(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】吸収性光重合性配合物中に鎖移動剤を含む方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20240628BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20240628BHJP
C08G 63/91 20060101ALI20240628BHJP
C08G 63/688 20060101ALI20240628BHJP
C08G 63/47 20060101ALI20240628BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240628BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240628BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L69/00
C08G63/91
C08G63/688
C08G63/47
B33Y70/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579501
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022034655
(87)【国際公開番号】W WO2022271904
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516228958
【氏名又は名称】ポリ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン マイケル アーロン
(72)【発明者】
【氏名】スタンフォード マシュー マーフィー
(72)【発明者】
【氏名】ブサリ ハーフィズ
(72)【発明者】
【氏名】ティンダール デブラ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CF00W
4J002CF00X
4J002DH037
4J002EC027
4J002EE036
4J002EE058
4J002EF027
4J002EV027
4J002EV107
4J002FD058
4J002FD098
4J002FD146
4J002FD207
4J002GB01
4J029AA08
4J029AB02
4J029AB07
4J029AC02
4J029AE06
4J029BA04
4J029EG09
4J029FB17
4J029GA41
4J029GA43
4J029HC06
(57)【要約】
付加プリンティング、特にステレオリソグラフィ(SLA)などの付加プリンティング技法に有用である化合物及び組成物が提供され、複数のエチレン系不飽和基を有する化合物及び複数のチオール基を有する化合物などの1つ以上の光硬化性化合物の組成物が光重合され、任意選択的に、重合性組成物は、互いに反応性である2つ以上の熱硬化性化合物を含み、任意選択的に、重合性組成物は、1つ以上の鎖移動剤を含み、任意選択的に、熱重合に供されて、固体形態で製造された物品を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、複数のエチレン系不飽和基(EU)を有する第1の有機化合物(ポリEU)と、任意選択的に、複数のチオール基(SH)を有する第2の有機化合物(ポリSH)と、光開始剤と、少なくとも1つの鎖移動剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記第1の有機化合物、任意選択的な第2の有機化合物、前記光開始剤、又は前記鎖移動剤のうちの少なくとも1つが、生体吸収性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記鎖移動剤が、0.03~0.80のエチレン系不飽和基のモルに対する鎖移動剤官能基(例えば、チオール)のモルの比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
生物由来である色素、顔料、又はUV吸収剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記色素、顔料、又はUV吸収剤が、カロテノイド、フラボノイド、フラボン、キノン、ポルフィリン、ジケトン、及びベータシアニジンからの生物由来分子である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記色素、顔料、又はUV吸収剤が、ベータ-カロテンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
X:YのSH対EU当量比を有し、Xが25~75の範囲にあり、Yが75~25の範囲にあり、X及びYの合計が100である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリSHが、水溶性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ポリSHが、生体吸収性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポリSHが、マクロマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリSHが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ポリSHが、500g/mol未満の分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ポリEUが、水溶性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ポリEUが、生体吸収性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ポリEUのEUが、アクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
ポリEUのEUが、メタクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
ポリEUのEUが、ノルボルネニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ポリEUが、マクロマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
ポリEUが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカルボニル基を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUが、各々複数のカルボニル基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUが、各々複数のエステル基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つのポリEU及びポリSHが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を更に有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
ポリSHの前記複数のSHが、2、3、及び4つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
ポリEUの前記複数のEUが、2、3、及び4つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
無水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
約18℃~約22℃の室温で流体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物の光化学的に硬化した反応生成物を含む組成物であって、分解されたとき、20,000ダルトン未満の分子量を有する分解生成物(又はポリマー骨格)をもたらす、組成物。
【請求項31】
生体吸収性である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
50℃で固体である、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
付加製造プロセスであって、
(a)請求項1~29のいずれか一項に記載の第1の組成物を含むバットを提供することと、
(b)光源からの化学線を、前記バット内の前記第1の組成物に向けることであって、前記化学線が、第2の組成物を形成するように前記組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
(c)前記第2の組成物を含む固体物品を形成することと、を含む、付加製造プロセス。
【請求項34】
組成物であって、複数の光重合性基(hν)を有する第1の有機化合物(ポリhν)、光開始剤、複数の反応性基Δ1を有する第2の有機化合物(ポリΔ1)、及び複数の反応性基Δ2を有する第3の有機化合物(ポリΔ2)を含み、Δ1が、接触及び50℃超の温度への曝露でΔ2と反応し、任意選択的に、鎖移動剤を含む、組成物。
【請求項35】
ポリhνが、生体吸収性である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
pポリhνが、マクロマーである、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
ポリhνが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
ポリhνが、500g/mol未満の分子量を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項39】
ポリhνが、水溶性である、請求項34に記載の組成物。
【請求項40】
ポリhνが、アクリレート及びメチアクリレートから選択されるポリEUである、請求項34に記載の組成物。
【請求項41】
ポリhνのhνが、ノルボルネニルである、請求項34に記載の組成物。
【請求項42】
Δ1が、求核剤であり、Δ2が、求電子剤である、請求項34に記載の組成物。
【請求項43】
Δ1が、ヒドロキシル及びアミノから選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項44】
Δ2が、エポキシド及びイソシアネートから選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項45】
ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカルボニル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項46】
ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項47】
少なくとも1つのポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項48】
ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項49】
ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項50】
ポリhνの前記複数のhνが、2、3、及び4つから選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項51】
ポリΔ1の前記複数のΔ1が、2、3、及び4つから選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項52】
ポリΔ2の前記複数のΔ2が、2、3、及び4つから選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項53】
110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、請求項34に記載の組成物。
【請求項54】
無水である、請求項34に記載の組成物。
【請求項55】
約18℃~約22℃の温度で流体である、請求項34に記載の組成物。
【請求項56】
請求項29~50のいずれか一項に記載の組成物の光化学的に硬化した反応生成物及び熱的に硬化した反応生成物を含む組成物であって、分解されたとき、20,000ダルトン未満の分子量を有する分解生成物(又はポリマー骨格)をもたらす、組成物。
【請求項57】
生体吸収性である、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
50℃で固体である、請求項56に記載の組成物。
【請求項59】
付加製造プロセスであって、
(a)請求項34~55のいずれか一項に記載の第1の組成物を含むバットを提供することと、
(b)光源からの化学線を、前記バット内の前記第1の組成物に向けることであって、前記化学線が、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物を形成するように、前記第1の組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
(c)光化学的に硬化した組成物及び熱的に硬化した組成物を含む第3の組成物を形成するように、光化学的に硬化した組成物を含む前記第2の組成物に熱エネルギーを適用することと、を含む、付加製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願への参照による組み込み
外国又は国内の優先権の主張が、本出願とともに出願された出願データシートにおいて特定されているあらゆる全ての出願が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的には、付加製造プロセスによって物品、例えば、生体吸収性インプラントを調製するために使用される、鎖移動剤を含む光硬化性及び熱硬化性組成物などの硬化性組成物、並びにそれらの分解生成物の調製及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ステレオリソグラフィ(SLA)は、三次元(3D)物体を調製するための比較的十分に開発された付加プリンティング技法である。ステレオリソグラフィ方法では、紫外線(UV)又は可視光などの光を使用して、液体材料を高い正確度及び精度で三次元物品などの設計された構造に光重合する。薄い連続層は、例えば、スライスCAD(コンピュータ支援設計)モデルの指示下、UV又は可視光によって光重合される。
【0004】
SLAは、概して、樹脂又はインク配合物と呼ばれ得る液体光重合性組成物を使用する。SLAによって製造された物品の肉眼的特性及び分解プロファイルは、ポリマー化学及び加工技法に部分的に依存する。
【0005】
エチレン系不飽和官能基を有する吸収性マクロマーのSLA重合後、吸収性ポリマーセグメントは、加水分解又は酵素分解によって分解されて、反応したエチレン系不飽和基から非吸収性ポリマー(すなわち、骨格)を残し得る。かかる配合物が生体内又は生体上に埋め込み可能であるためには、非吸収性ポリマーが水溶性であり、およそ20,000Da未満の分子量を有し、それによって、これらの分解生成物が腎臓によって排泄され得ることが望ましい。フリーラジカル重合され、その後分解されるエチレン系不飽和ポリエステルは、ポリマー骨格などの分解生成物が、20,000Daよりもはるかに大きい分子量を有することが現在知られている。これは、光開始剤化合物からの毒性を低減するために、少量の光開始剤濃度を有する生体適合性埋め込み可能樹脂を使用する光重合方法の場合であり得る。
【0006】
本開示は、分解生成物を有する3Dフォトプリンティング物品、特に医療デバイスなどの埋め込んだ物品に望ましい3Dフォトプリンティング物品を製造するためのステレオリソグラフィ(SLA)及びデジタル光処理(DLP)方法を含むが、これらに限定されない、化学線反応性3Dプリンティングプロセスに有用な化合物及び組成物を提供する。開示される化合物及び組成物は、この目的のための現在知られている化合物及び組成物を超える利点を有する。
【0007】
背景セクションで考察される主題の全ては、必ずしも先行技術ではなく、単に背景セクションにおけるその考察の結果として、先行技術であると想定されるべきではない。これらのラインに沿って、背景セクションで考察されたか、又はかかる主題に関連する先行技術における問題のいかなる認識も、先行技術であると明示的に言明されない限り、先行技術として扱われるべきではない。代わりに、背景セクションにおける任意の主題の考察は、特定の問題に対する発明者のアプローチの一部として扱われるべきであり、それ自体で、及びそれ自体が本発明であり得る。
【発明の概要】
【0008】
簡単にいうと、一態様において、本開示は、光硬化プロセスなど、又は光硬化プロセスと併せて使用される熱硬化プロセスなどの硬化プロセスから生じる分解生成物を低減するのに有用な化合物及び組成物を提供する。硬化プロセスは、医療デバイスなどの物品及びコーティングを製造するのに有用である。例示的な硬化プロセスは、ステレオリソグラフィ(SLA)であり、これは、例えば、光反応性マクロマーを含む1つ以上の光反応性化合物を含有する本開示による硬化性組成物が、プロセス中に光重合(光硬化)されて製造した物品を形成する、付加製造プロセスである。別の例示的なプロセスは、本開示の化合物及び/又は組成物を表面上に配置し、次いで、熱への曝露(熱硬化)及び/又は化学線への曝露(すなわち、光重合又は光硬化)によって硬化させて、表面にコーティングを提供するコーティングプロセスである。これらの硬化生成物、すなわち、本明細書に開示される組成物を硬化させることによって形成される生成物は、概して、本明細書では、物品、コーティング、フィルム、材料などと称され得る。したがって、本開示が物品を調製することによって例示される場合、コーティング又は他の材料も同様に調製することができることを理解されたい。一態様において、物品、コーティングなどは生分解性である。
【0009】
一態様において、本開示は、硬化プロセスによって形成される生分解性高分子材料を提供する。材料は、ある期間後に、生分解性材料から形成された物品がもはや存在しないように、限定された寿命を有する物品を生成するために使用され得る。例えば、材料は、医療デバイスなどのデバイス上のコーティングであり得、コーティングは、ある期間後に分解する。別の例では、材料は、医療デバイス、例えば、組織修復のためのメッシュを調製するために使用され得、それによって、期間後に、物品の一部が存在するか、又は全く存在せず、組織修復が達成される。別の例として、医療デバイスは、組織接着剤又はシーラントであり得、本開示の重合性組成物は、接着剤又はシーラントを必要とする組織に適用され得、次いで、その組成物は、組織上で組成物の光重合を引き起こすのに十分な化学線に曝露される。
【0010】
本開示によれば、一態様において、ステレオリソグラフィを使用し、例えば、本明細書に開示される化合物及び組成物を使用して、かかる材料及び物品を調製し得る。本開示は、生命体と接触することになるSLA生成した物品などの熱-及び光-硬化材料に関する懸念に対処し、生成した物品の安全性及び有効性、特にそれらの生体適合性及び細胞毒性に関する懸念を含む。
【0011】
一態様において、本開示は、例えば、1つ以上の鎖移動剤及び/又は1つ以上の添加剤を含む、高分子組成物の調製及び使用を提供する。高分子組成物は、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ランダムブロックコポリマー、又はそれらの組み合わせを含む光重合性ポリマーを含み得るか、又はそれらから作製され得る。高分子組成物は、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ランダムブロックコポリマー、又はそれらの組み合わせを含む熱可塑性ポリマーを含み得るか、又はそれらから作製され得る。一態様において、高分子組成物は、二重ネットワークであり、2つの化学的に異なるポリマーが組成物中に混合物で存在しており、任意選択的に、二重ネットワークポリマー組成物は、硬化後、固体であることを特徴とし得る。一態様において、高分子組成物は、単一ネットワークであり、単一のポリマーが組成物中に存在し、任意選択的に、単一ネットワーク高分子組成物は、硬化後に固体であることを特徴とし得る。一態様において、単一ネットワークは、架橋ポリマーを含む。一態様において、二重ネットワークは、架橋ポリマーを含む。本明細書に開示される高分子組成物は、例えば、付加製造プロセスによって生体吸収性インプラントを調製するために使用され得る。ポリマーという用語の使用は、単一の化学的又は物理的タイプのポリマーを指し得、多くの個々のポリマー分子の組成物であることが意図される。いくつかの場合では、ポリマーという用語は、個々のポリマー分子を指し得る。当業者は、本開示から、書かれた用語の意図された意味及び論理的意味を識別することができる。
【0012】
一態様において、本開示は、(1)本明細書でポリhνと呼ばれる複数の光重合性基を有する化合物、及び/又は(2)ポリマーを形成するように互いに熱反応性(熱硬化性)である2つの化合物の混合物を含む組成物を提供し、2つの化合物は、本明細書においてポリΔ1及びポリΔ2と呼ばれるか、又は総称してポリΔ(すなわち、ポリΔは、ポリΔ1及びポリΔ2の混合物を指す)と呼ばれ得る。一態様において、組成物は、光開始剤を追加して含む。態様において、組成物は、1つ以上の鎖移動剤を含む。一態様において、組成物は、1つ以上の添加剤を追加して含む。一態様において、組成物は、安定剤を追加して含む。一態様において、本開示は、光開始剤、任意選択的に1つ以上の鎖移動剤、任意選択的に1つ以上の添加剤、ポリHv、及び/又はポリΔを含む組成物の光重合から生じる、硬化した、任意選択的に架橋した組成物を提供し、この硬化した(例えば、架橋した)組成物は、単一ネットワークを有するといわれ得、それ自体と反応するポリhν又はそれ自体と反応するポリΔから形成されたネットワークを指す。一態様において、本開示は、光開始剤、任意選択的に1つ以上の鎖移動剤、任意選択的に1つ以上の添加剤、ポリhv、及び/又はポリΔを含む組成物から生じる二重ネットワーク組成物を提供し、ポリhνの光重合、及びポリΔ1のポリΔ2との熱重合は、ポリhv及びポリΔの各々が独立したネットワークを形成する場合、一方又は両方が任意選択的に架橋ネットワークである。2つの独立したネットワークは、互いに貫通する二重ネットワークを一緒に形成する。したがって、二重ネットワークは、熱反応性成分(ポリΔ1及びポリΔ2)及び少なくとも1つの光反応性成分(ポリhν)の両方、光開始剤及び1つ以上の鎖移動剤、並びに任意選択的に1つ以上の添加剤を有する組成物を熱硬化し、かつ光硬化することによって形成される。一態様において、光硬化は、熱硬化に先行する。一態様において、熱硬化は、光硬化に先行する。一態様において、光硬化及び熱硬化は、同時に生じる。
【0013】
