(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】色安定性が向上した化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/33 20060101AFI20240628BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240628BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/67
A61K8/49
A61K8/81
A61Q1/00
A61K8/46
A61K8/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578956
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2022063453
(87)【国際公開番号】W WO2022268415
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベクト,ハシバ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ライ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC641
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC831
4C083AC851
4C083AD012
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD242
4C083AD571
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD632
4C083BB11
4C083BB45
4C083BB47
4C083CC02
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE17
(57)【要約】
化粧用組成物は、レゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、およびレチノイン酸前駆体を含む。このような皮膚有益剤を含む組成物の色安定性を改善する有効な方法が望ましい。抗酸化剤、相溶性油、および乳化ポリマーと組み合わせたアルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、およびレチノイン酸前駆体が、組成物の色安定性を改善することが見出された。よって、本発明の組成物は、乳化ポリマーと、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物およびレチノイジンと抗酸化剤および相溶性油の組み合わせとの相乗的組み合わせを含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルキルレゾルシノールと;
(b)レチノイン酸前駆体と;
(c)官能化複素芳香族化合物と;
(d)抗酸化剤と;
(e)化粧用組成物の8~40重量%の、16.5~22のハンセン総溶解度パラメータを有する少なくとも1種の相溶性油と;
(f)乳化ポリマーと
を含む化粧用組成物であって;
前記官能化複素芳香族化合物はカルボン酸官能化複素芳香族化合物を含み、
さらに化粧用組成物は0.001~5重量%の前記官能化複素芳香族化合物を含み;
前記カルボン酸官能化複素芳香族化合物は、ニコチン酸、ピコリン酸、ニコチネート、ナイアシンアミド、ピコリンアミド、またはこれらの混合物を含み;
前記乳化ポリマーは、アクリレート/C
10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、カルボマー、またはこれらの混合物を含み、
さらに化粧用組成物は0.01~5重量%の乳化ポリマーを含む、化粧用組成物。
【請求項2】
前記アルキルレゾルシノールが、4位にアルキル置換基を有する、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記アルキルレゾルシノールが、4-ヘキシルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、およびこれらの混合物を含み、
さらに、化粧用組成物が0.001~10重量%のアルキルレゾルシノールを含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記レチノイン酸前駆体が、レチニルエステル、レチノール、レチナールエステル、レチノイン酸、およびこれらの混合物を含み、
さらに、化粧用組成物が0.001~5重量%の前記レチノイン酸前駆体を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン、ジドデシル3,3’チオジプロピオネート、オクタデシルジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ポリフェノール、またはこれらの混合物を含み、
さらに化粧用組成物が0.01~4重量%、好ましくは0.02~3重量%の抗酸化剤を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
化粧用組成物の少なくとも0.2重量%の抗酸化剤を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
16.75~20、好ましくは17~19.5のハンセン総溶解度パラメータを有する相溶性油を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
10~30重量%、好ましくは12~25重量%、より好ましくは15~20重量%の相溶性油を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、またはこれらの混合物から選択される相溶性油を含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
追加の界面活性剤を実質的に含まない、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
12-ヒドロキシステアリン酸、日焼け止め、リン脂質、セラミド、またはこれらの混合物のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
45℃で4週間で6以下のΔE値を有する、請求項1または2に記載の化粧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パーソナルケア組成物が本明細書で開示される。より詳細には、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、およびレチノイン酸前駆体を抗酸化剤、相溶性油、および乳化ポリマーと組み合わせて含有して、組成物の色安定性を改善する化粧用組成物が本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
理想的な皮膚の最新の定義は、現在、全体にわたって均一な色分布および滑らかな肌理を有する若々しく弾力のある皮膚を含む。しかしながら、ヒト皮膚は、例えば、皮膚科学的状態、環境乱用(風、空調、日光暴露、汚染、青色光)、または経時老化(chronoaging)を通して劣化しやすい。加齢個体は、顔の小じわ、しわ、黄変または血色の悪さ、たるみ、色素沈着過度、しみおよび加齢の一般的徴候をますます発症する。よって、このような目に見える徴候に対処する「アンチエイジング」または「プレエイジング」化粧品の需要が大幅に増加している。
【0003】
