(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(1H-インドール-3-イル)エテノン誘導体の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 209/14 20060101AFI20240628BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07D209/14
A61P31/14
A61K31/4045
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578170
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2022101942
(87)【国際公開番号】W WO2023274237
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/103244
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/091064
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】ウ,カイ
(72)【発明者】
【氏名】オースト,リク
(72)【発明者】
【氏名】シュバイツァー-シャプー,ベルトランド
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,カール アーネ マグナス
(72)【発明者】
【氏名】コーセマンズ,エルウィン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA20
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、a)式(II)の1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン誘導体を3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)アニリンと反応させて、式(II)の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)イミノ)-1-(1H-インドール-3-イル)エタノン誘導体を生成すること、及びb)この式(II)の化合物を水素化して、式(I)の表題化合物を生成することによる、式(I)の一置換又は二置換(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(1H-インドール-3-イル)エテノン誘導体のキラル合成に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の調製プロセスであって、
【化1】
a)式(II)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、式(III)の化合物を生成する工程と、
【化2】
b)式(III)の化合物を水素化して、式(I)の化合物を生成する工程と、
を含み、
式中、
R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3である、プロセス。
【請求項2】
前記式(II)の化合物が、
i)2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)酢酸(IX)を式(Xa)の化合物に変換する工程であって、式中、XがCl又はBrである、工程と、
【化3】
ii)式(Xa)の化合物を式(XI)の化合物と反応させて、式(XII)の化合物を生成する工程と、
【化4】
iii)式(XII)の化合物を酸化剤と接触させて、式(II)の化合物を生成する工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記式(II)の化合物が、
i)式(XI)の化合物を塩化オキサリルと反応させて、式(XIII)の化合物を生成する工程と、
【化5】
ii)式(XIII)の化合物を、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムクロリド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムヨージド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛ブロミド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛クロリド、又は(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛ヨージドを含む群から選択される化合物と接触させて、式(II)の化合物を得る工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記式(II)の化合物が、以下の工程:
i)式(XI)の化合物を塩化オキサリルと反応させて、式(XIII)の化合物を生成する工程と、
【化6】
ii)式(XIII)の化合物を3-クロロフェノールと反応させて、式(XVI)の化合物を生成する工程と、
【化7】
iii)式(XVI)の化合物を酸性条件に供して、式(XVII)の化合物を得る工程と、
【化8】
iv)前記式(XVII)の化合物をメチル化して、式(II)の化合物を得る工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記式(II)の化合物が、
i)4-クロロ-2-メトキシベンズアルデヒドを式(XVIII)の化合物と反応させて、式(XIX)の化合物を得る工程であって、式中、PGが、好ましくはベンジル、メチル、アセチル、トシルを含む群から選択される保護基である、工程と、
【化9】
ii)式(XIX)の化合物を酸化剤と接触させて、式(II)の化合物を生成する工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記式(II)の化合物が、
i)1-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2,2-ジヒドロキシ-エタノンを式(XI)の化合物と反応させて、式(XX)の化合物を得る工程と、
【化10】
ii)式(XX)の化合物を酸化剤と反応させて、式(II)の化合物を得る工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記式(II)の化合物が、
iii)式(XXV)の化合物を、LiOtBu、LiHMDS、LiOEt、LiOMe及びLiOHから選択される塩基と反応させて、式(XXVI)の化合物を生成する工程と、
【化11】
iv)式(XXVI)の化合物を、4-クロロ-2-メトキシフェニルマグネシウムハライド又は(4-クロロ-2-メトキシフェニル)リチウムと反応させて、式(II)の化合物を生成する工程であって、好ましくは、前記ハライドが、Br、Cl又はIである工程と、
を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
式(II)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて式(III)の化合物を生成する前記工程が、p-TsOH、MSA、TFA、ジクロロ酢酸(DCA)、サッカリン、Ca(OTf)
2、ZnBr
2 Zn(OTf)
2、TiCl
4、Ti(i-PrO)
4,Ti(EtO)
4、FeCl
3、CuBr、ZnCl
2、TfOH及びBa(OTf)
2を含む群から選択される少なくとも1つの試薬の存在下で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記式(III)の化合物を水素化して式(I)の化合物を生成する前記工程が、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレートと(S)-1-[(RP)-2-(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィンとの組み合わせの存在下で行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記式(III)の化合物を水素化して式(I)の化合物を生成する前記工程が、ルテニウム触媒Ru(COD)(TFA)
2とリガンド(S)-DM-SEGPHOSとの組み合わせの存在下で行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
式(I)の化合物の調製プロセスであって、
【化12】
1)適切な相間移動触媒の存在下で、式(XXVII)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、式(XXVIII)の化合物を生成する工程と、
【化13】
2)式(XXVIII)の化合物をキラル分離して、式(I)の化合物を生成する工程と、
を含み、
式中、
R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3である、プロセス。
【請求項12】
前記反応が、テトラブチルアンモニウムブロミドと、リン酸二水素ナトリウム二水和物及びリン酸水素二カリウム三水和物の緩衝液とを用いて行われる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHである、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
式(I)の化合物の調製プロセスであって、
【化14】
式中、R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3であり、
式(III)の化合物の水素化を特徴とし、
【化15】
前記水素化が、触媒とキラルリガンドとの組み合わせの存在下で行われる、プロセス。
【請求項15】
前記触媒が、ビス(ノルボルナジエン)-ロジウム(I)テトラフルオロボレートであり、前記キラルリガンドが、(S)-1-[(RP)-2-(ジフェニル-ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィンである、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一置換又は二置換インドール化合物の新規キラル合成に関する。
【背景技術】
【0002】
蚊又はダニによって伝播されるフラビウイルスは、脳炎及び出血熱などの、ヒトにおいて生命を脅かす感染症を引き起こす。フラビウイルスデング(デングウイルス)は、異なるが密接に関連する4つの血清型が知られている。国際公開第2016/180696号は、デングウイルスの4つの血清型全てに対して高い強力な活性を示す一置換又は二置換インドール化合物、及びそれらを合成する方法を開示している。
【0003】
国際公開第2016/180696号に開示されている化合物は、非キラル合成法を用いて合成される。したがって、所望のエナンチオマーは、特定の手順によって分離される必要がある。更に、工業的セットアップに適した合成プロセスも必要とされる。したがって、一置換又は二置換インドール化合物のキラル合成法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の問題を少なくとも部分的に克服するために、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されるプロセスを提供する。
