(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】筋標的化複合体およびフリードライヒ運動失調症を処置するためのその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240628BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240628BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240628BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240628BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C07K16/28
C12Q1/02
A61K48/00
A61P25/00
A61K31/7115
A61K31/712
A61K47/68
A61K47/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578940
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022033956
(87)【国際公開番号】W WO2022271543
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521048956
【氏名又は名称】ダイン セラピューティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNE THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】1560 Trapelo Road,Waltham,MA 02451,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニアン,ロメシュ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】デジャルダン,コディ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベスクロヴナヤ,オクサナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーデン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】カタナニ,モハマド,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】クイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ナジム,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コテリアンスキー,ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ダンカン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QR35
4B063QR48
4B063QS38
4B063QS40
4B063QX10
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4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC54
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、FXN RNAを標的化するように設計されたオリゴヌクレオチド(例として、ギャップマーなどのアンチセンスオリゴヌクレオチド)およびオリゴヌクレオチドを細胞(例として、筋細胞)へ送達するための標的化複合体ならびにその使用、特に疾患の処置に関する使用に関する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋細胞上の内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、疾患関連反復を含むFXN対立遺伝子の発現または活性を増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FXN発現を増加させるように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体であって、ここでオリゴヌクレオチドが、FXN RNAの反復領域に対する相補性領域を含み、ここで反復領域が、配列番号162~164のいずれか1つに示される標的配列を含み、およびここで相補性領域が、少なくとも12ヌクレオチド長である、前記複合体。
【請求項2】
筋標的化剤が、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体である、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドが、配列番号165~176のいずれか1つの少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み、ここでUの各々が、任意にかつ独立して、Tであり、
任意にここでオリゴヌクレオチドが、配列番号165~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、およびここでUの各々が、任意にかつ独立して、Tである、請求項1または請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドが、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、ここで
Xが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでX中のヌクレオシドの少なくとも1個が、2'-修飾ヌクレオシドであり;
Yが、6~14個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここでY中の各シチジンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シチジンであり;および
Zが、3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでZ中のヌクレオシドの少なくとも1個が、2'-修飾ヌクレオシドである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ここで
Xが、5個の連結されたヌクレオシドを含み、およびX中の各ヌクレオシドが、2'-MOE修飾ヌクレオシドであり;
Yが、10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここでY中の各シチジンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シチジンであり;ならびに
Zが、5個の連結されたヌクレオシドを含み、およびZ中の各ヌクレオシドが、2'-MOE修飾ヌクレオシドである、請求項4に記載の複合体。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドが、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ここで
Xが、5個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでX中の各ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドであり;
Yが、10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここでY中の各シチジンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シチジンであり;および
Zが、5個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでZ中の各ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、請求項4に記載の複合体。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドが、配列番号171~173のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ここで
Xが、3個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでX中の各ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドであり;
Yが、14個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここでY中の各シチジンが、任意にかつ独立して、5-メチル-シチジンであり;および
Zが、3個の連結されたヌクレオシドを含み、ここでZ中の各ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、請求項4に記載の複合体。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドが、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、および
オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが、2'-MOE修飾ヌクレオシドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドが、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ならびに
オリゴヌクレオチド中の各Tが、LNAヌクレオシドであり、およびオリゴヌクレオチド中の各Cが、5-メチル-デオキシシチジンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、配列番号174~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ならびに
オリゴヌクレオチド中の各Cが、LNAヌクレオシドであり、および各Tが、デオキシチミジンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドが、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含み、
任意にここでオリゴヌクレオチド中の各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、
【表1-1】
【表1-2】
(ここで「xdC」は、5-メチル-デオキシシチジンを示し;「dN」は、2'-デオキシリボヌクレオシドを示し;「+N」はLNAヌクレオシドを示し;「oN」は、2'-MOE修飾リボヌクレオシドを示し;「oC」は、5-メチル-2'-MOE-シチジンを示し;「+C」は、5-メチル-2'-4'-二環式-シチジン(2'-4'メチレン架橋)を示し;「oU」は、5-メチル-2'-MOE-ウリジンを示し;「+U」は、5-メチル-2'-4'-二環式ウリジン(2'-4'メチレン架橋)を示し;「*」はホスホロチオアートヌクレオシド間結合を示す)
から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項13】
抗TfR1抗体が、表2に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、請求項2~12のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項14】
抗TfR1抗体が、表3に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項2~13のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項15】
抗TfR1抗体が、Fabであり、
任意にここでFabが、表5に列挙される抗TfR1 Fabのいずれかの重鎖および軽鎖を含む、請求項2~13のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項16】
筋標的化剤およびオリゴヌクレオチドが、リンカーを介して共有結合的に連結されており、
任意にここでリンカーが、バリン-シトルリン配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項17】
FXN RNAが、疾患関連伸長GAA反復を含有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項18】
筋細胞におけるFXN発現を増加させる方法であって、方法が、筋細胞を、筋細胞へのオリゴヌクレオチドの内在化を促進するのに有効な量の請求項1~17のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む、前記方法。
【請求項19】
フリードライヒ運動失調症(FA)を処置する方法であって、方法が、それを必要とする対象へ有効量の請求項1~17のいずれか一項に記載の複合体を投与することを含み、ここで対象が、疾患関連GAA反復を含む変異FXN対立遺伝子を有する、前記方法。
【請求項20】
複合体が、FXNタンパク質レベルの増加をもたらす、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
【表2】
(ここで「xdC」は、5-メチル-デオキシシチジンを示し;「dN」は、2'-デオキシリボヌクレオシドを示し;「+N」はLNAヌクレオシドを示し;「oN」は、2'-MOE修飾リボヌクレオシドを示し;「oC」は、5-メチル-2'-MOE-シチジンを示し;「+C」は、5-メチル-2'-4'-二環式-シチジン(2'-4'メチレン架橋)を示し;「oU」は、5-メチル-2'-MOE-ウリジンを示し;「+U」は、5-メチル-2'-4'-二環式ウリジン(2'-4'メチレン架橋)を示し;「*」はホスホロチオアートヌクレオシド間結合を示す)
から選択される、オリゴヌクレオチド。
【請求項22】
ナトリウム塩形態の請求項21に記載のオリゴヌクレオチドを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月21日に出願された「MUSCLE-TARGETING COMPLEXES AND USES THEREOF FOR TREATING FRIEDREICH'S ATAXIA」と題する米国仮出願第63/212,816号に対する35 U.S.C.§119(e)の下での優先権を主張する。
【0002】
EFS-WEBを介しテキストファイルとして提出された配列表への言及
これはEFS-WebからASCIIフォーマットで提出されており、その全体が参照によってここに組み込まれる。2022年6月17日に作成された該ASCIIコピーは、D082470049WO00-SEQ-ZJGと称され、サイズは191,024バイトである。
【0003】
発明の分野
本出願は、FXN RNAを標的化するように設計されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを細胞(例として、筋細胞)に送達するための標的化複合体ならびにその使用、特に疾患の処置に関する使用に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
フリードライヒ運動失調症は、筋組織および神経系の進行性損傷をもたらす稀な常染色体劣性疾患である。この疾患の特徴としては、重篤な心臓状態、例として、肥大型心筋症、心筋線維症および心不全、ならびに脊髄および末梢神経系の神経線維の変性が挙げられる。フリードライヒ運動失調症は、鉄ホメオスタシスで機能すると説明されているタンパク質であるフラタキシンをコードするFXN遺伝子の変異に起因する。具体的には、疾患を有する対象は、フラタキシンのレベルの低下をもたらす、伸長したトリヌクレオチドGAA配列を有する。フリードライヒ運動失調症は、遺伝性運動失調の最も一般的な形態であり、50,000人に約1人の発生率である。最も重篤な症例では、疾患を有する対象は10~20歳までに自由に歩くことができず、多くの対象は平均余命が短くなる。フリードライヒ運動失調症では、FXN発現の減少は、エピジェネティックサイレンシングに起因し得、かつ/または伸長したGAA反復を含むFXNプレ-mRNAの第1のイントロンをスプライスアウトする能力の低下に由来し得る。疾患の症状に対処するための支持療法を除いて、フリードライヒ運動失調症に利用可能な現在の有効な処置法はない。
【発明の概要】
【0005】
概要
いくつかの側面によれば、本開示は、FXN RNAを標的化するように設計されたオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、本開示は、例として、フリードライヒ運動失調症を有するかまたは有すると疑われる対象において、伸長したGAA反復を含有するFXN RNAを遮断することによって機能的FXNのレベルを増加させるのに有用な、FXN RNAと相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、伸長したGAA反復を含有するFXN RNAのRNase H媒介分解を指示するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、染色体DNAとの伸長したGAA反復を含有するFXN RNAによってRNAループ(Rループ)の形成を阻害するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、FXN RNAを含有する伸長したGAA反復と染色体DNAとの間のRNAループ(Rループ)の形成を阻害することによってFXNタンパク質レベルを増強するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましいバイオアベイラビリティおよび/または血清安定性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい結合親和性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい毒性プロファイルを有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、低補体活性化および/またはサイトカイン誘導特性を有するように設計される。
【0006】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、他の分子、例として、標的化剤、例として、筋標的化剤にコンジュゲートされる。したがって、いくつかの側面では、本開示は、オリゴヌクレオチドをそれらの細胞に送達する目的で特定の細胞型を標的化する複合体を提供する。例えば、いくつかの態様において、本開示は、筋細胞にオリゴヌクレオチドを送達する目的で筋細胞を標的化する複合体を提供する。いくつかの態様において、本明細書に提供される複合体は、例としてフリードライヒ運動失調症を有するかまたは有すると疑われる対象において、伸長した疾患関連反復を含有するFXN RNAのレベルを低下させることによって機能的FXNタンパク質の発現または活性を増加させる分子ペイロードを送達するのに特に有用である。いくつかの態様において、本明細書に提供される複合体は、分子ペイロードを筋細胞へ送達することを目的として、筋細胞の表面上の受容体へ特異的に結合する筋標的化剤(例として、筋標的化抗体)を含む。いくつかの態様において、複合体は、受容体に媒介される内在化を介して細胞中へ取り入れられ、これを受け分子ペイロードは細胞内部に放出されて機能を果たしてもよい。例えば、オリゴヌクレオチドを送達するように操作された複合体は、オリゴヌクレオチドが筋細胞における変異FXNを遮断することができるようにオリゴヌクレオチドを放出し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、複合体のオリゴヌクレオチドと筋標的化剤とを接続する共有結合性リンカーのエンドソーム切断によって放出される。
【0007】
本開示のいくつかの側面は、FXN発現を増加させるように構成されたオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を提供し、オリゴヌクレオチドは、疾患に関連する伸長したGAA反復を含有するFXN RNAの反復領域に対する相補性領域を含み、反復領域は、配列番号162~164のいずれか1つに示される標的配列を含み、相補性領域は、少なくとも12ヌクレオチド長である。
【0008】
いくつかの態様において、筋標的化剤は抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体である。
【0009】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のうちのいずれか1つの少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み、ここで、Uの各々は、任意に独立してTである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、Uの各々は、任意に独立してTである。
【0010】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、式中、Xは3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、X中のヌクレオシドの少なくとも1つは2'-修飾ヌクレオシドであり、Yは6~14個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y中の各シチジンは任意に独立して5-メチル-シチジンであり、Zは3~5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z中のヌクレオシドの少なくとも1つは2'-修飾ヌクレオシドである。
【0011】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、Xは5個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドは、2'-MOE修飾ヌクレオシドであり、Yは10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y中の各シチジンは任意に独立して5-メチル-シチジンであり、Zは5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドである。
【0012】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、Xは5個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドであり、Yは10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y中の各シチジンは任意に独立して5-メチル-シチジンであり、Zは5つの連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。
【0013】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号171~173のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、Xは3個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドであり、Yは14個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、Y中の各シチジンは任意に独立して5-メチル-シチジンであり、Zは3つの連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。
【0014】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2'-MOE修飾ヌクレオシドである。
【0015】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、オリゴヌクレオチド中の各TはLNAヌクレオシドであり、オリゴヌクレオチド中の各Cは5-メチル-デオキシシチジンである。
【0016】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号174~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、オリゴヌクレオチド中の各CはLNAヌクレオシドであり、各Tはデオキシチミジンである。
【0017】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド中の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。
【0018】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下から選択される。
【表A】
表中、「xdC」は、5-メチル-デオキシシチジンを示し、「dN」は、2'-デオキシリボヌクレオシドを示し、「+N」はLNAヌクレオシドを示し、「oN」は、2'-MOE修飾リボヌクレオシドを示し、「oC」は、5-メチル-2'-MOE-シチジンを示し、「+C」は、5-メチル-2'-4'-二環式-シチジン(2'-4'メチレン架橋)を示し、「oU」は、5-メチル-2'-MOE-ウリジンを示し、「+U」は、5-メチル-2'-4'-二環式ウリジン(2'-4'メチレン架橋)を示し、「*」はホスホロチオアートヌクレオシド間結合を示す。
【0019】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む。
【0020】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表3に列挙される抗TfR1抗体のいずれかの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、Fabである。いくつかの態様において、Fabは、表5に列挙される抗TfR1 Fabのいずれかの重鎖および軽鎖を含む。
【0021】
いくつかの態様において、筋標的化剤およびオリゴヌクレオチドは、リンカーを介して共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む。
【0022】
本開示のいくつかの側面は、筋細胞におけるFXN発現を増加させる方法であって、本方法は、筋細胞へのオリゴヌクレオチドの内在化を促進するために、筋細胞を本明細書に記載の有効量の複合体と接触させることを含む、方法を提供する。
【0023】
本開示のいくつかの側面は、フリードライヒ運動失調症(FA)を処置する方法であって、本方法は、それを必要とする対象に有効量の本明細書に記載の複合体を投与することを含み、対象が疾患関連GAA反復を含む変異FXN対立遺伝子を有する、方法を提供する。
【0024】
いくつかの態様において、複合体の投与は、FXNタンパク質レベルの増加をもたらす。
【0025】
本開示のいくつかの側面は、以下から選択されるオリゴヌクレオチドを提供する。
【表B-1】
【表B-2】
表中、「xdC」は、5-メチル-デオキシシチジンを示し、「dN」は、2'-デオキシリボヌクレオシドを示し、「+N」はLNAヌクレオシドを示し、「oN」は、2'-MOE修飾リボヌクレオシドを示し、「oC」は、5-メチル-2'-MOE-シチジンを示し、「+C」は、5-メチル-2'-4'-二環式-シチジン(2'-4'メチレン架橋)を示し、「oU」は、5-メチル-2'-MOE-ウリジンを示し、「+U」は、5-メチル-2'-4'-二環式ウリジン(2'-4'メチレン架橋)を示し、「*」はホスホロチオアートヌクレオシド間結合を示す。
【0026】
ナトリウム塩形態の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを含む組成物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A-D】
図1A~
図1Hは、DMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗TfR1 Fabを有する抱合体が、ヒトTfR1を発現するマウスモデルの様々な筋組織におけるマウスDMPK発現を減少させたことを示す。DMPK標的化オリゴヌクレオチドを抗TfR1 Fab 3M12-VH4/VK3にコンジュゲートした。
図1Aは、抱合体が前脛骨筋内のマウス野生型Dmpkを79%減少させたことを示す。
図1Bは、抱合体がマウス野生型Dmpkを腓腹筋において76%減少させたことを示す。
図1Cは、コンジュゲートが心臓内のマウス野生型Dmpkを70%減少させたことを示す。
図1Dは、抱合体が横隔膜内のマウス野生型Dmpkを88%減少させたことを示す。
【
図1E-H】
図1E~
図1Hは、前脛骨筋(
図1E)、腓腹筋(
図1F)、心臓(
図1G)および横隔膜(
図1H)におけるオリゴヌクレオチド分布を示す。すべての組織は、ビヒクル対照と比較して増加したレベルのオリゴヌクレオチドを示した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な記載
いくつかの側面によれば、本開示は、FXN RNAを標的化するように設計されたオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、本開示は、例としてフリードライヒ運動失調症を有するかまたは有すると疑われる対象において、伸長したGAA反復を含有する機能的FXN遮断FXN RNAのレベルを増加させるのに有用なFXN RNAと相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、伸長したGAA反復を含有するFXN RNAのRNase H媒介分解を指示するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、染色体DNAとの伸長したGAA反復を含有するFXN RNAによってRNAループ(Rループ)の形成を阻害するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましいバイオアベイラビリティおよび/または血清安定性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい結合親和性特性を有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、望ましい毒性プロファイルを有するように設計される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、低補体活性化および/またはサイトカイン誘導特性を有するように設計される。
【0029】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、他の分子、例として、標的化剤、例として、筋標的化剤にコンジュゲートされる。したがって、いくつかの側面では、本開示は、オリゴヌクレオチドをそれらの細胞に送達する目的で特定の細胞型を標的化する複合体を提供する。例えば、いくつかの態様において、本開示は、筋細胞にオリゴヌクレオチドを送達する目的で筋細胞を標的化する複合体を提供する。いくつかの態様において、本明細書に提供される複合体は、例としてフリードライヒ運動失調症を有するかまたは有すると疑われる対象において、伸長した疾患関連反復を含有するFXN RNAのレベルを低下させることによって機能的FXNタンパク質の発現または活性を増加させる分子ペイロードを送達するのに特に有用である。いくつかの態様において、本明細書に提供される複合体は、分子ペイロードを筋細胞へ送達することを目的として、筋細胞の表面上の受容体へ特異的に結合する筋標的化剤(例として、筋標的化抗体)を含む。いくつかの態様において、複合体は、受容体に媒介される内在化を介して細胞中へ取り入れられ、これを受け分子ペイロードは細胞内部に放出されて機能を果たしてもよい。例えば、オリゴヌクレオチドを送達するように操作された複合体は、オリゴヌクレオチドが筋細胞における変異FXNを遮断することができるようにオリゴヌクレオチドを放出し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、複合体のオリゴヌクレオチドと筋標的化剤とを接続する共有結合性リンカーのエンドソーム切断によって放出される。
【0030】
一例として、オリゴヌクレオチドは、フラタキシン発現を増加させるために、GAA反復の伸長を有するFXNのRループ部分を標的化し得る。いくつかの態様において、例として、伸長したGAA反復に結合することができる分子ペイロードによるRループ形成の阻害は、FXN遺伝子の正常な発現および疾患の処置を可能にし得る。いくつかの態様において、本明細書に提供される複合体は、FXNの疾患関連反復GAA配列またはその近傍の配列を標的化することができる、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)などの分子ペイロードを含み得る。定義された用語の記載を含む本開示のさらなる側面は、以下に提供される。
【0031】
I.定義
投与する(施す)こと:
本明細書に使用される場合、用語「投与する(施す)こと」または「投与(施し)」は、生理学的におよび/または(例として、および)薬理学的に有用なやり方で対象へ複合体を提供すること(例として、対象における疾病を処置すること)を意味する。
【0032】
およそ:
本明細書に使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的の1以上の値へ適用されるとき、規定された参照値と類似の値を指す。ある態様において、用語「およそ」または「約」は、別様に述べられない限りまたは文脈から明らかでない限り(かかる数字が実行可能な値の100%を超える場合を除く)、規定された参照値のプラスマイナス(超または未満)の15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満に収まる広範な値を指す。
【0033】
抗体:
本明細書に使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例として、抗原へ特異的に結合するパラトープを包含するポリペプチドを指す。いくつかの態様において、抗体は、完全長の抗体である。いくつかの態様において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト化抗体である。ただし、いくつかの態様において、抗体は、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fvフラグメント、またはscFvフラグメントである。いくつかの態様において、抗体は、ラクダ科の動物の抗体に由来するナノボディ、またはサメ抗体に由来するナノボディである。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗体は、ヒト生殖細胞系配列を有するフレームワークを含む。別の態様において、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgM、およびIgEの定常領域からなる群から選択される重鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書にはVHと略される)、および/または(例として、および)、軽(L)鎖可変領域(本明細書にはVLと略される)を含む。いくつかの態様において、抗体は、定常領域、例としてFc領域を含む。免疫グロブリン定常領域は、重鎖または軽鎖定常領域を指す。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常領域アミノ酸配列およびそれらの機能的変異は知られている。重鎖に関し、いくつかの態様において本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であり得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、ヒトのアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含み得る。具体的な態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトのガンマ1 CH1ドメイン、CH2ドメイン、および/または(例として、および)、CH3ドメインを含む。いくつかの態様において、VHドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例えば当該技術分野において知られているいずれの配列も含む。ヒト定常領域配列の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、米国特許第5,693,780号および上記のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。いくつかの態様において、VHドメインは、本明細書に提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常領域へ連結された本開示の1以上の抗原結合性フラグメントを含むポリペプチドを含む構築物である。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって結び合わされた2個以上のアミノ酸残基を含み、1以上の抗原結合部と連結させるために使用される。リンカーポリペプチドの例は報告されている(例として、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)。またさらに、抗体は、1以上の他のタンパク質またはペプチドと、抗体もしくは抗体部分との共有結合または非共有結合の結び付きによって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であってもよい。かかる免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1995)Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価のおよびビオチン化されたscFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov,S.M.,et al.(1994)Mol.Immunol.31:1047-1058)を包含する。
【0034】
CDR:
本明細書に使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、これらは通常、抗原結合に関与する。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として知られるより保存された領域が散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)としても知られる超可変領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法論を使用して、例えば、Kabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または(例として、および)接触定義によって正確に同定され得、これらはすべて当技術分野で周知である。例として、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;IMGT(登録商標),the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)www.imgt.org,Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,27:209-212(1999);Ruiz,M.et al.,Nucleic Acids Res.,28:219-221(2000);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,29:207-209(2001);Lefranc,M.-P.,Nucleic Acids Res.,31:307-310(2003);Lefranc,M.-P.et al.,In Silico Biol.,5,0006(2004)[Epub],5:45-60(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,33:D593-597(2005);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,37:D1006-1012(2009);Lefranc,M.-P.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D413-422(2015);Chothia et al.,(1989)Nature 342:877;Chothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917,Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948;およびAlmagro,J.Mol.Recognit.17:132-143(2004)を参照されたい。hgmp.mrc.ac.ukおよびbioinf.org.uk/absも見よ。本明細書に使用される場合、CDRは、当技術分野で公知の任意の方法によって定義されるCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、同じ方法、例えば、IMGT定義によって決定される場合、2つの抗体がそのCDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0035】
重鎖および軽鎖の可変領域の各々において3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々につきCDR1、CDR2、およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書に使用される場合、抗原に結合することが可能な単一の可変領域に生じる3つのCDRの一群を指す。これらのCDRの厳密な境界は、種々の系に従い異なって定義されている。Kabat(Kabat et al.,Sequence of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所,Bethesda,Md.(1987)および(1991))によって記載される系は、抗体のいずれの可変領域へも適用可能な一義的な残基番号付け系を提供するのみならず、3つのCDRを定義する正確な残基境界をも提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることもある。CDRの下位部(Sub-portions)は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定されることがあり、ここで「L」および「H」は夫々、軽鎖および重鎖領域を指定する。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有するChothia CDRと称されることもある。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上の系の1つに厳重に従わなくてもよいが、それでもなおKabat CDRと重複することがあり、具体的な残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえも抗原結合に有意に影響を及ぼすものではないという予測あるいは実験的知見を踏まえ、それらは短縮または伸長されてもよい。本明細書に使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されたCDRを利用してもよい。CDR定義系の例は表1に示される。
【表1】
【0036】
CDR接合(-grafted)抗体:
用語「CDR接合抗体」は、マウス重鎖および軽鎖可変領域を有するがマウスCDRの1以上(例として、CDR3)がヒトCDR配列に置き換えられている抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、そのVHおよび/または(例として、および)VLのCDR領域の1以上の配列が別の種のCDR配列に置き換えられている抗体を指す。
【0037】
キメラ抗体:
用語「キメラ抗体」は、ヒト定常領域へ連結されたマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体などの、ある種からの重鎖および軽鎖可変領域配列と別の種からの定常領域配列を含む抗体を指す。
【0038】
相補的:
本明細書に使用される場合、用語「相補的」は、2つのヌクレオシド間または2組のヌクレシシド間の正確な対形成のための能力を指す。とりわけ、相補的は、2ヌクレオシド間または2組のヌクレオシド間に結合をもたらす水素結合対形成の程度を特徴付ける用語である。例えば、ある位置のオリゴヌクレオチドの塩基が、対応する位置の標的核酸(例として、mRNA)の塩基と水素結合することが可能である場合、そのとき塩基は、その位置にて互いに相補的であると見なされる。塩基対合は、標準的なWatson-Crick塩基対合と非Watson-Crick塩基対合(例として、Wobble塩基対合およびHoogsteen塩基対合)との両方を包含してもよい。例えば、いくつかの態様において、相補的な塩基対合として、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)に相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)に相補的であり、3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールなどのユニバーサル塩基は、いずれのA、C、U、またはTとハイブリダイズし得る。イノシン(I)はまた、当該技術分野においてユニバーサル塩基であるとも見なされており、いずれのA、C、U、またはTに相補的であると見なされる。
【0039】
保存アミノ酸置換:
本明細書に使用される場合、「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされたタンパク質の相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者に知られているポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得、例えば、かかる方法をまとめた参考文献、例として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2012、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに見られる。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸に対してなされる置換を包含する。
【0040】
共有結合的に連結された:
本明細書に使用される場合、用語「共有結合的に連結された」は、少なくとも1個の共有結合を介して一緒に連結されている2個以上の分子の特徴を指す。いくつかの態様において、2個の分子は一緒に、分子間リンカーとして働く単結合(例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋)によって共有結合的に連結され得る。しかしながら、いくつかの態様において、複数の共有結合を介して2個以上の分子を一緒に結び合わせるリンカーとして働く分子を介して、2個以上の分子は一緒に、共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。
【0041】
交差反応すること:
本明細書に使用される場合、および標的化剤(例として、抗体)の文脈において、用語「交差反応すること」は、同様のタイプまたはクラスの1種より多くの抗原(例として、複数のホモログ、パラログ、もしくはオルソログの抗原)へ、同様の親和性または結合活性で特異的に結合することが可能な剤の特性を指す。例えば、いくつかの側面において、同様のタイプまたはクラスのヒトおよび霊長目の非ヒト動物の抗原(例として、ヒトトランスフェリン受容体および霊長目の非ヒト動物のトランスフェリン受容体)に対して交差反応する抗体は、ヒト抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原へ、同様の親和性または結合活性で結合することが可能である。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原および齧歯類動物抗原に対して交差反応する。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスの齧歯類動物の抗原および霊長目の非ヒト動物の抗原に対して交差反応する。いくつかの態様において、抗体は、同様のタイプまたはクラスのヒト抗原、霊長目の非ヒト動物の抗原、および齧歯類動物の抗原に対して交差反応する。
【0042】
疾患関連反復:
本明細書に使用される場合、用語「疾患関連反復」は、反復ヌクレオチド配列の数ユニットが、遺伝的疾患と相関する、および/または(例として、および)、これに直接的にもしくは間接的に寄与する、またはこれを引き起こす、ゲノムの場所での反復ヌクレオチド配列を指す。疾患関連反復の各反復単位は、2、3、4、5またはそれ以上のヌクレオチド長であり得る。例えば、いくつかの態様において、疾患関連反復は、ジヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復は、トリヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復は、テトラヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復は、ペンタヌクレオチド反復である。いくつかの態様において、疾患関連反復は、GAA反復、またはそれらのいずれかのヌクレオチド相補体を含む。いくつかの態様において、疾患関連反復は、遺伝子の非コード部分にある。しかしながら、いくつかの態様において、疾患関連反復は、遺伝子のコード領域にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、正常な状態から、遺伝的疾患に直接的にまたは間接的に寄与するまたはこれを引き起こす長さへ、伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、RNA(例として、RNA転写産物)にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、DNA(例として、染色体、プラスミド)にある。いくつかの態様において、疾患関連反復は、生殖細胞系列細胞の染色体において伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、体細胞の染色体において伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、先天性発症に関連する数多の反復単位へ伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、疾患の小児期発症に関連する数多の反復単位へ伸長される。いくつかの態様において、疾患関連反復は、疾患の成人発症に関連する数多の反復単位へ伸長される。
【0043】
フレームワーク:
本明細書に使用される場合、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを差し引いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の厳密な定義が種々の系によって決定され得ることから、フレームワーク配列の意味は、相応に異なる解釈に依存する。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3、ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)もまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4つの下位領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)に分け、ここでCDR1はFR1とFR2との間に、CDR2はFR2とFR3との間に、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。具体的な下位領域をFR1、FR2、FR3、またはFR4と特定しないフレームワーク領域は、他によって言及されるとき、天然に存在する単一の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFR(複数)を表す。本明細書に使用される場合、FRは4つの下位領域のうち1つを表し、FR(複数)はフレームワーク領域を含有する4つの下位領域のうち2以上を表す。ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列は、当該技術分野において知られている。一態様において、当該技術分野において知られているアクセプター配列は、本明細書に開示の抗体に使用されていてもよい。
【0044】
フリードライヒ運動失調症:
本明細書に使用される場合、用語「フリードライヒ運動失調症」は、FXN遺伝子の変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝子疾患を指し、筋組織および神経系の進行性損傷を特徴とする。フリードライヒ運動失調症は、FXNの発現の減少をもたらすFXN遺伝子内のGAAトリヌクレオチド反復の伸長に関連する。第1のイントロン内に位置する伸長したGAAトリヌクレオチド反復は、正常な転写プロセスを妨害し得るRループを形成してFXN遺伝子発現を低下させる。健康な個体におけるFXN対立遺伝子は、36回未満のGAA反復を含有する一方で、FRDA患者では、70回から1700回のGAA反復に及ぶGAA伸長がFXN mRNA欠損をもたらし、それに続いて、生活に不可欠な核コードミトコンドリアタンパク質であるフラタキシンのレベル低下をもたらす(例として、Silva et al.,「Expanded GAA repeats impair FXN gene expression and reposition the FXN locus to the nuclear lamina in single cells.」Hum.Molec.Genet.,2015,Vol.24,No.12 3457-3471を参照されたい)。フリードライヒ運動失調症、この疾患の遺伝的根拠、および関連する症状は、当技術分野において説明されている(例として、Montermini,L.et al.「The Friedreich's ataxia GAA triplet repeat:premutation and normal alleles.」Hum.Molec.Genet.,1997,6:1261-1266.、Filla,A.et al.「The relationship between trinucleotide(GAA)repeat length and clinical features in Friedreich's ataxia.」Am.J.Hum.Genet.1996,59:554-560.、Pandolfo,M.Friedreich's ataxia:the clinical picture.J.Neurol.2009,256,3-8を参照されたい)。フリードライヒ運動失調症は、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)Entry #229300に関連付けられている。
【0045】
FXN:
本明細書に使用される場合、用語「FXN」は、鉄ホメオスタシスに関与するタンパク質であるフラタキシンをコードする遺伝子を指す。いくつかの態様において、FXNは、ヒト(遺伝子ID:2395)、非ヒト霊長類(例として、遺伝子ID:737660)、または齧歯類遺伝子(例として、遺伝子ID:14297、遺伝子ID:499335)であり得る。ヒトでは、FXNの第1のイントロンにおけるGAA反復伸長は、フリードライヒ運動失調症に関連する。さらに、異なるタンパク質アイソフォームをコードする複数のヒト転写バリアント(例として、GenBank RefSeqアクセッション番号NM_000144.4およびNM_181425.2で注釈が付けられている)がキャラクタライズされている。
【0046】
FXN対立遺伝子:
本明細書に使用される場合、用語「FXN対立遺伝子」は、FXN遺伝子の代替形態(例として、野生型または変異型)のいずれか1つを指す。いくつかの態様において、FXN対立遺伝子は、その正常で典型的な機能を保持する野生型フラタキシンをコードし得る。いくつかの態様において、FXN対立遺伝子は、1以上の疾患関連反復伸長を含み得る。いくつかの態様において、正常な対象は、36個未満のGAAトリヌクレオチド反復単位を含む2つのFXN対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、正常な対象は、8個から33個の範囲でGAAトリヌクレオチド反復単位を含む2つのFXN対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、フリードライヒ運動失調症を有する対象のFXN対立遺伝子中のGAA反復単位の数は、およそ70からおよそ1700の範囲である。いくつかの態様において、フリードライヒ運動失調症を有する対象のFXN対立遺伝子中のGAA反復単位の数は、およそ90からおよそ1300の範囲であり、反復回数が多いほど疾患の重症度が増す。いくつかの態様において、軽度に罹患したフリードライヒ運動失調症の対象は、90個から150個の範囲で反復単位を有する少なくとも1つのFXN対立遺伝子を有する。いくつかの態様において、古典的なフリードライヒ運動失調症を有する対象は、90個から1,000個またはそれを超える範囲で反復単位を有する少なくとも1つのFXN対立遺伝子を有する。
【0047】
ヒト抗体:
用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図される。本開示のヒト抗体は、例えば、CDR、とりわけCDR3において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例として、in vitroでのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発によってか、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を包含していてもよい。ただし、用語「ヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上へ接合された抗体を包含することは意図されない。
【0048】
ヒト化抗体:
用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例として、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、VH配列および/または(例として、および)VL配列の少なくとも一部がより「ヒト様」に、すなわち、ヒト生殖細胞系可変配列とより同様なものに変更された抗体を指す。ヒト化抗体のあるタイプは、ヒトCDR配列が非ヒトVHおよびVL配列上へ導入されて対応する非ヒトCDR配列と置き換えられたCDR接合抗体である。一態様において、ヒト化された抗トランスフェリン受容体(TfR1)抗体および抗原結合部分が提供される。かかる抗体は、既存のハイブリドーマ技術、これに続くin vitroの遺伝子工学を使用するヒト化(Kasaianらの国際公開第2005/123126号に開示されたものなど)を使用してマウス抗トランスフェリン受容体(TfR1)モノクローナル抗体を得ることによって生成され得る。
【0049】
内在化する細胞表面受容体:
本明細書に使用される場合、用語「内在化する細胞表面受容体」は、例として、外部刺激(例として、受容体に結合するリガンド)の際、細胞によって内在化される細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、エンドサイトーシスによって内在化される。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、クラスリン媒介エンドサイトーシスによって内在化される。しかしながら、いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、クラスリンに依存しない経路、例えば、食作用、マクロピノサイトーシス、カベオラ-およびラフト-媒介取り込み、またはクラスリンに依存しない構成的エンドサイトーシスなどによって内在化される。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または(例として、および)、細胞外ドメインを含み、これらは任意にさらにリガンド結合ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞表面受容体は、リガンド結合後に細胞によって内在化されるようになる。いくつかの態様において、リガンドは、筋標的化剤または筋標的化抗体であってもよい。いくつかの態様において、内在化する細胞表面受容体は、トランスフェリン受容体である。
【0050】
単離された抗体:
「単離された抗体」は、本明細書に使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指すことが意図される(例として、トランスフェリン受容体に特異的に結合する単離された抗体は、トランスフェリン受容体以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかしながら、トランスフェリン受容体複合体に特異的に結合する単離された抗体は、他の種からのトランスフェリン受容体分子などの他の抗原への交差反応性を有していてもよい。その上、単離された抗体は、他の細胞の材料および/または(例として、および)化学物質が実質的になくてもよい。
【0051】
Kabat番号付け:
用語「Kabat番号付け」、「Kabat定義」、および「Kabat標識化」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、当該技術分野において認識されているが、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域中の他のアミノ酸残基より可変(すなわち、高可変)であるアミノ酸残基を番号付けする系を指す(Kabat et al.(1971)Ann.NY Acad,Sci.190:382-391および、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)。重鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置31~35、CDR2につきアミノ酸位置50~65、およびCDR3につきアミノ酸位置95~102に及ぶ。軽鎖可変領域において、超可変領域は、CDR1につきアミノ酸位置24~34、CDR2につきアミノ酸位置50~56、およびCDR3につきアミノ酸位置89~97に及ぶ。
【0052】
分子ペイロード:
本明細書に使用される場合、用語「分子ペイロード」は、生物学的結果(biological outcome)をモジュレートするよう機能する分子または種を指す。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤へ連結されているか、または別様に結び付けられている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、分子ペイロードは、DNA配列の転写をモジュレートするよう、タンパク質の発現をモジュレートするよう、またはタンパク質の活性をモジュレートするよう機能する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、標的遺伝子に対する相補性領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。
【0053】
筋標的化剤:
本明細書に使用される場合、用語「筋標的化剤」は、筋細胞上に発現されている抗原へ特異的に結合する分子を指す。筋細胞中または筋細胞上の抗原は、膜タンパク質、例えば、内在性膜タンパク質または表在性膜タンパク質であってもよい。典型的には、筋標的化剤は、筋細胞中への筋標的化剤(および結び付けられたいずれの分子ペイロード)の内在化を容易にさせる筋細胞上の抗原へ特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋肉上の内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合し、受容体媒介内在化を通して筋細胞中へ内在化されることが可能である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸(例として、アプタマー)、または抗体である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ連結されている。
【0054】
筋標的化抗体:
本明細書に使用される場合、用語「筋標的化抗体」は、筋細胞中または筋細胞上に見出される抗原へ特異的に結合する抗体である筋標的化剤を指す。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞中への筋標的化抗体(および結び付けられたいずれの分子ペイロード)の内在化を容易にする筋細胞上の抗原へ特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋細胞上に存在する、内在化する細胞表面受容体へ特異的に結合する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、トランスフェリン受容体へ特異的に結合する抗体である。
【0055】
オリゴヌクレオチド:
本明細書に使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、最大で200ヌクレオチド長のオリゴマーの核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例は、これらに限定されないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例として、siRNA、shRNA)、マイクロRNA、ギャップマー、mixmer、ホスホロジアミダート、モルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例として、Cas9ガイドRNA)等々を包含する。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド(例として、2'-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド間連結を含んでいてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSpの立体化学配置にあってもよい1以上のホスホロチオアート連結を含んでいてもよい。
【0056】
組換え抗体:
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書に使用される場合、組換え手段によって調製、発現、創出、もしくは単離されたすべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞中へトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(本開示により詳細に記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(Hoogenboom H.R.,(1997)TIB Tech.15:62-70;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,(2002)Clin.Biochem.35:425-445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.(2002)BioTechniques 29:128-145;Hoogenboom H.,and Chames P.(2000)Immunology Today 21:371-378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子トランスジェニック動物(例として、マウス)から単離された抗体(例として、Taylor,L.D.,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295;Kellermann S-A.,and Green L.L.(2002)Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Little M.et al(2000)Immunology Today 21:364-370を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列とのスプライシングを伴ういずれの他の手段によって調製、発現、創出、もしくは単離された抗体を包含することが意図される。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。ただし、ある態様において、かかる組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列トランスジェニック動物が使用されるとき、in vivoでの体細胞変異誘発)へ供され、よって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH配列およびVL配列に由来しかつこれに関するとはいえ、in vivoでのヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内には天然に存在しないこともある配列である。本開示の一実施形態は、当該技術分野において周知である技法を使用して、例えば、これらに限定されないが、ヒトIgファージライブラリ(例えば、Jermutusらの国際公開第2005/007699号に開示されたもの)を使用する技法を使用して生成され得るヒトトランスフェリン受容体に結合することが可能な完全ヒト抗体を提供する。
【0057】
相補性領域:
本明細書に使用される場合、用語「相補性領域」は、2つのヌクレオチド配列が生理学的な条件下(例として、細胞中)相互にアニーリングすることが可能であるような、同族の(cognate)ヌクレオチド配列(例として、標的核酸のヌクレオチド配列)に充分に相補的であるヌクレオチド配列(例として、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列)を指す。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に完全に相補的である。しかしながら、いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列に部分的に相補的(例として、少なくとも80%、90%、95%、または99%相補性)である。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の同族のヌクレオチド配列と比較して1個、2個、3個、または4個のミスマッチを含有する。
【0058】
特異的に結合する:
本明細書に使用される場合、用語「特異的に結合する」は、結合アッセイまたは他の結合に関する文脈(binding context)において、分子が、適切な対照から結合パートナーを区別するために使用され得る親和性または結合活性の程度での、分子の、結合パートナーへの結合能を指す。抗体に関し、用語「特異的に結合する」は、親和性または結合活性の程度で(例として、本明細書に記載のとおり、抗原への結合を通してある細胞(例として、筋細胞)への優先的な標的化を許容する程度で)、適切な参照抗原、または抗体が他の抗原から特定の抗原を区別するために使用され得る抗原と比較して、抗体が特定の抗原に結合する能力を指す。いくつかの態様において、抗体が標的へ結合に関して、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはこれ未満のKDを有する場合、抗体は標的へ特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体が、トランスフェリン受容体、例として、トランスフェリン受容体の先端ドメインのエピトープへ特異的に結合する。
【0059】
対象:
本明細書に使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物を指す。いくつかの態様において、対象は、霊長目の非ヒト動物または齧歯類動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。いくつかの態様において、対象は、疾患を有するかまたは疾患を有すると疑われる患者/患畜(patient)、例として、ヒト患者である。いくつかの態様において、対象は、例としてFXN対立遺伝子における疾患関連反復伸長に起因する疾患を有するかまたは有すると疑われるヒト患者である。
【0060】
トランスフェリン受容体:
本明細書に使用される場合、用語「トランスフェリン受容体」(またTFRC、CD71、p90、TFR、またはTFR1としても知られている)は、エンドサイトーシスによる鉄取り込みを容易にするためのトランスフェリンに結合する、内在化する細胞表面受容体を指す。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体は、ヒト(NCBI Gene ID 7037)、霊長目の非ヒト動物(例として、NCBI Gene ID 711568もしくはNCBI Gene ID 102136007)、または齧歯類の動物(例として、NCBI Gene ID 22042)を起源としていてもよい。加えて、受容体の種々のアイソフォームをコードした複数のヒト転写産物バリアントが(例として、GenBank RefSeqアクセッション番号:NP_001121620.1、NP_003225.2、NP_001300894.1、およびNP_001300895.1の注釈付きのものであるように)特徴付けられている。
【0061】
2'修飾ヌクレオシド:
本明細書に使用される場合、用語「2'修飾ヌクレオシド」および「2'修飾リボヌクレオシド」は互換的に使用され、2'位にて修飾された糖部分を有するヌクレオシドを指す。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシドであり、ここで糖の2'および4'位は架橋されている(例として、メチレン、エチレン、または(S)-拘束エチル架橋による)。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシドであり、例としてここで糖部分の2'位は置換されている。2'修飾ヌクレオシドの非限定例としては、2'デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)、ロックド核酸(LNA、メチレン架橋核酸)、エチレン架橋核酸(ENA)、および(S)-拘束エチル架橋核酸(cEt)が挙げられる。いくつかの態様において、本明細書に記載の2'修飾ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、2'修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、未修飾のオリゴヌクレオチドと比べて標的配列に対する増大した親和性を有する。2'修飾ヌクレオシドの構造の例は、下に提供される:
【化1】
これらの例はリン酸基を用いて示されているが、任意のヌクレオシド間結合が2'修飾ヌクレオシド間で企図される。
【0062】
II.複合体
本明細書には、標的化剤、例として、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗体を含む複合体がさらに提供される。いくつかの態様において、複合体は、オリゴヌクレオチドへ共有結合的に連結された筋標的化抗体を含む。複合体は、単一の抗原部位に特異的に結合する抗体、または同じ抗原上もしくは異なる抗原上に存在していてもよい少なくとも2つの抗原部位に結合する抗体を含んでいてもよい。
【0063】
複合体は、少なくとも1つの遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートするために使用されてもよい。いくつかの態様において、複合体とともに存在する分子ペイロードは、遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸のモジュレーションを担う。分子ペイロードは、細胞中の遺伝子、タンパク質、および/または(例として、および)、核酸の活性あるいは機能をモジュレートすることが可能な、小分子、タンパク質、核酸、オリゴヌクレオチド、あるいはいずれの分子実体であってもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋細胞における疾患関連反復を標的化するオリゴヌクレオチドである。
【0064】
いくつかの態様において、複合体は、分子ペイロード、例として、疾患関連反復、例として、FXN対立遺伝子を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドへ共有結合的に連結された、筋標的化剤、例として、抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体を含む。
【0065】
A.筋標的化剤
本開示のいくつかの側面は、筋標的化剤、例として、分子ペイロードを筋細胞へ送達するための筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、かかる筋標的化剤は、例として、筋細胞上の抗原への特異的な結合を介して、筋細胞に結合すること、および結び付けられた分子ペイロードを筋細胞へ送達することが可能である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、筋標的化剤へ結合されて(例として、共有結合的に結合されて)おり、筋標的化剤が筋細胞上の抗原へ結合した際、例として、エンドサイトーシスを介して、筋細胞中へ内在化される。当然のことながら、様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用され得る。当然のことながら、様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用されてもよく、いずれの筋標的(例として、筋肉表面タンパク質)も本明細書に記載のいずれかのタイプの筋標的化剤によって標的化され得る。例えば、筋標的化剤は、小分子、核酸(例として、DNAまたはRNA)、ペプチド(例として、抗体)、脂質(例として、マイクロベシクル)、または糖部(例として、多糖類)を含んでいてもよく、またはこれらからなっていてもよい。例示の筋標的化剤は本明細書においてさらに詳細に記載されているが、当然のことながら、本明細書に提供される例示の筋標的化剤が限定されることを意図していない。
【0066】
本開示のいくつかの側面は、骨格筋、平滑筋、または心筋などの筋肉上の抗原へ特異的に結合する筋標的化剤を提供する。いくつかの態様において、本明細書に提供される筋標的化剤のいずれも、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および/または(例として、および)、心筋細胞上の抗原に結合する(例として、特異的に結合する)。
【0067】
筋肉特異的細胞表面認識要素(例として、細胞膜タンパク質)との相互作用によって、組織局在化と筋細胞への選択的取り込みとの両方が達成され得る。いくつかの態様において、筋肉の取り込みトランスポーターの基質である分子は、分子ペイロードを筋組織中へ送達するのに有用である。筋肉表面認識要素への結合、これに続くエンドサイトーシスは、抗体などの巨大分子さえも筋細胞へ侵入できるようにし得る。別の例として、トランスフェリンまたは抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体にコンジュゲートされた分子ペイロードは、トランスフェリン受容体への結合を介し筋細胞によって取り入れられ得、次いで、例としてクラスリン媒介エンドサイトーシスを介し、形質膜陥入され(endocytosed)てもよい。
【0068】
筋標的化剤の使用は、他の組織において効果に関連する毒性を低減しつつ、筋肉中の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)を濃縮するのに有用な場合がある。いくつかの態様において、筋標的化剤は、対象内の別の細胞型と比較して、筋細胞中の結合された分子ペイロードを濃縮させる。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋細胞(例として、骨格筋細胞、平滑筋細胞、または心筋細胞)中の結合された分子ペイロードを、非筋細胞(例として、肝臓細胞、神経細胞、血液細胞、または脂肪細胞)中の量より少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍多い量に濃縮する。いくつかの態様において、筋標的化剤へ結合された場合の分子ペイロードの対象における毒性は、これが対象へ送達されたとき、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、または95%低減される。
【0069】
いくつかの態様において、筋肉選択性を獲得するために、筋肉認識要素(例として、筋細胞抗原)が必要とされ得る。一例として、筋標的化剤は、筋肉特異的取り込みトランスポーターの基質である小分子であってもよい。別の例として、筋標的化剤は、トランスポーター媒介エンドサイトーシスを介して筋細胞へ侵入する抗体であってもよい。別の例として、筋標的化剤は、筋細胞上の細胞表面受容体に結合するリガンドであってもよい。当然のことながら、トランスポーターをベースとしたアプローチが細胞侵入への直通路を提供するのに対し、受容体をベースとした標的化が所望の作用部位に達するために刺激されたエンドサイトーシスを伴うこともある。
【0070】
i.筋標的抗体
いくつかの態様において、筋標的化剤は抗体である。一般に、それらの標的抗原に対する抗体の高い特異性は、筋細胞(例として、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および/または(例として、および)、心筋細胞)を選択的に標的化する可能性をもたらす。この特異性はまた、オフターゲット毒性(off-target toxicity)を限定することもある。筋細胞の表面抗原を標的化することが可能な抗体の例は報告されており、かつ本開示の範囲内にある。例えば、筋細胞の表面を標的化する抗体は、Arahata K.,et al.「Immunostaining of skeletal and cardiac muscle surface membrane with antibody against Duchenne muscular dystrophy peptide」Nature 1988;333:861-3;Song K.S.,et al.「Expression of caveolin-3 in skeletal,cardiac,and smooth muscle cells.Caveolin-3 is a component of the sarcolemma and co-fractionates with dystrophin and dystrophin-associated glycoproteins」J Biol Chem 1996;271:15160-5;およびWeisbart R.H.et al.,「Cell type specific targeted intracellular delivery into muscle of a monoclonal antibody that binds myosin IIb」Mol Immunol.2003 Mar,39(13):78309に記載されており、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
a.抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体
本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体、例として抗トランスフェリン受容体抗体に結合する剤は筋細胞を標的化することが可能であるという認識に基づく。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節およびホメオスタシスに加わる内在化する細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。したがって、本開示の側面は、トランスフェリン受容体に結合する結合タンパク質(例として、抗体)を提供する。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する結合タンパク質は、結合されたいずれの分子ペイロードと共に、筋細胞中へ内在化される。本明細書に使用される場合、トランスフェリン受容体に結合する抗体は、トランスフェリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、または抗TfR1抗体と互換的に称されることもある。トランスフェリン受容体に結合する、例として特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体へ結合した際、例として受容体媒介エンドサイトーシスを通して、細胞中へ内在化され得る。
【0072】
当然のことながら、抗TfR1抗体が、知られている数種の方法論、例として、ファージディスプレーを使用するライブラリ設計を使用して、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化され得る。例示的な方法論は、当該技術分野において特徴付けられており、参照により組み込まれる(Diez,P.et al.「High-throughput phage-display screening in array format」,Enzyme and Microb Technol,2015,79,34-41.、Hammers C.M.and Stanley,J.R.,「Antibody Phage Display:Technique and Applications」J Invest Dermatol.2014,134:2.、Engleman,Edgar(Ed.)「Human Hybridomas and Monoclonal Antibodies.」1985,Springer.)。他の態様において、抗TfR1抗体はこれまでにキャラクタライズされているかまたは開示されている。トランスフェリン受容体に特異的に結合する抗体は、当技術分野で公知である(例として、米国特許第4,364,934号、1979年12月4日出願、「Monoclonal antibody to a human early thymocyte antigen and methods for preparing same」、米国特許第8,409,573号、2006年6月14日出願、「Anti-CD71 monoclonal antibodies and uses thereof for treating malignant tumor cells」、米国特許第9,708,406号、2014年5月20日出願、「Anti-transferrin receptor antibodies and methods of use」、米国特許第9,611,323号、2014年12月19日出願、「Low affinity blood brain barrier receptor antibodies and uses therefor」、国際公開第2015/098989号、2014年12月24日出願、「Novel anti-transferrin receptor antibody that passes through blood-brain barrier」、Schneider C.et al.「Structural features of the cell surface receptor for transferrin that is recognized by the monoclonal antibody OKT9.」J Biol Chem.1982,257:14,8516-8522.、Lee et al.「Targeting Rat Anti-Mouse Transferrin Receptor Monoclonal Antibodies through Blood-Brain Barrier in Mouse」2000,J Pharmacol.Exp.Ther.,292:1048-1052を参照されたい)。
【0073】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、高い特異性および親和性でトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープまたは抗体に対して暴露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供される抗TfR1抗体はヒト、霊長目の非ヒト動物、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供される抗TfR1抗体はヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるような、ヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に示されるヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。