レチノールなどのレチノイン酸前駆体を特徴とする化粧用組成物が、近年極めて目立ってきている。ビタミンAとしても知られているレチノール、ならびに例えばプロピオン酸レチニルを含むそのエステル誘導体およびレチノイドファミリーのメンバーの多くは、局所的に施用された場合、数ある利点の中でも、小じわおよびしわの低減、皮膚の平滑化、ならびに不均一な皮膚色調の改善に有効であり得る。レチノイドの利益にもかかわらず、化粧用組成物にレチノイン酸前駆体を含めると、組成物の安定性が困難になることが多い。
【0004】
さらに、多くの人々は、均一な皮膚色調の利益をもたらす化粧品を別々に、または同時に検索することが多い。業界は、現在、強化された有効性および安定性を有する化粧用均一色調剤に対する絶えず存在する必要性を特徴としている。このような薬剤の例としては、ヒドロキノン、アルブチン、コウジ酸および官能化複素芳香族化合物が挙げられる。理論によって拘束または制限されることを意図するものではないが、官能化複素芳香族化合物(例えば、ナイアシンアミドおよび/またはニコチネート)を含有する組成物は、数ある利益の中でも、皮膚のくすみおよび小じわの出現を低減しながら、均一な皮膚および皮膚保湿を促進するのに有用であると考えられる。レゾルシノール、特にヘキシルレゾルシノールおよびエチルレゾルシノールなどのアルキルレゾルシノールは、皮膚の局所施用に使用され得る均一な色調の利益を提供する薬剤のさらなる例を提供する。
【0005】
ヘキシルレゾルシノールなどの均一色調剤を含有する化粧用組成物が、近年極めて目立ってきている。しかしながら、アルキルレゾルシノール含有組成物は、温度、光および酸化などの様々な因子に応答して変色する傾向がある。色安定性であるレゾルシノールを含む化粧用組成物を得ることは困難である。化粧用組成物における色不安定性の問題は、レゾルシノールがナイアシンアミドおよび/またはレチノイド化合物と同じ組成物中に見られる場合に悪化し、各皮膚有益剤を独立して含む組成物と比較した場合に、より目立った退色をもたらす。よって、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物およびレチノイン酸前駆体を含む化粧用組成物の色不安定性は、克服すべき課題をなおさらに提起する。
【0006】
したがって、本発明者らは、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物およびレチノイン酸前駆体を含む、色安定性が改善された化粧用組成物を開発する必要性を認識した。よって、アルキルレゾルシノールを、乳化ポリマー、抗酸化剤および相溶性油に加えて、(a)官能化複素芳香族化合物、(b)レチノイン酸前駆体または(c)これらの混合物と組み合わせて有する化粧用組成物が本明細書に開示される。
【0007】
追加の情報
レゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、および/またはレチノイドを含む化粧用組成物に乳化ポリマーを組み込むための努力が開示されてきた。
【0008】
米国特許出願公開第2003/165546号明細書は、レチノイドおよびカルボマーを含有する安定なパーソナルケア組成物を開示している。
【0009】
米国特許第8,440,172号明細書は、7.0以下のpHでのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸の可溶性塩を記載している。
【0010】
PCT公開番号、国際公開第2019/011618号は、レチノイン酸前駆体、レゾルシノール、および/またはポリマーを含んでいてもよい、色安定化活性物質を含むナノエマルジョンに関する。
【0011】
PCT公開番号、国際公開第2017/194486号は、レチノイン酸前駆体を安定化する方法および安定化レチノイン酸前駆体を含む皮膚有益組成物を報告している。
【0012】
上記の追加の情報のいずれも、本明細書に開示される皮膚の老化の徴候に対処するために使用される色安定性化粧用組成物を達成するための、乳化ポリマーとレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、レチノイド、抗酸化剤および相溶性油の特定の組み合わせを記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/165546号明細書
【特許文献2】米国特許第8,440,172号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/011618号
【特許文献4】国際公開第2017/194486号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、相溶性油担体および抗酸化剤の使用に加えた乳化ポリマーの使用が、レチノイン酸前駆体、官能化複素芳香族化合物およびアルキルレゾルシノールを含む化粧用組成物の色安定性を向上させることを見出した。
【0015】
したがって、第1の態様では、本発明の組成物は、乳化ポリマーおよび抗酸化剤を有し、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、レチノイン酸前駆体、またはこれらの混合物を相溶性油と共にさらに含む組成物に関する。
【0016】
第2の態様では、本発明の組成物は、化粧品として許容されるビヒクル中に(a)1つまたは複数のアルキルレゾルシノール化合物;(b)1つまたは複数のレチノイド、レチノイドエステル誘導体、またはこれらのブレンド;(c)1つまたは複数の官能化複素芳香族化合物;(d)高分子乳化剤;(e)抗酸化剤;および(f)相溶性油を含む化粧用組成物に関する。
【0017】
第3の態様では、皮膚にアンチエイジングおよび/または均一な色調の利益を提供する方法であって、(a)第2の態様によるアルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、およびレチノイン酸前駆体を含む色安定性化粧用組成物を作製するステップと、(b)処置を必要とする皮膚に化粧用組成物を施用するステップとを含む方法が開示される。
【0018】
本化粧用組成物の他の全ての態様は、以下の詳細な説明および実施例を考慮してより容易に明らかになるであろう。
【0019】
誤解を避けるために、「含む」という用語は、任意の述べられる要素に限定するのではなく、むしろ機能的重要性が大きいまたは小さい指定されていない要素を包含することを意図している。したがって、列挙したステップ、要素または選択肢が網羅的である必要はない。「含む(including)」または「有する」という単語が使用される場合、これらの用語は上に定義される「含む(comprising)」と同等であることを意図している。
【0020】
「皮膚」という用語は、本明細書で使用される場合、顔、首、胸、背中、腕、腋窩、臀部、手、脚および頭皮の皮膚を含む。皮膚有益剤は、本明細書で使用される場合、皮膚特性などの局所施用後の顔もしくは身体特性を改善する、および/またはこれに利益をもたらす成分を含むことを意図しており、皮膚有益剤は、クリーム、ポンプもしくはエアロゾルスプレー、セラム、ローション、バーム、デオドラント、ゲルまたは洗浄組成物中の皮膚有益剤であり得、好ましくは皮膚有益剤である。特に好ましい実施形態では、組成物がリーブオン組成物(leave-on composition)であり、皮膚有益剤がレチノイド化合物および油溶性アルキルレゾルシノールである。本明細書で使用される場合、「モノマー」は、化学反応で重合を受けて高分子をもたらす別個の非重合化学部分を意味し、「単位」は、既にこのような重合反応を受けており、ポリマーの一部であるモノマーを指す。「ポリマー」は、少なくとも2つのモノマー単位の重合から形成された反応生成物を指す。「乳化ポリマー」の使用は、本明細書において「ポリマー乳化剤」と互換的に使用されるべきであり、組成物を乳化、安定化および/または組成物の粘度を構築する可能性を有する多官能性ポリマー成分を指す。