【0005】
本発明の一態様は、式(I)の化合物の調製プロセスの提供であり、
【0006】
【化1】
当該プロセスは、
a)式(II)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、式(III)の化合物を生成する工程と、
【0007】
【化2】
b)式(III)の化合物を水素化して、式(I)の化合物を生成する工程と、を含み、
式中、
R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3である。
【0008】
本発明の別の態様は、前述の式(I)の化合物の調製プロセスの提供であり、当該プロセスは、
1)相間移動触媒の存在下で、式(XXVII)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、式(XXVIII)の化合物を生成する工程と、
【0009】
【化3】
2)式(XXVIII)の化合物をキラル分離して、式(I)の化合物を生成する工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、以下の用語集及び結論付ける実施例を含む、以下の説明を参照することによって、より完全に理解され得る。また、明確さのために本明細書では別々の態様の文脈で説明される、本開示の医薬製剤及び方法のある特定の特徴は、単一の態様において組み合わせて提供され得ることも理解される。逆に、簡潔さのために単一の態様の文脈で説明される、本開示の医薬製剤及び方法の種々の特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供される場合もある。
【0011】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」という用語並びにその変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の構成要素を排除することを意図しない(及び排除しない)。
【0012】
端点による数値範囲の記載は、全ての整数、及び適切な場合、その範囲内に包含される有理数を含む(例:1~5は、例えば元素の数を指す場合、1、2、3、4を含むことができ、例えば測定値を指す場合、1.5、2、2.75、及び3.80も含むことができる)。端点の列挙はまた、端点値自体を含む(例えば、1.0~5.0は、1.0及び5.0の両方を含む)。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0013】
本願明細書に記載の全ての参考文献は、参照によりその全文が組み込まれる。特に、本明細書中で具体的に言及される全ての参考文献の教示は、参照により組み込まれる。
【0014】
以下の節では、本発明の様々な態様をより詳細に定義する。そのように定義する各態様は、文脈による明らかな指示がないかぎり、任意の他の態様(単数または複数)と組み合わせてよい。詳細には、好ましい又は有利であると示す任意の特徴を、好ましい又は有利であると示す任意の他の特徴(単数又は複数)と組み合わせてよい。
【0015】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らないが、同じ実施形態を指すこともあり得る。更に、その特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態において、本開示から当業者には明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。更に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特徴を含むが他の特徴は含まず、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることが意図され、異なる実施形態を形成する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「キラル合成」又は「不斉合成」という用語は、キラリティの1つ又は2つ以上の新しい元素(例えば、キラル原子になる炭素原子)が基質分子中で形成され、特定のエナンチオマー又はジアステレオマーを生成する反応シーケンスを指す。
【0017】
本明細書に述べられる化合物及び中間体の純粋な立体異性形態は、当該化合物又は中間体の同じ基本分子構造の他のエナンチオマー又はジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、用語「立体異性的に純粋な」は、少なくとも80%の立体異性体過剰(すなわち、最小90%の1つの異性体及び最大10%の他の可能な異性体)から最大100%の立体異性体過剰(すなわち、100%の1つの異性体及び他の異性体がない)を有する化合物又は中間体に関するものであり、より具体的には、90%から最大100%の立体異性体過剰を有する、更により具体的には、94%から最大100%の立体異性体過剰を有する、最も具体的には97%から最大100%の立体異性体過剰を有する化合物又は中間体に関するものである。用語「エナンチオマー的に純粋な」及び「ジアステレオマー的に純粋な」は、同様に理解されるべきであるが、対象としている混合物の、エナンチオマー過剰、ジアステレオマー過剰をそれぞれ考慮すべきである。
【0018】
本発明は、式(I)の化合物の調製プロセスを包含する。記載されている反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、又はカルボキシ基を、これらが最終生成物において望まれる場合、反応におけるそれらの望ましくない関与を回避するために、保護することが必要な場合がある。従来の保護基は、標準的な技法に従って使用することができ、例えば、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts,「Protective Groups in Organic Chemistry」,John Wiley and Sons,1999を参照されたい。本発明の化合物の保護された形態は、本発明の範囲内に含まれる。1つ又は2つ以上の官能基が適切な官能基で保護されている本発明の化合物は、本発明の化合物の生成及び/又は合成における中間体としての用途を見出すことができ、それ自体が本発明の更なる態様を形成することも当業者には明らかであろう。
【0019】
本発明の一態様は、式(I)の化合物の調製プロセスの提供であり、
【0020】
【化4】
当該プロセスは、
a)式(II)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、式(III)の化合物を生成する工程と、
【0021】
【化5】
b)式(III)の化合物を水素化して、式(I)の化合物を生成する工程と、を含み、
式中、
R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3である。
【0022】
上記式(III)の化合物における波線
【0023】
【化6】
は、式(III)の化合物における二重結合の絶対立体化学が未知のE/Z比であることを示すことを意味すると理解されるべきである。
【0024】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて式(III)の化合物を生成する工程は、p-TsOH、MSA、TFA、ジクロロ酢酸(dichloroacetic acid、DCA)、サッカリン、Ca(OTf)2、ZnBr2 Zn(OTf)2、TiCl4、Ti(i-PrO)4,Ti(EtO)4、FeCl3、CuBr、ZnCl2、TfOH及びBa(OTf)2から選択される少なくとも1つの試薬の存在下で行うことができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物を水素化して式(I)の化合物を生成する工程は、触媒とキラルリガンドとの組み合わせの存在下で行われる。触媒は、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロ-ボレートであり得、キラルリガンドは、(S)-1-[(RP)-2-(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィンであり得る。いくつかの実施形態において、ロジウムのホスフィンに対する比は、1:1~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1である。
【0026】
あるいは、式(I)の化合物を生成するための式(III)の化合物の水素化は、ルテニウム触媒Ru(COD)(TFA)2(すなわち、(1Z,5Z)-シクロオクタ-1,5-ジエン;ルテニウム(2+);2,2,2-トリフルオロアセテート)とキラルリガンド(S)-DM-SEGPHOS(すなわち、(S)-(-)-5,5’-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール)との組み合わせの存在下で行われる。ルテニウム触媒のリガンドに対する比は、1:1~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1である。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)酢酸(IX)を式(Xa)の化合物に変換する工程であって、式中、Xは、Cl、F又はBrであり、好ましくは、XはBrである、工程と、
【0028】
【化7】
ii)式(Xa)の化合物を式(XI)の化合物と反応させて、式(XII)の化合物を生成する工程と、
【0029】
【化8】
iii)式(XII)の化合物を酸化剤と接触させて、式(II)の化合物を生成する工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0030】
いくつかの実施形態において、2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)酢酸(IX)を式(Xa)の化合物に変換する工程は、SOCl2、SOBr2、塩化オキサリル、PCl5、PCl3、又はPBr3から選択される少なくとも1つの試薬の存在下で行うことができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、式(Xa)の化合物を式(XI)の化合物と反応させて式(XII)の化合物を生成する工程は、Et2AlCl又はAlCl3から選択される少なくとも1つの試薬の存在下で行うことができる。好ましくは、使用される試薬の量は0.5~3当量、より好ましくは1~2当量、最も好ましくは1.2~1.5当量の範囲である。この工程は、トルエン、CH2Cl2、又は1,2-ジクロロエタンなどの適切な溶媒中で行うことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、式(XII)の化合物を酸化剤と接触させて式(II)の化合物を生成する工程は、好ましくはI2/ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、N-ヨードスクシンイミド(N-iodosuccinimide、NIS)/DMSO、SeO2、o-ヨード安息香酸、二酸化マンガンに担持された過マンガン酸カリウム、二酸化セレン、ビスマス/ピコリン酸、Co(OAc)2/TEMPO、又はCo(OAc)2/NaClOから選択される少なくとも1つの酸化剤の存在下で行うことができる。いくつかの実施形態において、I2/DMSOは、0.5~2.0当量の量で使用される。いくつかの実施形態において、NIS/DMSOは、5~28当量の量で使用される。いくつかの実施形態において、SeO2は、1~3当量の量で使用される。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)式(XI)の化合物を塩化オキサリルと反応させて、式(XIII)の化合物を生成する工程と、
