくとも72時間である。
【0112】
23℃での貯蔵は、好ましくは少なくとも(≧)5時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは少なくとも(≧)48時間、非常に特に好ましくは少なくとも72時間である。
【0113】
本発明によるコーティング組成物の使用
本発明によるコーティング組成物でコーティングされる好適な基材には、例えば、金属、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質及び軟質プラスチック、テキスタイル、皮革及び紙、並びにコーティング前に好ましくは通常のプライマー及び/又はベースコート層などの1以上の層も設けられている複合材料などのいずれか所望の基材などがある。好ましい実施形態では、本発明によるコーティング組成物は、硬質及び軟質プラスチックのコーティングに、特には自動車産業におけるプラスチックに使用される。本発明によるコーティング組成物は、好ましくはクリアコート又はトップコートとして使用される。特に好ましいのは、低汚特特性及び/又は汚れの場合の簡単なクリーニングなどの要求を受ける基材である。
【0114】
本発明のコーティング組成物を基材に塗布する好適な方法は、例えば、印刷、塗装、ローリング、カーテンコーティング、浸漬、フローコーティング、及び/又は好ましくはスプレー、例えば、圧縮空気スプレー、エアレススプレー、高速回転、静電スプレー塗布(ESTA)であり、任意にホットスプレー塗布、たとえば熱風スプレーと組み合わせる。
【0115】
好適な層厚は塗布プロセスによって決まり、乾燥膜厚基準で、代表的には5~60μm、好ましくは10~40μm、特には12~30μmである。
【0116】
本発明によるコーティング組成物の塗布後、有機溶媒などの揮発性物質を、コーティング技術において通常の方法を使用して最初に除去する。除去は、好ましくは、オーブン内で、強制空気循環(対流式オーブン、ジェット乾燥機)及び熱照射(IR、NIR)を用いて、高温、例えば40℃~250℃、好ましくは40℃~100℃の範囲で乾燥させることによって行う。さらにマイクロ波を使用することも可能である。これらの乾燥プロセスをいくつか組み合わせることも可能である。
【0117】
有利には、最大達成温度が、基材が変形するか、他の損傷を受ける限界より低温に保持されるように、乾燥条件を選択することが可能である。
【0118】
したがって、本発明はさらに、基材のコーティングのための本発明によるコーティング組成物の使用、及びコーティングされた基材自体に関する。
【実施例
【0119】
特に明記しない限り、すべてのパーセントは重量基準である。
【0120】
溶媒含有クリアコートを製造するため、ポリオールDesmophen 670 BA(Covestro Deutschland AG, Leverkusen, DE)及びSetalux D A 365 BA/X(Allnex Germany GmbH, Bitterfeld-Wolfen, DE)を市販のレベリング添加剤(Baysilone Lackadditive OL 17, OMG AG + Co. KG, Langenfeld, DE)及び市販の触媒Nacure 4000(King Industries, Norwalk, US、触媒Cとして)と均一になるまで混合し、粘度を調節するための溶媒メトキシプロピルアセテート、ソルベントナフサ100及びジアセトンアルコールを室温で高撹拌することによって混合した。
【0121】
本発明の実施例1の場合、添加剤KR-410(直鎖アルコキシシリル官能性ポリシロキサン、Shin-Etsu,日本)をストックコーティング混合物に添加し、その混合物を均一になるまで混合し、室温で72時間撹拌した。72時間後、架橋のためにポリイソシアネートをこの混合物に添加した。
【0122】
本発明の実施例2の場合、添加剤KR-410(直鎖アルコキシシリル官能性ポリシロキサン、Shin-Etsu,日本)をストックコーティング混合物に添加し、前記混合物を均一になるまで混合し、室温で5時間撹拌した。5時間後、架橋のためにポリイソシアネートをこの混合物に添加した。
【0123】
比較例3の場合、添加剤KR-410(Shin-Etsu,日本)を架橋直前にストックコーティング成分に組み入れ、従って前記成分を添加剤なしで室温で72時間貯蔵した。均質な混合物が形成されたら、ポリイソシアネートを直接添加した。
【0124】
表1は、個々の配合物の組成を示す。
【0125】
クリアコートを製造するために、イソプロピルアルコールでクリーニングしたガラス板上に、上記の混合物をそれぞれスプレーガン(ノズル:SATA/1.2mm)を用いて塗布した。フィルムを塗布した後、コーティングを室温で10分間、続いて80℃で30分間、そして60℃で16時間乾燥させた。
【0126】
ケーニッヒ振り子の減衰は、DIN EN ISO 1522:2007に従って測定した。
【0127】
いわゆるマーカーテストによってクリーニングしやすさ特性を決定するために、市販のEdding 3000緑色油性マジック(Edding, Ahrensburg,ドイツ)を使用して広い線をコーティングに塗布し、10秒後にホコリのない布で可能な限り拭き取った。残留物の強度を肉眼で評価した(++=目に見える残留物なし、+=わずかな残留物、-=完全な線がまだ存在する)。塗布挙動もさらに評価した(O=施用が簡単、O/Z=マーキングがわずかに収縮、Z=マーキングが顕著に収縮)。
【0128】
水との接触角の測定を、Data PhysicsからのOCA20装置を用いて実行した。このために、それぞれ約2μLの蒸留水を含む10滴をコーティング表面に乗せ、得られた接触角を約3秒後に記録した。10回の測定値を使用して平均を計算した。Data PhysicsからのSCAソフトウェアを液滴の分析及び評価に使用した。
【0129】
表2に性能試験の結果を比較して示している。
【0130】
使用した出発化合物
Desmophen 670BA
軽度に分岐したヒドロキシル含有ポリエステル、酢酸ブチル中約80%、ヒドロキシル含有量約3.5%、23℃での粘度約3000mPas。
【0131】
Desmodur 2873
