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特表2024-524289物質を放出するための容器及び関連する製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】物質を放出するための容器及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61J1/05 313Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579450
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IT2022050180
(87)【国際公開番号】W WO2022269651
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021000016637
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523481768
【氏名又は名称】スリーシーケー エッセ.エッレ.エッレ
【氏名又は名称原語表記】3CK S.R.L.
【住所又は居所原語表記】VIA DELL’INDUSTRIA, 99, ARZIGNANO, VICENZA, ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンソラーロ アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】コンソラーロ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カバー ラジーフ
(72)【発明者】
【氏名】カバー アジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コンソラーロ エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】コンソラーロ フランチェスコ フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】コンソラーロ マッシモ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB18
4C047BB26
4C047CC04
4C047DD32
(57)【要約】
本発明は、に関する薬物などの物質を放出するための容器(100)であって、物質の閉じ込め及び放出のための中空シェル(1)と、シェル(1)に接続され、リムを有する膜(2)と、を含む容器(100)に関する。有利なことに、容器(100)は、第1の動作位置から第2の動作位置に切り替えるように、前記膜(2)を接続するための造形(1.6)を含む。本発明は、前記容器(100)を製造するための方法にも関する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物などの物質を放出するための容器(100)であって、
前記物質の閉じ込め及び放出のための中空シェル(1)であって、
長方形の分配器(1.1.1)を含む閉じ込め部分(1.1)を含む前記中空シェル(1)と、
前記シェル(1)に接続された膜(2)と、を含み、
前記容器(100)は、前記閉じ込め部分(1.1)に隣接してその横の位置に、前記膜(2)を接続するための造形(1.6)を含み、それによって、前記膜(2)は、
前記膜(2)が、前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)と対向する位置に中央部分を有し、前記閉じ込め部分(1.1)とともに、前記物質の前記閉じ込めのためのチャンバ(A)を形成する、第1の動作位置から、
前記膜(2)の前記中央部分が、前記シェル(1)の前記閉じ込めの部分(1.1)内で潰れて、前記チャンバ(A)内に存在する前記物質を前記分配器(1.1.1)を通して放出する第2の動作位置に、移動することができる、前記容器(100)。
【請求項2】
前記チャンバ(A)内に収容された前記物質を放出するために、前記膜(2)は、前記シェル(1)に付着して、前記シェル(1)の方向に圧縮可能であるように、前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)の幾何学的形状によって較正されることを特徴とする、請求項1に記載の容器(100)。
【請求項3】
前記膜(2)は、それ自体の動作位置を前記動作位置の間で独立に維持するように双安定型であることを特徴とする、請求項1または2に記載の容器(100)。
【請求項4】
前記膜(2)の厚さに応じて、前記膜(2)に印加される圧縮力の強度及び前記双安定性が変わることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項5】
前記膜(2)は、扁長もしくは偏球の形態または他の形態であって、前記物質を含み、前記シェル(1)内で潰れるのに適した形態を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項6】
前記シェル(1)は、前記物質を放出するために、前記第2の動作位置において前記膜(2)を穿孔するための鋭い縁の切り欠き(1.8)の組を含むことを特徴とする、請求項5に記載の容器(100)。
【請求項7】
前記チャンバ(A)からの前記物質の前記放出を容易にするために、前記シェル(1)は、前記チャンバ(A)の前記方向に面する溝(1.7)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項8】
前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)の前記分配器(1.1.1)は、たとえば針などの分配付属品に接続されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項9】
前記シェル(1)は、ユーザの指のための支持部(1.5)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項10】
可動の作動装置(3)であって、前記シェルの前記形状に対応する形状(1)を有し、前記シェル(1)の内部で前記膜(2)を押して圧縮して、前記第1の動作位置から前記第2の位置に進むように適応されたヘッド(3.1)と、前記容器(100)の使用中に前記膜(2)に対して前記圧縮を伝達するように適応された本体(3.2)と、を有する前記可動の作動装置(3)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項11】
前記作動装置(3)の前記ヘッド(3.1)は、前記装置(3)を開放し、前記膜(2)の変形に必要な力を調節するための複数の同心スロット(3.6)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の容器(100)。
【請求項12】
前記ヘッド(3.1)は、前記シェル(1)の内面上に存在する前記鋭い縁の切り欠き(1.8)による前記膜(2)の前記穿孔を容易にし、前記容器(100)の再使用を防止するための空洞(3.8)を含むことを特徴とする、請求項6または10に記載の容器(100)。
【請求項13】
前記作動装置(3)の前記ヘッド(3.1)は、相対圧縮後に前記膜(2)を穿孔することができ、前記容器(100)の再使用を防止する鋭い縁の切り欠きを含むことを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項14】
前記作動装置(3)は、前記本体(3.1)に沿って歯状プロファイル(3.7、3.71)を含み、前記歯状プロファイル(3.7、3.71)の歯間のピッチは、放出すべき前記物質の単位体積に対応することを特徴とする、請求項10~13のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項15】
前記膜(2)及び前記作動装置(3)は、カップリング(2.6)及び孔(3.3)をそれぞれ含み、前記カップリング(2.6)が前記孔(3.3)内でロックして、前記膜(2)が前記第1の動作位置まで動かされることを可能にし、前記物質を前記チャンバ(A)内に吸引することを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項16】
前記膜(2)は、前記カップリング(2.6)の反対方向に面する突出部(2.3)を含み、前記突出部(2.3)は、前記分配部分(1.1.1)内に残留する前記物質を放出するのに適当であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項17】
前記膜(2)を前記シェル(1)にロックするためのリング(4)を含み、前記リングは、前記シェル(1)に結合され、その中に前記作動装置(3)を収容して、その動きを案内するのに適当であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項18】
前記シェル(1)は、前記閉じ込め部分(1.1)に隣接する管状で中空の第1の部分(1.2)を含み、前記リング(4)は、前記シェル(1)の前記第1の部分(1.2)内に収まるように結合されていることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項19】
前記膜(2)は、第1の頂点(2.5)において終わる横方向部分(2.1)を含む縁部を含み、前記第1の頂点(2.5)は、前記横方向部分(2.1)に隣接してその横にあることを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項20】
前記膜(2)は、前記膜(2)の張りを向上させるために、前記部分(2.1)に隣接してその横にある第2の頂点(2.5.2)であって、前記第2の頂点(2.5.2)は前記頂点(2.5)に隣接してそれと同じ方向に面する、前記第2の頂点(2.5.2)と、前記部分(2.1)の横にある第3の頂点(2.5.1)であって、前記第1及び第2の頂点(2.5、2.5.2)の間に位置し、前記第1及び第2の頂点(2.5、2.5.2)とは反対方向に面する、前記第3の頂点(2.5.1)と、を含むことを特徴とする、請求項19に記載の容器(100)。
【請求項21】
前記作動装置(3)は、前記本体(3.2)に沿って、使用後の前記容器(100)の再使用を防止し、前記容器(100)の前記第1の動作位置への戻りを防止するための1つ以上のリング(3.4)を含むことを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項22】
前記第1の動作位置に対応する静止位置から、前記第2の動作位置に対応する動作位置に切り替えるのに適した突出要素(4.2)を含み、前記突出要素(4.2)は、前記作動装置(3)の前記1つ以上のリング(3.4)のうちの少なくとも1つと嵌合して、それを前記シェル(1)に固定し、その再使用を防止することを特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項23】
