(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】一体型マイクロアクチュエータ膜
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240628BHJP
G12B 9/08 20060101ALI20240628BHJP
H04R 25/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
H04R1/00 311
G12B9/08 Z
H04R25/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579407
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022033458
(87)【国際公開番号】W WO2022271491
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523480956
【氏名又は名称】イヤーレンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】イマタニ, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェル, スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ノードビー, ブライアン イー.
【テーマコード(参考)】
2F078
5D017
【Fターム(参考)】
2F078EA30
2F078EB07
5D017AB05
5D017AB06
5D017AB13
(57)【要約】
接触型補聴器用の改良されたマイクロアクチュエータが提供され、マイクロアクチュエータは一体型膜を備える。一体型膜は、接触型補聴器のマイクロアクチュエータが患者の外耳道に配置された際に、水分がマイクロアクチュエータリード開口部を介してマイクロアクチュエータに浸入することを防止するように適合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアクチュエータであって、
外殻であって、その遠位端にマイクロアクチュエータリード開口部を有する外殻と、
前記マイクロアクチュエータリード開口部を通って前記外殻内部から延在するマイクロアクチュエータリードと、
前記外殻に接続され、前記マイクロアクチュエータリード開口部を取り囲む浸入膜取付面と、
前記浸入膜取付面に配置された浸入膜取付リング接着剤と、
取付けリングと中央部とを含む浸入膜であって、前記取付けリングは、前記中央部を取り囲み、前記取付けリングは、前記浸入膜取付リング接着剤上に配置される、浸入膜と、
前記浸入膜の前記中央部の浸入膜リードカバーであって、前記マイクロアクチュエータリードが、前記膜リードカバーを貫通することのない程度に、前記膜リードカバー内へ延在する、浸入膜リードカバーと、
前記浸入膜取付けリング全体に延在する封止シールドと、
前記膜リードカバーの遠位端において前記膜リードカバー内部で、前記浸入膜を前記マイクロアクチュエータリードに接続する内膜シール剤と、
前記膜リードカバーの前記遠位端に配置され、前記膜リードカバーの前記遠位端が通過する駆動ポストの鍵穴が設けられた前記駆動ポストの遠位面に接触する外側駆動ポストシール剤と、
前記膜リードカバーの外面に部分的に接触し、前記膜リードカバーが通過する前記駆動ポストの鍵穴が設けられた前記駆動ポストの近位面と接触する鍵穴駆動ポストシール剤と、を備えることを特徴とする、マイクロアクチュエータ。
【請求項2】
前記外殻は鉄系材料で構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項3】
端部リングが外殻の遠位端でマイクロアクチュエータ上に配置され、端部リングはステンレス鋼からなり、前記端部リングは、その遠位端に浸入膜取付面を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項4】
マイクロアクチュエータ組立体であって、
マイクロアクチュエータ本体とマイクロアクチュエータリードとを備えるマイクロアクチュエータと、
リードカバーとベローズとを備える一体型膜と、
前記一体型膜と前記マイクロアクチュエータとの間に配置された膜周縁シール剤であって、一体型膜をマイクロアクチュエータ本体に取り付ける膜周縁シール剤と、を備え、
前記リードカバーは開口部を有さない、ことを特徴とするマイクロアクチュエータ組立体。
【請求項5】
前記マイクロアクチュエータ組立体は、鍵穴を有する駆動ポストを備え、前記リードカバーの遠位端とマイクロアクチュエータリードとは、前記鍵穴通過するように延在する、ことを特徴とする請求項4に記載のマイクロアクチュエータ組立体。
【請求項6】
前記マイクロアクチュエータリードの遠位端が、内膜シール剤によって、前記リードカバーの前記遠位端の内面に固定されている、ことを特徴とする請求項5に記載のマイクロアクチュエータ組立体。