【0074】
NCBI配列NP_003225.2(トランスフェリン受容体タンパク質1アイソフォーム1、Homo sapiens)に対応する、ヒトトランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号105)
【0075】
NCBI配列NP_001244232.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca mulatta)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKPNGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF
(配列番号106)
【0076】
NCBI配列XP_005545315.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Macaca fascicularis)に対応する、霊長目の非ヒト動物トランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLGVDEEENTDNNTKANGTKPKRCGGNICYGTIAVIIFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPAREEPEEDFPAAPRLYWDDLKRKLSEKLDTTDFTSTIKLLNENLYVPREAGSQKDENLALYIENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGGLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLDSPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVKADLSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCKMVTSENKSVKLTVSNVLKETKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSSVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQDVKHPVTGRSLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELVERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDTELNLDYERYNSQLLLFLRDLNQYRADVKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFRNAEKRDKFVMKKLNDRVMRVEYYFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLSALLESLKLRRQNNSAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF(配列番号107)
【0077】
NCBI配列NP_001344227.1(トランスフェリン受容体タンパク質1、Mus musculus)に対応する、マウストランスフェリン受容体アミノ酸配列の例は、以下のとおりである:
MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAADEEENADNNMKASVRKPKRFNGRLCFAAIALVIFFLIGFMSGYLGYCKRVEQKEECVKLAETEETDKSETMETEDVPTSSRLYWADLKTLLSEKLNSIEFADTIKQLSQNTYTPREAGSQKDESLAYYIENQFHEFKFSKVWRDEHYVKIQVKSSIGQNMVTIVQSNGNLDPVESPEGYVAFSKPTEVSGKLVHANFGTKKDFEELSYSVNGSLVIVRAGEITFAEKVANAQSFNAIGVLIYMDKNKFPVVEADLALFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSQSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGKMEGSCPARWNIDSSCKLELSQNQNVKLIVKNVLKERRILNIFGVIKGYEEPDRYVVVGAQRDALGAGVAAKSSVGTGLLLKLAQVFSDMISKDGFRPSRSIIFASWTAGDFGAVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKVVLGTSNFKVSASPLLYTLMGKIMQDVKHPVDGKSLYRDSNWISKVEKLSFDNAAYPFLAYSGIPAVSFCFCEDADYPYLGTRLDTYEALTQKVPQLNQMVRTAAEVAGQLIIKLTHDVELNLDYEMYNSKLLSFMKDLNQFKTDIRDMGLSLQWLYSARGDYFRATSRLTTDFHNAEKTNRFVMREINDRIMKVEYHFLSPYVSPRESPFRHIFWGSGSHTLSALVENLKLRQKNITAFNETLFRNQLALATWTIQGVANALSGDIWNIDNEF
(配列番号108)
【0078】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、以下のような受容体:
FVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKE(配列番号109)のアミノ酸セグメントに結合し、トランスフェリン受容体とトランスフェリンおよび/または(例として、および)ヒト血色素症タンパク質(HFEとしても知られる)との間の結合相互作用を阻害しない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1受容体抗体は、配列番号109のエピトープには結合しない。
【0079】
適切な方法論は、例として、組換えDNAプロトコルの使用を通じて、抗体、抗体フラグメント、もしくは抗原結合剤を得るか、および/または(例として、および)、産生するために使用されてもよい。いくつかの態様において、抗体はまた、ハイブリドーマの生成を通しても産生されてよい(例として、Kohler,G and Milstein,C.「Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity」Nature,1975,256:495-497を参照されたい)。関心のある抗原は、いずれの型または実体の、例として、組換え型もしくは天然に存在する型または実体の免疫原として使用されてもよい。ハイブリドーマは、標準的な方法、例としてELISAスクリーニングを使用してスクリーニングされることで、具体的な抗原を標的化する抗体を産生する少なくとも1個のハイブリドーマが見出される。抗体はまた、抗体を発現するタンパク質発現ライブラリ(例として、ファージディスプレーライブラリ)のスクリーニングを通しても産生されてよい。ファージディスプレーライブラリ設計はまた、いくつかの態様において使用されてもよい(例として、米国特許第5,223,409号、1991年3月1日出願、「Directed evolution of novel binding proteins」、国際公開第1992/18619号、1992年4月10日出願、「Heterodimeric receptor libraries using phagemids」、国際公開第1991/17271号、1991年5月1日出願、「Recombinant library screening methods」、国際公開第1992/20791号、1992年5月15日出願、「Methods for producing members of specific binding pairs」、および国際公開第1992/15679号、1992年2月28日出願、「Improved epitope displaying phage」を参照されたい)。いくつかの態様において、関心のある抗原は、非ヒト動物、例として、齧歯類の動物またはヤギを免疫するために使用されてもよい。いくつかの態様において、次いで抗体が非ヒト動物から得られたら、任意に数多の方法論を使用し、例として組換えDNA技法を使用し、修飾してもよい。抗体産生および方法論の追加の例も当該技術分野において公知である(例として、Harlow et al.「Antibodies:A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。
【0080】
いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、糖分子は、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroまたは細胞内でグリコシル化され、任意に、N-またはO-グリコシル化経路において酵素(例として、グリコシルトランスフェラーゼ)が欠乏し得る。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する2014年5月1日に公開された国際公開第2014065661号に記載されるような糖または炭水化物分子で官能化されている。
【0081】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2~7のうちのいずれか1つから選択される抗TfR1抗体のいずれか1つのVLドメインおよび/または(例として、および)VHドメインを含み、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン分子、いずれかのクラス(例として、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはいずれかのサブクラス(例として、IgG2aおよびIgG2b)の免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む定常領域を含む。ヒト定常領域の非限定例は当該技術分野において記載されており、例として、上述のKabat E A et al.,(1991)を参照されたい。
【0082】
いくつかの態様において、トランスフェリン受容体に結合する薬剤、例として抗TfR1抗体は、筋細胞を標的化することができ、および/または(例として、および)血液脳関門を通過する薬剤の輸送を媒介する。トランスフェリン受容体は、細胞膜を越えてトランスフェリンを輸送し細胞内鉄レベルの調節およびホメオスタシスに加わる内在化する細胞表面受容体である。本開示のいくつかの側面は、トランスフェリン受容体に結合することが可能なトランスフェリン受容体結合タンパク質を提供する。トランスフェリン受容体に結合する、例として特異的に結合する抗体は、トランスフェリン受容体へ結合した際、例として受容体媒介エンドサイトーシスを通して、細胞中へ内在化され得る。
【0083】
いくつかの側面では、トランスフェリン受容体に高い特異性および親和性で結合するヒト化抗体が本明細書に提供される。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体のいずれかの細胞外エピトープ、または抗体に対して暴露されるようになるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TfR1抗体はヒト、霊長目の非ヒト動物、マウス、ラットなどからのトランスフェリン受容体に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TfR1抗体はヒトトランスフェリン受容体に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、配列番号105~108に提供されるような、ヒトまたは非ヒト霊長類トランスフェリン受容体のアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、トランスフェリン受容体の先端ドメインにはない、配列番号105に示されるヒトトランスフェリン受容体のアミノ酸90~96に対応するアミノ酸セグメントに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載のヒト化抗TfR1抗体は、TfR1に結合するが、TfR2には結合しない。
【0084】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の抗TfR1クローン8)は、TfR1のエピトープに結合し、エピトープは、配列番号105のアミノ酸214~241および/またはアミノ酸354~381の残基を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105のアミノ酸214~241およびアミノ酸354~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376、およびS378のうちの1以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基Y222、T227、K231、H234、T367、S368、S370、T376およびS378を含むエピトープに結合する。
【0085】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのヒト化バリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291および/またはアミノ酸358~381の残基を含むTfR1のエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのヒト化バリアント)は、配列番号105のアミノ酸258~291およびアミノ酸358~381の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのヒト化バリアント)は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371の1以上を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、以下の表2の3M12およびそのヒト化バリアント)は、配列番号105に示されるヒトTfR1の残基K261、S273、Y282、T362、S368、S370、およびK371を含むエピトープに結合する。
【0086】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはより小さい結合親和性(例として、Kdによって指し示される)をもってTfR1(例として、ヒトまたは霊長目の非ヒト動物TfR1)に特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はサブナノモル範囲のKDをもってTfR1に結合する。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はトランスフェリン受容体1(TfR1)に選択的に結合するが、トランスフェリン受容体2(TfR2)には結合しない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はヒトTfR1およびカニクイTfR1に結合するが(例として、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはより小さいKdをもって)、マウスTfR1には結合しない。抗TfR1抗体の親和性および結合動態は、限定するものではないが、バイオセンサ技術(例として、OCTETまたはBIACORE)などの任意の好適な方法を使用して試験され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1へのトランスフェリン結合と競合も阻害もしない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つの結合は、TfR1に対するHFE-ベータ2-ミクログロブリン結合と競合も阻害もしない。
【0087】
抗TfR1抗体の非限定的な例は表2に示される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0088】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのヒト化バリアントである。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表2に提供される示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、ヒト化重鎖可変領域および/または(例として、および)ヒト化軽鎖可変領域を含む。
【0089】
本明細書に記載の抗TfR1抗体のアミノ酸配列の例は、表3に示される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0090】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むVHを含み、表3に提供されるそれぞれのヒト化VHと比較して、1以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に提供される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含むVLを含み、表3に提供されるそれぞれのヒト化VLと比較して、1以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のアミノ酸変異を含む。
【0091】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のうちのいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ、表3に示されるそれぞれのVHと比較して、フレームワーク領域において少なくとも70%(例として、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表3に示される抗TfR1抗体のいずれか1つのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み、かつ、表3に示されるそれぞれのVLと比較してフレームワーク領域において少なくとも70%(例として、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0092】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0093】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0094】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号72のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号70のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0095】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0096】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号73のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0097】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号74のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0098】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号75のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0099】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0100】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0101】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号80のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号154のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号155のアミノ酸配列を含むヒト化VLを含む。
【0103】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、完全長IgGであり、これはヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を包含し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはそのある部分(例として、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例として、ヒト、マウス、ラット、またはウサギに由来し得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例として、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は下記のとおりである:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0104】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、変異体ヒトIgG1定常領域を含む。例えば、ヒトIgG1のCH2ドメイン上のLALA変異の導入(ヒンジ下部残基Leu234 Leu235をAla234およびAla235によって置き換えるように変異させられたmAb b12に由来する変異体)は、Fcγ受容体結合を低減することが知られている(Bruhns,P.,et al.(2009)およびXu,D.et al.(2000))。変異ヒトIgG1定常領域を以下に示す(変異は太字にされ下線が付される):
【化2】
(配列番号82)
【0105】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖はさらに、軽鎖定常領域(CL)を含み得、これは当該技術分野において知られているいずれかのCLであり得る。いくつかの例において、CLは、カッパ軽鎖である。他の例において、CLは、ラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であって、その配列は下に与えられる:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0106】
他の抗体の重鎖および軽鎖定常領域は当該技術分野において周知であり、例として、IMGTデータベース(www.imgt.org)において、またはwww.vbase2.org/vbstat.php.にて提供されるものであるが、これらの両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81または配列番号82と比較して25以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号81に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号82に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0108】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83で表されるとおりの軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0109】
記載される抗TfR1抗体のIgG重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表4に示される。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0110】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94、および156のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて、(例として、追加で)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95、および157のうちのいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号84、86、87、88、91、92、94および156のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0112】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0113】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0114】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0115】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0116】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0117】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0118】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0119】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0120】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0121】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0122】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)のFabフラグメント、Fab'フラグメント、またはF(ab')2フラグメントである。インタクトな抗体(全長抗体)の抗原結合フラグメントは定型的な方法によって(例として、組み換え的に、または全長IgGの重鎖定常領域をパパインなどの酵素を使用して消化することによって)調製され得る。例えば、F(ab')2フラグメントは抗体分子のペプシンまたはパパイン消化によって産生され得、FabフラグメントはF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のFabフラグメントにおける重鎖領域は、ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号96)のアミノ酸配列を含む。
【0124】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖定常領域を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVHまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号96に示される重鎖定常領域を含む重鎖を含む。
【0125】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一である軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83と比較して25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、表3に挙げられるVLまたはそれらのいずれかのバリアントのいずれか1つ、および配列番号83で表されるとおりの軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。
【0126】
記載される抗TfR1抗体のFab重鎖および軽鎖アミノ酸配列の例は、下の表5に示される。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0127】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つに示される重鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する重鎖を含む。あるいは、または加えて、(例として、追加で)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つに示される軽鎖と比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有する軽鎖を含む。
【0128】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95、および157のうちのいずれか1つと少なくとも75%(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号97~103、158および159のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号85、89、90、93、95および157のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0129】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号97のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0130】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0131】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0132】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0133】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0134】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0135】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0136】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0137】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0138】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0139】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号158のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0140】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0141】
他の公知の抗TfR1抗体
当該技術分野において知られているいずれか他の適切な抗TfR1抗体は、本明細書に開示の複合体において筋標的化剤として使用され得る。知られている抗TfR1抗体(関連する参考文献および結合エピトープを包含する)の例は、表6に挙げられる。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、本明細書に提供される抗TfR1抗体のいずれかの相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)、例として表6に列挙される抗TfR1抗体を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0142】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つからのCDR-H(例として、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)アミノ酸配列の1以上を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つについて提供されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0143】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの、任意の抗TfR1抗体の重鎖可変ドメインおよび/または(例として、および)軽鎖可変ドメインを含む任意の抗体を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、任意の抗TfR1抗体の重鎖可変対および軽鎖可変対を含む、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗体を含む。
【0144】
本開示の側面は、本明細書に記載のもののいずれかに相同な重鎖可変(VH)および/または(例として、および)軽鎖可変(VL)ドメインアミノ酸配列を有する抗TfR1抗体を提供する。いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗TfR1抗体の重鎖可変配列および/またはいずれの軽鎖可変配列と少なくとも75%(例として、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一の重鎖可変配列または軽鎖可変配列を含む。いくつかの態様において、相同な重鎖可変および/または(例として、および)軽鎖可変アミノ酸配列は、本明細書に提供されるCDR配列のいずれかにおいては変動しない。例えば、いくつかの態様において、配列変異の程度(例として、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)は、本明細書に提供されるCDR配列のいずれかを除外した重鎖可変および/または(例として、および)軽鎖可変配列内で起こり得る。いくつかの態様において、本明細書に提供される抗TfR1抗体のいずれも、表6から選択される抗TfR1抗体のいずれか1つなどの任意の抗TfR1抗体のフレームワーク配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一のフレームワーク配列を含む重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む。
【0145】
本開示に従って使用され得るトランスフェリン受容体抗体の例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/081643号に記載されている。この抗体のアミノ酸配列は表7に示される。
【表7-1】
【表7-2】
【0146】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3と同じであるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0147】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、CDR-L3を含み、これは表7に示されるCDR-L3と比較して3個以下のアミノ酸変異(例として、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-L3と比較して1つのアミノ酸変異を含有するCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、QHFAGTPLT(配列番号126)KabatおよびChothia定義系に従う)またはQHFAGTPL(配列番号127)Contact定義系に従う)のCDR-L3を含む。いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示されるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と同じであるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、およびCDR-L2を含み、QHFAGTPLT(配列番号126)KabatおよびChothia定義系に従う)またはQHFAGTPL(配列番号127)Contact定義系に従う)のCDR-L3を含む。
【0148】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される重鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、または98%)同一である重鎖CDRを含む。あるいは、または加えて、(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、表7に示される軽鎖CDRと、合わせて少なくとも80%(例として、80%、85%、90%、95%、または98%)同一である軽鎖CDRを含む。
【0149】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号124のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号125のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0150】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128のアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0151】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号128に示されるVHと比較して、25個以下のアミノ酸変異(例として、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有するVHを含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本開示の抗TfR1抗体は、配列番号129に示されるVLと比較して、15個以下のアミノ酸変異(例として、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸変異)を含有するVLを含む。
【0152】
いくつかの態様において、本開示の抗TfR1抗体は、完全長IgG1抗体であり、これはヒト抗体からの重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはそのある部分(例として、CH1、CH2、CH3、またはそれらの組み合わせ)を含み得る。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例として、ヒト、マウス、ラット、またはウサギに由来し得る。特定の一例において、重鎖定常領域は、ヒトIgG(ガンマ重鎖)、例として、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来する。ヒトIgG1定常領域の例は下記のとおりである:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号81)
【0153】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれかの軽鎖はさらに、軽鎖定常領域(CL)を含み得、これは当該技術分野において知られているいずれかのCLであり得る。いくつかの例において、CLは、カッパ軽鎖である。他の例において、CLは、ラムダ軽鎖である。いくつかの態様において、CLはカッパ軽鎖であって、その配列は下に与えられる:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号83)
【0154】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号132のアミノ酸配列を含む重鎖を含むキメラ抗体である。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0155】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖を含む完全ヒト抗体である。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0156】
いくつかの態様において、抗TfR1抗体は、インタクトな抗体(完全長抗体)の抗原結合性フラグメント(Fab)である。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号136のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号133のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。あるいは、または加えて(例として、加えて)、本明細書に記載の抗TfR1 Fabは、配列番号135のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0157】
本明細書に記載の抗TfR1抗体は、いずれかの抗体形態であり得、インタクトな(すなわち全長)抗体、それらの抗原結合フラグメント(Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなど)、一本鎖抗体、二重特異性抗体、またはナノボディを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体はscFvである。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、scFv-Fabである(例として、定常領域のある部分に融合されたscFv)。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、定常領域(例として、配列番号81で示されるヒトIgG1定常領域)と縮合されたscFvである。
【0158】
いくつかの態様において、保存的変異は、その残基が標的抗原(例として、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与する可能性が低い、例えば、結晶構造に基づき決定される位置で、抗体配列(例として、CDRまたはフレームワーク配列)に導入され得る。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または(例として、および)細胞への抗原依存的細胞傷害性などの、抗体の1以上の機能特性を変更させるために、本明細書に記載の抗TfR1抗体のFc領域中(例として、Kabat番号付け系(例として、KabatのEUインデックス)に従う番号付けで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。
【0159】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が、例として米国特許第5,677,425号に記載のとおり変動(例として、増大または減少)され得るように、Fc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例として、軽鎖と重鎖の会合を容易にさせるために、または抗体の安定性を変える(例として、増大または減少させる)ため、またはリンカーのコンジュゲーションを容易にさせるために、変更され得る。
