(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】分光計用のダム及びフィルター
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0232 20140101AFI20240628BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240628BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L31/02 D
H01L31/02 B
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579504
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067099
(87)【国際公開番号】W WO2022268923
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】プロコップ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】エグェン,セラル モハン
(72)【発明者】
【氏名】フプファウアー,トマス
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA14
4M118CA22
4M118CB05
4M118GC20
4M118HA02
4M118HA11
4M118HA26
5F149BA04
5F149BA17
5F149BA18
5F149BB03
5F149EA04
5F149JA05
5F149JA13
5F149JA20
5F149XB02
5F149XB05
(57)【要約】
本発明は、予め定義された関心範囲λ
[roi] における電磁放射線を光学的に検出するための少なくとも1つの光学検出器(110)を製造するための方法(126)であって、該方法は以下のステップ:
a)回路担体(114)上に少なくとも1つの検出器画素(112)を与えるステップ;
b)回路担体(114)上の少なくとも1つの線(122)に少なくとも1つの流体材料を施し、流体材料の線(122)が少なくとも1つ、特定的には正確に1つの検出器画素(112)を囲み、及び流体材料の少なくとも1つの線(122)が検出器画素(112)よりも回路担体(114)から高く延びるようにするステップ、
c)少なくとも1つの線が少なくとも1つ、特定的には正確に1つの検出器画素(112)を囲むダム(116)を形成するように、流体材料の少なくとも1つの線(122)を少なくとも部分的に硬化させる、特定的には硬くさせるステップ、及び
d)少なくとも1つのダム(116)上に少なくとも1つのフィルター基材(118)を堆積させ、フィルター基材(118)がダム(116)に接着して取り付けられ、回路担体(114)に対向する少なくとも1つの側で少なくとも1つの検出器画素(112)を覆うようにするステップ、
を含む方法に関する。
更に本発明は、少なくとも2つの光検出器(110)を有する少なくとも1つの光検出器システム(120)を製造するための方法(124)、光検出器(110)、光検出器システム(120)、および少なくとも1つの光検出器システム(120)を含む分光センシングアプリケーションに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定義された関心範囲λ
[roi] における電磁放射線を光学的に検出するための少なくとも1つの光学検出器(110)を製造するための方法(126)であって、該方法は以下のステップ:
a)回路担体(114)上に少なくとも1つの検出器画素(112)を与えるステップ;
b)回路担体(114)上の少なくとも1つの線(122)に少なくとも1つの流体材料を施し、流体材料の線(122)が少なくとも1つの検出器画素(112)を囲み、及び流体材料の少なくとも1つの線(122)が検出器画素(112)よりも回路担体(114)から高く延びるようにするステップ、
c)少なくとも1つの線が、少なくとも1つの検出器画素(112)を囲むダム(116)を形成するように、流体材料の少なくとも1つの線(122)を少なくとも部分的に硬化させるステップ、及び
d)少なくとも1つのダム(116)上に少なくとも1つのフィルター基材(118)を堆積させ、フィルター基材(118)がダム(116)に接着して取り付けられ、及び回路担体(114)に対向する少なくとも1つの側で少なくとも1つの検出器画素(112)を覆うようにするステップ、
を含み、ここで方法(126)は、ステップb)において、適切な数の線(122)を互いに重ねて配置することによって、回路担体(114)から延びるダム(116)の高さを、光検出器(110)の予め定義された開口数に応じて調整することを更に含むことを特徴とする、方法(126)。
【請求項2】
ステップb)において施される流動性材料が、接着剤、密封性材料及び誘電性材料のうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法(126)。
【請求項3】
少なくともステップd)が不活性雰囲気中で実行され、ここで回路担体(114)、少なくとも1つのダム(116)及び少なくとも1つのフィルター基材(118)によって密閉されたパッケージングが形成され、及び密封されたパッケージングが検出器画素(112)を囲むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法(126)。
【請求項4】
方法(126)が更に、
e)ダム(116)内に、検出器画素(112)とフィルター基材(118)との間の予め定義されたギャップを確保するための少なくとも1つのスペーサ要素を堆積させるステップ、
を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(126)。
【請求項5】
少なくとも2つの光検出器(110)を有する少なくとも1つの光検出器システム(120)を製造するための方法(124)であって、
請求項1~4のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光検出器(110)を製造するための方法(126)のステップを含み、及び
ステップa)において、少なくとも2つの検出器画素(112)が同一の回路担体上に設けられることを特徴とする、方法(124)。
【請求項6】
更に、以下のステップ:
f)第1の光検出器(142)のダム(116)と第2の光検出器(144)のダム(116)との間の少なくとも1つの空隙(140)を充填材で充填するステップ、
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
予め定義された関心波長範囲λ
[roi] の電磁放射線を光学的に検出するための光学検出器(110)であって、該光学検出器(120)は、以下の構成:
-回路担体(114)上に配置された少なくとも1つの検出器画素(112);
-流体材料の少なくとも1つの硬化線(122)の少なくとも1つのダム(116)であって、検出器画素(112)が少なくとも1つのダム(116)によって囲まれており、ダム(116)が検出器画素(112)よりも回路担体(114)から高く延びており、回路担体(114)から延びるダム(116)の高さが、光検出器(110)の予め定義された開口数に応じて調整される、少なくとも1つのダム(116);
-少なくとも1つのフィルター基材(118)であって、回路担体(114)に対向する少なくとも1つの側の少なくとも1つの検出器画素(112)がフィルター基材(118)によって覆われ、及びフィルター基材(118)がダム(116)に接着して取り付けられている、少なくとも1つのフィルター基材(118)、
を含むことを特徴とする光学検出器(110)。
【請求項8】
前記流体材料は、接着剤、気密材料、及び誘電材料のうちの1つ以上である、請求項7に記載の光検出器(110)。
【請求項9】
前記回路担体(114)、前記少なくとも1つのダム(116)及び前記少なくとも1つのフィルター基材(118)は、前記検出器画素(112)を包囲する密封パッケージングを形成することを特徴とする、請求項7又は8に記載の光検出器(110)。
【請求項10】
検出器画素(112)とフィルター基材(118)との間の予め定義された間隙を確保するための少なくとも1つのスペーサ要素を更に備える、請求項7~9のいずれか1項に記載の光検出器(110)。
【請求項11】
光検出器(110)に言及する請求項7~10のいずれか1項に記載の、少なくとも2つの光検出器(110)を備える光検出器システム(120)であって、少なくとも2つの光検出器(110)が、少なくとも1つの回路担体(114)を共有することを特徴とする、光検出器システム(120)。
【請求項12】
第1の光検出器(142)のダム(116)と第2の光検出器(144)のダム(116)との間の少なくとも1つの空隙(140)が、充填材料で充填されていることを特徴とする、請求項11に記載の光検出器システム(120)。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の少なくとも1つの光学検出器システム(120)を含むことを特徴とする分光センシングアプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定された関心範囲λ[roi] における電磁放射線を光学的に検出するための少なくとも1つの光学検出器を製造する方法に関する。更に本発明は、光検出器システムの製造方法に関し、この光検出器システムは、少なくとも2つの光検出器を有するものである。更に本発明は、光検出器、光検出器システム及び少なくとも1つの光検出器を含む分光センシングアプリケーションに関する。このような方法及び装置は、例えば専門的な環境、例えば医療及び生理学的診断及び研究のための装置、ならびに品質管理のために使用される装置及び科学研究の様々な他の分野で使用される装置のような、光センシング及び検出技術の様々な分野で採用することが可能である。更に家庭用電化製品や家庭用機器、特に手動操作機器への適用も可能である。しかし更なる適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
