(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】クロマトグラフィーシステムにおける供給物の精製方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/00 20060101AFI20240628BHJP
B01D 15/10 20060101ALI20240628BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20240628BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240628BHJP
G01N 30/50 20060101ALI20240628BHJP
G01N 30/44 20060101ALI20240628BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G01N30/00 B
B01D15/10
G01N30/46 E
G01N30/26 M
G01N30/26 Q
G01N30/50
G01N30/44
G01N30/86 R
G01N30/26 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579331
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022066012
(87)【国際公開番号】W WO2022268556
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516106689
【氏名又は名称】ピュリディファイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】グンナール・マルムクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス・ユングネリウス
【テーマコード(参考)】
4D017
【Fターム(参考)】
4D017AA20
4D017DA03
4D017EA05
4D017EB02
4D017EB03
4D017EB05
4D017EB06
(57)【要約】
本願発明は第1吸着精製ユニット(13)を有するクロマトグラフィーシステム(10)において、目標生成物の濃度を備える供給物を精製するための方法に関連する。第1吸着精製ユニットは、目標生成物を捕捉する容量を有し、バイオリアクタ(11)からの供給物を継続的に受け取る第1保持タンク(12)からの供給物を受け取り、出口(13b)において目標生成物(14)を供給するように構成されている。方法は、(a)第1吸着精製ユニット(13)を第1保持タンク(12)から供給された供給物の体積で充填するステップ(S20)であって、供給物の体積は、第1吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉する容量以下に相当する量の少なくとも1つの目標生成物を備える、ステップと、(b)第1保持タンク(12)を供給物で満たす間に第1吸着精製ユニット(13)を洗浄、溶出、掃除、再生するステップであって、第1保持タンク(12)は、少なくともこのステップの間にバイオリアクタ(11)から供給される供給物の量の体積を有する、ステップと、ステップ(a)およびステップ(b)を所定のサイクル回数繰り返すステップと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(13、17、18、23、24)を有するクロマトグラフィーシステム(10)において、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するための方法であって、
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは、
目標生成物を捕捉する容量を有し、
第1保持タンク(12、32)からの前記供給物を受け取り、出口(13b、23b、24b)において前記少なくとも1つの目標生成物(14)を供給するように構成されており、
前記第1保持タンク(12)は、バイオリアクタ(11)からの供給物を継続的に受け取るように構成されており、
前記方法は、
(a)
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(13)を、前記第1保持タンク(12、32)から供給される供給物の体積によって充填するステップ(S20)であって、
前記供給物の体積は、前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニットにおいて前記目標生成物を捕捉する容量未満または同じに相当する量の前記少なくとも1つの目標生成物を備える、ステップと、
(b)
ステップ(a)が完了した際、供給物によって前記第1保持タンク(12、32)を満たす間に、前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(13)を洗浄、溶出、掃除、再生するステップ(S30)であって、
前記第1保持タンク(12、32)は、少なくともこのステップの間に前記バイオリアクタ(11)によって供給される前記供給物の量の体積を有する、ステップと、
(c)
ステップ(a)およびステップ(b)を所定のサイクル回数繰り返すステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1保持タンク(12、32)は最大体積を有し、ステップ(a)が完了した際に総体積の一部分が満たされている、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記クロマトグラフィーシステムは更に、前記第1保持タンク(12、32)の重量(W)を測定する(S17)ように構成された重量センサ(15)を備え、
ステップ(a)およびステップ(b)は前記第1保持タンク(12、32)の測定された重量に基づいて開始される、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記第1保持タンク(12、32)の前記測定された重量Wが第1重量閾値W1を超える、すなわちW>W1となる場合にステップ(a)を開始するステップ(S21)と、
前記第1保持タンク(12、32)の前記測定された重量Wが第2重量閾値W2未満となる、すなわちW<W2となる場合にステップ(b)を開始するステップ(S31)と、を更に備える方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(a)は、前記第1保持タンク(12)を供給物で満たす間に、期間(T)の間に実行される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記目標生成物の濃度(C
TP)を測定するステップは、前記第1保持タンク(12)中の濃度を測定することによって実行される、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは、個別の吸着精製ユニット(13、23、24)または複数の並列接続された吸着精製ユニット(17、18)である、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップ(a)における充填は、充填流量(R
L)によって実行されており、
前記バイオリアクタからの前記供給物は、前記第1保持タンクに供給流量(R
F)によって導入されており、
前記供給流量は前記充填流量未満である、すなわちR
F<R
Lである、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
(d)
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(23)を使用して前記所定のサイクル回数、ステップ(a)からステップ(c)を繰り返した後、前記バイオリアクタ(11)からの前記供給物を少なくとも1つの第2吸着精製ユニット(24)へと方向転換するステップと、
(e)
前記バイオリアクタ(11)からの供給物を前記少なくとも1つの第2吸着精製ユニット(24)へと供給する間に、ステップ(a)からステップ(c)を繰り返すステップと、
を更に備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記クロマトグラフィーシステムは、