前記リング(4)は、前記膜(2)の前記横方向部分(2.1)と実質的に相補的な形状の突出セグメント(4.1)であって、前記チャンバ(A)の内側に面し、前記膜(2)の前記横方向部分(2.1)を前記シェル(1)の前記造形(1.6)に、それを所定の位置に保持してシールとして作用することによってロックするのに適している前記突出セグメント(4.1)を含むことを特徴とする、請求項1~22のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項24】
前記リング(4)は、前記突出セグメント(4.1)に隣接してそれと対向する位置に、前記膜(2)の前記頂点(2.5)と接触するように相補的な平坦セグメント(4.3)を含むことを特徴とする、請求項23に記載の容器(100)。
【請求項25】
前記リング(4)の前記突出セグメント(4.1)及び前記平坦セグメント(4.3)は、前記シェル(1)の前記造形(1.6)内で、前記膜(2)の前記頂点(2.5)及び前記横方向部分(2.1)をそれぞれ押圧するのに適当であることを特徴とする、請求項1~24のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項26】
前記リング(4)は、前記突出セグメント(4.1)と対向する位置に、好ましくはユーザの指のための支持体(4.5)を含むことを特徴とする、請求項1~25のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の容器(100)の製造方法であって、以下のステップ、
A.以下のプロセス、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、BFS、熱成形、または3Dプリンティングのうちの1つ以上によって前記容器(100)の部品を作るステップであって、前記部品は、前記シェル(1)、前記膜(2)、前記リング(4)、及び前記作動装置(3)を含む、前記ステップと、
B.好適な無菌環境において前記部品の組み立てを行うステップと、
好適な環境において前記容器(100)の二次包装を行うステップと、
C.既知の滅菌方法のうちの1つ以上を用いて、前記容器(100)の最終滅菌を行うステップと、を含む、前記製造方法。
【請求項28】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを射出成形及び/または圧縮成形技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記部品の冷却プロセスを制御するステップが存在し、前記造形(1.6)及び前記横方向部分(2.1)は、前記膜(2)の残り及び前記シェル(1)の残りよりも高い温度を有し、前記膜(2)が、さらなる器具を使用せずに前記シェル(1)に付着することを特徴とする、請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記シェル(1)の一部を、前記シェル(1)の残りの部分よりも厚い厚さで成形して、前記シェル(1)を剛性にし、前記膜(2)の一部を、前記膜(2)の残りの部分よりも薄い厚さで成形して、前記膜(2)をより柔軟にすることを特徴とする、請求項27に記載の製造方法。
【請求項30】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中、金型を閉じる前に、シェル形状のインサート(101)を前記容器に加え、前記インサート(101)は、閉じ込め部分(1.1)及び分配器(1.1.1)を含むことを特徴とする、請求項27に記載の製造方法。
【請求項31】
前記容器(100)の前記部品を実現する前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記シェル(1)の前記造形(1.6)上に組み込まれ及び/または溶接されるのに適した膜(2)の形態のインサートを、依然として展性があるときに、前記容器(100)に加えることを特徴とする、請求項27に記載の製造方法。
【請求項32】
前記容器(100)の前記部品を実現する段階中に、前記成形技術を用いる場合に、以下のさらなる段階、
成形用金型内に複数のシェル(1)を配置することを、前記シェル(1)の前記配置に好適なネスト(5.1.1)を用いて行う段階であって、ヒートシール性フィルム(5.2)を、作っている前記シェル(1)の上部に対して位置付ける、前記段階と、
前記シェル(1)の縁部及び前記フィルム(5.2)を、たとえば、誘導、熱風吹き付け、赤外線ランプの使用、対流などの方法及び/またはいくつかの方法の組み合わせによって加熱する段階と、
金型(5.1.2)を、依然として展性のあるシェル(1)の前記成形用金型に対して押圧して、前記フィルム(5.2)が前記シェル(1)の前記造形(1.6)に溶接されるようにする段階と、
前記シェル(1)における圧力差及び/または前記分配器(1.1.1)における圧力を、前記成形用金型に印加して、前記フィルム(5.2)が変形して前記比較的柔軟な膜(2)を形成するようにする段階と、が存在することを特徴とする、請求項27に記載の製造方法。
【請求項33】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記膜の前記横方向部分(2.1)と前記シェル(1)の前記造形(1.6)との間に圧力を及ぼすように、前記リング(4)を位置付けることを特徴とする、請求項27~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項34】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記シールを維持するために、前記シェル(1)の前記造形(1.6)と前記膜(2)の前記部分(2.1)との間に接着剤の層を配置することを特徴とする、請求項27~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項35】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記造形(1.6)と前記横方向部分(2.1)との間に緊密なシールを達成するために、前記造形(1.6)及び前記横方向部分(2.1)を加熱し、外圧の印加によって一緒に押圧することを特徴とする、請求項27~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項36】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記部品間の機械的嵌合及び干渉を促進することが知られている超音波または赤外線または他の技術を使用して、前記膜(2)の前記部分(2.1)を前記シェル(1)の前記造形(1.6)と溶接することを特徴とする、請求項27~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項37】
使用前に、前記容器(100)に前記物質を充填し、前記作動装置の前記歯状プロファイル(3)を、前記膜(2)を圧縮するように適応させ、前記容器(100)の前記チャンバ(A)内に存在する前記空気をなくすことによって、前記作動装置(3)が前記第1の動作位置にロックするようにすることを特徴とする、請求項1~36のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の物質を放出するための容器及び関連する製造方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、物質を放出するための容器に関し、その構造は、容器の部品と容器の機能に対する「束縛から脱する力」との間の完全性のトレードオフを維持するようなものであり、さらにその使用及び製造方法は、本発明による同じ原理の下で動作する異なる使用及び目的での製品の形成を可能にするようなものである。
【背景技術】
【0003】
良く知られているように、特に医療分野において、物質を分配するための装置、たとえば、単に一例として、従来のシリンジ及びプレフィルドシリンジが、広く使用されている。
【0004】
全般的に、従来のシリンジは、分配すべき物質を含むシリンダ、液体を押す圧力を形成するプランジャー、シリンダから物質を押し出すプランジャー、及び分配を可能にする開口部またはカニューレからなる。プランジャーを有するシリンジの性能は、トリガー力と、プランジャーとシリンダとの間の液圧シールとの間の優れた妥協に依存する。特に、一例として、このタイプのシールは、任意の物質またはガスがプランジャーとシリンダとの間を通過できないようにデザインされ、さらに、シールそれ自体は、シリンダの直径とプランジャーの直径との間の干渉の影響を受ける。
【0005】
詳細には、前述したタイプのシリンジに関する最初の問題は、ピストン直径とシリンダ直径との間の干渉が大きくなると、一方で、シリンジの完全性が良好になるが、他方では、シリンジのトリガー力及び移動が増加するという事実である。このため、すべてのタイプのシリンジにおいて、「成形同時充填」(BFS)方法を用いて作られようと、他の方法で作られようと、シリコーンオイルなどの潤滑剤が、摩擦力を減らし、シリンジ内のシリンダとのピストンのシールを向上させるために使用される。
【0006】
特に、シリンジの性能は、主に、2つの要素、ストン-シリンダと、ピストン上に存在する潤滑剤(たとえば、シリコーンオイル)及び/またはシリンダの内部表面に塗布される潤滑剤の量との間の摩擦係数に依存する。
【0007】
さらなる問題は、たとえば、プレフィルドシリンジにおいて、シリンダ内に収容された物質と接触したままである潤滑剤が、特に前記物質が薬物である場合に、非常に望ましくない凝集体(薬物自体を汚染し、そのため薬物自体の有効性を低下させる可能性があるため)を潜在的に引き起こす可能性があるという事実にある。
【0008】
今日では、前述の問題を打開しようとして、行われているのは、使用する潤滑剤の量と、シリンダとピストンとの間の干渉表面積との間の妥協を求めるか、または摩擦及び汚染を低減することを目的として、さらなる材料でコーティングされたピストン及び/またはシリンダを製造することである。しかし、後者の場合、ピストン及び/またはシリンダ上にコーティングを配置するために、製造プロセスにさらなるステップを導入する必要があり、その結果、コストが増加し、さらに、新しいコーティング材料が、シリンダ内に収容された物質と接触すると、汚染及び/または望ましくない影響を引き起こす場合がある。
【0009】
既知の従来技術の問題の中で特に重要なのは、たとえば、ピストン及びシリンダを有するプレフィルドシリンジにおいて、シリンダ直径の長円度が特定の限界内に含まれることが重要であるということである。シリンダの長円度がこれらの限界よりも大きい場合、ピストン-シリンダの干渉は増加するに違いなく、同様に、シリンダの製造プロセスは、ピストン-シリンダの干渉に伴う問題を引き起こすシリンダの特定のテーパリングを含む。詳細には、シリンダの長円度及びテーパを減らすこのステップは、不都合なことに、より高価な製造プロセスにつながる。
【0010】
最後に、従来のシリンダ-ピストンのシリンジであっても、温度差及び/または過度の圧力にさらされると、ピストンとシリンダとの間の完全性を失う可能性が高い。
【0011】
現在、経済的であるが、同時に、システムの完全性とトリガー力との間の妥協を可能にする物質の放出用の容器は、市販されていない。
【0012】
さらに、現在のところ、正しい量での物質の送達も保証する既知のメカニズムは、業界には存在しない。
【発明の概要】
【0013】