光学検出器は一般的に、検出器の材料組成に応じて特定の波長範囲の電磁放射線に応答する。このような検出器をさらに機能化するために、例えば分光センシング用途では、中心波長、半値全幅(FWHM)及び遮断範囲に関して検出器のスペクトル応答を制限するために、光学窓やバンドパスフィルターなどのフィルターを採用することが可能である。一般的分光センシング(検出)システムでは、1つ以上の検出器が必要とされ、意図された用途のために組み合わされることが可能である。
【0003】
特許文献1(US2021/028217A1)は、半導体パッケージ及びその製造方法を記載している。半導体パッケージは、半導体チップ構造体と、半導体チップ構造体上に配置された透明基材(基板)と、半導体チップ構造体の端部に配置され、及び半導体チップ構造体と透明基材との間に配置されたダムと、ダムと半導体チップ構造体との間に介在された接着層とを含んでも良い。半導体チップ構造体は、互いに接触するイメージセンサチップとロジックチップとを含んで良く、及びイメージセンサチップはロジックチップよりも透明基材に近くても良い。
【0004】
特許文献2(US 2017/213864 A1)は、トレンチドボンディングダムデバイス及び対応する製造方法を記載している。トレンチ型ボンディングダムデバイスは、基材の上面に配置されたボンディングダム構造を含む。ボンディングダム構造は、基材の上面に取り付けられた底面、外側ダムに囲まれた内側ダム、及び内側ダムと外側ダムとの間のトレンチ(溝)を有する。装置は、レンズと、光学系の底面と内側ダム及び外側ダムの少なくとも一方の上面との間の接着領域内に配置された接着剤とを含む光学系をさらに含むことが可能である。トレンチは、基材を光学系に接着する際に接着領域から横方向に流れ出る余剰接着剤の一部を受け、余剰接着剤を横方向に閉じ込め、及び接着剤の横方向へのブリードを低減するように寸法決めされても良い。
【0005】
特許文献3(CN 108649045 A)には、基材、封止用粘着体及びチップを含む包装構造が記載されている。チップは封止用粘着体を介して基材上に包装され、少なくとも一つの封止用粘着体が基材上に配置され、基材は対向配置される第一端と第二端を備え、封止用粘着体は第一端と第二端を備え、封止用粘着体の第一端は基材の第一端に配置され、封止用粘着体の第二端は基材の第二端に配置され、及び複数のチップが封止用粘着体上に配置されており;基材の第二の端部に排気溝が形成され、及び排気溝は封止接着体の第二の端部と連結している。この包装構造は、包装成形不良を効果的に改善することができる。この発明は更にカメラモジュールを開示する。
【0006】
検出器のスペクトル応答、例えば中心波長、半値全幅(FWHM)及び遮断範囲を制限するために、一般に、例えば分光センシング用途のために、このような検出器をさらに機能化するために、光学窓又はバンドパスフィルターのようなフィルターを採用することができる。しかしながら、フィルターの取り付けと組み立てには、依然として高い労力と時間が必要である。更に、複数のステップを有する一般的な製造工程では、通常、各ステップごとに異なる製造セットアップが必要とされる。このような異なる製造セットアップは、一般的にステップを複雑化させ、エラーが発生しやすくなり、完全自動化の場合でも非常に時間がかかる。
【0007】
更に、典型的には、このような意図された用途に使用するために、複数の検出器及びフィルターが必要とされ、及び組み合わされる。検出器とフィルターを既知の装置、例えば消費者用装置、家庭用装置、携帯型装置などに組み込むためには、アセンブリは非常にコンパクトでなければならない。しかし一般的に、及び特にコンパクトなアセンブリでは、迷光やクロストーク、特に2つ以上の検出器が採用されている場合に、不良のある測定や歪んだ測定をもたらす。特定的には、フィルターを通過せずに画素と相互作用する迷光や回折光、又は特定の画素と相互作用することが意図されていたが、代わりに異なる画素、例えば1つ又は複数の隣接する画素と相互作用する迷光や回折光は通常、歪んだ測定結果をもたらす。
これらの現象は、フットプリントの小型化とセンサーシステムの高密度化の傾向によって、より敏感になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2021/028217A1
【特許文献2】US 2017/213864 A1
【特許文献3】CN 108649045 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、公知の方法及び装置の欠点を少なくとも実質的に回避する方法及び装置を提供することが望ましい。特に本発明の目的は、高い歩留まりを維持しながら、特に大量生産のために、高速で、信頼性が高く、費用対効果の高い処理を目指す方法及び装置を提供することである。従って、特に、迷光を最小化し、クロストークを抑制する、フィルター取り付け及び組み立てのための装置及び方法、例えばスマートコンセプトを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
この問題は、独立請求項の特徴を有する、少なくとも1つの光検出器の製造方法、少なくとも1つの光検出器システムの製造方法、光検出器、光検出器システム及び分光センシングアプリケーションによって解決される。独立した態様で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項及び明細書全体に記載されている。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「有する(have)」、「備える(comprise)」又は「含む(include)」、又はそれらの任意の文法的変形は、非排他的な意味で使用される。従って、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴以外に、この文脈で説明される実体においてさらなる特徴が存在しない状況も、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況も指すことがある。一例として、“A has B”、“A comprises B ”及び “A includes B ”という表現は、Bの他にA中に他の要素が存在しない状況(すなわち、AがBのみから構成される状況)と、Bの他に、要素C、要素C及びD、又はさらに他の要素など、1つ又は複数のさらなる要素が実体A中に存在する状況の両方を指すことがある。
【0012】
更に、用語「少なくとも1つ」、「1つ以上」、又は特徴もしくは要素が1回又は複数回存在する可能性があることを示す同様の表現は、通常、それぞれの特徴又は要素を紹介する際に1回のみ使用されることに留意されたい。ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素に言及する際、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在する可能性があるという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0013】
更に、本明細書で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的には」、「より具体的には」又は類似の用語は、代替可能性を制限することなく、任意の特徴と組み合わせて使用される。従って、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を何ら制限することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いて実施することができる。同様に、「本発明の実施形態において」又は類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、そのように導入される特徴を本発明の他の任意的又は非任意的な特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意的な特徴であることが意図される。
【0014】
第1の態様において、本発明は、予め定義された関心範囲λ[roi] における電磁放射線を光学的に検出するための少なくとも1つの光学検出器を製造する方法に関する。本方法は、与えられた順序で実行しても良い以下の方法ステップを含む。ただし、異なる順序も可能であって良い。更に、方法ステップの1つ、1つ以上、又は全てを、1回又は繰り返し実行しても良い。更に、方法ステップを連続して実施しても良いし、あるいは、2つ以上の方法ステップを適時に重複して、あるいは並行して実施しても良い。本方法は、列挙されていない追加の方法ステップを更に含んでも良い。
【0015】
本方法は以下のステップを含む:
a)回路担体上に少なくとも1つの検出器画素(112)を与えるステップ;
b)回路担体上の少なくとも1つの線に少なくとも1つの流体材料を施し、流体材料の線が少なくとも1つの検出器画素、特に正確に1つの検出器画素を囲み、及び流体材料の少なくとも1つの線が検出器画素よりも回路担体から高く延びるようにするステップ;
c)少なくとも1つの線が少なくとも1つの検出器画素、特定的には正確に1つの検出器画素を囲むダムを形成するように、流体材料の少なくとも1つの線を少なくとも部分的に硬化させ(hardening)、特定的には硬化(curing)させるステップ、及び
d)少なくとも1つのダム上に少なくとも1つのフィルター基材を堆積させ、フィルター基材がダムに接着して取り付けられ、回路担体に対向する少なくとも1つの側で少なくとも1つの検出器画素を覆うようにするステップ。
【0016】
本明細書で使用される「電磁放射」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は特定的には、限定はされないが、電磁放射エネルギーを搬送しながら空間を通って放射される電磁場の少なくとも1つの波を表しても良い。電磁放射は例えば、電波、マイクロ波、赤外線、例えば近赤外線、可視光線、特に人間の目に見える光、紫外線、X線及びガンマ線を含んでも良い。従って、「予め定義された関心範囲の電磁放射線λ[roi] 」は、特定的には、予め設定及び/又は特定化された範囲内の波長を有する電磁放射線を表しても良い。一例として、予め定義された関心範囲λ[roi] は、特定的には、光学検出器の少なくとも1つの検出画素の応答範囲等、光学検出器の特性及び/又は特徴を表しても良い。
【0017】
本明細書で使用する場合、「検出器画素」という用語は広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は特定的には、限定されないが、電磁放射線の存在に応じて少なくとも1つの信号を生成するように構成された電子部品及び/又は部分表しても良い。特に検出器画素は、センサユニットセルであって良く、特定的には、少なくとも1つの光検出器及び1つ以上のトランジスタを含んでも良い。特に検出器画素は、多結晶セレン化鉛(PbSe)及び/又は多結晶硫化鉛(PbS)などの光導電性材料であっても良く、又はこの光導電性材料を含んでも良い。
