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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電極シート及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240628BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240628BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240628BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240628BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/533
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579354
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2022130055
(87)【国際公開番号】W WO2023078428
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202122693996.7
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521555605
【氏名又は名称】珠海冠宇電池股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai CosMX Battery Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 209, Zhufeng Road, Jing’an Town, Doumen District, Zhuhai City,Guangdong ,p,r,China, (1st Foor ,A plant south section)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鄒 滸
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028CC12
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM00
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ04
5H029BJ14
5H029HJ04
5H043AA01
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA08
5H043HA17E
5H043LA02E
5H050AA14
5H050CA01
5H050CA08
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050FA05
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は電極シート及び電池を提供する。本発明による電極シートは集電体と活物質層とを含み、前記集電体は第1のセグメントを含み、前記第1のセグメントの少なくとも一方の面には第1の塗布領域、第2の塗布領域及び溝領域が分布され、前記第2の塗布領域は遷移領域を含み、前記集電体の幅方向において、前記遷移領域は前記溝領域と前記集電体の縁部との間に位置し、前記活物質層は前記第1の塗布領域及び前記第2の塗布領域内の前記集電体表面に付着され、前記第2の塗布領域内の前記活物質層の厚さは前記第1の塗布領域内の前記活物質層の厚さより小さい。本発明は、少なくとも電極シートが破断しやすい技術的問題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シートであって、
集電体(10)と活物質層(20)とを含み、
前記集電体(10)は第1のセグメント(11)を含み、前記第1のセグメント(11)の少なくとも一方の面には第1の塗布領域(31)、第2の塗布領域(32)及び溝領域(33)が分布され、
前記第2の塗布領域(32)は遷移領域(321)を含み、前記集電体(10)の幅方向において、前記遷移領域(321)は前記溝領域(33)と前記集電体(10)の縁部との間に位置し、
前記活物質層(20)は、前記第1の塗布領域(31)及び前記第2の塗布領域(32)内の前記集電体(10)の表面に付着されており、
前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の厚さは、前記第1の塗布領域(31)内の前記活物質層(20)の厚さより小さい
ことを特徴とする電極シート。
【請求項2】
前記第1の塗布領域(31)は、前記第1のセグメント(11)の長手方向及び幅方向の縁部まで延在し、
前記溝領域(33)及び前記第2の塗布領域(32)はいずれも前記第1の塗布領域(31)の長手方向の中央に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項3】
前記集電体(10)の長手方向において、前記溝領域(33)の長さと前記遷移領域(321)の長さとの比の値はSであり、ここで、5≧S≧1である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項4】
前記集電体(10)の幅方向において、前記遷移領域(321)の幅は2mm以上且つ5mm以下であり、及び/又は
前記集電体(10)の幅方向において、前記溝領域(33)の幅は9mm以上且つ30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項5】
前記第2の塗布領域(32)は余剰領域(322)を更に含み、
前記集電体(10)の幅方向において、前記余剰領域(322)と前記遷移領域(321)は位置が互いに対向し、前記余剰領域(322)の幅は0mm以上且つ5mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項6】
前記第1のセグメント(11)の両面にはいずれも前記第1の塗布領域(31)、前記第2の塗布領域(32)及び前記溝領域(33)が分布され、