前記バイオリアクタ(11)からの供給物を受け取るための入口を有する第1バルブ(31)と、
前記第1保持タンク(32)に接続された第1出口と、
前記少なくとも1つの第2吸着精製ユニット(24)へと供給物を供給するように構成された第2保持タンク(33)に接続された第2出口と、が更に設けられ、
ステップ(d)は、
(d1)
前記所定のサイクル回数後、前記第1バルブ(31)を使用して、前記バイオリアクタ(11)からの前記供給物の流れを前記第2保持タンク(33)へと方向転換するステップ、
を更に備える、方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法であって、
前記クロマトグラフィーシステムは、
前記第1保持タンク(12、32)からの供給物を受け取るために少なくとも1つの入口を有する第2バルブ(21、51)と、
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(23)に接続された第1出口と、
前記少なくとも1つの第2吸着精製ユニット(24)に接続された第2出口と、が更に設けられ、
ステップ(d)は、
(d2)
前記所定のサイクル回数後、前記第2バルブ(21、51)を使用して、前記バイオリアクタ(11)からの前記供給物の流れを前記少なくとも1つの第2吸着精製ユニット(24)へと方向転換するステップ、
を更に備える、方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、
(e1)
前記バイオリアクタ(11)からの前記供給物を、前記第1保持タンク(32)から第2保持タンク(33)へと方向転換するステップと、
(e2)
前記第1吸着精製ユニット(13)を前記第2保持タンク(33)からの供給物で充填するステップと、
を更に備える方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記所定のサイクル回数は、前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(13)の性能に基づいている、方法。
【請求項14】
少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するためのクロマトグラフィーシステム(10、20、30、40、50)であって、
前記クロマトグラフィーシステムは、少なくとも1つの第1吸着精製ユニット(13、17、18、23、24)を有し、
前記少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは、
前記目標生成物を捕捉する容量を有し、
少なくとも1つの第1保持タンク(12、32、33)からの前記供給物を受け取り、出口おいて前記少なくとも1つの目標生成物を供給するように構成されており、
前記少なくとも1つの第1保持タンク(12、32、33)はバイオリアクタ(11)からの供給物を継続的に受け取るように構成されており、
前記クロマトグラフィーシステムは、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成されるコントロールユニット更に備える、クロマトグラフィーシステム。
【請求項15】
クロマトグラフィーシステムにおける工程パラメータを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは命令を備え、
前記命令は、少なくとも1つのプロセッサ(51)で実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに対して請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行させる、クロマトグラフィーシステムにおける工程パラメータを制御するためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のクロマトグラフィーシステムにおける工程パラメータを制御するためのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示内容はクロマトグラフィーシステムにおいて目標生成物(target product)を備える供給物を精製する方法に関連し、特に、短いサイクル時間のクロマトグラフィーシステムに関連している。本願開示内容はまた、この方法を実行するクロマトグラフィーシステムおよびコンピュータプログラムに関連している。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーシステムは、バイオリアクタからの供給物において入手できる目標生成物を抽出することに広く用いられている。クロマトグラフィーシステムを効率的に使用するために、従来は目標生成物を捕捉するために大きなカラム(column)が使用されてきたが、再度供給物を充填する前に、洗浄、溶出(eluting)、掃除、クリーンインプレイス(Clean in Place、CIP)を実施しカラムを再生させるという時間のかかる手順を必要とする欠点があった。加えて、精製手順の効率を更に向上させるには多数のカラムを使用し、バイオリアクタからの供給物を継続的に供給することが効果的である。
【0003】
連続クロマトグラフィーにおいて、方法の要件に応じて、いくつかの同一もしくはほとんど同一のカラムが、カラムを直列および/または並列に動作できるような配置で接続されている。したがって、原理上全てのカラムは同時に実行されてもよいが、方法のステップは僅かにずれる。この手順は繰り返されてもよく、各カラムはこの工程において数回に渡って充填、溶出、再生される。個別のクロマトグラフィーサイクルが、カラムを別のバッチ(batch)に使えるようにする前に、サンプルを充填、洗浄、溶出、分解(strip)、クリーンインプレイス(Clean-In-Place、CIP)、再平衡化などのいくつかの連続するステップを必要とされる「従来の」クロマトグラフィーと比較して、複数の同一のカラムに基づく連続クロマトグラフィーにおいては、これらの全てのステップは同時に発生してもよく、それぞれ異なるカラムにおいて発生してもよい。
【0004】
しかし、これはより複雑で高価なシステムであり、同一のカラムを製造することも困難である。それゆえ、目標生成物を得るために供給物を精製する際、同一のカラムに依存しなくても効率的に機能するようなシステムを開発することが切望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願開示内容の目的は、単独もしくは任意の組み合わせで、上記特定された当該技術分野における欠陥および欠点の1つ以上を軽減、緩和または排除しようとする方法を提供することと、改善されたクロマトグラフィーシステムを提供することと、である。
【0006】
この目的は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを有するクロマトグラフィーシステムにおいて、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製する方法によって達成されている。少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは、目標生成物を捕捉する容量を有し、バイオリアクタから継続的に供給物を受け取るように構成された第1保持タンク(holding tank)からの供給物を捕捉するように構成される。少なくとも1つの第1吸着精製ユニットもまた構成され、少なくとも1つの目標生成物を出口に供給する。この方法は下記ステップを備える。
(a)第1保持タンクから供給された供給物の体積(volume)によって少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを充填するステップであって、上記供給物の体積は少なくとも1つの第1吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉する容量以下に相当する少なくとも1つの第1目標生成物の量を備える、ステップ。
(b)ステップ(a)が完了した際、第1保持タンクを供給物で満たす間に、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除、再生するステップであって、上記第1保持タンクは、少なくともこのステップの間にバイオリアクタによって供給される供給物の量の体積を有する、ステップ。
