(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】事前にエネルギーが与えられた解放およびラッチ部材を介した自動後退を備える皮下挿入機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20240628BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M5/142 522
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579075
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022034665
(87)【国際公開番号】W WO2022271910
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ジョン セギット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066FF04
4C066JJ06
4C066KK05
4C066LL16
(57)【要約】
信頼性が高まりコンポーネントが減少した挿入機構が提供される。挿入機構は、挿入機構のハウジング内に圧縮された単一の係合および解放クリップを使用して、針ハブおよびカテーテルハブを係合させる。係合および解放クリップが機構ハウジング内の発射窓に到達するまで、カテーテルハブおよび針ハブを遠位方向に移動させるボタンが提供される。係合および解放クリップは、解放窓内で拡張して針ハブをカテーテルハブから解放し、復帰ばねが、カテーテルを挿入されたままとする一方で、挿入針を近位に移動させることを可能にし、また、カテーテルハブを展開位置に保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの遠位部分に少なくとも1つの解放窓を備える、ハウジングと、
可撓性発射アームと、
前記ハウジング内で初期近位位置から挿入された遠位位置までスライド可能なボタンと、
カテーテルに固定されたカテーテルハブと、
挿入針に固定された針ハブであって、前記挿入針は初期構成で前記カテーテルに挿入されている、針ハブと、
緩和状態で前記ハウジングの内側よりも大きく、前記ハウジングの前記内側内で圧縮され、前記圧縮状態で前記カテーテルハブを前記針ハブに係合させる、係合および解放クリップと、
前記針ハブを前記近位方向に付勢し、前記ボタンが遠位に移動するときに圧縮される、復帰ばねと、
を備える挿入機構であって、
前記発射アームは、前記ボタンに所定の力が加えられるまで、遠位方向への前記ボタンの移動を妨げて、前記発射アームに前記ボタンを屈曲させおよび解放させ、
前記係合および解放クリップは、前記ボタンが遠位に押され、前記係合および解放クリップが前記解放窓と整列したときに、その緩和構成に向かって拡張し、
前記復帰ばねは、前記係合および解放クリップが拡張し、それによって前記針ハブを前記カテーテルハブから解放したときに、前記針ハブを最終近位位置に移動させる、挿入機構。
【請求項2】
前記針ハブは、前記ボタンおよび前記ハウジングを実質的に囲む、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項3】
前記針ハブは、それを通って前記ボタンが移動し得る少なくとも1つの開口部を備える、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ハウジングの反対側に2つの発射アームを備える、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項5】
前記針ハブは、それを通って前記ボタンが移動し得る2つの開口部を備える、請求項3に記載の挿入機構。
【請求項6】
前記係合および解放クリップは、接続部材によって接合される2つのアームを備える、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項7】
前記接続部材は、前記挿入針および前記カテーテルを受け入れる開口部を備える、請求項6に記載の挿入機構。
【請求項8】
前記カテーテルに接続される隔壁およびくさびをさらに備え、前記挿入針は、前記隔壁を貫通する、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項9】
前記ボタンは、半透明のボタン面を備え、前記挿入機構が順調に展開されたときに、それを通して前記針ハブが見える、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項10】
前記係合および解放クリップが、前記緩和状態にあり前記解放窓と整列したときに、前記係合および解放クリップは、前記カテーテルハブが近位方向に移動するのを防止する、請求項1に記載の挿入機構。
【請求項11】
ハウジングの遠位部分に少なくとも1つの解放窓を備えるハウジングを提供する工程と、
前記ハウジング内で初期近位位置から挿入された遠位位置までスライド可能なボタンを提供する工程と、
カテーテルハブをカテーテルに固定する工程と、
針ハブを挿入針に固定する工程であって、前記挿入針は初期構成で前記カテーテルに挿入されている工程と、
係合および解放クリップを前記ハウジングの内側に圧縮状態で挿入する工程と、
前記圧縮状態の前記係合および解放クリップで、前記カテーテルハブを前記針ハブに係合させる工程と、
前記針ハブを近位方向に付勢するための復帰ばねを提供する工程であって、前記復帰ばねは、前記ボタンが遠位に移動するときに圧縮される、工程と、
前記ボタンに所定の力が加えられるまで、遠位方向への前記ボタンの移動を妨げて、発射アームに前記ボタンを屈曲させおよび解放させる、発射アームを提供する工程と、
前記ボタンが遠位に押され前記係合および解放クリップが前記解放窓と整列したときに、前記係合および解放クリップが、その緩和構成に向かって拡張することを可能にする工程と、
前記係合および解放クリップが拡張し、それによって前記針ハブを前記カテーテルハブから解放したときに、前記復帰ばねで前記針ハブを最終近位位置に移動させる工程と、
を含む、カテーテルを挿入する方法。
【請求項12】
前記ハウジングおよび前記ボタンを前記針ハブで実質的に囲む工程をさらに含む、請求項11に記載のカテーテルを挿入する方法。
【請求項13】
それを通って前記ボタンが移動し得る少なくとも1つの開口部を形成する工程をさらに含む、請求項11に記載のカテーテルを挿入する方法。
【請求項14】
前記ハウジングの反対側に2つの発射アームを形成する工程をさらに含む、請求項11に記載のカテーテルを挿入する方法。
【請求項15】
それを通って前記ボタンが移動し得る2つの開口部を前記針ハブ内に形成する工程をさらに含む、請求項11に記載のカテーテルを挿入する方法。
【請求項16】
前記係合および解放クリップを、接続部材によって結合される2つのアームで形成する工程をさらに含む、請求項11に記載のカテーテルを挿入する方法。
【請求項17】
カテーテルに接続される薬剤リザーバを備えるデバイスハウジングと、
ハウジングの遠位部分に少なくとも1つの解放窓を備えるボタンハウジングと、
可撓性発射アームと、
前記ハウジング内で初期近位位置から挿入された遠位位置までスライド可能なボタンと、
前記カテーテルに固定されるカテーテルハブと、
挿入針に固定される針ハブであって、前記挿入針は初期構成で前記カテーテルに挿入されている、針ハブと、
緩和状態で前記ハウジングの内側よりも大きく、前記ハウジングの前記内側内で圧縮され、前記圧縮状態で前記カテーテルハブを前記針ハブに係合させる、係合および解放クリップと、
前記針ハブを近位方向に付勢し、前記ボタンが遠位に移動するときに圧縮される、
復帰ばねと、
を備える薬剤注入デバイスであって、
前記発射アームは、前記ボタンに所定の力が加えられるまで、遠位方向への前記ボタンの移動を妨げ、前記発射アームに前記ボタンを屈曲させおよび解放させ、
前記ボタンが遠位に押され、前記係合および解放クリップが前記解放窓と整列したときに、前記係合および解放クリップは、その緩和構成に向かって拡張し、
前記復帰ばねは、前記係合および解放クリップが拡張し、それによって前記針ハブを前記カテーテルハブから解放したときに、前記針ハブを最終近位位置に移動させる、薬剤注入デバイス。
【請求項18】
前記針ハブは、前記ボタンおよび前記ハウジングを実質的に囲む、請求項17に記載の薬剤注入デバイス。
【請求項19】
前記針ハブは、それを通って前記ボタンが移動し得る少なくとも1つの開口部を備える、請求項17に記載の薬剤注入デバイス。
【請求項20】
前記ハウジングは、前記ハウジングの反対側に2つの発射アームを備える、請求項17に記載の薬剤注入デバイス。
【請求項21】
前記針ハブは、それを通って前記ボタンが移動し得る2つの開口部を備える、請求項19に記載の薬剤注入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,545号の優先権を主張し、その明細書、図面および要約を含み、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、インスリン注入デバイスまたは挿入デバイスのような医療用注入システムに関し、ここで、自動導入針後退を伴うカニューレを皮下に挿入するために、単純で低プロファイルで低部品数(low-part count)の手動挿入デバイスが提供される。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、糖尿病患者が、必要とされるときに適正レベルのインスリン産生を維持できない結果として生じる高レベルの血糖によって特徴付けられる疾病群である。糖尿病患者は、自身のグルコースレベルの制御を維持するために、何らかの形の毎日のインスリン療法を必要とする。糖尿病は、治療されない場合、罹患した患者にとって危険なものとなり得、深刻な合併症(complications)や早死ににつながる可能性がある。しかしながら、そのような合併症は、糖尿病の制御と合併症のリスクの軽減に役立つ1つまたは複数の治療選択肢を用いることで最小限に抑えることができる。
