(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】リードの効率的な送達のための強化されたガイド拡張システム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240628BHJP
A61M 39/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61M25/06 554
A61M39/06 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579194
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022034800
(87)【国際公開番号】W WO2022271999
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522327304
【氏名又は名称】バンティス バスキュラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANTIS VASCULAR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシェル、ティム、エー.
(72)【発明者】
【氏名】サルティール、フランク、エス.
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シャオクー
(72)【発明者】
【氏名】ペイン、ジェフリー、ディー.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066QQ15
4C267AA15
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB19
4C267BB31
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
(57)【要約】
血管内送達システムは、例えばペースメーカー電気リードなどの様々なカテーテルの送達及び展開を強化するために、冠静脈洞の分岐部などの二次及び三次血管構造に安全且つ効率的にアクセスするように設計される。オーバーザワイヤシステムは、剥離補強外側カテーテルとシームレスに協働する内側カテーテルの直線状又は代替的に成形されたマイクロカテーテル遠位チップを特徴とする。内側カテーテル及び剥離補強外側カテーテルは、それらの係合動作モードで標的部位に向けて(又は標的部位を越えて)前進される。続いて、内側カテーテル及び外側カテーテルが係合解除され、内側カテーテルが外側カテーテルから取り外される。ペースメーカーリードが、展開のために外側カテーテル内のワイヤ上にわたって標的部位まで前進され得る。その後、外側カテーテルは、容易に分割されて、血管から迅速に除去され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の血管内の標的部位に治療用カテーテルを効率的に送達するように構成される血管内送達システムにおいて、
長尺な外側送達シースを形成する可撓性の実質的に円筒状に輪郭付けられる壁によって構成される分割可能な外側部材であって、前記外側送達シースが、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間で延在する外側部材シャフトとを有するシースルーメンを画定し、前記外側部材シャフトが、前記シースルーメンの前記遠位端にあるテーパ状外側チップと、前記シースルーメンの前記近位端と遠位端との間で前記分割可能な外側部材の前記円筒状に輪郭付けられる壁に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの引裂継ぎ目とを伴って構成され、前記分割可能な外側部材が、前記少なくとも1つの引裂継ぎ目が無傷であるときに閉鎖形態をとり、前記少なくとも1つの引裂継ぎ目が開放されるときに分割形態をとる、外側部材と、
内側部材壁によって形成される長尺本体を有する内側部材であって、前記内側部材の長手方向軸に沿って延在する内部チャネルを画定し、前記内側部材が、前記外側送達シースと制御可能な関係で前記分割可能な外側部材の前記シースルーメン内に取り外し可能に受けられるとともに前記シースルーメンに沿って内部に延在し、前記内側部材が、近位端と、前記外側送達シースの前記遠位端を越えてガイドワイヤに沿って変位可能なテーパ状遠位チップとを有する、内側部材と、
前記内側部材及び分割可能な外側部材と動作可能に結合して配置され、係合動作モード及び係合解除動作モードで前記血管内送達システムを間欠的に動作させるように制御可能に作動される相互接続機構と、
を備え、
前記係合動作モードにおいて、前記血管内送達システムの前記内側部材及び分割可能な外側部材は、前記ガイドワイヤに沿った制御可能な共通変位のために係合され、
前記係合解除動作モードにおいて、前記内側部材及び前記外側部材は、前記内側部材と前記分割可能な外側部材とを互いに対して変位させるために係合解除され、
前記係合解除動作モードにおいて、前記分割可能な外側部材は、前記対象の血管から除去するために、その前記少なくとも1つの引裂継ぎ目に沿って分割される、
血管内送達システム。
【請求項2】
前記内側部材の前記近位端に固定される内側部材ハブと、
前記外側部材の前記シースルーメンの前記近位端に固定される分割可能な外側部材ハブであって、前記分割可能な外側部材ハブが、外側部材ハブ壁によって構成される長尺本体と、前記長尺本体に取り付けられて前記長尺本体から反対方向に延在する一対の翼部材とを有し、前記分割可能な外側部材ハブ壁には、前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体の近位端と遠位端との間で前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体の前記分割可能な外側部材ハブ壁に沿って長手方向に延在する少なくとも1つの引裂溝が形成され、前記分割可能な外側部材ハブの前記少なくとも1つの引裂溝が、前記分割可能な外側部材の前記外側送達シースの前記少なくとも1つの引き裂き継ぎ目と位置合わせされ、前記少なくとも1つの引裂溝が閉じられるときに前記分割可能な外側部材ハブが閉鎖形態をとり、前記少なくとも1つの引裂溝が開放されるときに外側部材ハブが分割形態をとる、分割可能な外側部材ハブと、
を更に備え、
前記相互接続機構は、前記外側部材に対する前記内側部材の変位を防止又は許容するために、前記内側部材ハブと前記分割可能な外側部材ハブとの間の相互関係によって構成され、
前記係合解除動作モードにおいて、前記外側部材ハブは、その前記少なくとも1つの引裂溝に沿って分割される、
請求項1に記載の血管内送達システム。
【請求項3】
前記外側部材シャフトは、その前記シースルーメンの前記近位端と遠位端との間で前記外側部材シャフトの長さに沿って延在する補強構造体と、前記外側部材シャフトを包囲する可撓性封入シースと、前記外側部材シャフトの前記少なくとも1つの引裂継ぎ目と位置合わせして前記可撓性封入シース内に封入される引裂ワイヤとを含む、請求項1に記載の血管内送達システム。
【請求項4】
タブと、前記タブに取り付けられるC字形ばねワイヤ部材とを伴って構成されるとともに、前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体を前記閉鎖形態に維持するために、前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体の前記近位端で前記分割可能な外側部材ハブに取り外し可能にスナップ留めされるように構成される引き剥がしワイヤタブ部材を更に含む、請求項3に記載の血管内送達システム。
【請求項5】
前記引裂ワイヤは、前記引き剥がしワイヤタブ部材に取り付けられる近位端を有し、前記分割可能な外側部材及び分割可能な外側部材ハブの前記閉鎖形態において、前記引裂ワイヤは、前記分割可能な外側部材ハブの前記少なくとも1つの引裂溝内及び前記分割可能な外側部材の前記少なくとも1つの引裂継ぎ目内で延在し、
前記分割可能な外側部材及び前記分割可能な外側部材ハブは、前記分割可能な外側部材ハブから前記引き剥がしワイヤタブ部材を係合解除することによって前記閉鎖形態から前記分割形態に変換され、前記分割可能な外側部材ハブの前記少なくとも1つの引裂溝が開き、前記少なくとも1つの引裂継ぎ目に沿って前記分割可能な外側部材の前記封入シースが引き裂かれる、
請求項4に記載の血管内送達システム。
【請求項6】
前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体は、前記外側部材ハブ壁によって画定される内部チャネルと、該内部チャネルに組み込まれる分割可能な止血弁を収容する近位部分とを含み、前記分割可能な止血弁は、弁壁と、前記分割可能な外側部材ハブの前記内部チャネルと連通する前記壁によって形成される長手方向チャネルとを有する円筒体を伴って構成され、前記分割可能な止血弁の前記円筒体の前記弁壁には、その厚さを貫通して前記壁に沿って延在する少なくとも1つの弁溝が形成され、前記少なくとも1つの弁溝は、前記分割可能な外側部材ハブの前記少なくとも1つの引裂溝に沿って位置合わせして延在し、前記止血弁は、前記分割可能な外側部材ハブが分割されるときに分割形態をとる、請求項5に記載の血管内送達システム。
【請求項7】
前記分割可能な外側部材ハブの前記翼部材の少なくとも一方に結合されるサイドポート可撓性管を介して、前記分割可能な外側部材ハブ内に設置される前記分割可能な外側部材の前記近位端に流体結合されるサイドポートストップコックサブシステムを更に含む、請求項6に記載の血管内送達システム。
【請求項8】
前記外側部材シャフトの前記補強構造体は、スパイン構造体に結合されて前記外側シャフト部材の長さに沿って互いに離間した相互関係で配置される複数のC字形リングを含み、前記C字形リングのそれぞれが開口を有し、前記複数のC字形リングの前記開口は、互いに位置合わせされるとともに、前記外側部材シャフトの前記少なくとも1つの引裂継ぎ目と一致し、前記引裂ワイヤは、前記複数のC字形リングの前記位置合わせされた開口に配置される、請求項3に記載の血管内送達システム。
【請求項9】
前記内側部材の前記長尺本体は、その遠位端で前記テーパ状遠位チップに結合される補強シャフトと、前記テーパ状遠位チップから所定の距離で前記内側部材の前記補強シャフトに同軸関係で取り付けられるテーパ状要素とを有し、前記テーパ状要素は、遠位端直径を有する遠位端と、近位端直径を有する近位端と、前記テーパ状要素の前記遠位端と近位端との間にランディングゾーン直径を有するランディングゾーンとを有し、