【請求項7】
前記リードカバーの遠位端が、前記鍵穴の遠位側から突出するように延在するように、前記リードカバーが前記鍵穴を通過する、ことを特徴とする請求項6に記載のマイクロアクチュエータ組立体。
【請求項8】
前記リードカバーの中間領域が前記鍵穴の近位端に進入する、ことを特徴とする請求項7に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項9】
前記リードカバーの前記遠位端の外面は、外側駆動ポストシール剤によって前記駆動ポストの遠位側に固定されている、ことを特徴とする請求項8に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項10】
前記外側駆動ポストシール剤がエポキシシール剤である、ことを特徴とする請求項9に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項11】
前記リードカバーの中間領域の外面は、鍵穴駆動ポストシール剤によって、前記駆動ポストの近位面に固定されている、ことを特徴とする請求項10に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項12】
前記鍵穴駆動ポストシール剤がエポキシシール剤である、ことを特徴とする請求項11に記載のマイクロアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本PCT出願は、2021年6月23日に出願された米国特許出願第17/356217号から優先権を主張し、且つ、2021年6月21日に出願された仮出願シリアル番号第63/213127号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、接触型補聴器に使用されるマイクロアクチュエータへの流体の浸入を防止する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
Earlens Corporation社から入手可能な接触型補聴器のように、バランスドアーマチュア型マイクロアクチュエータなどの、マイクロアクチュエータを利用する接触型補聴器などの補聴器において、マイクロアクチュエータは、流体がマイクロアクチュエータに侵入するのを防止する(即ち、流体の侵入を防止する)ことを意図した一つ以上の侵入膜を含むことがある。浸入膜は、層間剥離や断裂を含む故障モードの影響を受けることがあり、流体が浸入する可能性がある。状況によっては、マイクロアクチュエータ内の流体がマイクロアクチュエータの故障の原因となったり、マイクロアクチュエータの出力低下を引き起こしたりすることがある。接合部における浸入膜の剥離は最も起こりやすく、これは流体によって、浸入膜材料が膨張したり、浸入膜材料をマイクロアクチュエータに接着するための接着剤が膨潤したりすることが原因となり得る。ユーザの外耳道に留置される接触型補聴器では、浸入膜は、多くの身体上の流体(耳垢、汗を含む)および/またはユーザもしくは医療専門家によって外耳道に導入される流体(水、アルコール、鉱物油を含む)のいずれかにさらされる可能性がある。このようなマイクロアクチュエータでは、接合部は、浸入膜とマイクロアクチュエータ本体との界面における接合部および浸入膜と出力リードとの界面における接合部を含むことがある。マイクロアクチュエータと浸入膜との界面および浸入膜とリードとの界面における接着を改善することにより、より安定した出力、より安定した最大有効出力(MEPO)、音のばらつきの低減、製造のやり直しの必要性の低減、返品による返金の低減などの利点が期待される。
【0004】
補聴器の中には、接着接合部での浸入膜の剥離が故障に至るメカニズムとなっており、これによりマイクロアクチュエータ内部に流体が侵入し得るものがある。場合によっては、浸入膜材料が膨張し、接着接合部が破損することがある。状況によっては、浸入膜材料の体積が20%以上変化すると、接着剤と浸入膜との間の結合が破壊される可能性がある。流体が浸入膜を通過することにより、接触型補聴器の性能低下の原因となる。例えば、性能低下には、断続的な出力、出力の低下、および/またはMEPOの低下が含まれる。あるいは、接触型補聴器が完全に故障することで、全く出力が得られなくなることもある。マイクロアクチュエータによっては、マイクロアクチュエータへの取付部(ステンレス製リングの場合もある)周辺と、マイクロアクチュエータリードへの取付部とを含む、浸入膜の結合が破損し得る二つの重要な領域がある。
【0005】
マイクロアクチュエータへの流体の侵入を防ぐ浸入膜を利用するマイクロアクチュエータを有する接触型補聴器の性能改善のために、マイクロアクチュエータ浸入膜のマイクロアクチュエータおよびマイクロアクチュエータリードへの接着は、本明細書に記載の装置および方法を使用することによって改善し得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の概念の実施の形態の前述のおよびその他の目的、特徴、利点は、同一または同様の要素に対して同様の参照符号が付された添付図面に示される好ましい実施の形態のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに好ましい実施の形態の原理を説明することに重点が置かれている。