前記第1の塗布領域(31)、前記第2の塗布領域(32)及び前記溝領域(33)はそれぞれ、前記第1のセグメント(11)の両面における分布位置が互いに対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項7】
前記集電体(10)の両面にある前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面形状は同じであるか、又は
前記集電体(10)の両面にある前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面形状は異なる
ことを特徴とする請求項6に記載の電極シート。
【請求項8】
前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面は、平面状、波面状、又は傾斜状である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項9】
タブ(50)を更に含み、
前記タブ(50)は、互いに接続された接続セグメント(51)と延出セグメント(52)を含み、
前記接続セグメント(51)は、前記集電体(10)の両面にある前記溝領域(33)のうちの1つの前記溝領域(33)に固定接続され、前記延出セグメント(52)は、前記集電体(10)の幅方向に沿って前記第1の塗布領域(31)の外部まで延在する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電極シート。
【請求項10】
前記第1の塗布領域(31)に付着される前記活物質層(20)の厚さは20μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記第2の塗布領域(32)に付着される前記活物質層(20)の厚さは0μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記タブ(50)の厚さは、100μm以上であり且つ500μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の電極シート。
【請求項11】
ケースと、ケース内に収容されたセルとを含む電池であって、
前記セルは、正極シート、負極シート、及び、前記正極シートと前記負極シートの間に介在されたセパレータを含み、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータは積層されて巻回され、
前記正極シートと前記負極シートのうちの少なくとも一方が請求項1~9のいずれか1項に記載の電極シートである
ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年11月04日に中国特許庁に提出した、出願番号が202122693996.7であり、出願の名称が「電極シート及び電池」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池の技術分野に関し、特に電極シート及び電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム電池は、環境にやさしいグリーンエネルギーとして、近年急速に発展している。それと同時に、リチウム電池の性能に対する消費者の要求もますます高くなっており、リチウム電池に高い容量を有することだけでなく、充放電レートへのニーズを満たすことも求められている。
【0004】
リチウム電池では、タブを電極シートの中間位置に接続することにより、電池の内部抵抗及び温度上昇を減少させて電池の充放電レートを高めることを達成できる。ただし、電極シートの中間位置における集電体には活物質層が塗布されているため、タブを接続するためには集電体上の活物質層を洗浄除去する必要がある。関連技術では、タブが溶接される溝の縁部にある活物質及び集電体を一緒に切り取って、電極シートにおいて切欠き付きの溝を形成する。しかし、従来技術の裁断過程においては、電極シートが破断しやすく、加工される電池の品質に影響を与える。
【0005】
このため、電極シートが破断しやすい技術的問題を解決するための電極シート及び電池の開発が急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも電極シートが破断しやすい技術的問題を解決するための電極シート及び電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、電極シートを提供する。該電極シートは集電体と活物質層とを含み、前記集電体は第1のセグメントを含み、前記第1のセグメントの少なくとも一方の面には第1の塗布領域、第2の塗布領域及び溝領域が分布されている。前記第2の塗布領域は遷移領域を含み、前記集電体の幅方向において、前記遷移領域は前記溝領域と前記集電体の縁部との間に位置する。前記活物質層は、前記第1の塗布領域及び前記第2の塗布領域内の前記集電体の表面に付着され、前記第2の塗布領域内の前記活物質層の厚さは、前記第1の塗布領域内の前記活物質層の厚さより小さい。
【0008】
本発明による電極シートでは、前記第1の塗布領域、前記第2の塗布領域、及び、タブを溶接するための前記溝領域を設け、前記第2の塗布領域は遷移領域を含み、前記遷移領域は前記溝領域と前記集電体の縁部との間に位置し、前記第2の塗布領域内の活物質層の厚さは前記第1の塗布領域内の活物質層の厚さより小さい。このような構造によれば、従来技術のように裁断時に前記溝領域の先端部分を切り取る必要がなく、電極シートを裁断加工する際に裁断位置を広い前記遷移領域に設けることができ、したがって前記溝領域が裁断されることを回避して、裁断の難しさを低減させ、電極シート破断の問題を効果的に解決することができ、ひいては電極シートの破断による電池の使用安全性への影響を回避する。また、厚さが小さい第2の塗布領域を設けることによって、タブが溶接された後、タブの溶接により電極シートの厚さが不均一になる現象を効果的に解消することができ、したがって最終的に得られる巻回セルの厚さが均一になり、結果的には製造される電池の体積を小さくして電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0009】
可能な一実施形態において、前記第1の塗布領域は、前記第1のセグメントの長手方向及び幅方向の縁部まで延在し、前記溝領域と前記第2の塗布領域はいずれも前記第1の塗布領域の長手方向の中央に位置する。
【0010】
可能な一実施形態において、前記集電体の長手方向において、前記溝領域の長さと前記遷移領域の長さの比の値はSであり、ここで、5≧S≧1である。