(c)所定のサイクル回数、ステップ(a)および(b)を繰り返すステップ。
【0007】
ある態様によれば、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するクロマトグラフィーシステムが提供されている。このクロマトグラフィーシステムは、目標生成物を捕捉する容量を有する少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを有し、バイオリアクタからの供給物を継続的に受け取るように構成された少なくとも1つの第1保持タンクからの供給物を受け取るように構成されている。また、少なくとも1つの吸着精製ユニットは、出口において少なくとも1つの目標生成物を供給するように構成されており、クロマトグラフィーシステムは更に以下のステップを実行するように構成されている。
(a)第1保持タンクから供給された供給物の体積(volume)で少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを充填するステップであって、上記供給物の体積は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉する容量以下に相当する量の少なくとも1つの目標生成物を備える、ステップ。
(b)ステップ(a)が完了した際、第1保持タンクを供給物で満たす間に、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除および再生するステップであって、上記第1保持タンクは少なくともこのステップの間にバイオリアクタによって供給される供給物の量の体積を有する、ステップ。
(c)所定のサイクル回数、ステップ(a)および(b)を繰り返すステップ。
【0008】
本願発明の利点は、継続的にバイオリアクタから供給物の流れが供給される場合、セットアップおよびクロマトグラフィーシステムが遥かに単純になることである。
【0009】
本願発明のもう1つの利点としては、小さな保持タンクを備えたクロマトグラフィーシステムが導入できることにより、動作中、より簡単に使用、変更、モニターできることである。
【0010】
更なる態様と利点は詳細な説明から得られるであろう。
【0011】
上述の内容は、異なる図を通して同様の参照符号が同じ部品を指す添付図面に示される、例示的な実施形態に関する以下の具体的な説明から明らかである。図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わり、例示的な実施形態を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第1実施形態を示す。
【
図1b】
図1aにおけるクロマトグラフィーシステムの代替の例示的な実施形態を示す。
【
図2】本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第2実施形態を示す。
【
図3】本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第3実施形態を示す。
【
図4】本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第4実施形態を示す。
【
図5】本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第5実施形態を示す。
【
図6】本願開示内容に係るコントロールユニットの模式図である。
【
図7】本願開示内容に係る方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願開示内容の態様についてより詳細に説明する。しかしながら、本願において開示されている装置および方法は多くの異なる形式によって実現されてもよく、本願記載の態様に限定されると解釈されてはならない。全体を通して、図面における同様の番号は同様のエレメント(element)を指す。
【0014】
本願で使用する用語は本願開示内容の特定の態様を説明することのみを目的とし、本願発明を限定するものではない。本願で使用される単数形での記載(「a」、「an」、「the」)は文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことを意図している。
【0015】
本願明細書で示されるいくつかの例示的な実施形態はクロマトグラフィーシステムに向けられている。本願明細書で示される例示的な実施形態の説明の一環として、まず問題が特定され議論される。バイオリアクタからは継続的に供給物が供給されていることが望ましい。なぜなら、工程の速度が向上するからである。そして、これを容易にするため、クロマトグラフィーカラムまたは膜(membrane)のように、複数の吸着精製ユニットが、継続的なクロマトグラフィー工程を生み出すために用いられてきた。しかし、これには同一またはほとんど同一の性能を備える複数の吸着精製ユニットと、多数のバルブを備える複雑なクロマトグラフィーシステムと、バルブのスイッチを管理する複雑なコントロールシステムと、が必要となっている。
【0016】
本願開示内容では、バイオリアクタと1つまたは複数の吸着精製ユニットとの間で保持タンクが直列に接続されている1つの吸着精製ユニット(または複数の並列接続のユニット)のみを使用することによってバイオリアクタからの継続的な流れが維持されているようなクロマトグラフィーシステムが示されている。サイクル時間が短いことによって、保持タンクがとても小さいこと(バイオリアクタの1日の体積出力の2%未満)など、追加の利点も得ることができる。
【0017】
本願開示内容において、各吸着精製ユニットは目標生成物を生成するように制御され、それぞれ目標生成物を捕捉するための最大容量を有する。充填は、当業者にとって自明なコントロールユニットによって制御される工程パラメータに基づいて行われる。例えば、充填は、ブレークスルー(break-through)が発生するまで、もしくは、ブレークスルーが発生した点から一定割合上回るまで行われてもよく、または、ブレークスルー未満に相当する体積を充填することにより安全マージンをとって行われてもよい。
【0018】
供給物中の目標生成物の濃度は、吸着精製ユニットに充填される供給物の体積と、必要な保持タンクのサイズと、に影響を与える。
【0019】
図1aは本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステム10の例示的な第1実施形態の模式図である。以下の特徴に加え、クロマトグラフィーシステムは所望の機能を設けるためにポンプ、バルブ、センサなども備えるが、これは当業者にとって自明であり、したがって本願開示内容には含まれていない。クロマトグラフィーシステム10は、任意選択でインラインセンサ(inline sensor)16(S1とも表記)を介して保持タンク12へと少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を供給流量R
Fで継続的に供給するバイオリアクタ11と、目標生成物を捕捉する容量を有し、出口13bを通じて目標生成物14を排出する吸着精製ユニット13と、を備える。保持タンクには、動作中に保持タンク12の重量をモニタリングするためのはかり15が設けられてもよい。クロマトグラフィーシステムは、特定のパラメータに基づいて工程を制御するコントロールユニット(図示せず)も備える。このようなパラメータの一例は、保持タンク12へと供給されている供給物中の目標生成物の濃度である。
【0020】
コントロールユニットは工程を制御するように構成されており、当該工程は保持タンク12から供給されている供給物の体積によって吸着精製ユニット13を充填することを含み、当該体積は吸着精製ユニット13において目標生成物を捕捉するための容量未満に相当している。したがって、当該体積は、供給物中の目標生成物の濃度と、吸着精製ユニットにおける目標生成物を捕捉する容量と、に依存している。充填が完了すると、工程は、バイオリアクタ11からの供給物によって保持タンク12を満たす間、吸着精製ユニット13を洗浄、溶出、掃除、再生することを含む充填後ステップも含む。保持タンクは、少なくとも、充填後ステップの間にバイオリアクタ11から供給される供給物の量の体積を有するように選択されている。保持タンク12のサイズは、バイオリアクタからの供給流量R