【0034】
【化9】
ii)式(XIII)の化合物を、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムクロリド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムヨージド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛ブロミド、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛クロリド、及び(4-クロロ-2-メトキシフェニル)亜鉛ヨージドを含む群から選択される化合物と接触させて、式(II)の化合物を得る工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
ia)式(XI)の化合物に保護基を導入して、式(XIa)の化合物を生成する工程であって、式中、PGは、好ましくは、ベンジル、p-ニトロベンジル、p-メトキシベンジル、ベンズヒドリル、及びアリルを含む群から選択される、工程と、
【0036】
【化10】
ib)式(XIa)の化合物を塩化オキサリルと反応させて、式(XIIIa)の化合物を生成する工程と、
【0037】
【化11】
iia)式(XIIIa)の化合物を4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムハライドと接触させて、式(IIa)の化合物を得る工程であって、好ましくは、この反応は、リガンド及び/又は触媒Cu(I)塩の存在下で行われる、工程と、
【0038】
【化12】
iib)式(IIa)の化合物から保護基PGを除去して、式(II)の化合物を得る工程と、を含む方法によって調製され、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0039】
リガンドは、2-(ジメチルアミノ)エチルエーテル、N,N,N’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、及びトリス2-(ジメチルアミノ)エチルアミンを含む群から選択することができる。リガンドは、1~3当量、好ましくは1.1~3.0当量、好ましくは1.1~2.9当量、好ましくは1.2~2.8当量の範囲の量で使用することができる。
【0040】
適切なCu(I)塩の非限定的な例としては、CuCl、CuBr、CuI、CuCN又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。Cu(I)塩は、0.05~1.0当量、好ましくは0.6~1.0当量、好ましくは0.5~0.9当量、好ましくは0.7~0.8当量の範囲の量で使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、式(XIIIa)の化合物は、4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミドと接触させられる。
【0042】
いくつかの実施形態において、ベンジル保護基は、少なくとも1つの酸化剤を使用して除去される。適切な酸化剤の非限定的な例としては、周囲温度でのCrO3/酢酸、オゾン、N-ブロモスクシンイミド(N-bromosuccinimide、NBS)、及びN-ヨードスクシンイミド(NIS)が挙げられる。いくつかの実施形態において、p-メトキシベンジル保護基は、酸化剤又は強酸条件を用いて除去される。適切な酸化剤の非限定的な例としては、(例えば周囲温度での)CrO3/酢酸、オゾン、N-ブロモ-スクシンイミド(NBS)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、硝酸セリウムアンモニウム(ceric ammonium nitrate、CAN)及びジクロロジシアノベンゾキノン(dichlorodicyanobenzoquinone、DDQ)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ベンズヒドリル保護基は、化合物を、0℃でTFA中の10%トリフリック酸溶液と、又は75Cでメタノール中の20%NaOH水溶液と接触させることによって除去される。いくつかの実施形態において、アリル保護基は、化合物をBBr3、tert-ブチルリチウム、又はSmI2/H2O/i-PrNH2と接触させることによって除去される。
【0043】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)式(XI)の化合物を塩化オキサリル又は臭化オキサリルと反応させて、式(XIII)の化合物を生成する工程と、
【0044】
【化13】
ia’)式(XIII)の化合物を、モルホリン、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、MeNHBoc、Boc
2NH、及びPhNHBocを含む群から選択される化合物と接触させて、式(XIIIa)の化合物を得る工程であって、式中、R
4は、モルホリニル、N,O-ジメチルヒドロキシルアミニル、ジエチルアミニル、ピロリジニル、MeNBoc、Boc
2N、及びPhNBocを含む群から選択され、好ましくは、R
4はモルホリニルである、工程と、
【0045】
【化14】
ib’)式(XIIIa)の化合物を(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムハライドと接触させて、式(II)の化合物を得る工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0046】
いくつかの実施形態において、式(XI)又は式(XIa)の化合物を塩化オキサリル又は臭化オキサリルと反応させる工程は、メチルtert-ブチルエーテル(methyl tert-butyl ether、MTBE)、THF、MeTHF、又はジエチルエーテルの存在下で行われる。
【0047】
いくつかの実施形態において、式(XIIIa)の化合物を4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムハライドと接触させる工程は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(lithium bis(trimethylsilyl)amide、LiHMDS)、NaHMDS、KHMDS、LDA、BuLi、MeLi、EtMgBr、tBuMgCl、及びiPrMgClを含む群から選択される試薬の存在下で行われる。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)式(XI)の化合物を塩化オキサリル又は臭化オキサリルと反応させて、式(XIII)の化合物を生成する工程と、
【0049】
【化15】
ii)式(XIII)の化合物を3-クロロフェノールと反応させて、式(XVI)の化合物を生成する工程と、
【0050】
【化16】
iii)式(XVI)の化合物を酸性条件に供して、式(XVII)の化合物を得る工程と、
【0051】
【化17】
iv)式(XVII)の化合物をメチル化して、式(II)の化合物を得る工程と、を含む方法によって調製され、式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0052】
いくつかの実施形態において、式(XIII)の化合物を3-クロロフェノールと反応させて式(XVI)の化合物を生成する工程は、少なくとも1つのルイス塩基の存在下で行うことができる。この反応に適したルイス塩基の非限定的な例としては、Et3N、ピリジン、N-メチルモルホリン、DIPEA、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)4-クロロ-2-メトキシベンズアルデヒドを式(XVIII)の化合物と反応させて、式(XIX)の化合物を得る工程であって、式中、PGは、保護基であり、好ましくはベンジル、メチル、アセチル、及びトシルを含む群から選択される、工程と、
【0054】
【化18】
ii)式(XIX)の化合物を酸化剤と接触させて、式(II)の化合物を生成する工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(XIX)の化合物を得るための4-クロロ-2-メトキシベンズアルデヒドと式(XVIII)の化合物との反応は、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムテトラフルオロボレート(1:1比で1~20mol%)及びジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine、DIPEA;1:1比で1~20mol%)の存在下で行われる。
【0056】
式(XIX)の化合物の式(II)の化合物への変換を行うのに適した酸化剤の非限定的な例としては、酸素の存在下でのMeCN、並びにCuBr、銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(copper(I)thiophene-2-carboxylate、CuTC)、及びCu(OAc)2から選択される少なくとも1つの銅塩、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム/N-メチルモルホリン-N-オキシド(tetrapropylammonium perruthenate/N-methylmorpholine-N-Oxide、TPAP/NMO)、MnO2、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル、クロロクロム酸ピリジニウム(pyridinium chlorochromate、PCC)、デス-マーチンペルヨージナン又は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル((2,2,6,6-tetramethylpiperidin-1-yl)oxidanyl、TEMPO)/オキソン並びにH2O2が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)1-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2,2-ジヒドロキシ-エタノンを式(XI)の化合物と反応させて、式(XX)の化合物を得る工程と、
【0058】
【化19】
