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特表2024-524279発光自動車両システムの光学モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】発光自動車両システムの光学モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240628BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240628BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240628BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20240628BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20240628BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240628BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240628BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/245
F21S43/247
B60Q1/26 Z
F21S43/237
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579384
(86)(22)【出願日】2022-06-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022067465
(87)【国際公開番号】W WO2022269095
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】2106822
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】マリーヌ、クルシエ
(72)【発明者】
【氏名】エリック、マーティン、クラウデ、モワシー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、ナミスロ
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA23
3K339DA01
3K339EA02
3K339HA02
(57)【要約】
本発明は、自動車両の発光システム(10)用の光学モジュール(1,20)に関するものであって、光源(2)と、少なくとも2つの光学部材(5,8)を備えた一次光学系(4)であって、各光学部材が光源から像を形成するように構成され、当該像が、他の光学部材それぞれによって光源から形成される像に対して偏位させられる、一次光学系(4)と、一次光学系の各光学部材によって光源から形成される像を地面上へと投影するように構成された投射光学系(7)とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の発光システム(10)用の光学モジュール(1,20)であって、
a.光源(2)と、
b.少なくとも2つの光学部材(5,8)を備えた一次光学系(4)であって、各光学部材が前記光源から像を形成するように構成され、当該像が、他の光学部材それぞれによって前記光源から形成される像に対して偏位させられる、一次光学系(4)と、
c.前記一次光学系の各光学部材によって前記光源から形成される像を地面上へと投影するように構成された投射光学系(7)と、
を備えた光学モジュール(1,20)。
【請求項2】
前記投射光学系(7)は、前記一次光学系(4)の各光学部材(5,8)によって前記光源(2)から形成される像を実質的に通る焦点面(71)を有している、前記請求項に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項3】
前記光学部材(5)同士が、前記一次光学系(4)の一次光学素子を形成するように同じ出光光学部材(6)に連結され、各光学部材が、前記光源に面して配置される入光面(51)と、当該光学部材を前記出光光学部材へ連結する接合面(52)とを備え、前記一次光学素子は一体型の部品であり、前記投射光学系(7)は、前記光学部材の前記接合面それぞれの像を地面上へと投影するように構成されている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項4】
各光学部材(5)が一次ライトガイドを備えている、前記請求項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項5】