前記テーパ状要素の前記遠位端直径及び近位端直径は、前記内側部材の前記補強シャフトの直径に実質的に等しく、前記ランディングゾーンの前記外径は、前記遠位端直径及び近位端直径を超えて、前記分割可能な外側部材シャフトの前記シースルーメンの前記遠位端における前記テーパ状外側チップの内径に実質的に等しく、
前記係合動作モードにおいて、前記内側部材の前記テーパ状要素の前記ランディングゾーンは、前記分割可能な外側部材シャフトの前記外側部材シャフトルーメンの前記シースルーメンの前記テーパ状外側チップと、それらの間に実質的に継ぎ目のない滑らかな移行部を伴って協働する、
請求項1に記載の血管内送達システム。
【請求項10】
前記外側部材シャフトは、前記分割可能な外側部材シャフトの外周に沿って離間した少なくとも一対の平行な引裂継ぎ目を伴って構成され、前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体の前記外側部材ハブ壁は、前記外側部材シャフトの前記少なくとも2つの引裂継ぎ目と位置合わせして前記外側部材ハブ壁の外周に沿って離間した少なくとも2つの平行な引裂溝を伴って構成される、請求項2に記載の血管内送達システム。
【請求項11】
前記分割可能な止血弁の前記円筒体の前記弁壁は、前記分割可能な止血弁の前記円筒体の前記弁壁の外周に沿って離間した少なくとも2つの平行な弁溝を伴って構成される、請求項6に記載の血管内送達システム。
【請求項12】
前記内側部材ハブは、遠位部分、近位部分、及び前記遠位部分と前記近位部分との間の中央部分を伴って構成される内側部材ハブ長尺本体を有し、
前記遠位部分は、内面を有する内側遠位キャビティを画定する準円筒壁によって形成され、
前記内側部材ハブの長尺本体の前記近位部分及び中央部分は、前記内側部材ハブの近位ポートと前記内側部材ハブの前記遠位部分の前記内側遠位キャビティとの間で長手方向に延在する内部チャネルを有し、
前記内側部材の前記近位端は、前記内側遠位キャビティに沿って延在するとともに、前記内側部材ハブの前記内側チャネルに固定される、
請求項2に記載の血管内送達システム。
【請求項13】
前記分割可能な外側部材ハブの前記長尺本体は、外面を有する近位部分壁を有するとともに内面を有する内部チャネルを画定する近位部分を伴って構成され、
前記係合動作モードにおいて、前記分割可能な外側部材ハブの前記近位部分は、前記内側部材ハブの前記遠位部分の前記内側遠位キャビティ内にぴったりと受けられて固定される、
請求項12に記載の血管内送達システム。
【請求項14】
前記内側部材ハブは、遠位部分を伴って構成される内側部材ハブ長尺本体を有し、前記内側部材ハブ長尺本体の前記遠位部分が雄ルアーロックを伴って構成され、
前記システムは、雌ねじを有するとともに前記内側部材ハブの長尺本体の前記遠位部分の前記遠位部分上に外的に位置される回転ねじ付きカラーを更に備え、
前記雄ルアーロックは、前記回転ねじ付きカラーの前記雌ねじの第1の部分と協働する雄ねじを伴って構成される、
請求項2に記載の血管内送達システム。
【請求項15】
前記外側部材ハブは、内部外側部材ハブキャビティを画定して雄ねじを有する分割可能な近位雌型ルアーロックを伴って構成され、
前記内側部材ハブの前記雄ルアーロックは、前記内部外側部材ハブキャビティ内に受けられ、前記分割可能な外側部材ハブの前記雌ルアーロックの前記雄ねじが、前記回転ねじ付きカラーの前記内部部分の第2の部分と協働する、
請求項14に記載の血管内送達システム。
【請求項16】
前記分割可能な外側部材シャフトの前記補強構造体が複数の弓形リブを含み、各リブが第1の端部及び第2の端部を有し、前記複数の弓形リブは、前記外側部材シャフトの長さに沿って互いに離間した関係で位置されるとともに、スパイン構造体によって前記第1及び第2の端部の少なくとも一方に接続される、請求項3に記載の血管内送達システム。
【請求項17】
前記弓形リブの前記第1の端部が第1のスパイン構造体によって接続され、前記弓形リブの前記第2の端部が交互の順序で第2のスパイン構造体によって接続される、請求項16に記載の血管内送達システム。
【請求項18】
前記内側部材ハブの前記内側遠位キャビティの内面で環状に延在する環状溝と、前記内側部材ハブの前記環状溝と一致する関係で前記分割可能な外側部材ハブの前記近位部分壁の外面で延在する環状突起とを更に含み、
前記内側部材ハブと前記分割可能な外側部材ハブとの間の結合を高めるために前記環状突起が前記環状溝に係合する、
請求項13に記載の血管内送達システム。
【請求項19】
前記分割可能な外側部材ハブ上の前記翼は、前記分割可能な外側部材ハブ及び前記外側部材を分割するために互いに反対方向に角度をつけて又は直線的に変位される、請求項2に記載の血管内送達システム。
【請求項20】
治療用カテーテルの血管内送達のための方法において、
(a)血管内送達システムを組み立てるステップであって、前記血管内送達システムが、
近位端及び遠位端を有するシースルーメンを画定する可撓性の実質的に円筒状に輪郭付けられる分割可能で長尺な外側送達シースと、前記分割可能な外側送達シースの前記近位端に固定される分割可能な外側部材ハブとによって形成される分割可能な外側部材と、
その長手方向軸に沿って延在する内部チャネルを画定する長尺本体を有する内側部材であって、前記内側部材が、前記分割可能な外側部材の前記シースルーメンの内側に前記外側部材と引き込み可能な関係を成して位置され、前記内側部材が、テーパ状遠位チップと、前記内側部材の近位端に固定される内側部材ハブとを有する、内側部材と、
前記内側部材及び前記外側部材と動作可能に結合するように配置され、係合動作モード又は係合解除動作モードをとるように制御可能に作動される相互接続機構と、
を備え、
前記係合動作モードにおいて、前記血管内送達システムの前記内側部材及び前記外側部材が、血管内の制御可能な一体変位のために係合され、
前記係合解除動作モードにおいて、前記内側部材及び前記外側部材が、前記内側部材及び前記外側部材の互いに対する制御可能な変位のために係合解除される、ステップと、
(b)前記係合動作モードを確立するように前記相互接続機構を制御するステップと、
(c)ガイドワイヤを、前記ガイドワイヤの近位端が前記内側部材の前記近位端で前記内側部材の外側に延在し且つ前記ガイドワイヤの遠位端が前記内側部材の遠位端を越えて延在する状態で、前記内側部材の前記内部チャネルに沿って延在させるステップと、
(d)前記ガイドワイヤの前記遠位端を標的部位に向かって対象の血管内に前進させるとともに、前記係合動作モードにおいて、前記内側部材が前記ガイドワイヤに沿って摺動する状態で、前記血管内送達システムを前進させるステップと、
(e)前記係合解除動作モードを確立するように前記相互接続機構を制御するステップと、
(f)前記内側部材ハブを前記外側部材ハブから引き離すことにより、前記内側部材を前記外側部材から引き抜くステップと、
(g)血管の内側に残っている前記外側部材の前記外側送達シースの内側の前記標的部位に治療用カテーテルを前進させるステップと、
(h)前記外側送達シースを少なくとも1つの引裂継ぎ目に沿って分割することにより、前記外側送達シースの別個の部分を形成するステップと、
(i)前記治療用カテーテルから前記外側送達シースの前記別個の部分を引き裂き、前記治療用カテーテルの展開が達成されているときに血管から前記外側送達シースの前記別個の部分を除去するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月25日に出願された米国特許出願第17/304786号の継続出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療機器に関し、特に、心血管治療のための患者の身体内の様々な血管内の標的位置へのカテーテルの非侵襲的で迅速且つ効率的な送達及び留置のために設計された機器に関する。
【0003】
また、本発明は、患者の身体の冠静脈洞の分岐部などの二次及び三次血管構造を含む様々な血管への安全且つ簡単な送達及びアクセスのための強化されたガイド拡張システムに関する。
【0004】
更に、本発明は、心臓再同期療法を含む様々な治療処置、及び心不全の問題を伴う患者のための他の心臓管理方法論のための血管構造の複雑な解剖学的構造内の標的静脈セグメントへの、例えばペースメーカー電気リードなどのカテーテルの強化された送達のためのガイド拡張システムに関する。
【0005】
更に、本発明は、冠動脈の分岐部などの心臓脈管構造の屈曲部の周りの遠位位置へのペースメーカーリード(又は他の治療用カテーテル)の簡単で迅速且つ安全な送達が可能な、剥離可能な(分割可能な)外側カテーテル(シース)内に継ぎ目なく嵌合される内側カテーテルを有する強化されたオーバーザワイヤガイド拡張システムに関する。
【0006】
本発明は、更に、患者の体内の血管内で標的位置まで一緒に前進する内外結合カテーテルを伴って構成される強化ガイド拡張システムに関し、内側カテーテルは、心臓脈管構造を通って前進されるときに患者に対する外傷が少ない、血管にアクセスする容易さを改善できる様々な形態(例えば、直線状又は角状に曲がっている)を有し得る遠位マイクロカテーテルチップを伴って形成される。
【0007】
本発明は、特に、患者の心臓へのペースメーカーリードの効率的で安全な送達に関し、内側カテーテル及び外側カテーテルは、ガイドワイヤ上にわたって標的位置へと一緒に送達され、その後、外側カテーテル内から可撓性のテーパ状の内側カテーテルが除去され、外側カテーテルが、分割されてペースメーカーリードから剥がされるとともに、最も外傷性が低く簡単な態様で血管から容易に除去される。
【背景技術】
【0008】
心臓再同期療法は、心室同期不全と組み合わせて駆出率が低下した心不全患者の管理のための重要なツールになっている。同調の回復を達成するためには、心臓を右心室と左心室の両方から同時にペーシングし、遅延した心筋活性化の領域を動員することが必要である。この治療は、一般に、静脈系を通るペーシングリード(ペースメーカーリード)の通過を必要とする。
【0009】
ペースメーカーリードの通過は、上大静脈が右心房に直接通じた後に三尖弁を介して右心室に通じ、ペースメーカーリードがその心室の頂点に配置されるため、右心室(RV)に関しては容易である。
【0010】
左心室(LV)の場合、ペースメーカーリードの通過はより困難な手順である。LV通過技術では、ペースメーカーリードは、一般に、冠静脈洞(CS)を通って、左心室の心外膜表面に位置する心外膜静脈に前進する。CSオリフィスは、右心房の後中隔領域に位置する。冠静脈洞は、左心房と左心室との間の房室溝内を後方に延在する。