ii)式(XX)の化合物を酸化剤と反応させて、式(II)の化合物を得る工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2、及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記に定義された式(XX)の化合物を得るための1-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2,2-ジヒドロキシ-エタノンと式(XI)の化合物との反応は、銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(CuTC)、臭化銅(I)(CuBr)及び酢酸銅(II)(Cu(OAc)2)(それぞれ1~10mol%)などの少なくとも1つの銅塩の存在下で行われる。
【0060】
式(XX)の化合物の式(II)の化合物への変換を行うのに適した酸化剤の非限定的な例としては、酸素の存在下でのMeCN、並びにCuBr、CuTC及びCu(OAc)2から選択される少なくとも1つの銅塩、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム/N-メチルモルホリン-N-オキシド(TPAP/NMO)、MnO2、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル又は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO)/オキソン並びにH2O2が挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記で定義された式(II)の化合物は、
i)式(XXV)の化合物を、LiOtBu、LiHMDS、LiOEt、LiOMe及びLiOHから選択される塩基と反応させて、式(XXVI)の化合物を生成する工程と、
【0062】
【化20】
ii)式(XXVI)の化合物を、4-クロロ-2-メトキシフェニルマグネシウムハライド又は(4-クロロ-2-メトキシフェニル)リチウムと反応させて、式(II)の化合物を生成する工程であって、好ましくは、ハライドがBr、Cl又はIである工程と、を含む方法によって調製することができ、
式中、R
1、R
2及びR
3は、本明細書で定義されている通りである。
【0063】
本発明の別の態様は、先の態様で定義した式(I)の化合物の調製プロセスの提供であり、当該プロセスは、
1)式(XXVII)の化合物を3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと、好ましくは適切な相間移動触媒の存在下で、反応させて、式(XXVIII)の化合物を生成する工程と、
【0064】
【化21】
2)式(XXVIII)の化合物をキラル分離して、式(I)の化合物を生成する工程と、を含み、
式中、
R
1がHであり、R
2がFであり、かつR
3がH又はCH
3であり、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がCH
3であり、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、かつR
3がHであり、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がHであり、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、かつR
3がHであり、及び
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、かつR
3がCH
3である。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「相間移動触媒」は、好ましくは、1つの相から反応が起こる別の相への反応物の移動を促進する触媒を指す。式(XXVII)の化合物と3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンとの反応を行うのに適した相間移動触媒の非限定的な例としては、テトラブチルアンモニウムブロミド(tetrabutylammonium bromide、TBAB)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリカプリルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、及びヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドが挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態において、工程(1)の反応は、緩衝液の存在下で行われる。適切な緩衝液の非限定的な例としては、リン酸二水素ナトリウム二水和物及びリン酸水素二カリウム三水和物が挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態において、工程(1)の反応は、テトラブチルアンモニウムブロミドと、リン酸二水素ナトリウム二水和物及びリン酸水素二カリウム三水和物の緩衝液とを用いて行われる。
【0068】
式(XXVIII)の化合物のキラル分離の工程は、当技術分野で知られている手順を適用することによって行ってもよい。例えば、エナンチオマーは、それらのジアステレオマー塩と光学活性酸又は塩基との選択的結晶化によって互いに分離されてもよい。それらの非限定的な例としては、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、及びカンファースルホン酸が挙げられる。あるいは、エナンチオマーは、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー技術によって分離されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、R1はOCF3であり、R2はHであり、及びR3はHである。
【0070】
いくつかの実施形態において、式(I)は、
【0071】
【0072】
いくつかの好ましい実施形態において、本プロセスは、(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)の合成を含み、当該プロセスは、スキーム1に概説されるように実施することができる。
【0073】
【0074】
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)酢酸は、例えば塩化チオニルのような塩素化試薬を用いて、対応する2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリドに変換することができる。この工程は、1.0~2.0当量、好ましくは1.0~1.5当量の塩素化試薬を用いて行うことができる。この工程は、50℃~75℃、好ましくは55℃~70℃、好ましくは60℃~65℃の範囲の温度で行うことができる。この工程は、トルエン、CH2Cl2又は1,2-ジクロロエタンなどの適切な溶媒の存在下で行うことができる。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリドと5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールとの反応は、例えばEt2AlCl、AlCl3又はTiCl4などのルイス酸試薬を用いて、例えばトルエン、CH2Cl2又は1,2-ジクロロエタンのような適切な溶媒中で行うことができ、それによって化合物Aが得られる。この工程は、-20℃~5℃、好ましくは-15℃~0℃、好ましくは-10℃~-5℃の範囲の温度で行うことができる。次いで、化合物Aを酸化剤と接触させ、それによって化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)を生成することができる。適切な酸化剤の非限定的な例は、I2/DMSO(化合物Aに対するI2の比は、0.5~2.0当量の範囲であり得る)、NIS/DMSO(化合物Aに対するDMSOの比は、5~28当量の範囲であり得る)、SeO2、o-ヨード安息香酸、二酸化マンガンに担持された過マンガン酸カリウム、ビスマス/ピコリン酸、Co(OAc)2/TEMPO[例えば、5mol%のCo(OAc)2と例えば2~3当量のTEMPOとを使用]、又はCo(OAc)2/NaOCl[例えば、5mol%のCo(OAc)2と例えば2~3当量のNaOClを使用]から選択され得る。この工程は、50℃~100℃、好ましくは60℃~90℃、好ましくは70℃~85℃、好ましくは75℃~80℃の範囲の温度で行うことができる。この工程に適した溶媒の非限定的な例としては、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me-THF)及びDMSOが挙げられる。次いで、化合物Gを3-メトキシ-5-メチルスルホニル-アニリンと反応させて、化合物Fを生成することができる。この工程は、Zn(OTf)2、p-TsOH、TFA、ジクロロ酢酸(DCA)、サッカリン、MSA、Ca(OTf)2、ZnBr2、TiCl4、Ti(i-PrO)4、及びTi(EtO)4を含む群から選択される少なくとも1つの試薬の存在下で行うことができる。この工程に適した溶媒の非限定的な例としては、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me-THF)、トルエン又はそれらの混合物が挙げられる。次いで、化合物Fを水素化して、化合物Dを生成することができる。水素化工程は、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレートと(S)-1-[(RP)-2-(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィンとの組み合わせなどの適切な水素化試薬の存在下で行うことができる。
【0075】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム2に概説されるように調製することができる。
【0076】
【0077】
本プロセスは、例えばカリウム-tert-ブトキシドなどの塩基の存在下で、例えば臭化ベンジルなどの試薬を用いて、5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールを、例えばN-ベンジルなどのN-保護中間体に変換することを含むことができる。次いで、N-保護中間体を塩化オキサリルと反応させて、2-[1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-3-イル]-2-オキソ-アセチルクロリドを生成することができる。この工程は、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、THF、又は2-Me-THFなどの適切な溶媒の存在下で行うことができる。この工程は、0℃~室温の範囲の温度で行うことができる。次いで、2-[1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-3-イル]-2-オキソ-アセチルクロリドを、例えばビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテルの存在下で、(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムハライド(Xは例えばブロミドであり得る)と反応させて、1-[1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-3-イル]-2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)エタン-1,2-ジオンを得ることができる。次いで、ジオンを水素化して、中間体化合物Gを得ることができる。水素化及びそれによるベンジル保護基の除去は、パラジウム炭素(palladium on carbon、Pd/C)などの適切な触媒の存在下でH2を用いて行うことができる。
