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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240628BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20240628BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/01 511
A61B1/06 531
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579346
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 DE2022200135
(87)【国際公開番号】W WO2022268273
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021206584.8
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594008556
【氏名又は名称】リチャード ウルフ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Richard Wolf GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ポトホフ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ゲーテル,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】フレイ,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA25
4C161CC06
4C161FF35
4C161FF42
4C161FF43
4C161GG24
4C161HH04
4C161HH05
4C161HH08
4C161QQ06
(57)【要約】
本発明は、作業スリーブ(2)と、作業スリーブ(2)内に挿入され得る内視鏡(4)と、を備える内視鏡システムであって、遠位端に開いている第1流体チャネル(20)が、内視鏡(4)の内部に形成されており、内視鏡(4)の外側断面と作業スリーブ(2)の内側断面とが互いに適合されていることにより、内視鏡(4)が作業スリーブ(2)内に挿入されているとき、内視鏡(4)は、その外周の第1区画内(14)で作業スリーブ(2)の内周を支持し、その外周の第2区画(16)内で作業スリーブ(2)の内周に対して距離を置き、作業スリーブ(2)の軸方向長さXにわたって延在し、遠位端に開いている第2流体チャネルを形成する自由空間(18)が、作業スリーブ(2)の内周と内視鏡(4)の外周の第2区画(16)との間の領域内に形成されている、内視鏡システムに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業スリーブ(2)と、前記作業スリーブ(2)内に挿入され得る内視鏡(4)と、を備える内視鏡システムであって、遠位端に開いている第1流体チャネル(20)が、前記内視鏡(4)の内部に形成されている、内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡(4)の外側断面と前記作業スリーブ(2)の内側断面とが互いに適合されていることにより、前記内視鏡(4)が前記作業スリーブ(2)内に挿入されているとき、前記内視鏡(4)は、その外周の第1区画(14)内で前記作業スリーブ(2)の内周を支持し、その外周の第2区画(16)内で前記作業スリーブ(2)の前記内周に対して距離を置いており、前記作業スリーブ(2)の軸方向長さXにわたって延在し、前記遠位端に開いている第2流体チャネルを形成する自由空間(18)が、前記作業スリーブ(2)の前記内周と前記内視鏡(4)の前記外周の前記第2区画(16)との間の領域内に形成されていることを特徴とする、内視鏡システム。
【請求項2】
前記内視鏡(4)は、その遠位端に、好ましくは円形断面を有する観察窓(24)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1流体チャネル(20)の1つの開口部と、前記第2流体チャネルを形成する前記自由空間(18)とは、前記観察窓(24)の両側に位置して互いに離れているいることを特徴とする、請求項1または2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記遠位端において、前記第1流体チャネル(20)の開口部と前記第2流体チャネルを画定する前記自由空間(18)とは、前記観察窓の前方の観察野を通る流体流が前記第1流体チャネルと前記第2流