IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリアント・インターナシヨナル・リミテツドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業性最適化反応性ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/26 20060101AFI20240628BHJP
   C09J 123/02 20060101ALI20240628BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C09J123/26
C09J123/02
C09J153/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578720
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022066052
(87)【国際公開番号】W WO2023274706
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183067.4
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100145333
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 弓子
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァーベ・イェレミア
(72)【発明者】
【氏名】ハウク・エーリク
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA011
4J040DA091
4J040DA121
4J040DA131
4J040DA151
4J040DL131
4J040DM001
4J040GA31
4J040JB01
4J040LA06
4J040LA08
4J040MA08
4J040MA10
4J040MA11
4J040PB05
(57)【要約】
本発明は、1重量%~5重量%のケイ素含有量、20~35J/gの融解エンタルピー、および170℃で500MPas~4500MPasの溶融粘度を有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーに関する。本発明はさらに、前記シラン変性ポリマーを含む作業性最適化反応性ホットメルト接着剤配合物、および、様々な基材を接着するための当該ホットメルト接着剤配合物の使用に関する。本発明は、さらに当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーの製造方法に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモノマーとして、エチレンおよび/または1-ブテン、好ましくはエチレンまたは1-ブテン、より好ましくはエチレンを含有し、測光的に確認されるケイ素含有量は、ポリマーの総重量に基づいて1~5重量%であり、DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度は、500mPas超かつ4500mPas未満であり、ISO11357-3に従い測定した融解エンタルピーは、20J/g超かつ35J/g未満、好ましくは20J/g超かつ30J/g未満である、シラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項2】
DIN53019に従い測定した溶融粘度は、元の未変性ポリプロピレンコポリマーの粘度の10~50%であることを特徴とする、請求項1に記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項3】
ポリプロピレンコポリマー主鎖は、ISO16014-1に従い測定して、10,000g/mol超かつ30,000g/mol未満、好ましくは10,000g/mol超かつ20,000g/mol未満の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項4】
ISO16014-1に従って測定した多分散指数(PDI)は、2.5未満であり、当該PDIは、グラフトの結果、未変性ポリプロピレンコポリマーの値より高い、好ましくは、元の値の少なくとも20%高いことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項5】
ASTM D3104に従い測定して、85~95℃の軟化点を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項6】
ISO1183-3:1999に従い測定して、0.900g/cm3を超える密度を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項7】
13C-NMRを用いて確認されたプロピレン留分のmmトライアド(triad)は、90モル%以下であり、rrトライアドは、少なくとも5モル%であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項8】
