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特表2024-524237流体送達デバイスの挿入機構内に隔壁を保持及びシールするための器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】流体送達デバイスの挿入機構内に隔壁を保持及びシールするための器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240628BHJP
   A61M 39/04 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M39/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579073
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022033747
(87)【国際公開番号】W WO2022271522
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,480
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/838,938
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローラ メヒア-スアレス
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー セギット
(72)【発明者】
【氏名】ニティーシュ クナパラジュ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF04
4C066LL13
(57)【要約】
改良された楔が、パッチポンプのカテーテル挿入機構で使用するためなど、流体送達デバイスの流体経路内の隔壁および楔サブアセンブリに提供される。楔は、針が通過してカテーテルの挿入を容易にし、その後、後退するときに隔壁を所定の位置に保持するための追加の挿入機構コンポーネントの必要性をなくすために、隔壁をその中に保持するための軸方向の力を提供する保持縁部を有する。保持縁部は、隔壁の表面上に少なくとも部分的に延在するように巻かれ、またはフランジが付与され得る。楔は、また、流体送達デバイスの充填圧力に耐えるのに十分な針と隔壁との境界面のシールを達成するため、隔壁に半径方向の圧縮を与えるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達デバイスの流体経路内に隔壁を受容するための楔であって、
その中に流体経路を画定するカップ部分およびステム部分であって、針が前記流体経路を摺動可能に通過できるカップ部分およびステム部分と、
前記カップ部分は、円周側壁部、前記カップ部分の中に前記隔壁を受容するような寸法にされた近位開口部、および前記ステム部分によって画定される前記流体経路への遠位開口部を有し、前記側壁部は、前記隔壁に半径方向の圧縮を与えるために前記隔壁の外径よりも小さい内径を有し、摺動できる前記針を通す前記隔壁内の開口部と、
を備え、
前記カップ部分は、前記側壁部の近位開口部に沿った保持縁部を有し、前記保持縁部は、前記近位開口部を介してアクセス可能であり、前記カップ部分内に前記隔壁を保持するために前記ステム部分に平行な軸に沿って軸方向の力を提供する、前記隔壁の近位表面の少なくとも一部に渡って延在するように構成されている、楔。
【請求項2】
前記保持縁部は、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して、前記保持縁部を内側に丸めることによって形成される丸められた保持縁部を備え、前記丸められた保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在する、請求項1に記載の楔。
【請求項3】
少なくとも前記カップ部分が、金属であり、前記保持縁部が、前記丸められた保持縁部を形成するために、前記カップ部分に対して内側に圧印加工される、請求項2に記載の楔。
【請求項4】
前記保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在するフランジ付き保持縁部を形成するように、前記カップ部分の前記円周側壁部の一部から延在し、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して内側に折り畳まれる、少なくとも1つのフィンガーを備える、請求項1に記載の楔。
【請求項5】
前記保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在する部分を備えるフランジ付き保持縁部を形成するように、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して内側に折り畳まれる、複数のフィンガーを備える、請求項1に記載の楔。
【請求項6】
前記ステム部分が、前記カップ部分の前記内径よりも小さい内径を有する、請求項1に記載の楔。
【請求項7】
前記楔は、前記流体経路を画定するために、前記カップ部分と前記ステム部分とを結合するフレア部分を備え、前記フレア部分は、遠位方向に減少し、前記カップ部分の前記側壁部の前記内径より小さいものから前記ステム部分の前記内径より大きいものまで変化する、変化する内径を有する、請求項6に記載の楔。
【請求項8】
前記ステム部分は、前記針を摺動可能に受容するような寸法にされた前記ステム部分に固定されたカテーテルを有する、請求項1に記載の楔。
【請求項9】
前記楔は、前記流体送達デバイスによって送達される流体と生体適合性のある可鍛性の金属から選択される単一の材料片である、請求項1に記載の楔。
【請求項10】
前記金属は、ステンレス鋼である、請求項9に記載の楔。
【請求項11】
前記カップ部分と前記隔壁の前記相対的な寸法は、前記流体送達デバイスの指定された充填圧力に耐えることが可能である半径方向の圧縮に対する針と隔壁との境界面のシールを提供するように選択される、請求項1に記載の楔。
【請求項12】
前記指定された充填圧力は、20~55ポンド/平方インチである、請求項11に記載の楔。
【請求項13】