Fと、充填後ステップの時間と、に基づいて決定されている。
図8から10に関連して、具体例を示す。
【0021】
保持タンク12は最大体積を有し、充填ステップが完了した際、保持タンクは任意選択で全体積のほんの一部分のみが満たされている。全体積の一部分とはゼロよりも大きいが、最大体積の3/4、1/4などのように、最大体積における任意の割合であってもよい。あるいは、充填後に保持タンク12は空またはほとんど空である。しかし、このような状態では、充填ステップの最後において、精製ユニット13に空気が吸い込まれてしまう危険性がある。
【0022】
充填後ステップが完了すると、コントロールユニットは充填ステップと充填後ステップとを所定のサイクル回数繰り返す。所定のサイクル回数は、同様のタイプの吸着精製ユニットを使用した過去の実施による経験、または、吸着精製ユニット13の性能に基づいて選択されてもよい。当該性能は、吸着精製ユニットの状況を検出するためのセンサ(図示せず)を使用してモニターされてもよい。状況は、圧力差(pressure difference、dP)など、吸着精製ユニット上の特定のパラメータ変化をモニターすること、または、精製ユニットの前後において、UV(紫外線)、pH、導電性(conductivity)などのパラメータを比較することによって得られている。同様に、UV溶出(UV elution)ピーク面積とピーク形状、または、塩遷移(salt transition)形状を評価することもできる。
【0023】
コントロールユニットが充填ステップを開始した際、吸着精製ユニット13は保持タンク12からの供給物によって充填流量RLで充填される。この例において、バイオリアクタ11から保持タンク12への供給物の継続的な流れは、供給流量RFが充填流量RLよりも少ないこと、すなわちRF<RLであることを必要としている。もしそうでない場合、保持タンク12が満杯にならないように、保持タンク12への供給物の流れを少なくする必要がある。
【0024】
吸着精製ユニット13の充填ステップは、保持タンク12が供給物で満たされる間、期間Tの間に行われてもよい。期間Tは、吸着精製ユニット13に充填される目標生成物の量がブレークスルーを回避するように制限されることを保証するように設定される固定期間(fixed time)であってもよい。あるいは、期間Tは、吸着精製ユニット13に充填される供給物の体積が、バイオリアクタ11からの供給物中の目標生成物の濃度変化および/または吸着精製ユニット12の性能変化に基づいて、保持タンク12中の目標生成物の濃度変化に適応することを保証するように動的であってもよい。目標生成物の濃度C
TPは任意選択のセンサ16を使用して決定されてもよく、当該センサはバイオリアクタからの供給物の濃度およびはかり15(任意の時点における保持タンク12中の供給物の体積を決定することに使用されてもよい)をモニターしている。あるいは、
図2に示されるように、保持タンクにおける濃度を測定するために、センサ26が保持タンクへ導入されてもよい。その後、期間Tは保持タンク中の目標生成物の濃度に基づいて設定される。
【0025】
上述したように、クロマトグラフィーシステムにおいて、はかりが含まれてもよく、はかり15は保持タンク12の重量Wを測定するように構成されており、充填ステップおよび充填後ステップは、測定された保持タンク12の重量に基づいて開始されてもよい。充填ステップは、保持タンク12の重量が第1重量閾値W1超となる、すなわちW>W1となった時に開始されてもよい。これは、保持タンク12中の供給物の量が、充填中に、吸着精製ユニット13の充填に必要な供給物中の目標生成物の量を利用可能であることを保証するのに十分であることを示している。第1重量閾値W1もバイオリアクタからの供給流量に基づいている。充填後ステップは、保持タンク12の重量が第2重量閾値W2以下となる、すなわちW<W2となった時に開始されてもよい。これは、充填ステップの最後において、保持タンク12中に利用可能な供給物がほとんどないことを示している(吸着精製ユニット13が空気を吸い込んでしまうことを回避するため)。
【0026】
図1bは、
図1aにおけるクロマトグラフィーシステムの代替の例示的な実施形態を示しており、保持タンク12からの供給物がマニホールド19を介して供給される、並列接続された2つの吸着精製ユニット17、18を備える。保持タンクには、はかり(
図1aに表記)の代わりとして、保持タンク12中の濃度を測定するように構成されたセンサ26(S2とも表記)が設けられ、保持タンク12中の目標生成物の濃度C
TPを測定するために使用される。このようなセンサの例としては表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPR)が挙げられ、保持タンク内に取り付けられてもよい。
【0027】
さらに、各吸着精製ユニット17、18は目標生成物を捕捉する容量を有し、コンバイナ22を介して各出口17b、18bを通じて目標生成物14を排出している。並列接続された吸着精製ユニット17、18の合計充填流量がバイオリアクタ11からの供給流量RFよりも多い場合に限り、各吸着精製ユニットの充填流量RLは、供給流量RF未満または同一であってもよい。
【0028】
図2、3、5は少なくとも1つの第1吸着精製ユニットおよび第2吸着精製ユニットを有するクロマトグラフィーシステムの例を示している。各例において、クロマトグラフィーシステムは、第1吸着精製ユニット23を使用してサイクル(充填ステップおよび充填後ステップ)が所定の回数実行された場合にバイオリアクタ11からの供給物を第1吸着精製ユニット23から第2吸着精製ユニット24へと方向転換するためのバルブが設けられている。供給物が第2吸着精製ユニット24へと方向転換された場合、供給物がバイオリアクタ11から第2吸着精製ユニット24へと供給される間、充填ステップおよび充填後ステップは所定のサイクル回数繰り返される。
【0029】
図2は本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステム20の例示的な第2実施形態を示しており、これは
図1に関連して説明したクロマトグラフィーシステム10と類似している。クロマトグラフィーシステム20は、保持タンク12へ少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を供給流量R
Fで継続的に供給するバイオリアクタ11と、それぞれが目標生成物を捕捉する容量を有し、コンバイナ22を介してそれぞれ出口23b、24bを通じて目標生成物14を排出している2つの吸着精製ユニット23、24と、を備える。この例示的な実施形態において、クロマトグラフィーシステム20は更に、保持タンク12からの供給物を受け取るための入口を少なくとも1つ有するバルブ21と、第1吸着精製ユニット23に接続された第1出口と、第2吸着精製ユニット24に接続された第2出口と、を備える。保持タンク12には、動作中に保持タンク12の重量をモニタリングするためのはかり15が設けられてもよい。クロマトグラフィーシステム20は特定のパラメータに基づいて工程を制御するコントロールユニット25も備える。
【0030】
コントロールユニット25は、第1吸着精製ユニット23において所定のサイクル回数サイクルを回した後、バルブ21を用いて供給物の流れをバイオリアクタ11から第2吸着精製ユニット24へと方向転換するように構成されている。任意選択で、クロマトグラフィーシステムは、保持タンク12中の目標生成物の濃度CTPを測定するために使用されている保持タンク12の濃度を測定するように構成されたセンサ26(S2とも表記)を備える。このようなセンサは、例えば表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance、SPR)に基づいており、保持タンク内に取り付けられてもよい。第2吸着精製ユニット24からの出口24bは、目標生成物を直接またはコンバイナ22を介して供給してもよい。
【0031】
バルブ21およびコンバイナ22を備えたクロマトグラフィーシステム20の主な利点は、吸着精製ユニット間の切り換えが、生成に影響を与えることなくシームレスに実施可能なことである。
【0032】
図3は、本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステムの例示的な第3実施形態30を示しており、これは