未変性反応物は、13C-NMRを用いて確認されたプロピレン含有量が、少なくとも60モル%であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー。
【請求項9】
(a)未変性ポリプロピレンコポリマーを供給する工程、
(b)シラングラフト成分およびフリーラジカル開始剤を添加する工程、および、
(c)過剰なモノマーを蒸発させる工程、を含み、
グラフト反応により、DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度は、元の未変性ポリプロピレンコポリマーの粘度の50~90%低く、ISO16014-1に従い測定したPDIは、少なくとも20%高いことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマーの製造方法。
【請求項10】
当該未変性ポリプロピレンコポリマーは、DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度が、500~7000mPas、好ましくは700~5000mPas、より好ましくは800~4000mPasであり、かつ、ISO11357-3に従い測定した融解エンタルピーが30~55J/gであることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマーと、未変性ポリオレフィンおよび未変性熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPE-S)からなる群から選択される1種以上のベースポリマーとを含み、ここで、ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、これらの成分は合わせて少なくとも50重量%であり、かつ、シラン変性ポリオレフィンは、30重量%以下である、ホットメルト接着剤配合物。
【請求項12】
DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度が、5000mPas未満であり、かつ、DIN EN ISO527-3に従い測定した引張強度が、少なくとも4MPaであることを特徴とする、請求項11に記載のホットメルト接着剤配合物。
【請求項13】
当該ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、35重量%未満の粘着付与剤を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載のホットメルト接着剤配合物。
【請求項14】
当該ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、40~80重量%の当該ベースポリマー、10~30重量%の当該シラン変性ポリプロピレンコポリマー、および、10~30重量%の粘着付与剤を含むことを特徴とする、請求項11~13のいずれかに記載のホットメルト接着剤配合物。
【請求項15】
当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーまたは当該ホットメルト接着剤配合物は、当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーおよび架橋促進剤の混合物または当該ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、0.1~1重量%の架橋促進剤を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー、または、請求項11~14のいずれかに記載のホットメルト接着剤配合物。
【請求項16】
基材の接着のための、請求項1~8のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマー、または、請求項11~15のいずれかに記載のホットメルト接着剤配合物の使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1~5重量%のケイ素含有量、20~35J/gの融解エンタルピー、および、500~4500mPasの170℃での溶融粘度を有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーに関する。本発明はさらに、前記シラン変性ポリプロピレンコポリマーを含む作業性最適化反応性ホットメルト接着剤配合物、および様々な基材の接着のための当該ホットメルト接着剤配合物の使用に関する。本発明はまた、当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半結晶性ポリ-α-オレフィンは、しばしば様々な用途で、接着剤原料として用いられる。使用範囲は、衛生分野から積層および包装接着剤を経て構造的接着に到るまで、ならびに木材加工における使用に広がっている。
【0003】
例えばアルコキシシランなど架橋可能剤でグラフトすることにより、ポリマー鎖の相互の架橋が高分子特性を変化させ、グラフトしたアルコキシシランも反応性表面基(例えば: -OH)の接着結合への共有結合の組み込みを可能にするので、未変性ポリ‐α‐オレフィンの凝集、接着、機械的安定性および耐熱性を変化させることが可能である。
【0004】