「レチノイド」および「レチノイン酸前駆体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト皮膚においてビタミンAと同様の生物学的活性を有するビタミンAまたはその誘導体の全ての天然および/または合成類似体を指す。本明細書の成分に関して使用される「(1つまたは複数の)誘導体」という用語は、化合物の官能基置換を指す。「官能化」という用語は、本明細書で使用される場合、化合物が、その化合物上に、アシル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキサミド(アミド)、カルボキシル、またはカルボアルコキシ(エステル)置換基を含む少なくとも1つの官能基置換基を有することを意味する。実質的に含まないとは、本明細書で使用される場合、組成物の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満を構成することを意味することを意図する。色安定性のままであるとは、本明細書で使用される場合、45℃で4週間で、Hunter Lab分光光度計で得られるL*、a*およびb*色差に基づいて六(6)以下のΔEを有する化粧用組成物を記載する。一般に、45℃で4週間でΔE≦6が望ましく、ΔE≧6は望ましくない。「相溶性」という用語は、本明細書で使用される場合、16.5~22の範囲内のハンセン総溶解度パラメータ値を有する油を指す。ハンセン総溶解度パラメータは、3つのハンセンパラメータ、すなわちδt(分子間の分散力からのエネルギーを定義する)、δp(分子間の双極子分子間力からのエネルギーを定義する)、およびδn(分子間の水素結合からのエネルギーを定義する)に基づいて決定される。δt値は、CRC Handbook of Solubility Parameters and other Cohesion Parameters,Second Edition by Allan F.M.Bartonに従って得られる。周囲温度は、本明細書で使用される場合、20~25℃の温度を指す。
【0021】
実施例を除いて、または明示的に指示しない限り、材料の量を示す本明細書の全ての数字は、「約」という単語により修飾されるものと理解すべきである。全ての量は、特に指定しない限り、組成物の総重量による。
【発明を実施するための形態】
【0022】
レゾルシノールは、1位および3位のアルコール基(-OH)を特徴とするジヒドロキシフェノール化合物(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)である。レゾルシノールの化学構造を修飾して、2位、4位、5位または6位の少なくとも1つの置換基を特徴とする置換レゾルシノールを得ることができる。レゾルシノールが、5~11個の炭素原子、好ましくは5~9個の炭素原子を含む少なくとも1つの置換基を含むことが好ましい。少なくとも1つの置換基がアルキル基、より好ましくは不飽和アルキル基を含むことが特に好ましい。
【0023】
好ましくは、化粧用組成物のレゾルシノールは、4位でのみアルキル基で置換される、すなわち、レゾルシノールはアルキルレゾルシノール、より好ましくは4-置換アルキルレゾルシノールである。4-置換アルキルレゾルシノールの、例示されるが限定的ではない例としては、4-エチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、およびこれらの混合物が挙げられる。組成物は、化粧用組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.01~1重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)のアルキルレゾルシノールを含む。アルキルレゾルシノールが、4-ヘキシルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、またはこれらの混合物であることが特に好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、典型的にはレチニルエステル、レチノール、レチナール、またはこれらの混合物、好ましくはレチナール、レチニルエステル、またはこれらの混合物を含むレチノイン酸前駆体を含有する。使用に望ましいレチニルエステルの例としては、それだけに限らないが、パルミチン酸レチニル、ギ酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、タウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、およびオレイン酸レチニルが挙げられる。好ましくは、エステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、およびこれらの混合物から選択される。リノール酸レチニルおよびオレイン酸レチニルも好ましい。特に好ましい実施形態では、レチノイン酸前駆体が、プロピオン酸レチニル、レチノール、またはこれらの混合物である。レチノイン酸前駆体は、化粧用組成物の0.001~5重量%の量、好ましくは0.01~1重量%の量、最も好ましくは0.01~0.5重量%の量(その中に包含される全ての範囲を含む)で使用される。
【0025】
皮膚利益をもたらすために、レゾルシノールおよび/またはレチノイン酸前駆体を含む化粧用組成物に官能化複素芳香族化合物を含めることもしばしば望ましい。本明細書に開示される化粧用組成物は、アルキルレゾルシノールおよびレチノイン酸前駆体に加えて、官能化複素芳香族化合物を含む。官能化複素芳香族化合物は、好ましくはカルボン酸官能化複素芳香族化合物である。カルボン酸官能化複素芳香族化合物は、任意の化粧品として許容されるニコチン酸、ピコリン酸、またはこれらの誘導体もしくは混合物、好ましくはニコチン酸、ナイアシンアミド、ニコチネート、ピコリン酸、ピコリンアミドまたはこれらの混合物、より好ましくはナイアシンアミド、ピコリンアミドまたはこれらの混合物であり得る。官能化複素芳香族化合物は、典型的には、化粧用組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.05~7重量%、より好ましくは0.1~5重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)の量で存在する。
【0026】
ここで驚くべきことに、アルキルレゾルシノール、レチノイン酸前駆体および官能化複素芳香族化合物を含む組成物に相溶性油を使用することが、色安定性の改善に寄与し得ることが明らかになった。16.5~22、好ましくは16.75~20、より好ましくは17~19.5の範囲内のハンセン総溶解度パラメータ(δt)値を有する油が最も相溶性であり、よって、このような化粧用組成物での使用に望ましい。本明細書に開示される組成物に使用することができる油の実例としては、ミリスチン酸イソプロピル(δt=17.5)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(δt=18.9)、およびパルミチン酸イソプロピル(δt=17.2)が挙げられる。相溶性油は、化粧用組成物の8~40重量%の量、好ましくは10~30重量%の量、最も好ましくは12~25重量%の量(その中に包含される全ての範囲を含む)で使用される。特に好ましい態様では、化粧用組成物が15~20重量%の相溶性油を含む。
【0027】