前記丸められた保持縁部は、外径2.8ミリメートル(mm)および内径2.4mmの寸法を有する環状リング形状を備え、前記カップ部分は、折り曲げ前1.4mmと折り曲げ後1.0mmとの間の高さを有するような寸法にされる、請求項2に記載の楔。
【請求項14】
前記カップ部分の中に前記隔壁を有する前記カップ部分が、指定された高さを達成するために軸方向に圧縮されること、および指定された内径を達成するために半径方向に圧縮されることから選択される2方向のうちの少なくとも1つで圧縮される、請求項1に記載の楔。
【請求項15】
前記カップ部分は、1.6±0.04ミリメートル(mm)の軸圧縮の前の高さを有し、軸方向の後の前記カップ部分の前記高さが、1.4±0.05mmである、請求項14に記載の楔。
【請求項16】
前記隔壁の前記外径は、3ミリメートル(mm)であり、前記カップ部分は、半径圧縮の前の前記隔壁の前記外径よりも小さい内径を有し、前記カップ部分の前記内径が、前記半径圧縮の後、2.1~2.5mmから選択される直径まで減少される、請求項14に記載の楔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、一般に、医療輸液システムなどの流体送達デバイスに関し、より詳細には、医療輸液システムにおけるカニューレ挿入機構の改良された隔壁および楔サブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液ポンプ療法では、通常、輸液針または柔軟なカテーテルの形をした輸液カニューレが必要であり、このカニューレは、患者の皮膚を貫通し、そこを通じて液体(例えば、インスリンなどの薬剤)の注入が行われる。注入療法を容易にするために、一般に、2種類の液体ポンプ、つまり従来のポンプおよびパッチポンプがある。
【0003】
従来のポンプは、流体(例えば、インスリン)をポンプ内のリザーバーから使用者の皮膚に運ぶ、一般に、注入セット、チューブセット、またはポンプセットと呼ばれる使い捨て構成要素の使用を必要とする。注入セットは、ポンプコネクタ、ある長さのチューブ、および中空の金属製の注入針または柔軟なプラスチックカテーテルの形をしたカニューレが延在するハブまたはベースで構成される。ベースには、通常、使用中にベースを皮膚表面に保持する接着剤が含まれる。カニューレは、手動で、または手動自動挿入デバイスもしくは自動挿入デバイスを使用して、皮膚に挿入することが可能である。挿入デバイスは、ユーザーが必要とする別個のユニットであってもよい。
【0004】
別のタイプの流体ポンプはパッチポンプである。従来の輸液ポンプと輸液セットの組み合わせとは異なり、パッチポンプは、液体リザーバー、ポンプ機構、針またはカニューレ、および針またはカニューレを自動的に挿入するための挿入機構を含む、流体コンポーネントのほとんど、または全てを組み合わせた統合デバイスである。単一のハウジング内で患者の皮膚の注入部位に接着され、別個の注入セットまたはチューブセットを使用する必要がない。例えば、インスリンを含むパッチポンプは、皮膚に貼り付けられ、一体化された皮下カニューレを介して、一定期間に渡ってインスリンを送達する。一部のパッチポンプは、別個のコントローラーデバイス(Insulet Corporationによって、ブランド名OmiPod(登録商標)で販売されているデバイスなど)と無線で通信し得るが、その他のパッチポンプは、完全に内蔵型である。このようなデバイスは、インスリンリザーバーが使い果たされるか、またはカニューレもしくは注入部位の制限などの合併症が発生し得るときに、3日毎のように、頻繁に交換される。
【0005】
パッチポンプは、患者が装着する内蔵ユニットとして設計されているため、ユーザーの活動を妨げないように、出来るだけ小さいことが望ましい。したがって、ユーザーの不快感を最小限に抑えるためには、パッチポンプの全体の厚さを最小限に抑えることが好ましいであろう。しかしながら、パッチポンプの厚みを最小限に抑えるためには、構成部品を可能な限り減らすべきである。そのような部品の1つは、ユーザーの皮膚にカニューレを自動的に挿入するための挿入機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5135489号明細書
【特許文献2】米国特許第9795777号明細書
【特許文献3】米国意匠特許第D806241号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
挿入機構の高さを最小限に抑えるために、従来のいくつかの挿入機構は、皮膚の表面から鋭角で、例えば、30~45度で、カニューレを挿入するように構成されている。しかしながら、カニューレの挿入の長さが最小限で済むため、カニューレを皮膚の表面に対して垂直または垂直に近い方向に挿入することが好ましい場合がある。換言すれば、ユーザーの皮膚に挿入されるカニューレの長さを最小限に抑えることで、ユーザーは、より快適な使用感を得ることが可能となり、カニューレが早期によじれるなどの合併症が少なくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の例示的な実施形態の有利な態様によれば、改良された隔壁および楔サブアセンブリは、限られたスペース環境で使用する挿入機構(パッチポンプなど)に提供され、カニューレの高さを最小限に抑えながら、ユーザーの皮膚の表面に垂直、または略垂直にカニューレを挿入することが可能であり、それゆえ、挿入機構がパッチポンプなどに組み込まれているデバイスの全体の高さとなる。改良された隔壁および楔サブアセンブリは、使用する部品が少なくなり、挿入機構に必要な組み立てプロセスのステップが少なくなるという点で、ポンプの製造コストも削減することが可能である。
【0009】
例示的実施形態の有利な態様によれば、流体送達デバイスの流体経路内に隔壁を受容するための楔は、針が摺動可能に通過できる流体経路を画定するカップ部分とステム部分とを備える。カップ部分は、円周側壁と、その中に隔壁を受容するような寸法にされた近位開口部と、ステム部分によって画定される流体経路への遠位開口部とを有する。側壁は、隔壁に半径方向の圧縮を与えるために隔壁の外径よりも小さい内径を有し、針が滑動できる隔壁の開口部を有する。カップ部分は、摺動壁の近位開口部に沿った保持縁部を有する。保持縁部は、近位開口部を介してアクセス可能な隔壁の近位面の少なくとも一部にわたって延在し、ステム部分に平行な軸に沿って軸方向の力を提供して、カップ部分内に隔壁を保持するように構成される。
