(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング機器
(51)【国際特許分類】
A45D 1/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A45D1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579280
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 GB2022051319
(87)【国際公開番号】W WO2022269225
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ フランソワ アトキンソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョナソン ラングミード
(72)【発明者】
【氏名】ディニタ サバシャナ ブラシンハラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー アントニー ジェスタサン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ベンジャミン コートニー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オリバー ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ベン マシュー ガリエン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ロー ホク フア
(57)【要約】
ヘアスタイリング機器は、互いに近づく及び遠ざかる往復運動のために互いに結合され、互いの間の領域内に毛髪を受け入れるように配置された第1のアーム及び第2のアームを有する。プレナムは、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方内に配置され、ファンユニットからの空気流を受け取るための空気入口と、領域内の毛髪に向かって空気流を放出するための空気出口とを含む。空気偏向器は、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方に沿って配置され、空気流の少なくとも一部を領域外へ偏向させるように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近づく及び遠ざかる往復運動のために互いに結合され、互いの間の領域内に毛髪を受け入れるように配置された第1のアーム及び第2のアームと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方内に配置され、ファンユニットからの空気流を受け取るための空気入口と、前記領域に空気流を放出するための空気出口とを備える、プレナムと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方に沿って配置され、前記空気流の少なくとも一部を前記領域外へ偏向させるように構成される、少なくとも1つの空気偏向器と
を備えるヘアスタイリング機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの空気偏向器は、前記空気流が移動する少なくとも1つのダクトを少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項3】
前記ダクトは、前記ダクトの長さの少なくとも一部に沿って前記領域から遠ざかるように湾曲している、請求項2に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項4】
前記ダクトは、断面において、下流側方向に収束している、請求項2又は請求項3に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項5】
前記ダクトは、前記空気偏向器に対向して配置された前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方の外面によって少なくとも部分的に画定される、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項6】
前記外面は、断面において、前記領域から遠ざかるように湾曲している、請求項5に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項7】
前記外面と前記空気偏向器との間に配置された少なくとも1つのベーンを備える、請求項5又は請求項6に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つのベーンは、使用時に、前記ダクトから出る前記空気流を概して前記ヘアスタイリング機器の先端部に向かって偏向させるように、前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方の長手方向軸線に対して角度を付けられ、並びに/又は湾曲している、請求項7に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項9】
前記第1のアーム及び前記第2のアームの各々が、使用時に前記毛髪が前記ヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に前記毛髪が前記領域に入る前縁部と、使用時に前記毛髪が前記ヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に前記毛髪が前記領域から離れる後縁部とを備え、前記空気出口は、前記前縁部よりも前記後縁部の近くに配置され、前記空気偏向器は、前記後縁部よりも前記前縁部の近くに配置されている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項10】
前記プレナムは、前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方を通して長手方向に延在し、前記プレナムの長さの少なくとも一部に沿って、前記領域内の前記毛髪の平面に平行な断面において先細になっている、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項11】
前記空気流が前記空気出口から放出される前に前記空気流を加熱するための長手方向に延在する発熱体を備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項12】
前記アームの各々が、前記プレナムと、前記空気出口と、前記空気入口と、前記空気偏向器とを備える、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項13】
前記第1のアーム及び前記第2のアームは、基部に枢動可能に取り付けられる、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項14】