天然、天然由来、または合成の抗酸化剤であり得る、1種または複数の抗酸化剤をさらに含むことは、これがこのような化粧用組成物において色安定性を向上させることが分かっているので、化粧用組成物の範囲内である。抗酸化剤は、化粧用組成物での使用に望ましい任意の抗酸化剤であり得る。このような抗酸化剤の例示的であるが非限定的な例は、αヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸およびマンデル酸)、アミノ酸およびその誘導体、βヒドロキシ酸(例えば、プロパン酸およびサリチル酸)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カロテン、カロテノイド、補酵素Q10、ジドデシル3,3’チオジプロピオネート、グルタチオン、イミダゾールおよびその誘導体、オクタデシルジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ペプチドおよびその誘導体、植物抽出物(例えば、ロスマリヌス・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)(ローズマリー)葉抽出物およびカメリア・シネシス(Camellia sinesis)(緑茶)葉抽出物)、ポリヒドロキシ酸(例えば、グルコン酸、グルコノラクトンおよびラクトビオン酸)、ポリフェノール(例えば、アントシアニン、エラグ酸、フラボノイド、タンニン)、ならびにレスベラトロールを含む。
【0028】
抗酸化剤として本発明の化粧用組成物に使用され得る別のクラスには、ビタミンが含まれる。例示的なビタミンには、それだけに限らないが、ビタミンB2、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、葉酸およびビオチンが含まれる。ビタミンの誘導体も使用され得る。例えば、ビタミンC誘導体には、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびアスコルビルグリコシドが含まれる。ビタミンEの誘導体には、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルが含まれる。抗酸化剤が、BHT、ジドデシル3,3’チオジプロピオネート、オクタデシルジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、ペンタエリスリチルテトラジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ポリフェノール、またはこれらの混合物を含むことが好ましい。本明細書に開示される化粧用組成物中に存在する抗酸化剤の総重量パーセントは、化粧用組成物の好ましくは0.01~4重量%、より好ましくは0.02~3重量%、最も好ましくは0.05~2重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)である。化粧用組成物中に存在する抗酸化剤の最小総重量パーセントは、組成物の総重量に基づいて0.15重量%、好ましくは0.20重量%である。
【0029】
レチノイド、アルキルレゾルシノールおよび官能化複素芳香族化合物を、乳化ポリマーと共に上記の相溶性油および抗酸化剤と組み合わせて添加すると、このような乳化ポリマーを欠く同等の組成物と比較した場合、なおさらに増加した色安定性が予想外に観察されることがさらに見出された。乳化ポリマーは、アクリル酸またはアクリレートメタクリルアルキルアミドプロピルの群から選択される少なくとも1つの繰り返しアニオン性構造単位を含む。望ましい乳化ポリマーは、純粋なアクリル酸モノマーまたはアクリル酸モノマーとメタクリル酸モノマーの混合物で作られた膨潤性ポリマー粉末であり、好ましくは、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、カルボマー、またはこれらの混合物の化学名を有するポリマーである。一態様では、ポリマーは架橋または非架橋ホモポリマーである。別の態様では、ポリマーは架橋または非架橋コポリマーである。乳化ポリマーは多官能性であり、組成物の乳化、安定化、および/または粘度の構築が可能である。ポリマー乳化剤を単独で、または他の追加のポリマー乳化剤と組み合わせて使用することは、本組成物の範囲内である。本化粧用組成物に使用するための例示的であるが非限定的なアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーは、供給業者The Lubrizol Corporationによって、PEMULEN(商標)TR-1、PEMULEN(商標)TR-2、PEMULEN(商標)EZ-4U、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 20、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 21、CARBOPOL(登録商標)1382およびCARBOPOL(登録商標)ETD 2020などの商品名で市販されている。本組成物に使用するための望ましいカルボマーには、共にThe Lubrizol Corporationによって市販されている、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 10およびCARBOPOL(登録商標)980が含まれる。乳化ポリマーは、組成物の総重量に対して0.01~5%、好ましくは0.02~4%、より好ましくは0.03~3%の量で化粧用組成物に含まれる。ポリマーが、化粧用組成物の0.04~2重量%、最も好ましくは0.05~1重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)で化粧用組成物中に含まれることがさらにより好ましい。
【0030】
当業者であれば、所望のおよび/または最大粘度を達成するために、本明細書に開示される乳化ポリマーの中和の必要性を特定することに熟練しているであろう。パーソナルケアおよび/または医薬品での使用に許容される当該分野で公知の任意のpH調整剤を使用して、典型的には4~8の範囲内の皮膚に許容されるpHを有する化粧用組成物を得ることができる。好ましい実施形態では、化粧用組成物のpHが4.25~7.5、最も好ましくは5~7である。伝統的な緩衝剤またはpH調整剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、クエン酸、トリエタノールアミンおよびアミノメチルプロパノールなどの一般的な添加剤が含まれる。本明細書に開示される化粧用組成物の粘度は、T.A.Instrumentsなどの供給業者からDiscoveryの名称で市販されている歪み制御パラレルプレート型レオメーターを用いて、周囲温度および1秒-1の剪断速度の条件下で測定して、好ましくは1,000~120,000センチポアズ(cps)、より好ましくは5,000~80,000cpsである。あるいは、粘度は、ブルックフィールド粘度計(20rpmの速度、スピンドル5、ヘリパスオフ、周囲温度で一(1)分間)を使用して測定することもできる。化粧用組成物は、1,000~4,000ミリパスカル・秒(mPas)の粘度を有するセラム、4,000~10,000mPasの粘度を有するローション、10,000~20,000mPasの粘度を有する流動性クリームまたは20,000~100,000mPas以上の粘度を有するクリームとして配合され得る。
【0031】
本明細書に開示される化粧用組成物は、追加の界面活性剤を実質的に含まない、すなわち、化粧用組成物は、乳化ポリマーの乳化特性に部分的に起因して、組成物の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の界面活性剤を含む。
【0032】
しかしながら、当業者であれば、乳化剤として関連分野で公知の材料のカテゴリーを包含する追加の界面活性剤を含む組成物特異的必要性があるかどうかを認識するであろう。ここでも、使用のために選択される任意の界面活性剤は、化粧用組成物の5重量%、好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の界面活性剤の最大包含レベルを超えない。当業者であれば、それだけに限らないが、界面活性剤の親水性-親油性バランス(HLB)値、化粧用組成物のpH、および化粧用組成物の電解質含有量を含む共通の因子に基づいて必要とされる適切な界面活性剤または界面活性剤の組み合わせの選択にも精通しているだろう。
