(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】医療システム、デバイス、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578789
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022073046
(87)【国際公開番号】W WO2022272238
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】スカッティ、ジェームズ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF43
4C161HH32
4C161HH33
4C161HH34
(57)【要約】
医療デバイスは、第1の端部と第2の端部との間に延在するハンドルと、ハンドルの第1の端部に連結された第1のアクチュエータと、ハンドルの第2の端部に連結された第1のシャフトと、第1のシャフトから延在する第2のシャフトとを備え、第2のシャフトは、第1の関節セクションおよび第2の関節セクションを含んでおり、ハンドルに対する第1のアクチュエータの関節は、第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第1のシャフトに対するハンドルの関節は、第2の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第1の関節セクションおよび第2の関節セクションは、第1の平面内のみで関節運動するように制限される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
第1の端部と第2の端部との間に延在するハンドルと、
前記ハンドルの前記第1の端部に連結された第1のアクチュエータと、
前記ハンドルの前記第2の端部に連結された第1のシャフトと、
前記第1のシャフトから延在する第2のシャフトであって、前記第2のシャフトは、第1の関節セクションおよび第2の関節セクションを含む、前記第2のシャフトと、を備え、
前記ハンドルに対する前記第1のアクチュエータの関節は、前記第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、前記第1のシャフトに対する前記ハンドルの関節は、前記第2の関節セクションを関節運動させるように構成されており、前記第1の関節セクションおよび前記第2の関節セクションは、第1の平面内のみで関節運動するように制限される、医療デバイス。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータは、前記第1の平面内のみで前記ハンドルに対して関節運動するように構成されており、前記ハンドルは、前記第1の平面内のみで前記第1のシャフトに対して関節運動するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記ハンドル、前記第1のアクチュエータ、前記第1のシャフト、および前記第2のシャフトは、前記医療デバイスの長手方向軸を中心に一体となって回転するように構成されている、請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータが前記ハンドルに対して前記第1の平面内のみで枢動するように構成されるように、前記ハンドルの前記第1の端部に枢動可能に連結されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記ハンドルの前記第2の端部は、前記ハンドルが前記第1の平面内のみで前記第1のシャフトに対して枢動するように構成されるように、前記第1のシャフトに枢動可能に連結されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第2の関節セクションは、前記第1の関節セクションの近位にある、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第2のシャフトは、前記第2の関節セクションに隣接する非関節運動セクションと、前記第1の関節セクションの第1の端部に連結された第1の関節カプラと、前記第1の関節セクションの第2の端部を前記第2の関節セクションの第1の端部に連結する第2の関節カプラとをさらに含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ、および第4のワイヤをさらに備え、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの各々は、前記第1のアクチュエータ内に固定された第1の端部を含んでおり、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤの各々は、前記ハンドルの一部内に固定された第1の端部を含んでおり、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤは、前記第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤは、前記第2の関節セクションを関節運動させるように構成されている、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの各々は、前記第1の関節カプラ内に固定された第2の端部をさらに含んでおり、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤの各々は、第2の関節リング内に固定された第2の端部をさらに含んでいる、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、前記第3のワイヤ、および前記第4のワイヤの前記第2の端部の長手方向に延びる部分は、共有平面に沿って延在している、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
エンドエフェクタと、前記エンドエフェクタを作動させるように構成された第2のアクチュエータとをさらに備え、前記第2のアクチュエータは、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記ハンドルの一部に連結されており、前記第2のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータが前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記ハンドルの前記一部に沿って移動し得るように、前記ハンドルに摺動可能に連結されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1のシャフトは、ボールソケット接続を介して前記ハンドルの前記第2の端部に連結されている、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータは、ボールソケット接続を介して前記ハンドルの前記第1の端部に連結されている、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
第2のアクチュエータをさらに備え、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータは、前記医療デバイスに対する手の位置を変更することなく、前記第1のアクチュエータが手の第1の指によってアクセス可能であり、前記第2のアクチュエータが手の第2の指によってアクセス可能であるように、互いに対して配置されている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記ハンドルは、手の屈曲により関節運動するように構成されている、請求項14に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療システムおよびデバイスに関する。より具体的には、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、管腔内処置のための関節可動式医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの事例では、管腔内処置は、複雑であり得るとともに、何人ものオペレータまたは技術者が共同で作業することを伴い得る。従って、そのような手順は、高い認知負荷を必要とし得る。さらに、一般的に使用される付属デバイスには、特定の欠陥があり得るため、そのような処置の複雑さおよび認知的負担を軽減することができない。欠点のいくつかは、デバイスの遠位端において任意の独立した関節を欠く付属デバイス、または単一平面内に2本のワイヤの関節のみを有しているため、ステアリングワイヤの直径および蛇行した解剖学的構造における摩擦損失等の制限に起因して、十分な関節運動力を生成することができないデバイスを含む。さらに、その他の欠陥は、付属デバイスのエンドエフェクタの特徴に起因して生じ得る。例えば、生検鉗子/把持器の顎部は、顎部を閉鎖するための一般的な4本バー機構が機械的倍率を低減させ得るため、組織を十分に把持するための閉鎖力が不足し得る。従って、現在の付属デバイスは、複雑であり、非効果的であり、かつ高価であり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、とりわけ、管腔内処置のための医療システムおよびデバイスに関する。本明細書で開示される態様の各々は、他の開示される態様のいずれかに関連して説明される複数の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0004】