【0018】
本方法のステップa)において、検出器画素は少なくとも1つの回路担体に設けられ、回路担体は特定的にはプリント回路基板であっても良いし、プリント回路基板を含んでも良い。一例として回路担体は、ガラス強化エポキシラミネート材料、例えばFR4等のガラス材料であって良いし、ガラス材料を含んで良い。特に検出器画素は、特定的には、電子部品を機械的に支持し、及び電気的に接続するように構成された導電性特徴部を含む1つ以上のシート層上に設けられていても良い。
【0019】
本明細書で使用される「施す(dispensing)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は具体的には、限定されないが、少なくとも1つの材料を出力するステップを表しても良い。特に、この用語は、流体材料を構造化された方法で任意のベース要素上に塗布するステップを表しても良い。特定的には、材料、例えば流動性材料を吐出(分注)するためにディスペンサーを使用しても良い。一例として、吐出は、構造化された方法で、例えば、ディスペンサーとベースエレメントとの間で相対的な移動を行うことにより、流動性材料がディスペンサーのリザーバーからベースエレメント上に流出するステップで構成されても良い。
【0020】
ステップb)における分注(施し)は、特定的には、少なくとも1つの流動性材料を、回路担体上、例えばベース要素上に、少なくとも1つの線で、例えば構造化された様式で塗布するステップを表しても良い。本明細書で使用される「流動性材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、限定されないが、任意の少なくとも一時的に液体及び/又はビスコース材料を表しても良い。特に、流動性材料は、特定的には、吐出される(施される)間、液体及び/又はビスコース特性(viscose)を有していても良い。従って、流動性材料は、特定的には、吐出される間、流動する能力を有する任意の材料であって良い。更に、流動性材料は、特定的には、少なくとも部分的に硬化可能であってもよく、特定的には硬化可能であっても良い。
【0021】
本明細書で使用する場合、「硬化(hardning)」という用語は広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、重力による変形に抵抗する能力など、材料の成形安定性を高めるステップを表しても良い。特に、硬化は、流動性材料の粘度を増加させるステップを表しても良い。一例として、硬化(hardning)は、硬化(curing)及び/又は架橋ステップであっても良く、硬化及び/又は架橋ステップを含んでも良い。従って、硬化とは、特定的には、材料の分子構造を修正することによって、及び/又は溶媒もしくは軟化剤分子を蒸発させることによって、材料の成形安定性を高める任意の反応を含むステップを表しても良い。特に、流動性材料の少なくとも1つの線の硬化は、例えば、流動性材料の粘度を増加させるステップ等の硬化ステップを表しても良い。従って、特定的には、硬化中に流動性材料の粘度が増加しても良い。
【0022】
特に、ステップc)の硬化は、ステップb)の分注(吐出)の後に行っても良い。しかしながら、この替わりに、流動性材料の少なくとも部分的な硬化は、まだ流動性材料を分注している間に開始してもよく、及び従って、ステップb)及びc)は、適時に重複して実行されても良い。一例として、ステップb)とc)のこのような適時の重複は、特定的には、迅速かつ費用効果の高い処理を可能にしても良い。
【0023】
更に、ステップd)の堆積は、ステップc)の硬化の後に行っても良い。しかし、この代わりに、ステップc)とd)を適時に重ねることも可能である。特に、ダムの流動性材料がまだ少なくとも部分的に硬化しているステップの間に、少なくとも1つのフィルター基材をダムに堆積させても良い。
【0024】
本明細書で使用される「フィルター基材(基板)」という用語は、広い用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、限定されないが、電磁放射、特定的には可視、赤外又は紫外のスペクトル範囲の1つ又は複数を選択的に透過するように構成されたスライド及び/又はシート状の材料を表しても良い。特にフィルター基材は、形状安定性及び/又は剛性材料であっても良く、又はそれらを含んでも良い。一例として、ダムに接着装着されるフィルター基材は、特定的には、検出器画素を覆う屋根状の構造を形成するように構成されても良い。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「接着して取り付けられる」は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特定的には、限定するものではないが、少なくとも2つの部品及び/又は材料間の物質対物質の結合及び/又は接合を表しても良く、この結合は、結合された部品及び/又は材料間で力の伝達(transfer)及び/又は伝達(transmission)を行うように構成されている従って一例として、ダムに接着装着されているフィルター基材に作用する外力がダムに伝達され、ダムがフィルター基材に作用する外力を支持しても良い。
【0026】
一例として、ステップd)において、ダム自体、特定的には少なくとも部分的に硬化され、特定的には硬化(cure)及び/又は乾燥され、ダムが形成される流動性材料の線が、ダム上にフィルター基材を取り付けるための接着剤及び/又は糊(グルー)であっても良く、又はこれらを含んでも良く、これにより、フィルター基材をダム上に直接的に置くことによってフィルター基材がダム上に接着的に取り付けられても良い。追加的に又は代替的に、接着剤及び/又は糊の中間層等、ダム上にフィルター基材を接着的に取り付けるための更なる物質を使用しても良い。
【0027】
特に、ステップb)において吐出される(施される)流動性材料は、特定的には、接着剤、特定的には糊、気密性材料、特定的には気体の通過を防止する材料、及び誘電性材料のうちの1つ以上であっても良いし、又はこれらを含んでも良い。一例として、流動性材料は、少なくとも部分的に、エポキシ樹脂、特定的には、少なくとも1つの更なる成分を有するエポキシ樹脂、シラン変性ポリマー及びメタノールのうちの1つ以上を含んでも良い。特に、流動性材料はメタノールを含んでも良い。特定的には、流動性材料はこれらの材料の組み合わせを含んでも良い。従って、流動性材料は、例えばメタノール等の少なくとも1つのさらなる成分を有するエポキシ樹脂を含んでも良い。追加的に又は代替的に、流動性材料はシラン変性ポリマーを含んで良く、及び任意にメタノールを更に含んでも良い。
【0028】
一例としてダムは、少なくとも部分的に硬化した流動性材料の複数の線から構成されても良い。従ってステップb)は、2つ以上の線を互いに重ねて分注する(施す)ことを更に含んで良い。特にステップb)において、流動性材料の2つ以上の線は、その後、特に、線のスタックが作成されるように、互いの上に分注されても良く、一例として、線(ライン)のスタックは従ってダムを形成しても良い。
【0029】
更に、本方法は、ステップb)において適切な数の線を互いに重ねて配置すること等により、光検出器の予め定義された開口数(numerical aperture)に応じて回路担体から延びるダムの高さを調整することを含んでいても良い。特定的には、ダムの高さは、少なくとも1つの検出器の開口数を調整するように選択されても良い。特に、ダムの高さは、検出器の開口数に反対の効果及び/又は逆の効果を与えても良い。従って、一例として、ダムが高いほど、例えばフィルター基材(基板)と検出器画素との間のギャップが大きいほど、検出器の開口数は小さくなって良く、この逆もまた同様である。
【0030】
少なくともステップd)は、不活性雰囲気中、特定的には窒素グローブボックス等のグローブボックス中で実施しても良い。ステップb)及びc)等の更なる方法ステップ、あるいは方法ステップの全てを不活性雰囲気中で実施しても良い。特に、フィルター基材をダム上に堆積させるステップは、不活性雰囲気中、例えば、望ましくない化学反応、例えば酸化反応や加水分解反応を回避できる雰囲気中、例えば希ガス雰囲気中、例えばアルゴン及び/又は窒素ガス雰囲気中で行っても良い。従って、一例として、ステップd)は、高レベルのアルゴンガス及び/又は窒素ガスを、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上含む環境で実施することが可能である。特定的には、望ましくない化学反応を回避するために、ステップd)は、低レベルの化学反応性成分、例えば酸素及び/又は水分を含む不活性雰囲気、例えば大気及び/又は高レベルの希ガスを有する雰囲気で実施されても良い。従って、不活性雰囲気、特定的にはグローブボックス内では、希ガスのレベルが高ければ高いほどよいという原則が適用されて良い。
【0031】
更に、回路担体、少なくとも1つのダム及び少なくとも1つのフィルター基材(基板)は、特定的には、密閉されたパッケージング、特定的には、検出器画素を包囲する密閉されたパッケージングを形成するように構成されても良い。従って回路担体、ダム及びフィルター基材は、流体、特定的には気体及び/又は気体混合物、例えば空気及び酸素の通過を防止するように構成されても良い。更に、全ての接合部及び/又は接続部、特定的にはダムと回路担体との間、及びダムとフィルター基材との間は、特定的には気密封止されていても良い。従ってダムと回路担体との間の接続部は気密封止を形成しても良く、ダムとフィルター基材との間の接続部は気密封止を形成しても良い。特に、検出器画素を囲むパッケージング(包装)は、不活性雰囲気中でステップd)を実行することによって、気密封止されたパッケージングを形成することができ、ここで不活性雰囲気は、検出器画素を囲む気密封止されたパッケージングの内部にも存在して良い。特定的には、検出器画素を密封パッケージング内の不活性雰囲気に封入することにより、検出器画素の酸化及び/又は加水分解等、雰囲気と検出器画素との間の望ましくない化学反応が回避されて良いために、特に検出器全体の寿命が延びても良い。特に、光学検出器の長時間の劣化が防止される。