【0011】
CSの解剖学的構造は非常に可変的であり、6つの分枝の中央が左心室をCSに排出する。後外側静脈は、一般に、ペースメーカーリード展開のための部位として選択される。CS小孔にガイディングカテーテルが挿管された時点で、先端バルーン付き血管造影カテーテルをCS内に前進させることができ、その後、閉塞静脈造影を実行して、可能性のある静脈標的の選択を可能にする。
【0012】
複雑でない解剖学的構造では、冠動脈ガイドワイヤを使用して標的静脈セグメントにアクセスし、続いてオーバーザワイヤリードを分岐静脈内へ前進させることができる。しかしながら、リードの前進を妨げる解剖学的課題にしばしば遭遇する。解剖学的課題は、小口径静脈、静脈分枝の角形成又は蛇行、又は狭窄静脈分枝に関連する。これらの技術的課題に起因して、経静脈CSリードの移植失敗率は、約10%もの高さとなる場合があり、6%もの高さとなり得るリード離脱率を考慮すると、更に高くなり得る。
【0013】
これらの技術的課題は、LVリードを完全に配置することができない(処置が失敗する)こと、リードを準最適な位置に配置すること、又はリードを不安定な位置に固定することをもたらす可能性がある。これは、無効な再同期をもたらすだけでなく、例えば、横隔神経の意図しない刺激などの不都合な効果をもたらす可能性もある。
【0014】
これらの問題に対処するために、ペースメーカーリードをその意図された位置に前進させるのを支援するための幾つかの特殊な機器及び技術が開発されている。これらの技術は、例えば、静脈セレクタと呼ばれる様々な形状及び構成の角度付けされた予備成形マイクロカテーテルの使用を含むことができる。静脈セレクタは、遠位側に前進して、対象の分岐部と係合する。
【0015】
次いで、ガイドワイヤを対象の分岐部に向けることができる。ガイドワイヤが所定位置にある場合であっても、多くの場合、CSシースを係合解除する(又は外す)ことなくオーバーザワイヤリードを前進させることは不可能であり得る。この問題を克服するために、第2のワイヤ(「バディ」)ワイヤを配置して更なる支持を与えることができる。逆に、伸縮性カテーテルは、予め成形されたカテーテルと共に使用され、分岐部内に前進させることができる。予め成形されたカテーテルが取り外されると、ペーシングリードを伸縮性カテーテルの内部で選択された分岐部へと前進させることができる。
【0016】
例えば、アンチドロミックスネア技術を含む、特に困難な解剖学的構造のための更に複雑な技術が開発されている。この技術は、標的分岐部と側枝形成する分岐部において親水性血管形成ワイヤを前進させ、続いて、側枝部を通って標的分岐部にワイヤを前進させることを含む。次いで、親水性血管形成ワイヤの端部は、CSシースを通じてスネアに引っ掛けられ、外部に出される。これにより、極めて剛性の「レール」が伸縮性ガイドカテーテルを前進させることができる。
【0017】
これらの様々な技術を使用すると、良好で最適なリード配置が改善され、リード配置の失敗は安全に約8.1%から1.9%に減少し、最適なリード配置率は約75%から87%に改善された。
【0018】
しかしながら、これらの操作がより複雑で侵襲的になるにつれて、処置時間が著しく増加し、重大な合併症が発生する可能性がある。遠位分岐部におけるCSシースの操作は、結果として生じる心膜液及びその後のタンポナーデを含む血管壁の切開及び穿孔さえももたらし得る。また、カテーテル操作は、伝導に影響を及ぼし、右束分岐ブロックをもたらし得る。
【0019】
これらの心臓療法を受けている患者の大部分は根底にある左束分岐ブロックを有するため、処置のこれらの合併症は、特に駆出率が低下した患者では忍容性が低いことが多い完全な心臓ブロック又は心室停止をもたらす可能性がある。
【0020】
更に、処置時間が長くなると、CSガイド(又は伸縮性)カテーテル内に血栓症が生じる可能性がある。これにより、標的分岐部の遠位塞栓形成及び閉塞という結果が生じ得る。
【0021】
図1A~
図1Bを参照すると、ペースメーカーリードの送達のための従来技術のガイド拡張システム10は、内側部材(本明細書では内側カテーテルとも呼ばれる)12及び外側カテーテル(本明細書では外側部材とも呼ばれる)14を含む。内側カテーテル12は、遠位端16、中間セクション18、及び近位セクション20を有する。外側部材(カテーテル)14は、遠位端22、近位端24、及び外側カテーテル14の遠位端22と近位端24との間で延在するシース26を有する。外側カテーテルハブ28が外側カテーテル14の近位端24に位置される。近位ハブ30が内側カテーテル12の近位セクション20に位置される。
【0022】
図1Aに示されるように、内側部材12及び外側部材14のロック位置では、内側カテーテル12の中間セクション18が外側カテーテル14の内側に位置される。ロック位置では、外側カテーテルハブ28及び内側カテーテルハブ30がスナップ留めされて一緒にロックされる。
図1Bに示されるように、ハブ28、30が切り離されると、内側カテーテル12のハブ30が外側カテーテルのハブ28から引き抜かれ、内側カテーテル12を外側カテーテル14から取り外すことができる。
【0023】
外側カテーテルハブ28は、溝38に沿って開口する剥離ハブである。外科処置中に、外側カテーテル14が剥離ハブ28から解放される場合、外科医は、矢印44及び46に沿って翼部40-42を角度をもって変位させて、ハブ28を溝38に沿って分割することができる。この動作により、外側部材剥離ハブ28が開き、外側カテーテル14の近位端24が解放され、外側カテーテル14が外側カテーテルハブ28から離脱する。
【0024】
外科的処置中、ガイドワイヤが、患者の身体の脈管構造を通って標的部位に向かって前進され、
図1A~
図1Bに示されるシステム10は、ガイドワイヤ上にわたって前進され、内側カテーテルがガイドワイヤに沿って標的側に摺動する。処置のこの段階では、システムが
図1Aに示される動作のロックモードにある。
【0025】
内側カテーテル12の柔軟な遠位チップ50が標的部位に到達すると、システムのロックを解除することができ、外側部材14は、内側部材12に沿って遠位側に摺動して標的部位に到達することができる。このために、システムは、
図1Bに示されるように、内側部材ハブ30を外側部材ハブ28からスナップ解除することによってロック解除される。続いて、
図1Bに示されるように、内側カテーテル12を外側カテーテル14から解放して引き戻すことができる。続いて、ペースメーカーリードが、ハブ28の近位端を通じて外側カテーテルに挿入され、標的部位に送達するために外側カテーテル14の遠位端の遠位テーパ状柔軟チップを越えて外側カテーテル14内を前進する。
【0026】
ペースメーカーリードが標的部位に送達されると、外側部材ハブ28は、外科処置によって必要とされるように、溝38に沿って開かれ、脈管構造の解剖学的構造から取り外され得る。
【0027】
ペースメーカーリードの送達に関連する複雑さ及び困難さに起因して、また、心臓関連技術の進歩にもかかわらず、患者の身体の複雑な解剖学的構造へのペースメーカーリードの容易で迅速で安全な送達を行なう改善されたペースメーカーリード送達システム及び技術に対する強い必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0028】
したがって、本発明の目的は、患者の心臓脈管構造の複雑な解剖学的構造におけるペースメーカーリードを含む、様々なカテーテルの最適な配置を伴う迅速で容易且つ安全な送達のためのガイド拡張システムを提供することである。
【0029】
更なる目的は、小口径静脈、静脈分枝部の角形成又は蛇行、又は狭窄静脈分枝部を介したペースメーカーリード前進中に遭遇する解剖学的課題を克服することができるガイド拡張システムを提供することである。
【0030】
本発明の他の目的は、直線状又は成形された(フック状の)マイクロカテーテル遠位チップを伴う内側カテーテルを有するオーバーザワイヤガイド拡張システムであって、ロックされた内側カテーテル及び外側カテーテルが心臓脈管構造内で一緒に前進し、それにより、外側カテーテルが内側カテーテル上にわたって標的部位まで摺動し、内側カテーテルが除去される、剥離金属補強外側カテーテルに継ぎ目なく嵌合するオーバーザワイヤガイド拡張システムを提供することである。このようにして、ペースメーカーリードは、外側カテーテル内の標的部位に送達され、外側カテーテルが分割されて血管から取り外すためにリードから剥がされる。
【0031】
一態様において、本発明は、対象の血管内の標的部位への治療用カテーテル(例えば、ペースメーカーリード)の効率的な送達のために構成される血管内送達システムを扱う。システムは、シースルーメンを画定する長尺な外側送達シースを形成する可撓性の実質的に円筒状に輪郭付けられた壁を有するように構成される分割可能な外側部材を有する。シースルーメンは、近位端と遠位端とを有し、外側部材シャフトが近位端と遠位端との間で延在する。外側部材シャフトは、シースルーメンの遠位端にあるテーパ状外側チップと、シースルーメンの近位端と遠位端との間で外側部材の円筒状に構成された壁に沿って長手方向に延在する引裂継ぎ目(又は複数の引裂継ぎ目)とを伴って構成される。
【0032】
外側部材は、引裂継ぎ目が無傷であるときに閉鎖形態をとり、引裂継ぎ目が開放されるときに分離形態成を有する。
【0033】
本システムは、内側部材の長尺本体の長手方向軸に沿って延在する内部チャネルを画定する内側部材壁によって形成される連続した一体の長尺本体を有する継ぎ目のない内側部材を更に含む。内側部材は、外側送達シースと制御可能な関係で外側部材のシースルーメンに取り外し可能に受けられ、シースルーメンに沿って内部に延在する。内側部材は、近位端と、外側送達シースの遠位端を越えてガイドワイヤに沿って変位可能なテーパ状遠位チップと、内側部材の近位端に固定された内側部材ハブとを有する。
【0034】
本システムは、外側部材のシースルーメンの近位端に固定された分割可能な外側部材ハブを伴って更に構成される。外側部材ハブは、ハブ壁によって構成される長尺本体と、長尺本体に取り付けられて反対の横方向に延在する一対の翼部材とを有する。
【0035】
ハブ壁には、外側部材ハブの長尺本体の近位端と遠位端との間で外側部材ハブの長尺本体のハブ壁に沿って長手方向に延在する引裂溝(又は複数の引裂溝)が形成される。外側部材ハブの引裂溝は、外側部材の外側送達シースの引裂継ぎ目と実質的に位置合わせして位置される。
【0036】