したがって、前述の要件に関連して、本発明の主な範囲は、前述した技術的な欠点を取り除くことができる、たとえば1種以上の特定の薬物の物質の放出用の容器を提案することであり、特に、その形態が何であれ、使用中の安全性を保証する容器を実現することである。
【0014】
発明のさらなる目的は、少なくとも1種の物質を放出するための容器であって、温度及び/または圧力の可能な変動とは関係なく、トリガー力とシステムの完全性との間の妥協を保証する容器を実現することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の物質を放出するための容器であって、物質の完全な送達を確実にし、必要に応じて、ユーザ自身または第三者による再使用不能性を確実にするような容器を作ることである。
【0016】
発明のさらなる目的は、保健衛生、薬物送達における精度、患者及び操作者に対する固有の安全性といういくつかの点で安全な使用を可能にする、物質の放出用の容器を実現することである。
【0017】
さらに、本発明の目的は、従来のプレフィルドシリンジ、バイアル、または他の医療用または非医療用容器を作るために使用できる容器を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、機能的で、迅速に実施でき、医薬品を放出する際に十分に正確な容器を作ることである。
【0019】
したがって、本発明の目的は、費用対効果が高く、製造が容易で、利用可能で安全な製品を作り出すことである。
【0020】
これら及び他の目的は、この説明において後に明らかになるように、本発明による物質を放出するための容器によって達成される。
【0021】
したがって、本発明の目的は、薬物などの物質を放出するための容器である。
【0022】
特に、本発明の容器の目的は、物質の閉じ込め及び放出のための中空シェルであって、前述の物質の放出を容易にするために長方形の分配器を有する閉じ込め部分を含む中空シェルを含む。
【0023】
また、容器は、同じシェルに接続された膜も含む。
【0024】
有利なことに、容器は、閉じ込め部分に隣接してその横の位置に、シェルに膜を接続するための造形を含む。
【0025】
有利な方法では、シェルの造形に接続された前記膜は、膜が、シェルの閉じ込め部分と対向する位置に中央部分を有し、閉じ込め部分とともに、物質の閉じ込めのためのチャンバを形成する第1の動作位置から、膜の中央部分が、シェルの閉じ込めの部分内で潰れて、チャンバ内に存在する物質を分配器を通して放出する第2の動作位置まで移動できるようなものである。
【0026】
さらに、膜は、チャンバ内に収容された物質を放出するために、同じシェルに付着して、同じシェルの方向に圧縮可能であるように、シェルの閉じ込め部分の幾何学的形状によって較正される。
【0027】
有利なことに、膜は、それ自体の動作位置を前述した動作位置の間で独立に維持するように双安定型である。
【0028】
特に、このような膜は、容器を使用している間にその位置を維持するために、たとえばプランジャーなどの任意のツールを必要としない。
【0029】
加えて、膜の厚さに応じて、膜に印加される圧縮力の強度及び前記双安定性の両方が変わる。
【0030】
また、膜は、扁長または偏球の形態または他の形態であって、有利なことにシェル内で膜が潰れることを含むのに適した形態を有する。
【0031】
常に有利な方法で、シェルは、容器内に含まれた物質を放出するために、特に第2の動作位置において、膜を穿孔するための鋭い縁の切り欠きの組を含む。
【0032】
加えて、シェルは、収容される同じチャンバからの物質の放出を容易にするために、チャンバの方向に面する溝も含む。
【0033】
有利なことに、シェルの閉じ込め部分の分配器は、たとえば針などの分配付属品に接続されている。
【0034】
また、シェルは、ユーザの指のための支持部を含む。
【0035】
有利な方法では、容器は、可動の作動装置であって、前記シェルの形状に対応する形状を有し、シェルの内部で前記膜を押して圧縮して、第1の動作位置から第2の位置に進むように適応されたヘッドと、容器の使用中に膜に対して圧縮を伝達するように適応された本体と、を有する可動の作動装置も有する。
【0036】
有利なことに、作動装置のヘッドは、それを開放し、膜の変形に必要な力を調節するための複数の同心スロットを含む。
【0037】
また、ヘッドは、シェルの内面上に存在する前記鋭い縁の切り欠きによる膜の穿孔を容易にし、有利な方法で容器の再使用を防止するための空洞を含む。
【0038】
作動装置のヘッドは、相対圧縮後に膜を穿孔することができ、容器の再使用を防止する鋭い縁の切り欠きも含む。
【0039】
有利な方法では、作動装置は、本体に沿って歯状プロファイルを含み、前記歯状プロファイルの歯間のピッチは、放出すべき物質の単位体積に対応する。
【0040】
加えて、膜及び作動装置は、カップリング及び孔をそれぞれ含み、カップリングが孔内でロックして、膜が第1の動作位置まで動かされることを可能にし、物質をシェルのチャンバ内に吸引する。
【0041】
膜は、前記カップリングの反対方向に面する突出部も含み、突出部は、容器の分配部分内に残留する任意の物質を放出するのに適当である。
【0042】
有利なことに、容器は、膜を前記シェルにロックするためのリングを含み、リングは、シェルに結合され、その中に作動装置を収容してその移動を案内するのに適当である。
【0043】
シェルは、閉じ込め部分に隣接する管状で中空の第1の部分も含み、前記リングは、シェルの第1の部分内に収まるように結合されている。
【0044】
膜は、第1の頂点において終わる横方向部分を含む縁部も含み、第1の頂点は、前記横方向部分に隣接してその横にある。
【0045】
さらなる実施形態では、膜は、横方向部分に隣接してその横にある第2の頂点を含み、第2の頂点は第1の頂点に隣接してそれと同じ方向に面する。
【0046】
また、膜は、膜の張りを向上させるために、横方向部分の横にある第3の頂点であって、第1及び第2の頂点の間に位置し、それらとは反対方向に面する第3の頂点を含む。
【0047】
作動装置は、有利なことに、使用後の容器の再使用を防止し、容器の第1の動作位置への戻りを防止するための1つ以上のリングを含む。
【0048】
有利な方法では、容器は、第1の動作位置に対応する静止位置から第2の動作位置に対応する動作位置に切り替えるのに適した突出要素を含み、突出要素は、作動装置の1つ以上のリングのうちの少なくとも1つと嵌合して、それをシェルに固定し、その再使用を防止する。
【0049】
リングは、好ましいが限定ではない実施形態において、膜の前記横方向部分と実質的に相補的な形状の突出セグメントであって、チャンバの内側に面し、膜の前記横方向部分をシェルの造形に、それを所定の位置に保持してシールとして作用することによってロックするのに適した突出セグメントを含む。
【0050】
また、リングは、突出セグメントに隣接してそれと対向する位置に、膜の頂点と接触するように相補的な平坦セグメントを含む。
【0051】
有利なことに、リングの突出セグメント及び平坦セグメントは、シェルの造形内で膜の頂点及び横方向部分をそれぞれ押圧するのに適当である。
【0052】
加えて、リングは、突出セグメントと対向する位置に、好ましくはユーザの指のための支持体を含む。
【0053】
有利な方法では、本発明の目的は、以下のステップを含む、前述した容器の製造方法でもある。
【0054】
A.以下のプロセス、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、BFS、熱成形、または3Dプリンティングのうちの1つ以上によって、容器の部品を作るステップであって、部品は、シェル、膜、リング、及び作動装置を含む、ステップ。
【0055】
B.好適な無菌環境において前記部分の組み立てを行うステップ。
【0056】
好適な環境において容器の二次包装を行うステップ。
【0057】
C.既知の滅菌方法のうちの1つ以上を用いて容器の最終滅菌を行うステップ。
【0058】
有利なことに、製造方法において、容器の部品を作るステップを射出成形及び/または圧縮成形技術によって行う場合、製造プロセス中に、部品の冷却プロセスを制御するステップが存在し、造形及び横方向部分は、膜の残り及びシェルの残りよりも高い温度を有し、膜が、さらなる器具を使用せずにシェルに付着する。
【0059】
常に有利な方法では、製造方法において、容器の部品を作るステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行う場合、製造プロセス中に、シェルの一部をシェルの残りの部分よりも厚い厚さで成形して、シェルを剛性にし、膜の一部を膜の残りの部分よりも薄い厚さで成形して、前記膜をより柔軟にする。
【0060】
また、容器の部品を作るステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行う場合、製造プロセス中、金型を閉じる前に、シェル形状のインサートを容器に加え、インサートは、閉じ込め部分及び分配器を含む。
【0061】
加えて、容器の部品を実現するステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行う場合、製造プロセス中に、シェルの造形上に組み込まれ及び/または溶接されるのに適した膜の形態のインサートを、依然として展性があるときに、前記容器に加える。
【0062】
また、容器の部品を実現する段階中に、成形技術を用いる場合に、以下のさらなる段階が存在する。
【0063】
成形用金型内に複数のシェルを配置することを、シェルの配置に好適なネストを使用して行う段階であって、ヒートシール性フィルムを、作っているシェルの上部に対して位置付ける、段階。
【0064】
シェルの縁部及びフィルムを、たとえば、誘導、熱風吹き付け、赤外線ランプの使用、対流などの方法及び/またはいくつかの方法の組み合わせによって加熱する段階。
【0065】
金型を、依然として展性のあるシェルの成形用金型に対して押圧して、フィルムがシェルの形状に溶接されるようにする段階。
【0066】
シェルにおける圧力差及び/または分配器における圧力を成形用金型に押圧して、有利なことに、フィルムが変形して比較的柔軟な膜を形成するようにする段階。
【0067】
加えて、容器の部品を組み立てるステップの間に、膜の横方向部分とシェルの造形との間に圧力を及ぼすように、リングを位置付ける。
【0068】
有利なことに、容器の部品を組み立てるステップの間に、シールを維持するために、シェルの造形と膜の一部との間に接着剤の層を配置する。
【0069】
また、容器の部品を組み立てるステップの間に、造形と横方向部分との間に緊密なシールを達成するために、それらを加熱し、外圧の印加によって一緒に押圧する。
【0070】
有利なことに、常に、容器の部品を組み立てるステップの間に、部品間の機械的嵌合及び干渉を容易にすることが知られている超音波または赤外線または他の技術を使用して、膜の一部をシェルの造形と溶接する。
【0071】
加えて、容器の使用前に、容器に物質を充填し、作動装置の歯状プロファイルを膜を圧縮するように適応させ、容器のチャンバ内に存在する空気をなくすことによって、作動装置が第1の動作位置にロックするようにする。
【0072】
本発明による物質を放出するための容器のさらなる特徴及び利点は、好ましくて例示的だが限定ではない実施形態及び添付図面を参照して、以下の説明からより明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1A】本発明による物質を放出するための容器を、容器が使える状態である第1の動作位置で、そしてその使用前で示す正面断面図である。