【0004】
糖尿病患者の治療選択肢は、特別な食事療法、経口薬、および/またはインスリン療法を含む。糖尿病治療の主な目的は、糖尿病患者の血糖値または糖値を制御することである。しかしながら、適切な糖尿病管理を維持することは、糖尿病患者の活動とバランスを取らなければならないため困難な場合がある。
【0005】
1型糖尿病の治療には、毎日のインスリン療法の2つの主な方法がある。第1の方法では、糖尿病患者は、必要に応じてシリンジまたはインスリンペンを用いてインスリンを自己注射する。この方法は、それぞれの注射で針刺しを必要とし、糖尿病患者は、1日に3~4回の注射を必要とする場合がある。インスリンを注射するために使用されるシリンジおよびインスリンペンは、使用するのが比較的簡単であり、費用対効果が高い。
【0006】
インスリン療法および糖尿病の管理のための別の効果的な方法は、インスリンポンプが使用される注入療法または注入ポンプ療法である。インスリンポンプは、必要とされるインスリンを生成する非糖尿病の人の適切に作動している膵臓の機能と挙動により近づけるために、様々な速度で糖尿病患者にインスリンの連続した注入を提供することができ、インスリンポンプは、糖尿病患者が、糖尿病患者の個々のニ-ズに基づき、彼/彼女の血糖値を目標範囲内に維持するのを助けることができる。
【0007】
注入ポンプ療法は、糖尿病患者の皮膚を貫通し、それによってインスリンの注入が行われる、典型的には注入針または可撓性カテーテルの形態の注入カニューレを必要とする。注入ポンプ療法には、インスリンの連続した注入、正確な投薬、およびプログラム可能な送達スケジュールといった利点がある。
【0008】
注入療法において、インスリン投与は、典型的には、基礎速度(basal rate)で、およびボーラス投与(bolus dose)で投与される。インスリンが基礎速度で投与される場合、インスリンは、食事と休息との間、典型的には夜間に、糖尿病患者の血糖値を一貫した範囲に維持するために、24時間にわたって連続的に送達される。インスリンポンプはまた、インスリンの基礎速度をプログラミングして、昼と夜の異なる時間に応じて変化させることができ得る。対照的に、ボーラス用量は、典型的には、糖尿病患者が食事を摂取するときに投与され、一般に、摂取した炭水化物のバランスを取るために単一の追加のインスリン注射を提供する。インスリンポンプは、糖尿病患者が、糖尿病患者によって摂取される食事のサイズまたは種類に応じて、ボーラス用量の体積をプログラムすることを可能にするように構成され得る。加えて、インスリンポンプはまた、糖尿病患者が、摂取される特定の食事のためのボーラス用量を計算しているときに、低い血糖値を補償するために、糖尿病患者が補正または補助ボーラス用量のインスリンを注入することを可能にするように構成され得る。
【0009】
インスリンポンプは、有利には、単回注射ではなくて経時的にインスリンを送達し、典型的には、推奨される血糖範囲内の変動が少ない。加えて、インスリンポンプは、糖尿病患者が耐えなければならない針刺しの回数を減らし、糖尿病管理を改善して、糖尿病患者の生活の質を向上させ得る。
【0010】
典型的には、糖尿病患者が多回直接注射(multiple direct injections)(MDI)またはポンプを使用するかどうかにかかわらず、糖尿病患者は、睡眠から目覚めたときに空腹時血糖薬物治療(fasting blood glucose medication)(FBGM)を行い、また、毎食時または毎食後に血中グルコースに関する試験を行って、補正用量(correction dose)が必要かどうかを決定する。加えて、糖尿病患者は、睡眠前に血中グルコースに関する試験を行って、例えば、軽食を食べた後、睡眠前に、補正用量が必要とされるかどうかを決定し得る。
【0011】
注入療法を容易にするために、一般に、2種類のインスリンポンプ、すなわち、従来のポンプおよびパッチポンプがある。従来のポンプは、典型的には注入セット、チューブセットまたはポンプセットと呼ばれる使い捨てコンポーネントを使用する必要があり、これは、インスリンをポンプ内のリザーバから使用者の皮膚内に運ぶ。注入セットは、ポンプコネクタと、ある長さのチューブと、中空金属注入針または可撓性プラスチックカテーテルの形態のカニューレがそこから延びるハブまたはベースと、からなる。ベースは、典型的には、使用する間、皮膚表面上にベースを保持する接着剤を有する。カニューレは、手動で、または手動または自動の挿入デバイスを用いて皮膚に挿入され得る。挿入デバイスは、使用者によって必要とされる別個のユニットであり得る。
【0012】
別のタイプのインスリンポンプは、パッチポンプである。従来の注入ポンプと注入セットの組み合わせとは異なり、パッチポンプは、流体リザーバ、ポンプ機構、およびカニューレを自動的に挿入するための機構を含む流体コンポーネントの大部分または全てを、患者の皮膚上の注入部位に接着的に取り付けられ、別個の注入またはチューブセットの使用を必要としない単一のハウジングに組み合わせる統合されたデバイスである。インスリンを含むパッチポンプは、皮膚に付着し、統合された皮下カニューレを介して一定時間にわたってインスリンを送達する。一部のパッチポンプは、(インスレット社(Insulet Corporation)によってOmniPod(登録商標)というブランド名で販売されている1つのデバイスにおけるように)別個のコントローラー装置と無線で通信してもよく、一方、他のパッチポンプは、完全に自己完結している。そのようなデバイスは、インスリンリザーバが排出されたとき、またはカニューレまたは注入部位の制限のような合併症が発生しかねない可能性があるときに、3日ごとのように、頻繁に交換される。
【0013】
パッチポンプは、糖尿病患者によって装着される自己完結型ユニット(self-contained unit)であるように設計されるため、使用者の活動を妨げないようにできるだけ小さくされることが好ましい。したがって、使用者への不快感を最小限に抑えるために、パッチポンプの全体的な厚さを最小限に抑えることが好ましい。しかしながら、パッチポンプの厚さを最小限に抑えるためには、その構成部品はできるだけ低減される必要がある。そのような部品の1つは、カニューレを使用者の皮膚に自動的に挿入するための挿入機構である。
【0014】
挿入機構の高さを最小限に抑えるために、いくつかの従来の挿入機構は、皮膚の表面から鋭角、例えば30~45度でカニューレを挿入するように構成される。しかしながら、皮膚の表面から垂直にまたはほとんど垂直にカニューレを挿入することが好ましい場合があり、これは、カニューレ挿入の最小長さを必要とするためである。言い換えれば、最小長のカニューレが使用者の皮膚に挿入されると、使用者は、カニューレの早期のよじれのような、より大きな快適さおよびより少ない合併症を経験し得る。しかし、皮膚の表面に垂直にカニューレを挿入するように挿入機構を構成することの1つの問題は、これが挿入機構の全体的な高さを増加させ、したがってパッチポンプ自体の高さを増加させ得ることである。
【0015】
したがって、パッチポンプのような、挿入機構が組み込まれているデバイスの全体的な高さを低減するために、その高さを最小化または低減しながら、カニューレを使用者の皮膚の表面に垂直にまたはほぼ垂直にコスト効率よく挿入できる、パッチポンプ内のような限られた空間環境で使用するための改善された挿入機構が必要である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、実質的に上記および他の懸念に対処し、挿入デバイスの構造および使用に必要とされるコンポーネントの数を減らしながら、留置(in-dwelling)または軟カテーテルの挿入および導入針の後退を容易にする、挿入デバイスの高度な、改善された、新規のコンポーネントおよび要素を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、例示的な実施形態の部品数が減少するように、部品製造コストを低く維持し、デバイスアセンブリを単純化するのに役立つ、少なくとも自動導入針後退を備えた手動挿入デバイスを提供することである。自動後退はまた、アクティベーションのための使用者工程の数を最小限に抑えることによって、ユーザインターフェースを単純化する。使用者には1つの工程しかなく、それは、ボタンを押すことである。
【0018】
これらおよび他の目的は、ハウジングの遠位部分に少なくとも1つの解放窓を備えるハウジングと、可撓性発射アームと、ハウジング内で初期近位位置から挿入された遠位位置までスライド可能なボタンと、カテーテルに固定されたカテーテルハブと、挿入針に固定された針ハブであって、挿入針は初期構成でカテーテルに挿入されている針ハブと、緩和状態でハウジングの内側よりも大きく、ハウジングの内側で圧縮され、圧縮状態でカテーテルハブを針ハブに係合させる、係合および解放クリップと、針ハブを近位方向に付勢し、ボタンが遠位に移動するときに圧縮される復帰ばねと、を備える挿入デバイスを提供することによって実質的に達成される。発射アームは、ボタンに所定の力が加えられるまで、遠位方向へのボタンの移動を妨げて、発射アームにボタンを屈曲させおよび解放させる。係合および解放クリップは、ボタンが遠位に押され、解放および係合クリップが解放窓と整列したときに、その緩和構成に向かって拡張し、復帰ばねは、係合および解放クリップが拡張し、それによってハブをカテーテルハブから解放たしときに、ハブを最終近位位置に移動させる。
