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特表2024-524168反射軽減のためのパッケージ内受動誘導素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】反射軽減のためのパッケージ内受動誘導素子
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20240628BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H04L25/03 C
H04L25/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578144
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022023364
(87)【国際公開番号】W WO2022271254
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/357,087
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チャオイン・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアヤ,パラグ
(72)【発明者】
【氏名】シ,ホン
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029JJ08
(57)【要約】
パッケージデバイスは、第1の集積回路(IC)ダイ及び送信回路(112)を備える第1のトランシーバ110と、第2のICダイ及び受信回路(124)を備える第2のトランシーバ(120)とを備える。受信回路は、チャネル(140)を介して送信回路に結合される。パッケージデバイスは、第1のICダイ及び第2のICダイに接続された相互接続デバイス(130)を更に備える。相互接続デバイスは、送信回路を受信回路に接続するチャネル(140)と、第1のICダイ及び第2のICダイの外部にチャネルに沿って配置された受動誘導素子(142)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージデバイスであって、
第1の集積回路(IC)ダイ及び送信回路を含む第1のトランシーバと、
第2のICダイ、及びチャネルを介して前記送信回路に結合された受信回路を含む第2のトランシーバと、
前記第1のICダイ及び前記第2のICダイに接続された相互接続デバイスであって、前記相互接続デバイスが、
前記送信回路を前記受信回路に接続するチャネルと、
前記第1のICダイ及び前記第2のICダイの外部に、かつ前記チャネルに沿って配置された受動誘導素子と、
を含む、相互接続デバイスと、
を備える、パッケージデバイス。
【請求項2】
前記相互接続デバイスが基板であり、前記チャネル及び前記受動誘導素子が前記基板の本体内に配置される、請求項1に記載のパッケージデバイス。
【請求項3】
前記相互接続デバイスが複数の層を含み、前記チャネル及び前記受動誘導素子が前記複数の層内に配置される、請求項1に記載のパッケージデバイス。
【請求項4】
前記相互接続デバイスがインターポーザであり、前記チャネル及び前記受動誘導素子が、前記インターポーザの本体内に配置される、請求項1に記載のパッケージデバイス。
【請求項5】
前記第2のICダイが、第1のバンプに接続された第1のバンプパッドを含み、前記相互接続デバイスが、前記第1のバンプに接続された第2のバンプパッドを含み、前記受動誘導素子が、前記第2のバンプパッドに近接して配置される、請求項1に記載のパッケージデバイス。
【請求項6】
前記チャネルが第1のトレースを含み、前記受動誘導素子が前記第1のトレースから形成される、請求項1に記載のパッケージデバイス。
【請求項7】
前記チャネルが第2のトレースを更に含み、前記受動誘導素子が前記第2のトレースから更に形成され、前記受動誘導素子の外部の前記第1のトレースと前記第2のトレースとの間の距離が、前記受動誘導素子の内部の前記第1のトレースと前記第2のトレースとの間の距離よりも大きい、請求項6に記載のパッケージデバイス。
【請求項8】
前記第1のトレースが、(a)前記相互接続デバイスのバンプパッドを少なくとも部分的に取り囲み、(b)経路に関連付けられ、かつ、前記第1のトレースが、前記経路に対して直角な1つ又は複数の延長部を含む部分を含むか、又は(c)波形を有する部分を含む、請求項6に記載のパッケージデバイス。
【請求項9】
相互接続デバイスであって、
第1の集積回路(IC)ダイの送信回路を第2のICダイの受信回路に接続するように構成されたチャネルであって、前記相互接続デバイスが前記第1のICダイ及び前記第2のICダイに接続される、チャネルと、
前記第2のICダイに近接して前記チャネルに沿って配置された受動誘導素子と、
を備える、相互接続デバイス。
【請求項10】
本体と、第1のバンプパッドと、を更に備え、
前記チャネル及び前記受動誘導素子が、前記本体内に配置され、
前記第2のICダイが、バンプを介して前記第1のバンプパッドに接続された第2のバンプパッドを含み、
前記受動誘導素子が、前記第1のバンプパッドに近接して配置される、請求項9に記載の相互接続デバイス。
【請求項11】
複数の層と、第1のバンプパッドと、を更に備え、
前記チャネル及び前記受動誘導素子が、前記複数の層内に配置され、
前記第2のICダイが、バンプを介して前記第1のバンプパッドに接続された第2のバンプパッドを含み、
前記受動誘導素子が、前記第1のバンプパッドに近接して配置される、請求項9に記載の相互接続デバイス。
【請求項12】
前記チャネルが第1のトレースを含み、前記受動誘導素子が前記第1のトレースから形成される、請求項9に記載の相互接続デバイス。
【請求項13】
前記第1のトレースが、前記受動誘導素子の外部の第1の部分と、前記受動誘導素子の内部の第2の部分と、を含み、前記第1のトレースの前記第1の部分の幅が、前記第1のトレースの前記第2の部分の幅よりも大きい、請求項12に記載の相互接続デバイス。
【請求項14】
前記チャネルが第2のトレースを更に含み、前記受動誘導素子が前記第2のトレースから更に形成され、前記受動誘導素子の外部の領域における前記第1のトレースと前記第2のトレースとの間の距離が、前記受動誘導素子の内部の領域における前記第1のトレースと前記第2のトレースとの間の距離よりも大きい、請求項12に記載の相互接続デバイス。
【請求項15】
前記第1のトレースが経路に関連付けられ、前記第1のトレースが、前記経路に垂直な1つ又は複数の延長部を含む部分を含むか、
前記第1のトレースが、波形を有する部分を含むか、
のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載の相互接続デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、概して、電子回路に関し、特に、受信信号における反射軽減のための受動誘導素子に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる集積回路(IC)ダイのトランシーバは、1つ又は複数のチャネルを介して接続される。チャネルは、1つ又は複数のトレースを含む。Extra Short Reach(XSR)及びUltra Short Reach(USR)チャネルでは、超低電力トランシーバが使用される。XSR及びUSRチャネルは、約5mmから約50mmの長さを有する通信リンクに対応する。XSR及びUSRチャネルは超低電力トランシーバを使用するので、判定帰還型等化器(decision feedback equalizer、DFE)及びフィードフォワード等化器(feed forward equalizer、FFE)は、反射によるシンボル間干渉(inter-symbol interference、ISI)を軽減するために、対応する受信回路内では通常利用できない。多くの場合、等化技法は、オンダイインダクタ(例えば、Tコイル)に依存する。オンダイインダクタは、ICダイ間の寄生容量の大部分を補償して、反射を減少させることができる。しかしながら、オンダイインダクタは、ICダイのバンプパッドと対応するオフダイバンプとの間の容量を補償することができない。
【発明の概要】
【0003】
誘導素子は、集積回路(IC)ダイ内(例えば、オンダイインダクタ)で使用され、ICダイ内の容量成分によって引き起こされる影響を軽減する。しかしながら、ICダイ内の誘導素子は、送信回路から受信回路に信号を送信するときに生じ得る反射の一部を軽減することしかできない。例えば、ICダイ内の誘導素子は、オフダイバンプとICダイのバンプパッドとの間の容量を軽減しない。一例では、バンプ対バンプパッドの容量の影響を軽減するために、受動誘導素子が、ICダイの外部でバンプに近接して配置される。受動インダクタは、インターフェース素子(例えば、基板、インターポーザ、又はICダイの外部にあるがそれに接続された1つ又は複数の層)の1つ又は複数の層内に含まれてもよい。
【0004】
一例では、パッケージデバイスは、第1の集積回路(IC)ダイ及び送信回路を備える第1のトランシーバと、第2のICダイ及び受信回路を備える第2のトランシーバとを備える。受信回路は、チャネルを介して送信回路に結合される。パッケージデバイスは、第1のICダイ及び第2のICダイに接続された相互接続デバイスを更に備える。相互接続デバイスは、送信回路を受信回路に接続するチャネルと、第1のICダイ及び第2のICダイの外部にチャネルに沿って配置された受動誘導素子とを備える。
【0005】
一例では、相互接続デバイスは、第1の集積回路(IC)ダイの送信回路を第2のICダイの受信回路に接続するように構成されたチャネルを備える。相互接続デバイスは、第1のICダイ及び第2のICダイに接続される。相互接続デバイスは、第2のICダイに近接してチャネルに沿って配置された受動誘導素子を更に備える。
【0006】
一例では、電子デバイスはパッケージデバイスを含む。パッケージデバイスは、第1の集積回路(IC)ダイ及び送信回路を備える第1のトランシーバと、第2のICダイ及び受信回路を備える第2のトランシーバと、相互接続デバイスとを備える。相互接続デバイスは、第1のICダイ及び第2のICダイに接続される。相互接続デバイスは、本体と、送信回路を受信回路に接続するチャネルとを備える。チャネルは相互接続デバイス内に配置される。相互接続デバイスは、第2のICダイに近接して相互接続デバイス内のチャネルに沿って配置された受動誘導素子を更に備える。
【0007】
これら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を参照して理解され得る。
【0008】
上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡潔に要約されたより具体的な説明が、例示的な実装形態を参照することによって行われ得、それらの実装形態のうちのいくつかが添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、典型的な例示の実装形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ又は複数の例による例示的なパッケージデバイスを示すブロック図である。
図2】1つ又は複数の例による例示的なパッケージデバイスの側面図である。
図3】1つ又は複数の例による例示的なパッケージデバイスの側面図である。
図4】1つ又は複数の例による信号における潜在的な応答誤差のグラフである。
図5】1つ又は複数の例による例示的な通信システムの一部分の概略図である。
図6】1つ又は複数の例による受信信号における誤差の減少を示すグラフである。
図7】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
図8】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
図9】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
図10】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
図11】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
図12】1つ又は複数の例による例示的な受動誘導素子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一例の要素は、他の例に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0011】
短距離チャネル又はリンク(例えば、約15mm未満のチャネル)では、反射は、短距離チャネルの受信回路によって受信される信号に悪影響を及ぼす支配的要因である。いくつかの例では、短距離チャネルリンクにおいて、反射は、9番目から14番目のポストカーソル内にある。シンボル間干渉(ISI)は、受信回路内の判定帰還型等化器(DFE)及びフィードフォワード等化器(FFE)によって軽減され得るが、低電力デバイスでは、DFE及びFFEは含まれない。更に、送信回路内の送信有限インパルス応答(transmitter finite impulse response、TXFIR)フィルタ、及び受信回路内の連続時間線形等化器(continuous time linear equalizer、CTLE)は、反射によってもたらされるISIを軽減することができない。したがって、低電力トランシーバデバイスでは、反射に伴うISIは、受信回路における信号の受信に悪影響を及ぼす。
【0012】
ICダイ内の誘導素子(又はインダクタ)(例えば、オンダイインダクタ)は、ICダイ内の容量成分によって引き起こされる影響を軽減する。しかしながら、ICダイ内の誘導素子は、ICダイの外部の容量に起因するトランシーバデバイスの受信回路と送信回路との間の反射を減少させない。例えば、ICダイ内の誘導素子は、ICダイのバンプとバンプパッドとの間の容量に対応する効果を軽減しない。一例では、オンダイバンプパッドの容量に対するオフダイバンプの影響を軽減するために、受動誘導素子が、ICダイの外部でバンプに近接して追加される。受動誘導素子は、相互接続デバイスの1つ又は複数の層内に含まれてもよい。相互接続デバイスは、基板、インターポーザ、又はICダイの外部にあるがそれに接続された1つ又は複数の再配線層である。