体チャネルとの間を流れるように、観察窓(24)に関して配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記作業スリーブ(2)は、円形内側断面を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記内視鏡(4)は、その外周の前記第1区画(14)内に、断面が円弧状である外側輪郭を有し、好ましくは、前記円弧状外側輪郭は、前記作業スリーブ(2)の前記内周の半径に実質的に対応する曲率半径を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記内視鏡(4)の前記外側輪郭は、前記外周の前記第2区画(16)の領域内で、平坦であること、または楕円弧形状に設計されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記内視鏡(4)は、前記作業スリーブ(2)の内部で長手方向軸Xの周りで回転可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記第2流体チャネル(18)は、前記第1流体チャネル(20)よりも大きい断面積を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記第1流体チャネル(20)は、供給チャネルとして設計され、前記第2流体チャネル(18)は、排出チャネルとして設計されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記内視鏡(4)は、その内部に、前記遠位端に開いており、好ましくは円形断面を有する作業チャネル(10)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記作業チャネル(10)の断面軸Yおよび前記観察窓(24)の断面軸Yが、一直線上にあり、この直線は、好ましくは、前記作業スリーブ(2)の直径に平行に、またはそれに沿って延びることを特徴とする、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記断面軸によって画定されている前記直線Yと、前記内視鏡(4)の前記外周の前記第1区画(14)内の前記外側輪郭とは、半円を画定することを特徴とする、請求項12に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記観察窓(24)と前記作業チャネル(10)の直径の合計が、前記作業スリーブ(2)の内径の75%よりも大きいことを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
前記内視鏡(4)は、前記遠位端から前記近位端まで延在する内視鏡光学系を備えることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項16】
前記内視鏡(4)は、その遠位端に少なくとも1つの出光面(26)を備えることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項17】
照明に役立つ光ファイバが、内視鏡光学系(24)、前記第1流体チャネル(20)および作業チャネル(10)によって埋められていない前記内視鏡の断面領域内に配置されていること、または照明に役立つ1つまたは複数のLED(26)が、前記内視鏡(4)の前記遠位端に配置されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、脊柱手術用の内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
手術、特に脊柱の完全内視鏡手術は、しばしば連続的な液体洗浄中に行われる。連続的な液体洗浄は、血液および組織粒子が洗浄によって観察野から外に運ばれるので、自由な観察野を確保する。確実な洗浄とは別に、手術中圧力が脊柱手術中に過度に上昇しないようにしなければならないという困難もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、内視鏡システム、特に脊柱手術用の内視鏡システムの改善を提供することであって、該内視鏡システムは、望ましくない圧力増加を回避しながら手術領域の改善された洗浄を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に規定されている特徴を有する内視鏡システムによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項、以下の説明、および添付の図面からもたらされる。
【0005】