前記ファンユニットは、前記基部内に配置されている、請求項13に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項15】
前記ファンユニットに前記プレナム又は各プレナムを接続するベローズを備える、請求項14に記載のヘアスタイリング機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスタイリング機器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱式ヘアスタイリング機器は、熱、機械的手段及び/又は空気流の作用を用いて、毛髪を所望の形状又はスタイルに形成するように設計されている。
【0003】
ストレートヘアアイロン(hair straightener)は、枢動アームに取り付けられた、加熱されたプレートを利用することができ、ユーザは、加熱されたプレートの間に毛髪の束をクランプし、閉位置に保持することができる。毛髪が転移温度を超えて加熱されると、毛髪の束を変化した形状にスタイリングすることができる。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、
互いに近づく及び遠ざかる往復運動のために互いに結合され、互いの間の領域内に毛髪を受け入れるように配置された第1のアーム及び第2のアームと、
第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方内に配置され、ファンユニットからの空気流を受け取るための空気入口と、領域内の毛髪に向かって空気流を放出するための空気出口とを備える、プレナムと、
第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方に沿って配置され、空気流の少なくとも一部を領域外へ偏向させるように構成される、少なくとも1つの空気偏向器と
を備えるヘアスタイリング機器が提供される。
【0005】
空気流の少なくとも一部を領域内の毛髪から遠ざけるように偏向させることにより、ユーザの快適性が向上し、及び/又は流出する空気流の抵抗が低減し得る。具体的には、加熱された空気流がユーザの首、頭部又は肩から遠ざかる方向に向けられるので、ユーザの快適性が改善する。
【0006】
少なくとも1つの空気偏向器は、空気流が移動する少なくとも1つのダクトを少なくとも部分的に画定してもよい。
【0007】
ダクトは、ダクトの長さの少なくとも一部に沿って領域から遠ざかるように湾曲していてもよい。ダクトは、断面において、下流側方向に収束していてもよい。ダクトの湾曲及び/又は収束によって、空気流特性及び/又はユーザの快適性が改善し得る。
【0008】
ダクトは、空気偏向器に対向して配置された第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方の外面によって少なくとも部分的に画定されてもよい。外面は、断面において、領域から遠ざかるように湾曲していてもよい。ダクトの湾曲によって、空気流特性及び/又はユーザの快適性が改善し得る。
【0009】
ヘアスタイリング機器は、外面と空気偏向器との間に配置された少なくとも1つのベーンを備えてもよい。少なくとも1つのベーンは、使用時に、ダクトから出る空気流を概してヘアスタイリング機器の先端部に向かって偏向させるように、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方の長手方向軸線に対して角度を付けられ、並びに/又は湾曲していてもよい。これにより、空気流特性及び/又はユーザの快適性が改善し得る。
【0010】
第1のアーム及び第2のアームの各々は、使用時に毛髪がヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に毛髪が領域に入る前縁部と、使用時に毛髪がヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に毛髪が領域から離れる後縁部とを備えてもよく、空気出口は、前縁部よりも後縁部の近くに配置され、空気偏向器は、後縁部よりも前縁部の近くに配置されている。
【0011】
プレナムは、第1のアーム及び第2のアームの少なくとも一方を通して長手方向に延在し、プレナムの長さの少なくとも一部に沿って、領域内の毛髪の平面に平行な断面において先細になっていてもよい。
【0012】
ヘアスタイリング機器は、空気流が空気出口から放出される前に空気流を加熱するための長手方向に延在する発熱体を備えてもよい。
【0013】
アームの各々は、プレナムと、空気出口と、空気入口と、空気偏向器とを備えてもよい。
【0014】
第1のアーム及び第2のアームは、基部に枢動可能に取り付けられてもよい。ファンユニットは、基部内に配置されていてもよい。
【0015】
ヘアスタイリング機器は、ファンユニットにプレナム又は各プレナムを接続するベローズを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1のヘアスタイリング機器の端面図である。
【
図3】
図1のヘアスタイリング機器の線III-IIIを通る断面図である。
【
図4】閉位置にある
図1のヘアスタイリング機器の斜視図である。
【
図5】開位置にある
図1のヘアスタイリング機器の斜視図である。
【
図7】代替ヘアスタイリング機器の簡略断面図である。
【
図8】更なる代替ヘアスタイリング機器の簡略断面図である。
【
図9】更なる代替ヘアスタイリング機器の簡略断面図である。
【
図10】更なる代替ヘアスタイリング機器の簡略断面図である。
【
図11】
図4を通して取った、
図1~
図6のヘアスタイリング機器の長手方向垂直断面図である。
【
図12】
図4を通して取った、
図1~
図6のヘアスタイリング機器の長手方向水平断面図である。
【
図13】
図1~
図6のようなヘアスタイリング機器と共に使用するための加熱器の斜視図である。
【
図16】ヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図17】更なるヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図18】更なるヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図19】更なるヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図20】ヘアスタイリング機器の要素間の相対位置の変化を測定するためのセンサ配置を示す、
図16のヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図21】ヘアスタイリング機器の要素間の相対位置の変化を測定するための更なるセンサ配置を示す、
図17のヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図22】ヘアスタイリング機器の要素間の相対位置の変化を測定するための更なるセンサ配置を示す、
図16のヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図23】ヘアスタイリング機器の要素間の相対位置の変化を測定するための更なるセンサ配置を示す、