【0019】
本発明の追加的および/または他の態様および利点は、次に続く説明に記載されるか、または、説明から明らかになるか、または、本発明の実施によって知られ得る。本発明は、上記の態様のうちの1つまたは複数、および/または特徴のうちの1つまたは複数、およびそれらの組み合わせを有する方法または装置またはシステムを含み得る。本発明は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つまたは複数の特徴および/または組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の例示的な実施形態の様々な目的、利点、および新規の特徴は、添付の図面と併せて読まれたときに、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【
図1】本発明の実施形態による、作動前状態(pre-activation state)にある例示的な挿入デバイスの等角図である。
【
図2】本発明の実施形態による、作動前状態にある
図1の挿入デバイスの別の等角図である。
【
図3】本発明の実施形態による、作動後状態(post-activation state)にある
図1の挿入デバイスの図である。
【
図4】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの分解図である。
【
図5】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスのカテーテル/隔壁サブアセンブリの断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスのプラスチックチューブを備え上部から組み立てられた導入針サブアセンブリの図である。
【
図7】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの、プラスチックチューブを備えずに側面から組み立てられた別の導入針サブアセンブリの図である。
【
図8】本発明の実施形態による、
図5のカテーテル/隔壁サブアセンブリおよび
図6の導入針サブアセンブリを含む、
図1の挿入デバイスのボタンサブアセンブリのアセンブリの図である。
【
図9】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの完成したボタンサブアセンブリの図である。
【
図10】
図1の挿入デバイスのハウジング内へのボタンサブアセンブリおよびばねのアセンブリの図であり、本発明の実施形態によるカテーテル上の一時的な保護チューブの使用を示す図である。
【
図11】
図1の挿入デバイスのハウジング内へのボタンサブアセンブリおよびばねの部分的に完全なアセンブリの図であり、本発明の実施形態によるカテーテル上の一時的な保護チューブの使用を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態による、例示の目的のためにベースが省略されている、
図1の挿入デバイスの完成したアセンブリの図である。
【
図13】本発明の実施形態による、作動前状態にある
図1の挿入デバイスの断面図である。
【
図14】本発明の実施形態による、作動前状態にある
図1の挿入デバイスの別の断面図である。
【
図15】本発明の実施形態による、中間作動状態(intermediate activation state)にある
図1の挿入デバイスの断面図である。
【
図16】本発明の実施形態による螺旋経路(helical pathway)内の半径方向操作ピン(radial operation pin)の位置を示す、中間作動状態にある
図1の挿入デバイスの透視図である。
【
図17】本発明の実施形態による、
図16の半径方向動作ピンの螺旋経路表面の嵌合部(mating portion)を示す、
図1の挿入デバイスの上部ハウジングの底面図である。
【
図18】本発明の実施形態による、
図16の半径方向動作ピンの螺旋経路表面の嵌合部を示す、
図1挿入デバイスの機構ハウジングの図である。
【
図19】本発明の実施形態による、半径方向操作ピンの位置を示す、中間作動状態にある
図1の挿入デバイスの透視図である。
【
図20】本発明の実施形態による、完全挿入時の半径方向操作ピンの位置を示す、作動状態(activation state)における
図1の挿入デバイスの透視図である。
【
図21】本発明の実施形態による、完全後退時の半径方向操作ピンの位置を示す、作動後状態における
図1の挿入デバイスの透明図である。
【
図22】本発明の実施形態による、作動後状態にある上部ハウジングのロックアーム(lock arm)を示す、
図1の挿入デバイスの断面図である。
【
図23】本発明の実施形態による、作動後状態にある
図1の挿入デバイスの断面図である。
【
図24】本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの別の分解図である。
【
図25】本発明の実施形態による、上部ハウジングまたはベースとは別個のサブアセンブリとして作成された挿入機構の別の実施形態の図である。
【
図26】本発明の実施形態による、ベース内のサブアセンブリとして作成された挿入機構の別の実施形態の図である。
【
図27】本発明の実施形態による、作動前状態にあるロックアームの別の実施形態の断面図である。
【
図28】デバイスを示す、本発明の実施形態による、挿入中の中間作動状態にある
図27のロックアームの断面図である。
【
図29】デバイスを示す、本発明の実施形態による、作動後状態にある
図27のロックアームの断面図である。
【
図30】明確にするためにカバーなしで示される、低プロファイルのカニューレ挿入デバイスを組み込んだパッチポンプの斜視図である。
【
図31】カバーと共に示される、
図30のパッチポンプの様々なコンポーネントの分解図である。
【
図32】カバーなしで示される、可撓性リザーバを有するパッチポンプの代替設計の斜視図である。
【
図33】
図32のパッチポンプのパッチポンプ流体アーキテクチャおよび計量サブシステム図である。
【
図34】カニューレ挿入デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【
図36A】実施形態による、二重(dual)発射アームを示すカニューレ挿入デバイスの斜視図である。
【
図36B】実施形態による、二重発射アームを示すカニューレ挿入デバイスの断面図である。
【
図37】実施形態によるカニューレ挿入デバイスを操作するために必要とされる使用者の力を示す力チャートである。
【
図38】実施形態による係合および解放クリップの斜視断面図である。
【
図39A】ボタンが押される前の係合および解放クリップの断面図である。
【
図39B】ボタンが押された後の係合および解放クリップの断面図である。
【
図40A】緩和状態の係合および解放クリップを示す図である。
【
図40B】設置状態の係合および解放クリップを示す図である。
【
図41A】係合および解放クリップの代替的な実施形態を示す図である。
【
図41B】
図41Aの係合および解放クリップの緩和構成および設置構成を示す側面図である。
【
図41C】例示的な係合および解放クリップのための代替的なクリップアーム構成を示す。
【
図41D】例示的な係合および解放クリップのための代替的なクリップアーム構成を示す。
【
図42】係合状態にある係合および解放クリップの側面断面図である。
【
図43】挿入デバイスハウジングおよびハブとのクリップの接触点を強調する係合および解放クリップの側面図である。
【
図44】解放状態にあるハウジングの解放窓に対する係合および解放クリップを示す図である。
【
図46】挿入後の挿入デバイスの例示的な実施形態による透視ボタン窓の斜視図である。
【0021】
図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の部品、コンポーネント、および構造を指すと理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に説明する本発明の例示的な実施形態は、最大8mmのカテーテルを皮膚表面に挿入するように構成された1つまたは複数の注入デバイス要素を提供する新しい手段を提供するが、実施形態はそれに限定されない。挿入デバイスは、カテーテルの手動挿入を実行するように構成され、これは、挿入デバイスが、自動またはばね支援型(spring-assisted)挿入デバイスよりも小さく、より簡単で、より安価になることを可能にする。
【0023】
以下に説明する本発明の例示的な実施形態は、手動挿入デバイスを利用し、非常に小さいデバイスサイズを可能にもする自動導入針後退のための二重後退ばね構成を含む。二重後退ばね構成は、複数の円筒形またはバレル形ガイドを使用して実装される。例示的な実施形態では、1つのバレルは、ボタンおよびカテーテルを誘導し、隣接するバレルは、ボタンおよびカテーテルの各側に1つの後退ばねを収容する。ばねを別々のバレルに有することは、ばねがカテーテルと同軸である単一バレル構成よりもはるかに小さいばねを可能にする。単一の同軸ばねは、ばね設計の制限が、ばねがほぼハウジングの底部から上部まで延びることを必要とするため、ボタンアセンブリへのアクセスを可能にする。ロックアーム(locking arm)などの機能のためにアクセスが必要とされ、機能がばねの内側に実装されている場合、機構全体がそれらを収容するために拡大しなければならないことは、機構のフットプリントを増大させる。