本発明による内視鏡システムは、必須要素として、作業スリーブと、作業スリーブ内に挿入され得る内視鏡とを備える。内視鏡は、遠位端から作業スリーブ内に押し込まれ得る。この点で、内視鏡は、軸方向に作業スリーブ内で変位可能であるとともに、長手方向軸の周りでその角度位置について回転可能であることが好ましい。内視鏡および作業スリーブは、剛性の要素または胴部として設計されることが好ましい。遠位端に開いている第1流体チャネルが、内視鏡の内部に形成されている。このことは、流体チャネルが内視鏡の遠位端に開口部を有することを意味する。さらに、内視鏡は、その近位端に流体接続部を備えており、該流体接続部において流体チャネルが供給装置に接続されて、流体チャネルを通して流体を導き得る。切換コックおよび、例えば、ホースへの接続に適した接続要素が、既知の態様で流体接続部に配置され得る。
【0006】
内視鏡の外側断面と作業スリーブの内側断面とは、本発明によれば、内視鏡が作業スリーブに挿入されているとき、内視鏡は、その外周の第1区画内で作業スリーブの内周を支持し、その外周の第2区画内で作業スリーブの内周に対して距離を置くように特別に互いに適合されている。ここで、断面は、近位端から遠位端まで延在する作業スリーブの長手方向軸に垂直な平面に関する。第1区画では、内視鏡の外周が作業スリーブの内側輪郭に対応して設計され、その結果、壁の広範囲の接触または平行な経路が達成されることが好ましい。第1区画は、好ましくは90度超にわたって延在し、より好ましくは作業スリーブの内周の少なくとも半分にわたって延在し、その結果、内視鏡は、好ましくは少なくとも90度超の周辺区画において、さらに好ましくは少なくとも180度の周辺区画において、作業スリーブの内周を広範囲に支持するか、または該内周に平行に延在する。ここで、好ましくは、接触領域が円周方向に中断されない。これにより、特に、作業スリーブの内部で内視鏡を回転させるためのガイドが実現され得る。内視鏡の外周と作業スリーブの内周との間に距離を置くことによって、作業スリーブの内周と外周の第2区画との間の領域内に自由空間が作成される。この自由空間は、遠位端に開いている第2流体チャネルを形成する。このため、自由空間は、好ましくは作業スリーブの軸方向長さ全体にわたって、すなわち、遠位端から近位端まで延在する。好ましくは、作業スリーブおよび内視鏡の断面は、近位端から遠位端までの軸方向延長にわたって一定である。好ましい設計による作業スリーブは、その近位端の領域内に第2流体接続部を備え、前記第2流体接続部は、第2流体チャネルを画定する自由空間に接続されている。この流体接続部は、ホースへの接続のための接続要素であり得、場合によっては既知の態様では切換コックであってもよい。流体の循環は、第1および第2流体チャネルによって達成され得、流体は、1つの方向に内視鏡の内部の流体チャネルを通って流れ、他の方向に内視鏡と作業スリーブとの間の自由空間を通って流れる。ここで、第1流体チャネルは、流体がそれを通して手術野内に導かれる供給チャネルを形成し、第2流体チャネルは、返送流または排出チャネルを形成し、それを通して、流体および場合によっては洗浄されるべき粒子または物質が手術野から外に導き出される。
【0007】
好ましくは、内視鏡は、その外周によって作業スリーブの内周面を支持することにより、直径方向に見て、自由空間が1つの側にのみ、すなわち器具の長手方向軸の1つの側にのみ形成され、一方、内視鏡の外周は、自由空間と直径方向に反対の側で作業スリーブの内周を支持する。これにより、より大きい機械的安定性、特に座屈荷重に対するより大きい抵抗性が生成される。内視鏡の外周は、180度以上の連続領域にわたって作業スリーブの内周を支持する。
【0008】
一実施形態によれば、内視鏡は、その遠位端に観察窓を、例えば対物レンズの形式の観察窓を備える。観察窓は、円形の断面を有することが好ましい。手術野の観察が、この観察窓を通してまたはこの対物レンズを通して達成され、画像送信が、ビデオシステムまたは接続する内視鏡光学系によって達成され得る。観察窓は、内視鏡の遠位端面に密閉態様で配置されることが好ましい。内視鏡光学系が接続する観察窓は、器具の長手方向軸に平行な直線の観察方向、または角度付きの観察方向を画定し得る。角度付きの観察方向は、好ましくは作業チャネルの軸延長方向に向けられ、その結果、作業チャネルの前方の遠位に位置する作業空間が、内視鏡光学系によって観察窓を通して観察され得る。
【0009】
好ましくは、第1流体チャネルの開口部および第2流体チャネルを形成する自由空間は、互いに離れている観察窓の側に位置し、さらに好ましくは、互いに実質的に直径方向に離れている側に位置する。このような設計によって、流体が、1つの流体チャネルから他の流体チャネル内に、好ましくは、観察窓を介して、つまり観察窓の外側に沿って、第1流体チャネルから第2流体チャネル内に、流れることに成功する。観察野は、したがって、継続的に洗浄され、手術領域への自由な視界が保証される。
【0010】