図2に関連して説明したクロマトグラフィーシステム20と類似している。クロマトグラフィーシステム30は、バイオリアクタ11からの供給物を受け取るための入口を有するバルブ31を介して第1保持タンク32または第2保持タンク33へ少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を供給流量R
Fで継続的に供給するバイオリアクタ11と、第1保持タンク32に接続された第1出口と、第2保持タンク33に接続された第2出口と、を備える。このシステムは更に、それぞれが目標生成物を捕捉する容量を有し、それぞれ出口23b、24bを通じて、品質管理のために別々の容器へと目標生成物14を排出している2つの吸着精製ユニット23、24を備える。当然、
図2で説明したように、コンバイナ22を介して出口23b、24bを組み合わせることにより、目標生成物用の容器を1つのみ使用することも可能である。この例示的な実施形態において、各吸着精製ユニット23、24はそれぞれ第1保持タンク32および第2保持タンク33から供給物を受け取っている。クロマトグラフィーシステム30は、特定のパラメータに基づいて工程を制御するコントロールユニット(図示せず)も備える。
【0033】
コントロールユニットは、第1吸着精製ユニット23において所定のサイクル回数サイクルを回した後、バルブ31を用いて供給物の流れをバイオリアクタ11から第2保持タンク33へと方向転換するように構成されている。第2吸着精製ユニット24からの出口24bは、コンバイナ22を介して目標生成物を供給してもよい。
【0034】
任意選択で、クロマトグラフィーシステムは、各保持タンクにおける目標生成物の濃度CTPを測定するように構成されたセンサ(図示せず)を備える。
【0035】
任意選択で、各保持タンクの重量を測定するためのはかり(図示せず)が設けられる。
【0036】
バルブ31とコンバイナ22とを備えるクロマトグラフィーシステム30の主な利点は、生産に影響を与えることなく、保持タンクの交換と同時に吸着精製ユニット間の切り替えをシームレスに実施可能なことである。
【0037】
図4は本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステム40の例示的な第4実施形態を示しており、これは
図1に関連して説明したクロマトグラフィーシステム10と類似している。クロマトグラフィーシステム40は、バイオリアクタ11からの供給物を受け取るための入口を有するバルブ31を介して第1保持タンク32または第2保持タンク33へ少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を供給流量R
Fで継続的に供給するバイオリアクタ11と、第1保持タンク32に接続された第1出口と、第2保持タンク33に接続された第2出口と、を備える。このシステムは更に、目標生成物を捕捉する容量を有し、出口13bを通じて目標生成物14を排出している吸着精製ユニット13を備える。この例示的な実施形態において、クロマトグラフィーシステム40は更に、供給物の流れを各保持タンク32、33から吸着精製ユニット13へと組み合わせるコンバイナ42を備える。クロマトグラフィーシステム40は、特定のパラメータに基づいて工程を制御するコントロールユニット(図示せず)も備える。
【0038】
コントロールユニットはバイオリアクタ11からの供給物を第1保持タンク32から第2保持タンク33へと方向転換し、第1吸着精製ユニット13が第2保持タンク33からの供給物によって充填されるように構成されている。
【0039】
任意選択で、クロマトグラフィーシステムは各保持タンク中の目標生成物の濃度CTPを測定するように構成されたセンサ(図示せず)を備える。
【0040】
任意選択で、各保持タンクの重量を測定するように、はかり(図示せず)が設けられる。
【0041】
バルブ31およびコンバイナ42を備えたクロマトグラフィーシステム40の主な利点は、保持タンク間の切り替えを、生成に影響を与えることなくシームレスに実施可能なことである。
【0042】
図5は本願開示内容に係るクロマトグラフィーシステム50の例示的な第5実施形態を示しており、これは
図2、4に関連して開示した例示的な実施形態の組み合わせである。これら例示的な実施形態を組み合わせることができるように、第1保持タンク32からの供給物を受け取るための第1入口と、第2保持タンク33からの供給物を受け取るための第2入口と、第1吸着精製ユニット23に接続された第1出口と、第2吸着精製ユニット24に接続された第2出口と、を有するバルブ51が含まれている。さらに、各吸着精製ユニット23、24は、現在動作中の吸着精製ユニットの状況をモニターするために、入口センサS3a、S3bおよび出口センサS4a、S4bが設けられている。状況は、入口センサおよび出口センサを使用して吸着精製ユニット中の特定のパラメータ(例えば圧力差(dp))変化をモニターすること、または、精製ユニットの前後におけるパラメータ(例えばUV、pH、導電性など)を比較することによって得られてもよい。同様に、UV溶出ピーク面積およびピーク形状、または、塩遷移形状を評価することもできる。
【0043】
コントロールユニット(25)は、所定回数のサイクル後、第2バルブ51を使用して、バイオリアクタ11からの供給物を少なくとも1つの第2吸着精製ユニット24へと方向転換するように構成されている。
【0044】
図6は、プロセッサ51を備える、本願開示内容に係るコントロールユニット25(CPUと表記)と、メモリ52(プロセッサ51へアクセス可能)と、センサデータを受け取り、制御信号を介して工程を制御するように構成された入出力回路(I/Oと表記)と、の模式図である。
【0045】
図7は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを有するクロマトグラフィーシステムにおいて、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するための方法を示した模式図である。当該第1吸着精製ユニットは目標生成物を捕捉する容量を有し、第1保持タンクからの供給物を受け取り、出口において少なくとも1つの目標生成物を供給するように構成されている。当該第1保持タンクは、バイオリアクタからの供給物を継続的に受け取るように構成されている。
【0046】
工程はステップS10からスタートし、任意選択でいくつかのステップがある。第1任意選択ステップS15では保持タンクにおける目標生成物の濃度を測定し、第2任意選択ステップS17では保持タンクの重量をモニターしている。これらのステップについては以下で詳しく説明する。次のステップであるS20においては、バイオリアクタからの供給物で第1吸着精製ユニットを充填する。第1保持タンクから供給される供給物の体積で少なくとも1つの第1吸着精製ユニットが充填される。当該供給物の体積は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニット中の目標生成物を捕捉する容量以下に相当する量の少なくとも1つの目標生成物を備える。充填は、バイオリアクタから第1保持タンクへと供給物が供給される間、期間Tの間で行われる。
【0047】
任意選択で、クロマトグラフィーシステムは、ステップS17において第1保持タンクの重量Wを測定するように構成された重量センサを更に備え、充填は測定された第1保持タンクの重量に基づいて開始される。一例として、S21において、第1保持タンクの測定された重量Wが第1重量閾値W1超となった場合(W>W1)に充填が開始さてもよい。
【0048】
任意選択で、クロマトグラフィーシステムは、ステップS15において保持タンク中の目標生成物の濃度を測定するセンサを更に備え、S22において、第1保持タンク中の目標生成物の濃度CTPに基づいて充填が開始される。
【0049】
充填S20が完了した際、工程は、第1保持タンクを供給物で満たす間に少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除、再生することを備える充填後ステップS30へと続いている。第1保持タンクは、少なくともこのステップの間バイオリアクタから供給される供給物の量の体積を有する。第1保持タンクは最大体積を有し、充填が完了した際に全体積のほんの一部が満たされてもよい。
【0050】
任意選択で、S31において、第1保持タンクの測定された重量Wが第2重量閾値W2未満となった場合(W<W2)に充填後ステップが開始さている。
【0051】