【0013】
図1は、1つ又は複数の例による例示的なパッケージデバイス100を示す。パッケージデバイス100は、トランシーバ110及びトランシーバ120を含む。一例では、トランシーバ110及びトランシーバ120は、シリアル通信システムを形成する。例えば、トランシーバ110及びトランシーバ120は、各々がシリアライザ・デシリアライザ(serializer-deserializer、SerDes)デバイスである。トランシーバ110及びトランシーバ120は、より大きな送信回路の一部である。トランシーバ110及びトランシーバ120は、ICダイを含む。更に、トランシーバ110及びトランシーバ120は、特定用途向けIC(application specific IC、ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array、FPGA)であってもよい。
【0014】
トランシーバ110は、送信回路112及び受信回路114を含む。更に、トランシーバ120は、送信回路122及び受信回路124を含む。一例では、トランシーバ110の送信回路112は、チャネル140を介してトランシーバ120の受信回路124に接続される。トランシーバ110及びトランシーバ120は、相互接続デバイス130に実装され(又は何らかの他の方法で接続され)、チャネル140を介して通信可能に結合される。相互接続デバイス130は、基板、インターポーザ、パッケージ基板、又はチップパッケージの他のルーティングである。別の例では、相互接続デバイス130は、導電層及び非導電層を含む複数の層である。更に、相互接続デバイス130は、とりわけ、1つ又は複数の有機材料及び/又はシリコン材料を含む。一例では、相互接続デバイス130は、チャネル140及び受動誘導素子142が存在する本体を含む。
【0015】
トランシーバ110の送信回路112は、あるデータレートでデータ信号を生成する。一例では、データ信号は、並列データ経路から送信回路112によって生成されたシリアルデータ信号である(直列化)。送信回路112は、変調技術を使用してチャネル140上にデータ信号を駆動する。例えば、送信回路112は、パルス振幅変調(pulse amplitude modulation、PAM)又は別の変調技術を使用してデータ信号を駆動することができる。チャネル140は、データ信号のシンボル(例えば、論理「1」及び論理「0」)を表す電気信号を受信回路124に向けて伝搬する。
【0016】
チャネル140は、通信媒体、通信リンク、又はリンクと呼ばれることもある。一例では、チャネル140は、複数のトレース又は電気経路を含む。チャネル140は、とりわけ、相互接続デバイス130の本体内のトレース及びビア、相互接続デバイス130とトランシーバ110及び120のICダイとの間のバンプ、並びに相互接続デバイス130とトランシーバ110及び120のICダイとのバンプパッドを含む。チャネル140は、送信回路112を受信回路124と接続する2つのトレース(例えば、ワイヤ)を有する差動チャネルであってもよい。そのような例では、差動チャネル上のデータは、2つの電気信号(例えば、真信号及び補信号)を使用することによって表される。一例では、論理「0」は、第1の電気信号を下限電圧に駆動し、第2の電気信号を上限電圧に駆動することによって表される。論理「1」は、第1の電気信号を上限電圧に駆動し、第2の電気信号を下限電圧に駆動することによって表される。したがって、各送信シンボルの論理値は、第1の電気信号と第2の電気信号との間の差に基づく。真信号と補信号との間のピーク間差は、電圧の振れ幅(例えば、信号の振れ幅又は振れ幅)である。一例では、チャネル140は、各々が特性インピーダンス(Z)を有する整合伝送線路(トレース)対を含む。
【0017】
トランシーバ110の送信回路112は、他の回路素子の中でも、FIRフィルタ、プリドライバ、出力ドライバ、及び制御論理を含んでもよい。送信回路112は、チャネル140を介して送信する前にシリアルデータ信号を等化する。一例では、送信回路112のFIRフィルタは、チャネル140によって引き起こされる前駆ISIを軽減する。送信回路112の出力ドライバは、データ信号をチャネル140に結合する。データ信号は、差動データ信号であってもよい。
【0018】
一例では、データ信号がチャネル140を介して送信されると、データ信号は劣化する。例えば、データ信号は、チャネル挿入損失を受ける可能性がある。チャネル挿入損失は、送信されるデータ信号の信号電力における周波数依存性の劣化である。データ信号がチャネル140を通って進むとき、送信されたデータ信号の高周波数成分は、低周波数成分よりも減衰される。チャネル挿入損失は、周波数が増加するにつれて増加する。送信されたデータ信号中の信号パルスのエネルギーは、データ信号がチャネル140上で送信されるとき、あるシンボル期間から別のシンボル期間に拡散される可能性がある。結果として生じる歪みは、シンボル間干渉(ISI)と呼ばれることがある。様々な例では、ISIは、通信システムが動作する速度が増加するにつれて悪化する。
【0019】
トランシーバ120の受信回路124は、とりわけ、誘導素子132、静電放電(electrostatic discharge、ESD)回路、連続時間線形等化器(CTLE)回路、自動利得制御(automatic gain control、AGC)回路、アナログ-デジタル(analog-to-digital、ADC)回路、及びデジタル信号処理(digital signal processing、DSP)回路を含む。誘導素子132は、受信データ信号に対する受信機の容量の影響を最小限に抑える。一例では、誘導素子132は、トランシーバ120のICダイ内に1つ若しくは複数のインダクタ並びに1つ若しくは複数のキャパシタを含むTコイル回路である。誘導素子132のインダクタンスは約100pHである。他の実施形態では、誘導素子132のインダクタンスは、100pHより大きいか又は小さい。更に、誘導素子132はトランシーバ120のICダイ内に配置されるので、誘導素子132はオンダイ要素である。誘導素子132は、トランシーバ120のICダイ上のバンプパッドと受信回路124のESD回路との間に配置される。
【0020】
誘導素子132の出力は、ESD回路を介してCTLE回路又はAGC回路に提供される。ESD回路は、静電気の影響を減少させる1つ又は複数のダイオードを含む。AGC回路は、チャネル140から受信したデータ信号の利得を調整する。CTLE回路は、AGC回路から利得調整された信号を受信し、チャネル140の低域通過特性を補償する高域通過フィルタとして動作する。CTLE回路及びAGC回路は、任意の順序で配置されてもよい。ADC回路は、CTLE回路又はAGC回路から出力信号を受信し、デジタル信号を生成する。デジタル信号はDSP回路によって受信され、DSP回路は、受信回路124によって出力される処理されたデジタル信号を生成する。