図17のヘアスタイリング機器の概略側面図である。
【
図24】ヘアスタイリング機器と共に使用するためのテンションプレート配置の側面図である。
【
図25】
図24のテンションプレート配置からのテンションプレートの一方の側面図である。
【
図26】
図24のテンションプレート配置からのテンションプレートの他方の斜視図ある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明がより容易に理解されるように、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、例として説明する。
【0018】
図面を参照すると、ヘアスタイリング機器10は、互いに近づく及び遠ざかる往復運動のために互いに結合された、第1のアーム12及び第2のアーム14を備える。図示の例では、第1のアーム12及び第2のアーム14は、それぞれのヒンジ17によって、ハンドル部16の形態の基部に枢動可能に取り付けられている。第1のアーム12及び第2のアーム14は、
図5に示すように、ばね(図示せず)によって開位置に向かって付勢され、ユーザによってばねの付勢に抗して手動で閉じることができる。
【0019】
第1のアーム12及び第2のアーム14の各々は、ハンドル部16の遠位の先端領域18で終端する。第1のアーム12及び第2のアーム14の各々は、平面において、先端領域18に向かって第1のアーム12及び第2のアーム14の長さに沿って狭くなる先細部分24を含む。
【0020】
第1のアーム12及び第2のアーム14は、乾燥空洞20の形態の領域内に毛髪を受け入れるように配置されている。乾燥空洞20は、以下でより詳細に説明するように、ヘアスタイリング機器10が使用されているときに毛束22が捕捉される、第1のアーム12と第2のアーム14との間の空間である。
【0021】
第1のアーム12及び第2のアーム14の各々は、前縁部15を備え、使用時に毛髪がヘアスタイリング機器10を通して引っ張られている間に、毛髪が前縁部15を過ぎて乾燥空洞20に入る。また、第1のアーム12及び第2のアーム14の各々は、後縁部19を備え、使用時に毛髪がヘアスタイリング機器10を通して引っ張られている間に、毛髪が後縁部19を過ぎて乾燥空洞20から離れる。
【0022】
先端領域18の遠位のハンドル部16の部分は、概して中空であり、ヘアスタイリング機器10が使用されているときに空気が通過するいくつかの外部孔26を含む。フィルタ28は、入ってくる空気を濾過して、下流側の構成要素又はユーザの毛髪を損傷する可能性のある埃及び他の粒子を除去する。
【0023】
フィルタ28を通過すると、空気は、電動モータ32によって駆動されるインペラ30を通って下流側に進む。モータ32は、実装に応じて、主電源(ケーブルを介して供給、図示せず)及び/又は電池(図示せず)によって駆動されてもよい。
【0024】
モータ32の下流側では、空気は、ベローズ34を通って進む。ベローズ34は分岐し、空気を第1のダクト36及び第2のダクト38に分割する。第1のダクト36及び第2のダクト38の各々は、
図12に示すようにS字形状部分37の形態のオフセットを含む。代替的に、ベローズが分岐する場所の上流側にS字形状部分のようなオフセットが設けられてもよい。更に別の代替形態では、単一のプレナムのみが設けられる場所と同様の位置の空気流経路内にS字形状部分のようなオフセットが設けられてもよく、したがってフォーク又は少なくとも場合によってはベローズが必要ない。
【0025】
第1のダクト36は、第1の空気入口42を介して第1のアーム12内の第1のプレナム40に空気を供給し、第2のダクト38は、第2の空気入口46を介して第2のアーム14内の第2のプレナム44に空気を供給する。ベローズ34は、少なくとも部分的に弾性材料で形成されており、ヘアスタイリング機器が
図5に示す開位置にあるときに、第1のダクト及び第2のダクトが互いに離れるように屈曲することを可能にする。
【0026】
第1のプレナム40は、乾燥空洞20に開口する第1のスロット48の形態の出口を有する。同様に、第2のプレナム44は、乾燥空洞20に開口する第2のスロット50の形態の出口を有する。第1のスロット48及び第2のスロット50は、それぞれの第1のアーム12及び第2のアーム14の内面に沿って延びている。第1のスロット48及び第2のスロット50は、ヘアスタイリング機器10の連続開口部の形態をとるが、代替的に、乾燥空洞20に沿って配置された1つ以上の不連続及び/又は異なる形状の開口部の形態をとってもよい。
【0027】
第1のスロット48及び第2のスロット50は、それぞれの前縁部15よりもそれぞれの後縁部19の近くに配置されている。
【0028】
第1のプレナム40及び第2のプレナム44の各々は、空気流がそれぞれの第1のスロット48及び第2のスロット50から放出される前に空気流を加熱するための長手方向に延在する加熱器66を含む。加熱器66は、
図13~
図15を参照して以下でより詳細に説明する。
【0029】
図12に最もよく示すように、第1のプレナム40及び第2のプレナム44の各々は、対応するダクト36/38を接合するところから先端領域18に向かって、平面的に先細になっている。第1のプレナム40及び第2のプレナム44の横断面積のこの減少は、モータ32からの距離の増加による空気圧の漸減を補償する。S字形状部分37は、第1のスロット48及び第2のスロット50から遠位の点にある各プレナムの領域に空気流を導き、これは、第1のプレナム40及び第2のプレナム44の長さにわたって圧力を均一にするのに役立つ。
【0030】
各プレナム内の傾斜壁51は、プレナムの長さの大部分に沿って延在している。対応するスロット48又はスロット50に対する傾斜壁51の角度は、空気がプレナムからスロット48又はスロット50を通って均一に方向転換されるように選択される。少なくとも
図1から
図6の実施形態において、約6~10度、より具体的には約8~9度、最も具体的には8.7度の角度が有効であることが見出されている。
【0031】
第1のアーム12は、第1の空気偏向器52を含み、第2のアーム14は、第2の空気偏向器54を含む。第1の空気偏向器52及び第2の空気偏向器54は、それぞれ、第1のアーム12及び第2のアーム14に沿って配置され、以下でより詳細に説明するように、空気流の少なくとも一部を乾燥空洞20内の毛髪から遠ざけるように偏向させるように構成されている。第1の空気偏向器52及び第2の空気偏向器54は、それぞれの後縁部19よりも前縁部15の近くに配置されている。
【0032】
ヘアスタイリング機器10では、第1の空気偏向器52は、第1のダクト56を部分的に画定する。また、第1のダクト56は、第1の空気偏向器52の反対側に配置された第1のアーム12の第1の外面58によって部分的に画定される。同様に、第2の空気偏向器54は、第2のダクト60を画定する。第2のダクト60も同様に、第2の空気偏向器54の反対側に配置された第2のアーム14の第2の外面62によって部分的に画定される。
【0033】