任意選択で、S32において、充填後ステップは第1保持タンク中の目標生成物の濃度CTPに基づいて開始される。
【0052】
充填ステップS20および充填後ステップS30を所定のサイクル回数繰り返す前に、工程はいくつかの任意選択のステップを備えてもよい。
【0053】
第1吸着精製ユニットの性能はステップS40でモニターされてもよい。性能に問題が無い場合、ステップS45において、同じ吸着精製ユニットを使用して次のサイクルが開始される。性能に問題がある場合、工程はステップS50へと進み、供給物の流れは第1吸着精製ユニットから第2吸着精製ユニットへと方向転換される。これは、第2吸着精製ユニットの充填が開始される前に、保持タンクを交換するステップS51も含んでもよく、または、吸着精製ユニットを交換するステップS52のみを含んでもよい。
【0054】
任意選択で、ステップS41において、保持タンクの交換のみを行う決定がされる。これは、保持タンクの汚染、または、保持タンクの体積変更など保持タンクを交換する他の理由によるものであってもよい。その場合、ステップS42において保持タンクが交換されており、工程は現在動作中の吸着精製ユニットへ供給物を充填するステップS20へと進んでいる。
【0055】
充填は充填流量RLで行われてもよく、バイオリアクタからの供給物は供給流量RFで第1保持タンクへと導入されてもよく、供給流量は充填流量未満である(RF<RL)。
【0056】
所定のサイクル回数は少なくとも1つの第1吸着精製ユニットの性能に基づいてもよい。
【0057】
図8から
図10は3つの例を示したグラフである。全ての例において、以下の特徴を有するバイオリアクタが使用されている。バイオリアクタの体積は1000Lで、灌流量(perfusion rate)1000L/24時間、灌流液流量(perfusate flow)0.69L/分の供給物を排出する。力価(titer)は3g/L、質量排出(mass output)は3000g/24時間である。1サイクルで充填可能な総体積は、力価3g/Lと充填量24mg/mLとに基づいて計算されている。
【0058】
図8は、以下の特徴を有する小型の吸着精製ユニットのサイクル中における、保持バッグ(holding bag)内の体積の経時変化を示した第1例である。
【0059】
当該吸着精製ユニットは膜精製ユニットで、0.608Lの体積と、4膜容積/分の充填流量と、1サイクルで充填可能な総体積は4.86Lであることと、を備える。ダウンストリーム工程(downstream process、DSP)の流量は2.43L/分である。バイオリアクタは非充填ステップ(吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除、再生することを備える)の間に3.47Lの供給物を生産する。充填ステップは2分、総サイクル時間は7分であり、24時間で206回サイクルを行うことが可能である。したがって、これらの条件から保持タンクの最小体積を計算することができる。すなわち、保持タンクの最小体積は3.47Lであり、バイオリアクタの全体積の0.35%、吸着精製ユニットの571%に相当する。
【0060】
図8を見ればわかるように、保持タンク内の供給物の量はt=0分の時点において3.5Lである。充填中において保持タンク内の体積は、バイオリアクタから追加の供給物が供給されると共に、吸着精製ユニットへと充填される。この例においては、t=2分の時点において充填が完了すると、t=7分までの非充填ステップで保持タンクが再度満たされる前に、保持タンク内の供給物の量は0.028Lとなっている。
【0061】
図9は、以下の特徴を有する吸着精製ユニットとしてのカラムの、サイクル中における保持バッグ内の体積の経時変化を示した第2例である。
【0062】
カラムは8.296Lの体積と、0.166667カラム体積/分の充填流量と、1サイクルで充填可能な総体積は154.86Lであることと、を備える。DSP流量は1.38L/分である。バイオリアクタは非充填ステップ(カラムを洗浄、溶出、掃除、再生することを備える)の間に77.08Lの供給物を生産する。充填ステップは112分、総サイクル時間は223分であり、24時間で6回サイクルを行うことが可能である。したがって、これらの条件から保持タンクの最小体積を計算することができる。すなわち、保持タンクの最小体積は77.08Lであり、バイオリアクタの全体積の7.71%、カラムの929%に相当する。
【0063】
図9を見ればわかるように、保持タンク内の供給物の量はt=0分の時点において77.1Lである。充填中において保持タンク内の体積は、バイオリアクタから追加の供給物が供給されると共に、カラムへと充填される。この例においては、t=112分の時点において充填が完了すると、t=223分までの非充填ステップで保持タンクが再度満たされる前に、保持タンク内の供給物の量は0.017Lとなっている
【0064】
図10は、以下の特徴を有する、高速サイクルに対応した吸着精製ユニットとしてのカラムのサイクル中における、保持バッグ内の体積の経時変化を示した第3例である。
【0065】
カラムは4.171Lの体積と、0.5カラム体積/分の充填流量と、1サイクルで充填可能な総体積は48.94Lであることと、を備える。DSP流量は2.09L/分である。バイオリアクタは非充填ステップ(カラムを洗浄、溶出、掃除、再生することを備える)の間に32.64Lの供給物を生産する。充填ステップは23.47分、総サイクル時間は70.47分であり、24時間で20回サイクルを行うことが可能である。したがって、これらの条件から保持タンクの最小体積を計算することができる。すなわち、保持タンクの最小体積は32.64Lであり、バイオリアクタの全体積の3.26%、カラムの783%に相当する。保持タンクに要求される体積は
図9における第2例と比較すると50%超減少されているが、バイオリアクタによって供給物の流れが継続的に供給される場合、保持タンクは依然として巨大になっている。
【0066】
図10を見ればわかるように、保持タンク内の供給物の量はt=0分の時点において32.7Lである。充填中において保持タンク内の体積は、バイオリアクタから追加の供給物が供給されると共に、カラムへと充填される。この例においては、t=23.47分の時点において充填が完了すると、t=70.47分までの非充填ステップで保持タンクが再度満たされる前に、保持タンク内の供給物の量は0.061Lとなっている
【0067】
吸着精製ユニットに空気が吸い込まれてしまう可能性があるため、充填中に保持タンクが完全に空になることは避けることが望ましいことに留意すべきである。保持タンクが非充填ステップ中に供給物によって再度満たされる前、充填ステップの最後において、保持タンクの最大体積の10%に相当する量、例えば第1例においては0.4Lが保持タンク内に残っていてもよい。
【0068】
本願開示内容において説明されているクロマトグラフィーシステムの主な利点は、
図8に示されるように、吸着精製ユニットを高速サイクル時間で使用する場合に得ることができる。なぜなら、保持タンクのサイズをバイオリアクタが24時間で生産する総体積の2%未満の体積(望ましくは1%未満、更に望ましくは0.5%未満)にまで減少させることができるからである。
【0069】
本願開示内容は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを有するクロマトグラフィーシステムにおいて、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するための方法に関連する。少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは、目標生成物を捕捉するための容量を有し、第1保持タンクからの供給物を受け取るように構成されており、出口において少なくとも1つの目標生成物を供給するように構成されている。第1保持タンクはバイオリアクタからの継続的な供給物を受け取るように構成されている。当該方法は、
(a)少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを第1保持タンクから供給される供給物の体積で充填するステップであって、供給物の体積は第1吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉するための容量以下に相当する量の少なくとも1つの目標生成物の備える、ステップと、