【0033】
乳化剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択され得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2~100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10~C20脂肪族アルコールまたは酸疎水性物質;2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2~C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ-およびジ-脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ-およびジ-C8~C20脂肪酸;ならびにポリオキシエチレンソルビタン、ならびにこれらの組み合わせを有するものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪酸アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適切な非イオン性乳化剤である。さらに他の好ましい非イオン性界面活性剤には、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコールおよびステアラミドAMPが含まれる。
【0034】
好ましいアニオン性乳化剤には、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホスクシネート、C8~C20アシルイセチオネート、C8~C20アシルメチルイセチオネート、C8~C20アシルメチルタウレート、C8~C20アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレートならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0035】
使用され得るカチオン性乳化剤には、例えば、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ジエステル第四級アンモニウム化合物(例えば、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド)、およびこれらの混合物が含まれる。
【0036】
色安定性は、LabScan XE装置(バージニア州レストン所在のHunter Associates Laboratory,Inc.)を使用して決定される。LabScan XEは、色データを測定する。バイアルまたは測定セルに収容された異なる貯蔵段階の試料をLabScan XE測定ポートに装填する。関連する機器メニューおよびコンピュータソフトウェアで指定された測定手順に従って、色(a*、b*およびL*)を測定および計算すると、色変化データ(ΔE)値が得られる。参考までに、約3のΔEが、元の試料からの色の変化を視覚的に検出することができる閾値である。
【0037】
本化粧用組成物を用いて作製された他の組成物が、組成物自体の良好な安定性および色安定性、ならびに皮膚に施用された場合のアンチエイジングおよびさらには色調の利益を提供することも予想外に発見された。
【0038】
本明細書に開示される化粧用組成物はまた、組成物が皮膚に施用された場合にその分配を促進するために、組成物中の皮膚有益剤のための希釈剤、分散剤または担体として作用する化粧品として許容されるビヒクルを含み得る。この化粧品として許容されるビヒクルは、水性、無水またはエマルジョンであり得る。水および乳化剤の存在下での油性担体は、担体としてエマルジョン系を形成する。好ましくは、組成物は、水性またはエマルジョン、特に油中水型または水中油型エマルジョン、優先的には水中油型エマルジョンである。化粧用組成物は、通常、それだけに限らないが、クリームまたはローションの形態である。
【0039】
使用される適切な担体には、水、海水、ローズウォーター(例えば、ローザ・ダマスケナ(Rosa Damascena)花水)、茶(例えば、カメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)葉水)、アロエ・バーバデンシス(Aloe Barbadensis)(アロエベラ)葉汁、アメリカマンサク(例えば、ハマメリス・ヴァージニアナ(Hamamelis Virginiana)抽出物)、ラベンダー水(例えば、ラベンデュラ・アングスティフォリア(Lavendula Angustifolia)花水)、ぶどう水(例えば、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)果実水およびヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)汁)が含まれる。最も好ましい実施形態では、水が担体である。水の量は、化粧用組成物の重量に基づいて、5~85重量%、より好ましくは15~75重量%、最も好ましくは30~70重量%(その中に包含される全ての範囲を含む)であり得る。化粧品として許容されるビヒクルは、他の化粧品補助剤の非存在下で、組成物の残部を形成することができる。水に加えて、望ましい担体クラスには、それだけに限らないが、シリコーン、多価アルコール、脂肪酸、炭化水素、トリグリセリド、ワックスおよび増粘剤が含まれる。
【0040】
シリコーンは、揮発性および不揮発性の種類に分類することができる。量は、例えば、組成物の0.01~8重量%、より好ましくは0.1~6重量%であり得る。「揮発性」という用語は、本明細書で使用される場合、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する材料を指す。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3~9個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含有する環状(シクロメチコン)または直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0041】
本組成物で有用な不揮発性シリコーンには、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが含まれる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃で5×10-6~0.1m2/秒の粘度を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。乳化および非乳化シリコーンエラストマーも、本明細書に開示される化粧用組成物における使用に適している。
【0042】
一般に多価アルコール型材料の従来の保湿剤が、本明細書に開示される化粧用組成物に含まれていてもよい。典型的な多価アルコールには、グリセロール(すなわち、グリセリン(glycerine)またはグリセリン(glycerin))、プロピレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、およびこれらの混合物が含まれる。最も好ましい実施形態は、グリセリン、プロピレングリコール、またはこれらの混合物を含む。使用される保湿剤の量は、化粧用組成物の0.1~25重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~15重量%であり得る。
【0043】
脂肪酸も有用な担体であり得る。「脂肪」という用語は、10~30個の炭素原子の範囲の炭素鎖長を指す。このカテゴリーの実例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸およびこれらの組み合わせである。使用される場合、0.01~5重量%の脂肪酸が組成物中に存在する。