動作中、外側部材ハブは、閉鎖形態(引裂溝が閉鎖されるとき)及び開放構成(引裂溝が開放されるとき)のいずれかをとることができる。
【0037】
本システムは、内側部材及び外側部材と動作可能に結合して配置される相互接続機構を伴って更に構成される。相互接続機構は、係合動作モード又は係合解除動作モードのいずれかで血管内送達システムを間欠的に動作させるように制御可能に作動される。
【0038】
相互接続機構は、内側部材ハブ及び分割可能な外側部材ハブを含み、内側部材ハブと分割可能な外側部材ハブとの間の相互関係によって動作して、外側部材に対する内側部材の変位を防止又は許容する。
【0039】
係合動作モードにおいて、血管内送達システムの内側部材及び外側部材は、ガイドワイヤに沿った制御可能な共通の変位のために係合され、係合解除動作モードにおいて、内側部材及び外側部材は、外側部材からの内側部材の引き込みのために係合解除される。
【0040】
内側部材が外側部材から引き込まれると、ペースメーカーリードは、外側部材ハブの本体の近位端にあるポートを通じて外側部材のシースルーメンに導入され、心臓治療のために標的部位に至ることができる。患者の体内にペースメーカーリードを展開した後、外側部材をペースメーカーリードから剥がすことができる。これを達成するために、外側部材及び外側部材ハブは、対象の血管から取り外すために、外側部材の引裂継ぎ目及び外側部材ハブの引裂溝に沿って分割される。
【0041】
外側部材及び外側部材ハブを分割するために、外科医は、外側部材ハブ上の翼部材を操作して、翼部材を反対方向に角度をつけて又は直線的に変位させる。この動作により、外側部材及び外側部材ハブが、それぞれ1つ、2つ又はそれ以上の引裂継ぎ目/引裂溝に沿って分割される。
【0042】
好ましくは、外側部材シャフトは、近位端と遠位端との間で外側部材シャフトの長さに沿って延在する補強構造体を含む。外側部材シャフトは、補強構造体と共に、可撓性封入シース内に封入される。引裂ワイヤが、外側部材シャフトの引裂継ぎ目と位置合わせして可撓性封入シース内に封入される。
【0043】
本血管内送達システムは、タブと、タブに取り付けられるC字形ばねワイヤ部材とを伴って構成されるとともに、外側部材ハブの長尺本体を閉鎖形態に維持するために外側部材ハブの前記長尺本体の近位端で外側部材ハブにスナップ留めされる引き剥がしワイヤタブ部材を更に含む。
【0044】
引裂ワイヤは、引き剥がしワイヤタブ部材に取り付けられる近位端を有する。外側部材及び外側部材ハブの閉鎖形態において、引裂ワイヤは、外側部材の可撓性封入シース内に封入され、外側部材ハブの引裂溝内及び外側部材の引裂継ぎ目内で延在するが、外側部材及び外側部材ハブの開放形態では、引き剥がしワイヤタブ部材が外側部材ハブから係合解除(持ち上げ)され、結果として、外側部材の封入されたシースから及び外側部材ハブの引裂溝から引裂ワイヤが除去される。この作用は、引裂溝に沿った外側部材ハブの分割及び引裂継ぎ目に沿った外側部材の封入シースの引き裂きを引き起こし、したがって、引裂継ぎ目に沿った外側部材の分離(分割)及び引裂溝に沿った外側部材ハブの分割をもたらす。
【0045】
好ましくは、外側部材ハブの長尺本体は、ハブ壁によって画定される内部チャネルと、分割可能な止血弁を内部に収容する近位部分とを含む。止血弁は、弁壁と、弁壁によって形成されて外側部材ハブの内部チャネルと連通する長手方向チャネルとを有する円筒体を伴って構成される。止血弁の円筒体の弁壁には、その厚さ全体にわたって弁壁に沿って延在する少なくとも1つの弁溝が形成される。弁溝は、外側部材ハブの引裂溝に沿って且つ引裂溝と位置合わせして延在する。止血弁は、外側部材ハブがその引裂溝に沿って分割されるときに分割形態をとることができる。
【0046】
本血管内送達システムは、外側部材ハブの翼部材の少なくとも一方に結合され得るサイドポート可撓性管を介して外側部材ハブ内に設置された外側部材の近位端に流体結合されるサイドポートストップコックサブシステムを更に含む。外科的処置の要件に応じて、血液、生理学的溶液などを含む流体、又は外側部材を通るガスの流れを調整/停止するための単一ポート又は複数ポートの弁(又は蛇口)であり得るストップコックを使用することができる。
【0047】
外側部材シャフトの補強構造体は、例えば、スパイン構造体に結合されて外側シャフト部材の長さに沿って互いに離間した関係で配置される複数のC字形リングを伴って、多数の代替形態で構成されてもよい。C字形リングのそれぞれは、他のC字形リングの開口と位置合わせされて外側部材シャフトの引裂継ぎ目と一致する開口を有することができる。引裂ワイヤは、複数のC字形リングの位置合わせされた開口に位置されてもよい。
【0048】
内側部材の長尺本体は、テーパ状遠位チップに遠位端で結合される補強シャフトと、テーパ状遠位チップから予め選択された距離を隔てて補強シャフトに同軸関係を成して取り付けられるテーパ状要素とを有することができる。内側部材のテーパ状要素は、遠位端直径を有する遠位端と、近位端直径を有する近位端と、テーパ状要素の遠位端と近位端との間にランディングゾーン外径を有するランディングゾーンとを有する。遠位端直径及び近位端直径は、内側部材の補強シャフトの直径に実質的に等しく、一方、ランディングゾーン外径は、遠位端直径及び近位端直径を超え、外側部材シャフトのシースルーメンの遠位端におけるテーパ状外側チップの内径に実質的に等しい。係合動作モードにおいて、内側部材上のテーパ状要素のランディングゾーンは、外側部材シャフトの外側部材シャフトルーメンのシースルーメンのテーパ状外側チップの内側に位置され、それらの間には実質的に継ぎ目のない連続的な滑らかな移行部が形成される。
【0049】
本血管内送達システムの別の実施態様において、外側部材シャフトは、外側部材シャフトの外周に沿って角度を付けて離間した少なくとも一対の平行な引裂継ぎ目を伴って構成される。同様に、外側部材ハブの長尺本体のハブ壁は、前記ハブ壁の外周に沿って角度を付けて離間されるとともに外側部材シャフトの少なくとも2つの引裂継ぎ目と位置合わせして配置される少なくとも2つの平行な引裂溝を伴って構成される。
【0050】
この実施形態において、分割可能な止血弁の円筒体の弁壁は、分割可能な止血弁の円筒体の弁壁の外周に沿って角度をつけて離間された少なくとも2つの平行な弁溝を伴って構成される。
【0051】
内側部材ハブは、遠位部分、近位部分、及び遠位部分と近位部分との間の中央部分を有する内側ハブ長尺本体形態を有する。遠位部分は、内面を有する内側部材ハブの内側遠位キャビティを画定する準円筒壁によって形成される。近位部分及び中央部分は、内側部材ハブの近位ポートと内側部材ハブの遠位部分の内側遠位キャビティとの間で長手方向に延在する内部チャネルを有する。内側部材の近位端は、内側部材ハブ内の内側遠位キャビティに沿って延在し、内側部材ハブの内側チャネルに固定される。
【0052】
一実装態様において、外側部材ハブの長尺本体は、外面を有する近位部分壁を有するとともに内面を有する内部チャネルを画定する近位部分を伴って構成されてもよい。
【0053】
係合動作モードにおいて、外側部材ハブの近位部分は、内側部材ハブの遠位部分の内側遠位キャビティ内に連続的にぴったりと受けられる。
【0054】
内側部材と外側部材ハブとの間の確実な結合をもたらすために、内側部材ハブの内側遠位キャビティの内面で環状に延在する環状溝が形成されてもよい。内側部材ハブの環状溝と協働関係を成して外側部材ハブの近位部分壁の外面で延在する適合する環状リング突起が形成されてもよい。環状リング突起は、内側部材ハブと外側部材ハブとの間の結合を支持するために環状溝にスナップ留めする。
【0055】
本システムの別の実装態様において、部材ハブは、雄ルアーロックとして構成される遠位部分と、近位部分と、雌ねじを有して内側部材ハブの長尺本体の遠位部分の遠位部分に外的に位置される回転ねじ付きカラーとを伴う内側部材ハブ長尺本体形態を有することができる。内側部材ハブの雄ルアーロックは、回転ねじ付きカラーの雌ねじの第1の部分と協働する雄ねじを伴って構成されてもよい。
【0056】
この実装態様において、外側部材ハブは、外側部材ハブの内部キャビティを画定して雄ねじを有する分割可能な近位雌型ルアーロックを伴って構成されてもよい。内側部材ハブの雄ルアーロックは、外側部材ハブの雌ルアーロックの雄ねじが回転ねじ付きカラーの内部部分の第2の部分と協働する状態で、部材ハブの内部キャビティ内に受け入れられている。
【0057】
本血管内送達システムの更に他の別の実施形態において、外側部材シャフトの補強構造体は、複数の弓形リブを含むことができ、各弓形リブが第1の端部及び第2の端部を有し、複数の弓形リブは、外側部材シャフトの長さに沿って互いに離間した関係を成して位置され、スパイン構造体によって第1及び第2の端部の少なくとも一方に接続される。前記リブの第1の端部は、第1のスパイン構造体によって接続されてもよい。
【0058】
他の態様において、本発明は、治療用カテーテルの血管内送達のための方法を扱い、該方法は、
(a)血管内送出システムを構築するステップであって、血管内送出システムが、
近位端及び遠位端を有するシースキャビティを画定する可撓性の実質的に円筒状に輪郭付けられる分割可能で長尺な外側送達シースと、分割可能な外側送達シースの近位端に固定される外側部材ハブとによって形成される分割可能な外側部材と、
内側部材であって、該内側部材の長手方向軸に沿って延在する内部チャネルを画定する長尺本体を有し、内側部材が外側部材のシースルーメン内で変位可能である、内側部材と、
内側部材及び外側部材と動作可能に結合するように配置され、係合動作モード又は係合解除動作モードで血管内送達システムを動作させるように制御可能に作動される相互接続機構と、
を含む、ステップと、
(b)係合動作モードを確立するように相互接続機構を制御するステップと、
(c)ガイドワイヤを、該ガイドワイヤの近位端が内側部材の近位端の外側に延在し且つガイドワイヤの遠位端が内側部材の遠位端を越えて延在する状態で、内側部材の内部チャネルに沿って延在させるステップと、
(d)ガイドワイヤの前記遠位端を標的部位に向かって対象の血管内に前進させるとともに、係合動作モードにおいて、ガイドワイヤに沿って血管内送達システムを前進させるステップと、
(e)係合解除動作モードを確立するように相互接続機構を制御し、外側部材を内側部材に沿って標的部位へと摺動させるステップと、
(f)内側部材を外側部材から引き抜くステップと、
(g)血管内に残っている外側部材の外側送達シースの内側の標的部位に治療用カテーテルを前進させるステップと、
(h)外側送達シースを引裂継ぎ目に沿って分割するステップと、