【0011】
可能な一実施形態において、前記集電体の幅方向において、前記遷移領域の幅は2mm以上であり且つ5mm以下であり、及び/又は
前記集電体の幅方向において、前記溝領域の幅は9mm以上であり且つ30mm以下である。
【0012】
可能な一実施形態において、前記第2の塗布領域は余剰領域を更に含み、前記集電体の幅方向において、前記余剰領域は前記遷移領域の位置に対向し、且つ前記余剰領域の幅は0mm以上であり且つ5mm以下である。
【0013】
可能な一実施形態において、前記第1のセグメントの両面にはいずれも前記第1の塗布領域、前記第2の塗布領域及び前記溝領域が分布されており、且つ前記第1の塗布領域、前記第2の塗布領域及び前記溝領域はそれぞれ、前記第1のセグメントの両面における分布位置が互いに対応する。
【0014】
可能な一実施形態において、前記集電体の両面の前記第2の塗布領域内の前記活物質層は表面形状が同じであるか、又は
前記集電体の両面の前記第2の塗布領域内の前記活物質層は表面形状が異なる。
【0015】
可能な一実施形態において、前記第2の塗布領域内の前記活物質層の表面は、平面状、波面状、又は傾斜状である。
【0016】
可能な一実施形態において、前記電極シートはタブを更に含み、前記タブは、互いに接続する接続セグメントと延出セグメントを含み、前記接続セグメントは、前記集電体の両面にある前記溝領域のうちの1つの前記溝領域に固定接続され、前記延出セグメントは、前記集電体の幅方向に沿って前記第1の塗布領域の外部まで延在する。
【0017】
可能な一実施形態において、前記第1の塗布領域に付着される前記活物質層の厚さは20μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記第2の塗布領域に付着される前記活物質層の厚さは0μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記タブの厚さは100μm以上であり且つ500μm以下である。
【0018】
本発明は電池を更に提供する。該電池は、ケースと、ケース内に収容されたセルとを含み、前記セルは正極シート、負極シート、及び、前記正極シートと前記負極シートの間に介在されたセパレータを含み、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータは積層されて巻回され、前記正極シートと前記負極シートのうちの少なくとも一方が上述した電極シートである。
【発明の効果】
【0019】
本発明による電極シートでは、前記第2の塗布領域が設けられ、前記第2の塗布領域内の前記活物質層の厚さが前記第1の塗布領域内の前記活物質層の厚さより小さいため、タブが溶接された後にタブの溶接により電極シートの厚さが不均一になる現象を効果的に解消することができ、結果的には製造される電池の体積を小さくして電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0020】
本発明による電極シート及び電池では、前記溝領域と前記第2の塗布領域はいずれも前記第1の塗布領域の長手方向の中央に位置するため、このような電極シート構造を用いて電池を加工した後、前記溝領域はタブを溶接するために用いられて、タブの並列接続が実現されやすく、電池の供給電流を小さくして、電池の内部抵抗を低減させ、電池の発熱が少ない。そのため、急速充電又は放電時に発生する熱が少なくて、電池の充放電レートの向上に有利である。
【0021】
上述した本発明の実施例が解決しようとする課題、技術案を構成する技術的構成、及びこれら技術案の技術的構成による有益な効果に加えて、本発明の実施例による電極シート及び電池によって解決できる他の技術的課題、技術案に含まれる他の技術的構成、及びこれら技術的構成による有益な効果については、具体的な実施形態においてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下に、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に説明される図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を払わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明の実施例による電極シートの構造概略図である。
図2】本発明の実施例による電極シートの図1におけるA-A断面の構造概略図である。
図3】本発明の実施例による電極シートの別の構造概略図である。
図4】本発明の実施例による電極シートの図3におけるB-B断面の構造概略図である。
図5】本発明の実施例による電極シート原反の構造概略図である。
図6】本発明の実施例による電極シート原反の図5のC-C断面の構造概略図である。
図7】本発明の実施例による電極シート原反の図5のC-C断面の別の構造概略図である。
図8】本発明の実施例による電極シート原反の図5のC-C断面の別の構造概略図である。
図9】本発明の実施例による電極シート原反の図5のC-C断面の別の構造概略図である。
図10】本発明の実施例による電極シート原反の図5のC-C断面の別の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明における図面を参照して、本発明における技術案を明らかで完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0024】
電池構造において、一般にはタブを電極シートの端部付近に溶接し、電池に加工された後、複数のタブ同士を直列に接続する。そのため、電池の内部抵抗が増大し、電池の発熱量が大きくなって、電池の急速充電分野への応用に影響を与える。電池の内部抵抗及び温度上昇の問題を緩和するためには、タブを電極シートの中央付近に溶接し、タブ同士を並列に接続することができる。これにより、電池の内部抵抗を低減し、電池の発熱量を低減することができ、電池の充放電レートの向上に有利である。
【0025】
しかし、タブを電極シートの中央付近に溶接すると、電極シートの厚さ分布が不均一になりやすく、最終的に巻回されて得るセルの平坦性に影響を与え、電池の厚さ増大につながる。電極シートの厚さ分布を改善するために、関連技術では、電極シートにおいてタブが溶接される位置にある活物質及び集電体を一緒に切り取ることにより、1つの切欠きが設けられた溝を作ってタブの溶接に用いる。このような構造は、電極シート裁断プロセスにおいて、裁断誤差の影響により裁断ラインの位置がずれて、電極シートが破断する問題が発生しやすく、電池の使用安全性に影響を与える。