一例によれば、医療デバイスは、第1の端部と第2の端部との間に延在するハンドルと、ハンドルの第1の端部に連結された第1のアクチュエータと、ハンドルの第2の端部に連結された第1のシャフトと、第1のシャフトから延在する第2のシャフトとを備え得、第2のシャフトは第1の関節(articulation)セクションと第2の関節セクションとを含んでおり、ハンドルに対する第1のアクチュエータの関節は、第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第1のシャフトに対するハンドルの関節は、第2の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第1の関節セクションおよび第2の関節セクションは、第1の平面内のみで関節運動する(articulating)ように制限される。
【0005】
別の例では、第1のアクチュエータは、第1の平面内のみでハンドルに対して関節運動するように構成されており、ハンドルは、第1の平面内のみで第1のシャフトに対して関節運動するように構成されている。ハンドル、第1のアクチュエータ、第1のシャフト、および第2のシャフトは、医療デバイスの長手方向軸を中心に一体となって回転するように構成されている。第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータがハンドルに対して第1の平面内のみで枢動するように構成されるように、ハンドルの第1の端部に枢動可能に連結されている。ハンドルの第2の端部は、ハンドルが第1の平面内のみで第1のシャフトに対して枢動するように構成されるように、第1のシャフトに枢動可能に連結されている。第2の関節セクションは、第1の関節セクションの近位にある。
【0006】
別の例では、第2のシャフトは、第2の関節セクションに隣接する非関節運動セクションと、第1の関節セクションの第1の端部に連結された第1の関節カプラと、第1の関節セクションの第2の端部を第2の関節セクションの第1の端部に連結する第2の関節カプラとをさらに含む。医療デバイスは、第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ、および第4のワイヤをさらに備え得、第1のワイヤおよび第2のワイヤの各々は、第1のアクチュエータ内に固定された第1の端部を含んでおり、第3のワイヤおよび第4のワイヤの各々は、ハンドルの一部内に固定された第1の端部を含んでおり、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第3のワイヤおよび第4のワイヤは、第2の関節セクションを関節運動させるように構成されている。第1のワイヤおよび第2のワイヤの各々は、第1の関節カプラ内に固定された第2の端部をさらに含んでおり、第3のワイヤおよび第4のワイヤの各々は、第2の関節リング内に固定された第2の端部をさらに含んでいる。第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ、および第4のワイヤの第2の端部の長手方向に延びる部分は、共有平面に沿って延在している。
【0007】
別の例では、医療デバイスは、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを作動させるように構成された第2のアクチュエータとをさらに備え得、第2のアクチュエータは、第1の端部と第2の端部との間のハンドルの一部に連結されており、第2のアクチュエータは、第2のアクチュエータが第1の端部と第2の端部との間のハンドルの一部に沿って移動し得るように、ハンドルに摺動可能に連結されている。第1のシャフトは、ボールソケット接続を介してハンドルの第2の端部に連結されている。第1のアクチュエータは、ボールソケット接続を介してハンドルの第1の端部に連結されている。
【0008】
別の例では、医療デバイスは、第2のアクチュエータをさらに備え得、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータは、医療デバイスに対する手の位置を変更することなく、第1のアクチュエータが手の第1の指によってアクセス可能であり、第2のアクチュエータが手の第2の指によってアクセス可能であるように、互いに対して配置されている。ハンドルは、手の屈曲により関節運動するように構成されている。
【0009】
別の例によれば、医療デバイスは、第1の端部と第2の端部との間に延在するハンドルと、ハンドルの第1の端部に枢動可能に連結された第1のアクチュエータと、ハンドルの第2の端部に枢動可能に連結された第1のシャフトと、第1のシャフトから延在し、第1の関節セクションおよび第2の関節セクションを含む第2のシャフトと、第1のアクチュエータとハンドルの第1の端部との間の第1の組のコネクタであって、第1の組のコネクタは、第1のアクチュエータの枢動を第1の枢動軸に制限する、第1の組のコネクタと、第1のシャフトとハンドルの第2の端部との間の第2の組のコネクタであって、第2の組のコネクタは、第1のシャフトの枢動を第2の枢動軸に制限する、第2の組のコネクタとをさらに備え得、ハンドルに対する第1のアクチュエータの枢動は、第1の関節セクションを関節運動させるように構成されており、第1のシャフトに対するハンドルの枢動は、第2の関節セクションを関節運動させるように構成されている。第1の枢動軸および第2の枢動軸は、同一平面上にある。第1の組のコネクタは、スロットと、スロットによって受容されるタブとを含む。第2の組のコネクタは、スロットと、スロットによって受容されるタブとを含む。
【0010】
別の例によれば、医療デバイスのシャフトを位置決めする方法は、医療デバイスのシャフトの遠位端を被検者の体内に挿入するステップと、医療デバイスの第1のアクチュエータを医療デバイスのハンドルに対して関節運動させてシャフトを第1の方向に関節運動させるステップであって、前記関節運動が医療デバイスの構成によって単一の平面に制限される、第1の方向に関節運動させるステップと、ハンドルを医療デバイスの中間シャフトに対して関節運動させてシャフトを第2の方向に関節運動させるステップであって、前記関節運動が医療デバイスによって単一の平面に制限される、第2の方向に関節運動させるステップと、を含み得る。
【0011】
前述の概略的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことが理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の原理を説明する役割を持つ。
【
図1A-1B】本開示のいくつかの態様による医療システムの斜視図である。
【
図2A-2F】本開示のいくつかの態様による医療デバイスの斜視図である。
【
図3A-3H】
図2A-2Fの医療デバイスのハンドルの斜視図および断面図である。
【
図4A-4B】
図2A-2Fの医療デバイスの作動機能の斜視図である。
【
図5A-5B】
図2A-2Fの医療デバイスの別の作動機能の斜視図である。
【
図6】
図2A-2Fの医療デバイスのシャフト部分の斜視図である。
【
図7A-7B】
図2A-2Fの医療デバイスのハンドルおよびシャフト部分の断面図である。
【
図8】
図2A-2Fの医療デバイスの別のシャフト部分の斜視図である。
【
図9A-9E】
図2A-2Fの医療デバイスの別のシャフト部分の斜視図および断面図である。
【
図10】本開示の他の態様による別の医療デバイスの斜視図である。
【
図11】本開示のいくつかの他の態様による別の医療デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、添付の図面に例示されている本開示の態様を詳細に参照する。可能な限り、同一または類似の部分を参照するために、図面を通して同一または類似の参照番号が使用される。「遠位(distal)」という用語は、例えば、デバイスを被検者(例えば、患者)内に導入するときに、デバイスの使用者から最も遠く離れた医療デバイスの場所または部分を指す。対照的に、用語「近位(proximal)」は、例えば、デバイスを被検者の中に配置するときに、使用者に最も近い場所または部分を指す。
【0014】
前述の概略的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される特徴を限定するものではない。本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる(including)」、またはそれらの他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることが意図される。本開示では、例えば、「約」、「実質的に」、「概して」、および「およそ」等の相対的な用語は、記載された値または特性における±10%の可能性のある変動を示すために使用される。
【0015】
本開示の実施形態は、管腔内処置を行うためのシステム、デバイス、および方法を含む。例示的なシステムは、医療用スコープ(例えば、内視鏡)、結合デバイス、および医療デバイスを含み得る。スコープは、特に限定されず、かつ任意の適切な医療用スコープであり得る。前記医療用スコープは、前記医療デバイス(例えば、付属デバイス)を、結合デバイスを介して受容するように構成されたポートを含み得る。
