(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】JAK阻害剤としてのイミダゾロインダゾール化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20240628BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20240628BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20240628BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240628BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240628BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240628BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240628BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240628BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240628BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20240628BHJP
C07D 498/08 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240628BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240628BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240628BHJP
C07D 451/14 20060101ALI20240628BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240628BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/438 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P43/00 121
A61P11/00
A61P11/06
A61P11/16
A61P33/10
A61P9/12
A61P37/08
A61P31/10
A61P37/06
A61P11/02
A61P31/14
A61K31/4178
A61K45/00
C07D403/14
A61K31/4439
A61K31/5386
C07D498/08
A61K31/5377
C07D413/14
C07D405/14
A61K31/422
A61K31/4192
A61K31/4545
C07D451/14
C07D491/107
A61K31/4985
C07D471/04 116
A61K31/438
A61K31/496
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578916
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022034838
(87)【国際公開番号】W WO2022272020
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514190040
【氏名又は名称】セラヴァンス バイオファーマ アール&ディー アイピー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マッキネル, ロバート マレー
(72)【発明者】
【氏名】ラム, トム エム.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】ガーケン, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アレグレッティ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴノス, ガブリエル エレイン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンス, クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA341
4C084ZA421
4C084ZA591
4C084ZA601
4C084ZB081
4C084ZB131
4C084ZB331
4C084ZB351
4C084ZB391
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC27
4C086BC38
4C086BC50
4C086BC60
4C086BC67
4C086BC69
4C086BC73
4C086CB09
4C086CB16
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZB08
4C086ZB13
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB39
4C086ZC75
(57)【要約】
式(I)の化合物:
およびそれらの薬学的に許容され得る塩[式中、A、W、X、YおよびZは、本明細書に定義される]を本明細書で提供する。式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。そのような化合物を含む医薬組成物、ならびにそのような化合物を使用して、例えば呼吸器疾患を含めて炎症性および線維性疾患を処置する方法も本明細書で提供する。式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物も本明細書で提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化47】
またはその薬学的に許容され得る塩
[式中、
Wは、H、-C
1~6アルキルまたはハロゲンであり、
Xは、HまたはFであり、
Yは、H、-CH
3、またはFであり、
Zは、-CH
2CH
3、-CF
2CH
3、または-CH
2CF
3であり、
Aは、二重結合を有し、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~8個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員の単環式ヘテロ環式基であり、
前記-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-R
1、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
3、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-OCO
2R
8、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて縮合または架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、-CF
3、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
12、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル-NR
aR
b、アリール、ヘテロアリール、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、ハロゲン、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
a、およびR
bは、H、C
1~6アルキル、および-C
1~6アルキル-OR
14からなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、-NR
cR
d、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
c、R
d、R
14、R
15、およびR
16は、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される]。
【請求項2】
Wが、H、-CH
3またはブロモである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
Yが、HまたはFである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
Zが-CH
2CH
3である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
前記化合物が、式(II)の化合物:
【化48】
またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
[式中、
Xは、HまたはFであり、
Yは、HまたはFであり、
Aは、二重結合を有し、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~8個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員の単環式ヘテロ環式基であり、
前記-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
3、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-OCO
2R
8、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて縮合または架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
12、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、ハロゲン、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
a、およびR
bは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、-NR
cR
d、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
c、R
d、R
14、R
15、およびR
16は、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される]。
【請求項6】
Xが、HまたはFであり、
Yが、HまたはFであり、
Aが、二重結合を有し、C
1~6アルキル、-COR
1、SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~6個の置換基で必要に応じて置換されているピペリジンまたはピロリジンであり、
前記-C
1~6アルキルが、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基が、オキソ、-C
1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールが、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、OH、SH、C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aが、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基が、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
8
、R
9、R
10、R
a、およびR
bが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、NR
cR
dで必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
cおよびR
dが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される、
請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
Aが、
【化49】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれが、-CO
2R
y、-CONR
yR
z、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、前記-C
1~6アルキルが、-CN、-OH、-O-C
1~6アルキル、-CO
2R
y、および-CONR
yR
zからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Rが、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
前記C
1~6アルキルが、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、OH、-SO
2NR
2R
3、SO
2-C
1~6アルキル、SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
2、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基が、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-OCO
2R
5、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールが、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基が、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
11、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールがそれぞれ、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
a、R
b、R
c、R
d、R
y、およびR
zが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
yR
zにおいて、R
yおよびR
zが、必要に応じて一緒になって、NR
cR
d、OH、-C
1~6アルキル、CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、SO
2-C
1~6アルキル、SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成する、
請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
Aが、
【化50】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれが、1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、各R
xが独立して、-OH、-OC
1~3アルキル、-CN、-CO
2-C
1~3アルキル、および-CONR
yR
zで必要に応じて置換されている-C
1~3アルキルであり、R
yおよびR
zがそれぞれ、C
1~3アルキルから独立して選択され、R
yおよびR
zが必要に応じて一緒になって、NR
cR
dで必要に応じて置換されている4~6員ヘテロ環式基を形成し、R
cおよびR
dがそれぞれ、HおよびC
1~3アルキルからなる群から独立して選択される、請求項7に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
各R
xが、Me、-CH
2OH、-CH
2OMe、-CH
2CN、-CH
2CONMe
2、-CH
2CO
2Me、-CO
2Me、および
【化51】
からなる群から独立して選択される、請求項8に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
Rが、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
前記-C
1~6アルキルが、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基が、オキソ、-C
1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールが、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、OH、SH、C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2-C
1~6アルキル、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基が、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、アリール、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、およびアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
8
、R
9、R
10、R
a、およびR
bが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される、
請求項7に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
Rが、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
前記-C
1~6アルキルが、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、フェニル、5員ヘテロアリール、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記4~6員シクロアルキル基および前記4~6員ヘテロ環式基が、オキソおよび-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
前記4~6員シクロアルキル基および前記4~6員ヘテロ環式基が、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
a、およびR
bが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される、
請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
YがHであり、Aが、
【化52】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれが、1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、各R
xが独立して、-OH、-OC
1~3アルキル、-CN、-CO
2-C
1~3アルキル、および-CONR
yR
zで必要に応じて置換されている-C
1~3アルキルであり、R
yおよびR
zがそれぞれ、C
1~3アルキルから独立して選択され、R
yおよびR
zが、必要に応じて一緒になって、NR
cR
dで必要に応じて置換されている4~6員ヘテロ環式基を形成し、R
cおよびR
dがそれぞれ、HおよびC
1~3アルキルからなる群から独立して選択され、
Rが、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
前記-C
1~6アルキルが、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記アリールおよびヘテロアリールが、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、OH、SH、C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2-C
1~6アルキル、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
前記3~7員シクロアルキル基および前記4~7員ヘテロ環式基が、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、アリール、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、およびアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
8
、R
9、R
10、R
a、およびR
bが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される、
請求項7に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
YがHであり、Aが、
【化53】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれが、Me、-CH
2OH、-CH
2OMe、-CH
2CN、-CH
2CONMe
2、-CH
2CO
2Me、-CO
2Me、および
【化54】
からなる群から独立して選択される1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、
Rが、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
前記-C
1~6アルキルが、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、フェニル、5員ヘテロアリール、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、前記4~6員シクロアルキル基および前記4~6員ヘテロ環式基が、オキソおよび-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
前記4~6員シクロアルキル基および前記4~6員ヘテロ環式基が、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1が、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、前記-C
1~6アルキルが、-NR
aR
b、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
a、およびR
bが、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される、
請求項7に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
YがHである、請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
YがFである、請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
XがHである、請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項17】
XがFである、請求項5に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
式1の化合物:
【化55】
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
式2の化合物:
【化56】
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
式3の化合物:
【化57】
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
表4から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
【請求項23】
1種または複数種の他の治療剤をさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
呼吸器疾患の処置を必要とするヒトにおいて呼吸器疾患を処置する方法であって、前記ヒトに、請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与するステップを含む方法。
【請求項25】
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、特発性肺線維症、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、サルコイドーシス、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、リンパ脈管平滑筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬物誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフラー症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、肺移植片対宿主病、COVID-19、SARS、MERS、鼻ポリープを伴うまたは伴わない慢性鼻副鼻腔炎、鼻ポリープ症、鼻ポリープを伴う副鼻腔炎、鼻炎、および免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼吸器疾患が喘息である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記呼吸器疾患が慢性閉塞性肺疾患である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
肺移植拒絶の処置を必要とするヒトにおいて肺移植拒絶を処置する方法であって、前記ヒトに、請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与するステップを含む方法。
【請求項29】
前記肺移植拒絶が、原発性移植片機能不全、器質化肺炎、急性拒絶、リンパ球性細気管支炎、および慢性同種移植肺機能不全からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記肺移植拒絶が、急性肺移植拒絶である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記肺移植拒絶が、慢性同種移植肺機能不全である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記肺移植拒絶が、閉塞性細気管支炎、拘束性慢性同種移植肺機能不全、および好中球性同種移植片機能不全からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
治療における使用のための請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
呼吸器疾患を処置する際における使用のための請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物の、呼吸器疾患を処置するための医薬を製造するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条第(e)項の下で、2021年6月25日に出願の米国特許仮出願第63/202,811号の利益を主張するものであり、当該出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤として有用な化合物を本明細書で提供する。そのような化合物を含む医薬組成物、ならびにそのような化合物を使用して、例えば呼吸器疾患を含めて炎症性および線維性疾患を処置する方法も本明細書で提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
喘息は、予防薬も治癒薬もない慢性気道疾患である。この疾患は、気道の炎症、線維症、過敏症、およびリモデリングによって特徴付けられ、それらのすべてが、気流制限を起こす要因になっている。世界全体で推定3億人が喘息に苦しみ、喘息の人数は2025年までに1億超増えると推定されている。米国では、喘息は、人口の約6%~8%を苦しめ、米国で最もよく見られる慢性疾患の1つとなっている。大部分の患者は、ロイコトリエン修飾薬および/または長時間作用型ベータアゴニストと組み合わせられ得る吸入コルチコステロイドを使用して喘息症状を制御することができるが、従来の治療薬によって制御されない重症喘息患者のサブセットが存在する。重症持続型喘息は、高用量の吸入コルチコステロイドでは制御されないままの疾患と定義される。重症喘息患者は、すべての喘息患者の約5%を占めると推定されているが、罹患と死亡のリスクが高く、喘息患者間における医療資源利用の不均衡な配分を招く。これらの患者を処置する新規治療薬が依然として求められている。
【0004】
サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカインおよび腫瘍壊死因子を含む細胞間シグナル伝達分子である。サイトカインは、正常な細胞増殖および免疫調節にとって重要であるが、免疫媒介疾患を引き起こし、悪性細胞の増殖にも寄与する。多くのサイトカインのレベルの上昇は、喘息炎症の病理と関係付けられてきた。例えば、インターロイキン(IL)-5および13を標的にした抗体ベースの治療薬は、重症喘息患者のサブセットにおいて臨床的有用性を与えることが示された。喘息炎症に関与するサイトカインのうち、多くは、転写因子のシグナル伝達および転写活性化因子(STAT)ファミリーを通じてシグナル伝達する、ヤヌスファミリーのチロシンキナーゼ(JAK)に依存するシグナル伝達経路を介して作用する。JAK-STAT経路を介してシグナル伝達する、喘息炎症に関与するサイトカインには、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-13、IL-23、IL-31、IL-27、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、インターフェロン-γ(IFNγ)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