第1の外面58及び第2の外面62は、横断面において、乾燥空洞20から離れるように湾曲している。第1のダクト56及び第2のダクト60を通過する空気流59に滑らかな経路を提供するだけでなく、第1の外面58及び第2の外面62の曲線は、空気流の付着を促進するように選択され、それによって、空気流がダクトに向かうよう促進され、制限が低減する。
【0034】
図3及び
図6に最もよく示すように、第1のダクト56及び第2のダクト60は、それぞれの長さの少なくとも一部に沿って乾燥空洞20から離れるように湾曲している。ヘアスタイリング機器10では、第1のダクト56及び第2のダクト60は、横断面において湾曲している(
図3及び
図6参照)。これにより、空気流59が乾燥空洞20内の毛髪から遠ざかるよう促進される。
【0035】
第1のダクト56及び第2のダクト60は、横断面において、下流側方向に収束する。これにより、空気流59が第1のダクト56及び第2のダクト60から離れるときに加速され、これは空気の巻き込みを助け、次に、移動する空気の平均温度を下げるように作用する。空気の温度が下がると、ヘアスタイリング機器10が使用される方位に応じて、より優れたユーザ快適性を提供することができる。
【0036】
第1のダクト56及び第2のダクト60は、それらの外面58及び外面62と空気偏向器52及び空気偏向器54との間に配置された複数のベーン64を含む。各ベーン64は、使用時に、第1のダクト56及び第2のダクト60から出る空気流を概してヘアスタイリング機器10の先端領域18に向かって偏向させるように、第1のアーム12及び第2のアーム14の長手方向軸線に対して角度を付けて湾曲している。このように空気流を偏向させることにより、ヘアスタイリング機器10が使用される方位に応じて、ユーザの快適性が改善し得る。具体的には、加熱された空気流がユーザの首、頭部又は肩から遠ざかる方向に向けられるので、ユーザの快適性が改善される。
【0037】
使用時に、ヘアスタイリング機器10が
図5に示す開位置にある間、ユーザは、第1のアーム12と第2のアーム14との間の乾燥空洞20内に毛束22を置く。典型的には、ヘアスタイリング機器10は、後縁部19がユーザの頭皮に近い状態で位置決めされるが、所望のスタイリング効果に応じて他の位置が選択されてもよい。次いで、ユーザは、第1のアーム12及び第2のアーム14を
図4に示す閉位置に向かって共に圧迫し、それによって毛束22を乾燥空洞20内に捕捉する。
【0038】
モータ32によって駆動されると、インペラ30は、孔26及びフィルタ28を通して空気を吸い込み、次いで、ベローズ34を通して空気を下流側に押し流し、そこで空気は第1のダクト36と第2のダクト38との間で分割される。空気流は、第1のダクト36から第1のプレナム40に入り、第2のダクト38から第2のプレナム44に入る。
【0039】
空気流は、第1のプレナム40及び第2のプレナム44を通って、それぞれの加熱器66に向かって移動する。空気流は、加熱器66によって加熱され、次いで、第1のスロット48及び第2のスロット50を出て、乾燥空洞20に入る。第1のプレナム40及び第2のプレナム44、並びにS字形状部分37の横断面が先細になっていることにより、加熱された空気流は、第1のスロット48及び第2のスロット50から、第1のスロット48及び第2のスロット50の長さに沿って概ね均等に出る。
【0040】
ユーザが頭皮からヘアスタイリング機器10を引き離す間、加熱された空気流は、乾燥空洞20内の毛束22を加熱し、乾燥させ、真っ直ぐにし、滑らかにする。加熱された空気流が毛束22から離れるとき、その大部分は第1のダクト56及び第2のダクト58に向けられるが、少量が第1の空気偏向器52及び第2の空気偏向器54の内縁部間の間隙に捕捉された毛髪を通して漏れることがある。空気流は、第1のダクト56及び第2のダクト60を通って毛束22から遠ざかる方向に向けられ、上記でより詳細に説明したように角度を付けて排出される。
【0041】
ヘアスタイリング機器10は、プレナムと、出口と、空気偏向器とを有する第1のアーム12及び第2のアーム14の両方を示すが、これらの構成の他の組合せが使用されてもよい。
【0042】
一実施例では、第1のアーム12及び第2のアーム14の一方のみがプレナムを含み、第1のアーム12及び第2のアーム14の一方のみが空気偏向器を含む。プレナムを有するアームは、空気偏向器を有するアームと同じである必要はない。
【0043】
例えば、
図7は、ヘアスタイリング機器70の横断面を示し、ヘアスタイリング機器10と共通の構成には同じ符号を使用している。ヘアスタイリング機器70では、第2のアーム14はプレナムを含まない。また、第1のアーム12は、空気偏向器を含まない。そのため、乾燥空洞20から出る空気流は全てダクト60を通過する。
【0044】
図8は、ヘアスタイリング機器80の横断面を示し、ヘアスタイリング機器10及びヘアスタイリング機器60と共通の構成には同じ符号を使用している。ヘアスタイリング機器80では、第2のアーム14はプレナム44とダクト60とを含むが、第1のアーム12はプレナムも空気偏向器も含まない。ヘアスタイリング機器60と同様に、乾燥空洞20を出る空気流は全てダクト60を通過するが、この場合、空気流は第2のスロット50を介して乾燥空洞20に供給される。
【0045】
別の実施例では、第1のアーム12及び第2のアーム14の両方がプレナムを含むが、第1のアーム12及び第2のアーム14の一方のみが空気偏向器を含む。
【0046】
例えば、
図9は、ヘアスタイリング機器90の横断面を示し、ヘアスタイリング機器10、ヘアスタイリング機器70、及びヘアスタイリング機器80と共通の構成には同じ符号を使用している。ヘアスタイリング機器90では、第1のアーム12及び第2のアーム14は、それぞれの第1のプレナム40及び第2のプレナム44を含む。第2のアーム14は空気偏向器54を含むが、第1のアーム12は空気偏向器を含まない。そのため、乾燥空洞から出る空気流は全て第2のダクト60を通過する。
【0047】
別の実施例では、第1のアーム12及び第2のアーム14の一方のみがプレナムを含むが、第1のアーム12及び第2のアーム14の両方が空気偏向器を含む。
【0048】
例えば、
図10は、ヘアスタイリング機器100の横断面を示し、ヘアスタイリング機器10、ヘアスタイリング機器70、ヘアスタイリング機器80、及びヘアスタイリング機器90と共通の構成には同じ符号を使用している。ヘアスタイリング機器100では、第1のアーム12は第1のプレナム40を含むが、第2のアーム14はプレナムを含まない。そのため、乾燥空洞20から出る空気流は
図1~
図6のヘアスタイリング機器10に関して説明したのと同様の方法で第1のダクト56及び第2のダクト60を通過するが、この場合、空気流は第1のスロット48のみを介して乾燥空洞20に供給される。
【0049】
第1のアーム及び第2のアームと、プレナムと、出口と、空気偏向器との具体的な組合せについて説明したが、所望の実装に応じて、このような構成要素の他の任意の組合せが採用され得ることが理解されよう。これらの要素の特定の組合せを選択することにより、製造業者は、所望の性能と製造コストとのバランスを取ることができる。
【0050】
加えて、単一のモータ32とインペラ30の使用について説明したが、各アーム内又は各アームに対して別個のモータを設けることができることが理解されよう。
【0051】