【0016】
結合デバイスはまた、特に限定されず、第1の端部および第2の端部を含む、任意の適切なチューブ、チャネル、レール、またはガイドであり得、第1の端部は、スコープのポート上に結合するように構成されている。第1の端部がポートに結合する態様は、特に限定されない。第2の端部は、前記ポートの開口部に向かって医療デバイスを案内するように構成されたルーメンまたはチャネルに通じる開口部または通路を含み得る。結合デバイスは、医療デバイスとスコープとの間の接続に対して安定性を提供し得る。結合デバイスは、医療デバイスへの接続をさらに固定するためのロック機構をさらに含み得る。また、結合デバイスは、ハンドル部分がシャフトに対して枢動されるとき、医療デバイスのシャフト部分が押し付け得る表面を提供し、それによって、医療デバイスの二次関節機構(以下でさらに詳細に説明される)を作動させ得る。従って、結合デバイスは、前記二次関節の支点として機能し得る。結合デバイスの長さは、医療デバイスを収容するのに適切な長さであり得る。結合デバイスの形状は、医療システムの人間工学を支援するのに適切な形状であり得る。
【0017】
医療デバイスは、医療用スコープと共に利用されるように構成された付属デバイスであり得る。医療デバイスは、上述した結合デバイスを介してスコープのポートに挿入され得る。医療デバイスは、第1の近位端から第2の遠位端まで長手方向に延在し得る。医療デバイスは、ハンドルと、ハンドルの近位端に枢動可能に連結された第1のアクチュエータと、ハンドルの本体に連結された第2のアクチュエータと、ハンドルの遠位端に枢動可能に連結された中間シャフトと、中間シャフトから遠位に延在するメインシャフトであって、非関節運動部分、第1の関節運動部分、および第2の関節運動部分を含むメインシャフトと、メインシャフトの遠位端に連結されたエンドエフェクタとを含み得る。医療デバイスは、第1の一対の一次ステアリングワイヤと、第2の一対の二次ステアリングワイヤと、エンドエフェクタを作動させるように構成されたプルワイヤとをさらに含み得る。
【0018】
メインシャフトは特に限定されず、任意の適切なマルチルーメンシャフトであり得ることに留意されたい。例えば、メインシャフト(例えば、非関節運動部分、第1の関節運動部分、および第2の関節運動部分)は、複数のルーメンを形成する少なくとも1つのPTFE本体を備え得る。ルーメンの数は、シャフトの各部分において変化し得る。他の例では、シャフトはさらに、剛性およびトルク伝達性を提供するように構成された、前記PTFE本体を被覆する編組および/またはコイルを備え得る。編組/コイルは特に限定されず、円形のものか、または平坦なものであり得る。前記コイルは、任意の方向に巻回された二重層ワイヤまたは三重層ワイヤであり得る。編組は、ダイヤモンドパターン、レギュラーパターン、またはハーキュラス(herculas)パターンであり得る。シャフトの一部の外側被覆は、特に限定されず、前記マルチルーメンシャフトおよび編組を維持するように構成された任意の適切な材料(例えば、FEPリフロー)であり得る。シャフトのトルクを向上させるために、前記編組の下に二次リフローが含まれ得ることに留意されたい。さらに、前記メインシャフトは、医療用スコープの典型的な作業チャネル(例えば、2.8mm)と互換性があり得る。
【0019】
医療デバイスのステアリングワイヤも特に限定されず、任意の適切なステアリングワイヤであり得る。いくつかの例では、作製されるステアリングワイヤは、シリコンコーティング(例えば、MDXコーティング)を有するステンレス鋼を含む。ステアリングワイヤは、単一ストランドまたはマルチストランドワイヤであり得る。さらに、ステアリングワイヤは、任意の適切な材料(例えば、シリコン、PTFE、潤滑剤など)でコーティングされ得る。同様に、プルワイヤも特に限定されない。プルワイヤは、SS、MDXを有するニチノール、PTFE、またはシリコンコーティングを含み得る。また、プルワイヤは、単一ワイヤまたはマルチストランドワイヤであり得る。
【0020】
医療デバイスの前述の特徴は、図面を参照してさらに詳細に説明される。
前記医療デバイスは、複数の自由度を有する単一の手持ち式デバイスであり得、これらの自由度の全ては片手で操作可能である。例えば、第1の自由度は、デバイスの第1のアクチュエータ(例えば、一次関節機構)の作動による第1の関節運動部分におけるメインシャフトの関節運動であり得る。一次関節機構は、手の親指の動きにより実行され得る。第2の自由度は、中間シャフトに対するハンドル(例えば、二次関節機構)の枢動による第2の関節運動部分におけるメインシャフトの関節運動であり得る。二次関節機構は、手の手首の動きにより実行され得る。いくつかの実施例では、第1の関節運動部分および第2の関節運動部分は、同一平面に沿って同一方向に関節運動し得る。これは、余分なリフトおよびメインシャフトのより狭い関節半径を提供し得る。この二重関節運動は、シャフトの第1の関節運動部分および第2の関節運動部分における共有平面上にある2つの異なる対のステアリングワイヤによって実現され得る。そのようなワイヤ構成は、以下でさらに詳細に説明される。
【0021】
第3の自由度は、時計回り方向または反時計回り方向へのシャフトの回転であり得る。以下でさらに詳細に説明されるように、デバイスの前述の態様の各々は、デバイスの他の態様に対して同時に回転するように、互いに連結され得る。換言すれば、単一の機能(例えば、ハンドルの回転)は、デバイスの特定の他の機能と同時に回転する。従って、シャフトの前記回転は、ハンドルを保持する手の手首および/または前腕の回転を介して行われ得る。第4の自由度は、第2のアクチュエータの作動によるエンドエフェクタの作動であり得る。前記作動は、デバイスを保持する手の少なくとも1本の指の動きにより行われ得る。第5の自由度は、身体の管腔内における医療デバイスの近位・遠位移動であり得、これは、デバイスのハンドルを保持しながらの、手の移動により実現され得る。
【0022】
上述した自由度の各々は、デバイスのハンドルに沿ったまたはハンドルに対する片手の最小限の動き(手の指および/または手首の比較的短い/単純な動きが医療デバイスを操作する)で実行され得ることに留意されたい。従って、上述した例示的な医療デバイスは、片手で完全に動作可能であることによって認知負荷を軽減し得る。さらに、デバイスは、デバイスの様々な自由度を操作するための直感的なインタフェースを提供するため、使用が容易であり得、それらの自由度の全ては、片手の指および/または手首の動きによりアクセス可能である。医療デバイスのハンドルは、広範囲の手の大きさ(小、中、大)で把持することが可能であり得る。さらに、医療デバイスは、低コストであり、かつ使用後に使い捨て可能であり得る。
【0023】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、例示的な医療システム10は、スコープ50(例えば、内視鏡)、結合デバイス70、および医療デバイス100を含む。スコープ50は、可撓性シャフト56(例えば、カテーテル)と、可撓性シャフト56の近位端に接続されたハンドル52とを含む。ハンドル52は、医療システム10および/または医療システム10に関連する1つまたは複数のツールもしくは1つまたは複数のデバイスの機能を作動させるか、または別様に制御するように構成され得る。図示されるようなハンドル52は、第1および第2のアクチュエータ42、43を含み、これらは、シャフト56の関節(例えば、シャフト56の遠位端にあるか、または遠位端に近接した関節継手)を制御する。例えば、アクチュエータ42、43は、複数の方向におけるシャフト56の動き(例えば、異なる平面に沿った動き)を制御し得る。アクチュエータ42、43は、例えば、シャフト56に連結されたケーブルまたはワイヤを押す/引くために回転する回転可能なノブを含み得る。例えば、1本または複数本のケーブルまたはワイヤは、医療グレードのプラスチックまたは金属からなり、かつ個々のアクチュエータ42、43から遠位に延在して、可撓性シャフト56に接続し、その動きを制御し得る。ケーブルまたはワイヤの遠位端は、シャフト56を通って延在し、かつ関節継手および/またはシャフト50の遠位先端で終端し得る。例えば、1つまたは複数のケーブルまたはワイヤは、関節継手に接続され得、アクチュエータ52、53の回転によって、ケーブルまたはワイヤが制御されて、関節継手および/またはシャフト56の遠位端が例えば、複数の方向に沿って移動し得る。本開示のいくつかの態様によれば、1本または複数本の電気ケーブル(図示せず)は、システム10の近位端からシャフト56の遠位端まで延在し得、かつシャフト56の遠位端にある撮像機器、照明機器、および/または他の電子機器に対する電気制御を提供し得る。電気ケーブルは、シャフト56の遠位端で受信された撮像信号を、処理および/またはディスプレイ上に表示されるべく搬送し得る。また、内視鏡は、結合デバイス70を介してデバイス100を導入するための、
図1A-1Bの例に示される、少なくとも1つのポート(例えば、ポート54)を含み得る。
【0024】
図1A-
図1Bに示すように、結合デバイス70は、第1の端部71と第2の端部73との間に延在する管状のデバイスであるが、これに限定されない。第1の端部71は、ポート54と係合または結合するように構成された開口部(図示せず)を含んでいるため、ポート54の入口(図示せず)および第1の端部71の前記開口部は、流体連通し、かつ特に、器具がスコープ50と結合デバイス70との間を移動することを可能にする。第1の端部71がポート54に結合する態様は、特に限定されず、任意の適切な態様または機構、例えば、接着剤、係合可能なねじ切り、ロック部品等を介し得る。第2の端部73は、デバイス100の遠位部分を受容するように構成された開口部731(