一態様において、本開示は、1)本明細書でポリSHと呼ばれる、複数の光重合性チオール基を有する化合物、及び2)本明細書でポリEUと呼ばれる、複数の光重合性エチレン系不飽和基を有する化合物を含む組成物を提供し、ポリSH及びポリEUは互いに光反応性である。一態様において、組成物は、光開始剤を追加して含む。一態様において、組成物は、1つ以上の鎖移動剤を追加して含む。一態様において、組成物は、1つ以上の添加剤を追加して含む。一態様において、組成物は、安定剤を追加して含む。一態様において、本開示は、光開始剤、1つ以上の鎖移動剤、1つ以上の添加剤、ポリSH、及びポリEUを含む組成物の光硬化(光重合)から生じる単一ネットワークポリマー組成物を提供する。一態様において、本開示は、光開始剤、1つ以上の鎖移動剤、ポリSH、及びポリEUを含む組成物の光硬化(光重合)から生じる単一ネットワーク架橋結合組成物を提供する。別の態様において、本開示は、光開始剤、1つ以上の鎖移動剤、1つ以上の添加剤、安定剤、ポリSH、及びポリEUを含む組成物の光硬化(光重合)から生じる単一ネットワーク架橋組成物を提供する。例示的なEU基は、アクリレート、メタクリレート、及びノルボルネニルであり、ポリEUは、複数のEU基、任意選択的に2つのEU基、又は3つのEU基、又は4つのEU基を含む化合物を指す。
【0014】
一態様において、3Dプリンティングなどの硬化プロセスための、並びにもたらされる硬化物品を作製及び使用するための方法及び組成物が本明細書に開示される。例えば、本開示は、物品を光重合プリンティングするための方法であって、a)本明細書に開示されるポリEUマクロマー及びポリSHを含む光重合性組成物を、任意選択的に、少なくとも1つの光開始剤成分、及び/又は組成物に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1つの光反射材料成分、及び/又は1つ以上の鎖移動剤、及び/又は少なくとも1つの安定剤、及び/又は1つ以上の添加剤などの1つ以上の他の成分と組み合わせて、好適な波長の光に一定時間曝露することと、光重合性組成物の重合生成物を含むプリンティング物品を形成することと、を含む、方法を提供する。別の態様において、本開示は、物品を光重合プリンティングするための方法であって、a)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2を含む光重合性組成物を好適な波長の光に一定時間曝露することと、b)ポリΔ1をポリΔ2と、任意選択的に、少なくとも1つの光開始剤成分、及び/又は組成物に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1つの光反射材料成分、及び/又は少なくとも1つの安定剤、及び/又は1つ以上の鎖移動剤、及び/又は1つ以上の添加剤などの他の成分と組み合わせて熱重合することと、光重合性組成物の重合生成物を含むプリンティング物品を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0015】
一態様において、コーティングプロセスを含むフィルム形成プロセスなどの光重合プロセス、及びかかる光重合材料を作製及び使用するための方法及び組成物が本明細書に開示される。例えば、本開示は、物品の光重合コーティングのための方法であって、a)本開示の光重合性組成物を表面に適用することと、b)本明細書に開示されるポリEU及びポリSHを含む光重合性組成物を、任意選択的に、少なくとも1つの光開始剤成分、及び/又は組成物に懸濁した光反射材料を含む少なくとも1つの光反射材料成分、及び/又は少なくとも1つの安定剤、及び/又は1つ以上の鎖移動剤、及び/又は1つ以上の添加剤などの1つ以上の他の成分と組み合わせて、好適な波長の光に一定時間曝露することと、光重合性組成物の重合生成物を含む固体コーティングを形成することと、を含む、方法を提供する。
【0016】
他の態様において、本開示は、マクロマーが、例えば、本明細書に開示される1つ以上の方法によって重合されている、マクロマー(プリポリマーとも呼ばれ得る)の重合生成物を提供する。加えて、本開示は、本明細書に開示される光重合性化合物又は組成物から、任意選択的に本明細書に開示される1つ以上の方法によって生成される、ポリマー物品と呼ばれ得る物品を提供する。光重合マクロマー又は物品は、非毒性物品であり得る。加えて、物品は、任意選択的に非毒性量の光開始剤と混合して、生分解性光重合マクロマーを含み得る。任意選択的に、物品は、生分解性光重合マクロマーを、任意選択的に、非毒性量の安定剤、及び/又は1つ以上の鎖移動剤、及び/又は1つ以上の添加剤と混合して含み得る。任意選択的に、物品は、任意選択的に、非毒性量のUV反射材料と混合して、生分解性の光重合マクロマーを含み得る。一態様において、ポリマー物品は、生理学的条件下で、全体又は一部が生分解性である。しかしながら、代替的な態様において、ポリマー物品は、生理学的条件下で生分解性ではない。
【0017】
加えて、本開示は、多軸中央コア(CC)及び中央コアから伸長する式(A)-(B)又は(B)-(A)の2~4個のアームを含む、本明細書ではマクロマーとも呼ばれる光重合性化合物を提供し、アームのうちの少なくとも1つは、光反応性官能基(Q)を含み、(A)は、トリメチレンカーボネート(本明細書ではT、又はTMCとも呼ばれる)及びε-カプロラクトン(本明細書ではカプロラクトン、又はC、又はCAPとも呼ばれる)から選択されるモノマーの重合生成物であり、(B)は、グリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノンから選択されるモノマーの重合生成物である。マクロマーは、本明細書に開示される組成物及び方法における光重合性マクロマー成分であり得、光重合して物品を提供し得る。他のマクロマーは、以下のクラスのポリマーに由来するか、又は以下のカテゴリのポリマー:ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシアルコノエート(polyhydroxyalkonoates)、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリアミド、及び天然由来ポリマーのコポリマーの組み合わせである光重合性化合物を含み得る。天然由来ポリマーのいくつかの例としては、以下:キトサン、ヒアルロン酸、ペクチン、及びセルロースが記載されるが、これらに限定されない。ポリエステルのいくつかの例としては、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、及びp-ジオキサノンに由来するホモポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリカーボネート及びポリカーボネートエステルのいくつかの例としては、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(トリメチレンカーボネート-コ-カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート-コ-カプロラクトン-コ-グリコリド)、及びポリ(トリメチレンカーボネート-コ-カプロラクトン-コ-ラクチド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
任意選択的に、本開示の組成物のうちのいずれかは、それらが硬化される前に、有効量の少なくとも1つの光開始剤、すなわち、組成物が光開始剤を活性化するのに好適な選択された波長の光を送達する光源から放出される放射に曝露されるときに、光重合性化合物の重合を達成するのに有効な量の光開始剤を含有し得る。
【0019】
一態様において、本開示は、付加プリンティング、例えば、ステレオリソグラフィとしても知られる3Dプリンティングの方法を提供し、方法は、光重合性化合物及び少なくとも1つの光開始剤、並びに任意選択的に、1つ以上の鎖移動剤、1つ以上の添加剤を有する本明細書に開示される重合性組成物を提供することと、重合性組成物中の光重合性化合物を光重合するために、光開始剤を活性化するのに有効である光にその組成物を曝露することと、を含む。一態様において、組成物は光に選択的に曝露され、それによって組成物の選択された部分で全てではなく光重合を受ける。一態様において、光重合性化合物は、1つ以上のポリhv化合物、例えば、本明細書でポリEU及びポリSHとして示される2つの光重合性化合物を含む混合物である。一態様において、1つ以上の光重合性化合物は、1つ以上の熱反応性化合物、例えば、本明細書でポリΔ1及びポリΔ2として示される2つの熱反応性化合物と混合される。一態様において、重合性組成物は、1つ以上の安定剤、1つ以上の光開始剤、組成物に懸濁した1つ以上の光反射材料、1つ以上の鎖移動剤、1つ以上の添加剤、及び1つ以上の色素を含むが、これらに限定されない他の成分を更に含む。
【0020】
以下は、本開示のいくつかの例示的な実施形態である。
1)複数のエチレン系不飽和基(EU)を有する第1の有機化合物(ポリEU)と、任意選択的に、複数のチオール基(SH)を有する第2の有機化合物(ポリSH)と、光開始剤と、1つ(すなわち、少なくとも1つ)の鎖移動剤と、を含む、組成物。
2)第1の有機化合物、任意選択的な第2の有機化合物、光開始剤、又は鎖移動剤のうちの少なくとも1つが、生体吸収性である、実施形態1の組成物。
3)鎖移動剤が、0.03~0.80のエチレン系不飽和基のモルに対する鎖移動剤官能基(例えば、チオール)のモルの比で存在する、実施形態1の組成物。
4)生物由来である色素、顔料、又はUV吸収剤を含む、実施形態1の組成物。
5)色素、顔料、又はUV吸収剤が、カロテノイド、フラボノイド、フラボン、キノン、ポルフィリン、ジケトン、及びベータシアニジンから選択される生物由来分子である、実施形態4の組成物。
6)色素、顔料、又はUV吸収剤が、ベータ-カロテンである、実施形態4の組成物。
7)X:YのSH対EU当量比を有し、Xが25~75の範囲にあり、Yが75~25の範囲にあり、XとYの合計が100である、実施形態1の組成物。
8)ポリSHが、水溶性である、実施形態1の組成物。
9)ポリSHが、生体吸収性である、実施形態1の組成物。
10)ポリSHが、マクロマーである、実施形態1の組成物。
11)ポリSHが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、実施形態1の組成物。
12)ポリSHが、500g/mol未満の分子量を有する、実施形態1の組成物。
13)ポリEUが、水溶性である、実施形態1の組成物。
14)ポリEUが、生体吸収性である、実施形態1の組成物。
15)ポリEUのEUが、アクリレートである、実施形態1の組成物。
16)ポリEUのEUが、メタクリレートである、実施形態1の組成物。
17)ポリEUのEUが、ノルボルネニルである、実施形態1の組成物。
18)ポリEUが、マクロマーである、実施形態1の組成物。
19)ポリEUが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、実施形態1の組成物。
20)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカルボニル基を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUが、各々複数のカルボニル基を有する、実施形態1の組成物。
21)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUが、各々複数のカルボニル基を有する、実施形態1の組成物。
22)少なくとも1つのポリEU及びポリSHが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を更に有する、実施形態1の組成物。
23)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、実施形態1の組成物。
24)ポリSH及びポリEUの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、実施形態1の組成物。
25)ポリSHの複数のSHが、2、3、及び4つから選択される、実施形態1の組成物。
26)ポリEUの複数のEUが、2、3、及び4つから選択される、実施形態1の組成物。
27)110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、実施形態1の組成物。
28)無水である、実施形態1の組成物。
29)約18℃~約22℃の室温で流体である、実施形態1の組成物。
30)実施形態1~29のいずれかの組成物の光化学的に硬化した反応生成物を含む組成物であって、分解されたとき、20,000ダルトン未満の分子量を有する分解生成物(又はポリマー骨格)をもたらす、組成物。
31)生体吸収性である、実施形態30の組成物。
32)50℃で固体である、実施形態30の組成物。
33)付加製造プロセスであって、
a.実施形態1~29のいずれか1つの第1の組成物を含むバットを提供することと、
b.光源からの化学線を、バット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、第2の組成物を形成するように組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
c.第2の組成物を含む固体物品を形成することと、を含む、付加製造プロセス。
34)組成物であって、複数の光重合性基(hν)を有する第1の有機化合物(ポリhν)、光開始剤、複数の反応性基Δ1を有する第2の有機化合物(ポリΔ1)、及び複数の反応性基Δ2を有する第3の有機化合物(ポリΔ2)を含み、Δ1が、接触及び50℃超の温度への曝露でΔ2と反応し、任意選択的に、鎖移動剤を含む、組成物。
35)ポリhνが、生体吸収性である、実施形態34の組成物。
36)ポリhνが、マクロマーである、実施形態34の組成物。
37)ポリhνが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、実施形態34の組成物。
38)ポリhνが、500g/mol未満の分子量を有する、実施形態34の組成物。
39)ポリhνが、水溶性である、実施形態34の組成物。
40)ポリhνが、アクリレート及びメチアクリレートから選択されるポリEUである、実施形態34の組成物。
41)ポリhνのhνが、ノルボルネニルである、実施形態34の組成物。
42)Δ1が求核剤であり、Δ2が求電子剤である、実施形態34の組成物。
43)Δ1が、ヒドロキシル及びアミノから選択される、実施形態34の組成物。
44)Δ2が、エポキシド及びイソシアネートから選択される、実施形態34の組成物。
45)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカルボニル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を有する、実施形態34の組成物。
46)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を有する、実施形態34の組成物。
47)少なくとも1つのポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有する、実施形態34の組成物。
48)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有する、実施形態34の組成物。
49)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2の少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有する、実施形態34の組成物。
50)ポリhνの複数のhνが、2、3、及び4つから選択される、実施形態34の組成物。
51)ポリΔ1の複数のΔ1が、2、3、及び4つから選択される、実施形態34の組成物。
52)ポリΔ2の複数のΔ2が、2、3、及び4つから選択される、実施形態34の組成物。
53)110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、実施形態34の組成物。
54)無水である、実施形態34の組成物。
55)約18℃~約22℃の温度で流体である、実施形態34の組成物。
56)実施形態34~55のいずれかの組成物の光化学的に硬化した反応生成物及び熱的に硬化した反応生成物を含む組成物であって、分解されたとき、20,000ダルトン未満の分子量を有する分解生成物(又はポリマー骨格)をもたらす、組成物。
57)生体吸収性である、実施形態56の組成物。
58)50℃で固体である、実施形態56の組成物。
59)付加製造プロセスであって、
a.実施形態34~55のいずれか1つの第1の組成物を含むバットを提供することと、
b.光源からの化学線を、バット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物を形成するように第1の組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
c.光化学的に硬化した組成物及び熱的に硬化した組成物を含む第3の組成物を形成するように、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物に熱エネルギーを適用することと、を含む、付加製造プロセス。
60)第2の有機化合物を含み、実施形態2~29のうちのいずれか1つによって更に記載される、実施形態1の組成物。
61)第2の有機化合物を含み、実施形態2~29のうちのいずれか2つ以上によって更に記載される、実施形態1の組成物。
62)鎖移動剤を含み、実施形態35~55のうちのいずれか1つによって更に記載される、実施形態34の組成物。
63)鎖移動剤を含み、実施形態35~55のうちのいずれか2つ以上によって更に記載される、実施形態34の組成物。
【0021】
本開示の上記及び追加の特性、並びにそれらを得る手段が明らかになり、本開示は、以下のより詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書に開示される全ての参考文献は、各々が個別に組み込まれたかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
本要約は、簡略化された形式で特定の概念を紹介するために提供されており、以下の詳細な説明で詳細に更に記載されている。他に明確に言明されている場合を除き、本概要は、特許請求の範囲の主題の主要な又は本質的な特性を特定することを意図するものでもなく、特許請求の範囲の主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0023】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。例示的な一実施形態に関連して例示又は説明される特性は、他の実施形態の特性と組み合わされ得る。本明細書に記載の様々な実施形態のうちのいずれかを組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。必要に応じて、本明細書に特定される様々な特許、出願、及び刊行物の概念を用いて、なおも更なる実施形態を提供するために、実施形態の態様を修正することができる。他の特性、目的、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0024】
本開示の上記及び追加の特性、並びにそれらを得る手段が明らかになり、本開示は、以下のより詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書に開示される全ての参考文献は、各々が個別に組み込まれたかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
本開示の例示的な特性、その性質、及び様々な利点は、添付の図面及び様々な実施形態の以下の詳細な説明から明らかであろう。非限定的及び非網羅的な実施形態は、添付の図面を参照して説明され、同様の表示又は参照番号は、特に指定されない限り、様々な図面を通して同様のパーツを指す。図面内の要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状が選択され、拡大され、図面の読みやすさを向上させるために配置される。描かれた要素の特定の形状は、図面における認識の容易さのために選択されている。1つ以上の実施形態が、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の選択された硬化した組成物について分解プロファイルを示す。
【
図2】本開示の選択された硬化した組成物について水膨潤プロファイルを示す。
【
図3】鎖移動剤の添加及び無添加での選択された硬化した組成物の質量損失プロファイルを示す。
【
図4】樹脂配合物(A~D)、並びに陽性(+)及び陰性(-)対照にわたるMTSアッセイによって決定された平均細胞生存率及び標準偏差(n=3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、本開示の好ましい実施形態及び本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。この詳細な説明を読む際、別途説明されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当該技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。文脈が別途明確に示さない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数用語は、複数の指示語を含む。同様に、「又は」という単語は、文脈が別途明確に示さない限り、「及び」を含むことが意図される。「含む(comprises)」という用語は、「含む(includes)」ことを意味する。略語「例えば(e.g.)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書において、非限定的な例を示すために使用される。したがって、略語「例えば(e.g.)」は、用語「例えば(for example)」と同義である。
【0028】
一態様において、本開示は、約室温、すなわち、約18℃~約23℃の温度で液体であり、硬化を受けることができる組成物を提供する。硬化プロセスは、本明細書において光重合とも呼ばれる、光硬化を含み得、組成物に応じて、本明細書において熱重合とも呼ばれる、熱硬化も含み得る。光硬化は、組成物が、組成物の光化学的(本明細書では光反応性又は光重合性などとも呼ばれる)成分間の反応、及び組成物中の成分の平均分子量に増加を引き起こすように、選択されたエネルギーの化学線に、選択された期間曝露されるときに生じる。熱硬化は、組成物が、組成物の熱的な反応性(本明細書では熱反応性又は熱重合性などとも呼ばれる)成分間の反応、及び組成物中の成分の平均分子量に増加を引き起こすように、室温を超えて好適な温度に好適な期間加熱されるときに達成される対応するプロセスである。反応物が3つ以上の光反応性又は熱反応性の化学基を有する化合物を含む場合、それによって硬化プロセスは、架橋した成分を有する組成物を提供することになる。本明細書で使用される場合、硬化は、組成物が熱的な反応性成分を有する場合、任意選択的に熱硬化を伴う光硬化を指す。
【0029】
本開示の組成物は、光反応性成分を含む。任意選択的に、組成物はまた、熱反応性成分を含み得る。組成物が熱反応性成分及び光化学反応性成分の両方を含む場合、もたらされる組成物は、本明細書で二重ネットワーク又は二層ネットワーク:光化学反応性化合物から形成された第1のネットワーク及び熱反応性化合物から形成された第2のネットワークを有すると称され得る。組成物が光化学反応性成分を有するが、熱反応性成分を有しない場合、もたらされる硬化した組成物は、本明細書において、単一のネットワークを有すると称され得る。
【0030】
以下で更に詳細に説明されるように、本開示の組成物は、「hv」基で示される少なくとも2つの光化学反応性官能基を有する1つ以上の化合物を含み得、任意選択的に、「Δ」基として示される少なくとも2つの熱反応性官能基を有する2つ以上の化合物を含み得る。反応性官能基は、有機骨格、すなわち、炭素及び水素を含む原子から作られた骨格に結合されることになる。単純な例として、Δ基がヒドロキシルである場合、熱反応性化合物は、エチレングリコール、すなわち、HO-CH2-CH2-OHであり得、骨格は-CH2-CH2-である。