また、上述のヘアスタイリング機器は、全て(ハンドル部16などの)基部を使用するが、当業者であれば、アームは、このような基部を介してではなく、互いに直接接続されてもよいことが理解されよう。その場合、モータ32とインペラ30とをアームの一方内に取り付けることができ、又は別個のモータとインペラとをアームの各々内に取り付けることができる。
【0052】
第1のアーム12及び第2のアーム14は一般に左右対称であるが、当業者であれば、必ずしもそうでなくてもよいことが理解されよう。例えば、アームの一方は他方よりも容積が大きく、例えばモータ32と、インペラ30と、プレナムとを含んでもよいが、他方のアームはこれらのアイテムを含まなくてもよい。空気偏向器は、この手法ではアームのいずれか一方に取り付けることができる。
【0053】
上述の空気偏向器は、長手方向ダクトを画定する線形要素の形態をとるが、他の実施形態では、異なる形態の空気偏向器が使用されてもよい。例えば、空気偏向器は、アームのいずれか一方又は両方を通して形成された1つ以上の開口部の形態をとることができる。この場合、空気偏向器は、乾燥空洞20から出る空気が衝突して方向転換される各開口部の壁の一部を形成する。代替的に、空気偏向器は、アームのいずれか一方又は両方から離間した1つ以上の長手方向スラットの形態をとることができる。
【0054】
加熱器66は、任意の適切な形態をとり得る。第1のプレナム40及び第2のプレナム44の両方が加熱器を含むが、重複を避けるために、第1のプレナム40内のもののみを説明する。当業者であれば、他の実装形態においてプレナムの一方のみが加熱器を有することが理解されよう。また、両方のプレナムが加熱器を有する場合、それらは互いに同じである必要はない。
【0055】
図示の実施例では、
図13~
図15に最もよく示すように、加熱器66は、フレーム71を備える。フレーム71は、空気流に概ね垂直な方向に離間した第1のフレーム要素72及びフレーム要素74のペアを含む。フレーム要素72及びフレーム要素74は、空気流に概ね垂直な方向に延在し、互いに概ね平行に配置されているが、必ずしもそうである必要はない。フレーム要素は、雲母から形成されているが、他の任意の適切な耐熱性材料が使用されてもよい。
【0056】
フレーム要素72及びフレーム要素74は、スペーサ68によって互いに離間して保持されている。この場合、各スペーサは円筒形であり、雲母から形成されているが、他の任意の適切な耐熱性材料が使用されてもよい。任意の具体的な実装形態の要件に応じて、他の断面形状が採用されてもよい。スペーサ68は、フレーム要素72及びフレーム要素74の相互に対向する表面の間に延在している。
【0057】
図示の実施形態では、更なるスペーサ102によって空気流に平行な方向に互いに離間した第2のフレーム要素172及びフレーム要素174のセットが存在する。第2のフレーム要素172及びフレーム要素174のセットは、第1のフレーム要素72及びフレーム要素74のセットから上流側方向に離間している。
【0058】
図12及び
図13に最もよく示すように、スペーサ68と更なるスペーサ102は、下流側方向に対して互いに横方向にオフセット104されている。オフセット104によって、スペーサ68と更なるスペーサ102とが直接一直線上にある場合のように、更なるスペーサ102によって乱された空気が下流側のスペーサ68によって更に著しく乱されないことが保証される。この結果、乾燥空洞20への空気と熱の分布がより均一になる。
【0059】
ヘアスタイリング機器と共に使用される加熱器は、1つ以上の発熱体を備えることができる。図示の実施形態では、フレーム要素72及びフレーム要素74のペアと、更なるフレーム要素172及びフレーム要素174のペアは、各々、発熱体96が加熱領域にわたって繰り返し延在するように、発熱体96をその周りに巻き付けている。この場合の発熱体96は、ニクロムワイヤの形態をとるが、他の種類の材料及び発熱体が使用されてもよい。
【0060】
図示の実装形態では、加熱領域は、フレーム要素172からフレーム要素174へと繰り返し通過する発熱体66によって画定される第1の上流側加熱領域98と、フレーム要素174からフレーム要素172へと繰り返し通過する発熱体66によって画定される第1の下流側加熱領域100とを含む。このようにフレーム要素172とフレーム要素174との間を繰り返し通過することによって、発熱体66は、ヘアスタイリング機器10の使用時に空気が流れる領域を密に覆う。
【0061】
他の実装形態では、発熱体は、フレーム要素172とフレーム要素174との間の空間にわたって繰り返し延在することができ、クランプ、ねじ又は他の任意の適切な保持手段を用いて所定位置に保持することができる。代替的に又は追加的に、発熱体は、フレーム要素172及びフレーム要素174の切り欠き又は穴によって適所に保持することができる。発熱体の張力は、任意選択的に、発熱体を所定位置に保持するのに役立つ。
【0062】
発熱体は、抵抗テープ、トレース、ワイヤなどを含む他の任意の適切な形態をとることができ、任意選択的に、増大した面積を覆って熱伝達を改善するために、波形、キャスタレーション、起伏、フィンなどを含むことができる。
【0063】
フレーム要素72及びフレーム要素74は、同様に、フレーム要素172及びフレーム要素174について説明したのと同様の方法で、1つのフレーム要素から別のフレーム要素へと通過する発熱体によって画定される、更なる上流側加熱領域106及び更なる下流側領域108を含む加熱領域を含む。
【0064】
図16~
図19を参照すると、ヘアスタイリング機器のいくつかの構成を示しており、共通の構成には同様の符号で参照している。これらの構成は、概略的かつ例示的なものに過ぎず、当業者であれば、他の多くの構成及び配置が採用され得ることが理解されよう。
【0065】
図16~
図19のヘアスタイリング機器は、各々、互いに対して移動可能な複数の要素を有する。複数の要素は、第1のアーム12及び第2のアーム14を備える。
【0066】
図16では、第1のアーム12及び第2のアーム14がヒンジ17を中心に枢動するように取り付けられている。第1のアーム12及び第2のアーム14を、ヒンジ17によって画定されるヒンジ軸線を中心に互いに対して枢動可能にするための機構に関連する更なる主要要素はない。
【0067】
図17では、第1のアーム12及び第2のアーム14と同様に、基部16が設けられている。この場合、基部16は、第1のアーム12と第2のアーム14との間で入れ子にされ、第1のアーム12と第2のアーム14とが押し合わされるとき、基部16がそれらの間で包まれるようになっている。他の実施形態では、基部16は、例えば一部が第1のアーム及び第2のアームの一方又は両方の外側にあるなど、第1のアーム及び第2のアームに対して異なって配置されてもよい。
【0068】
図18では、第1のアーム12及び第2のアーム14がヒンジ17を越えて下方に延在し、はさみ型の配置を形成している。
【0069】
図19では、基部16が第2のアーム14の一体部分であり、一方、第1のアーム12がヒンジ17のヒンジ軸線を中心に第2のアーム14及び基部16に対して枢動する。
【0070】
