(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】光偏光変換器及び製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/126 20060101AFI20240628BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20240628BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G02B6/126
G02B6/122
G02B6/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579226
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069358
(87)【国際公開番号】W WO2023285403
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミラン-メヒア,アロンソ ヘスス
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB21
2H147BA11
2H147BA15
2H147BD16
2H147DA08
2H147EA12A
2H147EA12C
2H147EA13C
2H147FA04
2H147FA07
2H147FC02
2H147FC03
2H147FD09
(57)【要約】
フォトニック集積回路用の光偏光変換器は、基板と導波路とを含む。基板は、第1の表面と第2の表面とを含む。導波路は、第1の表面と接触する第1の導波路部分と、第2の表面と接触する第2の導波路部分とを含む。第2の表面は、第1の軸及び第2の軸に沿って第1の表面からオフセットしている。各軸は、光の偏光を変換するための光伝搬方向に垂直である。第2の導波路部分は、第1の導波路部分からオフセットしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック集積回路用の光偏光変換器であって、
第1の表面と第2の表面とを含む基板と、
前記第1の表面と接触する第1の導波路部分と、前記第2の表面と接触する第2の導波路部分とを含む導波路と、を含み、
前記第2の表面は、前記光の偏光を変換するための光伝搬方向にそれぞれ垂直な第1の軸及び第2の軸に沿って前記第1の表面からオフセットしており、
前記第2の導波路部分は、前記第1の導波路部分からオフセットしている、光偏光変換器。
【請求項2】
前記基板は、前記第1の表面と前記第2の表面との間に第3の表面を含み、
前記第3の表面は、前記第1の表面に対して傾いている、請求項1に記載の光偏光変換器。
【請求項3】
前記第3の表面は、前記第1の表面に対して実質的に90度の角度である、請求項2に記載の光偏光変換器。
【請求項4】
前記第1の軸は、前記第1の表面の平面に実質的に平行であり、
前記第3の表面は、前記第1の表面に対して90度未満の角度であり、
前記第2の表面は、前記第1の軸に沿った前記第1の表面の幅よりも大きい量だけ、前記第1の軸に沿って前記第1の表面からオフセットし、
前記導波路は、前記第3の表面と接触する中間導波路部分であって、前記第1の導波路部分と前記第2の導波路部分との間にある中間導波路部分を含む、請求項2に記載の光偏光変換器。
【請求項5】
前記光偏光変換器は、所与の波長の光の第1の直線偏光と前記所与の波長の光の第2の直線偏光との間で変換するためのものであり、
前記光伝搬方向における前記導波路の長さは、奇整数に前記所与の波長の光に対するビート長の半分を乗じたものに実質的に等しい、請求項1~4のいずれか1項に記載の光偏光変換器。
【請求項6】
前記光伝搬方向における前記導波路の長さは、奇整数に前記所与の波長の光に対するビート長の4分の1を乗じたものに実質的に等しい、請求項1~4のいずれか1項に記載の光偏光変換器。
【請求項7】
前記基板は、第1の基板層と第2の基板層とを含み、
前記第1の基板層は前記第1の表面を含み、
前記第2の基板層は前記第2の表面を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の光偏光変換器。
【請求項8】
前記基板は、前記第1の基板層と前記第2の基板層との間に第3の層を含み、
前記第1、第2、及び第3の層は、前記第1の層が前記第3の層と接触し、前記第3の層が前記第2の層と接触するように積層され、
前記第3の層は、前記第1の基板層及び前記第2の基板層とは異なる材料を含む、請求項7に記載の光偏光変換器。
【請求項9】
前記導波路を覆う1つ以上のクラッド層を含み、
前記1つ以上のクラッド層は、第2の側と反対側の第1の側に不均一な表面を含み、
前記第2の側は、前記第1の側よりも前記導波路に近い、請求項1~8のいずれか1項に記載の光偏光変換器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光偏光変換器を含む、フォトニック集積回路。
【請求項11】
フォトニック集積回路用の光偏光変換器を製造する方法であって、
第1の表面と第2の表面とを含む基板を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1の表面と接触する第1の導波路部分と、前記第2の表面と接触する第2の導波路部分とを含む導波路を、少なくとも部分的に形成することと、を含み、
前記第2の表面は、前記光の偏光を変換するための光伝搬方向にそれぞれ垂直な第1の軸及び第2の軸に沿って前記第1の表面からオフセットしており、
前記第2の導波路部分は、前記第1の導波路部分からオフセットしている、方法。
【請求項12】
前記基板を少なくとも部分的に形成することは、
第1の基板層を少なくとも部分的に形成することと、
第2の基板層を少なくとも部分的に形成することと、を含み、
前記第1の基板層は前記第1の表面を含み、前記第2の基板層は前記第2の表面を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基板層の上面上に停止層として機能する第3の層を堆積させることを含み、
前記第2の基板層を少なくとも部分的に形成することは、
前記第3の層上に基板材料を堆積させることと、
前記第3の層上に前記基板材料の第1の部分を覆うマスク層を堆積させることと、
前記第1の部分とは異なり、前記マスク層によって覆われていない前記基板材料の第2の部分から材料を除去して、前記停止層の露出部分をもたらすウェットエッチ手順を行うことと、
前記停止層の前記露出部分と前記マスク層とを除去することと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の基板層を少なくとも部分的に形成することは、
前記第1の基板層の上面の一部を覆い、前記上面の露出部分を残すように、マスク層を堆積させることと、
前記上面の前記露出部分上に基板材料を堆積させて、前記第2の基板層を少なくとも部分的に形成することと、
前記マスク層を除去することと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記基板を少なくとも部分的に形成することは、
基板材料の層の上面の第1の部分を覆うように、マスク層を堆積させることと、
前記第1の部分とは異なり、前記マスク層によって覆われていない前記基板材料の層の第2の部分から材料を除去して、前記第1の表面を含む前記第1の基板層をもたらすことと、