【0031】
ポリマー分子(化合物)の骨格が反復化学単位を含む場合、ポリマー分子(化合物)は、本明細書ではマクロマーと称され得る。例えば、少量のエチレングリコール(開始剤と呼ばれる)と、多量のヒドロキシル酸又は等価物、例えば、乳酸又はラクチドとの間の反応は、エチレングリコール開始剤のいずれかの末端から伸長する2つのポリラクチド(反復ラクチド単位)を有し、また、ポリラクチド鎖の2つの末端の各々にヒドロキシル基を有するポリマー分子(化合物)をもたらすことになる。このポリマー分子は、本明細書では、マクロマー又は化合物と称され得る。一態様において、本開示の組成物は、光化学反応性成分としてのマクロマー、及び/又は熱反応性成分としてのマクロマーを含む。
【0032】
2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物は、本開示の例示的な熱反応性化合物である。かかるヒドロキシル含有化合物は、エポキシド又はイソシアネート基などの相補的官能基を有する化合物と熱反応性である。したがって、本開示の組成物は、2つ以上のヒドロキシル基を有する第1の化合物と、ヒドロキシル基と熱反応性である2つ以上の官能基を有する第2の化合物と、を有し得る。一態様において、ヒドロキシル基は求核基の例であり、エポキシドは求電子基の例である。したがって、一態様において、本開示の熱反応性組成物は、2つ以上の求核基を有する化合物と、2つ以上の求電子基を有する化合物と、を含むように記載され得る。
【0033】
本明細書に開示されるような熱硬化性組成物に有用である化合物であることに加えて、ヒドロキシル含有化合物はまた、光反応性化合物を調製するための有用な出発物質である。例えば、本明細書に開示されるように、ヒドロキシル基は、チオール含有基に変換され得る。加えて、ヒドロキシル基は、エチレン系不飽和部分を有する基に変換され得る。したがって、本明細書に開示されるヒドロキシル含有化合物の骨格はまた、本明細書に開示される組成物中の光化学反応性化合物の骨格又は骨格の一部分として存在し得る。本開示が2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を提供する場合、本開示は、そのヒドロキシル含有化合物の骨格が、任意選択的に、本開示の光化学反応性化合物中に存在することを同時に提供することが理解されるべきである。
【0034】
ポリΔ化合物
一態様において、本開示は、本明細書でポリΔ1及びポリΔ2として示される2つのポリΔ化合物を含む組成物を提供する。化合物ポリΔ1は、複数の(したがって用語「ポリ」)Δ1基を有し、Δ1基は、Δ2基と熱反応性である。化合物ポリΔ2は、複数のΔ2基を有し、Δ2基は、Δ1基と熱反応性である。ポリΔ1及びポリΔ2の各々は、有機化合物である。「熱反応性」という用語は、Δ1及びΔ2が互いに反応するために、ポリΔ1及びポリΔ2を含む組成物に熱が加えられなければならないことを意味する。室温、すなわち約22℃で、及び触媒の不存在下で、Δ1及びΔ2は、いかなる明らかな程度にも互いに反応しない。一実施形態において、本開示の組成物は、熱反応の速度を増加させる触媒を含まない。反応時に、Δ1及びΔ2は、ポリΔ1及びポリΔ2がポリマーネットワーク、任意選択的に、架橋されたポリマーネットワークの一部になるように、1つ以上の共有結合を形成する。
【0035】
一態様において、多価化合物(ポリオールとも称される)は、ポリΔ化合物である。例えば、アルキレン基を有する脂肪族ポリオールは、ポリΔとして使用され得る。例示的なアルキレン基としては、エチレン、プロピレン(分岐鎖又は直鎖)、ブチレン(分岐鎖又は直鎖)、ヘキシレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)、及びオクチレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)が挙げられる。架橋が必要な場合に使用され得る2つ以上のヒドロキシル基を有する例示的なポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、及び2,3,4-ペンタントリオールが挙げられる。
【0036】
一態様において、芳香族ジオールが、ポリΔとして使用され得る。例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、及びそれらの反応生成物、例えば、レゾルシノール及びエチレンカーボネートの反応生成物の反応生成物が挙げられる。他の好適な芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA及び4,4’-ジヒドロキシビフェニルが挙げられる。
【0037】
一態様において、ポリエーテルジオールが、ポリΔ化合物として使用され得る。ポリエーテルジオールは、ポリオキシアルキレンセグメント、言い換えるとポリエーテルセグメントを硬化組成物に導入することになる。ポリエーテルジオールは、オキシアルキレン基のホモポリマー、又は2つの異なるオキシアルキレン基のコポリマーを含み得る。コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマー、例えば、ジブロックコポリマー、若しくはトリブロックコポリマーであり得る。例示的なオキシアルキレン部分としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン、及びオキシテトラメチレンが挙げられる。
【0038】
一態様において、ポリカーボネートジオールが、ポリΔとして使用され得る。例としては、トリメチレンカーボネート、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ポリ(エチレン-カーボネート)ジオール、ポリ(プロピレン-カーボネート)ジオール、及びポリ(ブチレン-カーボネート)ジオールが挙げられる。
【0039】
例示的なポリΔマクロマーは、多軸中央コア(CC)及び反復単位を有する2~4個のアームを有し得る。かかるポリΔマクロマーは、本明細書では、多軸マクロマーと称され得る。一実施形態において、アームのうちの少なくとも2つは、求核基、例えば、ヒドロキシル基又はアミン基で終端する。一態様において、反復単位は全て同じであり、すなわち、アームはホモポリマーである。一態様において、反復単位は全てが同じではなく、すなわち、アームはコポリマーである。コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。例えば、以下で更に考察されるように、アームは、中央コアから伸長する式(A)-(B)又は(B)-(A)を有し得る。アームは、生分解性又は非生分解性であり得る。
【0040】
一態様において、アームはエステル基を含み、アームはポリエステルであるといわれ得る。エステル基を形成するために、アームは、全体又は一部で、ヒドロキシ酸又は等価物から調製され得る。例示的なヒドロキシ酸及び等価物には、グリコール酸(及びその等価物、グリコリド)、乳酸(及びその等価物、ラクチド)、ε-カプロラクトン(C)、及びp-ジオキサノンが含まれる。一態様において、アームは全て同じモノマーから形成され、それによって多軸マクロマーは、ホモポリマーアームを有する。一態様において、アームは、カーボネート基を含み得る。カーボネート基を形成するために、アームは、全体又は一部で、トリメチレンカーボネート(本明細書で「T」としても示される)から調製され得る。
【0041】
一態様において、ポリΔ化合物は、中央コア及び中央コアから伸長する複数の、例えば、2~4つのコポリマーアームを有する多軸マクロマーであり得、各アームは、熱反応性基、例えば、ヒドロキシル基で終了する(すなわち、終端する)。化合物は、式CC-[アームΔ]nによって表され得、式中、CCは中央コアを表し、nは、2~18、又は2~14、又は2~8、又は2~6、又は2~4の範囲内の数から選択される。各アームは、2つの基から選択されるモノマーの重合によって形成され、2つの基は、群A及び群Bとして示される。したがって、より具体的には、本開示の化合物において、CC-[アームΔ]nは、CC-[(A)p-(B)q-OH]n、又はCC-[(B)q-(A)p-OH]nのいずれかとして記述され得、式中、(A)p-(B)q及び(B)q-(A)pの各々は、アームを表す。任意選択的に、アームの末端官能基が示され得、例示的な末端官能基は、ヒドロキシルである。式中、Aは、トリメチレンカーボネート(T又はTMC)及びカプロラクトン(C又はCAP)を含み、任意選択的に、これらのみから選択される1つ以上のモノマーの重合生成物を表し、pは、重合生成物Aを形成するために重合されているモノマーの数を表し、pは、1~40、又は1~30、又は1~20、又は1~10から選択される。式中、Bは、グリコリド(G又はGLY)、ラクチド(L又はLAC)、及びp-ジオキサノン(D又はDOX)を含み、任意選択的に、これらのみから選択される1つ以上のモノマーの重合生成物を表し、qは、重合生成物Bを形成するために重合されているモノマーの数を表し、qは、1~40、又は1~30、又は1~20、又は1~10から選択される。
【0042】
例えば、式CC-[アームΔ]nの化合物が三官能性中央コアから形成され、AがCCに、Bの添加前に添加される場合、式CC-[アームΔ]nの化合物は、CC-[(A)p-(B)q-OH]3として記述され得る。この例では、Aが2つのT及び1つのCの重合によって形成される場合、pは3であり、Aは、各アーム内で独立して、TTT、TTC、TCT、TCC、CCC、CCT、CTC、及びCTTから選択される。この例に続いて、Bが1つのGの重合によって形成される場合、qは1であり、BはGである。この例では、各アームは、TTTG、TTCG、TCTG、TCCG、CCCG、CCTG、CTCG、及びCTTGから選択される化学式を有する。この例示的な化合物は、CC-[アームΔ]3として記述され得、各アームは、独立して、TTTG-OH、TTCG-OH、TCTG-OH、TCCG-OH、CCCG-OH、CCTG-OH、CTCG-OH、及びCTTG-OHから、又は代替的に、CC-[(T,T,C)-(G)-OH]3若しくはCC-[(T,T,C)3-(G)1-OH]3のいずれかから選択される。
【0043】
一態様において、本開示は、二官能性中央コアと、中央コアから伸長し、各アームがヒドロキシル基で終端する2つのアームと、を有する化合物を含む組成物を提供する。一実施形態において、本開示は、三官能性の中央コアと、中央コアから伸長し、各アームがヒドロキシル基で終端する2つ又は3つのアームのいずれかと、を含む化合物を含む組成物を提供する。一実施形態において、本開示は、四官能性中央コアと、中央コアから伸長し、各アームがヒドロキシル基で終端する2つ又は3つ又は4つのアームと、を有する化合物を含む組成物を提供する。化合物中の各アームは、ホモポリマー又はコポリマーであり得、コポリマーの場合、ランダムコポリマー又はブロックコポリマー、例えば、式(A)-(B)又は(B)-(A)によって表されるブロックコポリマーであり得る。化合物が、中央コアを群Aのモノマーと反応させ、続いてその反応生成物を群Bから選択されるモノマー(複数可)と反応させることによって調製されるとき、化合物は、式CC-[(A)-(B)-OH]を有することになる。しかしながら、組成物が、中央コアを群Bのモノマーと反応させ、続いてその反応生成物を群Aから選択されるモノマー(複数可)と反応させることによって調製されるとき、化合物は、式CC-[(B)-(A)-OH]を有することになる。
【0044】
態様において、マクロマーは、250,000Da未満、200,000Da未満、150,000Da未満、100,000Da未満、50,000Da未満、25,000Da未満、20,000Da未満、15,000Da未満、10,000Da未満、9,000Da未満、8,000Da未満、7,000Da未満、6,000Da未満、5,000Da未満、1,000Da未満の分子量を有することになる。
【0045】
態様において、組成物中に存在する多軸マクロマーは全て、同じ中央コアを含有する。例えば、組成物のマクロマー成分の全ては、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールから調製される。しかしながら、一態様において、本開示の組成物は、多軸マクロマー成分の混合物を含有し、例えば、マクロマー成分のいくつかは三軸であり、例えば、トリメチロールプロパンから作製され、同じ組成物の他のマクロマー成分は四軸であり、例えば、ペンタエリスリトールから作製される。
【0046】
態様において、本開示の多軸マクロマーは、比較的短いアーム、例えば、1~10個のモノマー残基/アームを有する。本明細書で使用される場合、モノマー残基は、モノマーの重合生成物、すなわち、そのモノマーがポリマーに組み込まれた後にモノマーが有する構造を指し、したがって、そのポリマーにモノマー残基を提供する。一実施形態において、本開示の化合物が付加プリンティングに使用される場合、これらの化合物は、流体状態にあるべきであり、化合物自体が流体であるか、又は化合物が溶媒及び/若しくは希釈剤に溶解されて流体組成物を提供するいずれかである。アームが長すぎる場合、組成物が化合物を希釈するために多量の溶媒又は希釈剤を含有しない限り、化合物を含有する組成物は、典型的には、粘度が高すぎてSLAなどの付加プリンティングには有用ではなく、この場合、付加プリンティングプロセスは、望ましくないほど大量の溶媒を利用することを必要とし得る。有利には、アームが比較的短い場合、化合物自体は、付加プリンティングプロセスの適用温度で流体であり得る。態様において、適用温度は、室温、すなわち、約18℃~約23℃であり、組成物は、この温度で液体である。
【0047】
任意選択的な態様において、かかる化合物を含有する本開示の化合物及び組成物は、多軸マクロマーのA領域(ブロックとも呼ばれる)を特徴付ける以下の特性のうちの1つ以上によって説明することができる:トリメチレンカーボネート(TMC又はT)から形成された残基を含む、すなわち、TMCの重合生成物又は残基であるブロックAを有する;カプロラクトン(CAP又はC)から形成された残基を含むブロックAを有する;TMC及びCAPの両方から形成された残基を含むブロックAを有する;ブロックAにおける少なくとも90%の残基が、TMC及びCAPから形成された残基である;化合物が、TMCから形成された1~45個又は2~45個の残基を含む;化合物が、TMCから形成された1~15個又は2~15個の残基を含む;化合物が、TMCから形成された1~10個又は2~10個の残基を含む;領域Aが、102~2500g/molの分子量を有する;領域Aが、102~1000g/molの分子量を有する;領域Aが102~900g/molの分子量を有する;各A領域が、2~45個のモノマー残基を含む;各A領域が2~15個のモノマー残基を含む;各A領域が、2~10個のモノマー残基を含む。
【0048】
任意選択的な態様において、かかる化合物を含有する本開示の化合物及び組成物は、多軸マクロマーのBブロック(領域とも呼ばれる)を特徴付ける以下の特性のうちの1つ以上によって説明することができる:各Bブロックが、1~45個又は2~45個のモノマー残基を含む;各Bブロックが、1~15個又は2~15個のモノマー残基を含む;各Bブロックが、1~10個又は2~10個のモノマー残基を含む。
【0049】
一態様において、ポリアミンは、ポリΔ化合物である。例えば、アルキレン基を有する脂肪族ポリアミンは、ポリΔとして使用され得る。例示的なアルキレン基としては、エチレン、プロピレン(分岐鎖又は直鎖)、ブチレン(分岐鎖又は直鎖)、ヘキシレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)、及びオクチレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)が挙げられる。2つ以上のアミン基を有する例示的なポリアミンとしては、ポリプロピレンイミンテトラミン(Dab-Am-4としても知られる)及びトリエチレンテトラミンが挙げられる。Huntsman社は、2つ以上のアミン基を有する多くの好適なポリアミン、例えば、ポリエーテルトリアミン(Huntsman製品XTJ-566)、JEFFAMINE(登録商標)ST-404ポリエーテルアミン(Huntsman製品(XTJ-586)、及びJEFFAMINE(登録商標)T-403ポリエーテルアミンを販売している。
【0050】
一態様において、芳香族ジアミンが、ポリΔとして使用され得る。例としては、1,2-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、トルエンジアミン(例えば、1,2-ジアミノ-3-メチルベンゼン、1,2-ジアミノ-4-メチルベンゼン、1,3-ジアミノ-2-メチルベンゼン、1,3-ジアミノエ(diaminoe)-4-メチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-メチルベンゼン、1,4-ジアミノ-3-メチルベンゼン)、アルキル置換トルエンジアミン(例えば、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン及び3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン)、及びp-キシレンジアミン(xylyenediamine)が挙げられる。
【0051】
一態様において、ポリエーテルジアミンは、ポリΔ化合物として使用され得る。ポリエーテルジアミンをジイソシアネート含有ポリΔと反応させるとき、結果はポリエーテル尿素部分となる。ポリエーテルジアミンは、オキシアルキレン基のホモポリマー、又は2つの異なるオキシアルキレン基のコポリマーを含み得る。コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマー、例えば、ジブロックコポリマー、又はトリブロックコポリマーであり得る。例示的なオキシアルキレン部分としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン、及びオキシテトラメチレンが挙げられる。
【0052】
一態様において、ポリイソシアネートは、ポリΔ化合物である。例示的なポリイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネート、例えば、限定されないが、テトラメチレンジイソシアネート、l-リジンジイソシアネート、リジンエチルエステルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、及びシクロヘキサンビス-(メチレンイソシアネート)である。別の例示的なポリイソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネート、例えば、限定されないが、メチレン4,4,-ジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートである。
【0053】
一態様において、ポリイソシアネートポリΔは、複数のイソシアネート基を有するマクロマーである。かかるマクロマーは、本明細書では、ポリイソシアネートマクロマーと称され得る。ポリイソシアネートマクロマーは、対応するポリヒドロキシル化マクロマーから、ポリヒドロキシル化マクロマーとジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとの反応によって調製され得る。
【0054】
例示的なポリイソシアネートマクロマーは、ジイソシアネート、並びにジアミン及びジオールのいずれか又は両方、例えば、ポリエーテルジアミン又はポリエーテルジオールを含むか、又はそれらからなる反応物の反応生成物である。かかるポリイソシアネートマクロマーは、追加のポリアミン及び/又は多価化合物と反応性である末端イソシアネート基を有する。例えば、ジイソシアネートを使用して、ジアミン又はジオールのいずれかとの反応によってマクロマーを形成し、末端イソシアネート基を有するポリΔ化合物(例えば、ポリΔ2化合物)を提供し得る。次に、このポリΔ2ポリイソシアネートマクロマーを、追加のジアミン又はジオール(ポリΔ1化合物)と熱反応させて、本開示の組成物における熱硬化ポリマーを形成し得る。
【0055】
一態様において、本開示は、ポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネート、及びポリオール、例えば、ポリエーテルジオールなどのジオールの反応生成物であるポリイソシアネートマクロマーを提供する。任意選択的に、以下のうちのいずれか1つ以上を使用してこのポリイソシアネートマクロマー及びその調製を更に説明し得る:ポリオールはジオールであり、ポリイソシアネートはジイソシアネートであり、ジオールは、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン、及びオキシテトラメチレン配列からなる群から選択される少なくとも1つのタイプのオキシアルキレン配列を含むポリエーテルジオールであり得る;ポリオールは、アルキレン基を有する脂肪族ポリオールであり得、例示的なアルキレン基には、エチレン、プロピレン(分岐鎖又は直鎖)、ブチレン(分岐鎖又は直鎖)、ヘキシレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)、及びオクチレン(分岐鎖、直鎖、又は環状)が含まれる。架橋が望ましい場合に使用され得る2つ以上のヒドロキシル基を有する例示的なポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、及び2,3,4-ペンタントリオールが挙げられる。ポリオールは、芳香族ジオールであり得、例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、及びそれらの反応生成物、例えば、レゾルシノール及びエチレンカーボネートの反応生成物が挙げられる。他の好適な芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA及び4,4’-ジヒドロキシビフェニルが挙げられる。
【0056】
一態様において、ポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートの反応生成物であるポリイソシアネートマクロマー、及びポリオール、例えば、ポリエーテルジオールなどのジオールは、ポリアミンなどのポリΔ1化合物と反応し得るポリΔ2化合物を提供する。反応生成物は、それが形成され得る反応物の観点からではなく、その構造成分の観点から説明され得る。一態様において、ポリマー鎖は、脂肪族基(脂肪族ジアミンによって寄与される)及びポリマーブロック(マクロマーによって寄与される)によって交互に分離された複数の尿素基を有するポリ尿素である。言い換えれば、構造は、-[尿素-脂肪族-尿素-ポリマーブロック]-単位を繰り返すことによって説明され得る。ポリマーブロックは、脂肪族基(ジイソシアネートによって寄与される)及びポリエーテル基によって交互に分離された複数のウレタン(カルバメートとしても知られる)基を有するポリウレタンである。言い換えると、ポリマーブロックの構造は、-[ウレタン-脂肪族-ウレタン-ポリエーテル]-単位を繰り返すことによって説明され得る。ポリエーテルセグメントは、任意選択的に、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン、及びオキシテトラメチレンから選択され得、一実施形態において、ポリマー鎖は、これらのポリエーテルセグメントのうちの複数を含有し、例えば、ポリマーは、オキシエチレン、オキシプロピレン、及びオキシテトラメチレン基を含有し、任意選択的に、オキシエチレン及びオキシプロピレンは、ブロックコポリマー配置(例えば、オキシエチレンブロック-オキシプロピレンブロック-オキシエチレンブロック)に配列される。ポリマーブロックはまた、ポリエーテルポリウレタンと称され得、ポリマーそれ自体は、ポリエーテルウレタン尿素と称され得る。