図1Bに示される)を含み得る。従って、デバイス100は、開口部731と第1の端部71の前記開口部との間に延在するチャネル(図示せず)を横断して、ポート54に進入し、スコープ50のシャフト56の作業チャネルに沿って遠位に延在し得る。
図1A-
図1Bに示されるように、結合デバイス70は、湾曲したS字型構造であり得、これは、システム10を使用する際にオペレータに人間工学的な利点を提供し得る。しかしながら、デバイス70の形状および長さは、特に限定されず、任意の適切な長さおよび/または形状であり得ることに留意されたい。デバイス70は、構成の変更を可能にするために十分に可撓性であり得るが、新たな形状を維持するために十分な剛性を備えて構成され得る。
【0025】
図2A-
図2Bは、
図1A-
図1Bに示す医療デバイス100を示す。医療デバイス100は、ハンドル120と、ハンドル120の近位端に枢動可能に連結された第1のアクチュエータ110と、ハンドル120の本体125に摺動可能に連結された第2のアクチュエータ130と、ハンドル120の遠位端に枢動可能に連結された中間シャフト140と、前記中間シャフト140内を通って遠位に延在し、第1の関節運動部分170および部分170の近位にある第2の関節運動部分160を含むメインシャフト150と、メインシャフト150の遠位端に連結されたエンドエフェクタ180とを含む。デバイス100の前述の特徴の各々に関するさらなる詳細は、以下でさらに詳細に説明される。
【0026】
ハンドル
図3Aを参照すると、ハンドル120が示されている。図から分かるように、ハンドル120は管状構造である。しかしながら、ハンドル120の形状は、特に限定されず、いくつかの実施形態では、より明確なエッジ付き構造を有し得る。ハンドル120は、近位端121、本体125、および遠位端122を含む。近位端121は、第1のアクチュエータ110(
図2Aに示される)と係合するように構成された近位連結部分1210を含む。本体125は、半径方向外側を向き、かつ第2のアクチュエータ130(
図2Aに示される)の一部を受容するように構成された、長手方向に延在する凹部123を含み、さらに波形部分1254を含む。遠位端122は、中間シャフト140(
図2Aに示される)と係合するように構成された遠位連結部分1220を含む。
【0027】
ハンドル120の近位端121および近位連結部分1210のより詳細な説明が、以下に提供される。
図3Bに示されるように、近位連結部分1210は、近位端121上の中心に位置している。近位連結部分1210は、突部1211、1212と、突部1211と突部1212との間に両方とも存在するスロット1213、1214と、スロット1213、1214内に存在するワイヤ開口部1215aとを含む。突部1211、1212の各々は、2つの端部を有するC字形、半月形、または部分リング状の突部である。突部1211、1212は、突部1211の端部が突部1212の端部に面するように、互いに鏡像反転されている。突部1211、1212は、近位端121の表面に対して近位側に突出している。従って、突部1211および突部1212は、アクチュエータ110の球状空洞1152と嵌合するように構成された部分的ボール/球様構造を形成する(
図3Bに示される)。突部1211、1212を除いて、近位端121の残りの近位側に面する表面は、以下でさらに詳細に説明されるように、第1のアクチュエータ110の遠位側に面する表面の平坦部分に対して同一平面に配置され得るように、特に、平坦であり得る。
【0028】
スロット1213、1214は、突部1211、1212の個々の端部の間の近位端121の表面によって部分的に形成される。スロット1213、1214は、第1のアクチュエータ110のタブ1153(
図4Aに示される)および1154を受容するような寸法であり得る。スロット1213、1214はそれぞれ、
図3Cに示すように、一次ステアリングワイヤ210/220を受容するように構成されたワイヤ開口部1215aを含む。ワイヤ開口部1215aは、同一平面上にある。スロット1213、1214内の開口部1215aの位置決めは、以下でさらに詳細に説明されるように、開口部1215aが第1のアクチュエータ110のワイヤ開口部160(
図4Aに示される)と整合し得るように行われる。
【0029】
ハンドル120の本体125のより詳細な説明が以下に提供される。
図3Aに示されるように、本体125は、近位端121と遠位端122との間に延在する。本体125は、近位部分1251と、凹部123を含む中間部分1252と、波形外面1254を含む遠位部分1253とを含む。加えて、本体125は、一次ステアリングワイヤ(例えば、ステアリングワイヤ210、220)およびプルワイヤ(例えば、ワイヤ310)が本体125の長さ全体にわたって延在するための通路を提供するように構成された複数の開口部およびチャネルを含むことに留意されたい。
【0030】
図3Cおよび
図3Dを参照すると、本体125の近位部分1251の断面図が示されている。近位連結部分1210に加えて、近位部分1251は、ワイヤチャネル1260、ワイヤチャネル1270、およびワイヤ開口部1215bを含む。図示されるように、近位連結部分1210のワイヤ開口部1215aは、ワイヤチャネル1260、1270に通じており、これらは、ステアリングワイヤ210、220(以下でさらに詳細に説明される)を受容および収容するように構成されている。ワイヤチャネル1260および1270は、本体125の近位部分1251内で遠位に延在する。ワイヤチャネル1260、1270の各々は、近位の第1のセクション1261、1271と、遠位の第2のセクション1262、1272とをそれぞれ含む。第1のセクション1261、1271は、方向矢印によって示されるように、開口部1215aから遠位に直線上に直線的に延在する。延びるにつれて、第1のセクション1261、1271は、第2のセクション1262および1272に移行する。
図5Bに示されるように、第2のセクション1262、1272は、遠位ワイヤ開口部1215bに向かって、第1のセクション1261、1271に対してある角度で(方向矢印によって示されるように)湾曲している。遠位ワイヤ開口部1215bは、開口部1215aの配向に対して90°または約90°に配向される。第1のセクション1261および第2のセクション1262、ならびに第1のセクション1271および第2のセクション1272は、単一の一体チャネルであり得るか、または
図3Dに示されるように共に接合された2つの個々のチャネルセクションであり得ることに留意されたい。従って、チャネル1260、1270は、
図3Eに示されるように、一次ステアリングワイヤ210、220が連結部分1215の開口部1210aを通って中間部分1252の凹部123に通じる開口部1215bにまで延在するための経路を形成する。
【0031】
図3A、
図3E、および
図3Fを参照して、中間部分1252についてさらに説明する。中間部分1252は、凹部123を含む本体125の一部を指す。凹部123は、近位表面1258と遠位表面1259との間に延在する。凹部123は、第2のアクチュエータ130の一部を受容するように構成された長手方向スロットを形成している。さらに、凹部123は、第2のアクチュエータ130の前記一部が凹部123内で摺動可能に移動することを可能にすると同時に、第2のアクチュエータ130が本体125に沿ってその位置を維持し得るように前記一部に摩擦係合するような形状および大きさを有する。第2のアクチュエータ130と凹部123との間の係合については、
図5A-
図5Bを参照しつつ以下でさらに説明する。
図3E-
図3Fに示されるように、表面1258は、2つのワイヤ開口部1215bを含んでおり、表面1259は、2つのワイヤ開口部1215c(1つのみが示される)および中央開口部1230aを含んでいる。各ワイヤ開口部1215bは、各一次ステアリングワイヤ210、220が開口部1215bを通って開口部1215cまで直線上に直線的に延在し得るように、ワイヤ開口部1215cと整列され得る。従って、ステアリングワイヤ210、220は、ワイヤ開口部1215bから凹部123を通って、一次ステアリングワイヤチャネル1243(
図7Bに示す)に移行する開口部1215c内に遠位に延在し得る。ステアリングワイヤ210、220は、第2のアクチュエータ130全体にわたって延在する貫通孔(図示せず)を介して第2のアクチュエータ130を通過し得ることに留意されたい。中央開口部1230aは、遠位部分1253の中央ルーメン1231につながり、以下にさらに説明されるように、第2のアクチュエータ130とエンドエフェクタ180との間に延在するプルワイヤ(例えば、ワイヤ310)を受容するように構成されている。中央開口部1230aは、開口部1230aを通る前記プルワイヤ(例えば、ワイヤ310)の長手方向の移動に適応するように構成されている。
【0032】
図3E-