前記マスク層を除去して、前記第2の表面を含む前記第2の基板層をもたらすことと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記光伝搬方向における前記導波路の長さが、奇整数に所与の波長の光に対するビート長の半分を乗じたものに実質的に等しくなるように、前記光偏光変換器を製造することを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記光伝搬方向における前記導波路の長さが、奇整数に所与の波長の光に対するビート長の4分の1を乗じたものに実質的に等しくなるように、前記光偏光変換器を製造することを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体構造をフォトニック集積回路(PIC)内で使用して、種々の機能を行うことができる。半導体構造は、PIC内の特定の用途で使用するために製造される場合がある。PICで使用する半導体構造は、材料を含み、そのPIC内の半導体構造の対照とする用途に従って製造される。たとえば、PICは、光がPICのある部分から他の部分に所望の方法で伝搬できるようにする導波路構造を含む場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】例による第1の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
【
図3】第1の光偏光変換器の第2の側断面を概略的に例示する図である。
【
図4】例による第2の光偏光変換器の側断面を概略的に例示する図である。
【
図5】例による光偏光変換器を製造する方法の一部としての第1の組のステップを例示するフロー図である。
【
図6】例による光偏光変換器を製造する方法の一部としての第2の組のステップを例示するフロー図である。
【
図7】
図7A~
図7Gは、それぞれ、例による製造中の連続的な段階における第1の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
【
図8】例による光偏光変換器を製造する方法の一部としての第3の組のステップを例示するフロー図である。
【
図9】
図9Aは、第1の組の例による製造中の第1の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
図9Bは、第1の組の例による製造中の第2の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
図9Cは、第1の組の例による製造中の第3の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
【
図10】例によるポアンカレ球の赤道面を例示する図である。
【
図11】例による第3の光偏光変換器の側断面を概略的に例示する図である。
【
図12】導波路幅の関数としての第1のハイブリッドモードの傾斜角を示すグラフである。
【
図13】導波路幅の関数としての実効屈折率差を示すグラフである。
【
図14】例による光偏光変換器を製造する方法の一部として第4の組のステップを例示するフロー図である。
【
図15】
図15Aは、第2の組の例による製造中の第1の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
図15Bは、第2の組の例による製造中の第2の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
図15Cは、第2の組の例による製造中の第3の段階における第2の光偏光変換器の第1の側断面を概略的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書に記載の例は、PIC用の半導体構造に関する。より具体的には、本明細書に記載の例PIC用の光偏光変換器に関する。
【0004】
いくつかの例では、PICは、PICの構築を目的とした基本的な構築ブロックから構築される。基本的な構築ブロックは、それぞれ特定の機能を有する種々のコンポーネントを含む。基本的な構築ブロックの例は、導波路構造である。基本的な構築ブロックは、そこに入射する光に対して特定の効果を有し得る。本明細書に記載の例は、PIC用の基本的な構築ブロックとして使用することができる光偏光変換器に関する。
【0005】
光偏光変換器は、光の異なる偏光間で変換する光学システム(PICなど)用のコンポーネントである。たとえば、好適に構成された光偏光変換器を使用して、第1の直線偏光の光と第2の直線偏光の光との間で変換することができる(たとえば、水平偏光を垂直偏光に変換し、逆もまた同様である)。別の例では、好適に構成された光偏光変換器使用して、直線偏光と円偏光との間で変換することができる。光偏光変換器は、光偏光回転子または複屈折回転子と言ってもよい。
【0006】
光偏光変換器は、たとえば、導波路をウェットエッチングして角度がついた側壁を有することにより、PIC用の基本的な構築ブロックとして製造することができる。しかし、ウェットエッチング技術を使用して角度がついた表面を得るために、導波路の1つ以上の境界を形成することは、不都合な場合がある。これは、表面を形成するためのエッチングによって、その表面内に小さい不規則が生じる場合があるからである。不規則さは、導波路内の光伝搬に影響を及ぼす可能性がある。さらに、導波路に対するエッチング技術を用いた製造プロセスの制御は、光偏光変換器に対する所望の製造公差を得るには十分でない場合がある。たとえば、ウェットエッチングが、導波路が支持される基板内の特定の深さまで続くことが望ましい場合がある。しかし、このエッチング深さは、所望のレベルに制御可能でない場合がある。
【0007】
導波路内に光伝搬に対するより良好な制御と、より良好な製造公差を得るために、光偏光変換器として、たとえば、角度がついた側壁を画定するために導波路がウェットエッチングされることがないものが望ましい。
【0008】
図1に、例による光偏光変換器100の側断面を概略的に例示する。光偏光変換器100はPIC用である。光偏光変換器100は基板102を含む。基板102は、第1の表面104と第2の表面106とを含む。いくつかの例では、基板102は、いわゆるIII-V族半導体化合物、たとえば、インジウムリン(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、またはガリウムアンチモン化物(GaSb)を含む。他の例では、基板は、窒化物ベースの材料またはシリコンベースの材料を含む。
【0009】
光偏光変換器100は、導波路108を含む。導波路108は、第1の表面104と接触する第1の導波路部分110と、第2の表面106と接触する第2の導波路部分112とを含む。
【0010】
第2の表面106は、光の偏光を変換するための光伝搬方向にそれぞれ垂直な第1の軸114及び第2の軸116に沿って第1の表面104からオフセットして、第2の導波路部分112が第1の導波路部分110からオフセットしている。第1の軸114は、第2の軸116に垂直である。
【0011】
図1の例では、符号118によって示すように、光伝搬方向がページ内に入るように、側断面を示している。第1の軸114は、
図1に示す配向に対する水平軸であり、第2の軸116は、
図1に示す配向に対する垂直軸である。たとえば、第1の軸114は、第1の表面104から第2の表面106に向かう方向に延びている。本明細書で言及するように、光偏光変換器100の一部の幅は、第1の軸114に沿っている。本明細書で言及するように、本明細書に記載の種々の部分の長さは、符号118によって示す光伝搬方向に沿っている。本明細書で言及するように、高さ、上側、及び下側という用語は、第2の軸116に対するものである。
図1に示す配向では、第1の表面104は基板102の下面であり、第2の表面106は基板102の上面である。上面106は、下面104から上向きの段差(垂直軸に平行な方向)を与える。したがって、これらの例では、第1の表面104と第2の表面106とが、垂直軸116に沿って位置がオフセットしているため、たとえば、第1の表面と第2の表面とは、互いから変位され及び/または垂直方向に離間に配置されている。
【0012】