【0057】
組成物がポリΔ化合物として、例えば、ポリΔ2としてポリイソシアネートを含む場合、組成物はまた、ポリイソシアネート、すなわち、多価化合物などのポリΔ1化合物と反応性である化合物を含み、ポリイソシアネートと多価化合物との反応は、ウレタン基を生じる。イソシアネート反応性基の別の例はアミン基であり、それによって組成物がポリΔ2としてポリイソシアネートを含有する場合、組成物はポリΔ1としてポリアミン化合物を含み得、ポリイソシアネートとポリアミンとの反応は、尿素基を生じる。
【0058】
一態様において、ポリΔ化合物は、ポリエポキシドである。例示的なポリエポキシドとしては、ジエポキシド、トリエポキシド、及びテトラエポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、ポリΔ2は、ジエポキシドである。例示的なポリエポキシドとしては、ジエポキシブタン(ブタンジエポキシド、ブタジエンジエポキシド、又は1,2:3,4-ジエポキシブタンとしても知られる)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、約500~約6,000の分子量を有するポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び約500~約6,000の分子量を有するポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0059】
本開示は、ΔがヒドロキシルであるポリΔ化合物を提供する。かかる化合物は、ポリΔ化合物に変換され得、Δは、本開示のポリエポキシド化合物を提供するエポキシである。例えば、ポリヒドロキシル化合物を、過剰な当量数のエピクロロヒドリンと反応させ、続いて水酸化ナトリウムなどの塩基で処理して、ヒドロキシル基をエポキシ基に変換し得る。
【0060】
態様において、Δ1は、求核基である。一実施形態において、ポリΔ1は、複数のヒドロキシル(-OH)基を有する。一実施形態において、ポリΔ1は、複数のアミン基(-NH2)を有する。実施形態において、ポリΔ1は、それ自体と反応性ではない。実施形態において、ポリΔ1に存在する唯一の反応性基はΔ1基であり、Δ1基の全ては同じであり、例えば、それらは全てヒドロキシル基である。実施形態において、ポリΔ1は、2つのΔ1基を有する。実施形態において、ポリΔ1は、3つのΔ1基を有する。実施形態において、ポリΔ1は、4つのΔ1基を有する。実施形態において、ポリΔ1は、4つ超のΔ1基を有する。他の全ての因子が等しい場合、ポリΔ1の一部として存在するΔ1基が多いほど、より多くの架橋が、ポリΔ1を含む組成物から生じることになる。
【0061】
一態様において、Δ2は求電子基である。一実施形態において、ポリΔ2は、複数のエポキシド(-CH(O)CH-)基を有する。一実施形態において、ポリΔ2は、複数のイソシアネート(-N=C=O)基を有する。実施形態において、ポリΔ2は、それ自体と反応性ではない。実施形態において、ポリΔ2に存在する唯一の反応性基はΔ2基であり、Δ2基の全ては同じであり、例えば、それらは全てイソシアネート基である。実施形態において、ポリΔ2は、2つのΔ2基を有する。実施形態において、ポリΔ2は、3つのΔ2基を有する。実施形態において、ポリΔ2は、4つのΔ2基を有する。実施形態において、ポリΔ2は、4つ超のΔ2基を有する。他の全ての因子が等しい場合、ポリΔ2の一部として存在するΔ2基が多いほど、より多くの架橋が、ポリΔ2を含む組成物から生じることになる。
【0062】
一態様において、ポリΔ1はポリヒドロキシル化合物であり、一方、ポリΔ2はポリエポキシドである。
【0063】
一態様において、ポリΔ1はポリヒドロキシル化合物であり、一方、ポリΔ2はポリイソシアネートである。
【0064】
一態様において、ポリΔ1はポリアミン化合物であり、一方、ポリΔ2はポリエポキシドである。
【0065】
一態様において、ポリΔ1はポリアミン化合物であり、一方、ポリΔ2はポリイソシアネートである。
【0066】
一態様において、ポリΔ1はポリチオール化合物であり、一方、ポリΔ2はポリエポキシドである。
【0067】
一態様において、ポリΔ1はポリチオール化合物であり、一方、ポリΔ2はポリイソシアネートである。
【0068】
一態様において、本開示の組成物は、光開始剤を含む。一態様において、組成物は、1つ以上の添加剤を含む。態様において、組成物は、組成物中に懸濁した1つ以上の光反射材料を含む。態様において、組成物は、1つ以上の安定剤を含む。態様において、組成物は、1つ以上の鎖移動剤を含む。
【0069】
ポリhν化合物
本開示のポリhν化合物は、複数の光重合性基、hνを含有する。例示的な光重合性基は、エチレン系不飽和基であり、エチレン系不飽和基を有する例示的なポリhν化合物は、ポリEUとして示され得る。別の例示的な光重合可能基は、チオール基であり、チオール基を有する例示的なポリhν化合物は、ポリSHとして示され得る。
【0070】
一態様において、本開示は、本明細書に記載のマルチアーム化合物を提供し、アームはhν基で終端し、そのhν基は光重合性である。一実施形態において、例示的なhν基は、光重合性であるチオール基を含有し得る。一実施形態において、例示的なhν基は、光重合性である炭素-炭素二重結合を含有し得、例えば、アームは、各々が光重合性炭素-炭素二重結合を有する、アクリレート又はメチアクリレート基に存在するようなビニル基を含み得る。
【0071】
光重合性成分、例えば光重合性チオール又は炭素-炭素二重結合を含有するhν基は、末端ヒドロキシル基と好適な試薬との反応によって、本明細書に記載のマルチアーム化合物に導入され得る。ヒドロキシル基をチオール含有基又は炭素-炭素二重結合含有基に変換する方法は一般に知られており、本開示の化合物を調製するために利用され得、例が本明細書に提供される。
【0072】
hν基は、光反応性基、特にhν含有マクロマーの重合を可能にする光反応性基を含有するが、hν基はまた、光反応性基の光反応性に影響を与える追加の原子、例えば、本明細書に示される炭素-炭素二重結合に隣接するカルボニル基、及び/又は光反応性基をマクロマーに導入するために使用された追加の原子、例えば、本明細書に示されるようにチオール基を導入するために使用され得るコハク酸エステルを含有し得る。
【0073】
例えば、ヒドロキシル基を光重合性炭素-炭素二重結合を含有するhν基(ポリEU)に変換するために、本明細書に記載される末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物を、反応性アクリレート、メタクリレート、又はノルボルネニル化合物、例えば、メタクリル無水物、アクリル無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、メタクリロイルクロリド、又はアクリロイルクロリドと反応させ得る。
【0074】
例えば、ヒドロキシル基を、光重合性チオール基(ポリSH)を含有するhν基に変換するために、本明細書に開示される末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物は、エステル化反応を受け得る。エステル化のための1つの方法は、カルボジイミド(例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド)及び触媒(例えば、ジメチルアミノピリジン)の存在下で、化学量論量のマクロマー及びメルカプトカルボキシル酸化合物を添加することである。例示的なメルカプトカルボキシル酸としては、以下の化合物:3-メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、チオグリコール酸、メルカプト酪酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプト安息香酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトオクタン酸、及びn-アセチルシステインが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に開示されるような末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物は、チオ乳酸と反応させ得、この場合、得られるQ基は、マルチアーム化合物の末端酸素に結合した式-C(=O)-CH2-SHを有する。
【0075】
チオール官能化マクロマー(ポリSH)を形成する別の例示的な方法は、対応するヒドロキシル終端化マクロマーを最初に修飾して末端カルボン酸基を形成することである。この一例は、ヒドロキシル終端化マクロマーを無水コハク酸と反応させることである。末端カルボン酸基では、マクロマーは、エステル化反応によってメルカプトアルコールと、又はメルカプトアミンと反応して、アミド結合を形成することができる。メルカプトアルコールのいくつかの例としては、メルカプトプロパノール、メルカプトヘキサノール、メルカプトオクタノール、及びメルカプトウンデカノールが挙げられるが、これらに限定されない。メルカプトアミンのいくつかの例としては、以下:システイン、グルタチオン、6-アミノ-1-ヘキサンチオール塩酸塩、8-アミノ-1-オクタンチオール塩酸塩、及び16-アミノ-1-ヘキサデカンチオール塩酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に開示されるような末端ヒドロキシル基を有するマルチアーム化合物は、コハク酸無水物と反応させて中間体を形成し、次いでシステインと反応させて末端チオール基を導入することができ、この場合、ポリSH化合物は、マルチアーム化合物の末端酸素に結合した式-C(=O)CH2CH2C(=O)NH-C(COOH)-CH2SHを有する部分を含む。
【0076】
チオール官能化マクロマーポリSHを形成するための更に別の方法は、末端ヒドロキシル基を有するマクロマーを、ペンダントチオール基を有するラクトンモノマーと反応させることである。これは、第3のステップで開環重合を生じる。
【0077】
一態様において、ポリSH化合物は、チオマーとして知られるマクロマーである。いくつかの態様において、チオール化合物は、少なくとも2つの遊離チオール基を含むマルチアームポリ(エチレングリコール)(PEG)又は少なくとも2つの遊離チオール基を含むマルチアームポリ(エチレンオキシド)である。例示的なチオマーとしては、4アーム-PEG2K-SH、4アーム-PEGSK-SH、4アーム-PEG10K-SH、4アーム-PEG20K-SH、4アームポリ(エチレンオキシド)チオール終端化、8アーム-PEG10K-SH(ヘキサグリエロールコア)、8アーム-PEG10K-SH(トリペンタエリスリトールコア)、8アーム-PEG20K-SH(ヘキサグリエロール(hexaglyerol)コア)、8アーム-PEG20K-SH(トリペンタエリスリトールコア)、及び8アームポリ(エチレンオキシド)チオール終端化が挙げられるが、これらに限定されない。これらのチオマーは、Millipore Sigma(旧Sigma Aldrich)から入手可能である。
【0078】
一態様において、ポリSHは、マクロマーではなく、代わりに、1000ダルトン未満の分子量を有する小分子である。任意選択的に、小分子ポリSHは、水溶性であり得る。かかるポリSH化合物の例としては、ジチオール化合物、トリチオール化合物、及びテトラチオール化合物が挙げられる。例示的なポリSH化合物としては、限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,7-ヘプタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,9-ノナンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,11-ウンデカンジチオール、1,12-ドデカンジチオール、1,13-トリデカンジチオール、1,14-テトラデカンジチオール、1,16-ヘキサデカンジチオール、ジチオールブチルアミン(DTBA)、テトラ(エチレングリコール)ジチオール、ヘキサ(エチレングリコール)ジチオール、2-メルカプトエチルエーテル、2,2’-チオジエタンチオール、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、プロパン-1,2,3-トリチオール、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリチルテトラチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2-ジチアン-4,5-ジオール、リポ酸(アルファリポ酸及びベータリポ酸)、3H-1,2-ジチオール、3-プロピル-1,2-ジチオラン、3-アセチル-1,2-ジチオラン、1,2-ジチオラン-4-カルボン酸、1,2-ジチオラン-3-ペンタノール、1,2,4-ジチアゾリジン、1,2-ジチアン、1,2-ジチエパン、1,2-ジチオカン、及び1,2-ジチオカン-3,8-ジオールが挙げられる。
【0079】
態様において、本開示の組成物は、少なくとも1つのポリhv化合物を含む。態様において、組成物は、光開始剤を含む。態様において、組成物は、1つ以上の添加剤を追加して含む。態様において、組成物は、組成物中に懸濁した1つ以上の光反射材料を追加して含む。態様において、組成物は、1つ以上の安定剤を追加して含む。態様において、組成物は、1つ以上の鎖移動剤を追加して含む。
【0080】
光開始剤
光開始剤は、放射に曝露されたときに反応性化学種を生じる有機(炭素含有)分子を指す。一実施形態において、光開始剤は、例えば、カチオン性又はアニオン性反応性化学種とは対照的に、ラジカル反応性化学種を生じる。光開始剤は、光硬化性コーティング、接着剤、及び歯科修復剤に使用が認められているフォトポリマーの調製のための周知の成分である。
【0081】
I型光開始剤は、単分子フリーラジカル生成剤であり、すなわち、UV-可視光の吸収時に、開始剤の構造内の特定の結合が均等開裂を受けてフリーラジカルを生成する。均等開裂は、フリーラジカル生成物への電子結合対の均一な切断である。I型光開始剤のいくつかの一般的なクラスにおける均等開裂の例:ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α-ジアルコキシ-アセト-フェノン、α-ヒドロキシ-アルキル-フェノン、及びアシルホスフィンオキシド。例えば、BASF、BASF SE、Ludwigshafen,Germanyから入手可能な例示的な市販のI型光開始剤には、Irgacure(商標)369、Irgacure(商標)379、Irgacure(商標)907、Darocur(商標)1173、Irgacure(商標)184、Irgacure(商標)2959、Darocur(商標)4265、Irgacure(商標)2022、Irgacure(商標)500、Irgacure(商標)819、Irgacure(商標)819-DW、Irgacure(商標)2100、Lucirin(商標)TPO、Lucirin(商標)TPO-L、Irgacure(商標)651、Darocur(商標)BP、Irgacure(商標)250、Irgacure(商標)270、Irgacure(商標)290、Irgacure(商標)784、Darocur(商標)MBF、Ivocerin、ハンド(hand)Irgacure(商標)754、リチウムフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィナート、マグネシウムフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィナート、及びナトリウムフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィナートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
II型光開始剤は、光開始剤に加えて、共開始剤、通常、水素を容易に引き出すことができる官能基である、アルコール又はアミンを必要とする。II型光開始剤によるUV-可視光の吸収は、共開始剤から水素を引き出す光開始剤内の励起電子状態を引き起こし、その過程で、電子の結合対を分裂させる。ベンゾフェノン、チオ-キサントン、及びベンゾフェノン型光開始剤は、最も一般的なII型光開始剤である。いくつかの一般的なII型光開始剤の更なる例としては、リボフラビン、エオシンY、フルオレセイン、ローズベンガル、及びカンフォルキノンが挙げられる。フリーラジカルが生成されると、重合機構は、任意のフリーラジカル重合プロセスに類似している。
【0083】
任意選択的に、本開示の組成物は、少なくとも1つの光開始剤成分を、典型的には、光反応性化合物の総重量に基づいて、2重量%未満、又は1.5重量%未満、又は1重量%未満、又は0.9重量%未満、又は0.8重量%未満、又は0.7重量%未満、又は0.6重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.25重量%未満、又は0.1重量%未満の総濃度で含む。
【0084】
添加剤
本開示の組成物は、1つ、2つ、又は複数の添加剤などの添加剤を含有し得、これらは任意選択的であり得るか、又はあり得ない。例示的な添加剤が、本明細書に記載される。本明細書で使用される場合、「添加剤」は広範な用語であり、添加剤は、組成物中に懸濁されている1つ以上の光反射材料、1つ以上の移動剤、1つ以上の生体活性剤、1つ以上の色素、1つ以上の光開始剤、1つ以上の希釈剤、及び/又は1つ以上の安定剤を含むが、これらに限定されない。組成物は、エチレン系不飽和基(複数可)及び/又は鎖移動剤(複数可)を安定化する1つ以上の添加剤を含有し得る。添加剤は、かかる配合物の物理的及び/又は化学的特徴を変更し得る。添加剤は、単独で、又は配合物の成分として、再吸収性(生分解性)又は非再吸収性(非生分解性)、官能化又は非官能化、反応性又は非反応性であり得、鎖移動剤として作用し得るか、又は作用し得ない。添加剤は、生分解性、生物由来(すなわち、部分的又は全体が天然に存在し、合成的に形成されるのではなく植物又は動物に由来する)、生体不活性(すなわち、添加剤は、生体組織と相互作用するときに応答を誘発しない)であり得、哺乳動物又は他の生きている生物に非毒性である濃度で存在し得る。添加剤の例としては、安定剤であり得、トコフェロール、没食子酸ラウリル、又はリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、色素、顔料、及び/又は化学線吸収剤であり得、D&CバイオレットNo.2、β-カロテン、リコプレン、又はリボフラビンが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、化学線反射粒子(光反射材料)であり得、無機又は有機化合物、脂肪族又は芳香族ポリマー、又は他の結晶性固体粒子が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、希釈剤又は他の粘度調整剤であり得、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、又はトリメチロールプロパントリス-メルカプトプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、I型光開始剤であり得、アシルホスフィンオキシド、及び/又は通常、アルコール又はアミンである共開始剤を伴う、チオ-キサントン、リボフラビン、若しくはカンフォルキノンなどのII型光開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
一態様において、色素などの着色剤が、本開示の組成物及び対応する硬化生成物に含まれ得る。色素の添加は、配合物を所望の色に合わせる目的を達成することができる。一態様において、色素は、非毒性の生体適合性色素である。かかる色素は、組成物の総重量に基づいて、約2重量%以下の濃度で存在し得る。例えば、色素の使用のその教示について本明細書に組み込まれている、PCT/US2016/059910を参照されたい。一実施形態において、色素は、約0.1~0.3重量%の濃度で存在し、これは、吸収性縫合製品中に存在するときの色素D&CバイオレットにおけるFDA推奨量である。一実施形態において、色素は、0.5重量%未満の濃度で存在する。場合によっては、色素が高すぎる濃度で存在すると、色素は本開示の光重合化組成物に毒性を付与し得る。
【0086】
一態様において、より高い濃度の色素、顔料、又はUV吸収剤は、Jacobの方程式によって説明される光透過深度(Dp)を低減するために必要とされる。これらのより高い濃度のために、組成物は、生物由来の色素、顔料、又はUV吸収剤を含み得る。これらの化合物は、化学構造の観点から、カロテノイド、フラボノイド、フラボン、キノン、ポルフィリン、ジケトン、及びベータシアニジンに分類することができる。生物由来の色素、顔料、及びUV吸収剤のいくつかの例には、ベータ-カロテン、クロロフィル、リコプレン、アントシアニン、ケルセチン、ルチン、リボフラビン、ウコン、及びサフランが列挙されるが、これらに限定されない。本開示に含まれ得る組成物は、少なくとの1つの生物由来の色素、顔料、又はuv吸収剤を、典型的には、光反応性化合物の総重量に基づいて、5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は0.9重量%未満、又は0.8重量%未満、又は0.7重量%未満、又は0.6重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.25重量%未満、又は0.1重量%未満の総濃度で含み得る。一態様において、生物由来の色素、顔料、又はUV吸収剤を有する組成物は、生体適合性である。一態様において、生物由来の色素、顔料、又はUV吸収剤を有する組成物は、生体吸収性である。
【0087】
一態様において、光反射材料を含む光反射材料成分は、組成物中に懸濁され得、光反射材料成分は、光反射材料を有しない組成物の光用量と比較したとき、組成物の光用量を低い方へ調節する。本開示の組成物における任意選択的な包含のための好適な光反射材料は、2019年4月5日に出願され、Methods and Compositions for Photopolymerizable Additive Manufacturing,と題されたPCT出願第PCT/US2019/026114号、並びにその関連する米国及び海外の出願に提供されており、各々が本明細書にその全体で組み込まれる。
【0088】
好適な光反射材料は、UV光、可視光、又はその両方を反射する光反射材料を含む。例えば、光反射材料は、500ミクロン未満のサイズ、又は30ミクロン未満のサイズ、又は5ミクロン未満のサイズ、又は1ミクロン未満のサイズの粒子状光反射材料であり得るか、又はそれらを含み得る。光反射材料は、例えば、球、立方体、円錐、立方体、円柱、角錐、角柱、多面体、若しくは不規則な形状、又はそれらの混合物として形状化され得る。一態様において、光反射材料は、滑らかな表面を有する。
【0089】