【0024】
図1および
図2は、使用前の挿入デバイスを示し、
図3は、カニューレの展開後のデバイスを示す。
図1~
図3に示されるように、挿入デバイスは、上部ハウジング(top housing)100およびベース102を含む。上部ハウジング100は、使用者がアクセス可能で、使用者が作動可能なボタン200がスライド可能にそこから延びる上面を通る開口部104を有することが示されている。機構ハウジング300を含む挿入デバイスの内容物は、
図4により詳細に示される。上部ハウジング100、ボタン200、および機構ハウジング300は、ABSから製造することができ、ベース102は、PETGから製造することができるが、実施形態はそれに限定されない。
【0025】
図4に示されるように、例示的な挿入デバイスは、上部ハウジング100と機構ハウジング300との間に捕捉されたいくつかの(a number of)サブアセンブリを一緒に積み重ねることによって組み立てられる。
図4は、本発明の実施形態による
図1の挿入デバイスの図である。
図4の、および、以下でより詳細に説明されるサブアセンブリは、カテーテル/隔壁サブアセンブリ、導入針サブアセンブリ、およびボタンサブアセンブリを含む。当業者によく知られる挿入デバイスの他の特徴および機能は、明確にするための図面および説明から省略される。
【0026】
例示的なカテーテル/隔壁サブアセンブリを
図5に示す。
図5は、本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスのカテーテル/隔壁サブアセンブリの断面図である。
図5に示されるように、カテーテル/隔壁サブアセンブリは、カテーテル202を金属くさび204に取り付け、次に、隔壁206をくさびに挿入し、それを解放カラー208とカテーテルくさびキャップ210との間に捕捉することによって組み立てられる。隔壁206は、くさび204によって半径方向に圧縮され、解放カラー208によって軸方向に圧縮されて、隔壁206とくさび204との間にシールを作成する。カテーテル202は、FEPを使用して製造された24Gプラスチックカテーテルであり得、解放カラー208およびカテーテルくさびキャップ210は、PTEGを使用して製造され得るが、実施形態はそれに限定されない。くさび204は、305ステンレス鋼を使用して製造され得、隔壁206は、イソプレンを使用して製造され得るが、実施形態はそれに限定されない。
【0027】
例示的な導入針サブアセンブリは、
図6および
図7に示される。本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの、
図6は、プラスチックチューブを備え上部から組み立てられた導入針サブアセンブリの図であり、
図7は、プラスチックチューブを備えず側面から組み立てられた別の導入針サブアセンブリの図である。
図6の、以下の説明で使用される導入針サブアセンブリは、カニューレまたは導入針222の非患者端にチューブ220を接着(gluing)または圧入(press-fitting)し、次に導入針ハブ224を介して導入針を配置し、導入針ハブ224の上面に設けられた任意の数の溝、スロットまたは戻り止め226を使用して所定の位置にそれをスナップすることによって組み立てられる。導入針222は、304ステンレス鋼を使用して製造される中空の24G針またはカニューレであり得、導入針ハブ224は、PETGを使用して製造され得るが、実施形態はそれに限定されない。
【0028】
図7の導入針サブアセンブリの代替的な実施形態は、ポンプまたはリザーバ(図示せず)に直接的に接続する長い近位端234を有する導入針232を使用して組み立てられる。この実施形態における可撓性プラスチックチューブを排除することは、挿入デバイスの組み立てをより容易にし、2つの部品を取り付けることに関連するリスクを低減するが、挿入および後退中にカニューレを曲げるために必要な力を低減するために、カニューレの近位端234上の大きなループを必要とする。
【0029】
導入針サブアセンブリの他の代替的な実施形態は、
図34~
図47に示される。そのような代替的な導入針サブアセンブリの実施形態は、高速製造における部品の組み立てを容易にする。
図34および
図35は、2つの導入ハブサブアセンブリの実施形態を示す。上述のように、導入ハブは、挿入中に導入針を押し、挿入中に圧縮ばねに負荷を掛け、プラスチックカテーテルが挿入された後に導入針を後退させる。
図34は、
図1の挿入デバイスの導入針サブアセンブリ402の図であり、針404は、プラスチックチューブ406を備え上部から組み立てられ、
図35は、
図1の挿入デバイスの導入針サブアセンブリ412の図であり、針414は、プラスチックチューブを備えずに側面から組み立てられる。
【0030】
図34および
図35において、導入ハブ402、412は、挿入機構を小さく保つために小さく、これは、部品を成形し、導入針404、414を組み立てることに課題を提示する。標準的なストレート針カニューレ挿管(cannulation)および接着(gluing)プロセスは、サイズ制限のために不可能であり、そのため、針404、414は、曲がりを含んで、何らかの方法で導入ハブ402、412に取り付けられなければならない。さらに、そのような小さな針404、414の取り扱いおよび組み立ては困難であり得、そのようなサブアセンブリの製造を簡素化するために以下のアセンブリが提供される。
【0031】
図36~
図38は、
図35の実施形態と同様の単方向(unidirectional)アセンブリ導入ハブ実施形態422を示す。針424は、側面から導入ハブ422に組み立てられる。
図35のアセンブリの実施形態は、導入針414の複数の複雑な動きを必要とし、針414の90°ベンド部分は、導入ハブ412内の受容スロット416に挿入され、次に、短いアーム418は、遠位端から離れるようにそれを曲げながら回転され、所定の位置にスナップされる。以下の
図36の単方向アセンブリ導入ハブ422は、導入針424を導入ハブ422内のスロット426に並進(translating)させることによって組み立てられる。この単一の動きは、自動アセンブリを容易にする。導入針424の長い遠位ストレートセクションは、例えば、組み立て中に針424を並進させ、回転を防止するために、プレート(図示せず)の間に保持される。導入ハブ422は、例えば、A-Bモールドを使用して成形され得る。導入針424を保持する導入ハブ422内のスナップ428は、切り離し(shut off)によって成形される。
図37および
図38に示されるように、フロントまたは左側構造420は、モールドの一方の側に対応し、リアまたは右側構造425は、モールドの他方の側に対応する。
【0032】
図39~
図43は、後処理された導入針434が曲がった状態の挿入成形導入ハブ432を示す。ストレート導入針434は、
図40に示されるように、導入ハブ432を備えて挿入成形され、
図41に示されるように、スチールダボロッド(steel dowel rod)436を備えた後処理固定具(post-process fixture)は、導入ハブ432の上面に配置される。
図42に示されるように、導入針434は、次いで、ダボロッド436の上に曲げられ、スナップ438を使用して導入ハブ432内にスナップされて、針434のスプリングバック(springing back)を防ぐ。例示的なスナップ形状は例示の目的のためのものであり、本発明はそれに限定されない。ダボロッド(必要に応じて)436の材料、位置、および直径は、針434の屈曲部分を開いたままにし、屈げプロセス後の流体流れのための圧着(crimping)を回避するのに十分である。次に、
図43に示されるように、ダウラー固定具(dowler fixuture)またはロッド436が取り外され、サブアセンブリ432は、チューブアセンブリの準備ができている。
【0033】
図44~
図47は、接着され屈曲後処理(bent post-process)された導入針444を備えたカニューレ式のストレート針導入ハブ442を示す。ストレート導入針444は、
図45に示されるように、導入ハブ442内の面取りされた穴446を通して針444の鈍い端部を挿入することによって、標準的なプロセスを使用してカニューレ化される。ハブから先端までの距離は、例えば、ビジョンシステムおよびカメラまたは他の適切な測定システムを使用して設定され得る。
図46に示されるように、針444の鈍い側は、次に、導入ハブ442上の丸みを帯びた特徴または肩部448の上に曲げられ、スナップ450を使用して導入ハブ442にスナップされて、針444がスプリングバックするのを防ぐ。
【0034】
丸みを帯びた特徴または肩部448の半径は、針444の内径の圧着またはそれ以外の場合の低減を回避し、流体が針444の屈曲部を通って流れることを確実にするのに十分に大きい。組み立ておよび屈げプロセスからのスプリングバックに必要とされる導入ハブ貫通穴446内の隙間は、針が第1の曲げ(first bend)後の90°の曲げ角度(bend angle)の公差を満たすことを防止し、そのため、第2の遠位端の曲げは、丸みを帯びた特徴または肩部448を提供することなく角度を修正するために必要とされる。しかしながら、この第2の曲げは、第1の曲げからのスプリングバックによって引き起こされるスナップを捕捉する導入ハブに及ぼされる導入針によるばね力を解放する。あるいはまた、貫通穴446は、針が第1の曲げプロセスの後に90°の曲げ許容誤差を満たすように、挿入方向に対して角度を付けて成形され得、これは、二次曲げの必要性を排除する。しかしながら、この解決策は、貫通穴446のモールド引っ張り方向が一次モールド引っ張り方向と異なり得るため、より複雑なモールドを必要とし得る。