【0026】
このような背景に鑑みて、本発明による電極シート及び電池では、電極シートの構造を改良することにより、第1の塗布領域、第2の塗布領域、及び、タブを溶接するための溝領域を設け、第2の塗布領域の遷移領域が溝領域と第1の塗布領域の縁部の間に接続され、且つ第2の塗布領域内の活物質層の厚さを第1の塗布領域内の活物質層の厚さより小さくする。このような構造によれば、溝領域の縁部を切り取る必要がなくなり、電極シートを裁断加工する際に電極シートが破断する問題を効果的に解決することができ、電極シートの加工不良が発生して電池の使用安全性に影響を与えることを回避できる。
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例による電極シート及び電池を説明する。
【0028】
図1図2に示すように、本発明は電極シートを提供し、電極シートは集電体10と活物質層20とを含み、集電体10は第1のセグメント11を含み、第1のセグメント11の少なくとも一方の面においては第1の塗布領域31、第2の塗布領域32及び溝領域33が分布されている。
【0029】
図1に示すように、集電体10はシート状であり、Xが示す方向は、第1の塗布領域31の長手方向、即ち集電体10の長手方向であり、Yが示す方向は、第1の塗布領域31の幅方向、即ち集電体10の幅方向である。第1の塗布領域31は、第1のセグメント11の長手方向及び幅方向の縁部まで延在し、即ち第1の塗布領域31の長さは第1のセグメント11の長さと等しく、第1の塗布領域31の幅は第1のセグメント11の幅と等しい。具体的な一例において、溝領域33の両端及び第2の塗布領域32の両端はそれぞれ第1の塗布領域31に接し合う。
【0030】
図1図2に示すように、第2の塗布領域32は遷移領域321を含み、且つ集電体10の幅方向において、遷移領域321は溝領域33と集電体10の縁部との間に位置する。
【0031】
溝領域33内の集電体10の表面にはいずれも活物質層20が付着されていない。活物質層20は、第1の塗布領域31及び第2の塗布領域32内の集電体10の表面に付着され、且つ第2の塗布領域32内の活物質層20の厚さは、第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さより小さい。
【0032】
本発明による電極シートでは、第1の塗布領域31、第2の塗布領域32及び溝領域33を設け、図3図4に示すように、溝領域33はタブ50を溶接するために用いられ、第2の塗布領域32は遷移領域321を含み、遷移領域321は溝領域33と集電体10の縁部との間に位置する。このような構造によれば、溝領域33の先端部分を切除する必要がなくなり、電極シートを裁断加工する際に電極シートが破断する問題を効果的に解決することができ、電極シートの加工不良が発生して電池の使用安全性に影響を与えることを回避できる。
【0033】
本発明による電極シートでは、第2の塗布領域32内の活物質層20の厚さが第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さより小さく、且つ第2の塗布領域32が設けられているので、溝領域33にタブ50が溶接された後、タブ50の溶接により招来される電極シートの厚さが不均一になる現象を効果的に解消することができ、電極シート構造に起因するセル表面の平坦性問題を改善することに有利であり、結果的に電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0034】
可能な一実施形態において、図1図3に示すように、溝領域33と第2の塗布領域32はいずれも第1の塗布領域31の長手方向の中央に位置する。このような電極シート構造によれば、電池に加工された後、溝領域33がタブ50を溶接するために用いられ、タブ50の並列接続を実現しやすく、電池の供給電流を減少させ、電池の内部抵抗を減少させて、電池の発熱が少ないので、充放電時の発熱が小さく、電池の充放電レートの向上に有利である。
【0035】
可能な一実施形態において、集電体10の長手方向に沿って、溝領域33の長さと遷移領域321の長さとの比はSであり、ここで、5≧S≧1である。溝領域33内においてタブ50を溶接するために十分なスペースを確保するように、溝領域33は遷移領域321より若干長くてもよい。さらに、溝領域33の長さと遷移領域321の長さとの比Sを5以下にすることにより、溝領域33が長すぎて電池のエネルギー密度に影響することを回避できる。ここで、溝領域33の長手方向及び遷移領域321の長手方向は、集電体10の長手方向と一致する。
【0036】
可能な一実施形態において、集電体10の長手方向において、溝領域33の長さと遷移領域321の長さとの比Sは、1、2、3、4又は5であってもよい。
【0037】
可能な一実施形態において、集電体10の幅方向において、遷移領域321の幅は2mm~5mmである。遷移領域321の幅方向及び溝領域33の幅はいずれも集電体10の幅方向と一致する。
【0038】
可能な一実施形態において、集電体10の幅方向において、遷移領域321の幅は2mm、3mm、4mm又は5mmであってもよい。
【0039】
可能な一実施形態において、集電体10の幅方向において、溝領域33の幅は9mm~30mmである。
【0040】
可能な一実施形態において、集電体10の幅方向において、溝領域33の幅は9mm、10mm、15mm、20mm、25mm又は30mmであってもよい。
【0041】
なお、タブ50の溶接効果を保証するために、溝領域33内の集電体10の表面には活物質層20が付着されなく、溝領域33においてタブ50を溶接するために十分なスペースを確保するために、溝領域33の長さをタブ50の幅より大きくする。例えば、溝領域33の長さは12mmであってもよく、タブ50の幅は4mm、5mm又は6mmであってもよく、遷移領域321の長さはタブ50の幅と同じ、即ち4mm、5mm又は6mmであってもよい。このように、溝領域33にタブ50を溶接する際に、十分な安全距離を確保して、活物質層20が付着される位置にタブ50が溶接されることを回避することができる。
【0042】
可能な一実施形態において、図1図3に示すように、第2の塗布領域32は余剰領域322を更に含み、集電体10の幅方向において、余剰領域322は遷移領域321の位置に対向し、余剰領域322の幅は0mm~5mmである。余剰領域322の幅方向は集電体10の幅方向と一致する。