【0160】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、抗体の、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例として、活性化されたFc受容体)への親和性を増加または減少させるため、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabat番号付け系(例として、KabatのEUインデックス)に従う番号付けで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。抗体のFc受容体への親和性を増大または減少させる抗体のFc領域中の変異、およびかかる変異をFc受容体中またはそのフラグメントに導入するための技法は、当業者に知られている。抗体のFc受容体への親和性を変更するためになされ得る、抗体のFc受容体中の変異の例は、例として、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0161】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。例として、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるであろう変異の例として、国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号、ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号、および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0162】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗TfR1抗体の半減期を減少させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))に従う番号付けで第2定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中および/または(例として、および)第3定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中に、1以上のアミノ酸変異(例として、置換)を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。「YTE変異体」と称されるこのタイプの変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増大した半減期を発揮したことが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照されたい)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0163】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸置換は、抗TfR1抗体のエフェクター機能を変更するため、IgG定常領域Fc領域に導入される。自身への親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1構成要素であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号においてさらに詳細に記載される。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段を通して)は、循環抗体のFc受容体への結合を低減し、それによって腫瘍局在化を増大し得る。定常領域を欠失または不活化し、それによって腫瘍局在化を増大させる変異の記載については、例として、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するため(これによってFc受容体への結合が低減されることもある)、本明細書に記載の抗体のFc領域に導入されてもよい(例として、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照されたい)。
【0164】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体の定常領域中の1以上のアミノ酸残基は、抗体が変更されたC1q結合および/または(例として、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有し得るように、異なるアミノ酸残基に置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)においてさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末領域中の1以上のアミノ酸残基は変更されて、それによって抗体の補体結合能を変更する。このアプローチは、国際公開第94/29351号にさらに詳しく記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、抗体の、細胞への抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の媒介能を増大させるため、および/または(例として、および)、抗体のFcγ受容体への親和性を増大させるため、修飾されている。このアプローチは、国際公開第00/42072号にさらに詳しく記載されている。
【0165】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体の重鎖および/または(例として、および)軽鎖可変ドメイン配列は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、例えば、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合性フラグメントを生成するために使用され得る。当業者によって理解されるとおり、本明細書に提供される抗体のいずれかに由来するいずれのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に有用であってもよく、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有し得るように、トランスフェリン受容体への特異的結合能を維持するであろう。
【0166】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、所望の特性を抗体へ付与する変異を含む。例えば、天然のIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換(Fab-arm exchange)に起因する潜在的合併症を回避するため、本明細書に提供される抗体は、安定化「Adair」変異を含み得(Angal S.,et al.,「A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody」,Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここでセリン228(EU番号付け;残基241 Kabat番号付け)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンへ変換されている。したがって、抗体のいずれかは、安定化「Adair」変異を含み得る。
【0167】
いくつかの態様において、抗体は修飾されている(例として、グリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/または(例として、および)、メチル化を介して修飾されている)。いくつかの態様において、抗体は、1以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされたグリコシル化抗体である。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー付着)、および/または(例として、および)、ホスホグリコシル化を介して、抗体にコンジュゲートされている。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、またはグリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、分枝オリゴ糖類または分枝グリカンである。いくつかの態様において、1以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、N-アセチルガラクトサミン単位、ガラクトース単位、フコース単位、またはホスホ脂質単位を包含する。いくつかの態様において、糖分子は、約1~10個、約1~5個、約5~10個、約1~4個、約1~3個、または約2個存在する。いくつかの態様において、グリコシル化抗体は、全体的にまたは部分的にグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、化学反応によって、または酵素的な手段によってグリコシル化されている。いくつかの態様において、抗体は、in vitroまたは細胞内でグリコシル化され、任意に、N-またはO-グリコシル化経路において酵素(例として、グリコシルトランスフェラーゼ)が欠乏し得る。いくつかの態様において、抗体は、「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」と題する2014年5月1日に公開された国際公開第2014065661号に記載されるような糖または炭水化物分子で官能化されている。
【0168】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つは、重鎖および/または(例として、および)軽鎖配列上にシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗TfR1抗体は、VHおよびVL配列のいずれか1つ、IgG重鎖および軽鎖配列のいずれか1つ、または本明細書に記載のF(ab')重鎖および軽鎖配列のいずれか1つを含み、さらにシグナルペプチド(例として、N末端シグナルペプチド)を含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはMGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号104)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、1以上の翻訳後修飾を有し得る。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成(ピロGlu)ともまた呼ばれるN末端環化が、産生中に抗体に生じ得る。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は、N末端グルタミン酸(Glu)および/またはグルタミン(Gln)残基で、産生中に抗体に生じ得る。したがって、当然のことながら、N末端グルタメートまたはグルタミン残基を含む配列を有すると特定される抗体は、翻訳後修飾に起因するピログルタメート形成を受けた抗体を包含する。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は、重鎖配列に生起する。いくつかの態様において、ピログルタミン酸形成は軽鎖配列に生起する。
【0169】
b.他の筋標的抗体
いくつかの態様において、筋標的化抗体は、ヘモジュベリン(hemojuvelin)、カベオリン-3、デュシェンヌ型筋ジストロフィーペプチド、ミオシンIIb、またはCD63に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、筋原性前駆体タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示の筋原性前駆体タンパク質は、限定せずに、ABCG2、M-カドヘリン/カドヘリン-15、カベオリン-1、CD34、FoxK1、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、MYF-5、MyoD、ミオゲニン、NCAM-1/CD56、Pax3、Pax7、およびPax9を包含する。いくつかの態様において、筋標的化抗体は、骨格筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示的な骨格筋タンパク質としては、限定するものではないが、アルファ-サルコグリカン、ベータ-サルコグリカン、カルパインインヒビター、クレアチンキナーゼMM/CKMM、eIF5A、エノラーゼ2/ニューロン特異的エノラーゼ、イプシロン-サルコグリカン、FABP3/H-FABP、GDF-8/ミオスタチン、GDF-11/GDF-8、インテグリンアルファ7、インテグリンアルファ7ベータ1、インテグリンベータ1/CD29、MCAM/CD146、MyoD、ミオゲニン、ミオシン軽鎖キナーゼインヒビター、NCAM-1/CD56、およびトロポニンIが挙げられ、いくつかの態様において、筋標的化抗体は、平滑筋タンパク質に特異的に結合する抗体である。例示の平滑筋タンパク質は、限定せずに、アルファ-平滑筋アクチン、VE-カドヘリン、カルデスモン/CALD1、カルポニン1、デスミン、ヒスタミンH2 R、モチリンR/GPR38、トランスジェリン(Transgelin)/TAGLN、およびビメンチンを包含する。しかしながら、当然のことながら、追加の標的への抗体が本開示の範囲内であること、および本明細書に提供される標的の例示のリストが限定することを意図していない。
【0170】
c.抗体特色/変更
いくつかの態様において、保存的変異は、その残基が標的抗原(例として、トランスフェリン受容体)との相互作用に関与する可能性が低い、例えば、結晶構造に基づき決定される位置で、抗体配列(例として、CDRまたはフレームワーク配列)に導入され得る。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または(例として、および)細胞への抗原依存的細胞傷害性などの、抗体の1以上の機能特性を変更させるために、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabat番号付け系(例として、KabatのEUインデックス)に従う番号付けで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。
【0171】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が、例として米国特許第5,677,425号に記載のとおり変動(例として、増大または減少)され得るように、Fc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例として、軽鎖と重鎖の会合を容易にさせるために、または抗体の安定性を変える(例として、増大または減少させる)ため、またはリンカーのコンジュゲーションを容易にさせるために、変更され得る。
【0172】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例として、アミノ酸置換)は、抗体の、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例として、活性化されたFc受容体)への親和性を増加または減少させるため、本明細書に記載の筋標的化抗体のFc領域中(例として、Kabat番号付け系(例として、KabatのEUインデックス)に従う番号付けで、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中、および/または(例として、および)CH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中、および/または(例として、および)ヒンジ領域中)へ導入される。抗体のFc受容体への親和性を増大または減少させる抗体のFc領域中の変異、およびかかる変異をFc受容体中またはそのフラグメントに導入するための技法は、当業者に知られている。抗体のFc受容体への親和性を変更するためになされ得る、抗体のFc受容体中の変異の例は、例として、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0173】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。例として、in vivoでの抗体の半減期を変更(例として、増加または減少)させるであろう変異の例として、国際公開第02/060919号、国際公開第98/23289号、および国際公開第97/34631号、ならびに米国特許第5,869,046号、米国特許第6,121,022号、米国特許第6,277,375号、および米国特許第6,165,745号を参照されたい。
【0174】
いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗トランスフェリン受容体抗体の半減期を減少させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、1つ、2つまたはそれ以上のアミノ酸変異(すなわち、置換、挿入、または欠失)は、in vivoでの抗体の半減期を増加させるため、IgG定常領域またはそのFcRn-結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。いくつかの態様において、抗体は、KabatのEUインデックス(上記のKabat E A et al.,(1991))に従う番号付けで第2定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)中および/または(例として、および)第3定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)中に、1以上のアミノ酸変異(例として、置換)を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のIgG1定常領域は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置252におけるメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、位置254におけるセリン(S)からトレオニン(T)への置換、および位置256におけるトレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。「YTE変異体」と称されるこのタイプの変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して4倍増大した半減期を発揮したことが示されている(Dall'Acqua W F et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照されたい)。いくつかの態様において、抗体は、KabatにあるようなEUインデックスに従ってナンバリングされた位置251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常領域を含む。
【0175】
いくつかの態様において、1、2以上のアミノ酸置換は、抗トランスフェリン受容体抗体のエフェクター機能を変更するため、IgG定常領域Fc領域に導入される。自身への親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1構成要素であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号においてさらに詳細に記載される。いくつかの態様において、定常領域ドメインの欠失または不活化(点変異または他の手段を通して)は、循環抗体のFc受容体への結合を低減し、それによって腫瘍局在化を増大し得る。定常領域を欠失または不活化し、それによって腫瘍局在化を増大させる変異の記載については、例として、米国特許第5,585,097号および米国特許第8,591,886号を参照されたい。いくつかの態様において、1以上のアミノ酸置換は、Fc領域上の潜在的なグリコシル化部位を除去するため(これによってFc受容体への結合が低減されることもある)、本明細書に記載の抗体のFc領域に導入されてもよい(例として、Shields R L et al.,(2001)J Biol Chem 276:6591-604を参照されたい)。
【0176】
いくつかの態様において、本明細書に記載の筋標的化抗体の定常領域中の1以上のアミノ酸残基は、抗体が変更されたC1q結合および/または(例として、および)低減もしくは消失された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有し得るように、異なるアミノ酸残基に置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al)においてさらに詳細に記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のCH2ドメインのN末領域中の1以上のアミノ酸残基は変更されて、それによって抗体の補体結合能を変更する。このアプローチは、国際公開第94/29351号にさらに詳しく記載されている。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体のFc領域は、抗体の、細胞への抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の媒介能を増大させるため、および/または(例として、および)、抗体のFcγ受容体への親和性を増大させるため、修飾されている。このアプローチは、国際公開第00/42072号にさらに詳しく記載されている。
【0177】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体の重鎖および/または(例として、および)軽鎖可変ドメイン配列は、本明細書の他の箇所に記載されるとおり、例えば、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは複合ヒト抗体、または抗原結合性フラグメントを生成するために使用され得る。当業者によって理解されるとおり、本明細書に提供される抗体のいずれかに由来するいずれのバリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体は、本明細書に記載の組成物および方法に有用であってもよく、バリアント、CDR接合抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または複合抗体が、これが由来する元の抗体と比べて、トランスフェリン受容体への少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の結合を有し得るように、トランスフェリン受容体への特異的結合能を維持するであろう。
【0178】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、所望の特性を抗体へ付与する変異を含む。例えば、天然のIgG4 mAbに生じることが知られているFabアーム交換(Fab-arm exchange)に起因する潜在的合併症を回避するため、本明細書に提供される抗体は、安定化「Adair」変異を含み得(Angal S.,et al.,「A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4)antibody」,Mol Immunol 30,105-108;1993)、ここでセリン228(EU番号付け;残基241 Kabat番号付け)は、IgG1様ヒンジ配列をもたらすプロリンへ変換されている。したがって、抗体のいずれかは、安定化「Adair」変異を含み得る。
【0179】
本明細書に提供されるとおり、本開示の抗体は、任意に、定常領域またはその一部を含んでいてもよい。例えば、VLドメインは、そのC末端にて、軽鎖定常領域様CκまたはCλへ付着されていてもよい。同様に、VHドメインまたはその一部は、すべてのまたは一部の重鎖様IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、およびいずれのアイソタイプのサブクラスへ付着されていてもよい。抗体は、好適な定常領域を包含していてもよい(例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,No.91-3242,National Institutes of Health Publications,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。したがって、本開示の範囲内の抗体は、いずれの好適な定常領域と組み合わされて、VHおよびVLドメイン、またはその抗原結合部を包含していてもよい。
【0180】
ii.筋標的化ペプチド
本開示のいくつかの側面は、筋標的化ペプチドを筋標的化剤として提供する。特定の細胞型に結合する短いペプチド配列(例として、長さが5~20アミノ酸のペプチド配列)は記載されている。例えば、細胞標的化ペプチドは、Vines e.,et al.,A.「Cell-penetrating and cell-targeting peptides in drug delivery」Biochim Biophys Acta 2008,1786:126-38、Jarver P.,et al.,「In vivo biodistribution and efficacy of peptide mediated delivery」Trends Pharmacol Sci 2010;31:528-35、Samoylova T.I.,et al.,「Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening」Muscle Nerve 1999;22:460-6、米国特許第6,329,501号、2001年12月11日発行、表題「METHODS AND COMPOSITIONS FOR TARGETING COMPOUNDS TO MUSCLE」、およびSamoylov A.M.,et al.,「Recognition of cell-specific binding of phage display derived peptides using an acoustic wave sensor.」Biomol Eng 2002;18:269-72に記載されており、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。特定の細胞表面抗原(例として、受容体)と相互作用するようにペプチドを設計することによって、所望される組織、例として、筋肉への選択性が獲得され得る。骨格筋標的化が調査されており、広範な分子ペイロードが送達されることができる。巨大な抗体またはウイルス粒子についての実際上の不利な点の多くが存在しないこれらのアプローチは、筋組織への高選択性を有していてもよい。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、4から50アミノ酸長の筋標的化ペプチドである。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、長さが4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸である。筋標的化ペプチドは、ファージディスプレーなどの数種の方法のいずれかを使用して生成され得る。
【0181】
いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、他のある細胞と比較して、筋細胞において過剰発現されているかまたは相対的に高度に発現されている、内在化する細胞表面受容体(例として、トランスフェリン受容体)へ結合し得る。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、トランスフェリン受容体を標的にしてもよい(例として、トランスフェリン受容体へ結合し得る)。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、天然に存在するリガンド、例として、トランスフェリンのセグメントを含み得る。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、米国特許第6,743,893号、11/30/2000出願、「RECEPTOR-MEDIATED UPTAKE OF PEPTIDES THAT BIND THE HUMAN TRANSFERRIN RECEPTOR」に記載のとおりである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、Kawamoto,M.et al,「A novel transferrin receptor-targeted hybrid peptide disintegrates cancer cell membrane to induce rapid killing of cancer cells.」BMC Cancer.2011 Aug 18;11:359に記載のとおりである。いくつかの態様において、トランスフェリン受容体を標的化するペプチドは、米国特許第8,399,653号、5/20/2011出願、「TRANSFERRIN/TRANSFERRIN RECEPTOR-MEDIATED SIRNA DELIVERY」に記載のとおりである。
【0182】
上述のとおり、筋標的化ペプチドの例は報告されている。例えば、筋肉特異的ペプチドは、表面へプタペプチドを提示するファージディスプレーライブラリを使用して同定された。一例として、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号130)を有するペプチドは、in vitroではC2C12マウス筋管に結合し、in vivoではマウス筋組織に結合した。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列ASSLNIA(配列番号130)を含む。このペプチドは、肝臓、腎臓、および脳への結合が低減された、マウスへの静脈内注射後の心筋組織および骨格筋組織への結合について改善された特異性を発揮した。追加の筋肉特異的ペプチドがファージディスプレーを使用して同定されている。例えば、DMDへの処置という文脈において、12アミノ酸ペプチドが、筋標的化のためのファージディスプレーライブラリによって同定された。Yoshida D.,et al.,「Targeting of salicylate to skin and muscle following topical injections in rats.」Int J Pharm 2002;231:177-84を参照されたい。この内容全体はこれによって参照により組み込まれる。ここで、配列SKTFNTHPQSTP(配列番号131)を有する12アミノ酸ペプチドが同定され、この筋標的化ペプチドは、ASSLNIA(配列番号130)ペプチドと比べてC2C12細胞への改善された結合を示した。
【0183】
他の細胞型より筋肉(例として、骨格筋)に対して選択的なペプチドを同定するためのいずれの追加の方法はin vitroでの選択を含み、これはGhosh D.,et al.,「Selection of muscle-binding peptides from context-specific peptide-presenting phage libraries for adenoviral vector targeting」J Virol 2005;79:13667-72に記載されている。この内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。ランダム12-merペプチドファージディスプレーライブラリを非筋細胞型の混合物とプレインキュベートすることによって、非特異的細胞バインダーが選出された。選択を繰り返した後、12個のアミノ酸のペプチドTARGEHKEEELI(配列番号189)が最も頻繁に現れた。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、アミノ酸配列TARGEHKEEELI(配列番号189)を含む。
【0184】
筋標的化剤は、アミノ酸含有分子またはペプチドであってもよい。筋標的化ペプチドは、筋細胞から見出されたタンパク質受容体へ優先的に結合するタンパク質の配列に対応していてもよい。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、ペプチドが筋細胞を優先的に標的化し得るように、疎水性アミノ酸(例として、バリン)の性質を強く有する。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、これまでに特徴付けも開示もされていない。これらのペプチドは、数種の方法論のいずれか、例として、ファージディスプレードペプチドライブラリ、1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)ペプチドライブラリ、または位置走査合成ペプチドコンビナトリアルライブラリを使用して、着想、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化され得る。例示の方法論は、当該技術分野において特徴付けられており、参照により組み込まれる(Gray,B.P.and Brown,K.C.「Combinatorial Peptide Libraries:Mining for Cell-Binding Peptides」Chem Rev.2014,114:2,1020-1081.、Samoylova,T.I.and Smith,B.F.「Elucidation of muscle-binding peptides by phage display screening.」Muscle Nerve,1999,22:4.460-6.)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドはこれまでに開示されている(例として、Writer M.J.et al.「Targeted gene delivery to human airway epithelial cells with synthetic vectors incorporating novel targeting peptides selected by phage display.」J.Drug Targeting.2004;12:185;Cai,D.「BDNF-mediated enhancement of inflammation and injury in the aging heart.」Physiol Genomics.2006,24:3,191-7.、Zhang,L.「Molecular profiling of heart endothelial cells.」Circulation,2005,112:11,1601-11.、McGuire,M.J.et al.「In vitro selection of a peptide with high selectivity for cardiomyocytes in vivo.」J Mol Biol.2004,342:1,171-82を参照されたい)。例示の筋標的化ペプチドは、以下の群のアミノ酸配列を含む:CQAQGQLVC(配列番号201)、CSERSMNFC(配列番号202)、CPKTRRVPC(配列番号203)、WLSEAGPVVTVRALRGTGSW(配列番号204)、ASSLNIA(配列番号130)、CMQHSMRVC(配列番号205)、およびDDTRHWG(配列番号206)。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは、約2~25アミノ酸、約2~20アミノ酸、約2~15アミノ酸、約2~10アミノ酸、または約2~5アミノ酸を含んでいてもよい。筋標的化ペプチドは、天然に存在するアミノ酸、例として、システイン、アラニン、または天然に存在しないアミノ酸、もしくは修飾アミノ酸を含み得る。天然に存在しないアミノ酸には、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当該技術分野において知られているその他のアミノ酸が含まれる。いくつかの態様において、筋標的化ペプチドは線状であり得、他の態様において、筋標的化ペプチドは環状(例として、二環式)であり得る(例として、Silvana,M.G.et al.Mol.Therapy,2018,26:1,132-147を参照されたい)。
【0185】
iii.筋標的化受容体リガンド
筋標的化剤は、リガンド、例として、受容体タンパク質に結合するリガンドであってもよい。筋標的化リガンドは、筋細胞によって発現される内在化する細胞表面受容体に結合するタンパク質、例として、トランスフェリンであってもよい。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスフェリン、またはトランスフェリン受容体に結合するその誘導体である。筋標的化リガンドは、代替的に、小分子、例として、他の細胞型と比べて優先的に筋細胞を標的化する親油性小分子であってもよい。筋細胞を標的にしてもよい例示の親油性小分子は、コレステロール、コレステリル、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、オレイル、リノレン酸、リノール酸、ミリスチン酸、ステロール、ジヒドロテストステロン、テストステロン誘導体、グリセリン、アルキル鎖、トリチル基、およびアルコキシ酸を含む化合物を包含する。
【0186】
iv.筋標的化アプタマー
筋標的化剤は、他の細胞型と比べて優先的に筋細胞を標的化するアプタマー、例としてRNAアプタマーであってもよい。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーはこれまでに特徴付けも開示もされていない。これらのアプタマーは、数種の方法論のいずれか、例として、指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化を使用して、着想、産生、合成、および/または(例として、および)、誘導体化されてもよい。例示の方法論は当該技術分野において特徴付けされており、参照により組み込まれる(Yan,A.C.and Levy,M.「Aptamers and aptamer targeted delivery」RNA biology,2009,6:3,316-20.;Germer,K.et al.「RNA aptamers and their therapeutic and diagnostic applications.」Int.J.Biochem.Mol.Biol.2013;4:27-40)。いくつかの態様において、筋標的化アプタマーはこれまでに開示されている(例として、Phillippou,S.et al.「Selection and Identification of Skeletal-Muscle-Targeted RNA Aptamers.」Mol Ther Nucleic Acids.2018,10:199-214.;Thiel,W.H.et al.「Smooth Muscle Cell-targeted RNA Aptamer Inhibits Neointimal Formation.」Mol Ther.2016,24:4,779-87を参照されたい)。例示の筋標的化アプタマーは、A01B RNAアプタマーおよびRNA Apt 14を包含する。いくつかの態様において、アプタマーは、核酸をベースとしたアプタマー、オリゴヌクレオチドアプタマー、またはペプチドアプタマーである。いくつかの態様において、アプタマーは、約5~15kDa、約5~10kDa、約10~15kDa、約1~5Da、約1~3kDa、またはこれより小さいものであってもよい。
【0187】
v.他の筋標的化剤
筋細胞(例として、骨格筋細胞)を標的化するための1つのストラテジーは、筋線維鞘上に発現されたトランスポータータンパク質などの筋肉トランスポータータンパク質の基質を使用することである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、筋組織に特異的な流入トランスポーターの基質である。いくつかの態様において、流入トランスポーターは、骨格筋組織に特異的である。骨格筋の筋線維鞘上に発現されるトランスポーターの二大クラスは、(1)骨格筋組織からの流出に容易にさせる、アデノシン三リン酸(ATP)結合カセット(ABC)スーパーファミリー、および(2)基質の骨格筋中への流入を容易にし得る、溶質輸送体(solute carrier)(SLC)スーパーファミリーである。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのABCスーパーファミリーまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質は、天然に存在する基質である。いくつかの態様において、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合する基質は、天然に存在しない基質、例えば、トランスポーターのABCまたはSLCスーパーファミリーに結合するその合成誘導体である。
【0188】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、輸送体のSLCスーパーファミリーを標的化する本明細書に記載のいずれかの筋標的化剤(例として、抗体、核酸、小分子、ペプチド、アプタマー、脂質、糖部分)である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、トランスポーターのSLCスーパーファミリーの基質である。SLCトランスポーターは、平衡型であるか、または基質の輸送を推進させる膜にわたって創出されたプロトンもしくはナトリウムのイオン勾配を使用するかのいずれかである。骨格筋への高発現を有する例示のSLCトランスポーターは、限定せずに、SATTトランスポーター(ASCT1;SLC1A4)、GLUT4トランスポーター(SLC2A4)、GLUT7トランスポーター(GLUT7;SLC2A7)、ATRC2トランスポーター(CAT-2;SLC7A2)、LAT3トランスポーター(KIAA0245;SLC7A6)、PHT1トランスポーター(PTR4;SLC15A4)、OATP-Jトランスポーター(OATP5A1;SLC21A15)、OCT3トランスポーター(EMT;SLC22A3)、OCTN2トランスポーター(FLJ46769;SLC22A5)、ENTトランスポーター(ENT1;SLC29A1およびENT2;SLC29A2)、PAT2トランスポーター(SLC36A2)、およびSAT2トランスポーター(KIAA1382;SLC38A2)を包含する。これらのトランスポーターは、基質の骨格筋中への流入を容易にさせることで、筋標的化のための好機を提供し得る。
【0189】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、平衡型ヌクレオシドトランスポーター2(ENT2)トランスポーターの基質である。他のトランスポーターと比べて、ENT2は、骨格筋において最高発現するmRNAの1つを有する。ヒトENT2(hENT2)は、脳、心臓、胎盤、胸腺、膵臓、前立腺、および腎臓などのほとんどの体器官に発現されるものの、特に骨格筋に豊富である。ヒトENT2は、その基質の取り込みを、それらの濃度勾配に応じて容易にさせる。ENT2は、広範なプリンおよびピリミジン核酸塩基を輸送することによってヌクレオシドホメオスタシスを維持する役割を果たす。hENT2トランスポーターは、イノシンを除くすべてのヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、チミジン、およびシチジン)に対して低親和性を有する。したがって、いくつかの態様において、筋標的化剤は、ENT2基質である。例示のENT2基質は、限定せずに、イノシン、2',3'-ジデオキシイノシン、およびクロファラビンを包含する。いくつかの態様において、本明細書に提供される筋標的化剤のいずれも、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチドペイロード)に関連する。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、筋標的化剤は、分子ペイロードへ非共有結合的に連結されている。
【0190】
いくつかの態様において、筋標的化剤は、ナトリウムイオン依存性の高親和性カルニチントランスポーターである有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)の基質である。いくつかの態様において、筋標的化剤は、カルニチン、ミルドロネート、アセチルカルニチン、またはOCTN2に結合するそのいずれかの誘導体である。いくつかの態様において、カルニチン、ミルドロネート、アセチルカルニチン、またはそれらの誘導体は、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチドペイロード)へ共有結合的に連結されている。
【0191】
筋標的化剤は、筋細胞を標的化する少なくとも1つの可溶性形態で存在するタンパク質であるタンパク質であってもよい。いくつかの態様において、筋標的化タンパク質は、鉄過剰およびホメオスタシスに関与するタンパク質ヘモジュベリン(またrepulsive guidance molecule Cまたはヘモクロマトーシスタイプ2タンパク質としても知られている)であってもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、完全長もしくはフラグメントであっても、または機能的ヘモジュベリンタンパク質と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%配列同一性をもつ変異体であってもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリン変異体は、可溶性フラグメントであってもよく、N末端シグナリングを欠いていてもよく、かつ/または(例として、かつ)、C末端アンカードメインを欠いていてもよい。いくつかの態様において、ヘモジュベリンは、GenBank RefSeqアクセッション番号NM_001316767.1、NM_145277.4、NM_202004.3、NM_213652.3、またはNM_213653.3の注釈付きのものであってもよい。当然のことながら、ヘモジュベリンがヒト、霊長目の非ヒト動物、または齧歯類の動物を起源とするものであってもよい。