(i)治療用カテーテルの展開が達成されているときに血管から分割された外側送達シースを除去するステップと、
を含む。
【0059】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、特許図面及び好ましい実施形態の詳細な説明と併せて解釈すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1A】そのロックされた血管内送達形態の従来技術のシステムを表わす。
【
図1B】そのロックされていない形態の従来技術のシステムを表わす。
【
図2】片側引き剥がし実装における本血管内送達システムを表わす。
【
図3】分解状態の引き剥がし外側部材ハブ及び引き剥がしワイヤタブの近位セクションを示す。
【
図4A】本システムの片側引き剥がし実装を表わしており、外側部材片側引き剥がしハブに結合された内側部材ハブを詳しく示す。
【
図4B】本システムの片側引き剥がし実装を表わしており、
図4Aのシステムの断面を示す。
【
図4C】本システムの片側引き剥がし実装を表わしており、引き剥がしワイヤタブを示す。
【
図4D】本システムの片側引き剥がし実装を表わしており、一体型の分割可能な止血弁を有する外側部材片側引き剥がしハブの断面を示す。
【
図4E】本システムの片側引き剥がし実装を表わしており、一体型/分割可能止血弁を示す。
【
図5A】本システムの片側引き剥がし実装の遠位セクションを詳しく示しており、内側部材の遠位チップを示す。
【
図5B】本システムの片側引き剥がし実装の遠位セクションを詳しく示しており、外側部材と内側部材との間の継ぎ目のない移行部を示す。
【
図5C】本システムの片側引き剥がし実装の遠位セクションを詳しく示しており、外側部材の補強シャフトを示す。
【
図5D】本システムの片側引き剥がし実装の遠位セクションを詳しく示しており、線D-Dに沿った
図5Cの補強シャフトの遠位セクションの断面を示す。
【
図7A】分割可能なルアーロックを有する本システムの両側剥離実装を示しており、組み立てられたシステムを示す。
【
図7B】分割可能なルアーロックを有する本システムの両側剥離実装を示しており、分割可能な外側部材の分割可能なルアーロックを詳しく示す。
【
図7C】分割可能なルアーロックを有する本システムの両側剥離実装を示しており、
図7Aの組み立てられたシステムの長手方向断面図を示す。
【
図8A】本システムの両側剥離型実装の分割可能なルアーロックを詳細に示しており、近位分割可能ルアーロックの近位端を示す。
【
図8B】本システムの両側剥離型実装の分割可能なルアーロックを詳細に示しており、近位分割可能ルアーロックの切断構造を詳細に示す。
【
図9】本システムの両側剥離実装の分割された外側部材ハブを詳細に示す。
【
図10A】一体型HVAを有する本システムの両側剥離実装を示しており、システムの近位端の外観図である。
【
図10B】一体型HVAを有する本システムの両側剥離実装を示しており、一体型2部品/分割止血弁を有する
図10Aの断面図である。
【
図10C】一体型HVAを有する本システムの両側剥離実装を示しており、内側部材が取り外された外側部材ハブの近位端の断面図を示す。
【
図10D】一体型HVAを有する本システムの両側剥離実装を示しており、2部品/分割止血弁の詳細を示す。
【
図11A】本システムの両側剥離実装の遠位チップを表わしており、内側部材の遠位チップを示す。
【
図11B】本システムの両側剥離実装の遠位チップを表わしており、外側部材と内側部材との間の継ぎ目のない移行部を示す。
【
図11C】本システムの両側剥離実装の遠位チップを表わしており、外側部材の補強シャフトのテーパ状遠位チップを示す。
【
図11D】本システムの両側剥離実装の遠位チップを表わしており、線D-Dに沿う
図11Cの断面図である。
【
図12A】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、補強シャフトの両側でスパインに接続されたリブの概略図を示す。
【
図12B】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、補強シャフトの両側でスパインに接続されたリブの斜視図を示す。
【
図12C】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、補強シャフトの片側で単一のスパインに接続されたリブの概略図を示す。
【
図12D】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、補強シャフトの片側で単一のスパインに接続されたリブの斜視図を示す。
【
図12E】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、両側で交互の順番で接続されたリブの他の実装の概略図を示す。
【
図12F】本システムの両側剥離実装の補強シャフトを示しており、両側で交互の順番で接続されたリブの他の実装の斜視図を示す。
【
図13A】内側部材のスナップ嵌合ハブバージョンを示しており、内側部材の近位雌型ルアーロックに結合された内側部材を示す。
【
図13B】内側部材のスナップ嵌合ハブバージョンを示しており、内側部材の近位雌型ルアーロックの断面を示す。
【
図14A】本システムの内側部材のルアーロックロックハブの他の実装態様を示しており、内側部材のルアーロックロックハブを詳細に示す。
【
図14B】本システムの内側部材のルアーロックロックハブの他の実装態様を示しており、遠位雄ルアーロックロックカラー付き/回転カラーを伴う内側部材の近位雌ルアーロックの断面を示す。
【
図15A】内側部材遠位チップの変形例を示しており、90°の角度が付けられた内側部材チップを表わす。
【
図15B】内側部材遠位チップの変形例を示しており、120°の角度が付けられた内側部材チップを表わす。
【
図16A】本システムを使用して血管内にペースメーカーリードを挿入するための本外科プロセスを概略的に示す。
【
図16B】本システムを使用して血管内にペースメーカーリードを挿入するための本外科プロセスを概略的に示す。
【
図16C】本システムを使用して血管内にペースメーカーリードを挿入するための本外科プロセスを概略的に示す。
【
図16D】本システムを使用して血管内にペースメーカーリードを挿入するための本外科プロセスを概略的に示す。
【
図16E】本システムを使用して血管内にペースメーカーリードを挿入するための本外科プロセスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本システムは、ペースメーカーリードの効率的な送達のために設計される改良されたガイド拡張送達システムである。
図2~
図5Dを参照すると、本システム100は、内側部材(カテーテル)102及び外側部材(カテーテル)104を含む。
図2に示されるように、内側カテーテル102は、外側カテーテル104内に挿入され、外側カテーテル104からロック又はロック解除され得る。
【0062】
図2~
図3、
図4A~
図4E、及び
図5A~
図5Dには、本システム100の片側引き剥がし実装が示されており、内側カテーテル102は、遠位セクション106、中間セクション108、及び近位セクション110を有する。
【0063】
外側カテーテル104は、遠位端112、他のカテーテルシャフト114、及び近位端116を含み、外側カテーテル片側引き剥がしハブ118は、外側カテーテル104の近位端116に取り外し可能に取り付けられている。
【0064】
図3、
図4B~
図4Eに示されるように、外側カテーテル104の片側引き剥がしハブ120には止血弁122が組み込まれる。
【0065】
本システムは、手術部位への又は手術部位からの血液、生理学的溶液などの流体の流れを調整/停止するための弁であるサイドポートストップコック124を更に含む。
【0066】
サイドポートストップコック124は、可撓性管126を介して外側部材ハブ120に接続されるシングルポート構造体又はマルチポート構造体であってもよい。
【0067】
具体的には、ハブ120は、両側で延在する一対の翼部材128,130を伴って構成される。翼部材の一方は、翼部材128又は130の全長にわたって延在して管126の端部132に結合される内部導管131を有して形成される。この機構により、術部(外側部材104のルーメン)とサイドポートストップコック124とが流体的に連通される。
【0068】
管126の端部132は、ハブ120内に固定された外側カテーテル104の近位端116に接続される。サイドポートストップコック124は、処置中の流体の送達及び除去のために異なるシステムを結合するための複数の管接続部を有する。
【0069】
外側カテーテルシャフト114は、外側カテーテル104の遠位端112と近位端116との間で延在し、外側部材120の内部チャネル136内に固定される。内部チャネル136は、外側部材ハブ120の遠位端138と近位端140との間で延在する。
図4A~
図4Dに示されるように、外側カテーテル104の近位端116は、外側部材ハブ120の内部チャネル136内に固定される。
【0070】
外側部材ハブ120の近位端140において、止血弁122は外側部材ハブ120に組み込まれる。止血弁122の遠位端146は、外側カテーテル104の近位端116のチップ150に結合される。
図4Dに見られるように、止血弁122の近位端148は、外側部材ハブ120のポート141を構成する外側部材ハブ120の近位端140に近接して位置される。外側部材ハブ120は、ハブ120の準円筒体142を伴って構成される引裂溝152を有する。溝152は、ハブ本体142の遠位端146と近位端148との間で外側部材ハブ120の準円筒体142の壁144に沿って延在する。
【0071】
図2~
図3及び
図5C~
図5Dに見られるように、外側カテーテル104の外側カテーテルシャフト114は、遠位端112から近位端116まで外側カテーテルシャフト114の長さに沿って長手方向に延在する溝(又は引裂継ぎ目)154を有する。
【0072】
図4C~
図4Eに示されるように、止血弁122は、弁の壁162によって形成された円筒体160を有する。内部弁チャネル164は、弁122の遠位端146と近位端148との間のその全長に沿う止血弁122の円筒体160に沿って長手方向に延在する。
【0073】
弁122の円筒体160は、弁122の円筒体160の壁162の外面168から延在するタブ部材166を伴って構成される。
図4C及び