ヘアスタイリング機器は、他の多くの一般的な形態及び構成をとることができることが理解されよう。例えば、ヒンジの代わりに、可撓性バネ、及び/又は第1のアームと第2のアームとの間の相対移動を可能にする関節配置が採用されてもよい。
【0071】
図20~
図23を参照すると、ヘアスタイリング機器の少なくとも2つの要素間の相対移動の感知を可能にするセンサ配置を使用するヘアスタイリング機器の実施例を示している。相対移動は、例えば2つのこのような要素間の角度及び/又は距離であってもよい。相対移動、角度又は距離が感知される2つの要素は、第1のアーム12と第2のアーム14、又はアームの一方とヘアスタイリング機器の別の要素であってもよい。例えば、基部16が採用される場合、基部16と第1のアーム12及び第2のアーム14の一方との間の相対移動、角度及び/又は距離が感知され得る。
【0072】
ヘアスタイリング機器の少なくとも2つの要素間の相対移動、角度及び/又は距離の感知を可能にするために、要素の少なくとも1つに取り付けられた少なくとも第1のセンサ構成要素を備えるセンサ配置が提供される。単一のセンサ構成要素が使用される場合、センサ構成要素は、ヘアスタイリング機器の1つの要素に取り付けられ、それとヘアスタイリング機器の別の要素との間の相対移動、距離及び/又は角度を測定する。
【0073】
機械的、電気機械的、電子的、容量的、誘導的、磁気的、音波的、電磁的、又は他の任意の技術に基づく任意の適切なセンサが、このようなセンサ配置において使用され得る。代替的に、第1のセンサ構成要素76は、送受信のために同じ変換器を使用する超音波送受信ユニットのような、組み合わされた送受信機であってもよい。
【0074】
図20~
図23の実施例では、センサ配置は、第1のセンサ構成要素76及び第2のセンサ構成要素78を備える。第1のセンサ構成要素76及び第2のセンサ構成要素78は、機械的、電気機械式、電子的、容量的、誘導的、磁気的、音波的、電磁的、又は他の任意の技術に基づくセンサの任意の組合せを含んでもよい。例えば、第1のセンサ構成要素76及び第2のセンサ構成要素78は、相補的な送信機及び受信機の形態をとることができる。例えば、第2のセンサ構成要素78は、超音波送信器、発光器又は(磁石などの)磁場発生器とすることができ、第1のセンサ構成要素76は、相補的な超音波受信器、(例えば光依存性抵抗器などの)光受信器又はホール効果センサである。第2のセンサ構成要素78は、代替的に又は追加的に、ミラー又は音響反射領域などの反射器の形態をとってもよく、これは、任意選択的に反射信号を集束させるように成形され得る。
【0075】
他の代替形態では、第1の構成要素76は、第2のセンサ構成要素78の構成、態様又は特性と相互作用する受信機、センサ又はスキャナの形態をとってもよい。例えば、第1の構成要素76は、画像センサの形態をとってもよく、第2のセンサ構成要素78は、距離又は角度を決定するために画像センサによって感知することができる標的、レチクル、目盛り又は他の形成物の形態をとってもよい。
【0076】
更に他の代替形態では、第1の構成要素76は、ホール効果センサの形態をとってもよく、第2の構成要素78は、磁石の形態をとってもよい。ホール効果センサは、第1の構成要素76及び第2の構成要素78が取り付けられているそれぞれの要素間の角度又は距離に応じて、磁石の位置及び/又は方位を感知するように構成される。
【0077】
更に他の実施形態では、第1のセンサ構成要素76及び第2のセンサ構成要素78のいずれか一方又は両方が、相対的であるか絶対的であるかを問わず、角度又は距離を測定できるようにする1つ以上の機械的要素、構成要素、リンク機構及び/又は機構を含むことができる。例えば、第1のアーム12と第2のアーム14との間の相対移動を回転運動に変換する機構を設けることができ、この回転運動は回転エンコーダを使用して感知することができる。代替的に又は追加的に、第1のセンサ構成要素76及び/又は第2のセンサ構成要素78は、1つ以上の可変抵抗器、コンデンサ、インダクタ、スイッチ又はそれらの組合せを含むことができる。また、第1の構成要素及び/又は第2の構成要素は、1つ以上の可変抵抗器、コンデンサ、インダクタ、スイッチ又はこれらの組合せの要素と相互作用する相互作用構成要素を備えることができる。
【0078】
第1のセンサ構成要素76は、感知された角度及び/又は距離に基づいて、第1のアーム12と第2のアーム14との間の角度及び/又は距離を示す第1の信号を出力する。本明細書において、「角度及び/又は距離を示す」という用語は、信号が角度及び/又は距離を直接的又は明示的に符号化することを必要としない。例えば、第1の信号は、第1のセンサ構成要素と第2のセンサ構成要素との間の距離を間接的又は暗示的に示してもよい。したがって、第1の信号は、第1のアーム12と第2のアーム14との間の距離と、角度とを暗示的に「示す」ものであるが、この信号は、実際の距離又は角度に変換される必要はない。代わりに、第1の信号によって運ばれる値が何であれ、他の任意の形式に変換することなく、入力として直接使用され得る。
【0079】
同様に、ヘアスタイリング機器の要素間の距離及び角度は互いに代替的であるとして説明されているが、実際には、距離も角度も明示的に感知又は決定される必要はない。例えば、第1のセンサ構成要素76が超音波受信器であり、第2のセンサ構成要素78が超音波送信器である場合、第1の信号は、第2の構成要素78によって生成された超音波信号が第1のセンサ構成要素76に到達するのに要した時間を表すことができる。この時間は、超音波信号が横断した距離を示すが、時間を距離及び/又は角度に変換する必要はない。
【0080】
また、その閾値が実際の距離又は角度に変換されたかどうかにかかわらず、第1のセンサ構成要素76によって感知された値が何であれ、何らかの閾値が満たされたと判定すれば十分である。
【0081】
第1の信号は、例えばマイクロプロセッサ82などの1つ以上のプロセッサに出力されてもよい。マイクロプロセッサ82は、必要に応じて、第1の信号を任意選択的に調整、増幅、フィルタリング又は他の方法で処理し、次いで、それをヘアスタイリング機器10を制御するための入力として使用する。代替的に、処理回路(図示せず)及び/又は1つ以上のプロセッサが、第1の信号を生成するセンサ配置の一部を形成してもよい。
【0082】
第1の信号に基づいてアクションが取られてもよい。例えば、第1の信号が、第1のアーム12と第2のアーム14との間の角度及び/又は距離が第1の閾値角度を下回ったことを示す場合、マイクロプロセッサ82は、ユーザが第1のアーム12と第2のアーム14との間の乾燥空洞20内で毛束22を絞ったと結論付けてもよい。したがって、マイクロプロセッサ82は、第1のスロット48及び第2のスロット52から加熱された空気を排出して乾燥空洞20内の毛髪を乾燥させるために、加熱器66とモータ32とをオンにする。
【0083】
第1の信号が、第1のアーム12と第2のアーム14との間の角度及び/又は距離がその後第2の閾値角度を超えて増加したことを示す場合、マイクロプロセッサ82は、ユーザが毛束22を解放したと結論付けてもよい。したがって、マイクロプロセッサ82は、加熱された空気がもはや第1のスロット48及び第2のスロット52から排出されないように、加熱器66とモータ32とをオフにする。代替的に、第2の閾値角度を超えた後、加熱器66のみがオフにされ、モータ32は少なくともある期間作動したままにされる。これにより、例えば、ユーザにとって気が散る可能性があり、ヘアケア機器10内の部品の摩耗を増大させる可能性がある、ファンモータ32の断続的なスイッチのオン及びオフが低減され得る。