【0078】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム3に概説されるように調製することができる。
【0079】
【0080】
本プロセスは、6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムテトラフルオロボレート又は3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾール-3-イウムクロリドなどの適切な触媒の存在下、及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)などの適切な塩基の存在下で、4-クロロ-2-メトキシベンズアルデヒドを、N-保護された5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール(例えばtert-ブチル3-ホルミル-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-カルボキシレート)と反応させて、tert-ブチル3-[2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2-ヒドロキシ-アセチル]-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-カルボキシレートを得ることを含むことができる。次いで、カルボキシレートを脱保護し、得られた化合物を酸化して化合物Gを得ることができる。
【0081】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム4に概説されるように調製することができる。
【0082】
【0083】
本プロセスは、CuTC(TC=チオフェン-2-カルボキシレート)などの銅触媒の存在下で、5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールを1-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2,2-ジヒドロキシ-エタノンと反応させることを含むことができる。次いで、得られた1-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エテノンを、適切な酸化剤の存在下で、対応する化合物Gに酸化することができる。
【0084】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム5に概説されるように調製することができる。
【0085】
【0086】
本プロセスは、1-モルホリン-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオンをLiOtBuと反応させることを含むことができる。次いで、得られたリチウム3-(2-モルホリノ-2-オキソアセチル)-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-イドを、ブチルリチウムなどの適切な塩基の存在下で、4-クロロ-2-メトキシフェニルハライド(Mはブロミドであり得る)と反応させて、対応する化合物Gを生成することができる。
【0087】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム6に概説されるように調製することができる。
【0088】
【0089】
本プロセスは、5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールを塩化オキサリルと反応させることを含むことができる。この工程は、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などの適切な溶媒中で行うことができる。次いで、得られた2-オキソ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)アセチルクロリドをモルホリンと反応させて、1-モルホリノ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオンを生成することができる。次いで、この化合物を、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)などの適切な塩基の存在下で、4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムハライド(XはBrであり得る)と反応させて、対応する化合物Gを得ることができる。
【0090】
あるいは、中間体化合物G(1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン)は、スキーム7に概説されるように調製することができる。
【0091】
【0092】
本プロセスは、5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールを塩化オキサリルと反応させて、2-オキソ-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]アセチルクロリドを得ることを含むことができる。この工程は、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)などの適切な溶媒中で行うことができる。次いで、2-オキソ-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]アセチルクロリドを、好ましくはトリエチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、3-クロロフェノールと反応させて、1-(3-クロロフェニル)-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エタン-1,2-ジオンを生成することができる。この工程は、THFなどの適切な溶媒中で行うことができる。ジオンの酸触媒により、1-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エタン-1,2-ジオンを得ることができる。1-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-2-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エタン-1,2-ジオンのOH基の、例えばCH3Iなどのハロゲン化メチルによるメチル化は、中間体化合物Gを提供することができる。
【0093】
いくつかの他の実施形態において、(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノンの合成プロセスは、スキーム8に概説されるように行うことができる。
【0094】
【0095】
5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールは、メタノール中の水酸化ナトリウムなどの適切な塩基の存在下でのエチル5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-2-カルボキシレートの加水分解(工程A)、続いて銅-キノリンなどの適切な脱炭酸剤の存在下での5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸の脱炭酸(工程B)によって調製することができる。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリドは、トルエンなどの適切な溶媒中で、塩化チオニルなどの適切な塩素化剤を用いて、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)酢酸から調製することができる(工程C)。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリドと5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールとの反応(工程D)は、例えばトルエン、CH2Cl2又は1,2-ジクロロエタンのような適切な溶媒中で、例えばEt2AlCl、AlCl3又はTiCl4などの適切なルイス酸試薬を用いて行うことができ、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノンを生成する。次いで、この化合物を、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミドなどの適切な臭素化剤で臭素化することができる(工程1)。得られた2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノンは、トルエンなどの溶媒と、例えばリン酸二水素ナトリウム二水和物及びリン酸水素二カリウム三水和物から作製できる緩衝水溶液との混合物中、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの適切な相間移動触媒を用いて、3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)アニリンとカップリングさせることができる(工程2)。次いで、(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノンは、得られた混合物をキラル分離することによって得ることができる(工程3及び4)。キラル分離は、例えばキラルクロマトグラフィーによって行うことができる。
【実施例】
【0096】
一般的事項。全ての試薬は市販されており、特に断らないかぎり、更に精製することなく使用した。特に断らないかぎり、全ての反応は窒素雰囲気下で行った。全ての反応は、UV検出器又は同等物を備えたWaters H-Classを使用するHPLC法によってモニターした。全ての1H NMR及び13C NMRスペクトルは、溶媒としてDMSO-d6又はCDCl3を用いてBruker 400又は500MHz分光計で記録した。
【0097】
実施例1.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)
【0098】
【0099】
工程1.2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(A)の合成
【0100】
【0101】