前記一次光学系(4)は、出光光学部材(6)に連結された少なくとも1つの一次ライトガイド(5)を備える一次光学素子を具備し、前記一次ライトガイドは、前記光源(2)に面して配置された入光面(51)と、当該一次ライトガイドを前記出光光学部材へ連結する接合面(52)とを備え、前記一次光学素子は一体型の部品であって、各光学部材(8)によって形成される前記像は前記接合面の像である、請求項1と請求項2のいずれかに記載の光学モジュール(20)。
【請求項6】
各光学部材(8)がレンズであって、他のレンズそれぞれの光軸とは別個の光軸(82)を有している、前記請求項に記載の光学モジュール(20)。
【請求項7】
前記レンズ(8)は、前記接合面(52)の像同士が、前記接合面の上流側の同じ平面(83)内に形成されるように構成されている、前記請求項に記載の光学モジュール(20)。
【請求項8】
各光学部材(8)が同じ反射器の切子面であり、当該切子面は、前記反射器の他の切子面それぞれの傾きとは別個の傾きを有している、請求項5記載の光学モジュール(20)。
【請求項9】
各一次ライトガイド(5)の前記入光面(51)が、当該一次ライトガイドの前記接合面(52)に対して、前記入光面の輪郭の各点が前記接合面の輪郭の1点と直線によって結ばれるよう、包絡面(53)によって連結されている、請求項4から8のいずれか一項に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項10】
前記出光光学部材(6)は、滑らかで実質的にドームの形状の出光面(62)を有している、請求項4から9のいずれか一項に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項11】
前記請求項のうちいずれか一項に記載の光学モジュール(1,20)を備えた、自動車両用の発光システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光自動車両システムの分野に関するものである。具体的には、本発明は自動車両の発光システム用の光学モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両の照明や光による合図の分野においては、従来の諸機能に加えて、車両の近距離場で地面上へとロゴや発光パターンを投影するのを可能とする機能を遂行することが知られている。この型式の機能は、運転支援の状況において、例えば通行車線が指示されるのを可能とする地面上のマーキングを作り出すように用いられ得るものである。この型式の機能はまた、別の道路使用者に進路の変更を知らせる目的で、従来の合図機能を増強するようにも用いられ得る。
【0003】
発光パターンやロゴを地面上へと投影するために知られた1つの解決策は、自動車両の発光システムによって放出されるピクセル化された光ビーム内に暗域を取り入れることに本質がある。かくして運転者や道路使用者は、暗域と明域との間のコントラストを通じてパターンやロゴを見るのである。しかしながら、この解決策は、光ビームが特に高い解像度を有することを要し、従って特に多数の光源を要し、これが発光システムを高価で複雑なものとしてしまう。
【0004】
別に知られた解決策は、光源によって放出された光を開口のあけられたマスクを通じて投射することに本質がある。そのマスクの開口は、地面上へと投影されることが望まれるパターンやロゴの輪郭に対応した輪郭のものである。この解決策は、先のものより遙かに廉価ではあるが、光の大部分がマスクによって遮断されたり吸収されたりするせいで効率が悪いのである。
【0005】
別に知られた解決策は、複数の光源によって放出された光をライトガイドを介して集光すること、そして、これらのライトガイドの出光面の像を投射光学系を介して地面上へと投影することに本質がある。この解決策は、効率や単純さの観点からは満足のいくものではあるが、光源やライトガイドの数を増やすことなく地面上に複雑なパターンを形成することはできないのである。
【発明の概要】
【0006】
かくして、地面上へと発光パターンやロゴを投影することができ、単一光源を用いて複雑なパターンを形成することを可能とする、効率的で単純な光学モジュールへのニーズが存在する。
【0007】
本発明は、この文脈内の範囲内にあるものであって、このニーズを満たすことを目的としている。
【0008】
これらの目的のため、本発明の1つの主題は、自動車両の発光システム用の光学モジュールであって、
a.光源と、
b.少なくとも2つの光学部材を備えた一次光学系であって、各光学部材が当該光源から像を形成するように構成され、当該像が、他の光学部材それぞれによって当該光源から形成される像に対して偏位させられる、一次光学系と、
c.一次光学系の各光学部材によって当該光源から形成される像を地面上へと投影するように構成された投射光学系と、