【0005】
JAKファミリーは、4つのメンバー、JAK1、JAK2、JAK3およびチロシンキナーゼ2(TYK2)を含む。JAK依存性サイトカイン受容体へのサイトカインの結合は、JAKキナーゼ上のチロシン残基のリン酸化をもたらす受容体二量体化を誘導し、JAK活性化を引き起こす。次いで、リン酸化されたJAKは、二量体化し、細胞核中に内在化し、遺伝子転写を直接調節する様々なSTATタンパク質を結合してリン酸化し、効果の中でもとりわけ、炎症性疾患に関連する下流の効果をもたらす。JAKは、通常、ホモ二量体またはヘテロ二量体として対でサイトカイン受容体と会合する。特定のサイトカインは、特定のJAK対形成に関連する。JAKファミリーの4つのメンバーのそれぞれは、喘息炎症に関連するサイトカインの少なくとも1つのシグナル伝達に関与している。その結果、JAKファミリーのすべてのメンバーに対して汎活性を有する化学阻害剤であれば、重症喘息を起こす要因になっている広範囲の炎症促進性経路をモジュレートすることができる。
しかし、そのような阻害剤の広範な抗炎症効果は、正常な免疫細胞機能を抑制し、感染のリスクが潜在的に増大するおそれがある。関節リウマチを処置するために経口投与されるJAK阻害剤トファシチニブで、感染リスク増大の証拠が認められた。喘息では、炎症が気道に局在する。気道の炎症は、喘息に加えて、他の呼吸器疾患に特徴的である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、およびサルコイドーシスも、病態生理がJAKシグナル伝達サイトカインに関連していると考えられている気道疾患である。JAK阻害剤の吸入による肺への局所投与は、強力な抗サイトカイン剤を作用部位に直接送達し、全身曝露を制限し、したがって有害な全身免疫抑制の可能性を制限することによって、治療上有効である可能性をもたらす。呼吸器疾患を処置するために肺に局所投与するのに適した強力なJAK阻害剤が依然として求められている。
【0006】
JAKシグナル伝達サイトカインはまた、多くの免疫プロセスの中心となる免疫細胞のサブタイプであるT細胞の活性化において主要な役割を果たす。病的T細胞活性化は、複数の呼吸器疾患の病因において重要である。自己反応性T細胞は、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(COSとも呼ばれる)において役割を果たす。COSと同様に、肺移植拒絶の病因は、移植されたドナー肺によるレシピエントのT細胞の異常なT細胞活性化に関連する。肺移植拒絶は、原発性移植片機能不全(PGD)、器質化肺炎(OP)、急性拒絶(AR)あるいはリンパ球性細気管支炎(LB)として早期に起こり得るか、または慢性移植肺機能不全(CLAD)として肺移植の数年後に起こり得る。CLADは、以前は閉塞性細気管支炎(BO)として知られていたが、現在は、BO、拘束性CLAD(rCLADまたはRAS)および好中球性同種移植片機能不全を含む異なる病理学的徴候を有し得る症候群と考えられている。慢性移植肺機能不全(CLAD)は、移植された肺の機能性を徐々に失わせるので、肺移植レシピエントの長期管理における大きな課題である(Gauthierら、Curr.Transplant.Rep.,2016,3(3),185-191)。CLADは処置に対する反応性が低く、したがって、この症状を予防または処置することができる有効な化合物が依然として必要とされている。IFNγおよびIL-5などのいくつかのJAK依存性サイトカインは、CLADおよび肺移植拒絶において上方制御される(Berasteguiら、Clin.Transplant.2017,31,e12898)。さらに、JAK依存性IFNシグナル伝達の下流にあるCXCL9およびCXCL10などのCXCR3ケモカインの高い肺レベルは、肺移植患者におけるより悪い転帰に関連する(Shinoら、PLOS One,2017,12(7),e0180281)。全身性JAK阻害は、腎移植拒絶において有効であることが示されている(Vicentiら、American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56)。したがって、JAK阻害剤は、肺移植拒絶およびCLADの処置または予防に有効である可能性を有する。肺移植拒絶の基礎として記載されるものと類似のT細胞活性化事象は、造血幹細胞移植後に起こり得る肺移植片対宿主病(GVHD)の主な推進要因でもあると考えられている。CLADと同様に、肺GVHDは、極めて不良な転帰を有する慢性進行性症状であり、現在、処置法は承認されていない。救援療法として全身性JAK阻害剤ルキソリチニブを受けたステロイド抵抗性の急性または慢性GVHDを有する95名の患者の後向き多施設調査研究は、肺GVHD患者を含む患者の大半においてルキソリチニブに対する完全応答または部分応答を実証した(Zeiserら、Leukemia,2015,29,10,2062-68)。全身性JAK阻害は重篤な有害事象および小さな治療指数と関連しているので、肺移植拒絶または肺GVHDの予防および/または処置を行うための吸入型肺指向性非全身性JAK阻害剤が依然として求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gauthierら、Curr.Transplant.Rep.,2016,3(3),185-191
【非特許文献2】Berasteguiら、Clin.Transplant.2017,31,e12898
【非特許文献3】Shinoら、PLOS One,2017,12(7),e0180281
【非特許文献4】Vicentiら、American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56
【非特許文献5】Zeiserら、Leukemia,2015,29,10,2062-68
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩を本明細書で提供する
[式中、
Wは、H、-C
1~6アルキルまたはハロゲンであり、
Xは、HまたはFであり、
Yは、H、-CH
3、またはFであり、
Zは、-CH
2CH
3、-CF
2CH
3、または-CH
2CF
3であり、
Aは、二重結合を有し、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~8個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員の単環式ヘテロ環式基であり、
-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-R
1、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
3、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-OCO
2R
8、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて縮合または架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、-CF
3、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
12、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル-NR
aR
b、アリール、ヘテロアリール、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、ハロゲン、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
a、およびR
bは、H、C
1~6アルキル、および-C
1~6アルキル-OR
14からなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、-NR
cR
d、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
c、R
d、R
14、R
15、およびR
16は、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される]。
【0009】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容され得る塩である
[式中、
Xは、HまたはFであり、
Yは、HまたはFであり、
Aは、二重結合を有し、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~8個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員の単環式ヘテロ環式基であり、
-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
3、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-OCO
2R
8、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて縮合または架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
12、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、ハロゲン、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
a、およびR
bは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、-NR
cR
d、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
c、R
d、R
14、R
15、およびR
16は、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される]。
【0010】
式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物も本明細書で提供する。
【0011】
哺乳動物(例えばヒト)において呼吸器疾患、特に喘息および肺拒絶反応を処置する方法であって、哺乳動物(またはヒト)に式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を投与するステップを含む方法も本明細書で提供する。
【0012】
本開示は、医学的治療における使用のための式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、および哺乳動物(例えばヒト)において呼吸器疾患を処置するための製剤または医薬の製造におけるそのような化合物の使用も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
式(I)の化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容され得る塩[式中、A、W、X、YおよびZは、本明細書に定義する通りである]を本明細書で提供する。
【0014】
一部の実施形態では、WはHである。一部の実施形態では、Wは、(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピルを含めて)-C1~6アルキルである。一部の実施形態では、Wは、(例えば、フルオロ、クロロおよびブロモを含めて)ハロゲンである。一部の実施形態では、Wは、H、-CH3またはブロモである。
【0015】
一部の実施形態では、XはHである。一部の実施形態では、XはFである。
【0016】
一部の実施形態では、YはHである。一部の実施形態では、YはFである。一部の実施形態では、Yは、-CH3である。一部の実施形態では、Yは、HまたはFである。
【0017】
一部の実施形態では、Zは、-CH2CH3である。一部の実施形態では、Zは、-CF2CH3である。一部の実施形態では、Zは、-CH2CF3である。
【0018】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容され得る塩である
[式中、
Xは、HまたはFであり、
Yは、HまたはFであり、
Aは、二重結合を有し、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~8個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員の単環式ヘテロ環式基であり、
-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
3、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-OCO
2R
8、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて縮合または架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
12、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、ハロゲン、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
a、およびR
bは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
2R
3および-SO
2NR
2R
3において、R
2およびR
3は、必要に応じて一緒になって、-NR
cR
d、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各R
c、R
d、R
14、R
15、およびR
16は、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される]。
【0019】
一部の実施形態では、Xは、HまたはFであり、Yは、HまたはFであり、
Aは、二重結合を有し、C1~6アルキル、-COR1、SO2R1、-CO2R2、-CONR2R3、SO2NR2R3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~6個の置換基で必要に応じて置換されているピペリジンまたはピロリジンであり、
-C1~6アルキルは、-C1~6アルキル、-NR2R3、-CONR2R3、-OH、-SO2NR2R3、-SO2-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NR2C(O)-C1~6アルキル、-NR2SO2-C1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO2R8、-CONR8R9、OH、SH、C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NR8R9、-OC(O)NR8R9、-NR8C(O)-C1~6アルキル、-NR8C(O)2R9、-NR8-C(O)NR9R10、-OCO2R8、-C1~6アルキル-OR8、-C1~6アルキル-NR8R9、および-C1~6アルキル-CO2R8からなる群から独立して選択される1~3個の置換基で必要に応じて置換されており、
Aは、3~7員シクロアルキル基または4~7員ヘテロ環式基と必要に応じて架橋しており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、-C1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R1は、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C1~6アルキルは、-NRaRb、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R2、R3、R8
、R9、R10、Ra、およびRbは、HおよびC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR2R3および-SO2NR2R3において、R2およびR3は、必要に応じて一緒になって、NRcRdで必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成し、
各RcおよびRdは、HおよびC1~6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0020】
一部の実施形態では、Aは、
【化5】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれは、-CO
2R
y、-CONR
yR
z、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、-C
1~6アルキルは、-CN、-OH、-O-C
1~6アルキル、-CO
2R
y、および-CONR
yR
zからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
Rは、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CN、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、OH、-SO
2NR
2R
3、SO
2-C
1~6アルキル、SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
2R
3、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)
2R
3、-NR
2-C(O)NR
3R
4、-OCO
2R
2、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
5、-CONR
5R
6、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
5R
6、-OC(O)NR
5R
6、-NR
5C(O)-C
1~6アルキル、-NR
5C(O)
2R
6、-NR
5-C(O)NR
6R
7、-OCO
2R
5、-C
1~6アルキル-OR
5、-C
1~6アルキル-NR
5R
6、および-C
1~6アルキル-CO
2R
5からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、-OH、-SH、-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2R
9、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、スピロ3~7員シクロアルキル基、スピロ4~7員ヘテロ環式基、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、-C
1~6アルキル、オキソ、-CN、-CO
2R
11、-CONR
11R
12、-OH、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)-C
1~6アルキル、-NR
11C(O)
2R
12、-NR
11-C(O)NR
12R
13、-OCO
2R
11、-NR
11-SO
2-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキル-OR
11、-C
1~6アルキル-NR
11R
12、および-C
1~6アルキル-CO
2R
11からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、-O-C
1~6アルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリール、3~7員シクロアルキル基、4~7員ヘテロ環式基およびヘテロアリールはそれぞれ、-NR
14R
15、-OH、-C
1~6アルキル、-CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、-SO
2-C
1~6アルキル、-SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8
、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
a、R
b、R
c、R
d、R
y、およびR
zは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
-CONR
yR
zにおいて、R
yおよびR
zは、必要に応じて一緒になって、NR
cR
d、OH、-C
1~6アルキル、CN、-CO
2R
14、-CONR
14R
15、-SO
2NR
14R
15、SO
2-C
1~6アルキル、SH、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-OC(O)NR
14R
15、-NR
14C(O)-C
1~6アルキル、-NR
14C(O)
2R
15、-NR
14-C(O)NR
15R
16、-OCO
2R
14、および-NR
14SO
2-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されている4~7員ヘテロ環式基を形成する。
【0021】
一部の実施形態では、Aは、
【化6】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれは、1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、各R
xは独立して、-OH、-OC
1~3アルキル、-CN、-CO
2-C
1~3アルキル、および-CONR
yR
zで必要に応じて置換されている-C
1~3アルキルであり、R
yおよびR
zはそれぞれ、C
1~3アルキルから独立して選択され、R
yおよびR
zは、必要に応じて一緒になって、NR
cR
dで必要に応じて置換されている4~6員ヘテロ環式基を形成し、R
cおよびR
dはそれぞれ、HおよびC
1~3アルキルからなる群から独立して選択される。
【0022】
一部の実施形態では、各R
xは、Me、-CH
2OH、-CH
2OMe、-CH
2CN、-CH
2CONMe
2、-CH
2CO
2Me、-CO
2Me、および
【化7】
からなる群から独立して選択される。
【0023】
一部の実施形態では、Rは、H、-C1~6アルキル、-COR1、-SO2R1、-CO2R2、-CONR2R3、-SO2NR2R3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
-C1~6アルキルは、-C1~6アルキル、-NR2R3、-CONR2R3、-OH、-SO2NR2R3、-SO2-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NR2C(O)-C1~6アルキル、-NR2SO2-C1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO2R8、-CONR8R9、OH、SH、C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NR8R9、-OC(O)NR8R9、-NR8C(O)-C1~6アルキル、-NR8C(O)2-C1~6アルキル、-NR8-C(O)NR9R10、-OCO2R8、-C1~6アルキル-OR8、-C1~6アルキル-NR8R9、および-C1~6アルキル-CO2R8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各3~7員シクロアルキル基および各4~7員ヘテロ環式基は、-C1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R1は、アリール、4~7員ヘテロ環式基、および-C1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C1~6アルキルは、-NRaRb、-OH、およびアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R2、R3、R8
、R9、R10、Ra、およびRbは、HおよびC1~6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0024】
一部の実施形態では、Rは、H、-C1~6アルキル、-COR1、-SO2R1、-CO2R2、-CONR2R3、-SO2NR2R3、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
-C1~6アルキルは、-NR2R3、-CONR2R3、-OH、-SO2NR2R3、-SO2-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-S-C1~6アルキル、-NR2C(O)-C1~6アルキル、-NR2SO2-C1~6アルキル、フェニル、5員ヘテロアリール、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、4~6員シクロアルキル基および4~6員ヘテロ環式基は、オキソおよび-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
4~6員シクロアルキル基および4~6員ヘテロ環式基は、-C1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R1は、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C1~6アルキルは、-NRaRb、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R2、R3、Ra、およびRbは、HおよびC1~6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0025】
一部の実施形態では、YはHであり、Aは、
【化8】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれは、1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、各R
xは独立して、-OH、-OC
1~3アルキル、-CN、-CO
2-C
1~3アルキル、および-CONR
yR
zで必要に応じて置換されている-C
1~3アルキルであり、R
yおよびR
zはそれぞれ、C
1~3アルキルから独立して選択され、R
yおよびR
zは、必要に応じて一緒になって、NR
cR
dで必要に応じて置換されている4~6員ヘテロ環式基を形成し、R
cおよびR
dはそれぞれ、HおよびC
1~3アルキルからなる群から独立して選択され、
Rは、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
-C
1~6アルキルは、-C
1~6アルキル、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、アリール、ヘテロアリール、3~7員シクロアルキル基、および4~7員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、オキソ、-C
1~6アルキル、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、-CN、-CO
2R
8、-CONR
8R
9、OH、SH、C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
8R
9、-OC(O)NR
8R
9、-NR
8C(O)-C
1~6アルキル、-NR
8C(O)
2-C
1~6アルキル、-NR
8-C(O)NR
9R
10、-OCO
2R
8、-C
1~6アルキル-OR
8、-C
1~6アルキル-NR
8R
9、および-C
1~6アルキル-CO
2R
8からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
3~7員シクロアルキル基および4~7員ヘテロ環式基は、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、アリール、4~7員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、およびアリールからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
8
、R
9、R
10、R
a、およびR
bは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0026】
一部の実施形態では、YはHであり、Aは、
【化9】
からなる群から選択され、
これらのそれぞれは、Me、-CH
2OH、-CH
2OMe、-CH
2CN、-CH
2CONMe
2、-CH
2CO
2Me、-CO
2Meおよび
【化10】
からなる群から独立して選択される1~3個のR
xで必要に応じて置換されており、
Rは、H、-C
1~6アルキル、-COR
1、-SO
2R
1、-CO
2R
2、-CONR
2R
3、-SO
2NR
2R
3、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から選択され、
-C
1~6アルキルは、-NR
2R
3、-CONR
2R
3、-OH、-SO
2NR
2R
3、-SO
2-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-S-C
1~6アルキル、-NR
2C(O)-C
1~6アルキル、-NR
2SO
2-C
1~6アルキル、フェニル、5員ヘテロアリール、4~6員シクロアルキル基、および4~6員ヘテロ環式基からなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、4~6員シクロアルキル基および4~6員ヘテロ環式基は、オキソおよび-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