【0192】
B.分子ペイロード
本開示のいくつかの側面は、分子ペイロード、例として、生物学的結果(例として、DNA配列の転写、タンパク質の発現、またはタンパク質の活性)をモジュレートするための分子ペイロードを提供する。いくつかの態様において、分子ペイロードは、分子ペイロードへ共有結合的に連結されているか、そうでなければ会合している。いくつかの態様において、かかる分子ペイロードは、例として、関連する筋標的化剤による筋細胞への送達を受けた筋細胞中の核酸またはタンパク質への特異的結合を介して、筋細胞を標的化することが可能である。当然のことながら、様々なタイプの筋標的化剤が本開示に従って使用され得る。例えば、分子ペイロードは、オリゴヌクレオチド(例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、ペプチド(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するペプチド)、タンパク質(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質に結合するタンパク質)、または小分子(例として、疾患に関連する筋細胞中の核酸もしくはタンパク質の機能をモジュレートする小分子)を含んでいてもよく、またはこれらからなっていてもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN(例として、GAA反復)に対する相補性領域を有する鎖を含むオリゴヌクレオチドである。例示的な分子ペイロードが本明細書にさらに詳細に記載されているが、当然のことながら、本明細書に提供される例示の分子ペイロードが限定されることを意図するものではない。
【0193】
i.オリゴヌクレオチド
いずれの好適なオリゴヌクレオチドも、分子ペイロードとして、本明細書に記載のように使用され得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの分解を引き起こすよう設計されていてもよい(例として、オリゴヌクレオチドは、分解を引き起こすギャップマー、siRNA、リボザイム、またはアプタマーであってもよい)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの翻訳を遮断するよう設計されていてもよい(例として、オリゴヌクレオチドは、翻訳を遮断するmixmer、siRNA、またはアプタマーであってもよい)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、伸長したGAA反復を含有するFXN RNAと染色体DNAとの間のRループの形成を遮断するように設計され得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、FXN RNAに相補的であり、例として、フリードライヒ運動失調症を有するかまたは有すると疑われる対象において、伸長したGAA反復を含有するFXN RNAを遮断することによって機能的FXNのレベルを増加させるのに有用である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの分解を引き起こしてその翻訳を遮断するよう設計されていてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、酵素(例として、遺伝子編集酵素)の活性に向かわせるためのガイド核酸(例として、ガイドRNA)であってもよい。オリゴヌクレオチドの他の例は本明細書に示されている。当然のことながら、いくつかの態様において、一方のフォーマット(format)からの機能的配列(例として、アンチセンス鎖配列)を他方のフォーマットへ組み込むことによって、あるフォーマットのオリゴヌクレオチド(例として、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が、別のフォーマット(例として、siRNAオリゴヌクレオチド)へ好適に適応されてもよい。
【0194】
FXNを標的化するためにおよび/またはそうでなければフラタキシン欠乏症を補償するために有用なオリゴヌクレオチドの例は、Li,L.et al「Activating frataxin expression by repeat-targeted nucleic acids」Nat.Comm.2016,7:10606.、国際公開第2016/094374号、2016年6月16日公開、「Compositions and methods for treatment of Friedreich's ataxia.」、国際公開第2015/020993号、2015年2月12日公開、「RNAi COMPOSITIONS AND METHODS FOR TREATMENT OF FRIEDREICH'S ATAXIA」、国際公開第2017/186815号、2017年11月2日公開、「Antisense oligonucleotides for enhanced expression of frataxin」、国際公開第2008/018795年、2008年2月14日公開、「Methods and means for treating DNA repeat instability associated genetic disorders」、米国特許出願公開2018/0028557号、2018年2月1日公開、「Hybrid oligonucleotides and uses thereof」、国際公開第2015/023975号、2015年2月19日公開、「Compositions and methods for modulating RNA」、国際公開第2015/023939号、2015年2月19日公開、「Compositions and methods for modulating expression of frataxin」、米国特許出願公開第2017/0281643号、2017年10月5日公開、「Compounds and methods for modulating frataxin expression」;Li L.et al.,「Activating frataxin expression by repeat-targeted nucleic acids」Nature Communications、2016年2月4日公開、およびLi L.et al.「Activation of Frataxin Protein Expression by Antisense Oligonucleotides Targeting the Mutant Expanded Repeat」Nucleic Acid Ther.2018 Feb;28(1):23-33.に示されており、これら各々の内容全体は本明細書に組み込まれる。
【0195】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドペイロードは、例として、米国特許第9,593,330号、6/9/2011出願、「Treatment of frataxin(FXN)related diseases by inhibition of natural antisense transcript to FXN」(この内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる)において開示されたように、FXN発現を阻害する天然アンチセンス転写産物の発現を阻害するために構成される(例として、ギャップマーまたはRNAiオリゴヌクレオチドとして)。
【0196】
FXN遺伝子編集を促進するためのオリゴヌクレオチドの例としては、国際公開第2016/094845号、2016年6月16日公開、「Compositions and methods for editing nucleic acids in cells utilizing oligonucleotides」、国際公開第2015/089354号、2015年6月18日公開、「Compositions and methods of use of CRISPR-Cas systems in nucleotide repeat disorders」、国際公開第2015/139139号、2015年9月24日公開、「CRISPR-based methods and products for increasing frataxin levels and uses thereof」、および国際公開第2018/002783号、2018年1月4日公開、「Materials and methods for treatment of Friedreich ataxia and other related disorders」が挙げられ、これら各々の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0197】
非FXN遺伝子、例としてFXNの後成的調節因子、の標的化を通じてFXN遺伝子発現を促進するためのオリゴヌクレオチドの例としては、国際公開第2015/023938号、2015年2月19日公開、「Epigenetic regulators of frataxin」が挙げられ、この内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0198】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ヒト由来のFXN遺伝子(Gene ID 2395;NC_000009.12)および/またはマウス由来のFXN遺伝子(Gene ID 14297;NC_000085.6)として規定される配列に対する相補性領域を有してもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、例えば、例として、Montermini,L.et al.「The Friedreich ataxia GAA triplet repeat:premutation and normal alleles.」Hum.Molec.Genet.,1997,6:1261-1266.;Filla,A.et al.「The relationship between trinucleotide(GAA)repeat length and clinical features in Friedreich ataxia.」Am.J.Hum.Genet.1996,59:554-560.;Pandolfo,M.Friedreich ataxia:the clinical picture.J.Neurol.2009,256,3-8.(これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)に報告されているように、FXNの変異型に対する相補性領域を有してもよい。
【0199】
遺伝子ID2395に対応する例示的なヒトFXN遺伝子ヌクレオチド配列;NM_000144.5は以下のとおりである。
AGGGCGGAGCGGGCGGCAGACCCGGAGCAGCATGTGGACTCTCGGGCGCCGCGCAGTAGCCGGCCTCCTGGCGTCACCCAGCCCAGCCCAGGCCCAGACCCTCACCCGGGTCCCGCGGCCGGCAGAGTTGGCCCCACTCTGCGGCCGCCGTGGCCTGCGCACCGACATCGATGCGACCTGCACGCCCCGCCGCGCAAGTTCGAACCAACGTGGCCTCAACCAGATTTGGAATGTCAAAAAGCAGAGTGTCTATTTGATGAATTTGAGGAAATCTGGAACTTTGGGCCACCCAGGCTCTCTAGATGAGACCACCTATGAAAGACTAGCAGAGGAAACGCTGGACTCTTTAGCAGAGTTTTTTGAAGACCTTGCAGACAAGCCATACACGTTTGAGGACTATGATGTCTCCTTTGGGAGTGGTGTCTTAACTGTCAAACTGGGTGGAGATCTAGGAACCTATGTGATCAACAAGCAGACGCCAAACAAGCAAATCTGGCTATCTTCTCCATCCAGTGGACCTAAGCGTTATGACTGGACTGGGAAAAACTGGGTGTACTCCCACGACGGCGTGTCCCTCCATGAGCTGCTGGCCGCAGAGCTCACTAAAGCCTTAAAAACCAAACTGGACTTGTCTTCCTTGGCCTATTCCGGAAAAGATGCTTGATGCCCAGCCCCGTTTTAAGGACATTAAAAGCTATCAGGCCAAGACCCCAGCTTCATTATGCAGCTGAGGTCTGTTTTTTGTTGTTGTTGTTGTTTATTTTTTTTATTCCTGCTTTTGAGGACAGTTGGGCTATGTGTCACAGCTCTGTAGAAAGAATGTGTTGCCTCCTACCTTGCCCCCAAGTTCTGATTTTTAATTTCTATGGAAGATTTTTTGGATTGTCGGATTTCCTCCCTCACATGATACCCCTTATCTTTTATAATGTCTTATGCCTATACCTGAATATAACAACCTTTAAAAAAGCAAAATAATAAGAAGGAAAAATTCCAGGAGGGAAAATGAATTGTCTTCACTCTTCATTCTTTGAAGGATTTACTGCAAGAAGTACATGAAGAGCAGCTGGTCAACCTGCTCACTGTTCTATCTCCAAATGAGACACATTAAAGGGTAGCCTACAAATGTTTTCAGGCTTCTTTCAAAGTGTAAGCACTTCTGAGCTCTTTAGCATTGAAGTGTCGAAAGCAACTCACACGGGAAGATCATTTCTTATTTGTGCTCTGTGACTGCCAAGGTGTGGCCTGCACTGGGTTGTCCAGGGAGACCTAGTGCTGTTTCTCCCACATATTCACATACGTGTCTGTGTGTATATATATTTTTTCAATTTAAAGGTTAGTATGGAATCAGCTGCTACAAGAATGCAAAAAATCTTCCAAAGACAAGAAAAGAGGAAAAAAAGCCGTTTTCATGAGCTGAGTGATGTAGCGTAACAAACAAAATCATGGAGCTGAGGAGGTGCCTTGTAAACATGAAGGGGCAGATAAAGGAAGGAGATACTCATGTTGATAAAGAGAGCCCTGGTCCTAGACATAGTTCAGCCACAAAGTAGTTGTCCCTTTGTGGACAAGTTTCCCAAATTCCCTGGACCTCTGCTTCCCCATCTGTTAAATGAGAGAATAGAGTATGGTTGATTCCCAGCATTCAGTGGTCCTGTCAAGCAACCTAACAGGCTAGTTCTAATTCCCTATTGGGTAGATGAGGGGATGACAAAGAACAGTTTTTAAGCTATATAGGAAACATTGTTATTGGTGTTGCCCTATCGTGATTTCAGTTGAATTCATGTGAAAATAATAGCCATCCTTGGCCTGGCGCGGTGGCTCACACCTGTAATCCCAGCACTTTTGGAGGCCAAGGTGGGTGGATCACCTGAGGTCAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGCCAACATGATGAAACCCCGTCTCTACTAAAAATACAAAAAATTAGCCGGGCATGATGGCAGGTGCCTGTAATCCCAGCTACTTGGGAGGCTGAAGCGGAAGAATCGCTTGAACCCAGAGGTGGAGGTTGCAGTGAGCCGAGATCGTGCCATTGCACTGTAACCTGGGTGACTGAGCAAAACTCTGTCTCAAAATAATAATAACAATATAATAATAATAATAGCCATCCTTTATTGTACCCTTACTGGGTTAATCGTATTATACCACATTACCTCATTTTAATTTTTACTGACCTGCACTTTATACAAAGCAACAAGCCTCCAGGACATTAAAATTCATGCAAAGTTATGCTCATGTTATATTATTTTCTTACTTAAAGAAGGATTTATTAGTGGCTGGGCATGGTGGCGTGCACCTGTAATCCCAGGTACTCAGGAGGCTGAGACGGGAGAATTGCTTGACCCCAGGCGGAGGAGGTTACAGTGAGTCGAGATCGTACCTGAGCGACAGAGCGAGACTCCGTCTCAAAAAAAAAAAAAAGGAGGGTTTATTAATGAGAAGTTTGTATTAATATGTAGCAAAGGCTTTTCCAATGGGTGAATAAAAACACATTCCATTAAGTCAAGCTGGGAGCAGTGGCATATACCTATAGTCCCAGCTGCACAGGAGGCTGAGACAGGAGGATTGCTTGAAGCCAGGAATTGGAGATCAGCCTGGGCAACACAGCAAGATCCTATCTCTTAAAAAAAGAAAAAAAAACCTATTAATAATAAAACAGTATAAACAAAAGCTAAATAGGTAAAATATTTTTTCTGAAATAAAATTATTTTTTGAGTCTGATGGAAATGTTTAAGTGCAGTAGGCCAGTGCCAGTGAGAAAATAAATAACATCATACATGTTTGTATGTGTTTGCATCTTGCTTCTACTGAAAGTTTCAGTGCACCCCACTTACTTAGAACTCGGTGACATGATGTACTCCTTTATCTGGGACACAGCACAAAAGAGGTATGCAGTGGGGCTGCTCTGACATGAAAGTGGAAGTTAAGGAATCTGGGCTCTTATGGGGTCCTTGTGGGCCAGCCCTTCAGGCCTATTTTACTTTCATTTTACATATAGCTCTAATTGGTTTGATTATCTCGTTCCCAAGGCAGTGGGAGATCCCCATTTAAGGAAAGAAAAGGGGCCTGGCACAGTGGCTCATGCCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCTGAGGCAAGTGTATCACCTGAGGTCAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGCCAACATGGCAAAATCCCGTCTCTACTAAAAATATTAAAAAATTGGCTGGGCGTGGTGGTTCGTGCCTATAATTTCAGCTACTCAGGAGGCTGAGGCAGGAGAATCGCTGTAACCTGGGGGGTGGAGGTTGCAGTGAGACGAGATCATGCCACTTCACTCCAGCCTGGCCAACAGAGCCATACTCCGTCTCAAATAAATAAATAAATAAATAAAGGGACTTCAAACACATGAACAGCAGCCAGGGGAAGAATCAAAATCATATTCTGTCAAGCAAACTGGAAAAGTACCACTGTGTGTACCAATAGCCTCCCCACCACAGACCCTGGGAGCATCGCCTCATTTATGGTGTGGTCCAGTCATCCATGTGAAGGATGAGTTTCCAGGAAAAGGTTATTAAATATTCACTGTAACATACTGGAGGAGGTGAGGAATTGCATAATACAATCTTAGAAAACTTTTTTTTCCCCTTTCTATTTTTTGAGACAGGATCTCACTTTGGCACTCAGGCTGGAGGACAGTGGTACAATCAAAGCTCATGGCAGCCTCGACCTCCCTGGGCTTGGGCAATCCTCCCACAGGTGTGCACCTCCATAGCTGGCTAATTTGTGTATTTTTTGTAGAGATGGGGTTTCACCATGTTGCCCAGGCTGGTCTCTAACACTTAGGCTCAAGTGATCCACCTGCCTCGTCCTCCCAAGATGCTGGGATTACAGGTGTGTGCCACAGGTGTTCATCAGAAAGCTTTTTCTATTATTTTTACCTTCTTGAGTGGGTAGAACCTCAGCCACATAGAAAATAAAATGTTCTGGCATGACTTATTTAGCTCTCTGGAATTACAAAGAAGGAATGAGGTGTGTAAAAGAGAACCTGGGTTTTTGAATCACAAATTTAGAATTTAATCGAAACTCTGCCTCTTACTTGTTTGTAGACACTGACAGTGGCCTCATGTTTTTTTTTTTTTTAATCTATAAAATGGAGATATCTAACATGTTGAGCCTGGGCCCACAGGCAAAGCACAATCCTGATGTGAGAAGTACTCAGTTCATGACAACTGTTGTTCTCACATGCATAGCATAATTTCATATTCACATTGGAGGACTTCTCCCAAAATATGGATGACGTTCCCTACTCAACCTTGAACTTAATCAAAATACTCAGTTTACTTAACTTCGTATTAGATTCTGATTCCCTGGAACCATTTATCGTGTGCCTTACCATGCTTATATTTTACTTGATCTTTTGCATACCTTCTAAAACTATTTTAGCCAATTTAAAATTTGACAGTTTGCATTAAATTATAGGTTTACAATATGCTTTATCCAGCTATACCTGCCCCAAATTCTGACAGATGCTTTTGCCACCTCTAAAGGAAGACCCATGTTCATAGTGATGGAGTTTGTGTGGACTAACCATGCAAGGTTGCCAAGGAAAAATCGCTTTACGCTTCCAAGGTACACACTAAGATGAAAGTAATTTTAGTCCGTGTCCAGTTGGATTCTTGGCACATAGTTATCTTCTGCTAGAACAAACTAAAACAGCTACATGCCAGCAAGGGAGAAAGGGGAAGGAGGGGCAAAGTTTTGAAATTTCATGTAAATTTATGCTGTTCAAAACGACGAGTTCATGACTTTGTGTATAGAGTAAGAAATGCCTTTTCTTTTTTGAGACAGAGTCTTGCTCTGTCACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACGATCTGGGCTCACTACAACCTCCGCCTCCTGGGTTCAAGCAATTCTCTGCCTCAGCCTCCCGAGTAGCTGGGATTACAGGTGCCTGCCACCACACCCGGCTAATTTTTGTATTTTTAGTAG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【0200】
遺伝子ID 2395に対応する例示的なマウスFXN遺伝子ヌクレオチド配列;NM_008044.3は以下のとおりである。
GGAGCGGCCGCGGAGCTGGAGTAGCATGTGGGCGTTCGGAGGTCGCGCAGCCGTGGGCTTGCTGCCCCGGACGGCGTCCCGGGCCTCCGCCTGGGTCGGGAACCCGCGCTGGAGGGAACCGATCGTAACCTGCGGCCGCCGAGGCCTACATGTCACAGTCAACGCCGGCGCCACCCGCCACGCCCATTTGAACCTCCACTACCTCCAGATTCTGAACATCAAAAAGCAGAGCGTCTGCGTGGTGCATTTGAGGAACTTGGGGACATTGGACAACCCAAGCTCTCTAGACGAGACAGCGTATGAAAGACTGGCGGAAGAGACCCTGGACTCCCTGGCCGAGTTCTTTGAAGACCTCGCAGACAAGCCCTATACCCTGGAGGACTACGATGTCTCTTTTGGGGATGGCGTGCTCACCATTAAGCTGGGCGGGGATCTAGGGACCTACGTGATCAACAAGCAGACCCCAAACAAGCAAATCTGGCTGTCTTCTCCTTCCAGCGGCCCCAAGCGCTATGACTGGACCGGGAAGAACTGGGTGTACTCTCATGACGGCGTGTCTCTGCATGAGCTGCTGGCCAGGGAGCTGACTAAAGCTTTAAACACCAAACTGGACTTGTCTTCATTGGCCTATTCTGGAAAAGGCACTTGACTGCCAGCCAGATTCCAAGACATTAAACACTGTCAGGTGAAGACCCCCAGCCTCCTCCTGTAGCTGAATGTCTGCCTTCCCATACCTGCTCCTGAAGATAGTCACACCGTGTGTGACAGCTCTGTGAAAAAAGTGTGTTCCCTCCCACCCTGTCCCCGGACCTGGCTCTTCATTTCTACAGACATTTGTTAGGATTATGTCATTTGCTCCCCAACCTGAGACCTCTGGTCTCTTAGAAAGTCTTATATGCTGGGCAGTGGTGGCGCACGCCTTTAATCCCAGCACTCGGGAGGCAGAGGCAGGCGGATTTCTGAGTTCGAGGCCAGCCTGGTCTACAGAGTGAGTTCCAGGACAGCCAGGACTACACAGAGAAACCCTGTCTCGAAAAAAAAAAAAAAAAAAGAAAGAAAGAAAGTCTTACACCACAAGTGTGTCCATGATATAACAGCCTCAAAATGTCTTACACTGTGTGTGCTAATAACCTACACCATGTGTGCTAATAACCTCCTGAAAAGGAAAAAGGCTCAGAGGGAGACATGAGTCGTTCCCACTCTTCCATTGTCTCTGAAAAGATACTCTAAAAGTAACTTCTAAATGTACCCAAGACTCCAAGTATGTACACTTCTGAGTCCTGAGCAGCAAAGAGTCAAAAGAAACCATCTTAAAATGCCCTTTCGTGCTTTGTCACCTACACTCGGTACCCAGGACCTGGTGCTATTAACTCTGTGCCTTCATAGTGGGGGTCATTTACACAGTTGGCAGCTACGACATGGACCTGAGATGTCTGAAAATTTTGAAAATTGAGCTGGGCATGGTGGGGCATGCCTTTAATCCCAGCAATCAGGTGGCAGAGGCATGCAGATATCTCGGTGAGTTTGAGGCCAGCCTGGTCTATAAATCCAGGAGAGTCAGGCCAATTACACAGAGAAACCCTGTCTAAGGAAAATACGAAGAAAATTTGAGCTGGAGAGATCACTTAGTCCACACAAGCATGAAGACTCAAGTTTGATCCTAGGCGTCCACGTTTAAAGCCCAGGCATATTCTTCACTCGGAAAGTGGAGATGAGGGGCTTGCAGCCTCAGCAGTAAGCCTGGGGTCTCTGAGAAACACTATTTCAAAGAAGGAAACTTGCCTGGCTTCAGTTGACCTGTCCTACACATATGTGCACATGCACTAGTATAGACATAAACATGCACACAAATTCACACATGTTAAATAAATGCAGAAATAACTACAGGCAAGGAGGACAGACAAAAATCCCTACCATAAACCAAAGAACTAAACAGTGTCATGGAGCCGAGGTCTCGGTTATCCATGAGAGAGATGTCTGTACTGGTACAGAGAGCCCGGCCCTTCATTTCCAATCTACTCAGGGAGAGGGTAGAATATAGCTGATACCTGACATCCAGTGGAGTGGACCTATCAGGCCATCCACAAAGCTCTCCTTGTTCCCACTGGGTAGGTGGAAGAAATGGTATTGTTCTTGCTACTGCTCTGTTAGAATTTCAGATGAATTCCTAGGGAGCTAGCAGCTGCCCCTTGCTCTCTCTGCTGAATCCGGAGCACCATTGCCCTGCCTTAAGTGTGACAGGCTGCGCTTTGTACTGGAAGCAACACAGCTCCAGAACACCCACACGGAGCAACTCTAAACTCGGGTTTGTTTCGGGTTCAGTTCGTTTCTAACTGAAGGAAAATTGAGAGCAGGGACTCTAGCCCAGTGTGAAGGCTTGCCTAGCATGCAGAAGGGCCCTAAAGTTCCATCCCCACACTACAAAGGGCTGAGAGATTTGTCAGTGACAACTCTTATGCAAATGCCCAGCAGAGGCTATGCAGGGTGAACTGAACACATTACATCATAGACAAAACAATGGAACAGTGTAAACAGGCTAAGTGACTATTTAAGATATTTCCTTCTTCACAATTTTTTTTTTAGTCTGGTGGAAATTTTTGAGTGGTGTAAGTCGGTGCTAGAGAGATAATAAATAGGACCATGTGTGGACATGCCTATGGGTGTCCCTTTGTCTTCTTATGAAAGACACACACACACCCCACACCCCGCTTGACCCTTATCAGACCTTCAGAATGTGCACAGGGCGCGTTCTGAATGTGTATGGACGTTAGGGAGTCAGATGTTATGGGCTCCTCCTGGACCAGTTTTTGGACTTCTTAACTTTCACTTTATGTATTTCTCTGACTGGGTTTCAAGGCAGCCTCGATCACACTTAAGAGAGAGTATGAACACTGTGTTGTGTGAGTCAAGTCATTCTGAACTCCAGGCATGGGGATGCTCTTCTGTAGTCCTGGCACTTTGAACTCCAAGGCTCAAAGGTAAAAGAAGGATGGAAGTTTGGACTTGA(配列番号161)
【0201】
a.オリゴヌクレオチドサイズ/配列
オリゴヌクレオチドは、例としてフォーマットに応じて、様々な異なる長さのものであってもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75、またはそれ以上のヌクレオチド長である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、8~50ヌクレオチド長、8~40ヌクレオチド長、8~30ヌクレオチド長、10~15ヌクレオチド長、10~20ヌクレオチド長、15~25ヌクレオチド長、21~23ヌクレオチド長、20~25ヌクレオチド長などである。
【0202】
いくつかの態様において、本開示の目的のためのオリゴヌクレオチドの核酸配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能である場合、標的核酸に「相補的」である。いくつかの態様において、標的核酸(例として、mRNAまたはプレmRNA分子)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、標的の活性または発現の調節(例として、mRNA翻訳の減少、プレ-mRNAスプライシングの変化、エキソンスキッピング、標的mRNA分解など)をもたらす。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの核酸配列は、その標的核酸に対して、非特異的結合の回避が望まれる条件下、例として生理学的条件下で非標的配列にハイブリダイズしないように、充分な程度の相補性を有する。よって、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の連続したヌクレオチドに少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的であり得る。いくつかの態様において、相補的なヌクレオチド配列は、標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるか、または標的核酸に特異的であるその標的の配列に100%相補的である必要はない。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して1以上のミスマッチ核酸塩基を含む。特定の態様において、標的に関連する活性は、そのようなミスマッチによって低下するが、非標的に関連する活性は、より大きく低下する(すなわち、標的核酸に対する選択性が増加し、標的外効果が減少する)。
【0203】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号160または配列番号161中の少なくとも10個の連続的なヌクレオチド(例として、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個、少なくとも18個、少なくとも20個、またはそれ以上の連続的なヌクレオチド)を含む標的領域に相補的な領域を含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、GAAトリヌクレオチド反復を含む標的領域に相補的な領域を含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、伸長したGAAトリヌクレオチド反復に相補的な領域を含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、相補性領域は、標的核酸の少なくとも8つの連続したヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の一部の連続したヌクレオチドと比較して1、2または3塩基ミスマッチを含有し得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、15塩基に対して最大3ミスマッチまで、または10塩基に対して最大2ミスマッチまで有し得る。
【0204】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のいずれか1つを含む配列の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続するヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のいずれか1つを含む配列を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のいずれか1つの少なくとも12個または少なくとも15個の連続するヌクレオチドと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または97%配列同一性を共有する配列を含む。
【0205】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号162~164のいずれか1つに示される標的配列に対する相補性領域を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号162~164のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列に対して相補的である少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のヌクレオチド(例として、連続するヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、配列番号162~164のいずれか1つの少なくとも12個または少なくとも15個の一続きのヌクレオチドと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%相補的である配列を含む。
【0206】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの標的配列に対して相補的である(例として、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%)。いくつかの態様において、かかる標的配列は表8に列挙されるオリゴヌクレオチドに対して100%相補的である。
【0207】
いくつかの態様において、当然のことながら、C5位での核酸塩基ウラシルのメチル化がチミンを形成する。したがって、いくつかの態様において、C5メチル化ウラシル(または5-メチル-ウラシル)を有するヌクレオチドまたはヌクレオシドは、チミンヌクレオチドまたはヌクレオシドとして同等に同定されてもよい。
【0208】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるオリゴヌクレオチド)のいずれか1つにおけるチミン塩基(T)のいずれか1以上は、任意にウラシル塩基(U)であり得、および/またはUのいずれか1以上は、任意にTであり得る。
【0209】
b.オリゴヌクレオチド修飾
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、修飾されていてもよく、例として、修飾された糖部、修飾されたヌクレオシド間連結、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオシド、および/またはそれらの組み合わせを含む。加えて、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の特性の1以上を呈してもよい:選択的スプライシングを媒介しない;免疫刺激性ではない;ヌクレアーゼ抵抗性である;非修飾オリゴヌクレオチドと比較して改善された細胞取り込みを有する;細胞または哺乳動物への毒性がない;改善されたエンドソームの内部への出口を細胞中に有する;TLR刺激を最小限に抑える;または、パターン認識受容体を回避する。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの修飾された化学的性質またはフォーマットはいずれも、互いに組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5つ、またはそれ以上の異なるタイプの修飾が、同じオリゴヌクレオチド内に含まれ得る。
【0210】
いくつかの態様において、それらが組み込まれているオリゴヌクレオチドを、天然のオリゴデオキシヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチド分子よりもヌクレアーゼ消化に対して耐性にする特定のヌクレオチドまたはヌクレオシド修飾を使用することができ、これらの修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていないオリゴヌクレオチドよりも長期間インタクトに存続する。修飾されたオリゴヌクレオチドの特定例としては、修飾された主鎖、例えば、ホスホロチオアート、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子のもしくは複素環式の糖間連結などの修飾されたヌクレオシド間連結を含むものが挙げられる。したがって、本開示のオリゴヌクレオチドは、修飾、例として、ヌクレオチドまたはヌクレオシド修飾の組み込みなどによる核酸分解に対して安定化され得る。
【0211】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、最大50ヌクレオチド長または最大100ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30、2~40、2~45個、またはそれ以上のヌクレオチドもしくはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8から30ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~10、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~25、2~30個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドは、8~15ヌクレオチド長であり得、オリゴヌクレオチドの2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14個のヌクレオチドまたはヌクレオシドは修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドである。任意に、オリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のヌクレオチド/ヌクレオシドを除くすべてのヌクレオチドまたはヌクレオシドが修飾され得る。オリゴヌクレオチド修飾は本明細書にさらに詳細に記載されている。
【0212】
c.修飾ヌクレオシド
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、糖の2'位において修飾された少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの2'修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド上のヌクレオシドのすべては2'修飾ヌクレオシドである。
【0213】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1以上の非二環式2'-修飾ヌクレオシド、例として、2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O--N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA)の修飾ヌクレオシドを含む。
【0214】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシドを含むが、ヌクレオシド中リボース環は、その環中2個の原子を接続する(例として、メチレン(LNA)架橋、エチレン(ENA)架橋、または(S)-拘束エチル(cEt)架橋を介して、2'-O原子を4'-C原子へ接続する)架橋部分を含む。LNAの例は、2008年4月17日公開の「RNA Antagonist Compounds For The Modulation Of PCSK9」と題する国際公開第2008/043753号に記載されており、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ENAの例は、2005年5月12日公開の「APP/ENA Antisense」と題する国際公開第2005/042777号、Morita et al.,Nucleic Acid Res.,Suppl 1:241-242,2001;Surono et al.,Hum.Gene Ther.,15:749-757,2004;Koizumi,Curr.Opin.Mol.Ther.,8:144-149,2006;およびHorie et al.,Nucleic Acids Symp.Ser(Oxf),49:171-172,2005に示されており、これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。cEtの例は、米国特許第7,101,993号、米国特許第7,399,845号および米国特許第7,569,686号に示されており、これら各々はそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0215】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の米国特許または特許出願公開:米国特許第7,399,845号、2008年7月15日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,741,457号、2010年6月22日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第8,022,193号、2011年9月20日発行、表題「6-Modified Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,569,686号、2009年8月4日発行、表題「Compounds And Methods For Synthesis Of Bicyclic Nucleic Acid Analogs」、米国特許第7,335,765号、2008年2月26日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」、米国特許第7,314,923号、2008年1月1日発行、表題「Novel Nucleoside And Oligonucleotide Analogues」、米国特許第7,816,333号、2010年10月19日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」、および米国特許出願公開第2011/0009471号であって、現在は米国特許第8,957,201号、2015年2月17日発行、表題「Oligonucleotide Analogues And Methods Utilizing The Same」(あらゆる目的のために、これら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つに開示された修飾ヌクレオシドを含む。
【0216】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシドも有さないオリゴヌクレオチドと比較して、1℃、2℃、3℃、4℃、または5℃の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす少なくとも1個の修飾ヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを有さないオリゴヌクレオチドと比較して、合計で2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、またはそれ以上の温度の範囲にあるオリゴヌクレオチドのTmの増大をもたらす複数の修飾ヌクレオシドを有していてもよい。