【0035】
したがって、例示的な実施形態は、針444の鈍い側が、次に、導入ハブ442上の丸みを帯びた特徴または肩部448の上に曲げられ、針44がスプリングバックするのを防ぐためにスナップ450を使用して導入ハブ442内にスナップするように、その丸みを帯びた特徴または肩部448を提供する。最終組み立てステップでは、次に、
図47に示される接着剤ウェル(glue well)452に接着剤が分配される。接着剤は、挿入中に針444が導入ハブ442およびカテーテルに対して移動するのを防止することとなる。
【0036】
例示的なボタンサブアセンブリを
図8に示す。
図8は、カテーテル/隔壁サブアセンブリおよび導入針サブアセンブリを含む、
図1の挿入デバイスのボタンサブアセンブリのアセンブリの図であり、
図9は、本発明の実施形態による、
図1の挿入デバイスの完成されたボタンサブアセンブリの図である。ボタンサブアセンブリは、カテーテル/隔壁サブアセンブリおよび導入針サブアセンブリをボタン200と組み合わせることによって構築される。以下でより詳細に説明するように、一度組み立てられると、導入針サブアセンブリはボタン200内で回転され得ない。カテーテル/隔壁サブアセンブリは、ボタン200内で回転され得、そうしている間に、導入針サブアセンブリで固定された位置から、導入針サブアセンブリから解放された位置に回転され得る。
【0037】
具体的には、ボタンサブアセンブリは、導入針サブアセンブリの導入針222をカテーテル/隔壁サブアセンブリの隔壁206およびカテーテル202を通して挿入することによって構築される。次に、カテーテル/隔壁サブアセンブリは、カテーテル/隔壁サブアセンブリを最大20度以上回転させることによって導入針サブアセンブリに固定されて、解放カラー(release collar)208上の戻り止めまたは歯238を導入針ハブ224の上面の溝またはスロット240内にロックし、これは、導入針ハブ224とカテーテル/隔壁サブアセンブリとを結合する。この位置では、歯238は、ボタン200が押し下げられ、導入針ハブ224もまた下に移動するように、導入針ハブ224の上部にロックされる。これにより、導入針222およびカテーテル202は、使用者の皮膚表面(図示せず)内への挿入のために同時に移動される。
【0038】
次に、ボタンサブアセンブリは、解放カラー208をボタン200内にスナップして、導入針サブアセンブリおよびカテーテル/隔壁サブアセンブリを所定の位置に固定することによって完成される。そうするために、ボタン200は、
図9に示されるように、偏向可能なアーム214上の戻り止め212を含んで、それらの間を偏向させ、次いで、解放カラー208の下端を捕捉することができる。偏向可能なアーム214の間には、スロット216がボタン200に設けられ、ボタン200に対する導入針ハブ224の直線移動(linear travel)を可能にするが、ボタン200に対する導入針ハブの回転運動(rotational movement)を禁止する。ボタン200内のスロット216はまた、以下でより詳細に説明されるように、ボタン200に対する解放カラー208の半径方向操作ピン218の回転運動を可能にする。例示的な実施形態では、実質的に円筒形のピン218は、解放カラー208の外周に示されている。しかしながら、本発明のこの実施形態または他の実施形態では、螺旋経路と共に動作することができる解放カラーの任意の戻り止めまたは突起(projection)は、半径方向動作ピンとして提供され得る。
【0039】
次に、ボタンサブアセンブリは、ハウジングトップ(housing top)100および機構ハウジング300と組み立てることができる。
図10は、
図1の挿入デバイスのハウジング内へのボタンサブアセンブリおよびばねの組み立ての図であり、カテーテル上での一時的な保護チューブの使用を示し、
図11は、
図1の挿入デバイスのハウジング内へのボタンサブアセンブリおよびばねの部分的に完全な組み立ての図である。
図12は、本発明の実施形態による、例示の目的のためにベースが省略されている、
図1の挿入デバイスの完成されたアセンブリの図である。
【0040】
組み立てを完成させるために、ボタン200およびそのアセンブリは、
図13により詳細に示されるように、上部ハウジング100の内面から延びる突起106と共にスライド可能に組み立てられる。
図13は、本発明の実施形態による、作動前状態にある
図1の完全に組み立てられた挿入デバイスの断面図である。上部ハウジング100のボタンロックアーム112は、機構ハウジング300を上部ハウジング100内に配置する次の組み立てステップ中にボタンサブアセンブリを所定の位置に保持し、それによって他のサブアセンブリをその中に捕捉する。
【0041】
機構ハウジング300を上部ハウジング100内に配置する間、一時的なチューブ228の一部(a piece)は、カテーテル202およびその中の導入針222の上に配置されて、針先端を保護するとともに、組み立て中に機構ハウジング300の出口穴を通ってカテーテルを誘導する。後退ばね230は、
図11に示されるように、導入針ハブ224に圧入され、ボタンサブアセンブリは、上部ハウジング100の穴104を通して挿入される。リザーバまたはポンプ(図示せず)に接続するチューブまたはカニューレ220は、上部ハウジング内の受容機構(receiving feature)に密封(sealed)される。ばね230は、ステンレス鋼を使用して製造され得るが、実施形態はそれに限定されない。
【0042】
機構ハウジング300は、好ましくは、ボタンサブアセンブリをスライド可能に受け入れて誘導する中心バレル302と、ばね230を拘束する中心バレル302の各側に1つの、2つのバレル304と、を含む、3つのシリンダ、ガイドまたはバレルから構成される。組み立て中、ばね230は、導入針ハブ224のボス242と機構ハウジング300のバレル304の底部との間に捕捉される。そうすることで、ばね230は、導入針ハブ224と機構ハウジング300のバレル304の底部との間に拡張力(expansion force)を及ぼす。例示的な実施形態では、複数のばね230および隣接するバレル304が示される。しかしながら、本発明のこの実施形態または他の実施形態では、単一のばねおよび隣接するバレルは、実質的に同じ方法で提供され得、未使用の隣接するバレルは空のままにされ得、または完全に省略され得る。さらに、単一のばねは、ボタントップに設けられ得、挿入中に伸長され得、完了すると、その自然な状態まで後退し、それによって導入針をカテーテルから後退させる。
【0043】
丸みを帯びたボス242は、動作中にばね230を中心に置き、整列させるための直径および長さを備えている。ばね230は、挿入デバイスの組み立て中に部分的に前負荷が掛けられ(preloaded)得、機構ハウジング300は、上部ハウジング100にレーザー溶接(laser welded)または接着され得る。次いで、底部またはベース102は追加され得る。そうすることで、最後の組み立てステップとして、完全な完成した挿入機構サブアセンブリは、他のコンポーネントのすべてと共にベース102上に配置され得る。完成された挿入機構サブアセンブリを有することで、上部ハウジングと下部ハウジングの間にすべての部品を捕捉するのではなく、生産中の取り扱いを容易にすることが可能となる。例示的な製造において、機構ハウジング300は、機構を一緒に保持するスナップまたは接着剤(adhesive)(図示せず)を使用して、上部ハウジング100に取り付けられる。
図25および
図26に関して以下に説明されるさらに2つの他の例示的な実施形態では、同様のサブアセンブリの概念は、アセンブリを管理可能にするために使用されるが、サブアセンブリは、1つの実施形態では独立したユニットであり、他の実施形態ではベースの一部である。
【0044】
各実施形態では、最終的な組み立ての後、挿入デバイスは、デバイスの残りの部分から密閉(hermetically sealed)される。すなわち、その中へシャワーまたは水泳からの水が、カテーテル出口穴を通って、またはハウジング上部(housing top)のボタン穴から自由に入ることができる、機構ハウジング300は、レーザー溶接または接着ステップで密閉され、それによって、デバイスの電子/ポンプコンパートメントの内容物のような、デバイスハウジング100の残りの内容物を保護する。
【0045】
図13は、
図1の完全に組み立てられた挿入デバイスの断面図であり、
図14は、本発明の実施形態による、作動前状態にある
図1の完全に組み立てられた挿入デバイスの
図13の図に垂直な別の断面図である。
図13に示されるように、作動ボタン200上の1つまたは複数の破壊可能な(breakable)リブ236は、ボタン200を作動前位置に保持するために、上部ハウジング100内のステップ戻り止め110によって捕捉される。安全タブ(図示せず)をボタンスロット内に配置することもでき、これは、デバイスがパッケージから取り外されると、デバイスの出荷および取り扱い中に偶発的に作動するのを防ぐことができる。安全タブは挿入直前に取り外される。
【0046】
デバイスを作動させるために、使用者は、ボタン200を上部ハウジング100に押し込む。リブ236が破損または変形力閾値を超えると、3つのリブ236は降伏し、ボタン200は突然下方に移動し、導入針222およびカテーテル202を挿入し、後退ばね230に負荷を掛ける(loading)。ばね230は、挿入デバイスの組み立て中に部分的に前負荷が掛けられ得る。破壊可能なリブ236の最小破壊力(minimum break force)は、使用者がカテーテルを完全に挿入するのに十分に強く押すことを確実にする。部分的な作動は、カテーテルが完全に挿入されず、導入針が後退せず、カテーテルが作動後位置にロックされないことをもたらす。