4~6員シクロアルキル基および4~6員ヘテロ環式基は、-C
1~6アルキル、オキソ、および-OHからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
1は、フェニル、4~6員ヘテロ環式基、および-C
1~6アルキルからなる群から独立して選択され、-C
1~6アルキルは、-NR
aR
b、-OH、およびフェニルからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で必要に応じて置換されており、
各R
2、R
3、R
a、およびR
bは、HおよびC
1~6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0027】
一部の実施形態では、XはHである。一部の実施形態では、XはFである。
【0028】
一部の実施形態では、YはHである。一部の実施形態では、YはFである。
【0029】
式1の化合物:
【化11】
またはその薬学的に許容され得る塩も本明細書で提供する。
【0030】
式2の化合物:
【化12】
またはその薬学的に許容され得る塩も本明細書で提供する。
【0031】
式3の化合物:
【化13】
またはその薬学的に許容され得る塩も本明細書で提供する。
【0032】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、実施例1~393のいずれか一例の化学構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される。一部の実施形態では、式Iの化合物は、実施例の項の表4における化合物のいずれか1つの化学構造を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0033】
化学構造は、本明細書で、ChemDrawソフトウェア(PerkinElmer,Inc.、Cambridge、MA)において実行されるIUPAC規則に従って命名される。
【0034】
さらに、本開示の化合物のイミダゾール部分は互変異性形態で存在する。構造が特定の形態で示されまたは命名されているが、本発明および本開示は、それらの互変異性体も含むことが理解されるであろう。
【0035】
本開示の化合物は、1個または複数のキラル中心を含むことができ、したがって、そのような化合物(およびそれらの中間体)は、ラセミ混合物;純粋な立体異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー);立体異性体が富化された混合物などとして存在することができる。本明細書でキラル中心の立体化学が定義されずに示されまたは命名されているキラル化合物は、別段の指示がない限り定義されていない立体中心におけるいずれかまたはすべての考え得る立体異性体変形を含むものである。特定の立体異性体の描写または命名は、別段の指示がない限り少量の他の立体異性体も存在し得ることを理解の上で、指示された立体中心が指定された立体化学を有することを意味する。ただし、描写または命名された化合物の有用性は、別の立体異性体の存在によって消失しないことを条件とする。
【0036】
本開示の化合物は、いくつかの塩基性基(例えば、アミノ基)も含むことができ、したがって、そのような化合物は、遊離塩基として、またはモノプロトン化塩の形態、ジプロトン化塩の形態、トリプロトン化塩の形態などもしくはそれらの混合物のようなさまざまな塩の形態で存在することができる。そのような形態はすべて、別段の指示がない限り本発明および本開示の範囲内に含まれる。
【0037】
本発明および本開示は、同位体標識された式(I)または式(II)の化合物、すなわち、1個または複数の原子が、原子番号が同じであるが、原子質量が自然界において優位な原子質量と異なる原子で置き換えられまたは富化されている式(I)または式(II)の化合物も含む。式(I)の化合物に組み込まれてよい同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、および18Oが挙げられるが、これらに限定されない。特に興味深いのは、トリチウムまたは炭素-14が富化された式(I)または式(II)の化合物であり、それらの化合物は、例えば組織分布研究において使用され得る。特に代謝の部位において重水素が富化された式(I)または式(II)の化合物も特に興味深く、それらの化合物は、より高い代謝安定性を有すると予想される。追加的に、11C、15Oおよび13Nなどポジトロン放射性同位体が富化された式(I)または式(II)の化合物が特に興味深く、それらの化合物は、例えばポジトロン放射型断層撮影(PET)研究において使用され得る。
【0038】
定義
その様々な態様および実施形態を含めて、本開示を記述する場合、別段の指示がない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0039】
「アルキル」という用語は、直鎖状もしくは分枝状またはそれらの組み合わせであってよい一価の飽和炭化水素基を意味する。別段の定義がない限り、そのようなアルキル基は、典型的に1~10個の炭素原子を含む。代表的なアルキル基としては、例としてメチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(n-Pr)または(nPr)、イソプロピル(i-Pr)または(iPr)、n-ブチル(n-Bu)または(nBu)、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル(t-Bu)または(tBu)、n-ペンチル、n-ヘキシル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルペンチル、2-プロピルペンチルなどが挙げられる。
【0040】
具体的な数の炭素原子が特定の用語に関して意図されるとき、炭素原子の数は用語に先行して示される。例えば、「C1~3アルキル」という用語は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、炭素原子は、直鎖状または分枝状構成を含めていずれか化学的に許容され得る構成で存在する。
【0041】
「アリール」という用語は、単環(すなわち、フェニル)または縮合環(すなわち、ナフタレン)を有する芳香族炭化水素基を意味する。別段の定義がない限り、そのようなアリール基は、典型的に6~10個の炭素環原子を含む。代表的なアリール基としては、例としてフェニル(すなわち、ベンゼン環)、ナフチル(すなわち、ナフタレン環)などが挙げられる。本明細書で使用される場合、アリールという用語は、一価、二価または多価アリール基を含む。
【0042】
「シクロアルキル」という用語は、単環式でも多環式でもよい一価の飽和または部分不飽和炭素環式基を意味する。別段の定義がない限り、そのようなシクロアルキル基は、典型的に3~10個の炭素原子を含む。代表的なシクロアルキル基としては、例としてシクロプロピル(cPr)、シクロブチル(cBu)、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0043】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0044】
「ヘテロアリール」という用語は、単環または2つの縮合した環を有し、環内に窒素、酸素または硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個(典型的に1~3個のヘテロ原子)含む芳香族基(すなわち、ヘテロ芳香族基)を意味する。別段の定義がない限り、そのようなヘテロアリール基は、典型的に1~9個の炭素原子および合計3~10個の環原子を含む。代表的なヘテロアリール基としては、例として、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、インドール、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、トリアジンなどの一価、二価または多価の種が挙げられ、結合点(単数または複数)はいずれか利用可能な炭素または窒素環原子において存在する。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールという用語は、一価、二価または多価ヘテロアリール基を含む。
【0045】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」、「ヘテロ環式の」、または「ヘテロ環式環」という用語は、合計3~10個の環原子を有する一価の飽和または部分不飽和環式非芳香族基であって、この環が、炭素環原子2~9個ならびに窒素、酸素、および硫黄から選択される環ヘテロ原子1~4個を含む基を意味する。ヘテロ環式基は、単環式でも多環式(すなわち、縮合または架橋)でもよい。代表的なヘテロシクリル基としては、例としてピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリル、インドリン-3-イル、2-イミダゾリニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イル、キヌクリジニル、7-アザノルボルナニル、ノルトロパニルなどが挙げられ、結合点はいずれか利用可能な炭素または窒素環原子において存在する。状況によって、ヘテロ環式基の結合点が明らかになる場合、そのような基は、代わりに無価の種、すなわちピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール、テトラヒドロピランなどと呼ばれ得る。
【0046】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、患者またはヒトなど哺乳動物への投与が許容され得る塩(例えば、所与の投与レジメンに対して許容され得る哺乳動物安全性を有する塩)を意味する。代表的な薬学的に許容され得る塩としては、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エジシル酸、フマル酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルコロン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オロト酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸およびキシナホ酸などの塩が挙げられる。
【0047】
「治療有効量」という用語は、処置を必要とする患者に投与された場合に処置を行うのに十分な量を意味する。
【0048】
「処置する」または「処置」という用語は、患者(特にヒト)において処置されている医学的症状、疾患もしくは障害(例えば、呼吸器疾患)を改善もしくは抑制すること、または医学的症状、疾患もしくは障害の症候を緩和することを意味する。
【0049】
「その塩」という用語は、酸の水素が金属カチオンまたは有機カチオンなどカチオンによって置き換えられると形成される化合物を意味する。例えば、カチオンは、式(I)の化合物のプロトン化された形態、すなわち1つまたは複数のアミノ基が酸によってプロトン化された形態とすることができる。典型的に、塩は薬学的に許容され得る塩であるが、これは、患者への投与を意図されていない中間化合物の塩には必要でない。
【0050】
一般合成手順
本開示の化合物およびそれらの中間体は、市販のまたは慣用的に調製される出発材料および試薬を使用して以下の一般方法および手順に従って調製することができる。以下のスキームにおいて使用される置換基および可変要素(例えば、X、Y、Aなど)は、別段の指示がない限り、本明細書のどこか他の箇所で定義された意味と同じ意味を有する。追加的に、酸性または塩基性の原子または官能基を有する化合物は、別段の指示がない限り、塩として使用または生成され得る(場合によっては、特定の反応における塩の使用には、この反応を実施する前に慣用的な手順を使用して塩を非塩の形態、例えば遊離塩基に変換する必要がある)。
【0051】
本開示の特定の実施形態を、以下の手順で示しまたは説明することができるが、当業者は、そのような手順を使用して、または当業者に公知の他の方法、試薬、および出発材料を使用することによって本開示の他の実施形態または態様も調製できることを認識する。特に、本開示の化合物は、反応物を異なる順序で組み合わせて、最終生成物の生成の途中におけるさまざまな中間体を与えるさまざまなプロセス経路によって調製され得ると認識される。
【0052】
本開示の最終化合物を調製する一般方法を以下のスキームで例示する。
【0053】
化合物I-17、I-27、I-54は、実施例の項で示されているように調製することができる。I-54の7-des-フルオロ類似体は、適切な試薬および出発材料を用いて同様の化学を使用して調製することができる。
鈴木カップリング
【化14】
【0054】
出発材料(I-17、I-27、I-54、またはその7-des-フルオロ類似体)(1当量)とAのボロン酸またはエステル(1~5当量)を1,4-ジオキサンなど溶媒に溶解することによって反応させて、0.05~1mmolまたは約0.15mmolの濃度の出発材料を提供することができる。炭酸ナトリウムなどの塩基を水などの溶媒(使用される1,4-ジオキサンの1/10~2体積と等しい体積または使用される1,4-ジオキサンの体積の約1/3)に溶解し、得られた溶液を上記の溶媒溶液、例えば1,4-ジオキサンに添加する。次いで、反応フラスコを窒素でパージし、メタンスルホナト(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-メチルアミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)などのパラジウム触媒(0.01~0.2当量または約0.05当量)を添加し、反応混合物を撹拌し、80~130℃または約110℃で、反応が完了するまで、または2~24時間もしくは8~24時間加熱する。次いで、反応混合物を、例えばジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム溶液に分配することによって後処理し、溶媒層(例えばジクロロメタン)を収集し、(例えば硫酸ナトリウムを使用することによって)乾燥させ、次いで(例えばロータリーエバポレーションによって)濃縮する。次いで、得られた粗生成物を、例えばシリカゲルクロマトグラフィー(0~10% メタノール/ジクロロメタンのグラジエント)によって精製する。
脱保護
【化15】
【0055】
方法A
上記の鈴木反応の生成物を、0.05~1mmolまたは0.1~0.2mmolの溶液濃度を提供するのに十分な体積のメタノールなどの溶媒に溶解することができ、次いで使用される溶媒(例えばメタノール)の体積の約1/2と等しい濃HClを添加し、反応混合物を撹拌し、35~65℃または約50℃で完了するまで、または1~24時間もしくは4~24時間加熱する。以下に記載する方法を含めて標準単離技法を使用して、生成物を得ることができる。小規模反応(溶液体積<5mL)では、次いで、反応混合物を部分濃縮して、溶媒(例えばメタノール)の大部分を除去し、得られた溶液を溶媒/水の混合物、例えばアセトニトリル/水の混合物で希釈し、例えば逆相クロマトグラフィー(例えば、5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製する。より大きい規模の反応では、反応混合物をアンモニア水溶液(例えば、濃アンモニア溶液を1:5で水に希釈)に滴下して、生成物を沈殿させ、次いで濾過によって収集する。次いで、得られた固体を逆相クロマトグラフィー(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製する。
【0056】
方法B
鈴木反応の生成物を、1,4-ジオキサン中4M HCl(30~40当量)および水(HCl/ジオキサン溶液の体積の約5~50%または20%)の混合物に溶解することができ、次いで反応混合物を撹拌し、40~80℃または60℃で、完了するまで、または1~48時間もしくは8~48時間加熱する。次いで、反応混合物を凍結させ、凍結乾燥させ、得られた固体を、例えば逆相クロマトグラフィー(例えば、0~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製する。
【0057】
方法C
鈴木反応の生成物をTFA(30~50当量)に溶解し、反応混合物を室温で完了するまで、または1~24時間撹拌する。次いで、反応混合物をロータリーエバポレーションによって濃縮し、粗生成物を、例えば分取HPLC(例えば、5~70% アセトニトリル(acetontrile)/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製する。
【0058】
実施例の項に例示されるように、従来の化学を使用して、A環がさらに置換されていてよい。
【0059】
薬学的組成物
本発明および本開示の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、代表的には、薬学的組成物または製剤の形態で使用することができる。このような薬学的組成物は、吸入によって患者に有利に投与され得る。さらに、薬学的組成物は、経口、直腸、鼻、局所(経皮を含む)、および非経口投与様式を含むがこれらに限定されない任意の許容され得る投与経路によって投与され得る。
【0060】
したがって、その組成物の態様の1つでは、本発明は、薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤および式(I)または式(II)の化合物を含む医薬組成物を対象とし、ここで以上に定義されたように、「式(I)の化合物」は式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を意味し、「式(II)の化合物」は式(II)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を意味する。必要に応じて、そのような医薬組成物は、所望の場合、他の治療剤および/または製剤化剤を含有してよい。一部の実施形態では、そのような医薬組成物は、1種または複数種の他の治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、1種または複数種の他の治療剤は、哺乳動物(例えばヒト)において呼吸器疾患を処置するのに有用である。
【0061】
組成物およびそれらの使用を論じるとき、「本発明の化合物」または「本開示の化合物」は、本明細書において「活性な作用物質」とも呼ばれることがある。本明細書で使用される場合、「本発明の化合物」または「本開示の化合物」という用語は、式(I)または式(II)によって包含されるすべての化合物および式(I)または式(II)で具体化された種、ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩を含むものである。
【0062】
本開示の薬学的組成物は、代表的には、治療有効量の本開示の化合物を含有する。しかしながら、当業者は、薬学的組成物が、治療有効量を超える量、すなわちバルク組成物、または治療有効量未満の量、すなわち治療有効量を達成するために複数回投与用に設計された個別の単位用量を含有し得ることを認識するであろう。
【0063】
代表的には、そのような薬学的組成物は、重量基準で約0.01~約95%の活性な作用物質(例えば、重量基準で約0.05~約30%を含む)と、重量基準で約0.1%~約10%の活性剤とを含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、例えば1mg~10mgの活性な作用物質を含めて、例えば1mg~20mgの活性な作用物質を含めて、0.1mg~100mgの活性な作用物質を含む。
【0064】
任意の従来のキャリアまたは賦形剤を、本開示の薬学的組成物において使用してもよい。特定のキャリアもしくは賦形剤、またはキャリアもしくは賦形剤の組み合わせの選択は、特定の患者を処置するために用いられる投与様式、または病状もしくは疾患状態のタイプに依存する。この点において、特定の投与様式に対して好適な薬学的組成物の調製法は、十分に薬学分野の当業者の技術の範囲内である。さらに、本開示の薬学的組成物において使用されるキャリアまたは賦形剤は、商業的に入手可能である。さらなる例証として、従来の製剤化の手法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)に記載されている。
【0065】
薬学的に許容され得るキャリアとして機能し得る材料の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン);セルロース(例えば、微結晶性セルロース)およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐剤ろう);油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;および薬学的組成物において使用される他の無毒性の適合性物質。
【0066】
薬学的組成物は、代表的には、活性な作用物質を薬学的に許容され得るキャリアおよび1つまたはそれを超える必要に応じた成分と十分かつ完全に混合または混和することによって調製される。次いで、得られた均一に混和された混合物は、従来の手順および器具を用いて、錠剤、カプセル剤、丸剤などに成形または充填され得る。
【0067】
一部の実施形態では、薬学的組成物は吸入投与に適している。吸入投与用の薬学的組成物は、代表的にはエアロゾルまたは粉末の形態である。そのような組成物は、一般的には、乾燥粉末吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)、ネブライザ吸入器、または同様の送達デバイスなどの吸入送達装置を使用して投与される。
【0068】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、乾燥粉末吸入器を使用した吸入によって投与される。そのような乾燥粉末吸入器は、代表的には、吸気中に患者の気流中に分散される自由流動性粉末として薬学的組成物を投与する。自由流動性粉末組成物を達成するために、治療剤は、代表的には、ラクトース、デンプン、マンニトール、デキストロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチド-co-グリコリド(PLGA)またはこれらの組み合わせなどの適切な賦形剤とともに製剤化される。代表的には、治療剤は微粉化され、適切なキャリアと合わせられて、吸入に適した組成物を形成する。
【0069】
乾燥粉末吸入器において使用するための代表的な薬学的組成物は、ラクトースおよび微粉化された形態の本開示の化合物を含む。そのような乾燥粉末組成物は、例えば、乾式粉砕されたラクトースを治療剤と合わせ、次いで成分を乾式混合することによって作製することができる。次いで、組成物は、代表的には、乾燥粉末ディスペンサ中に、または乾燥粉末送達デバイスとともに使用するための吸入カートリッジもしくはカプセル中に装填される。
【0070】
吸入によって治療剤を投与するのに適した乾燥粉末吸入器送達デバイスは当技術分野に記載されており、そのような装置の例は市販されている。例えば、代表的な乾燥粉末吸入器送達デバイスまたは製品には、Aeolizer(Novartis);Airmax(IVAX);ClickHaler(Innovata Biomed);Diskhaler(GlaxoSmithKline);Diskus/Accuhaler(GlaxoSmithKline);Ellipta(GlaxoSmithKline);Easyhaler(Orion Pharma);Eclipse(Aventis);FlowCaps(Hovione);Handihaler(Boehringer Ingelheim);Pulvinal(Chiesi);Rotahaler(GlaxoSmithKline);SkyeHaler/Certihaler(SkyePharma);Twisthaler(Schering-Plough);Turbuhaler(AstraZeneca);Ultrahaler(Aventis)などが含まれる。
【0071】
別の特定の実施形態では、薬学的組成物は、定量吸入器を使用した吸入によって投与される。このような定量吸入器は、代表的には、圧縮された噴射剤ガスを使用して測定された量の治療剤を放出する。したがって、定量吸入器を使用して投与される薬学的組成物は、代表的には、液化された噴射剤中の治療剤の溶液または懸濁液を含む。1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン、(HFA227)などのヒドロフルオロアルカン(HFA)、ならびにCCl3Fなどのクロロフルオロカーボンを含む任意の適切な液化された噴射剤が使用され得る。特定の実施形態では、噴射剤はヒドロフルオロアルカンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロアルカン製剤は、エタノールもしくはペンタンなどの共溶媒、ならびに/またはソルビタントリオレアート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリンなどの界面活性剤を含有する。
【0072】
定量吸入器において使用するための代表的な薬学的組成物は、重量基準で約0.01%~約5%の本開示の化合物;重量基準で約0%~約20%のエタノール;重量基準で約0%~約5%の界面活性剤を含み;残りはHFA噴射剤である。そのような組成物は、代表的には、冷却または加圧されたヒドロフルオロアルカンを、治療剤、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含有する適切な容器に添加することによって調製される。懸濁液を調製するために、治療剤は微粉化され、次いで噴射剤と組み合わされる。次いで、組成物は、代表的には定量吸入器デバイスの一部を形成するエアロゾルキャニスタ中に装填される。
【0073】
吸入によって治療剤を投与するのに適した定量吸入器デバイスは当技術分野に記載されており、そのようなデバイスの例は市販されている。例えば、代表的な定量吸入器デバイスまたは製品としては、AeroBid Inhaler System(Forest Pharmaceuticals);Atrovent Inhalation Aerosol(Boehringer Ingelheim);Flovent(GlaxoSmithKline);Maxair Inhaler(3M);Proventil Inhaler(Schering);Serevent Inhalation Aerosol(GlaxoSmithKline)などが挙げられる。
【0074】
一部の実施形態では、薬学的組成物は、ネブライザ吸入器を使用した吸入によって投与される。そのようなネブライザデバイスは、代表的には、患者の気道中に運ばれるミストとして薬学的組成物を噴霧させる高速空気の流れを生成する。したがって、ネブライザ吸入器での使用のために製剤化される場合、治療剤を適切なキャリアに溶解させて、溶液を形成することができる。あるいは、懸濁液を形成するために、治療剤を微粉化またはナノミリングし、適切なキャリアと組み合わせることができる。
【0075】
ネブライザ吸入器で使用するための代表的な薬学的組成物は、約0.05μg/mL~約20mg/mLの本開示の化合物および噴霧化された製剤に適合する賦形剤を含む溶液または懸濁液を含む。一実施形態では、溶液は約3~約8のpHを有する。
【0076】
吸入によって治療剤を投与するのに適したネブライザデバイスは当技術分野に記載されており、そのようなデバイスの例は市販されている。例えば、代表的なネブライザデバイスまたは製品としては、Respimat Softmist吸入器(Boehringer Ingelheim);AERx Pulmonary Delivery System(Aradigm Corp.);PARI LC Plus Reusable Nebulizer(Pari GmbH)などが挙げられる。
【0077】
さらに別の態様では、本開示の薬学的組成物は、代替的に、経口投与を意図した剤形で調製され得る。適切な経口投与用の薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、舐剤、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤の形態であり得;または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして;またはエリキシルもしくはシロップとしてなどで存在し得;各々は、有効成分として所定量の本開示の化合物を含有する。
【0078】
固体剤形での経口投与を意図する場合、本開示の薬学的組成物は、代表的には、活性な作用物質と、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1またはそれを超える薬学的に許容され得るキャリアとを含む。必要に応じてまたは代替として、このような固体剤形はまた、充填剤または増量剤、結合剤、湿潤剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、着色剤および緩衝剤を含み得る。離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存剤および酸化防止剤も、本開示の薬学的組成物中に存在することができる。
【0079】
代替の製剤として、制御放出製剤、経口投与のための液体剤形、経皮パッチおよび非経口製剤も挙げられ得る。従来の賦形剤およびこのような代替製剤の調製方法は、例えば、上記のRemingtonによる参考文献に記載されている。
【0080】
以下の非限定的な例は、本開示の代表的な薬学的組成物を例証する。
【0081】
乾燥粉末組成物
微粉化された式(I)または式(II)の化合物(1g)を粉砕されたラクトース(25g)と混合する。次いで、用量当たり約0.1mg~約4mgの式(I)または式(II)の化合物を提供するのに十分な量で、この混合された混合物を剥離可能なブリスターパックの個々のブリスター中に充填する。ブリスターの内容物は、乾燥粉末吸入器を使用して投与される。
【0082】
乾燥粉末組成物