【0007】
【
図1】
図1は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜を含むマイクロアクチュエータを示す図である。
【0008】
【
図2】
図2は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜の正面斜視図である。
【0009】
【
図3】
図3は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜の側面図である。
【0010】
【
図4】
図4は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜を有するマイクロアクチュエータの遠位端の側面切断図である。
【0011】
【
図5】
図5は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜を有するマイクロアクチュエータの遠位端の別の側面切断図である。
【0012】
【
図6】
図6は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜とともに、駆動ポストを有するマイクロアクチュエータの遠位端の別の側面切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明によるマイクロアクチュエータ本体128および一体型膜104を含むマイクロアクチュエータ112を示す図である。
図1では、マイクロアクチュエータ本体128はマイクロアクチュエータリード開口部126を含む。一体型膜104は、リードカバー100とベローズ102を含む。リードカバー100は、一体型膜104がマイクロアクチュエータ112に取り付けられている場合に、マイクロアクチュエータリード110を覆う。マイクロアクチュエータリード110の遠位端で一体型膜104をマイクロアクチュエータリード110に固定するために、内膜シール剤122を用いてもよい。一体型膜104は、膜周縁シール剤108によってマイクロアクチュエータ112の所定の位置に保持される。駆動ポスト118は、マイクロアクチュエータリード110およびリードカバー100が鍵穴124を通って、マイクロアクチュエータリード110に取り付けられてよい。鍵穴124は、鍵穴駆動ポストシール剤120および外側駆動ポストシール剤106によってリードカバー100の所定の位置に保持してもよく、これらシール剤は例えば、Epotek社のOG116-31などのUV硬化エポキシであってもよい。
【0014】
図2は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜104の正面斜視図である。
図3は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜104の側面図である。
図2および
図3では、一体型マイクロアクチュエータの膜104には、リードカバー100とベローズ102が含まれている。
【0015】
図4は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜104を含むマイクロアクチュエータ112の遠位端の側面切断図である。
図5は、本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜を有するマイクロアクチュエータの遠位端の別の側面切断図である。
図4および
図5では、マイクロアクチュエータ112はマイクロアクチュエータリード110を含む。一体型マイクロアクチュエータ膜104は、ベローズ102とリードカバー100を含む。ベローズ102は内側ベローズ湾曲部114と外側ベローズ湾曲部116を含む。一体型マイクロアクチュエータ膜104は、膜周縁シール剤108と内膜シール剤122によってマイクロアクチュエータ112の所定の位置に保持されてもよい。
【0016】
図6は、駆動ポスト118と本発明による一体型マイクロアクチュエータ膜104とを含むマイクロアクチュエータ112の遠位端の別の側面切断図である。
図6では、一体型マイクロアクチュエータの膜104には、マイクロアクチュエータリード110上に配置されたリードカバー100が含まれている。マイクロアクチュエータリード110は、外側駆動ポストシール剤106と鍵穴駆動ポストシール剤120によってリードカバー100の所定の位置に保持される。これらシール剤は、例えばEpotek社のOG116-31などのUV硬化エポキシであってよい。
【0017】