【0021】
チャネル140は、受動誘導素子142を含む。受動誘導素子142は、トランシーバ120のICダイの外部に配置される。更に、受動誘導素子142は、チャネル140を構成するトレースから形成された1つ又は複数のインダクタを含む。受動誘導素子142は、相互接続デバイス130のバンプパッド及び関連するバンプパッドの容量によってもたらされる悪影響を補償する。一例では、受動誘導素子142は、送信回路112と受信回路124との間の反射を減少させる。受動誘導素子142は、相互接続デバイス130のバンプパッドに近接して配置される。更に、受動誘導素子142は、チャネル140を形成するトレースから形成される。受動誘導素子142は、相互接続デバイス130の1つ又は複数の層内に形成されてもよい。受動誘導素子142は、相互接続デバイス130内に水平及び/又は垂直に形成される。
【0022】
受動誘導素子142は、約100pHのインダクタンス値を有する。他の例では、受動誘導素子142は、100pH未満又は100pH超のインダクタンス値を有する。受動誘導素子142のインダクタンスは、トランシーバ120のICダイと相互接続デバイス130との間のバンプ及びバンプパッドの容量に対応する。
【0023】
一例では、異なる受動誘導素子142が、通信システムの送信回路と受信回路との間の2つ以上のチャネルに沿って配置されてもよい。別の例では、受動誘導素子142は、第1のチャネルの第1のトレースに沿って配置され、第1のチャネルの第2のトレース及び/又は第2のチャネルのトレースは、受動誘導素子を含まない。
【0024】
パッケージデバイス100は、電子デバイス102の一部である。例えば、パッケージデバイス100は、トランシーバ110及びトランシーバ120が電子デバイス102の他の素子と通信することができるように、電子デバイス102の基板に実装される。電子デバイス102は、とりわけ、コンピューティングデバイス、感知デバイス、又は通信デバイスであってもよい。電子デバイス102は、1つ又は複数のパッケージデバイス、及び各々が電子デバイス102の動作に関係する機能を実行する他の回路素子(例えば、受動成分及び能動成分)を含んでもよい。
【0025】
図2は、1つ又は複数の例による、パッケージ基板250に実装されたパッケージデバイス200の側面図を示す。トランシーバ110のICダイは、バンプパッド211、212及びバンプ210を介して基板230に実装される。基板230は図2に関して説明されているが、他の例では、基板230は、チップパッケージ内の複数のICダイ間の接続を形成することができるインターポーザ又は他のチップパッケージ内ルーティングである。一例では、基板230はパッケージ基板である。バンプパッド211は、トランシーバ110のICダイの表面上に配置され、バンプパッド212は、基板230の本体231の表面上に配置される。バンプパッド211は、トランシーバ110内の回路(例えば、送信回路112)に接続される。バンプパッド212は、基板230の本体231内のトレース及びビアに接続される。バンプ210は、信号が基板230内のトレース及びビア(例えば、204、202、及び218)を介してトランシーバ110との間で通信され得るように、バンプパッド211とバンプパッド212との間の接続を形成する。
【0026】
トランシーバ120は、バンプパッド215及び216並びにバンプ214を介して基板230に実装される。バンプパッド215は、トランシーバ120のICダイの表面上に配置され、バンプパッド216は、基板230の本体231の表面上に配置される。バンプパッド215は、トランシーバ120内の回路(例えば、受信回路124)に接続される。バンプパッド216は、基板230の本体231内のトレース及びビア(例えば、204、202、及び219)に接続される。バンプ214は、信号が基板230の本体内のトレース及びビア(例えば、204、202、及び219)を介してトランシーバ120との間で通信され得るように、バンプパッド215とバンプパッド216との間の接続を形成する。
【0027】
一例では、バンプ210及び214は、C4バンプと呼ばれることがある。図2に示す例では、基板230は、バンプ220を介してパッケージ基板250に実装され、チップパッケージを形成する。チップパッケージは、より大きい電子デバイス(例えば、電子デバイス102)の一部として含まれてもよい。
【0028】
トランシーバ110は、チャネル140を介してトランシーバ120に接続される。チャネル140は、トレース202及び204を含む。トレース202は、バンプパッド212aとバンプパッド216aとの間に接続され、トレース204は、バンプパッド212bとバンプパッド216bとの間に接続される。トレース202及び204は、基板230の本体231内に配置される。一例では、受動誘導素子142は、基板230の本体231内でトレース202がバンプパッド216aと接触し、トレース204がバンプパッド216bと接触する場所に形成される。受動誘導素子142は、トランシーバ110のICダイをトランシーバ120のICダイに接続する各トレース(例えば、トレース202及びトレース204)のための受動インダクタ(例えば、受動インダクタ242a及び受動インダクタ242b)を含む。一例では、受動インダクタ242aは、トレース202が基板230の本体231内のバンプパッド216aと接触するトレース202に沿って形成され、受動インダクタ242bは、トレース204が基板230の本体231内のバンプパッド216bと接触するトレース204に沿って形成される。受動誘導素子142は、基板230内で、トランシーバ120のICダイの外部に形成される。例えば、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、基板230の本体231内に、かつトランシーバ120のICダイの外部に形成される。受動誘導素子142は、トレース202及び204から形成される。例えば、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、それぞれトレース202及び204から形成される。一例では、受動誘導素子142は、基板230の本体231内に水平に(例えば、単一層内に)形成される。例えば、受動インダクタ242a及び242bのうちの1つ又は複数は、基板230の本体231内に水平に形成される。別の例では、受動誘導素子142は、基板230内の1つ又は複数の層が受動誘導素子142を形成するために使用されるように、基板230の本体231内に水平及び垂直の両方に形成される。例えば、受動インダクタ242a及び242bのうちの1つ又は複数は、基板230内に水平及び垂直に形成される。
【0029】