図3Gに示すように、中間部分1252は、中間部分1252の外周面に沿って2つの開口部1240aをさらに含み得る。開口部1240aは、部分1252の遠位部分に沿って位置し得るとともに、開口部1215cが延在する平面に垂直な平面内に延在し得る。開口部1240aは、本体125の遠位端に向かって遠位に延在するチャネル1241に移行する。従って、開口部1240aは、チャネル1241を介して本体125の遠位部分1253を通って遠位に延在し得る、第2の組のステアリングワイヤ(例えば、ステアリングワイヤ240および250(
図7Bに示される))を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本体125は、開口部1240aがなくてもよく、デバイス100の製造プロセス中に、ステアリングワイヤ240、250は、開口部1240aを必要とすることなしに、本体125の遠位部分1253内に設置および固定され得ることに留意されたい。
【0033】
図3Aおよび
図3Gを参照すると、本体125の遠位部分1253がさらに詳細に説明されている。
図3Aに示されるように、遠位部分1253の外側表面は、波形部分1254を含み、これは、ハンドル120の遠位部分1253のより良好な操作および把持を提供し得る。しかしながら、遠位部分1253は、波形部分1254がなくてもよいか、またはハンドル120の操作および把持を補助し得る異なる機能で波形部分1254を代用し得ることに留意されたい。
図3Gに示されるように、遠位部分1253は、二次ステアリングワイヤ240、250(
図7Bに示される)のための2つのワイヤチャネル1241と、一次ステアリングワイヤ210、220(
図7Bに示される)のための2つのワイヤチャネル1243(
図7Bに示される)と、ワイヤ310のための中央ルーメン1231と、ルーメン1231内に固定された巻き取り機構1245(例えば、プーリ)とをさらに含む。
【0034】
二次ステアリングワイヤ240、250のためのワイヤチャネル1241は、開口部1240aから遠位端122に向かって遠位に延在する。より具体的には、チャネル1241は、半径方向内側に湾曲した後、中央ルーメン1231に沿って長手方向に、かつ実質的に平行に延在する。一次ステアリングワイヤ210、220のためのワイヤチャネル1243も、開口部1215cから遠位端122(
図7Bに示す)に向かって遠位に延在する。チャネル1243は、チャネル1243が中央ルーメン1231に対して平行(または、ほぼ平行)に延びるように、チャネル1243の長さ全体にわたって直線上に直線的に延在し得る。
【0035】
中央ルーメン1231は、ハンドル120の長手方向軸の周りで遠位部分1253内の中心に位置する。ルーメン1231は、表面1259の開口部1230aから遠位端122まで遠位に延在する。ルーメン1231の寸法は、ルーメン1231がプルワイヤ310の移動に適応し得る限り、特に限定されない。また、中央ルーメン1231は、
図3Gに示されるように、巻き取り機構1245を収容し得る。巻き取り機構1245は、特に限定されず、任意の適切なプーリ状のデバイスであり得る。巻き取り機構1245は、ルーメン1231内に固定して連結され得る。巻き取り機構1245がルーメン1231内で本体125に固定される態様は、特に限定されない。図示のように、巻き取り機構1245はワイヤ310を受け入れ得る。ワイヤ310は、ワイヤ310がルーメン1231に進入すると、巻き取り機構1245に巻き付き、かつ遠位端122に向かって遠位に延び続け得る。いくつかの例では、ワイヤ310は、巻き取り機構1245とより滑らかに係合するように潤滑され得る。このような構成によって、巻き取り機構1245は、ワイヤ310の近位部分において機械的倍率を増加させ、その結果、より大きな力が、エンドエフェクタ180に連結されるワイヤ310の遠位部分に伝達され得る。例えば、前記機械的倍率の増加は、把持エンドエフェクタ180(例えば、鉗子)の把持力を向上させ得る。機構1245は、特にプーリに限定されず、ワイヤ310の近位部分の機械的倍率を増加させるように構成された他の適切な機構であり得ることに留意されたい。
【0036】
図3Hを参照すると、ハンドル120の遠位端122および遠位連結部分1220のより詳細な説明が以下に提供される。遠位端122は、遠位端122の中心に位置する遠位連結部分1220と、連結部分1220の外周にある2つのタブ1222とを含む。遠位連結部分1220およびタブ1222を除いて、遠位端122の表面は、
図3Hに示されるように、特に、平坦であり得る。遠位連結部分1220は、突部1221と、開口部1230bと、2つのワイヤ開口部1215dと、2つのワイヤ開口部1240bとを含む。突部1221は、遠位端122の平坦面に対して遠位に突出する円形状/環形状の突部である。従って、突部1221は、中間シャフト140の受容端と嵌合するように構成された部分的ボール/球様構造を形成し得る。しかしながら、突部は特定の形状に限定されず、中間シャフト140の受容端と係合するように構成された任意の適切な突部であり得ることに留意されたい。
【0037】
突部1221は、突部1221の中央に位置する開口部1230bを含む。開口部1230bは、中央ルーメン1231およびハンドル1230の開口部1230aと流体連通/器具連通しており、それによって、器具が開口部1230a、1230bを通って移動することが可能となる。従って、開口部1230bは、開口部1230bを通るワイヤ310の移動に適応するように構成され得る。突部1221は、一次ステアリングワイヤ210、220が遠位に延在し得る2つの開口部1215dと、第2のステアリングワイヤ240、250が遠位に延在し得る2つの開口部1240bとをさらに含む。開口部1215d、1240bは、中央開口部1230bを取り囲んで、突部1221上に配置されている。開口部1215dは互いに直径方向に向かい合って配置され、同様に、開口部1240bは互いに直径方向に向かい合って配置されていることに留意されたい。開口部1215dおよび開口部1240bは、突部1221上で円周方向に交互に配置されている。従って、中央開口部1230bを取り囲む開口部1215dおよび開口部1240bは、開口部1215dと開口部1240bとの間の距離の各々が等しくなるように配置され得る。さらに、開口部1215dおよび開口部1240bは、同一平面(ハンドル120の長手方向軸に垂直な平面)内に配置されていることに留意されたい。
【0038】
上述したように、遠位端122は、連結部分1220の半径方向外側に配置された2つのタブ1222をさらに含む。しかしながら、連結部分1220を取り囲むタブの数は特に限定されないことに留意されたい。タブ1222は、遠位端122の平坦な表面に対して遠位に突出し、かつ中間シャフト140の受容端と係合するように構成されている。図示されるように、タブ1222は、互いに直径方向に向かい合って配置され得る。タブ1222は、近位端121のスロット1213、1214と同じ平面に沿って配置され得ることに留意されたい。これは、近位端121に連結された第1のアクチュエータ110および遠位端122に連結された中間シャフト140も、同一平面に沿ってハンドル120に対して枢動し得るようにするためである。
【0039】
第1のアクチュエータ
図4Aを参照すると、第1のアクチュエータ110が示されている。第1のアクチュエータ110は、本体112と、本体112に連結され、それによって開口部114を形成するリング113とを含む。本体112は、球状または部分的に球状(
図2Aに示されるように)であるが、それに限定されない。
図4Aに示すように、本体112は、ハンドル120の近位端121に係合するように構成された連結部分1150を含む遠位表面115を含む。連結部分1150に加えて、遠位表面115は、近位端121の平坦部分に対して面一に配置され得るように、特に、平坦であり得る。
【0040】
連結部分1150は、部分的に球状の空洞1152の少なくとも一部および周囲を形成する遠位に突出するフェンスまたは外形部1151を含み、かつ第1のタブ1153および第2のタブ1154をさらに含む。上述したように、空洞1152の少なくとも一部は、フェンス1151によって形成され得る。また、空洞1152は、遠位表面115に対して、本体112内に近位に延在し得る。従って、空洞1152は、フェンス1151から、遠位表面115に対して近位にある本体112の一部まで延在し得る。空洞1152は、特に限定されず、かつハンドル120の近位端121の近位に突出する突部1211、1212を受容するための任意の適切な寸法であり得る。
【0041】
第1のタブ1153および第2のタブ1154の両方は、フェンス1151の内面から半径方向内側に突出している。第1のタブ1153および第2のタブ1154は、互いに直径方向に向かい合って配置され得る。図示されているように、タブ1153および1154は長方形である。しかしながら、タブ1153および1154の寸法および形状は、前記タブがハンドル120の近位端のスロット1213、1214に係合するか、または他の方法で受容され得る限り、特に限定されない。タブ1153、1154はそれぞれ、ステアリングワイヤ210/220を収容するように構成されたワイヤ開口部1160を含む近位側に面する表面を備える。タブ1153、1154の近位側に面する表面に沿った開口部1160の位置決めは、開口部1160がハンドル120の近位端121のワイヤ開口部1215aと整列するように行われる。
【0042】