【0047】
ボタン200のリブ236からの解放は、所望の量の作動力がボタン200に加えられると発生するように構成される。ボタン200は、リブ236とステップ戻り止め110との間の係合によって上方および伸長位置に解放可能に保持されるため、使用者によってボタン200に加えられる力は、解放前のある期間、着実に増大する。突然解放されると、ボタン200に対する力は所望の値に達し、したがって、ボタン200は、突然の移動の自由度、および解放時にボタンに加えられその後維持される所望の力のために、下向きに加速される。そのような解放は、所望の量の下向きの力、速度、滑らかさ、および角度が使用者によって適用されていることを保証する。そのような作動は、加えられる使用者の力、速度、滑らかさ、およびその角度の変動を実質的に排除し、使用者への挿入失敗および/または不快感を低減する。
【0048】
ボタン200の解放後、ボタンサブアセンブリおよびその中のコンポーネントは、機構ハウジング300を通って移動し始める。
図15は、そのような挿入の開始時の挿入デバイスの図を示す。
図15は、本発明の実施形態による、中間作動状態にある、
図1の完全に組み立てられた挿入デバイスの断面図である。
【0049】
図15はまた、導入針ハブ224とカテーテル/隔壁サブアセンブリとを結合する解放カラー208上の2つの歯238のうちの1つを示す。この位置では、歯238は、ボタン200が押し下げられ、導入針ハブ224もまた下に移動するように、導入針ハブ224の上部の上にロックされる。ボタン200が押し下げられると、導入針ハブ224も同様に下に移動し、これは、導入針222およびカテーテル202が同時に使用者の皮膚表面(図示せず)内に挿入され、導入針ハブ224がばね230を圧縮する結果となる。小さなフットプリントを有する挿入デバイスを作成するために、ばね230のそれぞれは、圧縮長さに対して小さい直径を有し、これは、支持されていない場合、圧縮中にばねが座屈(buckle)する原因となる。導入針ハブ224上のボス242は、ばね230が座屈するのを防ぐために、圧縮中にばね230の中央を通って並進する。例示的な実施形態では、ばね230は圧縮され、拡張力を及ぼして導入針ハブおよび導入針を後退させる。しかしながら、本発明のこの実施形態または他の実施形態では、1つまたは複数の延長ばね(extension springs)を使用して、導入針ハブおよび導入針を後退させるために後退力を及ぼすことができる。
【0050】
上記のように、
図5のカテーテル/隔壁サブアセンブリは、ボタン200および導入針ハブ224に取り付けられているが、一次軸(primary axis)の周りを20度まで自由に回転する。この場合、一次軸は、挿入針222の幾何学的中心に沿って延びる軸として定義される。スロット216は、ボタン200に設けられ、ボタン200に対する導入針ハブ224の直線移動を可能にするが、ボタン200に対する導入針ハブの回転運動を禁止する。ボタン200内のスロット216はまた、ボタン200に対する解放カラー208の半径方向操作ピン218の回転運動を可能にする。この回転の角度は、解放カラー208から延びる半径方向操作ピン218によって制御される。挿入中、すなわち、ボタンサブアセンブリの下向きの移動中、半径方向操作ピン218は、上部ハウジング100および機構ハウジング300の組み合わされた特徴によって作成された螺旋経路400内を移動する。そのような移動の間、解放カラー208の半径方向操作ピン218は、解放カラー208を回転させて、最終的に導入針サブアセンブリをカテーテル/隔壁サブアセンブリから解放する。螺旋経路400を作成する上部ハウジング100内の表面108および機構ハウジング300内の表面308は、2つの部品の間で分割されており、そのため、両方の部品は、スライドなしで成形され得る。すなわち、2つの別個に成形された部品の結合を使用して螺旋経路400を作成することによって、成形されたスライドまたは経路をその中に有する単一の部品は必要とされず、挿入デバイスの製造を大幅に簡素化する。
図17および
図18は、組み立てられたときに螺旋経路400を作成する、上部ハウジング100内の表面108、および機構ハウジング300内の表面308を示す。
【0051】
図17は、経路面の一部を示す
図1の挿入デバイスの上部ハウジング100の底面図であり、
図18は、本発明の実施形態による半径方向操作ピン218の経路面の残りの部分を示す
図1の挿入デバイスの機構ハウジング300の図である。
図17に示されるように、ボタンサブアセンブリがその中へスライド可能に配置される上部ハウジング100の突起106は、同様の湾曲した、輪郭を描いた、またはそうでなければ構成された形状108を備え得るエッジを含み、これは、機構ハウジング300と組み立てると、螺旋経路400の半分、側面または一部を形成する。
図18に示されるように、ボタンサブアセンブリがその中へスライド可能に配置される機構ハウジング300の内径またはチャンバ表面は、上部ハウジング100と組み立てると、螺旋経路400の半分、側面または一部を形成もする、湾曲した、輪郭のある、またはそうでなければ構成された形状308を備え得る。上部ハウジング100および機構ハウジング300が組み立てられるとき、要素108および308は、螺旋経路400を形成する。経路は、ボタン200および解放カラー208が直線方向(linear direction)に移動するときに、ボタン200内の半径方向操作ピン218を誘導することによって、ボタン200に対する解放カラー208の回転運動を誘導するように螺旋状である。
【0052】
上述したように、ボタン200に設けられたスロット216は、解放カラー208の半径方向操作ピン218の運動を可能にする。さらに、
図5のカテーテル/隔壁サブアセンブリは、ボタン200および導入針ハブ224に取り付けられているが、一次軸を中心に20度まで自由に回転する。そのような20度の回転は、螺旋経路400における解放カラー208の半径方向操作ピン218の移動を可能にする。ボタン200が押し下げられると、解放カラー208および解放カラー208の半径方向操作ピン218は、静止している上部ハウジング100および機構ハウジング300を通って同様に下に移動する。したがって、螺旋経路400にスライド可能に配置された解放カラー208の半径方向操作ピン218は、ボタン200によって、静止している上部ハウジング100および機構ハウジング300を通って下に移動されるときに、解放カラーを回転させる。
【0053】
作動前状態では、半径方向動作ピン218の角度は、解放カラー208の歯238がその中で導入針ハブ224と完全に係合される方向に拘束される。ボタン200が作動前状態と作動後状態との間で移動する間、解放カラー208の半径方向操作ピン218は、静止している上部ハウジング100および機構ハウジング300の螺旋状の経路400を通って移動されるときに、解放カラー208を回転させる。
【0054】
作動後状態では、半径方向操作ピン218は、最大20度まで回転されており、これは、導入針ハブ224を解放カラー208の歯238から結合解除させ、導入針ハブ224を解放カラー208から自由にして、圧縮ばね230によって後退させられる。解放カラー208およびカテーテル/隔壁サブアセンブリの他の要素は、下方の挿入位置に残される。
【0055】
図19は、導入針222およびカテーテル202の挿入中、および導入針ハブ224が後退のために解放カラー208の半径方向操作ピン218によって解放される直前の点での挿入デバイスを示す。半径方向操作ピン218および解放カラー208は、螺旋経路400と係合することによってほぼ完全に回転し、螺旋経路400による回転の終わりに、解放カラー208上の歯238は、導入針ハブ224の戻り止め240から自由に移動するようになり、導入針ハブ224を解放して、ばね230によって押し上げられ、後退され得る。すなわち、半径方向操作ピン218および解放カラー208が螺旋経路400との係合によって回転させられると、解放カラー208上の歯238は、導入針ハブ224の戻り止め240から自由になるまで同時に回転する。この時点で、ボタン200によって保持されている解放カラー208は、もはや導入針ハブ224に固定されておらず、ばね230は、導入針ハブ224および導入針222を上向きに後退位置に押し込み、カテーテル/隔壁サブアセンブリを下方の挿入位置に残す。ボタン200は、下方の位置にロックされ、それによって、カテーテル/隔壁サブアセンブリを下方の挿入位置に保持する。組み立て中にボタンサブアセンブリを所定の位置に保持する上部ハウジング100から突出するロックアーム112はまた、
図22に示されるように、カテーテルを皮膚内に維持する所定の位置にボタンサブアセンブリをロックして、作動後状態でボタン200内の戻り止め244にスナップするように構成され得る。
【0056】
図20は、導入針222およびカテーテル20のまさに完全挿入時の挿入デバイスを示す。
図21および
図23に示されるように、後退ばね230は、完全に圧縮され、半径方向操作ピン218および解放カラー208は、導入針ハブ224から解放カラー208の歯238を結合解除するために必要な程度に回転されて、後退のために導入針ハブ224を解放する。
図21および
図23は、作動後状態にある挿入デバイスを示す。この時点で、ボタン200によって下方に保持されている解放カラー208は、もはや導入針ハブ224に固定されておらず、ばね230は、導入針ハブ224および導入針222を上向きに後退位置に押し込み、カテーテル/隔壁サブアセンブリを下方の挿入位置に残す。