受動誘導素子142は、基板230の本体231内のバンプパッド216a及び216bに近接している。例えば、受動インダクタ242aは、バンプパッド216aに近接し、基板230の本体231内の受動インダクタ242bは、基板230の本体231内のバンプパッド216bに近接する。一例では、受動誘導素子142は、受動誘導素子142が基板230の本体231内のバンプパッド216a及び216bで終端するように、バンプパッド216a及び216bに接続される。そのような例では、受動インダクタ242aは、バンプパッド216aに接続され、基板230の本体231内のバンプパッド216aで終端し、受動インダクタ242bは、バンプパッド216bに接続され、基板230の本体231内のバンプパッド216bで終端する。一例では、受動誘導素子142とバンプパッド216a及び216bとの間に他の素子はない。受動誘導素子142は、バンプとバンプパッドとの間の容量(例えば、バンプ214のそれぞれのバンプパッド216aと216bとの間に形成される容量)の影響を軽減する。
【0030】
図3は、1つ又は複数の例によるパッケージデバイス300の側面図を示す。図2の例と比較すると、図3の例では、トランシーバ110及びトランシーバ120は、層330の上に配置され、それに接続される。層330は、チャネル140を形成するために使用され得る導電層及び非導電層を含む。例えば、チャネル140は、層330の異なる層に配置されたトレース302及び304を含む。層330は、トレース及びビアを含む再配線層(redistribution layer、RDL)を含む。チャネル140は、トレース304及び302並びに層330内の対応するビアから形成される。
【0031】
層330は、パッケージ基板340上に実装又は配置される。パッケージ基板340は、より大きい電子デバイス(例えば、電子デバイス102)内に実装されてもよい。
【0032】
トランシーバ110は、バンプパッド311及び312並びにバンプ310を介して層330に接続される。バンプパッド311は、トランシーバ110のICダイの表面上に配置され、バンプパッド312は、層330上に配置される。バンプパッド311は、トランシーバ110内の回路(例えば、送信回路112)に接続される。バンプパッド312は、層330内のトレース及びビアに接続される。バンプ310は、信号が層330内のトレース及びビアを介してトランシーバ110との間で通信され得るように、バンプパッド311とバンプパッド312との間の接続を形成する。
【0033】
トランシーバ120は、バンプパッド315及び316並びにバンプ314を介して層330に実装される。バンプパッド315は、トランシーバ120のICダイの表面上に配置され、バンプパッド316は、層330上に配置される。バンプパッド315は、トランシーバ120内の回路(例えば、受信回路124)に接続される。バンプパッド316は、層330内のトレース及びビアに接続される。バンプ314は、信号が層330内のトレース及びビアを介してトランシーバ120との間で通信され得るように、バンプパッド315とバンプパッド316との間の接続を形成する。
【0034】
一例では、層330内のトレースの密度は、図2の基板230内のトレースの密度よりも大きい。更に、層330のトレースは、基板230のトレースよりも薄く、層330のトレースのピッチは、基板230のトレースのピッチよりも小さい。例えば、トレース302及び304は、図2のトレース202及び204よりも薄い。バンプパッド311、312、315、316は、バンプパッド211、212、215、216よりも小さい。更に、バンプ310及び314の幅及び/又は高さは、バンプ210及び214の幅及び/又は高さよりも小さい。一例では、バンプ310及び314はマイクロバンプと呼ばれることがある。
【0035】
図2に関して説明したように、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、それぞれトレース302の端部及びトレース304の端部に形成される。更に、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、層330のうちの1つ又は複数の層内に形成される。例えば、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、層330内に垂直及び水平に形成される。一例では、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、それぞれトレース302及び304から形成される。更に、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、それぞれバンプパッド316a及び316bに近接している。一例では、受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、層330のトレース302とバンプパッド316aとの間の接続、及び層330のトレース304とバンプパッド316aとの間の接続を形成する。受動誘導素子142の受動インダクタ242a及び242bは、受動誘導素子142がバンプパッド316a、316bで終端するように、バンプパッド316a、316bに接続される。
【0036】
図2及び図3の例では、差動チャネル140が説明されている。そのような例では、チャネル140の各トレースは、受動誘導素子142の受動インダクタ(例えば、受動インダクタ242a又は242b)を含む。他の例では、チャネル140は、2つより少ない又は多いトレースを含むことができる。そのような例では、受動誘導素子142は、チャネル140の各トレースのための受動インダクタを含む。代替的に、そのような例では、受動誘導素子142は、チャネル140のトレースの全てではないが少なくとも1つのための受動インダクタを含む。更に、1つ又は複数の例では、パッケージデバイス100は、複数のチャネルを含む。そのような例では、チャネルのうちの2つ以上のトレースは、受動誘導素子を含む。一例では、2つ以上のチャネルの各トレースは、対応する受動誘導素子の受動インダクタを含む。他の例では、各チャネルのトレースの全てではないが少なくとも1つが受動インダクタを含む。
【0037】
図4は、1つ又は複数の例による、単一ビット応答のグラフ400を示す。線410は、反射420を有する単一ビット応答を示す。反射420は、開始点430から約7UIの間隔を有する。反射420は、トランシーバ120の受信回路124においてISIとして現れる。一例では、反射420は、受信回路124からトランシーバ110の送信回路112に進み、次いで受信回路124に戻るパルスをトリガする。受信回路124のフィルタリング素子(例えば、AGC回路、CTLE回路、及び/又はDSP回路)は、反射420によってもたらされる干渉(例えば、ISI)を軽減することができない。したがって、反射420の影響を軽減するために追加のフィルタリング技術が使用される。例えば、反射420の影響を軽減するために、トランシーバ120のICダイの外部に受動誘導素子(例えば、受動誘導素子142)がもたらされる。
【0038】
図5は、1つ又は複数の例による、パッケージデバイス100の一部分の概略ブロック図を示す。図5の例では、トランシーバ110は、チャネル140を介してトランシーバ120に結合される。チャネル140は、トレース502及び504、並びに受動誘導素子142を含む。トレース502及び504は、図2のトレース202及び204、並びに図3のトレース302及び304と同様に構成される。