【0084】
任意選択的に又は代替的に、ファンは、アームの位置に基づいて制御されてもよい。例えば、第2の閾値が満たされたことに応答して、モータ32及び/又は加熱器66をオフにする代わりに、モータ電力を低減し、空気流を遅くして電力を節約し、毛束22が乾燥空洞20内で絞られていないときに装置から出る空気の量を低減してもよい。
【0085】
第1の閾値角度及び/又は距離並びに第2の閾値角度及び/又は距離は、同じであってもよい。代替的に、第1の閾値角度及び/又は距離が第2の閾値角度及び/又は距離よりも小さくなるように、ヒステリシス関数が適用されてもよい。これにより、例えば、ユーザが第1のアーム及び第2のアームを共通の閾値点に非常に近く維持する場合に、急激な切り替わりが起こることを防ぐ。
【0086】
更に他の閾値が採用されてもよい。例えば、第1の閾値と第2の閾値との中間の第3の閾値が使用されてもよく、この場合、加熱器66がオフにされる一方モータ32はオンに維持され、第2の閾値を超えると、加熱器66とモータ32の両方がオフにされる。
【0087】
また、マイクロプロセッサ82は、ユーザによって操作可能なスイッチ(図示せず)の状況などのユーザ入力を受け入れてもよい。例えば、マイクロプロセッサ82は、第1の閾値角度及び/又は距離を超えたことを感知すると、モータ32をオンにすることができる一方、加熱器66は、ユーザがスイッチを押すことによってのみオンにすることができる。
【0088】
用途に応じて、閾値、入力及び制御の他の組合せが実装されてもよい。
【0089】
第1の信号は、1つ以上の閾値に対する状況を示すことによって、第1のアーム12と第2のアーム14との間の角度及び/又は距離を示してもよい。例えば、第1の信号は、第1のアーム及び第2のアームが第1の閾値角度を超えて閉じられたときの第1の電圧(例えば0V DC)であってもよく、第1のアーム及び第2のアームが第2の閾値角度を超えて開かれたときの第2の電圧(例えば12V)であってもよい。ヒステリシスが採用される場合などの、第1の閾値角度及び第2の閾値角度が異なる場合、第1のセンサ構成要素76は、マイクロプロセッサ82が関与する必要なくヒステリシスを実装する回路(図示せず)を含んでもよい。代替的に、ヒステリシスは、第1の信号に基づいてマイクロプロセッサによって実装されてもよい。
【0090】
図20は、第1の構成要素76が第1のアーム12に取り付けられ、第2の構成要素78が第2のアーム14に取り付けられた配置を示す。第1のアーム12及び第2のアーム14が互いに近づくと、第1のセンサ構成要素76と第2のセンサ構成要素78との間の距離が縮まる。第1のセンサ構成要素76は、上述の技術のいずれかなどの任意の適切な技術を使用して、第1のアーム12と第2のアーム14との間の距離81を感知する。次いで、第1のセンサ構成要素76は、感知された角度及び/又は距離に基づいて、第1のアームと第2のアームとの間の角度及び/又は距離を示す第1の信号を出力する。
【0091】
図21は、第1の構成要素76が基部16に取り付けられ、第2の構成要素78が第2のアーム14に取り付けられた配置を示す。この配置における距離81は、
図X5の配置における距離81の約半分である。第1の信号自体がこれを考慮に入れるように修正されるか、又はマイクロプロセッサ82による第1の信号の解釈がこれに対応して調整される。
【0092】
図22は、第1の構成要素76及び第2の構成要素78が両方とも第1のアーム12に取り付けられた配置を示す。第2の構成要素78は、超音波送信器又は発光器などの送信器であり、第1の構成要素76は、超音波受信器又は光依存性装置などの相補的な受信器である。第2の構成要素78によって出力された信号は、第2のアーム14のセクション84で跳ね返ってから、第1の構成要素76によって受信される。この配置における距離81は、
図X5の配置における距離81の約2倍である。第1の信号自体がこれを考慮に入れるように修正されるか、又は第1のマイクロプロセッサ82による第1の信号の解釈がこれに対応して調整される。両方の構成要素を同じアームに取り付けると、特に両方の構成要素に配線が必要な場合に、構造が単純化され得る。
【0093】
図23は、リンク機構86が設けられた配置を示す。リンク機構86は、第1のアーム12に枢動可能に接続された第1のリンク88と、第1のリンク88及び第2のアーム14に枢動可能に接続された第2のリンク90と、第1のリンク88と第2のリンク90との間の接合部に接続された第3のリンク92とを含む。第3のリンク92は、第1のアーム12及び第2のアーム14が離れて一緒に移動すると、基部16に対して上下に摺動するように、基部16との相補的なスロット及びタブ配置(図示せず)によって拘束される。リンク機構86の相対的な長さ及び一般的な配置は、第1のアーム12と第2のアーム14との間の任意の移動を機械的に増幅させるように選択することができる。これにより、検出の感度及び/又は信頼性が改善され得る。他の任意の適切なリンク機構が使用され得ることが理解されよう。
【0094】
第1のアーム12と第2のアーム14との間の距離又は角度が推測できるようにするために、他の任意の配置又は機構が使用されてもよい。
【0095】
加えて、第1のセンサ構成要素76及び第2のセンサ構成要素78の相対的な位置に起因して、第1のアーム12と第2のアーム14との間の距離又は角度自体が測定されていない場合には、第1のアーム12と第2のアーム14との間の実際の距離又は角度に明示的に変換することなく、距離又は角度を推測することで十分であり得る。例えば
図21のヘアスタイリング機器では、第1のセンサ構成要素76と第2のセンサ構成要素78との間で測定される距離は、実際には第1のアーム12及び第2のアーム14の対応する部分間の距離の約半分である。第1のセンサ構成要素76と第2のセンサ構成要素78との間の測定距離を、第1のアーム12及び第2のアーム14の対応する部分間の実際の距離に明示的に変換する必要はない。その代わりに、第1のアーム12及び第2のアーム14の対応する部分間の距離又は角度の関係は、それらの間の既知の関係と第1の信号とに基づいて推測される。
【0096】
図24~
図27を参照すると、スロット48及びスロット50の上流側で、第1のアーム12及び第2のアーム14の後縁部に沿って延在するテンションプレート配置110を示している。テンションプレート配置110は、第1のテンションプレート112及び第2のテンションプレート114を含む。第1のテンションプレート112は、金属板ばね116によって第2のテンションプレート114に向かって弾性的に付勢される。第1のテンションプレート112は、スロット内のばね116の張力に抗して第2のテンションプレート114から遠ざかるように移動できるように、第1のアーム12のスロット内に取り付けられている。
【0097】