微粉化された式(I)または式(II)の化合物(1g)を粉砕されたラクトース(20g)と混合して、1:20の化合物対粉砕されたラクトースの重量比を有するバルク組成物を形成する。用量あたり約0.1mg~約4mgの式(I)または式(II)の化合物を送達することができる乾燥粉末吸入デバイス中に、混合された組成物を充填する。
【0083】
定量吸入器組成物
鉱質を除去した水(200mL)中にレシチン(0.2g)を溶解することによって調製された溶液中に、微粉化された式(I)または式(II)の化合物(10g)を分散させる。得られた懸濁液を噴霧乾燥させ、次いで微粉化して、約1.5μm未満の平均直径を有する粒子を含む微粉化された組成物を形成する。次いで、定量吸入器によって投与された場合に用量当たり約0.1mg~約4mgの化合物(I)または式(II)を提供するのに十分な量で、加圧された1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含有する定量吸入器カートリッジ中に、微粉化された組成物を充填する。
【0084】
ネブライザ組成物
式(I)または式(II)の化合物(25mg)を1.5~2.5当量の塩酸を含む溶液に溶解し、次に水酸化ナトリウムを添加して、pHを3.5~5.5に調整し、3重量%のグリセロールを添加する。成分がすべて溶解するまで、溶液を十分に撹拌する。用量当たり約0.1mg~約4mgの式(I)または式(II)の化合物を提供するネブライザデバイスを使用して、溶液を投与する。
【0085】
有用性
本開示の化合物は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。本開示のJAK阻害剤は、気道の炎症性および線維性疾患を含めて炎症性および線維性疾患の処置用に設計されてきた。特に、化合物は、強力な抗サイトカイン剤の、全身曝露を制限しながら肺における呼吸器疾患の作用部位への直接送達を可能にするように設計されてきた。
【0086】
アッセイ1~2および表1に示されたように、本開示の化合物は、JAKファミリーの酵素:JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2の強力な阻害剤であることが示された。
【0087】
JAK阻害剤の広範な抗炎症効果は、正常な免疫細胞機能を抑制し、感染のリスクが潜在的に増大するおそれがあることが認識されている。したがって、本化合物は、肺から血漿への吸収を制限するように最適化され、したがって免疫抑制のリスクが最小になる。以下の実験の節に記載されているように、精選した化合物の吸収および分布は、前臨床アッセイでプロファイルを明らかにした。マウスにおいて、いくつかの化合物をアッセイ4で試験し、肺組織における投与後高濃度および血漿への低吸収を示した。
【0088】
化合物1~3は、マウス肺組織における炎症促進性サイトカインIL-13の効果を阻害することが示された。具体的には、本化合物は、肺組織におけるSTAT6のIL-13誘導性リン酸化の阻害を示しており、これは、インビボでの局所的な肺JAK標的結合の証拠を提供する。この効果は、試験化合物の投与の8時間後に炎症促進性サイトカインIL-13が投与された場合に観察され、肺における有意な保持のさらなる証拠を提供する。
【0089】
喘息の前臨床モデルにおいて、JAK阻害剤の抗炎症活性が確実に実証されている(Malaviyaら、Int.Immunopharmacol.,2010,10,829-836;Matsunagaら、Biochem.and Biophys.Res.Commun.,2011,404,261-267;Kudlaczら、Eur.J.Pharmacol,2008,582,154-161)。JAK-STAT経路を介してシグナル伝達する喘息炎症に関与するサイトカインには、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-13、IL-23、IL-31、IL-27、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、インターフェロン-γ(IFNγ)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。したがって、本開示の化合物は、炎症性呼吸器障害、特に喘息の処置に有用であると予想される。肺の炎症および線維症は、喘息に加えて、他の呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症が含まれる)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎およびサルコイドーシスに特徴的である。したがって、本化合物は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎およびサルコイドーシスの処置にも有用であると予想される。さらに、喘息エンドタイプは、2型(T2)-高またはT2-低として広く認められ得る(Kuruvilla et al, Clin Rev Allergy Immunol, 2019, 56(2), 219-233)。それらの作用機序に基づいて、本開示の化合物は、T2-高およびT2-低の両エンドタイプを処置する可能性を有する。
【0090】
本開示の化合物は、炎症に伴うサイトカインの阻害に関与する生物活性を有する。したがって、本開示の化合物は、以下に詳述するようにある特定の特定呼吸器疾患の処置に有用であると予想される。
【0091】
好酸球性気道炎症は、好酸球性肺疾患と総称される疾患の特徴的な特徴である(Cottinら、Clin.Chest.Med.,2016,37(3),535-56)。好酸球性疾患は、IL-4、IL-13およびIL-5シグナル伝達と関連付けられてきた。好酸球性肺疾患には、感染症(特に蠕虫感染症)、薬物誘発性肺臓炎(例えば、抗生物質、フェニトインまたはl-トリプトファンなどの治療薬によって誘発される)、真菌誘発性肺臓炎(例えば、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)、過敏性肺臓炎および好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以前はチャーグ・ストラウス症候群として知られていた)が含まれる。原因不明の好酸球性肺疾患には、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群およびレフラー症候群が含まれる。
【0092】
IL-6遺伝子の多型は、上昇したIL-6レベルおよび肺動脈性肺高血圧症(PAH)を発症するリスクの増加と関連している(Fangら、J.Am.Soc.Hypertens.,2017,11(3),171-177)。PAHにおけるIL-6の役割を補強して、IL-6受容体鎖gp130の阻害は、PAHのラットモデルにおいて疾患を改善した(Huangら、Can.J.Cardiol.,2016,32(11),1356.e1-1356.e10)。
【0093】
IFNγ、IL-12およびIL-6などのサイトカインは、サルコイドーシスおよびリンパ脈管平滑筋腫症などの様々な非アレルギー性肺疾患に関与している(El-Hashemiteら、Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.,2005,33,227-230およびEl-Hashemiteら、Cancer Res.,2004,64,3436-3443)。
【0094】
気管支拡張症および浸潤性肺疾患は、慢性好中球性炎症に関連する疾患である。
【0095】
病的T細胞活性化は、複数の呼吸器疾患の病因において重要である。自己反応性T細胞は、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(COSとも呼ばれる)において役割を果たす。COSと同様に、肺移植拒絶の病因は、移植されたドナー肺によるレシピエントのT細胞の異常なT細胞活性化に関連する。肺移植拒絶は、原発性移植片機能不全(PGD)、器質化肺炎(OP)、急性拒絶(AR)またはリンパ球性細気管支炎(LB)として早期に起こり得るか、または慢性移植肺機能不全(CLAD)として肺移植の数年後に起こり得る。CLADは、以前は閉塞性細気管支炎(BO)として知られていたが、現在は、BO、拘束性CLAD(rCLADまたはRAS)および好中球性同種移植片機能不全を含む異なる病理学的徴候を有し得る症候群と考えられている。慢性移植肺機能不全(CLAD)は、移植された肺の機能性を徐々に失わせるので、肺移植レシピエントの長期管理における大きな課題である(Gauthierら、Curr Transplant Rep.,2016,3(3),185-191)。CLADは処置に対する反応性が低く、したがって、この症状を予防または処置することができる有効な化合物が依然として必要とされている。IFNγおよびIL-5などのいくつかのJAK依存性サイトカインは、CLADおよび肺移植拒絶において上方制御される(Berasteguiら、Clin.Transplant.2017,31,e12898)。さらに、JAK依存性IFNシグナル伝達の下流にあるCXCL9およびCXCL10などのCXCR3ケモカインの高い肺レベルは、肺移植患者におけるより悪い転帰に関連する(Shinoら、PLOS One,2017,12(7),e0180281)。全身性JAK阻害は、腎移植拒絶において有効であることが示されている(Vicentiら、American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56)。したがって、JAK阻害剤は、肺移植拒絶およびCLADの処置または予防に有効である可能性を有する。肺移植拒絶の基礎として記載される類似のT細胞活性化事象は、造血幹細胞移植後に起こり得る肺移植片対宿主病(GVHD)の主な推進要因でもあると考えられている。CLADと同様に、肺GVHDは、極めて不良な転帰を有する慢性進行性症状であり、現在、処置法は承認されていない。救援療法として全身性JAK阻害剤ルキソリチニブを受けたステロイド抵抗性の急性または慢性GVHDを有する95名の患者の後向き多施設調査研究は、肺GVHD患者を含む患者の大半においてルキソリチニブに対する完全応答または部分応答を実証した(Zeiserら、Leukemia,2015,29,10,2062-68)。全身性JAK阻害は重篤な有害事象および小さな治療指数を伴うので、肺移植拒絶または肺GVHDを予防または遅延させるための吸入型肺指向性非全身性JAK阻害剤が依然として必要とされている。本開示の化合物は、この必要性を満たすために必要とされる特徴を有する。
【0096】
したがって、肺移植拒絶の処置または予防を必要とするヒトにおいて肺移植拒絶を処置または予防する方法であって、ヒトに式(I)もしくは式(II)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与するステップを含む方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、肺移植拒絶は、原発性移植片機能不全、器質化肺炎、急性拒絶、リンパ球性細気管支炎、および慢性移植肺機能不全からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、肺移植拒絶は急性肺移植拒絶である。いくつかの実施形態では、肺移植拒絶は、慢性移植肺機能不全である。いくつかの実施形態では、肺移植拒絶は、閉塞性細気管支炎、拘束性慢性移植肺機能不全、および好中球性同種移植片機能不全からなる群から選択される。
【0097】
より最近では、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤の使用の増加とともに現れた別のT細胞媒介性肺疾患である肺臓炎を誘発した。これらのT細胞刺激剤で処置されたがん患者では、致死性肺臓炎が発症し得る。本開示の化合物は、IFNγ分泌の阻害を可能にする生物活性を有する。
【0098】
一実施形態では、したがって、本開示は、哺乳動物(例えばヒト)において呼吸器疾患を処置する方法であって、哺乳動物(またはヒト)に本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは薬学的に許容され得るキャリアおよび本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0099】
一部の実施形態では、呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺臓炎、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、またはサルコイドーシスである。一部の実施形態では、呼吸器疾患は、喘息または慢性閉塞性肺疾患である。一部の実施形態では、喘息は、T2-高喘息である。一部の実施形態では、喘息は、T2-低喘息である。
【0100】
一部の実施形態では、呼吸器疾患は、肺感染症、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、リンパ脈管平滑筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬物誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフラー症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、急性および慢性肺移植拒絶(PGD、OP、LB、ARおよびCLAD、BO、拘束性CLADおよび好中球性同種移植片機能不全を含む)、肺移植片対宿主病、または免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎である。
【0101】
本開示は、哺乳動物(例えばヒト)において喘息を処置する方法であって、哺乳動物(またはヒト)に本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは薬学的に許容され得るキャリアおよび本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【0102】
喘息を処置するために使用される場合、本開示の化合物は、代表的には1日1回の用量または1日当たり複数回の用量で投与されるが、他の投与形態が使用され得る。用量当たり投与される活性な作用物質の量または1日当たり投与される総量は、処置されるべき症状、選択された投与の経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症候の重度などを含む、関連する状況に照らして、通例、医師によって決定されるであろう。
【0103】
本開示は、哺乳動物(例えばヒト)において呼吸器疾患(本明細書に記載される疾患を含むがこれらに限定されない)を処置する方法であって、哺乳動物(またはヒト)に本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは薬学的に許容され得るキャリアおよび本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【0104】
呼吸器疾患(本明細書に記載されている疾患を含むが、これらに限定されない)を処置するために使用される場合、本開示の化合物は、代表的には1日1回の用量でまたは1日あたり複数回の用量で投与されるが、他の投与形態が使用され得る。用量当たり投与される活性な作用物質の量または1日当たり投与される総量は、処置されるべき症状、選択された投与の経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症候の重度などを含む、関連する状況に照らして、通例、医師によって決定されるであろう。
【0105】
ヒトコロナウイルスは一般的な呼吸器病原体であり、代表的には軽度の上気道疾患を誘発する。2つの高病原性ウイルスである重度急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV-1)および中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)は、それぞれ10%超および35%超の死亡率をもたらす重度の呼吸器症候群を引き起こした(Assiriら、N Engl J Med.,2013,369,407-1)。新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19およびその後のパンデミック)の最近の出現は、世界的な医療緊急事態を引き起こした。SARS-CoV-1およびMERS-CoVと同様に、患者の一部(約16%)は、急性肺傷害(ALI)によって現れる重度の呼吸器疾患を発症する可能性があり、ICU入院(約5%)、呼吸不全(約6.1%)および死亡につながる(Wangら、JAMA,2020,323,11,1061-1069;Guanら、N Engl J Med.,2020,382,1708-1720;Huangら、The Lancet、2020.395(10223),497-506;Chen et al.,The Lancet,2020,395(10223),507-13)。COVID-19患者のサブグループは、過剰炎症性「サイトカインストーム」を有し、急性肺傷害および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)をもたらすように見受けられる。このサイトカインストームはまた、全身循環に広がり、敗血症および最終的には多臓器機能不全症候群をもたらし得る。COVID-19に見られる調節不全のサイトカインシグナル伝達は、インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)およびケモカインの増加した発現を特徴とし、ALIおよび関連する死亡をもたらす。この過剰炎症応答は、肺選択的汎ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤によって潜在的に調節および処置することができる。IL-6に対して作られたモノクローナル抗体(トシリズマブ)は、COVID-19からのALI患者を処置する上で有効であると思われる(Xu X,Han M,Li T,Sun W,Wang D,Fu Bら、Effective Treatment of Severe COVID-19 Patients with Tocilizumab,2020,PNAS,https://doi.org/10.1073/pnas.2005615117)。2003 SARS-CoV-1および2012 MERS-CoVのマウス適応株による感染、ならびにヒトSARS-CoV-1に感染したヒトSARS-CoV-1受容体hACE2を発現するトランスジェニックマウスは、IFNγ、IL-6およびIL-12などのJAK依存性サイトカイン、ならびにケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド10(CCL10)、CCL2およびCCL7などの下流ケモカインの上昇を実証する(McCrayら、J Virol.,2007,81(2),813-21;Gretebeckら、Curr Opin Virol.2015,13,123-9,Dayら、Virology.2009,395(2),210-22。JAK阻害剤はまた、リポ多糖またはガンシクロビルによって誘発されたALIのマウスモデルにおいて有益であることが示されている(Severgniniら、Am J Respir Crit Care Med.,2005,171(8),858-67;Jinら、Am J Physiol-Lung Cell Mol Physiol.,2018,314(5),L882-92)。最後に、臨床試験の結果に基づいて、JAK阻害剤であるバリシチニブは、補充酸素、侵襲的機械換気または体外式膜型人工肺を必要とする患者におけるCOVID-19の処置に対して、レムデシビルと組み合わせて緊急使用許可(EUA)を受けた(https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-drug-combination-treatment-covid-19#:~:text=Today%2C%20the%20U.S.%20Food%20and,or%20older%20requiring%20supplemental%20oxygen%2C)。入院したCOVID-19患者の臨床試験において、レムデシビルと組み合わせたバリシチニブは、レムデシビルとともにプラセボを服用した患者と比較して、処置開始後29日以内の回復までの時間を短縮することが示された。
【0106】
したがって、肺選択的吸入式汎JAK阻害剤である式(I)または式(II)の化合物は、COVID-19に関連するサイトカインストームを弱めるのに他に類を見ないほど適し得る。肺に送達し、全身の免疫抑制を回避することによって、死亡率の悪化につながる追加の感染症も回避され得る。これは、換気補助を必要とする患者に特に当てはまる。COVID-19を有する対象の主な死因は併存症および重複感染症であると思われるので、吸入薬は、患者をこれらのリスクにさらされやすくする全身免疫抑制を回避する方法であり得る。
【0107】
したがって、本開示は、本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または薬学的に許容され得るキャリアと本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を哺乳動物(または患者)に投与することを含む、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2およびMERS-CoVなどのコロナウイルスに感染した哺乳動物(または患者)またはその症候を処置する方法を提供する。本開示は、本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または薬学的に許容され得るキャリアと本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を哺乳動物(または患者)に投与することを含む、(SARS-CoV-1、SARS-CoV-2およびMERS-CoVなどの)コロナウイルス感染症によって引き起こされた哺乳動物(または患者)におけるALIおよび/またはARDSを処置する方法も提供する。
【0108】
JAK阻害剤の作用機序は、鼻炎性疾患の処置に関連している(Therapeutic Effects of Intranasal Tofacitinib on Chronic Rhinosinusitis with Nasal Polyps in Mice、Jooら、The Laryngoscope、2020、https://doi.org/10.1002/lary.29129)。さらに、IL-4およびIL-13シグナル伝達経路を遮断することによって作用するデュピルマブは、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎の処置について承認されている。
【0109】
したがって、哺乳動物(例えばヒト)における鼻炎性疾患を処置する方法であって、本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または薬学的に許容され得るキャリアと本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を哺乳動物(またはヒト)に投与することを含む方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、鼻炎性疾患は、鼻ポリープを伴うまたは伴わない慢性鼻副鼻腔炎、鼻ポリープ症、鼻ポリープを伴う副鼻腔炎、および鼻炎(非アレルギー性、アレルギー性、通年性および血管運動性鼻炎)からなる群から選択される。
【0110】
JAK阻害剤として、本開示の化合物はまた、様々な他の疾患に対しても有用であり得る。本開示の化合物は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎(直腸S状結腸炎、汎大腸炎、潰瘍性直腸炎および左側大腸炎)、クローン病、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、ベーチェット病、セリアック病、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎、回腸炎、好酸球性食道炎、移植片対宿主病関連大腸炎および感染性大腸炎を含むがこれらに限定されない様々な胃腸炎症性適応症に対して有用であり得る。潰瘍性大腸炎(Reimundら、J.Clin.Immunology,1996,16,144-150)、クローン病(Woywodtら、Eur.J.Gastroenterology Hepatology,1999,11,267-276)、コラーゲン蓄積大腸炎(Kumawatら、Mol.Immunology,2013,55,355-364)、リンパ球性大腸炎(Kumawatら、2013)、好酸球性食道炎(Weinbrand-Goichbergら、Immunol.Res.,2013,56,249-260)、移植片対宿主病関連大腸炎(Coghillら、Blood,2001,117,3268-3276)、感染性大腸炎(Stallmachら、Int.J.Colorectal Dis.,2004,19,308-315)、ベーチェット病(Zhouら、Autoimmun.Rev.,2012,11,699-704)、セリアック病(de Nittoら、World J.Gastroenterol.,2009,15,4609-4614)、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎(例えば、CTLA-4阻害剤によって誘発される大腸炎;(Yanoら、J.Translation.Med.,2014,12,191)、PD-1またはPD-L1阻害剤によって誘発される大腸炎)および回腸炎(Yamamotoら、Dig.Liver Dis.,2008,40,253-259)は、ある特定の炎症促進性サイトカインのレベルの上昇を特徴とする。多くの炎症促進性サイトカインがJAK活性化を介してシグナルを伝達するので、本出願に記載される化合物は、炎症を軽減し、症候緩和を提供することが可能であり得る。特に、本開示の化合物は、潰瘍性大腸炎の寛解の誘導および維持、ならびにクローン病、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎、および移植片対宿主病における胃腸有害作用の処置に有用であり得る。したがって、一実施形態では、本開示は、哺乳動物(例えばヒト)における胃腸炎症性疾患を処置する方法であって、本開示の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または薬学的に許容され得るキャリアと化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩とを含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0111】
アトピー性皮膚炎および他の炎症性皮膚疾患は、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカインの上昇に関連付けられてきた。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、乾癬、皮膚筋炎、皮膚T細胞リンパ腫(Netchiporoukら、Cell Cycle 2014;13,3331-3335)およびサブタイプ(セザリー症候群、菌状息肉症、パジェット様細網症、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹、CD30+皮膚T細胞リンパ腫、続発性皮膚CD30陽性大細胞リンパ腫、非菌状息肉症CD30陰性皮膚大T細胞リンパ腫、多形性T細胞リンパ腫、レナートリンパ腫、皮下T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、芽球型NK細胞リンパ腫)、結節性痒疹、扁平苔癬、原発性限局性皮膚アミロイドーシス、水疱性類天疱瘡、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、環状肉芽腫、慢性単純性苔癬、外陰部/陰嚢/肛門周囲のそう痒、硬化性苔癬、帯状疱疹後神経痛かゆみ、毛孔性扁平苔癬および脱毛性毛包炎(foliculitis decalvans)を含むが、これらに限定されない多数の皮膚炎症性症状または皮膚そう痒性症状において有益であり得る。特に、アトピー性皮膚炎(Baoら、JAK-STAT,2013,2,e24137)、円形脱毛症(Xingら、Nat.Med.2014,20,1043-1049)、白斑(Craiglowら、JAMA Dermatol.2015,151,1110-1112)、結節性痒疹(Sonkolyら、J.Allergy Clin.Immunol.2006,117,411-417)、扁平苔癬(Welz-Kubiakら、J.Immunol.Res.2015,ID:854747)、原発性限局性皮膚アミロイドーシス(Tanakaら、Br.J.Dermatol.2009,161,1217-1224)、水疱性類天疱瘡(Felicianiら、Int.J.Immunopathol.Pharmacol.1999,12,55-61)および移植片対宿主病の皮膚発現(Okiyamaら、J.Invest.Dermatol.2014,134,992-1000)は、JAKの活性化を介してシグナル伝達するある特定のサイトカインの上昇を特徴とする。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、これらのサイトカインによって引き起こされる関連する皮膚炎症または掻痒症を緩和することが可能であり得る。特に、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、アトピー性皮膚炎および他の炎症性皮膚疾患の処置に有用であると予想され得る。したがって、一実施形態では、本開示は、哺乳動物(例えばヒト)における炎症性皮膚疾患を処置する方法であって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的キャリアとを含む薬学的組成物を哺乳動物の皮膚に適用することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、炎症性皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎である。