態様において、光反射材料は、無機固体を含み得、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、二リン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アパタイト、及びリン酸四カルシウムを含むが、これらに限定されない。態様において、光反射材料は、脂肪族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、及びポリヒドロキシアルカノエート、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。態様において、光反射材料は、芳香族ポリマー及びコポリマーを含む有機化合物を含み得、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリイミド、又は組み合わせを含むが、これらに限定されない。態様において、光反射材料は、天然由来のポリマー及び誘導体を含む有機化合物を含み得、シクロデキストリン、デンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、フコイダン、硫酸コンドロイチン、スルファート多糖、ムコ多糖、ゼラチン、ゼイン、コラーゲン、アルギン酸、寒天、カラギーアン(carrageean)、グアーガム、アラビアゴム、ガッティガム、カラヤガム、コンジャックガム、タマリンドガム、タラガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガムを含むが、これらに限定されない。態様において、光反射材料は、結晶性脂肪族及び芳香族ポリマーを含む結晶性有機化合物を含み得る。態様において、光反射材料は、結晶性天然由来ポリマー及び誘導体を含む結晶性有機化合物を含み得る。態様において、光反射材料は、結晶性アミノ酸及びそれらの誘導体を含み得る。態様において、光反射材料は、結晶性脂肪酸及びそれらの誘導体を含み得、パルミチン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸、モノラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸助剤、及びカプリン酸を含むが、これらに限定されない。態様において、光反射材料は、結晶性ペプチドを含み得る。
【0090】
一態様において、本開示の組成物は、希釈剤を含有し得る。希釈剤は、反応性又は非反応性であり得る。反応性希釈剤は、光(UV又は可視光)に曝露されると光重合反応を受け、一方、非反応性希釈剤は、かかる光への曝露に対して不活性である。例示的な反応性希釈剤は、PEG-ジアクリレート(PEG-DA又はPEGDA)である。
【0091】
一態様において、生体活性剤が、本開示の組成物及び対応する硬化生成品に含まれ得る。かかる生体活性剤の例としては、線維形成誘導剤、抗真菌剤、抗細菌剤及び抗生物質、抗炎症剤、抗瘢痕化剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、防腐剤、麻酔剤、抗酸化剤、細胞/組織成長促進因子、抗腫瘍剤、抗がん剤、並びにECM組み込みを支持する薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
線維形成誘導剤の例としては、タルカムパウダー、金属ベリリウム及びその酸化物、銅、シルク、シリカ、結晶シリカート、タルク、石英ダスト、及びエタノール;フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリン、又はフィブリノーゲンから選択される細胞外マトリックスの成分;ポリリジン、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、キトサン、N-カルボキシブチルキトサン、及びRGDタンパク質からなる群から選択されるポリマー;塩化ビニル又は塩化ビニルのポリマー;シアノアクリレート及び架橋ポリ(エチレングリコール)-メチル化コラーゲンからなる群から選択される接着剤;炎症性サイトカイン(例えば、TGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-1β、IL-8、IL-6、及び成長ホルモン);結合組織成長因子(CTGF);骨形質タンパク質(BMP)(例えば、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、又はBMP-7);レプチン、並びにブレオマイシン又はその類似体若しくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。任意選択的に、デバイスは、細胞増殖を刺激する増殖剤を追加して含み得る。増殖剤の例としては、デキサメタゾン、イソトレチノイン(13-シスレチノイン酸)、17-β-エストラジオール、エストラジオール、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、ジエチルスチベステロール(diethylstibesterol)、シクロスポリンA、L-NAME、全トランスレチノイン酸(ATRA)、及びそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS2006/0240063を参照されたい。抗真菌剤の例としては、ポリエン抗真菌剤、アゾール抗真菌剤、及びエキノカンジンが挙げられるが、これらに限定されない。抗細菌剤及び抗生物質の例としては、エリスロマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、トブラマイシン、クリンダマイシン、及びマイトマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。抗炎症剤の例としては、ケトロラック、ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウム、及びフルリビプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬が挙げられるが、これらに限定されない。抗瘢痕化剤の例としては、タキサンなどの細胞周期阻害剤、セロリムス又はバイオリムスなどの免疫調節剤(例えば、参照によりその全体が組み込まれるUS2005/0149158を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。免疫抑制剤の例としては、グルココルチコイド、アルキル化剤、代謝拮抗剤、並びにシクロスポリン及びタクロリムスなどのイムノフィリンに作用する薬物が挙げられるが、これらに限定されない。免疫刺激剤の例としては、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、トール様受容体(TLR)アゴニスト、サイトカイン受容体アゴニスト、CD40アゴニスト、Fc受容体アゴニスト、CpG含有免疫刺激核酸、補体受容体アゴニスト、又はアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤の例としては、クロルヘキシジン及びチベゾニウムヨウ化物が挙げられるが、これらに限定されない。麻酔剤の例としては、リドカイン、メピバカイン、ピロカイン、ブピバカイン、プリロカルン(prilocalne)、及びエチドカインが挙げられるが、これらに限定されない。抗酸化剤の例としては、抗酸化ビタミン、カロテノイド、及びフラボノイドが挙げられるが、これらに限定されない。細胞成長促進因子の例としては、上皮成長因子、ヒト血小板由来TGF-β、内皮細胞成長因子、胸腺細胞活性化因子、血小板由来成長因子、線維芽細胞成長因子、フィブロネクチン、又はラミニンが挙げられるが、これらに限定されない。抗腫瘍剤/抗がん剤の例としては、パクリタキセル、カルボプラチン、ミコナゾール、レフルナミド、及びシプロフロキサシンが挙げられるが、これらに限定されない。ECM組み込みを支持する薬剤の例としては、ゲンタマイシンが挙げられるが、これに限定されない。
【0093】
本開示の組成物及び対応する硬化物品は、所望の効果を得るために、生体活性剤の混合物を含有し得る。したがって、例えば、抗細菌剤及び抗炎症剤を単一の物品に組み合わせて、薬剤の有効性の各々の組み合わせを提供し得る。
【0094】
光重合性組成物の他の添加剤は、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、溶媒、安定剤、チキソトロピック材料、トレーサ材料、及び導電性材料である。安定剤は、存在する場合、任意選択的に、トコフェロール、没食子酸、没食子酸のエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。適切な成分の添加によって、本開示の光重合化組成物(例えば、物品、又は片)は、色素の存在により着色され得るか、又は限定されないが、蛍光、放射性、反射性、可撓性、剛性、柔軟性、破砕性、又はそれらの組み合わせであるが、これらに限定さない、物品の少なくとも一部分を有するなどの任意の他の所望の属性を有し得る。
【0095】
一態様において、ポリhν又はポリΔを含む本開示の組成物は、水の不存在下で重合され、例えば、水は組成物中で希釈剤ではない。具体的には、一態様において、単一若しくは二重ネットワークを形成する組成物、又は単一若しくは二重ネットワークのそれ自体は、2500ppm未満、又は1000ppm未満、又は500ppm未満の水分(水)含有量の水を有する。一態様において、単一ネットワークを提供する本開示の光硬化性組成物は、それが外来の水を超えて含有しないという点で無水組成物である。一態様において、二重ネットワークを提供する本開示の光硬化性及び熱硬化性組成物は、それが外来の水を超えて含有しないという点で無水組成物である。本開示の無水組成物は、例えば、ヒドロゲルではない。
【0096】
エチレン系不飽和化合物及びチオール化合物の両方を用いて配合物を作成するための1つの課題は、光又は熱などの刺激を適用する前に、室温で混合すると重合するそれらの傾向である。したがって、それらの粘度が一定している作業時間が短くなる可能性があるため、これはこれらの配合物の適用を大幅に制限する可能性がある。具体的には、バット光重合を使用する付加製造では、これらの配合物は、経時的に変化する粘度を伴う問題を有する。本開示では、生体適合性安定剤は、少なくとも24時間の安定性を与えることができるように概説されており、これは、バット光重合のための作業時間に対処するのに有用であるだろう。態様において、1つ以上の安定剤化合物が、本開示の組成物、及び対応する硬化生成物に含まれ得る。
【0097】
態様において、ポリ(SH)又はポリ(EU)を含む組成物は、安定剤を含む。安定剤は、ポリ(SH)、ポリ(EU)、又はそれらの組み合わせに含まれ得る。一態様において、安定剤は、アドイン成分である。別の態様において、安定剤は、モノマー、希釈剤、溶媒、又はそれらの組み合わせに溶解されたアドインとして含まれる。一態様において、安定剤は、抗酸化剤である。別の態様において、安定剤は、酸である。好ましくは、酸安定剤は、1~5のpKaを有する。別の態様において、安定剤は、ホスファイト及びホスホネート化合物から選択される。別の態様において、安定剤は、抗酸化剤、酸、ホスファイト、ホスホネート、及びそれらの組み合わせを含み得る。抗酸化安定剤の例としては、ヒドロキノン、モノ-三級ブチルヒドロキノン(MTBHQ)、2,5-ジ-三級ブチル-ヒドロキノン(DTBHQ)、p-メトキシフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチル)フェノール(MBETBP)、p-tert-ブチルカテコール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(Anox330(商標)、Irganox1330(商標))、ヒドロキシトルエンブチルエーテル、トコフェロール(全ての異性体)、トコフェロールのエステル、ピロガロール、ラウリルガレート、没食子酸のエステル、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。酸安定剤の例には、ホスホン酸、亜リン酸、シュウ酸、コハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、フェニルホスホン酸、又はそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。ホスファイト及びホスホネート安定剤の例には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、又はそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。一態様において、安定剤は、ポリ(SH)及び/又はポリ(EU)配合物に可溶性である。好ましくは、安定剤は、生体適合性を達成する濃度で添加される。好ましくは、生体適合性安定剤は、トコフェロール、没食子酸、没食子酸のエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール、又はそれらの組み合わせを含む。一態様において、安定剤濃度は、100,000ppm未満、より好ましくは50,000ppm未満、より好ましくは15,000ppm未満、より好ましくは15,000ppm未満、より好ましくは5,000ppm未満、より好ましくは3,000ppm未満、更により好ましくは1,500ppm未満である。
【0098】
光重合反応条件
光重合性基を有する本明細書に記載の光重合性化合物ポリhν(ポリEU及びポリSHを含む)、及びかかる化合物を含む本開示の組成物は、任意選択的に、光開始剤の存在下で、更に任意選択的に他の成分の存在下で、適切な波長の光への十分な曝露で重合を受ける。適切な波長、曝露時間、及び硬化剤の同一性及び量の選択は、当該技術分野において従来のように、化合物及び組成物中のhν基の同一性及び量を考慮して選択される。光重合は、時として放射硬化と称され、その場合、光開始剤は硬化剤と称され得る。
【0099】
態様において、本開示の組成物中の光開始剤成分は、I型光開始剤を含む。態様において、本開示の組成物中の光開始剤成分は、II型光開始剤を含む。態様において、I型及びII型光開始剤の組み合わせが、本開示の光重合組成物中に存在する。
【0100】
本明細書に記載の光重合性化合物及び組成物のうちのいずれかにおいて、hνは、炭素-炭素二重結合、例えば、ビニル基であり得る。例示的なビニル基は、アクリレート基及びメタクリレート基である。別の例示的な炭素-炭素二重結合は、ノルボルネニルに存在する。追加的な態様において、1つ以上のhν基を有する光重合性化合物は、例として、300~450nm、又は300~425nm、又は350~450nm、又は350~425nm、又は365~405nm、又は450~550nmの波長を有する光に曝露されるとき、光重合を受ける。一実施形態において、ポリhν化合物及び関連組成物は、UV放射線に曝露されたとき、光重合を受ける。
【0101】
本明細書に記載される光重合性化合物及び組成物のうちのいずれかにおいて、hνは、チオール基であり得る。追加的な態様において、1つ以上のSH基を有する光重合性化合物ポリSHは、例えば、例として、300~450nm、又は300~425nm、又は350~450nm、又は350~425nm、又は365~405nm、又は450~550nmの波長を有する光に曝露されるとき、光重合を受ける。一実施形態において、ポリSH化合物及び関連組成物は、UV放射に曝露されたとき、光重合を受ける。一実施形態において、ポリSH化合物及び関連組成物は、可視放射に曝露されたとき、光重合を受ける。
【0102】
一態様において、本開示は、複数の光重合性チオール基を有する化合物と、複数の光重合性エチレン系不飽和基を有する化合物と、を含む組成物を提供する。チオール基及びエチレン系不飽和基は、光開始剤の存在下で、かつ好適な化学線への曝露時に、互いに反応性である。化学線は、代替的に光と称され得、組成物は光反応性と称され得る。この反応は、光重合又は硬化と称され得る。
【0103】
任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、エチレン系不飽和官能基を有する吸収性マクロマーの重合後、吸収性ポリマーセグメントは、加水分解又は酵素分解によって分解されて、反応したエチレン系不飽和基から非吸収性ポリマー(すなわち、骨格)を残し得ることが、現在理解されている。かかる配合物が埋め込み可能であるためには、非吸収性ポリマーは、哺乳動物の腎臓によって除去されるために、水溶性であり、およそ20,000~65,000Da未満の分子量を有するという基準を満たさなければならない。典型的なエチレン系不飽和ポリエステルがフリーラジカルで重合され、その後分解される場合、骨格分子量は、多くの場合、20,000~65,000Daよりもはるかに大きい。これは、少量の光開始剤が毒性を低減するために使用されなければならない、生体適合性埋め込み可能樹脂の光重合における場合である。本明細書に開示されるように、エチレン系不飽和ポリマーの分子量を低減する方法は、ポリマー骨格に組み込むことができ、エチレン系不飽和ポリマーを終端させ、エチレン系不飽和基を再開始することができる、少なくとも1つの鎖移動剤を組み込むことである。本開示は、3Dプリンティング重合化物品の分解又は再吸収中に生成される分解生成物の分子量を変更するように、エチレン系不飽和基に対する鎖移動剤の特定範囲の比を提供する。少なくとも1つの鎖移動剤を含む組成物に使用される生体適合性化学種が更に開示される。
【0104】
一態様において、エチレン系不飽和基(EU)、光開始剤、及び少なくとも1つの鎖移動剤を含む化合物の光化学的に硬化した反応生成物を含む組成物は、分解されたとき、60,000ダルトン未満、より好ましくは50,000ダルトン未満、更により好ましくは30,000ダルトン未満、更により好ましくは20,000ダルトン未満の分子量を有する分解生成物(又はポリマー骨格)をもたらす。
【0105】
態様において、鎖移動剤は、官能性反応性基を有する化合物を含み、チオール、ジスルフィド、アミノアルキルチオール、チオカーボネート、キサンテート、アルコール、ハロゲン、及び/又はリンを含む1つ以上の官能基を含むが、これらに限定されない。鎖移動剤の例としては、1-ドデカンチオール、オクチルメルカプタン、2,2′-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、1,6-ヘキサンジチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、チオ酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、N-アセチルシステイン、グルタチオン、バルイントロブ2:3-ジメルカプトプロパノールグルコシド、イソオクチオグリコレート、2-(ドデシルチオチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(DDMAT)、2-(2-カルボキシエチルスルファニルスルチオカルボニルスルファニル)プロピオン酸、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン(DMDO)、エタノール、イソプロパノール、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、及び次亜リン酸ナトリウムが挙げられる。
【0106】
鎖移動剤は、0.80未満、0.75未満、又は0.75~0.05のエチレン系不飽和基のモルに対する鎖移動剤官能基(例えば、チオール)のモルの比で重合性組成物中に存在し得る。鎖移動剤は、エチレン系不飽和基のモルに対する鎖移動剤の比が、約0.03モルの鎖移動剤官能基から約0.80モルのエチレン系不飽和基まで、約0.03モルの鎖移動剤官能基から約0.75モルのエチレン系不飽和基まで、約0.03モルの鎖移動剤官能基から約0.5モルのエチレン系不飽和基まで、約0.03モルの鎖移動剤官能基から約0.25モルのエチレン系不飽和基まで、約0.05モルの鎖移動剤官能基から約0.80モルのエチレン系不飽和基まで、約0.05モルの鎖移動剤官能基から約0.75モルのエチレン系不飽和基まで、約0.05モルの鎖移動剤官能基から約0.50モルのエチレン系不飽和基まで、約0.05モルの鎖移動剤官能基から約0.25モルのエチレン系不飽和基まで、約0.05モルの鎖移動剤官能基から約0.15モルのエチレン系不飽和基まで、及びそれらの間の範囲で、重合性組成物中に存在し得る。
【0107】
エチレン系不飽和マクロマーの例は、2019年4月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2019/026098号、及び2019年4月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2019/026114号、並びにそれらの関連する米国及び海外出願に開示されており、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。態様において、エチレン系不飽和マクロマーは、吸収性である。
【0108】
例えば、本明細書に開示される組成物は、生理学的条件下で生分解性又は吸収性又は再吸収性である、光重合することができるマクロマー(ポリマー)を含む光重合性マクロマー成分を含む。態様において、光重合性マクロマー成分は、エチレン系不飽和末端基を有する脂肪族又は芳香族のマクロマー、ポリマー、及び/又はオリゴマーを含む。例えば、光重合性マクロマー成分は、アクリレート末端基を有するポリマーを含む。態様において、アクリレート末端基は、メタクリレート末端基であり得る。態様において、光重合性マクロマーは、光反応性官能性末端基、例えば、アクリレート又はメタクリレートを含む。態様において、光重合性マクロマーは、光反応性官能性末端基、例えば、チオール基を含む。態様において、光重合性組成物は、光反応性官能性末端基が、例えば、アクリレート若しくはメタクリレートであり得る、光反応性末端基を有する1つ以上のマクロマー、又は異なる末端基、例えば、そのうちのいくつかがアクリレート末端基を有し、そのうちのいくつかがチオール末端基を有する、マクロマーの組み合わせを含み得る。
【0109】
態様において、マクロマーは、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、又は五官能性の光硬化性マクロマーを含み得、いくつかの場合では、比較的低分子量化学種又は比較的高分子量化学種を含むことができる。態様において、マクロマーは、反応性基を含み得、アクリレート(メタクリレートを含む)の不飽和官能基、アリル及びビニル系反応性基、並びにチオール反応性基が含まれるが、これらに限定されない。4、5、6、最大18個の反応性部位を有する、より高い官能性材料が本開示に企図される。モノマー材料は、典型的には250ダルトン未満の分子量を有し、一方、オリゴマー材料は、数万の分子量を有することができる。
【0110】
好適な光開始剤は、本明細書の他の箇所に記載されている。光開始剤が光反応性組成物を成功裏に硬化させるためには、光開始剤の吸収帯域が硬化に使用される光源の放出スペクトルと重なることが必要である。任意選択的に、本明細書に開示される光重合性組成物は、約10nm~約770nm、又は約100nm~約770nm、又は約200nm~約770nmの範囲の光の波長、及び範囲の間の全ての波長を吸収する少なくとも1つの光開始剤を含む。態様において、光開始剤成分は、300nm以上、最大約770nmの波長の光を吸収する光開始剤を含む。態様において、光開始剤成分は、365nm以上、最大約770nmの波長の光を吸収する光開始剤を含む。態様において、光開始剤成分は、375nm以上、最大約770nmの波長の光を吸収する光開始剤を含む。態様において、光開始剤成分は、400nm以上、最大約770nmの波長の光を吸収する光開始剤を含む。本開示の光重合条件は、組成物の光重合に好適な波長の所望のスペクトルを提供することができ、提供する発光源からの波長のスペクトルへの光反応性組成物の曝露を含むことになる。波長の選択は、光開始剤の同一性に依存することになる。市販の光開始剤の供給業者は、その特定の光開始剤のための適切な波長を示す。