を備えた光学モジュールである。
【0009】
本発明において、光源によって放出された光線は各光学部材によって、それぞれが光源の別個の像を形成するように偏向させられる。それは、虚像や実像の問題であって、実質的に光源における発光面の像の拡大に相当するか、或いは寧ろ、この発光面の歪曲された像であり得る。かくして、光源によって放出された光線の大部分、ないしは全部までもが各像を形成するよう各光学部材によって集められ得るのである、ということに留意されたい。例えば、像同士が、隣り合って共通の境界を有していてもよく、或いは分離していてもよい。そして、地面上で十分な鮮明性を有した輪郭の複雑なパターンを得るために、各像が投射光学系によって地面上へと投影される。
【0010】
投射光学系は、一次光学系の各光学部材によって当該光源から形成される像を実質的に通る焦点面を有していることが好ましい。
【0011】
本発明の実施形態の一例において、投射光学系は、一次光学系の光学部材によって形成される像を、車両の近距離場で地面上へと投影するように構成されている。近距離場とは、10メートル未満(特に、5メートル未満)の投影距離、および/または、水平から少なくとも5°下(特に、水平から少なくとも10°下)の角度を成す全体的な投影方向を意味する。これらの像はかくして、車両によって辿られる経路を指示する機能(特に、方向指示器や後退灯などの機能)の遂行に貢献し得るのである。
【0012】
本発明において、投射光学系を用いて二次的な像を地面上へと投影することによって形成される発光パターンは、ロゴ、ピクトグラム、幾何学的パターン、または、複数のロゴ、ピクトグラム、若しくは幾何学的パターン同士の組、または、それらの組合せ、例えば1つないし複数の幾何学的パターンと関連付けられたピクトグラムを形成し得る。
【0013】
本発明の一実施形態においては、光学部材同士が、一次光学系の一次光学素子を形成するように同じ出光光学部材に連結され、各光学部材が、光源に面して配置される入光面と、当該光学部材を出光光学部材へ連結する接合面とを備え、一次光学素子は一体型の部品である。適切な場合には、投射光学系は、光学部材の接合面それぞれの像を地面上へと投影するように構成される。換言すれば、各光学部材が、自らの出光光学部材との接合面の所に光源の像を形成するように構成された一次光学部材となっているのである。
【0014】
各光学部材は、投射光学系によって地面上へと投影される自らの接合面の像が相当に鮮明な縁部によって全体的に境界付けられるように構成されていることが好ましい。本発明において「地面上へと投影される像が相当に鮮明な縁部を有している」とは、この投影によって引き起こされる(この縁部に略垂直な方向で当該縁部の両側に位置して少なくとも1cmだけ隔てられた2点間での)照度の変化が(特に、少なくとも1箇所で)10lux/cm以上の傾きを有していることを意味するものである。例えば、投射光学系は、光学部材それぞれの出光光学部材との接合面を実質的に通る焦点面を有していてよい。例えば、当該焦点面は、各接合面と出光光学部材との間の接合平面内に実質的に位置した平面や曲面であってよい。
【0015】
例えば、光学部材の入光面同士が同じ入光面によって形成されて後者の入光面が全ての光学部材に共通となっていて、この共通の入光面から各光学部材が出光光学部材に向かって、他の光学部材とは別個の方向へ伸びていてもよい。
【0016】
光学部材は出光光学部材に対して、隣り合う少なくとも2つの光学部材の出光光学部材との接合面同士が互いに間隔を置かれるようにして連結されているのが有利である。この特徴によれば、かくして、これら2つの隣り合う光学部材における接合面の像同士の間に間隙を生じさせ、これらの像の縁部によって、この間隙が地面上で鮮明に輪郭付けられるようにすることが可能となる。全ての接合面が実質的に同じ形状、向き、および/または寸法を有し、或いは変形例として、少なくとも2つの接合面同士が別個の形状、向き、および/または寸法を有し得るようにしておいてもよい。
【0017】
各光学部材が一次ライトガイドを備えていることが有利である。
【0018】
本発明の別の実施形態において、一次光学系は、出光光学部材に連結された少なくとも1つの一次ライトガイドを備える一次光学素子を具備し、当該一次ライトガイドは、当該光源に面して配置された入光面と、当該一次ライトガイドを出光光学部材へ連結する接合面とを備え、一次光学素子は一体型の部品であって、各光学部材によって形成される当該像は当該接合面の像である。この実施形態においては、各光学部材が二次光学部材となっている。光学部材同士が一緒になって一体型の部品である二次光学素子を形成することが想像され得る。一次光学素子が単一の一次ライトガイドを備え、かくして各光学部材が一次ライトガイドの出光光学部材との接合面を映し出すことが好ましい。
【0019】