【0057】
導入針222は、針刺しの遮蔽を確実にし、カテーテルを損傷から保護するために、その作動前状態位置よりもハウジング内にさらに後退する。導入針222の先端は、カテーテル202と連続した(uninterrupted)流体経路を形成するために、流体経路内の隔壁206によって密封されたままである。この実施形態または他の実施形態では、導入針222の先端または遠位部分は、カテーテル202内に留まり、隔壁206によって密封されて、カテーテル202と連続した流体経路を形成する。
【0058】
例示的な実施形態では、導入針およびカテーテルの手動挿入により、挿入デバイスは、ばね支援型挿入を採用する挿入デバイスよりも小さく、より簡単で、より安価になる。他のパッチポンププラスチックカテーテル挿入機構は、挿入力が後退力に対して大きいため、後退ばねに対して大きい挿入ばねを使用する。完全に統合されたばね支援型挿入はまた、低プロファイルのデバイスの角度付き挿入を必要とし、これはストロークを増加させ、創傷および機構のサイズを大幅に増大させる。挿入ばねは、挿入後に何の目的も果たさず、サイズが製品の最も重要な使用者の要求の1つであるデバイス内の場所を単に占める。
【0059】
例示的な実施形態では、二重後退ばね構成はまた、非常に小さいサイズを可能にする。挿入デバイスハウジングの1つのバレルは、ボタンおよびカテーテルを誘導し、隣接するバレルは、2つの後退ばねを収容する。別々のバレル内にばねを有し、導入針ハブ上のボスによって方向付けられることは、ばねがカテーテルと同軸である単一のバレル構成よりもはるかに小さいばねを可能にする。単一の同軸ばねは、ばね設計の制限が、ばねがほぼハウジングの底部から上部まで延びることを必要とするため、ボタンアセンブリへのアクセスを作り出す。ロックアームなどの特徴のためにアクセスが必要とされ、特徴がばねの内側に実装されている場合、機構全体がそれらを収容するために拡大しなければならないことは、機構のフットプリントを増大させる。カテーテルを下方に受動的にロックして導入針を後退させることは、単一のボタンを押すことである手動挿入機構のための最も簡単な可能な手動挿入ユーザインターフェースを作り出す。
【0060】
前述のように、後退ばね230は、導入針222がデバイス内に完全に後退することを確実にするために、使用前に最小限に負荷が掛けられる。ばね230は、挿入中にさらに負荷を掛ける。完全に負荷が掛けられたばねではなく最小限に負荷が掛けられたばねを挿入デバイスに提供することは、負荷が掛けられたばねの滅菌と保管に伴うリスクを軽減し、設計を簡素化する。
【0061】
挿入デバイスを操作するために、使用者は、デバイスのベース102上の接着剤を使用して挿入デバイスを皮膚表面に適用する。次に、使用者は、リブ236を破損または変形させるまで、突出するボタン200を手動で押す。ボタン200は、今や突然自由に移動することができ、上部ハウジング100に急速に押し込まれ、プラスチックカテーテル202および導入針222を押して使用者の皮膚表面に挿入するのに役立つ。ボタン200が押されているとき、解放カラー208は、螺旋経路400を通って移動する解放カラー208の半径方向操作ピン218によって回転される。解放カラー208は、解放カラー208を導入針ハブ224から結合解除するために必要とされる程度に回転され、導入針ハブ224および導入針222は、次に、針遮蔽を確実にするために、元の針位置を超えて後退位置に格納される。ここで、導入針222から結合解除されたプラスチックカテーテル202は、下方の挿入位置に残される。ボタン200は、ハウジングの上部と同じ高さで下方位置に自動的にロックされ、これはまた、皮下層の所望の深さでカテーテルをロックする。センサ(図示せず)は、作動後状態を検知し、カテーテルが適切に挿入されたことを他の電子機器(図示せず)に助言するために提供され得、これは、患者が薬剤を注入することを可能にする。次に、ポンプまたはリザーバは、導入針を介してカテーテルに、およびそこから患者の皮下層に、薬剤を注入する。
【0062】
所望の深さを最適に目標とするために、ベースは、所望の挿入深さを達成および維持し、皮膚表面のテンティングを回避し、および/または挿入部位で皮膚表面を張るために、皮膚界面形状(skin interface geometry)を含み得る。
図48から
図50は、カテーテルが展開されたそのような皮膚界面形状の例を示す。デバイス502の透視図では、配置中にカテーテル506がそこから延びるポスト504は、皮膚表面(図示せず)内に突出し、これは、皮膚がテント状になった場合に浅いカテーテル先端の挿入を防止するのに役立つ。ポスト504は、デバイス502のベース表面から任意の所望の長さに延在し得、皮膚表面に接触する遠位端で丸みを帯び、および/または面取りされ得る。
【0063】
ポスト504を取り囲むウェル508が設けられ得る。ウェル508は、挿入中に変位される皮膚のためのスペースを提供し、ポスト504が皮膚表面内に突出するのを助ける。壁510は、ウェル508を取り囲んで画定し、デバイス502のベース表面から任意の所望の長さまで延在し得、皮膚表面に接触する遠位端で丸みを帯び、および/または面取りされ得る。
図48~
図50の円形対向シリンダ512は、必要に応じて、提供され得、または幾何学的形状から除外され得る。
【0064】
上記の例示的な実施形態では、挿入機構は、上部ハウジング100内のサブアセンブリとして作成され得る。これは、生産中に挿入機構を簡単に取り扱うことを可能にし、そのように他のサブシステムは組み立てられ得る。あるいは、挿入機構は、
図25に示されるように、上部ハウジング100またはベース102から分離したサブアセンブリとして、または
図26に示されるように、ベース102内のサブアセンブリとして作成され得る。
【0065】
図25において、
図9に関して説明されたのと実質的に同じ完成されたボタンサブアセンブリ250は、例えば、スナップまたは戻り止め252を使用して、
図4に関して説明したのと実質的に同じ機構ハウジング350内に固定される。この場合、挿入機構は、上部ハウジング100またはベース102とは別個のサブアセンブリとして作成される。完了すると、
図25の挿入機構は、次いで、上部ハウジング100およびベース102のうちの1つまたは複数と組み立てられ得る。
【0066】
図26では、
図9に関して説明されたのと実質的に同じ完成されたボタンサブアセンブリ260が、
図4に関して説明されたのと実質的に同じ機構ハウジング360内に固定されている。この場合、挿入機構は、ベース102内のサブアセンブリとして作成される。さらに、
図25および
図26の各実施形態では、
図17および18に関して上述されたような螺旋経路を作成する表面は、表面が再び2つの部分に分割され得るように、ボタンサブアセンブリ250および機構ハウジング350、並びにボタンサブアセンブリ260、機構ハウジング360および/またはベース102内に設けられ得、その結果、両方の部分は、スライドなしで成形され得る。
【0067】
上記の例示的な実施形態では、リブ236は、完全な作動を確実にするデバイスの作動を開始するための最小挿入力を決定する。あるいは、ロックアーム112はまた、最小作動力を決定するように構成され得る。上述のように、ロックアーム112は、上部ハウジングから突出し、作動後状態でボタン内の戻り止めにスナップして、ボタンサブアセンブリを所定の位置にロックし、カテーテルを皮膚内に保持する。
図27は、ボタン270を作動前位置(pre-activation position)に保持するロックアーム上のフランジ274を含むロックアーム272の別の実施形態を示す。ロックアーム272の輪郭のあるフランジ274は、突出し、作動前状態でボタン270の下縁部を捕捉し、ボタンに十分な力が加えられるまでボタンサブアセンブリを所定の位置に保持する。ボタン270に十分な力が加えられると、フランジ274はボタン270から離れて偏向される。十分な力が加えられたときに、ロックアーム272は、挿入ボタン270の経路から曲がり出る。
図28は、挿入中の中間状態のデバイスを示す。ロックアーム272は、
図28が示すように、干渉する代わりに外側に曲げられる。ロックアーム272およびフランジ274の最小偏向力は、使用者がカテーテルを完全に挿入するのに十分に強く押すことを確実にする。次に、
ロックアーム272およびフランジ274は、
図29に示すように、ボタンがボタンおよびカテーテルをロックする最も下方の位置に達したときに、ボタン270の戻り止め276にスナップする。
【0068】
上記の実施形態では、パッチポンプは、説明された特徴のうちの1つまたは複数を備え得る。
図30は、本発明の例示的な実施形態によるパッチポンプ1の例示的な実施形態の透視図である。パッチポンプ1は、明確にするために透視カバーを備えて図示され、パッチポンプ1を形成するように組み立てられる様々なコンポーネントを示す。
図31は、固体カバー2を備えて示される、
図30のパッチポンプの様々なコンポーネントの図である。パッチポンプ1の様々なコンポーネントは、インスリンを貯蔵するためのリザーバ4と、リザーバ4からインスリンをポンピングするためのポンプ3と、1つまたは複数の電池の形態の電源5と、カテーテルを備えた挿入針を使用者の皮膚に挿入するための挿入機構7と、スマートフォンを含むリモートコントローラおよびコンピュータのような外部デバイスへの任意の通信機能を有する回路基板の形態の制御電子機器8と、ボーラス投与を含むインスリン投与を作動させるためのカバー2上の投与ボタン6と、上記の様々なコンポーネントが留め具91を介して取り付けられ得るベース9とを含み得る。パッチポンプ1はまた、リザーバ4からポンプで送り出されたインスリンを注入部位に移送する様々な流体コネクタラインを含む。