好ましくは、遠位端において、第1流体チャネルの開口部および第2流体チャネルを画定する自由空間は、観察窓に関して、すなわち、好ましくは内視鏡光学系の観察窓に関して、前述したように、観察窓の前方に位置する観察野を通る流体流が第1流体チャネルと第2流体チャネルとの間を流れるように配置されている。すなわち、流体が第1流体チャネルを通して供給され、第2流体チャネルを通して導き出されるとき、流体流は、遠位端で第1の流体チャネルから出て、観察窓の前方の観察野を通って流れ、第2流体チャネルを通して導き出される。その代替として、流体流は、逆方向にも流れ得る。観察窓を通る観察方向が器具の長手方向軸に対してある角度をなしているならば、第1流体チャネルの開口部および自由空間は、好ましくは、流れが観察野のうちの角度付き部分を通過するように位置する。このため、開口部および自由空間は、場合によっては、観察方向にオフセットされて、好ましくは、作業チャネルに向かって配置され得る。
【0011】
作業スリーブは、好ましくは円形の内側断面を備える。さらに好ましくは、作業スリーブは、全体として円形断面を有する管として設計される。円形の内側断面は、作業スリーブの内部での内視鏡の回転を可能にし、内視鏡は、その外周の第1区画の領域内で、作業スリーブの内周上に沿って滑動し得るか、または内周に平行に移動し得る。
【0012】
さらなる実施形態によれば、内視鏡は、その外周の第1区画内に、断面が円弧状である外側輪郭を有し、さらに好ましくは、円弧状の外側輪郭は、実質的に作業スリーブの内周の半径に対応する曲率半径を有する。作業スリーブの内周の半径と内視鏡の外側輪郭の半径とは、互いにわずかに異なり得、その結果、内視鏡の円弧状の外周区画が作業スリーブの内周に沿って滑動すること、または平行に移動することを可能にするプレス嵌めが形成される。作業スリーブの円形の内側輪郭は、ここで近位端から遠位端まで延びる作業スリーブの長手方向軸と同心円状に延在する。内視鏡の外周の第1区画にある内視鏡の円弧状の外周区画は、これにより好ましくは回転軸でもある同じ長手方向軸の周りで湾曲しており、その周りで内視鏡は、作業スリーブの内部で回転可能である。
【0013】
内視鏡の外周の第2区画の領域において、その外側輪郭が、平坦であること、または楕円弧の形状に設計されていることが好ましい。このことは、この区画内で、例えば、外周の半径が作業スリーブの内周の半径よりも短く、その結果、上述した自由空間が生成されることを意味する。
【0014】
すでに説明したように、内視鏡は、好ましくは長手方向軸の周りで作業スリーブの内部で、好ましくは作業スリーブの長手方向軸の周りで回転可能である。このために、内視鏡は、作業スリーブの近位端にある受容部内に回転可能に取り付けられるか、または保持され得る。回転すると、説明したように、内視鏡の外周面が、第1区画の領域内の作業スリーブの内壁に沿って滑動する。内視鏡の外周の第2区画と作業スリーブの内壁との間に形成されて、第2流体チャネルとして機能する自由空間は、ここで作業スリーブの長手方向軸の周りで内視鏡とともに回転する。このことに関する限り、第2流体チャネルは、作業スリーブの内部におけるその角度位置とは無関係に、内視鏡に対して画定された相対位置を常に保持する。
【0015】
第2流体チャネルは、第1流体チャネルよりも大きい断面積を有することが好ましい。特に、このことは、第2流体チャネルが排出チャネルまたは吸引チャネルとして機能する場合に有利である。返送が第1流体チャネルを通る供給よりも大きい断面を有する場合、流体によって手術領域に望ましくない圧力増加が生じないことが保証される。好ましくは、自由空間は、第1流体チャネルの断面よりも少なくとも20%、さらに好ましくは50%を越えて、より大きい断面を有する。自由空間の断面はまた、第1流体チャネルの断面の3乃至5倍であり得るか、またはより大きく設計され得る。
【0016】
内視鏡は、その内部に、遠位端に向かって開いている作業チャネルであって、好ましくは円形断面を有する作業チャネルを備えることがさらに好ましい。作業チャネルは、内視鏡の長手方向軸に平行に延在し、これとともに、作業スリーブの長手方向軸に平行に延在することが好ましい。作業チャネルは、内視鏡の近位端から遠位端まで延在する。作業チャネルは、近位端において作業インサート用の受容部に接続され、受容部は、作業インサートまたは器具が密閉態様で作業チャネル内に押し込まれ得るように設計されることが好ましい。ここで、作業器具は、既知の態様で作業チャネル内において移動可能であることが好ましい。断面において、作業チャネルは、内視鏡内で第1流体チャネル、および場合によっては内視鏡光学系の隣にあることが好ましい。内視鏡の遠位端にある作業チャネルの開口部は、作業チャネルを通して内視鏡領域内に前進させられる器具が観察窓を通して観察野内に位置するように、観察窓に関連して位置することが好ましい。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、作業チャネルの断面軸、好ましくは作業チャネルの直径軸、および観察窓の断面軸、好ましくは観察窓の直径軸は、共通の直線上にあり、この共通の直線は、さらに好ましくは、作業スリーブの直径に平行に、またはそれに沿って延びる。このことが、内視鏡または作業スリーブの直径を最適に利用して、最大サイズの作業チャネルおよび観察窓を実現することを可能にする。