HDIベースのシラン官能性脂肪族ポリイソシアネート(Covestro Deutschland AG, Leverkusen)、供給時のまま100%、NCO含有量:12.3%、23℃での粘度:約450mPas。
【0132】
Setalux DA 365 BA/X
ポリアクリレートポリオール(Allnex Germany GmbH, Bitterfeld-Wolfen, DE)、酢酸ブチル/キシレン(75:25)中65%溶液、ヒドロキシル含有量約2.7%(供給形態に基づく)、23℃での粘度:約3000mPas。
【0133】
Nacure 4000
アルキル酸性リン酸塩触媒(King Industries, NOrwalk, US)、酸価約650mgKOH/g、供給形態のMPA中10%溶液として使用。
【0134】
KR-410
直鎖アルコキシシリル官能性シロキサン(Shin-etsu, Japan)、供給形態。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
表2から明らかなように、OH官能性成分IIにおける添加剤KR-410の貯蔵は、クリーニング特性において顕著な利点をもたらす。5時間貯蔵後(実施例2)であっても、マーキングは比較例3より顕著な収縮を受ける。72時間貯蔵後(実施例1)、マーキング試験後に残留物は全く見られない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分(I)であって、
(A)少なくとも一つのポリイソシアネート成分であって、
(A1)少なくとも一つのポリイソシアネートと
(A2)少なくとも一つの下記一般式(I):
【化1】
[式中、
、R及びRは同一であるか異なる基であり、それぞれ、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基であり、それは酸素、硫黄及び窒素のシリーズからの最大3個のヘテロ原子を含んでいても良く、
Xは、直鎖若しくは分岐有機基であり、それは少なくとも2個の炭素原子を有し、最大2個のイミノ基(-NH-)を含んでいても良く、
は、水素、最大18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は置換されていても良い芳香族若しくは芳香脂肪族基、又は
i)下記式の基:
【化2】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)、又は
ii)下記式の基:
【化3】
(式中、R及びRは互いに独立に、1~18個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式又は芳香族有機基であり、それは置換されていても置換されていなくても良く、及び/又鎖中にヘテロ原子を有していても良い。)、又は
iii)下記式の基:
【化4】
(式中、Rは、水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)である。]の、
又は下記一般式(II):
【化5】
(式中、R、R及びRは式(I)について上記で定義した通りであり、
Yは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基である。)
のイソシアネート反応性化合物
との反応によって得ることができる少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
並びに、
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)少なくとも一つの下記式(III)のアルコキシシリル官能性シロキサン:
【化6】
[式中、
Aは-[O-SiR14 ]-基であり、Bは-[O-SiR1516]-基であり、
11、R12、R14及びR15は互いに独立に、1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、
10、R13及びR16は互いに独立に、-L-R17基であり、
L=直鎖若しくは分岐2価アルキル基であり、
17=H又は-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、z=0、1又は2であり、好ましくはz=0であり、
ただし、基の少なくとも一つがR10若しくはR13を含み、及び/又は少なくとも一つの基Bが基R17=-Si(R18(OR193-zを含み、
xは、各場合で独立に、1~20の整数であり、
yは、各場合で独立に、1~10の整数であり、
好ましくは、x+y≦20である。]、
及び
(B′)任意に、シラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなる二成分コーティング組成物であって、
成分IIが、C及びDの混合物を少なくとも(≧)5時間貯蔵することによって得られ、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが、少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含み、B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合され、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、二成分コーティング組成物。
【請求項2】
少なくとも一つのポリイソシアネートA1が、脂肪族的に、脂環式的に、芳香脂肪族的に及び/又は芳香族的に結合したイソシアネート基を有するモノマージイソシアネート並びにモノマーの脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族ジイソシアネートを修飾することによって得ることができるウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、チオウレタン、チオアロファネート、ビウレット、尿素、イミノオキサジアジンジオン及び/又はオキサジアジントリオン構造を有するオリゴマージ-又はポリイソシアネートからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項3】