【0111】
フリーラジカル生成光開始剤を使用して、本開示に従ってポリマー硬化を達成し得る。これらの光開始剤は、チオール含有化合物と、本明細書に開示されるようなエチレン系不飽和化合物との混合物を硬化させるために使用され得る。フリーラジカル生成光開始剤には、I型及びII型光開始剤と名づけられた、2つのタイプがあり、本開示に従って使用され得、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0112】
本明細書に開示される光重合性組成物は、所望の成分を組み合わせることによって、典型的には撹拌して均質な組成物を達成することによって作製される。所望の成分は、ホモジナイザーを使用して混合され得る。例えば、本明細書に開示される組成物は、上記で特定されるものなどの成分を組み合わせることによって調製され得る。任意選択的に、所望の成分は、懸濁液を補助する分散剤を含み得る。列挙した成分は、任意選択的に、混合する前に加熱され得る。列挙した成分は、気泡を除去するために任意選択的に真空下に配置され得る。
【0113】
態様において、本開示は、複数のチオール基(SH)を有する第1の有機化合物(ポリSH)、複数のエチレン系不飽和基(EU)を有する第2の有機化合物(ポリEU)、及び光開始剤を含む組成物を提供する。組成物中のポリSH及びポリEUの相対量は、X:YのΔ1対Δ2当量比の観点から説明し得、式中、Xは、SHの当量を表し、Yは、EUの当量を表し、XとYとの合計は、100である。一態様において、Xは25~75の範囲にあり、Yは75~25の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは30~70の範囲にあり、Yは70~30の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは40~60の範囲にあり、Yは60~40の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは45~55の範囲にあり、Yは55~45の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xの当量は、Yの当量にほぼ等しい。
【0114】
熱反応条件
本明細書で考察されるように、本開示の組成物は、高温への曝露で互いに反応性であるポリΔ1及びポリΔ2を含有し得る。特定の高温、及びその特定の高温でポリΔ1とポリΔ2との間の反応を達成するために必要な時間は、Δ1とΔ2の特定の同一性に依存することになる。求核剤と求電子剤との間の多くの反応では、30分~5時間にわたって約100℃の温度で十分である。
【0115】
一態様において、本開示は、複数の光重合性基(hν)を有する第1の有機化合物(ポリhν)、光開始剤、複数の反応性基Δ1を有する第2の有機化合物(ポリΔ1)、及び複数の反応性基Δ2を有する第3の有機化合物(ポリΔ2)を含む組成物を提供し、Δ1はΔ2と、接触して約50℃超の温度への曝露で反応する。組成物中のポリΔ1及びポリΔ2の相対量は、X:YのΔ1対Δ2当量比の観点から説明し得、式中、Xは、Δ1の当量を表し、Yは、Δ2の当量を表し、X及びYの合計は、100である。一態様において、Xは25~75の範囲にあり、Yは75~25の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは30~70の範囲にあり、Yは70~30の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは40~60の範囲にあり、Yは60~40の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xは45~55の範囲にあり、Yは55~45の範囲にあり、XとYとの合計は100である。一態様において、Xの当量は、Yの当量にほぼ等しい。
【0116】
組成物を高温に曝露するために、組成物はオーブン内に配置され得る。代替的に、加熱ランプを組成物に向けてもよく、ヘッドランプは、組成物を加熱する赤外線放射を提供する。
【0117】
付加製造
本明細書に開示される方法は、物品、特に非毒性及び生分解性物品を作製する硬化性組成物を使用するための方法を含む。例えば、本明細書に開示される組成物は、3Dプリンティング方法において硬化性インク又は樹脂として使用され得る。例えば、本明細書に開示される硬化性組成物は、3Dプリンティングにおけるバット重合プロセスで硬化性インク又は樹脂として使用され得る。例示的なバット重合プロセスとしては、ステレオリソグラフィ(SLとしても知られる、SLA)、デジタル光処理(DLP(商標)、Texas Instrument)、デイライトポリマープリンティング(DPP)、カーボンデジタル光合成(Carbon DLS(商標)、Carbon,Inc.)、及び連続液体界面生成(CLIP(商標)、Carbon,Inc.)が挙げられる。本開示の硬化性組成物を使用して物品を付加製造する他の好適な方法としては、結合剤噴射、材料噴射、材料押出、コンピュータアキシャルリソグラフィ、及び2光子重合プリンティングが挙げられる。本開示は、言及される3Dプリンティングプロセスのいずれかにおける、本明細書に開示される硬化性組成物の使用を提供する。
【0118】
したがって、一態様において、本開示は、バット重合、例えば、物品のSLAプリンティングのための方法を提供し、典型的には1.0重量%未満の総濃度にある少なくとも1つの光開始剤成分を含む、本明細書に開示される少なくとも1つの光重合性組成物を含む光重合性組成物を光でしばらく曝露することを含む。本明細書に開示される光重合性組成物のいずれかは、物品をSLAプリンティングするための方法に使用され得る。例えば、組成物は、ポリΔ1及びポリΔ2に加えてポリhνを含有し得る。別の例として、組成物は、ポリEU及びポリSHを含有し得る。任意選択的に、光重合性組成物は、反応性希釈剤又は非反応性希釈剤を含み得る。反応性希釈剤は、重合反応に加わる希釈剤であり、例えば、反応性希釈剤は、例えば、マクロマーとともに重合される。本開示の光重合性組成物は、安定剤、例えば、フリーラジカル安定剤を含み得る。
【0119】
本開示によるSLAによって物品をプリンティングするための方法は、プリンティング物品を熱エネルギーで硬化させることを含む二次硬化ステップを含み得る。二次硬化ステップは、プリンティングした物品の少なくとも一部分を熱エネルギーに曝露することを含み、それによって、プリンティング物品の少なくとも一部分が第2の熱誘導重合反応を受ける。例えば、物品の一部又は全てを、約100℃の温度に約30分~5時間曝露し得る。二次硬化ステップを使用して、プリンティング物品の特性を変更し得る。
【0120】
本開示によるSLAによって物品をプリンティングするための方法は、プリンティング物品の前処理及び/又は後処理を含み得る。例えば、プリンティング物品は、プリンティング後、熱硬化ステップの前又は後に洗浄され得る。
【0121】
プリンティング物品は、3Dプリンティング期間が完了した後にもたらされる物品である。プリンティング物品は、構造又は構造の一部分であり得る。プリンティング物品は、表面でプリンティングされるコーティングなどのフィルムの形態にあり得る。本明細書で使用される場合、プリンティングという用語は、ポリマー組成物を表面と接触させ、ポリマー組成物を更に重合させることを意味するために使用される。プリンティングは、高分子組成物を表面で接触させ、次いで高分子組成物が更なる重合を受けるように、UV及び/又は可視光に曝露させることを含み得る。高分子組成物が接触する表面は、高分子組成物の重合層を含む任意の表面であり得る。前述のように、プリンティング物品は、高温に曝露されることによって、第2の硬化ステップを受け得る。
【0122】
プリンティング物品は、硬化性組成物の成分の残留量を含有し得るか、又は含有し得ない。例えば、プリンティング物品は、希釈剤若しくは光重合希釈剤、又は光開始剤を含み得る。態様において、プリンティング物品又は硬化性組成物は、添加剤を有し得る。添加剤は、本明細書に開示される場合、チキソトロピック材料、着色剤、トレーサ材料、又は導電性材料を含み得る。例えば、添加剤は、色素であり得る。プリンティング物品は、色素の存在により着色され得るか、又は、蛍光、放射性、反射性、可撓性、剛性、柔軟性、破砕性、又はそれらの組み合わせであるが、これらに限定さない、物品の少なくとも一部分を有するなどの任意の所望の属性を有し得る。
【0123】
一般的なバットプリンティングプロセスでは、ビルドプラットフォームは、樹脂バットの上部から下方に層の厚さで下げられる。化学線は、組成物に向けられ、光は、組成物の光重合(光硬化)を引き起こす。ビルドプラットフォームは下方に移動し続け、追加の層が、前の層の上に構築される。完了後、バットは、余分な樹脂が排出され、プリンティング物品が収集され得る。このプリンティング物品は、追加の処理に供され得る。例えば、プリンティング物品は、余分な樹脂を除去するために洗浄され得る。別の例として、特に物品がポリΔ1及びポリΔ2を含有する場合、プリンティング物品は、熱エネルギーに曝露されて、熱硬化を生じさせ得る。
【0124】
バット重合によって物品を形成する方法は、本明細書に開示されるポリhν化合物などの、オリゴマー及び/又はポリマーを形成するために光重合反応を受けることができる官能基を有するモノマー又はマクロマーなどの、重合を受けることができるモノマー又はマクロマーを含む光重合性組成物のバットに化学線を向けることを含み得る。
【0125】
一態様において、バット重合は、例えば、SLAを使用して、物品を、光重合性組成物を使用して、約10nm~約1mmの光波長で組成物のバットに化学線を向けてプリンティングしている。本明細書で使用される場合、UV放射は、約10~400nmの波長を有し、一方、可視放射は、390~770nmの波長を有し、IR放射は、770nm~1mmの波長を有する。一態様において、化学線は、1つ以上の波長及び/又は1つ以上の放射源からなる。態様において、光重合性組成物は、光反射材料成分を含み得、同じ重合条件下で、光反射材料成分を伴わずに生じるよりも短い曝露時間で光重合を生じさせる。任意選択的に、硬化性組成物が熱反応性成分ポリΔ1及びポリΔ2を含有する場合、光重合プロセスの前、期間中、又は後に熱硬化プロセスが行われることになる。任意選択的に、硬化性組成物が熱反応性成分ポリΔ1及びポリΔ2を含有する場合、光重合プロセスの後に熱硬化プロセスが行われることになる。
【0126】
一態様において、本開示は、SLAによるプリンティングに好適なデバイスで、バット重合、例えばSLAプリンティングを使用して物品をプリンティングする方法を提供する。方法は、約10nm~約770nmの光の波長で吸収する少なくとも1つの光開始剤を含む、本明細書に開示される硬化性組成物を含むバットを提供することを含む。態様において、光開始剤は、300nm以上の光の波長で吸収する。態様において、光開始剤は、365nm以上の光の波長で吸収する。態様において、光開始剤は、375nm以上の光の波長で吸収する。態様において、光開始剤は、400nm以上の光の波長で吸収する。硬化性組成物中の光開始剤は、I型、II型、カチオン性光開始剤、又はそれらの組み合わせである光開始剤を含む、少なくとも1つの光開始剤成分である。
【0127】
一態様において、本開示は、例えば、SLAによるプリンティングのためのデバイスでSLAを使用して、バット重合によって物品をプリンティングする方法を提供し、方法は、光重合性組成物を150ミクロン未満の深さで光重合させるか、又は硬化させることを含む。態様において、本明細書に開示される方法は、光重合性組成物を、約5ミクロン~約50ミクロンの深さ、及びその間の全ての深さで光重合させるか、又は硬化させることを含む。
【0128】
一態様において、本開示は、例えば、SLAによるプリンティングのためのデバイスでSLAを使用して、バット重合によって物品をプリンティングする方法を提供し、方法は、生理学的条件で吸収可能である光反射材料を含む光反射材料成分を含む光重合性組成物を含む。態様において、光反射材料成分は、生物学的生物に対して生体適合性である光反射材料を含む。態様において、光反射材料成分は、光重合性マクロマー、希釈剤、光反射材料、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを用いて重合する光反射材料を含む。
【0129】
一態様において、本開示は、付加製造プロセスを提供し、(a)ポリEU及びポリSHを含む本明細書に開示される第1の組成物を含むバットを提供することと、(b)光源からの化学線をバット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、第2の組成物を形成するように組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、(c)第2の組成物を含む固体物品を形成することと、を含む。ステップ(c)は、特にビルドプラットフォームが移動するときに、化学線をバット内の第1の組成物に繰り返し向けることによって達成され得る。第2の組成物は、ポリEU及びポリSHの光重合生成物となるか、又はそれを含む。
【0130】
一態様において、本開示は、付加製造プロセスを提供し、(a)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2を含有する本明細書に開示される第1の組成物を含むバットを提供することと、(b)光源からの化学線をバット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物を形成するように、第1の組成物の光硬化性成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、(c)光化学的に硬化した組成物及び熱的に硬化した組成物を含む第3の組成物を形成するように、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物に熱エネルギーを適用することと、を含む。第2の組成物は、ポリhνの光重合生成物となるか、又はそれを含む。第3の組成物は、組み合わせたポリhνの光重合生成物と、ポリΔ1及びポリΔ2の熱誘導した重合生成物との二重ネットワークとなるか、又はそれを含む。
【0131】
一態様において、本開示は、2光子重合プリンティングによって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示は、コンピュータアキシャルリソグラフィによって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示は、材料押出によって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示は、材料噴射によって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示は、結合剤噴射によって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示は、連続光界面製造(CLIP)によって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。一態様において、本開示はバット重合によって物品を製造する方法を提供し、本明細書に開示される硬化性組成物を硬化させて物品を形成することを含む。
【0132】
硬化組成物
本開示は、プリンティング物品又は固体物品として本明細書において追加的に称される物品を含み、本明細書に開示される組成物から本明細書に開示される方法によって作製され得る。態様において、物品は、医療デバイスであり得る。態様において、物品は、医療デバイスの一部分であり得る。態様において、物品は、多孔性であり得る。態様において、物品は、生理学的条件下で生分解性であり得る。態様において、生分解性物品は、約3日~約5年の分解期間を有し得る。態様において、物品は、生分解性ではあり得ない。態様において、物品の一部分は、生分解性であり得、第2の部分は、非生分解性であり得るか、又は物品の第1の部分若しくは残存部分の分解期間とは異なる分解期間を有し得る。
【0133】
他の箇所で言及されているように、一態様において、硬化組成物は、任意の認識可能な量の水を含有しない。例えば、態様において、硬化組成物は、2500ppm未満の水、又は1000ppm未満の水、又は500ppm未満の水を含有する。
【0134】
一態様において、硬化した組成物は、水中で、又は水性条件に曝露されたとき、分解することになる。したがって、一態様において、硬化した組成物は生分解性であり得、硬化した組成物が生分解性の埋め込み可能な医療デバイスを形成するために使用される場合に特に有用であり得る。一態様において、硬化した組成物は、例えば、膨潤した材料、すなわち、水を吸収しており、膨潤した状態にある材料を形成するのではなく、水性条件下で分解して粒子状材料を形成する。例えば、硬化した組成物が、pH7.0~7.4のリン酸緩衝液で水を含む分解媒体に、又はリン酸緩衝液生理食塩水中に配置されるとき、硬化した組成物は、分解媒体中で溶解を受けることになる。溶解時に、硬化した組成物の総重量の50重量%超、又は60重量%超、又は70重量%超、又は80重量%超、又は90重量%超が分解媒体中に溶解するように、未溶解材料は、膨潤した形態ではなく、特定の形態を有することになる。
【0135】
一態様において、本開示の硬化した組成物は、水性媒体に配置されたときに望ましくは低い膨潤を示す。硬化した組成物が水性媒体と長時間接触している場合、膨潤は重大な問題であり得る。例えば、硬化した組成物が、生分解性の埋め込み可能な医療デバイスの構成要素、又はその全てであり、そのデバイスが患者に埋め込まれる場合、デバイスは、分解(これは望ましい)及び膨潤(これは望ましくないものであり得る)の両方を受け得る。膨潤は、インプラント分解の最後に向けて、すなわち、インプラントの大部分が分解した後に、特定の問題であり得る。しかしながら、膨潤の問題、特に、インプラントの大部分が分解した後に観察され得る後期膨潤(すなわち、50%超の重量損失、又は60%超の重量損失、又は70%超の重量損失、又は80%超の重量損失、又は90%超の重量損失)は、本開示の硬化性組成物の使用によって緩和することができる。
【0136】
以下は、本開示のいくつかの例示的な実施形態であり、任意選択的に、1つ以上の鎖移動剤及び/又はベータ-カロテン化合物を含み得る。
1)複数のチオール基(SH)を有する第1の有機化合物(ポリSH)、複数のエチレン系不飽和基(EU)を有する第2の有機化合物(ポリEU)、及び光開始剤を含む、組成物。安定剤は、任意選択的に、組成物中に存在し得、安定剤は、任意選択的に、トコフェロール、没食子酸、没食子酸のエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
2)組成物が、X:YのSH対EU当量比を有し、式中、Xが、25~75の範囲にあり、Yが、75~25の範囲にあり、X及びYの合計が、100である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態3~27の組成物。
3)ポリSHが、水溶性である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2の組成物。
4)ポリSHが、生体吸収性である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2又は3の組成物。
5)ポリSHが、マクロマーである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2又は3又は4の組成物。
6)ポリSHが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2又は3又は4の組成物。
7)ポリSHが、500g/mol未満の分子量を有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2又は3又は4の組成物。
8)ポリEUが、水溶性である、明細書に開示される実施形態1の組成物又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~7のいずれかの組成物。
9)ポリEUが、生体吸収性である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~8のいずれかの組成物。
10)ポリEUのEUが、アクリレートである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~9の組成物。
11)ポリEUのEUが、メタクリレートである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~9の組成物。
12)ポリEUのEUが、ノルボルネニルである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~9の組成物。
13)ポリEUが、マクロマーである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~7の組成物。
14)ポリEUが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~7の組成物。
15)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカルボニル基を有するか、任意選択的に、ポリSH及びポリEUの各々が、複数のカルボニル基を有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~14の組成物。
16)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUが、各々複数のエステル基を有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば、実施形態2~15の組成物。
17)少なくとも1つのポリEU及びポリSHが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を更に有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~15の組成物。
18)ポリSH及びポリEUのうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~15の組成物。
19)ポリSH及びポリEUの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリEUが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリSH及びポリEUの両方が、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を更に有する、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~15の組成物。
20)ポリSHの複数のSHが、2、3、及び4つから選択される、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~19の組成物。
21)ポリEUの複数のEUが、2、3、及び4つから選択される、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~20の組成物。
22)110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~21の組成物。
23)無水である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~22の組成物。