【0044】
ワックスおよびワックスエステルも化粧用組成物に使用するのに適している。これらのワックスには、動物由来ワックスまたは動物副産物由来のもの(例えば、蜜蝋、鯨蝋、中国蝋、羊毛蝋、シェラックワックス)、植物由来ワックス(例えば、トリベヘニンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ベイベリーワックス、ホホバワックス、オレンジワックス、米ぬかワックス、ヒマワリワックス、ヒマシワックス、大豆ワックス)、ミネラルワックス(例えば、モンタンワックス、セレシンワックス、オゾケライト)および天然ワックスの合成誘導体が含まれる。使用されるワックスおよびワックスエステルの量は、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%であり得る。
【0045】
トリグリセリドは、相溶性油として使用され得る本発明の化粧用組成物の範囲内のハンセン総溶解度パラメータ値を有するトリグリセリド油に加えて担体として有用な別の群の材料である。例示的であるが限定的ではない例は、ヒマワリ種子油、綿油、キャノーラ油、ブドウ種子油、大豆油、ヒマシ油、ルリジサ油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油、およびこれらの混合物である。モノ-およびジ-グリセリドも有用であり得る。これらのカテゴリーの実例は、モノステアリン酸グリセリルおよびジステアリン酸グリセリルである。トリグリセリドの量は、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%であり得る。
【0046】
化粧用組成物は、本明細書で前記の乳化ポリマーに加えて、好ましくは組成物の0.05~3重量%、より好ましくは0.1~2重量%、さらにより好ましくは0.2~1重量%の量の1種または複数の増粘剤を含んでいてもよい。有用な増粘剤には、デンプン、天然/合成ガムおよびセルロース誘導体を含む多糖類が含まれる。望ましいデンプンには、タピオカデンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムおよびヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウムが含まれる。望ましいガムには、キサンタン、スクレロチウム、ペクチン、カラヤ、アラビア、寒天、グアー、カラギーナン、アルギネートおよびこれらの組み合わせが含まれる。望ましいセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。タウレートコポリマーを含む、増粘剤として機能する合成ポリマーも使用に望ましい。
【0047】
芳香剤、皮膚有益剤、固定剤および研磨剤が、本明細書に開示される化粧用組成物に含まれていてもよい。皮膚有益剤には、それだけに限らないが、乳白剤、着色剤、保湿剤、皮膚軟化剤、閉塞剤、植物抽出物、光学剤、均一色調剤、抗炎症剤、抗ニキビ剤、日焼け止め、抗酸化剤、光安定剤、界面活性剤、しわ低減剤、落屑促進剤、剥離剤、これらの混合物などが含まれる。これらの物質のそれぞれが、化粧用組成物の0.05~5重量%、好ましくは0.1~3重量%の量で存在し得る。
【0048】
炭化水素が化粧用組成物に含まれていてもよい。望ましい炭化水素には、鉱油、ワセリンおよびポリアルファオレフィンが含まれ得る。好ましい揮発性炭化水素の例としては、イソデカンおよびイソドデカンなどのポリデカン、ならびにC7~C8からC12~C15イソパラフィンが挙げられる。
【0049】
脂肪酸およびその誘導体などのレチノイドブースターも、本明細書に開示される組成物に使用するために組み込むのに有用な成分であり得る。Grangerらのいくつかの米国特許(米国特許第5,759,556号明細書、同第5,756,109号明細書、同第5,747,051号明細書、同第5,716,627号明細書、同第5,811,110号明細書、同第5,536,740号明細書、同第5,747,051号明細書、同第5,599,548号明細書、同第5,955092号明細書、同第5,885,595号明細書、同第5,759,556号明細書、同第5,693,330号明細書、同第7,959,913号明細書、同第8,226,933号明細書および同第8,409,550号明細書)に記載されているように、「レチノイドブースター」という用語は、皮膚の表皮における天然のレチノール代謝プロセスの一部としてのレチニルエステルおよびレチノールのレチノイン酸への酵素的変換を促進することが決定されている化合物を集合的に指すために使用される。ブースターは、単独で、または他のブースター化合物と組み合わせて、レチノイン酸前駆体の有効性を高めるのに役立つ。「脂肪」という用語は、10~30個の炭素原子の範囲の炭素鎖長を指す。このカテゴリーの実例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸およびこれらの組み合わせである。このような脂肪酸の好ましい誘導体には、セチル、ラウリル、ミリスチル、パルミチン酸、セテアリル、ステアリルおよびオレイルアルコールなどの脂肪族アルコール;ミリスチン酸2-エチル-ヘキシル、ステアリン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソステアリル、トリリノール酸トリイソプロピルおよびクエン酸トリラウリル、パルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチル、エルカ酸オレイルおよびオレイン酸ステアリル、ココ-カプリレート/カプレート(ココ-カプリレートとココ-カプレートのブレンド)、プロピレングリコールミリスチルエーテルアセテート、アジピン酸ジイソプロピルおよびオクタン酸セチルなどの脂肪酸エステル;ならびにコカミドモノエタノールアミド(CMEA)、ヒマシ油モノエタノールアミド、リノレオイルモノエタノールアミド(LAMEA)、パルミタミドモノエタノールアミドおよびリノレアミドジエタノールアミドなどの脂肪酸アミドが含まれる。
このようなブースター化合物の他の例示的であるが非限定的な例としては、カロテノイド、フラボノイド、環状および非環状芳香剤、抗真菌剤(例えば、ビホナゾール、クリンバゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール)、リン脂質類似体、尿素、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、天然着色剤(例えば、クマリン)、キノリン、イソキノリン、メチラポン、ならびにこれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、クリンバゾール、またはこれらの混合物がレチノイドブースターとして使用され得る。特に好ましい実施形態では、12-ヒドロキシステアリン酸、セチルアルコール、セテアリルアルコール、CMEA、LAMEA、クリンバゾール、またはこれらの混合物がレチノイドブースターとして使用される。使用される場合、0.01~5重量%のレチノイドブースター化合物が組成物中に存在する。
【0050】