図4Eを参照すると、溝又は貫通チャネル170が、壁162及びタブ部材166の厚さを貫通して弁122の円筒体160の長手方向に延びて、開放チャネルをもたらす。溝170は、弁122の遠位端146から近位端148までの円筒体160の長さに対応する長さと、壁162の合計厚さ及びタブ部材166の高さに対応する深さとを有する。
【0074】
図4B及び
図4Dに示されるように、弁122は、弁122の近位端148が外側部材ハブ120の近位端140に近接した状態で外側部材ハブ120に組み込まれる。弁122の遠位端146は、外側カテーテル104の近位端116で近位チップ150に結合される。ハブ120内に組み込まれると、弁の溝170は、ハブ溝152と一致し、外側カテーテル引裂継ぎ目154と位置合わせされる。
【0075】
図2~
図3及び
図4A~
図4C及び
図4Dには、ばね状部材176と、接続要素180を介してばね状部材176に接続されたタブ178とが形成される引き剥がしワイヤタブ174が示される。ばね状部材176は、弾性があるとともに、外側部材ハブ120を「閉位置」に維持するためにハブ120にスナップ留めできるようにするのに十分な可撓性があるC字形ワイヤとして形成される。
【0076】
引き剥がしワイヤタブ174が外側部材ハブ120上に位置されると、C字形ばね状部材176は柔軟に変形して、ハブ120の近位部分190がアーム182及び184の端部間の空間192に入ることができるようにする。適所に位置された時点で、C字形ばね状部材176は、ハブ120の近位部分190を弾性的に取り囲み、したがってハブ120をその閉位置に維持する。
【0077】
引き剥がしワイヤタブ174のばね状部材176に取り付けられるタブ178には、タブ178がハブ120上に位置されるか又はそこから取り外されるときに外科医の指に摩擦把持障害を増大させるべく、タブ178の両側に形成された波形部194が成形される。
図2に示されるように、引き剥がしワイヤタブ174は、ばね状部材176が外側部材ハブ120の近位部分190を取り囲んだ状態で外側部材ハブ120に配置される。
【0078】
引き剥がしワイヤタブ174は、
図3及び
図4Cに見られるように、一端198によってタブ178に取り付けられる引裂コード196も有する。引き剥がしワイヤタブ174が外側部材ハブ120に固定されると、引裂コード196は、弁の溝170の遠位部分(
図5Cに示す)、ハブ溝152の一部(外側カテーテル104のチップ150と外側部材ハブ120の遠位端158との間)、並びに外側カテーテル溝154内に沿って、外側カテーテル104の遠位端112に向かって延在する。
図3に示されるように、引き剥がしワイヤタブ174を持ち上げてハブ120から取り外すと、引き剥がしワイヤタブ174を持ち上げることにより、止血弁122、外側部材ハブ120及び外側カテーテル104の外側部材シャフト114に形成された溝170,152,154からコード196が取り外される。引き剥がしワイヤタブ174がハブ120から取り外され、引裂コード196が外側部材ハブ120、外側カテーテル104、及び止血弁122の溝152,154及び170からそれぞれ取り外された状態で、外科医は、外側部材ハブ120の翼128及び130を方向202及び204(
図3)に押圧して、弁122、ハブ120、及び外側カテーテルのシャフト114がそれぞれの溝に沿って分割されるようにすることができる。このようにして、外側部材104は、外側カテーテル内に位置されるペースメーカーリードに影響を与えることなく、血管構造内から容易に取り外すことができる。
【0079】
引き剥がしワイヤタブ174をハブ120から取り外し、ハブ120、弁122、及び外側カテーテル104のシャフト114を開くことによる引裂コード196の取り外しに続いて、弁122のタブ部材166及び弁122の円筒体160の壁162は、溝170に沿って分割される。更に、ハブ120は、その溝152に沿って分割され、外側カテーテル104の外側シャフト114の壁206は、溝154に沿って分割される。そのような構成は、外科処置を単純化し、殆どの場合に極めて重要である処置中に外科医に単純化された時間節約の利点を与える。これは、外側カテーテルが外科処置中に引き抜かれるときに、脈管構造からの外側カテーテル104の容易で迅速且つ安全な除去をもたらす。
【0080】
図5A~
図5Bを参照すると、内側カテーテル102は、遠位セクション106にテーパ状の放射線不透過性遠位柔軟チップ210を有する。コイル及び/又は編組補強シャフト212が、
図5Aに示されるように、テーパ状の放射線不透過性遠位柔軟チップ210と内側カテーテル102の近位セクション110との間で延在する。
【0081】
可撓性テーパ状要素214が、内側カテーテル102の補強シャフト212上に位置される。テーパ状要素214は、「ランディングゾーン」216に向かってテーパ状になっている。ランディングゾーン216において、テーパ状要素214は、外側カテーテル104の遠位端112の内径に対応する外径を有する。
図5A~
図5Bに示されるように、内側カテーテル102のテーパ状要素214の最も広い部分の外径218と外側カテーテル104の遠位端112の内径220との一致は、内側カテーテル102と外側カテーテル104との間の接続部に継ぎ目のない移行部220をもたらす。
【0082】
図5Cに示されるように、外側カテーテル104の補強シャフト114は、外側カテーテル104の遠位端112にあるテーパ状の放射線不透過性遠位チップ224と、外側カテーテル104の補強シャフト114の長さに沿って延在する補強部材226とを有する。補強部材226には、例えば、コイル、ばね、編組、ネットなどの複数の要素228が形成され得る。例えば、
図5Cに示されるように、C字形弾性リング228が、リング228のアーム230,232間の開口234が互いに位置合わせされた状態で、補強シャフト114の長さに沿って離間した関係で互いに平行に配置される。外側カテーテル又は外側部材104が治療処置中に構造的完全性及び操作性を与えるために補強されることは重要である。補強構造体は、治療処置中に曲がりくねった経路を通る外側部材104の通過を可能にするための補強及び十分な可撓性を与える金属構造、プラスチック組成物又は何らかの同様の材料で形成された図示のC字形リング228などの補強タイプの構造体の使用によって達成することができる。
【0083】
図5Dには、補強シャフト114の断面が示されており、アーム228及び230がそれらの間に空間234を形成するばね232を示している。
図5Dにおいて、引裂コード196は、補強シャフト114のばね232の位置合わせされた開口234と一致する外側カテーテル溝154に沿って延在するように示される。
【0084】
補強シャフト114は、弾性プラスチックシース240内に封入される。引裂ワイヤ(コード)196は、外側カテーテル104の補強シャフト114の全長に沿って封入体240内に延在する。引き剥がしワイヤタブ174が外側部材タブ120から持ち上げられると、引裂ワイヤ196は封入シース240を切断し、補強シャフト114はその引裂継ぎ目152に沿って分割され得る。
【0085】
【0086】
本システム200の両側剥離実装は、内側部材(カテーテル)302と、外側部材(カテーテル)304と、外側部材(カテーテル)剥離ハブ306と、内側部材(カテーテル)スナップハブ308とを含む。本内側カテーテル302は、遠位セクション310と、近位セクション312(
図10Bに最も良く示される)と、内側カテーテル302の遠位セクション310と近位セクション312との間に延在する内側カテーテルシャフト314とを有する。内側カテーテルスナップハブ308は、内側カテーテル302の近位セクション312に位置される。
【0087】
【0088】
外側カテーテル306並びに外側カテーテル両側剥離ハブ324及び止血弁326(
図10B~
図10Cに示す)は、本システムの片側引き剥がし実装のものとは異なる形態を有する。
【0089】
外側部材(カテーテル)306は、遠位端316と、近位端318と、外側カテーテル304の遠位端316と近位端318との間に延在する外側カテーテルシャフト320とを含む。
【0090】
外側カテーテル304の近位端318に配置された外側カテーテルハブ324は、互いに約180°の角度で離間される外側カテーテルハブ324の本体330のハブ壁332を貫通して形成された2つの引裂継ぎ目334及び336を有するハブ壁332によって形成された準円筒体330を伴って設計される(本設計では、引裂継ぎ目334,336間の角度間隔が考慮されてもよいが)。
【0091】
図7B、
図8A~
図8B、及び
図9に最も良く示されるように、外側カテーテルハブ324は、引裂継ぎ目334及び336に沿って2つの対称な部分に分割され得る。具体的には、
図7B及び
図9に示されるように、外側カテーテルハブ324の本体330全体と共に外側カテーテルハブ324の本体330の近位端342に位置されるルアーロック340は、分割可能な構造である。
【0092】
図6に戻ると、外側カテーテルハブ324は翼部材344,346を有する。少なくとも1つのサイドポートストップコック348は、
図2、
図4A~
図4B、及び
図4Dに示される構成と同様に、サイドポート可撓性管350を介して外側カテーテル304の近位端318に結合される(
図10A~
図10Cに最も良く示される)。サイドポートストップコック348は、外科処置のために必要に応じて流体除去供給システムに接続するように機能する複数のポートを有する。
【0093】
図6、
図7A~
図7C、
図8A~
図8B、
図9、
図10A~
図10C、
図11A~
図11C、
図12A~
図12F、
図13A~
図13B、及び
図14A~
図14Bを参照すると、本システム200の両側剥離実装では、外側カテーテル304が半分に分割可能である。このために、外側カテーテル304は、外側カテーテル304の近位端318と遠位端316との間で延在する一対の溝(本明細書では引裂継ぎ目とも呼ばれる)360,362を有するその外側カテーテルシャフト320を伴って構成される。外側カテーテル304の近位端318は、外側カテーテルハブ324内に受けられる。外科処置によって必要とされるように、外側カテーテル304が脈管構造から取り外される場合、外側カテーテルハブ324の翼344及び346は、外科医によって反対方向364,366に変位される(
図9に最も良く示される)。結果として、外側カテーテルハブ324は、溝334及び336に沿って2つの半体に分離され、外側カテーテルのシャフト320は、外側カテーテル引裂継ぎ目360及び362に沿って2つの半体にそれぞれ分離される。
【0094】