【0112】
多数の眼疾患が、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカインの上昇に関連することが示されている。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性およびアトピー性角結膜炎を含むがこれらに限定されないいくつかの眼疾患の処置に有用であり得る。特に、ブドウ膜炎(Horai and Caspi,J.Interferon.Cytokine Res.,2011,31,733-744)、糖尿病性網膜症(Abcouwer,J.Clin.Cell.Immunol.,2013,Suppl 1,1-12)、糖尿病性黄斑浮腫(Sohnら、American Journal of Opthamology,2011,152,686-694)、眼乾燥症(Stevensonら、Arch.Ophthalmol.,2012,130,90-100)、および加齢性黄斑変性(Knickelbeinら、Int.Ophthalmol.Clin.,2015,55(3),63-78)は、JAK-STAT経路を介してシグナル伝達する一定の炎症促進性サイトカインの上昇を特徴とする。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、関連する眼炎症を緩和し、疾患の進行を逆転させることが可能であり得る、または症候緩和を提供することが可能であり得る。したがって、一実施形態では、本開示は、哺乳動物(例えばヒト)における眼疾患を処置する方法であって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と薬学的キャリアとを含む薬学的組成物を哺乳動物(またはヒト)の眼に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、眼疾患は、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性、またはアトピー性角結膜炎である。一部の実施形態では、本方法は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を硝子体内注射によって投与することを含む。本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、眼疾患に有用な1またはそれを超える化合物と組み合わせて使用され得る。
【0113】
本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、他の炎症性疾患、自己免疫疾患またはがんなどの他の疾患を処置するのに有用であり得る。本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、サイトカイン放出症候群(CRS)、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、移植片拒絶、眼球乾燥、乾癬性関節炎、糖尿病、インスリン依存性糖尿病、運動ニューロン疾患、骨髄異形成症候群、疼痛、筋肉減少、悪液質、敗血症性ショック、全身性エリテマトーデス、白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、強直性脊椎炎、骨髄線維症、B細胞リンパ腫、肝細胞癌腫、ホジキン病、乳がん、多発性骨髄腫、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、卵巣明細胞癌腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、真性赤血球増加症、シェーグレン症候群、軟部組織肉腫、肉腫、脾腫、T細胞リンパ腫および重症型サラセミアのうちの1またはそれより多くを処置するのに有用であり得る。
【0114】
併用療法
本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、疾患を処置するために同一の機構によってまたは異なる機構によって作用する1またはそれを超える作用物質と組み合わせて使用され得る。異なる作用物質は、別個の組成物または同一の組成物で逐次にまたは同時に投与され得る。併用療法のための有用な作用物質のクラスには、β2アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン受容体アンタゴニスト、グルココルチコイドアゴニスト、Gタンパク質共役受容体44アンタゴニスト、ロイコトリエンD4アンタゴニスト、ムスカリンM3受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、免疫グロブリンEアンタゴニスト、PDE4阻害剤、IL-4アンタゴニスト、ムスカリンM1受容体アンタゴニスト、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、IL-13アンタゴニスト、IL-5アンタゴニスト、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、βアドレナリン受容体アゴニスト、CCR3ケモカインアンタゴニスト、CFTR刺激物質、免疫グロブリンモジュレーター、インターロイキン33リガンド阻害剤、PDE3阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼデルタ阻害剤、トロンボキサンA2アンタゴニスト、エラスターゼ阻害剤、Kitチロシンキナーゼ阻害剤、ロイコトリエンE4アンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、PGD2アンタゴニスト、TNFαリガンド阻害剤、TNF結合剤、補体カスケード阻害剤、エオタキシンリガンド阻害剤、グルタチオンレダクターゼ阻害剤、ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL2遺伝子刺激物質、免疫グロブリンガンマFc受容体IIB調節因子、インターフェロンガンマリガンド、インターロイキン13リガンド阻害剤、インターロイキン17リガンド阻害剤、L-セレクチンアンタゴニスト、白血球エラスターゼ阻害剤、ロイコトリエンC4アンタゴニスト、ロイコトリエンC4シンターゼ阻害剤、膜銅アミンオキシダーゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ-12阻害剤、メタロプロテアーゼ-9阻害剤、ダニアレルゲン調節因子、ムスカリン受容体調節因子、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト、核因子カッパB阻害剤、p-セレクチンアンタゴニスト、PDE5阻害剤、PDGF受容体アンタゴニスト、ホスホイノシチド-3キナーゼガンマアゴニスト、TLR-7アゴニスト、TNFアンタゴニスト、Ablチロシンキナーゼ阻害剤、アセチルコリン受容体アンタゴニスト、酸性哺乳動物キチナーゼ阻害剤、ACTH受容体アゴニスト、アクチン重合調節因子、アデノシンA1受容体アンタゴニスト、アデニル酸シクラーゼ刺激因子、アドレナリン受容体アンタゴニスト、副腎皮質刺激ホルモンリガンド、アルコールデヒドロゲナーゼ5阻害剤、α1アンチトリプシン刺激物質、α1プロテイナーゼ阻害剤、アンドロゲン受容体調節因子、アンジオテンシン変換酵素2刺激物質、ANPアゴニスト、Bcrタンパク質阻害剤、β1アドレナリン受容体アンタゴニスト、β2アドレナリン受容体アンタゴニスト、β2アドレナリン受容体調節因子、βアミロイド調節因子、BMP10遺伝子阻害剤、BMP15遺伝子阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤、カテプシンG阻害剤、CCL26遺伝子阻害剤、CCR3ケモカイン調節因子、CCR4ケモカインアンタゴニスト、細胞接着分子阻害剤、シャペロニン刺激物質、キチナーゼ阻害剤、コラーゲンIアンタゴニスト、補体C3阻害剤、CSF-1アンタゴニスト、CXCR2ケモカインアンタゴニスト、サイトカイン受容体共通β鎖調節因子、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4刺激物質、デオキシリボヌクレアーゼI刺激物質、デオキシリボヌクレアーゼ刺激物質、ジペプチジルペプチダーゼI阻害剤、DNAジャイレース阻害剤、DPプロスタノイド受容体調節因子、E-セレクチンアンタゴニスト、EGFRファミリーチロシンキナーゼ受容体阻害剤、エラスチン調節因子、エンドセリンET-Aアンタゴニスト、エンドセリンET-Bアンタゴニスト、エポキシドヒドロラーゼ阻害剤、FGF3受容体アンタゴニスト、Fynチロシンキナーゼ阻害剤、GATA3転写因子阻害剤、グルコシルセラミダーゼ調節因子、グルタミン酸受容体調節因子、GM-CSFリガンド阻害剤、グアニル酸シクラーゼ刺激物質、H+K+ATPアーゼ阻害剤、ヘモグロビン調節因子、ヘパリンアゴニスト、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素-2刺激物質、HMG CoA還元酵素阻害剤、I-カッパBキナーゼベータ阻害剤、ICAM1遺伝子阻害剤、IL-17アンタゴニスト、IL-17受容体調節因子、IL-23アンタゴニスト、IL-4受容体調節因子、免疫グロブリンG調節因子、免疫グロブリンG1アゴニスト、免疫グロブリンG1調節因子、免疫グロブリンイプシロンFc受容体IAアンタゴニスト、免疫グロブリンガンマFc受容体IIBアンタゴニスト、免疫グロブリンカッパ調節因子、インスリン増感剤、インターフェロンβリガンド、インターロイキン1様受容体アンタゴニスト、インターロイキン18リガンド阻害剤、インターロイキン受容体17Aアンタゴニスト、インターロイキン-1ベータリガンド阻害剤、インターロイキン-5リガンド阻害剤、インターロイキン-6リガンド阻害剤、KCNA電位依存性カリウムチャネル-3阻害剤、Kitリガンド阻害剤、ラミニン-5アゴニスト、ロイコトリエンCysLT1受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンCysLT2受容体アンタゴニスト、LOXL2遺伝子阻害剤、Lynチロシンキナーゼ阻害剤、MARCKSタンパク質阻害剤、MDR関連タンパク質4阻害剤、メタロプロテアーゼ-2調節因子、メタロプロテアーゼ-9調節因子、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ムスカリンM2受容体アンタゴニスト、ムスカリンM4受容体アンタゴニスト、ムスカリンM5受容体アンタゴニスト、ナトリウム利尿ペプチド受容体Aアゴニスト、ナチュラルキラー細胞受容体調節因子、ニコチン性ACh受容体アルファ7サブユニット刺激物質、NK細胞受容体調節因子、核因子κB調節因子、オピオイド成長因子受容体アゴニスト、P-糖タンパク質阻害剤、P2X3プリン受容体アンタゴニスト、p38 MAPキナーゼ阻害剤、ペプチダーゼ1調節因子、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホリパーゼC阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1阻害剤、血小板活性化因子受容体アンタゴニスト、PPARγアゴニスト、プロスタサイクリンアゴニスト、プロテインチロシンキナーゼ阻害剤、SH2ドメインイノシトールホスファターゼ1刺激因子、シグナル伝達阻害剤、ナトリウムチャネル阻害剤、STAT-3調節因子、幹細胞抗原-1阻害剤、スーパーオキシドジスムターゼ調節因子、T細胞表面糖タンパク質CD28阻害剤、T細胞表面糖タンパク質CD8阻害剤、TGFβアゴニスト、TGFβアンタゴニスト、トロンボキサンシンテターゼ阻害剤、胸腺間質リンパタンパク質リガンド阻害剤、チモシンアゴニスト、チモシンベータ4リガンド、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、TLR9遺伝子刺激物質、トポイソメラーゼIV阻害剤、トロポニンI高速骨格筋刺激物質、トロポニンT高速骨格筋刺激物質、I型IL-1受容体アンタゴニスト、II型TNF受容体調節因子、イオンチャネル調節因子、ウテログロビン刺激物質およびVIPアゴニストが含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
本発明のJAK阻害剤化合物と組み合わせて使用され得る具体的な作用物質としては、酢酸ロシプトール、ウメクリジニウムブロミド、セクキヌマブ、酢酸メテンケファリン、酢酸トリデカクチド、プロピオン酸フルチカゾン、α-シクロデキストリン安定化スルホラファン、テゼペルマブ、フロ酸モメタゾン、BI-1467335、デュピルマブ、アクリジニウム、ホルモテロール、AZD-1419、HI-1640V、リビパンセル、CMP-001、マンニトール、ANB-020、オマリズマブ、トレガリズマブ、Mitizax、ベンラリズマブ、ゴリムマブ、ロフルミラスト、イマチニブ、REGN-3500、マシチニブ、アプレミラスト、RPL-554、Actimmune、アダリムマブ、ルパタジン、パログレリル、MK-1029、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フマル酸ホルモテロール、モガムリズマブ、セラトロダスト、UCB-4144、ネミラリシブ、CK-2127107、フェビピプラント、ダニリキシン、ボセンタン、アバタセプト、EC-18、デュベリシブ、ドシパルスタット、シプロフロキサシン、サルブタモールHFA、エルドステイン、PrEP-001、ネドクロミル、CDX-0158、サルブタモール、エノボサーム、R-TPR-022、レンジルマブ、フロ酸フルチカゾン、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロール、PT-007、PRS-060、レメステムセル-L、シトルリン、RPC-4046、一酸化窒素、DS-102、ゲリリムズマブ、Actair、フロ酸フルチカゾン、ウメクリジニウム、ビランテロール、AG-NPP709、Gamunex、インフリキシマブ、Ampion、アクマピモド、カナキヌマブ、INS-1007、CYP-001、シルクマブ、プロピオン酸フルチカゾン、メポリズマブ、ピタバスタチン、ソリスロマイシン、エタネルセプト、アイバカフトール、アナキンラ、MPC-300-IV、グリコピロニウムブロミド、アクリジニウムブロミド、FP-025、リサンキズマブ、グリコピロニウム、フマル酸ホルモテロール、Adipocell、YPL-001、チオトロピウムブロミド、グリコピロニウムブロミド、インダカテロールマレイン酸塩、アンデカリキシマブ、オロダテロール、エソメプラゾール、チリダニワクチン、ヨモギ花粉アレルゲンワクチン、バモロロン、ゲーファピキサント、レベフェナシン、ゲフィチニブ、ReJoin、チペルカスト、ベドラドリン、SCM-CGH、SHP-652、RNS-60、ブロダルマブ、BIO-11006、ウメクリジニウムブロミド、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、イプラトロピウムブロミド、トラロキヌマブ、PUR-1800、VX-561、VX-371、オロパタジン、ツロブテロール、フマル酸ホルモテロール、トリアムシノロンアセトニド、レスリズマブ、キシナホ酸サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フマル酸ホルモテロール、チオトロピウムブロミド、リゲリズマブ、RUTI、ベルチリムマブ、オマリズマブ、グリコピロニウムブロミド、SENS-111、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、CHF-5992、LT-4001、インダカテロール、グリコピロニウムブロミド、フロ酸モメタゾン、フェキソフェナジン、グリコピロニウムブロミド、アジスロマイシン、AZD-7594、ホルモテロール、CHF-6001、バテフェンテロール、OATD-01、オロダテロール、CJM-112、ロシグリタゾン、サルメテロール、セチピプラント、吸入インターフェロンベータ、AZD-8871、プレカナチド、フルチカゾン、サルメテロール、エイコサペンタエン酸モノグリセリド、レブリキズマブ、RG-6149、QBKPN、モメタゾン、インダカテロール、AZD-9898、ピルビン酸ナトリウム、ジロートン、CG-201、イミダフェナシン、CNTO-6785、CLBS-03、モメタゾン、RGN-137、プロカテロール、ホルモテロール、CCI-15106、POL-6014、インダカテロール、ベクロメタゾン、MV-130、GC-1112、Allergovacデポー、MEDI-3506、QBW-251、ZPL-389、ウデナフィル、GSK-3772847、レボセチリジン、AXP-1275、ADC-3680、チマピプラント、アベジテロール、AZD-7594、イプラトロピウムブロミド、硫酸サルブタモール、タデキニグアルファ、ACT-774312、ドルナーゼアルファ、イロプロスト、バテフェンテロール、フロ酸フルチカゾン、アリカフォルセン、シクレソニド、エメラミド、アルホルモテロール、SB-010、Ozagrel、BTT-1023、Dectrekumab、レバルブテロール、プランルカスト、ヒアルロン酸、GSK-2292767、ホルモテロール、NOV-14、Lucinactant、サルブタモール、プレドニゾロン、エバスチン、デキサメタゾンシペシル酸エステル、GSK-2586881、BI-443651、GSK-2256294、VR-179、VR-096、hdm-ASIT+、ブデソニド、GSK-2245035、VTX-1463、エメダスチン、デクスプラミペキソール、レバルブテロール、N-6022、リン酸デキサメタゾンナトリウム、PIN-201104、OPK-0018、TEV-48107、スプラタスト、BI-1060469、Gemilukast、インターフェロンガンマ、ダラザチド、ビラスチン、プロピオン酸フルチカゾン、キシナホ酸サルメテロール、RP-3128、ベンシクロキジウムブロミド、レスリズマブ、PBF-680、CRTH2アンタゴニスト、Pranlukast、キシナホ酸サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、チオトロピウムブロミド一水和物、マシルカスト、RG-7990、Doxofylline、アベジテロール、グリコピロニウムブロミド、TEV-46017、ASM-024、プロピオン酸フルチカゾン、グリコピロニウムブロミド、キシナホ酸サルメテロール、サルブタモール、TA-270、フルニソリド、クロモグリク酸ナトリウム、Epsi-gam、ZPL-521、サルブタモール、アビプタジル、TRN-157、ザフィルルカスト、Stempeucel、ペミロラストナトリウム、ナドロール、プロピオン酸フルチカゾン+キシナホ酸サルメテロール、RV-1729、硫酸サルブタモール、二酸化炭素+ペルフルオロオクチルブロミド、APL-1、デクトレクマブ+VAK-694、アセチルサリチル酸リジン、ジロートン、TR-4、ヒト同種脂肪由来間葉系前駆細胞療法、MEDI-9314、PL-3994、HMP-301、TD-5471、NKTT-120、ペミロラスト、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トランチンテロール、アルファルミノール一ナトリウム、IMD-1041、AM-211、TBS-5、ARRY-502、セラトロダスト、組換えミジスマーゼ、ASM-8、デフラザコート、バンブテロール、RBx-10017609、イプラトロピウム+フェノテロール、フルチカゾン+ホルモテロール、エピナスチン、WIN-901X、VALERGEN-DS、OligoG-COPD-5/20、ツロブテロール、oxis Turbuhaler、DSP-3025、ASM-024、ミゾラスチン、ブデソニド+サルメテロール、LH-011、AXP-E、ヒスタミンヒト免疫グロブリン、YHD-001、テオフィリン、アンブロキソール+エルドステイン、ラマトロバン、モンテルカスト、プランルカスト、AG-1321001、ツロブテロール、イプラトロピウム+サルブタモール、トラニラスト、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、コルホルシンダロパート、レピリナスト、およびドキソフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と1またはそれを超える他の治療剤とを含む薬学的組成物も本明細書で提供される。治療剤は、上に特定された作用物質のクラスからおよび上に記載された特定の作用物質のリストから選択され得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、肺への送達に適している。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、吸入または噴霧投与に適している。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、乾燥粉末または液体組成液である。
【0117】
さらに、本開示は、哺乳動物(またはヒト)に本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と1またはそれを超える他の治療剤とを投与することを含む、哺乳動物(例えばヒト)における疾患または障害を処置する方法を提供する。
【0118】
併用療法で使用される場合には、作用物質は、単一の薬学的組成物中に製剤化されてもよく、または作用物質は、同時にもしくは別々の時間に、同一のもしくは異なる投与経路によって投与される別個の組成物で提供されてもよい。このような組成物は、別々に包装することができ、またはキットとして一緒に包装され得る。キット中の2またはそれを超える治療剤は、同一の投与経路または異なる投与経路によって投与され得る。
【実施例】
【0119】
以下の合成および生物学の実施例は、本発明を例証するために提供されるのであって、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。下記の実施例では、以下の省略形は、別段示されない限り、以下の意味を有する。下記に定義されない省略形は、それらの一般に認められている意味を有する。
【0120】
略語
ACN = アセトニトリル
ビス(ピナコラト)ジボロン = 4,4,5,5,4’,4’,5’,5’-オクタメチル[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル]
Calcd = 計算値
DCM = ジクロロメタン
DIPEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA = ジメチルアセトアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
PdCl2(dppf) = [1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Eq = 当量
EtOAc = 酢酸エチル
h = 時間
HATU = N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBTU = N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
IPA = イソプロピルアルコール
MeOH = メタノール
min = 分
NaHMDS = ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NBS = N-ブロモスクシンイミド
Pd(PPh3)4 = テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
RT = 室温
SEM = 2-(トリメチルシリル)エトキシメチル
SEMCl = 2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド
TBAF = テトラ-N-ブチルアンモニウムフルオリド
TBDPSCl = tert-ブチル(クロロ)ジフェニルシラン
TEA = トリエチルアミン
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
THP = テトラヒドロピラン
【0121】
試薬および溶媒は、商業的供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製せずに使用した。反応混合物の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(anal.HPLC)および質量分析法によってモニターした。反応混合物は、各反応において具体的に記載されるようにワークアップした。通常、反応混合物は、抽出ならびに温度および溶媒依存性の結晶化および沈殿などの他の精製方法によって精製した。さらに、反応混合物は、代表的にはC18またはBDSカラムパッキングおよび従来の溶離剤を用いる、カラムクロマトグラフィーまたは分取HPLCによって慣用のように精製した。代表的な分取HPLC条件は、下記に記載される。
【0122】
反応生成物の特徴付けは、質量分析法および1H-NMR分光法によって通例のように行った。NMR解析の場合、サンプルを重水素化溶媒(例えば、CD3OD、CDCl3またはd6-DMSO)に溶解し、標準的な観測条件下でVarian Gemini 2000装置(400MHz)を用いて1H-NMRスペクトルを取得した。化合物の質量分析同定は、自動精製システムに連結された、Applied Biosystems(Foster City,CA)のモデルAPI 150 EX装置またはWaters(Milford,MA)の3100装置を用いるエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)によって行った。
【0123】
分取HPLC条件
カラム:C18、5μm。21.2×150mmまたはC18、5μm 21×250または
C14、5μm 21×150mm
カラム温度:室温
流速:20.0mL/分
移動相:A=水+0.05%TFA
B=ACN+0.05%TFA、
注入体積:(100~1500μL)
検出器波長:214nm
【0124】
粗化合物を約50mg/mLで1:1水:酢酸に溶解した。4分間の分析スケールの試験ランを、2.1×50mm C18カラムを用いて行った後、15または20分間の分取スケールのランを、分析スケールの試験ランの%B保持に基づくグラジエントを伴う100μLの注入を用いて行った。正確なグラジエントは、サンプル依存的であった。近くを流れる(close running)不純物を含むサンプルは、最善の分離のために21×250mm C18カラムおよび/または21×150mm C14カラムを用いて調べた。所望の生成物を含む画分を質量分析によって特定した。
【0125】
(2-((3-エチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)メトキシ)エチル)トリメチルシラン(I-7)の調製
【化16】
【0126】
(a)(2-((3-エチルフェノキシ)メトキシ)エチル)トリメチルシラン(I-5)
0℃に冷却したDMF(1.50L)中3-エチルフェノール(I-4)(200g、1.64mol)の撹拌溶液に、NaH(78.6g、1.96mol)を分割添加した。次いで、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで、SEMCl(300g、1.80mol)を0℃で滴下して加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷水(2.0L)でクエンチし、酢酸エチル(2×1.0L)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(1.0L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中5~10% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を清澄な液体として得た(305g、収率74%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.17 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.88 - 6.77 (m, 3H), 5.20 (s, 2H), 3.69 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.56 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.16 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H).
【0127】
(b)(2-((4-ブロモ-3-エチルフェノキシ)メトキシ)エチル)トリメチルシラン(I-6)
0℃に冷却したACN(1.40L)中I-5(200g、792mmol)の撹拌溶液に、NBS(141g、792mmol)を30分間にわたって分割添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷冷水(1L)に注ぎ込み、EtOAc(2×1L)で抽出した。合わせた有機層を水(1L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%ヘプタン)によって精製して、所望の生成物(230g、収率88%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.44 (dd, J = 8.8, 1.9 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 6.81 (dt, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 3.73 - 3.64 (m, 2H), 2.63 (qd, J = 7.5, 2.0 Hz, 2H), 1.14 (td, J = 7.6, 1.9 Hz, 3H), 0.95 - 0.79 (m, 2H), 0.00 (s, 9H).