導波路108が、第1の表面104と接触する第1の導波路部分110と、第2の表面106と接触する第2の導波路部分112とを有するということは、光が、垂直軸116に平行な方向に互いからオフセットする異なる部分を有して、符号118によって示す光伝搬方向に伝搬することができる単一の導波路108が設けられることを意味する。
【0013】
垂直軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する単一の導波路によって、以下でさらに詳細に説明するように、光の偏光の変換が得られる。
【0014】
垂直軸116に平行な方向にオフセットする第1及び第2の表面を有する基板102の構造により、導波路108を、導波路108に対してウェットエッチングを行うことなく偏光変換のための配置を有するように画定し、たとえば、角度がついた側壁を画定することができる。たとえば、導波路108用の1種以上の材料を、基板102上にエピタキシャル成長させることができ、また基板102のオフセット配置のために、垂直軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する導波路108が形成される。
【0015】
導波路108は、基板102の材料より高い屈折率を有する材料を含む。たとえば、導波路108は、インジウムガリウムヒ素リン化物(InGaAsP)を含む。より一般的には、いくつかの例では、導波路108は(Al)InGaAs(P)を含む。カッコ内に示した元素は交換可能とすることができ、異なる元素の組成は所望の機能に応じて選択される。たとえば、InGaAsにおけるGa及びAsの組成は、所望のバンドギャップに応じて選択することができる。いくつかの例では、導波路108は、(Al)InGaAs(P)の層である。他の例では、導波路108は、複数の副層を含む。いくつかのこのような例では、導波路108は、基板102と接触する(Al)InGaAs(P)/(Al)InGaAs(P)多重量子井戸構造を含む。いくつかの例では、副層は5~30ナノメートル厚である。導波路108の副層スタックは、光偏光変換器100の所望の用途に従って選択されたバンドギャップを有する。
【0016】
バンドギャップ、したがって当業者であれば分かるように、たとえばInGaAsPの屈折率は、調整することができる。いくつかの例では、導波路108のInGaAsPのバンドギャップは、波長1250ナノメートル(たとえば、波長1550ナノメートルの光の伝搬に対して)または1100ナノメートル(たとえば、波長1310ナノメートルの光の伝搬に対して)に合わせて調整される。他の例では、バンドギャップが調整される波長は異なる。
【0017】
導波路108は、光を導くためである。使用中、光は、導波路108内を伝搬し、導波路108の境界における反射により、導波路108内に閉じ込められる。導波路108の屈折率は、光の閉じ込めが望まれる境界において導波路108と接触する材料の屈折率よりも高い。たとえば、光の閉じ込めが望まれる境界におけるこの屈折率差により、導波路108のこれらの境界における入射角が臨界角よりも大きいときに、全反射が起こる。このようにして、導波路108は光の伝搬を導く。導波路108内を伝搬する特定の光学モードに対して、当業者によって理解されるように、導波路108の境界において反射された光が、強め合う干渉のための条件を満たすことが望ましい。
【0018】
たとえば、光の特定の光学モードは、光偏光変換器100の所望の用途に応じて、導波路108を伝搬することが望ましい。光学モードが導波路108内を伝搬する方向は、本明細書では、光伝搬方向と言う。光伝搬方向は、光学モードのエネルギーが導波路108を通って移動する大まかな方向であり、たとえば、導波路108の境界において入射角によって規定される方向では必ずしもない。
【0019】
図1の例では、基板102は、第1の表面104と第2の表面106との間に第3の表面120を含む。第3の表面120は、第1の表面104及び/または第2の表面106に対して傾いている。本明細書で言及するように、1つの表面が他の表面に対して傾いているということは、当該の2つの表面間に非ゼロ角度が存在することを意味する。こうして、1つの表面が他の表面に対して傾いているという状況において、他の表面に対して特定の角度にある1つのこのような表面を参照することができる。このような状況では、他の表面に対して傾斜している表面を参照することができる。用語「傾斜」、「角度」、及び「傾き」は、他の実体に対するかまたは所与の軸に対する実体の角度を指すために、本明細書では交換可能に使用される。本明細書で言及するように、第3の表面120が第1の表面104と第2の表面106と「の間にある」とは、たとえば、第3の表面120が、第1の表面104と第2の表面106との間に置かれて、たとえば、第1の表面104と第2の表面106とのそれぞれに直接隣接していることを意味する。そのため、例では、第1、第2、及び第3の表面は一緒に、導波路の上面を構成すると考えることができる。
【0020】
図1の例では、第1の軸114(水平軸114とも言う)は、第1の表面104の平面に対して実質的に平行(たとえば、許容範囲内で平行)である。これらの例では、第3の表面120は、第1の表面104に対して90度未満の角度である。これらの例では、第2の表面106は、第1の軸114に沿った第1の表面104の幅122よりも大きい量だけ、第1の軸114に沿って第1の表面104からオフセットしている。本明細書で言及するように、軸に平行な方向におけるオフセットは、当該の実体のエッジ(その軸に沿った最も早い位置に位置するエッジ)が位置する、その軸に沿った位置に対するものである。たとえば、
図1では、第1の表面104のエッジは、第1の軸114に沿った位置124に位置する。第1の軸114に沿って第1の表面104からゼロオフセットであるとは、第1及び第2の表面104、106それぞれのエッジが、第1の軸114に沿った同じ位置(位置124)に位置することを意味することが理解される。
図1の例では、第1の軸114に沿ったオフセットは、第2の表面106が第1の表面104と重ならず、第3の表面120が(
図1の配向に対して)上方に傾くようなものである。これらの例では、第2の表面106のエッジが位置する第1の軸114に沿った位置126は、位置124から離れる第1の表面104の幅122よりも大きい距離である。
【0021】
図1の例では、導波路108は、第3の表面120と接触する中間導波路部分128であって、第1の導波路部分110と第2の導波路部分112との間にある中間導波路部分128を含む。いくつかの例では、第2の軸116に平行な方向にオフセットしている表面と、説明したような傾いた第3の表面120とを有する基板102は、基板102の上の導波路108の前に少なくとも部分的に形成される。このようにして、傾いた第3の表面120により、基板の傾いた第3の表面120の角度に対応する角度で、導波路の中間部分が形成される。そのため、例では、第1の導波路部分、第2の導波路部分、及び中間導波路部分は、一緒に導波路を構成すると考えることができる。
【0022】
説明したように、
図1の例では、第1の導波路部分110は、基板102の第1の表面104と接触している。他方で、第2の導波路部分112は、第1の表面104から第2の軸116に平行な方向にオフセットしている第2の表面106と接触している。これは、導波路108が、第2の軸116に平行な方向に互いからオフセットしている2つの部分を含むことを意味する。説明したように、これらの例では、導波路108は、
図1に示したように、第2の導波路部分112と第1の導波路部分110とに対して角度をなす中間導波路部分128も含む。
【0023】
導波路108のこの配置によって、光の偏光の変換が得られる。以下の説明は、符号118によって示すように光偏光変換器100に入射する直線偏光の状況においてである。
【0024】
図2に、横方向電気(TE)偏光軸202及び横方向磁気(TM)偏光軸204を例示する。符号118は、ページ内に入る(TE偏光軸202及びTM偏光軸204両方に垂直な)光伝搬方向を示すために