各光学部材がレンズ(特に、マイクロレンズ)であって、他のレンズそれぞれの光軸とは別個の光軸を有し得ることが有利である。適切な場合には、各レンズが、一次ライトガイドの出光光学部材との接合面を実質的に通る物体焦点面を有していてよい。所望ならば、レンズの光軸同士が互いに平行で互いに対して(例えば、鉛直方向に)偏位していてもよい。
【0020】
レンズは、当該接合面の像同士が、接合面の上流側の同じ平面内に形成されるように構成され得ることが好ましい。適切な場合には、投射光学系がこの平面を実質的に通る焦点面を有していてよい。
【0021】
変形例として、各光学部材が同じ反射器の切子面であり、当該切子面は、当該反射器の他の切子面それぞれの傾きとは別個の傾きを有していてもよい。
【0022】
いずれかの実施形態において、当該一次ライトガイドないしは各一次ライトガイドの入光面が、当該一次ライトガイドの接合面に対して、入光面の輪郭の各点が接合面の輪郭の1点と直線によって結ばれるよう、包絡面によって連結されていることが有利である。換言すれば、ライトガイドの包絡面は可展面となっている。この特徴によれば、光源によって一次ライトガイドの入光面を通じて放出された光は、ライトガイドの壁体からの内部全反射によって接合面に達するまで伝播して行く。包絡面が可展面であるという事実によって、相当に鮮明な縁部によって全体的に輪郭付けられたパターンを接合面の所で形成することが可能となる。
【0023】
当該(特に、それぞれの)一次ライトガイドの入光面は実質的に矩形であることが有利である。適切な場合には、当該ライトガイドの接合面は、そのライトガイドの入光面の形状とは実質的に異なる形状を有している。この特徴によれば、各一次ライトガイドは、自らの接合面の所で、この接合面の形状に対応した所定形状のパターンを得るように最適化され得る。そのパターンは、一次ライトガイドごとに別個のものであってよく、投射光学系によって可能な限り最も鮮明なやり方で地面上へと投影され得るものである。当該接合面は、当該入光面とは異なる数の縁部、および/または、当該入光面の縁部とは別個の寸法の縁部、および/または、当該入光面の縁部同士の間とは別個の縁部同士の間の角度を有していてよい。特に、当該接合面の形状は、当該入光面の形状の相似変換によって得ることのできる如何なる形状とも別個のものであってよい。例えば、当該接合面は、実質的に三角形状や台形状、或いは菱形や五角形の形状であってよい。
【0024】
出光光学部材は、滑らかで実質的にドームの形状の出光面を有していることが有利である。
【0025】
各一次ライトガイドと出光光学部材とのそれぞれの屈折率は、実質的に同一であることが好ましい。例えば、各一次ライトガイドと出光光学部材とは、同じ材料から製造され、特に同じポリマーから製造される。「同じ材料」とは、各一次ライトガイドと出光光学部材とが、少なくとも同じ基ポリマー(例えば、ポリカーボネート(即ちPC)やPMMA)に由来する材料から出来ていることを意味するものである。但し、これらの材料は異なる充填材を有していてよい。各一次ライトガイドと出光光学部材とが一次光学素子を形成するよう単一の型内で作り出されることで、この一次光学素子が一体型の部品となり得ることが好ましい。変形例として、各一次ライトガイドと出光光学部材のうち1つないし複数(或いは、全部までも)が別個の型内で作り出され、それから一次光学素子を形成するように組み立てられてもよい。適切ならば、出光光学部材とは別個の型内で作り出された当該一次ライトガイドが、これらの一次ライトガイドおよび出光光学部材と実質的に同一な屈折率の接着剤を用いて、出光光学部材に接着接合されてもよい。
【0026】
例えば、投射光学系は、少なくとも1つのレンズ、および/または少なくとも1つの反射器、および/または少なくとも1つのレンズと少なくとも1つの反射器との組合せを有している。投射光学系は、焦点面が一次光学部材の出光光学部材との接合面を実質的に通る単一の投射レンズを備え得ることが好ましい。変形例として、投射光学系は、実質的な平面鏡(実質的に平坦な鏡体)と、投射レンズとを備えていてもよい。前者は、この実質的な平面鏡の一方の側に各接合面の虚像を形成するように構成されている。投射レンズは、この実質的な平面鏡の他方の側に位置し、その焦点面が実質的にこれらの虚像を通っている。この型式の投射光学系によって、光学モジュールの嵩を実質的に減少させることが可能となる。
【0027】
光源は、発光半導体チップ、特に発光ダイオードを備えているのが好ましい。
【0028】
本発明の別の主題は、本発明による光学モジュールを備えた、自動車両用の発光システムである。
【0029】
例えば、当該発光システムが、自動車両のテールライト(尾灯)および/若しくは自動車両のフロントヘッドライト(前照灯)などの発光装置、並びに/または、自動車両のバンパー内および/若しくは自動車両のリアビューミラー(後写鏡)内に配置された発光装置を備えていて、この発光装置内に光学モジュールが配置されていてもよい。