20℃のトルエン(300mL)中の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)酢酸(30g、150mmol)の溶液に、塩化チオニル(21.4g、180mmol)を添加した。溶液を60℃に加熱した。混合物を16時間撹拌した後、溶液を減圧下で濃縮し、トルエン(150mL)で2回溶媒交換した。溶液を濃縮して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド(113g、150mmol)を黄色溶液として得た。別のジャケット付き反応器に、5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール(10g、50mmol)及びトルエン(30mL)を加えた。溶液を-10℃に冷却し、ジエチルアルミニウムクロリドの溶液(トルエン中0.9M、66mL、60mmol)を-5℃未満までゆっくりと添加した。反応混合物を-5℃未満で1時間撹拌し、次いで先に調製した塩化アシル溶液(50g、65mmol)を添加し、-10℃で更に16時間撹拌した。反応混合物を-5℃未満でH2O(100mL)でクエンチし、次いでテトラヒドロフラン(THF)(200mL)を添加して抽出した。有機相を分離し、有機層をH2O(100mL)で洗浄した。有機相を減圧下で約20mLに濃縮し、次いでメチルシクロヘキサン(100mL)を25℃で添加して固体を沈殿させた。混合物を濾過した。ケーキを乾燥させて、生成物(A)(17.5g、45.2mmol、収率91%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm12.23(br s,1H),8.58(s,1H),8.04(s,1H),7.59(d,J=8.8Hz,1H),7.25-7.17(m,2H),1H)7.06(d,J=2.0Hz,1H),6.98(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),4.18(s,2H),3.75(s,3H)。
【0102】
工程2.1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン(G)の合成
【0103】
【0104】
20~30℃の2-Me-THF(8000mL)中の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(A)(800g、2085mmol)の溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)(651g、8338mmol)及びI2(1058g、4169mmol)を周囲雰囲気下で添加した。溶液を70℃に加熱した。混合物を20時間撹拌した後、反応混合物を45℃で10%Na2SO3水溶液(8.0L)でクエンチし、1時間撹拌した。有機相を分離し、有機層を10%Na2SO4水溶液(8.0L)で洗浄した。有機相を減圧下で約2.0Lに濃縮し、ヘプタン(8.0L)を55℃で滴下添加して固体を沈殿させた。混合物を25℃に冷却し、更に14時間撹拌した。混合物を濾過した。ケーキを乾燥させて、生成物G(678g、1703mmol、収率82%)を褐色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm12.51(br s,1H),8.24(d,J=3.0Hz,1H),8.04(s,1H),7.84(d,J=8.4Hz,1H),7.67(d,J=8.8Hz,1H),7.38-7.21(m,3H),3.62(s,3H),3.62(s,3H),3.62(s,3H),3.36-3.25(m,1H)
【0105】
工程3.2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)-フェニル)イミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(F)の合成
【0106】
【0107】
20~30℃の2-Me-THF(100mL)及びトルエン(100mL)中の1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン(G)(20g、50.3mmol)の溶液に、3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)アニリン(10.1g、50.3mmol)及びZn(OTf)2(9.1g、25.1mmol)を添加した。反応混合物を加熱してディーン・スタークで還流した。混合物を20時間撹拌した後、反応混合物を2-Me-THF(200mL)で希釈し、Et3N(10.5mL、75.4mmol)で20℃にてクエンチした。次いで、H2O(200mL)を添加し、1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を分離し、次いで有機層をH2O(100mL)で洗浄した。有機層を減圧下で20mLに濃縮し、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)(100mL)でチェイスした。混合物を20mLに濃縮した後、別のIPA(120mL)を添加した。混合物にH2O(60mL)を60℃で添加して固体を沈殿させた。混合物を25℃に冷却し、10時間撹拌した。混合物を濾過した。ケーキを乾燥させて、生成物(F)(25.1g、41.7mmol、収率83%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm9.26(s,2H),9.21(s,1H),8.35(d,J=1.8Hz,2H),8.27(s,1H),7.97(br s,1H),7.89(d,J=8.5Hz,1H),7.40(br s,1H),7.34(d,J=8.8Hz,2H),7.15-7.22(m,2H),7.00-7.12(m,5H),6.86-6.94(m,5H),6.71-6.83(m,4H),6.54-6.63(m,2H),3.70(s,5H),3.61-3.52(m,8H),3.41(s,3H),2.83(s,5H),2.70(s,3H),1.36(br s,1H),1.27-1.01(m,5H),0.97-0.69(m,3H)
【0108】
工程4.(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)-フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(D)の合成
【0109】
【0110】
N2をフラッシュした500mLの水素化フラスコに、脱気したTHF(200mL)中の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)イミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(F)(20g、34.4mmol)、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(38.6mg、103μmol)及び(S)-1-[(RP)-2-(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ-tert-ブチルホスフィン(57mg、103μmol)を加えた。反応混合物を排気し、N2及びH2でそれぞれ3回再充填した。反応混合物を3バールのH2圧下で50℃に加熱した。16時間撹拌した後、シリカチオール(2.0g、10%重量%)を反応混合物に添加し、これを50℃で更に16時間撹拌した。混合物をCeliteのパッドを通して濾過した。次いで濾液にヘプタン(200mL)を40℃で滴下添加し、16時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過して固体不純物を除去し、濾液を減圧下で濃縮して、未処理のD(20g)をオフホワイトの固体として得た。別のジャケット付き反応器に、未処理のD(10g)及びMeOH(63mL)を加えた。混合物を64℃に加熱し、0.5時間撹拌して透明な溶液を得た。次いで、溶液を45℃まで直線的に冷却し、生成物のシードを添加した(2重量%)。混合物を3時間エージングし、H2Oを45℃で滴下添加した(21mL)。次いで、混合物を25℃に冷却し、更に8時間撹拌した。混合物を濾過した。ケーキを乾燥させて、生成物D(7.6g、13mmol、収率76%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm12.32(br d,J=2.6Hz,1H),8.56(d,J=3.3Hz,1H),8.08(s,1H),7.60(d,J=8.8Hz,1H),7.37(d,J=8.3Hz,1H),7.28-7.18(m,1H),7.18-7.06(m,2H),6.99(dd,J=8.3,1.9Hz,1H),6.92(s,1H),6.68-6.52(m,2H),6.27(br d,J=7.6Hz,1H),4.00(s,3H),3.73(s,3H),3.10(s,3H)。
【0111】
実施例1a.(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)の合成
窒素下のバイアルに、2.3mgのRu(COD)(TFA)2、3.7mgの(S)-DM-SEGPHOS及び0.5mLの無水1,2-DCEを入れた。溶液を70℃で30分間攪拌した。窒素下の反応器に、1グラムの2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)イミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(F)及び20mLの無水THFを入れ、全てが溶解するまで撹拌した。触媒溶液を25℃に冷却し、化合物(F)を含む溶液に添加した。窒素雰囲気を10バールの水素に交換し、反応物を50℃まで温めた。2時間後、UPLC分析によって特定されたように、反応が完了した。溶液中の生成物は48.2%eeであった。溶液を周囲温度まで冷却し、9mLに濃縮した。25℃で撹拌しながら、9mLのヘプタンを反応物にゆっくりと加え、沈殿物が形成された。ガラスフィルターで濾過し、続いて5mLのヘプタンで洗浄して、ラセミ体を427mg(収率42.6%、2.6%ee得た。母液を蒸発させ、減圧下で50℃のオーブンで乾燥させて、372mg(収率37.0%、99.9%ee)の(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)-アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(D)を得た。
【0112】
実施例2.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン:化合物Gの代替合成
工程1.2-オキソ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)アセチルクロリドの合成
【0113】
【0114】