不活性雰囲気は、特定的には、低レベル及び/又は低濃度の酸素を含んでいても良い。特定的には、不活性雰囲気において、≦18体積%の酸素濃度が存在しても良い。好ましくは、不活性雰囲気において、≦15体積%の酸素濃度が存在しても良い。より好ましくは、不活性雰囲気中、酸素濃度≦10体積%が存在しても良い。最も好ましくは、不活性雰囲気中、酸素濃度≦5体積%が存在しても良い。
【0032】
不活性雰囲気は、特定的には、低レベル及び/又は低濃度の水分及び/又は湿度を含んでいても良い。特定的には、不活性雰囲気において、≦5体積%の湿度が存在してもよい。好ましくは、不活性雰囲気において、≦3体積%の湿度が存在してもよい。より好ましくは、不活性雰囲気において、≦1体積%の湿度が存在しても良い。
【0033】
追加的又は代替的に、ステップd)は、真空チャンバー内などの真空雰囲気中で実施しても良い。特に、真空雰囲気は、≦0.3barの大気圧であっても良いし、≦0.3barを含んでも良い。従って例えば、少なくともステップd)を真空雰囲気で実施した結果、密封包装は、例えば真空雰囲気を含んでも良い。
【0034】
特定的には、ダムを形成するために硬化、例えば硬くされた流動性材料等の少なくとも1つのダムは、ダムが密封包装の一部を形成して良いように構成されて良い。特に流動性材料は、密封包装の少なくとも一部を形成するように、密封を可能にするように構成された材料、例えば接着剤(糊)のタイプのものであっても良いが、これは特定的には、密封は、硬化した流動性材料などのダムの材料特性に強く依存する可能性があるためである。
【0035】
本方法は、特定的には以下のステップを更に含んで良い:
e)検出器画素とフィルター基材との間の所定のギャップを確保するための少なくとも1つのスペーサー要素をダム内に堆積させるステップ。
【0036】
特定的には、本方法において、ステップe)は、ステップd)を実行する前に実行されても良く、これにより、少なくとも1つのフィルター基材がダム上に堆積される前に、少なくとも1つのスペーサー要素がダム内に堆積されて良い。
【0037】
スペーサ要素は、例えば検出器画素の隣やダム内等、ギャップ内及び/又はギャップの近傍に存在することによって、検出器画素とフィルター基材との間の予め定義されたギャップを確保するように特定的に構成されても良い。一例として、スペーサ要素は、例えば50μm≦d≦250μmである直径dを有する少なくとも1つのガラス及び/又はプラスチックビーズであるか、又はこれらを含んで良い。
【0038】
ダムは特定的には、関心のある波長範囲λ[roi] 内又はそれに等しい波長範囲λ[dam] の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように適合させて良い。本明細書で使用される場合、「本質的に遮断する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は特定的には、制限されることなく、電磁放射線の大部分が物質を通過するのを阻止又は遮断されるステップを表しても良い。特に、関心波長範囲λ[roi] 内又はこれに等しい波長範囲λ[dam] の電磁放射線を本質的に遮断するように構成されるダムは、特定的には、範囲λ[dam] 内の波長を有する電磁放射線の強度の≧95%、好ましくは≧97%、より好ましくは≧99%を、ダムを透過又は通過することから吸収又は反射する構成の一方又は両方を得るように構成されて良い。特定的には、一例として、ダムは、OD2等の2の光学密度を含んでも良い。
【0039】
特定的には、波長範囲λ[dam] は、NIRとも称される近赤外放射及びVISとも称される可視光の波長範囲からの1つ又は複数の波長であっても良いし、これらを含んでも良い。VIS-範囲は特定的には、400nm~700nmの波長を含んで良い。NIR波長域は、特定的には700nmから2500nmの波長を含んで良い。一例としてダムは、VIS-及び/又はNIR-範囲にわたる透過率を5%以下に低減するように構成しても良い。加えて又は代替的に、ダムの厚さは、電磁放射線の所望の遮断又は透過に応じて調節可能であっても良い。従って一例として、より低い透過率が要求されて良い場合には、ダムはより厚くなるように選択されて良い。特に一例として、450μmと600μmの間の厚さ、例えば500μmは、電磁放射線の透過の少なくとも70%を遮断するのに十分であって良い。
【0040】
特定的には、ダムを通る電磁放射線の透過を低減することによって、例えば、VIS-及び/又はNIR-範囲において、クロストークを低減されて良い。クロストーク(crosstalk)とは、特定的には、特定の検出器画素と相互作用することを意図していた電磁放射が、その代わりに別の検出器画素、例えば1つ以上の隣接する画素、例えば近くに配置され得る別の光学検出器の検出器画素と相互作用することを表して良い。
【0041】
予め定義された関心範囲λ[roi] 、特定的には関心波長範囲は、200nmと1mmとの間の少なくとも1つの範囲内の電磁放射線であっても良いし、又は電磁放射線を含んでも良い。特定的には、λ[roi] は、350nm≦λ[roi] ≦5000nm となるように、より特定的には、1000nm≦λ[roi] ≦3000nm となるように選択されても良い。
【0042】
一例として、ステップd)において堆積されるフィルター基材は、フィルタースライド、フィルターシート及びフィルター層のうちの1つ以上であっても良く、又はそれらを含んでいても良い。特に、フィルター基材は、平坦及び/又は平面の基本形状を有して良い。フィルター基材は更に、ダムの外形又は少なくともダムの外形に類似した形態及び/又は形状を有しても良い。一例として、フィルター基材は、正方形、長方形、円又は楕円の形状に切断された平坦なフィルタースライド又は層であっても良い。
【0043】
特に、ステップd)において堆積されたフィルター基材は、関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を透過するように適合されて良い。更に、フィルター基材は、関心波長範囲λ[roi] の外側に少なくとも1つの波長λ1 を有する少なくとも1つの波長範囲λ[filter]の電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断するように適合されても良い。従って一例として、フィルター基材は特定的には、λ[filter] の範囲内の波長を有する電磁放射線の強度の≧60%、特定的には≧80%、より特定的には≧90%を、フィルター基材を透過又は通過することから吸収又は反射することの一方又は両方のために構成されても良い。
【0044】
フィルター基材は、特定的には干渉フィルターであっても良いし、又は干渉フィルターを構成しても良い。本明細書で使用される場合、用語「干渉フィルター」は広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、吸収係数をほぼゼロに維持しながら、電磁放射の1つ以上のスペクトル帯域又は線を反射し、他のものを透過する光学フィルターを表しても良い。一例として干渉フィルターは、異なる屈折率を有する誘電体材料の複数の層を含んでいても良い。特に、干渉フィルターは波長選択性を含む。特定的には、フィルター基材が干渉フィルターである場合、フィルター基材は、ロングパスフィルター、ショートパスフィルター、ノッチフィルター及びバンドパスフィルターのうちの1つ以上であっても良いし、これらを含んでも良い。特に、フィルター基材がバンドパスフィルターを含む場合、波長範囲λ[filter]は、少なくとも2つの範囲λ[filter-low] 及びλ[filter-high] を含んでも良く、両方の範囲λ[filter-low] 及びλ[filter-high] の波長は、フィルター基材を透過又は通過することから本質的に遮断されても良い。
【0045】
特に、波長範囲λ[filter-low] 及びλ[filter-high] は、関心波長範囲λ[roi] の外側の波長を有する広い波長範囲を表しても良い。従って一例として、フィルター基材は、関心波長範囲λ[roi] 内に入らない400nm~5000nmの波長を有する電磁放射線の強度の≧60%、特定的には≧80%、より特定的には≧90%を吸収及び/又は反射するように構成されても良い。一例として、400nm≦λ[filter-low] <1000nm、3000nm<λ[filter-high] ≦5000nmである。このようなフィルター基材は、特定的には、ミラー(鏡)と吸収性基材のうちの1つ又は複数を含んでも良い。このような構成では、製造された検出器は「暗い(dark)」と呼ばれても良い。
【0046】
この替わりに、波長範囲λ[filter-low] 及びλ[filter-high] は、関心波長範囲λ[roi] の外側に波長を有する狭い波長範囲を表しても良い。従って一例として、波長範囲λ[フィルタ]は、例えば関心波長範囲λ[roi] の側面に立つような狭い波長帯域のみを遮断する等、検出器画素によって検出可能な波長範囲に応じて選択されても良い。一例として、このような構成において、特定的にはフィルター基材に到達する電磁放射線の波長範囲に応じて、例えば発光素子の波長範囲に応じて、検出器は「光」であると称することができる。更なるフィルター、例えば、ロングパスフィルター、ショートパスフィルター、ノッチフィルター、バンドパスフィルターの内の1つ以上を使用しても良い。一例として、「暗い」検出器は、「明るい」検出器よりも長期的な検出ドリフトや光の劣化が起こりにくいものであって良い。
【0047】
本方法のステップa)は、検出器画素を少なくとも1つのボンド接点によって(一例として少なくとも1つのボンド接点ワイヤによって)回路担体に接続することを更に含んでも良い。特に、検出器画素が少なくとも1つのボンド接点を介して回路担体に接続される場合、ステップb)は、流動性材料がボンド接点を取り囲むように、ボンド接点の周囲の回路担体上に流動性材料を吐出(分注)することを更に含んでも良い。従ってステップb)において、一例として、流動性材料は、ボンドコン接点が流動性材料によって取り囲まれるように分注されても良い。特定的には、ステップb)は、ボンド接点の周囲、例えば少なくとも1つのボンドワイヤの周囲に成形されるように、流動性材料を分注することを更に含んでも良く、これは特定的には、ボンドワイヤが検出器画素と回路担体の接続に使用される場合が該当する。更に、流動性材料がボンド接点の周囲に成形される場合、流動性材料、特定的には硬化した流動性材料、例えばダムは、本質的にボンド接点と同じ膨張係数、例えば類似の膨張係数を有しても良い。これにより、特に温度変化によるボンド接点(bond contact)の損傷を回避することが可能になって良い。
【0048】