図1B図1Aの容器を、第2の動作位置で、使用中で示す正面断面図である。
図1C図1Aの容器を、第3の最終使用位置で示す正面断面図である。
図1D】本発明による図1Aの容器の、使用を開始する第1の位置における詳細図である。
図1E】本発明による図1Cの容器の、最終使用位置における詳細図である。
図2A】本発明による容器膜のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図2B】本発明による容器膜のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図2C】本発明による容器膜のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図2D】本発明による容器膜のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図2E】本発明による膜及び容器、のさらなる実施形態を示す図である。
図2F】本発明による容器内の膜をシールするための改善されたシステムに関する詳細を示す図である。
図3A】任意の無秩序な状態の証拠を伴う、本発明による容器の詳細を示す図である。
図3B】本発明による容器に属するシェルの実施形態に対する詳細を示す図である。
図4A】本発明による容器のさらなる実施形態の斜視図である。
図4B図4Aの容器に関する実施形態の詳細を示す図である。
図4C図4Aの容器に関する実施形態の詳細を示す図である。
図4D図4Aの容器に関する実施形態の詳細を示す図である。
図4E図4Aの容器に関する実施形態の詳細を示す図である。
図5】A及びBは、2つの異なる使用位置における容器のさらなる実施形態の正面断面図である。
図6A】初期使用位置における容器のさらなる実施形態の正面断面図である。
図6B】使用終了位置における容器のさらなる実施形態の正面断面図である。
図6C図6Bに示したセクションの詳細を示す図である。
図7】A~Cは、本発明による容器のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図8A】初期使用位置及び使用中位置における容器のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図8B】初期使用位置及び使用中位置における容器のさらなる実施形態の正面及び断面図である。
図8C図8Aに示した断面図の詳細を示す図である。
図9】A及びBは、本発明の目的である容器を製造するための方法の1つを示す図である。
図10】A~Cは、本発明による容器の変形力における異なる傾向を示すグラフである。
図11】A及びBは、容器100のさらなる実施形態の正面断面図である。
図12A】BFSプロセスを使用した場合の、本発明の目的である容器のさらなる実施形態の斜視図である。
図12B図12Aの容器の正面断面図である。
図12C図12AのBFSプロセスによって使用される容器部品の厚さ制御のグラフである。
図13】A~Cは、インサートを有するBFSプロセスを用いた、本発明による容器の3つのさらなる実施形態の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1A~1Cを参照して、参照番号100によって総称的に参照される、物質を放出するための容器の第1の実施形態が見られる。
【0075】
容器100は、好ましいが限定ではない実施形態において、少なくとも1種の物質、特に薬物の閉じ込め及び放出に適したシリンジである。
【0076】
有利なことに、前述した従来技術とは対照的に、本発明の目的の容器100は、物質を分配するためのピストンを何ら有しておらず、そのため、より信頼性が高くなる。
【0077】
有利なことに、容器100は、閉じ込め及び物質の放出のための中空シェル1と、変形可能な膜2とを含む極めて単純なデザインを有し、前記シェル1は、前述した前記膜2よりも実質的に剛性である。
【0078】
さらに、容器100は、好ましいが限定ではない実施形態において、物質を放出させるために2を膜を変形させることができるプランジャー3と、前記膜2をシェル1にロックするためのリング4とを含み、リング4は、容器100内のプランジャー3の移動を案内することもできる。
【0079】
シェル1は、図に見られるように、好ましくは管状で中空の形状の第1の部分1.2と、第1の部分1.2に隣接し、それよりも直径が小さい凹状の第2の閉じ込め部分1.1とを含む。
【0080】
図から分かるように、シェル1の第2の部分1.1は、実質的に「カップ」形状、たとえば半球状を有し、それは「カップ」の中心/基点で終了し、分配器1.1.1を有する。さらに有利なことに、本発明の目的である容器100のさらなる実施形態において、前記分配器1.1.1は、「カップ」の中心点/基部に対して偏心した位置、特にシェル1の側面に配置することができる。
【0081】
有利なことに、分配器1.1.1は、第2の閉じ込め部分1.1に隣接し、中空で、長方形であり、容器100自体に収容された物質の分配を可能にする。
【0082】
有利なことに、閉じ込め部分1.1、特に、関連する分配器1.1.1は、好ましいが限定ではない実施形態では、容器100内に収容された物質を分配するための針などの付属品に接続される。さらに、分配器1.1.1は、容器100の使用前に、キャップ(例示した実施形態では見えない)によって蓋をされている。このキャップは、使用前に取り外して、必要に応じて、針またはコネクタなどの、物質を分配するための任意の付属品を取り付けることができる。
【0083】
さらに、第1の部分1.2と第2の部分1.1との間に、容器100は、有利なことに、2つの部分を接続する造形1.6を含み、その結果、第2の部分1.1は、第1の部分1.2に対して、シェル1のセクション1.4だけ内側に突出している。有利なことに、前記セクション1.4は、容器1の内側に面する第1の縁部から外側に面する第2の縁部まで延びる。
【0084】
特に、造形1.6は、第1の部分1.2に隣接してその横にある表面をもたらし、造形1.6の第2の縁部は、第1の部分1.2と実質的に同じ内径を有する。
【0085】
有利なことに、膜2は、前述の造形1.6の表面に配置される。
【0086】
有利なことに、シェル1は、単に一例として、ブロー成形、成形、射出成形、圧縮成形、BFS、熱成形、または3Dプリンティングなどの異なる製造技術によって作ることができるため、それは、プラスチックまたは実質的に弾性及び/またはプラスチック材料で作られる。
【0087】
考慮中の実施形態を再び参照して、膜2は、実質的に凹状であり、変形可能、回転可能、及び/または双安定であるように作られる。双安定であるとは、膜2が独立して位置を維持し、したがって、以下に説明するように、プランジャー3を所定の位置に保持することも、シェル1に適合するように押し込むことも必要でないことを意味する。
【0088】
詳細には、考慮中の実施形態において、膜2は、実質的に長球形状を有し、図1A、1B、及び1Cに見られるように、相対的造形1.6に対応して、シェル1に接続されている。有利なことに、前記膜2は、必要に応じて、単に一例として、図2B及び2Dに示したものなどの他の形状または構成を有していてもよく、膜2は、実質的に長球または偏球の形状を有する。
【0089】
有利なことに、シェル1と同様に、膜2は、弾性及び/またはプラスチック材料で作られ、シェル1の形状が膜2の形状と一致するように成形され、後に見られるように、容器100内に収容されているものの完全な分配を可能にする。
【0090】
有利なことに、膜2は、円形、長方形、正方形、または任意の形状であってもよく、規則的または不規則であってもよい。詳細には、膜2の形状は、容器100の動作にその全体において有利に影響するようなものであり、たとえば、図2Cに見られるように、膜2が長球の形状でデザインされている場合、シェル1の方向にそれを圧縮するのに必要な力、したがって、プランジャー3によってそれに印加されるべき力は、膜2が偏球の形状でデザインされる場合(図2B)よりも大きい。
【0091】
特に、膜2の厚さ、弾力性、硬さ、及び引張強度などの要因は、膜2自体の表面上の折り目Fの可能な構成、及び/またはプランジャー3によるシェル1に向かう膜2の変形プロセス中に形成される可能なギャップG(図3A)を決定する物理特性である。
【0092】
膜2が、その中央領域においてより厚くなるように作られ、その結果、中央から離れるにつれて厚さが徐々に減少する場合、それを圧縮するのに必要な力はほぼ一定である(図10C)。逆に、膜2が均一に厚くて剛性である場合、プランジャー3を移動する力プロファイルは一定ではない(図10A~10B)。
【0093】
さらに、図1D及び1Eに見られるように、前記膜2は、凹面の相対的縁部に対応する横方向部分2.1を含む。横方向部分2.1は、相対的造形1.6に対応してシェル1に膜2を取り付け及び接続するために、横方向部分2.1自体に隣接してその横にある頂点2.5で終わり、その結果、膜2を異なる動作位置で構成することができる。さらに、各横方向部分2.1に隣接して、頂点2.5に対して反対側に、膜2は傾斜部分2.2を含んでいる。傾斜部分2.2は、その構造により、異なる使用段階の間に、したがって、図1Eに見られるように、容器100を使用することと一致して、角度及び凹面を変化させるのに適している。
【0094】
有利なことに、図2Dに見られるように、さらなる実施形態においてしかし限定ではないが、膜2は、部分2.1自体に隣接してその横にある(特に、頂点2.5に隣接して位置して同じ側に面する)第2の頂点2.5.2を含む。
【0095】
さらに、再び優位なことに、膜2は第3の頂点2.5.1をさらに含む。第3の頂点2.5.1は、部分2.1の横にあり、第1及び第2の頂点2.5及び2.5.2の間に位置するが、前述の第1及び第2の頂点2.5及び2.5.2の反対方向に面する。
【0096】
特に、前述の膜2のデザインは、膜2自体の張りを向上させることが意図される。
【0097】
詳細には、膜2が較正されるのは、リング4及び造形1.6を通してである。特に、リング4及び造形1.6は膜2に対して実質的に剛性であるため、それらは横方向部分2.1においてそれを押圧し、それを較正し、そして有利なことに、部品間にシールを形成する。
【0098】
有利なことに、前述したように、膜2は双安定であり、実際には、シェル1に対して少なくとも2つの動作位置、初期位置2p1(図1A)と最終使用構成2p2(図1C)とを有する。これら2つの位置に加えて、有利なことに、膜2は、それらの間の任意の他の中間位置にすることができる(図1B)。
【0099】
第1の構成2p1において、膜2は、上下反対に向けられたときにシェル1の形状と一致するような形状で作られる。前記膜2は、シェル1に対して反対の凹面を有して配置され、液体、ガス、または任意の他の分配すべき物質の閉じ込めに適した中空チャンバAを構造的に実現する。一例として、同時に分配すべき空気及び/または他のガスなどのいくつかの物質または物質の混合物も、前記中空チャンバA内に配置できることに留意された。
【0100】
特に、容器100が第2の最終位置構成2p2(図1C)にある場合、膜2はシェル1に付着するように成形されているため、膜2がプランジャー3によって圧縮されると、膜2は、チャンバA内に存在するすべての内容物を放出するように、圧縮の方向にシェル1と実質的に一致するまで潰れる。再び優位なことに、膜2は、チャンバA内に存在するすべての液体を放出するように、潰れたときに、シェル1の内面の幾何学的形状と完全に一致するように作られている。