(b)ステップ(a)が完了した際、第1保持タンクを供給物で満たす間に、少なくとも1つの吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除、再生するステップであって、第1保持タンクは、少なくとも当該ステップ中にバイオリアクタによって供給される供給物の量の体積を有する、ステップと、
(c)所定のサイクル回数、ステップ(a)およびステップ(b)を繰り返すステップと、
を備える。
【0070】
吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉する容量は、供給物中の少なくとも1つの目標生成物の濃度と、吸着精製ユニットに充填される供給物の体積と、に関連している。
【0071】
いくつかの態様によると、第1保持タンクは最大体積を有し、ステップ(a)が完了した際に総体積の一部分が満たされる。全体積の一部分はゼロより大きいが、最大体積の3/4、1/4などのように、最大体積における任意の割合であってもよい。いくつかの態様によると、充填後(ステップ(a))に保持タンクは空またはほとんど空である。しかし、このような状態では、充填ステップの最後に精製ユニットに空気が吸い込まれてしまう危険性がある。
【0072】
いくつかの態様によると、クロマトグラフィーシステムは第1保持タンクの重量Wを測定するように構成されている重量センサを更に備えてもよく、ステップ(a)およびステップ(b)は第1保持タンクの測定された重量に基づいて開始される。測定された重量Wは、供給物中の目標生成物の濃度が既知である場合、保持タンクにおいて利用可能な目標生成物の量の指標となっている。
【0073】
いくつかの態様によると、方法は、第1保持タンクの測定された重量が第1重量閾値を超えた場合(W>W1)にステップ(a)を開始することと、第1保持タンクの測定された重量が第2重量閾値未満となった場合(W<W2)にステップ(b)を開始することと、を備える。
【0074】
いくつかの態様によると、ステップ(a)は、第1保持タンクが供給物で満たされる間、期間Tの間で行われる。
【0075】
いくつかの態様によると、ステップ(a)は、(a1)センサを使用して第1保持タンク中の目標生成物の濃度CTPを測定するステップと、(a2)第1保持タンク中の目標生成物の濃度に基づいて期間Tを設定するステップと、を更に備える。
【0076】
いくつかの態様によると、目標生成物の濃度CTPを測定するステップは、第1保持タンク中の濃度を測定することによって行われる。これは、第1保持タンクにおいて、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づくセンサを使用して行われてもよい。
【0077】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは個別吸着精製ユニットまたは複数の並列接続吸着精製ユニットである。
【0078】
いくつかの実施形態によると、ステップ(a)における充填は充填流量RLで実施されており、バイオリアクタからの供給物は第1保持タンクに対して供給流量RFで導入されており、供給流量は充填流量未満である(RF<RL)。
【0079】
多くの灌流プロセスのように、継続的に供給物を排出するバイオリアクタを利用したバイオプロセス(bioprocess)は、一般的に10日程度から数カ月まで、典型的には長期間動作される。工程時間が長いと、バイオバーデン(bioburden)の混入という観点から工程リスクが高まるため、これらの工程は閉鎖系で動作し、汚染への開放を避けることが望ましい。したがって、ほとんどの場合において、工程期間全体を通じて1つまたは複数の同じ吸着精製ユニットを使用することが有益であり、その結果、精製ユニットを交換するために工程を開放する必要性が無くなる。これを考慮し、吸着精製ユニットの寿命は典型的には最大でも約200サイクルである事実も加味すると、クロマトグラフィーサイクルの典型的な持続時間は、セットアップにも依るが、およそ1時間から10時間までになるように設計されるべきであることが容易に理解される(式1)。
【0080】
【0081】
式1:サイクル時間の計算
【0082】
サイクル時間の長さとは対照的に、1つまたは複数のカラムが供給物によって再度充填可能になる前に1つまたは複数のカラムを洗浄、溶出、掃除、CIP、再生することなどのような全ての非充填ステップは、依然として生成物が充填されていない時間を減らすため、および、これに伴って保持タンクに要求される体積を小さく抑えるために、高速で動作可能に設計されるべきである。非充填ステップは通常、膜クロマトグラフィーの場合には15分未満、最適化された樹脂ベースのクロマトグラフィーの場合には30分未満で完了されてもよい。これらの場合、サイクル時間は充填時間と非充填ステップの時間とから構成され(式2)、充填は少ない流量において行われ、総サイクル時間の基準を満たすことを保証する。これは、総サイクル時間の内の大部分を充填時間が占めていることを意味している。
【0083】
【0084】
式2:総サイクル時間
【0085】
充填時間が長い結果、充填流量は通常、バイオリアクタから出る灌流液流量と同程度になっている。例えば、10日間の灌流生産、吸着精製ユニットの寿命が100サイクル、非充填時間が30分である場合、サイクル時間は144分、充填時間は114分、充填流量は灌流液流量よりも26%多くなる(式3)。
【0086】
【0087】
式3:充填流量vsバイオリアクタ灌流液流量の計算
【0088】
工程時間がより長く、充填時間がより短い場合、充填流量と灌流液流量との差分はさらに小さくなっている。例えば、精製ユニットの寿命が100サイクルのままで、灌流生産期間が30日、非充填時間が10分である場合、サイクル時間は432分、充填時間は422分、充填流量は灌流液流量よりも2.4%のみ多くなる。
【0089】
いくつかの態様によると、方法は、
(d)少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを使用してステップ(a)からステップ(c)を所定のサイクル回数繰り返した後、バイオリアクタからの供給物を少なくとも1つの第2吸着精製ユニットへ方向転換するステップと、
(e)バイオリアクタからの供給物を少なくとも1つの第2吸着精製ユニットへ供給する間にステップ(a)からステップ(c)を繰り返すステップと、
を更に備える。
【0090】
いくつかの態様によると、クロマトグラフィーシステムは、バイオリアクタからの供給物を受け取るための入口を有する第1バルブと、第1保持タンクに接続されている第1出口と、少なくとも1つの第2吸着精製ユニットへ供給物を供給するように構成された第2保持タンクに接続された第2出口と、を更に備え、ステップ(d)は更に、
(d1)所定のサイクル回数後、第1バルブを使用して、バイオリアクタからの供給物の流れを第2保持タンクへと方向転換するステップ、
を備える。
【0091】
いくつかの態様によると、クロマトグラフィーは、第1保持タンクからの供給物を受け取るための少なくとも1つの入口を有する第2バルブと、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットに接続されている第1出口と、少なくとも1つの第2吸着精製ユニットに接続されている第2出口と、が更に設けられ、ステップ(d)は更に、
(d2)所定のサイクル回数後、第2バルブを使用して、バイオリアクタからの供給物の流れを少なくとも1つの第2吸着精製ユニットへと方向転換するステップ、
を備える。
【0092】
いくつかの態様によると、方法は更に、
(e1)バイオリアクタからの供給物を、第1保持タンクから第2保持タンクへと方向転換するステップと、
(e2)第2保持タンクからの供給物によって第1吸着精製ユニットを充填するステップと、
を備える。
【0093】
いくつかの態様によると、所定のサイクル回数は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットの性能に基づいている。ステップ(a)からステップ(c)の繰り返しは、性能が維持されている場合に限り持続され、性能は、吸着精製ユニットの状況を検出するセンサを使用してモニターされてもよい。状況は、圧力差(dP)のような吸着精製ユニット上の特定のパラメータ変化をモニターすること、または、UV、pH、導電性などのようなパラメータを精製ユニットの前後において比較することによって得られている。同様に、UV溶出ピーク面積とピーク形状、または、塩遷移形状を評価することもできる。