【0217】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類のヌクレオシドの混合物を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドと、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドと、2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドと2'-O-メチル修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、架橋ヌクレオシドと、2'-フルオロまたは2'-O-メチル修飾ヌクレオチドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-O-MOE)と2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)との混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-フルオロ修飾ヌクレオシドと2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、2'-4'二環式ヌクレオシドと、2'MOE、2'-フルオロまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシドとの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)と2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)との混合物を含み得る。
【0218】
オリゴヌクレオチドは、異なる種類の交互のヌクレオシドを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、交互の2'-デオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-フルオロ修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互のデオキシリボヌクレオシドまたはリボヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-フルオロ修飾ヌクレオシドおよび2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の架橋ヌクレオチドおよび2'-フルオロまたは2'-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-O-MOE)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)を含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の2'-4'二環式ヌクレオシドおよび2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me修飾ヌクレオシドを含み得る。オリゴヌクレオチドは、交互の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'-フルオロ、または2'-O-Me)および2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、ENA、cEt)を含み得る。
【0219】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、5'-ビニルホスホン酸修飾、1以上の脱塩基残基、および/または1以上の逆脱塩基残基を含む。
【0220】
d.ヌクレオシド間連結/主鎖
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートまたは他の修飾ヌクレオシド間連結を含み得る。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、少なくとも2個のヌクレオシド間に含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結を、すべてのヌクレオシド間に含む。例えば、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間連結を、ヌクレオチド配列の5'または3'末端の、第1の、第2の、および/または(例として、および)、第3のヌクレオシド間連結にて含む。
【0221】
使用されてもよい、リンを含有する連結としては、これらに限定されないが、正常な3'-5'連結、これらの2'-5'連結類似体を有する、ホスホロチオアート、キラルのホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホナート(3'アルキレンホスホナートおよびキラルのホスホナートを含む)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含む)、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスファートと、逆方向の極性を有するこれら(ここでヌクレオシド単位の隣接する対は3'-5'から5'-3'へまたは2'-5'から5'-2'へ連結されている)が挙げられ、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,196号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,306号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号、および米国特許第5,625,050号を参照されたい。
【0222】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖、アミド主鎖(De Mesmaeker et al.Ace.Chem.Res.1995,28:366-374を参照されたい)、モルホリノ主鎖(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号を参照されたい)、またはペプチド核酸(PNA)主鎖(オリゴヌクレオチドのホスホジエステル主鎖がポリアミド主鎖に置き換えられており、ヌクレオチドがポリアミド主鎖のアザ窒素原子へ直接的または間接的に結合されている、Nielsen et al.,Science 1991,254,1497を参照されたい)などのヘテロ原子主鎖を有し得る。
【0223】
e.立体特異的オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間のリン原子はキラルであり、およびオリゴヌクレオチドの特性はキラルのリン原子の立体配置に基づき調整される。いくつかの態様において、適切な方法を使用して、立体制御された側面で(例として、Oka N,Wada T,Stereocontrolled synthesis of oligonucleotide analogs containing chiral internucleotidic phosphorus atoms.Chem Soc Rev.2011 Dec;40(12):5829-43に記載のように)P-キラルオリゴヌクレオチド類似体を合成し得る。いくつかの態様において、実質的にすべてのSpホスホロチオアート糖間連結または実質的にすべてのRpホスホロチオアート糖間連結のいずれかによって互いに結合されたヌクレオシド単位を含む、ホスホロチオアート含有オリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの態様において、実質的にキラル純粋な糖間連結を有するかかるホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、例えば、1996年12月12日に発行された米国特許第5,587,261号(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、酵素合成または化学合成によって調製される。いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、標的核酸の選択的切断パターンをもたらす。例えば、いくつかの態様において、キラル制御されたオリゴヌクレオチドは、例えば、2017年2月2日に公開された表題「CHIRAL DESIGN」の米国特許出願公開第20170037399号(この内容は全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、核酸の相補的な配列内に単一の切断部位をもたらす。
【0224】
f.ギャップマー
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、一般に、ギャップ領域Yの周りの隣接領域としてXおよびZを有する式5'-X-Y-Z-3'を有する。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'の隣接領域Xは、X領域、隣接配列X、5'ウイング領域X、または5'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'の隣接領域ZはZ領域、隣接配列Z、3'ウイング領域Z、または3'ウイングセグメントとも呼ばれる。いくつかの態様において、式5'-X-Y-Z-3'のギャップ領域Yは、Y領域、Yセグメント、またはギャップセグメントYとも呼ばれる。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドであり、5'ウイング領域Xまたは3'ウイング領域Zのいずれも2'-デオキシリボヌクレオシドを含有しない。
【0225】
いくつかの態様において、Y領域は、ヌクレオチドの連続した伸び、例として、6以上のDNAヌクレオチドであり、それらはRNase HなどのRNaseを動員することができる。いくつかの態様において、ギャップマーは標的核酸に結合し、この点において、RNaseが動員され、それから標的核酸を切断し得る。いくつかの態様において、Y領域は、高親和性修飾ヌクレオシド、例として1から6つの高親和性修飾ヌクレオシドを含む領域XおよびZによって5'および3'に隣接している。高親和性修飾ヌクレオシドの例としては、2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE、2'O-Me、2'-F)または2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEt、ENA)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、隣接配列XおよびZは、1~20ヌクレオチド長、1~8ヌクレオチド長、または1~5ヌクレオチド長であり得る。隣接配列XおよびZは類似の長さまたは非類似の長さであり得る。いくつかの態様において、ギャップセグメントYは、5~20ヌクレオチド長、5~15、12ヌクレオチド長、または6~10ヌクレオチド長のヌクレオチド配列であり得る。
【0226】
いくつかの態様において、ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域は、DNAヌクレオチドに加えて、効率的なRNase H作用にとって許容されることが知られている、C4'置換ヌクレオチド、非環状ヌクレオチドおよびアラビノ型ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチドを含有し得る。いくつかの態様において、ギャップ領域は1以上の未修飾のヌクレオシド間を含む。いくつかの態様において、一方または両方の隣接領域は、各々独立して、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上のヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、ギャップ領域および2つの隣接領域は、各々が独立して、修飾されたヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結または他の連結)を少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上のヌクレオチド間に含む。
【0227】
ギャップマーは適切な方法を使用して生成し得る。ギャップマーの調製を教示する代表的な米国特許、米国特許出願公開、および国際公開としては、限定するものではないが、米国特許第5,013,830号、米国特許第5,149,797号、米国特許第5,220,007号、米国特許第5,256,775号、米国特許第5,366,878号、米国特許第5,403,711号、米国特許第5,491,133号、米国特許第5,565,350号、米国特許第5,623,065号、米国特許第5,652,355号、米国特許第5,652,356号、米国特許第5,700,922号、米国特許第5,898,031号、米国特許第7,015,315号、米国特許第7,101,993号、米国特許第7,399,845号、米国特許第7,432,250号、米国特許第7,569,686号、米国特許第7,683,036号、米国特許第7,750,131号、米国特許第8,580,756号、米国特許第9,045,754号、米国特許第9,428,534号、米国特許第9,695,418号、米国特許第10,017,764号、米国特許第10,260,069号、米国特許第9,428,534号、米国特許第8,580,756号、米国特許出願公開第20050074801号、米国特許出願公開第20090221685号、米国特許出願公開第20090286969号、米国特許出願公開第20100197762号、および米国特許出願公開第20110112170号、国際公開第2004069991号、国際公開第2005023825号、国際公開第2008049085号および国際公開第2009090182号、ならびに欧州特許第2,149,605号が挙げられ、これら各々はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0228】
いくつかの態様において、ギャップマーは、10~40ヌクレオシド長である。例えば、ギャップマーは、10~40、10~35、10~30、10~25、10~20、10~15、15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~40、20~35、20~30、20~25、25~40、25~35、25~30、30~40、30~35、または35~40ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップマーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオシド長である。
【0229】
いくつかの態様において、ギャップマーのギャップ領域Yは、5~20ヌクレオシド長である。例えば、ギャップ領域Yは、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップ領域Yは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオシド長である。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yのすべてのヌクレオシドが2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yのヌクレオシドの1以上は修飾ヌクレオシドである(例として、本明細書に記載のものなどの2'修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの1以上のシチジンは任意に5-メチルシチジンである。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各シチジンは5-メチルシチジンである。
【0230】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1~20ヌクレオシド長である。例えば、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1~20、1~15、1~10、1~7、1~5、1~3、1~2、2~5、2~7、3~5、3~7、5~20、5~15、5~10、10~20、10~15、または15~20ヌクレオシド長であり得る。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオシド長である。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は同じ長さである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は異なる長さである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)はギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも長い。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)はギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)よりも短い。
【0231】
いくつかの態様において、ギャップマーは、5-10-5、4-12-4、3-14-3、2-16-2、1-18-1、3-10-3、2-10-2、1-10-1、2-8-2、4-6-4、3-6-3、2-6-2、4-7-4、3-7-3、2-7-2、4-8-4、3-8-3、2-8-2、1-8-1、2-9-2、1-9-1、2-10-2、1-10-1、1-12-1、1-16-1、2-15-1、1-15-2、1-14-3、3-14-1、2-14-2、1-13-4、4-13-1、2-13-3、3-13-2、1-12-5、5-12-1、2-12-4、4-12-2、3-12-3、1-11-6、6-11-1、2-11-5、5-11-2、3-11-4、4-11-3、1-17-1、2-16-1、1-16-2、1-15-3、3-15-1、2-15-2、1-14-4、4-14-1、2-14-3、3-14-2、1-13-5、5-13-1、2-13-4、4-13-2、3-13-3、1-12-6、6-12-1、2-12-5、5-12-2、3-12-4、4-12-3、1-11-7、7-11-1、2-11-6、6-11-2、3-11-5、5-11-3、4-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、1-16-3、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、5-14-1、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、3-16-1、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-19-1、1-18-2、2-18-1、1-17-3、3-17-1、2-17-2、1-16-4、4-16-1、2-16-3、3-16-2、1-15-5、2-15-4、4-15-2、3-15-3、1-14-6、6-14-1、2-14-5、5-14-2、3-14-4、4-14-3、1-13-7、7-13-1、2-13-6、6-13-2、3-13-5、5-13-3、4-13-4、1-12-8、8-12-1、2-12-7、7-12-2、3-12-6、6-12-3、4-12-5、5-12-4、2-11-8、8-11-2、3-11-7、7-11-3、4-11-6、6-11-4、5-11-5、1-20-1、1-19-2、2-19-1、1-18-3、3-18-1、2-18-2、1-17-4、4-17-1、2-17-3、3-17-2、1-16-5、2-16-4、4-16-2、3-16-3、1-15-6、6-15-1、2-15-5、5-15-2、3-15-4、4-15-3、1-14-7、7-14-1、2-14-6、6-14-2、3-14-5、5-14-3、4-14-4、1-13-8、8-13-1、2-13-7、7-13-2、3-13-6、6-13-3、4-13-5、5-13-4、2-12-8、8-12-2、3-12-7、7-12-3、4-12-6、6-12-4、5-12-5、3-11-8、8-11-3、4-11-7、7-11-4、5-11-6、6-11-5、1-21-1、1-20-2、2-20-1、1-20-3、3-19-1、2-19-2、1-18-4、4-18-1、2-18-3、3-18-2、1-17-5、2-17-4、4-17-2、3-17-3、1-16-6、6-16-1、2-16-5、5-16-2、3-16-4、4-16-3、1-15-7、7-15-1、2-15-6、6-15-2、3-15-5、5-15-3、4-15-4、1-14-8、8-14-1、2-14-7、7-14-2、3-14-6、6-14-3、4-14-5、5-14-4、2-13-8、8-13-2、3-13-7、7-13-3、4-13-6、6-13-4、5-13-5、1-12-10、10-12-1、2-12-9、9-12-2、3-12-8、8-12-3、4-12-7、7-12-4、5-12-6、6-12-5、4-11-8、8-11-4、5-11-7、7-11-5、6-11-6、1-22-1、1-21-2、2-21-1、1-21-3、3-20-1、2-20-2、1-19-4、4-19-1、2-19-3、3-19-2、1-18-5、2-18-4、4-18-2、3-18-3、1-17-6、6-17-1、2-17-5、5-17-2、3-17-4、4-17-3、1-16-7、7-16-1、2-16-6、6-16-2、3-16-5、5-16-3、4-16-4、1-15-8、8-15-1、2-15-7、7-15-2、3-15-6、6-15-3、4-15-5、5-15-4、2-14-8、8-14-2、3-14-7、7-14-3、4-14-6、6-14-4、5-14-5、3-13-8、8-13-3、4-13-7、7-13-4、5-13-6、6-13-5、4-12-8、8-12-4、5-12-7、7-12-5、6-12-6、5-11-8、8-11-5、6-11-7、または7-11-6の5'-X-Y-Z-3'を含む。数字は、5'-X-Y-Z-3'ギャップマーにおけるX、Y、およびZ領域のヌクレオシドの数を示す。
【0232】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)またはギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1以上のヌクレオシドは、修飾ヌクレオチドである(例として、高親和性修飾ヌクレオシド)。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド(例として、高親和性修飾ヌクレオシド)は2'修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシドまたは非二環式2'修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、高親和性修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEt、またはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O-NMA))である。
【0233】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の1以上のヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドであり、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは高親和性修飾ヌクレオシドである。
【0234】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)と同じ高親和性ヌクレオシドを含む。例えば、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得る。別の例では、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)である。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)である。
【0235】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシド長であり、XおよびZの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシド長であり、XおよびZの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)とは異なる高親和性ヌクレオシドを含む。例えば、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。別の例では、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)を含み得、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含み得る。
【0236】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Xの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、Zの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、1~7(例として、1、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシド長であり、Xの各ヌクレオシドは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Zの各ヌクレオシドは非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'MOEまたは2'-O-Me)であり、Yの各ヌクレオシドは2'-デオキシリボヌクレオシドである。
【0237】
いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、ギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。いくつかの態様において、ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のX)およびギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式のZ)両方は、1以上の非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)および1以上の2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)を含む。
【0238】
いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは,独立して長さが2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、X(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6)は、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは、独立して、2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシド長であり、Yは、6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシド長であり、Z(最も5'の位置は位置1である)の位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6つ)は、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。いくつかの態様において、ギャップマーは5'-X-Y-Z-3'構成を含み、XおよびZは独立して長さが2~7(例として、2、3、4、5、6、または7)ヌクレオシドであり、Yは長さが6~10(例として、6、7、8、9、または10)ヌクレオシドであり、Xの位置1、2、3、4、5、6、または7のすべてではないが少なくとも1つ(例として、1、2、3、4、5、または6)およびZ(最も5'の位置は位置1である)のすべてではないが位置(例として、1、2、3、4、5、または6)1、2、3、4、5、6、または7の少なくとも1つが、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)であり、XおよびZ両方のヌクレオシドの残りは2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)であり、Yの各ヌクレオシドは2'デオキシリボヌクレオシドである。
【0239】
ギャップマーの5'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式中のX)および/またはギャップマーの3'ウイング領域(5'-X-Y-Z-3'式中のZ)中に非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOEまたは2'-O-Me)と2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNAまたはcEt)との混合物を有するギャップマー構成の非限定的な例としては、BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAA;KKK-(D)n-KKKAA;LLL-(D)n-LLLAA;BBB-(D)n-BBBEE;KKK-(D)n-KKKEE;LLL-(D)n-LLLEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BBB-(D)n-BBBAAA;KKK-(D)n-KKKAAA;LLL-(D)n-LLLAAA;BBB-(D)n-BBBEEE;KKK-(D)n-KKKEEE;LLL-(D)n-LLLEEE;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;BABA-(D)n-ABAB;KAKA-(D)n-AKAK;LALA-(D)n-ALAL;BEBE-(D)n-EBEB;KEKE-(D)n-EKEK;LELE-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;ABAB-(D)n-ABAB;AKAK-(D)n-AKAK;ALAL-(D)n-ALAL;EBEB-(D)n-EBEB;EKEK-(D)n-EKEK;ELEL-(D)n-ELEL;AABB-(D)n-BBAA;BBAA-(D)n-AABB;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;AABB-(D)n-BBAA;AAKK-(D)n-KKAA;AALL-(D)n-LLAA;EEBB-(D)n-BBEE;EEKK-(D)n-KKEE;EELL-(D)n-LLEE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;BBB-(D)n-BBA;KKK-(D)n-KKA;LLL-(D)n-LLA;BBB-(D)n-BBE;KKK-(D)n-KKE;LLL-(D)n-LLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBA;AKKK-(D)n-KKKA;ALLL-(D)n-LLLA;EBBB-(D)n-BBBE;EKKK-(D)n-KKKE;ELLL-(D)n-LLLE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;ABBB-(D)n-BBBAA;AKKK-(D)n-KKKAA;ALLL-(D)n-LLLAA;EBBB-(D)n-BBBEE;EKKK-(D)n-KKKEE;ELLL-(D)n-LLLEE;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBB;AAKKK-(D)n-KKK;AALLL-(D)n-LLL;EEBBB-(D)n-BBB;EEKKK-(D)n-KKK;EELLL-(D)n-LLL;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;AABBB-(D)n-BBBA;AAKKK-(D)n-KKKA;AALLL-(D)n-LLLA;EEBBB-(D)n-BBBE;EEKKK-(D)n-KKKE;EELLL-(D)n-LLLE;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALLL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBAABB-(D)n-BB;AKKAAKK-(D)n-KK;ALLAALL-(D)n-LL;EBBEEBB-(D)n-BB;EKKEEKK-(D)n-KK;ELLEELL-(D)n-LL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALLL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;ABBABB-(D)n-BBB;AKKAKK-(D)n-KKK;ALLALL-(D)n-LLL;EBBEBB-(D)n-BBB;EKKEKK-(D)n-KKK;ELLELL-(D)n-LLL;EEEK-(D)n-EEEEEEEE;EEK-(D)n-EEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEEEEEEEE;EK-(D)n-EEEKK;K-(D)n-EEEKEKE;K-(D)n-EEEKEKEE;K-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-EEEEKEKE;EK-(D)n-EEEKEK;EEK-(D)n-KEEKE;EK-(D)n-EEKEK;EK-(D)n-KEEK;EEK-(D)n-EEEKEK;EK-(D)n-KEEEKEE;EK-(D)n-EEKEKE;EK-(D)n-EEEKEKE;and EK-(D)n-EEEEKEK;.が挙げられる。「A」ヌクレオシドは2'修飾ヌクレオシドを含み、「B」は2'-4'二環式ヌクレオシドを表し、「K」は拘束エチルヌクレオシド(cEt)を表し、「L」はLNAヌクレオシドを表し、「E」は2'-MOE修飾リボヌクレオシドを表し、「D」は2'デオキシリボヌクレオシドを表し、「n」はギャップセグメント(5'-X-Y-Z-3'構成のY)の長さを表し、1~20の間の整数である。
【0240】
いくつかの態様において、本明細書に記載のギャップマーのいずれか1つは、1以上の修飾されたヌクレオシド間連結(例として、ホスホロチオアート連結)をX、Y、およびZ領域の各々に含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のギャップマーのいずれか1つにおける各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結である。いくつかの態様において、X、Y、およびZ領域の各々は、独立して、ホスホロチオアート連結とホスホジエステル連結との混合物を含む。いくつかの態様において、ギャップ領域Yの各ヌクレオシド間連結はホスホロチオアート連結であり、5'ウイング領域Xはホスホロチオアート連結およびホスホジエステル連結の混合物を含み、3'ウイング領域Zはホスホロチオアート連結とホスホジエステル連結との混合物を含む。
【0241】
FXN標的化オリゴヌクレオチドの非限定的な例は表8に示される。
【表8-1】
【表8-2】
【0242】
いくつかの態様において、本明細書に記載のFXN標的化オリゴヌクレオチドは、15~20ヌクレオシド長(例として、15、16、17、18、19、または20ヌクレオシド長)であり、配列番号162~164のいずれか1つの少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例として、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個)に対する相補性領域を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは3~5個(例として、3、4、または5個)の連結したヌクレオシドを含み、X中のヌクレオシドの少なくとも1つは2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)であり、Yは、6~10個(例として、6、7、8、9、または10個)の連結2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意選択的で独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは、3~5個(例として、3、4、または5個)の連結されたヌクレオシドを含み、ここで、Z中のヌクレオシドの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)である。
【0243】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオシド(例として、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個)を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは3~5個(例として、3、4、または5個)の連結されたヌクレオシドを含み、X中のヌクレオシドの少なくとも1つは2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)であり、Yは、6~10個(例として、6、7、8、9、または10個)の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意に独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは、3~5個(例として、3、4、または5個)の連結されたヌクレオシドを含み、ここで、Z中のヌクレオシドの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)である。
【0244】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号165~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは3~5個(例として、3、4、または5個)の連結されたヌクレオシドを含み、X中のヌクレオシドの少なくとも1つは2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)であり、Yは、6~10個(例として、6、7、8、9、または10個)の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意に独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは、3~5個(例として、3、4、または5個)の連結されたヌクレオシドを含み、ここで、Z中のヌクレオシドの少なくとも1つは、2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド、2'-O-Me修飾ヌクレオシド、LNA、cEtまたはENA)である。
【0245】
いくつかの態様において、X中の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドであり、かつ/または(例として、かつ)Z中の各ヌクレオシドは、2'-修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、2'-修飾ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEtまたはENA)または非二環式2'-修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシドまたは2'-O-Me修飾ヌクレオシド)である。
【0246】
いくつかの態様において、X中の各ヌクレオシドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド)であり、かつ/または(例として、かつ)Z中の各ヌクレオシドは、非二環式2'修飾ヌクレオシド(例として、2'-MOE修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、X中の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEtまたはENA)であり、かつ/または(例として、かつ)Z中の各ヌクレオシドは、2'-4'二環式ヌクレオシド(例として、LNA、cEtまたはENA)である。
【0247】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは5個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドであり、Yは、10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意に独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドである。
【0248】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号165~167のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは5個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドであり、Yは、10個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意に独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは5個の連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。
【0249】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号171~173のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、5'-X-Y-Z-3'配置を含み、Xは3個の連結されたヌクレオシドを含み、X中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドであり、Yは、14個の連結された2'-デオキシリボヌクレオシドを含み、ここで、Y中の各シチジンは、任意に独立して、5-メチル-シチジンであり、Zは3個の連結されたヌクレオシドを含み、Z中の各ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。
【0250】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、各ヌクレオシドは2'-MOE修飾ヌクレオシドである。
【0251】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号168~170のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、オリゴヌクレオチド中の各TはLNAヌクレオシドであり、オリゴヌクレオチド中の各Cは5-メチル-デオキシシチジンである。
【0252】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、配列番号174~176のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含み、オリゴヌクレオチド中の各CはLNAヌクレオシドであり、各Tはデオキシチミジンである。
【0253】
いくつかの態様において、本明細書に記載のFXN標的化オリゴヌクレオチドのいずれか1つにおいて、Xおよび/またはZ中の各シチジン(例として、2'-修飾シチジン)は、任意に独立して5-メチル-シチジンであり、かつ/または、Xおよび/またはZ中の各ウリジン(例として、2'-修飾ウリジン)は任意に独立して5-メチル-ウリジンである。