【0039】
一例では、受動誘導素子142はバンプ接続部506及び508に接続される。バンプ接続部506及び508は各々、2つ以上のバンプパッド(例えば、215及び216、又は315及び316)と、バンプ(例えば、214又は314)とを含む。
【0040】
バンプ接続部506及び508は、容量、例えば容量512及び514に関連付けられる。例えば、容量512及び514は、対応するパッケージのバンプ(又は他の接続部)に関連付けられることができる。一例では、容量512及び514は、図2のバンプ214又は図3のバンプ314に関連付けられる。一例では、容量512及び514は、約30fFの値を有する。別の実施形態では、容量512及び514は、30fFよりも大きいか又は小さい値を有する。受動誘導素子142のインダクタンス値は、容量512及び514の影響を減少させるように選択されることができる。
【0041】
トランシーバ120は、接続部506及び508に接続され、誘導素子132を含む。誘導素子132は、トランシーバ120のICダイ内に含まれる。更に、誘導素子132は、トランシーバ120のICダイ内にあり、トランシーバ120のICダイのバンプパッド(例えば、バンプパッド215又は315)に接続される。誘導素子132は、受信信号に対する容量522及び524の影響を減少させる。容量522及び524は、トランシーバ120の回路素子に対応する寄生容量である。例えば、寄生容量は、とりわけ、ESD回路、CTLE回路、AGC回路、及びADC回路、並びにDSP回路のうちの1つ又は複数に対応する。
【0042】
受動誘導素子142のインダクタンス及び誘導素子132のインダクタンスは、チャネル140のインピーダンス及び下流の容量(例えば、容量512及び514の合成容量)に基づいて決定される。受動誘導素子142及び誘導素子132のインダクタンスは、Z=sqrt(L_lump/C_lump)から決定される。Zはチャネル140のインピーダンスであり、C_lumpは容量512、514、522及び524の合成容量である。インダクタンスL_lumpは、受動誘導素子142と誘導素子132との間で分割される。インダクタンスL_lumpは、受動誘導素子142と誘導素子132との間で均等に割り当てられてもよい。別の例では、インダクタンスL_lumpは、容量522及び524に対する容量512及び514の比に基づいて割り当てられる。一例では、インダクタンスL_lumpは約400pHであり、受動誘導素子142のインダクタンス値は約200pHであり、誘導素子132のインダクタンス値は約200pHである。
【0043】
図6は、1つ又は複数の例によるグラフ600を含む。グラフ600は、内部誘導素子を含むが、トランシーバの外部に含まれる誘導素子を含まないトランシーバの時間領域反射率測定法(time domain reflectometry、TDR)の測定値を示す線610を含む。グラフ600は更に、図2図3及び図5に示すような内部誘導素子及び外部誘導素子の両方を含むトランシーバのTDRの測定値を示す線620を含む。線610及び620から分かるように、TDRの測定値は、内部誘導素子及び外部誘導素子を含むトランシーバにおいて改善される。
【0044】
図7は、1つ又は複数の例によるチャネル700の一部を示す。チャネル700は、図1図2及び図3のチャネル140と同様に構成されている。チャネル700は、バンプパッド716a、716bに接続されたトレース702及び704を含む。チャネル700は、トレース702及び704から形成された受動誘導素子706を更に含む。受動誘導素子706は、トレース702及び704からそれぞれ形成された受動インダクタ706a及び706bを含む。一例では、トレース702及び704のトレース幅は変化する。例えば、受動誘導素子706を形成するトレース702及び704の部分(例えば、トレース702、704の第1の領域)の幅(例えば、幅722及び724)は、受動誘導素子706を形成しないトレース702及び704の部分(例えば、トレース702、704の第2の領域)の幅(例えば、幅720及び722)よりも小さい。更に、受動誘導素子706では、トレース702及び704の各々の経路の少なくとも一部は非線形である。トレース702及び704は、それぞれのバンプパッド716a及び716bを少なくとも部分的に取り囲むそれぞれの部分730及び732を含む。一例では、部分730及び732は、それぞれのバンプパッド716a、716bの周りを回転する螺旋又は円弧セグメントと呼ばれることがある。例えば、バンプパッド内の終端点に関して、部分730は時計回り方向に回転し、部分732は反時計回り方向に回転する。部分730及び732は、互いに対して逆回転する。部分730及び732は、互いに対して鏡像対称であってもよい。トレース702及び704の各々は、部分730及び732の始まりにおいてトレース702と704との間の距離を減少させる角度付き部分734、736を含む。一例では、受動誘導素子706は、トランシーバ(例えば、トランシーバ120)のICダイの外部の1つ又は複数の層(例えば、図2の基板230又は図3の層330)内に配置される。例えば、部分730及び732は、図3の層330の複数の層を通って延在することができる。そのような例では、受動誘導素子706は三次元構造である。一例では、受動誘導素子706は、バンプパッド716a及び716bに対して距離を減少させる螺旋形状を含むことができる。他の例では、他の三次元形状が使用されることができる。
【0045】
受動誘導素子706は、中心線740に関して鏡像対称である。他の例では、トレース702及び704の一方がトレース702及び704の他方と形状及び/又は厚さが異なるように、受動誘導素子706は中心線740に対して対称ではない。
【0046】
幅722及び724、トレース702と704との間の距離、並びにトレース702及び704が境界パッド716a及び716bを取り囲む量を変化させることにより、受動誘導素子706のインダクタンスを決定する。例えば、これらの特徴を調整することによって、受動誘導素子706のインダクタンスは増減させられ得る。図7に関して説明したように受動誘導素子706を形成することにより、受動誘導素子706が相互接続デバイス(例えば、基板、インターポーザ、又はICチップの外部の1つ若しくは複数の層)内に形成されることを可能にし、送信されたデータ信号内の反射及び他の干渉を減少させる。一例では、受動誘導素子706の形状及び位置は、対応するバンプ及びバンプパッドに近接する誘導負荷を提供し、これは、バンプとバンプパッドとの間の容量負荷を補償する効率を高める。
【0047】