【0101】
有利なことに、前述したように、膜2は双安定型であってもよく、そのため、プランジャー3によって所定の位置に保持され、シェル1に適合するように押し込まれる必要はない。
【0102】
さらに、チャンバA内に収容された物質を放出するために、プランジャー3は、膜2の厚さ、弾力性、硬さ、引張強度、形状、及び分配部分1.1によって実現される背圧に応じて変わる力を、膜2に及ぼす必要がある。
【0103】
より具体的には、有利なことに、プランジャー3を移動するのに必要な力が所定の範囲内にあるように調節された厚さプロファイルを有する膜2を使用することにより、プランジャー3を移動するための最小及び最大力が所定の範囲内にあるように膜2の厚さプロファイルをデザインすることも可能である。
【0104】
有利なことに、最終位置2p2(図1E)において、膜がプランジャー3によって変形されたとき、全体として容器100のシェル1上で、膜2の傾斜部分2.2は、特定の半径として、シェル1のセクション1.4の半径と一致した場合に、2つの間に空間Gが形成されることを構造的に可能にせず、したがって、それらの間に何も閉じ込めることができない半径を取る(図1D及び1E)。
【0105】
加えて、膜2は、単に一例として、プランジャー3によって、少なくとも2つの構成2p1及び2p2の間を移動するように変形されるように、デザインされる。
【0106】
図1Bにおいて、膜2を、部分的に変形した膜として示す。特に、膜2の直径、チャンバAの内容物を絞り出すプランジャー3の移動の深さ、及びプランジャー3の前方への移動の間にチャンバA内に生成される背圧に応じて、膜2は折り畳まれる傾向がある。前述した理由により、プランジャーロッド3の幾何学的形状を調節して、ダイアフラム2の折り畳みに対応するために必要な空間を可能にすることが必須である。実際には、プランジャー3の幾何学的形状のこのような調節を行わないと、プランジャー3を移動するための力は、シリンジを使用することが不可能になる点まで急速に増加する可能性がある。
【0107】
全般的に、重要な要素は、任意の使い捨てのシリンジにおいて、分配プロセスの終了時にすべての内容物を放出することが重要であるということである。
【0108】
膜を有するシリンジでは、プランジャーのサイズ及び形状をシェルの形状と一致させることが直感的に理解できる。他方で、液体を絞り出すためにプランジャーの形状をシェルの形状と一致させるこの試みは、液体を放出するためにプランジャーが前進するときに膜の折り畳みに対応する空間を設ける必要があることと対立する場合がある。
【0109】
より具体的には、容器の内容物、たとえばチャンバA内に収容される医薬製剤の安定性は、ガス交換及びチャンバAから外部環境に移動する内容物の傾向に依存する。これは不利点につながる。なぜなら、ポリマー及びエラストマー材料は、ガス及び物質または配合物に対して透過性だからである。したがって、シェル1及び膜2が十分に厚くない場合、チャンバA内に収容される製品は所望の安定性を達成しない場合がある。
【0110】
さらに、安定性は、チャンバAの表面積/体積比の関数である。すべての幾何学的形状の中で、球状が最も効率的である。なぜなら、最小表面積が最大体積を含むことができるからである。チャンバAが球状からわずかでもずれていると、他の変数ならびに膜及びシェルの厚さが不変であるという条件で、球状と比較して内容物の安定性の低下につながる。
【0111】
前述の理由により、今日では、製造コストを減らし、カーボンフットプリントを減らし、浸出液(配合物中に放出されるポリマー中に含有される添加物及び揮発性物質)を減らすために、厚さを減らす傾向がある。そのため、球状が役に立ち得るが、エラストマー膜は、より透過性であるため、Aチャンバ内に収容される配合物の安定性を維持するために特定の厚さが必要である。現在の市場で使用されるエラストマー膜に対する最小厚さは、0.2mmであろう。
【0112】
加えて、最近では、ほとんどのシリンジは、予め充填されているかまたは使い捨て空であるかに関わらず、ハブを有する針を取り付けることができる標準ルアーポートを備えている。より詳細には、標準ルアーポートは、容器内に収容された物質を放出するためにプランジャーが押されたときに、チャンバA内に収容された配合物の通過を可能にする小さい孔を有する。
【0113】
従来技術の既知の問題は、膜がその初期位置または初期構成2P1にある場合、このような小さい孔を通して、シリンジのチャンバAを充填することが容易でないことである。なぜならば、変位した空気が、同じ孔を通って逃げなければならないからである。
【0114】
充填を容易にするために、膜2は、本発明により、分配器またはポートに真空を適用することによって、または膜2の他方の側に圧縮空気を適用することによって潰すことができる。膜2のこの潰れた形態では、チャンバAの容積はゼロまで減少する。そのため、膜2が潰れたときにチャンバA内に空気はないので、空気を逃がす必要なくチャンバAに充填することができる。これは、充填時間が大幅に短くなる利点があり、チャンバAが空であるときにチャンバAに充填することは、物質が逃げる可能性も減る。
【0115】
有利なことに、図1A~1Eから分かるように、容器100はまた、シェル1の第1の部分1.2に対応して配置され、シェル1の分配器1.1.1と反対方向に延びるように配置されたリング4を有する。
【0116】
特に、リング4は、シェル1の第1の部分1.2内に少なくとも部分的に適合するような寸法を有する。
【0117】
シェル1の部分1.2及びリング4の対応する領域は、それらを接合する目的を有する種々の方法を使用して結合される。そのような方法は、たとえば、溶接、接着、機械的結合、干渉などであってもよい。
【0118】
リング4は、図1D及び1Eに見られるように、有利なことに、膜2の横方向部分2.1と実質的に相補的な形状の第1の突出セグメント4.1であって、シェル1のチャンバAから、実質的にプランジャー3と接触する側から内側に面する第1の突出セグメント4.1を含む。
【0119】
さらに、第1の突出セグメント4.1に隣接し、それに対して反対側に、リング4は、膜2の頂点2.5と相補的で、それに接触するような平坦セグメント4.3をさらに含む。
【0120】
さらに、リング4は、シェル1の第2の部分1.1に面する端部に対向する位置に、容器100自体の使用を容易にするためにプランジャー3と接触する指用の支持体4.5を含む。有利なことに、リング4は、容器100の内部でプランジャー3の摺動を案内することができ、可能性としてその回転も妨げる。
【0121】
より詳細に(図1D)、リング4は、特にシェル1の方向に移動する間に、プランジャー3を内部に収容し、シェル1の造形1.6において膜2の横方向部分2.1を押圧してブロックし、それを所定の位置に保持するのに適当である。さらに、他の好ましい実施形態では、シェル1と膜2との間にシールを形成するために、膜は、前述したようにリング4によって圧縮するだけでなく、有利なことに、さらなる溶接/接合によってシールすることができる。
【0122】
図1Dから分かるように、リング4の第1の突出セグメント4.1及び平坦セグメント4.3は、シェル1の造形1.6の内側で膜2の頂点2.5及び横方向部分2.1を同時にかつそれぞれ押圧して、膜2を所定の位置に保持し、そのシールとして作用するように成形される。有利なことに、リング4、膜2、及びシェル1の寸法は、リング4によって及ぼされる圧力が膜2の弾性率を超えてはならないようなものである。
【0123】
有利なことに、プランジャー3は、図1A、1B、及び1Cに見られるように、実質的に弓形の形状を有するとともに、その使用中に容器100内に収容された物質を放出するためにシェル1の内側に膜2を押して圧縮するのに適当であるヘッド3.1と、リング4に対応して配置するのに適当であり、容器100の使用中に膜に力を伝達するのに適当である長方形の本体3.2とを含む。
【0124】
前記プランジャー3は、たとえば、プラスチックで、及び/または成形及び/または他の加工技術によって作ってもよい。
【0125】
特に、プランジャー3のヘッド3.1の形状は、シェル1の形状と実質的に相補的であるため、容器100の動作中に、膜2を押して、それを完全に重ね合わせることができ(シェル1の内部と同じ幾何学的形状を有するため)、その中に収容された物質を完全にこぼすことができる。
【0126】
プランジャーのヘッド3.1の幾何学的形状は、膜を変形させるのに必要な力を調節できるように実現することができる。
【0127】
有利なことに、プランジャー3のヘッド3.1は、図4Eに見られるような好ましい実施形態では、プランジャー3の重量を減らし、有利なことに、プランジャー自体の重量を軽くし、膜の変形に必要とされる力を調節するために、複数の同心スロット3.6を有していてもよい。加えて、プランジャー3は、ユーザの指/親指を介してトリガー可能である。
【0128】
シェル1は、さらなる実施形態では、図2Fに見られるように、実質的に前述した造形1.6に対応して、その幾何学的形状により、膜2の横方向部分2.1との間で得られるシールを向上させるのに適当である突出部1.3を含む。特に、有利なことに、突出部1.3の幾何学的形状は、突出しており、膜2の横方向部分2.1の方向に向いている。好ましくは、前記突出部分1.3は、湾曲したプロファイルを有する。
【0129】
さらに、シェル1は、図3Bに見られるように、チャンバAの方向に面する溝1.7を含んでいてもよい。溝1.7は、容器内に収容された物質が流出することを可能にし、前述したように、また図3Aに見られるように、それが障害の点Gに閉じ込められることを防止することが意図されている。
【0130】
さらなる実施形態では、図4A~4Dに見られるように、リング4は、第2の突出レバーセグメント4.2を含む。第2の突出レバーセグメント4.2は、容器100の使用後に、プランジャー3をシェル1に固定するようにそれに接触して、それを取り外すことを不可能にする。詳細には、プランジャー3は、本体3.2に沿って、1つ以上のリング3.4を有する。リング3.4は、容器が開始動作位置2p1に戻るのを防止することによって、使用後の容器100の再使用を防止し、したがって、リング4の第2の突出セグメント4.2レバーへのカップリングとして作用する。
【0131】
有利なことに、このような第2の突出レバーセグメント4.2は、外側からアクセス不可能であるように、シェル1の第1の部分1.2から内側に構造的に生じる。有利なことに、これにより、突出要素4.2に対する改ざんは不可能になる。
【0132】
容器100のさらに好ましい実施形態では、図5A及び5Bに見られるように、膜2及びプランジャー3は、カップリング2.6及び孔3.3をそれぞれ含む。詳細には、カップリング2.6及び孔3.3の幾何学的形状は、カップリング2.6を孔3.3の内側にロックすることを可能にし、ロック解除されることを可能にしないようなものである。この実施形態を使用して、膜2が、第1の動作位置に従って、すなわちシェル1の凹面と反対方向に移動することを可能にし、チャンバA内に凹部を形成してもよい。特に、この実施形態の形態によって、物質を容器100から吸引すべき場合に、たとえば、プランジャー3によって与えられる分配の方向とは反対方向の移動によって、物質をシェル1のチャンバA内に吸引することが可能になる。