本発明の更なる態様において、少なくとも2つの光検出器を有する少なくとも1つの光検出器システムの製造方法が開示される。本方法は、所定の順序で実行されて良い以下の方法ステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であって良い。更に方法ステップの1つ、1つ以上、又は全てを1回又は繰り返し実行しても良い。更に、方法ステップを連続して実行しても良いし、又は、2つ以上の方法ステップを適時に重複して、あるいは並行して実行しても良い。本方法は、列挙されていない追加の方法ステップを更に含んでも良い。
【0049】
少なくとも1つの光検出器システムの製造方法は、上述した、又は以下に更に詳細に概説する少なくとも1つの光検出器の製造方法の少なくともステップa)~d)を含み、ここでステップa)において、少なくとも2つの検出器画素が同一の回路担体上に設けられる。従って、本方法に関する用語の意味及び/又は可能な定義に関しては、上述した説明又は以下に更に詳細に概説する説明を参照することが可能である。
【0050】
特に、少なくとも1光検出器システムの製造ステップにおいて、少なくとも2つの検出器の少なくとも2つの隣接するダムの間に少なくとも1つの空隙(void)が存在しても良い。従って特定的には、少なくとも1つの光検出器システムの製造方法は、以下のステップを更に含んでも良い:
f)第1の光学検出器のダムと第2の光学検出器のダムとの間の少なくとも1つの空隙を充填材で満たすステップ。
【0051】
特に、充填材料は、ステップb)において分注された流動性材料を含んでも良い。追加的又は代替的に、充填材料は、空隙充填に最適化されて良い材料であっても良いし、空隙充填に最適化されて良い材料を含んでも良い。特定的には、充填材料は、エポキシベースの材料、例えばエポキシ接着剤などのエポキシ;アクリレートベースの材料、例えばアクリレート接着剤などのアクリレート;シリコーンベースの材料、例えばシリコーン接着剤などのシリコーン;ハイブリッド接着剤のうちの1つ以上であるか、又はこれらを含んでも良い。
【0052】
一例として、ステップf)は、検出器のダムとフィルター基材との間の空隙、例えば、ダムとフィルター基材との間に誤って意図せずに生じた空隙を充填することをさらに含んで良い。このように、ステップf)の充填は特に、例えば、意図せずに生じる可能性のある空隙の予防的な空隙充填を提供しても良い。
【0053】
特に、少なくとも1つの検出器を製造する方法及び少なくとも1つの検出器システムを製造する方法の両方の方法ステップの少なくとも2つ、2つ超、又は全部を、ピックアンドプレース装置内等のピックアンドプレースセットアップで実施しても良い。従って一例として、本方法の少なくともステップb)、c)及びd)、ならびに任意にステップe)及びf)は特定的には、表面実装技術(SMT)部品配置システムとも称されて良いピックアンドプレース装置内等のピックアンドプレースセットアップで実施されても良い。
【0054】
本発明の更なる態様では、予め定義された関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を光学的に検出するための光学検出器が開示される。この光検出器は、少なくとも1つの検出器画素を備え、検出器画素は回路担体上に配置され、回路担体も光検出器に含まれる。更に、光検出器は、流体材料の少なくとも1つの硬化線の少なくとも1つのダムを備え、ここで検出器画素は、少なくとも1つのダムによって囲まれており、及びダムは、検出器画素よりも回路担体から高く延びている。更に光検出器は、少なくとも1つのフィルター基材を備え、ここで回路担体に対向する少なくとも一方の側の少なくとも1つの検出器画素がフィルター基材によって覆われ、及びフィルター基材がダムに接着的に取り付けられている。
【0055】
光学検出器は、特定的には、上述した光学検出器の製造方法又は以下にさらに詳細に概説する光学検出器の製造方法を用いて製造しても良い。従って用語の可能な定義については、上述した方法又は以下にさらに詳細に概説する方法が参照される。
【0056】
流動性材料、特定的にはダムを形成するために硬化された流動性材料は例えば、接着剤、特定的には糊(glue)、気密性材料、特定的には気体の通過を防止する材料、及び誘電性材料の内の1つ以上であるか、又はこれらを含んで良い。
【0057】
ダムは、特定的には、互いに重なった2本以上の硬化した流動性材料の線であっても良いし、これらを含んでも良い。従って、ダムは、流体材料の硬化線の積み重ねであっても良く、又は積み重ねからを含んでも良い。更に、回路担体から延びるダムの高さは、光検出器の予め定義された開口数に応じて調整されても良い。特定的には、ダムが互いに積み重ねられた複数の流動性材料の硬化線を含む場合、光学検出器の開口数に応じてダムの高さを調整するために、硬化線の数を調整しても良い。
【0058】
回路担体、少なくとも1つのダム、及び少なくとも1つのフィルター基材は、検出器画素を囲む密閉パッケージングを形成するように構成されても良い。特に、回路担体とダムとフィルター基材とによって形成される密閉パッケージング内の雰囲気は、不要な化学反応、例えば酸化反応や加水分解反応を回避する雰囲気等の不活性雰囲気であっても良い。従って気密封止されたパッケージ内の雰囲気は、希ガス雰囲気、例えば、アルゴン及び/又は窒素ガス雰囲気であっても良いし、又はこれらを含んでも良い。特定的には、回路担体とダムとフィルター基材とによって形成された密閉包装内の不活性雰囲気は、低レベル及び/又は低濃度の酸素を含んでいても良い。一例として、密閉包装内の酸素濃度は、≦18vol.-%、好ましくは≦15vol.-%、より好ましくは≦10vol.-%、又は最も好ましくは≦5vol.-%であって良い。
【0059】
更に、回路担体及びダムとフィルター基材によって形成された密封包装内の不活性雰囲気は、低レベル及び/又は低濃度の水分及び/又は湿度を含んでいても良い。特に、密閉包装内の湿度は、≦5vol.-%、好ましくは≦3vol.-%、又はより好ましくは≦1vol.-%であって良い。加えて又は代替的に、回路担体とダムとフィルター基材とによって形成された密閉包装内の雰囲気は、真空雰囲気であっても良い。
【0060】
光検出器は、検出器画素とフィルター基材との間の予め定義された間隙を確保するための少なくとも1つのスペーサ要素を更に含んでも良い。特に、スペーサ要素は、ダム内に配置されても良く、及びギャップ内及び/又はギャップの近傍、例えば検出器画素の隣に存在しても良い。一例として、スペーサ要素は、50μm≦d≦250μmである直径dを有するガラス及び/又はプラスチックビーズであっても良く、又はこれらを含んでいても良い。
【0061】
光学検出器のダムは、特定的には、関心波長範囲λ[roi] 内又はこれに等しい波長範囲λ[dam] の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように適合させても良い。特に、ダムは、400nm~2500nmの波長範囲など、NIR及びVIS範囲の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように構成されても良い。従って一例として、ダムとなる及び/又はダムを形成するために硬化される流動性材料は、VIS及びNIR範囲の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように構成されても良い。しかしながら、関心波長範囲λ[roi] 内の波長を有する更なる電磁放射線の遮断が可能であっても良い。特定的には、関心の波長範囲は、200nmと1mmとの間の少なくとも1つの範囲であるか、又はそれらを含んでも良い。従って200nm≦λ[roi] ≦1mm、特定的には350nm≦λ[roi] ≦5000nm、より特定的には1000nm≦λ[roi] ≦3000nmである。
特に、ダムは多機能要素であっても良い。一例としてダムは、電磁放射がダムを透過及び/又は通過するのを本質的に遮断すること等により、迷光遮断器として機能しても良い。更にダムは、フィルターホルダー及びスペーサーとして機能しても良く、これはフィルター基材をダム上の予め定義された及び/又は制御された向きで、かつ検出器画素に対して予め定義された及び/又は制御された距離で保持することができる。
【0062】
光検出器のフィルター基材は、特定的には、フィルタースライド、フィルターシート、及びフィルター層のうちの1つ以上であっても良く、又はこれらを含んでも良い。特にフィルター基材は、平坦及び/又は平面の基本形状を有して良く、更に、ダムの外形又は少なくともダムの外形に類似した形状及び/又は形態を有して良い。特にフィルター基材は、例えばダムの外形に従って、正方形、長方形、円又は楕円の形状に切断される平坦なフィルタースライド又は層であっても良い。
【0063】
更にフィルター基材は、特に関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を透過させ、及び関心波長範囲λ[roi] の外側に少なくとも1つの波長λ1 を有する少なくとも1つの波長範囲λ[filter] の電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断するように適合させても良い。特にフィルター基材は、少なくとも1つの干渉フィルターであっても良く、又は少なくとも1つの干渉フィルターを含んでも良い。従って一例として、フィルター基材は、ロングパスフィルター、ショートパスフィルター、及びバンドパスフィルターの内の1つ以上であるか、又はこれらを含んでも良い。
【0064】
光検出器の検出器画素は、特定的には、少なくとも1つのボンド接点を介して、特定的には少なくとも1つのボンドワイヤーを介して回路担体に接続されても良い。特に検出器画素が少なくとも1つのボンドワイヤーを介して回路担体に接続される場合、ダムは、少なくとも1つのボンド接点、例えばボンドワイヤーの周りに成形されても良い。例えば、ボンド接点の周囲に成形されるダムは、ボンド接点を封止及び/又は迂回することが可能であっても良い。更に、ボンド接点の周囲に成形されるダムの場合、ダムの硬化した流動性材料は、ボンド接点と同様の膨張係数を有しても良い。これにより、温度変化によるボンドコンタクトの損傷を回避することができるため、光学検出器の温度堅牢性を特に高めても良い。更に、ボンド接点の周囲に成形されるダムはボンド接点を更に安定させ、従って機械的ひずみに対する特別な保護を提供して良いために、機械的応力に対する光学検出器の堅牢性が向上しても良い。
【0065】