【0128】
(c)(2-((3-エチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)メトキシ)エチル)トリメチルシラン(I-7)
1,4-ジオキサン(1.00L)中I-6(100g、302mmol)の撹拌溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(76.6g、302mmol)および酢酸カリウム(59.2g、604mmol)を添加した。反応混合物を窒素で15分間脱気し、その後PdCl2(dppf).DCM(24.6g、30.2mmol)を添加した。反応混合物を撹拌し、窒素中110℃で16時間加熱した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物をEtOAc(1L)で希釈し、水(1L)で洗浄した。合わせた有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中0~10% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を黄色液体(75.0g、収率66%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.57 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.87 - 6.77 (m, 2H), 5.21 (d, J = 13.2 Hz, 2H), 3.69 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.80 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.27 (s, 12H), 1.11 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.91 - 0.84 (m, 2H), 0.00 (s, 9H).
【0129】
3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-12)の調製
【化17】
【0130】
(a)4-ブロモ-2-フルオロベンゾイルクロリド(I-9)
DCM(300mL)およびDMF(4.0mL)中4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(I-8)(50.0g、228mmol)の撹拌溶液に、0℃で塩化オキサリル(96.57mL、913mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応の完了後(TLCによるモニタリング、MeOHでクエンチすることによってチェックする)、反応物を(窒素中)減圧下で濃縮して、灰白色固体(54.2g)を得た。それをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0131】
(b)(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)メタノン(I-10)
アセトニトリル(165mL)中1-ベンジル-1H-イミダゾール(30.0g、190mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(133.4mL、949mmol)を室温で添加した。I-9の化合物(54.2g、228mmol)を別にアセトニトリル(165ml)に入れ、反応混合物に添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。TLCは、出発材料の消費を示した。反応を冷水(500mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×600mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(79.0g、収率58%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.80 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 9.7, 1.8 Hz, 1H), 7.61 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.54 (dd, J = 8.3, 1.8 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 8.1, 6.5 Hz, 2H), 7.32 - 7.26 (m, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.22 (dd, J = 6.9, 1.8 Hz, 2H), 5.70 (s, 2H).(m/z):[M+H]+ C17H13BrFN2Oの計算値359.02、実測値358.97。
【0132】
(c)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-1H-インダゾール(I-11)
DMSO(105mL)中I-10(53.0g、147.5mmol)の撹拌溶液に、室温でヒドラジン水和物(72.5mL、1475.5mmol)を滴下して加えた。反応混合物を90℃で3時間撹拌した。3時間後、TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷冷水(800mL)で希釈し、沈殿が認められた。反応物を濾過し、氷冷水(500mL)で洗浄して、所望の生成物を灰白色固体として得た(47.0g、収率90%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.36 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.35 (dd, J = 8.6, 1.7 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.1, 6.5 Hz, 2H), 7.26 - 7.22 (m, 1H), 7.21 - 7.17 (m, 2H), 7.16 (s, 1H), 5.84 (s, 2H).(m/z):[M+H]+ C17H14BrN4の計算値353.04、実測値353.03。
【0133】
(d)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-12)
0℃で酢酸エチル(350mL)中I-11(47.0g、133.1mmol)の撹拌溶液に、TFA(30.5mL、399.1mmol)を添加した。ジヒドロピラン(60.8mL、665.3mmol)を滴下して加えた。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、2日間撹拌した。2日後、TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(400mL)で希釈し、酢酸エチル(2×900mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(800mL)でさらに洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中5% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(40g、収率69%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.37 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 7.33 - 7.25 (m, 2H), 7.25 - 7.19 (m, 3H), 7.19 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 5.94 (dd, J = 8.9, 2.5 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.78 (tp, J = 11.6, 3.8 Hz, 2H), 2.38 - 2.25 (m, 1H), 2.04 - 1.89 (m, 2H), 1.70 (dtt, J = 11.5, 8.5, 4.0 Hz, 1H), 1.62 - 1.45 (m, 2H).(m/z):[M+H]+ C22H22BrN4Oの計算値437.10、実測値437.11。
【0134】
6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(I-15)の調製
【化18】
【0135】
(a)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-13)
ジオキサン(360mL)および水(90.0mL)中I-12(60.0g、137mmol)およびI-7(62.3g、165mmol)の撹拌溶液に、K3PO4(87.4g、412mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンで15分間パージし、次いでそれにPd(PPh3)4(15.9g、13.7mmol)を添加した。次いで、反応物を110℃に加熱し、3時間撹拌した。TLCは、出発材料の消費を示した。反応混合物を水(600mL)で希釈し、酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブライン(600mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10% EtOAC)によって精製した。所望の生成物を清澄な液体として単離した(65g、収率78%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.34 - 7.27 (m, 2H), 7.27 - 7.20 (m, 3H), 7.20 - 7.14 (m, 3H), 7.01 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.94 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 5.98 - 5.87 (m, 2H), 5.85 - 5.74 (m, 1H), 5.27 (s, 2H), 3.82 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.72 (q, J = 10.1, 9.0 Hz, 3H), 2.55 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.35 (s, 1H), 1.98 (s, 2H), 1.79 - 1.64 (m, 1H), 1.55 (s, 2H), 1.04 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C36H45N4O3Siの計算値609.33、実測値609.38。
【0136】
(b)6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-3-(1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-14)
イソプロパノール(450mL)およびTHF(150.0mL)中I-13(65.0g、107mmol)の撹拌溶液に、20% Pd(OH)2/C(60.0g、84.5mmol)を添加した。H2バルーンを使用して、反応混合物を水素化にかけ、室温で16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(500mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、所望の粗生成物(53.0g、収率96%)を無色液体として得た。それをさらに精製することなく、そのまま次のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.68 (s, 1H), 8.38 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 8.3, 3.7 Hz, 2H), 7.14 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.95 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 5.27 (s, 2H), 3.93 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 8.1 Hz, 3H), 2.56 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 2.03 (s, 2H), 1.76 (s, 1H), 1.58 (s, 2H), 1.05 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C29H39N4O3Siの計算値519.28、実測値519.28。
【0137】
(c)6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(I-15)
DMF(400mL)中I-14(43.0g、82.9mmol)の撹拌溶液に、0℃で水素化ナトリウム60%(w/w)(4.97g、124mmol)を添加した。次いで、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、次いで0℃でSEMCl(17.6mL、99.5mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷水(1L)でクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を水(800mL)およびブライン(800mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中15% EtOAc)によって精製した。所望の生成物を灰白色固体として単離した(42.0g、収率66%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.50 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.26 (s, 2H), 7.25 - 7.19 (m, 2H), 7.02 (s, 1H), 6.96 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.93 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 4.03 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.81 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.74 (t, J = 10.0 Hz, 2H), 3.63 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.58 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 2.59 (q, J = 7.5 Hz, 3H), 2.13 (d, J = 16.5 Hz, 2H), 1.83 - 1.70 (m, 2H), 1.10 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.00 (t, J = 8.3 Hz, 2H), 0.88 (q, J = 7.3, 6.5 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H), -0.09 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H53N4O4Si2の計算値649.36、実測値649.49。
【0138】
4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(I-17)の調製
【化19】
【0139】
(a)3-(4-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-16)
NBS(2.74g、15.4mmol)をDCM(100mL)に入れ、0℃でDCM(400mL)中I-15(10.0g、15.4mmol)の撹拌溶液に滴下して加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷水(300mL)でクエンチし、DCM(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートして、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中8~10% EtOAc)によって精製した。所望の生成物を無色非結晶固体として単離した(9.10g、収率81%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.31 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 13.4, 8.4 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 8.4, 2.5 Hz, 1H), 6.09 - 5.94 (m, 3H), 5.27 (s, 2H), 3.89 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.52 (dt, J = 16.0, 8.0 Hz, 2H), 2.55 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.44 (s, 1H), 2.05 (d, J = 11.1 Hz, 2H), 1.77 (s, 1H), 1.59 (s, 2H), 1.23 (s, 1H), 1.03 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 0.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.84 (td, J = 10.5, 9.0, 5.4 Hz, 2H), 0.00 (m, 9H), -0.19 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H52BrN4O4Si2の計算値727.27、実測値727.58。
【0140】
(b)4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(I-17)
THF(100mL)中I-16(32.0g、44.0mmol)の撹拌溶液に、室温でTBAF(THF中1M)(448mL、448mmol)を添加した。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、2日間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、水(3×300mL)およびブライン(300mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中20% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(13.7g、収率66%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.10 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 8.26 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.39 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.4, 1.3 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.69 (dd, J = 8.2, 2.5 Hz, 1H), 5.96 (dd, J = 10.0, 2.4 Hz, 1H), 3.92 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.77 (dt, J = 11.5, 6.9 Hz, 1H), 2.07 (s, 2H), 2.03 (s, 1H), 1.76 (s, 1H), 1.58 (p, J = 5.0 Hz, 2H), 1.04 (t, J = 7.5 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C23H24BrN4O2の計算値469.11、実測値469.36。
【0141】
3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-22)の調製
【化20】
【0142】
(a)4-ブロモ-2,3-ジフルオロベンゾイルクロリド(I-19)
DCM(300mL)およびDMF(915μL、0.1当量、11.8mmol)中4-ブロモ-2,3-ジフルオロ安息香酸(I-18)(28.0g、118mmol)の撹拌溶液に、室温で塩化オキサリル(40.5mL、473mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の完了後(TLCによるモニタリング、MeOHでクエンチすることによってチェックする)、反応物を(窒素中)減圧下で濃縮して、灰白色固体(31.0g)を得た。それをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0143】
(b)(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)(4-ブロモ-2,3-ジフルオロフェニル)メタノン(I-20)
アセトニトリル(100ml)中I-19の化合物(16.0g、101mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(51.2g、506mmol)を添加した。1-ベンジル-1H-イミダゾール(31.0g、121mmol)を、別にアセトニトリル(100mL)に溶解し、室温で反応混合物に添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。TLCは、出発材料の消費を示した。反応を冷水(500mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×600mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10~15% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を薄黄色固体として得た(28.0g、収率73%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.83 (s, 1H), 7.66 (ddd, J = 8.1, 5.9, 1.8 Hz, 1H), 7.46 (ddd, J = 8.4, 6.4, 2.0 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.30 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 7.28 (s, 2H), 7.23 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 5.70 (s, 2H).(m/z):[M+H]+ C17H12BrF2N2Oの計算値377.01、実測値374.94。
【0144】
(c)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-7-フルオロ-1H-インダゾール(I-21)
DMSO(120mL)のI-20(21.7g、57.5mmol)の撹拌溶液に、室温でヒドラジン水和物(28.0mL、575mmol)を滴下して加えた。反応混合物を90℃で3時間撹拌した。3時間後、TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷冷水(2×500mL)で希釈し、沈殿が認められた。反応物を濾過し、氷冷水(500mL)で洗浄して、所望の生成物を灰白色固体として得た(20.0g、収率87%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.19 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.40 (dd, J = 8.6, 5.8 Hz, 1H), 7.30 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.24 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.18 (s, 2H), 5.84 (s, 2H).(m/z):[M+H]+ C17H13BrFN4の計算値373.03、実測値372.94。
【0145】
(d)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-ブロモ-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-22)
酢酸エチル(350mL)中I-21(20.0g、53.9mmol)の撹拌溶液に、TFA(12.4mL、162mmol)を添加した。0℃でジヒドロピラン(23.6mL、269mmol)を滴下して加えた。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、2日間撹拌した。2日後、TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(400mL)で希釈し、酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(800mL)でさらに洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中8~10% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(19.5g、収率78%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.49 (dd, J = 8.6, 5.6 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 8.0, 6.5 Hz, 2H), 7.24 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 2.9 Hz, 2H), 7.19 (s, 1H), 5.87 (dd, J = 6.9, 2.4 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.87 - 3.80 (m, 1H), 3.65 (td, J = 11.1, 3.3 Hz, 1H), 2.36 - 2.27 (m, 1H), 2.01 (s, 1H), 1.75 - 1.67 (m, 1H), 1.61 - 1.42 (m, 1H).(m/z):[M+H]+ C22H21BrFN4Oの計算値455.09、実測値455.06。
【0146】
6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(I-25)の調製
【化21】
【0147】
(a)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-23)
ジオキサン(200mL)および水(20.0mL)中I-22(19.5g、42.8mmol)およびI-7(17.8g、47.1mmol)の撹拌溶液に、K3PO4(27.3g、128mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンで5分間パージし、次いでそれにPdCl2(dppf).DCM(3.49g、4.28mmol)を添加した。次いで、反応物を100℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCは、出発材料の消費を示した。次いで、反応混合物をセライトパッドで濾過し、残渣を酢酸エチル(2×200mL)で洗浄した。次いで、合わせた有機物を冷水(300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中12% EtOAC)によって精製した。所望の生成物を清澄な非結晶固体として単離した(20.0g、収率73%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.29 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.30 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.11 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 8.5, 2.6 Hz, 1H), 5.94 - 5.84 (m, 2H), 5.80 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 3.84 (s, 1H), 3.74 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.58 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.04 (d, J = 14.0 Hz, 2H), 1.69 (s, 1H), 1.53 (s, 2H), 1.44 (s, 1H), 1.24 (s, 1H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.88 - 0.79 (m, 2H), 0.00 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C36H44FN4O3Siの計算値627.32、実測値627.54。
【0148】
(b)6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-24)
イソプロパノール(200mL)およびTHF(50.0mL)中I-23(20.0g、31.9mmol)の撹拌溶液に、20% Pd(OH)2/C(20.0g、163mmol)を添加した。H2バルーンを使用して、反応混合物を水素化にかけ、室温で5時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗製の所望の生成物(18.0g、収率71%)を透明な非結晶固体として得た。それをさらに精製することなく、そのまま次のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.25 (s, 2H), 7.18 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 8.3, 5.9 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.76 (s, 1H), 5.29 (s, 2H), 3.95 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.75 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.65 (s, 1H), 2.44 (s, 2H), 2.09 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 1.75 (s, 1H), 1.57 (s, 2H), 1.44 (s, 1H), 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.91 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C29H38FN4O3Siの計算値537.27、実測値537.36。
【0149】
(c)6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(I-25)
DMF(180mL)中I-24(18.0g、33.5mmol)の撹拌溶液に、0℃で水素化ナトリウム(2.81g、70.3mmol)を添加した。次いで、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。その後、次いで0℃でSEMCl(8.39g、50.3mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷水(300mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(400mL)およびブライン(400mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中20~25% EtOAc)によって精製した。所望の生成物を灰白色固体として単離した(18.0g、収率71%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.22 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.17 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 8.3, 5.9 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 5.99 - 5.88 (m, 3H), 5.29 (s, 2H), 3.92 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.75 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.67 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.51 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.19 - 2.11 (m, 1H), 2.06 (s, 1H), 1.76 (d, J = 13.7 Hz, 2H), 1.57 (s, 2H), 1.00 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.80 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.00, (s, 9H), -0.15 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H52FN4O4Si2の計算値667.35、実測値667.47。
【0150】
3-エチル-4-(3-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(I-27)の調製
【化22】
【0151】
(a)3-(4-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(2-エチル-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-26)
NBS(1.60g、9.0mmol)をDCM(60mL)に入れ、0℃でDCM(240mL)中I-25(6.0g、9.0mmol)の撹拌溶液に滴下して加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(100mL)でクエンチし、DCM(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートして、粗生成物を得た。それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中8~10% EtOAc)によって精製した。所望の生成物を無色非結晶固体として単離した(5.0g、収率60%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.17 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.14 (q, J = 7.6, 6.7 Hz, 2H), 7.03 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 5.98 (s, 1H), 5.92 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 5.28 (s, 2H), 3.92 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.74 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 1H), 3.51 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.44 (d, J = 8.1 Hz, 3H), 2.15 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.06 (s, 1H), 1.77 (s, 1H), 1.57 (s, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.78 (t, J = 8.0 Hz, 3H), 0.00 (s, 9H), -0.17 (d, J = 1.9 Hz, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H51BrFN4O4Si2の計算値747.26、実測値747.26。
【0152】
(b)4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(I-27)
THF(30mL)中I-26(15.0g、20.1mmol)の撹拌溶液に、0℃でTBAF(THF中1M)(52.0mL、18.5mmol)を添加した。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、2日間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中20~25% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(5.25g、収率53%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 9.53 (s, 1H), 8.12 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.13 (dd, J = 8.3, 6.0 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.70 (dd, J = 8.2, 2.6 Hz, 1H), 5.93 - 5.86 (m, 1H), 3.95 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.65 (dt, J = 11.8, 6.6 Hz, 1H), 2.39 (d, J = 7.7 Hz, 3H), 2.09 (q, J = 10.0, 7.3 Hz, 3H), 1.75 (s, 1H), 1.57 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C23H23BrFN4O2の計算値487.10、実測値487.35。
【0153】
tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-33)の調製
【化23】
【0154】
(a)tert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(I-29)
-10℃でTHF(150mL)中(2R,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸(10.0g、43.2mmol)(I-28)の溶液に、4-メチルモルホリン(5.23mL、47.6mmol)を添加し、次いでクロロギ酸イソブチル(6.18mL、47.6mmol)を滴下して加えた。次いで、反応混合物を-10℃で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をそのまま次のステップで使用した。NaBH4(8.18g、216mmol)の水(30.0mL)溶液を、0℃で反応混合物に滴下して加えた。次いで、反応混合物を室温で終夜撹拌させておいた。16時間後、飽和塩化アンモニウム溶液(100ml)の添加によって、反応混合物をクエンチし、その後溶液をEtOAc(3×200ml)で抽出した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、60~70% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-29)を白色固体として得た(8.0g、収率85%)。
【0155】
(b)tert-ブチル(2R,4R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキシレート(I-30)
DMF(50.0mL)中tert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(10.0g、46.0mmol)(I-29)の撹拌溶液に、1H-イミダゾール(9.40g、138mmol)を添加した。次いで、TBDPSCl(12.5mL、46.0mmol)のDMF(30.0mL)溶液を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水で希釈し、EtOAc(3×80mL)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、20~30% EtOAc/ヘプタン中で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-30)を無色液体として得た(6.0g、収率25%)。
【0156】
(c)tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(I-31)
0℃でDCM(70.0mL)中tert-ブチル(2R,4R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキシレート(6.00g、13.2mmol)(I-30)の溶液に、トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(3.37g、14.5mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2分間撹拌した。この溶液に、TEMPO(206mg、1.32mmol)を添加し、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物をセライトで濾過し、パッドをDCMで洗浄した。次いで、得られた有機濾液を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、DCM(3×100ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、20~25% EtOAc/ヘプタン中で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-31)を白色固体として得た(5.0g、収率84%)。
【0157】
(d)tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-32)
窒素雰囲気下、-78℃で乾燥THF(50.0mL)中tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(5.0g、11.0mmol)(I-31)の撹拌溶液に、NaHMDS(THF中1M)(14.3mL、14.3mmol)を滴下して加え、反応混合物を-78℃で45分間撹拌した。次いで、-78℃でN-(5-クロロピリジン-2-イル)-N-(メタンスルホニル)メタンスルホンアミド(5.63g、14.3mmol)の乾燥THF(20.0mL)溶液を滴下して加えた。反応混合物をゆっくり室温まで温め、16時間撹拌し、その後、TLCは、出発材料の消費を示した。次いで、氷冷水の添加によって、反応混合物をクエンチし、得られた溶液をEtOAc(3×120ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、12~15% EtOAc/ヘプタン中で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-32)を無色液体として得た(4.9g、収率73%)。
【0158】
(e)tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-33)
1,4-ジオキサン(50.0mL)中tert-ブチル(R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(4.90g、8.37mmol)(I-32)およびビス(ピナコラト)ジボロン(1.70g、6.69mmol)の撹拌溶液に、酢酸カリウム(2.46g、25.1mmol)を添加した。反応混合物を窒素で10分間パージし、次いで[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(612mg、0.1当量、837μmol)を添加し、反応混合物を110℃で5時間撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドで濾過し、パッドをEtOAc(60ml)で洗浄し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、5% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-33)を淡黄色液体として得た(1.95g、収率40%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.61 - 7.51 (m, 4H), 7.50 - 7.34 (m, 6H), 6.40 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 19.0 Hz, 1H), 4.22 - 3.81 (m, 3H), 3.73 (dd, J = 26.8, 8.9 Hz, 1H), 1.43 (s, 5H), 1.30 (s, 4H), 1.23 (s, 12H), 0.93 (d, J = 4.9 Hz, 9H).