60mLの乾燥メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)中の5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール20グラム(99.4mmol)の溶液を0℃に冷却した。塩化オキサリル(10.4mL、119.3mmol、1.2当量)を5分かけて滴下添加し、溶液を20℃まで温めた。1時間撹拌した後、20mLのヘプタンを添加し、黄色沈殿物が形成された。混合物を0℃で更に10分間撹拌し、その後、これをガラスフィルター(孔径3)で濾過した。濾過ケーキを40mLのヘプタンで洗浄し、真空下で50℃で2時間乾燥させた。生成物を、水分に敏感な黄色固体として得た(26.3グラム、90.2mmol、収率91%)。1H NMR(THF-d8,400MHz)δppm11.77(s,1H),8.48(d,J=3.4Hz,1H),8.34-8.06(m,1H),7.56(d,J=8.8Hz,1H),7.24(ddd,J=8.8,2.4,1.0Hz,1H)。13C NMR(THF-d8,101MHz)δ172.8,169.1,146.6,140.2,136.6,128.1,122.0(q,J=254.7Hz,CF3),119.1,115.2,114.5,112.1。
【0115】
工程2.1-モルホリノ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオンの合成
【0116】
【0117】
100mLの乾燥THF中の15.7グラムのモルホリン(178.3mmol、2.0当量)の溶液を0℃に冷却した。温度を5℃未満に維持しながら、THF100mLの中の2-オキソ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)アセチルクロリド26.0g(89.1mmol)の溶液を1時間かけて滴下添加した。添加が完了した後、反応物を0℃で更に30分間撹拌し、その後、780mLの水を30分かけて滴下添加した。濾過した白色沈殿物を、130mLの飽和NaHCO3水溶液及び100mLの水で洗浄した。生成物を真空下で50℃で18時間乾燥させた。生成物を白色固体として得た(28.2グラム、89.2mmol、収率92%)。1H-NMR(DMSO,400MHz)δppm12.57(s,1H),8.36(s,1H),8.01(d,J=2.3Hz,1H),7.65(d,J=8.8Hz,1H),7.28(dd,J=8.8,2.4Hz,1H),3.71(t,J=4.7Hz,2H),3.62(t,J=4.7Hz,2H),3.52(t,J=4.7Hz,2H),3.36(t,J=4.8Hz,2H)。13C-NMR(DMSO,101MHz)δppm186.0,165.4,144.3(q,J=2.2Hz),135.4,125.3,120.3(q,J=254.4Hz,CF3)116.5,66.2,65.9,46.0,41.1。
【0118】
工程3.4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミドの合成
【0119】
【0120】
30mLのTHF中の583.3mgのマグネシウム削り屑(24mmol、1.2当量)の懸濁液に、0.07mLの水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutylaluminium hydride、DiBAL-H)(THF中1.0M、2mol%)を20℃で添加した。溶液を40℃まで温め、7.2mLのTHF中の4.4gの4-クロロ-2-メトキシフェニルブロミドの溶液(総体積10mL)を1時間かけて滴下添加した。反応物を40℃で更に30分間撹拌した後、これを20℃に冷却した。ヨウ素による滴定により、0.44Mの濃度が特定された。
【0121】
工程3の2.4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミドの合成
【0122】
【0123】
15mLのTHF中の4-クロロ-2-メトキシフェニルブロミド3gの溶液に、MeTHF中のイソプロピルマグネシウムブロミドの3M溶液8.7mLを40℃で1時間かけて添加した。反応物を40℃で更に16時間撹拌した後、これを20℃に冷却した。ヨウ素による滴定により、0.46Mの濃度が特定された。
【0124】
工程4.1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオンの合成
【0125】
【0126】
25mLのTHF中の5グラムの1-モルホリノ-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン(14.5mmol)の溶液を0℃に冷却した。リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)(15.9mL、1.1当量)の1M溶液を15分かけて滴下添加し、混合物を0℃で更に15分間撹拌した。THF中の(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミドの溶液(0.44M、36.3mL、1.1当量)を30分かけて滴下添加した。反応物を25℃まで温め、一晩撹拌した後、50mLの1M HClでクエンチした。相を分離し、水層を25mLのMeTHFで抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で10~15mLに濃縮した。溶液を温め、60℃で撹拌した後、50mLのヘプタンを添加した。混合物を60℃で1時間撹拌した後、20℃までゆっくりと冷却した。固体を濾別し、ケーキを20mLのヘプタンで洗浄した。生成物を真空下で50℃で18時間乾燥させた。生成物を黄色固体として得た(4.7グラム、11.8mmol、収率81%)。1H-NMR(DMSO,400MHz)δppm12.51(s,1H),8.24(d,J=3.2Hz,1H),8.03(t,J=1.9Hz,1H),7.83(d,J=8.3Hz,1H),7.65(dd,J=8.8,0.5Hz,1H),7.33(d,J=1.9Hz,1H),7.29(dd,J=8.8,1.6Hz,1H),7.24(dd,J=8.3,1.9Hz,1H),3.61(s,3H)。13C-NMR(DMSO,101MHz)δppm192.6,187.5,160.4,144.1(q,J=2.3Hz),140.6,138.3,135.3,131.9,125.8,122.7,121.5,121.0(q,J=255.6Hz,CF3),117.2,114.1,113.7,112.9,111.7,56.8。
【0127】
化合物(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)-アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)は、実施例1に開示した工程3及び4に従って調製した。
【0128】
実施例3.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン:化合物Gの代替合成
【0129】
【0130】
工程1.1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールの合成
【0131】
【0132】
70mLのTHF中の10グラムの5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール(49.7mmol)の溶液を0℃に冷却した。KOtBu(5.85g、52.2mmol、1.05当量)を加え、次いで臭化ベンジル(6.2mL、52.2mmol、1.05当量)を滴下した。混合物を0℃で30分間撹拌した後、20℃までゆっくりと温め、この温度で2時間撹拌した。炭酸ナトリウムの飽和溶液(30mL)を添加し、相を分離した。有機層をMgSO4で乾燥させ、赤みがかった油にまで減圧下で濃縮し、この油を更に精製することなく使用した(15.1g、HPCL分析による純度89面積%)。
【0133】
工程2.2-(1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)-2-オキソアセチルクロリドの合成
【0134】
【0135】
ジエチルエーテル(15mL)中の3gの1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール(9.1mmol)の溶液を0℃に冷却した。塩化オキサリル(1.4g、11mmol、1.2当量)を滴下添加した。混合物を20℃まで温め、この温度で1時間撹拌した。ヘプタン(45mL)を加え、得られた黄色固体を濾過し、20mLのヘプタンで洗浄した。2-(1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)-2-オキソアセチルクロリドを黄色結晶性固体(2.47g、9.1mmol、収率65%)として単離し、更に精製することなく使用した。
【0136】
工程3.1-(1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)エタン-1,2-ジオンの合成
【0137】
【0138】
2-(1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)-2-オキソアセチルクロリド(2g、5.24mmol)をTHF(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。THF中の(4-クロロ-2-メトキシフェニル)マグネシウムブロミド(0.44M、12mL、1.1当量)と2-(ジメチルアミノ)エチルエーテル(1.15mL、6.02mmol、1.15当量)との混合物を30分かけて滴下添加した。HCl(6M、15mL)を加え、混合物を20℃まで温めた。2つの相を分離し、水相を酢酸エチル(各15mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濃縮乾固し、クロマトグラフィーにより精製して、2.51gの1-(1-ベンジル-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)エタン-1,2-ジオン(3.77mmol、収率72%)を橙色の油として得た。
【0139】
化合物(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)-アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)は、実施例1に開示した工程3及び4に従って調製した。
【0140】
実施例4.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン、化合物Gの代替合成
【0141】
【0142】
工程1.リチウム3-(2-モルホリノ-2-オキソアセチル)-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-イドの合成
【0143】
【0144】
50mLのTHF中の10gの1-モルホリン-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオン(29.2mmol)の溶液を0℃に冷却した。この溶液に、2.34g(29.21mmol、1当量)のLiOtBuを添加した。反応混合物を30分かけて20℃に温め、次いで20mLのトルエンを添加し、混合物を30分間撹拌し、形成された固体を濾過し、減圧下50℃で乾燥させて、10.5gのリチウム3-(2-モルホリノ-2-オキソアセチル)-5-(トリフルオロメトキシ)-インドール-1-イドを得て、これを更に精製することなく使用した。
【0145】
工程2.1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタン-1,2-ジオンの合成
【0146】
【0147】