図2に含まれている。
図1の断面に関して、TE偏光軸202は第1の軸114と平行であり、TM偏光軸204は第2の軸116と平行である。
【0025】
直線偏光の場合、符号118によって示すように伝搬する光の電界の方向は、TE偏光軸202及びTM偏光軸204に対して示すことができる。矢印206は、TE偏光される直線偏光を示す。
【0026】
第2の軸116に平行な方向(したがって、TM軸204に平行な方向)にオフセットする部分を有する導波路108と、第2の導波路部分112と第1の導波路部分110とに対して角度をなす中間導波路部分128とによって、第2の軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する単一の導波路が得られる。これによって、導波路108内にハイブリッドモードが生じる。導波路108のこの配置によって、導波路108内を伝搬する光に対して「傾斜した」または傾いた境界条件が与えられて、ハイブリッドモードが得られる。これは、光が、垂直軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する単一の導波路内を伝搬しているからである。
【0027】
傾斜した境界条件によって、第2の軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する導波路108の幾何学的形状のために、TE軸に対して傾斜した電界を有する第1のハイブリッドモードが生じる。第1のハイブリッドモードは、第1の導波路部分110、第2の導波路部分112、及び中間導波路部分128を占める。用語「傾斜」、「角度」、及び「傾き」は、TE軸202に対する第1のハイブリッドモードの角度を指すために、本明細書では交換可能に使用される。第1のハイブリッドモードと直交する第2のハイブリッドモードも存在する。ハイブリッドモードは、本明細書で言及するように、TE偏光軸202に沿った非ゼロ成分と、TM偏光軸204に沿った非ゼロ成分とを有する電界を有する光のモードである。
【0028】
図2の例では、第1のハイブリッドモード208及び第2のハイブリッドモード210を示す。第1及び第2のハイブリッドモード208、210は、光が導波路108内を伝搬しているときに導波路108内に存在し得るハイブリッドモードの例を例示する。この例では、第1及び第2のハイブリッドモード208、210は、矢印206によって示すように、導波路108を通る伝搬のために光偏光変換器100に入射するTE偏光を有する光(TE偏光軸202に沿った電界を有する)から生じる。
【0029】
図2の例では、第1のハイブリッドモード208に対する傾斜角(TE軸202に対する)は、45度であると仮定する。第1のハイブリッドモード208に対するこのような傾斜角は、たとえば、第2の軸116に対する第1及び第2の導波路部分110、112の特定の配置、ならびに傾いた第3の表面120の角度の結果として生じる。これらの例では、第2のハイブリッドモード210のTE軸202に対する角度も45度であり、第1及び第2のモード208、210の電界は大きさが等しい。当業者であれば分かるように、45度の傾斜角と
図2Aに示す位相関係とを有する第1及び第2のモード208、210は、TM偏光軸204に沿って等しく反対の成分を有し、組み合わせてTE偏光に対応する。
【0030】
さらに、導波路108の説明した配置によって、第1及び第2のハイブリッドモード208、210に対して異なる伝搬定数が生じる。導波路108の配置によって、第1及び第2のハイブリッドモード208、210が、導波路108内を伝搬しているときに互いに異なる実効屈折率を経験するような複屈折が生じる。これは、第1及び第2のハイブリッドモード208、210が導波路108を通って伝搬するにつれて、第1及び第2のハイブリッドモード208、210間の位相差が変化することを意味する。言い換えれば、第1及び第2のモード208、210の位相は、第1及び第2のモード208、210が導波路108内を伝搬するにつれて、異なって進展する。ハイブリッドモード及びそれらの異なる伝搬定数の存在によって、導波路108の配置を、光偏光変換器100内に入力する光の偏光を変換するために使用できることが得られる。偏光が変換される方法について、以下により詳細に説明する。
【0031】
いくつかの例では、光偏光変換器100は、所与の波長の光の第1の直線偏光と、所与の波長の光の第2の直線偏光との間で変換するためである。いくつかのこのような例では、光伝搬方向における導波路108の長さは、奇整数に所与の波長の光に対するビート長の半分を乗じたものに実質的に等しい。
【0032】
図3に、例による光偏光変換器100の側断面を概略的に例示する。
図3の例は
図1の例に対応している。
図3の断面は、
図1に示す線A-Aにおいて取っている。
図3は、概略図であり、やはり概略図である
図1に対する正確な比率を示すものと解釈してならないことに留意されたい。これらの例では、導波路108は、
図3に示すような長さ302を有する。光伝搬方向は、矢印304によって示す。
【0033】
復元するべきその中を伝搬する光のモードの位相に対する導波路108の長さを、ビート長と言う。たとえば、第1及び第2のモード208、210が、導波路108内でのそれらの伝搬を同相で開始した場合、モードは、導波路108内をビート長の整数倍だけ伝搬した後に同相で戻る。ビート長に基づいて光偏光変換器100における導波路長を選択することによって、その中を伝搬する光のモードの相対位相を、光偏光変換器100から出力される光に対して制御することができる。
【0034】
前述したように、導波路108の説明した配置によって、第1及び第2のハイブリッドモード208、210に対する異なる伝搬定数が生じる。導波路108の説明した配置(垂直軸116に平行な方向にオフセットする部分を有する)によって、第1及び第2のハイブリッドモード208、210が互いに異なる実効屈折率を経験するような複屈折が生じる。導波路108における第1のハイブリッドモード208の伝搬定数は、β
208によって表すことができ、第2のハイブリッドモード210の伝搬定数は、β
210によって表すことができる。これらの伝搬定数の差は、Δβ
208-β
210と表すことができる。以下の数式1は、第1及び第2のハイブリッドモード208、210に対する導波路108に対するビート長L
λを示す。当業者であれば分かるように、βは位相伝搬を表す。以下の数式(1)において、λは所与の波長であり、Δnは、第1及び第2のハイブリッドモード208、210の実効屈折率の差:Δn=n
208-n
210を表す。
【数1】
【0035】
いくつかの例では、光偏光変換器100は、所与の波長の光の直線偏光を回転させるためのものである。前述したように、いくつかのこのような例では、導波路長302は、奇整数にビート長の半分を乗じたものに実質的に(許容範囲内で)等しい。これは、第1のモード208の傾斜角がTE軸202に対して45度である例における場合である。傾斜を決定する因子について、以下でさらに説明する。言い換えれば、導波路長は、以下の数式2によって示すように、ビート長の1/2、ビート長の3/2、長さの5/2などとすることができる。数式2において、mは、1、3、5、7、9などの奇整数を表す。
【数2】
【0036】
これは、導波路108を通って伝搬した後の第1及び第2のモード208、210の相対位相がπラジアンだけシフトされることを意味する。当業者であれば分かるように、矢印206によって示すTE偏光が導波路108に入射し、第1及び第2のモード208、210が導波路108の初めにおいて生じるとき、第1及び第2のモード208、210は互いに同相である。言い換えれば、導波路長が1/2ビート長(または3/2ビート長、またはビート長の5/2など)の導波路108を通って伝搬した後、第1及び第2のモード208、210は、互いに180度だけ位相がずれている。