【0133】
さらに、膜2は、突出部、特にキャップ2.3を有していてもよい。これは、カップリング2.6の反対方向に面し、分配器1.1.1内に閉じ込められた液体を絞り出すために使用することができ、すべての物質が容器100から放出されることを確実にする。
【0134】
より詳細には、さらなる実施形態において、プランジャー3は、図6A~6Cに見られるように、個々のヘッド3.1に対応して、空洞3.8も含み、一方で、シェル1は、前記空洞3.8に対応して、その個々の内面に、容器100を使用した後で、特にその最終使用において、膜2を切断するための鋭い縁の切り欠き1.8を有する。前述の切り欠き1.8の存在によって、有利なことに、容器100の再使用を防止できる。なぜなら、それらは膜2を永続的に穿刺することができるからである。
【0135】
代替的に、さらなる実施形態において、一連の鋭い縁の切り欠きを、プランジャー3のヘッド3.1上に位置付けることができる。この場合、シェル1は、装置の再使用を防止するために、ヘッド3.1の前述の切り欠き上で膜2が延伸して破断することを可能にする孔を有する。
【0136】
容器100のさらなる実施形態では、図7A及び7Bに見られるように、リング4は、容器100内に突出して面する複数のフック4.6を含んでいてもよい。複数のフック4.6は、プランジャー3の本体3.2上に実質的に配置される複数の歯3.7及び3.71を含む歯状プロファイルと接触するのに適している。
【0137】
詳細には、本体3.2において、プランジャー3は歯状プロファイルを含む。歯3.7、3.71は、容器100から放出すべき物質の用量に対する制御として作用するように構成されている。詳細には、有利なことに、歯の間の距離は、放出すべき物質の体積の単位に対応し、放出中に前記体積を一定に維持するようなものである。歯が多く存在するほど、クリックが多く存在する。このため、このタイプの構成を使用して、有利なことに、放出される物質の流れ/用量に対する触覚及び/または聴覚フィードバックを有することができる。さらに、再び優位なことに、前述の歯状プロファイルは、好ましいデザインでは、たとえば容器を充填した後に、チャンバA内に存在する空気を除去するのに適している。特に、歯状プロファイルが膜2に圧力を及ぼすと、それを圧縮して、チャンバA内に存在する空気を除去し、前述したようにそれを所定の位置にロックして、有利なことに、容器100を正しく使用することを可能にするようなものとなる。
【0138】
歯状プロファイルの歯3.7、3.71が、図7A~7Cに見られるように、鋭い縁のタイプである場合、それらは、放出方向とは反対方向へのプランジャー3の移動を防止する(このような移動は、たとえばチャンバA内の圧力によって引き起こされる可能性がある)。
【0139】
歯3.7、3.71は、別の実施形態では、丸みを帯びたタイプにすることができ、それによって、放出方向に対して反対方向にプランジャー3が移動することも可能にし、容器100内に収容された物質の投与においてより良好な精度をユーザに可能にするフィードバックシステムを形成するだけである。
【0140】
クリックの全体数を増やすために、図7A及び7Bに見られるように、歯3.7及び3.71を、プランジャー3の本体3.2の一方の側と他方の側との間でオフセットすることができる。フック4.6に対する応力を回避するために、本体3.2は、所定の位置2P1にあるときに歯3.72を位置合わせしている。
【0141】
図7Cに示すリング4の別の実施形態では、リング4は、ワイヤ4.7の通過を可能にする横方向の貫通孔を有し、前述の実施形態で説明したものと同様のメカニズムを実現する。
【0142】
図8A~8Cに示すさらなる実施形態では、シェル1は、ユーザの指のための支持体として作用するのに適した支持部1.5を示すように、前述の実施形態の場合よりも細長い第1の部分1.2を有する。
【0143】
単に一例として、前記支持部1.5は、容器100の外側の方向に突出している。
【0144】
有利なことに、解析中の実施形態では、リング4は存在せず、膜2は、たとえば熱溶接法によって、造形1.6と横方向部分2.1との間でシェル1に結合される。
【0145】
この実施形態では、中間位置2P1.5に到達した後の膜2は、プランジャー3自体の移動によって伸ばされる。これにより、膜2はシェル1の内面により良好に付着することができ、使用後に内部に残留する液体が減る。
【0146】
図11A及び11Bに見られるような容器100のさらなる実施形態は、プランジャー3が無いことを特徴とする。膜2及びシェル1は、たとえば、熱溶接または接着などの前述した方法を使用して結合される。さらに、容器100の解析中の実施形態の形態においても、膜2とシェル1との間にシールを形成するようにリング4を有していてもよい。この実施形態の利点は、膜が双安定形状で作られ、その結果、ユーザが使用後に指Zを取り外しても、膜が所定の位置に留まることを可能にすることである。
【0147】
さらに、容器100の一実施形態では、図に示していないが、膜2はバネによって変形可能である。
【0148】
特に、この実施形態は、以下の理由により有利である。
【0149】
シェル1、プランジャーロッド3、リング4、及び分配器1.1.1はすべて、特定の容積を占める。プランジャーロッド3及びリング4は、チャンバA内に収容される全体積を移動するのに必要なストロークの少なくとも2倍の長さでなければならない。したがって、チャンバAから内容物を放出するプランジャーロッド3を設けることにより、容器100は、チャンバAの容積の少なくとも3倍をもたらす必要がある。
【0150】
これらの理由から、有利なことに、内容物を放出する作業は、圧縮された円錐バネを使用して行うこともできる。圧縮された円錐バネは、いったん開放されると、容器100が占める容積に著しく寄与することなく、拡張してチャンバAから内容物を放出することができる。このようなバネ作動容器100が占める容積は、球状のチャンバAのそれよりもわずかに大きく、プランジャーロッド3を有する容器100によって要求される容積と比較して、容積が大きく減少することとなる。
【0151】
有利なことに、バネは、伸張されるとその安定位置において膜2の外形を呈するように成形及びデザインすることができるため、伸張されたバネの外形は、チャンバAの全内容物を放出するのを助ける。これは、二次体積の減少、二次及び三次包装材料及び輸送コストの削減につながる。この容積節約は、コールドチェーンで輸送されるワクチンの場合に高く評価され、シリンジが占める空間が問題となる。
【0152】
容器100のさらなる実施形態を、図12A及び12Bに概略的に示す。詳細には、容器100は、前述の実施形態とは違って、いかなる膜も含まず、たとえばBFS(成形同時充填)システムを使用して一片6で作られる。
【0153】
特に、容器100は、物質が出ることを可能にするのに適した第1のゾーン6.1を有する。第1のゾーン6.1は、容器100内に収容された物質の分配/放出に適したネジ接続またはルアーインサートまたは種々の形状を有していてもよい。
【0154】
さらに、第1のゾーン6.1と反対側の位置には、第2のゾーン6.2がある。ここから、有利なことに、容器100の充填を、それぞれの形成プロセス中に行うことができ、そしてここから、たとえば指Zを通る容器の圧縮が行われる。
【0155】
図12B及び12Cに特に見られるように、この実施形態の利点は、構造的に容器100に2つの異なる厚さが含まれるという事実に固有である。特に、第1の厚さを有する第1のエリア6.3が、第1のゾーン6.1の実質的に上方に配置され、第2の厚さを有する第2のエリア6.5が、第1の厚さよりも薄く、容器100の第2のゾーン6.2の真下に配置される。
【0156】
特に、容器100の部品間のこの厚さの差は、容器の第1のエリア6.3上の半径方向及び第1のゾーン6.1の周りに配置された可能な強化材6.4によって強調される。特に、この厚さの差は、第2のエリア6.5に対応して配置された、より薄い厚さのゾーンが、容器100の内部の方向に変形することができ、前述の実施形態で説明したような膜2の動作のメカニズム(膜2はシェル1の内部で潰れるのに適当である)と同様に機能することを意味する。容器の厚さの変化は、パリソンの厚さを制御することによって可能であり、これは、図12Cに記載されるプロファイルに従う。
【0157】
2つのさらなる実施形態を、図13A及び13Bに例示する。ここでは、容器を、製造プロセス中にインサートを追加することによって、BFSプロセスを使用して作製する。
【0158】
図13Aでは、シェル形状のインサート101が、BFSプロセス中に、特に、金型を閉じる前に挿入される。シェル101は、前述の実施形態で説明したものと同様に、閉じ込め部分1.1(たとえば半球)と、種々の分配システムを適用することができる分配器1.1.1とからなる。
【0159】
BFSで作られた容器100の第1のゾーン6.1は、容器100のキャップとして作用し、その中に収容された物質の放出を可能にするために、使用前に取り外さなければならない。説明したシェル101の挿入段階に続いて、容器100の充填段階が、第2のゾーン6.2内に配置された開口部を通して行われ、これは、その後に、金型ヘッドの後続の閉鎖によってシールされて、密閉された容器を形成する。
【0160】
図12A及び12Bで説明した以前の形態の実施形態に対するこの形態の実施形態の利点は、シェル1がエリア6.3の強化材として作用するので、エリア6.3及び6.5間の厚さの大幅な変化が必要でないことである。有利なことに、エリア6.5は、前述したものと同様に、押しつぶされたときに潰れるのに適当である。
【0161】
図13Bに、容器100の他の実施形態を示す。ここでは、BFSプロセス中に挿入されるインサートは膜2である。容器100は開放BFSで作られ、後者が依然として展性があるときに、膜2を成形物1.6上に組み込み及び/または溶接する。
【0162】
最後に、図13Cに示すさらなる実施形態に、外側の剛性シェル102と、BFSから作られた密閉容器6とを含む容器100を示す。シェル102の分配器1.1.1に対応して、分配器1.1.1を容器6の第1のゾーン6.1と接続するようにデザインされた結合システムがある。特に、容器100を、前述の実施形態に従って使用するために、作動させなければならず、すなわち、容器6をシェル102に向けて押して、部分1.1が、強化材として作用する容器のエリア6.5と接触する。
【0163】
本発明の目的である容器100は、実質的に以下のように機能する。前述したように、容器100が閉じている(容器100は物質の放出前に満たされている)第1の構成2P1において、シェル1と実質的に同じ幾何学的形状を有する膜2は、シェル1に対して反対側の凹面を有して配置され、分配すべき物質を含む中空チャンバAを構造的に生成する。その後、プランジャー3は、シェル1自体の方向に作用する外圧によって、膜2を徐々に圧縮し始める。この時点で、プランジャー3の圧縮によって、膜2は、凹面を徐々に変化させながら、チャンバA内に収容された物質を分配器1.1.1に向けて同時に押し込む。チャンバAは空になり始め、これは膜2が潰れるまで続いて、実質的にシェル1の内面に付着する。
【0164】
特に、容器100が第2の最終使用構成2P2にあるとき、膜2はシェル1と一致するように成形されているため、膜2はプランジャー3によって圧縮され、圧縮の方向に、シェル1と実質的に一致するように潰れて戻り、チャンバA内に存在するすべての内容物を放出する。