24)約18℃~約22℃の室温で流体である、本明細書に開示される実施形態1又は実施形態1の任意の実施形態、例えば実施形態2~23の組成物。
25)実施形態1~24のいずれかの組成物の光化学的に硬化した反応生成物を含む、組成物。
26)生体吸収性である、実施形態25の組成物。
27)50℃で固体である、実施形態25の組成物。
28)付加製造プロセスであって、
a.実施形態1~24のいずれか1つの第1の組成物を含むバットを提供することと、
b.光源からの化学線を、バット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、第2の組成物を形成するように組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
c.第2の組成物を含む固体物品を形成することと、を含む、付加製造プロセス。
29)組成物であって、複数の光重合性基(hν)を有する第1の有機化合物(ポリhν)、光開始剤、複数の反応性基Δ1を有する第2の有機化合物(ポリΔ1)、及び複数の反応性基Δ2を有する第3の有機化合物(ポリΔ2)を含み、Δ1が、接触及び50℃超の温度への曝露でΔ2と反応する、組成物。
30)ポリhν、が生体吸収性である、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態の組成物。
31)pポリhνが、マクロマーである、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30の組成物。
32)ポリhνが、1,000g/mol超の分子量を有するマクロマーである、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30又は31の組成物。
33)ポリhνが、500g/mol未満の分子量を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30又は31の組成物。
34)ポリhνが、水溶性である、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30又は31の組成物。
35)ポリνが、アクリレート及びメチアクリレートから選択されるポリEUである、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~34の組成物。
36)ポリhνのhνが、ノルボルネニルである、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~34の組成物。
37)Δ1が求核剤であり、Δ2が求電子剤である、実施形態29又は実施形態29のいずれかの実施形態、例えば、実施形態30~36の組成物。
38)Δ1が、ヒドロキシル及びアミノから選択される、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~36の組成物。
39)Δ2が、エポキシド及びイソシアネートから選択される、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~36の組成物。
40)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカルボニル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカルボニル基を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~39の組成物。
41)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~39の組成物。
42)少なくとも1つのポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2が、複数のエステル基及び複数のカーボネート基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のカーボネート基の両方を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~39の組成物。
43)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のエステル基及び複数のウレタン基の両方を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~39の組成物。
44)ポリhν、ポリΔ1、及びポリΔ2のうちの少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基を更に有し、任意選択的に、ポリhνが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有するか、又は任意選択的に、ポリhν並びにポリΔ1、及びポリΔ2の少なくとも1つが、複数のカーボネート基及び複数のウレタン基の両方を有する、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~39の組成物。
45)ポリhνの複数のhνが、2、3、及び4つから選択される、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~44の組成物。
46)ポリΔ1の複数のΔ1が、2、3、及び4つから選択される、実施形態29の組成物又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~44の組成物。
47)ポリΔ2の複数のΔ2が、2、3、及び4つから選択される、実施形態29の組成物又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~44の組成物。
48)110℃未満の沸点を有する揮発性材料を含まない、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~47の組成物。
49)無水である、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~47の組成物。
50)約18℃~約22℃の温度で流体である、実施形態29又は実施形態29の任意の実施形態、例えば、実施形態30~47の組成物。
51)実施形態29~50のいずれかの組成物の光化学的に硬化した反応生成物と、熱的に硬化した反応生成物と、を含む、組成物。
52)生体吸収性である、実施形態51の組成物。
53)50℃で固体である、実施形態51の組成物。
54)付加製造プロセスであって、
a.実施形態29~50のいずれか1つの第1の組成物を含むバットを提供することと、
b.光源からの化学線を、バット内の第1の組成物に向けることであって、化学線が、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物を形成するように、第1の組成物の成分の重合を誘導するのに有効である、向けることと、
c.光化学的に硬化した組成物及び熱的に硬化した組成物を含む第3の組成物を形成するように、光化学的に硬化した組成物を含む第2の組成物に熱エネルギーを適用することと、を含む、付加製造プロセス。
【0137】
本開示は、本明細書において広範かつ包括的に説明されている。包括的な開示内に含まれる、より狭い種及び亜属の群の各々も、本開示の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかにかかわらず、その属から任意の主題を除去する但し書き又は負の制限を伴う本開示の発明の包括的な説明を含む。
【0138】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の指示対象を含み、「X及び/又はY」という用語は、「X」又は「Y」、あるいは「X」及び「Y」の両方を意味し、名詞の後の文字「s」は、その名詞の複数形及び単数形の両方を示すことを理解されたい。加えて、本開示の特性又は態様がマーカッシュ群の観点から説明される場合、本開示は、マーカッシュ群の個々の構成要素及び構成要素の任意の部分群を包含し、また従ってそれらの観点で記載され、出願人は、マーカッシュ群の個々の構成要素又は構成要素の任意の部分群を具体的に指すように出願又は特許請求の範囲を修正する権利を留保することが意図され、当業者はそのことを認識するであろう。
【0139】
以下の実施例は、例示として提供され、限定によるものではない。化学物質は、商業的供給源、例えば、MilliporeSigma(St.Louis,MO,USA)から得た。
【実施例】
【0140】
実施例1
ヒドロキシル終端化前駆体ポリマー
一態様において、本開示は、ポリhν、ポリSH、ポリEU、ポリΔ1、及びポリΔ2として示される化合物のうちの少なくとも1つを含有する組成物を提供する。任意選択的に、これらの化合物の各々は、hν又はSH又はEU又はΔ1又はΔ2の基の代わりにヒドロキシル基を有する前駆体ポリマーから作製され得、任意選択的に、hν、SH、EU、Δ1、又はΔ2の基は、好適な連結基を介して前駆体ポリマーに結合される。本実施例は、例示的なヒドロキシル含有前駆体ポリマーの調製を示す。
【0141】
表1は、3DP 1~3DP 16として独自に表示された16個の前駆体ポリマーを特定し、一般に、本開示による一般式CC-[アーム-OH]の化合物を有するか、又は含むとして記載され得る。アーム-OHという用語は、ヒドロキシル基(OH)で終端する、すなわち、ヒドロキシル末端基を有するアームを指す。
【0142】
前駆体ポリマーが、式CC-[(A)-(B)]を含む化合物を含む場合、すなわち、アームが、中央コアに近位である(隣接する)群A(トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうちのいずれか1つ以上)からのモノマーの残基、及び中央コアに遠位である(最も遠い)群B(グリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノンのうちのいずれか1つ以上)からのモノマーの残基から形成される場合、かかる前駆体ポリマーは、本明細書では反応開始剤とも称される官能化中央コアを群Aからの1つ以上のモノマーと反応させ、続いてその反応生成物(本明細書では前駆体プリポリマーと呼ばれる)を群Bからの1つ以上のモノマーと反応させることによって調製され得る。結果は、1つ以上のアームに結合した中央コアであり、各アームはヒドロキシルで終端し、式-(A)-(B)-OHを有する。かかる前駆体ポリマーの調製は、以下の実施例1Aに示されており、中央コアは、三官能性であり、官能化中央コア/開始剤は、トリメチロールプロパンによって提供される。
実施例1A-三軸3DP-6前駆体ポリマーの調製。
【0143】
トリメチレンカーボネート(1.4mol)及びε-カプロラクトン(1.4mol)を、トリメチロールプロパン(0.6mol)を反応開始剤として、及びオクト酸第一スズ(7.0×10-5mol)を触媒として使用して、130℃で72時間共重合させ、ポリマー前駆体を提供した。グリコリド(1.1mol)及び追加のオクト酸第一スズ(2.1×10-4mol)をポリマー前駆体と160℃で3時間混合して、ポリマー前駆体の末端にポリグリコリドグラフトを有す前駆体ポリマーを提供した。このようにして得られた非晶質液体前駆体ポリマーを脱揮させ、1H NMR分光法、レオメトリー(せん断速度105s-1で粘度17,300cP)、示差走査熱量測定(Tg=-45℃)、及びゲル透過クロマトグラフィ(Mn=1884Da、PDI=1.80)によって特性評価した。
【0144】
前駆体ポリマーが、式CC-[(B)-(A)]を含む化合物を含む場合、すなわち、群B(グリコリド、ラクチド、及びp-ジオキサノン)からのモノマーの残基が中央コアに近位であり(隣接し)、群A(トリメチレンカーボネート及びカプロラクトン)のモノマーの残基が中央コアに遠位である(最も遠い)場合、かかる前駆体ポリマーは、官能化中央コアを、群Bからの1つ以上のモノマーと反応させ、続いてその反応生成物を群Aからの1つ以上のモノマーと反応させることによって調製され得る。結果は、1つ以上のアームに結合した中央コアであり、各アームはヒドロキシルで終端され、式-(B)-(A)-OHを有する。かかる前駆体ポリマーの調製は、以下の実施例1Bに示されており、中央コアは、三官能性であり、官能化中央コアは、トリメチロールプロパンによって提供される。
実施例1B-三軸3DP-4前駆体ポリマーの調製。
【0145】
第1のステップでは、グリコリド(1.1mol)を、トリメチロールプロパン(0.6mol)を反応開始剤として、及びオクト酸第一スズ(7×10-5mol)を触媒として用いて、160℃で3時間重合させてポリマー前駆体を提供した。第1のステップの完了後、等モル量のトリメチレンカーボネート(1.4mol)及びε-カプロラクトン(1.4mol)の混合物を、より多くのオクト酸第一スズ(2×10-4mol)を添加し、130℃で72時間反応させることによって、ポリマー前駆体の末端に共重合させた。生じる非晶質液体を脱揮させ、1H NMR分光法、レオメトリー(せん断速度105s-1で粘度17,300cP)、示差走査熱量測定(Tg=-45℃)、及びゲル透過クロマトグラフィ(Mn=1909Da、PDI=1.83)によって特性評価した。
【0146】
実施例1A及び1Bに概説される手順に従って、表1に記載されるように、追加のポリエステル前駆体ポリマーを合成した。全ての直鎖試料は、二官能性開始剤として1,3-プロパンジオールを用いて合成し、全ての三官能性プリポリマーは、トリメチロールプロパンを用いて調製し、4アームブロックコポリエステル組成物は、四官能性開始剤としてペンタエリスリトールによって開始した。表1において、M/Iは、表1に特定されるコポリエステルの各々について、開始剤(I)のモルで除した、アームを調製するために使用されたモノマーの総モル(M)(官能化された中央コアとも呼ばれる)を指す。また、表1において、M/Cは、表1に特定される各コポリエステルプリポリマーを調製するために使用された触媒(C)の総モルで除した、アームを調製するために使用されたモノマーの総モル(M)を指す。表1の前駆体ポリマーの各々は、グリコリド/ラクチド/p-ジオキサノンセグメントの省略形であるG/L/p-Dと題した列を特徴とするB領域を含有し、これは、中央コアに近位(この場合、B領域の位置は、前駆体ポリマーの中央であると特定される)であるか、又はそれが中央コアに遠位(この場合、B領域の位置は、前駆体ポリマーの末端にあると特定され、この場合、B領域はヒドロキシル基で終端する)である、いずれかであり得る。
【0147】
実施例1に例示されるように調製された選択した前駆体ポリマーについて、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって得られた選択された分子量の結果を表2に提供する。表2において、Mnは数平均分子量を指し、Mwは重量平均分子量を指し、PDIは多分散性(すなわち、Mw/Mn)を指し、Daはダルトンを指す。
【表1】
【表2】
【0148】
実施例2
本開示のメタクリル化化合物の調製
式ポリEUの代表的なポリマー
表3は、3DP 4m(mは、例示的なエチレン性不飽和(EU)基であるメタクリレートを表す)~3DP 7m及び3DP 9m~3DP 12mとして独自に表示された8つのEU官能化前駆体ポリマーを特定し、これらは一般に、本開示による一般式CC-[アーム-EU]の化合物を有するか、又は含むものとして説明され得る。表記アーム-EUは、アクリレート(「a」)又はメタクリレート(「m」)基などの光反応性エチレン系不飽和基で終端するアームを指す。
【0149】
表3のメタクリル化ポリマーは、表1の対応する前駆体ポリマーから調製され、すなわち、3DP 4mは3DP 4から調製され、3DP 5mは3DP 5から調製された、などである。
【0150】
3DP 6mを生成する3DP 6のメタクリル化
3DP 6前駆体ポリマー(0.131モル)を、3-tert-2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(6.724×10-4モル)の存在下、過剰なメタクリル無水物と120℃で24時間反応させた。残留メタクリル酸無水物及びメタクリル酸副生成物を、ロータリーエバポレーターを使用して、粗ポリマーから除去した。生じる非晶質液体ポリマーを、
1H NMR分光法、レオメトリー(せん断速度105s-1で粘度16,400cP)、示差走査熱量測定(Tg=-38℃)、及びゲル透過クロマトグラフィ(Mn=2162Da、PDI=1.75)を使用して特性評価した。各3DP配合物を、上記の手順に従ってメタクリル化した。組成物及び分子量結果を表3に概説し、動的粘度を表4に報告する。表3において、3DP 5mでは、TMC列内の40.15は、3DP 5mを作製するために使用されたTMC+1,3-プロパンジオールの合計モル%である。
【表3】
【表4】
【0151】
実施例3
本開示のチオール化化合物の調製
式ポリSHの例示的なポリマー
機械的撹拌器及び添加漏斗を備えた500mLの3口丸底フラスコに、3DP 6(51.3g、0.0665モル、表1を参照)、チオ乳酸(17.243mL、20.623g、0.1943モル)、及びジクロロメタン(DCM)(200mL)を窒素環境で加えた。反応容器の内容物を200rpmで撹拌し、反応容器は氷浴を使用して冷却した。別に、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(44.5g、0.2157モル)を200mLのDCMに溶解した。次いで、DCM溶液中のDCCを反応容器に、添加漏斗を使用して30分間かけて滴下して加えた。DCC/DCM溶液の添加が完了した後、氷浴を除去した。4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(2.366g、0.0193モル)を、粉末漏斗を使用して反応容器に添加した。反応混合物を、窒素環境下、室温で72時間撹拌を継続した。反応中に蒸発したDCMレベルを補充した。72時間後、反応混合物を吸引下で濾過した。濾液を、2×100mLの0.25M HCl及び1×100mLの脱イオン(DI)水で洗浄した。抽出からの有機相を、活性化分子ふるい(3Å)上で18時間乾燥させ、その後、吸引下で濾過した。溶媒をロータリーエバポレーターで真空下除去して、液体ポリマー生成物(3DP 6t、「t」はチオール化を示し、本明細書ではポリSHポリマーとも称される)を得た。このようにして得られた非晶質液体ポリマーを、
1H NMR分光法、レオメトリー(99s
-1のせん断速度で粘度=7690)、及びゲル透過クロマトグラフィ(Mn=1952Da、PDI=1.62)によって特性評価した。以下の表は、n-アセチルシステイン(NAC)、チオ乳酸(TLA)、及びチオグリコール酸(TGA)を有する他のチオール化3DP化合物を概説する。これらの各々は、この例示的な合成手順に基づいて合成された。
【表5】
【0152】
実施例4
本開示のチオール化化合物の調製
一般に、式ポリSHによって説明される
ヒドロキシル基を有するポリマーは、ヒドロキシル基をカルボン酸基に置き換える部分でキャッピングすることができる。カルボン酸基は、次いで、結合に用いられる置換基の官能単位に応じて、アミド又はエステル結合を介してチオール含有部分で置換され得る。例えば、3DP前駆体ポリマーのヒドロキシル末端基(例えば、表1を参照)をコハク酸無水物と反応させてコハク酸化中間体(3DP-SA)を形成することができ、今度はシステインに存在するアミン基と反応させて、末端遊離チオール基を有する生成物(3DP 6-SA-Cys)を提供し得、本開示の例示的なポリSH化合物を提供する。このアプローチは、本実施例によって例示される。
【0153】
パート1-3DP 6-SAの生成:250mLの3つ口丸底フラスコに、3DP 6(48.9g、0.0633モル、表1)を加えた。系を、真空下(<0.5torr)、40℃に18時間配置し、プリポリマーを乾燥させた。18時間後、系を窒素でパージし、コハク酸無水物(19.0g、0.1900モル)を反応容器に添加した。反応混合物を50rpm、120℃で24時間撹拌した。このようにして得られたポリマーを室温に冷却し、ロータリーエバポレーターで脱揮させて、室温で18時間、更に110℃で24時間、残留モノマーを除去した。もたらされた透明な非晶質ポリマー生成物の構造を、1H NMRを使用して確認した。
【0154】
パート2-3DP 6-SA-Cysの生成:100mLの2口フラスコに、3DP 6-SA(10.1g、0.0093モル)、L-システイン(3.39g、0.0280モル)、及びジクロロメタン(DCM)(30mL)を加えた。反応物を窒素環境下、200rpmで撹拌した。別に、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(6.35g、0.0307モル)を10mLのDCMに溶解した。氷浴を反応容器の周りに配置し、DCC/DCM溶液を滴下して加えた。DCC/DCM溶液の添加が完了した後、氷浴を除去し、反応物を窒素環境下、室温で72時間撹拌した。72時間後、反応混合物を50mLのDCMで希釈し、吸引下で濾過した。濾液を、2×50mLの0.25M HCl及び1×50mLのDI水で洗浄した。抽出からの有機相を、活性化分子ふるい(3Å)上で18時間乾燥させ、その後、吸引下で濾過した。溶媒をロータリーエバポレーターで真空下除去し、ワックス状ポリマー生成物(3DP 6-SA-Cys)を提供し、その構造を1H NMR分光法によって確認した。
【0155】
実施例5
ポリEU及びポリSHからの単一ポリマーネットワーク
チオール終端化3DPポリマーを、メタクリル化3DPポリマーと、2つの異なる比で混合した。TPO-L光開始剤を0.5%(w/w)の濃度で各組み合わせに添加し、配合物をFlacktek高速ミキサーで、2000rpmで2分間、続いて3000rpmで3分間混合した。配合物を、0.75mm厚さのフィルムに硬化させた。フィルムは、リン酸緩衝液、pH7.4中で50℃の加速分解に供された75mm×7.5mm×0.75mm標本に切断した。
図1に、50:50及び25:75の3DP 6t TLA/3DP 10mフィルムの分解プロファイルが示される。
図1における情報は、ポリEU/ポリSH単一ポリマーネットワークにおける水膨潤の効果を示す。
【0156】
実施例6
本開示のイソシアネート終端化化合物の調製
式ポリΔの例示的ポリマー
実施例1で言及されるように、ヒドロキシル終端化ポリマーは、本開示のポリΔ化合物に前駆体化合物を提供し得る。ヒドロキシル基は、3DP 10のジイソシアネートキャッピングを例示する本実施例によって示されるように、熱反応性基、例えば、イソシアネート基に変換され得る。
【0157】
機械的撹拌器及び添加漏斗を備えた250mLの3口丸底フラスコに、3DP 10(76.7g、0.0996モル)を加えた。3DP 10を減圧下、40℃で3日間乾燥させた。乾燥後、フラスコを乾燥窒素でパージし、撹拌を220rpmで開始した。フラスコに、15mlの無水トルエン及びヘキサメチレンジイソシアンテ(HMDI、33.5ml、0.209モル)を加えた。反応混合物温度を80℃に2時間上昇させ、次いで室温に戻した。次いで、ポリマー混合物を1口フラスコに移し、ロータリーエバポレーターに配置した。残留トルエン及びHMDIを、ロータリーエバポレーターで減圧下除去した。このようにして得られた非晶質液体ポリマーを、H1 NMR分光法(ポリマー-70.3重量%、イソシアネート-29.6重量%)によって特性評価した。
【0158】
実施例7
ポリEU及びポリΔ1+ポリΔ2からの二重ポリマーネットワーク