【0010】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、保持縁部は、カップ部分およびその中に受容される隔壁に対して保持縁部を内側に転がすことによって形成される丸められた保持縁部を備え、丸められた保持縁部は、隔壁の近位表面上に選択された距離だけ延在し、軸方向の力を提供する。
【0011】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、カップ部分は金属であり、保持縁部は、丸められた保持縁部を形成するために、カップ部分に対して内側に圧印加工される。
【0012】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、保持縁部は、カップ部分の周方向側壁の一部から延在し、軸方向の力を提供するために隔壁の近位表面上に選択された距離だけ延びるフランジ付き保持縁部を形成するために、カップ部分およびその中に受容される隔壁に対して内側に折り畳まれる、少なくとも1つのフィンガーを備える。
【0013】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、保持縁部は、軸方向の力を提供するために隔壁の近位表面上に選択された距離だけ延在する部分を含むフランジ付き保持縁部を形成するために、カップ部分およびその中に受容される隔壁に対して内側に折り畳まれる、複数のフィンガーを備える。
【0014】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、ステム部分は、カップ部分の内径よりも小さい内径を有する。例えば、楔は、流体経路を画定するために、カップ部分とステム部分を結合するフレア部分を備え、当該フレア部分は、遠位に減少する変化をする内径を有し、カップ部分の側壁の内径より小さいものからステム部分の内径より大きいものまで変化する。
【0015】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、ステム部分は、針を摺動可能に受容するような寸法にされ、そこに固定されたカテーテルを有する。
【0016】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、楔は、流体送達デバイスによって送達される流体と生体適合性のある可鍛性の金属から選択される単一の材料片である。例えば、金属は、ステンレス鋼である。
【0017】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、カップ部分と隔壁の相対的な寸法は、流体送達デバイスの指定された充填圧力に耐えることができる半径方向の圧縮に対する針と隔壁の界面シールを提供するように選択される。例えば、設計された充填圧力は、20~55ポンド/平方インチである。
【0018】
例示的な実施形態の有利な態様によれば、丸められた保持縁部は、外径2.8ミリメートル(mm)および内径2.4mmの寸法を有する環状リング形状を備え、カップ部分は、折り曲げ前1.4mから折り曲げ後1.0mmの間の高さを有する寸法にされる。
【0019】
本発明の追加および/または他の態様および利点は、以下の説明に記載されるか、またはその説明から明らかになるか、または本発明の実施によって学習され得る。本発明は、上記の態様のうちの1つ以上、および/または特徴のうちの1つ以上およびそれらの組み合わせを有する方法、装置、またはシステムを含んでもよい。本発明は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されているような、1つ以上の特徴および/または上記の態様の組み合わせを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の例示的な実施形態の様々な目的、利点、および新規な特徴は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0021】
図1】例示的な流体送達デバイスおよびオプションの無線コントローラーの斜視図である。
図2図1の例示的な流体送達デバイスの斜視図である。
図3図1の例示的な流体送達デバイスの斜視図である。
図4図1の例示的な流体送達デバイスの斜視図である。
図5図1の例示的な流体送達デバイスとともに使用することが可能である例示的な挿入機構の側断面図である。
図6図1の例示的な流体送達デバイスとともに使用することが可能である例示的な挿入機構の側断面図である。
図7図1の例示的な流体送達デバイスとともに使用することが可能である例示的な挿入機構の側断面図である。
図8】例示的な挿入機構とともに使用することが可能である例示的な隔壁および楔サブアセンブリの、それぞれ上面斜視図および側面図である。
図9】例示的な挿入機構とともに使用することが可能である例示的な隔壁および楔サブアセンブリの、それぞれ上面斜視図および側面図である。
図10】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリによって改良された別の例示的な挿入機構の、それぞれ部分斜視図および分解図である。
図11】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリによって改良された別の例示的な挿入機構の、それぞれ部分斜視図および分解図である。
図12】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの側面図である。
図13】例示的な実施形態に従って構築された楔の側面図である。
図14A】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリ内に展開することが可能である例示的な隔壁の上面斜視図および底面斜視図である。
図14B】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリ内に展開することが可能である例示的な隔壁の上面斜視図および底面斜視図である。