本発明の更なる態様では、光検出器システムが開示される。光検出器システムは、少なくとも2つの光検出器を含み、ここで少なくとも2つの光検出器は、少なくとも1つの回路担体を共有する。従って光検出器システムは、少なくとも2つの検出器画素を備え、検出器画素は、1つの共通及び/又は共有回路担体上に配置され、回路担体は、光検出器システムによっても含まれる。可能な用語の定義については、上述した光検出器、又は以下に更に詳細に概説する光検出器が参照される。
【0066】
光検出器システムにおいて、少なくとも2つの検出器の少なくとも2つの隣接するダム間の少なくとも1つの空隙(void)は、充填材料で充填されても良い。従って光検出器システムでは、第1の光検出器のダムと第2の光検出器のダムとの間の少なくとも1つの空隙が充填材料で充填されて含まれて良い。充填材料は特定的には、ダムを形成するために硬化された少なくとも1つの流動性材料であっても良いし、これを少なくとも部分的に含んでも良い。追加的に、又は代替的に、充填材料は、空隙充填に最適化された材料であっても良く、又は空隙充填に最適化された材料を含んでも良い。特定的には充填材料は、エポキシ系材料、例えばエポキシ系糊(接着剤)等のエポキシ;アクリレート系材料、例えばアクリレート系糊等のアクリレート;シリコーン系材料、例えばシリコーン系糊等のシリコーン;ハイブリッド糊の内の1つ以上であるか、又はこれらを含んでも良い。
【0067】
本発明の更なる態様では、分光センシングアプリケーションが開示される。この分光センシングアプリケーションは、上述したような、又は以下に更に詳細に概説するような、少なくとも1つの光学検出器システムを備える。従って用語の可能な定義については、上述したような、又は以下に更に詳細に概説するような光学検出器システムが参照される。
【0068】
本発明による方法及び装置は、電磁放射線の光学的検出のための既知の方法及び装置と比較して、多数の利点を提供し得る。従って特定的には、本発明は、高い集積度、製造及び組立に関する低い技術的労力を提供して良く、及び大規模生産であっても非常に費用対効果が高いものであって良い。特に、少なくとも1つの検出器の製造方法及び少なくとも1つの検出器システムの製造方法の両方の方法ステップの少なくとも2つ、2つ超、又は全部が、ピックアンドプレイスセットアップで実行可能であることによって、本方法は特定的には、非常に費用対効果の高い製造を可能にして良く、更に既存の製造プロセスに高度に統合され、及び実現するのに特に低い労力を必要とするものであって良い。特定的には、本発明による方法及び装置は、大量生産に対して拡張可能であり、及び高い修正労力を要することなく高い柔軟性を提供して良い。
【0069】
更に、本発明に従う方法及び装置は、クロストークを強力かつ効果的に低減しても良く、従って、クロストークによる悪影響を回避しても良い。特に、クロストークは回避されて良い。更に本発明による方法及び装置は、迷光及び/又は回折光がフィルター基材を通過することなく検出器画素と相互作用することを回避及び/又は防止する。一例として、可能性のある迷光は、検出器システムにおいて、検出器間の空隙、例えばダム及び/又はフィルター基材間の空隙、例えば2つのダム間及び/又はフィルター基材の少なくとも1つの側縁とダムとの間の空隙を埋めることによって、強く最小化されても良い。本発明に従う方法及び装置は、特定的には、望ましくない電磁放射の大部分又は全てを抑制することを可能にして良く、従ってクロストークによる歪んだ測定を回避するか、又は少なくとも減少させても良い。
【0070】
更に、本発明に従う方法及び装置は、公知の方法及び装置よりも高い機械的応力に耐えることが可能であって良い。特定的には、検出器画素とフィルター基材との間の予め定義されたギャップを確保するためにスペーサ要素が使用される場合、スペーサ要素は、ボンド接点、例えばボンドワイヤーを機械的応力からさらに保護することができ、従って機械的応力に関する光検出器の堅牢性を特に高めても良い。特に、検出器画素がボンドコン接点を介して回路担体、例えばシステムの残りの部分に電気的に接続されている場合、例えば、フィルター基材を検出器画素に直接組み立てることが困難であるように、ボンド接点は、曲げのために一定の半径を必要とする場合があって良い。しかしながら、ガラスビーズ及び/又はプラスチックビーズなどのスペーサ要素を採用することにより、フィルター基板と検出器画素との間に予め定義された最小ギャップが確保されて良く、これによりボンドワイヤが断線しないように更に保護することができる。
【0071】
更に、特定的には、光検出器の予め定義された開口数に応じてダムの高さを調整することにより、検出器の分光分解能を公知の検出器と比較して増加させても良い。特に、ダムの高さを調整することによる検出器のスペクトル分解能の向上は、干渉効果に基づく光学フィルター等のフィルター、例えばフィルター基材が、電磁放射線の入射角に応じて、波長シフトを示す場合があることに起因すると考えられても良い。一例として、このようなフィルターは、電磁放射の入射角に応じて、特定された波長、例えば、透過するように設計された特徴波長ではなく、シフトされた波長を透過しても良い。従って多い開口数が選択されて良い場合、例えばフィルターと検出画素の間の距離が非常に小さい場合、所望の波長だけでなく、更なる波長も光学フィルターを通過し、及びその後検出画素に到達しても良い。これは特定的には、光学検出器及び/又は光学検出器システムのスペクトル分解能の低下をもたらしても良い。しかしながら、ダムの高さを調整することにより、この影響を少なくとも部分的に抑制しても良く、従って分光分解能の低下をより小さくするか、又は既知の検出器に一般的に存在するよりも高い分光分解能を可能にすることさえ可能である。
【0072】
更に、提案された方法及び装置は、既知の方法及び装置と比較して、より少ないスペースを必要とし、大幅なコスト削減を可能にしても良い。特定的には、提案された光検出器は、冷却システム、例えば、ペルチェ効果に基づく熱電冷却器のような熱電冷却器の上に検出器を配置するだけで、例えば性能向上のために冷却されて良い。このように、提案された方法及び装置を使用して、湿度による検出器画素の氷結を防止するため等、既知の方法及び装置で一般的に行われているような、冷却システムが組み込まれた金属製TOハウジングの必要性を控えることが可能であっても良い。
【0073】
要約すると、更に可能な実施形態を排除することなく、以下の実施形態が想定されて良い:
【0074】
実施形態1:
予め定義された関心範囲λ[roi] における電磁放射線を光学的に検出するための少なくとも1つの光学検出器を製造するための方法であって、該方法は以下のステップ:
a)回路担体上に少なくとも1つの検出器画素を与えるステップ;
b)回路担体上の少なくとも1つの線に少なくとも1つの流体材料を施し、流体材料の線が少なくとも1つの検出器画素、特定的には正確に1つの検出画素を囲み、及び流体材料の少なくとも1つの線が検出器画素よりも回路担体から高く延びるようにするステップ、
c)少なくとも1つの線が少なくとも1つの検出器画素、特定的には正確に1つの検出画素を囲むダムを形成するように、流体材料の少なくとも1つの線を少なくとも部分的に硬化(hardning)、特定的には硬くさせる(curing)ステップ、及び
d)少なくとも1つのダム上に少なくとも1つのフィルター基材を堆積させ、フィルター基材がダムに接着して取り付けられ、及び回路担体に対向する少なくとも1つの側で少なくとも1つの検出器画素を覆うようにするステップ、
を含む方法。
【0075】
実施形態2:
ステップb)において施される流動性材料が、接着剤、特定的には糊、密封性材料、特定的にはガスの流れを防止する材料、及び誘電性材料のうちの1つ以上である、実施形態1に記載の方法。
【0076】
実施形態3:
ステップb)が、例えばその後、2つ以上の線を互いに重ねて、特定的には線の積み重ねが生じるように吐出(分注)することを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0077】
実施形態4:
ステップb)において、適切な数の線を互いに重ねて配置することによって、回路担体から延びるダムの高さを、光検出器の予め定義された開口数に応じて調整することをさらに含むことを特徴とする、実施形態1~3の何れか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態5:
少なくともステップd)が、不活性雰囲気中、特定的には窒素グローブボックスなどのグローブボックス中で行われ、回路担体、少なくとも1つのダム及び少なくとも1つのフィルター基材によって気密封止されたパッケージングが形成され、気密封止されたパッケージングが検出器画素を囲む、実施形態1~4の何れか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態6:
不活性雰囲気内が、≦18vol.-%、好ましくは≦15vol.-%、より好ましくは≦10vol.-%、最も好ましくは≦5vol.-%の酸素濃度である、実施形態1~5の何れか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態7:
不活性雰囲気内の湿度が、≦5vol.-%、好ましくは≦3vol.-%、より好ましくは≦1vol.-%である、上記2つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態8:
少なくともステップd)が真空雰囲気中で実施される、実施形態1~7の何れか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態9:
更に以下のステップ:
a)検出器画素とフィルター基材との間の所定の間隙(ギャップ)を確保するための少なくとも1つのスペーサ要素をダム内に堆積させるステップ、
を含む、実施形態1~8の何れか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態10:
ステップe)において堆積(配置)されるスペーサ要素が、直径dを有するガラス及び/又はプラスチックビーズであり、ここで、50μm≦d≦250μmである、実施形態1~9の何れか1つに記載の方法。
【0084】
実施形態11:
ダムは、関心波長範囲λ[roi] 内又はこれに等しい波長範囲λ[dam] の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように適合されている、実施形態1~10の何れか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態12:
200nm≦λ[roi] ≦1mm、特定的には350nm≦λ[roi] ≦5000nm、より特定的には1000nm≦λ[roi] ≦3000nmである、実施形態1~11の何れか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態13:
ステップd)において堆積されたフィルター基材が、フィルタースライド、フィルターシート、及びフィルター層のうちの1つ以上であり、フィルター基材が、更にダムの外形の形態及び/又は形状を有するか、又は少なくともダムの外形に類似する形態及び/又は形状を有する、実施形態1~12の何れか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態14:
ステップd)において堆積されたフィルター基材が、関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を透過し、且つ関心波長範囲λ[roi] の外側の少なくとも1つの波長λ1 を有する少なくとも1つの波長範囲λ[フィルタ]の電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断するように適合されている、又は少なくともダムの外形に類似する形態及び/又は形状を有する、実施形態1~13の何れか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態15:
ステップd)において堆積されたフィルター基材が、少なくとも1つの干渉フィルター、特定的には、ロングパスフィルター、ショートパスフィルター、ノッチフィルター、及びバンドパスフィルターのうちの1つ以上であるか、又はこれらを含む、実施形態1~14の何れか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態16:
ステップa)が、少なくとも1つのボンド接点によって、特定的には少なくとも1つのボンド接点ワイヤによって、検出器画素を回路担体に接続することをさらに含み、ステップb)が、流動性材料がボンド接点を取り囲むように、ボンド接点の周囲の回路担体上に流動性材料を分注(dispensing)することを更に含む、実施形態1~15の何れか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態17:
少なくとも2つの光検出器を有する少なくとも1つの光検出器システムの製造方法であって、
実施形態1~16の何れか1つに記載の少なくとも1つの光学検出器を製造するための方法のステップを含み、及びステップa)において、少なくとも2つの検出器画素が同一の回路担体上に設けられる、方法。
【0091】
実施形態18:
更に、以下のステップ:
f)第1の光検出器のダムと第2の光検出器のダムとの間の少なくとも1つの空隙を充填材で充填するステップ、
を含む、実施形態17に記載の方法。
【0092】
実施形態19:
充填材が、ステップb)で分注された流動性材料;エポキシ系材料、例えばエポキシ接着剤等のエポキシ;アクリレート系材料、例えばアクリレート接着剤(glue)等のアクリレート;シリコーン系材料、例えばシリコーン接着剤などのシリコーン;ハイブリッド接着剤のうちの1つ又は複数を含む、実施形態18に記載の方法。
【0093】
実施形態20:
予め定義された関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を光学的に検出するための光学検出器であって、該光学検出器は、以下の構成:
-回路担体上に配置された少なくとも1つの検出器画素;
-流体材料の少なくとも1つの硬化線の少なくとも1つのダムであって、検出器画素が少なくとも1つのダムによって囲まれており、ダムが検出器画素よりも回路担体から高く延びている、少なくとも1つのダム;
-少なくとも1つのフィルター基材であって、回路担体に対向する少なくとも1つの側の少なくとも1つの検出器画素がフィルター基材によって覆われ、及びフィルター基材がダムに接着的に取り付けられている、少なくとも1つのフィルター基材、
を含む、光学検出器。
【0094】
実施形態21:
流体材料、特定的には、ダムを形成するために硬化された流体材料が、接着剤、特定的には、糊(glue)、気密材料、特定的には、気体の通過を防止する材料、及び誘電体材料のうちの1つ以上である、実施形態20に記載の光検出器。
【0095】
実施形態22:
ダムは、互いに重ねられた2つ以上の硬化線、例えば硬化線のスタックであるか、又はそれらを含む、光検出器に言及する先の実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0096】
実施形態23:
回路担体から延びるダムの高さ、特定的には、互いに重なる複数の硬化線が、光学検出器の予め定義された開口数に応じて調整される、光学検出器に言及する先の実施形態のいずれか1つに記載の光学検出器。
【0097】
実施形態24:
上記回路担体、上記少なくとも1つのダム及び上記少なくとも1つのフィルター基材は、上記検出器画素を囲む気密封止パッケージを形成する、光検出器に言及する上記実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0098】
実施形態25:
密封パッケージング内の酸素濃度が、≦18vol.-%、好ましくは≦15vol.-%、より好ましくは≦10vol.-%、最も好ましくは≦5vol.-%である、実施形態24に記載の光検出器。
【0099】
実施形態26:
密封パッケージング内の湿度が、≦5vol.-%、好ましくは≦3vol.-%、より好ましくは≦1vol.-%である、上記2つの実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0100】
実施形態27:
密封パッケージング内に真空雰囲気が存在する、上記3つの実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0101】
実施形態28:
上記光検出器は、上記検出器画素と上記フィルター基材との間の予め定義されたギャップを確保するための少なくとも1つのスペーサ要素を更に備える、光検出器に言及する上記実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0102】
実施形態29:
上記スペーサ要素は、直径dが50μm≦d≦250μmのガラス及び/又はプラスチックビーズである、実施形態28に記載の光検出器。
【0103】
実施形態30:
ダムは、関心波長範囲λ[roi] 内又はこれに等しい波長範囲λ[dam] の電磁放射線の透過を本質的に遮断するように適合されている、光学検出器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学検出器。
【0104】
実施形態31:
200nm≦λ[roi] ≦1mm、特定的には350nm≦λ[roi] ≦5000nm、より特定的には1000nm≦λ[roi] ≦3000nmである、光検出器に言及する上記実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0105】
実施形態32:
フィルター基材が、フィルタースライド、フィルターシート、及びフィルター層のうちの1つ以上であり、フィルター基材が、更に、ダムの外形と同じか、又は少なくともそれに類似する形状及び/又は形を有する、光検出器に言及する上記実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0106】
実施形態33:
フィルター基材が、関心波長範囲λ[roi] の電磁放射線を透過し、関心波長範囲λ[roi] の外側に少なくとも1つの波長λ1 を有する少なくとも1つの波長範囲λ[filter] の電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断するように適合されている、光検出器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0107】
実施形態34:
フィルター基材が、少なくとも1つの干渉フィルター、特定的には、ロングパスフィルター、ショートパスフィルター、及びバンドパスフィルターのうちの1つ以上であるか、又はこれらを含む、光検出器に言及する先の実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0108】
実施形態35:
検出器画素が、少なくとも1つのボンド接点を介して、特定的には、少なくとも1つのボンドワイヤを介して、回路担体に接続され、及びダムが、少なくとも1つのボンド接点の周囲に成形される、光検出器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の光検出器。
【0109】
実施形態36:
硬化された流体材料が、少なくとも1つのボンド接点、特定的にはボンドコン接点ワイヤと本質的に同じ膨張係数を有する、実施形態35に記載の光検出器。
【0110】
実施形態37:
少なくとも2つの光検出器が少なくとも1つの回路担体を共有する、光検出器に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の、少なくとも2つの光検出器を備える光検出器システム。
【0111】
実施形態38:
上記第1の光検出器のダムと前記第2の光検出器のダムとの間の少なくとも1つの空隙(void)が充填材料で充填されている、実施形態37に記載の光検出器システム。
【0112】
実施形態39:
充填材料が、流動性材料;エポキシベースの材料、例えばエポキシ接着剤等のエポキシ;アクリレートベースの材料、例えばアクリレート接着剤等のアクリレート;シリコーンベースの材料、例えばシリコーン接着剤等のシリコーン;ハイブリッド接着剤エポキシ、アクリレート、シリコーン又はハイブリッド接着剤のうちの1つ又は複数を含む、実施形態38に記載の光検出器システム。
【0113】
実施形態40:
光検出器システムに言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つの光検出器システムを含む、分光センシングアプリケーション。
【図面の簡単な説明】
【0114】
更なる任意の特徴及び実施形態が、後続の実施形態の説明において、好ましくは従属請求項と併せて、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、任意の実現可能な組み合わせだけでなく、孤立した態様で実現されても良い。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に描かれている。そこにおいて、これらの図中の同一の参照番号は、同一又は機能的に同等の要素を指す。