【0018】
上述の断面軸によって画定されている直線と、内視鏡の外周の第1区画の外側輪郭とが、半円を画定することがさらに好ましい。このことは、断面で見ると、内視鏡が、その第1区画内に半円形を有することを意味する。しかし、内視鏡は第2区画では、平坦な態様に設計されているか、または作業スリーブの内側輪郭よりも小さい楕円形の外側輪郭を有し、その結果、上述の態様において、自由空間、すなわち特に円弧状の自由空間が、内視鏡と作業スリーブの内周との間に成形され、上述の態様で第2流体チャネルとして機能する。
【0019】
便宜上、観察窓と作業チャネルの直径の合計は、作業スリーブの内径の75%よりも大きい。したがって、作業スリーブの内側断面が最適に利用される。
【0020】
上記のように、内視鏡における画像伝送は、ビデオシステムまたは内視鏡光学系を介して達成され得る。ビデオシステムに関して、ビデオセンサは、内視鏡の遠位端の領域に、すなわち特に観察窓または観察窓上に接続する対物レンズの後方に配置され得る。その代替として、写真が、剛性内視鏡光学系、例えばレンズまたは光ファイバ装置を介して、内視鏡の遠位端から近位端に伝送され得、場合によっては、カメラが内視鏡の近位端の領域に、例えば、ハンドル上に配置され得る。
【0021】
さらに好ましくは、内視鏡は照明装置を備える。これに関して、手術野がそれを介して照明され得る少なくとも1つの出光面が、遠位端に配置されることが好ましい。少なくとも1つの発光ダイオードが、照明のために出光面に配置され得る。その代替として、照明はまた、内視鏡の近位端から遠位端まで光を伝送する光ファイバを介して達成され得る。光がそれを介して光ファイバ内に導かれる適切な照明カップリングまたは光源が、内視鏡の近位端に配置され得、それで、前記光ファイバは、光を遠位端に、前述の出光面に伝送する。
【0022】
特に好ましくは、照明に役立つ光ファイバが、内視鏡光学系、第1流体チャネル、および作業チャネルによって埋められていない内視鏡の断面領域内に配置され、光ファイバは、さらに好ましくは、内視鏡光学系、第1流体チャネル、および作業スリーブを取り囲むように内視鏡の内部にある残りの自由空間全体を埋めている。したがって、内視鏡胴部を通る光の最大伝送が達成され得る。光ファイバの代わりに、照明に役立つ1つまたは複数のLEDが、観察窓、第1流体チャネルの出口開口部、および作業チャネルの開口部を囲む内視鏡の遠位端面の領域内に配置され得る。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して例示によって以下で説明される。これらを以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による内視鏡システムの側面図である。
図2】本発明による内視鏡システムの遠位端の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による内視鏡システムは、作業スリーブ2と、この中に挿入され得る内視鏡4とを2つの必須要素として備える。作業スリーブ2は、管状態様で設計されており、内視鏡4は、作業スリーブ2の近位端にある開口部または受容部6を通して作業スリーブ2内に押し込まれ、その結果、内視鏡4は遠位端で作業スリーブ2から外に出る。内視鏡4は、その近位端にハンドル8を備える。内視鏡4の内部の作業チャネル10は、受容部12の近位端に開口しており、そこを通して作業インサートまたは器具が作業チャネル10内に押し込まれ得る。
【0026】
作業スリーブ2は、円形断面、特に近位端から遠位端まで延在する長手方向軸Xを横切る円形の内側断面を備える。作業スリーブ2の内周面は、長手方向軸Xの周りで同心円状に延在する。内視鏡4は、第1区画が半円形態様で設計され、第2区画が楕円形態様で設計されている断面を有する。この例では、内視鏡4の外周の第1区画が、180度すなわち第1半分、図2では軸Yの左側の半分にわたって延在する。この第1区画内では、内視鏡の外側輪郭は半円形であって、作業スリーブ2の内周の半径に基本的に一致する半径を有し、その結果、その外周を有する内視鏡4は、内視鏡4が作業スリーブ2の長手方向軸または中心軸Xの周りで回転させられると、第1区画14内の内周面2に沿って滑動し得る。このことは、作業スリーブ2の開口部6内での回転によって達成され得る。内視鏡4の外周の第2区画16、図2では軸Yの右側の部分は、平坦または楕円形態様で設計され、その結果、自由空間18が内視鏡4の外周と作業スリーブ2の内周との間に形成されている。