シラン基を有する半結晶性ポリ-α-オレフィンのフリーラジカル誘導グラフトは、グラフトされていないポリマーの鎖分解をもたらし、しばしば、官能化率が非常に低くなりかつ非常にろう質特性を有するグラフト生成物を形成してしまい(例えば、WO89/11513)、安定的な接着に適していない。
【0005】
このことは、ポリプロピレンまたはプロピレンリッチコポリマーのフリーラジカル誘導グラフト化反応にも当てはまり、当該反応において鎖分解が同様に起こることが知られており、これは、ポリマーのモル質量(溶融粘度)を減少させる。したがって、高い官能化率を有する対応するポリマーは必然的に、非常に低いモル質量/溶融粘度を有し、多くの分野における用途で適していない。
【0006】
さらに、シラン基により劣化したポリマー鎖を架橋すると、機械的特性の変化をもたらし、極端な場合には、低い脆化温度を有する硬い高強度材料をもたらす可能性がある。
【0007】
特許文献1(WO2007008765、Dow)は、接着剤原料としての低粘度のシラングラフトポリ(エチレン-コ-1-オレフィン)ポリマーの使用を記載しており、使用されるポリマーは、少なくとも50モル%のエチレンを含有し、多分散指数が1~5、好ましくは1~3.5であることを開示している。それらは、177℃で2,000から50,000cPと低い溶融粘度を示す。当該1-オレフィンコモノマーには、例えば、1-ヘキセンおよび1-オクテンなどの多数の高級1-オレフィンが含まれる。シラングラフトポリマーは、PAFTおよびSAFT分析において低い破壊温度を有する。高エチレン含有量を有するポリオレフィンの使用は、ポリマー中の長いエチレンブロックの存在を意味する。これにより、多くのプラスチックの表面上では湿潤性および結合特性が不十分となり、結合に係る問題を生じることが非常に多い。さらに、長いポリエチレン配列は過酸化物架橋する傾向があり、その結果、ゲル形成は避けられない。グラフトされていないベースポリマーは、177℃で50000cP以下の比較的低いモル質量および溶融粘度を有する。
【0008】
同様に、同様にグラフトに適していると言われる結晶性および半結晶性ポリ(プロピレン-コ-1-オレフィン)ポリマーの使用が記載される。これらは、少なくとも50mol%のプロピレン含量、好ましくは170℃(グラフト前およびグラフト後)で50000cPの溶融粘度、および1~3.5の多分散指数を有する。結晶化度は2~60%(すなわち、3~100J/g)であると報告されている。しかしながら、好ましいと特定されているこれらのポリプロピレン系コポリマーの実施例はない。融解エンタルピーが20~35J/gであり、粘度が500~4500mPasであるポリマーについては、研究が行われていない。したがって、特許文献1は、特徴の具体的な組み合わせ、またはそれから得られる有利な加工および結合特性については記載していない。
【0009】
特許文献2(EP0827994、Huels)は、シラングラフト非晶質ポリ(α-オレフィン)を湿分架橋性接着剤原料または接着剤として使用することを記載している。使用されるベースポリマーは、アタクチックポリプロピレン(aPP)、アタクチックポリ(1-ブテン)、または好ましくはC4~C10α-オレフィン(0~95重量%)、プロペン(5~100重量%)およびエチレン(0~20重量%)のコポリマーまたはターポリマーである。実施例に記載のシラン変性APAOターポリマーは、98℃の軟化点、38,000g/molの重量平均分子量および6000mPasの溶融粘度を有する。グラフトはPDIを35%以上低下させ、粘度の低下は88%であった。機械的特性と併せた加工特性の詳細な議論はない。
【0010】
特許文献2(DE10338344A1、Clariant)は、シラン化合物でフリーラジカル変性され、170℃で測定される粘度が、10~50,000mPasであり、および融解熱が10J/g超えである半結晶性ポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーに関する。実施例は、170℃で1000mPas未満の溶融粘度、110℃を超える滴り点および少なくとも60J/gの融解熱を有するポリオレフィンを開示する。それらは、ホットメルト接着剤配合物の構成成分として適している。低い溶融粘度と20~35J/gの融解熱との組合せの開示はない。シラン変性結晶性ポリオレフィンワックスは、メタロセン触媒作用によって製造され、プロピレン含量が高い。
【0011】
シラン変性ポリオレフィンを含むホットメルト接着剤配合物の場合、結合プロセスは2つの段階を有する。加工上の問題を回避し、簡単な塗布を保証するためには、当業者は、ホットメルト接着剤を、圧力をかけながら、比較的低温で塗布できるように、低粘度を有するホットメルト接着剤配合物を求めている。接着剤が塗布されるとすぐに、架橋が開始され、これは粘度を増加させ、最終的な結合の機械的安定性を保証すると考えられる結合の凝集性を高める。
【0012】
しかし、8000mPas以下の粘度を有する非常に低粘度の生成物は、非常に短い鎖長がより少ないポリマーからのからみ合いが少なく、生成物がよりろう質特性を有する可能性が高いため、通常、弾性係数、強度、および破断時の伸びのような機械的特性において欠点を有することをここで考慮すべきである。さらに、非常に短い鎖長は架橋時に材料の急速な脆化をもたらすが、それは短い相互に架橋されたポリマー鎖が低い柔軟性しか有さないからである。したがって、先行技術は、非常に低粘度のベースポリマーの使用を教示しておらず、比較的高粘度のシラン化ポリオレフィンと併せて比較的多量の粘着付与剤を使用することを推奨している。