【0254】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるFXN標的化オリゴヌクレオチドのいずれか1つは、1以上のホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチド中の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。
【0255】
いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドは、表8に列挙される修飾ASO1~18から選択される。いくつかの態様において、FXN標的化オリゴヌクレオチドのいずれか1つは、例として、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウム塩のような塩形態であり得る。
【0256】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されたオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)は、任意にスペーサーを介してアミン基にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、スペーサーは脂肪族部分を含む。いくつかの態様において、スペーサーはポリエチレングリコール部分を含む。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結がスペーサーとオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されたオリゴヌクレオチド)のいずれかの5'または3'ヌクレオシド(例として、末端ヌクレオシド)はスペーサーにコンジュゲートされ、これが置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRA-、-NRAC(=O)-、-NRAC(=O)RA-、-C(=O)RA-、-NRAC(=O)O-、-NRAC(=O)N(RA)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(RA)-、-S(O)2NRA-、-NRAS(O)2-、またはそれらの組み合わせであり、各RAは独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。ある種の態様において、スペーサーは置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(RA)-、または-C(=O)N(RA)2、あるいはそれらの組み合わせである。
【0257】
いくつかの態様において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されたオリゴヌクレオチド)のいずれか1つの5'または3'ヌクレオシドは、式-NH2-(CH2)n-の化合物にコンジュゲートされ、nは1~12の整数である。いくつかの態様において、nは6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの態様において、ホスホジエステル連結が式NH2-(CH2)n-の化合物とオリゴヌクレオチドの5'または3'ヌクレオシドとの間に存在する。いくつかの態様において、式NH2-(CH2)6-の化合物は6-アミノ-1-ヘキサノール(NH2-(CH2)6-OH)とオリゴヌクレオチドの5'リン酸との間の反応によってオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0258】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、標的化薬剤、例として抗TfR1抗体などの筋標的化剤に、例としてアミン基を介してコンジュゲートされる。
【0259】
g.RNA干渉(RNAi)
いくつかの態様において、本明細書に提供されるFXN標的化オリゴヌクレオチドは、低分子干渉RNAまたはサイレンシングRNAとしても知られている、低分子干渉RNA(siRNA)である。siRNAは、二本鎖RNA分子のクラスであって、細胞中のRNA干渉(RNAi)経路を介した分解のために核酸(例として、mRNA)を標的化する、典型的には約20~25塩基対長である。siRNA分子の特異性は、アンチセンス鎖分子のその標的RNAへの結合によって決定され得る。有効なsiRNA分子は、インターフェロン応答を介した細胞における非特異的RNA干渉経路の誘発を防止するために、一般に30から35塩基対未満の長さであるが、より長いsiRNAも有効であり得る。いくつかの態様において、siRNA分子は長さが7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、またはそれ以上の塩基対長である。いくつかの態様において、siRNA分子は、8~30塩基対長、10~15塩基対長、10~20塩基対長、15~25塩基対長、19~21塩基対長、21~23塩基対長である。
【0260】
適切な標的RNA配列の選択を受けて、すべてのまたは一部の標的配列に相補的なヌクレオチド配列、すなわちアンチセンス配列を含むsiRNA分子は、適切な方法(例として、国際公開第2004/016735号、および米国特許出願公開第2004/0077574号および米国特許出願公開第2008/0081791号を参照されたい)を使用して設計および調製され得る。
【0261】
siRNA分子は、二本鎖(すなわち、アンチセンス鎖と、相補的センス鎖とを含むdsRNA分子)または一本鎖(すなわち、アンチセンス鎖だけを含むssRNA分子)であり得る。siRNA分子は、自己相補的センスおよびアンチセンス鎖を有する、二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピン、または非対称ヘアピン2次構造を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載のFXN標的化オリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖およびセンス鎖を含むsiRNAである。
【0262】
いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、またはそれ以上のヌクレオチド長である。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、8から50ヌクレオチド長、8から40ヌクレオチド長、8から30ヌクレオチド長、10から15ヌクレオチド長、10から20ヌクレオチド長、15から25ヌクレオチド長、19から21ヌクレオチド長、21から23ヌクレオチド長である。
【0263】
いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、またはそれ以上のヌクレオチド長である。いくつかの態様において、センス鎖は、8から50ヌクレオチド長、8から40ヌクレオチド長、8から30ヌクレオチド長、10から15ヌクレオチド長、10から20ヌクレオチド長、15から25ヌクレオチド長、19から21ヌクレオチド長、21から23ヌクレオチド長である。
【0264】
いくつかの態様において、siRNA分子は、FXN mRNA上の標的領域に対する相補性領域を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様において、相補性領域は、FXN mRNAの標的領域に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である。いくつかの態様において、標的領域は、FXN mRNAの連続するヌクレオチドの領域である。いくつかの態様において、標的RNA配列について特異的にハイブリダイゼーション可能または特異的であるためには、相補的なヌクレオチド配列は、その標的の配列に対して100%相補的である必要はない。
【0265】
いくつかの態様において、siRNA分子はFXN mRNA配列に対する相補性領域を含むアンチセンス鎖を含み、相補性領域は、8~15、8~30、8~40、または10~50、または5~50、または5~40ヌクレオチド長の範囲である。いくつかの態様において、相補性領域は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、相補性領域は、FXN mRNA配列の少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、またはそれ以上の連続するヌクレオチドと相補的である。いくつかの態様において、相補性領域は、FXN mRNA配列の相補的部分と比較して1、2、3、4、または5個以下の塩基ミスマッチを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、相補性領域は、15塩基に対して最大3個のミスマッチ、または10塩基に対して最大2個のミスマッチを有するヌクレオチド配列を含む。
【0266】
二本鎖siRNAは、同じ長さまたは異なる長さのRNA鎖を含んでもよい。二本鎖siRNA分子はまた、ステムループ構造の単一オリゴヌクレオチド(ここでsiRNA分子の自己相補的センスおよびアンチセンス領域は、核酸ベースのまたは非核酸ベースのリンカーを用いて連結されている)、ならびに2以上のループ構造と自己相補的センスおよびアンチセンス鎖を含むステムとを有する環状一本鎖RNA(ここで環状RNAは、in vivoまたはin vitroのいずれかで処理されてRNAiを媒介することが可能な活性siRNA分子を生成し得る)からも会合され得る。よって小さいヘアピンRNA(shRNA)分子もまた、本明細書に企図される。これらの分子は、逆相補的(センス)配列に加えて、特定のアンチセンス配列を含み、典型的にはスペーサーまたはループ配列によって分離されている。スペーサーまたはループの切断は、(任意に、片鎖または両鎖の3'末端および/または(例として、および)5'末端から1、2、3個以上のヌクレオチドの付加または除去をもたらすこともある追加のプロセシングステップにより)一本鎖RNA分子およびその逆相補体を、それらがアニールしてdsRNA分子を形成し得るように提供する。スペーサーは、スペーサーの切断(および任意に、これに続く、片鎖または両鎖の3'末端および/または(例として、および)5'末端から1、2、3、4、もしくはこれより多いヌクレオチドの付加または除去をもたらすこともあるプロセシングステップ)に先立ちアンチセンス配列とセンス配列とをアニールさせて二本鎖構造体(またはステム)を形成させるのに充分な長さであり得る。スペーサー配列は、2つの相補的ヌクレオチド配列領域間に置かれた無関係なヌクレオチド配列であってもよく、領域はアニールして二本鎖核酸になったらshRNAを含むことになる。
【0267】
siRNA分子の全体的な長さは、設計されたsiRNA分子のタイプに応じて、約14から約100ヌクレオチドまで変動し得る。一般に、これらのヌクレオチドの約14個と約50個との間は、RNA標的配列に相補的である、すなわちsiRNA分子の特定のアンチセンス配列を構成する。例えば、siRNAが二本鎖siRNAまたは一本鎖siRNAであるとき、長さは約14から約50ヌクレオチドまで変動し得るが一方、siRNAがshRNAまたは環状分子であるとき、長さは約40ヌクレオチドから約100ヌクレオチドまで変動し得る。
【0268】
siRNA分子は、分子の一端に3'オーバーハングを含み得る。他端は、平滑末端であり得、またはオーバーハング(5'または3')を有し得る。siRNA分子が分子の両末端にオーバーハングを含むとき、オーバーハングの長さは、同じであっても、または異なっていてもよい。一態様において、本開示のsiRNA分子は、分子の両末端に約1から約3個(例として、1、2、3個)のヌクレオチドからなる3'オーバーハングを含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1から約3個のヌクレオチドからなる3'オーバーハングをセンス鎖に含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1から約3個(例として、1、2、3個)のヌクレオチドからなる3'オーバーハングをアンチセンス鎖に含む。いくつかの態様において、siRNA分子は約1から約3個(例として、1、2、3個)のヌクレオチドからなる3'オーバーハングをセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方に含む。
【0269】
いくつかの態様において、siRNA分子は1以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、siRNA分子は1以上の修飾ヌクレオチドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、siRNA分子は、1以上の2'修飾ヌクレオチド、例として2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、siRNA分子の各ヌクレオチドは修飾ヌクレオチド(例として、2'修飾ヌクレオチド)である。いくつかの態様において、siRNA分子は1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、siRNA分子は1以上の2'-F修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、siRNA分子は1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオチドおよび2'-F修飾ヌクレオチドを含む。
【0270】
いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートまたは他の修飾されたヌクレオチド間連結を含有する。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオチド間に含む。いくつかの態様において、siRNA分子はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオチド間に含む。例えば、いくつかの態様において、siRNA分子は、修飾されたヌクレオチド間連結をsiRNA分子の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。
【0271】
いくつかの態様において、修飾されたヌクレオチド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結として、限定するものではないが、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結アナログ、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものが挙げられ、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,196号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,306号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号、および米国特許第5,625,050号を参照されたい。
【0272】
本明細書に記載のsiRNA分子のあらゆる修飾された化学的性質またはフォーマットは、互いに組み合わせることができる。例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の異なる型の修飾が同じsiRNA分子に含まれることができる。
【0273】
いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1以上の修飾ヌクレオシドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、1以上の2'修飾ヌクレオシド、例として2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'-O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖の各ヌクレオシドは修飾ヌクレオチド(例として、2'修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は1以上の2'-F修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオシドおよび2'-F修飾ヌクレオシドを含む。
【0274】
いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオチド間連結または他の修飾されたヌクレオシド間連結を含有する。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオシド間に含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオシド間に含む。例えば、いくつかの態様において、アンチセンス鎖は、修飾されたヌクレオシド間連結をsiRNA分子の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。いくつかの態様において、アンチセンス鎖の3'末端における2つのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。
【0275】
いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結として、限定するものではないが、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結アナログ、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものが挙げられ、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,196号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,306号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号、および米国特許第5,625,050号を参照されたい。
【0276】
本明細書に記載のアンチセンス鎖の修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれかは、互いと組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはより多くの異なる型の修飾が同じアンチセンス鎖上に包含され得る。
【0277】
いくつかの態様において、センス鎖は1以上(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上)の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、センス鎖は1以上の修飾ヌクレオシドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、修飾された糖部分(例として、2'修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、センス鎖は、1以上の2'修飾ヌクレオシド、例として2'-デオキシ、2'-フルオロ(2'-F)、2'-O-メチル(2'-O-Me)、2'O-メトキシエチル(2'-MOE)、2'-O-アミノプロピル(2'-O-AP)、2'-O-ジメチルアミノエチル(2'-O-DMAOE)、2'-O-ジメチルアミノプロピル(2'-O-DMAP)、2'-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2'-O-DMAEOE)、または2'-O-N-メチルアセトアミド(2'-O--NMA)を含む。いくつかの態様において、センス鎖の各ヌクレオシドは修飾ヌクレオシド(例として、2'修飾ヌクレオシド)である。いくつかの態様において、センス鎖は1以上のホスホロジアミダートモルフォリノを含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロジアミダートモルフォリノオリゴマー(PMO)である。いくつかの態様において、センス鎖は1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、センス鎖は1以上の2'-F修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、センス鎖は、1以上の2'-O-メチル修飾ヌクレオシドおよび2'-F修飾ヌクレオシドを含む。
【0278】
いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートまたは他の修飾されたヌクレオシド間連結を含有する。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を少なくとも2つのヌクレオシド間に含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結をすべてのヌクレオシド間に含む。例えば、いくつかの態様において、センス鎖は、修飾されたヌクレオチド間連結をセンス鎖の5'または3'端の第1の、第2の、および/または(例として、および)第3のヌクレオシド間連結に含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロジエステルヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、センス鎖はホスホロチオアートヌクレオシド間連結を含まない。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオチド間連結はリン含有連結である。いくつかの態様において、使用され得るリン含有連結として、限定するものではないが、正常な3'-5'連結を有するホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートを含むメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスファート、これらの2'-5'連結アナログ、ならびにヌクレオシド単位の隣接するペアが3'-5'対5'-3'または2'-5'対5'-2'で連結される逆向きの極性を有するものが挙げられ、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,196号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,306号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号、および米国特許第5,625,050号を参照されたい。
【0279】
本明細書に記載のセンス鎖の修飾されたケミストリーまたはフォーマットのいずれかは、互いと組み合わせられ得る。例えば、1、2、3、4、5、またはより多くの異なる型の修飾が同じセンス鎖上に包含され得る。
【0280】
いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンスまたはセンス鎖は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)ローディングを増強または低減する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖はRISCローディングを増強する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は、RISCローディングを低減およびオフターゲット効果を低減する修飾を含む。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は2'-メトキシエチル(2'-MOE)修飾を含む。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSong et al.,(2017)Mol Ther Nucleic Acids 9:242-250に記載されているように、切断部位における2'-メトキシエチル(2'-MOE)基の追加は、修飾鎖の指向的なRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)ローディングを容易化することによって、siRNAの特異性およびサイレンシング効果の両方を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は2'-O-Me-ホスホロジチオアート修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるWu et al.(2014)Nat Commun 5:3459に記載されているように、RISCローディングを増大させる。
【0281】
いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5'モルホリノを含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるKumar et al.,(2019)Chem Commun(Camb)55(35):5139-5142に記載されているように、センス鎖のRISCローディングを低減ならびにアンチセンス鎖選択およびRNAi活性を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は、合成RNA様高親和性ヌクレオチドアナログのロックド核酸(LNA)によって修飾される。これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるElman et al.,(2005)Nucleic Acids Res.33(1):439-447に記載されているように、センス鎖のRISCローディングを低減し、RISCへのアンチセンス鎖組み込みをさらに増強する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5'アンロックド核酸(UNA)修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるSnead et al.,(2013)Mol Ther Nucleic Acids 2(7):e103に記載されているように、センス鎖のRISCローディングを低減し、アンチセンス鎖のサイレンシング効果を改善する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖は5-ニトロインドール修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるZhang et al.,(2012)Chembiochem 13(13):1940-1945に記載されているように、センス鎖のRNAi力価を減少させ、オフターゲット効果を低減する。いくつかの態様において、センス鎖は2'-O'メチル(2'-O-Me)修飾を含み、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるZheng et al.,FASEB(2013)27(10):4017-4026に記載されているように、センス鎖のRISCローディングおよびオフターゲット効果を低減する。いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖はモルホリノ、2'-MOE、または2'-O-Me残基によって完全に置換され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるKole et al.,(2012)Nature reviews.Drug Discovery 11(2):125-140に記載されているように、RISCによって認識されない。いくつかの態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖はMOE修飾を含み、センス鎖は2'-O-Me修飾を含む(例として、Song et al.,(2017)Mol Ther Nucleic Acids 9:242-250を参照されたい)。いくつかの態様において、少なくとも1つ(例として、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10)のsiRNA分子が(例として、共有結合的に)筋標的化剤に連結される。いくつかの態様において、筋標的化剤は、核酸(例として、DNAまたはRNA)、ペプチド(例として、抗体)、脂質(例として、マイクロベシクル)、または糖部分(例として、多糖)を含み得るか、またはそれからなり得る。いくつかの態様において、筋標的化剤は抗体である。いくつかの態様において、筋標的化剤は抗トランスフェリン受容体抗体である(例として、表2~7に示される抗TfR1抗体のいずれか1つ)。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖の5'末端に共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖の3'末端に共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のセンス鎖に内部で共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖の5'末端に共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖の3'末端に共有結合的に連結され得る。いくつかの態様において、筋標的化剤はsiRNA分子のアンチセンス鎖に内部で共有結合的に連結され得る。
【0282】
C.リンカー
本明細書に記載の複合体は一般に、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結するリンカーを含む。リンカーは、少なくとも1つの共有結合を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体を分子ペイロードに共有結合的に連結する単結合、例として、ジスルフィド結合またはジスルフィド架橋であり得る。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、複数の共有結合を介して、本明細書に記載の抗TfR1抗体のいずれか1つを分子ペイロードに共有結合的に連結し得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであってもよい。しかしながら、いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なリンカーであってもよい。リンカーは、典型的には、in vitroおよびin vivoで安定しており、特定の細胞環境において安定し得る。加えて、典型的にリンカーは、抗TfR1抗体または分子ペイロードのいずれかの機能特性に負の影響を及ぼさない。リンカー合成の例および方法は、当該技術分野において公知である(例として、Kline,T.et al.「Methods to Make Homogenous Antibody Drug Conjugates.」Pharmaceutical Research,2015,32:11,3480-3493.;Jain,N.et al.「Current ADC Linker Chemistry」Pharm Res.2015,32:11,3526-3540.;McCombs,J.R.and Owen,S.C.「Antibody Drug Conjugates:Design and Selection of Linker,Payload and Conjugation Chemistry」AAPS J.2015,17:2,339-351.を参照されたい)。
【0283】
リンカーは、典型的には、抗TfR1抗体と分子ペイロードとの両方へ付着できる2つの異なる反応性の高い種を含む。いくつかの態様において、2つの異なる反応性の高い種は、求核試薬および/または求電子試薬であってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、2つの異なる求核剤または求電子剤に特異的な2つの異なる求電子剤または求核剤を含む。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基またはシステイン残基へのコンジュゲーションを介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、マレイミド含有リンカーを介して抗TfR1抗体のシステイン残基に共有結合的に連結されており、任意に、マレイミド含有リンカーは、マレイミドカプロイルまたはマレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシラート基を含む。いくつかの態様において、リンカーは、3-アリールプロピオニトリル官能基を介して、抗TfR1抗体のシステイン残基またはチオール官能化分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体のリジン残基に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、独立して、アミド結合、カルバメート結合、ヒドラジド、トリアゾール、チオエーテル、および/またはジスルフィド結合を介して、抗TfR1抗体および/または分子ペイロード(例として、および)に共有結合的に連結されている。
【0284】
i.切断可能なリンカー
切断可能なリンカーは、プロテアーゼ感受性リンカー、pH感受性リンカー、またはグルタチオン感受性リンカーであってもよい。これらのリンカーは典型的には、細胞内のみで切断可能であって、好ましくは、細胞外環境において、例として、筋細胞の細胞外において安定している。
【0285】
プロテアーゼ感受性リンカーは、プロテアーゼ酵素活性によって切断可能である。これらのリンカーは、典型的にはペプチド配列を含んでおり、2~10アミノ酸長、約2~5アミノ酸長、約5~10アミノ酸長、約10アミノ酸長、約5アミノ酸長、約3アミノ酸長、または約2アミノ酸長であり得る。いくつかの態様において、ペプチド配列は、天然に存在するアミノ酸、例として、システイン、アラニン、または天然に存在しないアミノ酸もしくは修飾されたアミノ酸を含んでいてもよい。天然に存在しないアミノ酸には、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン誘導体、3-置換アラニン誘導体、線形コアアミノ酸、N-メチルアミノ酸、および当該技術分野において知られているその他のアミノ酸が含まれる。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、バリン-シトルリンまたはアラニン-シトルリンの配列を含む。いくつかの態様において、プロテアーゼ感受性リンカーは、リソソームのプロテアーゼ、例として、カテプシンB、および/または(例として、および)エンドソームのプロテアーゼによって切断され得る。
【0286】
pH感受性リンカーは、高または低pH環境において容易に分解される共有結合の連結である。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、4~6の範囲にあるpHにて切断されてもよい。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、ヒドラゾンまたは環状アセタールを含む。いくつかの態様において、pH感受性リンカーは、エンドソームまたはリソソーム内で切断される。
【0287】
いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、ジスルフィド部を含む。いくつかの態様において、グルタチオン感受性リンカーは、細胞内部でのグルタチオン種とのジスルフィド交換反応によって切断される。いくつかの態様において、ジスルフィド部はさらに、少なくとも1つのアミノ酸、例としてシステイン残基を含む。
【0288】
いくつかの態様において、リンカーは、バリン-シトルリン配列を含む(例として、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号に記載されているように)。いくつかの態様において、コンジュゲーションの前に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化3】
【0289】
いくつかの態様において、コンジュゲーション後に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化4】
【0290】
いくつかの態様において、コンジュゲーションの前に、リンカーは、以下の構造を含む。
【化5】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0291】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む。
【化6】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0292】
いくつかの態様において、リンカーは、以下の構造を含む。
【化7】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0293】
ii.切断不能なリンカー
いくつかの態様において、切断不能なリンカーが使用されてもよい。一般に、切断不能なリンカーは、細胞環境または生理環境において容易に分解され得ない。いくつかの態様において、切断不能なリンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル基を含むが、ここで置換は、ハロゲン、ヒドロキシル基、酸素種、および他の一般的な置換を含んでいてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルキレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、ヘテロアリーレン、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含むペプチド配列、トランケートされたグリカン、酵素的に分解され得ない糖(単数もしくは複数)、アジド、アルキン-アジド、LPXT配列を含むペプチド配列、チオエーテル、ビオチン、ビフェニル、反復単位のポリエチレングリコールもしくは等価な化合物、酸エステル、酸アミド、スルファミド、および/または、アルコキシ-アミンリンカーを含んでいてもよい。いくつかの態様において、ソルターゼ媒介ライゲーションは、LPXT配列を含む抗TfR1抗体を、(G)n配列を含む分子ペイロードへ共有結合的に連結するために利用され得る(例として、Proft T.Sortase-mediated protein ligation:an emerging biotechnology tool for protein modification and immobilization.Biotechnol Lett.2010,32(1):1-10.を参照されたい)。
【0294】
いくつかの態様において、リンカーは、置換されたアルキレン、任意に置換されていてもよいアルケニレン、任意に置換されていてもよいアルキニレン、任意に置換されていてもよいシクロアルキレン、任意に置換されていてもよいシクロアルケニレン、任意に置換されていてもよいアリーレン、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロアリーレン、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む任意に置換されていてもよいヘテロシクリレン、イミノ、任意に置換されていてもよい窒素種、任意に置換されていてもよい酸素種O、任意に置換されていてもよい硫黄種、またはポリ(アルキレンオキシド)、例として、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドを含んでいてもよい。いくつかの態様において、リンカーは、切断不能なN-ガンマ-マレイミドブチリル-オキシスクシンイミドエステル(GMBS)リンカーであり得る。
【0295】
iii.リンカーのコンジュゲーション
いくつかの態様において、リンカーは、ホスファート、チオエーテル、エーテル、炭素-炭素、カルバマート、またはアミド結合を介して抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、ホスファートまたはホスホロチオアート基、例として、オリゴヌクレオチド主鎖の末端のホスファートを介してオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗TfR1抗体上に存在するリシン残基またはシステイン残基を介して、抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。
【0296】
いくつかの態様において、リンカーまたはその一部が、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されており、アジドまたはアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る。いくつかの態様において、アルキンは、環状アルキン、例としてシクロオクチンであってもよい。いくつかの態様において、アルキンは、ビシクロノニン(またビシクロ[6.1.0]ノニンまたはBCNとしても知られている)または置換ビシクロノニンであってもよい。いくつかの態様において、シクロオクタンは、2011年11月3日公開の国際公開第2011136645号、表題「Fused Cyclooctyne Compounds And Their Use In Metal-free Click Reactions」に記載のとおりである。いくつかの態様において、アジドは、アジドを含む糖または炭水化物分子であってもよい。いくつかの態様において、アジドは、6-アジド-6-デオキシガラクトースまたは6-アジド-N-アセチルガラクトサミンであってもよい。いくつかの態様において、アジドを含む糖または炭水化物分子は、2016年10月27日公開の国際公開第2016170186号、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。いくつかの態様において、トリアゾールを形成するアジドとアルキンとの間のシクロ付加反応(ここでアジドおよびアルキンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る)は、2014年5月1日に公開の国際公開第2014065661号、表題「Modified antibody,antibody-conjugate and process for the preparation thereof」;または2016年10月27日に公開の国際公開第2016170186号、表題「Process For The Modification Of A Glycoprotein Using A Glycosyltransferase That Is Or Is Derived From A β(1,4)-N-Acetylgalactosaminyltransferase」に記載のとおりである。
【0297】
いくつかの態様において、リンカーは、スペーサー、例として、ポリエチレングリコールスペーサーまたはアシル/カルバモイルスルファミドスペーサー、例として、HydraSpace(商標)スペーサーを含む。いくつかの態様において、スペーサーは、Verkade,J.M.M.et al.,「A Polar Sulfamide Spacer Significantly Enhances the Manufacturability,Stability,and Therapeutic Index of Antibody-Drug Conjugates」,Antibodies,2018,7,12に記載のとおりである。
【0298】
いくつかの態様において、リンカーは、求ジエン体とジエン/ヘテロ-ジエンとの間のディールス・アルダー反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結されるが、求ジエン体またはジエン/ヘテロ-ジエンは、抗TfR1抗体、分子ペイロード、またはリンカー上に位置し得る。いくつかの態様において、リンカーは、エン反応などの他のペリ環状反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーは、アミド、チオアミド、またはスルホンアミド結合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーは、リンカーと抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードとの間に存在するオキシム基、ヒドラゾン基、またはセミカルバジド基を形成する縮合反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。
【0299】