この自由空間18は、長手方向軸Xの周りで作業スリーブ2の内部で内視鏡4を回転させると、内視鏡4と一緒に回転する。図2に示す横軸Yに垂直な直径方向に見ると、自由空間18が、長手方向軸Xの1つの側面にだけあり、一方、外周を有する内視鏡4は、この直径方向に反対側であるまたは離れている側面において作業スリーブ2の内周を支持する。全体として、内視鏡4は、それとともに、その外周面によってほぼ180度の連続区画にわたって作業スリーブ2の内周を支持する。これにより、作業スリーブ2の内部の内視鏡4がこの作業スリーブを安定化または強化するので、座屈に関しても器具の大きい安定性が達成される。
【0027】
内視鏡4の近位端またはハンドル8のところの第1流体接続部22で終端する第1流体チャネル20が、内視鏡4の内部に形成されている。さらに、受容部12まで近位方向に延在する作業チャネル10が、内視鏡4の遠位端に開いている。さらに、例えば対物レンズとして設計され得る観察窓24が、内視鏡4の遠位端に位置し、前記観察窓は、長手方向Xに内視鏡胴部4を通って近位端まで、すなわちハンドル8に向かって延在する内視鏡光学系の遠位端を形成する。接眼レンズは、ハンドル8または画像を記録するために取り付けられたカメラに設けられ得る。その代わりに、ビデオチップが、観察窓24内または観察窓24の後方に配置され得る。
【0028】
2つのLED26が、照明用に内視鏡4の遠位端に配置されている。LED26の代替として、遠位端からハンドル8上の照明継手まで延在する光ファイバがまた、内視鏡4の内部に配置され得る。光ファイバは、作業チャネル10、第1流体チャネル20および内視鏡光学系を囲む完全な自由空間を埋め得ることが好ましい。
【0029】
図示された例では、作業チャネル10と観察窓24とは、それらの直径軸が長手方向軸Xを横切る共通の直径軸Y上にあるように、つまり共通の直線に沿って延在するように内視鏡4内に位置する。第1流体チャネル20は、第1流体チャネル20と自由空間18とが軸Yの両側に、すなわち互いから離れている、観察窓24の両側に位置するように、第2流体チャネルを形成する自由空間18に対して配置されている。自由空間18は、第2流体チャネルとして作業スリーブ2の近位端において第2流体接続部28に接続される。第1流体接続部22および第2流体接続部28は、流体の供給および排出のためのホースに接続され得る。第1流体チャネル20は、供給流として機能し、一方、第2流体チャネル18は、排出流または返送流として機能する。自由空間18の断面は、第1流体チャネル20の断面よりも大きく、そのため、より大きい流れ断面が返送流に利用可能であることが保証され、その結果、手術野内での流体の供給に起因する圧力増加が回避され得る。返送流が供給流よりも常に大きいことが保証される。遠位端にある第1流体チャネル20の開口部、および自由空間18の開口部が、互いから離れている観察窓24の両側、すなわち、互いから離れている軸Yの両側に位置しているので、第1流体チャネル20から出て自由空間18まで流れる流体流が、外側にある観察窓24を越えて流れ、観察方向の観察野を継続的に洗浄し、血液または組織部分などの妨害する汚染物質がない状態に維持することが保証される。この流れ方向は、作業スリーブ2内で内視鏡4を回転させる際に共回転し、その結果、作業スリーブ2内での内視鏡4の角度位置とは無関係に、観察窓24上での流れが常に保証される。この例では、第1流体チャネル20の開口部は、観察窓24に対して軸Yに平行な方向に作業チャネル10に向かって若干オフセットされている。これにより、内視鏡4の断面積を最適に利用することが可能にされる。さらに、この例では、観察窓24から外への観察方向は、角度が付けられている、すなわち作業チャネル10の方に向けられている。流体チャネル20の開口部のオフセット配置のために、第1流体チャネル20から自由空間18への流体流が、観察窓24の前方において角度付き観察方向に観察野を通って流れることに成功する。
【0030】
円形の作業スリーブ2と、断面が楕円形態様で設計されている内視鏡4の断面との組み合わせは、一方で、作業スリーブ2の内部での内視鏡4の自由な回転性を可能にし、他方で、流体の返送のための大きい第2流体チャネルを可能にする。同時に、内視鏡断面は、作業チャネル10、観察窓24で終端する内視鏡光学系、および流体チャネル20に対する利用に最適である。
【符号の説明】
【0031】
2 作業スリーブ
4 内視鏡
6 開口部
8 ハンドル
10 作業チャネル
12 受容部
14 外周の第1区画
16 外周の第2区画
18 自由空間/第2流体チャネル
20 第1流体チャネル
22 第1流体接続部
24 観察窓/内視鏡光学系の遠位端
26 LED
28 第2流体接続部
X 長手方向軸、回転軸
Y 横軸
図1
図2
【国際調査報告】