【0069】
上述したように、挿入装置機構は様々な構成として提供されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、挿入装置機構は、軟カテーテルを皮膚に挿入する。これらの実施形態では、典型的には、軟カテーテルは、剛性の挿入針に支持される。挿入針は、軟カテーテルと共に皮膚に挿入され、次に皮膚から後退され、軟カテーテルを皮膚内に残す。他の実施形態では、軟カテーテルは提供されず、挿入針は皮膚内に残り、注入が終了するまでインスリンを送達するためのインスリン流路の一部を形成する。挿入針は、典型的には中空であり、それらがインスリン流路の一部を形成する場合、中空である必要がある。しかしながら、軟カテーテルを支持し次に後退する挿入針は、中実(solid)または中空であり得る。挿入針が軟カテーテルを展開し後退するがインスリン流路の一部である場合、挿入針は中空であるべきである。しかしながら、挿入針が軟カテーテルを展開し、次いで後退するが、インスリン流路の一部を形成しない場合、挿入針は、中実または中空であってもよい。いずれの場合も、挿入針は、皮膚を確実に貫通するのに十分に剛性であることが好ましいが、そうでなければ、使用者に快適さを提供するのに十分に柔軟性を有していてもよい。
【0070】
図32は、カバーなしで示される、可撓性リザーバ4Aを有するパッチポンプ1Aの代替設計の斜視図である。そのような構成は、可撓性リザーバ4Aがパッチポンプ1A内の空隙を充填することで、パッチポンプ1Aの外寸をさらに低減し得る。パッチポンプ1Aは、典型的には、使用者の皮膚の表面において90度未満の鋭角でカニューレを挿入する従来のカニューレ挿入デバイス7Aを用いて図示される。パッチポンプ1Aは、電池の形態の電源5Aと、インスリンの体積を監視し、低体積検出能力を含む計測サブシステム41と、デバイスのコンポーネントを制御するための制御電子機器8Aと、リザーバ4Aを充填するための補充シリンジ45を受容するためのリザーバ充填口43とをさらに備える。
【0071】
図33は、
図32のパッチポンプ1Aのパッチポンプ流体アーキテクチャおよび計量サブシステム図である。パッチポンプ1Aのための電力貯蔵サブシステムは、電池5Aを含む。パッチポンプ1Aの制御電子機器8Aは、パッチポンプ1Aの作動を制御する、マイクロコントローラ81、検知電子機器82、ポンプおよびバルブコントローラ83、検知電子機器85、および配備(deployment)電子機器87を含み得る。パッチポンプ1Aは、リザーバ4A、リザーバ4Aのための体積センサ48、リザーバ4Aを充填するために充填シリンジ45を受け入れるためのリザーバ充填口43を含み得る流体サブシステムを含む。流体工学サブシステムは、ポンプおよびバルブアクチュエータ411ならびに統合されたポンプおよびバルブ機構413を含む計量システムを含み得る。流体工学サブシステムは、閉塞センサ49、配備アクチュエータ7、ならびに使用者の皮膚上の注入部位に挿入するためのカニューレ47をさらに含み得る。
図30および
図31のパッチポンプのアーキテクチャは、
図33に示されるものと同一または類似である。
【0072】
カニューレ挿入デバイスの別の例示的な実施形態は、
図34に示される。
図34は、カニューレ挿入デバイスのこの実施形態の斜視図であり、
図35は、
図34に示される実施形態のコンポーネントを示す分解図である。ここに示されるカニューレ挿入デバイスのコンポーネントは、ハウジング3401、復帰ばね3402、カテーテルハブ3403、カニューレ3404、係合および解放クリップ3405、隔壁およびくさび3406、針ハブ3407、およびボタン3408を含む。図示されるように、針ハブ3407は、好ましくは、ハウジング3401を取り囲み、ボタン3408が針ハブ3407に対してスライドすることを可能にする開口部を含む。
【0073】
針ハブ3407は、剛性挿入針3409を係合し、復帰ばね3402によって上方に付勢される。
図36Aおよび
図36Bは、ハウジング3401に組み込まれた発射アーム3410を示す。ハウジング3401は、好ましくは、ハウジング3401の反対側に位置する少なくとも1つ、好ましくは2つの発射アーム3410を含む。
図36Bに示されるように、発射アーム3410は、実質的に剛性であるが、屈曲することが可能であり、初期構成では、発射アーム3410の剛性を克服するために十分な力がボタンに加えられるまで、ボタン3408が下方に移動されるのを防ぐ。したがって、ボタン3408に十分な力が加えられると、発射アーム3410は屈曲して道をあけ(out of the way)、ボタンがハウジング3401内にスライドすることを可能にする。ハウジング材料、発射アーム3410の形状および長さ、ならびにボタン3408の遠位面の形状は、発射アーム3410の抵抗を克服するために必要な力が、挿入針がボタン3408を押す人によって完全に挿入されるのに十分であるように構成される。
【0074】
図37は、ボタン3408に対する力プロファイルを示す。図示されるように、ボタンに加えられる力は、発射スナップピーク(firing snap peak)に達するまで急激に増大する。これは、ボタンが発射アームの抵抗を克服するときである。次に、力は、発射スナップピークからゼロの力に向かって急速に低下し、次いで、復帰ばね3402に加えられるエネルギーによって徐々に増大する。最後に、ボタンが完全に挿入されたときに、係合及び解放クリップは、針ハブ3407を解放し、復帰ばねを解放して、ボタン3408上の力をほぼゼロに低減させる。
【0075】
図38は、その初期構成における係合および解放クリップ3405を示す切り取り図である。係合および解放クリップ3405は、ハウジング内に収容され、カテーテルハブ3403を針ハブ3407に結合する。
図39Aおよび
図39Bは、係合および解放クリップ3405の機能をさらに詳細に示す。
図39Aは、ボタン3408が押される前の係合および解放クリップ3405を示す。
図39Aに示されるように、係合および解放クリップ3405は、針ハブ3407がカテーテルハブ3403から分離するのを防止する。ボタン3408が十分遠くに押されると、係合および解放クリップ3405は、ハウジング3401の遠位部分に到達し、1対の解放窓3411は、係合および解放クリップ3405がその緩和位置に戻ることを可能にし、それによって針ハブ3407をカテーテルハブ3403から解放する。緩和位置では、解放窓3411内のクリップ3405のアームの係合によって、係合および解放クリップ3405が近位方向に移動するのが防止される。したがって、係合および解放クリップ3405は、針ハブを解放し、同時にカテーテルハブを挿入位置に保持するという二重の目的を果たす。
【0076】
図40Aは、その緩和状態にある係合および解放クリップ3405を示し、
図40Bは、ハウジング3401の内側に取り付けられている間の、解放窓3411に向かって移動される前のクリップ3415の構成である、その張力状態(tensioned state)にある係合および解放クリップ3405を示す。この構成では、係合および解放クリップ3405のアーム3412は、ハウジング3401の内面を外向きに押す。係合および解放クリップ3405はまた、好ましくは、アーム3412を互いに接続する接続部材3413を含み、また、挿入針3409がクリップに対しておよび開口部3414の内側で移動することを可能にする開口部3414を含む。
【0077】
図41A~
図41Dは、係合および解放クリップ3405の代替的な実施形態を示す。
図41Aは、その解放状態にある係合および解放クリップ3405を示し、
図41Bは、緩和状態構成を圧縮状態と比較して、係合および解放クリップ3405の1つのアームの相対的なプロファイルを示す。
図41Cおよび
図41Dは、係合および解放クリップ3405のアームの代替的な構成、ならびにその張力状態でクリップ3405の異なる部分に加えられる相対的な応力を示す。
【0078】
図42は、ボタン3408が押される前の、隔壁およびくさび3406ならびに取り付けられた構成の係合および解放クリップ3405を有する、針ハブ3407およびカテーテルハブ3403の相対的な位置を示す断面図である。
【0079】
図43は、係合および解放クリップ3405の1つのアーム3412の側面プロファイルを示す。この図はまた、カテーテルハブおよび内部ハウジングがクリップ3405に接触する場所、ならびに針ハブ3407に対する接触位置でクリップアーム3412によって加えられる張力および力の開口部成分を示す。
【0080】
図44は、ボタンが完全に押下され、クップ3405が窓3411に到達した時点での、係合および解放クリップ3405の位置を示す、ハウジング3401の外側からの透視図である。窓3411は、クリップ3405がその緩和状態に戻り、それによって針ハブ3407を解放することを可能にする。
図45は、クリップ3405が窓3411に最初に到達するちょうどその時点での係合および解放クリップ3405、針ハブ3407、および窓3411の構成を示す別の斜視図である。
【0081】
図46は、挿入機構のこの実施形態の別の態様を示す。いくつかのバージョンでは、ボタン3408は、挿入針3409が適切に後退させられたことを確認するために、針ハブ3407が使用者に見えることを可能にする半透明または透明な窓3414を含む。
【0082】
本発明のいくつかの例示的な実施形態のみが上記で詳細に説明されているが、当業者は、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような修正は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】