リング113は、本体112の表面に連結されている。リング113は、本体112に連結された第1の端部と、同じく本体112に連結された第2の端部と、前記第1の端部と第2の端部との間に延在するループ/湾曲構造とを含み得る。従って、リング113は、本体112の外面とリング113の前記ループ/湾曲構造の内面との間に開口部114を形成し得る。開口部114は、手の指(例えば、親指)を受容するように構成され得る。リング113は、手の指(例えば、親指)が係合可能であり得、かつ指が当たり得る表面を提供する。また、リング113は、以下でさらに詳細に説明されるように、指で押し付けるか、または引っ張るための表面を提供し、それによって、ステアリングワイヤ210、220を引っ張り、かつ一次関節機構を作動させ得る。しかしながら、第1のアクチュエータ110は、リング113を有しても有していなくてもよく、任意の他の適切な形状の構造体、例えば、タブ、ボール等がリング113の代わりをし得ることに留意されたい。
【0043】
ハンドル120の近位端121に連結された第1のアクチュエータ110と、ステアリングワイヤ210、220とを含むデバイス100の近位部分が、
図4Bに示されている。第1のアクチュエータ110は、(
図4Bに示される方向矢印によって示されるように)ハンドル120の近位端121に枢動可能に連結されている。これは、ハンドル120の近位連結部分1210に係合するアクチュエータ110の連結部分1150によって行われる。より具体的には、連結部分1150の空洞1152は、連結部分1210の突部1211、1212を受容し得る。例えば、空洞1152および突部1211、1212は、ボールソケット接続のように互いにスナップ嵌合され(snap-fitted)得るが、それに限定されない。さらに、連結部分1150のタブ1153、1154は、連結部分1210のスロット1213、1214内に嵌合され得、アクチュエータ110のワイヤ開口部1160は、ハンドル120のワイヤ開口部1215aと整列され得る。第1のアクチュエータ110がハンドル120に枢動可能に連結されることを考慮すると、タブ1153、1154は、スロット1213、1214内で移動可能であり得ることに留意されたい。スロット1213、1214内でのタブ1153、1154の前記連結は、スロット1213、1214を通って延在し、スロット1213、1214を二等分する単一の平面/軌跡/軸に沿ってのみ関節運動または枢動するように、アクチュエータ110を位置決めし、かつ固定し得る。この平面は、以下でさらに詳細に説明されるように、中間シャフト140がハンドル120に対して関節運動または枢動し得るのと同じ平面であり得ることに留意されたい。アクチュエータ110の関節運動または枢動は、リング113を押すか、または引く手の指(例えば、親指)によって行われ得る。さらに、スロット1213、1214とのタブ1153、1154の係合は、アクチュエータ110がデバイス100のオペレータによって回転させられるとき、ハンドル120および二次アクチュエータ130(ならびに以下で説明されるような中間シャフト140、メインシャフト150、およびエンドエフェクタ180)の同時回転を可能にし得る。
【0044】
ステアリングワイヤ210、220は、特に限定されず、任意の適切なワイヤであり得る。ステアリングワイヤ210、220はそれぞれ、
図3Cおよび
図4Bに示されるような近位端と、(
図9Eに示されるような)遠位端とを含み得る。
図3Cおよび
図4Bに示されるように、ワイヤ210、220の前記近位端はそれぞれ、スリーブ211、221(例えば、アルミニウムスリーブ)により圧着され、本体112のチャネル内に収容され得る。さらに、スリーブ211、221は、本体112の前記チャネル内に不動に固定され得る。ワイヤ210、220の近位部分は、スリーブ211、221から、前記チャネルを通り、アクチュエータ110のワイヤ開口部160を通り、ハンドル120の近位端121の開口部1215aを通って遠位に延在し得る。従って、アクチュエータ110がハンドル120に対して一方向に関節運動または枢動すると、ステアリングワイヤ210または220が近位に引っ張られ得、これは次に、以下でさらに説明されるように、シャフト150の一部を関節運動させ得る。
【0045】
第2のアクチュエータ
図5Aを参照すると、第2のアクチュエータ130が示されている。第2のアクチュエータ130は、本体125の一部を取り囲む/覆うスプール状のアクチュエータであり、ハンドル120の凹部123を介して本体125に沿って摺動可能に移動するように構成されている。アクチュエータ130は、遠位端132、中間部分131、および近位端133を含む。遠位端132および近位端133は、中間部分131に対して半径方向外側に突出し得、それによって、少なくとも1本の指または少なくとも2本の指(例えば、人差し指および中指)が静置され得る凹部溝を形成する。さらに、突出端部132、133は、アクチュエータ130を近位方向/遠位方向に移動させるために、前記少なくとも1つの指を押し付け得る表面を提供し得る。
【0046】
アクチュエータ130は、2つの半体を含む組み立てられた構造であり得ることにさらに留意されたい。例えば、アクチュエータ130は、
図5Bに示されるような第1の半体130aを含み得、第1の半体130aは、アクチュエータ130の他の半体上に存在する対応する連結手段と嵌合するように構成された複数の連結手段1312、1314、1316、1318を含み得る。代替的に、デバイス100は、アクチュエータ130が本体125を取り囲む単一の単体スプール状の構造であるように組み立てられ得る。
【0047】
図5Bは、第1の半体130aとハンドル120との間の連結、およびプルワイヤ310を示す。図示されるように、第1の半体130aは、第1の空洞1311と、第2の空洞1315を含む連結部分134とをさらに含む。第1の空洞1311は、凹部123を形成する本体125の一部を受容し、その結果、アクチュエータ130は(2つの半体を連結することによって組み立てられたときに)本体125の前記一部を取り囲む。空洞1311が本体125の一部を受容する一方で、連結部分134は凹部123内に嵌合される。連結部分134は、部分134が凹部123によって形成されるスロット/チャネル内で移動し得るように嵌合される。これを行うための態様は特に限定されない。例えば、部分134は、第2のアクチュエータ130の前記部分134が凹部123内で摺動可能に移動することを可能にすると同時に、凹部123の周りの本体125の表面に摩擦係合するような形状および大きさを有し得る。その結果、第2のアクチュエータ130は、第2のアクチュエータ130に力が加えられていない状態で、本体125に沿った位置を維持し得る。本体125に対するアクチュエータ130の摺動可能な移動を補助するために、他の手段(トラック、レール等)が実装され得る。
【0048】
連結部分134内の空洞1315は、プルワイヤ310の近位部分を受容するように構成されている。さらに、ワイヤ310の前記近位部分は、空洞1315内に不動に固定またはロックされ得るスリーブ136に圧着され得る。従って、アクチュエータ130の近位方向への移動は、ワイヤ310を移動させ得、これは、次には、エンドエフェクタ180を作動させ得る。ワイヤ310を遠位に移動させるアクチュエータ130の遠位移動はまた、エンドエフェクタ180を作動させ得る。例えば、アクチュエータ130によりワイヤ310を近位および遠位に移動させることは、把持エンドエフェクタ(例えば、鉗子)の開閉を作動させ得る。凹部123の長さは、エンドエフェクタ180の作動のためのストローク長さ/移動長さを定義することに留意されたい。
【0049】
中間シャフト
図6Aを参照すると、中間シャフト140が示されている。シャフト140は、近位端141、遠位端142、およびルーメン143を含む。近位端141は、近位開口部1411と、2つのスロット1412(そのうちの1つのみが
図6Aに示される)とを含む。近位開口部1411は、特に限定されず、遠位連結部分1220の突部1221を受容するように構成された開口部であり得る。スロット1412は、シャフト140の近位端に沿って形成されている。スロット1412は、互いに直径方向に向かい合って配置され(
図7に示される)、かつハンドル120のタブ1222を受容するように構成されている。従って、シャフト140の近位端141は、ハンドル120の遠位端122と係合および連結するように構成されている。遠位端142は、遠位開口部1421を含んでおり、メインシャフト150が遠位開口部1421を通って遠位に延在し得る。
【0050】
ルーメン143は、近位開口部1411から遠位開口部1421まで、シャフト140の長さ全体にわたって延在する。ルーメン143は、近位空洞1431およびチャネル1432の2つのセクションを備える。近位空洞1431は、遠位端121の突部1221を受容し、かつ収容するように構成されている。さらに、空洞1431は、ステアリングワイヤ210、220、240、250が遠位端122のワイヤ開口部1215d、1240bを通って、メインシャフト50の近位端上のそれらの個々の開口部まで遠位に延在するときに、チャネル1432に向かって屈曲するための移行空間としても機能し得る。従って、空洞1431は、それに応じた形状および大きさを有し得る。空洞1431の直径は、チャネル1432内に移行するにつれて徐々に減少する。チャネル1432は、メインシャフト150の近位部分を受容して覆うように構成されている。チャネル1432は、シャフト150の外面に摩擦係合し、中間シャフト140に対するメインシャフト150の相対的な移動を抑制するが阻止しないように構成された形状および直径を有し得る。
【0051】
図7Aおよび