日焼け止めおよび光安定剤を含んでもよいことは、化粧用組成物の範囲内である。化粧用組成物に使用され得る日焼け止めおよび光安定剤には、オクチルメトキシシンナメート(OMK)、エチルヘキシルサリチレート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、PARSOL MCX(登録商標)として入手可能なエチルヘキシルp-メトキシシンナメート、PARSOL 1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)およびオキシベンゾンとしても知られるベンゾフェノン-3のような材料が含まれる。微粒子二酸化チタン(好ましくは150ナノメートル(nm)未満、最も好ましくは100nm未満の粒径を有する)などの無機日焼け止め活性物質が使用され得、酸化亜鉛が使用され得、ポリエチレンおよび様々な他のポリマーも望ましい日焼け止めである。使用に望ましい他の日焼け止めには、p-アミノ安息香酸(PABA)、オクチルジメチル-PABA、2-エトキシエチルp-メトキシシンナメート、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、サリチル酸ホモメチル、アントラニル酸メンチル、ベンゾフェノン-4、サリチル酸トリエタノールアミン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ビスオクトリアゾール(bisoctriazole)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ビスジスリゾール二ナトリウム、ジオメトリアゾールトリシロキサン、オクチルトリアゾン、イスコトリジノール、ポリシリコーン-15、イソペンテニル-4-メトキシシンナメート、これらの混合物などが含まれる。同様に使用に望ましいのはオクトクリレンである。日焼け止めまたは光安定剤の量は、存在する場合、一般に、化粧用組成物の0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、最適には0.75~10重量%の量で存在し得る。
【0051】
使用に望ましい他のさらなる任意の皮膚有益剤には、ミネラルおよび乳などの皮膚栄養素;マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛および他の金属成分;コウジ酸;ヒドロキノンおよびアルブチン;異性化糖;ウンデシレノイルフェニルアラニン;スフィンゴ脂質、リン脂質(例えば、フィトスフィンゴシン)、セラミド(例えば、セラミド1、セラミド3、セラミド3Bおよびセラミド6)および擬似セラミド(pseudoceramide);アラントイン;亜鉛PCAおよびナトリウムPCAを含むピログルタミン酸(PCA)塩誘導体;ペトロセリン酸;共役リノール酸;オクタデカン酸;ヒアルロン酸およびその塩誘導体;ならびにこれらの混合物などが含まれる。このような皮膚有益剤は、使用される場合、合計で化粧用組成物の0.001~12重量%を構成する。
【0052】
広範囲の植物抽出物が化粧用組成物に含まれていてもよい。抽出物は、水または油に可溶性であり得、それぞれ親水性または疎水性である溶媒に担持され得る。好ましい実施形態では、水またはエタノールが抽出溶媒である。例示的な例としては、緑茶、セイヨウノコギリソウ、カモミール、カンゾウ、アロエベラ、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)、ヤナギ樹皮、アルファルファ、藻類、アメリカマンサク、セージ、タイムおよびローズマリーから抽出されたもの、ならびにシーバックソーン、モリンガ、アルガン、アボカド、カレンデュラ、藻類およびマルラに由来する油などの油が挙げられる。大豆抽出物を使用してもよく、特にレチノールを含むことが望ましい場合に使用してもよい。このような抽出物は、使用される場合、好ましくは化粧用組成物の0.001~12重量%の総量で使用される。
【0053】
使用に望ましい別の任意の添加剤には、2.5~25重量%のカンナビゲロールおよび/または0.5~10重量%のカンナビジオールを含むヘンプオイルが含まれる。使用される場合、このようなオイルは、化粧用組成物の0.0001~12重量%、好ましくは0.01~5重量%を構成する。
【0054】
1種または複数の着色剤も本明細書に開示される化粧用組成物に含まれていてもよい。着色剤には、天然または合成起源の染料または顔料が含まれる。使用のために選択される染料は、有機または無機および水溶性または油溶性であり得る。水溶性染料の例示的かつ非限定的な例としては、例えば、D&C Yellow 8、D&C Yellow 10、D&C Orange 4、D&C Red 6、D&C Red 22、D&C Red 28、D&C Red 33、D&C Green 5またはメチレンブルーが挙げられる。油溶性染料には、例えば、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、D&C Violet 2、D&C Yellow 11、D&C Orange 5およびキノリンイエローが含まれる。使用に望ましい顔料は、当技術分野で公知の鉱物顔料、有機顔料、レーキ、およびこれらの混合物から特に選択される。例示的であるが非限定的な例としては、二酸化チタン、オーカー(イエローオーカー、レッドオーカー、ブラウンオーカー、水酸化鉄)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム)、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物およびフェリックブルー(ferric blue)、または金属粉末(アルミニウム、青銅または銅粉末)などの鉱物顔料;ニトロソ、ニトロ、アゾ、フタロシアニン、ジアジン、キサンテン、ピレン、キノリン、アントラキノン、トリフェニルメタン、フルオラン、キナクリドン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタンおよびキノフタロン化合物などの有機顔料;ならびにD&C Red No.6バリウムレーキ、D&C Red No.7カルシウムレーキ、D&C Red No.27アルミニウムレーキ、D&C Red No.28アルミニウムレーキ、D&C Red No.33アルミニウムレーキ、FD&C Red No.40アルミニウムレーキ、FD&C Yellow No.5アルミニウムレーキ、FD&C Yellow No.6アルミニウムレーキ、D&C Yellow No.10アルミニウムレーキ、D&C Orange No.5アルミニウムレーキおよびF&D Blue No.1アルミニウムレーキなどのレーキ(特にカルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩およびストロンチウム塩から誘導されるもの)が挙げられる。金属酸化物、オキシ塩化ビスマスまたは天然顔料で被覆された天然雲母などの真珠層も、本明細書に開示される化粧用組成物に含まれることが望ましい。使用に望ましい他の着色剤には、チョーク、活性炭およびカーボンブラックが含まれる。化粧用組成物は、使用される場合、化粧用組成物の重量に対して0.01~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは0.5~10重量%の着色剤を含む。
【0055】
所望であれば保存剤を本化粧用組成物に組み込んで、潜在的に有害な微生物の増殖から保護することができる。化粧品化学者は、適切な保存剤に精通しており、保存剤試験および製品安定性試験を満たすためにそれらを日常的に選択している。保存剤系は、組成物の使用および保存剤と配合物中の他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。本明細書に開示される化粧用組成物のための保存剤の例示的な例としては、限定されないが、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、1,2-オクタンジオール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロパンジオール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒドロキシアセトフェノン、DMDMヒダントイン誘導体、クリンバゾール、プロピオン酸塩、および様々な第四級アンモニウム化合物が挙げられる。保存剤は、好ましくは組成物の0.01~2重量%の量で使用される。