【0013】
粘着付与剤は、結合接着剤の粘度および初期接着性に影響を及ぼし、多くの場合樹脂である。これらの樹脂は例えば、石油加工におけるC5またはC9流からの低分子量生成物であり、多くの場合、芳香族化合物を含有し、通常、室温を超えるガラス転移温度を有する。
【0014】
したがって、ホットメルト接着剤配合物への樹脂の添加は、配合物のガラス転移温度を上昇させ、したがって、そのようなホットメルト接着剤は低温可撓性が低下し、ホットメルト接着剤を使用することができる温度範囲が制限される。
【0015】
特許文献3(WO2010018027、Evonik)は、高い官能化を有し、2.5重量%以下のポリ(エチレン)トライアド、9~20J/gの融解エンタルピーおよび96重量%を超えるキシレン溶解度を有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーおよびターポリマーを開示しており、エチレンおよび1-ブテンを含むターポリマーが最も良い結果を得ている。これらの変性ポリオレフィンを含有する様々な接着剤結合について、多くの例示的な調合物が言及されている。これらの調合物は結合後に比較的良好な機械的安定性を与えるが、良好な加工特性および十分な初期粘着性を保証するために、比較的多量の粘着付与剤が必要とされる。配合物中の変性ポリオレフィンの最も低い割合は、エッジ接着のための例示的配合物中で24.7重量%として報告される。他の全ての実施例は、30重量%以上を含有する。
【0016】
さらに、特許文献4(WO2010018027A1)は、過酸化物により誘導されるグラフト反応が使用されるポリマーの多分散性をさらに減少させ、当該変性ポリマーは3.5未満の多分散指数を有するとするが、これは、特に、作業特性の点で様々な欠点をもたらすとされる。さらに、この文献は、比較的低分子量のベースポリマーの使用が、一般に比較的低い官能化速度をもたらすことを教示している。
【0017】
特許文献5(EP3287276A1、Sika)は、25℃で固体であるシラン変性ポリ-α-オレフィンと、120℃未満の軟化温度を有する未変性非晶質C3/C2コポリマーワックスと、80~130℃の軟化点を有するパラフィンワックスとを含むホットメルト接着剤組成物を記載している。
【0018】
特許文献6(WO2009133093、Sika)は、25℃で固体であるシラン変性ポリ-α-オレフィンおよび10~40℃の融点または軟化点を有する可塑化樹脂を含む、長いオープンタイムを有するホットメルト接着剤組成物を開示している。配合物の例は、65重量%のシラン変性ポリ‐α‐オレフィンを含有する。全てのシラングラフトポリ-α-オレフィンの割合は、50重量%超、好ましくは60重量%~90重量%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO2007/008765
【特許文献2】DE10338344
【特許文献3】WO2010018027
【特許文献4】WO2010018027
【特許文献5】EP3287276
【特許文献6】WO2009133093
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、通常は、作業性および結合の初期強度を確立するために、比較的多量の粘着付与剤および低粘度成分をシラン変性接着剤配合物に添加することが必要である。これらを添加しないと、シラン化ポリオレフィンが高い粘度を有するため、使用範囲が制限され、接着剤配合する際に追加的な作業関連および材料特有の問題を考慮する必要がある。したがって、接着剤配合物においては、バランスのとれた幅広い使用範囲に適合し、機能性添加剤の割合を最小限に抑え、なるべく少ない成分で構成されることが求められている。したがって、低温(170℃未満)でさえ、それらの改善された材料特性により、多くの樹脂または粘着付与剤を使用せずとも作業しやすく適用することができ、にもかかわらず、十分な初期接着性および柔軟かつ安定的結合ならびに高い耐熱性を有する、ホットメルト接着剤としてのおよびホットメルト接着剤のための官能化ポリオレフィンが必要とされた。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、変性ポリマーの総重量に基づいて1~5重量%のケイ素含有量、170℃で500mPas超かつ4500mPas未満の溶融粘度、およびホットメルト接着剤として、またはホットメルト接着剤配合物の成分として、20J/g超かつ35J/g未満、好ましくは20J/g超かつ30J/g未満の融解エンタルピーを有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーは、とりわけ、非常に有利な特性を配合物に付与し、作業性が改善されることが見出された。本発明におけるコポリマーは、2種以上の異なるモノマー単位から構成されるポリマーを指す。シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、さらなるモノマーとして、エチレンおよび1-ブテンからなる群から選択される1種以上のモノマーを含み、好ましくは二元コポリマーであり、特にコモノマーとしてプロピレンおよびエチレンが特に好ましい。