【0030】
ここで本発明を、単に例示するものであって決して本発明の範囲を限定するものではない諸例として、種々の図が描写する添付図面を参照して説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態による光学モジュールの断面図を、模式的かつ部分的に描写する図。
図2図1のモジュールにおける一次光学素子の斜視図を、模式的かつ部分的に描写する図。
図3】本発明の一実施形態による、図1の光学モジュールを組み込んでいる自動車両の発光システムを、模式的かつ部分的に描写する図。
図4】本発明の別の実施形態による光学モジュールの断面図を、模式的かつ部分的に描写する図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明において、構造や機能が同一で、2つ以上の図に現れる要素同士は、別様に指示されない限り、同じ参照符号によって示されている。
図1は、本発明の第1実施形態による、自動車両の発光システム用の光学モジュール1を描写している。
【0033】
光学モジュール1は、プリント回路基板3上に搭載された単一の発光ダイオード2を備えている。
【0034】
光学モジュール1は、発光ダイオード2の下流側に配置された一次光学素子4の形態をとっている一次光学系4を備える。この一次光学素子4は、この素子4を後方斜視図で示す図2を参照して説明されることとなる。
【0035】
一次光学素子4は、複数の光学部材5と、これらの光学部材5が連結される出光光学部材6とを備えている。説明する例において、各光学部材は、一次ライトガイドの形態をとっている一次光学部材5である。
【0036】
一次ライトガイド5同士は共通の入光面51を有し、その入光面51に面してLED2が配置されている。かくして、このLED2によって発することのできる光が、この入光面51を通じて各一次ライトガイド5へ入光するのである。
【0037】
各一次ライドガイド5は、接合面52によって出光光学部材6に連結されている。その接合面52は、入光面51とは反対の側で、出光光学部材6の上流側壁体61の所に位置している。一次ライトガイド5は、接合面52同士が互いに間隔を置かれるよう上下に並べて置かれている。
【0038】
各ライトガイド5はかくして、共通の入光面51から自らの接合面52まで伸びている。従って、一次ライトガイド5同士は、それぞれ分かれて各自の包絡面53で自らの出光面まで伸びるまでは、共通の包絡面を有しているのである。この包絡面53は、入光面51の輪郭の各点が(包絡面53を介して)接合面52の輪郭の1点と直線によって結ばれるように、可展面となっている。かくして、入光面51に面して位置するLED2によって発することのできる光は、各一次ライトガイド5に結合され、包絡面53に対しての連続的な内部全反射を介して接合面52に達するまで伝播して行く。その光は、接合面52を通じて一次ライトガイド5から分離され、出光光学部材6へ入光する。かくして接合面52は、一次ライトガイド5の仮想的な出光面を成すのである。
【0039】
一次ライトガイド5の接合面52は、互いに別個のものであって、入光面51とは別個のものであってよい。かくして一次ライトガイド5の接合面52は、その輪郭によって、このライトガイド5に特有の予め決められた形状のパターンを画定するのである。かくして、各一次ライトガイド5の包絡面53によって、入光面51を通じてLED2によって放出された光の全てを、接合面52の所で相当に鮮明な縁部により全体的に輪郭付けられたパターンを得るように利用することが可能となる。同様に、包絡面53によって、このパターン内での均一な光の分布を接合面52の所で得ることが可能となる。
【0040】
説明する例においては、下方のライトガイドの接合面52が三角形状の形状を有しているのに対して、中央および上方のライトガイドの接合面52は台形状であり、上方のガイドの接合面52の寸法は中央のガイドの接合面52の寸法よりも小さくなっている。
【0041】
上記で説明したように、一次ライトガイド5同士は、隣り合う2つの接合面52同士が間隔を置かれるように配置されている。換言すれば、かくして一次ライトガイド5によって、LED2からの複数の像を接合面52の所で形成することが可能となる。これらの像はかくして、互いに鉛直方向に偏位している。
【0042】
一次光学素子4は一体型の部品であり、一次ライトガイド5と出光光学部材6とが同じ材料、つまりポリカーボネート、即ちPCから製造されている。説明する例において、一次光学素子4は単一の型内で作り出される部品である。換言すれば、各一次ライトガイド5と出光光学部材6との屈折率が同一であって、各接合面52の所には屈折性界面がないのである。それは、各一次ライトガイド5から出光光学部材6へ入光する光が、各接合面52の所で偏向を受けないようにである。