【0037】
図2Bに、
図2Aに示したTE及びTM偏光軸202、204を例示する。
図2Bは、
図2Aによって示すように直線TE偏光が導波路108に入射し、TE軸202に対する第1のハイブリッドモード208の傾斜角が45度である例に関する。
図2Bに、ビート長の半分の整数倍に対して、符号118によって示す方向に導波路108を通って伝搬した後の第1及び第2のモード208、210を例示する。当業者であれば分かるように、光に対する電界が、TE及びTM偏光軸202、204によって示される空間の対向する象限の間で振動する。したがって、
図2Aに示す状態と比較して、
図2Bでは、第1のモード208はその電界振動の整数倍を完了しているが、一方で、第2のモード210はその電界振動の半分の奇整数倍を完了している(左上象限で終わる)。
【0038】
当業者であれば分かるように、
図2Bに示す位相関係を有する第1及び第2のモード208、210は、TE偏光軸202に沿って等しく反対の成分を有する。
図2Bに示す位相関係を有する第1及び第2のモード208、210は、第1及び第2のモード208、210が、
図2Bに示す位相関係を伴って導波路108を出た場合、矢印212によって示すTM偏光をもたらす。言い換えれば、第1及び第2のモード208、210の位相が、もはや、
図2Bに示す点と異なって進展しない場合、結果はTM偏光である。
図2Bの例では、第1及び第2のモード208、210が、TM軸204に対して45度の角度を有することに留意されたい。
【0039】
これらの例では、第1のハイブリッドモード208がTE軸202に対して45度の角度を有する場合、奇整数にビート長の半分を乗じたものとなるように導波路長を選択することによって、所与の波長の光の直線偏光を前述したように回転することができる。たとえば、第1の直線偏光(前述の例ではTE偏光)を、第2の直線偏光(前述の例ではTM偏光)に変換することができる。
【0040】
前述の例は、第1のハイブリッドモード208がTE軸202に対して45度の傾斜を有する状況においてである。いくつかの例では、基板102及び導波路108の配置は、ハイブリッドモードが導波路108内で生じたときに、第1のハイブリッドモード208(たとえば、中間導波路部分128と実質的に位置合わせされたハイブリッドモード)が、TE軸202に対して45度の角度を有しないようなものである。第1のハイブリッドモードの傾斜に影響を及ぼす因子について、以下でさらに説明する。このような例では、偏光の90度回転(たとえば、TE偏光からTM偏光へ)は、奇整数にビート長の半分を乗じたものに等しい長さ302を通って伝搬する際に生じない。
【0041】
いくつかの例では、導波路108の長さ302が、奇整数にビート長の4分の1を乗じたものに等しい光偏光変換器(たとえば光偏光変換器100)が提供される。以下に説明するように、90度の直線偏光回転を得るために、傾斜が45度でない場合に、1対のこのような光偏光変換器を使用することができる。1対のうちの第1の光偏光変換器は、第1及び第2のハイブリッドモードの間で90度(π/2ラジアン)の位相差を達成する導波路108の長さ302を有する。これは、長さ302を、ビート長の1/4、ビート長の5/4、ビート長の9/4などにできることを意味する。1対のうちの第2の光偏光変換器は、第1及び第2のハイブリッドモードの間で270度(3/2πラジアン)の位相差を達成する導波路108の長さ302を有する。これは、第2の光偏光変換器における導波路の長さ302を、ビート長の3/4、ビート長の7/4、ビート長の11/4などにできることを意味する。
【0042】
図10は、ポアンカレ球の赤道面のスケッチである。当業者であれば分かるように、すべての偏光状態を、いわゆるポアンカレ球の表面上にマッピングすることができる。ポアンカレ球の赤道上に位置する点は、直線偏光の全ての角度を表す。ポアンカレ球の極は、時計回り及び反時計回りの円偏光を表す。TE偏光及びTM偏光に対応する点を、
図10に見ることができる。
【0043】
第1及び第2のハイブリッドモード208、210に対応する点が、ポアンカレ球の赤道上に位置する。赤道上のハイブリッドモードの位置は、TE軸202に対する第1のハイブリッドモードの傾斜、言い換えれば角度に依存する。
【0044】
第1のハイブリッドモードがTE軸202に対して45度の角度を有する場合、第1のハイブリッドモードは点M1に対応し、第2のハイブリッドモードは点M2に対応する。M1及びM2と交差する軸は、ポアンカレ球の赤道上のTE及びTM偏光点と交差する軸に垂直である。導波路108を通るハイブリッドモードの伝搬は、それらの位相が互いに異なって進展し、M1及びM2と交差する軸の周りの、ハイブリッドモードが再結合するときの偏光を表す点の回転に対応する。M1及びM2と交差する軸の周りの180度回転は、たとえば、TE偏光からTM偏光への偏光変換をもたらす。
【0045】
第1のハイブリッドモードがTE軸202に対して45度とは異なる鋭角を有する場合、第1及び第2のハイブリッドモードに対応する点は、点M1及びM2ではない。いくつかの例では、第1のハイブリッドモード208は点1002に対応し、第2のハイブリッドモード210は点1004に対応する。これらの例では、点1002及び1004と交差する軸の周りの180度回転は、TM偏光点に到達しない。前述したように、傾斜角が45度と異なるとき、第1及び第2のハイブリッドモード間の180度の位相差は、直線偏光の90度回転をもたらさない。
【0046】
しかし、点1002及び1004と交差する軸の周りの90度回転は、点1006に到達する。点1006は、
図10のページの上方のポアンカレ球の表面上の点である。いくつかの例では、第1の光偏光変換器は、ポアンカレ球上の点1006に対応する偏光を得るために使用される。これらの例では、第1の光偏光変換器は、点1002及び1004に対応する偏光を有するハイブリッドモードをもたらす。言い換えれば、第1の偏光変換器は、ハイブリッドモードが点1002及び1004に対応する偏光を有するような傾斜をもたらす。
【0047】
説明した例の第2の偏光変換器は、第2の光偏光変換器におけるハイブリッドモードが点1008及び1010に対応するように、反対方向における傾斜をもたらす。これは、第2の偏光変換器の側断面(
図1に示す側断面に対応する)が、第1の光偏光変換器の側断面(
図1に示す側断面に対応する)の鏡像であることによって実現することができる。たとえば、
図1では、第1の表面104(下面)は
図1の左側であり、第2の表面106は右側である。側断面に対して使用する場合、鏡像は、第1の表面104(下面)が代わりに左側にあり、第2の表面106(上面)が右側にあり、光伝搬方向が同じまま(符号118によって示すページ内)であることを意味する。
図1が第1の光偏光変換器の側断面を表す例では、
図11は、第2の光偏光変換器の例1100に対する
図1のそれと同じ側断面を概略的に例示する。
図1に示す特徴に対応する特徴は、
図11における最後に追加の数字「-11」を加えた同様の参照数字によってラベル付けされている。
【0048】
点1008及び1010と交差する軸は、点M1及びM2と交差する軸に対する、点1002及び1004と交差する軸の鏡像である。線1012は、点1002及び1004と交差する軸の周りの90度回転の後のTE点から点1006までの軌道を表す。線1012は、ポアンカレ球の表面に従うポアンカレ球上の軌道の直線投影であることに留意されたい。
【0049】