【0043】
可能な一実施形態において、電極シートには余剰領域322が含まれてもよく、余剰領域322の幅は1mm、2mm、3mm、4mm又は5mmであってもよい。もちろん、電極シートには余剰領域322が含まれなくてもよく、即ち余剰領域322の幅は0mmであってもよい。電極シートに余剰領域322が含まれるか否かは、裁断ライン60の裁断位置に従う。
【0044】
余剰領域322の長さは、遷移領域321の長さと等しくてもよい。電極シートを裁断する前、電極シートの余剰領域322と隣接する他の電極シートの遷移領域321とは一体に接続された状態であり、電極シートが裁断された後、電極シートの余剰領域322と隣接する他の電極シートの遷移領域321が切り分けられる。このように、電極シートの裁断及び製造効率を更に向上させるとともに、電極シートが搭載される電池のエネルギー密度を確保する。
【0045】
なお、図1図6に示すように、余剰領域322内の集電体10の表面には漏れなく活物質層20が付着される。余剰領域322と遷移領域321はいずれも第1の塗布領域31の長手方向の中央に位置し、且つ余剰領域322と遷移領域321は、第1の塗布領域31の長手方向における位置が同じである。余剰領域322と遷移領域321は第1の塗布領域31において第1の塗布領域31の幅方向における位置が対向し、余剰領域322と遷移領域321はそれぞれ第1の塗布領域31の幅方向の両端に位置してもよい。
【0046】
可能な一実施形態において、図3図4に示すように、上述した電極シートはタブ50を更に含み、タブ50は、互いに接続された接続セグメント51と延出セグメント52を含み、接続セグメント51は溝領域33に固定接続され、延出セグメント52は、集電体10の幅方向に沿って、遷移領域321を通って第1の塗布領域31の外部まで延在する。
【0047】
可能な一実施形態において、接続セグメント51は溝領域33に溶接接続される。タブ50と溝領域33との接続は、レーザ溶接によって実現されることができる。
【0048】
延出セグメント52は、接続セグメント51に接続される部分であり、延出セグメント52は、電極シートの側辺から突き出して電池の正極端又は負極端に接続されるために用いられる。延出セグメント52は、遷移領域321を通って第1の塗布領域31の外部まで延在し、延出セグメント52は、遷移領域321の表面に密着するように第1の塗布領域31の外部まで延びてもよい。
【0049】
可能な一実施形態においては、延出セグメント52の厚さと、遷移領域321内に塗布された活物質層20の厚さとが重ねられた後、第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さ以下である。これにより、タブ50の溶接により電極シートの局所的な厚さが厚くなることはなく、電極シートの厚さ分布が均一になり、電極シートがセルに巻回された後、電極シート構造に起因するセル表面の平坦性問題の改善に有利であり、セルの体積が大きくなって電池のエネルギー密度に影響を与えることを回避することができる。
【0050】
可能な一実施形態においては、延出セグメント52の厚さと、遷移領域321内に塗布された活物質層20の厚さとが重ねられた後、第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さより大きくなるが、遷移領域321内の活物質層20の厚さが第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さより小さいので、このような構造であっても、遷移領域321が設けられていない電極シート構造に対しては、タブ50溶接後の電極シートの厚さの均一分布に有利であり、遷移領域321が設けられていない電極シート構造に対しては、電極シートの破断問題を回避できるとともに、電極シートが巻回されて作製されるセルの厚さをある程度小さくすることができ、電池のエネルギー密度に悪影響を与えることを回避する。
【0051】
可能な一実施形態において、第1のセグメント11の一方の面には第1の塗布領域31、第2の塗布領域32及び溝領域33が分布され、第1のセグメント11の他方の面は全体が第1の塗布領域31である。図には示されていない。
【0052】
可能な一実施形態において、図1図6に示すように、第1のセグメント11の両面にはいずれも第1の塗布領域31、第2の塗布領域32及び溝領域33が分布され、且つ第1の塗布領域31、第2の塗布領域32及び溝領域33はそれぞれ、第1のセグメント11の両面における分布位置が互いに対応する。このような構造によれば、溝領域33の裏面の対応する位置も溝領域33であり、タブ50を溶接する際に電極シートの応力を低減することができる。
【0053】
可能な一実施形態において、図3図4に示すように、タブ50は、集電体10の両面の溝領域33のうちの1つの溝領域33に接続される。例えば、タブ50の接続セグメント51と集電体の一方の面の溝領域33がレーザ溶接によって溶接接続されてもよい。
【0054】
可能な一実施形態において、図2に示すように、第2の塗布領域32内の活物質層20の厚さは、第1の塗布領域31の幅方向に沿って漸次増加するか又は漸次減少する勾配分布を呈する。
【0055】
可能な一実施形態において、図10に示すように、第2の塗布領域32内の活物質層20の厚さは一定である。
【0056】
可能な一実施形態において、第2の塗布領域32内の活物質層20は、まず均一に塗布され、その後第2の塗布領域32の厚さ方向において勾配に従って除去されてもよい。
【0057】
可能な一実施形態において、図7に示すように、第2の塗布領域32内の活物質層20の表面は波面状であり、即ち、第2の塗布領域32内の活物質層20は波形のブロック状であってもよい。
【0058】
可能な一実施形態において、図6に示すように、第2の塗布領域32内の活物質層20の表面は傾斜状であり、即ち、第2の塗布領域32内の活物質層20は三角形のブロック状であってもよい。
【0059】
可能な一実施形態において、図10に示すように、第2の塗布領域32内の活物質層20の表面は平面状であり、即ち、第2の塗布領域32内の活物質層20は矩形のブロック状であってもよい。
【0060】