外側カテーテルハブ324は、
図8A~
図8Bに最も良く示されるように、同様の形態を有して軸372及び軸374に対して対称である2つの成形部分368,370から構成され得る。外側カテーテルハブ324を形成するために、成形部分368及び370は、それらのそれぞれの縁部380及び382間、並びに縁部384及び386間に距離(
図8Aに示す)を伴って一緒にされ、ハブ324の一方側で縁部380及び382間に離間関係を形成し、ハブ324の他方側で縁部384及び386間に空間を形成する。これにより、外側カテーテル溝360(縁部384,386間)及び溝362(縁部380と縁部382との間)が形成される。成形部分368及び370は、(引裂継ぎ目360及び362を伴って)一緒にされると、外側カテーテル構造のための安定した可撓性の封入体を形成する可撓性エンベロープ390(
図11Dに最も良く示される)内に更に封入される。
【0095】
本システムの遠位部分を表わす
図11A~
図11Dを参照すると、内側カテーテル302の遠位部分は、コイル及び/又は編組補強シャフト314に取り付けられるテーパ状の放射線不透過性遠位チップ394と、内側カテーテルシャフト314の所定の選択可能な長さで延在するテーパ状要素396とを有することが分かる。テーパ状要素396は、内側カテーテル補強シャフト314の外径402から、外側カテーテル304の遠位端316の内径406に実質的に対応する直径404まで増大する直径を伴う第1の部分398を有する。
【0096】
直径404は、「ランディングゾーン」400に沿ってランディングゾーン400の端部408まで実質的に一定である。ランディングゾーン400から、テーパ状要素396は、テーパ状要素396の端部まで先細りになり、内側カテーテル302のコイル補強シャフト314の外径に対応する内径に戻る。
【0097】
図11Cを参照すると、外側カテーテル304は、テーパ状の放射線不透過性遠位チップ412と、外側カテーテルの補強シャフト320とを伴って構成される。
図11Cに示されるように、外側カテーテル304の補強シャフト320は、シャフト外側カテーテルシャフト320の各側においてその遠位端316と近位端318との間で長手方向に延在する外側カテーテル引裂継ぎ目360,362を伴って構築される(
図9、
図10B及び
図10Cに示される)。
【0098】
外側カテーテル304の補強シャフト320は、可撓性プラスチック封入層390に包囲される補強システム414(更なる段落で詳述する)を伴って製造される。
【0099】
本システム300の両側剥離実装の補強システム414は、例えば、
図12A~
図12Fに示されるように構成され得る。例えば、
図12A~
図12Bに示されるように、補強システム414は、リブの両側でスパイン418及び420に接続されて外側カテーテル補強シャフト320の長さに沿って対称的に位置されるリブ416として構成され得る。
図11Bに示されるリブ416は、互いに離間した関係で実質的に半円形(弓形)の形態を成して延在し、対向する端部でそれぞれのスパイン418又は420に接続される。接続形態にあるとき、補強半セクション415の両方の半体のスパイン418,420は、外側カテーテルシャフト320のそれぞれの溝(引裂継ぎ目)360,362(
図11Dにも示される)の形成を可能にするように離間される。
図5A~
図5Cに示される実施形態の場合のように、外側カテーテル又は外側部材304を補強して、治療処置中に構造的完全性及び操作性を組み合わせることが重要である。補強構造体は、
図12A~
図12B、
図12C~
図12D、及び
図12E~
図12Fにそれぞれ示される弓形に構成されたリブ416,424、及び432などの補強タイプの構造体を使用することによって達成することができる。リブ416,424及び432は、治療処置中に患者の血管内で遭遇する蛇行経路を通る外側部材304の通過を可能にする補強及び十分な可撓性を与える金属構造、プラスチック組成物又は何らかの同様の材料から形成されてもよい。補強構造体は、
図12A~
図12Fに示されるような異なる輪郭、又は他の同様の弓形の輪郭によって画定されてもよい。この実施形態において、スパイン418及び420,426並びに438及び440は、引裂継ぎ目360及び362の時期尚早な引き裂き又は裂けを打ち消すための構造的完全性を継ぎ目360及び362に与えるべく、それぞれの引裂継ぎ目360及び362と実質的に位置合わせして位置される。補強構造体は、治療処置中の向上した操作性を同時に可能にしながら、構造的完全性を与えるという全体的な概念を有する編組又はネットの形態で構成することができることを理解すべきである。
【0100】
図12C、
図12Dに示される他の実装態様において、補強半セクション422は、各リブ424の一端によって単一のスパイン426に接続されるリブ424を含む。
図11C~
図11Dに示される実装態様において、各リブ424は、一端がスパイン426に接続され、他端部428が切り離された湾曲した(弓形の)構造である。この構成では、外側カテーテル304の補強シャフト320を形成するとき、両方の補強半セクション422のスパイン426は、それらの間に引裂継ぎ目360の形成を可能にする空間を伴って互いに近接して位置される。他の引裂継ぎ目362は、引裂継ぎ目362の形成を可能にするように互いに離間されるリブ424の端部428によって形成される。
【0101】
図12E~
図12Fに示される更なる実装態様において、各補強半セクション430は、交互に両側で互いに接続されるリブ432を伴って構成される。具体的には、
図12Fに示されるように、各リブ432は両端部434,436を有する。端部434は、スパイン要素438を交互に接続することによって接続され、リブ432の端部436は、接続要素440によって交互に接続される。
図12E~
図12Fに示される2つの補強半セクション430が一緒になって補強外側カテーテルシャフト320を形成すると、接続要素438は、他の補強半セクション430の接続要素438に対して平行な関係で位置され、それらの間の距離は、外側カテーテル溝360を形成できるようにする。同様に、一方の補強半セクション430の接続要素440は、他方の(相補的な)補強半セクション430の対応する接続要素440と、それらの間に短い距離を伴って平行な関係にされ、それらの間に外側カテーテル引裂継ぎ目362を形成できるようにする。
【0102】
図12A~
図12Fに示される外側カテーテルシャフトのリング補強形態の実施形態は、典型的な実装態様であるが、外側カテーテルシャフト320で2つ(又はそれ以上)の引裂継ぎ目の形成を可能にする他の補強構造体が、本構造に適用可能であると考えられる。
【0103】
図10Bに示されるように、内側カテーテル302が外側カテーテル304内に挿入されると、接続態様では、内側カテーテルのテーパ状要素396が外側カテーテル304のテーパ状チップ412内に挿入され、内径406は、内側カテーテル302上のテーパ状要素396のランディングゾーン400の外径404に対応する。内側カテーテル392のランディングゾーン400におけるテーパ状要素396の直径が外側カテーテル304のテーパ状チップ412の内径406に対応するそのような構成は、構造の最適化された押し込み性のため、及び外科処置中の血管構造への外傷の低減のために、内側カテーテル302と外側カテーテル304との間の継ぎ目のない移行部450をもたらす。
【0104】
外側カテーテルハブ及び内側カテーテルハブは、「係合」又は「係合解除」動作モードのいずれかを達成するように外科医によって制御される相互接続機構を共に形成する。
【0105】
ここで
図2、
図4A~
図4B、
図6、
図7A、
図7C、
図10A~
図10Bを参照すると、内側カテーテルの近位部分は、内側カテーテルハブ460及び外側カテーテルハブ120を介して外側カテーテルの近位セクションに取り外し可能に結合される。例えば、
図2及び
図4A~
図4Bに示されるように、内側カテーテルハブ460は、近位端464及び遠位端466を有する長尺本体462を有する。内側カテーテルハブ460の近位端464は、(ガイドワイヤ474のための)ポート468を含み、該ポート468は、ハブの近位端464と遠位端466との間で延在して内側カテーテル102の近位端(セクション)110で終端してこれに接続される内側カテーテルハブ460の内部チャネル470への入口を形成する。
【0106】
動作時、ポート468、内部チャネル470、及び内側カテーテル102の内部ルーメンは、ガイドワイヤ474の通路として機能する。
【0107】
遠位端466において、内側カテーテルハブ460の長尺本体462は、準円筒部分又はセクション476を有し、その壁478は、内部トンネル480の壁478の内面の周りで環状に延在する円筒形の窪み482を伴う内部トンネル480を画定する。
【0108】
図4B及び
図4Dに示されるように、外側カテーテルハブ120の近位部分190の外面486には、円形の突起484が形成される。この実装態様では、内側カテーテルハブ460が雌型構造であり、外側カテーテルハブ120が雄型構造を形成する。雌型内側カテーテルハブ460がその遠位部分476において外側カテーテルハブ120の近位部分190を受けると、内側カテーテルハブ460の円形の窪み482は、外側カテーテルハブ120上の円形の突起484を受けてこれと一致し、ハブ120及び460の互いに対する確実なスナップ嵌合接続をもたらす。これにより、外科医が係合動作モードで両方のカテーテル102,104を一緒に操作することができるように、内側カテーテル102が外側カテーテル104に係合する。内側カテーテル102及び外側カテーテル104が互いに分離されるべきであるとき、内側カテーテルハブ460及び外側カテーテルハブ120が互いに変位され、それにより、システムは、特定の外科処置によって必要とされるように、その係合解除動作モードで動作することができる。
【0109】
引き剥がしワイヤタブ174は、外側カテーテルハブ120の近位部分190に配置されると、ハブ120、止血弁122、及び外側カテーテル104が分割されて切り取られるのを防止するロックされた動作モードをもたらす。
【0110】
図2、
図4A~