点1006を含む、点1008及び1010と交差する軸の周りの回転は、TM点と交差するポアンカレ球の表面上の円を描く。点1006から反対方向への、点1008及び1010と交差する軸の周りの回転を使用して、TM点に到達することができる。鏡面の側断面を有する第2の偏光変換器によって、第1の光偏光変換器とは反対方向の、ポアンカレ球に対する回転が得られる。線1014は、点1006から始まる軌道の直線投影を表す。これは、説明した90度回転とは反対方向における、点1008及び1010と交差する軸の周りの回転に対応し、点1006に到達する。軌道1014は、点1008及び1010と交差する軸の周りの270度回転の後にTM点と交差する。
【0050】
このようにして、第1のハイブリッドモードの傾斜が45度ではない例においても、第1の光偏光変換器、そして第2の光偏光変換器を通る伝搬光によって、直線偏光の90度回転を達成することができる。
【0051】
いくつかの例では、光偏光変換器100は、所与の波長の光の直線偏光と円偏光との間で変換するためである。このような例では、導波路長302は、奇整数にビート長の4分の1を乗じたものに実質的に(許容範囲内で)等しい。このような例では、第1のハイブリッドモードの傾斜は、TE軸202に対して45度である。このような例による導波路長302は、以下の数式3によって表される。
【数3】
【0052】
第1及び第2のハイブリッドモード208、210が、導波路108内をビート長の4分の1の奇整数倍だけ伝搬すると、1/2πラジアン(または90度)の位相差が生じる。当業者であれば分かるように、点M1及びM2と交差する軸の周りに90度の位相差を導入することによって、直線偏光と円偏光との間の変換が得られる。導波路108に入射する、
図2Aに示したような水平方向における直線偏光の例を取ると、数式3による導波路長302を有する光偏光変換器100は、TE偏光を円偏光に偏光する。直線偏光と円偏光との間で変換するために円偏光が光偏光変換器に入射する例では、円偏光は直線偏光に変換される。
【0053】
図1の例では、基板102は、第1の基板層134と第2の基板層136とを含む。第1の基板層134は第1の表面104を含み、第2の基板層136は第2の表面106を含む。いくつかの例では、第1の基板層134及び第2の基板層136の両方が、同じ材料を含む。
図1の例では、基板102は、第1の基板層134と第2の基板層136との間に第3の層138を含む。基板102の第1、第2、及び第3の層は、第1の層134が第3の層138と接触し、第3の層138が第2の層136と接触するように積層される。言い換えれば、
図1に示す配向に対して、第2の層136は第3の層138上にあり、第3の層138は第1の層134上にある。第3の層138は、第1の基板層134及び第2の基板層136の材料とは異なる材料を含む。
【0054】
これらの例では、第2の軸116に平行な方向における第1の表面104からの第2の表面106のオフセットは、第3の層138及び第2の基板層136の全厚さによって画定される。第3の層138及び第2の基板層136の全厚さは、段差厚さと言ってもよい。第2の軸116に平行な方向における第1の表面104からの第2の表面106のオフセットを画定するどちらかの層の全厚さを、段差厚さと言うことができる。
【0055】
前述したように、第1のハイブリッドモード208は、第1の導波路部分110、第2の導波路部分112、及び中間導波路部分128を占める。いくつかの例では、第1のハイブリッドモード208は、中間導波路部分128の角度と同様の、TE軸に対する傾斜を有するように、中間導波路部分128と実質的に位置合わせされている。第1のハイブリッドモード208の傾斜は、導波路108の幅及び段差厚さ(第3の表面120に対して一定の所与の角度を仮定する)に依存することに留意されたい。例では、第1及び第2のハイブリッドモード208、210の実効屈折率Δnの差も、導波路108の幅及び段差厚さ(第3の表面120に対して一定の所与の角度を仮定する)に依存する。したがって、導波路108の幅及び段差厚さは、所望の傾斜角及び実効屈折率差を得るように選択することができる。数式(1)から明らかなように、実効屈折率差はビート長Lλに関係し、したがって、所望の用途に応じて導波路108の長さ302に影響を及ぼす。
【0056】
図1及び3の例では、光偏光変換器は、導波路108を覆う1つ以上のクラッド層130を含む。いくつかの例では、1つ以上のクラッド層130は、第2の側と反対側の第1の側に不均一な表面を含み、第2の側は第1の側よりも導波路108に近い。たとえば、導波路108の各部分の上面と接触するクラッド層130がある。1つ以上のクラッド層は、導波路108により近い、たとえば導波路108と対向する第2の側と反対側の第1の側に不均一な表面140を含む。光偏光変換器100は、クラッド層130の上(
図1の配向に対して)に電気コンタクト層132などの他の層を含んでいてもよい。
図1の例から分かるように、基板102及び導波路108の垂直軸116に平行な方向におけるオフセットの結果として、光偏光変換器100の上面は完全に平坦ではない。
【0057】
図12は、導波路幅W(
図1を参照)の関数としての第1のハイブリッドモードの傾斜角を示すグラフ1200である。導波路幅は第1の軸114に沿っていることに留意されたい。垂直軸は、TE軸202に対する第1のハイブリッドモード208の傾斜角を示し、水平軸は導波路幅Wを示す。グラフ1200は、複数の段差厚さのそれぞれに対する複数の関係を示す。段差厚さは、ナノメートルの単位で
図12に示している。線1202は、第1のハイブリッドモードの傾斜角が45度であることを示す。グラフ1200に示す関係は、
図1の例の光偏光変換器100と同様の光偏光変換器の例に対するものである。第3の層138及び電気コンタクト層132は含まれていなかった。導波路108の厚さ(
図1に示す配向に対して垂直方向において)は500ナノメートルであり、基板102の屈折率は3.17であり、クラッド層130の屈折率は3.17であった。導波路108の屈折率は3.364であり、光偏光変換器の両側(
図1に示す配向において)の屈折率は1.5であった。中間導波路部分の角度は35度であった。
【0058】
図13は、導波路幅の関数としてのΔnを示すグラフ1300である。垂直軸はΔnを示し、水平軸は導波路幅を示した。グラフ1300は、示したように複数の段差厚さそれぞれに対する複数の関係を示す。グラフ1300に示す関係は、
図12に関して前述したものと同じパラメータに対するものである。
【0059】
当業者であれば分かるように、光偏光変換器の所望の特性は、たとえば
図12及び13に示すようなデータに基づいて、たとえば導波路幅、段差厚さなどを選択することによって得ることができる。
【0060】
図4に、例による光偏光変換器400の側断面を概略的に例示する。
図4では、
図1に示す特徴に対応する特徴は、最後に追加の数字「-4」を加えた同様の参照数字によってラベル付けされている。
【0061】
光偏光変換器400は、以下の違いを除いて、光偏光変換器100に対応する(また、光偏光変換器100に関連して前述した特徴の任意の組み合わせを含み得る)。光偏光変換器400の基板102-4は、第1の表面104-4と第2の表面106-4との間に第3の基板表面120-4を有し、第3の基板表面120-4は、第1の表面104-4に対して傾いている。第3の表面120-4は、第1の表面104-4に対して実質的に90度の角度である(許容範囲内で)。これらの例では、第3の基板表面120-4は、第2の基板層136-4の側壁に対応する。
図4の例では、前述した第3の層138に対応する第3の層はない。
【0062】
これらの例における第3の表面120-4の角度の結果として、
図4の光偏光変換器400は、中間導波路部分を含まない。第1の導波路部分110-4は第2の導波路部分112-4と、それらの間に中間の傾いた導波路部分を有する代わりに、連続している。
図1の例の場合と同様に、光偏光変換器400の導波路108-4は、光を伝搬するための単一の導波路である。
【0063】
図4の例の導波路108-4は、
図4に示すように、第2の導波路部分112-4を含み、第2の導波路部分112-4は、第2の軸116-4に平行な方向において第1の導波路部分110-4に対してオフセットし、第1の導波路部分110-4と連続している。