可能な一実施形態において、集電体10の両面にある第2の塗布領域32内の活物質層20の表面形状は同じであってもよく、異なってもよい。即ち、第1のセグメント11の両面に分布している第2の塗布領域32内の活物質層20の形状は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、図5図7に示すように、第1のセグメント11の両面に分布している第2の塗布領域32内の活物質層20は、両方とも矩形のブロック状、又は両方とも表面が波面状、又は両方とも表面が傾斜状であってもよい。図8図9に示すように、第1のセグメント11の一方の面に分布している第2の塗布領域32内の活物質層20は矩形のブロック状であり、他方の面に分布している第2の塗布領域32内の活物質層20は表面が波面状であるか、又は他方の面に分布している第2の塗布領域32内の活物質層20は表面が傾斜状であってもよい。
【0061】
電池の大きさに応じて、電極シートにおける第2の塗布領域32の寸法と溝領域33の寸法を調整することができる。
【0062】
本実施例において、タブ50が溶接される溝領域33の周囲に対しては切取り処理を行う必要がないため、電極シートにおけるタブ50の溶接位置への損傷を回避し、溝の位置における電極シートの破断及びタブ不良の問題を減少して改善する。
【0063】
可能な一実施形態において、集電体10は、第1のセグメント11の少なくとも一端に接続される第2のセグメント12を更に含み、第2のセグメント12の表面には活物質層20が付着されていない。
【0064】
可能な一実施形態において、上述した電極シートは正極シートであってもよく、負極シートであってもよい。
【0065】
正極シートと負極シートにおける集電体10の材料は、実際のニーズに応じて設置することができ、ここではこれ以上限定しない。例えば、正極シートにおける集電体10はアルミニウム箔であってもよく、負極シートにおける集電体10は銅箔であってもよい。
【0066】
正極シートと負極シートにおける活物質層20中の活物質の種類と割合についても、実際のニーズに応じて設置することができ、ここではこれ以上限定しない。例えば、負極シートにおける活物質層20中の活物質は黒鉛、ハードカーボン、シリコン、一酸化ケイ素などの材料を含んでもよく、正極シートにおける活物質層20中の活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウムなどの材料を含んでもよい。
【0067】
図5に示すように、本発明は、さらに電極シート原反を提供する。電極シート原反は上述した電極シートを含み、複数の電極シートは集電体10の幅方向に沿って順次に接続される。電極シートの第1のセグメント11は、隣接する電極シートの第1のセグメント11に接続され、且つ電極シートの第2のセグメント12は、隣接する電極シートの第2のセグメント12に接続される。
【0068】
電極シート原反は、電極シートを加工するための材料であり、生産効率を向上させるために、通常、電極シート原反の表面に活物質層20を塗布した後に電極シートの裁断を行う。電極シート裁断ステップにおいては、電極シート原反上の裁断ライン60に沿って裁断を行って、電極シート原反を複数の電極シートに分割する。裁断ライン60は、電極シートの長手方向に沿って延びる仮想の線であり、裁断完了後、裁断ライン60の両側にある電極シート原反は2つの独立した電極シートになる。
【0069】
可能な一実施形態において、電極シートの第2の塗布領域32の余剰領域322は、隣接する電極シートの第2の塗布領域32の遷移領域321に接続される。このような構造によれば、図5図7に示すように、電極シートを裁断する際、裁断ライン60は第2の塗布領域32を、2つの異なる電極シートにそれぞれ位置する余剰領域322と遷移領域321に分割し、且つ余剰領域322及び遷移領域321内の集電体10の表面にいずれも活物質層20が塗布されているので、電極シート原反の裁断誤差に起因して集電体10の表面が電極シートの第1のセグメント11における溝領域33以外の部分から露出することを回避して、電池の品質及び電池の安全性能に影響を与えることを回避することができる。
【0070】
可能な一実施形態において、第1の塗布領域31に付着される活物質層20の厚さは20μm~200μmであり、及び/又は、第2の塗布領域32に付着される活物質層20の厚さは0μm~200μmである。
【0071】
例えば、第1の塗布領域31に付着される活物質層20の平均厚さは20μmであり、第2の塗布領域32に付着される活物質層20の平均厚さは10μmであってもよい。又は、第1の塗布領域31に付着される活物質層20の平均厚さは100μmであり、第2の塗布領域32に付着される活物質層20の平均厚さは50μm又は80umであってもよい。又は、第1の塗布領域31に付着される活物質層20の平均厚さは200μmであり、第2の塗布領域32に付着される活物質層20の平均厚さは70μm又は100umであってもよい。第2の塗布領域32内の活物質層20の厚さが第1の塗布領域31内の活物質層20の厚さより小さいことを満たす。
【0072】
可能な一実施形態において、タブ50の厚さは100μm~500μmである。例えばタブ50の平均厚さは、100μm、200μm、300μm、400μm又は500umであってもよい。
【0073】
本発明による電極シート原反では、図5に示すように、遷移領域321及び余剰領域322内の集電体10の表面にはいずれも活物質層20が塗布されるため、裁断誤差の影響により裁断ライン60が集電体10の幅方向に沿って上又は下へずれたとしても、結果的には遷移領域321及び当該遷移領域321に接する余剰領域322の面積の大きさが変化するに過ぎず、余剰領域322内の集電体10が露出することも、余剰領域322の位置に切欠きが生じることもなく、したがって電極シートが破断する問題を確実に回避する。
【0074】
電極シート原反の裁断は、シート製造機又はシート製造捲回一体機によって実現されてもよく、レーザ裁断によって本実施例に係る電極シートを加工してもよい。
【0075】
本発明は、さらに電池を提供する。該電池は、ケースと、ケース内に収容されたセルとを含み、セルは、正極シート、負極シート、及び、正極シートと負極シートの間に介在されたセパレータを含み、正極シート、負極シート及びセパレータは積層されて巻回され、正極シートと負極シートのうちの少なくとも一方が上述した電極シートである。
【0076】
なお、本発明による電池では、正極シートが上述した電極シートであり、負極シートが通常の電極シートであってもよく、負極シートが上述した電極シートであり、正極シートが通常の電極シートであってもよく、もちろん、正極シートと負極シートのいずれも上述した電極シートであってもよい。
【0077】