【0043】
出光光学部材6は、上流側面61とは反対の側に、滑らかなドームの形状の出光面62を有している。具体的には、この出光面62が部分的に球状になっていることで、出光光学部材6が部分的に切り取られた球の形状を有していてよい。出光面62は特に、中央のライトガイド5の接合面52上に中心が置かれている。その結果、各接合面52から到来する光は、この出光面62を通じて一次光学素子4から出光する間、実質的に偏向を受けないのである。かくして、出光光学部材6は各一次ライトガイド5を取り付けるための支持体を成し、この出光光学部材6上に一次光学素子4を固定するための諸要素を配置することが可能となる。
【0044】
光学モジュール1は、投射光学系7を備えている。図1の例において、投射光学系7は、実質的に各一次ライトガイド5の接合面52を通る焦平面71を有した投射レンズである。
【0045】
この投射レンズ7は、かくして各接合面52の像を(近距離場の)地面上へと投影するように構成されている。各接合面52上に形成されるパターンが(各一次ライトガイド5による効果として)全体的に鮮明な縁部によって輪郭付けられ、これらの接合面52を焦平面71が通っていることから、これらの地面上へ投影される像自体も、これらの接合面52の縁部に対応して(投射レンズ7による反転の後に)全体的に鮮明な縁部によって輪郭付けられている。
【0046】
図3は、本発明の実施形態の一例による自動車両の発光システム10を示している。
【0047】
発光システム10は、図1の光学モジュール1が内部に配置されたフロントヘッドライト11を備えている。
【0048】
発光システム10は、制御ユニット(図示せず)を備えている。その制御ユニットは、発光の諸機能を遂行するために自動車両のコンピューターから命令を受けると共に、これらの命令に応じて光学モジュール1のLED2を制御するものである。
【0049】
シーケンシャル方向指示器機能を発せよとの命令(例えば、自動車両が車線変更したいときにコンピューターによって生成されるもの)を受けると、制御ユニットがLED2を点灯させることで、光学モジュール1は、各一次ライトガイド5の接合面52の像1a,1b,および1cを(車両の近距離場で)地面上へと投影する。かくして、光学モジュール1は、車両のテールライトによって遂行される方向指示器機能を補足し得る方向指示器機能を遂行するのである、ということを理解されたい。像1a,1b,および1cは、(車両の近距離場で)地面上へと投影されることから、自動車両の右側で運転している道路使用者によって容易に知覚されることができる。特に、LED2から各一次ライトガイド5によって複製される像が図3に示されている。
【0050】
図4は、本発明の第2実施形態による自動車両の発光システムの光学モジュール20を描写している。
【0051】
この例において光学モジュール20は、図1の例のように、単一のLED2と、当該発光ダイオード2の下流側に配置された一次光学素子とを備えている。但し、図1とは異なり、一次光学素子は、単一の一次ライトガイド5を備えている。その一次ライトガイド5の機能は、接合面52の所でLED2からの1つの像を形成するだけである。この一次ライトガイド5はかくして、地面上へと投影されることとなるパターンの形成には関与するが、このパターンの複製には関与しないのである。
【0052】
この目的のために、光学モジュール20の一次光学系4は、一次光学素子4と投射光学系7との間に配置された複数の光学部材8を備えている。かくして各光学部材8は、図4の例ではマイクロレンズ8によって形成される、二次光学部材となっている。
【0053】
各マイクロレンズ8は、接合面52の下流側に位置した焦点面81と、光軸82とを有している。光軸82同士は、互いに平行であるが、互いに対して偏位している。かくして各マイクロレンズ8は、一次光学素子4の上流側に位置した所与の(投射光学系7の焦点面の通る)平面83内に、接合面52の像を形成するように構成されている。接合面52の像同士は、互いに鉛直方向に偏位している。
【0054】
かくして、投射光学系7による接合面52のこれらの像の投射によって、地面上へと同じパターンを複製するやり方で投影することが可能となる。
【0055】
上記の記述は、本発明が自らに対して設定した目的を如何にして達成するか、つまり次のような光学モジュールを提供することを明確に説明している。即ち、単一光源から複雑なパターンを地面上へと投影することを可能とする、効率的で単純な光学モジュールである。この光学モジュールは、光源から形成される像を複製するように構成された光学部材を備えているのである。
【0056】