図15】針が挿入された、例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの斜視図である。
図16A】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの側面斜視図である。
図16B】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの側面斜視図である。
図17A】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの側面斜視図である。
図17B】例示的な実施形態に従って構築された隔壁および楔サブアセンブリの側面斜視図である。
【0022】
図面全体を通じて、同様の参照番号は同様の部品、構成要素、および構造を指すことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者には理解されるように、本明細書に開示される実施形態による挿入機構の楔および隔壁サブアセンブリの例、改良、および配置を実施する多くの方法が存在する。図面および以下の説明に示される例示的な実施形態を参照するが、本明細書に開示される実施形態は、開示される技術的解決策に包含される様々な代替設計および実施形態を網羅するものではなく、当業者は、開示された技術的解決策の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行い得、様々な組み合わせを行うことが可能であることを容易に理解するであろう。本明細書における例示的な実施形態の開示の目的上、「カニューレ」と「カテーテル」という用語は互換的に使用される。
【0024】
本開示の例示的な実施形態は、カテーテルおよび流体経路内の他の構成要素を介して流体リザーバーからユーザーまでの流体経路を確立するために、カテーテルをユーザーの皮膚の表面に垂直または垂直に近い方向に挿入するように操作される挿入機構内に配置することが可能である、それぞれの隔壁および楔サブアセンブリである。本開示の例示的な実施形態は、図1に示されるように、着用可能なパッチポンプ10のような例示的な流体送達デバイスを参照して説明される。パッチポンプ10は、流体送達デバイス制御アプリを備えた携帯電話および/または専用の無線コントローラーなどのリモートコントローラー12によって任意に制御することが可能である。
【0025】
図2、3、および4は、上部ハウジング100およびベース102を有する例示的なパッチポンプ10を示している。上部ハウジング100は、上面を貫通する開口部104を有しており、そこからユーザー作動式挿入機構200のユーザーアクセス可能なボタン206が摺動可能に延在する。図5、6、および7に関連して、以下に説明するように、ユーザーは、挿入機構200を押し下げて、カテーテル202を挿入機構200内に展開して、ベース102の底面の開口部を越えて延在させることが可能である。図2および図3は、使用前の挿入機構200を示しており、挿入機構は、開口部104を越えて上部ハウジング100の上面を通って延在する。図4は、カテーテルの展開後の挿入機構200を示しており、カテーテルは、ベース102の底面の開口部からポンプ10を装着している患者の皮膚内に延在する。
【0026】
流体送達デバイス10のリザーバーから出口(例えば、カテーテル202)までの連続的な流体経路を確立する目的で設けられる挿入機構は、様々な圧力下で流体経路の完全性を維持する方法を必要とする。これらのうち最も重要なのは、使用前にユーザーがデバイス10のリザーバーを充填するときのような充填圧力である。流体経路の一部として中空針208を使用するほとんどの挿入機構(例えば、挿入機構200)は、隔壁214も使用する。隔壁214は、図5図9に関連して、以下に図示および説明するように、挿入および後退中に、針が隔壁214を通って滑動するときでも、流体経路を継続的にシールする。針と隔壁の境界面は、デバイス10の充填中に加圧されるため、最小圧力要件を有する。このシールを維持できないと、デバイス10が充填されるときに流体(例えば、薬剤)がデバイス10内に漏洩することになる。本明細書に記載されるように、本開示の隔壁/楔サブアセンブリ(例えば、図16A図16Bおよび図17A図17Bに示される隔壁/楔サブアセンブリ)は、このシールを維持し、一方、図5~7に関連して、以下に説明するリリースカラー218および楔キャップ216、または図8~9に関連して、以下に説明するリップ222を備えた熱かしめリリースカラー218’などの楔212内に隔壁214を保持するための追加の部品の必要性もなくなる。
【0027】
図5、6、および7は、それぞれ、図5に示される使用前の初期構成からの針208およびカテーテル202(図6)の展開を示す、例示的な挿入機構200の断面図であり、図7に示すように、カテーテル202を展開したまま(例えば、患者の皮膚に挿入したまま)、針208を後退させる。本明細書に記載される隔壁/楔サブアセンブリの例示的な実施形態は、例示の目的で、本明細書に記載される図5図9および図10図12に示されるもの以外の挿入機構とともに使用されることが可能であることが理解されるべきである。本明細書に記載されるように、本開示の隔壁/楔サブアセンブリの例示的な実施形態は、それらが、隔壁および楔が使用される挿入機構に追加の部品(例えば、図5図9に示すような)を必要とせずに、楔内に隔壁を保持し、それによって、追加の部品および製造ステップに関連するコストを削減するため、利点がある。さらに、本開示の隔壁/楔サブアセンブリ(例えば、図16A図16Bおよび図17A図17Bに示される隔壁/楔サブアセンブリ)は、それらが、隔壁/楔サブアセンブリの高さを低減し、それによって、隔壁/楔サブアセンブリが使用される挿入機構の高さを低減するため、利点がある。
【0028】
図5に示されるように、例示的な挿入機構200は、カテーテル202を金属製の楔212に取り付け、次に、楔に隔壁214を挿入し、それをリリースカラー218と楔キャップ216の間に捕捉することによって組み立てられる。隔壁214は、楔212によって半径方向に圧縮され、リリースカラー218によって軸方向に圧縮されて、隔壁214と楔212との間にシールを形成する。カテーテル202は、FEPを用いて製造された24Gのプラスチックカテーテルであり、リリースカラー218および楔キャップ216は、PTEGを用いて製造されることが可能であるが、これらの構成要素の材料は、これに限定されない。楔212は、304ステンレス鋼を使用して製造することが可能であり、隔壁214は、イソプレンを使用して製造することが可能であるが、実施形態は、これに限定されない。