【0022】
シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、非常に良好な作業性および結合の非常に良好な機械特性の両方をもたらし、これは、ホットメルト接着剤の良好な凝集性、接着性、耐熱性および破断点伸びとして定性的および定量的に表すことができる。耐熱性、凝集性、破断点伸びなどの点で、従来の配合物の場合と同じ特性のホットメルト接着剤の要求を満たすためには、配合物中の反応性シラン化成分の割合は比較的低い方が良い。ホットメルト接着剤の有利な特性は、特に極性基材に現れる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
未変性ポリプロピレンコポリマーは、グラフトによって変性される。グラフト過程で起こり得る副反応は、とりわけグラフトポリマー鎖を切断し、したがって、グラフトおよび変性は、本発明において同義であるとみなされる。
【0024】
シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、ケイ素含有量は1~5重量%であり、170℃での溶融粘度は500mPas超かつ4500mPas未満であり、融解エンタルピーは20J/g超かつ35J/g未満であり、好ましくは20J/g超かつ30J/g未満であり、当該溶融粘度は、好ましくは元の未変性ポリプロピレンコポリマーの粘度の10~50%である。このような溶融粘度の割合変化は適切な架橋度により、良好な機械的安定性と併せて、特に作業しやすさを可能にする。
【0025】
グラフトされるシランは、好ましくはオレフィン性二重結合と、ケイ素原子に直接結合した1~3個のアルコキシ基とを有する。特に、当該1種以上のシランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO;HC=C(CH)COO(CH-Si(OCH)、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、および/または、ビニルメチルジブトキシシランからなる群から選択される。当該シランは、最も好ましくは、ビニルトリメトキシシランである。
【0026】
所望の機械的特性を確立するためには、シラン変性ポリプロピレンコポリマーのポリプロピレンコポリマー主鎖が、ISO16014-1に従い測定して、10,000g/mol超かつ30,000g/mol未満、好ましくは10,000g/mol超かつ20,000g/mol未満の重量平均分子量を有することが有利であり、この分子量範囲内で、ポリマー鎖は十分に官能化され、したがって安定的に架橋され得るが、依然として十分な可撓性を有する。
【0027】
シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、好ましくは2.5未満の多分散指数(PDI)を有する。当該PDIは、好ましくはグラフトの結果として高くなり、グラフトされていないポリマーに対して、少なくとも20%高い。グラフトの結果としてのPDIのこの変化は明らかに、シラン変性ポリプロピレン系コポリマーの場合にのみ確立され、そこではフリーラジカル誘導鎖の分解により十分に粘度が低下し、にもかかわらず、高い可撓性と結合の十分な強度との両方を保証する後の架橋を、可能にするのに十分に小さい程度である。通常、フリーラジカル誘導鎖の分解が、PDIの減少をもたらすので、このPDIの増加は、完全に驚くべきものであった。
【0028】
シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、好ましくは85~95℃の軟化点を有する。この範囲内の軟化点を有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーは、耐熱性及び作業性の両面で十分に良好な特性を有する。
【0029】
さらに、シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、好ましくは0.900g/cm3を超える密度を有する。
【0030】
シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、好ましくは、領域内のプロピレン分留のmmトライアドは、90mol%以下であり、rrトライアドは少なくとも5mol%である。前記微細構造を有するシラン変性ポリプロピレンコポリマーは、所望の作業特性および機械的特性を示す。
【0031】
好ましい実施形態において、シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、メタロセン触媒を用いて製造される。
【0032】
好ましい実施形態において、シラン変性ポリプロピレンコポリマーの未変性反応物は、少なくとも60モル%のプロピレン、より好ましくは70~90モル%のプロピレンを含有する。この範囲内では、コモノマー含有量は材料の脆化を防止するのに十分であるが、エチレン含有量が高すぎるために結合特性が低下するほど高くはない。
【0033】
未変性反応物は、13C-NMRを用いて確認されたプロピレン含有量が、好ましくは、少なくとも60モル%である。
【0034】