図4Bに示されるように、動作時、内側カテーテルスナップハブ460は、外側カテーテルハブ120の近位セクション190にスナップ留めされ、引き剥がしワイヤタブ174は、外側カテーテルハブ120の近位セクション190をロックする。外側カテーテルハブ120、外側カテーテル104、及び弁122は、外側カテーテル104内にロックされた内側カテーテル102と共に閉鎖(ロックされた)形態のままである。この形態において、内側カテーテル102の遠位セクション106は、外側カテーテル104の遠位部分112から延在し、それにより、外科医は、脈管構造内に位置されたガイドワイヤ474に沿ってロックされた形態でシステム100を脈管構造内に前進させることができる。内側カテーテル102は、外科処置によって必要とされるようにガイドワイヤ474に沿って摺動する。
【0111】
内側カテーテルハブ460は、テーパ状遠位柔軟チップ210(内側カテーテル102の遠位セクション106に位置される)と共に標的部位に送達されると、外側カテーテルハブ120から切り離され(スナップ留めされず)、内側カテーテルハブ460を外側カテーテルハブ120から引き離すことによって外側カテーテルハブ120から取り外され得る。脈管構造から内側カテーテル12を除去する前に、外側カテーテル104は、血管内の標的部位に更に向かって(及び/又はそれを超えて)内側カテーテル102に沿って遠位側に前進することができる。
図4Dは、内側カテーテル102を取り外した状態の外側カテーテルハブ120の断面を示す。
【0112】
内側カテーテル102を外側カテーテル104から取り外すと、ペースメーカーリード500(又は他の治療構造)を外側カテーテル104を通じて標的部位に送達することができる。
図3及び
図4Dに示されるように、ペースメーカーリード500は、弁122の内部チャネル164に入り、ハブ120の近位端140で、外側カテーテル104の内部ルーメン502に沿って標的部位に送達される。ペースメーカーリード(又は他の治療用カテーテル)500を標的部位に送達した後、脈管構造の組織に外傷を与えることなく、止血弁122と共に外側カテーテル104を脈管構造内から容易且つ迅速に取り外すことができる。このために、引き剥がしワイヤタブ174は、外側カテーテルハブ120の近位部分190から取り外される。引き剥がしワイヤタブ174は、外側カテーテルハブ120から持ち上げられると、引裂コード196を引っ張り、その結果、引裂コード196によって封入体230を切断する。続いて、ハブ120の翼128及び130は、外側カテーテルが溝152に沿って分割するように方向202,204に沿って角度をつけて変位される。また、弁122が溝170に沿って分割され、外側カテーテル104の外側シャフト114がその引裂継ぎ目154に沿って分割する。この構成は、ペースメーカーリード500及び脈管構造内からの弁122、外側カテーテルハブ120、及び外側カテーテル104の容易な取り外しを可能にする。
【0113】
本システム200の両側剥離実装では、
図6、
図10A~
図10B、及び
図13A~
図13Bに示されるように、内側カテーテルスナップハブ308が外側カテーテルハブ324とのスナップフィット接続をもたらす。
図6、
図10A~
図10B、及び
図13A~
図13Bに示されるスナップハブ308の実装は、
図2及び
図4A~
図4Bに示されるスナップ内側カテーテルハブ460の形態と同様である。しかしながら、この実装態様では、外側カテーテルハブ324が2つの溝334及び336に沿って分割される。
【0114】
図7A、
図7C、及び
図14A~
図14Bに示される更なる別の実施形態において、内側カテーテルハブ510は、近位セクション514と、回転ねじ付きカラー518との雄ルアーロック接続部(ロック)を形成する遠位セクション516と、を伴うハブ本体512を有する。
図7A~
図7Cに示される実装態様における外側カテーテルハブ520は、遠位部分524と、雄ねじ528を有する雌型ルアーロックとして構成される近位部分526と、を伴う本体522を有する。
【0115】
図7Cに示されるように、内側カテーテルハブ510の雄型ルアーロック(遠位セクション)516は、外側カテーテルハブ520の近位部分526(雌型ルアーロック)に受けられてこれと結合する。回転ねじ付きカラー518は、その雌ねじ形態530によって外側カテーテルハブ520及び内側カテーテルハブ510を外側カテーテルハブ520のルアーロック526の雄ねじ528と接続する。
図7A、
図7Cに示されるように、回転ねじ付きカラー518が内側カテーテルハブ510と外側カテーテルハブ520とを接続すると、内側カテーテル302は外側カテーテル304内にロックされ、処置のこの段階中、外科医は、内側カテーテルがガイドワイヤ474に沿って前進する状態で、内側カテーテル302と外側カテーテル304の両方をロック(係合)形態で操作することができる。
【0116】
図7A~
図7Cに示されるように、内側カテーテルハブ510の近位セクション514は、ガイドワイヤポートである近位ポート534で終端する内部チャネル532を有する近位雌ルアーロックである。ガイドワイヤ474は、チャネル532及び内側カテーテル302の内部ルーメンを通じて延在する。
図7A及び
図7Cに示されるように、外側カテーテルハブ520と内側カテーテルハブ510とを接続するために、外側カテーテルハブ520の雌型遠位部分524は、内側カテーテルハブ510のルアーロック526上の雄型遠位セクション516を受ける。
【0117】
内側カテーテル302が外側カテーテル304から切り離されると、回転ねじ付きカラー518は、外側カテーテルハブ520のルアーロック526上の雄ねじ528から離脱し、内側カテーテルハブ510の遠位セクション516は、外側カテーテルハブ520から変位することができる。この構成では、
図10Cに示されるように、外側カテーテル304から内側カテーテル302を抜去してもよい。内側カテーテル302が内側カテーテルハブ510によって外側カテーテル304から引き抜かれると、
図10Cに示すように、外側カテーテル304は、弁326が外側カテーテルハブ520に組み込まれた状態で、外側カテーテルハブ520に取り付けられたままである。
【0118】
内側カテーテルハブ510及び内側カテーテル302を取り外した後、ペースメーカーリード(又は他の治療用カテーテル)500を外側カテーテル104を通じて標的部位に挿入することができる。ペースメーカーリード500が適所(すなわち、標的部位に固定される)に展開されると、外側カテーテル304は、外傷のない態様で脈管構造から迅速に取り外され得る。
図9に示されるように、外側カテーテルハブ520の翼540及び542は、
図9に示されるように、反対方向364,366に分離される。この作用は、外側カテーテルハブ520を外側カテーテルハブ520の2つの対称的で同様に構成された部分に分離し、弁326を2つの同様の同一の半体(
図10Dに示すように)に分割し、引裂継ぎ目360及び362に沿って外側カテーテルシャフト320を対称成形部分368,370に分離する。外側カテーテルは、2つの部分368,370に分離されているため、ペースメーカーリード500から単に剥がされ、脈管構造から取り外される。ペースメーカーリード(又は他の治療構造)は、脈管構造内の所定の位置に留まる。
【0119】
図15A~
図15Bを参照すると、
図15Aに示されるような90°の角度の内側カテーテルチップ394’と、
図15Bに示されるような120°の角度の内側カテーテルチップ394’’とを含む、別の遠位チップ変形形態が本システムで考えられる。
図15A~
図15Bには2つの角度付き形態が示されるが、内側カテーテルチップ394の他の角度付き形態も可能であり、本システムの範囲内で考えられる。内側カテーテルチップ394の角度付き形態は、ガイドワイヤに沿って摺動されながら、内側カテーテル302の改善された操作性を与える。
【0120】
外科的処置では、
図16Aに示されるように、ガイドワイヤ474は、対象の脈管構造Vに挿入され、脈管構造の内側で延在する。
【0121】
続いて、
図16Bに示されるように、内側カテーテルハブ460,510を外側カテーテルハブ120,520にロックすることにより、内側カテーテル102,302と外側カテーテル104,304とがロックされる。
図2~
図5に示される片側引き剥がし実装では、引き剥がしワイヤタブ174が外側カテーテルハブ104(
図2、
図4A~
図4B)上にロックされる。外側カテーテルの内側に内側カテーテルがロックされたロック構造が
図16Bに示される。
【0122】
内側カテーテル102,302は、適所にあるとき、内側カテーテルハブを外側カテーテルハブからロック解除することによって外側カテーテル104,304からロック解除され、外側カテーテルは、必要に応じて、標的部位に向かって(及び/又は標的部位を越えて)内側カテーテルに沿って更に摺動することができる。続いて、
図16Cに示されるように、脈管構造又は血管Vから離れる方向に内側カテーテルハブ460,510を引っ張ることにより、血管V内に残っている外側カテーテル104,204から内側カテーテル102,502を抜去する。
【0123】
続いて、
図16Dに示されるように、ペースメーカーリード(又は他の治療用カテーテル500)を、ガイドワイヤ474に沿って外側カテーテルを通じて(具体的には、止血弁、外側カテーテルハブ、及び外側カテーテルの内部ルーメンを通じて)脈管構造内の関心領域まで血管V内に挿入することができる。
【0124】
ペースメーカーリード500が対象の部位の脈管Vに設置されると、外側カテーテル104,304は、止血弁と共に外側カテーテルハブ120,520を摺動し、この目的のために設けられた1つの長手方向引裂溝(継ぎ目又は2つの長手方向溝/継ぎ目)で外側カテーテルシャフト(
図3、
図4D~
図4E、
図5C~
図5D、
図8A~
図8B、
図9、
図10C~
図10D、
図11C~
図11Dに示すように)を摺動することによって、容易、迅速、且つ安全な態様で脈管構造Vから取り外すことができる。外側カテーテルハブに組み込まれた止血弁は、外側カテーテルハブ及び外側カテーテルと同様に、1つ又は2つの長手方向溝で分割される。このように分離すると、外側カテーテルは、効率的で安全で実質的に外傷のない態様で脈管構造から取り外される。
【0125】
本発明をその特定の形態及び実施形態に関連して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、上述したもの以外の様々な修正に頼ることができることが理解される。例えば、機能的に等価な要素は、具体的に示され説明された要素の代わりに使用されてもよく、特定の特徴は、他の特徴とは独立して使用されてもよく、特定の場合には、要素、ステップ、又はプロセスの特定の位置は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、逆転又は挿入されてもよい。
【国際調査報告】