【0029】
図6および7を参照すると、針208は、例えば、カテーテル202または針208の非患者側端にチューブを接着または圧入することによって組み立てられた導入針ハブ210に接続され、次に、導入針ハブ210を通して針208を配置し、導入針ハブ210に設けられた溝、スロット、または戻り止めのいずれかを使用して所定の位置にスナップする。導入針208は、304ステンレス鋼を使用して製造された中空の24Gの針またはカニューレとすることが可能であり、導入針ハブ210は、PETGを使用して製造されることが可能であるが、実施形態は、これに限定されない。流体送達デバイス10を装着したユーザーが、挿入機構200のボタン206を押すと、図6に示すように、導入針ハブ210に接続された戻りばね220は、針208とカテーテル202の両方が、挿入機構のハウジング204の底面から、したがって、ポンプ10のベース102の底面から伸びるにつれて圧縮される。挿入機構200は、その後、図7に示すように、戻しばね220のリリースを介して針208を後退させ、カテーテル202を伸長したままにするように構成されている。
【0030】
図8および図9は、楔212内に隔壁214を保持するための構成要素(例えば、リリースカラー218’)の異なる構成を有する挿入機構200’の別の例を示しており、リリースカラー218’は、隔壁214および楔212を保持するために変形される。隔壁214は、円筒形である。リリースカラー218’は、製造中に熱かしめされて、リリースカラー218’の内面224を変形させて、リリースカラー218’内に隔壁214および楔212を保持するリップ222を形成する。熱かしめは、例えば、上記の特許文献1にさらに詳細に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本明細書に記載される本開示の隔壁/楔サブアセンブリ(例えば、図16A図16Bおよび図17A図17Bに示される隔壁/楔サブアセンブリ)は、隔壁214を楔212内に保持するために、リリースカラー218および楔キャップ216、またはリップ222を備えた熱かしめリリースカラー218’などの追加の部品の必要性がなくなる。例示の目的で、隔壁/楔サブアセンブリの例示的な実施形態は、挿入機構300が、隔壁314を楔312内に保持する専用の隔壁314および楔312以外の追加の構成要素を有さない、図10、11、および12に示される別の例示的な挿入機構300に関連して説明される。
【0032】
図10は、挿入機構300の斜視図である。図11は、挿入機構300の構成要素を示す分解図である。図12は、針308を後退させる前に、クリップ328が係合して針308をカテーテル302内に保持するときの、針ハブ310およびカテーテルハブ326に関連した隔壁314および楔312の部分図である。図11に示される挿入機構300の構成要素は、ハウジング304、戻りばね320、カテーテルハブ326、カニューレ302、係合およびリリースクリップ328、隔壁314および楔312、針ハブ310、およびボタン306である。図示のように、針ハブ310は、ハウジング304を取り囲み、ボタン306が針ハブ310に対して摺動できるようにする開口部を含む。係合およびリリースクリップ328は、針ハブ310がカテーテルハブ326から分離するのを防止する。ボタン306が十分に押し込まれると、係合およびリリースクリップ328は、ハウジング304の遠位部分に到達し、他のハウジング構成要素によって、係合およびリリースクリップ328が、図12に示される係合位置から弛緩位置に戻ることが可能になり、それにより、針ハブ310をカテーテルハブ326からリリースして、針314をカテーテル302から後退させる。図12から分かるように、図示されたハウジング構成要素はいずれも、隔壁314を楔312内に保持するために使用されていない。その代わりに、以下に説明するように、楔312は、流体経路に沿った他の構成要素から独立して隔壁314を保持するように構成される。
【0033】
図13は、例示的な実施形態に従って構築され、隔壁314を受容する前に示される例示的な楔312の斜視図である。図14Aおよび14Bは、例示的な隔壁314の上面図および底面図であり、上記の同一出願人の特許文献2および3に示され、説明されており、その内容全体が本明細書に組み込まれる。異なる隔壁を使用することが可能であることを理解されたい。図12および13を参照すると、楔312は、ステム部分352の内径より大きい内径を有するカップ部分350と、それらの間に配置された任意のフレア部分354とを、例えば、304ステンレス鋼から形成された単一または一体の構成要素で備える。代わりに、楔312は、カップ部分350に隣接するステム部分352を有し、その間にフレア部分354が存在しないように構成することも可能である。カップ部分350は、隔壁14を受容するための近位開口部356を画定する周壁351を有する。隔壁314は、シリコーンゴムまたはポリイソプレンなど、低い圧縮永久歪みおよび送達される流体(例えば、インスリン)との生体適合性を有するエラストマー材料から形成することが可能である。隔壁314は、針308を後退させる前に、カテーテルの端を患者の皮膚に導入するための堅さと十分な構造的完全性を提供するために、この中に針308が導入され、隔壁314を通って案内され、楔312を通ってカテーテル302内に延在する、開口部またはスリット330を設けることが可能である。フレア部分354は、カテーテル302をカップ部分350からステム部分352へ誘導し、楔312の遠位開口部358から出すのに有用であり得る。カップ部分350は、隔壁314を半径方向の圧縮下に置き、針が隔壁314を通して挿入され、隔壁314内に摺動可能に係合される際、それによって、針308と隔壁314との間にシールを提供するために、隔壁14の全体の直径および外周に比べてより小さい内径および外周を有する隔壁314に比べて小さい寸法である。