70mLの無水THF中の5gのリチウム3-(2-モルホリノ-2-オキソアセチル)-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-イド(14.4mmol)及び5.1gの4-クロロ-2-メトキシフェニルブロミド(23mmol、1.6当量)の懸濁液を0℃に冷却した。ヘキサン中のブチルリチウムの2.5M溶液8.6mL(21.5mmol、1.5当量)を2時間かけて滴下添加した。20℃に温めた後、15mlの2M塩酸水溶液を滴下添加した。層を分離し、水相を10mLのMeTHFで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮して褐色固体とし、これをヘプタンEtOAc混合物を使用するクロマトグラフィーによって精製した。生成物を黄色固体として得た(3.6グラム、9.1mmol、収率63%)。1H-NMR(DMSO,400MHz)δppm12.51(s,1H),8.24(d,J=3.2Hz,1H),8.03(t,J=1.9Hz,1H),7.83(d,J=8.3Hz,1H),7.65(dd,J=8.8,0.5Hz,1H),7.33(d,J=1.9Hz,1H),7.29(dd,J=8.8,1.6Hz,1H),7.24(dd,J=8.3,1.9Hz,1H),3.61(s,3H)。13C-NMR(DMSO,101MHz)δppm192.6,187.5,160.4,144.1(q,J=2.3Hz),140.6,138.3,135.3,131.9,125.8,122.7,121.5,121.0(q,J=255.6Hz,CF3),117.2,114.1,113.7,112.9,111.7,56.8.s
【0148】
化合物(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)-アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)は、実施例1に開示した工程3及び4に従って調製した。
【0149】
実施例5.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン、化合物Gの代替合成
【0150】
【0151】
アセトニトリル中の6,7-ジヒドロ-2-ペンタフルオロフェニル-5H-ピロロ[2,1-c]-1,2,4-トリアゾリウムテトラフルオロボレート(42.5mg、0.12mmol、0.2当量)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(20μl、0.12mmol、0.2当量)を添加し、混合物を25℃で15分間撹拌した。これに、アセトニトリル中の4-クロロ-2-メトキシベンズアルデヒド(100mg、0.59mmol)及びtert-ブチル3-ホルミル-5-(トリフルオロメトキシ)インドール-1-カルボキシレート(193.0mg、0.59mmol、1当量)の溶液。反応物を60℃に温め、20時間撹拌した。20℃に冷却した後、水を加え、沈殿物を濾過によって収集した。濾過ケーキを水で洗浄し、真空下で40℃で乾燥させて、生成物を白色固体として得た(121mg、0.24mmol、収率41%)。1H-NMR(400MHz,CDCl3)δppm8.32(s,1H),8.25(s,1H),8.08(d,J=9.1Hz,1H),7.22(m,2H),6.92(m,2H),6.06(d,J=5.5Hz,1H),4.59(d,J=5.7Hz,1H)3.94(s,3H),1.72(s,1H,OH),1.68(s,9H)。13C NMR(101MHz,CDCl3)δppm194.2,157.0,148.5,146.4,146.4,135.6,134.4,133.6,129.8,128.6,127.3,121.8,119.4,116.2,115.8,115.1,112.5,86.3,70.2,56.3,28.2。
【0152】
化合物(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)は、実施例1に開示した工程3及び4に従って調製した
【0153】
実施例6.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシ-フェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノンの合成、化合物Gの代替合成
【0154】
【0155】
5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール(3.4グラム、17mmol)、4-クロロ-2-メトキシ-フェニルグリオキサール水和物(4.3グラム、20mmol、1.2当量)及び銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(165mg、0.85mmol、5mol%)を入れたバイアルを窒素雰囲気下に置いた。トルエン(34mL)及び水(3.4mL)をこれに添加し、反応混合物を40℃で18時間加熱した。セプタムを除去し、アセトニトリル(10mL)を添加した。反応物を周囲雰囲気下、50℃で18時間加熱し、セライトで濾過した。2-メチルテトラヒドロフラン(30mL)及び1M HCl(30mL)を加え、層を分離した。水層を2-メチルテトラヒドロフランで抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で5~10mLに濃縮した。溶液を温め、60℃で撹拌した後、20mLのヘプタンを添加した。混合物を60℃で1時間撹拌した後、20℃までゆっくりと冷却した。固体を濾別し、ケーキを10mLのヘプタンで洗浄した。生成物を真空下で50℃で18時間乾燥させた。生成物を黄色固体として得た(5.8グラム、15.1mmol、収率89%)。1H-NMR(DMSO,400MHz)δppm12.51(s,1H),8.24(d,J=3.2Hz,1H),8.03(t,J=1.9Hz,1H),7.83(d,J=8.3Hz,1H),7.65(dd,J=8.8,0.5Hz,1H),7.33(d,J=1.9Hz,1H),7.29(dd,J=8.8,1.6Hz,1H),7.24(dd,J=8.3,1.9Hz,1H),3.61(s,3H)。13C-NMR(DMSO,101MHz):δ192.6,187.5,160.4,144.1(q,J=2.3Hz),140.6,138.3,135.3,131.9,125.8,122.7,121.5,121.0(q,J=255.6Hz,CF3),117.2,114.1,113.7,112.9,111.7,56.8。
【0156】
化合物(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)-アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン(D)は、実施例1に開示した工程3及び4に従って調製した。
【0157】
実施例7.式(I)の化合物の合成:(S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル)アミノ)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノン。
【0158】
【0159】
工程1.5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸の合成
【0160】
【0161】
エチル5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-2-カルボキシレートを水とメタノールとの混合物に溶解し、水酸化ナトリウムの存在下で加水分解して、生成物を得た。
【0162】
工程2.5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドールの合成
【0163】
【0164】
5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸を銅及びキノリンで脱炭酸して、標題化合物を得た。
【0165】
工程3.2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エテノンの合成
【0166】
【0167】
この化合物は実施例1の工程1に記載したようにして得た。
【0168】
工程4.2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノンの合成
【0169】
【0170】
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノンを、テトラヒドロフラン中のフェニルトリメチルアンモニウムトリブロミドで臭素化した。反応の完了後、混合物を部分的に濃縮し、含水亜硫酸ナトリウムを加えた。沈殿物を単離し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0171】
工程5.2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-[[3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)-フェニル]アミノ]-1-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エタノンの合成
【0172】
【0173】
2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノンを、トルエンとリン酸二水素ナトリウム二水和物及びリン酸水素二カリウム三水和物の緩衝水溶液との混合物中で、相間移動触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)を用いて、3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)アニリンとカップリングさせた。反応の完了後、反応混合物を2-メチル-テトラヒドロフラン(2-MeTHF)で処理した。水層を除去した後、有機層を部分的に濃縮し、更に2-MeTHFを加え、続いて希塩酸で洗浄し、含水硫酸ナトリウムで洗浄した。次いで、有機層を部分的に濃縮し、n-ヘプタンで処理した。結晶化した生成物を単離し、水及びn-ヘプタンで洗浄し、乾燥させた。
【0174】
工程6.(2S)-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-[[3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル]アミノ]-1-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エテノンの取得
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-[[3-メトキシ-5-(メチルスルホニル)フェニル]アミノ]-1-[5-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]エタノンをアセトニトリルとメタノールとの混合物に溶解し、キラルクロマトグラフィー(溶離液:アセトニトリル/メタノール)によって精製した。続いて、メタノールへの溶媒交換を行い、標題化合物を含有する得られた溶液を部分的に濃縮し、水を加えた。結晶化した生成物を単離し、メタノール/水で洗浄し、乾燥させた。
【国際調査報告】