図8は、1つ又は複数の例によるチャネル800の一部を示す。チャネル800は、図1図2及び図3のチャネル140と同様に構成されている。チャネル800は、バンプパッド816a、816bに接続されたトレース802及び804を含む。チャネル800は、トレース802及び804から形成された受動誘導素子806を更に含む。受動誘導素子806は、受動誘導素子706と同様に構成される。例えば、受動誘導素子806を形成するトレース802及び804の幅は、受動誘導素子806の外部のトレース802及び804の幅よりも小さい。更に、受動誘導素子806は、図7に示す部分730及び732と同様に、バンプパッド816a及び816bを少なくとも部分的に取り囲むトレース802、804の部分を含む。受動誘導素子806は、受動インダクタ806a及び806bを含む。更に、受動誘導素子806は、トレース802と804との間の距離が減少された角度付き部分834、836を含む。受動誘導素子806は、トレース802及び804が少なくとも1回の方向変更を含み、トレース802及び804の経路808に対して直角な方向に延在する1つ又は複数の部分(例えば、810及び812)を更に含む。一例では、トレース802及び804は、垂直方向及び/又は水平方向に延在することができる。経路808は、トレース802及び804がバンプパッド816a及び816bに到達するために移動する最短距離の方向を表す。部分810及び812は、とりわけ正弦波形又は方形波形などの波形(又はウェーブフォーム)を有する。図8の例では、トレース802及び804の部分810及び812は、経路808に対して直角な方向に延在する複数の延長部を含む。更に、延長部は、水平方向及び/又は垂直方向に延在してもよい。図8には4つの延長部が示されているが、他の例では、トレース802及び804の部分810及び812は、経路808に対して直角な方向に延在する4つよりも多い又は少ない延長部を含む。延長部は、同じ長さを有してもよく、又は延長部のうちの1つ若しくは複数が、延長部のうちの別の1つ若しくは複数よりも長い長さを有してもよい。
【0048】
一例では、部分810及び812は、バンプパッド816a及び816bと傾斜部分834及び836との間に配置され、又は角度付き部分834及び836は、バンプパッド816a及び816bと部分810及び812との間に配置される。
【0049】
部分810及び812内の延長部の数、部分810及び812内の延長部が延在する距離、トレース802及び804の幅、並びにトレース802及び804がバンプパッド816a及び816bを取り囲む量を変化させることにより、受動誘導素子806のインダクタンスを調整する。例えば、これらの特徴を調整することによって、受動誘導素子806のインダクタンスは増減させられ得る。図8に関して説明したように受動誘導素子806を形成することにより、受動誘導素子806が相互接続デバイス(例えば、基板、インターポーザ、又はICチップの外部の1つ若しくは複数の層)内に形成されることを可能にし、送信されたデータ信号内の反射及び他の干渉を減少させる。更に、図7の受動誘導素子706に関して、受動誘導素子806は、インターフェースデバイス内のより小さい面積に配置されてもよい。一例では、受動誘導素子806の形状及び位置は、対応するバンプ及びバンプパッドに近接する誘導負荷を提供し、バンプとバンプパッドとの間の容量負荷を補償する効率を高める。
【0050】
図9は、1つ又は複数の例によるチャネル900の一部を示す。チャネル900は、図1図2及び図3のチャネル140と同様に構成されている。チャネル900は、バンプパッド916a、916bに接続されたトレース902及び904を含む。チャネル900は、トレース902及び904から形成された受動誘導素子906を更に含む。受動誘導素子906は、図7及び図8の受動誘導素子706及び806と同様に構成される。受動誘導素子906は、受動インダクタ906a及び906bを含む。更に、受動誘導素子906を形成するトレース902及び904の幅は、受動誘導素子906の外部のトレース902及び904の幅よりも小さい。更に、受動誘導素子906はまた、トレース902と904との間の距離が減少された角度付き部分を含む。受動誘導素子906は、トレース902及び904が少なくとも1回の方向変更を含み、トレース902及び904の経路908に対して直角な方向に延在する1つ又は複数の部分(例えば、910及び912)を更に含む。加えて、又は代替として、トレースは、垂直方向及び/又は水平方向に延在してもよい。経路908は、トレース902及び904がバンプパッド916a及び916bに到達するために移動する最短距離の方向を表す。部分910及び912は、正弦波形又は方形波形などの波形(例えば、ウェーブフォーム)を有してもよい。トレース902及び904の部分910及び912は、経路908に対して直角な方向に延在する複数の延長部を含む。図9の例では、部分910及び912は8つの延長部を含む。他の例では、トレース902及び904の部分910及び912は、経路908に対して直角な方向に延在する8つよりも多い又は少ない延長部を含む。更に、部分910及び912は、少なくとも6回の方向変更を含む。別の例では、部分910及び912は、6回より多い又は少ない方向変更を含む。一例では、図10に示すように、受動誘導素子1006は、経路1008に対して直角に延在する少なくとも8つの延長部と、少なくとも10回の方向変更とを含むトレース1002及び1004の部分1010及び1012を含む。
【0051】
部分910及び912、若しくは1010及び1012内の延長部の数、部分910及び912、若しくは1010及び1012内の延長部が延在する距離、並びにトレース902及び904、若しくは1002及び1004の幅を変化させることにより、受動誘導素子906及び1006のインダクタンスを調整する。例えば、これらの特徴を調整することによって、受動誘導素子906又は1006のインダクタンスは増減させられ得る。図9及び図10に関して説明したように受動誘導素子906及び1006を形成することにより、受動誘導素子906及び1006が相互接続デバイス(例えば、基板、インターポーザ、又はICチップの外部の1つ若しくは複数の層)内に形成されることを可能にし、送信されたデータ信号内の反射及び他の干渉を減少させる。一例では、受動誘導素子906及び1006の形状及び位置は、対応するバンプ及びバンプパッドに近接する誘導負荷を提供し、バンプとバンプパッドとの間の容量負荷を補償する効率を高める。
【0052】
図11は、1つ又は複数の例によるチャネル1100の一部を示す。チャネル1100は、図1図2及び図3のチャネル140と同様に構成されている。チャネル1100は、バンプパッド1116a、1116bに接続されたトレース1102及び1104を含む。チャネル1100は、トレース1102及び1104から形成された受動誘導素子1106を更に含む。受動誘導素子1106は、図7図8図9及び図10の受動誘導素子706、806、906及び1006と同様に構成される。受動誘導素子1106は、受動インダクタ1106a及び1106bを含む。更に、受動誘導素子1106を形成するトレース1102及び1104の幅は、受動誘導素子1106の外部のトレース1102及び1104の幅よりも小さい。更に、受動誘導素子1106はまた、トレース1102と1104との間の距離が減少された角度付き部分を含む。受動誘導素子1106は、トレース1102と1104との間の距離が増加された、バンプパッド1116a及び1116bに近接する角度付き部分を更に含む。