【0034】
図16Aおよび16Bを参照すると、楔312のカップ部分350の近位端上の保持縁部360は、丸められた保持縁部362を作成するために、カップ部分350に押し込まれた隔壁314の上で内側に丸めるように、流体経路の組み立て中に形成される。例えば、保持縁部360は、隔壁314の近位面の選択された部分に渡って延在する、丸められた保持縁部362を作成するために、選択された量だけ圧印加工され、ステム部分352に平行な軸に沿って軸方向の力を提供し、隔壁314が楔の近位開口部356を介してカップ部分350から滑り出るのを防止することが可能である。丸められた保持縁部362の形成は、カップ部分350に設けられた隔壁314の近位表面の一部の上に延在するために、保持縁部360を所望の形状に変形させる、圧印加工、鍛造、または他のプロセスを介して達成することが可能である。例えば、楔312の丸められた縁部は、2.82ミリメートル(mm)(0.111インチ(インチ))の外径と2.36mm(0.093インチ)の内径を有する環状リング形状で形成することが可能であり、平均で1平方インチあたり55psiの流体圧力を防ぐのに十分あり、針308の存在を含んでいる。この丸められた縁部の量は、0.254mm(0.01インチ)の高さの差(すなわち、折り曲げ前の高さと折り曲げ後の高さ)に相関する。楔312の丸められた縁部は、軸方向の圧縮を加えることなく、隔壁314の上に位置するように設計されているが、隔壁314を圧縮するような高さに折り曲げることも可能である。
【0035】
図16Aおよび16Bの例示的な実施形態に従って構築された楔312は、2つの部分、すなわち楔312および隔壁314内に完全に含まれるシール機構が達成されるため、利点がある。流体経路の受動的シールは、金属製の楔312のカップ部分350内に設置されたゴム製の隔壁14に針308を挿入することによって達成される。丸められた保持縁部362と、隔壁314と比較して比較的小さい寸法のカップ部分350によって達成される隔壁314の保持は、上述の規定の充填圧力に耐えることが可能であるシールの形成に成功する。
【0036】
図17Aおよび17Bに示される別の例示的な実施形態によれば、楔312の保持縁部360は、その周囲に1つまたは複数のフィンガー366を備えて形成されることが可能である。流体経路の組み立て中に、フィンガーは、カップ部分350に押し込まれた隔壁314の近位表面の少なくとも一部に沿って延在するように折り重ねられ、隔壁314が楔の近位開口部356を介してカップ部分350から滑り出るのを防ぎ、ステム部分352に平行な軸に沿って軸方向の力を提供するフランジ付き保持縁部364を作成することが可能である。図示のように、保持縁部362には等間隔の4つのフィンガー366が設けられている。しかしながら、フィンガー366の幅および長さは変更することが可能である。楔312の保持縁部360の円周に沿って設けられるフィンガー366の数、およびフィンガーの間隔も、また変更することが可能である。フランジ付き保持縁部364は、所望の軸方向圧力を提供すると同時に、針が、隔壁314の近位表面および楔312の遠位開口部358を通過できるように形成される。フランジ付き保持縁部364を作成するために、フィンガー366を隔壁の上で下向きに折り畳むことは、図16Bに示される実施形態における丸められた保持縁部362の折り曲げをシミュレートし、これにより、楔312のカップ部分350の折り畳み後、または折り曲げ後の高さが達成され、図9に示され、後述する、高さ「B」に対して、楔312の全体の高さが低減される。図17Aおよび17Bに示される楔のカップ部分350の側壁は、半径方向の圧縮を提供するために、その内径を小さくするように、折り曲げられることも、また可能であり、それにより、楔312および隔壁314の組み立てによって耐えることが可能である圧力を増大させることも可能である。
【0037】
図17Aおよび17Bの例示的な実施形態に従って構築されたフランジ付き保持縁部364を備えた楔312は、隔壁314および楔312の配置が展開される挿入機構200または他の流体経路のサイズ、コストおよび複雑さを軽減しながら、所望のシールを維持するなど、丸められた保持縁部362に関連して、上述した同じ理由のため、利点がある。例えば、例示的な実施形態に従って説明される楔312と隔壁314の境界面は、追加のリリースカラー218、218’または熱かしめのような挿入機構内の追加の構成要素を必要とせずに、最大55psiの圧力に耐えることが可能である。さらに、楔312が針308の案内と隔壁314の保持という二重の機能を実行するように構成されているため、挿入機構300の高さは、低くすることが可能である。例えば、図9の距離「B」を図15の距離「A」と比較せよ(例えば、リリースカラー218および楔212の高さは6.13mm(0.241インチ)であり、一方、丸められた保持縁部362を備えた楔312の高さは3.47mm(0.137インチ)である)。従来の隔壁214を楔212に圧入して、隔壁とベース102および楔の両方との間に摩擦力を与えることが可能であるが、摩擦力は、針208と隔壁214のシールを維持するのに十分ではなく、追加のコストや接着剤の塗布の複雑さを伴うことなく、またはプラスチック材料をベース102から隔壁214の上部にかしめることなく、またはカラー218および/または熱かしめ、もしくはこれらの方法の組み合わせなどの追加の機械的保持コンポーネントを提供することなく、針208を隔壁214に対して、挿入および後退させることができない。
【0038】
図16Aおよび図16Bならびに図17Aおよび図17Bに関連して説明した例示的な楔312に関して、楔は、金属などの、送達される流体(例えば、インスリン)と生体適合性のある展性の高い材料から形成され、例えば、選択されたグレードのステンレス鋼であることが可能である。
【0039】