さらに、本発明は、(a)ポリプロピレンコポリマーを供給する工程、(b)グラフト成分およびフリーラジカル開始剤を添加する工程、および、(c)過剰なモノマーを蒸発させる工程、を含み、グラフト反応により、溶融粘度は、元の未変性ポリプロピレンコポリマーの粘度の50~90%低く、PDIは、少なくとも20%高いことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のシラン変性ポリプロピレンコポリマーの製造方法を提供する。
【0035】
本発明の方法において、使用する未変性ポリプロピレンコポリマーは、DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度が、500~7000mPas、好ましくは700~5000mPas、より好ましくは800~4000mPasであり、かつ、ISO11357-3に従い測定した融解エンタルピーが、30~55J/g、好ましくは30~50J/g、より好ましくは30~45J/gである。
【0036】
本発明はさらに、本発明のシラン変性ポリプロピレンコポリマーと、未変性ポリオレフィンおよび未変性熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPE-S)からなる群から選択される1種以上のベースポリマーとを含むホットメルト接着剤配合物を提供し、ここで、ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、シラン変性ポリプロピレンコポリマーおよびベースポリマーは、少なくとも50重量%であり、かつ、シラン変性ポリプロピレンコポリマーは、30重量%以下である。
【0037】
未変性ポリオレフィンは、好ましくは、結晶性または半結晶性ポリオレフィン、または非晶質ポリオレフィン(APAO)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、およびポリイソブチレン(PIB)であり、ここで、当該ポリオレフィンは、より好ましくは、C3/C2コポリマーから形成され、未変性スチレンブロックコポリマーは好ましくはSBS、SEBS、SEPS、SEEPSおよびMBSである。
【0038】
ホットメルト接着剤配合物は、好ましくは、DIN53019に従い170℃で測定した溶融粘度が、5000mPas未満であり、かつ、引張強度が少なくとも4MPaであり、これらの特性を有するホットメルト接着剤は、作業性と機械的安定性との間で最適な条件を構成する。
【0039】
本発明のホットメルト接着剤配合物は、合成および/または天然の樹脂、特に粘着付与樹脂、合成および/または天然の油、無機および/または有機、合成および/または天然のポリマーを含有してもよく、これらは電気伝導性または絶縁性であってもよい。
【0040】
特に、本発明のホットメルト接着剤配合物は、粘着付与樹脂(粘着付与剤)を含み、当該樹脂は、接着剤層の特定の特性、特に粘着性および/または接着性、接着剤層の流動特性およびクリープ特性、および/または接着剤粘度を、特定の要求に合わせて調整するために使用される。これらは、天然樹脂および/または合成樹脂であってもよい。天然樹脂の場合、これらの天然樹脂はアビエチン酸を主成分(例えば、ロジン)として含有する。さらに、当該樹脂は、テルペンまたはポリテルペン樹脂、石油樹脂および/またはクマロンインデン樹脂、特にいわゆるC5樹脂および/またはC9樹脂および/またはC5/C9樹脂のコポリマーであってもよい。
【0041】
本発明のホットメルト接着剤中の粘着付与剤の割合は、当該配合物総重量に基づいて、35重量%以下、より好ましくは1~30重量%、特に好ましくは3~20重量%である。これは少量の樹脂で作業性に優れたホットメルト接着剤の粘度にすることができ、本発明のホットメルト接着剤中のこれらの量は十分な初期接着を保証するのに十分であるからである。
【0042】
本発明のホットメルト接着剤は、特定の特性、例えば、変形性、接着性、加工性、架橋速度、架橋密度、(溶融または溶液)粘度、強度、結晶化速度、粘着性、貯蔵安定性などを達成するために必要とされるさらなる成分を含有してもよい。
【0043】
ホットメルト接着剤配合物は、より好ましくは、その総重量に基づいて、40~80重量%の上記ベースポリマー、10~30重量%の上記ポリプロピレンコポリマー、および、10~30重量%の粘着付与剤を含む。これらの重量割合を有する配合物は、好ましい特性が最適に現れ、特にバランスのとれた特性プロファイルを有するホットメルト接着剤が提供される。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、当該さらなる成分の割合は、特に好ましくは10重量%以下である。これは、接着剤配合物の材料特性が本質的に、使用される本発明のポリマーの材料特性であるという利点を有する。このような接着剤配合物は、非常に低いレベルの複雑さで製造することができる。
【0045】
当該さらなる成分は、架橋促進剤、特にシラノール縮合触媒、選択的に導電性または絶縁性であり得る無機および/または有機フィラー、選択的に導電性または絶縁性であり得る無機および/または有機顔料、選択的に導電性または絶縁性であり得る無機および/または有機、合成および/または天然の繊維、無機および/または有機安定剤、および/または、無機および/または有機難燃性であり得る。
【0046】