図示の例では、第1のテンションプレート112は、一方の端部に第1のガイド118を含み、他方の端部に第2のガイド120を含み、それらの間に第1の接触面119が延びている。第2のテンションプレート114は、一方の端部に第3のガイド122を含み、他方の端部に第4のガイド124を含み、それらの間に第2の接触面123が延びている。第1の接触面119及び第2の接触面123は、摩擦を低減するために低摩擦コーティングで被覆されているが、他の任意の適切な材料が採用されてもよい。
【0098】
図示の実装形態では、第1のガイド118、第2のガイド120、第3のガイド122及び第4のガイド124は、ガイドを屈曲可能にするシリコーンなどのエラストマー材料で作られた先細舌状突起の形態をとる。第1のガイド118と第3のガイド122は互いに一直線上に位置決めされ、第2のガイド120と第4のガイド124も互いに一直線上に位置決めされる。
【0099】
使用時に、第1のアーム12及び第2のアーム14が一緒に押され、毛束22を乾燥領域20内に捕捉すると、第1のガイド118及び第3のガイド122、並びに第2のガイド120及び第4のガイド124の対向する先端部が互いに接触し、
図27に示すように屈曲する。それぞれのガイドのペア間の接触によって、毛束22が例えば乾燥領域に入る空気流の力によって乾燥領域20から離れるのを防ぐ。
【0100】
第1のアーム及び第2のアームが互いに向かって更に移動すると、第1の接触面119と第2の接触面123との間に毛束22が捕捉されるが、毛束22への圧力はばね116によって制限される。ユーザが頭皮から毛髪を引き離すことによってヘアスタイリング機器10を通して毛髪を引くと、第1の接触面119及び第2の接触面123によって生じる毛束22への圧力は、触覚フィードバックを提供し、加熱された毛髪が乾燥領域20を出るときに滑らかにするのに役立つ。
【0101】
任意選択的に、ヘアケア機器は、従来のヘアドライヤーのように毛髪の乾燥に使用されてもよい。このようなモード(自動又は手動で選択され得る)では、ダクト56及び60から出る空気流59を、従来のヘアドライヤーからの空気が使用されるときと同じように向けることによって、ユーザの毛髪の乾燥に使用することができる。この選択肢は毛髪の「粗乾燥」に有用であり、後続のスタイリング動作において機器が使用される前に水分レベルを低減する。
【0102】
添付の図面を参照して複数の態様を説明したが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近づく及び遠ざかる往復運動のために互いに結合され、互いの間の領域内に毛髪を受け入れるように配置された第1のアーム及び第2のアームと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方内に配置され、ファンユニットからの空気流を受け取るための空気入口と、前記領域に空気流を放出するための空気出口とを備える、プレナムと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方に沿って配置され、前記空気流の少なくとも一部を前記領域外へ偏向させるように構成される、少なくとも1つの空気偏向器と
を備えるヘアスタイリング機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの空気偏向器は、前記空気流が移動する少なくとも1つのダクトを少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項3】
前記ダクトは、前記ダクトの長さの少なくとも一部に沿って前記領域から遠ざかるように湾曲している、請求項2に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項4】
前記ダクトは、断面において、下流側方向に収束している、請求項2又は請求項3に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項5】
前記ダクトは、前記空気偏向器に対向して配置された前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方の外面によって少なくとも部分的に画定される、請求項2
又は請求項3に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項6】
前記外面は、断面において、前記領域から遠ざかるように湾曲している、請求項5に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項7】
前記外面と前記空気偏向器との間に配置された少なくとも1つのベーンを備える、請求項
5に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つのベーンは、使用時に、前記ダクトから出る前記空気流を概して前記ヘアスタイリング機器の先端部に向かって偏向させるように、前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方の長手方向軸線に対して角度を付けられ、並びに/又は湾曲している、請求項7に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項9】
前記第1のアーム及び前記第2のアームの各々が、使用時に前記毛髪が前記ヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に前記毛髪が前記領域に入る前縁部と、使用時に前記毛髪が前記ヘアスタイリング機器を通して引っ張られている間に前記毛髪が前記領域から離れる後縁部とを備え、前記空気出口は、前記前縁部よりも前記後縁部の近くに配置され、前記空気偏向器は、前記後縁部よりも前記前縁部の近くに配置されている、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項10】
前記プレナムは、前記第1のアーム及び前記第2のアームの少なくとも一方を通して長手方向に延在し、前記プレナムの長さの少なくとも一部に沿って、前記領域内の前記毛髪の平面に平行な断面において先細になっている、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項11】
前記空気流が前記空気出口から放出される前に前記空気流を加熱するための長手方向に延在する発熱体を備える、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項12】
前記アームの各々が、前記プレナムと、前記空気出口と、前記空気入口と、前記空気偏向器とを備える、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項13】
前記第1のアーム及び前記第2のアームは、基部に枢動可能に取り付けられる、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項14】
前記ファンユニットは、前記基部内に配置されている、請求項13に記載のヘアスタイリング機器。
【請求項15】
前記ファンユニットに前記プレナム又は各プレナムを接続するベローズを備える、請求項14に記載のヘアスタイリング機器。
【国際調査報告】