【0094】
本願開示内容は、少なくとも1つの目標生成物の濃度を備える供給物を精製するためのクロマトグラフィーシステムにも関連している。クロマトグラフィーシステムは少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを有し、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットは目標生成物を捕捉する容量を有し、少なくとも1つの第1保持タンクからの供給物を受け取るように構成されている。第1吸着精製ユニットは出口において少なくとも1つの目標生成物を供給するようにも構成されており、少なくとも1つの第1保持タンクはバイオリアクタからの供給物を継続的に受け取るように構成されている。クロマトグラフィーシステムはコントロールユニットを更に備え、コントロールユニットは、
(a)少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを第1保持タンクから供給される供給物の体積で充填するステップであって、供給物の体積は、少なくとも1つの第1吸着精製ユニットにおいて目標生成物を捕捉する容量以下に相当する量の少なくとも1つの目標生成物を備える、ステップと、
(b)ステップ(a)が完了した際、第1保持タンクを供給物で満たす間に少なくとも1つの第1吸着精製ユニットを洗浄、溶出、掃除、再生するステップであって、第1保持タンクは、少なくともこのステップの間にバイオリアクタから供給される供給物の量の体積を有する、ステップと、
(c)所定のサイクル回数、ステップ(a)および(b)を繰り返すステップと、
を行うように構成されている。
【0095】
本願開示内容は、クロマトグラフィーシステムにおける工程パラメータを制御するためのコンピュータプログラムにも関連しており、クロマトグラフィーシステムは、少なくとも1つのプロセッサ上で実行された際、少なくとも1つのプロセッサに対して上述した任意のステップに係る方法を実行させる命令を備える。
【0096】
本願開示内容は、クロマトグラフィーシステムにおける工程パラメータを制御するためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体にも関連している。
【0097】
本願開示内容の態様は、ブロック図および/またはフローチャートなどの図面を参照して説明されている。図面中のいくつかの要素、例えばブロック図のブロック、および、図面中の要素の組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実行されてもよく、命令は、コンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、コンピュータもしくは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされてもよいことが理解される。このようなコンピュータプログラム命令は、コンピュータおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される命令がブロック図および/または1つもしくは複数のフローチャートブロックにおいて指定された機能/動作を実行するための手段を作成するように、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータおよび/もしくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに供給され、機械が製造されてもよい。
【0098】
いくつかの実装において、および、本願開示内容のいくつかの態様によると、ブロックに記されている機能またはステップは、動作図に記された順序とは異なって発生してもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、関連する機能/動作に依っては、実質的に同時に実行されてもよく、または、逆の順序で実行されてもよい。同様に、本願開示内容のいくつかの態様によると、ブロックに記されている機能またはステップはループして継続的に実行されてもよい。
【0099】
図面および明細書において、本願開示内容の例示的な態様が開示されている。しかしながら、本願開示内容の原理から実質的に逸脱することなく、これらの態様に対して多くの変形および変更がなされてもよい。したがって、本願開示内容は限定的というよりも例示的であると解釈されるものであり、上述した特定の態様に限定されるものではない。したがって、特定の用語が用いられているが、これらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的としたものではない。
【0100】
本願明細書で提供されている例示的な実施形態の説明は、例示の目的で提示されている。これらの説明は、排他的であること、または、例示的な実施形態を開示された正確な形態に限定することは意図しておらず、変更形態および変形形態が、上記の教示に鑑みて可能である、または、提供された実施形態に対する様々な代替案の実施から得られてもよい。本願明細書で議論された例は、多様な例示的な実施形態の原理および本質と、その実用上の適用と、を説明し、当業者が例示的な実施形態を多様な様式で、意図される特定の用途に適した様々な変更を加えて利用できるようにするために、選択および説明されたものである。本願明細書で説明された実施形態の特徴は、方法、装置、モジュール、システム、コンピュータプログラム製品のあらゆる可能な組み合わせにおいて組み合わされてもよい。本願明細書における例示的な実施形態は、お互いに任意の組み合わせで実施されてもよいと理解されたい。
【0101】
「含む」、「備える」、「有する」、「設ける」という単語は必ずしも列挙された要素以外の要素またはステップの存在を排除するものではなく、単数形(「a」または「an」)で記載されている要素であったとしても、このような要素が複数存在することを排除するものではないことに留意されたい。更に、いかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものではなく、例示的な実施形態はハードウェアおよびソフトウェアの両方の手段によって少なくとも部分的に実施されてもよく、複数の「手段」、「ユニット」、「デバイス」が同じハードウェアによって表されてもよいことに留意されたい。
【0102】
本願明細書で説明された例示的な実施形態は、方法ステップまたは工程の一般的な文脈において説明されており、ある態様においては、ネットワーク環境内のコンピュータによって実行されるコンピュータによって実行可能な命令(プログラムコードなど)を含むコンピュータ可読媒体で具現化されたコンピュータプログラム製品によって実施されてもよい。コンピュータ可読媒体は、限定されるものではないが、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、コンパクトディスク(compact discs、DCs)、デジタル多用途ディスク(digital versatile discs、DVD)などを含むリムーバブルおよび非リムーバブルのストレージデバイスを含んでもよい。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または、特定の抽象データ型を実施するような、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含んでもよい。コンピュータによって実行可能な命令、関連するデータ構造、プログラムモジュールは、本願明細書において開示されている方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を示している。このような実行可能な命令または関連するデータ構造の特定の順序は、このようなステップまたは工程において説明されている機能を実施するための対応する動作の例を示している。
【0103】
図面および明細書において、典型的な実施形態が開示されている。しかし、多くの変形形態および変更形態が、これらの実施形態に対して施されてもよい。したがって、特定の用語が使用されているが、これらは一般的および説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではなく、実施形態の範囲は以下の請求項によって定められている。
【国際調査報告】