図16Aおよび16Bならびに図17Aおよび17Bに示されるカップ部分350は、選択された高さの隔壁を収容するために選択された深さを有することが可能であり、カテーテル302の所望の長さによって影響を受ける可能性があり、カテーテルの配置後に挿入機構が部分的に取り外し可能なデバイスではないと仮定すると、カテーテルの配置後にデバイス10のハウジング内の挿入機構の高さを最小限に抑える必要がある。カップ部分350および隔壁314は、円形であることが可能である。隔壁314のスリットまたは他の開口部330は、隔壁314の円周に対して中心に位置する。ターゲットとなるカテーテルの深さは、6.5mm(0.256インチ)で、典型的な皮下の厚さに相当する。挿入は皮膚表面に対して垂直であるため、露出したカテーテルのターゲットは、6.5mm(0.256インチ)で、指定された範囲は、4.5mm~8.0mm(0.177インチ~0.315インチ)内となる。針308は、十分な流れ領域の提供と挿入中の患者の痛みの最小化との間のバランスを達成するために、外径0.36mm(0.014インチ)または同様の寸法を有する28gとすることが可能である。漏れ圧力は、例示的な実施形態による楔312の実装にとって重要な考慮事項である。漏れ障害には2つの異なるタイプがあるが、それらは強く関連しており、すなわち、楔壁351および関連する隔壁314が飛び出すところでの漏れ、および針308での漏れである。針308の周囲のシールは、楔壁351によってもたらされる半径方向の圧縮によって決定され、次々に、隔壁314の高さを含む様々な要因によって影響を受ける。
【0040】
楔のカップ部分350の実際の高さは、折り曲げ前1.397mm(0.055インチ)と折り曲げ後1.016mm(0.04インチ)(またはフィンガー366が使用される場合には、折り畳み前と折り畳み後)の間で変化することが可能である。折り曲げ前0.80mm(0.0315インチ)および折り曲げ後1.016mm(0.04インチ)の隔壁高さを使用することも可能である。しかしながら、隔壁が薄い程、平均して耐えられる圧力は低くなる。上述のような折り曲げ、ならびに元の高さ0.80mm(0.0315インチ)、元の外径2.921mm(0.115インチ)および折り曲げ後の楔のカップ350の高さ1.016mm(0.04インチ)の薄い隔壁を使用すると、楔312と隔壁314の組み立て部が耐える圧力は、平均で55psiである。折り曲げ前の楔312の有利なカップ部分350の高さは、1.65mm(0.065インチ)+/-0.04mm(0.0016インチ)である。有利な折り曲げ後のカップ部分350の高さは、1.44mm(0.057インチ)であり、公差は0.05mm(0.002インチ)である。カップ部分350の折り曲げ後の内径は、漏れ圧力性能と強い相関がある。例えば、折り曲げ後のカップ部分350の高さ1.2~1.55mm(0.047インチ~0.061インチ)およびカップ部分350の折り曲げ後の内径2.1~2.5mm(0.083インチ~0.098インチ)だと、55~200psiの漏れ性能を提供することが可能である。最終的な折り曲げ後のカップ部分350の高さおよび折り曲げ後のカップ部分350の内径は、背圧性能と逆相関する。つまり、楔312が下方および内側により多く折り曲げられる程、楔312および隔壁314の組み立て部が保持できる圧力が大きくなる。患者または医療専門家を含むがこれらに限定されない様々な人物が本開示の例示的な実施形態を操作または使用することが可能であるが、簡潔にするために、操作者またはユーザーを本明細書では「ユーザー」と呼ぶ。
【0041】
本開示の例示的な実施形態では様々な流体を使用することが可能であるが、簡潔にするために、本明細書では流体送達デバイス内の液体を「流体」と呼ぶ。
【0042】
当業者であれば、本開示の適用が、上記の説明または図面に示された構成の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されるであろう。本明細書の実施形態は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践または実施することができる。また、本明細書で使用される表現および用語は説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではないことも理解されるであろう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。別段の制限がない限り、本明細書における用語「接続された」、「結合された」、および「取り付けられた」およびそれらの変形は広く使用され、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、用語「接続された」および「結合された」およびそれらの変形は、物理的または機械的な接続または結合に限定されない。さらに、上、下、最下部、最上部などの用語は、相対的なものであり、説明を助けるために使用されているが、限定するものではない。
【0043】
図示の実施形態に従って使用される例示的なデバイス、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的に、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはそれらの組み合わせで実装することが可能である。これらのコンポーネントは、例えば、プログラム可能なプロセッサー、コンピューター、または複数のコンピューターなどのデータ処理装置によって実行される、またはデータ処理装置の動作を制御するために、情報担体または機械可読記憶デバイスに具体的に組み込まれたコンピュータープログラム、プログラムコード、またはコンピューター命令のようなコンピュータープログラム製品として実装することが可能である。
【0044】
上記の説明および図は、単なる例として意図されており、特許請求の範囲に記載されている場合を除き、いかなる形でも例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。当業者は、上で説明した様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を他の多くの方法で容易に組み合わせることが可能であり、そのすべてが特許請求の範囲内にあるとみなされることに特に留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達デバイスのための隔壁およびアセンブリであって、
隔壁と、
楔と、を備え、
前記楔は、
体経路を画定するカップ部分およびステム部分を備え