【0159】
tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-42)の調製
【化24】
【0160】
(a)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(I-35)
アセトニトリル(200mL)中(2R,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸(20.0g、86.5mmol)(I-34)の撹拌溶液に、0℃で炭酸カリウム(23.9g、173mmol)をゆっくり添加し、次にヨウ化メチル(24.6g、173mmol)を添加した。反応混合物を、TLCで出発材料が消失するまで(16時間)80℃で加熱した。反応混合物を氷冷水で希釈し、EtOAcで(3回)抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、60~70% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-35)を灰白色固体として得た(21.1g、収率99%)。
【0161】
(b)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(I-36)
ジクロロメタン(100mL)中1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(10.0g、40.8mmol)(I-35)の氷冷溶液に、イミダゾール(8.33g、122mmol)を添加し、得られた溶液を10分間撹拌した。次いで、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(6.76g、44.8mmol)をゆっくり添加し、反応混合物を、TLCで出発材料が消失するまで(16時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、25% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-36)を得た(12.1g、収率77%)。
【0162】
(c)tert-ブチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(I-37)
THF(120mL)中1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(12.0g、33.4mmol)(I-36)の撹拌溶液に、0℃で水素化ホウ素リチウム(THF中2M)(41.7mL、2.5当量、83.4mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、出発材料の消失がTLCによって認められるまで(16時間)室温で撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液の添加によって、反応混合物をクエンチし、EtOAc(200mL)で抽出した。次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。次いで、粗生成物を、20~30% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-37)を得た(11.1g、収率92%)。
【0163】
(d)tert-ブチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(I-38)
DMF(50.0mL)中tert-ブチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(5.00g、15.1mmol)(I-37)の撹拌溶液に、0℃で水素化ナトリウム(905mg、22.6mmol)をゆっくり添加し、反応混合物を30分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(4.28g、30.2mmol)を滴下して加え、反応混合物を、出発材料の消失がTLCによって認められるまで(2時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水で希釈し、EtOAcで(3回)抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。次いで、粗生成物を、25% EtOAc/ヘプタンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-38)を得た(4.1g、収率69%)。
【0164】
(e)tert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(I-39)
THF(40.0mL)中tert-ブチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(4.00g、11.6mmol)(I-38)の撹拌溶液に、0℃でテトラ-N-ブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M)(23.2mL、23.2mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、出発材料の消失がTLCによって認められるまで(16時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を冷水で希釈し、EtOAcで抽出した。次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、25~30% EtOAc/ヘキサンにて溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-39)を得た(2.6g、収率86%)。
【0165】
(f)tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(I-40)
ジクロロメタン(80.0mL)中tert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(7.90g、34.2mmol)(I-39)の撹拌溶液に、デスマーチンペルヨージナン(29.0g、68.3mmol)を添加し、反応混合物を、出発材料の消失がTLCによって認められるまで(16時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドで濾過し、ジクロロメタンですすいだ。次いで、濾液を氷冷水で洗浄し、その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、15% EtOAc/ヘプタンにて溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-40)を得た(6.6g、収率62%)。
【0166】
(g)tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-41)
THF(70.0mL)中tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-オキソピロリジン-1-カルボキシレート(6.50g、28.4mmol)(I-40)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、-78℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M)(31.2mL、31.2mmol)を添加し、反応混合物を30分間撹拌した。次いで、-78℃でN-(5-クロロピリジン-2-イル)-N-(メタンスルホニル)メタンスルホンアミド(12.3g、31.2mmol)のTHF(5.0ml)溶液を滴下して加えた。反応混合物を-78℃で30分間撹拌し、次いで室温まで温め、出発材料の消失がTLCによって認められるまで(16時間)撹拌した。次いで、氷冷水の添加によって、反応混合物をクエンチし、EtOAcで抽出した。次いで、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗生成物を、15% EtOAc/ヘプタンにて溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-41)を得た(5.8g、収率48%)。
【0167】
(h)tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(I-42)
1,4-ジオキサン(58.0mL)中tert-ブチル(R)-2-(メトキシメチル)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(5.80g、16.1mmol)(I-41)の撹拌溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.08g、16.1mmol)および酢酸カリウム(3.15g、32.1mmol)を添加した。次いで、反応混合物をアルゴンで10分間パージし、次に1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン(1.31g、1.61mmol)を添加した。次いで、反応混合物を、TLCおよびLCMSによって完了と判断されるまで(4時間)110℃で撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドで濾過し、次いで、それをEtOAcですすいだ。次いで、濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、5% EtOAc/ヘプタンにて溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物(I-42)を得た(1.9g、収率34%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.35 (s, 1H), 4.53 (s, 1H), 4.10 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 4.01 - 3.85 (m, 1H), 3.61 - 3.51 (m, 1H), 3.47 - 3.36 (m, 1H), 3.23 (d, J = 7.3 Hz, 3H), 1.41 (s, 9H), 1.22 (s, 12H).
【0168】
2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(I-49)の調製
【化25】
【0169】
(a)2-ブロモ-4-フルオロ-5-メトキシベンズアルデヒド(I-44)
水(800mL)中4-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(100g、648mmol)(I-43)の撹拌溶液に、KBr(231g、1946mmol)を添加した。懸濁液を室温で30分間撹拌し、その後、室温でBr2(66.9mL、1297mmol)を滴下して加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。生成物が溶液から沈殿したので濾過によって収集し、水(2×300mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物を淡黄色固体として得た(135g、収率89%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.24 (s, 1H), 7.53 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H).
【0170】
(b)1-(2-ブロモ-4-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-オール(I-45)
乾燥THF(600mL)中I-44の化合物(90.0g、386mmol)の溶液に、0℃で3.0M MeMgCl(386mL、1158mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液(800mL)で注意深くクエンチし、水(300mL)でさらに希釈した。混合物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、所望の生成物を無色液体として得た(80g、収率83%)。反応物をさらに精製することなく、そのままその後のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.47 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 5.50 (s, 1H), 4.88 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 3.85 (s, 3H), 1.28 (d, J = 6.3 Hz, 3H).
【0171】
(c)1-ブロモ-2-エチル-5-フルオロ-4-メトキシベンゼン(I-46)
DCM(800mL)中I-45の化合物(72.0g、289mmol)の撹拌溶液に、0℃でEt3SiH(116mL、723mmol)を添加し、次にTFA(178mL、2312mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗製物をEtOAc(400mL)に溶解し、水(400mL)、飽和NaHCO3溶液(400mL)およびブライン(400mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中1~2% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を得た(42.0g、収率65%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.25 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 2.70 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.22 (q, J = 7.6 Hz, 3H).
【0172】
(d)4-ブロモ-5-エチル-2-フルオロフェノール(I-47)
DCM(150mL)中I-46の化合物(42.0g、180mmol)の撹拌溶液に、0℃でBBr3(26.0mL、270.38mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。0℃でMeOHを滴下して加えることによって、反応混合物を注意深くクエンチした。次いで、反応混合物を水(200mL)で希釈し、DCM(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を緑色液体として得た(30.0g、収率76%)。それをさらに精製することなく、そのまま次のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.25 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.15 (s, 1H), 2.65 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.18 (t, J = 7.6 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C8H9BrFOの計算値218.98、実測値218.91。
【0173】
(e)1-(ベンジルオキシ)-4-ブロモ-5-エチル-2-フルオロベンゼン(I-48)
ACN(200mL)中I-47の化合物(22g、100.4mmol)の溶液に、室温でK2CO3(27.7g、200.9mmol)を添加し、次にBnBr(13.9mL、120.5mmol)を添加した。得られた反応混合物を80℃に加熱し、2時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(300mL)で希釈し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中3~5% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を得た(20.0g、収率65%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.38 (m, 5H), 7.27 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.12 (s, 2H), 2.67 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.17 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
【0174】
(f)2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(I-49)
ジオキサン(150mL)中I-48(15.0g、48.5mmol)の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(12.32g、48.5mmol)およびKOAc(14.3g、145.6mmol)を添加した。反応混合物にアルゴンを5分間散布し、次いでPdCl2(dppf).DCM(3.9g、4.84mmol)を添加した。反応混合物を110℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、酢酸エチルで洗浄した。次いで、濾液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、次いでNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中3~5% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(12.0g、収率69%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.48 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.38 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.35 - 7.28 (m, 1H), 6.82 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 2.84 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.32 (s, 12H), 1.14 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0175】
4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-5-エチル-2-フルオロフェノール(I-54)の調製
【化26】
【0176】
(a)3-(1-ベンジル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-50)
ジオキサン:H2O(16.0mL:4.0mL)中I-22(2.0g、4.40mmol)およびI-49(1.72g、4.84mmol)の撹拌溶液に、Na2CO3(932mg、8.80mmol)を添加した。反応混合物にアルゴンを15分間散布し、次いで反応混合物にPdCl2(dppf).DCM(360mg、0.44mmol)を添加した。次いで、反応混合物を100℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で5時間撹拌した。LCMSおよびTLCは、出発材料の完全消費を示した。次いで、反応混合物をセライトパッドで濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄した。濾液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、冷水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中11% EtOAc)によって精製して、生成物を灰白色固体として得た(2.0g、収率76%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.55 - 7.48 (m, 3H), 7.44 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.40 - 7.33 (m, 1H), 7.30 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.6 Hz, 4H), 7.18 - 7.09 (m, 2H), 5.90 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.88 (s, 2H), 5.80 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 3.84 (s, 1H), 3.61 (t, J = 10.6 Hz, 1H), 3.31 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 2.42 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.02 (s, 1H), 1.69 (s, 1H), 1.53 (s, 1H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C37H35F2N4O2の計算値605.27、実測値605.94。
【0177】
(b)5-エチル-2-フルオロ-4-(7-フルオロ-3-(1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(I-51)
IPA:THF(15mL:5mL)中I-50(2.0g、3.31mmol)の撹拌溶液に、20% Pd(OH)2/C(1.5g)を添加した。H2バルーンを使用して、反応混合物を水素化にかけ、室温で16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、所望の生成物を灰白色固体として得た(1.4g、収率99%)。生成物をさらに精製することなく、そのまま次のステップで使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.22 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.11 (dd, J = 8.2, 5.9 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 5.89 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.95 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.66 (dt, J = 11.5, 6.5 Hz, 1H), 3.38 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 2.56 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 2.36 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.11 (d, J = 11.9 Hz, 2H), 1.76 (s, 1H), 1.57 (s, 2H), 1.09 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 0.98 (t, J = 7.5 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C23H23F2N4O2の計算値425.18、実測値425.10。
【0178】
(c)6-(2-エチル-5-フルオロ-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(I-52)
DMF(20.0mL)中I-51(1.4g、3.30mmol)の撹拌溶液に、0℃でNaH(528mg、13.2mmol)を添加した。次いで、反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでSEMCl(1.76mL、9.90mmol)を滴下して加えた。次いで、反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を氷冷水でクエンチし、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を飽和ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を清澄な非結晶固体として得た(1.5g、収率66%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.24 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.22 - 7.10 (m, 3H), 5.93 (t, J = 8.7 Hz, 4H), 5.36 (s, 2H), 3.92 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.79 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 1H), 3.52 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.28 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 2.42 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 2.15 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 2.08 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.77 (s, 1H), 1.58 (s, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.80 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H), -0.14 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H52F2N4O4Si2の計算値685.34、実測値685.18。
【0179】
(d)3-(4-ブロモ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-イミダゾール-2-イル)-6-(2-エチル-5-フルオロ-4-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メトキシ)フェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(I-53)
DCM(60mL)中I-52(1.5g、2.19mmol)の撹拌溶液を0℃に冷却した。別個のバイアル中で、再結晶NBS(390mg、2.19mmol)をDCM(15.0mL)に溶解し、反応混合物に滴下して加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。TLCは、出発材料の変換を示した。反応混合物を水でクエンチし、DCM(200mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中8.5% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を清澄な非結晶固体として得た(1.3g、収率77%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.19 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.27 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 5.98 (s, 1H), 5.93 (d, J = 9.8 Hz, 2H), 5.36 (s, 2H), 3.93 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.79 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 1H), 3.52 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.30 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 2.41 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 2.15 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.06 (s, 1H), 1.78 (s, 1H), 1.58 (s, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 0.78 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H), -0.17 (s, 9H).(m/z):[M+H]+ C35H50BrF2N4O4Si2の計算値765.25、実測値765.88。
【0180】
(e)4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-5-エチル-2-フルオロフェノール(I-54)
THF(10mL)中I-53(1.3g、1.70mmol)の撹拌溶液に、室温で1.0M TBAF(13mL)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCは、出発材料の完全消費を示した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中18% EtOAc)によって精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(625mg、収率72%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.20 (s, 1H), 9.98 (s, 1H), 8.13 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.15 (dd, J = 8.3, 6.0 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 9.1, 2.2 Hz, 1H), 5.90 (dd, J = 9.9, 2.3 Hz, 1H), 3.95 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.71 - 3.60 (m, 1H), 3.30 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 2.37 (q, J = 7.8 Hz, 2H), 2.11 (d, J = 12.3 Hz, 2H), 1.74 (s, 1H), 1.60 - 1.54 (m, 2H), 0.98 (t, J = 7.5 Hz, 3H).(m/z):[M+H]+ C23H22BrF2N4O2の計算値503.09、実測値502.94。
【0181】
化合物の調製の一般手順
鈴木カップリング反応
【化27】
【0182】
出発材料の4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(I-17)、4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(I-27)、または4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-5-エチル-2-フルオロフェノール(I-54)(1当量)およびボロン酸またはエステル(1.5当量)を、約0.15mmolの濃度のI-17/I-27を達成するのに十分な1,4-ジオキサンに溶解した。次いで、炭酸ナトリウムを水(使用した1,4-ジオキサンの体積の約1/3と等しい体積)に溶解し、得られた溶液を1,4-ジオキサン溶液に添加した。次いで、反応フラスコを窒素でパージした。メタンスルホナト(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-メチルアミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(0.05当量)を添加し、反応混合物を撹拌し、反応がLCMSによって完了と判断されるまで(8~24時間)110℃で加熱した。次いで、反応混合物をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム溶液に分配し、ジクロロメタン層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いでロータリーエバポレーションによって濃縮した。次いで、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(0~10% メタノール/ジクロロメタンのグラジエント)によって精製した。
脱保護反応
【化28】
【0183】
方法A
鈴木反応の生成物を、0.1~0.2mmolの溶液濃度を達成するのに十分な体積のメタノールに溶解し、次いで使用されたメタノールの体積の1/2と等しい濃HClを添加し、反応混合物を撹拌し、LCMSによって完了と判断されるまで(4~24時間)50℃で加熱した。小規模反応(溶液体積<5mL)では、次いで反応混合物を部分濃縮して、メタノールの大部分を除去し、得られた溶液をアセトニトリル/水の混合物で希釈し、逆相クロマトグラフィー(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製した。より大きい規模の反応では、反応混合物をアンモニア水溶液(濃アンモニア溶液を1:5で水に希釈)に滴下して、生成物を沈殿させ、次いでそれを濾過によって収集した。次いで、得られた固体を逆相クロマトグラフィー(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製した。
【0184】
方法B
鈴木反応の生成物を、1,4-ジオキサン中4M HCl(30~40当量)および水(HCl/ジオキサン溶液の体積の20%)の混合物に溶解し、次いで反応混合物を撹拌し、LCMSによって完了と判断されるまで(8~48時間)60℃で加熱した。次いで、反応混合物を凍結させ、凍結乾燥させ、得られた固体を逆相クロマトグラフィー(0~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製した。
【0185】
方法C
鈴木反応の生成物をTFA(30~50当量)に溶解し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(1~24時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物をロータリーエバポレーションによって濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製した。