【0165】
有利なことに、最終位置2P2において、膜がプランジャー3によって圧縮されたとき、全体として容器100のシェル1上で、膜2の傾斜部分2.2は、特定の半径として、シェル1のセクション1.4の半径と一致した場合に、2つの間に空間Gが形成されることを構造的に可能にせず、したがって、この位置において何も閉じ込めることができない半径を取る。
【0166】
現在、エラストマー膜を製造するための2つの主な方法がある。射出成形及び加硫である。半球状の膜は、2つの位置において安定状態に留まるが、それが最小の内部張力を有する位置は、それが射出成形金型または加硫金型によって成形されない位置である。
【0167】
この最小の内部応力の状態は、成形後に膜を焼鈍することによってさらに改善することができる。
【0168】
この最小の応力の状態では、弾性膜は折り目を形成しないが、成形プロセス中に金型が膜上にインプリントする外形を忠実に維持する。これを、双安定膜の第1の安定位置と言う。
【0169】
この膜がその第2の安定位置に変わると、膜の内側部分は圧縮する傾向があり、膜の外側部分は伸びる傾向があるために、膜内に応力が発生する。これらの応力の結果、へこみ、窪み、及び隆起が、膜の表面上に現れる。
【0170】
したがって、本発明によれば、容器100の初期位置または第1の使用構成2P1において、チャンバAが十分に伸びているとき、膜2がすでにその第2の安定位置に変わって、プランジャー3が押されてチャンバAの内容物を放出すると、膜2はそれが伸びていなかったその第1の安定位置に戻る。これは、膜2内の残留応力が最小となる位置であるため、その元のプロファイルを取る傾向がある。したがって、へこみ、窪み、及び隆起がなければ、膜はチャンバA内に収容されたすべての液体を放出する。実際には、表面の不規則さがない場合には、プランジャー3の形状がシェル1のそれに正確に対応しない場合であっても、膜2はシェル1の表面に付着する傾向がある。
【0171】
有利なことに、以下の表に、一例として、0.2ml~100mlの容器充填容積に対して、チャンバA内の物質内容物の最大量を分配装置1.1.1を通して押し込めることを確実にする限界値を示す。
【0172】
膜2の厚さ及び膜2の表面積は、押し込むために必要な力が所望の限界内に留まるようなものでなければならない。
【0173】
以下の表に、膜厚及び表面積に対する最大値及び最小値を示す。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
全般的に、本発明の目的である容器100を実現するための製造方法は、以下のステップのうちの1つ以上からなる。
【0177】
-以下のプロセス、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、BFS、熱成形、または3Dプリンティングのうちの1つ以上によって、容器の部品、詳細には、シェル1、膜2、プランジャー3、及びリング4を作るステップ。
【0178】
-好適な/無菌環境において前述の部品の組み立てを行うステップ。
【0179】
-好適な環境において容器の二次包装を行うステップ。
【0180】
-既知の滅菌方法のうちの1つ以上を用いて容器の最終滅菌を行うステップ。
【0181】
本発明の目的である容器100は、異なる方法によって実現可能である。製造プロセスの基本的な要素は、膜2とシェル1との間に良好なシールが、有利なことに形成されるように実現されることである。有利なことに、2つの要素間のこの最適なシールは、リング4によって及ぼされる圧力によって形成される。
【0182】
代替的に、シェル1の造形1.6と膜2との間のシールを維持するために、接着剤の層を有利なことに設けることができる。
【0183】
2つの要素間の緊密なシールを達成するためのさらに別の方法は、造形1.6と横方向部分2.1とを加熱し、そして、それに外圧を印加することである(図8C)。
【0184】
他の方法は、膜2の2.5部分を、シェル1の1.2部分と干渉するように作ることである。
【0185】
射出成形及び/または圧縮成形に関して、画期的なステップは、たとえば造形1.6などの溶接ゾーン、及びたとえば横方向部分2.1などの断面部分が、膜2の残り及びシェル1の残りと比較して比較的に暖かい状態のままでいられるように、工具冷却プロセスを有利なことに制御することであろう。
【0186】
詳細には、このような制御された冷却の後、シェル1及び膜2が形成されたとき、膜2の横方向部分2.1及びシェル1の造形1.6は、依然として、容器100の他の部品よりも比較的高い温度、単に一例として60℃を超える温度を有し、したがって、有利なことに、膜2は、シェル1に結合されたときに、さらなる機械的器具を使用することなく、結合前に部分を加熱する必要なく、溶接される。
【0187】
さらなる画期的な製造方法は、図9Aに示したように、好適なネスト5.1.1を用いて、いくつかのシェル1をマトリックス状に配置することである。詳細には、その後に、ヒートシール性フィルム5.2を、製造しているシェル1の上部に対して配置し、シェル1の造形1.6及びフィルム5.2のみが加熱される。
【0188】
有利なことに、いくつかの既知の方法のうちの1つまたは組み合わせを用いて、前記ヒートシール性フィルム5.2を加熱してもよい。たとえば、限定することなく、誘導、熱風吹き付け、赤外線(IR)ランプの使用、対流、または加熱に適した任意の他の手段/方法によってである。
【0189】
加熱後、金型を、シェル1の依然として展性のある成形用金型に対して押圧して、フィルム5.2をシェル1の造形1.6に溶接することができる。
【0190】
圧力差を、ネスト5.1.1の高さと、ネスト5.1.1の上方に配置された金型5.1.2の空洞Lとの両方において印加することができる。このようにして、フィルム5.2は変形して比較的柔軟な膜2を形成する。
【0191】
図12A、12B、及び12Cに特に参照すると、容器100を作るために使用できる他の方法は、「成形同時充填」(BFS)である。これは、好適なポリマーの管状パリソンを押出成形して剛性シェル1及び膜2を成形することと、容器100に物質を充填することと、ゾーン6.2における金型の上部から容器をシールすることと、からなる製造プロセスである。有利なことに、前述したように、「成形同時充填」プロセスの画期的なステップは、たとえば、自動パリソン厚さ制御を使用して、シェルの一部をより厚い厚さで成形して、シェル1を比較的剛性にし、膜2の一部をより薄い厚さで成形して、それをより柔軟にすることにある。
【0192】
本明細書においてこのように想到及び例示された本発明は、すべて本発明のコンセプトの範囲内である多くの変更及び変形を受け入れる余地がある。
【0193】
さらに、すべての詳細は、他の技術的に同等な要素によって置き換えられ得る。
【0194】
最後に、使用したコンポーネントは、それらが特定の用途に適合する限り、寸法と同様に、要件及び従来技術に従って変更され得る。
【0195】
任意の請求項において言及される特徴及び技術の後に参照マークが続く場合、これらの参照マークは、請求項の明瞭性を高めるという唯一の目的のために含まれており、従って、これらの参照マークは、一例としてこれらの参照マークによって特定される各要素の解釈に対して限定する効果を有さない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物などの物質を放出するための容器(100)であって、
前記物質の閉じ込め及び放出のための中空シェル(1)であって、
長方形の分配器(1.1.1)を含む閉じ込め部分(1.1)を含む前記中空シェル(1)と、
前記シェル(1)に接続された膜(2)と、を含み、
前記容器(100)は、前記閉じ込め部分(1.1)に隣接してその横の位置に、前記膜(2)を接続するための造形(1.6)を含み、それによって、前記膜(2)は、
前記膜(2)の中央部分が、前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)と対向する位置にあり、前記閉じ込め部分(1.1)とともに、前記物質の前記閉じ込めのためのチャンバ(A)を形成する、第1の動作位置から、
前記膜(2)の前記中央部分が、前記シェル(1)の前記閉じ込めの部分(1.1)内で潰れて、前記チャンバ(A)内に存在する前記物質を前記分配器(1.1.1)を通して放出する、第2の動作位置に、移動することができ、
前記膜(2)は、以下のパラメータ、
0.1mm~5mmの厚さ、
10~150のショアAまたはDにおける膜硬度、
1MPa~85MPaの前記膜材料の引張強度、
任意のポリマー、エラストマー、TPE、TPV、ポリプロピレン、ポリエチレン、EVAコポリマーの中から選択される膜材料、
のうちの少なくとも1つにより実現される双安定型であり、
それにより、それ自体の動作位置を前記動作位置の間で独立に維持し、
前記膜(2)の前記厚さに応じて、前記膜(2)に印加される圧縮力の強度及び双安定性が変わることを特徴とする、容器(100)。
【請求項2】
前記チャンバ(A)内に収容された前記物質を放出するために、前記膜(2)は、前記シェル(1)に付着して、前記シェル(1)の方向に圧縮可能であるように、前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)の幾何学的形状によって較正されることを特徴とする、請求項1に記載の容器(100)。
【請求項3】
前記膜(2)は、扁長もしくは偏球の形態または他の形態であって、前記物質を含み、前記シェル(1)内で潰れるのに適した形態を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の容器(100)。
【請求項4】
前記シェル(1)は、前記物質を放出するために、前記第2の動作位置において前記膜(2)を穿孔するための鋭い縁の切り欠き(1.8)の組を含むことを特徴とする、請求項に記載の容器(100)。
【請求項5】
前記シェル(1)の前記閉じ込め部分(1.1)の前記分配器(1.1.1)は、たとえば針などの分配付属品に接続されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項6】
前記シェル(1)は、ユーザの指のための支持部(1.5)を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項7】
可動の作動装置(3)であって、前記シェルの形状に対応する形状(1)を有し、前記シェル(1)の内部で前記膜(2)を押して圧縮して、前記第1の動作位置から第2の位置に進むように適応されたヘッド(3.1)と、前記容器(100)の使用中に前記膜(2)に対して前記圧縮を伝達するように適応された本体(3.2)と、を有する前記可動の作動装置(3)を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項8】
前記作動装置(3)の前記ヘッド(3.1)は、前記装置(3)の重量を減らし、前記膜(2)の変形に必要な力を調節するための複数の同心スロット(3.6)を含むことを特徴とする、請求項に記載の容器(100)。
【請求項9】
ヘッド(3.1)は、前記シェル(1)の内面上に存在する鋭い縁の切り欠き(1.8)による前記膜(2)の穿孔を容易にし、前記容器(100)の再使用を防止するための空洞(3.8)を含むことを特徴とする、請求項またはに記載の容器(100)。
【請求項10】