別の実施形態では、当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーまたは当該ホットメルト接着剤配合物は、当該シラン変性ポリプロピレンコポリマーおよび架橋促進剤の混合物または当該ホットメルト接着剤配合物の総重量に基づいて、0.1~1重量%の架橋促進剤を含む。これは、本発明のポリマーが接合後短時間内にその最大耐久性を達成する接着結合において使用される場合に特に好ましい。
【0047】
好適な架橋促進剤は、多数の化学化合物が使用可能であるが、特にブレンステッド酸および/または、ルイス酸、例えば、酢酸、イタコン酸、酢酸亜鉛(II)、酢酸カドミウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(IV)、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、ビスマスシトレート、ビスマス(III)オキシド、ビスマスチタン酸塩、テトラブチルゲルマニウム、テトラブチルスズ、ホウ化チタン、チタン(IV)オキシド、チタンアセチルアセトナート、トリブチルチタン酸塩、塩化マグネシウム、マグネシウム(II)クロリド、亜鉛アセチルアセトナート、亜鉛メタクリレート、ニオブ酸亜鉛、酸化スズ(ll)、酸化スズ(IV)、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)オキシドおよび/またはジルコニウム(IV)ケイ酸塩である。
【0048】
試験方法
列挙されたポリオレフィンは、記載された規格に従って特性を評価した。規格がない特性評価は、記載した説明のとおり行った。
【0049】
コポリマーの重量平均および数平均分子量(MおよびM)の測定は、1,3-オルト-ジクロロベンゼン中で行い、PPキャリブレーションによって行った。測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより135℃で、ISO16014-1に従って行った。
【0050】
軟化点は、ASTM D3104に従って測定した。
密度は、ISO1183-3:1999に従って測定した。
【0051】
溶融粘度は、DIN53019に従い、次のように測定される:検査液体は、2つの同軸シリンダの間の環状ギャップ内にあり、そのうちの一方は一定速度で回転し(ロータ)、他方は静止させる(ステータ)。環状ギャップ内の液体の摩擦抵抗に打ち勝つために必要な速度およびトルクを測定する。
【0052】
システムの幾何学的寸法、ならびに測定されたトルクおよび速度の値を使用して、液体中に存在するせん断応力および速度勾配を計算することができる。
当該規格は、特定の幾何学的割合を規定することによって、同軸シリンダを有する回転粘度計におけるニュートン液体および非ニュートン液体の流動特性を測定するための標準フロー図を記述する。反応物およびシラン変性生成物は、構造的に粘性の液体であるので、異なるせん断速度で、170℃で動的粘度を3回測定し、平均値を得た(せん断速度1:192 1/s、せん断速度2:318 1/s、せん断速度3:532 1/s)。
【0053】
融解エンタルピーおよびガラス転移温度は、示差熱量測定(DSC)によってISO11357-3およびISO11357-2に従い測定した。融解エンタルピー、ガラス転移温度および結晶性成分の融解範囲は、10K/分の加熱速度での第2加熱曲線からDSCを介して測定される。熱流曲線の転換点をガラス転移温度とした。変性ポリマーは、常に未架橋状態で追加添加なしで分析される;測定中に、乾燥した保護ガスまたは不活性ガス(例えば窒素、アルゴンなど)で覆うことが望ましい。
【0054】
多分散指数PDIは、重量平均分子量Mおよび数平均分子量Mの商から計算され、規格ISO16014-1に従って定めた。
【0055】
ケイ素含有量は、Perkin-Elmer Lambda35光度計を使用する吸着光度計によって確認した。この目的のために、分析試料を以下のように消化する:Si含有量に応じて、0.1~0.15gのポリマーを白金るつぼに秤量し、0.5mlの濃硫酸を添加する。液体をホットプレート上で蒸発させ、次いでマッフル炉中、600℃で1.5~2時間かけて灰にして、硫酸塩灰をつくる。続いて、火炎中で硫酸塩灰を最少量の炭酸ナトリウムで消化し、Millipore水で白金るつぼから浸出し、100mlプラスチック標準フラスコ中にすすぐ。
【0056】
このように消化された試料のケイ素含有量を測光的に測定するために、消化された溶液10mlを50mlのプラスチック標準フラスコにピペットで入れ、pHを調整するために5mlの2M硫酸を加える。次いで、モリブデン酸塩試薬10mlを加え、水溶液をMillipore水で50mlにする。
【0057】
測定前に、光度計を次の方法によってキャリブレーションする。ストック溶液から0、1、2、4、5mgSi/lの濃度を有するキャリブレーションシリーズを、50mlフラスコにピペットで入れる。pHを調整するために、5mlの2M硫酸を添加する。その後、モリブデン酸塩試薬10mlを添加し、キャリブレーション溶液を対応するキュベットに移す。光度計内で2~10分後、400nmの波長で、キャリブレーションシリーズの試料を用いてキャリブレーションを行う。キャリブレーションを検証するために、5mgSi/lの濃度を有する外部対照標準を同様に調製し、光度計で測定する。