【0186】
(実施例1)
4-(3-(4-(2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(1)
【化29】
【0187】
一般手順に従って、1.20mmolのI-27を使用し、tert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(341mg、収率57%)。(m/z):[M+H]+ C22H20FN5Oの計算値390.17、実測値390.2。1H NMR (601 MHz, メタノール-d4) δ 7.94 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.05 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.72 (s, 1H), 6.62 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.38 (s, 1H), 4.39 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 2.38 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0188】
(実施例2)
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(2)
【化30】
【0189】
一般手順に従って、4.12mmolのI-27を使用し、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Aを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(1.39g、収率62%)。(m/z):[M+H]+ C23H22FN5Oの計算値404.18、実測値404.1。1H NMR (601 MHz, メタノール-d4) δ 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.08 (dd, J = 8.3, 6.1 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.63 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.45 (s, 1H), 3.85 (s, 2H), 3.42 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.76 (s, 2H), 2.38 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 0.94 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
【0190】
(実施例3)
3-エチル-4-(3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(3)
【化31】
【0191】
一般手順に従って、4.28mmolのI-17を使用し、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Aを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(1.17g、収率55%)。(m/z):[M+H]+ C23H23N5Oの計算値386.19、実測値386.1。1H NMR (601 MHz, メタノール-d4) δ 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.20 (dd, J = 8.4, 1.4 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.60 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.47 (s, 1H), 3.86 (s, 2H), 3.43 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.76 (s, 2H), 2.47 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 0.97 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0192】
(実施例4)
3-エチル-4-(3-(4-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(4)
【化32】
【0193】
一般手順に従って、0.096mmolのI-17を使用し、tert-ブチル5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Cを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(10mg、収率40%)。(m/z):[M+H]+ C23H23N5Oの計算値386.19、実測値386.2。
【0194】
(実施例5)
4-(3-(4-(2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(5)
【化33】
【0195】
一般手順に従って、0.214mmolのI-17を使用し、tert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(29mg、収率28%)。(m/z):[M+H]+ C22H21N5Oの計算値372.18、実測値372.2。1H NMR (601 MHz, メタノール-d4) δ 8.11 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.22 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.62 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.51 (s, 1H), 4.43 (s, 2H), 4.27 (s, 2H), 2.48 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 0.98 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0196】
(実施例6)
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(6)
【化34】
【0197】
一般手順に従って、2.06mmolのI-27を使用し、tert-ブチル5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートをボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(0.65g、収率61%)。(m/z):[M+H]+ C23H22FN5Oの計算値404.18、実測値404.1。1H NMR (601 MHz, メタノール-d4) δ 7.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.06 (dd, J = 8.2, 6.1 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.62 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 4.04 (s, 2H), 3.34 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.57 (s, 2H), 2.38 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 0.94 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
【0198】
(実施例7)
4-(3-(4-(3-オキサ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナ-6-エン-7-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(7)
【化35】
【0199】
一般手順に従って、0.214mmolのI-17を使用し、7-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノナ-6-エン-9-カルボン酸tert-ブチルエステルをボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(14mg、収率12%)。(m/z):[M+H]+ C25H25N5O2の計算値428.20、実測値428.0。
【0200】
(実施例8)
(R)-3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(8)
【化36】
【0201】
一般手順に従って、1.24mmolのI-27を使用し、I-33をボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(306mg、収率42%)。(m/z):[M+H]+ C23H22FN5O2の計算値420.18、実測値420.1。
【0202】
(実施例9)
(R)-3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(5-(メトキシメチル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(9)
【化37】
【0203】
一般手順に従って、0.103mmolのI-27を使用し、I-42をボロン酸エステルとして使用し、方法Bを脱保護に使用して、表題化合物のTFA塩を得た(29mg、収率51%)。(m/z):[M+H]+ C24H24FN5O2の計算値434.19、実測値434.2。
【0204】
(実施例10)
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1-(3-ヒドロキシシクロブチル)-1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(10)
【化38】
【0205】
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.039mmol)および3-ヒドロキシシクロブタノン(7mg、0.077mmol)をメタノール(1mL)に溶解した。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(12mg、0.193mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~75% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(17.3mg、収率75%)。(m/z):[M+H]+ C27H28FN5O2の計算値474.23、実測値474.1。
【0206】
(実施例11)
4-(3-(4-(1-((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1H-インダゾール-6-イル)-3-エチルフェノール(11)
【化39】
【0207】
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.039mmol)および1H-ピラゾール-4-カルボキサルデヒド(7mg、0.077mmol)をメタノール(1mL)に溶解した。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(12.14mg、0.193mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を、分取HPLC(5~75% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(15.1mg、収率65%)。(m/z):[M+H]+ C27H26FN7Oの計算値484.22、実測値484.1。
【0208】
(実施例12)
2-(4-(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-7-フルオロ-1H-インダゾール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)-N-メチルアセトアミド(12)
【化40】
【0209】
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.039mmol)、2-ブロモ-N-メチル-アセトアミド(7mg、0.046mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.027ml、0.155mmol)をDMF(1mL)に溶解した。次いで、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)50℃で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~75% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(8.8mg、収率38%)。(m/z):[M+H]+ C26H27FN6O2の計算値475.22、実測値475.1。
【0210】
(実施例13)
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(13)
【化41】
【0211】
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(30mg、0.058mmol)およびヒドロキシアセトン(21mg、0.290mmol)をメタノール(1.0ml)に溶解し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(22mg、0.348mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)50℃で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(28.4mg、収率85%)。(m/z):[M+H]+ C26H28FN5O2の計算値462.23、実測値462.1。
【0212】
(実施例14)
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1-(3-ヒドロキシプロピル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(14)
【化42】
【0213】
3-エチル-4-(7-フルオロ-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(30.0mg、0.058mmol)および3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)プロパノール(22mg、0.116mmol)をメタノール(1.0ml)に溶解し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(18mg、0.290mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、シリル保護中間体を3mLのアセトニトリル:水(1:1)に溶解した。次いで、0.5mLのTFAを添加し、溶液を、LCMSによってシリル基が完全に除去されたと判断されるまで(30分間)室温で放置した。次いで、溶液を濾過し、分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(17.1mg、収率51%)。(m/z):[M+H]+ C26H28FN5O2の計算値462.23、実測値462.2。
【0214】
(実施例15)
3-エチル-4-(3-(4-(1-(1-メチルアゼチジン-3-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(15)
【化43】
【0215】
3-エチル-4-(3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.040mmol)および1-メチルアゼチジン-3-オン塩酸塩(15mg、0.120mmol)をメタノール(1ml)に溶解し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(13mg、0.200mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)50℃で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(14.1mg、収率52%)。(m/z):[M+H]+ C27H30N6Oの計算値455.25、実測値455.2。
【0216】
(実施例16)
(S)-6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-7-フルオロ-3-(4-(1-プロリル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール(16)
【化44】
【0217】
3-エチル-4-(7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.033mmol)、N-Boc-L-プロリン(11mg、0.050mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(17μL、0.10mmol)をDMF(1mL)に溶解した。次いで、HATU(19mg、0.050mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(24時間)室温で撹拌した。次いで、ヒドラジン(5μl、0.166mmol)を添加して、望ましくない副生成物を切断し、反応混合物を濃縮した。次いで、残渣をTFA(1mL)に溶解し、LCMSがBoc保護基の完全除去を示すまで(30分間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(12.9mg、収率63%)。(m/z):[M+H]+ C28H29FN6O2の計算値501.24、実測値501.3。
【0218】
(実施例17)
(R)-3-エチル-4-(3-(4-(1-(モルホリン-3-イルメチル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール(17)
【化45】
【0219】
3-エチル-4-(3-(4-(1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)フェノール、TFA(20mg、0.040mmol)および(S)-N-Boc-3-モルホリンカルバルデヒド(13mg、0.060mmol)をメタノール(1.0ml)に溶解し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(10mg、0.160mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(48時間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をTFA(1mL)に溶解し、LCMSによってBoc基の完全除去が認められるまで(10分間)室温で撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70% アセトニトリル/水のグラジエント、0.05% TFAを含む)によって精製して、表題化合物のTFA塩を得た(7.8mg、収率27%)。(m/z):[M+H]+ C28H32N6O2の計算値485.26、実測値485.2。
【0220】
(実施例18)
4-(3-(4-(2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1H-インダゾール-6-イル)-5-エチル-2-フルオロフェノール(18)
【化46】
【0221】
4-(3-(4-ブロモ-1H-イミダゾール-2-イル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-5-エチル-2-フルオロフェノール(200mg、0.397mmol)(I-54)およびtert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(176mg、0.596mmol)をジオキサン(4.0ml)に溶解し、次いで水(2.0ml)中炭酸ナトリウム(126mg、1.192mmol)を添加した。反応バイアルを窒素でパージし、次いでメタンスルホナト(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリ-i-プロピル-1,1’-ビフェニル)(2’-メチルアミノ-1,1’-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(17.10mg、0.020mmol)を添加し、反応混合物を、LCMSによって完了と判断されるまで(16時間)110℃で撹拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム溶液に分配し、その後、ジクロロメタン層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。次いで、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(0~10% メタノール/ジクロロメタンのグラジエント)によって精製して、保護中間体のtert-ブチル3-(2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(183mg、収率78%)を得た。次いで、一般手順からの方法Bを使用して、この中間体を脱保護して、表題化合物のTFA塩を得た(107mg、収率54%)。(m/z):[M+H]+ C22H19F2N5Oの計算値408.16、実測値408.2。
【0222】
以上の実施例に記載されている手順または同様の合成法および適切な反応物を使用して、以下の表4中の化合物を調製した。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【表4-12】
【表4-13】
【表4-14】
【表4-15】
【表4-16】
【表4-17】
【表4-18】
【表4-19】
【表4-20】
【表4-21】
【表4-22】
【表4-23】
【表4-24】
【表4-25】
【表4-26】
【表4-27】
【表4-28】
【表4-29】
【表4-30】
【表4-31】
【表4-32】
【表4-33】
【表4-34】
【表4-35】
【表4-36】
【表4-37】
【表4-38】
【表4-39】
【表4-40】
【表4-41】
【表4-42】
【表4-43】
【表4-44】
【表4-45】
【表4-46】
【表4-47】
【表4-48】
【表4-49】
【表4-50】
【表4-51】
【表4-52】
【表4-53】
【表4-54】
【表4-55】
【表4-56】
【表4-57】
【表4-58】
【表4-59】
【表4-60】
【表4-61】
【表4-62】
【表4-63】
【表4-64】
【表4-65】
【表4-66】
【表4-67】
【表4-68】
【表4-69】
【0223】
生物学的アッセイ
【0224】
本発明および本開示の化合物は、以下の生物学的アッセイのうちの1つまたはそれより多くにおいて特徴を決定された。
アッセイ1:生化学的JAKキナーゼアッセイ
【0225】
4つのLanthaScreen JAK生化学的アッセイのパネル(JAK1、2、3およびTyk2)を、通常のキナーゼ反応緩衝液(50mM HEPES,pH7.5、0.01%Brij(登録商標)-35、10mM MgCl2および1mM EGTA)に含めた。組換えGSTタグ化JAK酵素およびGFPタグ化STAT1ペプチド基質をLife Technologiesから入手した。
【0226】
段階希釈した化合物を、それらの4つのJAK酵素の各々および基質とともに、白色384ウェルマイクロプレート(Corning)において周囲温度で1時間プレインキュベートした。続いて、ATPを加えて、1%DMSOを含む10μLの総体積でキナーゼ反応を開始した。JAK1、2、3およびTyk2に対する最終的な酵素濃度は、それぞれ4.2nM、0.1nM、1nMおよび0.25nMであり;使用された対応するKm ATP濃度は、25μM、3μM、1.6μMおよび10μMであり;基質濃度は、4つすべてのアッセイについて200nMである。キナーゼ反応を周囲温度で1時間進めた後、TR-FRET希釈緩衝液(Life Technologies)中のEDTA(最終濃度10mM)およびTb-抗pSTAT1(pTyr701)抗体(Life Technologies,最終濃度2nM)の10μL調製物を加えた。そのプレートを周囲温度で1時間インキュベートした後、EnVisionリーダー(Perkin Elmer)において読み出した。発光シグナル比(Emission ratio signals)(520nm/495nm)を記録し、それを用いて、DMSOに基づくパーセント阻害値およびバックグラウンドコントロールを算出した。
【0227】
用量反応解析の場合、パーセント阻害のデータを化合物の濃度に対してプロットし、Prismソフトウェア(GraphPad Software)を用いて、4パラメータのロバストな適合モデルからIC50値を決定した。結果は、pIC50(IC50の対数に負号をつけたもの)として表され、続いてCheng-Prusoff式を用いてpKi(解離定数Kiの対数に負号をつけたもの)に変換した。
【0228】
4つのJAKアッセイにおいてより低いKi値またはより高いpKi値を有する試験化合物は、JAK活性のより大きな阻害を示す。
【0229】
アッセイ2:細胞JAKI効力アッセイ
【0230】
BEAS-2Bヒト肺上皮細胞(ATCC)におけるインターロイキン-13(IL-13、R&D Systems)誘導性STAT6リン酸化の阻害を測定することによって、JAKI細胞効力アッセイを実施した。BEAS-2B細胞を、5% CO2加湿インキュベータにおいて、37℃で10% FBS(Hyclone)、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン(Life Technologies)、および2mM GlutaMAX(Life Technologies)を補充した50% DMEM/50% F-12培地(Life Technologies)中で増殖させた。アッセイの1日目に、25μLの培地を含む白色のポリ-D-リシン-コーティング384-ウェルプレート(Corning)に、細胞を7,500細胞/ウェルという密度で播種し、インキュベータにおいて終夜接着させた。アッセイの2日目に、培地を除去し、試験化合物の用量反応を含む12μLのアッセイ緩衝液(ハンクスバランス塩類溶液/HBSS、25mM HEPES、および1mg/ml ウシ血清アルブミン/BSA)で置き換えた。化合物をDMSOに段階希釈し、次いで培地にもう1000倍希釈して、最終のDMSO濃度を0.1%にした。細胞を、37℃で試験化合物と1時間インキュベートし、次に12μlの予熱したIL-13(アッセイ緩衝液中80ng/mL)を添加して刺激した。37℃で30分間インキュベートした後、アッセイ緩衝液(化合物およびIL-13を含む)を除去し、10μLの細胞溶解緩衝液(25mM HEPES、0.1% SDS、1% NP-40、5mM MgCl2、1.3mM EDTA、1mM EGTA、Roche DiagnosticsからのComplete Ultraミニプロテアーゼ阻害剤およびPhosSTOPを補充)。検出試薬を添加する前に、プレートを周囲温度で30分間振盪した。PerkinElmerからのAlphaLISA SureFire Ultra pSTAT6(Tyr641)アッセイキットを使用して、pSTAT6のレベルを測定した。用量反応分析では、パーセント阻害のデータを化合物濃度に対してプロットし、Graphpad Prismソフトウェアを用いて、4-パラメータロバスト適合モデルから、IC50値を決定した。結果を、IC50値の負の対数pIC50として表す。
【0231】
このアッセイにおいてより低いIC50値またはより高いpIC50値を有する試験化合物は、IL-13誘導性STAT6リン酸化の阻害の増大を示す。
【0232】
in vitroアッセイ結果
【0233】
化合物を、BEAS-2B細胞効力アッセイならびに上記のJAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2という4つのJAK酵素アッセイのうち少なくとも2つにおいて試験した。
【0234】
以下の表において、JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2酵素アッセイでは、Aは、pK
i値≧10(K
i≦0.1nM)を表し、Bは、9(が含まれる)~10のpK
i値(1nM~0.1nMのK
i)を表し、Cは、8(が含まれる)~9のpK
i値(10nM~1nMのK
i)を表し、Dは、7(が含まれる)~8のpK
i値(100nM~10nMのK
i)を表し、Eは、7またはそれ未満のpK
i値(100nMまたはそれよりも高いK
i)を表す。BEAS2B効力アッセイでは、Aは、8(が含まれる)~8.5のpIC
50値を表し、Bは、7.5(が含まれる)~8のpIC
50値を表し、Cは、7(が含まれる)~7.5のpIC
50値を表し、Dは、6.5(が含まれる)~7のpIC
50値を表し、Eは、6.0~6.5のpIC
50値を表す。表1中の空白は、試験していないことを意味する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【0235】
アッセイ3:肺組織におけるIL-13誘導性pSTAT6誘導のマウス(Murine)(マウス(Mouse))モデル
【0236】
IL-13は、次いで、STAT6をリン酸化し、キナーゼのヤヌスファミリー(JAK)のメンバーを活性化する細胞表面受容体に結合し、これはその後、さらなる転写経路を活性化する。記載されたモデルでは、IL-13の用量をマウスの肺内に局所的に送達して、STAT6のリン酸化(pSTAT6)を誘導し、次いで、これを評価項目として測定した。
【0237】
アッセイでは、Harlanから得た成体balb/cマウスを使用した。研究当日に、イソフルランで動物を軽く麻酔し、ビヒクルまたは試験化合物(0.5mg/mL、数回の呼吸にわたって50μLの総体積)のいずれかを経口吸引によって投与した。
【0238】
投与後に、動物を横向きに寝かせ、麻酔からの完全な回復をモニターした後、ホームケージに戻した。8時間後、動物をもう一度短時間麻酔し、経口吸引によってビヒクルまたはIL-13(送達された総用量0.03μg、総体積50μL)のいずれかを負荷した後、麻酔からの回復についてモニターし、ホームケージに戻した。ビヒクルまたはIL-13投与の1時間後、AlphaLISA Immunoassay(PerkinElmer)を使用する両pSTAT6検出のために、肺を収集し、全薬物濃度について分析した。
【0239】
本開示の選択された化合物をこのアッセイにおいて試験した。このモデルにおける活性は、ビヒクル処置され、IL-13を負荷された対照動物と比較した、9時間で処置された動物の肺中に存在するpSTAT6のレベルの減少によって証明される。いずれの実験においても、ビヒクルで処置され、IL-13を負荷された対照動物と、ビヒクルで処置され、ビヒクルを負荷された対照動物との差が、それぞれ0%および100%の阻害効果を規定した。例示的な化合物をこのアッセイにおいて試験し、そして以下に記述されるように、IL-13負荷の9時間後にSTAT6リン酸化の阻害を示した。
【0240】
以下の表において、Aは、80%~100%阻害を表し、Bは、60%~80%阻害を表し、Cは、40%~60%阻害を表す。
【表2】
【0241】
アッセイ4:試験化合物の経口吸引投与後のマウスにおける血漿および肺における薬物動態
【0242】
試験化合物の血漿中および肺中濃度を定量し、薬物動態パラメータを以下のように計算した。Charles River Laboratoriesからの雄性CD1マウスを薬物動態試験で使用した。試験化合物を、0.2mg/mLの濃度でクエン酸緩衝液(pH 4)中20%プロピレングリコール中で個別に製剤化した。動物にイソフルランを使用して麻酔をかけてから、試験化合物を、目盛り付きピペットを使用して経口吸引によって各々のマウスの気管に導入して、25μL単位で2回増やして投与した。投与0.167、1、4、8、および24時間後に心臓穿刺によって、血液試料を終末収集物として収集した。CO2吸入後に、肺穿刺を回避しながら、直接心臓穿刺を行い、血液を直ちにK2EDTAチューブに移し込み、氷上に置いた。血液試料を、4℃で4分間、約12,000rpmで(Eppendorf遠心機、5804R)遠心して、血漿を収集した。これらのマウスから、インタクトな肺も同じ時点(0.167、1、4、8、および24時間)を使用して切除した。肺を滅菌水で洗浄して、いずれの血液残渣も除去し、軽くたたいて乾燥させ、秤量し、水中0.1%ギ酸中、1:3(肺:水、重量/体積)の希釈で均質化した。血漿および肺の試験化合物濃度を、試験マトリックスにおいて標準曲線に作成された分析標準に対してLC-MS/MS分析によって決定した。試験化合物の薬物動態パラメータを非コンパートメント分析によって決定した。定量化限界未満の濃度では、ゼロを平均の計算に使用した。ある時点において試料の50%より多くが定量化限界未満である場合または計算された薬物動態パラメータの50%より多くが報告できない場合、平均値を報告しなかった。無限時間に外挿された濃度-時間曲線下面積(AUC(0-inf))は、以下の通り計算された:AUC(0-inf)=AUC(0-t)+Clast/k、ここで、AUC(0-t)は、線形台形則によって計算された投与から最後の測定可能な濃度までの時間の濃度-時間曲線下面積であり、Clastは、最後の測定可能な濃度であり、kは、時間対log濃度の線形回帰によって推定される、終末消失期と関連した一次速度定数である。肺と血漿のAUC比を、肺AUC(0-inf)(単位:μg・時/g)の血漿AUC(0-inf)(単位:μg・時/mL)に対する比として決定した。
【0243】
以下の表において、血漿AUC
(0-24)では、Aは、0.5未満の値を表し、Bは、0.5~1の値を表し、Cは、1~1.5の値を表す。肺組織AUC
(0-24)では、Aは、100~200の値を表し、Bは、50~100の値を表し、Cは、9~50の値を表す。肺曝露の血漿曝露に対する比では、Aは、300~410の比を表し、Bは、200~300の比を表し、Cは、100~200の比を表し、Dは、50~100の比を表し、Eは、30~50の比を表す。
【表3-1】
【表3-2】
【0244】
本発明は、その特定の態様または実施形態を参照して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、等価物で置換され得ることが当業者によって理解される。さらに、適用される特許法および規則によって認められる限りにおいて、本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、各文書が個別に参照により本明細書中に援用されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】