本発明による電池では、上述した電極シートを採用しているため、セル表面は優れた平坦性を有して、電池のサイクル充放電過程において電極シートの表面が受ける応力の均一性が良く、電池の使用寿命を向上させ、電池の充放電レートの向上に有利である。
【0078】
セパレータは、正極シートと負極シートを隔離し、正極シートと負極シートが接触して短絡することを防止する。また、セパレータは、電解液における電解質イオンを通過させる機能も有する。
【0079】
セパレータは、基材とコーティング層を含んでもよく、ここで、基材は、ポリエチレン(polythene、PE)単層フィルム、ポリプロピレン(polypropylene、PP)単層フィルム、又はポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレンの3層複合フィルムであってもよく、コーティング層は、多孔質シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0080】
ケース内にはさらに電解液が充填されており、セルは電解液に浸漬される。
【0081】
可能な一実施形態において、上述したセルは巻回構造のセルであってもよい。
【0082】
可能な一実施形態において、上述した電池はパウチ電池、アルミシェル電池又は円筒電池であってもよい。
【0083】
なお、本発明の説明において、使用される用語「中心」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「先端」、「底端」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」、「軸方向」、「周方向」等により示される方向又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本発明の説明及び説明を簡略化するためのものに過ぎず、かかる位置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の構造及び操作であることを指示又は暗示するものではないため、本発明に対する制限と理解すべきではない。
【0084】
なお、用語「第1の」、「第2の」は、説明のために使用されるものに過ぎず、相対的な重要性を指示したり暗示するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものと理解すべきではない。よって、「第1の」、「第2の」の特徴は、明示的または暗黙的に1つまたはそれ以上の特徴を含むことができる。本発明の説明において、「複数」は、特に明記しない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。
【0085】
本発明において、特に明記しない限り、用語「取り付け」、「つながる」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、または一体となってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、または互いに通信してもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部の連通や2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記の用語の本発明における具体的な意味を理解することができる
【0086】
本発明において、特に明記しない限り、第1の構成が第2の構成の「上」または「下」にあるとは、第1及び第2の構成が直接接触することを含んでもよく、第1及び第2の構成が直接接触ではなく、それらの間の別の構成を介して接触することを含んでもよい。また、第1の構成が第2の構成の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1の構成が第2の構成の真上及び斜め上方にあることを含み、又は第1の構成の水平高さが第2の構成より高いことのみを示す。第1の構成が第2の構成の「下」、「下方」及び「下」にあるとは、第1の構成が第2の構成の真下及び斜め下方にあることを含み、又は第1の構成の水平高さが第2の構成より小さいことのみを示す。
【0087】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本発明の技術案を説明するために使用されるものに過ぎず、それに対する限定にはならない。前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述の各実施例に記載された技術案を修正したり、その一部又は全部の技術的特徴を均等に置き換えたりすることができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0088】
10-集電体
20-活物質層
11-第1のセグメント
12-第2のセグメント
31-第1の塗布領域
32-第2の塗布領域
321-遷移領域
322-余剰領域
33-溝領域
50-タブ
51-接続セグメント
52-延出セグメント
60-裁断ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極シートであって、
集電体(10)と活物質層(20)とを含み、
前記集電体(10)は第1のセグメント(11)を含み、前記第1のセグメント(11)の少なくとも一方の面には第1の塗布領域(31)、第2の塗布領域(32)及び溝領域(33)が分布され、
前記第2の塗布領域(32)は遷移領域(321)を含み、前記集電体(10)の幅方向において、前記遷移領域(321)は前記溝領域(33)と前記集電体(10)の縁部との間に位置し、
前記活物質層(20)は、前記第1の塗布領域(31)及び前記第2の塗布領域(32)内の前記集電体(10)の表面に付着されており、
前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の厚さは、前記第1の塗布領域(31)内の前記活物質層(20)の厚さより小さい
ことを特徴とする電極シート。
【請求項2】
前記第1の塗布領域(31)は、前記第1のセグメント(11)の長手方向及び幅方向の縁部まで延在し、
前記溝領域(33)及び前記第2の塗布領域(32)はいずれも前記第1の塗布領域(31)の長手方向の中央に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項3】