【0053】
受動誘導素子1106を形成するトレース1102及び1104は、蛇行経路を含む。蛇行経路は、相互接続デバイス内で水平及び/又は垂直に延在してもよい。受動誘導素子1106の部分1110及び1112は、(i)波形(例えば、正弦波形又は方形波形を有するウェーブフォーム)を有するサブ部分、(ii)隣接するサブ部分の方向と反対の方向を有する少なくとも1つのサブ部分、(iii)2つの隣接するサブ部分の間の方向と反対の方向を有する少なくとも1つのサブ部分、のうちの1つ又は複数を含む。一例では、部分1110及び1112の異なるサブ部分は、(i)、(ii)、及び(iii)のうちの1つ又は複数を有する。
【0054】
受動誘導素子1106は、トレース1102及び1104が少なくとも1回の方向変更を含み、トレース1102及び1104の経路1108に対して直角で経路1108に対して平行な方向に延在する1つ又は複数の部分(例えば、1110及び1112)を更に含む。経路1108は、トレース1102及び1104がバンプパッド1116a及び1116bに到達するために移動する最短距離の方向を表す。トレース1102及び1104の部分1110及び1112は、経路1108に対して直角な方向に延在する複数の延長部を含む。図11に示すように、部分1110及び1112は、経路1108に対して直角に延在する2つの延長部を含む。他の例では、トレース1102及び1104の部分1110及び1112は、経路1108に対して直角な方向に延在する2つよりも多い又は少ない延長部を含む。更に、図11に示すように、部分1110及び1112の各々は、経路1108に平行な複数の延長部を含む。図11の例では、部分1110及び1112の各々は、経路1108に平行な2つの延長部を含む。他の例では、部分1110及び1112は、経路1108に平行な2つ未満又は2つを超える延長部を含む。更に、経路1108に平行に延在する延長部は、バンプパッド1116a及び1116bから離れる方向及び/又はそれに向かう方向に延在する。延長部は、経路1108に平行に同じ距離だけ延在してもよく、又は1つ若しくは複数の延長部が、別の延長部よりも経路1108に平行に短い若しくは長い距離だけ延在してもよい。
【0055】
部分1110及び1112内の延長部の数、若しくは部分1110及び1112内の延長部が1つ若しくは複数の方向に延在する距離、並びにトレース1102及び1104の幅を変化させることにより、受動誘導素子1106のインダクタンスを調整する。例えば、これらの特徴を調整することによって、受動誘導素子1106のインダクタンスは増減させられ得る。図11に関して説明したように受動誘導素子1106を形成することにより、受動誘導素子1106を相互接続デバイス(例えば、基板、インターポーザ、又はICチップへの1つ若しくは複数の層)内に形成されることを可能にし、送信されたデータ信号内の反射及び他の干渉を減少させる。一例では、受動誘導素子1106の形状及び位置は、対応するバンプ及びバンプパッドに近接する誘導負荷を提供し、バンプとバンプパッドとの間の容量負荷を補償する効率を高める。
【0056】
図12は、1つ又は複数の例によるチャネル1200の一部を示す。チャネル1200は、図1図2及び図3のチャネル140と同様に構成されている。チャネル1200は、バンプパッド1216a、1216bに接続されたトレース1202及び1204を含む。チャネル1200は、トレース1202及び1204から形成された受動誘導素子1206を更に含む。更に、受動誘導素子1206は、受動インダクタ1206a及び1206bを含む。受動誘導素子1206は、受動誘導素子706と同様に構成される。例えば、受動誘導素子1206を形成するトレース1202及び1204の幅は、受動誘導素子1206の外部のトレース1202及び1204の幅よりも小さい。更に、受動誘導素子1206は、バンプパッド1216a及び1216bを少なくとも部分的に取り囲むトレース1202、1204の一部分(例えば、部分1210及び1212)を含む。一例では、受動誘導素子706に関して、部分1210及び1212は、部分730及び732がバンプパッド716a及び716bを取り囲むよりも多くのバンプパッド1216a及び1216bを取り囲む。一例では、部分1210及び1212は、バンプパッド1216a及び1216bを完全に取り囲む。図12に示すように、部分1210及び1212の形状は、図7の部分730及び732の形状とは逆である。一例では、部分1210及び1212は、それぞれのバンプパッド1216a、1216bの周りを回転する螺旋又は円弧セグメントと呼ばれることがある。
【0057】
受動誘導素子(例えば、図1図2、及び図3の受動誘導素子142)は、受動誘導素子700~1200の異なる特徴を組み合わせることによって形成されてもよい。例えば、受動誘導素子は、バンプパッドを少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの部分、波形を有する少なくとも1つの部分、蛇行経路を有する少なくとも1つの部分、減少された幅を有するトレース、トレース間の減少された距離、及び少なくとも1回の方向変更、の任意の組合せを含むことができる。受動誘導素子を形成するために使用される異なる特徴を変更することによって、受動誘導素子のインダクタンスが調整され得る。
【0058】
図7図12の例では、各受動誘導素子は、2つの異なるトレースから形成された2つの異なる受動インダクタを含むものとして示されている。他の例では、受動誘導素子は、2つ未満又は2つを超えるトレースからそれぞれ形成された2つ未満又は2つを超える受動インダクタから形成されてもよい。例えば、受動誘導素子706は受動インダクタ706a又は706bから形成されてもよく、受動誘導素子806は受動インダクタ806a又は806bから形成されてもよく、受動誘導素子906は受動インダクタ906a又は906bから形成されてもよく、受動誘導素子1006は受動インダクタ1006a又は1006bから形成されてもよく、受動誘導素子1106は受動インダクタ1106a又は1106bから形成されてもよく、及び/又は受動誘導素子1206は受動インダクタ1206a又は1206bから形成されてもよい。
【0059】
ICダイ内の誘導素子(例えば、オンダイインダクタ)は、ICダイ内の成分の容量に対応する影響を軽減する。更に、ICダイの外部の受動誘導素子を使用して、送信機から受信機に送信される信号の反射を軽減することができる。例えば、ICダイの外部の受動誘導素子は、バンプ対バンプパッドの容量の影響を軽減する。受動インダクタは、基板、インターポーザ、又はICダイの外部にあるがそれに接続された1つ若しくは複数のRDLの1つ又は複数の層内に含まれてもよい。
【0060】
上記は特定の例を対象とするが、他の例及び更なる例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の「特許請求の範囲」によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】