前記カップ部分は、円周側壁部、前記カップ部分の中に前記隔壁を受容するような寸法にされた近位開口部、および前記ステム部分によって画定される前記流体経路への遠位開口部を有し、前記円周側壁部は、前記隔壁に半径方向の圧縮を与えるために前記隔壁の外径よりも小さい内径を有し
記カップ部分は、前記円周側壁部の近位開口部に沿った保持縁部を有し、前記保持縁部は、前記近位開口部を介してアクセス可能であり、前記カップ部分内に前記隔壁を保持するために前記ステム部分に平行な軸に沿って軸方向の力を提供する、前記隔壁の近位表面の少なくとも一部に渡って延在するように構成されている、隔壁およびアセンブリ
【請求項2】
前記保持縁部は、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して、前記保持縁部を内側に丸めることによって形成される丸められた保持縁部を備え、前記丸められた保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在する、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項3】
少なくとも前記カップ部分が、金属であり、前記保持縁部が、前記丸められた保持縁部を形成するために、前記カップ部分に対して内側に圧印加工される、請求項2に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項4】
前記保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在するフランジ付き保持縁部を形成するように、前記カップ部分の前記円周側壁部の一部から延在し、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して内側に折り畳まれる、少なくとも1つのフィンガーを備える、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項5】
前記保持縁部は、前記軸方向の力を提供するために、前記隔壁の前記近位表面上に選択された距離だけ延在する部分を備えるフランジ付き保持縁部を形成するように、前記カップ部分および前記カップ部分の中に受容される前記隔壁に対して内側に折り畳まれる、複数のフィンガーを備える、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項6】
前記ステム部分が、前記カップ部分の前記内径よりも小さい内径を有する、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項7】
前記楔は、前記流体経路を画定するために、前記カップ部分と前記ステム部分とを結合するフレア部分を備え、前記フレア部分は、遠位方向に減少し、前記カップ部分の前記円周側壁部の前記内径より小さいものから前記ステム部分の前記内径より大きいものまで変化する、変化する内径を有する、請求項6に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項8】
さらに、針を備え、前記ステム部分は、前記針を摺動可能に受容するような寸法にされた前記ステム部分に固定されたカテーテルを有する、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項9】
前記楔は、前記流体送達デバイスによって送達される流体と生体適合性のある可鍛性の金属から選択される単一の材料片である、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項10】
前記金属は、ステンレス鋼である、請求項9に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項11】
前記カップ部分と前記隔壁の前記相対的な寸法は、前記流体送達デバイスの指定された充填圧力に耐えることが可能である半径方向の圧縮に対する前記針と前記隔壁との境界面のシールを提供するように選択される、請求項に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項12】
前記指定された充填圧力は、20~55ポンド/平方インチである、請求項11に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項13】
前記丸められた保持縁部は、外径2.8ミリメートル(mm)および内径2.4mmの寸法を有する環状リング形状を備え、前記カップ部分は、折り曲げ前1.4mmと折り曲げ後1.0mmとの間の高さを有するような寸法にされる、請求項2に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項14】
前記カップ部分の中に前記隔壁を有する前記カップ部分が、指定された高さを達成するために軸方向に圧縮されること、および指定された内径を達成するために半径方向に圧縮されることから選択される2方向のうちの少なくとも1つで圧縮される、請求項1に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項15】
前記カップ部分は、1.6±0.04ミリメートル(mm)の軸圧縮の前の高さを有し、前記圧縮の後の前記カップ部分の前記高さが、1.4±0.05mmである、請求項14に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項16】
前記隔壁の前記外径は、3ミリメートル(mm)であり、前記カップ部分は、半径圧縮の前の前記隔壁の前記外径よりも小さい内径を有し、前記カップ部分の前記内径が、前記半径圧縮の後、2.1~2.5mmから選択される直径まで減少される、請求項14に記載の隔壁およびアセンブリ
【請求項17】
前記針が、前記針と、前記隔壁および楔アセンブリと、を位置合わせするために、前記隔壁を突き刺す、請求項8に記載の隔壁および楔アセンブリ。
【請求項18】
前記隔壁が、エラストマー材料から製造される、請求項1に記載の隔壁および楔アセンブリ。
【請求項19】
前記楔が、304ステンレス鋼から製造される、請求項1に記載の隔壁および楔アセンブリ。
【請求項20】
さらに、カテーテルハブを備える、請求項1に記載の隔壁および楔アセンブリ。
【国際調査報告】