一体型ソック(one-piece sock)とも称される本発明の実施形態による一体型膜は、ベローズ102などの大型のコンプライアントベローズを備え、マイクロアクチュエータリード110に適合し、マイクロアクチュエータリード110の端部を覆い、一体型の設計で形成され、且つ、リードの強度を高めるために、二重の重ね継ぎ設計を含んでもよい。
【0018】
本発明の実施の形態では、鍵穴駆動ポストシール剤120(駆動ポスト接着剤とも称される)は、外側駆動ポストシール剤106と共に、駆動ポスト118をリードカバー100に固定し、リードカバー100は、内膜シール剤122によりマイクロアクチュエータリード110に固定される。内膜シール剤122は、例えばEpotek社のOG116-31などのUV硬化エポキシであってよい。鍵穴駆動ポストシール剤120は、鍵穴124内のリードカバー100を部分的にカバーする。
【0019】
本発明の実施形態では、マイクロアクチュエータは外殻を含んでもよく、外殻はその遠位端にマイクロアクチュエータリード開口部を含む。本発明は、マイクロアクチュエータリード開口部を通って外殻内部から延在するマイクロアクチュエータリードをさらに含んでよい。本発明は、外殻に接続され、マイクロアクチュエータリード開口部を取り囲む浸入膜取付面をさらに含んでよい。本発明は、浸入膜取付面に配置された浸入膜取付リング接着剤をさらに含んでよい。本発明は、浸入膜をさらに含んでもよく、浸入膜は、取付けリングと中央部とを含み、取付けリングは、中央部を取り囲み、取付けリングは、浸入膜取付リング接着剤上に配置される。本発明は、浸入膜の中央部に浸入膜リードカバーをさらに含んでもよく、マイクロアクチュエータリードは、リードカバーを貫通することのない程度に、リードカバー内へ延在する。本発明は、浸入膜取付けリング上に配置される封止シールドをさらに含んでよい。本発明は、膜リードカバーの遠位端において膜リードカバー内部で、浸入膜をマイクロアクチュエータリードに接続する内膜シール剤をさらに含んでよい。本発明は、膜リードカバーの遠位端に配置され、膜リードカバーの遠位端が駆動ポストの鍵穴を通過して、駆動ポストの遠位表面で接触する外側駆動ポストシール剤をさらに含んでよい。本発明は、膜リード被覆の外面の一部に接触し、駆動ポストの鍵穴を膜リード被覆が通過した際に、駆動ポストの近位面に接触する鍵穴駆動ポストシール剤をさらに含んでよい。本発明の実施形態では、外殻は鉄系材料で構成されている。本発明の実施形態では、端部リングが外殻の遠位端でマイクロアクチュエータ上に配置され、端部リングはステンレス鋼からなる。本発明の実施形態では、端部リングの遠位端に浸入膜取付面を有する。
【0020】
本発明の実施形態では、マイクロアクチュエータ組立体は、マイクロアクチュエータ本体とマイクロアクチュエータリードを有するマイクロアクチュエータを含んでよい。本発明は、リードカバーとベローズとを有する一体型膜をさらに含んでよい。本発明は、一体型膜とマイクロアクチュエータとの間に配置された膜周縁シール剤をさらに含んでよく、膜周縁シール剤は一体型膜をマイクロアクチュエータ本体に取り付ける。本発明はさらに、リードカバーが開口部を含まないことを特徴としてよい。本発明は、マイクロアクチュエータ組立体をさらに含んでもよく、マイクロアクチュエータ組立体は、鍵穴を有する駆動ポストを備え、リードカバーの遠位端およびマイクロアクチュエータリードは、鍵穴を通過するように延在する。本発明の実施の形態では、マイクロアクチュエータリードの遠位端は、内膜シール剤によってリードカバーの遠位端の内面に接着される。本発明の実施形態では、リードカバーは、リードカバーの遠位端が鍵穴の遠位側に突出して延在するように鍵穴を通過する。本発明の実施の形態では、リードカバーの中間領域が鍵穴の近位端に進入する。本発明の実施の形態では、リードカバーの遠位端の外面は、外側駆動ポストシール剤によってドライブポストの遠位側に貼り付けられる。本発明の実施の形態では、外側駆動ポストシール剤はエポキシシール剤である。本発明の実施の形態では、リードカバーの中間領域の外面は、鍵穴駆動ポストシール剤によって駆動ポストの近位面に固定されている。本発明の実施の形態では、鍵穴駆動ポストシール剤はエポキシシール剤である。
【0021】
装置および方法の好ましい実施形態を、これらが開発された環境を参照して説明してきたが、これらは単に本発明の概念の原理を例示するものに過ぎない。上述した組立体の変形例または組合せ、本発明を実施するための他の実施の形態、構成、および方法、ならびに当業者に自明な本発明の態様の変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。加えて、本出願が特定の順序で方法または手順のステップを列挙している場合、実行されるステップの順序を変更してもよく、状況によっては更に好適であることもあり、以下の特許請求の範囲に記載される方法または手順の特定のステップは、順序による特異性が特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、順序を特定するものであると解釈されないことが意図されている。
【符号の説明】
【0022】
【国際調査報告】