【0058】
ケイ素含有量を測定する試料水溶液をキュベットに移し、光度計内で2~10分後、400nmの波長で測定する。
【0059】
接着力は、重ね剪断試験における接着剪断強度として、DIN EN1465に従い測定した。使用される全ての試験片を、試験片の準備前に洗浄し除塵する。全てのプラスチック試験片およびガラス試験片を、サンプルの準備前に、適切な洗浄剤でさらに脱脂する。続いて、DIN EN1465に従い試験片を接着する。このようにして準備した試験片を全て、使用前に、温度20℃、湿度50%の気候制御室に14日間保管する。これにより、例えば木材試験片の場合に、含水量を均一にする。このようにして、例えば、親水性または加水分解感受性ポリマーの場合、水分含量の上昇によって引き起こされる特異な効果は除外されるか、または最小限に抑えられる。
【0060】
凝集性は、引張試験における引張強さとして、DIN EN ISO527-3に従って測定した。
【0061】
プロピレン含有量およびPPトライアドは、13C-NMRにより測定し、特徴的なシグナルの積分による定量化を行った:13C-NMRスペクトルを、Varian Mercury-VX400(9.4テスラ)NMR分光計を用いて、5mm試料ヘッド(nuc4、13C感受性)で記録した。13C-NMR測定(ラーモア周波数:100.62MHz)は定量的条件下、すなわち、逆ゲートパルスシーケンスを用いて行った。他のパラメータは、スペクトル幅25kHz、記録時間1.3s、緩和遅延20s、走査回数約4000、励起角90°、測定温度80℃であった。この目的のために、それぞれの場合において約50mgのEPコポリマーを溶解し、0.7mlの溶媒(20%C6D6/80%1,2,4-トリクロロベンゼン)中で均質化した。トライアドの割合は、PP/PEコポリマーに適合させたMarkov統計的確率分析に従って計算した。
【0062】
本発明のホットメルト接着剤の破断点伸びは、ISO527に従い測定したが、ただし、溶融物プレス成形によって製造され、その寸法が標準試験片と異なる非標準試験片がそれぞれの場合に使用された。強度および破断点伸びの測定に使用した試験片は、次の寸法:全長50mm、狭い部分の幅3.3mm、端部の幅7mm、狭い平行部分の長さ25mm、厚さ1mmを有する。
【0063】
破断点伸びは、破断点引張強さに相当し、引張試験によってISO527に従って測定する。ここで測定されるのは、試験片を破壊するのに必要な単位面積当たりの力である(MPaで報告される)。試験片を除いて、引張試験は、規格ISO527に従って行った。
【実施例
【0064】
本発明は、以下の実施例によって詳細に説明される。
【0065】
表1の第2列および第3列に記載されたメタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンコポリマーのグラフトのために、それぞれのポリプロピレンコポリマー500gを、いずれの場合も、撹拌機システム、内部温度計および蒸留システムを備えたガラス装置において、窒素充填下で溶融した。第4~6列は、先行技術からのグラフトされていない比較用ポリオレフィンの値である。
【0066】
【表1】
【0067】
160℃の温度で、3時間にわたって、50gのトリメトキシビニルシラン(使用されるポリマーの量に基づいて10%)を計量漏斗から連続的に計量供給し、一方、10gのジ-tert-ブチルペルオキシドを第2の滴下漏斗から連続的に添加した。計量添加の終了後、さらに1.1gのジ-tert-ブチルペルオキシドを反応混合物に添加し、混合物を160℃で1時間反応させた。
【0068】
続いて、減圧し(約30mbar)、揮発性成分を留去した。約30分後、窒素を導入することによって当該混合物を標準圧力まで減圧した。
【0069】
得られた変性生成物の特性を、表2の第2列および第3列に記載する。第4~6列は、先行技術からのグラフトされていない比較用ポリオレフィンのデータである。
【0070】
【表2】
【0071】
ホットメルト接着剤配合物の製造および様々な基材の接着
シラン変性ポリプロピレンコポリマーと、表3に特定される記載の分量のさらなる成分との溶融混合物を、プロペラ撹拌機を用いたホットメルト混合(約180℃)によって作って、本発明のホットメルト接着剤配合物を準備した。
【0072】
【表3】
【0073】
本発明の実施例2、5および8では、上記ホットメルト接着剤配合物において、当配合物が低粘度の場合、凝集力(引張強度)、破断点伸び、耐熱性、および、様々な基材(特に木材上)の接着性(ラップ剪断強度)を向上させることが可能であることが分かる。シラン変性ポリプロピレンコポリマーがホットメルト接着剤の唯一の構成成分として使用される場合、本発明のシラン変性成分は、木材上では、比較の例よりも明らかに優れている。ポリプロピレン(PP)およびABS上でも、本発明の単一成分は良好な接着性を示し、凝集性に関して比s較例1および3よりも明らかに改善されている。
【0074】
単一成分において既に好ましいこれらの特性は、配合物中でそれらの完全な可能性を示す。配合物中に同じ濃度の反応性成分を有する本発明の実施例5および8は、はるかに低い粘度を示し、これは、ユーザーの作業性幅を明確に改善および拡大し、さらに、比較例4、6、7および9よりも、非常に高い耐熱性ならびに凝集、接着性および破断点伸びの明確な改善を示す。
【国際調査報告】