いくつかの態様において、リンカーは、求核試薬、例として、アミン基またはヒドロキシル基と求電子試薬、例として、カルボン酸、カーボナート、またはアルデヒドとの間の共役付加反応によって、抗TfR1抗体および/または(例として、および)分子ペイロードに共有結合的に連結される。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求核試薬はリンカー上に存在し得、求電子試薬は抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、リンカーと抗TfR1抗体または分子ペイロードとの間の反応に先立ち、求電子試薬はリンカー上に存在し得、求核試薬は抗TfR1抗体または分子ペイロード上に存在し得る。いくつかの態様において、求電子試薬は、アジド、ペンタフルオロフェニル、ケイ素中心、カルボニル、カルボン酸、無水物、イソシアナート、チオイソシアナート、スクシニミジルエステル、スルホスクシニミジルエステル、マレイミド、アルキルハロゲン化物、アルキル擬ハロゲン化物、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アリール、活性化リン中心、および/または、活性化硫黄中心であってもよい。いくつかの態様において、求核試薬は、任意に置換されていてもよいアルケン、任意に置換されていてもよいアルキン、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリド基、および/またはチオール基であってもよい。
【0300】
いくつかの態様において、リンカーは、反応性化学部分(例として、クリックケミストリーのためのアジド部分またはBCN部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含む。いくつかの態様において、反応性化学部分(例として、クリックケミストリーのためのアジド部分)に共有結合的に連結されたバリン-シトルリン配列を含むリンカーは、以下の構造を含む。
【化8】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0301】
いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に(例として、任意に追加の化学部分を介して)共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、式(A)の構造を含むリンカーは、例として、カルバメート結合を形成するアミン-L1-オリゴヌクレオチドによる求核置換を介して、オリゴヌクレオチドに共有結合的に連結され、以下の構造を含む化合物を生じる。
【化9】
(式中、nは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3である。
【0302】
いくつかの態様において、式(B)の化合物はさらに、トリアゾールを介してさらなる部分に共有結合的に連結され、トリアゾールは、式(A)または式(B)のアジドと、ビシクロノニン上に提供されるアルキンとの間のクリック反応によって形成される。いくつかの態様において、ビシクロノニンを含む化合物は、以下の構造を含む。
【化10】
(式中、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、mは4である。
【0303】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(C)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化11】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、およびmは4である。
【0304】
いくつかの態様において、構造(D)の化合物はさらに、抗TfR1抗体のリジンに共有結合的に連結され、以下の構造を含む複合体を形成する。
【化12】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0305】
いくつかの態様において、式(C)の化合物はさらに、抗TfR1抗体のリジンに共有結合的に連結され、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化13】
(式中、mは0~15(例として、4)である。)当然のことながら、式(F)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0306】
いくつかの態様において、構造(B)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む複合体を形成する。
【化14】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。当然のことながら、式(E)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0307】
いくつかの態様において、構造(A)の化合物のアジドは、構造(F)の化合物のアルキンとのクリック反応を介してトリアゾールを形成し、以下の構造を含む化合物を形成する。
【化15】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。いくつかの側面において、オリゴヌクレオチドは、式(G)の構造を含む化合物に共有結合し、それにより、式(E)の構造を含む複合体を形成する。当然のことながら、式(G)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0308】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つにおいて、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介し、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。
【化16】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0309】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つにおいて、抗TfR1抗体は、抗TfR1抗体のリジンを介し、以下の構造を含むリンカーを介して分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。
【化17】
(式中、nは0~10の任意の数であり、mは0~10の任意の数である。)いくつかの態様において、nは3であり、および/または(例として、および)mは4である。
【0310】
いくつかの態様において、式(B)、(D)、(E)、および(I)中、L1は、いくつかの態様において、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のヘテロ脂肪族、置換もしくは非置換のカルボシクリレン、置換もしくは非置換のヘテロシクリレン、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換のヘテロアリーレン、-O-、-N(R
A)-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NR
A-、-NR
AC(=O)-、-NR
AC(=O)R
A-、-C(=O)R
A-、-NR
AC(=O)O-、-NR
AC(=O)N(R
A)-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)N(R
A)-、-S(O)
2NR
A-、-NR
AS(O)
2-、またはそれらの組み合わせであるスペーサーであり、R
Aは、独立して、水素または置換もしくは非置換アルキルである。いくつかの態様において、L1は、
【化18】
である。
(式中、L2は、
【化19】
または
【化20】
であり;aは、式(B)、(D)、(E)および(I)のカルバメート部分に直接結合した部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結した部位を表す。)
【0311】
いくつかの態様において、L1は、
【化21】
である。(式中、aは、式(B)、(D)、(E)、および(I)のカルバメート部分に直接連結された部位を表し、bは、オリゴヌクレオチドに(直接または追加の化学部分を介して)共有結合的に連結した部位を表す。)
【0312】
いくつかの態様において、L1は、
【化22】
である。
【0313】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロチオアートへ連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロアミダートへ連結される。
【0314】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの5'リン酸へのL1の結合は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0315】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの3'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの3'リン酸へのL1の結合は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0316】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0317】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つは、以下の構造を有する。
【化23】
(式中、nは0~15(例として、3)であり、mは0~15(例として、4)である。)当然のことながら、式(J)において抗TfR1抗体に隣接して示されるアミドは、リジンイプシロンアミンなどの抗TfR1抗体のアミンとの反応から生じる。
【0318】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体のいずれか1つは、以下の構造を有する。
【化24】
(式中、nは0~15(例として、3)であり、mは0~15(例として、4)である。)
【0319】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、化合物、例として、式(A)または式(G)の化合物に連結する前に、5'末端もしくは3'末端に、または内部に(例として、アミン官能化核酸塩基として)アミン基を含むように修飾される。
【0320】
リンカー結合は抗TfR1抗体およびオリゴヌクレオチド分子ペイロードに関連して説明されているが、当然のことながら、他の筋標的化抗体などの他の筋標的化剤および/または他の分子ペイロードに対するそのようなリンカー結合の使用が企図される。
【0321】
D.抗体-分子ペイロード複合体の例
本明細書に記載の分子ペイロード(例として、オリゴヌクレオチド)のいずれかへ共有結合的に連結された、本明細書に記載のいずれか1つの抗TfR1抗体を含む複合体の非限定的な例が、本明細書にさらに提供される。いくつかの態様において、抗TfR1抗体(例として、表2~7に示される抗TfR1抗体のいずれか1つ)は、リンカーを介して分子ペイロード(例として、表8に示されるオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド)に共有結合的に連結されている。本明細書に記載のリンカーのいずれも、使用されてもよい。いくつかの態様において、分子ペイロードがオリゴヌクレオチドである場合、リンカーは、オリゴヌクレオチドの5'末端、3'末端、または内部へ共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、チオール反応性の連結を介して(例として、抗TfR1抗体中のシステインを介して)抗TfR1抗体に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗体(例として、本明細書に記載の抗TfR1抗体)にアミン基を介して(例として、抗体中のリシンを介して)共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0322】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含む複合体の構造の例が、以下に提供される。
【化25】
(式中、リンカーは、チオール反応性連結を介して(例として、抗体中のシステインを介して)抗体に共有結合的に連結されている。)いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0323】
リンカーを介して分子ペイロードに共有結合的に連結した抗TfR1抗体を含む複合体の構造の別の例を以下に提供される。
【化26】
(式中、nは0~10の数であり、mは0~10の数であり、リンカーはアミン基を介して抗体に共有結合的に連結され(例として、リジン残基上)、かつ/または(例として、かつ)リンカーはオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されている(例として、5'末端、3'末端、または内部において)。)いくつかの態様において、リンカーはリジンを介して抗体へ共有結合的に連結され、リンカーはオリゴヌクレオチドに5'末端にて共有結合的に連結され、nは3であり、mは4である。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
いくつかの態様において、L1は、
【化27】
である。
【0324】
当然のことながら、抗体は、種々の化学量論で分子ペイロードに共有結合的に連結され得、その特性は薬物抗体比(DAR)と称されてもよく、「薬物」は分子ペイロードである。いくつかの態様において、1つの分子ペイロードが抗体共有結合的に連結されている(DAR=1)。いくつかの態様において、2つの分子ペイロードが抗体共有結合的に連結されている(DAR=2)。いくつかの態様において、3つの分子ペイロードが抗体共有結合的に連結されている(DAR=3)。いくつかの態様において、4つの分子ペイロードが抗体共有結合的に連結されている(DAR=4)。いくつかの態様において、各々が異なるDARを有する異なる複合体の混合物が提供される。いくつかの態様において、かかる混合物中の複合体の平均DARは、1から3、1から4、1から5、またはそれ以上の範囲にあり得る。DARは、分子ペイロードを抗体上の種々の部位へコンジュゲートさせることによって、かつ/または(例として、かつ)、マルチマーを抗体上の1以上の部位へコンジュゲートさせることによって、増大され得る。例えば、2のDARは、単一分子ペイロードを抗体上の2つの異なる部位へコンジュゲートさせることによって、または二量体分子ペイロードを抗体の単一部位へコンジュゲートさせることによって、達成され得る。
【0325】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結した本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、表2~7に示される抗体)を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードにリンカーを介して共有結合的に連結した本明細書に記載の抗TfR1抗体(例として、表2~7に提供される抗体)を含む。いくつかの態様において、リンカーは、チオール反応性の連結を介して(例として、抗体中のシステインを介して)、抗体(例として、本明細書に記載される抗TfR1抗体)に共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、抗体(例として、本明細書に記載の抗TfR1抗体)にアミン基を介して(例として、抗体中のリシンを介して)共有結合的に連結されている。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0326】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、分子ペイロードに共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0327】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号69、配列番号71または配列番号72のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号70のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0328】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号74のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0329】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号73または配列番号76のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号75のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0330】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77を含むVHおよび配列番号78のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0331】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号77または配列番号79のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号80のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0332】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号154を含むVHおよび配列番号155のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0333】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号84、配列番号86または配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0334】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0335】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号88または配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0336】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92または配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0337】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0338】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号156のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0339】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号97、配列番号98または配列番号99のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0340】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0341】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号100または配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0342】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0343】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号102または配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0344】
いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体は、分子ペイロードへ共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、配列番号158または配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードは、FXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)である。
【0345】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体中のリジンを介してFXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表2に列挙される抗体のいずれか1つのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化28】
(式中、nは3であり、mは4である。)いくつかの態様において、L1は、
【化29】
である。
【0346】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体中のリジンを介してFXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表3に列挙される抗体のいずれか1つのVHおよびVLを含み、複合体は以下の構造を有する。
【化30】
(式中、nは3であり、mは4である。)いくつかの態様において、L1は、
【化31】
である。
【0347】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1抗体中のリジンを介してFXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1抗体は、表4に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化32】
(式中、nは3であり、mは4である。)いくつかの態様において、L1は、
【化33】
である。
【0348】
いくつかの態様において、本明細書に記載される複合体は、抗TfR1 Fab中のリジンを介してFXN標的化オリゴヌクレオチド(例として、表8に列挙されるFXN標的化オリゴヌクレオチド)の5'末端に共有結合的に連結された抗TfR1抗体を含み、抗TfR1 Fabは、表5に列挙される抗体のいずれか1つの重鎖および軽鎖を含み、複合体は以下の構造を有する。
【化34】
(式中、nは3であり、mは4である。)いくつかの態様において、L1は、
【化35】
である。
【0349】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロチオアートへ連結される。いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスホロアミダートへ連結される。
【0350】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの5'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの5'リン酸へのL1の結合は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0351】
いくつかの態様において、L1は、オリゴヌクレオチドの3'ホスファートへ連結される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの3'リン酸へのL1の結合は、L1とオリゴヌクレオチドとの間にホスホジエステル結合を形成する。
【0352】
いくつかの態様において、L1は、任意である(例として、存在する必要はない)。
【0353】
III.製剤
本明細書に提供される複合体は、任意の好適な方法で製剤化され得る。一般に、本明細書に提供される複合体は、医薬への使用に好適な方法で製剤化される。例えば、複合体は、分解を最小限に抑え、送達および/または(例として、および)取り込みを容易にし、あるいは、製剤中の複合体に別の有益な特性を提供する製剤を使用して対象へ送達され得る。いくつかの態様において、複合体および薬学的に許容し得る担体を含む組成物が本明細書に提供される。そのような組成物は、対象に投与されると、標的細胞の周囲の環境または全身のいずれかに、充分な量の複合体が標的筋細胞に入るように適切に製剤化することができる。いくつかの態様において、複合体は、リン酸緩衝生理食塩溶液などの緩衝溶液、リポソーム、ミセル構造体、およびカプシドの中に製剤化される。
【0354】
当然のことながら、いくつかの態様において、組成物が、本明細書に提供される複合体の1以上の構成要素(例として、筋標的化剤、リンカー、分子ペイロード、またはこれらのいずれか1つの前駆体分子)を個別に包含していてもよい。
【0355】
いくつかの態様において、複合体は、水中または水性溶液(例として、pH調整された水)中に製剤化される。いくつかの態様において、複合体は、塩基性緩衝水性溶液(例として、PBS)中に製剤化される。いくつかの態様において、本明細書に開示のとおりの製剤は、賦形剤を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、組成物へ、改善された安定性、改善された吸収、改善された可溶性、および/または(例として、および)、活性成分の治療増強を付与する。いくつかの態様において、賦形剤は、緩衝剤(例として、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基、もしくは水酸化ナトリウム)、またはビヒクル(例として、緩衝溶液、ワセリン、ジメチルスルホキシド、または鉱油)である。
【0356】
いくつかの態様において、複合体またはその構成要素(例として、オリゴヌクレオチドまたは抗体)は、その貯蔵寿命を延長するため凍結乾燥され、次いで使用(例として、対象への投与)前に溶液にさせられる。したがって、本明細書に記載の複合体またはその構成要素を含む組成物中の賦形剤は、凍結保護剤(例として、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、もしくはポリビニルピロリドン)、または崩壊温度修飾因子(例として、デキストラン、フィコール、もしくはゼラチン)であってもよい。
【0357】
いくつかの態様において、医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するよう製剤化されている。投与経路の例としては、非経口投与、例として、静脈内投与、皮内投与、皮下投与が挙げられる。典型的には、投与経路は、静脈内投与または皮下投与である。
【0358】
注射剤への使用に好適な医薬組成物は、滅菌水性溶液(ここで水に可溶性である)または分散溶液、および滅菌注射剤溶液または分散溶液の即時調製のための滅菌粉末を包含する。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。いくつかの態様において、製剤は、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、および塩化ナトリウムを包含する。滅菌注射剤溶液は、要求量の複合体を、上に列挙された成分の1つまたはそれらの組み合わせとともに、選択された溶媒に組み込むこと、要求に応じ、これに続き濾過滅菌することによって調製され得る。
【0359】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約0.1%の複合体またはその構成要素、またはそれ以上を含有し得るが、活性成分のパーセンテージは組成物全体の重量または体積の約1%~約80%、またはそれ以上であってもよい。可溶性、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、産物の貯蔵寿命などの因子、ならびに他の薬理学的留意事項は、かかる医薬製剤を調製する当業者によって企図されるであろう。そのため様々な投薬量および処置計画が所望されることもある。
【0360】
IV.使用/処置の方法
本明細書に記載のとおりの分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体は、フリードライヒ運動失調症を処置するのに有効である。いくつかの態様において、FAは、両方のFXN対立遺伝子のイントロン1におけるGAAトリヌクレオチド反復の拡大に関連する。いくつかの態様において、ヌクレオチド伸長は、エピジェネティックな変化および反復付近でのヘテロクロマチンの形成をもたらし、FXNの発現低下をもたらす。
【0361】
いくつかの態様において、対象は、ヒト対象、霊長目の非ヒト動物対象、齧歯類動物対象、またはいずれの好適な哺乳動物対象であり得る。いくつかの態様において、対象はフリードライヒ運動失調症を有し得る。いくつかの態様において、対象はFXN対立遺伝子を有し、これは場合により疾患関連反復を含み得る。いくつかの態様において、対象は、約2~10個の反復単位、約2~50個の反復単位、約2~100個の反復単位、約50~1,000個の反復単位、約50~500個の反復単位、約50~250個の反復単位、約50~100個の反復単位、約500~10,000個の反復単位、約500~5,000個の反復単位、約500~2,500個の反復単位、約500~1,000個の反復単位、または約1,000~10,000個の反復単位を含む、伸長した疾患関連反復を有するFXN対立遺伝子を有し得る。いくつかの態様において、対象は、FAの症状、例として、肥大型心筋症、筋萎縮または筋力低下を患っている。いくつかの態様において、対象は、FAの症状を患っていない。いくつかの態様において、対象は、先天性肥大性心筋症を有する。
【0362】
本開示の側面は、本明細書に記載のとおりの有効量の複合体を対象へ投与することを伴う方法を含む。いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む有効量の医薬組成物は、処置を必要とする対象へ投与され得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の複合体を含む医薬組成物は、例として静脈内ボーラス投与または一定期間にわたる連続注入による静脈内投与を含み得る適切な経路によって投与され得る。いくつかの態様において、静脈内投与は、筋肉内の、腹腔内の、脳脊髄内の、皮下の、関節内の、滑液嚢内の、または髄腔内の経路によって実施されてもよい。いくつかの態様において、医薬組成物は、固体形態、水性形態、または液体形態であってもよい。いくつかの態様において、水性または液体形態は、噴霧されてもよく、または凍結乾燥されてもよい。いくつかの態様において、噴霧形態または凍結乾燥形態は、水性または液体溶液で再構成されてもよい。
【0363】
静脈内投与のための組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、およびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)などの様々な担体を含有していてもよい。静脈内注射のための水可溶性抗体は点滴法によって投与され得、これによって抗体および薬学的に許容し得る賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容し得る賦形剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液、または他の好適な賦形剤を包含していてもよい。筋肉内用調製物、例として、抗体の好適な可溶性の塩形態の滅菌製剤は、注射用水、0.9%生理食塩水、または5%グルコース溶液などの医薬賦形剤に溶解されて投与され得る。
【0364】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結されたた筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、部位特異的または局部的な送達技法を介して投与される。これらの技法の例は、複合体の埋め込み型デポー供給源、局部送達カテーテル、部位特異的担体、直接注射、または直塗り(direct application)を包含する。
【0365】
いくつかの態様において、分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、治療効果を対象に付与する有効濃度にて投与される。有効量は、当業者によって認識されるとおり、疾患の重症度、処置される対象の特有な特徴、例として、年齢、体調、健康状態、または体重、処置期間、いずれの併用治療の性質、投与ルート、および関連因子に応じて変動する。これらの関連因子は当業者には公知であり、日常的な実験程度で対処し得る。いくつかの態様において、有効濃度は、患者に安全であると見なされる最大用量である。いくつかの態様において、有効濃度は、最大限の効き目を提供する、実行可能な最低濃度であろう。
【0366】
経験的考慮事項、例として、対象における複合体の半減期は一般に、処置のために使用される医薬組成物の濃度を決定するのに役立つであろう。投与頻度は、処置の効き目を最大化するために経験的に決定かつ調整されてもよい。
【0367】
処置の有効性は、任意の好適な方法を使用して査定され得る。いくつかの態様において、処置の有効性は、FAに関連する症状、例として肥大型心筋症、筋萎縮、または筋力低下の観察の評価によって、対象の自己報告された転帰、例として運動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、および不安/抑うつの尺度を通して、または生活の質の指標、例として寿命によって評価され得る。
【0368】
いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物は、対照(例として、処置に先立つ遺伝子発現のベースラインレベル)と比べて、標的遺伝子の活性または発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害するのに充分な有効濃度にて、対象へ投与される。
【0369】
いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回投薬または投与は、少なくとも1~5日間、1~10日間、5~15日間、10~20日間、15~30日間、20~40日間、25~50日間、またはこれより長い期間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回投薬または投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、または24週間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回投薬または投与は、少なくとも1~5、1~10、2~5、2~10、4~8、4~12、5~10、5~12、5~15、8~12、8~15、10~12、10~15、10~20、12~15、12~20、15~20、または15~25週間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。いくつかの態様において、本明細書に記載の分子ペイロードへ共有結合的に連結された筋標的化剤を含む複合体を含む医薬組成物の対象への単回投薬または投与は、少なくとも1、2、3、4、5、または6カ月間、標的遺伝子の活性または発現を阻害するのに充分である。
【0370】
いくつかの態様において、医薬組成物は、分子ペイロードに共有結合的に連結された筋標的化剤を含む、2以上の複合体を含み得る。いくつかの態様において、薬学的組成物は、対象、例として、FAを有するヒト対象を処置するための任意の他の好適な治療剤をさらに含み得る。いくつかの態様において、他の治療剤は、本明細書に記載の複合体の有効性を増強または補完するものであってもよい。いくつかの態様において、他の治療剤は、本明細書に記載の複合体とは異なる症状または疾患を処置するよう機能し得る。
【0371】
例
例1. FXN標的化オリゴヌクレオチド(ASO)のin vitro活性
表8に列挙したFXN標的化オリゴヌクレオチド(ASO)の活性を調べるためにin vitro実験を行った。オリゴヌクレオチドは、GAA反復を含有するFXN RNAの領域(反復領域)を標的化する。オリゴヌクレオチドがFXN RNAレベルをノックダウンする能力は、反復領域における標的配列の接近可能性の指標である。接近可能な標的配列は、FXN RNA含有伸長反復と染色体DNAとの間のRループ形成を阻害するためのオリゴヌクレオチドによって標的化され得、それによりFXNタンパク質発現が増強され得る。
【0372】
フリードライヒ運動失調症の遺伝子発現プロファイルを再現するために、LS 174T結腸直腸腺癌細胞において内因性FXN mRNAがノックダウンされた。ノックダウン後、LS 174T細胞が96ウェルプレートに15,000細胞/ウェルの密度で播種され、一晩インキュベートされた。一晩のインキュベーションの後、リポフェクタミンRNAiMaxを技術的な4連で使用して、20nMまたは5nMのいずれかのFXN標的化オリゴヌクレオチドで細胞がトランスフェクトされた。その後、細胞は72時間インキュベートされ、次いで回収された。転写物レベルは、FXNに特異的な分岐DNAアッセイを使用して評価された。すべての転写物データは、GAPDH転写物レベルを測定する参照分枝DNAアッセイに対して正規化された。4連の値が平均され、平均転写レベルが記録された。表9は、各ASOで処理した後の平均残存転写レベル(%)を示し、転写レベルは、GAPDH転写レベルに対して正規化され、4回の反復にわたって平均化されたFXN転写レベルとして記録されている。各4連セットの標準偏差も記録されている。
【表9】
【0373】
例2: FXN標的化ASO-用量応答
FXN mRNAは、標的化する5つのASO(表10)を、LS 174T結腸直腸腺癌細胞における用量応答実験でFXN mRNAをノックダウンする能力について試験された。LS 174T細胞は、96ウェルプレートに15,000細胞/ウェルの密度で播種され、一晩回復させた。翌日、技術的な4連でリポフェクタミンRNAiMaxを使用して、様々な濃度のFXN標的化ASOで細胞がトランスフェクトされた。細胞は72時間インキュベートされ、回収された。試験されたASOのIC20およびIC50値の計算を含む用量応答分析が実施され、結果が表10に示される。
【表10】
【0374】
例3. ヒトTfR1を発現するマウスにおけるDMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした抗TfR1 Fabを含有するコンジュゲートのin vivo活性
DMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした抗TfR1 Fab 3M12-VH4/VK3を含有する抱合体が、ヒトTfR1を発現するマウスモデルにおいて試験された。抗TfR Fab1 3M12-VH4/VK3が、式(I)の構造を有する切断可能なリンカーを介してDMPK標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた。抱合体が、0日目および7日目に10mg/kgオリゴヌクレオチドに相当する用量でマウスに投与された。マウスは14日目に屠殺され、異なる筋組織が回収され、組織中のdmpk mRNAレベルおよびオリゴヌクレオチド濃度について分析された。抱合体は、マウス野生型dmpkを前脛骨筋で79%減少させ(
図1A)、腓腹筋で76%減少させ(
図1B)、心臓で70%減少させ(
図1C)、横隔膜で88%減少させた(
図1D)。前脛骨筋、腓腹筋、心臓、および横隔膜におけるオリゴヌクレオチド分布が
図1E~
図1Hに示されている。
【0375】
これらのデータは、抗TfR Fab1 3M12-VH4/VK3が、in vivoマウスモデルにおいて筋肉特異的組織への抱合体の細胞内在化を可能にし、それによってDMPK標的化オリゴヌクレオチドがDMPKの発現を減少させたことを示す。同様に、抗TfR1抗体(例として、抗TfR1 Fab 3M12-VH4/VK3)は、FXNタンパク質発現を増強するために、FXN標的化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした抗TfR1抗体を含む抱合体の細胞内在化を可能にすることができる。
【0376】
均等物および用語
例証的に本明細書に記載された開示は、好適には、本明細書に具体的には開示されないいずれかの要素、限定の非存在下において実施され得る。それゆえに、例えば、本明細書の各事例において、用語「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかは、他の2つの用語のどちらかによって置き換えられ得る。採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、かかる用語および表現の使用には、示されるおよび記載される特徴のいずれかの等価物またはそれらの部分を排除する意図はなく、種々の改変が本開示の範囲内で可能であることが認識される。それゆえに、本開示は好ましい実施形態によって具体的に開示されたが、本明細書に開示される概念の任意の特徴、改変、および変形が当業者によって頼られ得ることと、かかる改変および変形は本開示の範囲内であると考慮されることとは理解されるべきである。
【0377】
加えて、本開示の特徴または側面がマーカッシュ群または代替物の他の群分けとして記載されるところでは、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群または他の群のいずれかの個々の構成員または構成員のサブグループとしてもまた記載されることを認識するであろう。
【0378】
当然のことながら、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記載する際には、配列表で提示される配列が参照され得る。かかる態様において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、指定された配列と本質的に同じかまたは類似の相補的な特性を保持しながら、指定された配列と比較して、1以上の代替的なヌクレオチドまたはヌクレオシド(例として、DNAヌクレオシドのRNAカウンターパート、またはRNAヌクレオシドのDNAカウンターパート)および/または(例として、および)1以上の修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドおよび/または(例として、および)1以上の修飾されたヌクレオシド間連結および/または(例として、および)1以上の他の改変を有し得る。
【0379】
本発明を説明する文脈における(特に以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様のレファレントの使用は、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡略な方法として働くことが意図され、各別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載のすべての方法は任意の好適な順序で行われ得る。別様の主張がなされない限り、本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な文言(例として、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解き明かすことが意図され、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書のいかなる文言も、いずれかの請求されない要素を本発明の実施にとって必須であると指し示すものと解釈されるべきではない。
【0380】
本発明の側面が本明細書に記載されている。それらの実施形態の変形は、先述の記載を読むことによって当業者には明らかになり得る。
【0381】
本発明者は当業者がかかる変形を適当に採用することを予期し、本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されるとおりとは別様に実施されることを意図する。したがって、本発明は、然るべき法律によって許可される本明細書に添付される請求項に記載される主題のすべての改変および等価物を包含する。その上、それらのすべての可能な変形における上に記載された要素のいずれかの組み合わせは、本明細書に別段の指示がないかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明によって包摂される。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、またはせいぜい慣例的な実験作業を用いて確かめることができるであろう。かかる等価物は次の請求項によって包摂されることを意図される。
【配列表】
【国際調査報告】