【
図1】
図1は、光検出器の一実施形態を透視図で示している。
【
図2】
図2は、光検出システムの一実施形態を示す切断上平面図である。
【
図3】
図3は、光検出器の製造方法と光検出器システムの製造方法の異なるフローチャートを示している。
【
図4】
図4は、光検出器の製造方法と光検出器システムの製造方法の異なるフローチャートを示している。
【
図5】
図5は、光検出システムの一実施形態の異なる製造状態を示している。
【
図6】
図6は、光検出システムの一実施形態の異なる製造状態を示している。
【
図7】
図7は、異なる流体材料の透過グレードダイアグラムを示している。
【0115】
実施例の詳細な説明
図1には、予め定義された関心波長範囲λ
[roi] の電磁放射線を光学的に検出するための光学検出器110の一実施形態が示されており、光学検出器110は、回路担体114上に配置された少なくとも1つの検出器画素112と、硬化した流動性材料の少なくとも1つのダム116と、ダム116に接着して固定された少なくとも1つのフィルター基材118とを含んでいる。図に示すように、ダム116は検出器画素112よりも回路担体114から高く延びており、及び検出器画素112は回路担体114に対向する側でフィルター基材118によって覆われている。ここで
図1では、説明の便宜上、フィルター基材118に覆われているダム116及び検出素子画素112の外形を示す線は破線で図示されている。
【0116】
回路担体114、ダム116及びフィルター基材118は、特定的には、検出器画素112を囲む気密封止パッケージを形成しても良い。従って気密封止されたパッケージング内の雰囲気は、光検出器を取り囲む雰囲気とは異なっていても良い。気密封止されたパッケージング内の雰囲気は一例として、気密封止されたパッケージ内の検出器画素112の酸化及び/又は加水分解反応などの望ましくない化学反応を回避することを可能にする不活性雰囲気であっても良い。
【0117】
図2は、光検出器システム120の実施形態を切断図で示したものであり、図示の目的でフィルター基材118は示されていない。光検出器システム120は、複数の光検出器110を含み、光検出器110は、少なくとも1つの回路担体114を共有する。従って光検出器システム120は、1つの回路担体114上に配置された複数の検出器画素112を含んでも良い。検出器画素112の各々は、ダム116によって囲まれており、従って光検出器システム120は、各検出器画素112に対して、1つのダム116を含んでも良い。更にダム116は、検出器画素112よりも回路担体114から高く延びている。
【0118】
ダム116は、ネットワーク及び/又はグリッドのように相互接続されても良い。特定的には、ダム116を形成するために硬化された流動性材料122の線(ライン)が接続されても良い。このような相互接続されたダム116は、例えば回路担体114上のスペースを節約しても良い。特定的には、この理由は、ダム116を形成する流体材料122の1つの線が、隣接する2つのダム116の一部であっても良いからである。一例として、500μmプラスマイナス10μmの線幅及び/又は厚さが可能であっても良い。特に
図2に示されるように、ダム116は格子形状を形成しても良く、ダム116の格子を形成する流体材料122の線間の距離d1 及びd2 などの間隔は、検出器画素112間の距離及び/又は間隔に応じて調整されても良い。
【0119】
図3及び
図4は、光検出器システムの製造方法(参照番号124で示される方法)と光検出器の製造方法(参照番号126で示される方法)の異なるフローチャートを示す。予め定義された関心範囲λ
[roi] における電磁放射線を光学的に検出するように構成された光検出器112の製造方法126は、少なくとも以下のステップを含む:
a)(参照番号128で示される)回路担体上に、少なくとも1つの検出器画素を提供するステップ;
b)(参照番号130で示す)回路担体114上の少なくとも1つの線122に、少なくとも1つの流動性材料を分注し、流動性材料の線122が少なくとも1つの検出器画素112を囲み、流動性材料の少なくとも1つの線122が検出器画素112よりも回路担体114から高く延びるようにするステップ;
c)(参照番号132で示す)少なくとも1つの線122が少なくとも1つの検出器画素112を囲むダム116を形成するように、少なくとも1つ流体材料の線122を少なくとも部分的に硬化させるステップ;及び
d)(参照番号134で示す)少なくとも1つのダム116上に少なくとも1つのフィルター基材118を堆積させ、フィルター基材118がダム116に接着して取り付けられ、回路担体114に対向する少なくとも1つの側で少なくとも1つの検出器画素112を覆うようにするステップ。
【0120】
光検出器112の製造方法126を実施する場合、ステップa)128~d)134は、特定的には与えられた順序で実施しても良く、ステップb)130及びc)132並びにステップc)132及びd)134のような方法ステップの1つ以上は、適時重複して、例えば少なくとも部分的に同時に実施しても良い。
【0121】
更に、及び
図4に例示的に示されているように、光検出器112の製造方法126は、更に以下のステップを含んでいても良い:
e)(参照番号136で示す)検出器画素112とフィルター基材118との間の所定のギャップを確保するための少なくとも1つのスペーサ要素をダム116内に堆積させるステップ。
【0122】
予め定義された関心範囲λ
[roi] の電磁放射線を光学的に検出するように構成された光学検出器システム120の製造方法126は、光学検出器112の製造方法126の少なくともステップa)128~d)134を含み、ここでステップa)128では、少なくとも2つの検出器画素112が同じ回路担体114上に設けられる。従って光検出器システム120の製造方法126では、2つ以上のダム116が作成され、及び2つ以上のフィルター基材118が堆積され、これは特定的には、回路担体114上に設けられる検出器画素112の数に対応する。従って光検出器システム120の製造方法124において、ステップb)130及びd)134は、2回又はそれ以上の回数で実行されても良く、その繰り返し回数は、例えば回路担体114上に設けられる検出器画素112の数に対応する。
図3及び
図4では、このようなステップの繰り返しが、矢印及び図の右側に配置されたボックスによって例示的に示されている。
【0123】
更に、光検出器システム120の製造方法124は、ステップをさらに含むことができる:
f)(参照番号138で示す)第1の光検出器142のダム116と第2の光検出器144のダム116との間の少なくとも1つの空隙140を充填材で満たすステップ。
【0124】
特に、光検出器システムの製造中に空隙140は、第1の光検出器142と第2の光検出器144の少なくとも2つの隣接するダム116の間に存在しても良く、ここで空隙128は、ステップf)138において、充填材料で充填されても良い。
【0125】
図5及び
図6には、光検出器システム120の実施形態の異なる製造状態が示されている。特定的には、
図5は、少なくともステップa)128及びb)130が実行された光検出器システム120の実施形態を表している。この状態において、光検出器システム120は特定的には、1つの共有回路担体114上の複数の検出器画素112を含んでも良い。各検出器画素112を囲むものは、吐出された流動性材料122の線(ライン)であり、これはダム116を形成するためにステップc)132で硬化される。特定的には、流体材料122の線の形状、ひいてはダム116の形状は、変化して回路担体114上の各検出器画素112ごとに異なっても良い。従って
図5に例示的に示されているように、第1のダム146の形態及び/又は形状は、第2のダム148の形態及び/又は形状と異なっていても良い。特に1つのダム116、例えば第1のダム146は、検出器画素112の周囲に隔離された囲いを形成してもよく、ここで別のダム、例えば第2のダム148は、例えばダム116のグリッドの一部として、1つ以上の隣接するダム116に接続されても良い。特定的には、第1のダム146及び第2のダム148は、形状、間隔、及び高さのうちの1つ以上が異なっていても良い。
図5に例示的に示されているように、空隙140は、特定的には、光検出器システム120の製造中に、第1の光検出器142と第2の光検出器144との間に存在しても良い。特に一例として、空隙140は、第1のダム146と第2のダム148との間に存在しても良い。
図6では、少なくともステップa)128、b)130、c)132及びd)134が実行された光検出器システム120の実施形態が示されている。特に、光学検出器システム120のこの実施形態では、フィルター基材118が堆積され、及びダム116上に接着して取り付けられている。
【0126】
図7には、異なる流体材料の透過等級ダイヤグラムが示されている。特定的には、このダイヤグラムは、電磁放射線の波長に応じて異なる流体材料の透過等級を示している。透過等級は、縦軸(y軸)に透過率[%]で示されており、0%は電磁放射線の透過がないことを意味し、100%は完全な透過、例えばいかなる電磁放射線の遮断もないことを意味する。更に電磁放射線の波長は、横軸(x軸)にナノメートル[nm]で示される。ダイヤグラム中のデータ154の第1のセットによって例示的に示されるように、メタノールをさらに含むエポキシベースの流動性材料では、電磁放射線の図示された波長範囲の全範囲にわたって、低い透過等級、特に2%未満が可能であっても良い。電磁放射線の図示された波長範囲の全幅にわたって、さらに低い透過等級、特定的には7%未満が、例えば図中の第2のデータ156によって例示的に示されるように、メタノールを含むシラン変性ポリマーベースの流動性材料によって達成されても良い。更に、図中の第3のデータ158及び第4のデータ160によって例示的に示されるように、電磁放射線の図示された範囲の全範囲にわたって10%未満の透過等級が、メタノールを含まないエポキシベースの流動性材料によって到達され、及び電磁放射線の広い範囲にわたって、メタノールを含まないシラン変性ポリマーベースの流動性材料によって到達されても良い。最後に、第5のデータ162によって例示されるように、硬化性ポリマーを含む流動性材料によって、電磁放射線の図示された範囲の全範囲にわたって、依然として30%未満の透過等級が達されても良い。
【0127】
【国際調査報告】