前記作動装置(3)の前記ヘッド(3.1)は、相対圧縮後に前記膜(2)を穿孔することができ、前記容器(100)の再使用を防止する鋭い縁の切り欠きを含むことを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項11】
前記膜(2)を前記シェル(1)にロックするためのリング(4)を含み、前記リングは、前記シェル(1)に結合され、その中に前記作動装置(3)を収容して、その動きを案内するのに適当であり、前記シェル(1)は、前記閉じ込め部分(1.1)に隣接する管状で中空の第1の部分(1.2)を含み、前記リング(4)は、前記シェル(1)の前記第1の部分(1.2)内に収まるように結合されていることを特徴とする、請求項7~10のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項12】
前記作動装置(3)は、本体(3.1)に沿って歯状プロファイル(3.7、3.71)を含み、前記歯状プロファイル(3.7、3.71)の歯間のピッチは、放出すべき前記物質の単位体積に対応し、前記リング(4)は、前記容器(100)内に突出して面する複数のフック(4.6)であって、前記歯状プロファイル(3.7、3.71)と接触するのに適した前記複数のフック(4.6)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の容器(100)。
【請求項13】
前記膜(2)及び前記作動装置(3)は、カップリング(2.6)及び孔(3.3)をそれぞれ含み、前記カップリング(2.6)が前記孔(3.3)内でロックして、前記膜(2)が前記第1の動作位置まで動かされることを可能にし、前記物質を前記チャンバ(A)内に吸引することを特徴とする、前記請求項12のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項14】
前記膜(2)は、前記カップリング(2.6)の反対方向に面する突出部(2.3)を含み、前記突出部(2.3)は、分配部分(1.1.1)内に残留する前記物質を放出するのに適当であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項15】
前記膜(2)は、第1の頂点(2.5)において終わる横方向部分(2.1)を含む縁部を含み、前記第1の頂点(2.5)は、前記横方向部分(2.1)に隣接してその横にあることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項16】
前記膜(2)は、前記膜(2)の張りを向上させるために、前記部分(2.1)に隣接してその横にある第2の頂点(2.5.2)であって、前記第2の頂点(2.5.2)は前記頂点(2.5)に隣接してそれと同じ方向に面する、前記第2の頂点(2.5.2)と、前記部分(2.1)の横にある第3の頂点(2.5.1)であって、前記第1及び第2の頂点(2.5、2.5.2)の間に位置し、前記第1及び第2の頂点(2.5、2.5.2)とは反対方向に面する、前記第3の頂点(2.5.1)と、を含むことを特徴とする、請求項15に記載の容器(100)。
【請求項17】
前記作動装置(3)は、前記本体(3.2)に沿って、使用後の前記容器(100)の再使用を防止し、前記容器(100)の前記第1の動作位置への戻りを防止するための1つ以上のリング(3.4)を含み、前記第1の動作位置に対応する静止位置から、前記第2の動作位置に対応する動作位置に切り替えるのに適した突出要素(4.2)を含み、前記突出要素(4.2)は、前記作動装置(3)の前記1つ以上のリング(3.4)のうちの少なくとも1つと嵌合して、それを前記シェル(1)に固定し、その再使用を防止することを特徴とする、請求項13のいずれか1項に記載の容器(100)。
【請求項18】
前記リング(4)は、前記膜(2)の横方向部分(2.1)と実質的に相補的な形状の突出セグメント(4.1)であって、前記チャンバ(A)の内側に面し、前記膜(2)の前記横方向部分(2.1)を前記シェル(1)の前記造形(1.6)に、それを所定の位置に保持してシールとして作用することによってロックするのに適している前記突出セグメント(4.1)を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の容器(100)。
【請求項19】
前記リング(4)は、前記突出セグメント(4.1)に隣接してそれと対向する位置に、前記膜(2)の頂点(2.5)と接触するように相補的な平坦セグメント(4.3)を含むことを特徴とする、請求項18に記載の容器(100)。
【請求項20】
前記リング(4)の前記突出セグメント(4.1)及び前記平坦セグメント(4.3)は、前記シェル(1)の前記造形(1.6)内で、前記膜(2)の前記頂点(2.5)及び前記横方向部分(2.1)をそれぞれ押圧するのに適当であることを特徴とする、請求項19に記載の容器(100)。
【請求項21】
前記リング(4)は、前記突出セグメント(4.1)と対向する位置に、好ましくはユーザの指のための支持体(4.5)を含むことを特徴とする、請求項19または20に記載の容器(100)。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の容器(100)の製造方法であって、以下のステップ、
A.以下のプロセス、ブロー成形、射出成形、圧縮成形、BFS、熱成形、または3Dプリンティングのうちの1つ以上によって前記容器(100)の部品を作るステップであって、前記部品は、前記シェル(1)、前記膜(2)、前記リング(4)、及び前記作動装置(3)を含む、前記ステップと、
B.好適な無菌環境において前記部品の組み立てを行うステップと、
好適な環境において前記容器(100)の二次包装を行うステップと、
C.既知の滅菌方法のうちの1つ以上を用いて、前記容器(100)の最終滅菌を行うステップと、を含む、前記製造方法。
【請求項23】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを射出成形及び/または圧縮成形技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記部品の冷却プロセスを制御するステップが存在し、前記造形(1.6)及び前記横方向部分(2.1)は、前記膜(2)の残り及び前記シェル(1)の残りよりも高い温度を有し、前記膜(2)が、さらなる器具を使用せずに前記シェル(1)に付着することを特徴とする、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記シェル(1)の一部を、前記シェル(1)の残りの部分よりも厚い厚さで成形して、前記シェル(1)を剛性にし、前記膜(2)の一部を、前記膜(2)の残りの部分よりも薄い厚さで成形して、前記膜(2)をより柔軟にすることを特徴とする、請求項22に記載の製造方法。
【請求項25】
前記容器(100)の前記部品を作る前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中、金型を閉じる前に、シェル形状のインサート(101)を前記容器に加え、前記インサート(101)は、閉じ込め部分(1.1)及び分配器(1.1.1)を含むことを特徴とする、請求項22に記載の製造方法。
【請求項26】
前記容器(100)の前記部品を実現する前記ステップを「成形同時充填」(BFS)技術によって行い、前記製造プロセス中に、前記シェル(1)の前記造形(1.6)上に組み込まれ及び/または溶接されるのに適した膜(2)の形態のインサートを、依然として展性があるときに、前記容器(100)に加えることを特徴とする、請求項22に記載の製造方法。
【請求項27】
前記容器(100)の前記部品を実現する段階中に、成形技術を用いる場合に、以下のさらなる段階、
成形用金型内に複数のシェル(1)を配置することを、前記シェル(1)の前記配置に好適なネスト(5.1.1)を用いて行う段階であって、ヒートシール性フィルム(5.2)を、作っている前記シェル(1)の上部に対して位置付ける、前記段階と、
前記シェル(1)の縁部及び前記フィルム(5.2)を、たとえば、誘導、熱風吹き付け、赤外線ランプの使用、対流などの方法及び/またはいくつかの方法の組み合わせによって加熱する段階と、
金型(5.1.2)を、依然として展性のあるシェル(1)の前記成形用金型に対して押圧して、前記フィルム(5.2)が前記シェル(1)の前記造形(1.6)に溶接されるようにする段階と、
金型(5.1.2)を、依然として展性のあるシェル(1)の前記成形用金型に対して押圧して、前記フィルム(5.2)が前記シェル(1)の前記造形(1.6)に溶接されるようにする段階と、が存在することを特徴とする、請求項22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記膜の前記横方向部分(2.1)と前記シェル(1)の前記造形(1.6)との間に圧力を及ぼすように、前記リング(4)を位置付けることを特徴とする、請求項2227のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項29】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記シールを維持するために、前記シェル(1)の前記造形(1.6)と前記膜(2)の前記部分(2.1)との間に接着剤の層を配置することを特徴とする、請求項2227のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項30】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記造形(1.6)と前記横方向部分(2.1)との間に緊密なシールを達成するために、前記造形(1.6)及び前記横方向部分(2.1)を加熱し、外圧の印加によって一緒に押圧することを特徴とする、請求項2227のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項31】
前記容器(100)の前記部品を組み立てる前記ステップの間に、前記部品間の機械的嵌合及び干渉を促進することが知られている超音波または赤外線または他の技術を使用して、前記膜(2)の前記部分(2.1)を前記シェル(1)の前記造形(1.6)と溶接することを特徴とする、請求項2227のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項32】
使用前に、前記容器(100)は、可動の作動装置(3)であって、前記シェルの形状に対応する形状(1)を有し、前記シェル(1)の内部で前記膜(2)を押して圧縮して、前記第1の動作位置から前記第2の位置に進むように適応されたヘッド(3.1)と、前記容器(100)の使用中に前記膜(2)に対して前記圧縮を伝達するように適応された本体(3.2)と、を有する前記可動の作動装置(3)を含み、
前記作動装置(3)は、前記本体(3.1)に沿って歯状プロファイル(3.7、3.71)を含み、前記歯状プロファイル(3.7、3.71)の歯間のピッチは、放出すべき前記物質の単位体積に対応し、
前記容器(100)に前記物質を充填し、前記作動装置の前記歯状プロファイル(3)を、前記膜(2)を圧縮するように適応させ、前記容器(100)の前記チャンバ(A)内に存在する空気をなくすことによって、前記作動装置(3)が前記第1の動作位置にロックするようにすることを特徴とする、請求項2231のいずれか1項に記載の製造方法。
【国際調査報告】