図7Bを参照すると、ハンドル120の遠位端122に連結された中間シャフト140と、ステアリングワイヤ210、220、240、250と、プルワイヤ310とを含むデバイス100の一部が示されている。中間シャフト140は、(
図7Aに示されるように)ハンドル120の遠位端122に枢動可能に連結されている。これは、ハンドル120の遠位連結部分1220に係合するシャフト140の近位端141によって行われる。より具体的には、シャフト140の近位開口部1411および空洞1431は、連結部分1220の部分的なボール/球様突部1221を受容し得る。例えば、空洞1431および突部1221は、ボールソケット接続のように互いにスナップ嵌合され得るが、それに限定されない。さらに、連結部分1220のタブ1222は、シャフト140のスロット1412内に、例えば、摩擦によって嵌合され得る。中間シャフト140が(
図7Aに示されるように)ハンドル120の遠位端122に枢動可能に連結されることを考慮すると、タブ1222は、スロット1412内で移動可能であり得ることに留意されたい。スロット1412内でのタブ1222の前記結合は、スロット1412によって定義される単一の平面/軌跡/軸内で関節運動または枢動するように、シャフト140を位置決めし、かつ固定し得る。この平面は、前述したように、第1のアクチュエータ110がハンドル120に対して関節運動または枢動し得る平面と同じ平面であり得ることに留意されたい。シャフト140の関節運動または枢動は、手持ち式デバイス100の手首の屈曲によって行われ得る。従って、オペレータは、一次関節機構(指により第1のアクチュエータ110を枢動させること)ならびに第2の関節機構(手首の屈曲によりシャフト140を枢動させること)を片手で作動させ得る。
【0052】
そのような係止は、ハンドル120とともに中間シャフト140(およびシャフト150)の同時回転を可能にし得ることにさらに留意されたい。従って、アクチュエータ110とハンドル120との間の係止、中間シャフト140とハンドル120との間の係止、およびメインシャフト150と中間シャフト140との間の連結(例えば、摩擦、熱収縮等)は、
図2Bに示されるように、デバイス100の前述の部分のいずれかが回転されるとき、デバイス100の部分が一体となって回転することを確実にし得る。
【0053】
図7Bに示されるように、一次ステアリングワイヤ210、220は、本体125の遠位部分1253を通り、遠位端122上の開口部1215d(
図3Hに示される)を通って遠位に延在し得る。一次ステアリングワイヤ210、220は、シャフト140の空洞1431全体を通して遠位に延在し続け、空洞1431の直径が減少し、チャネル1432内に移行するにつれてある角度で屈曲し得る。ワイヤ210、220は、メインシャフト150(
図9Aに示される)の近位端上のそれらの個々の開口部1511、1512の中へ屈曲し得る。二次ステアリングワイヤ240、250の近位部分は、スリーブ241、251により、チャネル1241の遠位部分に位置するカウンタボア1242に圧着され得る。そのような圧着は、ワイヤ240、250の前記近位部分をハンドル120のチャネル1241内に固定し得る。ワイヤ210、220と同様に、二次ステアリングワイヤ240、250は、本体125を通り、遠位端122の開口部1240bを通って遠位方向に延在し得る。二次ステアリングワイヤ240、250は、シャフト140の空洞1431全体を通して遠位に延在し続け、空洞1431がチャネル1432に移行するにつれてある角度で屈曲し得る。ワイヤ240、250は、メインシャフト150(
図9Aに示される)の近位端上のそれらの個々の開口部1513、1514の中へ屈曲し得る。
【0054】
メインシャフト
図8を参照すると、メインシャフト150が示されている。シャフト150は、非関節運動部分151、二次関節部分160、二次関節リング165、一次関節部分170、一次関節リング175、およびエンドエフェクタ180を含む。部分151は特に限定されず、上述したように、任意の適切なマルチルーメンシャフトであり得る。
【0055】
非関節運動部分151は、メインシャフト150の近位端と二次関節部分160との間で遠位に延在する。従って、
図9Aに示される非関節運動部分151の近位端152は、
図7Bに示されるように、例えば、摩擦嵌合、熱収縮等を介して、チャネル1432内に固定される。部分151の近位端152は、ステアリングワイヤ開口部1511、1512、1513、1514、およびプルワイヤ開口部1515を含む。開口部1515は、プルワイヤ310を受容し、かつ開口部1515を通るワイヤ310の近位移動/遠位移動に適応するように構成されている。開口部1515は、近位端152の近位表面上の中心に位置する。
【0056】
一次ステアリングワイヤ開口部1511、1512はそれぞれ、一次ステアリングワイヤ210、220を受容するように構成されており、第2のステアリングワイヤ開口部1513、1514はそれぞれ、第2のステアリングワイヤ240、250を受容するように構成されている。開口部1511、1512、1513、1514は、中央開口部1515を取り囲んで、近位端152の近位表面上に配置されている。開口部1511、1512は、互いに直径方向に向かい合って配置され、同様に、開口部1513、1514は、互いに直径方向に向かい合って配置されていることに留意されたい。従って、開口部1515を取り囲む開口部1511、1512、1513、1514は、開口部1215dと開口部1240bとの間の距離の各々が等しくなるように配置され得る。近位端152上の前述の開口部の配置は、ハンドル120の遠位端122上の開口部の配置を鏡像反転して、ワイヤ210、220、240、250、310のシャフト150内への移行を容易にし得る。
【0057】
図9Bは、二次関節部分160の断面を示す。図面から分かるように、ワイヤ210、220、240、250、310の配置は、
図9Aに示されるように、非関節運動部分151の配置と一致している。
【0058】
図9Cに示されるように、二次関節部分160は、二次関節リング165に移行する。リング165は、近位開口部166と、遠位開口部167と、それらの間の空洞168とを含む。近位開口部166(および空洞168)は、ワイヤ210、220、240、250、310を含む二次関節運動部分160の遠位端/一部を受容するように構成されている。リング165の近位開口部166が関節運動部分160の遠位端/一部に連結する態様は、特に限定されず、例えば、摩擦嵌合を介し得る。リング165の空洞168は、ワイヤ210、220、240、250、310を受容し、かつ収容するように構成されている。リング165の遠位開口部167は、任意の適切な手段(例えば、摩擦嵌合)を介して、関節運動部分170の近位端171を受容するように構成されている。
【0059】
プルワイヤ310は、一次関節運動部分170の近位端171上の開口部1713(
図9Dに示される)の中へと直線上に直線的に遠位に延在する。二次ステアリングワイヤ240、250は、リング165の空洞168内で、部分160の遠位端と部分170の近位端171との間の点(例えば、前記空洞168の中点または他の点)まで、遠位に延在し得る。ワイヤ240、250の遠位端242、252は、リング165内に固着または溶接され得、それによって、ワイヤ240または250が近位に引っ張られると、リング165および二次関節運動部分160の両方を関節運動させるために、二次ステアリングワイヤ240、250に対しててこの作用を提供する。例えば、遠位端242、252は、リング165の内面または空洞168の部分的に固体部分に溶接され得る。上述したように、そのような関節(例えば、二次関節機構)は、中間シャフト140に対するハンドル120の枢動(またはその逆)を介して作動され得る。
【0060】
一次ステアリングワイヤ210、220は、一次関節運動部分170に向かってリング165の空洞168を通して遠位に延在し得る。
図9Cに示すように、ワイヤ210、220はそれぞれ、一次関節運動部分170の近位端171に向かって延在しながら、ある角度で湾曲する湾曲部分215、225を有する。ワイヤ210、220は、部分215、225を介して、近位端171のワイヤ開口部1711、1712(
図9Dに示される)に向かって延在し、ワイヤ開口部1711、1712は、開口部1511、1512の配向に対して、シャフト150の長手方向軸を中心に90°または約90°に配向される。従って、
図9Cに示すように、一次ステアリングワイヤ210、220は、一次関節運動部分170内に延在しながら、再配向しているため、ワイヤ210、220、240、250は共有平面に沿って延在している。ワイヤ210、220、240、250は、湾曲部分215、225に対して遠位側のワイヤ210、220の一部の長さ(例えば、1cm、2cm、3cm、4cm、5cmなどよりも大きい長さ)を通して共有平面に沿って延在し得る。さらに、湾曲部分215、225に対して近位側のワイヤ210、220の一部、および湾曲部分215に対して遠位側のワイヤの一部は、オフセットして進行しているが、平行なルーメン内を進行していることに留意されたい。
【0061】
図9Dは、一次関節部分170の近位端171の断面図を示す。図面から分かるように、近位端171は、ステアリングワイヤ開口部1711、1712、およびプルワイヤ開口部1713を含む。上述したように、開口部1713は、プルワイヤ310を受容し、かつ開口部1713を通るワイヤ310の近位移動/遠位移動に適応するように構成されている。開口部1713は、近位端152の近位表面上の中心に位置する。従って、開口部1713は、非関節運動部分151の開口部1515(