少なくとも一つのポリイソシアネートA1が、HDI、PDI及びHDI又はPDIに基づくオリゴマージ-又はポリイソシアネートからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項4】
少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aが、少なくとも一つの一般式I(A2)のイソシアネート反応性化合物に基づくものであり、ここで、
i)R、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基であり、
Xが、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐有機基であり、
が、最大6個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式基又は下記式の基:
【化7】
(式中、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。)であり、
又は
ii)R、R、R及びXがi)で定義した通りであり、
が下記式の基:
【化8】
(式中、R及びRは互いに独立に、メチル、エチル、n-ブチル又は2-エチルヘキシル基である。)であり、
又は
iii)R、R、R及びXがi)で定義した通りであり、
が下記式の基:
【化9】
(式中、Rは水素又は1~8個の炭素原子を有する飽和した直鎖若しくは分岐、脂肪族若しくは脂環式有機基である。)である、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項5】
少なくとも一つのポリイソシアネート成分Aが、少なくとも一つの一般式II(A2)のイソシアネート反応性化合物に基づくものであり、ここで、
、R及びRがそれぞれ、最大6個の炭素原子を有するアルキル基及び/又は最大3個の酸素原子を含むアルコキシ基であり、ただし、基R、R及びRの少なくとも一つがこの種類のアルコキシ基、好ましくはメトキシ又はエトキシ基であり、
Yが、2~10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキレン基である、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネート成分Aを製造するために、少なくとも一つのポリイソシアネートA1と少なくとも一つのイソシアネート反応性化合物A2とを、50:1~1.05:1、好ましくは30:1~1.25:1、特に好ましくは20:1~1.5:1のイソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比を維持しながら、20℃~200℃、好ましくは30℃~160℃の温度で反応させる、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項7】
少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)が、アミンでブロックされた形態であっても良い酸性リン酸エステル、ホスホン酸エステル及びスルホン酸、並びにテトラアルキルアンモニウムカルボキシレートからなる群から選択される、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項8】
成分IIが、少なくとも一つの式(III)のアルコキシシリル官能性シロキサンDを含み、ここで、
11、R12及びR14が互いに独立に、メチル及び/又はエチル、好ましくはメチルであり、
10及びR13が互いに独立に、-L-R17基であり、
L=直鎖若しくは分岐2価アルキル基、好ましくはエチレンであり、
17=-Si(R18(OR193-zであり、R18、R19=1~4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルキル基であり、
z=0、1又は2、好ましくはz=0であり、y=0である、請求項1に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項9】
第1の成分(I)であって、
(A)請求項1の記載による少なくとも一つのポリイソシアネート成分、
(B)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第1の成分(I)、
及び
第2の成分(II)であって、
(C)少なくとも一つのヒドロキシル含有化合物、
(D)請求項1の記載による少なくとも一つのアルコキシシリル官能性シロキサン(III)
及び
(B′)任意にシラン基の架橋のための1以上の触媒
を含む又はそれらからなる第2の成分(II)
からなるコーティング組成物であって、
二つの成分I及びIIの少なくとも一つが少なくとも一つのシラン基の架橋のための触媒(B又はB′)を含むコーティング組成物の製造方法であって、
成分C及びDを完全に混合し、貯蔵と称される少なくとも(≧)5時間の期間後に、得られた混合物を任意に成分Bとの混合で成分Aと混合し、
B′は、成分II中に存在する場合、C及びDの混合物中に貯蔵開始時にすでに存在しており、又はC及びDの混合物とその貯蔵中に混合し、又はB′の一部分がC及びDの混合物中にその貯蔵開始時にすでに存在しており、さらなる部分が混合物の貯蔵中に混合される、コーティング組成物の製造方法。
【請求項10】
成分IIは、C及びDの混合物を少なくとも(≧)24時間貯蔵することで、又は請求項に記載のコーティング組成物の製造方法によって得られ、ここで、成分C及びDの混合物が、少なくとも(≧)24時間の期間後に、任意に成分Bとの混合で成分Aと混合される、請求項に記載の二成分コーティング組成物。
【請求項11】
-請求項に記載の方法によって得ることができるコーティング組成物を基材に塗布すること、
-前記コーティング組成物を熱硬化させること
を含む、基材上にコーティングを製造する方法。
【請求項12】
前記コーティングがクリアコート又はトップコートである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基材が、硬質又は軟質プラスチック、特には自動車産業で使用されるプラスチックである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法によって得ることができるコーティングされた基材。
【国際調査報告】