如何なる場合にも本発明は、この文書で具体的に説明された諸実施形態に限定されるものではなく、特に如何なる等価な手段や、これらの手段同士の技術的に機能し得る如何なる組合せにも及ぶものである。特に、説明した以外の型式の光源、とりわけ白色以外の色の光や、色を制御可能な光を発することができる光源を想像することが可能である。説明した以外の接合面についての形状を想像することも可能である。また、ライトガイドやマイクロレンズ以外の型式の光学部材、特にコリメータ、レンズ若しくはマイクロレンズ、マルチファセットリフレクター(切子面加工反射器)、または種々の型式の一次光学部材同士の組合せを想像することも可能である。また、説明した以外の発光機能、特に自動車両の進路変更を指示する別の機能(例えば、後退指示器や車線変更指示器)、運転支援機能、さもなければ車両間通信機能を想像することも可能である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の発光システム(10)用の光学モジュール(1,20)であって、
a.光源(2)と、
b.少なくとも2つの光学部材(5,8)を備えた一次光学系(4)であって、各光学部材が前記光源から像を形成するように構成され、当該像が、他の光学部材それぞれによって前記光源から形成される像に対して偏位させられる、一次光学系(4)と、
c.前記一次光学系の各光学部材によって前記光源から形成される像を地面上へと投影するように構成された投射光学系(7)と、
を備えた光学モジュール(1,20)。
【請求項2】
前記投射光学系(7)は、前記一次光学系(4)の各光学部材(5,8)によって前記光源(2)から形成される像を実質的に通る焦点面(71)を有している、請求項1に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項3】
前記光学部材(5)同士が、前記一次光学系(4)の一次光学素子を形成するように同じ出光光学部材(6)に連結され、各光学部材が、前記光源に面して配置される入光面(51)と、当該光学部材を前記出光光学部材へ連結する接合面(52)とを備え、前記一次光学素子は一体型の部品であり、前記投射光学系(7)は、前記光学部材の前記接合面それぞれの像を地面上へと投影するように構成されている、請求項1に記載の光学モジュール(1)。
【請求項4】
各光学部材(5)が一次ライトガイドを備えている、請求項3に記載の光学モジュール(1)。
【請求項5】
各一次ライトガイド(5)の前記入光面(51)が、当該一次ライトガイドの前記接合面(52)に対して、前記入光面の輪郭の各点が前記接合面の輪郭の1点と直線によって結ばれるよう、包絡面(53)によって連結されている、請求項4に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項6】
前記出光光学部材(6)は、滑らかで実質的にドームの形状の出光面(62)を有している、請求項4に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項7】
前記一次光学系(4)は、出光光学部材(6)に連結された少なくとも1つの一次ライトガイド(5)を備える一次光学素子を具備し、前記一次ライトガイドは、前記光源(2)に面して配置された入光面(51)と、当該一次ライトガイドを前記出光光学部材へ連結する接合面(52)とを備え、前記一次光学素子は一体型の部品であって、各光学部材(8)によって形成される前記像は前記接合面の像である、請求項1に記載の光学モジュール(20)。
【請求項8】
各光学部材(8)がレンズであって、他のレンズそれぞれの光軸とは別個の光軸(82)を有している、請求項7に記載の光学モジュール(20)。
【請求項9】
前記レンズ(8)は、前記接合面(52)の像同士が、前記接合面の上流側の同じ平面(83)内に形成されるように構成されている、請求項8に記載の光学モジュール(20)。
【請求項10】
各光学部材(8)が同じ反射器の切子面であり、当該切子面は、前記反射器の他の切子面それぞれの傾きとは別個の傾きを有している、請求項7に記載の光学モジュール(20)。
【請求項11】
各一次ライトガイド(5)の前記入光面(51)が、当該一次ライトガイドの前記接合面(52)に対して、前記入光面の輪郭の各点が前記接合面の輪郭の1点と直線によって結ばれるよう、包絡面(53)によって連結されている、請求項7に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項12】
前記出光光学部材(6)は、滑らかで実質的にドームの形状の出光面(62)を有している、請求項7に記載の光学モジュール(1,20)。
【請求項13】
請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の光学モジュール(1,20)を備えた、自動車両用の発光システム(10)。
【国際調査報告】