【0064】
導波路108-4の配置によって、導波路108-4内にハイブリッドモードが生じる。
図1の例の導波路108と同様に、導波路108-4のこの配置によって、導波路108-4内を伝搬する光に対する「傾斜した」または傾いた境界条件が与えられて、ハイブリッドモードが得られる。これは、導波路108-4内を伝搬する光が、第2の軸116に平行な方向においてオフセットする互いに連続する導波路領域を占めるからである。加えて、導波路108-4の説明した配置によって、異なるハイブリッドモードに対して異なる伝搬定数が生じる。導波路108-4の配置によって、第1及び第2のハイブリッドモードが導波路108-4内で互いに異なる屈折率を経験するような複屈折が生じる。たとえば、導波路108-4を通る伝搬のために光偏光変換器400に入射する、
図2Aの矢印206によって示すようなTE偏光を有する光に対して、第1及び第2のハイブリッドモード208、210は、異なる伝搬定数(及び結果として異なる位相進展)を伴って生じる。
【0065】
図1の例の導波路108及び
図4の例の導波路108-4の両方において、ハイブリッドモード及びハイブリッドモードに対する異なる伝搬定数が生じる。前述したように、ハイブリッドモード及びそれらの異なる伝搬定数の存在によって、光の偏光の変換が得られる。したがって、
図1の例の光偏光変換器100と同様に、
図4の例の光偏光変換器400は、入射光の偏光を変換するために使用することができる。
【0066】
図1の例または
図4の例のいずれかを、製造の複雑さ及びコスト、ならびにハイブリッドモード及びそれらの伝搬定数に対する所望の制御レベルなどの種々の要因に応じて、使用してもよい。たとえば、中間導波路部分128の存在が角度をなしている(傾いている)ことにより、ハイブリッドモードの特性(傾斜など)のより細かい調整が得られる。しかし、
図4の例の方が、製造する傾いた面がないため、製造が単純で及び/または安価であり得る。
【0067】
図5は、PIC用の光偏光変換器を製造する方法500を例示するブロック図である。方法500は、たとえば、前述した例のいずれかによる光偏光変換器を製造する方法である。方法500のブロック502において、第1の表面及び第2の表面を含む基板を、少なくとも部分的に形成する。第2の表面は、光の偏光を変換するための光伝搬方向にそれぞれ垂直な第1の軸及び第2の軸に沿って第1の表面からオフセットしている。基板は、たとえば、基板102、基板102-4、または基板102-11である。
【0068】
方法500のブロック504において、第1の表面と接触する第1の導波路部分と、第2の表面と接触する第2の導波路部分とを含む導波路を、少なくとも部分的に形成する。第2の導波路部分が第1の導波路部分からオフセットするように、第2の表面は第1の表面からオフセットしている。導波路は、たとえば、前述した導波路108、導波路108-4、または導波路108-11である。方法500のより多くの具体的な態様について、以下でさらに説明する。
【0069】
いくつかの例では、基板を少なくとも部分的に形成することは、第1の基板層を少なくとも部分的に形成することと、第2の基板層を少なくとも部分的に形成することと、を含み、第1の基板層は第1の表面を含み、第2の基板層は第2の表面を含む。
図6は、方法600を例示するブロック図である。方法600は、
図1、3、及び11の例に関し、
図1及び
図11にそれぞれ示す第2の基板層110または第2の基板層110-11を少なくとも部分的に形成するために使用することができる。方法600の以下の説明は、
図1及び3の例を参照するが、対応するブロックを、
図11の例に対して行うことができる。
【0070】
方法600のブロック602において、第3の層(たとえば第3の層138)を第1の基板層134の上面上に堆積させて、停止層として機能させる。方法600の文脈において、第2の基板層を少なくとも部分的に形成することは、以下を含む。ブロック604において、停止層138の上に基板材料を堆積させる。基板材料は、基板102に関して前述した任意の材料である。基板材料は、たとえば、第1の基板層134に含まれる同じ材料である。
【0071】
図7Aに、ブロック602及び604を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
図7Aは概略図であり、前述した例に対する正確な比率を表すものと考えてはならない。
【0072】
方法600のブロック606において、停止層138の上の基板材料の第1の部分を覆うように、マスク層を堆積させる。
図7Bに、ブロック606を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
図7Bの例では、基板材料の第1の部分704を覆うように堆積されたマスク層702を示している。いくつかの例では、マスク層704は誘電体材料を含む。いくつかの例では、マスク層702は、SiNxまたはSiOxを含むハードマスクであり、「x」は、種々の組成、たとえば、Si
3N
4を使用してもよいことを示す。いくつかの例では、マスク層702はフォトレジストである。
【0073】
方法600のブロック608において、ウェットエッチ手順を行って、第1の部分704とは異なり、マスク層によって覆われていない基板材料の第2の部分706から材料を除去する。例では、停止層134は、マスク層によって覆われていない材料を除去するためのエッチングに使用されるエッチング液によってエッチング可能でない材料を含む。いくつかの例では、停止層134は四元材料を含む。
図7Cに、ブロック608を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。ブロック608は、第2の部分706から材料を除去して、停止層138の露出部分708をもたらすために行う。
【0074】
方法600のブロック610において、停止層138の露出部分708を除去する。
図7Dに、ブロック610を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。停止層138の露出部分708を除去する結果、基板の第2の表面106が少なくとも部分的に形成される。
図7Dの特定の例では、停止層138のすべての露出部が除去されている。
【0075】
いくつかの例では、基板材料はInPである。いくつかのこのような例では、ウェットエッチ手順は、HCl:H3PO4:H2Oを使用して行う。いくつかの例では、HCL、H3PO4、及びH2Oの混合物を選択して、所望の材料(これらの例では、InP)をエッチングする。他の例では、HCL及びH2Oのみの混合物をエッチング液として使用する。説明したように、ウェットエッチ手順を行うことで、第1の表面104に対して90度未満の角度である中間の基板表面(第3の基板表面120など)が得られる。当業者であれば分かるように、第3の基板表面120の角度は、基板材料の結晶構造、エッチング化学物質、及び使用する手順の詳細の組み合わせに依存する。
【0076】
いくつかの例では、導波路108を少なくとも部分的に形成するためのブロック504の例を、方法600から得られる構造上で使用する。いくつかの例では、マスク層702を、
図7Eの概略図に示したように除去する。マスク層702の除去によって、第2の基板層136に含まれる第2の表面106が得られる。
【0077】
このような例では、導波路108用の1つ以上の材料を、基板102の上に堆積させる。たとえば、導波路108を、導波路に関して前述した材料を使用してエピタキシャル成長させる。基板102の配置により(たとえば
図7Eに示すように)、導波路108は、第2の軸116に平行な方向においてオフセットする部分を有し、第3の基板表面120が前述したような角度を有する結果として、ある角度を有する中間導波路部分を有する。