前記集電体(10)の長手方向において、前記溝領域(33)の長さと前記遷移領域(321)の長さとの比の値はSであり、ここで、5≧S≧1である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項4】
前記集電体(10)の幅方向において、前記遷移領域(321)の幅は2mm以上且つ5mm以下であり、及び/又は
前記集電体(10)の幅方向において、前記溝領域(33)の幅は9mm以上且つ30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項5】
前記第2の塗布領域(32)は余剰領域(322)を更に含み、
前記集電体(10)の幅方向において、前記余剰領域(322)と前記遷移領域(321)は位置が互いに対向し、前記余剰領域(322)の幅は0mm以上且つ5mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項6】
前記第1のセグメント(11)の両面にはいずれも前記第1の塗布領域(31)、前記第2の塗布領域(32)及び前記溝領域(33)が分布され、
前記第1の塗布領域(31)、前記第2の塗布領域(32)及び前記溝領域(33)はそれぞれ、前記第1のセグメント(11)の両面における分布位置が互いに対応する
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項7】
前記集電体(10)の両面にある前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面形状は同じであるか、又は
前記集電体(10)の両面にある前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面形状は異なる
ことを特徴とする請求項6に記載の電極シート。
【請求項8】
前記第2の塗布領域(32)内の前記活物質層(20)の表面は、平面状、波面状、又は傾斜状である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極シート。
【請求項9】
タブ(50)を更に含み、
前記タブ(50)は、互いに接続された接続セグメント(51)と延出セグメント(52)を含み、
前記接続セグメント(51)は、前記集電体(10)の両面にある前記溝領域(33)のうちの1つの前記溝領域(33)に固定接続され、前記延出セグメント(52)は、前記集電体(10)の幅方向に沿って前記第1の塗布領域(31)の外部まで延在する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電極シート。
【請求項10】
前記第1の塗布領域(31)に付着される前記活物質層(20)の厚さは20μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記第2の塗布領域(32)に付着される前記活物質層(20)の厚さは0μmより大きく且つ200μm以下であり、及び/又は
前記タブ(50)の厚さは、100μm以上であり且つ500μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の電極シート。
【請求項11】
ケースと、ケース内に収容されたセルとを含む電池であって、
前記セルは、正極シート、負極シート、及び、前記正極シートと前記負極シートの間に介在されたセパレータを含み、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータは積層されて巻回され、
前記正極シートと前記負極シートのうちの少なくとも一方が請求項1~のいずれか1項に記載の電極シートである
ことを特徴とする電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
可能な一実施形態において、前記第1の塗布領域に付着される前記活物質層の厚さは20μm以上であり且つ200μm以下であり、及び/又は
前記第2の塗布領域に付着される前記活物質層の厚さは0μmより大きく且つ200μm以下であり、及び/又は
前記タブの厚さは100μm以上であり且つ500μm以下である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
このような背景に鑑みて、本発明による電極シート及び電池では、電極シートの構造を改良することにより、第1の塗布領域、第2の塗布領域、及び、タブを溶接するための溝領域を設け、第2の塗布領域の遷移領域が溝領域と集電体の縁部の間に接続され、且つ第2の塗布領域内の活物質層の厚さを第1の塗布領域内の活物質層の厚さより小さくする。このような構造によれば、溝領域の縁部を切り取る必要がなくなり、電極シートを裁断加工する際に電極シートが破断する問題を効果的に解決することができ、電極シートの加工不良が発生して電池の使用安全性に影響を与えることを回避できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
図1に示すように、集電体10はシート状であり、Xが示す方向は、第1の塗布領域31の長手方向、即ち集電体10の長手方向であり、Yが示す方向は、第1の塗布領域31の幅方向、即ち集電体10の幅方向である。第1の塗布領域31は、第1のセグメント11の長手方向及び幅方向の縁部まで延在し、即ち第1の塗布領域31の長さは第1のセグメント11の長さと等しく、第1の塗布領域31の幅は第1のセグメント11の幅と等しい。具体的な一例において、集電体10の長手方向において、溝領域33の両端及び第2の塗布領域32の両端はそれぞれ第1の塗布領域31に接し合う。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
可能な一実施形態において、集電体10の幅方向において、遷移領域321の幅は2mm~5mmである。遷移領域321の幅方向及び溝領域33の幅方向はいずれも集電体10の幅方向と一致する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
集電体10の長手方向において、余剰領域322の長さは、遷移領域321の長さと等しくてもよい。電極シートを裁断する前、電極シートの余剰領域322と隣接する他の電極シートの遷移領域321とは一体に接続された状態であり、電極シートが裁断された後、電極シートの余剰領域322と隣接する他の電極シートの遷移領域321が切り分けられる。このように、電極シートの裁断及び製造効率を更に向上させるとともに、電極シートが搭載される電池のエネルギー密度を確保する。
【国際調査報告】