図9Aに示される)との整列を維持する。一次ステアリングワイヤ開口部1711、1712はそれぞれ、一次ステアリングワイヤ210、220を受容するように構成されている。開口部1711、1712は、中央開口部1713の周囲で、近位端171の近位表面上に配置されている。開口部1711、1712は、互いに直径方向に向かい合って配置されていることに留意されたい。さらに、前述したように、開口部1711、1712は、二次ステアリングワイヤ240、250と同じ平面に沿ってワイヤ210、220を案内する。
【0062】
図9Eに示すように、一次関節部分170は、一次関節リング175に移行する。リング175は、近位開口部176と、遠位開口部177と、それらの間の空洞178とを含む。近位開口部176(および空洞178)は、ワイヤ210、220、310を含む一次関節運動部分170の遠位端/一部を受容するように構成されている。リング175の近位開口部176が関節運動部分170の遠位端/一部に連結する態様は、特に限定されず、例えば、摩擦嵌合を介し得る。リング175の空洞178は、ワイヤ210、220、310を受容し、かつ収容するように構成されている。リング175の遠位開口部177は、任意の適切な手段(例えば、摩擦嵌合)を介して、エンドエフェクタ180の近位端/一部を受容するように構成されている。
【0063】
プルワイヤ310は、エンドエフェクタ180に向かって直線上に直線的に遠位に延在する。一次ステアリングワイヤ210、220は、リング175の空洞178内で、関節運動部分170の遠位端とエンドエフェクタ180の近位端との間の点(例えば、前記空洞の中点)まで、遠位に延在し得る。ワイヤ210、220の遠位端212、222は、リング175内に固着または溶接され得、それによって、ワイヤ210または220が近位に引っ張られると、リング175および一次関節運動部分170の両方を関節運動させるために、一次ステアリングワイヤ210、220に対しててこ作用を提供する。例えば、遠位端212、222は、リング175の内面または空洞178の部分的に固体部分に溶接され得る。上述したように、そのような関節(例えば、一次関節機構)は、ハンドル120に対する第1のアクチュエータ110の枢動(またはその逆)を介して作動され得る。
【0064】
従って、上記を考慮すると、ハンドル120に対する第1のアクチュエータ110の枢動、中間シャフト140に対するハンドル120の枢動、二次関節部分160の関節運動、および一次関節部分170の方向は全て、同一平面に制限されることに留意されたい。これは
図2C-
図2Fに示されている。
図2Cに示されるように、第1のアクチュエータ110を遠位方向(方向矢印Aによって示される)に枢動させることにより、一次関節運動部分170が下方向に関節運動し、ここで、枢動方向および関節運動方向は、同一平面に沿っている。同様に、
図2Dに示されるように、ハンドル120を下方向(方向矢印Bによって示される)に枢動させることにより、二次関節運動部分160が下方向に関節運動し、ここで、枢動方向および関節運動方向は、再度、同一平面に沿っている。アクチュエータ110およびハンドル120を反対方向に枢動させた場合にも、同じことが
図2Eおよび
図2Fに示されている。
図2Eに示されるように、第1のアクチュエータ110を近位方向(方向矢印Cによって示される)に枢動させることにより、一次関節運動部分170が上方向に関節運動し、ここで、枢動方向および関節運動方向は、同一平面に沿っている。同様に、
図2Fに示されるように、ハンドル120を上方向(方向矢印Dによって示される)に枢動させることにより、二次関節運動部分160が上方向に関節運動し、ここで、枢動方向および関節運動方向は、再度、同一平面に沿っている。
【0065】
エンドエフェクタ
エンドエフェクタ180は、特に限定されない。例えば、エンドエフェクタ180は、焼灼ナイフ、生検鉗子、組織把持顎部、焼灼スネア、止血クリップ、縫合ワイヤ、または任意の他の適切なエンドエフェクタのうちのいずれか1つであり得る。エンドエフェクタ180は、一次関節リング175の遠位開口部に取り外し可能に連結され得る近位端を含み得る。例えば、エンドエフェクタ180は、前記遠位開口部に摩擦嵌合され得るため、エンドエフェクタ180は、取り外されて、適切な他のエンドエフェクタと置換され得る。また、エンドエフェクタ180は、プルワイヤ310の遠位端312に連結され得る。ワイヤ310は、近位方向または遠位方向のいずれかへのワイヤ310の移動が、エンドエフェクタ180の作動(例えば、鉗子の開放/閉鎖)をトリガするように、任意の適切な態様を介してエンドエフェクタ180に連結され得る。
【0066】
使用方法
図1A-
図2Aを参照して、医療システム10およびデバイス100が使用され得る方法の例が、以下でさらに説明される。使用者は、スコープ50のチューブ56の遠位端を、例えば、自然孔(口または肛門等)を介して、食道、胃、結腸等の被検者の蛇行した自然体管腔を通って、標的部位に向けて被検者の体内に送達し得る。使用者は、チューブ56が標的部位に送達される前または後に、第1の端部71を介して、デバイス70をポート54に連結し得る。片手(または他の例では両手)でデバイス100を把持しながら、デバイス100の遠位端がデバイス70の第2の端部73に挿入され、ポート54を通って案内され、例えばスコープ50の作業チャネルを通って標的部位に送達され得る。送達されると、使用者はさらに、以下の態様であって、1)使用者は、第1のアクチュエータ110を片手で時計回りまたは反時計回り方向に回転させることによって、エンドエフェクタ180を回転させ得る、2)使用者は、デバイス100を保持しながら、片手の移動によって、エンドエフェクタ180を近位/遠位に移動させ得る、3)使用者は、片手の親指を使用して、ハンドル120に対して第1のアクチュエータ110を枢動させることによって、エンドエフェクタ180を1つの方向に関節運動させ得る、4)使用者は、片手の手首の屈曲によって、中間シャフト140に対してハンドル120を枢動させることによって、エンドエフェクタ180をさらに同じ方向に関節運動させ得るという態様のうちのいずれか1つによって、標的部位に対するエンドエフェクタ180の位置を調節し得る。エンドエフェクタ180の位置を調整した後、使用者は、片手の少なくとも1本の指(例えば、人差し指および中指)を介して、ハンドル120に対して第2のアクチュエータ130を摺動可能に移動させることによって、エンドエフェクタ180を作動させ得る。
【0067】
単一関節デバイス
上述したように、医療デバイス100は、シャフト140の2つの異なる部分(例えば、関節部分160、170)において、2つの異なる継手(例えば、第1のアクチュエータ110-ハンドル120ならびにハンドル120-中間シャフト150)により関節動作を提供するが、他の例示的な実施形態は、単一の関節デバイスであり得る。
【0068】
図10は、例示的な単一の関節デバイス100’を示す。デバイス100’は、いくつかの点でデバイス100に類似しており、かつ同様の参照番号は同様の部分を指す。デバイス100とは異なり、デバイス100’は、枢動可能な第1のアクチュエータ110を有しておらず、ハンドル120’の近位端と一体であり得るリング110’を含んでいる。従って、デバイス100’は、中間シャフト140とハンドル120’の遠位端との間に単一の関節のみを含み得る。さらに、デバイス100’は、シャフト150に沿った単一の関節部分160を含み得る。部分160がシャフト140とハンドル120’との間の枢動により関節運動され得る態様は、デバイス100と同一(または同様)であり得る。
【0069】
図11は、例示的な単一の関節デバイス100’’を示す。デバイス100’’は、いくつかの点でデバイス100と類似しており、かつ同様の参照番号は同様の部分を指す。デバイス100とは異なり、デバイス100’’は、中間シャフト140’’とハンドル120’’との間の枢動可能な接続を有していない。従って、デバイス100’’は、第1のアクチュエータ110’’とハンドル120’’の近位端との間の単一の関節のみを含み得る。図示されるように、アクチュエータ110’’は、デバイス100のアクチュエータ110のように、ボール/球形状本体を有しておらず、単に、ハンドル120’’の近位端に枢動可能に連結されたリングであり得る。デバイス100’’はまた、シャフト150に沿った単一の関節部分160を含み得る。部分160がアクチュエータ110’’とハンドル120’’との間の枢動により関節運動され得る態様は、デバイス100と同一(または同様)であり得る。
【0070】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスに対して様々な修正および変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本明細書に開示される本明細書の詳細な説明および実施を考慮すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および例は例示としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲および技術思想は以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】