二重ネットワークフィルムを、光重合したメタクリレートポリマーネットワーク及び熱硬化した相互貫通性ポリマーネットワークを用いて調製した。3DP 12m及び3DP 6前駆体ポリマー(例示的なポリΔ1)を、50:50又は70:30のいずれかの比で混合した。TPO-L光開始剤を、メタクリル化ポリマーの重量に対して0.5%(w/w)の濃度で混合物に添加した。ヘキサメチレンジイソシネート(例示的なポリΔ2)を、前駆体ポリマー(3DP6、三軸ポリマーの場合、OH:ポリマーが3:1)中のヒドロキシル基のモル数の45%で混合物を添加した。配合物は、Flacktek高速ミキサーを使用して、2000rpmで2分間、続いて3000rpmで2分間混合した。次いで、配合物を、30mW/cm2の強度でのUV光下で10分間、厚さ0.75mmのフィルムとして硬化させた。光硬化したフィルムを100℃で1時間、更に熱硬化させた。
【0159】
フィルムを75mm×7.5mm×0.75mmの試験ストリップに切断し、リン酸緩衝液、pH7.4中で50℃の加速分解に供した。材料の質量損失、含水量、及び機械的特性を、試験期間中の異なる時点で分析した。結果を
図2に示す。
図2では、データは、ウレタン及びメタクリル化ポリエステル二重ネットワークの水膨潤する挙動を示す。ウレタンネットワークの添加は、水膨張を最大25~30%の質量損失まで増加させる。25~30%の質量損失後、50:50の3DP12m:3DP 6U及び3DP6uの両方が、実質的により少ない膨潤を示した。
【0160】
実施例8
ポリ(SH)及びポリ(EU)材料の力学
架橋した3DPポリマーブレンドの特性を評価するため、引張試料を機械的試験のために作成した。任意の特定のポリマーブレンドについて、チオール終端化3DPポリマーを、1つ以上のメタクリル化3DPポリマー(3DPX M)と、25:75及び50:50の重量比で混合し、チオール化ボリマーは、実施例3に記載されるようにチオ乳酸(3DPX TLA)、N-アセチル-L-システイン(3DPX NAC)、又はチオグリコール酸(3DPX TGA)を使用して合成した。メタクリル化3DPポリマーに加えて、同様の比の選択ブレンドを、ポリ-エチレングリコールジアクリレート(PEGDA)の希釈剤成分を用いて試験した。光開始剤であるエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(TPOL)を0.5%(w/w)で添加し、ブレンドをFlackTek高速ミキサーで、1分当たり2000回転(rpm)で2分間、続いて3000rpmで3分間混合した。
【0161】
各液体ポリマーブレンドを、0.75mmスペーサーを有する2つのUV透過性アクリルシートの間に注ぎ、100WのUV Blak-Rayランプ下で10分間硬化させた。架橋したフィルムを取り出し、0.75×7.5×75mmの寸法を有する引張標本に切断した。フィルムストリップをMTS試験フレームで機械的試験に供して、試験した各ブレンドについて少なくとも4つのストリップを用いてそれらの引張特性を評価した。引張試験における試験パラメータを表6に示す。試験したポリマーブレンド及びそれらの対応する引張特性を表7に報告する。
【表6】
【表7】
【0162】
実施例9
ポリ(SH)及びポリ(EU)組成物の安定性
パート1-安定剤の添加及び無添加でのポリマーブレンドを、早期架橋について調べた。チオール終端した光反応性化合物を、メタクリル化光反応性化合物と50:50の比で混合した。前向きの安定性化合物を、様々な濃度で反応性混合物の小分けに各々添加した。各配合物ブレンドを、FlakTek高速ミキサーで、1分当たり2000回転(rpm)で2分間、続いて3000rpmで3分間混合した。各ブレンドの小分けをペトリ皿に移し、室温(RT)又は50℃で保存した。ポリマーブレンドの安定性を、ブレンドの固化によって定性的に評価し、結果を表8に報告する。
【表8】
*-TMPTM:トリメチロールプロパントリメタクリレート、TMPTT:トリメチロールプロパントリス(3-メルカププロピオネート)
【0163】
パート2-チオール終端化ポリマー(3DP 19t TGA)を、メタクリル化ポリマー(3DP 20m)と50:50の重量比で混合した。選択した安定剤を、液体ポリマーブレンドの小分けに各々添加し、24時間で配合物の粘度をレオメトリー(せん断速度100s-1で25℃)によって評価して、安定性の定量的測定を得た。安定剤を有しない樹脂の初期粘度は、3920±20cPだった。室温で24時間の保存における安定化したポリマーブレンドの粘度を表9に示す。
【表9】
【0164】
実施例10
市販のチオール化合物と混合したポリ(EU)材料の力学
市販のチオール化合物と架橋した3DPポリマーの特性を評価するために、引張標本を機械的試験のために作製した。市販のチオール化合物トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)(TMPTT)又は1,6-ヘキサンジオール(HDM)を、メタクリル化3DPポリマー(3DP 26m)に0%mol、3%mol、5%mol、及び10%molで添加した。TPO-Lを0.5%(w/w)で添加し、ブレンドをFlackTek高速ミキサーで、1分当たり2000回転(rpm)で2分間、続いて3000rpmで3分間混合した。各ブレンドを、0.75mmスペーサーを有する2つのUV透過性アクリルシートの間に注ぎ、UV光源下で10分間硬化させた。架橋したフィルムを取り出し、標準ASTM D638タイプVイヌ骨標本に従って引張標本に切断した。イヌ骨標本は、幅3mm及び厚さ0.75mmを有した。試料を、MTS試験フレームで機械的試験に供して、それらの引張特性を評価した。引張試験における試験パラメータを表9に示す。試験したポリマーブレンド及びそれらの対応する引張特性を表10に報告する。
【表10】
【表11】
【0165】
実施例11
鎖移動剤としてのTMPTTの使用
光反応性樹脂混合物を、鎖移動剤として、0、0.01、0.03、0.05、0.075、及び0.1のチオール対メタクリレートモル比で添加したトリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)(TMPTT)用いてメタクリル化マクロマー(3DP20-M)から調製した。表10は、3DP20-M樹脂に添加されたTMPTTの量を提供する。光開始剤TPO-Lを0.5%(w/w)で樹脂混合物に添加した。次いで、樹脂を、FlackTek高速ミキサーを使用して、2000rpmで2分間、更に3000rpmで3分間、完全に混合した。混合後に得られた各樹脂ブレンドを2つのUV透過性プレートの間に挟み込み、100W UVブラクレイ(blak-ray)ランプ下で硬化させて架橋フィルムを作製した。
【表12】
【0166】
架橋フィルムを、冷凍ミルを使用して粉砕した。0.25gの粉砕した試料を、20mLのシンチレーションバイアルに移した。2.5mLのDMSO及び2.5mLのナトリウムメトキシド(NaMeOH)をバイアルに添加し、加熱ブロックに100℃で2時間配置した。試料を室温に冷却し、25mLのジエチルエーテル(DEE)に沈殿させた。遠心分離を使用して沈殿物を収集し、次いで、真空下で一晩乾燥させた。もたらされた生成物をH2Oに再溶解し、凍結乾燥し、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって特性評価した。
【0167】
GPCによって得られた分子量結果を表11に提供する。表11において、Mnは数平均分子量を指し、Mwは重量平均分子量を指し、PDIは多分散性(すなわち、Mw/Mn)を指し、Daはダルトンを指す。データは、TMPTTを添加することが、光重合された3DP20-M樹脂からのポリ(メタクリル酸)鎖の分子量を減少させたことを示す。これらの変化は、重合中のチオール基の鎖移動挙動によって引き起こされるネットワーク構造の変化に起因する。
【表13】
【0168】
実施例12
TMPTT添加した3DP20の分解
0及び0.4のチオール対メタクリレートモル比でTMPTTを添加した3DP20-Mは、上述の方法を使用して架橋フィルムを作製した。フィルムをCO
2レーザーによって75mm×7.5mm×0.75mmのストリップに切断し、リン酸緩衝液、pH7.4中で、50℃で加速分解に供した。
図3に、フィルムの分解プロファイルを示す。
図3が示すように、3DP20-MにTMPTTを添加することは、加速した分解下でその分解速度を増加させる。
【0169】
実施例12
樹脂組成物の光重合を評価するため、配合物は、バット重合における作業曲線からの樹脂パラメータの外挿のために調製した。8つの配合物の各々について、メタクリレート終端化ポリエステルカーボネートマクロマー(3DP25-M)を、3DPポリマーに対して10%(w/w)で同様に官能化された吸収性液体ポリマー希釈剤と混合した。全ての配合物において、鎖移動剤であるTMPTTを、液体ブレンド中のメタクリレート基の総モル数に対するチオール基の7.5モルパーセントで添加した。光開始剤であるエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(TPO-L)もまた、全ての配合物に、液体ポリマーブレンドに対する0.75重量%(官能基の総モルに対する光開始剤の0.85モルパーセント)で添加した。次いで、各配合物は、色素としてβ-カロテン又はD&CバイオレットNo.2を、液体ポリマーブレンドに4つの濃度:0.01、0.1、1.0、又は2.5重量%のうちの1つで受けた。次いで、全ての配合物をFlackTek高速ミキサーで、1分当たり3000回転で3分間、個別に混合した。
【0170】
各液体樹脂ブレンドを、スライドガラスに注ぎ、mW/cm
2での知られている強度(すなわち、出力密度)のUV光、及び秒での曝露時間範囲で曝露し、高さ(すなわち、硬化深さ)の範囲に硬化樹脂をもたらした。各硬化試料の高さは、光学3D測定システムを使用して測定した。次いで、各配合物について、ミリメートルでの高さを、光強度及び曝露時間の積としての総エネルギー量に対してプロットした。対数回帰を行い、ミリメーターでの浸透深さ(D
P)、mJ/cm
2での臨界エネルギー量(E
C)、及び30マイクロメートルの硬化深さに必要な秒での硬化時間の樹脂パラメータを外挿するために使用されるモデルに、データをフィッティングさせた(表12)。
【表14】
【0171】
樹脂の光重合を評価する追加の試験では、鎖移動剤及び安定剤の含有量の範囲にわたる作業曲線からの樹脂パラメータの外挿のために配合物を同様に調製した。3つの配合物の各々について、メタクリレート終端化ポリエステルカーボネートマクロマー(3DP25-M)を、官能化希釈剤であるトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTM)と、3DPポリマーの5パーセント(w/w)で混合した。各配合物は、鎖移動剤であるTMPTTを、液体ブレンドの0又は1重量パーセント(メタクリレート基の総モルに対するチオール基の2.79モルパーセント)で受けた。各配合物はまた、安定剤であるトコフェロールを、鎖移動剤の0又は0.1パーセント(w/w)で受けた。全ての配合物において、TPO-Lが、液体ポリマーブレンドの0.5パーセント(w/w)(官能基の総モルに対する光開始剤の0.54モルパーセント)で添加された。色素であるD&Cバイオレット2もまた、各配合物に液体ブレンドの0.025パーセント(w/w)で添加された。次いで、全ての配合物を、FlackTek高速ミキサーで、1分当たり3000回転で3分間、個別に混合した。
【0172】
各液体樹脂配合物を前述のように処理して作業曲線を作成し、ミリメーターでの浸透深さ(D
P)、mJ/cm
2での臨界エネルギー量(E
C)、及び30マイクロメートルの硬化深さに必要な秒での硬化時間の樹脂パラメータを外挿した(表13)。
【表15】
【0173】
実施例14
硬化した樹脂の細胞適合性を評価するために、いくつかの配合物を、ISO10993 Biological Evaluation of Medical Devices-Part 5:Tests for in vitro Cytotoxicityに従った生存率アッセイによってそれらの抽出可能な化学種の評価のために調製した。4つの配合物の各々について、メタクリレート終端化ポリエステルカーボネートマクロマー(3DP20-M又は3DP25-M)を、3DPポリマーに対して5パーセント(w/w)で同様に官能化した吸収性液体ポリマー希釈剤と混合した。全ての配合物において、TMPTTを液体ブレンド中のメタクリレート基の総モル数に対するチオール基の10モルパーセントで添加した。1つの配合物は、安定剤であるトコフェロールを、鎖移動剤の0.1パーセント(w/w)で受けた。また、TPO-Lを各配合物に、液体ポリマーブレンドの0.75又は1重量パーセント(それぞれ、官能基の総モルの0.98又は1.11モルパーセント)で添加した。また、各配合物は、色素としてβ-カロテンを、液体ポリマーブレンドに対して0.01パーセント(w/w)で受けた。次いで、全ての配合物を高速ミキサーで、1分当たり3000回転で3分間、個別に混合した。試験した配合物を、表14に要約する。
【表16】
【0174】
各配合物をUV光によってフィルムに硬化させ、個々の標本に切断し、各配合物群について3つの試料に組み合わせた。対照標本を、天然ゴム及び高密度ポリエチレンのシートから、それぞれ陽性(+)及び陰性(-)対照として同様に切断し、対照群ごとに3つの試料に組み合わせた。全ての試料を、70%イソ-プロパノールですすぐことによって消毒し、UV光で処理した。
【0175】
硬化した樹脂配合物の抽出のために、10%(v/v)ウマ血清を添加したイーグル最小必須培地は、溶離ビヒクルとして機能した。各試料を培地中に0.2g/mlで浸漬させ、37℃で24時間インキュベートした。各抽出物の小分けを、96ウェルプレートにわたって細胞単層(マウス線維芽細胞、NCTC L-929)に添加し、24時間インキュベートした。MTS生存率アッセイ(MTS(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム)を各試験ウェルに加え、1時間インキュベートし、マイクロプレートリーダーを使用して吸光度を測定した。各配合物及び対照群について、平均細胞生存率は、細胞培養ブランクの吸光度を参照して、試験ウェルの吸光度によって決定した。全ての群の平均細胞生存率が
図4に示され、「+」は、陽性対照であり、「-」は、陰性対照であり、「A」は、0%安定剤及び0.75%光開始剤を添加した3DP20-Mブレンドであり、「B」は、0%安定剤及び0.75%光開始剤を添加した3DP25-Mブレンドであり、「C」は、0.1%安定剤及び0.75%光開始剤を添加した3DP25-Mブレンドであり、「D」は、0%安定剤及び1.0%光開始剤を添加した3DP25-Mブレンドである。
図4から、全ての配合物(A~D)が、細胞毒性の可能性がほとんど又は全くないと解釈される高い程度の細胞生存率を示すことが認められる。
【0176】
特許参照及び非特許参照を含む、本明細書に開示される全ての参考文献は、各々が個別に組み込まれたかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0177】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連技術分野で知られているような、その伝統的な意味が与えられるべきであることを更に理解されたい。
【0178】
「一実施形態」又は「実施形態」及びそれらの変形への本明細書の全体にわたる言及は、実施形態に関連して説明される特定の特性、構造、又は特徴が、少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。そのため、本明細書の全体にわたる様々な箇所での「一実施形態における」又は「実施形態における」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特性、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な手段で組み合わされ得る。
【0179】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形である「a」、「an」、及び「the」は、内容及び文脈から明らかにそうではない限り、複数、すなわち、1以上の指示対象を含む。また、連結用語「及び」及び「又は」は、内容及び文脈が、あり得る場合として包括性又は排他性を明確に指示しない限り、「及び/又は」を含む最も広い意味で一般的に用いられることに留意されたい。そのため、選択肢(例えば、「又は」)の使用は、選択肢のうちの1つ、両方、又はそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。加えて、「及び」及び「又は」の構成は、「及び/又は」として本明細書に列挙されるとき、関連する項目又は着想の全てを含む実施形態、及び関連する項目又は着想の全てよりも少ないものを含む1つ以上の他の代替実施形態を包含することが意図される。
【0180】
文脈が別途必要としない限り、本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という用語、並びに「有する(have)」及び「含む(include)」などのその同義語及び変形、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などのそれらの変形は、開放的で包括的な意味、例えば、「含むが、これらに限定されない(including,but not limited to)」で解釈されるべきである。「から本質的になる」という用語は、特許請求の範囲を、特定の材料若しくはステップ、又は請求した開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。矛盾する場合には、本明細書が、用語の説明を含めて優先されるであろう。加えて、全ての材料、方法、及び実施例は、例示であり、限定することを意図するものではない。
【0181】
本文書内で使用される見出しは、読者によるそのレビューを促進するためにのみ利用されており、いかなる手段でも本開示又は特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。したがって、本明細書に提供される本開示の見出し及び要約は、便宜上のためのみであり、実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0182】
値の範囲が本明細書に提供される場合、文脈が明確にそうでないことを指示しない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその記述された範囲内の任意の他の記述された値又は介在値が、本開示内に包含されることを理解されたい。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、所定の範囲の任意に特異的に除外される限界値の対象となり、本開示内に包含される。記述された範囲が、限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれた限界の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0183】
例えば、本明細書に提供される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、又は整数範囲は、別段の指示がない限り、列挙した範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、それらの分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。また、別段の指示がない限り、ポリマーサブユニット、サイズ、又は厚さなどの任意の物理的特性に関連する本明細書に列挙される任意の数値の範囲は、列挙される範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本発明に使用される場合、「約」という用語は、別途指示されない限り、示される範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0184】
本出願で言及され、かつ/又は本出願データシートに列挙されている、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び/又は非特許公開の全ては、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。かかる文書は、例えば、刊行物に記載されている材料及び方法論を説明及び開示する目的で参照により組み込まれ得、本明細書に記載の開示に関連して使用され得る、上記及び文脈全体にわたる公開は、本出願の出願日前に単にそれらの開示のために提供されている。本明細書におけるいかなるものも、本発明者らが、先行開示のためにいずれが言及した公開に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0185】
本明細書で参照又は言及される全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、及び他の文書及び資料は、かかる参照文書及び資料の各々が、参照によりその全体が個々に組み込まれているか、又はその全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる、当該技術分野における当業者の技術レベルを示す。出願人は、任意のかかる特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、及び他の参照資料又は文書からの全ての資料及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
【0186】
一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、かかる特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに、全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
【0187】
更に、本特許の書面による説明部分は、全ての特許請求の範囲を含む。更に、全ての元の特許請求の範囲、並びに任意及び全ての優先権文書からの全ての特許請求の範囲を含む全ての特許請求の範囲は、参照により、それらの全体が本明細書の書面による説明部分に組み込まれ、出願人は、かかる特許請求の範囲のいずれか及び全てを、書面による説明又は出願の任意の他の部分に物理的に組み込む権利を留保する。したがって、例えば、いかなる状況下でも、特許は、特許請求の範囲の正確な文言が特許の書面による説明部分に記載されていないという主張に対して特許請求の範囲の関する書面による説明を提供していないと解釈され得ない。
【0188】
特許請求の範囲は、法律に従って解釈されるであろう。しかしながら、いずれかの特許請求の範囲又はその一部を解釈することの主張又は認識された容易さ又は困難さにかかわらず、いかなる状況においても、本特許につながる出願(複数可)の審査中の特許請求の範囲又はその一部のいかなる調整又は修正も、先行技術の一部を形成しないそれらのいずれか及び全ての均等物に対する権利を喪失したものと解釈されない。
【0189】
他の非限定的な実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。本特許は、本明細書に具体的及び/又は明示的に開示される特定の実施例又は非限定的な実施形態若しくは方法に限定されると解釈されてはならない。いかなる状況下でも、特許は、審査官又は特許商標庁(Patent and Trademark Office)の他の職員若しくは従事者によってなされたいかなる声明によっても制限されると解釈されてはならないが、ただし、かかる声明が、出願者によって答えが示された書面で、具体的に、制限又は条件を伴わずに明示的に採用されている場合を除く。
【国際調査報告】