【0078】
いくつかの例では、1つ以上のクラッド層130及び電気コンタクト層132などの他の層を、導波路108の上に堆積させる。これらの層を、
図7Gの概略図に見ることができる。
【0079】
例では、
図7Gの構造は、たとえばドライエッチング手順を経て、対照とする用途に従って要求される特定の深さまで、構造の両側から材料を除去する。たとえば、ドライエッチング手順を行って、材料を除去し、
図1及び3の例の光偏光変換器100を形成する。
図7A~7Gに、結果として生じる光偏光変換器100に対して
図1に示したものと同じ断面を示す。
【0080】
図8は、第2の基板層を少なくとも部分的に形成するための方法800を例示するブロック図である。方法800は、
図4の例に関し、
図4に示す第2の基板層136-4を少なくとも部分的に形成するために使用することができる。方法800の以下の説明は、
図4の例を参照する。本明細書で使用する場合、層は、垂直軸116-4に関する所与の範囲の値内の体積を占有する材料を指す。
【0081】
図9Aに、方法800に関連する構造の側断面を概略的に例示する。方法800のブロック802において、第1の基板層(たとえば、第1の基板層134-4)の上面906の部分904を覆うように、また上面906の露出部分908を残すように、マスク層902を堆積させる。
図9Aに、ブロック802を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
【0082】
方法800のブロック804において、基板材料を、上面906の露出部分908上に堆積させて、第2の基板層136-4を少なくとも部分的に形成する。基板材料は、基板102または基板102-4に対して前述した任意の材料である。基板材料は、たとえば、第1の基板層134-4に含まれるものと同じ材料である。
図9Bに、ブロック804を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。方法800のブロック806において、マスク層902を除去する。
図9Cに、ブロック806を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。マスク層902を除去することで、第1の基板層134-4の表面の一部が露出し、第1の表面104-4が少なくとも部分的に形成される。
【0083】
図14は、基板を少なくとも部分的に形成するための方法1400を例示するブロック図である。方法1400は、
図4の例に関し、
図4に示す第1の基板層134-4及び第2の基板層136-4を少なくとも部分的に形成するために使用することができる。方法1400の以下の説明は、
図4の例を参照する。方法1400は、前述した方法800に対する代替案である。このような文脈で使用する場合、層は、垂直軸116-4に関する所与の範囲の値内の体積を占有する材料を指す。
【0084】
図15Aに、方法1400に関連する構造の側断面を概略的に例示する。方法1400のブロック1402において、基板材料1408の層の上面1406の第1の部分1404を覆うように、マスク層1402を堆積させる。
図15Aに、ブロック1402を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
【0085】
方法1400のブロック1404において、第1の部分1404とは異なり、マスク層1402によって覆われていない基板材料1408の層の第2の部分1410からの材料を除去して、第1の表面104-4を含む第1の基板層134-4をもたらす。
図15Bに、ブロック1404を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
【0086】
方法1400のブロック1406において、マスク層1402を除去して、第2の表面106-4を含む第2の基板層136-4をもたらす。
図15Cに、ブロック1406を行うことから到達した構造の側断面を概略的に例示する。
【0087】
第1及び第2の基板層134-4、136-4は、基板材料1408の層から得られることが理解される。方法1400の開始点は、第1の基板層134-4及び第2の基板層136-4の合計の所望の厚さに対応する厚さの基板材料1408の層であることが理解される。
【0088】
いくつかの例では、導波路108を少なくとも部分的に形成するためのブロック504の例を、方法800または方法1400から得られる構造上で使用する。このような例では、導波路108-4用の1つ以上の材料を、基板102-4の上に堆積させる。たとえば、導波路108-4を、導波路に関して前述した材料を使用して、エピタキシャル成長させる。基板102-4の配置により(たとえば
図9Cに示すように)、導波路108-4は、導波路108-4に関して前述したように、垂直軸116-4に平行な方向においてオフセットし、互いに接触する部分を有する。たとえば、1つ以上のクラッド層(たとえばクラッド層130)及び電気コンタクト層132を、導波路108-4の上に堆積させる。
【0089】
例では、ドライエッチング手順を行って、対照とする用途に応じて要求される特定の深さまで、構造の両側から材料を除去する。たとえば、ドライエッチング手順を行って、材料を除去し、
図4の例の光偏光変換器400を形成する。
【0090】
例では、
図5に例示した方法500は、導波路が、導波路における所与の波長の光に対するビート長(前述したような)の関数として導波路長を有するように、光偏光変換器を製造することを含み、導波路長は、導波路内の光伝搬方向に平行な軸に沿っている。いくつかの例では、導波路長は、奇整数にビート長の半分を乗じたものに実質的に等しい。いくつかの例では、導波路長は、実質的に奇整数にビート長の4分の1を乗じたものに等しい。説明した方法を用いて製造した1つ以上の偏光変換器を、前述したように使用して、要望に応じて偏光変換を達成することができる。
【0091】
いくつかの例では、説明した例のいずれかによる光偏光変換器を含むPICが提供される。
【0092】
上述の説明では、層を少なくとも部分的に形成すること等を参照している。いくつかの例では、このように参照される層は、さらなるステップを必要とすることなく、関連する材料を堆積させることによって単純に形成される。他の例では、さらなるステップを行って層の形成を完了する(たとえば、硬化ステップ、層の範囲を画定するエッチングステップなど)。いくつかの例では、層の形成を完了するためのさらなるステップを、当該の層の上にさらなる材料を堆積させる前に行う。他の例では、層の形成を完了するためのさらなるステップを、当該の層の上にさらなる材料を堆積させた後に行う。
【0093】
記載した図において、破線が、特定の部品の縁部に、図に概略的に例示したものを越える当該の部品の連続を示すために含まれる。図は、光偏光変換器の説明した例に関連する構造の概略図を含む。どの図も、任意の他の図に対する正確な比率を示すと解釈すべきではない。
【0094】
当業者であれば分かるように、本明細書に記載の例による半導体材料の層を堆積させるために、種々の技術を使用してもよい。このような技術は再成長技術として既知な場合があり、たとえば、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)または分子線エピタキシ(MBE)プロセスを使用してもよい。
【0095】
前述の例は、本発明の説明のための例として理解すべきである。当然のことながら、いずれか一つの例に関連して説明した任意の特徴は、単独で使用してもよいし、説明した他の特徴と組み合わせて使用してもよく、また、任意の他の例または任意の他の例の任意の組み合わせの1つ以上の特徴と組み合わせて使用してもよい。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、前述していない均等物及び変更を使用してもよい。
【国際調査報告】