【0056】
本化粧用組成物を作製する場合、所望の成分は従来の方法を介して混合される。適用可能であれば、油相および水相を、標準的なミキサーおよび混合ブレードを使用して別々に混合し、大気圧下で通常22~85℃の温度に加熱する。所望の温度に達したら、油相を水相に添加してエマルジョンを作成する。その後、化粧用組成物中の他の成分を順不同で添加および混合する。
【0057】
本明細書に開示される化粧用組成物は、リーブオンおよびウォッシュオフ製品を含む、ヒト皮膚への局所施用に適した組成物である。好ましくは、この用語は、流動性液体、特にメイクアップ製品ではなくモイスチャライザーを包含する。リーブオン組成物が最も好ましい。本明細書の組成物に関して使用される「リーブオン」という用語は、皮膚に施用されるかまたは皮膚に擦りつけられ、皮膚上に残る組成物を意味する。
【0058】
多くの種類の包装を使用して、本化粧用組成物を保管および送達することができる。包装の選択は、パーソナルケア最終用途および組成物自体の粘度に依存する。一例として、皮膚用のリーブオンローションおよびクリームは、典型的には、適切なクロージャーによって覆われたディスペンス端部の開口部を有するプラスチック容器を使用する。従来のクロージャーには、フリップトップ型ヒンジ付き蓋、スクリューキャップおよび非エアロゾルポンプが含まれる。別の例として、制汗剤、消臭剤および脱毛剤に使用される適切な包装には、組成物が流体であり、粘度がより低い場合、ディスペンス端部にローラーボールアプリケーターを有する容器が含まれる。組成物がスティック形式である場合、スティックが分配オリフィスに向かってプラットフォーム上に固定される推進-反発機構を有する容器が適切である。組成物がエアロゾル形式である場合、噴射剤によって加圧され、スプレーノズルを有する金属缶が適切である。一般に、パッチ、ボトル、チューブ、ローラーボールアプリケーター、スクイーズ容器または蓋付きジャーが好ましい。
【0059】
別の態様では、本発明の組成物が、皮膚にアンチエイジングおよび/または均一な色調の利益を提供する方法であって、(a)第2の態様によるアルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物、およびレチノイン酸前駆体を含む色安定性化粧用組成物を作製するステップと、(b)処置を必要とする皮膚に化粧用組成物を施用するステップとを含む方法に関する。
【0060】
ここで、化粧用組成物は、本化粧用組成物のより大きな理解を容易にするために、具体的で非限定的な例の文脈で以下に記載される。当業者であれば、与えられた例とは異なる本発明の組成物の変形が、本組成物の教示から逸脱することなく実施され得ることを認識するであろう。
【0061】
[実施例]
全ての試料は、言及した成分を中程度の剪断、22℃~85℃、および大気圧の条件下で混合することによって作製した。全てのδtデータは、CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,Second Edition(Allan F.M Bartonによる)から収集した。
【0062】
【0063】
本化粧用組成物による上記成分を組み合わせることによって、エマルジョン化粧用組成物を作製した。選択された抗酸化剤、油およびポリマー/増粘剤の包含レベルおよび具体的な素性を変化させて、組成物の色安定性に対する各因子の影響を観察することができる。
【0064】
【0065】
実施例2は、抗酸化剤および乳化ポリマーを含む相溶性油担体中にアルキルレゾルシノール(例えば、4-ヘキシルレゾルシノール)、官能化複素芳香族化合物(例えば、ナイアシンアミド)およびレチノイン酸前駆体(例えば、プロピオン酸レチニル)を含む組成物が、45℃条件に4週間供した後、このような組成物中の界面活性剤の選択にかかわらず、望ましいΔE値をもたらすことを実証した。試料1は、本開示の化粧用組成物を例示するリード組成物であり、2.9の優れたΔE値を例証している。試料1は、他の試料を比較および分析する陽性対照として後の実施例で参照される。要約すると、実施例2のデータは、化粧用組成物中に見られる界面活性剤の素性が、組成物が改善された色安定性を有するかどうかに大きく寄与しないことを示した。
【0066】
【0067】
実施例3で評価される全ての試料は、0.2重量%の抗酸化剤および15重量%の相溶性油を0.4重量%の4-ヘキシルレゾルシノール、3重量%のナイアシンアミドおよび0.33重量%のプロピオン酸レチニルと組み合わせて含んでいた。ポリマーは、セラム様粘度を達成するのに十分な量で全ての試料に含まれていたので、ある特定のポリマー(例えば、ACULYN(商標)33)をより高い濃度で使用して、所望の粘度を構築し、高負荷の油性成分を構造化した。試料1および5~11は、乳化ポリマーの種類を変化させたにもかかわらず、望ましいΔE値をもたらし、このようなポリマーは予想外にも、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーまたはカルボマーの化学名のものであることが分かった。試料1、1aおよび1bは、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、特にPEMULEN(商標)EZ-4Uの包含レベルを変えることによって配合され、全て45℃条件で4週間で優れた色安定性を実証した(すなわち、3未満のΔE値を示した)。しかしながら、試料12~19は、本化粧用組成物の範囲外の乳化ポリマーを含み、試料15、18および19については分離が観察されたことを考慮すると、ΔE値を少しでも測定することができる場合でも、望ましいΔE値をもたらさなかった。
【0068】
【0069】
実験を行って化粧用組成物中の抗酸化剤の素性および包含レベルを変化させることの影響を評価し、結果を実施例4に示す。実施例4に示される全ての試料は、一定の種類および濃度の相溶性油を0.4重量%の4-ヘキシルレゾルシノール、3重量%のナイアシンアミドおよび0.33重量%のプロピオン酸レチニルと組み合わせて含んでいた。抗酸化剤を欠く試料20では、ΔE値は10.3で測定され、許容可能なΔE限界6を超えていた。試料21では、陽性対照試料1と比較して、各抗酸化剤(すなわち、ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメートおよびジドデシル3,3’チオジプロピオネート)の包含レベルは半分に低下したが、許容可能なΔE値6が依然として観察された。試料22および23では、抗酸化剤の様々な組み合わせにもかかわらず、組成物の望ましい色安定性が得られた。
【0070】
【0071】
実施例5に示される試料は、抗酸化剤、乳化ポリマー、アルキルレゾルシノール、官能化複素芳香族化合物およびレチノイン酸前駆体の種類および包含レベルを一定に保持しながら、本化粧用組成物による使用に適した相溶性油担体の種類および包含レベルを変化させる影響を評価した。
【0072】
試料24の相溶性油の総量は組成物の10重量%であったが、試料25の相溶性油の総量は組成物の20重量%であった。試料24と試料25の両方が、所望の範囲内のΔE値をもたらした。したがって、実施例5は、組成物全体の10~20重量%の相溶性油の使用が、望ましいΔE値、したがって、色安定性をもたらすことを示した。試料26~28は、15%の一貫したレベルで油の種類を変化させ、パルミチン酸イソプロピルを含む試料26のみが許容される範囲内のΔE値をもたらし、ジメチコンおよびイソヘキサデカンをそれぞれ含む試料27および試料28は、許容される範囲外のΔE値をもたらした。試料29の相溶性油の総量は組成物の5重量%であったが、試料30の相溶性油の総量は組成物の7.5重量%であった。試料29と試料30の両方は開示される化粧用組成物の範囲外で作製されたので、得られたΔE値は所望の上限6を超えた。
【国際調査報告】